しかしながら,荷物等の配達等は依然として容易ではない。また現状の宅配ボックスでは様々な問題がある。
この発明は,例えば荷物等の配達等を従来よりも容易とすることなどを目的とする。
(1)たとえば,配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報を受信して車両のドア・ロックを解錠する制御を行う車載機とするとよい。
配達する人は,車両のドア・ロックを解錠できるので,配達する人は,車両に荷物を配達できる。配達する人は,例えば,荷物を受取人等の家等に配達しなくても単に受取人等の車を解錠し荷物を入れるだけでよくなる。例えば届け先の家等に不在であっても単に車に荷物を届けるだけでよい。荷物の再配達の手間を軽減できる。自宅に配達に行く場合,配達する人は,荷物の受取人が自宅の玄関まで出てくるまでの間待たなければならないが,車両に荷物を配達するのであれば,荷物の受取人または荷物の送り主が自宅の玄関まで来る間,待つ必要がない。さらに,車両は比較的大きい荷物を入れることができるので,大量の荷物,大きな荷物であっても荷物の配達ができる。
受取人も,不在時に荷物を受け取ることができるし,配達すべき荷物を渡すことができる。部屋着の着替え,化粧の準備が不要なので在宅時であっても,配達する人と会いたくない人,荷物の配達時間指定の時間まで待ちたくない人などの場合には配達する人と会ったり,配達時間指定の時間まで待ったり,集荷の時間まで待ったりすることなく荷物を引き渡したり,荷物を受け取ったりできる。
配達人端末は,たとえば,専用端末でもよいし,スマートフォン,タブレット端末を利用したものでもよい。配達人端末は,たとえば,配達する人が単に所持していればよく,端末の所有権を有している必要もなく,貸与されているものでもよい。もちろん,たとえば,端末の所有権を有していてもよい。また,配達する人は,好ましくは配達業者の配達員がよいが,配達業者の配達員でなくともよい。例えば配達人は配達業者ではない例えば一般の人などとし,このような人が空いている時間に自己または他人の荷物を届け先の人の車へ入れるようにしてもよい。このような構成とするときは特に配達人端末はスマートフォン等のアプリとして構成するとよい。また,たとえば,荷物は,配達の対象となる物品とするとよい。たとえば,配達する人の端末から無線送信された解錠指示情報を車載機が受信したかどうかは,配達する人の端末から無線送信された解錠指示情報と,その端末から無線送信された端末の識別情報とから判断するとよい。
また(1)の構成においては,配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報を受信して車両のドア・ロックを解錠する制御を行う車載機としたが,配達する人に代えて集荷する人が,また配達人端末に代えて集荷する人が所持する端末である集荷人端末から無線送信された解錠指示情報を受信して車両のドア・ロックを解錠する制御を行う車載機とするとよい。あるいは,配達人端末は集荷する人が所持してもよい。あるいは配達人端末と集荷人端末の機能を1つの端末に備えるようにしてもよい。集荷される荷物が車両にある場合には車両のドア・ロックを解錠して荷物を集荷できる。
自宅に集荷に行く場合,集荷する人は,荷物の送り主が自宅の玄関まで出てくるまでの間待たなければならないが,車両にある荷物を集荷するのであれば,荷物の送り主が自宅の玄関まで来る間,待つ必要がない。さらに,宅配ボックスとは異なり,車両は比較的大きい荷物を入れることができるので,大量の荷物,大きな荷物であっても荷物の集荷ができる。
荷主も,配達すべき荷物を集荷する人に直接会うことなく,渡すことができる。部屋着の着替え,化粧の準備が不要なので在宅時であっても,集荷人と会いたくない人,荷物の集荷時間指定の時間まで待ちたくない人などの場合には集荷人と会ったり,集荷の時間まで待ったりすることなく荷物を引き渡すことができる。
このように,車両を荷物の引き渡し,または受け取り場所として利用できる。自宅でなくとも荷物の引き渡し,または受け取りができるので,外出中であっても荷物の引き渡し,または受け取りをすることができるし,早朝または夜間であっても荷物の引き渡し,または荷物の受け取りができるようになる。荷物の送り主または荷物の受取人にとっては,配達する人が自宅に来るまで待つ必要がなく,配達する人にとっては再集荷,再配達が不要となるので,荷物の送り主,荷物の受取人および配達する人のいずれにとっても非常に便利となる。
車両は,配達人の車両ではない車両である。特に,車両は配達先の住所の家屋に居住する人の車両とするとよい。
特に車載機は車両のメーカーからの出荷後に車両に後付けされる車載機とするとよい。また(A)車両のドア・ロックの解錠のために車両の運転者が所持する純正キーとは別の機器であって車両の運転者が所持する機器であるリモコンからの信号にもとづき車両のドア・ロックを解錠する機能を備える車載機にさらに配達する人が所持する配達する人の端末から無線送信された解錠指示情報を受信して車両のドア・ロックを解錠する制御を行う車載機とするとよい。特にリモコンからの解錠であるのか配達人端末からの解錠であるのかに基づいて動作を変える構成とするとよい。
車両のドア・ロックを解錠する制御は,例えばドア・ロックを解錠するまでの全体の制御としてもよいが,一部の制御としてもよく,例えば車両に備えるドア・ロック制御手段に対してドア・ロックの解錠の指示を出力する制御とするとよい。
配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報の受信は,クラウド等,所定のサーバや自宅のWiFi等のインターネット等を介するなど間接的に受信するようにしてもよいが,特に,配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報の無線信号を直接無線にて受信する構成とするとよい。このようにすれば当該無線信号の到達範囲内からの解錠のみが可能となる。仮に配達人端末が盗難にあったとしても窃盗犯は当該車両の近くでなければ解錠できないから犯人の確保がより容易になる。当該無線信号の到達範囲は数十メートル未満とするとよく,特に十数メートル程度から数メートル程度とするとよい。
(2)たとえば,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠の後,車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいてドア・ロックする制御を行うとよい。
配達する人が車両に荷物を配達したり,車両から荷物を集荷したりする場合に,車両のドアが解錠されたままの状態となってしまうことが未然に防止できる。配達する人の端末からの解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠されても,その後ドアが閉じられたことが検出されると,ドアがロックされるので,不審者による車両への侵入を防止できる。たとえば,車載機がドア・ロックの解錠の後,ドアが閉じられたことを検出すると,車両への荷物の配達または車両から荷物の集荷が完了したと考えられるので,ドア・ロックするように車載機が制御してもよい。特に(A)のような構成とするときなどには,運転者のリモコンからの解錠指示のときにはドア・ロックの解錠の後,車両のドアが閉じられたとしてもドア・ロックしない構成とする一方,配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠の後は,車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいてドア・ロックする制御を行うとよい。
ドア・ロックの解錠の後は,例えばドア・ロックの解錠指示を車両に対して出力した後としてもよいが,例えばドア・ロックの解錠指示を車両に対して出力した後,ドア・ロックが施錠されたことを検出した後とすると特によい。
車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいてドア・ロックする制御は,特に車両のドアが閉じられたことが検出された場合,ドア・ロックの施錠指示を車両に対して出力する構成とするとよい。車両のドアが開かれたこと,車両のドアが閉じられたことは,センサ等を備えて直接検出してもよいが,車両等にもともと備えられているセンサの信号を入力して検出するようにしたり,車両等にもともと備えられているドアの開閉にともなって出力される信号を検出したりするようにするとよい。
また,たとえば,上記解錠指示情報にもとづいてカー・セキュリティをディスアーム状態とするとよい。このようにすれば,配達する人が車両のドアを開けたときなどに,カー・セキュリティによる警報が発せられてしまうことが未然に防止できる。
たとえば,配達した人によって車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいてカー・セキュリティをアーム状態とする制御を行うとよい。このようにすれば車内に配達した荷物をカー・セキュリティによっても守ることができる。
配達した人によって車両のドアが閉じられたことの検出は,例えば,配達人端末から送信されたドア・ロックの指示信号を受信したときとしてもよいし,例えば,配達人端末から送信された配達完了の入力にともなって出力される情報を受信したときとしてもよい。また特に,上記解錠指示情報にもとづいてカー・セキュリティをディスアーム状態とし,車両のドアが閉じられたこととするとよい。
(3)たとえば,上記解錠指示情報にもとづいてカー・セキュリティをディスアーム状態とし,車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいてカー・セキュリティをアーム状態とする制御を行うとよい。
このようにすれば,配達する人が車両のドアを開けたときなどに,カー・セキュリティによる警報が発せられてしまうことが未然に防止できるとともに,配達人や当該車両の所有者等がその車内に配達され荷物が存在する車両についてカー・セキュリティをアーム状態にセットする必要がなく手間がかからない。
カー・セキュリティは車両の純正のカー・セキュリティとしてもよいし,車両に後付されるサードパーティのカー・セキュリティとしてもよい。
例えば車両にカー・セキュリティが装備されておりそのカー・セキュリティ機能を制御する機能を車載機に備える構成,あるいは,車載機にカー・セキュリティ機能を備える構成などにおいて,カー・セキュリティがアーム状態のときに配達する人の端末からの解錠指示情報にもとづいてドア・ロックが解錠され,ドアが開けられてしまうと,警報が発せられる構成においても配達する人の端末からの解錠指示が情報を受信するとカー・セキュリティをディスアーム状態とするので,配達する人が車両のドアを開けて誤ってカー・セキュリティによる警報が発せられてしまうことが未然に防止できる。また,荷物の配達が終わり,車両のドアが閉じられると,カー・セキュリティをアーム状態とするので,不審者が車内に侵入しようとすることを未然に防止できる。
(4)たとえば,荷物の配達予定時間帯情報を取得し,取得した荷物の配達予定時間帯情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠する制御を行うとよい。
このようにすれば,荷物の受取人等の車両のドア・ロックの解錠をより適切に行うことができる。
特に,配達人端末から無線送信される解錠指示情報にもとづいて,常にドア・ロックを解錠してしまうと,配達する人以外の第三者による配達人端末の不正使用があった場合にも,配達人端末は車両のドア・ロックを解錠してしまう。配達予定時間帯情報にもとづいて,配達人端末から送信される解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠するので,配達人端末の不正使用による不正なドア・ロックの解錠を未然に防止できる可能性を高めることでき,第三者による車内への不正侵入を防止できる可能性を高めることができる。
取得した荷物の配達予定時間帯情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠する制御は,現在の時間帯が,取得した荷物の配達予定時間帯以外の時間帯であれば配達人端末から解錠指示情報を受信した場合でも当該車両のドア・ロックを解錠せず,取得した荷物の配達予定時間帯の時間帯であれば配達人端末から解錠指示情報を受信した場合に当該車両のドア・ロックを解錠する構成とするとよい。
荷物の配達予定時間帯情報は,例えば1日の中を複数の時間帯に区分した時間帯から1または複数の時間帯を特定する情報とするとよい。特に1の時間帯とするとよい。特に宅配業者が予め設定している既存の配達希望時間帯の区分にこの時間帯を一致させると,配達の効率がよくなる。特に指定された時間帯以外の時間帯は配達人端末から解錠指示情報を受信した場合でも当該車両のドア・ロックを解錠しないようにするとよい。
また例えば荷物の配達予定時間帯情報は,配達予定の日の情報と1日の中を複数の時間帯に区分した時間帯から1または複数の時間帯を特定する情報とするとよい。特に車への配達を行う特定の日の特定の時間帯とする情報とするとよい。
また例えば配達予定時間帯情報は,配達予定の日の情報を備え,1日の中を複数の時間帯に区分した時間帯の情報は備えない構成とするとよい。特に当該荷物の配達予定日において,通常所定の時間帯に,配達人端末からの解錠指示情報を受信することにより,車両のドア・ロックを解錠し,所定の時間帯以外に,配達人端末からの解錠指示情報を受信しても,車両のドア・ロックは解錠しないようにするとよい。このようにすれば,配達予定日以外には配達人端末からの解錠指示情報を受信したとしても当該車両の解錠がされることなく,また,当該配達予定日であっても当該所定の時間帯以外の時間帯には配達人端末からの解錠指示情報を受信したとしても当該車両の解錠がされることない。
この所定の時間帯は,例えば通常配達が行われる時間帯とするとよい。例えば午前9時から午後9時とするとよい。
たとえば,配達管理システムから送信される荷物の配達予定時間帯情報に応じて,配達人端末からの解錠指示にもとづいて車両のドア・ロックを解錠する制御を行うとよい。
配達人端末を用いて荷物を集荷するときにも,同様に,集荷予定時間帯情報によって特定される時間帯に,配達人端末からの解錠指示情報を受信することにより,車両のドア・ロックを解錠し,取得した集荷予定時間帯情報によって特定される時間帯以外に,配達人端末からの解錠指示し情報を受信しても,車両のドア・ロックは解錠しないとよい。
(5)たとえば,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠禁止が設定されていることに応じて,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠を禁止させる制御を行うとよい。
例えば車内に貴重品や車のキーなどが置いてあるときなど,配達する人に車内に入ってほしくないことがある。ドア・ロックの解錠禁止が設定されることにより,配達人端末からの解錠指示情報が無線送信されてもドア・ロックの解錠が禁止されるので,ユーザの意思に反して配達する人が車内に入ってしまうことが未然に防止できる。ドア・ロックの解錠禁止の設定は,たとえば,ユーザが所有している端末から車載機に解錠禁止情報を送信するとよい。
上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠禁止が設定されていることに応じて,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠を禁止させる制御は,例えば解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠禁止が設定されているときに,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠を禁止し,解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠禁止が設定されていないときに,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠を許可する制御とするとよい。
(6)たとえば,上記解錠指示情報にもとづいてドアが開けられ,ドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいて車両のエンジンの始動を禁止する制御を行うとよい。
車内に車のキーなどが置かれていると,ドア・ロックが解錠されたときに,そのキーを用いてエンジンをかけられるので,配達する人などが無断で車両を運転できてしまう。車両のエンジンの始動を禁止することにより,配達する人などが車両の持ち主に無断で車両を運転してしまうことなどを未然に防止できる。 上記解錠指示情報にもとづいてドアが開けられ,ドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいて車両のエンジンの始動を禁止する制御は,例えば,上記解錠指示情報にもとづいてドアが開けられたことが検出された後,ドアが閉じられたことが検出されたときに,車両のエンジンの始動を禁止するとよい。
車両のエンジンの始動を禁止した後,車両のエンジンの始動の許可は,車両の所有者が所持する端末からのエンジン始動許可信号の受信とするとよい。また例えば車両の所有者が定めた所定の操作がなされたことを検出した場合とするとよい。
(7)たとえば,配達する人が車両に近づいたことが検出されたことにもとづいて,所定の間,車両の外側または車室内の少なくとも一方を撮影する制御を行うとよい。
配達する人が車両に荷物を配達するときなどに誤って車両を傷つけてしまうことがある。車両の外側または車室内の少なくとも一方を撮影することにより,配達する人が車両を傷つけてしまった場合でも,その様子を把握できる。また,車両に傷がついていた場合に,配達する人によって傷つけられたのかどうかが分からない場合でも,撮影していることにより配達する人によって傷つけられたのかどうかを確認できる。車両にこうしたカメラを取り付け,そのカメラの映像を記録するようにしてもよいし,たとえば,車両にすでにあるカメラの信号を取得して記録するようにしてもよい。例えば車両にバック・カメラが取り付けられているときには,バック・カメラによって撮影すればよいし,車両に電子ミラーが取り付けられているときには電子ミラーのカメラによって撮影すればよいし,車両の回りを撮影する複数のカメラが取り付けられているときには,それらのカメラによって撮影するとよい。また,車内の天井に半球型のカメラを取り付けて撮影してもよいし,フロント・ガラス上部に運転席と助手席とを撮影するカメラを取り付け,車内後部に後部座席を撮影するカメラを取り付けて撮影してもよい。撮影した映像を記録媒体に記録してもよい。またカメラは,通常オフとして,この撮影のときにオンにする制御を行うとよい。例えば車両にバック・カメラが取り付けられているときには,バック・カメラをオンにして撮影すればよいし,車両に電子ミラーが取り付けられているときには電子ミラーのカメラをオンにして撮影すればよいし,車両の回りを撮影する複数のカメラが取り付けられているときには,それらのカメラをオンにして撮影するとよい。
(8)たとえば,配達する人が車両に近づいたことが検出されたことにもとづいて,車両が存在する周囲についてのセキュリティを解除状態とする解除情報を送信し,配達する人が車両から離れたことが検出されたことにもとづいて,車両が存在する周囲についてのセキュリティを警戒状態とする警戒情報を送信する制御を行うとよい。
車両が駐車されている位置の近傍に侵入者を発見するためのセキュリティが設定されている状態では,配達する人が車両に近づくと,そのセキュリティにより警報が発動してしまうことがある。配達する人が車両に近づくと,車両が存在する周囲についてのセキュリティを解除状態とする解除情報が送信されるので,配達する人が車両に近づいてもセキュリティにより警報が発動してしまうことが未然に防止される。配達する人が車両から離れると,車両が存在する周囲についてのセキュリティが警戒状態とされるので,不審者についての警備ができる。
たとえば,配達する人が車両に近づいたかどうかは,車載機によって行われるアドバタイジングに,配達する人の端末が応答することにもとづいて分かるとよい。たとえば,車両が存在する周囲は,車両に荷物を運ぶときに配達する人が通る経路が含まれるとよい。
車両が存在する周囲についてのセキュリティとしては,ホーム・セキュリティ・システムなどとするとよい。セキュリティを解除状態とする解除情報や両が存在する周囲についてのセキュリティを警戒状態とする警戒情報はホーム・セキュリティ・システムに対して送信するとよい。通常,WiFiのエリアに家と車が入ることから,例えばWiFi等を介して車載機はホーム・セキュリティ・システムと接続する構成とするとよい。
(9)たとえば,上記解錠指示情報にもとづいて車両のドアが開けられ,ドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいて,上記解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠を禁止する制御を行うとよい。
車両に荷物が配達された後に,同じ車両に荷物が配達されるときには,すでに車内に配達された荷物が置かれている状態となる。そのような状態で解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠されると,すでに車内に置かれている荷物が取り出されてしまう恐れがある。解錠指示情報にもとづいて車両のドアが開けられ,ドアが閉じられると,配達された荷物が車内に置かれていると見なされて,解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠が禁止される。後から来た配達する人による荷物の取り出しが未然に防止される。
上記解錠指示情報にもとづいて車両のドアが開けられ,ドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいて,上記解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠を禁止する制御は,例えば,上記解錠指示情報にもとづいてドアが開けられたことが検出された後,ドアが閉じられたことが検出されたときに,解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠を禁止する制御とするとよい。
(10)たとえば,配達された荷物が車内に置かれている状態で車両のエアコン(エアー・コンディショナ)を始動させるための制御を行うとよい。
エアコンが始動することにより車内は人間にとって快適な温度に保たれると考えられるので,夏に車内の温度が高くなりすぎたり,冬に車内の温度が低くなりすぎたりすることにより,車内に置かれた荷物(とくに,食料品や精密機器など)が悪影響を受けてしまうことが未然に防止される。配達された荷物が車内に置かれている状態かどうかは,車内を一定時間ごとにカメラなどにより撮影し,得られた撮影画像を比較して,撮影画像に変化があったかどうかにより判定してもよい。
車内に集荷される荷物が置かれており,配達人端末を用いて車両が開けられて荷物が集荷されるときにも,車内のエアコンを始動させる制御を行ってもよい。
配達された荷物が車内に置かれている状態で車両のエアコン(エアー・コンディショナ)を始動させるための制御は,特に配達された荷物が車内に置かれているときに車両のエアコン(エアー・コンディショナ)を始動させる制御とするとよい。車両のエアコン(エアー・コンディショナ)を始動させるための制御は,例えば車両のエアコンをオンにする制御とするとよい。エンジンを有する車両などでは,車両の駐車時にはエンジンをオフにしているから,エアコンも動作しない。そこで,車両のエアコン(エアー・コンディショナ)を始動させるための制御は,例えばエンジンを始動させる制御とするとよい。
配達された荷物が車内に置かれている状態か否かは,カメラ等で撮影した座席等の映像において荷物がない箇所について荷物がある状態へ変化等したこと等により判定してもよいが,特に上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠の後,車両のドアが閉じられたことが検出されたことにもとづいて行うとよい。
(11)たとえば,ユーザによる車両の解錠が検出されたことに応じて,車両のエアコンを停止させるための制御を行うとよい。
配達された荷物が車内から取り出された後もエアコンが動作していると無駄となってしまうが,ユーザによる車両の解錠が検出されると,ユーザによって荷物が取り出されたと見なされて,車両のエアコンが停止させられる。エアコンの無駄な動作を未然に防止できる。たとえば,ユーザが所有している電子キーからの解錠コードの送信を検出することにより,ユーザによる車両の解錠の検出と見做すとよい。
たとえば,配達された荷物の車両からの取り出しが検出されたことに応じてエアコンを停止させるとよい。たとえば,配達された荷物が車両から取り出されたかどうかは,車内の様子をカメラなどにより連続して撮影しておき,撮影画像の比較により判定するとよい。
車両のエアコンを停止させるための制御は,例えば車両のエアコンをオフにする制御とするとよい。またエンジンを有する車両などでは,例えば車両のエアコンを停止させるための制御はエンジンをオフにする制御とするとよい。
(12)配達された荷物が置かれている位置を検出し,検出された位置を報知する制御を行うとよい。
配達された荷物が,すぐにわかるような場所に置かれている場合は良いが,すぐにわかるような場所に置かれていない場合には,見つかりにくいことがある。配達された荷物が置かれている位置を検出し,検出された位置を報知するので,車内のどこに荷物があるかがすぐにわかる。たとえば,配達する人が車内においた荷物の置き場所,たとえば,運転席の上,助手席の上,後部シートの上などを配達する人が所持している端末によって設定可能とし,その端末から車載機に,配達した荷物の置き場所を示す情報が送信されるようにするとよい。たとえば,ユーザによって車両のドアが開けられると,車載機からユーザの端末に,荷物の置き場所を示す情報が送信され,ユーザの端末から荷物の置き場所が報知されるとよい。またも車内に集荷される荷物が置かれるときには,たとえば,集荷される荷物の置き場所,たとえば,運転席の上,助手席の上,後部シートの上などをユーザが所有している端末によって設定可能とし,その端末から車載機に,集荷される荷物の置き場所を示す情報が送信されるようにするとよい。たとえば,解錠指示情報が車載機に無線送信されると,車載機から配達する人の端末に,荷物の置き場所を示す情報が送信され,配達する人の端末から荷物の置き場所が報知されるとよい。
(13)たとえば,上記解錠指示情報にもとづいて車両のドアが開けられ,ドアが閉められたことが検出されたことにもとづいて,荷物の配達が完了したことをユーザに報知するための制御を行うとよい。
ユーザは,荷物が車両に配達されたことが分かるので,配達された荷物を取りに車両に行くことができる。荷物が車両に配達されたことが分かる,車両に置かれている荷物を集荷するときにも,上記解錠指示情報にもとづいて車両のドアが開けられ,ドアが閉められたことが検出されたことにもとづいて,荷物の集荷が完了したことをユーザに報知してもよい。車両に置いてあった荷物が集荷されたことが分かるので,車両を利用できるようになる。
荷物の配達が完了したことをユーザに報知するための制御は,例えばユーザがアクセス可能なサイトにユーザの端末からアクセスした際に配達が完了した旨の表示を行うための情報を送信するサーバ等(例えばWebサーバ等)としてもよいが,ユーザの端末に対していわゆるプッシュ通知をするための制御とするとよい。
(14)たとえば,上記報知する制御は,荷物の配達が完了したことを示す情報を,配達管理システムに送信する制御であり,配達管理システムが,荷物の配達が完了したことをユーザに報知するための制御を行うとよい。
このようにすれば,ユーザは荷物の配達が完了したことを知ることができる。
このように配達管理システムが,荷物の配達が完了したことをユーザに報知する制御を行ってもよいし,車載機が,荷物の配置が完了したことをユーザに報知する制御を行ってもよい。車両に置いてある荷物が集荷された場合にも,荷物の配達が完了したことを示す情報を配達管理システムに送信し,配達管理システムが,荷物の配達が完了したことをユーザに報知する制御を行ってもよい。
ユーザは,例えば配達される荷物の受取人などとするとよい。また,ユーザは,例えば荷物の宅配業者などとすると特によい。望ましくは,配達される荷物の受取人と荷物の宅配業者の双方とするとよい。
(15)たとえば,車内に所定期間の間,荷物が置かれていると判定されたことに応じて,ユーザにその旨を報知する制御を行うとよい。
ユーザは,車内に配達された荷物を取り忘れて,まだ車内に残っていることが分かるので,車内の荷物を取りに行くことができる。たとえば,所定期間は,荷物の配達予定時間帯から一定期間でもよい。たとえば,所定期間はユーザが車載機に設定できるようにしてもよい。たとえば,荷物が置かれているかどうかの判定は,一定時間ごとに車内を撮影し,得られた撮影画像を比較することにより行うことよい。また,車内に置かれている荷物を集荷するときにも,車内に所定期間の間,荷物が置かれていと判定されたことに応じて,ユーザにその旨を報知することにより,集荷漏れであることが分かるので,集荷の催促を行うことができる。
特に,車内に所定期間の間,荷物が置かれていると判定されたことに応じて,ユーザにその旨を報知する制御は,荷持そのものが置かれているか否かをカメラ等の映像にもとづき直接判定して行うようにしてもよいが,車内に所定期間の間,荷物が置かれていると判定されたことに応じて,ユーザにその旨を報知する制御は,上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠の後,車両のドアが閉じられたことが検出された後にユーザによって車両のドアが解錠されていない期間が所定期間経過したことをもって行うとよい。
(16)たとえば,車内に配達された荷物が置かれている状態で,ユーザが車両に近づいた,あるいは車両のドア・ロックをユーザが解錠したことに応じて,荷物が届いていることをユーザに報知する制御を行うとよい。
ユーザが車両に近づいたことに応じて,荷物が届いていることがユーザに報知されると,ユーザは車両の近くを通ったときに車両に荷物が届いていることを知ることができる。その通知を契機として,車両のドアを開け,配達された荷物を取り出すことができる。また,車内のドア・ロックをユーザが解錠したことに応じて,荷物が届いていることがユーザに報知されると,配達された荷物が車内にあることが分かるので,配達された荷物を車両から取り出すことができる。とくに,荷物が車内の分かりにくい場所に置かれていると,荷物の取り忘れが起こりやすいが,ユーザが車両に近づいたとき,あるいは車両のドア・ロックをユーザが解錠したときに,荷物が届いていることがユーザに報知されるので,荷物の取り忘れが防止される。たとえば,車載機がアドバタイジングを行い,ユーザが所持するユーザの端末が,そのアドバタイジングに応答すると,ユーザが車両に近づいたとするとよい。また,ユーザが所持する車両のキーを車両が認識し,そのようなキーによって車両のドア・ロックが解錠されると,車両のドア・ロックをユーザが解錠したとするとよい。
(17)たとえば,配達された荷物が車内に置かれている状態と,置かれていない状態とで,異なる態様で報知する制御を行うとよい。
異なる態様で報知されるので,ユーザは,その報知の態様を認識するだけで車両に配達された荷物が置かれていることが分かる。たとえば,車載機に複数種類の色を発光できるランプを設け,配達された荷物が車内に置かれている状態と置かれていない状態とでランプの色を変えるとよい。ランプの色を見るだけで,配達する荷物が車内にあるかどうかがわかる。車両に置かれている荷物を集荷するときにも同様に,集荷する荷物が車内に置かれている状態と,置かれていない状態とで異なる態様で報知する制御を行ってもよい。ランプの色を見るだけで集荷する荷物が車内にあるかどうかが分かる。
配達された荷物が車内に置かれている状態であるか否かは,カメラ等で撮影した座席等の映像に基づいて判定してもよいが,特に上記解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠の後,車両のドアが閉じられたことが検出された後にユーザによって車両のドアが解錠されていないことをもって行うとよい。
上記の報知は,車載機による制御にもとづいて,配達管理システムにおいて行われるようにしてもよい。
(18)たとえば,配達する人が車両に近づいたことにより,荷物を配達すべき車両であることを報知する制御を行うとよい。
配達する人は,荷物を配達すべき車両であることが分かるようになる。とくに,多くの車両が駐車されている駐車場などでは,荷物を配達すべき車両を見つけるのが難しいが,比較的簡単に車両を見つけやすくなる。たとえば,車載機がアドバタイジングを行い,配達する人が所持するユーザする人の端末が,そのアドバタイジングに応答すると,配達する人が車両に近づいたとするとよい。たとえば,配達する人の端末と車載機とが通信して,配達する人の端末に,荷物を配達すべき車両であることを送信するとよい。たとえば,単に,荷物を配達すべき車両にランプなどを設け,そのランプを点滅等させることによる報知制御してもよい。
集荷する荷物が置かれている車両についても,配達する人が車両に近づいたことにより,荷物を集荷すべき車両であることを報知する制御を行うとよい。車両を見つけやすくなる。
配達する人が車両に近づいたことにより,荷物を配達すべき車両であることを報知する制御は,例えば,配達する人が車両に近づいたことを検出している間,荷物を配達すべき車両であることを報知し,配達する人が車両に近づいたことを検出していない間は荷物を配達すべき車両であることを報知しない制御とするとよい。
配達する人が車両に近づいているか否かは,例えば,カメラの画像認識で配達人に固有の特徴を認識したか否かとしてもよいが,配達人端末が車載機との直接の無線通信範囲内に入っているか否かとするとよい。例えば,配達人端末と車載機が所定の情報を直接無線通信できるか否かとしてもよい。直接の無線通信範囲としては例えば数十メートル以内とするとよく,望ましくは数メートル以内とするとよい。
(19)たとえば,車両への荷物の配達と自宅への荷物の配達とのうち,車両への荷物の配達が指定されたことを示す情報に応じて,上記解錠指示情報にもとづく車両の解錠制御を行うとよい。
ユーザは,車両への荷物の配達を望まずに,自宅への荷物の配達を望むことがある。車両への荷物の配達を望むときに,車両への荷物の配達が行われるようにできる。同様に,車両での荷物の集荷が指定されたことを示す情報に応じて,上記解錠指示情報にもとづく車両の解錠制御を行ってもよい。車両での荷物の集荷を望むときに,車両での荷物の集荷が行われるようになる。
車両への荷物の配達と自宅への荷物の配達とのうち,車両への荷物の配達が指定されたことを示す情報に応じて,上記解錠指示情報にもとづく車両の解錠制御は,例えば,車両への荷物の配達が指定されたことを示す情報がある場合に,上記解錠指示情報にもとづく車両の解錠を行い,車両への荷物の配達が指定されたことを示す情報がない場合に,上記解錠指示情報にもとづく車両の解錠を行なわない制御とするとよい。
(20)上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠されたことに応じて,課金データを送信するとよい。
車両のドア・ロックが解錠されたことにより,車両への荷物の配達が行われたと考えられ,課金できるようになる。
上記解錠指情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠されたことに応じて,課金データを送信する構成としては,例えば,上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠されたとき課金データを送信するようにしてもよいが,上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックが解錠された後,ドア・ロックが施錠されたときに課金データを送信するようにするとよい。
また,配達予定時間帯に車両が解錠されなかったことに応じて,課金データを送信するとよい。配達予定時間帯に車両が解錠されないと,荷物の配達が遅延していると考えられ,課金できるようになる。
(21)たとえば,受取人の車両以外の車両に搭載される車載機であって,配達予定時間帯が経過したことに応じて車両のドア・ロックを解錠する制御を行うとよい。
受取人の荷物を受取人の車両以外の車両に配達することが考えられる。受取人以外の車両を,受取人のために荷物を置く車両として一時的に利用させる形態である。このような形態において,配達予定時間帯を過ぎても受取人が荷物を引き取りに来ないと,車両を利用できなくなってしまう。配達予定時間帯が経過したことに応じて,車両のドア・ロックを解錠することにより荷物を取り出し,荷物を他の車両に移動させることができるようになる。受取人の車両以外の車両に搭載される車載器かどうかについては,例えば,車載器に設定スイッチを設け,その設定スイッチが設定されたことにもとづいて,受取人の車両以外の車両に搭載される車載器と判定することができる。
(22)たとえば,車両への配達予定時間帯と自宅への配達予定時間帯とが異なっており,車両への配達予定時間帯に上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠するとよい。
車両への配達予定時間帯と自宅への配達予定時間帯とが異なっていると,車両への配達予定時間帯に解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠できる。車両への配達予定時間帯が自宅への配達予定時間帯よりも遅くされている,あるいは早くされていると,遅い時間,または早い時間でも荷物の配達ができるようになる。
車両への配達予定時間帯と自宅への配達予定時間帯とが異なっており,車両への配達予定時間帯に上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠する構成としては,例えば,車両への配達予定時間帯と自宅への配達予定時間帯を別々に設定できる宅配システムにおいて利用可能な車載機とするとよく,配達人端末には時間帯別に配達先が自宅であるか車両であるかを報知できる機能を備えるとよく,車載機は車両への配達予定時間帯の情報を取得する機能を備え,現在の時刻が車両への配達予定時間帯にある場合に上記解錠指示情報にもとづいて車両のドア・ロックを解錠する構成とするとよい。
(23)車両への優先配達または自宅への優先配達が設定可能な状態において,車両への優先配達が設定されていることに応じて,上記解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠の制御を行うとよい。
車両への優先配達が設定されていることに応じて,配達人端末から無線送信される解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠ができるようになる。自宅への優先配達が設定されていると,解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロックの解錠ができないように制御するとよい。このようにすれば,自宅への優先配達が設定されているときに,配達する人が誤って車両のドア・ロックを解錠してしまうことが未然に防止できる。
(24)たとえば,受取人による車両のドア・ロック解錠指示にもとづいて,荷物の受け取り完了を報知するための制御を行うとよい。
このようにすれば受取人による車両のドア・ロック解錠指示があったことにもとづいて荷物の受け取り完了の報知を受けることができる。
たとえば,ユーザによる車両のドア・ロック解錠指示にもとづいて,荷物の受け取り完了情報を配達管理システムに送信する制御を行うとよい。このようにすれば,配達管理システムは,ユーザが荷物を受け取ったことを認識できる。
(25)たとえば,上記(1)から(24)のうち,いずれか一項に記載の車載機,および上記解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロック解錠を許可する制御を行うリモート・コントローラを備えた車載機セットとするとよい。
リモート・コントローラを利用するだけで,配達人端末から無線送信される解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロック解錠を許可する制御を行うことができる。たとえば,リモート・コントローラにボタンを設け,そのボタンを押すだけで,解錠指示情報にもとづく車両のドア・ロック解錠を許可する制御としてもよい。
(26)たとえば,リモート・コントローラが,配達された荷物が車内に置かれている状態と置かれていない状態とで,異なる態様で報知する制御を行うとよい。
受取人は,リモート・コントローラにおける報知される態様を確認するだけで,配達された荷物が車内に置かれているかが分かる。
(27)たとえば,リモート・コントローラが,配達された荷物が車内に置かれている状態において,リモート・コントローラを所持した受取人が車両に近づいたことにより,配達された荷物が車両に置かれていることを報知する制御を行うとよい。
受取人が車両に近づくと,配達された荷物が車内に置かれていることを,リモート・コントローラが報知する制御を行うので,ユーザは,その報知により,車内を確認することなく配達された荷物が車両に置かれていることが分かる。たとえば,配達された荷物が車内に置かれているかどうかは,一定時間ごとに車内を撮影し,得られた撮影画像を比較することにより判定するとよい。たとえば,解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠前には無かった物品が,解錠指示情報にもとづくドア・ロックの解錠後に撮影画像に写っていると,配達された荷物が車内に置かれていることに基づいて判定するとよい。たとえば,ユーザが車両に近づいたかどうかは,車載機によって送信された電波をリモート・コントローラが受信したか否かに基づいて判定するとよい。
(28)たとえば,リモート・コントローラが,車載機に車両のドア・ロックを解錠させる制御情報を送信するとよい。
リモート・コントローラを利用して車両のドア・ロックが解錠できるようになる。とくに,リモート・コントローラが,配達された荷物が車両に置かれていることを報知する制御を行うと,その報知にもとづいてユーザがリモート・コントローラを利用して車両のドア・ロックを解錠できるので,リモート・コントローラのみで,荷物が車両に置かれていることをユーザは分かり,荷物が車両に置かれていることが分かると,リモート・コントローラを利用して車両のドア・ロックを解錠でき,1つのリモート・コントローラだけで荷物の存在の報知およびドア・ロックの解錠を実現できる。
特に,リモート・コントローラが,車載機に車両のドア・ロックを解錠させる制御情報は,上記解錠指示情報に基づくこれまでに述べた制御とは,別の制御とするとよく,上記解錠指示情報に基づく制御とは異なる制御とするとよい。特に,上記解錠指示情報に基づく制御において,解錠をしないよう制御する場合であっても,上記制御情報に基づく解錠は行うように制御するとよい。
(29)たとえば,上記(1)から(28)のうち,いずれか一項に記載の車載機,および配達する人が所持する端末である配達人端末を備えた解錠システムとするとよい。
配達人端末から解錠指示情報を無線送信することにより,車載機によって車両のドア・ロックを解錠させることができる。
(30)上記車載機は,車両の駐車位置の要求情報を受信したことに応じて車両の駐車位置情報を送信し,上記配達人端末は,上記車載機から送信される車両の駐車位置情報にもとづいて,車両の駐車位置または車両が所定の駐車位置に存在しないことの少なくとも一方を報知する制御を行うとよい。
配達人端末が車両の駐車位置を報知する制御を行うと,配達する人はその駐車位置に移動すれば,荷物を配達する車両が駐車していることが分かるから,車両を探す手間が省けて早く車両にたどり着くことができる。また,配達人端末が,車両が所定の駐車位置に存在しないことを報知する制御を行うと,配達する人は所定の駐車位置に行っても車両が駐車されていないことが分かるので,ユーザに車両の駐車位置を確認することにより,比較的早く車両にたどり着くことができる。
たとえば,車載機は,車配達管理システムから送信される,車両の駐車位置の問い合わせデータに応じて車両の現在の駐車位置情報を取得して配達管理システムに送信する制御を行い,配達人端末は,配達管理システムから送信される車両の駐車位置情報を受信したことにもとづいて車両の駐車位置を報知する,あるいは所定の駐車位置に存在しないことを報知するとよい。現在の駐車位置情報を取得はGPS(グローバル・ポジショニング・システム)等によって行うようにしてもよいし,屋内測位技術などその他の手段で取得するようにしてもよい。
(31)たとえば,上記配達人端末は,配達する荷物の車両内の配置位置情報を受信し,荷物の配置位置を報知する制御を行うとよい。
車内に荷物が置いてあっても,どこに置いてあるかわかりにくいことがある。荷物の車内の配置位置が報知されるので,配達する人は,車内のどこに荷物があるか比較的早く分かる。
(32)上記(1)から(31)のうち,いずれかに記載の車載機とECサーバとを備えたシステムであって,ECサーバは,車両への荷物の配達か,自宅への荷物の配達かの設定のうち,車両への荷物の配達が設定されたことに応じて,配達管理システムに車両への荷物の配達が設定されたことを示す情報を送信するシステムとするとよい。
車両への荷物の配達が設定されたことを認識できるので,配達管理システムによって配達する人の端末に,車両への荷物の配達が設定されたことを示す情報を送信することができる。配達する人は,配達する人の端末を用いて車両への荷物の配達を行えばよいことが分かる。
(33)たとえば,ECサーバは,車両への荷物の配達が設定されたことに応じて,課金の割引の制御または車に関する商品を荷物に同梱させる制御の少なくとも一方の制御を行うとよい。
課金の割引制御が行われることにより,自宅への荷物の配達に比べて配達が比較的に簡単な車両への荷物の配達が行われ易くなる。車両への荷物の配達が行われることにより,配達する人は配達が比較的容易となる。車に関する商品を同梱する制御が行われることにより,荷物と一緒に車に関する商品を車両に配達できる。とくに,車両に荷物を配達させるユーザは,比較的車に興味があると考えられるので,車に関する商品を荷物と一緒に配達することにより,車に関する商品の売り上げアップにもつながる。車に関する商品は,たとえば,車に関するノベルティ,車に関するチラシとするとよい。
(34)たとえば,ECサーバは,配達人端末からの解錠指示情報にもとづいて荷物の配達が完了したことを記録するとよい。
ECサーバは,荷物の配達が完了したことを認識できる。
(35)たとえば,車載機が,配達する人が所持する端末である配達人端末から無線送信された解錠指示情報を受信して車両のドア・ロックを解錠するように車載機を制御する方法としてもよい。
配達する人は,車両のドア・ロックを解錠できるので,配達する人は,車両に荷物を配達できる。配達する人は,例えば,荷物を受取人等の家等に配達しなくても単に受取人等の車を解錠し荷物を入れるだけでよくなる。例えば届け先の家等に不在であっても単に車に荷物を届けるだけでよい。荷物の再配達の手間を軽減できる。配達する人は,車両のドア・ロックを解錠できるので,配達する人は,車両に荷物を配達できる。配達する人は荷物の再配達が軽減される。また,配達人端末が荷物を集荷する人が持つことにより,車両内に集荷する荷物が置かれているときに車両のドア・ロックを解錠して荷物を集荷できる。配達する人は,荷物の再配達,再集荷の手間が無くなる。
上述した記載中の構成要素は組み合わせに阻害要因がある構成を除き任意に組み合わせることができる。例えば(1)から(35)の発明は,任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部を備えずに他の(2)から(35)の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に,(1)の構成を備えて,(2)から(35)の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また(1)から(35)の任意の構成要素を抽出し,組み合わせても良い。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
例えば荷物等の配達等を従来よりも容易とすることができる。
[1.配送システム]
図1は,発明の実施例を示すもので,配送システムの全体構成を示している。
この実施例による配送システムは,配達員が自動車の車内に荷物を配達できるようにするものである。詳しくは後述するように,配達員がもつ配達員端末を利用してユーザの自動車のドア・ロックを解錠し,ドアを開けることができる。配達員が自動車のドアを開け,自動車の中に荷物を配達する。
図1に示すように,配送システムには,EC(電子商取引)システム(ECサーバの一例である。) S1,ユーザ端末群Tug,車配達管理システム (配達管理システムの一例である) S2,宅配システム群Sg,配達員端末群Tdgおよびユーザ車載機群Vmgが含まれている。ECシステムS1には,m個の複数のECサイトが含まれており,たとえば,サーバにより構成されている。ユーザ端末群Tugには,n個の複数のユーザ端末が含まれている。ユーザ端末は,この実施例による配送システムを利用して荷物を受け取る,あるいは荷物を渡すユーザが利用する端末である。ユーザ端末は,たとえばスマートフォン,フューチャーフォン,タブレット端末,パーソナル・コンピュータなどである。車配達管理システムS2も,たとえば,サーバにより構成されている。宅配システム群Sgには,p個の複数の宅配システムが含まれている。p個の複数の宅配システムのそれぞれもサーバにより構成されている。宅配会社ごとに宅配システムがある。配達員端末群Tdgには,q個の複数の配達員端末が含まれている。配達員端末は,配達業者がもつ専用端末でもよいし,アプリケーションがインストールされたスマートフォン,タブレット端末などでもよい。ユーザ車載機群Vmgには,r個の複数のユーザ車載機が含まれている。複数のユーザ車載機のそれぞれは,自動車にもともと設置されているものではなく,後述するように自動車の購入後に改めて自動車に設置するものである。
ECシステムS1,ユーザ端末群Tugに含まれるn個のユーザ端末のそれぞれ,車配達管理システムS2,宅配システム群Sgに含まれるp個の宅配システムのそれぞれ,配達員端末群Tdgに含まれるq個の配達員端末のそれぞれ,ユーザ車載機群Vmgに含まれるr個のユーザ車載機のそれぞれは,いずれもインターネットに接続可能であり,互いに通信可能である。
図2は,通信システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図2に示す通信システム1は,自動車の制御を行うものであり,工場から出荷される自動車にすでに設けられており,自動車の一部を構成するものである。
通信システム1には,CAN(Controller Area Network)2が含まれている。CAN2に,エンジンECU(engine control unit)3,トランスミッションECU4,ボディECU5,ゲートウェイECU6を接続している。エンジンECU3は,エンジン系の制御を行うもので,エンジン・スタータ,スロットル・センサ,エンジン回転数センサ,水温センサなどのセンサ,装置類(いずれも図示略)を接続している。トランスミッションECU4は,トランスミッション系の制御を行うもので,シフト・レバーの位置を検出するシフト・ポジション検出センサ7などの装置を接続している。ボディECU5は,いわゆるボディ系の制御を行うものである。ボディECU5には,自動車のドア・ロックの施錠および解錠を制御するドア・ロック制御装置8,ハザード・ランプの点灯を制御するハザード点灯制御装置9のほか,エアー・コンディショナ,カー・セキュリティ,自動車のドアが開かれたことを検出する検出装置,自動車のドアが閉じられたことを検出する検出装置などの装置(図示略)を接続している。ゲートウェイECU6は,通信ネットワーク間を仲立ちし,信号のやりとりを整理する制御を行うもので,一方にCAN2を他方に故障診断機をCAN接続するための車室内にもうけた故障診断コネクタ11に接続している。図2においては,CAN2に,エンジンECU3,トランスミッションECU4,ボディECU5およびゲートウェイECU6を接続しているが,バッテリィECUなどのその他のECUも接続してこれらのECUにより車両が動作している。
自動車に附属されている純正携帯機10(純正キー)は,解錠指示信号または施錠指示信号を送信し,その解錠指示信号または施錠指示信号は,ボディECU5が受信する。解錠指示信号を受信したボディECU5は,ドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8は自動車のドア・ロックを解錠する。施錠指示信号を受信したボディECU5は,ドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8は自動車のドア・ロックを施錠する。
これらのECU3から6などは,それぞれに接続している装置類を動作させるとともに,接続している装置類から取得した情報にもとづいて生成した信号をCAN2に出力する。したがって,シフト・ポジション検出センサから出力される検出信号,ドア・ロック制御装置8から出力されるドアの施錠指示信号およびドアの解錠指示信号,ハザード点灯制御装置9から出力されるハザード点灯制御信号などは,すべてCAN2を通り,CAN2からそれぞれの情報を取得できる。また,エンジンの状態(始動中か,動作中かなど)を示す信号,エア・コンディショナの状態を示す信号,カー・セキュリティの状態などもCAN2を通り,CAN2からそれぞれの情報を取得できる。
通信システム1は,ダッシュボードの内部やボンネットの内部などのように,車両の外観にも車内にも表れない部分の空間に設置されている。
図3は,通信システム1とユーザ車載機Vmとの電気的構成を示すブロック図である。
上述したように,通信システム1は,工場出荷時にすでに自動車に設けられているものであるが,ユーザ車載機Vmは,出荷された自動車に,自動車用品販売店などにより後から設置するものである。ユーザ車載機Vmは,図1に示したユーザ車載機群Vmgの中の一つである。
ユーザ車載機Vmは,ジャンクション・ユニット20を含んでいる。ジャンクション・ユニット20は,マイコン(マイクロ・コンピュータ)21,メモリ22,LTE(Long Term Evolution)回路23,ブルートゥース回路24,無線LAN(Local Area Network)回路25,通信回路26などを含んでいる。ジャンクション・ユニット20の以下に述べる各種の機能は以下に述べる各部に接続されたマイコン21のフラッシュメモリに記憶されたプログラムをマイコン21のCPUが実行して各部を制御することにより実現している。LTE回路23によりジャンクション・ユニット20は携帯電話通信基地局と無線通信することで携帯電話通信網を介してほぼ全国どこでもインターネットと接続できる。また,ブルートゥース回路24は車両を中心として概ね半径10m程度の通信エリアをもち配達員端末51(配達する人が所持する配達人端末の一例である。) に備えるブルートゥース回路がこの通信エリアに入っているとき両者が通信できる。通信回路26は420MHz帯の特定小電力無線通信回路であり,同様の無線通信回路を備えるユーザ・リモート・コントローラ52と,半径約300mの範囲で通信ができる。カー用品店などにおいて,ジャンクション・ユニット20は,工場出荷時にすでに自動車に設けられている通信システム1に含まれるCAN2と接続する。また,ジャンクション・ユニット20は,イーサネット用のコネクタ27を備え,イーサネット29に接続するコネクタ28と接続することにより,イーサネット29にも接続する。
イーサネット29は,表示装置31および第1のカメラ41から第5のカメラ45を接続している。(実際はハブを介して接続しているが図示は省略している)
詳しくは後述するように(図4参照),第1のカメラ41,第2のカメラ42,第3のカメラ43および第4のカメラ44は,自動車の車外に取り付けられており,自動車の周囲を撮影する。第5のカメラ45は,自動車の車内に取り付けられており,自動車の車内を撮影する。いずれのカメラも広角カメラとするとよいが,特に全天周カメラとするとよい。
表示装置31は,以下に述べる各部に接続されたマイコン21等を内蔵するSoCを有する制御回路等を備えるAndroid端末である。表示装置31の以下に述べる機能は制御回路のフラッシュメモリに記憶されたプログラムをマイコン21のCPUが実行して各部を制御することにより実現している。表示装置31は表示画面32を有しており,第1のカメラ41から第5のカメラ45が撮影した画像を表示画面32に表示する。また,表示装置31は,メモリ・カード33を装填し,表示装置31に内蔵のメモリ・カード・リーダ・ライタ(図示略)を介して,第1のカメラ41から第5のカメラ45が撮影した画像を表す情報,ジャンクション・ユニット20から記録の指示があった情報,イーサネット29を通る情報をメモリ・カード33に記録する。表示装置31は,第1のカメラ41から第5のカメラ45が撮影した画像を単に表示するだけでなく,それらの画像を合成して表示したり,撮影画像以外のキャラクタ,アイコンなどを,撮影画像に合成して表示したりする機能も有する。表示画面32にはタッチ・パネルを設置しており,そのタッチ・パネルを用いて表示装置31にコマンドを入力する。さらに,表示装置31は,赤色を発光する赤色LED34,緑色を発光する緑色LED35,青色を発光する青色LED36および黄色を発光する黄色LED37を設けている。
ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20は,通信システム1に含まれるCAN2に接続するから,CAN2に流れる,自動車についてのすべての情報を取得できる。
図4は,自動車の平面図である。
図4の上部側が自動車60の正面に相当し,図4の下部側が自動車60の後部に相当する。図4の左側が自動車60の左側に相当し,図4の右側が自動車60の右側に相当する。自動車60の正面のほぼ中央に第1のカメラ41を固定し,平面から見て自動車60の左側面のやや前方に第2のカメラ42を固定し,平面から見て自動車60の右側面のやや前方の第3のカメラ43を固定し,自動車60の後面のほぼ中央に第4のカメラ44を固定している。自動車60の車外に第1のカメラ41から第4のカメラ44を固定している。また,自動車60の車内の天井のほぼ中央に第5のカメラ45を固定している。
第1のカメラ41は,自動車60の前方を撮影し,第2のカメラ42は,平面から見て自動車60の左側面の方向を撮影し,第3のカメラ43は,平面から見て自動車60の右側面の方向を撮影し,第4のカメラ44は,自動車60の後方を撮影する。第1のカメラ41から第4のカメラ44は,自動車60の周囲を撮影する。第5のカメラ45は,自動車60の車内を撮影する。第1のカメラ41から第4のカメラ44は,自動車60の車外に固定されているが,自動車60の前方,自動車60の左側面および右側面ならびに自動車の後方を撮影できれば,自動車60の車内に固定されていてもよい。また,第5のカメラ45は,自動車60の車内に固定されているが,車内を撮影できれば,自動車60の車外に固定されていてもよい。
図5から図9は,状態遷移図であり,状態はユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20及び表示装置30のそれぞれのマイコンが保持しており,状態を遷移する際には両マイコン間で通信を行い両マイコンで保持する状態を同期させている。
図5は,ユーザ車載機の登録状態についての状態遷移図である。
車配達管理システムS2にユーザ車載機が未登録の状態であれば,車配達管理システムS2への登録要求が行ない,車配達管理システムS2にユーザ車載機を登録する。ジャンクション・ユニット20のメモリ22が,ユーザ車載機IDおよびユーザ車載機パスワードを記憶していれば,車配達管理システムS2にユーザ車載機が登録済みとなり,メモリ22が,ユーザ車載機IDおよびユーザ車載機パスワードを記憶していなければ,車配達管理システムS2にユーザ車載機が未登録となる。
ユーザ車載機IDおよびユーザ車載機パスワードは,詳しくは後述するように,ユーザ車載機のマニュアルに記載されており,そのマニュアルからユーザ車載機IDおよびパスワードが読み取られて,ジャンクション・ユニット20のメモリ22に記憶させられる。
図6は,ユーザ車載機VmのLED34から37についての状態遷移図である。
ジャンクション・ユニット20等,上述のすべての部位は,自動車60に搭載されている自動車用バッテリィ(図示略)に接続され電源供給をうけており,ジャンクション・ユニット20のレベルを自動車用バッテリィの電圧レベル(以下バッテリィ・レベルという)を検出しており,バッテリィ・レベルが所定のレベル以上であれば,ユーザ車載機Vmの表示装置31に形成されているLED34から37を制御する稼働状態とし,バッテリィ・レベルが所定のレベル未満であれば,ユーザ車載機Vmの表示装置31に形成されているLED34から37はオフのまま制御は停止状態とする。
なお,バッテリィ・レベルの所定のレベルとしては,例えばエンジンが数回分始動可能なレベルとするとよい。
バッテリィ・レベルが所定のレベル以上の状態において,ユーザ車載機Vmが車配達管理システムS2に未登録であれば,ジャンクション・ユニット20は赤色LED34を点灯させる。ユーザ車載機Vmが車配達管理システムS2に登録されていると,ジャンクション・ユニット20は赤色LED34を消灯させて緑色LED35を点灯させる。たとえば,後述のように,自動車60での荷物受取設定(自動車60への荷物の配達の設定)が行われていると,緑色LED35を消灯させて青色LED36を点灯させる。自動車に配達された荷物をユーザが受け取ると,青色LED36を消灯させて黄色LED37を点灯させる。ユーザが配達された荷物を受け取り,ユーザ車載機Vmに解除設定を与えると黄色LED37を消灯させて緑色LED35を点灯させる。
赤色LED34,緑色LED35,青色LED36または黄色LED37のうち,点灯しているLEDを見るだけでユーザ車載機Vmが車配達管理システムS2に登録されているか,荷物の受取設定が行われているか,自動車60に荷物が配達されているか,荷物を受け取ったかどうかを確認できるようになる。色は同じでLEDの点灯位置が異なる構成としてもよいし,1つのLEDで色が異なる発光をさせる構成としてもよいが,本実施例のように,色と位置との双方が異なる構成とすることで,車両から離れたところからでもLEDの光が視認できる範囲であれば,より確実に,ユーザ車載機Vmが車配達管理システムS2に登録されているか,荷物の受取設定が行われているか,自動車60に荷物が配達されているか,荷物を受け取ったかどうかを確認できるようになる。
図7は,カー・セキュリティについての状態遷移図である。
自動車用バッテリィのレベルが所定以上であればカー・セキュリティは稼働し,自動車用バッテリィのレベルが所定未満であればカー・セキュリティは停止する。
バッテリィのレベルが所定以上の状態において,カー・セキュリティがディスアーム状態にあり,自動車のユーザが所有しているカー・セキュリティ用のリモート・コントローラからボディECU5にセキュリティ・セットの指示情報を与えると,ボディECU5は,カー・セキュリティをアーム状態とする。カー・セキュリティがアーム状態にあり,自動車のユーザが所有しているカー・セキュリティ用のリモート・コントローラからボディECU5にセキュリティ解除指示情報を与えると,ボディECU5は,カー・セキュリティをディスアーム状態とする。配達員端末51からの解錠指示信号(解錠指示情報の一例である。) をジャンクション・ユニット20に与えると,ジャンクション・ユニット20はカー・セキュリティをディスアーム状態とする制御信号をCAN2に出力する。カー・セキュリティは,配達用ディスアーム状態となる。カー・セキュリティが配達用ディスアーム状態とされている状態で,自動車60のドアが開けられ,かつ自動車のドアが閉じられたことが検出されてから一定時間,たとえば,5秒が経過すると,ジャンクション・ユニット20はカー・セキュリティをアーム状態とする制御信号をCAN2に出力する。カー・セキュリティはアーム状態となる。
配達員端末51からの解錠指示信号にもとづいて自動車60のドア・ロックが解錠されるときには,カー・セキュリティをディスアーム状態(配達用ディスアーム状態)とするので,配達員が自動車60のドアを開けてもカー・セキュリティによる警報の発生が防止される。
図8は,ドア・ロックについての状態遷移図である。
自動車60のドア・ロックが施錠状態のときにおいて,ユーザが所有する純正携帯機10から送信される純正キー解錠指示信号をボディECU5が受信するとボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,自動車のドア・ロックを解錠する。また,ユーザ・リモート・コントローラ52から送信される解錠指示信号をジャンクション・ユニット20が受信すると(ジャンクション・ユニット20に含まれる通信回路26が解錠指示信号を受信すると,リモート・コントローラ52から送信された解錠指示信号と判断できる。後述の施錠指示信号についても同様である),ジャンクション・ユニット20はCAN2に解錠指示信号を出力する。この信号を受信したボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,自動車のドア・ロックを解錠する。
ユーザ解錠状態(ユーザが所有する純正携帯機10またはユーザ・リモート・コントローラ52から送信される解錠信号にもとづいて自動車のドア・ロックが解錠されている状態)において,純正携帯機10から送信される純正キー施錠指示信号をボディECU5が受信すると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,自動車60のドア・ロックを施錠する。また,ユーザ解錠状態において,ユーザ・リモート・コントローラ52から送信されるドア・ロック施錠指示信号をジャンクション・ユニット20が受信すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2に施錠指示信号を出力し,この信号を受信したボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し自動車のドア・ロックを施錠する。
施錠状態において,配達員端末51が備えるブルートゥース回路から送信される解錠指示信号をジャンクション・ユニット20が受信すると(ジャンクション・ユニット20に含まれるブルートゥース回路24が解錠指示信号を受信すると配達員端末51から送信される解錠指示信号と判断する),ジャンクション・ユニット20はCAN2に施錠指示信号を出力する。この信号を受信したボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し自動車60のドア・ロックを解錠し,配達員解錠状態となる。配達員解錠状態において,自動車60のドアが開けられたことをドア・ロック制御装置8が検出しその検出結果を受け取ったボディECU5がCAN2に出力したドア・ロック解錠信号をジャンクション・ユニット20が取得し,自動車のドアが閉じられたことが検出されると,自動車60のドア・ロックについては施錠状態となる。
図9は,エンジン・スタータについての状態遷移図である。
自動車用のバッテリィのレベルが所定以上であればエンジン・スタータは稼働し,バッテリィのレベルが所定未満であればエンジン・スタータは停止する。
エンジン・スタータが稼働状態であり,かつユーザ操作によるエンジン停止状態において,ユーザ・リモート・コントローラ52から送信されるエンジン始動信号をジャンクション・ユニット20が受信すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエンジン始動信号を出力する。エンジンECU3はエンジン・スタータを制御する。エンジン・スタータはエンジンを始動し,エンジン始動が完了するとエンジン動作状態となる。
エンジン動作状態において,ユーザ・リモート・コントローラ52からのエンジン停止信号をジャンクション・ユニット20の通信回路26が受信すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエンジン停止信号を出力する。ユーザ操作によるエンジン停止状態となる。エンジン動作状態において,配達員端末51からの解錠指示信号をジャンクション・ユニット20のブルートゥース回路24が受信すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエンジン停止信号を出力する。配達のためのエンジン停止状態となる。配達のためのエンジン停止状態において,CAN2に送出されたボディECU5からの信号によって,自動車60のドアが開けられ,自動車60のドアが閉じられたことを検出してから一定時間,たとえば,30秒が経過すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエンジン始動信号を出力する。エンジンが始動する。エンジン動作中に配達員によりドアが開けられてもエンジンは停止するので,配達員が自動車60を運転してしまうことが未然に防止される。
[2.配送システムのシーケンス]
図10から図21は,主として配送システムのシーケンス図を示している。
この実施例は,ユーザがECシステムS1にアクセスして,インターネットを介して物品を購入し,購入した物品を配達員に配達してもらう例である。
図10は,車配達管理システムS2に車載機IDおよび車載機パスワードならびにユーザ情報が未登録の場合(工場出荷時の図5,図6に示した車配達管理システム未登録の状態)に行われる処理手順を示すシーケンス図を示している。
図10に示す処理は,ユーザがユーザ車載機Vmを車両に導入したとき,ユーザごとに行う。
ユーザ車載機Vmのマニュアルには,車配達管理システムS2のURLと,そのユーザ車載機Vmの車載機ID,車載機パスワードおよびユーザ車載機Vm(ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20のLTE回路23)にインターネットを介してアクセスするための車載機IPアドレスが記載されている。ユーザ車載機Vmは工場出荷時にこの記載された車載機ID,車載機パスワード,IPアドレスが記憶されており,このIPアドレスを含むインターネットアクセスに必要な各種の情報が設定されている。自動車60にユーザ車載機Vmを設置したユーザは,そのユーザ車載機Vmのマニュアルに記載の車配達管理システムS2のURLに,ユーザが所有するユーザ端末(スマートフォン,タブレット端末,パーソナル・コンピュータなど)Tu(ユーザ端末Tuは,図1に示したユーザ端末群Tugのうちのいずれかの端末である。)のブラウザ等によってアクセスする。車配達管理システムS2は車配達管理システムS2の登録済みのユーザのためのユーザIDおよびユーザ・パスワードの入力フォームとこれらの送信ボタン,車配達管理システムS2に未登録のユーザのための新規登録のリンクを有する情報を,そのユーザ端末Tuに送信し,ユーザ端末Tuには車配達管理システムS2の登録済みのユーザのためのユーザIDおよびユーザ・パスワードの入力フォームとこれらの送信ボタン,車配達管理システムS2に未登録のユーザのための新規登録のページへのリンクを有するページが表示される。車配達管理システムS2に未登録のユーザは新規登録のリンクを押すと,そのリンク先の新規登録のページを表示する。新規登録のページには,車載機ID,車載機パスワードおよび車載機IPアドレスならびに希望する車配達管理システムのユーザIDおよびユーザ・パスワードならびに住所,氏名,電話番号,クレジット・カード情報および車識別情報(車識別情報は,自動車をユーザが識別するためにユーザが自分の自動車に付ける情報であり,特に複数の自動車をユーザが所有している場合に,所有している自動車をユーザが区別できるようにするものである。例えば,青色の車,赤色の車というように,自動車のニックネームと捉えることができる。)を入力するフォームがある。ユーザが所有するユーザ端末Tuにこれらの項目を入力してフォームの下側にある送信ボタンを押すと入力されたこれらの情報が車配達管理システムS2に送信されるすなわちユーザ端末Tuは,インターネットを介して車配達管理システムS2にアクセスして,入力された車載機ID,車載機パスワードおよび車載機IPアドレス,車配達管理システムのユーザIDおよびユーザ・パスワードならびに住所,氏名,電話番号,クレジット・カード情報および車識別情報をそれぞれ示す情報(以下「車載機IDなど」とも称する)を車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2は,受信した車載機IDなどのうち車配達管理システムのユーザIDがすでに登録されているものである場合には,その旨と,違うユーザIDの入力を促す情報をユーザ端末Tuに送信する。受信した車載機IDなどのうち車配達管理システムのユーザIDがまだ登録されていないものである場合には,ユーザ端末Tuから送信された車載機IDなどの情報を受信すると,受信した情報に含まれる車載機IPアドレスが割り振られているユーザ車載機Vmにアクセスする。車配達管理システムS2はユーザ車載機Vmに,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20のメモリ22に記憶されている車載機IDおよび車載機パスワードの送信要求コマンドを送信する。ユーザ車載機Vmが送信要求コマンドを受信すると,メモリ22に記憶されている車載機IDおよび車載機パスワードを読み取る。ユーザ車載機Vmは,読み取った車載機IDおよび車載機パスワードをそれぞれ示すデータを車配達管理システムS2に送信する。ユーザ端末Tuから送信されたデータによって表される車載機IDおよび車載機パスワードと,ユーザ車載機Vmから送信されたデータによって表される車載機IDおよび車載機パスワードと,が一致するかどうかを車配達管理システムS2が判定する。一致すると,ユーザ端末Tuから送信されたデータによって表される車載機IDなどの情報を,車配達管理システムS2は,車配達管理システムS2のメモリに記憶されている車配達管理システム管理テーブルに格納する。一致しない場合には,エラーが有る旨の表示と前記フォームを備えたページの情報をユーザ端末Tuへ送信する。
なお車配達管理システムS2に登録済みのユーザは,そのユーザIDおよびユーザ・パスワードの入力フォームに自己のユーザIDおよびユーザ・パスワードを入力して送信ボタンを押す。車配達管理システムS2はユーザ端末Tuからのこれらの情報を受信し,図11のテーブルにそのユーザIDおよびユーザ・パスワードが存在する組み合わせのカラムを1つ抽出し,車識別情報と車載機パスワードと車載機IPアドレスの3つの情報以外の項目の情報を,上述した新規登録の場合のフォームに入れたページを表示するための情報を生成してユーザ端末Tuへ送信する。ユーザ端末Tuでは上述した新規登録の場合のフォームにすでに登録済みの車識別情報と車載機パスワードと車載機IPアドレスの3つの情報以外の項目の情報が入力されている状態で表示されるので,車識別情報と車載機パスワードと車載機IPアドレスとの3つの情報を入力して車載機を追加登録する処理を上述の新規登録の場合と同様に行う。
図11は,車配達管理システム管理テーブルの一例である。
この管理テーブルは,ユーザごとに一つのカラムが利用されており,複数のユーザについての情報が管理テーブルに格納されている。一人のユーザが複数の自動車を所有しており,かつ複数の自動車のそれぞれにユーザ車載機が設置されている場合には,ユーザごとに,かつ自動車ごとに(自動車識別名称ごとに),一つのカラムが利用される。ユーザ端末Tuが送信したデータによって表される車載機IDおよび車載機パスワードと,ユーザ車載機Vmが送信したデータによって表される車載機IDおよび車載機パスワードと,が一致すると,ユーザ端末Tuから送信された車配達管理システムのユーザIDなどの情報を車配達管理システム管理テーブルに格納する。
また,車配達管理システム管理テーブルには,後述するように,ユーザがECシステムS1を利用して物品を購入した場合にECシステムS1によって付与される伝票番号およびその伝票番号によって特定される物品がユーザに配達完了したかどうかの情報も格納される。これらの伝票番号および配達完了の情報は,ユーザが配送システムを複数回利用すると,その利用に応じて車配達管理システム管理テーブルに格納され,蓄積されていく。
図10に戻って,ユーザ端末Tuから送信された情報を管理テーブルに格納すると,ユーザ情報の登録が完了したとして,車配達管理システムS2はユーザ端末Tuおよびユーザ車載機Vmのそれぞれに登録完了したことを示す登録完了のページ情報を送信する。ユーザ端末Tuが登録完了情報を受信すると,ユーザ端末Tuの表示画面は登録完了の旨を示すページを表示する。ユーザは登録が完了したことが分かる。また,ユーザ車載機Vmが登録完了情報を受信すると,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20及び表示装置30は,前述の図5,図6に示した状態遷移を行い,赤色LED34の点灯を消灯し,緑色LED35を点灯させる。ユーザは,緑色LED35の点灯を見ることによっても,ユーザ車載機Vmが車配達管理システムS2に登録されたことが分かる。
図12は,ECシステムS1にユーザ情報が未登録の場合に行われる処理手順を示すシーケンス図を示している。
図12に示す処理はユーザごとに行われる。
ユーザは,ユーザ端末Tuに,ECシステムS1のユーザIDおよびユーザ・パスワード,住所,氏名,電話番号,クレジット・カード情報ならびに車配達管理システムからECサイトへの車識別情報の取得許可指示を示す情報を入力する。ユーザ端末Tuは,入力された情報をユーザ端末TuからECシステムS1に送信する。ユーザ端末Tuから送信された情報をECシステムS1が受信すると,ECシステムS1は,車識別情報取得許可要求情報を車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2が,ECシステムS1から送信された車識別情報取得許可要求情報を受信すると,確認のために,車配達管理システムS2はユーザ端末Tuに,車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードの要求情報を送信する。ユーザは,車配達管理システムS2からの要求情報にしたがって,車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードを,ユーザ端末Tuに入力する。ユーザ端末Tuは,入力された車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードを表す情報を車配達管理システムS2に送信する。車配達管理システムS2は,ユーザ端末Tuから送信された車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードを表す情報を受信すると,受信した情報によって表される車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードと,図11に示すように車配達管理システム管理テーブルに格納されている車配達管理システムS2のユーザIDおよびパスワードと,が一致するかどうかを判定する。
一致すると,ユーザは,車配達管理システム管理テーブルに登録されているユーザと考えられるので,車配達管理システムS2はECシステムS1に車識別情報取得許可完了情報を送信する。ECシステムS1が車識別情報取得許可完了情報を受信すると,ユーザ端末Tuから送信されたECシステムのユーザID等の情報をECシステムの管理テーブルに格納する。すると,ECシステムS1はユーザ端末Tuに登録完了情報を送信し,ユーザ端末Tuは登録完了の旨を表示する。ユーザは,ユーザ端末Tuの表示画面を見ることにより,登録が完了したことが分かる。
図13は,ECシステム・ユーザ管理テーブルの一例である。
ECシステムS1のユーザ管理テーブルは,ECシステムS1のユーザごとに一つのカラムを利用しており,複数のユーザについての情報を格納している。
上述のように,ユーザ端末Tuから送信された情報によって表される車配達管理システムS2のユーザIDおよびユーザ・パスワードと,車配達管理システム管理テーブルに格納されている車配達管理システムS2のユーザIDおよびパスワードと,が一致すると,ユーザは,車配達管理システム管理テーブルに登録されているユーザと考えられるので,ECシステムS1は,そのユーザ情報をECシステム・ユーザ管理テーブルに格納する。また,ECシステムS1は,車識別情報取得許可の有無を示す情報についてもECシステム・ユーザ管理テーブルに格納する。
図14は,配達先指定の処理手順を示すシーケンス図である。
ユーザは,ユーザ端末Tuを用いてECシステムS1にアクセスし,所望のECサイトにおいて購入する商品を決定すると,購入手続きを行うために,ECシステムS1のユーザIDおよびユーザ・パスワードをユーザ端末Tuに入力する。ユーザ端末Tuは,入力されたECシステムS1のユーザIDおよびユーザ・パスワードをECシステムS1に送信する。
ECシステムS1は,受信した情報によって表されるECシステムS1のユーザIDおよびユーザ・パスワードを,図13に示すECシステム・ユーザ管理テーブルに格納されているユーザ情報に含まれているECシステムS1のユーザIDおよびユーザ・パスワードと一致しているかどうかを確認する。一致していると,その一致しているユーザIDに対応して記憶されている車識別情報取得許可情報をECシステムS1が読み取る。読み取った車識別情報取得許可情報が,許可を示していると,ECシステムS1は,車配達管理システムS2に,車識別情報要求情報を送信する。許可を示していないと,ECシステムS1は,許可がないのでユーザ情報の変更が必要な旨の情報をユーザ端末Tuへ送信して終了する。
車識別情報要求情報を受信した車配達管理システムS2は,車配達管理システム管理テーブルに格納されている車識別情報および車載機IDを読み取り,車識別情報および車載機IDを示す情報をECシステムS1に送信する。ECシステムS1は車配達管理システムS2に,ユーザの住所,氏名,電話番号などの情報を送信しており,電話番号にもとづいて,車配達管理システムS2は,一致するユーザについての車識別情報および車載機IDを車配達管理システム管理テーブルから読み取る。車配達管理システムS2は,読み取られた車識別情報および車載機IDをECシステムS1に送信する。
ECシステムS1が車配達管理システムS2から送信された車識別情報を受信すると,受信した車識別情報を利用して受取場所選択画面を生成する。ECシステムS1は,生成した受け取り場所選択画面を表す情報をユーザ端末Tuに送信する。ユーザ端末Tuは,受取場所選択画面を表示する。
図15は,受取場所選択画面80の一例である。
受取場所選択画面80には,受取場所選択領域81,受取希望日時帯選択領域91および受取内容表示領域101が含まれている。
受取場所選択領域81には,ラジオ・ボタン82から85が形成されている。ラジオ・ボタン82の右側には「車での受取(青色の車)」の文字が表示されている。ラジオ・ボタン83の右側には「車での受取(赤色の車)」の文字が表示されている。ラジオ・ボタン84の右側には「家での受取」の文字が表示されている。ラジオ・ボタン85の右側には「コンビニでの受取」の文字が表示されている。
この実施例では,ユーザは,青色の自動車と赤色の自動車との少なくとも2台の自動車を持っており,それぞれの自動車にユーザ車載機Vmが設置されているものとする。ユーザは,青色の自動車には「青色の車」という車識別情報を付与し,赤色の自動車には「赤色の車」という車識別情報を付与したものとする。このために,ラジオ・ボタン82の右側には,「青色の車」で荷物を受け取るときに選択できるように,「車での受取(青色の車)」の文字が表示されている。同様に,ラジオ・ボタン83の右側には,「赤色の車」で荷物を受け取るときに選択できるように,「車での受取(赤色の車)」の文字が表示されている。
ECシステムS1は,車配達管理システムS2から2台分のユーザの車識別情報取得したことから,2台分の領域を設け,ラジオ・ボタン82の右側には,「車での受取(青色の車)」の文字を表示し,ラジオ・ボタン83の右側には,「車での受取(赤色の車)」の文字を表示する情報を生成している。
ユーザは,青色の車で荷物を受け取る場合には,ラジオ・ボタン82を選択し(図15においては,ラジオ・ボタン82が選択されている),赤色の車で荷物を受け取る場合には,ラジオ・ボタン83を選択し,家で荷物を受け取る場合には,ラジオ・ボタン84を選択し,コンビニで荷物を受け取る場合には,ラジオ・ボタン85を選択する。
受取希望日時帯選択領域91には,ラジオ・ボタン92から94が形成されている。これらのラジオ・ボタン92から94は,受取希望日時時間帯を選択するものである。ラジオ・ボタン92は,希望日のうち,午前8時から午前12時までの受取を希望するときに選択される。ラジオ・ボタン93は,希望日のうち,午後1時から午後5時までの受取を希望するときに選択される。ラジオ・ボタン94は,希望日のうち,午後5時から午後9時までの受取を希望するときに選択される。希望日は,プルダウン等を利用してユーザの指定により変更できるのはいうまでもない。図15に示す例では,ラジオ・ボタン92が選択されている。
受取内容表示領域101には,ユーザが注文した商品の内容,商品の個数,商品の価格,指定した受取場所および受取希望日時帯が表示される。
ユーザは,ユーザ端末に表示された受取場所選択画面80を利用して,車での受取か(複数の自動車があり,それぞれにユーザ車載機が搭載されている場合には,車識別情報で識別できるどの車での受取か),家での受取か,コンビニでの受取か,希望日時帯を指定する。ユーザ端末Tuは指定された情報をECシステムS1に送信する(図14参照)。ユーザ端末Tuにおいて指定された情報をECシステムS1が受信すると,ECシステムは,住所,氏名,受取場所情報(車での受取か,車での受取であれば車識別情報も含む,家での受取か,コンビニでの受取かを示す情報),希望日時帯,車載機ID,伝票番号を含む配達先情報を宅配システムS3に送信する。伝票番号は,ユーザ端末から情報が送信されたことに応じて,予め自己が利用する宅配業者の宅配システムS3から割り当てられ記憶している範囲の番号のうち未使用の番号を1つ割り当てる処理によりECシステムS1において生成される。割り当てた番号は使用済み番号として記憶する。
ECシステムS1から送信された配達先情報を宅配システムS3が受信すると,車での受取が選択されているときには,受信した配達先情報から伝票番号,車載機IDおよび受取希望日時帯を表す情報を車配達管理システムS2に送信する。伝票番号が車配達管理システム管理テーブルに格納される。受取希望日時帯を表す情報も必要であれば,車配達管理システム管理テーブルに格納されてもよい。車配達管理システムS2は,車載機IDを持つユーザ車載機Vmに,伝票番号および受取希望日時帯を表す情報を送信する。これらの情報を受信したユーザ車載機Vmは,受信した情報をジャンクション・ユニット20のメモリ22に記憶する。後述のように伝票番号を利用して,配達員端末51からの解錠指示信号にもとづく自動車60のドア・ロックの解錠が行われる。
図16は,図15に対応するもので,受取場所選択画面80の他の一例である。
図15に示す受取場所選択画面80においては,ラジオ・ボタン82が選択されており,青色の車での荷物の受け取りが選択されている。これに対して,図16に示す受取場所選択画面80においては,ラジオ・ボタン84が選択されており,家での荷物の受け取りが選択されている。
家での荷物の受け取りが選択されていることから,受取希望日時帯の内容も変更させられている。図15に示す受取希望日時帯選択領域91におけるラジオ・ボタン92は,午前8時から午前12時までの時間帯を選択するものであるのに対し,図16に示す受取希望日時帯選択領域91におけるラジオ・ボタン92は,午前9時から午前12時までの時間帯を選択するように変更させられている。同様に,図15に示す受取希望日時帯選択領域91におけるラジオ・ボタン94は,午後5時から午後9時までの時間帯を選択するものであるのに対し,図16に示す受取希望日時帯選択領域91におけるラジオ・ボタン94は,午後5時から午後7時までの時間帯を選択するように変更させられている。
このように,自動車60で荷物を受け取る場合と家で荷物を受け取る場合とで受取希望時間帯を変更することもできる。自動車で荷物を受け取る場合には,家で荷物を受け取る場合と異なり,ユーザが配達員に対応する必要が無いため,家で荷物を受け取る場合と比べて朝は早く,夜は遅くてもよく,逆に,家で荷物を受け取る場合には,ユーザが配達員に対応する必要があるため,朝は遅く,夜は早くする方が,荷物を受け取りやすい。
さらに,車での荷物の受け取りの場合に比べて家での荷物の受け取りの方が,価格が高くなっている。配達員にとっては,家に配達するとユーザが対応するまでの時間待つ必要があるために効率的でない一方,自動車60に配達する場合は,単にドアをあければいいので,効率的に配達できるので,価格を安くしている。もっとも,自動車60に配達するよりも家に荷物を配達する方が安くしてもよい。これらの送料についての情報は図15の受取場所と受取日時の組み合わせごとに記憶しておき送料を計算して表示する情報を生成するようにするとよい。
図17は,図15および図16に対応するもので,受取場所選択画面80の一例である。
図17に示す受取場所選択領域81においては,ラジオ・ボタン82,83および84に対応してプルダウン・メニュー102,103および104が形成されている。これらのプルダウン・メニュー102,103および104は,「優先」または「決定」のいずれかを指定できる。「優先」は,自動車での受け取りまたは家での受け取りを優先とするものであり,自動車での受け取り(配達)ができない場合には,家での受け取りを許可する,あるいは家での受け取り(配達)ができない場合には,自動車での受け取りを許可する,というものである。たとえば,ラジオ・ボタン82が選択され,かつプルダウン・メニュー102により「優先」が指定された場合には,青色の車での荷物の受け取りを優先するが,青色の車が指定された位置にない,ドアが開かない,などの場合には,赤色の車での受け取り,家での受け取りを許可する。同様に,ラジオ・ボタン83が選択され,かつプルダウン・メニュー103により「優先」が指定された場合には,赤色の車での荷物の受け取りを優先するが,赤色の車が指定された位置にない,ドアが開かない,などの場合には,青色の車での受け取り,家での受け取りを許可する。また,ラジオ・ボタン84が選択され,かつプルダウン・メニュー104により「優先」が指定された場合には,家での荷物の受け取りを優先するが,家が不在などの場合には,青色または赤色の車での受け取りを許可する。このように,自動車での荷物の受け取りと家での荷物の受け取りとのいずれかの優先順位をつけ,優先順位順に荷物を受け取るようにしてもよい。自動車60への優先配達が設定されていることに応じて,配達員端末Tdから送信(無線送信の一例である)される解錠指示信号にもとづいて自動車のドア・ロックを解錠できるようにしてもよい。
このように,車での受取と家での受取(自宅受取)とどちらを先にするかを設定できるとよい。家にいる場合であっても車での受取を優先にしておけば,宅配業者と会う必要がない。一方,大事なものなどできれば直接受け取りたい場合には家での受取優先とすればよい。さらに,受取場所選択画面に,車での受取禁止または家での受取禁止を指定するラジオ・ボタンを設けてもよい。車での受取禁止が設定されている場合には,配達員は家に荷物を配達し,家での受取禁止が設定されている場合には,配達員は自動車に荷物を配達する。集荷についても同様であり,車両への優先集荷,自宅への優先集荷を設定できるようにし,設定された集荷場所に優先的に集荷するようにしてよい。
図18は,ECシステムS1に記憶されている商品管理テーブルの一例である。
商品管理テーブルには,商品番号ごとに商品名,価格,車受取送料割引の有無などが格納されている。車受取送料割引は,上述のように自動車において荷物を受け取ると配達員の労力が軽減されるので,送料を割り引くというものである。
車受取送料割引が「有」に設定されている場合において,自動車での受取が選択されると,送料が割り引かれるが,家での受取が選択される場合には,送料は割り引かれない。このようにして自動車での受取と家での受取において料金の差別化を図ることができる。送料の割引ではなく,商品の本体価格を割り引くようにしてもよい。
図19は,配達員が荷物の配達先を取得する処理手順を示すシーケンス図である。
配達員は,荷物に貼られている伝票(ECシステムS1のプリンタで伝票番号・住所・氏名・受取場所・受取希望日時帯等を印刷したもの)(伝票が貼られている荷物は,たとえば,物品を販売したECショップから宅配システムの会社に渡される)に記載の伝票番号を見て,自分が所持している配達員端末Tdにその伝票番号を入力する。配達員端末Tdは,入力された伝票番号を表す情報を,インターネットを介して宅配システムS3に送信する。
宅配システムS3が,伝票番号を表す情報を受信すると,すでにECシステムS1から送信されている配達情報に含まれている伝票番号に対応する車載機IDを読み取る。車載器IDは,伝票番号に対応して宅配システムS3に記憶されており,宅配システムS3から伝票番号に対応する車載器IDを読み取る。宅配システムS3は,受信した伝票番号を表す情報と,読み取った車載機IDを示す情報とを,車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2が伝票番号および車載機IDを表す情報を受信すると,受信した情報によって表される車載機IDによって特定される車載機の車載機IPアドレスを車配達管理システム管理テーブルから読み取る。車配達管理システムS2は,読み取った車載機IPアドレスに,自動車の現在位置の問い合わせ情報を送信する。
車配達管理システムS2から送信された問い合わせ情報を,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれるLTE回路23が受信すると,ユーザ車載機Vmに含まれているジャンクション・ユニット20は,表示装置31に自動車60の現在位置を示す車位置情報を取得させる。表示装置31には,GPS(Global Positioning System)受信装置が備えられており,そのGPS受信装置によって車位置情報を取得する。ユーザ車載機Vmは,読み取られた車位置情報および車載機IDを表す情報を,LTE回路23を用いて車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2は,車位置情報および車載機IDを表す情報を受信すると,伝票番号および車載機IDを表す情報ならびに車位置情報を宅配システムS3に送信する。宅配システムは,伝票番号および車載機IDを表す情報ならびに車位置情報を受信すると,それらの情報と,すでに配達先情報として記憶している車識別情報および受取希望日時帯を表す情報と,を配達員端末Tdに送信する。
配達員端末Tdは,受信した情報から,伝票番号,車載機ID,車位置,車識別情報および希望日時帯を表示する。配達員は,表示された伝票番号,車位置,車識別情報等から,どの荷物についてのものを,どの車位置に駐車している自動車に配達すればよいか,車の特徴が分かるので,どの自動車に荷物を配達すればよいかが分かる。
図20は,配達員が自動車60に荷物を配達する処理手順を示すシーケンス図である。
配達員は,荷物を配達すべき自動車の近くに行くと,所持している配達員端末Tdに伝票番号および解錠指示を入力する。配達員端末Tdは,伝票番号および解錠指示が入力されると,入力された伝票番号および解錠指示を表す情報を宅配システムS3に送信する。宅配システムS3は,伝票番号および解錠指示を表す情報を受信すると,受信した伝票番号および解錠指示を表す情報を車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2は,伝票番号および解錠指示を表す情報を受信すると,伝票番号に対応する車載機IDを読み取り,読み取られた車載機IDに対応するユーザ車載機に解錠指示を表す情報を送信する。車配達管理システムS2においては,上述のように宅配システムS3から伝票番号および車載機IDを示す情報が送信されて,車配達管理システムS2のメモリに記憶されているので,伝票番号に対応する車載機IDを車配達管理システムS2のメモリから読み取る。
車配達管理システムS2から送信された解錠指示を表す情報を,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれるLTE回路23が受信すると,ジャンクション・ユニット20は,CAN2に解錠指示信号を出力する。解錠指示信号をボディECU5が受信し,ボディECU5は,ドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8は,自動車60のドア・ロックを解錠する。
配達員は,自動車60のドア・ロックが解錠され,ドアを開けられることが分かると,ドアを開け,配達すべき荷物を自動車60の車内に置き,自動車のドアを閉じる。ドアが開かれ,かつドアが閉じられたことがボディECU5に接続されている検出装置によって検出されると,それらの検出信号がCAN2に出力され,ジャンクション・ユニット20も自動車60のドアが開けられ,かつ閉じられたことを認識する。ドアが開けられ,かつ閉じられると,自動車60に荷物が配達されたと考えられるので,ジャンクション・ユニット20は,自動車60のドアの施錠を制御する施錠指示信号をCAN2に出力する。ドア・ロック制御装置8はドアをロックする。
また,車内に設置されている第5のカメラ45によって,荷物に貼付されている伝票に記載の伝票番号が撮影され,その伝票番号がジャンクション・ユニットにより読み取られる。ジャンクション・ユニット20は,読み取られた伝票番号を表す情報と配達完了情報とを車配達管理システムS2に送信する。また,ジャンクション・ユニット20は,点灯していた緑色LED35を消灯させ,青色LED36を点灯させる。青色LED36が点灯することにより,荷物が自動車60に配達されたことが分かる。
車配達管理システムS2は,伝票番号を表す情報と配達管理情報とを宅配システムS3およびECシステムS1のそれぞれに送信する。また,車配達管理システムS2は,伝票番号を表す情報,車識別情報および配達完了情報をユーザ端末Tuにも送信する。ユーザ端末Tuには,伝票番号,車識別情報および配達完了情報が表示され,ユーザは,自動車60に荷物が配達されたことが分かる。
上述の実施例では,配達員端末Tdは宅配システムS3に解錠指示を表す情報を送信し,解錠指示を表す情報を受信した宅配システムS3が車配達管理システムS2に解錠指示を表す送信し,車配達管理システムS2がユーザ車載機Vmに解錠指示を表す情報を送信することにより,自動車60のドア・ロックを解錠というような,配達員端末Tdを用いて間接的に自動車60のドア・ロックを解錠しているが,配達員端末Tdからユーザ車載機Vmに直接に解錠指示を表す情報を送信して自動車60のドア・ロックを解錠するようにしてもよい。
図21は,ユーザが自動車60から荷物を取り出す処理手順を示すシーケンス図である。
ユーザは,荷物が置かれている自動車60の近くに行くと,ユーザ・リモート・コントローラ52を用いて,荷物が置かれている自動車60に解錠指示信号を送信する(ユーザ端末Tuを用いて,荷物が置かれている自動車60に解錠指示信号を送信してもよい)。ユーザ・リモート・コントローラ52が解錠指示信号を送信すると,ジャンクション・ユニット20が解錠指示信号を受信し,ドアを解錠する。ユーザが,純正携帯機10を用いて荷物が置かれている自動車60に解錠指示信号を送信する場合には,ボディECU5が解錠指示信号を受信し,ドアを解錠する。
ユーザによって自動車60のドアが開けられたことがジャンクション・ユニット20によって検知され,第5のカメラ45によって荷物に貼られている伝票に記載の伝票番号が読み取られなくなると,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20は,伝票番号を表す情報および受取完了情報を車配達管理システムS2に送信する。また,ジャンクション・ユニット20は,点灯されていた青色LED36を消灯し,黄色LED37を点灯させる。黄色LED37が点灯していることを見ることにより,荷物の配達があり,その荷物を受け取ったことが分かる。
車配達管理システムS2は,受取完了情報を車配達管理テーブルに格納する。伝票番号に対応して受取完了情報が車配達管理テーブルに格納されるのはいうまでもない。さらに,車配達管理システムS2は,伝票番号を表す情報および受取完了情報を宅配システムS3に送信する。宅配システムS3は,ユーザが荷物を受け取ったことを認識する。また,車配達管理システムS2は,伝票番号を表す情報,車識別情報および受取完了情報をユーザ端末Tuに送信する。ユーザは,荷物を受け取ったことが宅配システムS3に通知されたことが分かる。ユーザは,ユーザ端末Tuを用いてユーザ車載機Vmに設定解錠信号を送信する。ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれる通信回路26が設定解錠信号を受信すると,ジャンクション・ユニット20は,点灯させていた黄色LED37を消灯させ,緑色LED35を点灯させる。緑色LEDを見ることにより,その自動車60での荷物の受け入れができるということが分かる。
宅配業者では,現状午前中の再配達が極めて多いので,宅配システムS3では,車での受取が指定されているものについて,集中的に午前中に行い,午後に家への配達を行うようにスケジュール調整する機能を備えるとよい。また配達員端末Tdに配達順序を報知する機能を設けるようにしてもよい。配達順序を地図で表示するときに,配達先が自動車なのか家なのか違いが分かるような表示態様とするとよい。たとえば,配達先が家ならば家マーク,丸などを表示し,配達先が自動車ならば車マーク,二重丸,三角,四角などとする。これにより,まず,自動車の配達先に,先に配達し(たとえば,午前中),その後に家の配達先に配達(たとえば,午後に配達)できるようになる。時間帯別に違う色にしてもよい。配達順序を表示する場合には,カーナビのルートみたいに表示し,車優先ボタンを設けておいて車優先ボタンを押すと,配達先が自動車の場合に先に配達するような表示態様にしてもよい。
家への再配達受付の締め切り時刻と,車への再配達受付の締め切り時刻とを異なる時刻とする機能を備えるとよい。車への再配達は家への再配達受付時刻よりも遅い時刻まで受け付ける機能を備えるとよい。車への再配達指定時間帯と家への再配達指定時間帯を異なる時間帯として設定できる機能を設けるとよい。家への再配達と車への再配達とで再配達のための追加料金を異なる金額する機能を備えるとよい。一方を有料,他方を無料として設定する機能を備えるとよい。LINE(登録商標)アカウントに,車への配達が完了した際に,メッセージを送る機能を備えるとよい。「宅配ボックス禁止」の設定がされている荷物であっても,車を宅配ボックスとする配達はできるようにするとよい。「車への配達は禁止」の設定をする機能を備えるとよい。車に荷物を配達した後,数日たっても車から荷物が降ろされていない場合には,その旨を地図上あるいは近隣を走行したときに報知する機能を備えるとよい。この報知を見て,「○月○日に車に配達したけど取り出されていないですよ」という記載の紙を印刷し,ポストなどに入れられるようにするとよい。最初に車に配達したときに「車に配達しました」などと紙に印刷できるようにしてもよい。
さらに,自動車に荷物を配達することにより,ダンボールが家にあると邪魔なことに対する対策もできる。たとえば,荷物はダンボールに入っていることが多いが,家で荷物を受けとったら開封してダンボールは車にすぐに持って行くことがある。車で受け取れれば車で開封して中身の商品だけ家にもっていき,ダンボールは車にそのまま積んでおき,車で収集場に持っていくことができるので大変便利である。
さらに,車への配達者へのおまけ的な考えとして,車での受取を選択している荷物について,車に関連する試供品やちらしを自動投入する指示を出力する機能を備えるとよい。さらに車載機に車種送信機能を備えるか,Webで配達先の車の車種を選べるようにして車種情報を取得し,発送時にその車種情報を発送者が利用できるようにするとよい。特定の車種向けの試供品,ちらし,リコール情報などを届けることができる。
また,ECモール側に付加する機能のアイディアとして,車での受取を指定した場合,料金を割り引く機能を備えるとよい。車での受取を指定した場合,自動的におまけをつけるようにしてもよい。時間帯ごとに,車で受け取るか家で受け取るかを指定できる機能を備えるとよい。例えば,昼間は車で夜は家で受け取るといった指定ができる。送り先指定に,家か車のどちらをデフォルトにするか設定する機能を設け,購入時にデフォルトの送り先が表示されるようにする。家にいても車に入れておいて欲しい人は,ECサイトの会員情報の設定で,車をデフォルトに設定しておけば,買い物のたびに「車」を選ぶ手間や,「車」を選び損ねるといった失敗がなくなる。車への配達を指定した人にポイントを付与する機能を備えるとよい。
[3.ユーザ車載機の処理]
図22から図28は,ユーザ車載機Vmに含まれているジャンクション・ユニット20(マイコン21)の処理手順を示すフローチャートである。図22から図28は,上述のように配達員が配達先を取得し,自動車60に荷物を配達し,ユーザが自動車60から荷物を取り出す処理手順を示している。
ジャンクション・ユニット20に含まれているブルートゥース回路24は一定周期で電波を送信している。ブルートゥース回路24から送信している電波を配達員端末51が受信すると,配達員端末51は受信した電波に応答して,ブルートゥース回路24(ユーザ車載機Vm)と配達員端末51との間で通信が確立する。ブルートゥース回路24と配達員端末51との間で通信が確立すると,配達員端末51が自動車60(車両の一例である)に近づいたと判断される(ステップ111でYES)。すると,ジャンクション・ユニット20は,荷物を配達すべき自動車60であることを配達員に報知する(ステップ112)。ユーザ車載機Vmに荷物の受け入れが設定されていると,緑色LED35が点灯しているが,配達員端末51がユーザ車載機Vmに近づいたと判断されると,たとえば,緑色LED35をジャンクション・ユニット20が点滅させることにより,荷物を配達すべき自動車であることを配達員に報知する。もっとも,緑色LED35の点滅に限らず,他のランプの点灯または点滅,ハザード・ランプの点滅,音声出力等により荷物を配達すべき自動車であることを配達員に報知してもよい。
また,荷物を配達すべき自動車60が駐車されている周囲(または自動車60が駐車されている場所に行くまでの通路)に,不審者の侵入を未然に防止するためにセキュリティ・システム(ホーム・セキュリティ・システム,オフィス・セキュリティ・システム,パーキング・セキュリティ・システムなど)(図示略)が設定されていることがある。セキュリティ・システムが設定されている状態で,セキュリティ・システムの警備範囲に配達員が入ってしまうと,警報が発せられてしまうので,ジャンクション・ユニット20の無線LAN回路25(通信回路26が行ってもよい)はセキュリティ・システムの制御装置に解除信号を送信する(ステップ113)。セキュリティ・システムの警備が解除されるので,配達員がセキュリティ・システムの警備範囲に入っても,誤って警報が発せられることが未然に防止される。このように,ホーム・セキュリティ等が車のある場所にもかかっている場合,宅配の日時範囲は車に至る敷地の範囲のセキュリティを解除するとよい。宅配業者(配達員)であることを認識した場合に解除するようにしてもよい。
配達員が自動車60に近づくと,さらに,ジャンクション・ユニット20は第1のカメラ41から第5のカメラ45を制御する。第1のカメラ41から第4のカメラ44は自動車60の外側の撮影を開始し,第5のカメラ45は自動車60の車内の撮影を開始する(ステップ114)。第1のカメラ41から第4のカメラ44は,自動車60の外側を一定時間の間撮影し,第5のカメラ45は,自動車60の車内を一定時間の間撮影する。必ずしも,第1のカメラ41から第5のカメラ45のすべてのカメラを用いて自動車60の外側および車内を撮影する必要はなく,第1のカメラ41から第5のカメラ45のうちのいずれかのカメラを用いて自動車60の外側または車内を撮影するようにしてもよい。第1のカメラ41から第5のカメラ45により自動車60の外側および車内を撮影するのは,たとえば,配達員が誤って自動車60に傷をつけてしまった場合の証拠映像を得るためである。このように,宅配業者(配達員)が車内を汚したり傷つけたりする問題がある。宅配業者がドアを開けたことを検出した場合,たとえば,車室内を撮影するカメラの録画を開始し,ドアを閉じたら録画を停止する。できれば,ドアを開ける前数分も録画するとよい。ドアを閉めた後数分も録画するとよい。上述のように,ドアなどを傷つけていないか車の外を撮影できる仕組みがあるとよい。例えばバック・カメラや,カメラを使った電子ミラーをオンにして映像を記録してもよい。
ジャンクション・ユニット20のブルートゥース回路24が配達員端末51から送信される解錠指示信号を受信したかどうかを判断し(ステップ115),受信していなければ(ステップ114でNO),配達員端末Tdが自動車から遠ざかったかどうかが確認される(ステップ116)。
表示装置31の中にマイクロ波センサを入れ,マイクロ波センサを用いて,自動車60に人(配達員など)が近づいたかどうかを検出してもよい。マイクロ波センサが,自動車60への人の近づきを検出すると表示装置31の電源を入れ,第1のカメラ41から第5のカメラ45による撮影を開始してもよい。
配達員端末Tdとユーザ車載機Vmとの間で確立していた通信の遮断を,ジャンクション・ユニット20が検出するとジャンクション・ユニット20は配達員端末Tdが自動車60から遠ざかったと判断する(ステップ116でYES)。すると,ジャンクション・ユニット20の無線LAN回路25(通信回路26が行ってもよい)は,解錠したセキュリティ・システムの警備を復帰させるために警戒信号をセキュリティ・システムに送信する(ステップ117)。警戒信号を受信したセキュリティ・システムは,警備状態に戻る。また,ジャンクション・ユニット20は,第1のカメラ41から第5のカメラ45による撮影を停止させ(ステップ118),ステップ111の処理に戻る。
上述したように,配達員端末Tdが宅配システムS3に解錠指示信号を送信し,車配達管理システムS2から送信される解錠指示信号をユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20のLTE回路23が受信すると(ステップ115でYES),現在時刻が配達予定時間帯(受取希望日時帯)かどうかをジャンクション・ユニット20が判断する(ステップ119)。希望日時帯情報は,車配達管理システムからユーザ車載機Vmに送信され,その希望日時情報にもとづいて現在時刻が配達予定時間帯にあるかどうかを判断する。
配達予定時間帯でなければ(ステップ119でNO),ジャンクション・ユニット20のブルートゥース回路24が配達員端末Tdに配達予定時間帯以外であることを送信する(ステップ120)。配達員端末Tdは,配達予定時間帯以外であることを配達員に報知し,配達員は,配達予定時間帯以外であることが分かる。配達員は,配達予定時間帯に再び自動車60に訪れ,自動車60に荷物を配達することとなろう。配達予定時間帯に自動車60のドアの解錠が許可されることとなる。
配達予定時間帯であれば(ステップ119でYES),配達員端末Tdからの解錠指示信号にもとづくドア・ロック解錠禁止がユーザ車載機Vmに設定されているかどうかをジャンクション・ユニット20が判断する(ステップ121)。荷物を配達しようとする自動車60に,他の配達員により他の荷物が配達されていることがある。そのようなときに,自動車60のドア・ロックを解錠して自動車60に荷物を配達できるようにしてしまうと,すでに自動車60に配達されている荷物を,後から荷物を配達する配達員によって盗られてしまう恐れがある。このために,後述するように,自動車60にすでに荷物が配達されているときには配達員端末Tdからの解錠指示信号にもとづくドア・ロックの解錠を禁止する。上述のように,自動車60に荷物を配達すると青色LED36を点灯させるから,青色LEDを点灯しているときには,配達員端末Tdからの解錠指示信号にもとづくドア・ロックの解錠を禁止すればよい。ドア・ロックの解錠禁止が設定されているときには,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20は配達員端末51にドア・ロックの解錠が禁止されている旨を表す情報を送信する(ステップ122)。配達員端末51はドア・ロックの解錠を禁止していることを報知(表示,音声出力など)するので,配達員は,その旨が分かる。配達員は,自動車60にすでに配達されている荷物をユーザが取り出し,ドア・ロックの解錠禁止が無くなってから,自動車60に配達したり,ユーザの家に配達したりすることとなろう。このように,同じ日にいくつも宅配便が届く場合には,前の業者が入れた荷物を次の業者が奪うことが可能とならないよう,先着の業者のみがロックを解錠(解錠)でき,荷物が入れられた状態で宅配業者はドア・ロックが解錠(解錠)できないようにしてもよい。
配達員端末からの解錠指示信号にもとづくドア・ロックの解錠禁止が設定されていなければ(ステップ121でNO),ジャンクション・ユニット20は,カー・セキュリティをディスアーム状態とする制御信号をCAN2に出力する(ステップ123)。これにより,ボディECU5は,カー・セキュリティをディスアーム状態とする。カー・セキュリティがアーム状態に設定されているときに,ドアが開けられてしまうと警報が発せられてしまう。配達員がドアを開ける前にカー・セキュリティをディスアーム状態とすることにより,誤って警報が発せられることが未然に防止される。
カー・セキュリティをディスアーム状態とすると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にドア・ロックの解錠指示信号を出力する(ステップ124)。すると,ボディECU5は,ドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8はドア・ロックを解錠する。ドアが配達員によって開けられる状態となる。配達員端末Tdから送信されるドア・ロック解錠信号にもとづく自動車60のドアの解錠は,宅配の配達時間内に限定され,宅配の配達時間外は配達員端末Tdから送信されるドア・ロック解錠信号にもとづくドア・ロックの解錠は禁止されることが好ましい。夜間に配達員端末Tdを盗み出して自動車のドア・ロックが解錠されてしまうことが未然に防止できる。
配達員によってドアが開けられたことが,ボディECU5に接続されている検出装置が検出すると,ボディECU5は検出信号をCAN2に出力し,ジャンクション・ユニット20はその検出信号を検出する。すると,ジャンクション・ユニット20は,ドアが開けられたことを認識する(ステップ125でYES)。配達員によって自動車60内に荷物が置かれドアが閉じられると,ドアが閉じられたことが,ボディECU5に接続されている検出装置が検出する。すると,ボディECU5は検出信号をCAN2に出力し,ジャンクション・ユニット20はその検出信号を検出する。すると,ジャンクション・ユニット20は,ドアが開けられたことを認識する(ステップ126でYES)。
このように,ジャンクション・ユニット20が,配達員端末Tdから送信される自動車60のドアが開けられ,ドアが閉じられたことを検出すると,自動車60に荷物が配達されたと考えられるので,ジャンクション・ユニット20は,ドア・ロック制御信号をCAN2に出力する(ステップ127)。ボディECU5は,CAN2に出力されたドア・ロック制御信号を認識し,ドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8がドアをロックする。さらに,第5のカメラ45によって撮影されている車内のうち,車内に置かれた荷物の伝票を表す画像から伝票番号がジャンクション・ユニット20により解析される。ジャンクション・ユニット20は,LTE回路23をもついて,解析された伝票番号を表す情報と配達完了情報を車配達管理システムに送信する。
つづいて,自動車60に荷物を配達したことが分かるように,ジャンクション・ユニット20は表示装置31の黄色LED37を点灯させる(ステップ128)。ユーザは自動車60のドアを開けなくとも,黄色LED37の点灯を見ることにより自動車60に荷物が配達されていることが分かる。
また,ジャンクション・ユニット20はカー・セキュリティをアーム状態にする制御信号をCAN2に出力する。CAN2に出力された制御信号をボディECU5が認識すると,ボディECU5はカー・セキュリティをアーム状態とする。さらに,ジャンクション・ユニット20は,CAN2にエンジン始動禁止制御信号を出力する(ステップ130)。エンジンECU3はCAN2にエンジン始動禁止制御信号が出力されたことを認識すると,エンジンの始動を禁止する。配達員が荷物の配達のためにドアを開けると,配達員が車内に入ることができるため,車内に自動車のキーなどが置き忘れていた状態などでは,ドアを閉じて,そのキーを用いて自動車60のエンジンをかけ,運転できてしまうことがある。このようなことを未然に防止するために,エンジンの始動を禁止する。宅配業者が車室内のイモビ(イモビライザー)解錠用キーなどを使ってエンジンをかけ車を動かすことができるという問題がある。そこで宅配業者が開けたことを検出した場合には,このようにエンジンがかからないように制御するとよい。
さらに,自動車60に荷物が配達されると,上述のように,その後に同じ自動車に荷物が配達されると,すでに自動車60に置かれている荷物を後からの配達人によって盗られてしまう恐れがある。このために,配達員端末Tdから送信される解錠指示信号にもとづくドア・ロックの解錠の禁止をジャンクション・ユニット20に設定する(ステップ131)。たとえば,ジャンクション・ユニット20のメモリ22の所定領域に解錠禁止コードを記憶させ,その領域に解錠禁止コードが記憶されていると,ドア・ロックの解錠禁止をジャンクション・ユニット20に設定することとなる。メモリ22の所定領域に解錠禁止コードが記憶されていなければ,配達員端末の解錠指示信号にもとづくドア・ロックの解錠禁止は設定されていないこととなる。
第1のカメラ41から第5のカメラ45による撮影開始から一定時間が経過すると(ステップ192),配達員は自動車60に荷物を配達し,自動車60から離れたと考えられるので,撮影を停止する(ステップ133)。
配達員端末Tdとジャンクション・ユニット20のブルートゥース回路24との間の通信が切断されると配達員端末Tdが自動車60から遠ざかったと考えられる。このように配達員端末Tdが自動車60から遠ざかったことをジャンクション・ユニット20が認識すると(ステップ134でYES),解錠状態としたセキュリティ・システムを復帰させるために,ジャンクション・ユニット20の無線LAN回路25はセキュリティ・システムに警戒信号を送信する(ステップ135)。警戒信号を受信したセキュリティ・システムは警備状態となる。
つづいて,ジャンクション・ユニット20は,第5のカメラ45を制御して車内の撮影を開始させる(ステップ136)。
配達員によりドアが開けられる前の車内の様子を表す画像と配達員によりドアが開けられ,ドアが閉じられた後の車内の様子を表す画像とを,ジャンクション・ユニット20が比較することにより,荷物が車内に置かれているかどうかをジャンクション・ユニット20が比較する。これらの画像の比較によりジャンクション・ユニットは,配達されるべき荷物が車内に置かれているかどうかを判断する(ステップ137)。配達員によりドアが開けられる前の車内の様子を表す画像と,配達員によりドアが開けられ,ドアが閉じられた後の車内の様子を表す画像と,の間に変化がなければ,ジャンクション・ユニット20は荷物が車内に置かれていないと判断され,それらの画像の間に変化があれば,ジャンクション・ユニット20は荷物が車内に置かれていると判断する。もっとも,第5のカメラ45により車内が撮影されるから,その第5のカメラ45により荷物に貼られている伝票の伝票番号を読み取ることにより,ジャンクション・ユニット20は荷物が車内に置かれていると判断してもよい。ジャンクション・ユニット20が,車内に荷物が置かれていないと判断すると(ステップ137でNO),ユーザ端末Tuにドアの開閉があったことをジャンクション・ユニット20の通信回路26が送信する(ステップ138)。
ジャンクション・ユニット20が,車内に荷物が置かれていると判断すると(ステップ137でYES),車内の温度を一定の保つために,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエアコン始動信号を出力する(ステップ139)。CAN2に出力されたエアコン始動信号をボディECU5が認識すると,ボディECU5は,エアコンを始動する。車内が一定温度に保たれるので,車内に置かれた荷物が精密機器などのように温度変化に弱いものであっても,温度変化による荷物への悪影響を未然に防止できる。このように,たとえば,夏は車内が熱くなるので,荷物が食品や精密機器等熱に弱いものであると問題がある(冬の寒さも同様である)が,宅配の荷物が車に到着した以降(あるいは配達予定時刻の少し前から)車両のエンジンを始動させるなどしてエアコンを動かし,荷物に最適な温度とするとよい。この制御は,受取人が荷物を取り出したことを検知したら終了するとよい。
さらに,第5のカメラ45によって車内に置かれている荷物に貼られている伝票が検出される,あるいは配達員によってドアが開けられる前の車内の様子を表す画像と,配達員によってドアが開けられ,ドアが閉じられた後の車内の様子を表す画像との比較から,車内において荷物が置かれた位置を,ジャンクション・ユニット20が検出する(ステップ140)。
つづいて,荷物の配達完了を示す情報および荷物が置かれた位置を示す情報を,ジャンクション・ユニット20はLTE回路23を用いてユーザ端末Tuに送信する(ステップ141,142)。ユーザ端末Tuが荷物の配達完了を示す情報を受信することにより,ユーザ端末に配達完了の旨が表示されるので,ユーザは自動車60に荷物が配達されたことを知る。また,ユーザ端末Tuが,荷物が置かれた位置を示す情報を受信することにより,ユーザ端末に荷物が置かれた位置が表示されるので,車内のどこに荷物が置かれたかが分かる。
図26を参照して,車内に配達された荷物が一定期間の間置かれているかどうかをジャンクション・ユニット20は判断する(ステップ143)。ジャンクション・ユニット20には,時計が含まれており,その時計により,車内に荷物が置かれたと判断した時(たとえば,配達員端末Tdから解錠指示信号が送信された後に,ドアが開けられ,閉じた時)から一定期間の間,荷物が置かれており,自動車60から荷物が取り出されていないかどうかをジャンクション・ユニット20が判断する。
一定期間の間,車内に荷物が置かれていないとジャンクション・ユニット20が判断すると(ステップ143でYES),ユーザが自動車60の車内から荷物を取り忘れている可能性がある。このために,ジャンクション・ユニット20は,車配達管理システムS2に,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信する(ステップ144)。車配達管理システムS2は,受信した情報をユーザ端末Tuに送信する。ユーザ端末Tuは,自動車60の車内に荷物が置かれていることを報知する。ユーザは,自動車60内に荷物が置かれていることを思い出す。ジャンクション・ユニット20のメモリ22にユーザ端末Tuのメール・アドレス等が登録されているときには,ジャンクション・ユニット20からユーザ端末Tuに直接,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信してもよい。
ユーザが,荷物が置かれている自動車60に近づき,ユーザ端末Tuとジャンクション・ユニット20のブルートゥース回路24との通信が確立すると,ユーザ端末Tuが自動車60に近づいたと,ジャンクション・ユニット20が判断する(ステップ145)。
ユーザ端末Tuが自動車60に近づいたとジャンクション・ユニット20が判断すると(ステップ145でYES),ジャンクション・ユニット20は,車配達管理システムS2に,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信する(ステップ146)。ジャンクション・ユニット20がユーザ端末Tuに送信して,ユーザ端末Tuにバイブレーション機能を持たせ,バイブレーションによりユーザに荷物が置かれていることを知らせてもよいし,音声で出力させてもよい。車配達管理システムS2は,受信した情報をユーザ端末Tuに送信する。ユーザ端末Tuは,自動車60の車内に荷物が置かれていることを報知する。ユーザは,近くにある自動車60内に荷物が置かれていることを思い出す。ジャンクション・ユニット20のメモリ22にユーザ端末Tuのメール・アドレス等が登録されているときには,ジャンクション・ユニット20からユーザ端末Tuに直接,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信してもよい。
このように,受取人が車に荷物が届いていることを知らない,あるいは,忘れてしまうことが想定されるので,スマホ(ユーザ端末)が家に近づいてきたところで,車に荷物がある旨をスマホから報知するようにするとよい。「受取ました」ボタンが押されるまで何度も定期的に通知するとよい。
ユーザが純正携帯機10またはユーザ・リモート・コントローラ52を用いて,純正携帯機10またはユーザ・リモート・コントローラ52から解錠指示信号を送信させると,純正携帯機10から解錠指示信号を送信したときにはボディECU5が解錠指示信号を受信しドア・ロック制御装置8を制御することにより,ユーザ・リモート・コントローラ52から解錠指示信号を送信したときにジャンクション・ユニット20が解錠指示信号を受信しジャンクション・ユニット20がCAN2に解錠指示信号を出力することにより,ドア・ロックを解錠する(ステップ147)。
ドア・ロックを解錠すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2にエア・コンディショナを停止させる制御信号を出力する(ステップ148)。ボディECU5は,エア・コンディショナを停止する。ドアが開けられたということは,ユーザが車内に置かれている荷物を取り出す,ということ意味するから,エア・コンディショナが停止させられる。さらに,ドア・ロックを解錠すると,ジャンクション・ユニット20は,車配達管理システムS2に,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信する(ステップ149)。車配達管理システムS2は,受信した情報をユーザ端末Tuに送信する。ユーザ端末Tuは,自動車60の車内に荷物が置かれている位置を表示する(ステップ150)。荷物がある場合には,「荷物があります。」という音声を表示装置31から出力するようにしてもよい。
図28は,ユーザ端末Tuの表示画面160の一例である。
表示画面160の上部には,報知領域161が形成されている。この報知領域161に,荷物が届けられたこと,および荷物が置かれている場所が表示されている。表示画面160のほぼ全体には,第5のカメラ45によって撮影された画像162が表示されており,この画像162に,荷物が置かれている場所がバツ印163によって表されている。ユーザは,バツ印163の場所に荷物が置かれていることが一瞥して分かる。表示画面160にバツ印163が合成された画像は,ジャンクション・ユニット20の制御により表示装置31によって生成されている。
ユーザは,ドアを開けた自動車60内に荷物が置かれていることを思い出す。この場合も,ジャンクション・ユニット20のメモリ22にユーザ端末Tuのメール・アドレス等が登録されているときには,ジャンクション・ユニット20からユーザ端末Tuに直接,自動車60の車内に配達された荷物が置かれていることを示す情報を送信してもよい。
大きな車(自動車)に小さな荷物を入れると車内のどの位置に荷物があるのか,受取人がわからないケースがある。そこで車内のどの位置において欲しいか受取人が予め指定できるようにするとよい。または,上述のように,車内に荷物が置かれた場所を受取人がわかる仕組みとするとよい。例えば,カメラの映像のドア開閉前後の比較により荷物がある位置を特定し,その荷物がある位置をスマホにAR(Augmented Reality)等で示すようにするとよい。
自動車60のドア・ロックが解錠されると,ジャンクション・ユニット20は,自動車60への配達に対する課金データを車配達管理システムS2に送信する(ステップ151)。車配達管理システムS2は,課金データを宅配システムS3に送信することにより,車配達管理システムS2の運営会社は宅配システムS3の運営会社(宅配会社)から利用料を徴収できる。ジャンクション・ユニットは希望日時を経過した時点で課金データを車配達管理システムS2に送信してもよい。また,配達員が自動車60に荷物を配達したときに,課金データをジャンクション・ユニット20から宅配システムS3に送信してもよい。宅配システムS3の会社は課金データを集計して,たとえば,車配達管理システムS2の会社に利用料を支払う。宅配システムS3の会社は課金データをデータベース化して管理することとなろう。
自動車60ドア・ロックが解錠されると,荷物が取り出されたと考えられるので,ジャンクション・ユニット20は黄色LED37を消灯させ,緑色LED34を点灯させる。緑色LED34の点灯により自動車60から荷物が取り出され,自動車60に荷物を配達できることが分かる。その後,ジャンクション・ユニット20が車配達管理システムS2に荷物の受け取り完了を示す情報を送信し,車配達管理システムS2がECシステムS1および宅配システムS3に荷物の受取完了を示す情報を送信する(ステップ153)。
車載機(ユーザ車載機)への機能追加として,駐車場に複数の車があるとどの車に荷物を入れればよいか,宅配業者がわからない場合がある。そこで宅配業者が車に近づいたときに,この車ですよとお知らせする(ランプ等つける)機能を備えるとよい。宅配業者が荷物を車に入れる操作を行った時,あるいは荷物を入れている途中,または,荷物を入れ終わった時に,「配達ご苦労様」などとねぎらいの音声を出力する機能を備えるとよい。そのような音声出力により配達員は,癒されるだけでなく,配達員は自動車を丁寧に扱うようになる。
図28に示す実施例では,荷物に置き場所をユーザに知らせているが,荷物の置き場所を指定し,その指定情報を配達員端末に送信するようにユーザ端末を設定してもよい。第5のカメラ45を用いて撮影された車内の画像を利用して,荷物を置く位置を配達員端末に送信するようにしてもよい。もっとも,荷物の置き場所を,運転席の上,助手席の上,というようにあらかじめ決めておいてもよい。
[4.他の実施例]
図29は,ユーザ・リモート・コントローラ52Aの外観図である。
上述したユーザ・リモート・コントローラ52Aは,単に,自動車60のドアの解錠指示信号の送信,ドアの施錠指示信号の送信,エンジンの始動信号の送信を行うものであったが,図29に示すユーザ・リモート・コントローラ52Aは,それらの送信以外に自動車60に荷物を配達する受け入れ設定等を行うことができるものである。
ユーザ・リモート・コントローラ52Aの上部にはアンテナ71が形成されている。また,ユーザ・リモート・コントローラ52Aの正面には,液晶表示画面72,宅配の文字が付されている宅配ボタン74,スタートの文字および鍵がかけることを示すアイコンが付されているスタート/ロック・ボタン75,ストップの文字および鍵を開けることを示すアイコンが付されているストップ/アンロック・ボタン76ならびにエンジンの文字が付されているエンジン・ボタン77が形成されている。液晶表示画面72には,詳しくは後述するように,自動車60内に荷物が配達されている状態かなどを示す報知領域73が形成されている。
ユーザ・リモート・コントローラ52Aには,マイコン(図示略)が内蔵されており,そのマイコンに液晶表示画面72の表示装置,宅配ボタン74,スタート/ロック・ボタン75,ストップ/アンロック・ボタン76およびエンジン・ボタン77が接続されている。また,ユーザ・リモート・コントローラ52Aには,マイコンおよびアンテナ71と接続されている通信回路(図示略)も含まれている。
宅配ボタン74が押されていない状態では,液晶表示画面72の報知領域73は無色となる。ユーザの自動車60に荷物が配達される予定があるときには,ユーザは,宅配ボタン74を押す。宅配ボタン74が押されると,宅配ボタン74が押されたことを示す信号がマイコンに入力し,通信回路によりアンテナ71からユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20の通信回路26に,宅配ボタンが押されたことを示す信号が送信される。すると,ジャンクション・ユニット20に接続されている青色LED36が点灯する。また,ユーザ・リモート・コントローラ52Aの液晶表示画面72に形成されている報知領域73が青色となる。ユーザは,報知領域73の色を見るだけで,ユーザの自動車60に荷物が配達される予定があり,自動車60のドアが配達員により開けられる可能性があることを確認できる。
自動車60のドアが配達員により開けられ,自動車60内に荷物が配達されると,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20の通信回路26は荷物受け入れ信号を送信し,ユーザ・リモート・コントローラ52Aを持ったユーザが自動車60に近づくと,その荷物受け入れ信号を受信する。すると,報知領域73は黄色となる。ユーザは,報知領域73を見ることにより,自動車60内に荷物が配達されていることが分かる。
ユーザがスタート/ロック・ボタン75を押すと,ユーザ・リモート・コントローラ52Aはユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に施錠指示信号を送信する。ジャンクション・ユニット20は,CAN2に施錠指示信号を出力する。すると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,自動車60のドアを施錠する。
ユーザがストップ/アンロック・ボタン76を押すと,ユーザ・リモート・コントローラ52Aは,ドア解錠指示信号をユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれる通信回路26に送信する。ジャンクション・ユニット20はドア施錠指示信号をCAN2に出力する。すると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,自動車60のドアを解錠する。
ユーザがエンジン・ボタン77を押し,その後にスタート/ロック・ボタン75を押すと,ユーザ・リモート・コントローラ52Aは,ユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれる通信回路26にエンジン始動信号を送信する。すると,ジャンクション・ユニット20は,エンジン始動信号をCAN2に出力する。エンジンECU3は,エンジン・スタータを制御し,自動車60のエンジンを始動させる。
ユーザがエンジン・ボタン77を押し,その後にスタート/アンロック・ボタン76を押すと,ユーザ・リモート・コントローラ52Aはユーザ車載機Vmのジャンクション・ユニット20に含まれる通信回路26にエンジン停止信号を送信する。すると,ジャンクション・ユニット20はエンジン停止信号をCAN2に出力する。エンジンECU3はCAN2に出力されたエンジン停止信号を検出し,自動車60のエンジンを停止させる。
上述のように,報知領域73が黄色となっているときには,自動車60内に荷物が配達されている。報知領域73が黄色となっているときに,ストップ/アンロック・ボタン76を押し,自動車60のドア・ロックを解錠すると,ユーザは自動車60内に入り,自動車60内に配達された荷物を受け取るものと考えられる。このために,報知領域73は黄色から無色に切り替わる。荷物があるということをユーザ・リモート・コントローラ52Aが出力するようにしてもよい。
上述した実施例において,宅配ボタン74が押された場合に,配達員端末Tdから送信される解錠信号にもとづいて自動車のドアを解錠するようにしてもよい。もっとも,その地域を配達する配達員端末Tdから送信される解錠信号のみにもとづいて自動車のドアを解錠するようにしてもよい。
操作はスマホやパソコンから行えるようするとよいが,さらに操作を単純化するため,エンスタ(リモート・コントロールによるエンジン・スタータ)やカー・セキュリティのリモコン(リモート・コントローラ)に,例えば「12時間荷物の受取のための宅配業者による解錠を許可する」というボタンと「荷物を受け取りました」というボタンなどを設けるとよい。
さらに,エンスタ(エンジン・スタータ),セキュリティ(カー・セキュリティ)のリモコン(リモート・コントローラ,ユーザ・リモート・コントローラ)等へ追加機能として,リモコンにさらに車の中に荷物がある状態である場合に光るランプなど報知手段を設けるとよい。荷物を取り出したら報知終了とするとよい。ユーザが車に近づいたとき荷物があることを車側かリモコンで報知する機能を備えるとさらによい。
荷物を受け取った場合に,ユーザ・リモート・コントローラ52Aの宅配ボタン74を長押しすることにより,受け取った旨の信号を宅配システムS3に送信するようにしてもよいし,ユーザ端末Tuに送信するようにしてもよい。
図30は,さらに他の実施例を示すもので,配送システムのシーケンスである。
上述した実施例では,ユーザは,自分自身の自動車60(自動車60はユーザの家族のものでもよい)に荷物を配達してもらっているが,図30に示す実施例では,ユーザ(受取人)の自動車以外の自動車(たとえば,中古車販売店に置いてある自動車)に荷物を配達するものである。
ユーザの自動車以外の自動車に荷物を配達してもらう場合には,ユーザ端末Tuは,図31に示すような受取場所選択画面80を表示する。
受取場所選択領域81には,上述したラジオ・ボタン82から85のほかにラジオ・ボタン86および87が形成されている。ラジオ・ボタン86の右側に,「中古車販売店の受取用自動車1での受取」と表示されており,ラジオ・ボタン87の右側に,「中古車販売店の受取用自動車2での受取」と表示されている。中古車販売店は,多数の中古車が販売されており,それらの多数の中古車のうち,荷物を受け取る受取用自動車も含まれている(すべての中古車が荷物を受け取る受取用自動車でもよい)。ここでは,2台の受取用自動車が規定されているものとするが,3台以上の受取用自動車が規定されていてもよい。2台の受取用自動車のそれぞれには,上述したユーザ車載機が設置されている。第1の受取用自動車には,第1のユーザ車載機Vm1が設置されており,第2の受取用自動車には,第2のユーザ車載機Vm2が設置されている。あらかじめ登録されているユーザの自宅の近くの中古車販売店が選択される。もっとも,異なる場所にある複数の中古車販売店に置かれている受取用自動車が受取場所選択領域に表示されるようにしてもよい。ユーザは,荷物の受取に便利な場所にある中古車販売店に置かれている受取用自動車を選択することとなろう。
ユーザは,ラジオ・ボタン86を選択して,中古車販売店の受取用自動車1での受取を指定したものとする。受取内容表示領域101には,受取場所として,指定した「中古車販売店の受取用自動車1での受取」と表示される。
図14を参照して説明したように,ユーザ端末Tuは,指定した受取場所等の情報をECシステムS1に送信し,ECシステムS1は,配達先情報を宅配システムS3に送信する。宅配システムS3は,伝票番号,車載機IDおよび希望日時帯の情報を車配達管理システムS2に送信し,車配達管理システムS2は,その車載機IDをもつユーザ車載機Vmに伝票番号および希望日時帯の情報を送信する。この実施例では,「中古車販売店の受取用自動車1での受取」が指定されているから,車配達管理システムS2は,その自動車に設置されているユーザ車載機Vm1に伝票番号および希望日時帯の情報を送信する。この実施例では,中古車販売店に置かれている第1の受取用自動車に設置されているユーザ車載機をユーザ車載機Vm1,第2の受取用自動車に設置されているユーザ車載機をユーザ車載機Vm2とする。
図19を参照して説明したように,配達員は,配達員端末Tdに伝票番号を入力して,配達先である「中古車販売店の受取用自動車1」の駐車位置を取得する。配達員は,荷物を持って,その駐車位置に停めてある自動車に近づき,図20を参照して説明したように,配達員端末Tdを利用して第1の受取用自動車のドアを開け,荷物を配達する。すると,車配達管理システムS2はユーザ端末Tuに伝票番号,車識別情報および配達完了の情報を送信する。
ユーザは,指定した希望日時帯の経過後,所定時間以内(たとえば,1時間以内)に,その中古車販売店に行き,ユーザ端末Tuを操作して,車配達管理システムS2に伝票番号を表す情報および解錠指示信号を送信する。伝票番号および解錠指示信号を受信した車配達管理システムS2は,伝票番号に対応するユーザ車載機IDをもつユーザ車載機Vm1(第1の受取用自動車に設置されているユーザ車載機である)に解錠指示信号を送信する。解錠指示信号を受信したユーザ車載機Vm1のジャンクション・ユニット20は,CAN2に解錠指示信号を出力する。すると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロックを解錠する。ドア・ロックが解錠されるので,ユーザは,ドアを開け,第1の受取用自動車に設置されている荷物を受け取ることができるようになる。第1の受取用自動車から荷物を取り出し,ユーザがドアを閉めると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,ドアを施錠する。
中古車販売店に多数の車がある場合には,それらの多数の車のうち,どの車が第1の受取用自動車かわからないことがある。その場合には,中古車販売店に,第1の受取用自動車がどの車か教えてもらうようにしてもよい。また,図19を参照して説明したように,車配達管理システムS2が第1の受取用自動車に設置されているユーザ車載機Vm1に車位置を問い合わせ,得られた車位置情報をユーザ端末に送信してもよい。
指定した希望日時帯の経過後,所定時間が経過した後であっても,ユーザが荷物を引き取りに来ないことがある。そのような場合において,中古車販売店は,荷物が配達されている第1の受取用自動車の試乗などにより使用したいことがある。しかしながら,配達された荷物が自動車においてあると,試乗中に荷物を取りに来たり,荷物を破損したりしてしまうことがあるので,中古車販売店としては,荷物を他の受取用自動車(この場合,第2の受取用自動車)に動かしたい。この実施例では,荷物を他の受取用自動車に動かすことができるようにする。受取人の自動車以外の自動車に搭載される車載器かどうかについては,例えば,車載器に設定スイッチを設け,その設定スイッチが設定されたことにもとづいて,受取人の車両以外の車両に搭載される車載器と判定することができる。
図30を参照して,希望した日時帯の経過後,所定時間が経過すると,ユーザ車載機Vm1のジャンクション・ユニット20は,CAN2に解錠指示信号を出力し,第1の受取用自動車のドア・ロックを解錠する。中古車販売店の店員は,第1の受取用自動車に配達された荷物を取り出す。第1の受取用自動車に設置されているユーザ車載機Vm1のジャンクション・ユニット20に含まれているLTE回路23は,時間経過での自動解錠情報およびユーザ車載機Vm1の車載機ID情報を宅配システムS3に送信する。宅配システムS3は,受信した時間経過での自動解錠情報およびユーザ車載機Vm1の車載機ID情報を車配達管理システムS2に送信する。車配達管理システムS2は,荷物が配達された第1の受取用自動車のドアが開けられ,配達された荷物が第1の受取用自動車から取り出されたことを認識する。すると,車配達管理システムS2は,第2の受取用自動車のユーザ車載機にドア解錠指示を表す情報を送信する。車配達管理システムS2は,図11に示した車配達管理システム管理テーブルを参照して,第1の受取用自動車と第2の受取用自動車とが同一の中古車販売店に置かれていることを認識でき,第1の受取用自動車に配達された荷物が第1の受取用自動車から取り出されたことにより,中古車販売店の店員により第2の受取用自動車に入れられることとなるので,その第2の受取用自動車のユーザ車載機にドア解錠指示を表す情報を送信する。車配達管理システムS2は,第2の受取用自動車のユーザ車載機Vm2の車載機IPアドレスを車配達管理システム管理テーブルから読み取る。
第2の受取用自動車のユーザ車載機Vm2のジャンクション・ユニット20に含まれているLTE回路23が解錠指示を表す情報を受信すると,ジャンクション・ユニット20はCAN2に解錠指示信号を出力する。すると,ボディECU5はドア・ロック制御装置8を制御し,ドア・ロック制御装置8はドアを解錠する。中古車販売店の店員は,第1の受取用自動車から取り出した荷物を第2の受取用自動車に入れる。第2の受取用自動車に取り付けられている,車内撮影用の第5のカメラ45が,第2の受取用自動車に入れられた荷物に貼付されている伝票番号を読み取ると,荷物が第2の受取用自動車に置かれたことが分かる。すると,第2の受取用自動車のユーザ車載機Vm2に含まれているLTE回路23は,荷物移動での施錠情報,車載機ID情報および伝票番号情報を宅配システムS3に送信する。
宅配システムS3は,受信した伝票番号情報からユーザ端末Tuのメール・アドレスを見つけ出し(宅配システムS3において,伝票番号と荷物の配達先のユーザのユーザ端末Tuのメール・アドレスが記憶されているのはいうまでもない),荷物移動での施錠情報,車載機ID情報およびメール・アドレス情報を車配達管理システムS2に送信する。
車配達管理システムS2は,受信した車載機ID情報から荷物の移動先の車識別情報を読み取り,読み取った車識別情報によって識別される第2の受取用自動車に荷物を移動した旨の配達先変更情報をユーザ端末Tuに電子メールで送信する。ユーザは,ユーザが指定した第1の受取用自動車から第2の受取用自動車に荷物が移動されたことを知る。ユーザは中古車販売店の第2の受取用自動車に行き,第2の受取用自動車に置かれている荷物を受け取る。
上述の実施例では,中古車販売店に置かれている自動車に荷物を配達しているが,中古車販売店に置かれている自動車に限らず,会社の駐車場,その他の出先に停めてある車などへの配達も可能にするとよい。どの位置に自動車が止まっているかを,GPSで送ることとなろう。また,自分の使用予定や,カー・シェアリングでの他人への貸出の予定の時間帯は車両がない旨を,宅配業者が把握できるように情報を提供してもよい。レンタカー,カー・シェアリング,社用車など,駐車場に停めてある車を宅配ボックスとして貸し出せるようにしてもよい。いつも同じ位の時間に帰ってくる人であれば,自宅近くの他人の車を30分くらいレンタルするだけで受け取れるケースもある。特に,カー・シェアリングの予約時間と宅配ボックスの予約時間の時間調整を行う機能を備えるとよい。
さらに,中古車販売業者のメリットとしては,中古車販売業者は,本システム(配送システム)を中古車の価値を高めるため{エンスタ(エンジン・スタータ),セキュリティ(カー・セキュリティ),ドラレコ(ドライブ・レコーダ),宅配受取りシステムで付加価値をつけるため}に利用できる。中古車販売業者は,整備業者を兼ねていることが多いと考えられるので,経営者は整備士が暇なときに本システムの取り付けの仕事を与えることができる。中古車販売業者は,路面に面したところに,中古車を展示しているので,荷物を受け渡しやすい。また,普段中古車展示場にいかない人の足を荷物の受取のため,向かせることができる(新規顧客の開拓)。さらに,宅配ボックスとしてだけでなく,コインロッカーとして機能するようにしてもよい。ユーザ端末Tuにコイン・ロッカー・アプリケーションをインストールしておくと,そのユーザ端末Tuを用いて自動車のドア・ロックを解錠でき,ユーザ端末からユーザ車載機にユーザ端末Tuの電話番号を示す情報を送信し,荷物を入れ,ドアを閉じるとユーザ端末Tuが課金される。後で,そのユーザ端末Tuから電話番号を示す情報を自動車のユーザ車載機に送信し,ユーザ車載が認証すると,自動車のドア・ロックを解錠し,自動車に入れた荷物を受け取る。
上述した実施例においては,配達員が自動車に荷物を配達する例について述べているが,同様にして,集荷する荷物を自動車に入れ,荷物を集荷する人が端末を利用して自動車のドアを開け,自動車の中においてある荷物を取り出して,配達先に配達するようにすることもできる。このように,集荷についても車から直接宅配業者ができるように構成するとよい。ユーザは車に荷物を入れた旨を設定する。宅配業者は車から荷物を集荷する。集荷した旨をユーザに送信する。
さらに,費用負担者の決定システムとして,本システム(配送システム)の利用に必要な費用を運送会社が負担するか,荷主が負担するか,受取人が負担するか,など,誰が負担するかを設定できる機能を備えるとよい。例えば通販で荷主が負担するように設定できれば,店舗が他の店舗との差別化戦略(アピール・ポイント)として活用できる。
さらに,収益モデルとしては,(a)車への配達に成功した場合に課金するモデル(車への運送,車からの運送について成功した分を課金するシステム。),(b)APIエコノミーのやり方のように1APIコールあたり数円を課金するシステムとしてもよい。予約APIのコールに10円,ドア開APIコールに10円,受取APIのコールに10円のように課金していく。(c)システム利用料という形で月額あるいは年額いくらという課金でも構わない。(x)そしてこれらいずれの課金を取るのかを運送主体別に異なるものが使えるようにするとよい。A配送会社は年額モデル,B配送会社は成功報酬モデル,C配送会社はAPI課金モデルなど。
さらに,本システム(配送システム)を搭載したすべての車は宅配ボックスとみなせる。特に勤務時間中に駐車してある車,特にコンビニ,スーパーなど一般の人が出入り可能な駐車場にその勤務時間中に停めてある車は宅配ボックスとみなせる。また,上述のように,中古車販売等のために展示してある車も宅配ボックスとみなすことができる。そこで,勤務時間など駐車した場所に留まる時間をセットしておけば,その時間内は宅配ボックスと利用できるようにする仕組みとするとよい。このようにすると,その場所に留まる時間内(勤務時間内など)に,受取人が荷物を受け取らない恐れがある。そうすると車の中に他人の荷物があり困る。解決策として待ってもらうようにするために,お金をその車の所有者に支払う(遅延損害金のようなもの)仕組みを備えるとよい。あるいは,近隣の車にその荷物を移動できる仕組みを備えるとよい。つまり,車の提供者が留まる時間を過ぎた場合,近隣に留まる車とその車が留まる時間を検索でき,その車に自己の車の中にある荷物を移動できるようにする。受取人には予め移動可能な範囲あるいは移動可能な車を設定できる機能を備えるようにしてもよい。移動があった場合には受取人にその旨の連絡を送信するようにする。
さらに,鍵を開けた,ドアを開けた,ドアを締めた,荷物を入れた,受け取ったという操作状態などを,ブロックチェーンに記録するようにしてもよい。このようにすることで車両への配達状態の改ざんがしにくくなる。例えば,上述した各シーケンス図において,情報を送信する側(矢の基点側)の各々の端末やシステムが,相手方に情報を送信した際に当該情報の内容をインターネット上のブロックチェーンシステムに対しても送信するようにするとよい。望ましくは,上述した各シーケンス図において,情報を受信する側(矢の終点側)の各々の端末やシステムが,相手方から情報を受信した際に当該情報の内容をインターネット上のブロックチェーンシステムに対して送信するようにするとよい。さらに望ましくはこれら両者の処理を行うとよい。ブロックチェーンシステムとしては,プライベート型のシステムを用いるようにしてもよいが,特にパブリック型のシステムを用いるとよい。両者へ送信するようにするとなおよい。ブロックチェーンシステムとしては例えばEthereumまたはHyperledger Projedctのものを用いるとよい。
上述の実施例では,ECシステムS1などが利用されているが,ECシステムS1は必ずしも無くてもよい。配達員端末に伝票番号を入れると,その伝票番号を記憶されている車の鍵が開くようにしてもよい。たとえば,荷物を配達する自動車の近くに配達員が行き,配達員端末と自動車に設置されているユーザ端末とが直接または間接的に通信して,自動車のドア・ロックを解錠するようにしてもよい。たとえば,荷物を配達するための伝票を書き,すなわち,宛先,受取人,送り主,宛先のところに郵便番号,住所,氏名などを書き,時間帯指定も書く。そのような伝票に,車での受け取りという欄を設け,車での受取の欄にチェックが入っていると,配達員は,宛先の所にある自動車を配達員端末で開け,その自動車に荷物を配達する。自動車に設置されているユーザ車載機は,配達員端末から送信(例えば,無線送信)される解錠信号に応じてドア・ロックを解錠する。たとえば,ユーザ車載機に伝票番号を記憶させておき,その伝票番号を示す信号と解錠信号とを配達員端末がユーザ車載機に送信し,ユーザ車載機が記憶している伝票番号を示す信号と受信した伝票番号を示す信号とが一致すると,ユーザ車載機は,自動車のドア・ロックを解錠する。もっとも,配達員端末から送信される解錠信号をユーザ車載機が受信すると自動車のドア・ロックを解錠することにすれば,伝票番号を示す信号をユーザ車載機に送信する必要は必ずしもない。
さらに,上述の実施例では,自動車のドア・ロックを解錠し,車内に荷物を配達しているが,車室内(車内)とトランクとが分かれている自動車では,車室内だけを開けたり,トランクだけを開けたりするように,ユーザ端末でできるようにしてもよい。
さらに,地方などでは車が何台もあるので,すべての車に,この実施例によるユーザ車載機を設置すれば,どれかの車で受け取れる。たとえば,すべての自動車のドアを開け,配達対象の自動車に荷物を配達しすべての自動車に荷物を受け取りましたという情報を送信し,統べての自動車のドアを施錠すればよい。また,複数台の自動車のドアのすべてを開け,荷物を入れて自動車のドアを閉じると,ドアが開けられた自動車から開けられていない自動車にドア・ロックの施錠信号を送信し,かつどの自動車に入れられたという情報をユーザ端末に送るとよい。
上述のユーザ車載機Vmは,自動車60用のバッテリィを動作電源としてもよいし,ユーザ車載機Vm用のバッテリィ(たとえば,モバイル・バッテリィ)を動作電源としてもよい。ユーザ車載機Vm用のバッテリィを動作電源とする場合には,自動車60の運転中に充電するとよい。
荷物を配達する自動車60は,必ずしも自宅に駐車されていなくともよく,会社の駐車場,出先でもよい。上述したようにGPSを利用して駐車位置が分かるからである。自分(ユーザ,受取人)の使用予定や貸し出しカー・シェアリングの使用状態を宅配業者に知らせるといい。自分が使う予定が分かっていれば,その時間帯は自動車が駐車位置に無いということを配達員端末Tdが認識できるようにする。
さらに,荷物の再配達がある場合には,宅配業者のサイトにアクセスして,荷物の再配達を指定することがある。そのような場合に,家への再配達の指定時間よりも自動車への再配達の指定時間の方が遅くしてもよい。たとえば,一定時刻よりも遅い場合には,家への再配達はできないが,自動車への再配達は可能としてもよい。また,自動車への再配達指定時間帯と家への再配達指定時間帯とを異なる時間帯と設定できる機能を設けるとよい。再配達先を家または自動車という欄,再配達先を家の欄,および再配達先を自動車の欄とする欄を設け,家への再配達は午前中,自動車への再配達は午後という設定ができるようにしてもよい。たとえば,荷物が少ない場合には午前中に家に再配達し,荷物が多い場合には午後に自動車に再配達できるようになる。
また,家への再配達と自動車への再配達とで異なる金額としてもよい。たとえば,自宅に再配達する場合には無料とし,自動車に再配達する場合には有料としてもよいし,その逆としてもよい。
さらに,自動車60に荷物を配達した後数日経っても自動車60から荷物が降ろされない場合には,その旨を地図上,近隣を配達員が走行したときに配達員端末Tdから報知するとよい。配達員端末Tdは,受け取されていない旨の紙を印刷し,受取人の家のポストに入れたり,自動車に貼ったりできる。
さらに,ユーザ車載機Vmに車種送信機能を備えてもよい。ユーザ車載機Vmに車種設定ができるような機能を設け,車種を設定すると,車種の情報が取得できるので,ECシステムS1は種情報を取得して,その車種向けの試供品,チラシ,リコール情報を荷物に同梱させることができる。
さらに,ECショップにおいて,自動車への受取を指定した場合,料金を割り引く,自動的におまけをつけるようにしてもよい。また,時間帯ごとに自動車で受け取るか,家で受け取るかを指定できる機能を備えてもよい。それから,送り先指定に,家か車かのどちらをデフォルトに設定する機能を設けて購入時にデフォルトの送り先が表示されるようにするとよい。たとえば,図15から図17に示した受取場所選択画面80において,「車での受取(青色の車)」,「車での受取(赤色の車)」のうち,どちらかが選択された場合には,次に利用する場合にも,その選択された方がチェックされるようするとよい。家にいても自動車60に荷物を配達して欲しいユーザは,ECショップの会員情報の欄で自動車での受取をデフォルトに設定しておけば,車での受取を選ぶ手間,車での受取を選択し損ねることが無い。デフォルトに設定しておけば設定変更する必要がない。自動車への配達を指定した人にポイント付与してもよい。自家用車などの自動車(自動車は,車両の一例である)には,鍵がかかる,荷物を入れるスペースがある,車内(車室内),トランク,車内とトランクとが別の空間の車と同じ空間の車がある,通常自宅の近くに置かれている,多くは自宅の敷地内に置かれているなどの特徴があり,宅配便の荷物を入れる宅配ボックスとして適している。
宅配ボックスの大きさは,一般的には小さく,大きな荷物は入らないことがある。これに対して自動車には,大きい荷物を入れることができる。たとえば,大きなコインロッカーでようやくスーツケース1個入る程度であるが,自動車は,もっと多くの荷物が入るし,大きな荷物も入る。たとえば,組立家具のようなものを自動車に配達することもできる。自動車に入る大きさの荷物まで配達できる。
宅配業者の配達員が留守中に受取人の自宅の鍵を受け取れる,民泊用のシステムを応用したサービスでは,家に人がいなくとも宅配業者が家の鍵を開けて,荷物を置いて帰り,自動的に家の鍵がかかるというものも一応は考えられる。しかしながら,一般の人の家を勝手に宅配業者の配達員が開けて,荷物を家に置いていくのは,リスクが高い。
荷物を宅配する宅配業者は再配達のための人件費が膨大になっていることから,車に荷物を配達できれば大幅なコスト削減となる。したがって,たとえば,自動車への1配達成功で宅配業者から5円から100円程度徴収しても良いと思われる(再配達の人件費が膨大になっていることと,現状でも集荷の場合,荷物をコンビニ等へ持ち込めば,100円引きになるサービスがなされている。)。また,家に配達すると,家の人を呼んで出てくるまで,2,3分など結構時間がかかる。その間,宅配業者の配達員は,ずっと,そこで待っていなければならないが,自動車に荷物を配達すると,配達員は受取人が出てくるまで重い荷物を持ったまま待つということが削減される。
さらに,この実施例による配送システムの利用率が向上すれば,利用料も上がり,配送システムが普及することにより,エンジン・スタータ,カー・セキュリティ,カメラなどの売り上げも上がり,カー用品業界全体が活性化する。
ユーザ(使用者)のターゲットとしては,例えば共働きで車は家においてあるが,平日日中は留守にする者などが考えられる。たとえば,車が通常の配達時間内,たとえば,朝9時から夜9時に車が家にある人をターゲットとするとよい。車で職場に行って家に車が無い,朝9時から夜9時くらいまで車がなくて9時過ぎくらいにかえって来る人は対象外としてもよい。必ず車が一台は,あるユーザがターゲットと考えられる。
また,潜在的なユーザ(潜在ターゲット)としては,家にいても,宅配業者の配達人と会いたくない人(部屋着の着替え,化粧などの準備が不要)や,荷物の時間指定の時間を待っていたくない人などが考えられる(実はこちらの潜在需要は大きいと思われる)。
基本的な仕組みとしては,宅配業者の配達員が,配達先の家の車のドアをあけられるように,車のドア・ロックを解錠する機能を備える。また,宅配業者の配達員が荷物を入れてドアを締めたら自動的にドアをロックする機能を備える。さらに,カー・セキュリティもドアを開ける前に一時的に解除し,ドアが閉じたら復帰させる。さらに,荷物を受け取る人に,荷物が入れられたということをメール,LINE(登録商標)等で連絡する。宅配業者に課金する。
また,実装方法としてはいろいろとりうるが,API(Application Programming Interface)エコノミーとの相性が非常に良いとおもわれる。宅配業者に対してAPIを提供し,宅配業者の自社のシステムからこのAPIをたたくことで,本システム(配送システム)を利用できるようにする。例えば,本APIを利用して配達に成功した場合には,宅配業者に荷物1コあたり5円程度の課金を行う。受取人(ユーザ)は運送会社のホームページにすでにある「配達予定日時(場所)の変更」のページから今もある「コンビニ受取」と同じように「自宅の車での受取」を選ぶだけでよい。宅配業者のシステム変更コストは非常に小さい。
但し,想定される問題点と対策として,宅配業者がいつでも自動車のドアを開けられるようにすると,保安上問題があるので,荷物の配達予定日について開けられるようにするとよい。後述のように,LTE(Long Term Evolution)回線で車に配信できるとよいが,他にもBluetooth等でペアリングしたスマホ(スマートフォン)に日時を入れ,そのスマホを車載機(ユーザ車載機)に近づけ,車載機で読み取って解錠可能な時間を設定したり,各種の通信方法などで設定したりできるようにするとよい。上述した例では車両からの信号はCAN2から受信して取得でき,車両に対する制御はCAN2へ制御信号を送信することでできる車両を例に説明したが,一部または全部の信号を,車両に備えるセンサから取得するようにしたり,車両に備えるアクチュエータ等を制御したりするようにしてもよい。伝票番号の入力は,例えば伝票に伝票番号に対応するバーコード等を印刷してそれを配達員端末Tdに有するセンサで読み取って行うようにしてもよい。
上述の各実施例は例示であり,異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。各実施例に記載の各構成要素は,任意に組み合わせるとよい。また,課題を解決する手段に記載の発明や各構成要素を,各実施例の各構成要素の組み合わせにさらに適用してもよい。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに,本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば,種々の変更,改良,組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明の範囲は,明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく,本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも,その範囲に含むものである。本発明のうち,特許を受けようとする構成を,添付の特許請求の範囲に特定したが,現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても,本明細書に開示される構成を,将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と,発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また,意匠出願への変更出願により,全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが,全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと,部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては,装置の一部の部材としても良いし,その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと,図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を権利化する意思を有する。