JP2022145967A - 擁壁の製造方法 - Google Patents

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Hidemi Oike
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Abstract

【課題】擁壁をさらに簡単に施工できる製造方法を提供する。【解決手段】複数の擁壁用ブロックを積み上げすることを有する擁壁の製造方法であって、複数の擁壁用ブロックの各々は、下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、擁壁の表面またはその下地となる前面部とを有し、前面部と底面部との間の角度が鋭角であり、積み上げすることは、下側の他の擁壁用ブロックであって、その上面部の前方が低くなるように、水平に対し傾けて設置された下側の他の擁壁用ブロックの上面部に、上側の擁壁用ブロックを、その上面部の前方が低くなるように傾けて設置することにより、上側の擁壁用ブロックの重心がその底面部の範囲から外れずに安定して自立し背面に倒れないように積み上げられることを含む製造方法を提供する。【選択図】図6

Description

本発明は、擁壁用ブロックを積み上げた擁壁の製造方法に関するものである。
特許文献1には、擁壁用ブロックの積み上げ方法が記載されている。従来、積み上げ接面となる上面と底面が積み上げ基礎部に対して積み上げ傾斜角度に対応して後方に傾斜するため、積み上げられるブロックの1段毎に背部に裏込めを行ったり、ブロックの上面に突条を設定し、上段に積み上げられるブロックの底面に設定されたこれに対応する形状の嵌合凹溝の嵌合によって積み上げ時の安定を図ったりした上、更に、積み上げられた上下のブロックを挿通して設定される鉄筋部材の挿入と鉄筋挿通孔への生コンの充填によって積み上げ後の安定が図られており、積み上げ時の倒壊防止と積み上げ後の安定のために多くの人手と労力が必要であるという問題があった。特許文献1には、上段位置のブロック底面に前面側に支持直面を有する嵌合突起を設けると共に、これに対応して下段位置のブロック上面に前記嵌合突起と嵌合する嵌合凹陥部を設け、各対応する嵌合突起と嵌合凹陥部を嵌合させながらブロックの積み上げを行うようにしたことが開示されている。
特開2002-161542号公報
造成工事あるいは河川の護岸工事には、もたれ擁壁の工事(施工、製造)が行われている。もたれ擁壁は、表面に石積みを設けたり、擁壁用のコンクリートブロックが積み上げられた(積み重ねられた、段積みの)擁壁であり、背面の土にもたれるように土留め用のコンクリートブロック(擁壁用コンクリートブロック)を傾斜させて(勾配があるように)積み上げて擁壁を築造する方法である。これらの擁壁は、土質や法面の高さなどを考慮して勾配が決定され、典型的な擁壁の前面の勾配は、3分勾配(73.3度)、4分勾配(68.2度)、および5分勾配(63.4度)である。
それぞれの勾配の擁壁に適した角度で設計された、コンクリート製の擁壁用ブロックを提供することが提案されている。典型的な擁壁用ブロックは、それぞれの勾配で自立することができるものである。しかしながら、各勾配のブロック、例えば、3種類の異なる勾配のブロックを製造することは、製造メーカにとって負担が大きい。それぞれ異なる勾配のブロックの型枠を用意する必要があり、ブロックの種類ごとに分けたストックヤードも必要となる。擁壁用ブロックは、内部に生コンを注入するなどの都合から形状が複雑であり、そのブロックを製造するための型枠も形状が複雑となるために製造コストが大きくなる。また、最近は景観が重視され、擁壁用ブロックの表面に岩模様などを施すことが要求されている。このために化粧面板が必要となり、これも型枠を準備するための費用が高くなる要因となっている。化粧面板はウレタンゴム、あるいはアルミ鋳物などで製造(成型)される。
一方、3分勾配の自立型の擁壁用ブロックにより、5分勾配のもたれ擁壁を施工しようとすると擁壁用ブロックを自立させることが難しい。このため、擁壁用ブロックを安全に積み上げるためには補強材の手配や施工が追加となり、自立型の擁壁用ブロックのメリットを活かすことができない。
本発明の一態様は、複数の擁壁用ブロックを積み上げすることを有する擁壁の製造方法である。複数の擁壁用ブロックの各々は、下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、擁壁の表面またはその下地となる前面部とを有し、前面部と底面部との間の角度が鋭角である。積み上げすることは、下側の他の擁壁用ブロックであって、その上面部の前方が低くなるように、水平に対し傾けて設置された下側の他の擁壁用ブロックの上面部に、上側の擁壁用ブロックを、その上面部の前方が低くなるように傾けて設置することにより、上側の擁壁用ブロックの重心がその底面部の範囲から外れずに安定して自立し背面に倒れないように積み上げられることを含む。製造方法は、さらに、安定して自立し背面に倒れないように積み上げられた上側の擁壁用ブロックの背面に砕石を入れることを有してもよい。
一例は、基礎の上に複数の擁壁用ブロックを積み上げすることを有する擁壁の製造方法である。複数の擁壁用ブロックの各々は、基礎または下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、擁壁の表面またはその下地となる前面部と、底面部から部分的に下側へ、または上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前面部と底面部との間の第1の角度θ1が鋭角である。この製造方法の積み上げすること(積み上げする工程)は、以下の工程を含む。
1.基礎の上に底面部の前方が低くなるように、水平に対し第2の角度θ2で傾けて設置する。ただし、第1の角度θ1と第2の角度θ2とは以下の条件(1)を満たす。
0<θ1+θ2≦90 ・・・(1)
前面部と底面部との間の第1の角度θ1が、90度よりも小さい鋭角である擁壁用ブロックは、自立型の擁壁用ブロックであり、水平方向に対して角度θ1で傾いたもたれ擁壁を施工する際に好適である。一方、さらに傾きが大きい、すなわち、水平方向に対する前面の角度が角度θ1よりも小さい傾きのもたれ擁壁を施工する際には、擁壁用ブロックの重心が底面部の範囲の後方の端に近くなり、または底面部の範囲から外れることが多くなる。このため、擁壁用ブロックは自立しにくく、または自立しても安定せず、施工が不安定になりやすく、擁壁用ブロックの設計を変える必要がある。しかしながら、この擁壁用ブロックを逆に、角度θ2の範囲で、前側に傾かせることにより、重心が底面部の範囲に収まった状態で、角度θ1とは異なる擁壁を容易に施工することができる。したがって、第1の角度θ1に固定された擁壁用ブロックを用いて、複数の傾きの擁壁を施工できる。さらに、この擁壁用ブロックは上側または下側の他の擁壁用ブロックと係合するように凸部が設けられているので前側に傾けて底面部が前側に傾いた状態でも滑りにくく、安定して積み上げることができる。
擁壁用ブロックをより安定して積み上げるためには、以下の条件(2)を満たすことが望ましい。
0<θ2≦θ1 ・・・(2)
この製造方法(施工方法)は、積み上げする工程の前に、基礎ブロックを配置して基礎を施工する工程を有していてもよい。基礎ブロックは、底面部と接し、水平に対して前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で擁壁用ブロックを搭載する搭載部を含んでもよい。典型的には、搭載部は、水平に対して擁壁用ブロックの前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた搭載面を含んでいてもよい。
基礎ブロックは、搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよい。この場合、製造方法は、さらに、基礎ブロックに複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックを設置した後に、立ち上がり部と最下段の擁壁用ブロックとの間にモルタルまたは生コンを注入する工程を有していてもよい。
他の例の1つは、基礎の上に積み上げされた複数の擁壁用ブロックを有する擁壁である。複数の擁壁用ブロックの各々は、基礎または下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、当該擁壁の表面またはその下地となる前面部と、底面部から部分的に下側へ、または上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前面部と底面部との間の第1の角度θ1が鋭角であり、底面部が水平に対して前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いて積み上げされており、第1の角度θ1と第2の角度θ2とは条件(1)を満たす。第1の角度θ1と第2の角度θ2とは、さらに条件(2)を満たしてもよい。
基礎は基礎ブロックを含んでもよく、基礎ブロックは、底面部と接し、水平に対して前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で擁壁用ブロックを搭載する搭載部を含んでもよい。基礎ブロックは、搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよく、複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックと立ち上がり部との間がモルタルまたは生コンが詰められていてもよい。搭載部は、水平に対して、擁壁用ブロックの前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた搭載面を含んでもよい。
さらに異なる他の例の1つは、擁壁を施工する際に、複数の擁壁用ブロックが積み上げされる際の基礎を形成する基礎ブロックである。複数の擁壁用ブロックの各々は、基礎ブロックまたは下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、擁壁の表面またはその下地となる前面部と、底面部から部分的に下側へ、または上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前面部と底面部との間の第1の角度θ1が鋭角である。
基礎ブロックは、複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックの底面部と接し、水平に対して前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で擁壁用ブロックを搭載する搭載部と、最下段の擁壁用ブロックと係合するように、搭載面の一部が突き出た凸部または搭載面の一部が凹んだ凹部とを有する。第1の角度θ1と第2の角度θ2とは条件(1)を満たし、さらに、条件(2)を満たしてもよい。典型的には搭載部は、搭載面であって、水平に対して前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた搭載面を含んでいてもよい。
基礎ブロックは、搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよい。立ち上がり部は、搭載面の後部に対応する高さまで立ち上がっていてもよい。立ち上がり部の後方の面は立ち上がり部の上側が狭くなるように傾いていてもよい。第2の角度θ2の一例は、約9.9度または約4.8度である。
擁壁用ブロックの幾つかの例を示す図。 擁壁用ブロックを積み上げて擁壁を施工する幾つかの例を示す図。 擁壁用ブロックの外観を示す図。 基礎ブロックの外観を示す図。 擁壁を施工する工程を示す一例。 擁壁を施工する工程を示す他の例。 異なる基礎ブロックの外観を示す図。 同一の擁壁用ブロックを用いて勾配の異なる擁壁を施工する幾つかの例を示す図。 異なる擁壁用ブロックの例を示す図。 異なる基礎ブロックの外観を示す図。 異なる擁壁用ブロックおよび基礎ブロックの断面構造を示す図。 基礎ブロックに擁壁用ブロックを積んだ状態を示す断面図。 異なる基礎ブロックの断面図。 異なる基礎ブロックの断面図。 パッキンを用いて擁壁を施工する例を示す図。 さらに異なる基礎ブロックを用いて擁壁を施工する例を示す図。
図1に、各勾配の擁壁を施工するために製造された自立型の擁壁用ブロックの一例を示している。図1(a)は、3分勾配(73.3度、0.3/1m)の擁壁用のコンクリート製のブロック(擁壁用ブロック、擁壁ブロック)10cであり、図1(b)は、4分勾配(68.2度、0.4/1m)の擁壁用のコンクリート製のブロック10bであり、図1(c)は、5分勾配(63.4度、0.5/1m)の擁壁用のコンクリート製のブロック10aである。各ブロック10a~10cは、基礎または下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部(底面)13と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部(上面)12と、擁壁の表面またはその下地となる前面部(前面)11と、底面部13から部分的に下側へ、または上面部12から上側へ突き出た凸部15とを有する。
この例では、各ブロック10a~10cは、底面部13から下側に突き出た凸部15を有し、上面部12はブロック10a~10cの前壁16および後壁17の上端16aおよび17aにより構成され、凸部15は、それら前壁16および後壁17の間(間隙)18に差し込まれるようになっている。底面部13はブロック10a~10cの前壁16および後壁17の下端16bおよび17bにより構成され、凸部15は、底面部13の、前壁16および後壁17を連絡(接続)する中間壁14の下側に設けられている。前壁16の前方には、岩の模様19が付されている。岩の模様(岩模様)は、前壁16に化粧板を取り付けて設けてもよく、岩模様19が付された前壁16を含めて擁壁用ブロック10a~10cを型枠により一体成型してもよい。前壁16は、岩模様の代わりに天然石が貼り付けられたり、緑化用のシートが貼り付けられたりするものであってもよく、施工する擁壁の前面に要求される機能を果たすように前壁16を構成したり、前壁部に機能性の板などを貼り付けたりすることができる。
図2に、それぞれの擁壁用ブロック10a、10bおよび10cを水平な(平らな)基礎ブロック20の上に載せた状態を示している。基礎ブロック20を水平に設定(配置)し、その上に、それぞれの勾配の擁壁用ブロック10a~10cを積み上げる(段積みする、積み重ねる)ことにより各勾配の擁壁を製造(施工)できる。図2(a)は、基礎ブロック20に、底面部13に対する前面部11の角度θ1(第1の角度)が3分勾配(73.3度)の擁壁用ブロック10cを積み重ねた状態を示し、3分勾配(73.3度)の擁壁1cを施工できる。図2(b)は、基礎ブロック20に、底面部13に対する前面部11の角度θ1が4分勾配(68.2度)の擁壁用ブロック10bを積み重ねた状態を示し、4分勾配(68.2度)の擁壁1bを施工できる。図2(c)は、基礎ブロック20に、底面部13に対する前面部11の角度θ1が5分勾配(63.4度)の擁壁用ブロック10aを積み重ねた状態を示し、5分勾配(63.4度)の擁壁1aを施工できる。
図3に、擁壁用ブロックの一例として5分勾配の擁壁用ブロック10aの概要を示している。他の擁壁用ブロック10bおよび10cの構成も角度θ1以外は共通であり、以降においては、勾配に注目した説明を行うとき以外は、5分勾配の擁壁用ブロック10aを擁壁用ブロック10として説明する。図3(a)は斜視図であり、図3(b)は右側面図であり、図3(c)は平面図であり、図3(d)は正面図であり、図3(e)は背面図であり、図3(f)は底面図であり、左側面図は右側面図と対称となる。
この擁壁用ブロック10は、前壁16と後壁17との間隙18に、前壁16と後壁17とを接続するように前後に延びた左右一対の中間壁14aおよび14bとを含む。中間壁14aおよび14bの下側と、前壁16の下端16bと、後壁17の下端17bとの一部が突き出て凸部15となっており、凸部15の中心は間隙18とつながった開口15aとなっている。したがって、擁壁用ブロック10を積み上げた後、上側から生コンを注入した際に、凸部15の両側の間隙18および凸部15の中央の開口15aを通して生コンは上側の擁壁用ブロック10から下側の擁壁用ブロック10の間隙18にスムーズに隙間なく充填される。また、要求される強度に応じて、鉄筋を、間隙18を介して、上下に積み上げられた擁壁用ブロック10を接続するように挿入できる。
また、この擁壁用ブロック10は、底面部13、上面部12、前面部11、前壁16の各面、後壁17の各面および中間壁14aおよび14bの各面が、凸部15の各面も含めて、擁壁用ブロック10を製造するための型枠の抜き勾配に対して逆勾配とならない設計となっている。したがって、擁壁用ブロック10を、型枠を使って一体成型することが可能であり、成型されたパーツを組み合わせる必要はなく、製造コストが抑制できるとともに、高い強度を備えた擁壁用ブロック10を提供できる。
図4に、基礎ブロック20の概要を示している。図4(a)は平面図、図4(b)は左側面図、図4(c)は正面図であり、底面図は平面図と、背面図は正面図と、また、右側面図は左側面図と対称である。基礎ブロック20は略方形で、水平方向に平行に延びた前壁25と、後壁26と、それを接続する側壁27aおよび27bと、中間壁28とを含む。前壁25および後壁26とは同じ高さであり、それぞれの下端25bおよび26bからなる接地面24に対して、前壁25の上端25aと、後壁26の上端26aとが同じ高さで形成されており、上端25aおよび26aにより水平な搭載面22を構成している。また、側壁27aおよび27bの上端27cと、中間壁28の上端28aは、前壁25の上端25aと後壁26の上端26aとからなる搭載面22より下側に凹んだ状態となるように設定されている。このため、前壁25の上端25aと後壁26の上端26aとの間(間隙)29は、搭載面22に、最下段(最下層)の擁壁用ブロック10の底面部13を搭載したときに、底面部13から下側に突き出た凸部15が挿入される凹み23となり、基礎ブロック20と擁壁用ブロック10とが凸部15と凹部23とで係合するようになっている。
前壁25の上端25aと後壁26の上端26aとの間(間隙)29は、さらに、側壁27aおよび27bと中間壁28との間が開口となった構成となっており、上側の擁壁用ブロック10に注入された生コンが基礎ブロック20の間隙29を通って基礎ブロック20の下側の基礎コンクリートに達し、基礎ブロック20を含めて擁壁1として一体化されるようになっている。
図5(a)に、3分勾配のもたれ擁壁1cを施工(製造)する工程を擁壁1cの断面図(擁壁用ブロック10cの側面図および基礎ブロック20の側面図)を用いて示している。施工手順としては、擁壁1cを施工する壁面(斜面)2の前方を掘削等し、基礎コンクリート(捨てコンクリート)3を施工して水平面(水平レベル)を形成する。基礎3は、十分な耐荷重を備えた地盤であってもよく、砕石基礎であってもよく、その他の方式の基礎であってもよい。他の実施例においても同様である。次に、二次製品としての基礎ブロック20を敷設(配置)する。この基礎ブロック20の上面(搭載面)22は水平である。また、基礎ブロック20は上述したように間隙29により空洞となっているので、基礎ブロック20を敷設した後、空洞部(間隙)29に生コンを投入し、地盤(基礎コンクリート)3に密着させることができる。
次に、基礎ブロック20に3分勾配用の擁壁用ブロック10cを積み上げる(段積みする、積み重ねる)。それぞれの擁壁用ブロック10cは、水平な面の上に自立するように設計されている。したがって、基礎ブロック20の水平な搭載面22上に積まれた最下段の擁壁用ブロック10cは自立し、その擁壁用ブロック10cの上面部12も水平になるので、その上の順次積層される擁壁用ブロック10cも自立した状態で積み重ねられる。また、擁壁1cの前面(表側)19または11の勾配は擁壁用ブロック10cにより3分となる。実際の施工においては、一段目(最下段)の擁壁用ブロック10cが設置されると、背面(擁壁用ブロック10cと斜面2との間)に砕石4を入れて仮固定する。その後、擁壁用ブロック10cの内側に生コン5を入れて基礎ブロック20とつなぐ。次に、2段目の擁壁用ブロック10cを1段目の擁壁用ブロック10cの上に置いて自立させる。砕石4を背面に入れて仮固定し、擁壁用ブロック10cの内側に生コン5を入れて上下の擁壁用ブロック10cを固定する。以後これらの工程をくりかえし、必要な高さまで段積みする。
この工法において、基礎ブロック20の上面(搭載面)22がほぼ水平で、基礎ブロック20に接する最下段の擁壁用ブロック10cの表板面(前壁)16の下端16bと裏板面(後壁)17の下端17bからなる底面部13が水平となる。このため、擁壁用ブロック10cの重心10gは底面部13の内側(領域内)に十分に入り、基礎ブロック20の上で安定して自立している。また、擁壁用ブロック10cの表板面16の上部16aと裏板面17の上部17aからなる上面部12がほぼ水平で同じ高さとなるので、最下段の擁壁用ブロック10cの上に他の擁壁用ブロック10cを積み重ねても安定している。
図5(b)に、この3分用の擁壁用ブロック10cを用いて、5分勾配のもたれ擁壁1aを施工(製造)する場合を示している。この施工には、例えば、搭載面22が後方に傾いて、3分用の擁壁用ブロック10cが5分の勾配となるようにセットできるように背面(後ろ側)が低い基礎ブロック9を使用することができる。しかしながら、基礎ブロック9に3分用の擁壁用ブロック10cを設置すると、後ろ側に倒れてしまう。あるいは滑る。また、その擁壁用ブロック10cの上に他の擁壁用ブロック10cを載せた場合も同様である。自立型の擁壁用ブロック10cの重心10gが後方に移動し、底面部13から外れるかあるいは外れやすくなるためである。擁壁用ブロック10cの転倒を防止するために背面からサポーター8で支えたりする方法はあるが、砕石4を投入した後にそれを取り外す作業が必要となる。この作業は大変面倒であり、またブロック10cの背面に人が入っての作業なので、サポーター8が外れると作業員はブロックと背面の土に挟まれて、大きな事故を引き起こす危険性がある。
図6に、本発明に係る製造方法(施工方法)により擁壁を製造(施工)した例を示している。この方法においては、搭載面22が前方に傾斜した基礎ブロック21と、勾配が5分用の擁壁用ブロック10aとを用いて、勾配が3分の擁壁1cを製造(施工)している。この基礎ブロック21も中が空洞であり、擁壁用ブロック10aの底面部13と接する搭載面22が、前方、すなわち、擁壁用ブロック10aの前面部11の側が低くなるように、水平方向に対して、すなわち、基礎ブロック21の接地面24に対して角度θ2(第2の角度)を成すように傾いている。その他の構成は、先に説明した基礎ブロック20と共通の構成を備えている。すなわち、基礎ブロック21においては、搭載面22が、擁壁用ブロック10aの底面部13と接し、水平に対して擁壁用ブロック10aの前面部11が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で擁壁用ブロック10aを搭載する搭載部としての機能を果たす。
具体的には、基礎ブロック21の搭載面22は、5分勾配と3分勾配との差分である9.9度だけ前方に傾いて、背面側の後壁26の上端26aに対して前壁25の上端25aが下がるように設計されている。すなわち、表面の前壁25の高さが背面の後壁26よりも低い。したがって、基礎ブロック21の上に5分用の擁壁用ブロック10aを積み上げることにより擁壁用ブロック10aの表の前面部11の勾配が3分となり、勾配が3分のもたれ擁壁1cを築造できる。
図6(a)に示した施工方法は図5(a)に示した施工方法と同様の手順で進められる。すなわち、基礎ブロック21を基礎コンクリート3の上に敷設する。生コン5を基礎ブロック21の空洞部(間隙)29に投入する。その上に、最下段の擁壁用ブロック10aを積み、生コン5を入れる。擁壁用ブロック10aの背面に砕石4を入れる。生コン5を注入する前に砕石4により擁壁用ブロック10aの位置を固定してもよい。次に、2段目の擁壁用ブロック10aを積む。2段目の擁壁用ブロック10aも下側の前後に突起15があるので、1段目の擁壁用ブロック10aの上面部12が前に向かって傾斜していても上側の擁壁用ブロック10aは設置後、前側に動かず安定している。さらに、前側に傾斜させても擁壁用ブロック10aの重心10gは底面部13の範囲から外れず、中央付近に留まるので安定して自立し背面に倒れない。したがって、サポーターなどの設置は不要で、迅速に、また、安全に擁壁1cを施工できる。
擁壁用ブロック10の勾配(前面部11と底面部13との成す角度、第1の角度)θ1は鋭角(90度より小さい角度)であり、第1の角度θ1と、基礎ブロック21の勾配(水平方向、または接地面24と搭載面22との成す角度、第2の角度)θ2とは以下の条件(1)を満たすことが望ましい。
0<θ1+θ2≦90・・・(1)
条件(1)の条件を超えると積み上げられた勾配(擁壁の勾配)が逆勾配になり不安定になりやすい。
また、角度θ1およびθ2は以下の条件(2)を満たすことが望ましい。
0<θ2≦θ1 ・・・(2)
基礎ブロック21の勾配θ2が擁壁用ブロック10の勾配θ1より大きくても擁壁1の施工は可能であるが、基礎ブロック21と擁壁用ブロック10との係合部分、すなわち、本例であれば擁壁用ブロック10の凸部15にかかる負荷が大きくなる。したがって、条件(2)の範囲であることが望ましい。
従来の施工方法では、同一の基礎ブロックの上に、異なる勾配の擁壁用ブロック10を用いてそれぞれ必要とされる異なる勾配の法面勾配で施工していた。これに対し、本発明の方法においては、逆に基礎ブロック21の勾配を変えることによって、3分勾配のもたれ擁壁1cの現場でも、4分勾配のもたれ擁壁1bの現場でも、5分勾配のもたれ擁壁1aの現場でも、5分用の擁壁用ブロック10aで施工できる。
さらに、擁壁用ブロック10の下側には突起15が設けられており、前後の移動に対するストッパーとしての機能を果たす。すなわち、突起15が基礎ブロック21の内側の空洞部(凹み)23に入り込みストッパーとなり、5分勾配の擁壁用ブロック10aを、表面を3分勾配にした状態で、より安定して自立させることができ、前側に下がる傾斜した基礎ブロック21の搭載面22の上に載せても前側に滑らず、また、前に倒れない。すなわち、この施工方法においては、後側に傾斜した自立型の擁壁用ブロック10を、前側に傾斜した状態で設置することにより、重心位置を底面部13の範囲内にでき、安定して自立させることができる。それとともに、下側に設けられた凸部(突起)15がストッパーとなり、背面に滑ったり、あるいは背面に転倒することを抑制できる。このため、背面からサポーターで擁壁用ブロック10を支持する作業は不要となる。
道路工事のもたれ擁壁、河川のもたれ擁壁では3分、4分および5分勾配の設計があるが、5分勾配が圧倒的に多く設計されている。したがって、5分勾配用の擁壁用ブロック10aの1種類で、これらの擁壁1a~1cを施工できることにより、擁壁の施工費用を大幅に低減できる。
図6(b)では、さらに、搭載面22の前方に立ち上がり部(突起)25sを含む基礎ブロック21aを用いて擁壁1cを施工する様子を示している。図7に、基礎ブロック21aの概要を平面図(図7(a))、正面図(図7(b))および右側面図(図7(c))を用いて示している。左側面図は右側面図と対称となり、底面図および背面図は、それぞれ平面図および正面図とほぼ同様である。
この基礎ブロック21aにおいては、立ち上がり部25sの上端25tを、後壁26の上端26a、すなわち、搭載面22の後部に対応する高さに設定することが望ましい。これにより、前壁25の実質的な高さと、後壁26の高さとを合致させることができ、設計上の基礎ブロック21aの厚みを確保できる。すなわち、この例で基礎の厚みが250mmで設計されていれば、前側も後側も250mmの厚みを確保できる。設計上の厚みを確保するために、基礎ブロック21において前壁25の高さを250mmに設定してもよい。この場合、傾斜した搭載面22を確保するためには後壁26をさらに高くする必要があり、基礎ブロック21の断面が大きく、重く、コストアップになる。したがって、立ち上がり部25sを設けることにより、設計上の厚みを確保でき、断面も小さく、また、重量を低減でき、コストも低減できる。また、立ち上がり部25sを設けて前方の上端25tと後方の上端26aとをほぼ水平にすることにより、保管や搬送の際に基礎ブロック21aを安定して積み上げることができる。したがって、基礎ブロック21aを多段に積んで在庫できる。
さらに、立ち上がり部25sは、搭載面22の上に積み上げられた擁壁用ブロック10の前壁部11の下端の前方をカバーし、ストッパーとしての機能も果たす。このため、擁壁用ブロック10の底面部13から突き出た凸部15と協働して、擁壁用ブロック10が搭載面22の上を前方に滑ることを未然に防止でき、また、擁壁1を施工する際も、見た目にも安心感を与えるデザインとなる。したがって、基礎ブロック21aの上に多くの擁壁用ブロック10を積み上げるデザインの擁壁1であっても、安心して作業を行うことができ、また、背面からの大きな荷重が加わっても、擁壁用ブロック10が前に押し出されることを予防できる。
さらに、立ち上がり部25sは垂直に立ち上がってもよいが、この基礎ブロック21aにおいては、立ち上がり部25sの後ろ側の面25uは、上端25tが狭くなるように傾斜している。基礎ブロック21aは、立ち上がり部25sと、擁壁用ブロック10の前面11との間でクリアランスを確保した後、上側に広がるような傾斜部25uを有する。立ち上がり部25sと擁壁用ブロック10との間にクリアランスがないと擁壁用ブロック10を敷設しにくい。立ち上がり部25sと擁壁用ブロック10の前面部11との間は現場iで生コン5またはモルタルにより間詰めすることで埋めることができる。立ち上がり部25sの後面が傾斜面25uになり上に向かって広がっていると小さなクリアランスで、狭くても、間詰用の生コン5やモルタルを挿入しやすい。
図8に、搭載面22の角度θ2が異なる基礎ブロック21aを用いて勾配が異なる擁壁を施工する例を示している。図8(a)は、搭載面22の角度θ2が9.9度の基礎ブロック21aと、前面部11の角度θ1が63.4度の5分勾配の擁壁用ブロック10aとにより、3分勾配(73.3度)の擁壁1cを施工する例を示す。図8(b)は、搭載面22の角度θ2が4.8度の基礎ブロック21aと、5分勾配の擁壁用ブロック10aとにより、4分勾配(68.2度)の擁壁1bを施工する例を示す。図8(c)は、搭載面22が平面の基礎ブロック20と、5分勾配の擁壁用ブロック10aとにより、5分勾配(63.4度)の擁壁1aを施工する例を示す。
擁壁用ブロック10および基礎ブロック20および21は異なる形状であってもよい。例えば、基礎ブロック20に凹み23の代わりに凸部23aを設けてもよく、擁壁用ブロック10の底面部13に凸部23aと位置決めできる場所に凹部15bを設けてもよい。また、擁壁用ブロック10には上面部12に凸部15を設けてもよい。
図9(a)に上面部12に凸部15が設けられ、底面部13に凹部15bが設けられた擁壁用ブロック10dを斜視図で示し、図9(b)にその擁壁用ブロック10dの側面図を示している。図10に、搭載面22に凸部23aを備えた基礎ブロック21bの一例を斜視図により示している。
図11は、図9に示した擁壁用ブロック10dの典型的な断面構造を断面図(図11(a))で示し、図10に示した基礎ブロック21bの典型的な断面構造を断面図(図11(b))で示している。図12に示すように、基礎ブロック21bと、5分勾配の擁壁用ブロック10dとを組み合わせることにより、5分勾配の擁壁1aを施工できる。図13に示すように、基礎ブロック21bと共通の構成で搭載面22が前側に傾いた基礎ブロック21cを提供することが可能である。また、図14に示すように、搭載面22が前側に傾き、さらに、搭載面22の前側に立ち上がり部25sを備えた基礎ブロック21dを提供することが可能である。搭載面22が傾いた基礎ブロック21cまたは21dを用いることにより、上記と同様に、5分勾配の擁壁用ブロック10dを用いて、4分勾配または3分勾配の擁壁を施工することが可能である。
図15に、5分勾配の擁壁用ブロック10dを用いて3分勾配の擁壁1cを、擁壁パッキン50を用いて製造(施工)する様子を示している。この例では、図12に示す平坦な上面22を備えた基礎ブロック21bの上に、5分勾配の擁壁用ブロック10dを搭載する際に、底面13の後部(後壁17の下部17b)と基礎ブロック21bとの間に適切な厚みのパッキン50を配置して擁壁用ブロック10dをさらに角度θ2(9.9度)だけ前方に傾けることにより3分勾配の擁壁1cを施工できる。基礎ブロック21bの代わりに平坦に施工された基礎コンクリートの上にパッキン50を用いて、最下段(最下層)の擁壁用ブロック10dを配置してもよい。パッキン50の代わりに、基礎コンクリートを前方に所定の角度だけ傾けて施工してもよい。
図16に、5分勾配の擁壁用ブロック10aを用いて3分勾配の擁壁を、基礎ブロック21eを用いて製造(施工)する様子を示している。この例の基礎ブロック21eは、前壁25の上端25aと、後壁26の上端26aが水平であり、上端25aおよび26aに角度θ2に相当する段差が設けられている。この基礎ブロック21eにおいては、段差のある上端25aおよび26aが、擁壁用ブロック10aの底面部13と接し、水平(底面24、基礎コンクリート3)に対して、擁壁用ブロック10aの前面部11が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で擁壁用ブロック10aを搭載する搭載部22としての機能を果たす。
なお、上記で説明した擁壁用ブロックおよび基礎ブロックの形状は一例であり、本件の特許請求の範囲の条件を満足するものであればよく、形状は、様々なバリエーションがあり得る。また、上記では、基礎ブロックを用いて擁壁を施工する例を説明しているが、搭載面22に相当する、擁壁用ブロックを積み上げる基礎となる斜面を現場でコンクリート等により施工することも可能である。
上記において説明したように、本発明により、複数の勾配の擁壁を、安全に、一種類すなわち、一つの勾配の擁壁用ブロックを使用することにより製造できる。したがって、擁壁用ブロックを提供する製造メーカの負担を減らすことができる。また、同一の施工現場で、異なる勾配のもたれ擁壁が施工される場合に、一種類または限られた種類のブロックを現場に搬入することにより現場でのストック場所の面積を小さくできる。上記においては、3分、4分、5分の異なる勾配のもたれ擁壁に対応する例を説明しているが、勾配の種類はこれらに限定されない。また、上述した角度θ1およびθ2の値は例示に過ぎず、この角度に限定されない。さらに、例示した角度θ1およびθ2の値は設計値であり、設計および製造公差の範囲に収まっていればよく、公差は適宜管理される。
本発明においては、異なる勾配の擁壁を施工するために、搭載面の勾配の異なる基礎ブロックを採用する。したがって、基礎ブロックの種類は増える可能性がある。しかしながら、基礎ブロックの数は擁壁用ブロック本体に比べて必要な数は極めて少ない。すなわち、基礎ブロックは最下段の擁壁用ブロックを支持するためだけに用いられ、擁壁を施工するために必要となる擁壁用ブロックの数に対して非常に少ない。特に、最近の傾向として擁壁用ブロック本体は表面に石模様など、景観に配慮した製品が必要とされている。このため化粧面板が必要である。化粧面板は高価となりしたがって擁壁用ブロックの型枠の製作費が極めて高価である。一方、基礎ブロックは形状が簡単で、模様など必要ないため安価である。したがって、基礎ブロックの種類を増やしても、擁壁用ブロック本体の型枠を増やすより極めて経済的である。また、基礎ブロックはブロックに比べて高く段積みしやすい形状なのでストックヤードも少なくて済む。したがって、本発明により、勾配の異なる擁壁を、経済的に、安全に施工することが可能となる。
上記には、基礎の上に複数の擁壁用ブロックを積み上げすることを有する擁壁の製造方法であって、前記複数の擁壁用ブロックの各々は、前記基礎または下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、前記擁壁の表面またはその下地となる前面部と、前記底面部から部分的に下側へ、または前記上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前記前面部と前記底面部との間の第1の角度θ1が鋭角であり、前記積み上げすることは、前記基礎の上に前記底面部の前方が低くなるように、水平に対し第2の角度θ2で傾けて設置することを有し、前記第1の角度θ1と前記第2の角度θ2とは以下の条件を満たす製造方法が開示されている。
0<θ1+θ2≦90
上記の製造方法は、前記積み上げすることの前に、基礎ブロックを配置して前記基礎を施工することを有してもよく、前記基礎ブロックは、前記底面部と接し、水平に対して前記前面部が低くなるように前記第2の角度θ2で傾いた状態で前記擁壁用ブロックを搭載する搭載部を含んでもよい。前記基礎ブロックは、前記搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよく、当該製造方法は、さらに、前記基礎ブロックに前記複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックを設置した後に、前記立ち上がり部と前記最下段の擁壁用ブロックとの間にモルタルまたは生コンを注入することを有してもよい。
上記には、基礎の上に積み上げされた複数の擁壁用ブロックを有する擁壁であって、前記複数の擁壁用ブロックの各々は、前記基礎または下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、当該擁壁の表面またはその下地となる前面部と、前記底面部から部分的に下側へ、または前記上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前記前面部と前記底面部との間の第1の角度θ1が鋭角であり、前記底面部が水平に対して前記前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いて積み上げされており、前記第1の角度θ1と前記第2の角度θ2とは以下の条件を満たす擁壁が開示されている。
0<θ1+θ2≦90
前記基礎は基礎ブロックを含み、前記基礎ブロックは、前記底面部と接し、水平に対して前記前面部が低くなるように前記第2の角度θ2で傾いた状態で前記擁壁用ブロックを搭載する搭載部を含んでもよい。前記搭載部は、水平に対して前記前面部が低くなるように前記第2の角度θ2で傾いた搭載面を含んでもよい。前記基礎ブロックは、前記搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよい。前記立ち上がり部は、前記搭載部の後部に対応する高さまで立ち上がっていてもよい。前記立ち上がり部の後方の面は前記立ち上がり部の上側が狭くなるように傾いていてもよい。前記複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックと前記立ち上がり部との間にモルタルまたは生コンが詰められていてもよい。
上記には、擁壁を施工する際に、複数の擁壁用ブロックが積み上げされる際の基礎を形成する基礎ブロックであって、前記複数の擁壁用ブロックの各々は、前記基礎ブロックまたは下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、前記擁壁の表面またはその下地となる前面部と、前記底面部から部分的に下側へ、または前記上面部から上側へ突き出た凸部とを有し、前記前面部と前記底面部との間の第1の角度θ1が鋭角であり、さらに、当該基礎ブロックは、前記複数の擁壁用ブロックの最下段の擁壁用ブロックの底面部と接し、水平に対して前記前面部が低くなるように第2の角度θ2で傾いた状態で前記擁壁用ブロックを搭載する搭載部と、前記最下段の擁壁用ブロックと係合するように、前記搭載面の一部が突き出た凸部または前記搭載面の一部が凹んだ凹部とを有し、前記第1の角度θ1と前記第2の角度θ2とは以下の条件を満たす基礎ブロックが開示されている。
0<θ1+θ2≦90
前記搭載部は、水平に対して前記前面部が低くなるように前記第2の角度θ2で傾いた搭載面を含んでもよい。前記搭載部の前方に立ち上がり部を含んでもよい。前記立ち上がり部は、前記搭載部の後部に対応する高さまで立ち上がっていてもよい。前記立ち上がり部の後方の面は前記立ち上がり部の上側が狭くなるように傾いていてもよい。前記第2の角度θ2は、約9.9度または約4.8度であってもよい。
1a~1c 擁壁、 10、10a~10d 擁壁用ブロック
20、21a~21e 基礎ブロック

Claims (2)

  1. 複数の擁壁用ブロックを積み上げすることを有する擁壁の製造方法であって、
    前記複数の擁壁用ブロックの各々は、下側の他の擁壁用ブロックと接する底面部と、上側の他の擁壁用ブロックと接する上面部と、前記擁壁の表面またはその下地となる前面部とを有し、前記前面部と前記底面部との間の角度が鋭角であり、
    前記積み上げすることは、前記下側の他の擁壁用ブロックであって、その上面部の前方が低くなるように、水平に対し傾けて設置された前記下側の他の擁壁用ブロックの上面部に、上側の前記擁壁用ブロックを、その上面部の前方が低くなるように傾けて設置することにより、前記上側の擁壁用ブロックの重心がその底面部の範囲から外れずに安定して自立し背面に倒れないように積み上げられることを含む、製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記安定して自立し背面に倒れないように積み上げられた前記上側の擁壁用ブロックの背面に砕石を入れることをさらに有する、製造方法。
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