JP2022134140A - 機械部品及び時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸部材に対する回転部材の固定力と回転抑止力とを高め、回転トルクの損失が少なく外部応力による変形等に対する耐性が高い機械部品及び機械部品を用いた時計を提供する。【解決手段】機械部品としてのがんぎ車35は、軸部材102と、軸部材102を保持する保持部115と、複数の歯部112を有するリム部111とを有する回転部材としてのがんぎ歯車部101とを備え、保持部115は、リム部111から延在する第1保持部113と、第1保持部113から分岐して設けられた第2保持部114と、を有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、機械部品及び時計に関する。
機械式時計には、歯車等に代表される数多くの機械部品が搭載されている。歯車等の機械部品は、外周に複数の歯部が形成された回転部材の中心に設けられた貫通孔(保持部)に、軸部材が挿入され固定(保持)されてなる。従来、機械部品は金属材料を機械加工することにより形成されているが、近年では、時計用の機械部品の材料としてシリコンを含む基材が用いられるようになっている。シリコンを基材とする機械部品は、金属を基材とするものに比べて軽いことから、機械部品の慣性力を小さくすることができるので、エネルギーの伝達効率の向上が見込まれる。また、シリコンはフォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて形成する形状の自由度が高いため、シリコンを基材とすることで機械部品の加工精度を向上できるという利点もある。
特許文献1に、シリコンで形成された歯車の中央の開口にシャフトを打ち込んだ構造の機械部品が開示されている。特許文献1に記載の機械部品は、歯車の中央の開口に剛性ゾーンと柔軟ゾーンとを有する。剛性ゾーンは、シャフトの外形に沿った形状を有し、シャフトを歯車の開口の中心に配置する。柔軟ゾーンには、円弧状に湾曲しシャフトに対して径方向(シャフトの中心から外側に向かう方向)に変形可能な舌形状部分が設けられ、舌形状部分の先端部がシャフトに当接することにより、シャフトに対する歯車の回転を抑止する。
特開2009-528524号公報
ところで、金属で形成されたシャフトに対してシリコンで形成された歯車を組み合わせる場合、金属同士の組み合わせと比べて、シャフトと歯車との間にすべりが生じやすい。
特許文献1に記載の機械部品では、柔軟ゾーンに設けられた舌形状部分がシャフトを保持する機能を有する。より具体的には、シャフトに対して歯車を固定する役割と、シャフトに対して歯車の回転を抑止する役割と、を舌形状部分が担う構成となっている。しかしながら、歯車(プレート)の面内で円弧状に湾曲した形状の舌形状部分は、径方向に変形可能であるため、シャフトに対して歯車が回転してしまい、回転トルクに損失が生じるおそれがある。また、舌形状部分がシャフトの軸方向(長手方向)に変形し易いため固定力が不足し、シャフトに対して歯車が傾いたり抜けたりして破損してしまうおそれがある。その結果、時計の品質の低下や精度の低下を招くおそれがある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る機械部品は、軸部材と、前記軸部材を保持する保持部と、複数の歯部を有するリム部と、を有する回転部材と、を備え、前記保持部は、前記リム部から延在する第1保持部と、前記第1保持部から分岐して設けられた第2保持部と、を有することを特徴とする。
本適用例の機械部品の構成によれば、軸部材に対して回転部材を固定するとともに回転を抑止するための保持部として、第1保持部と第2保持部とを有する。そのため、第1保持部と第2保持部とで、軸部材に対して回転部材の回転を抑止する役割と、軸部材に対して回転部材を固定する役割と、をそれぞれに適した構成で分担させることができる。これにより、軸部材に対する回転部材の回転を抑止するとともに、回転部材と軸部材とを固定して軸部材に対する回転部材の傾きや抜けを抑止することができる。この結果、時計の品質及び精度の向上に寄与する機械部品を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に係る機械部品であって、前記第1保持部は、前記リム部から前記軸部材に向かう方向に延在し、前記第2保持部は、前記第1保持部と交差する方向に延在する第1部分と、前記第1部分から前記軸部材に向かう方向に延在する第2部分と、を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、リム部から軸部材に向かう方向に延在する第1保持部に対して、第1保持部と交差する方向に延在する第1部分が撓むことで、第2部分がその延在方向である軸部材に向かう方向、及び軸部材から外側に向かう方向に変形することが可能となる。この変形によって生じる応力により、回転部材の中心に軸部材を配置して保持することができる。
[適用例3]上記適用例に係る機械部品であって、前記第2保持部は、複数の前記第1部分を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、第1保持部と第2部分とを接続する複数の第1部分は、第1保持部及び第2保持部(第1部分及び第2部分)で構成される平面内においてリム部から軸部材に向かう方向に撓みやすい。このような第1部分を複数有することにより、回転部材の中心に軸部材を保持するための十分な応力を得ることが可能となる。一方、複数の第1部分は、第1保持部及び第2保持部(第1部分及び第2部分)で構成される平面と交差する軸方向(軸部材の長手方向)には撓みにくい。したがって、第2部分は、軸部材に向かう方向、及び軸部材から外側に向かう方向には変形し易いが、軸方向には変形しにくいので、回転部材と軸部材とを固定して軸部材に対する回転部材の傾きや抜けを抑止することができる。
[適用例4]上記適用例に係る機械部品であって、前記第1保持部、前記第2保持部、及び前記リム部は、同一の材料で形成されていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、回転部材の第1保持部、第2保持部、及びリム部を、同一の基板から同じエッチング工程により形成することができる。これにより、回転部材の生産性を向上させるとともに生産コストを低減することができる。
[適用例5]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記第1保持部と嵌合する溝を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、第1保持部を軸部材の溝に嵌合させることにより、軸部材に対する回転部材の回転を確実に抑止できる。
[適用例6]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、歯車部を有し、前記歯車部の隣り合う歯同士の間隔は、前記溝の幅と等しいことが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、歯車部の隣り合う歯同士の間隔が溝の幅と等しいので、軸部材の製造工程において歯車部を形成する際に、軸部材の軸方向に通して切削加工することにより溝を形成することができる。これにより、歯車部を形成する工程とは別工程で溝を形成する場合と比べて、機械加工を容易に行えるとともに生産性を向上することができる。
[適用例7]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記保持部に対して前記歯車部とは反対側に、前記保持部から遠ざかるにしたがって径が小さくなるように形成された第1テーパー部を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、軸部材は、回転部材の保持部に保持される位置に対して、歯車部とは反対側に第1テーパー部を有している。機械部品を組み立てる工程において、回転部材に第1テーパー部が設けられた側の端部から軸部材を挿通させる場合に、第1テーパー部において軸部材の径が保持部に近付くにしたがって径が大きくなるので、回転部材に軸部材を容易に挿通させて固定することができる。
[適用例8]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記保持部に対して前記歯車部側に、外側に突出するとともに前記第2保持部の前記歯車部側の面に当接する突出部を有し、前記突出部と前記第1テーパー部との間に、前記突出部に近付くにしたがって径が小さくなるように形成された第2テーパー部を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、軸部材は、突出部と第1テーパー部との間に、突出部に近付くにしたがって径が小さくなるように形成された第2テーパー部を有している。ここで、金属からなる軸部材の外形の形状を切削加工や研削加工などの機械加工で形成する場合、軸部材の軸部と突出部との角部を直角に形成することは容易ではなく、角部が円弧状に張り出した張出部ができてしまう場合がある。このような場合に、回転部材に軸部材を挿通して突出部と第2保持部とを当接させようとすると、第2保持部の先端の角部が張出部と干渉してしまう。突出部に近付くにしたがって径が小さくなるように第2テーパー部を形成すれば、第2保持部の先端の角部に対して張出部を軸部材の中心側へ寄せて配置することができる。これにより、第2保持部の先端の角部と張出部との干渉を緩和して、軸部材の所定の位置に回転部材の保持部を固定することができる。
[適用例9]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記突出部と前記第1テーパー部との間に、前記第2保持部と嵌合する凹部を有し、前記第2テーパー部は、前記凹部に設けられていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、軸部材の突出部と第1テーパー部との間に凹部を設けるので、第1テーパー部と凹部との段差ができる。第2保持部を凹部に嵌合させると、第2保持部の一端側は突出部で規制され、第2保持部の他端側は第1テーパー部との段差で規制される。これにより、回転部材と軸部材とをより確実に固定するとともに、回転部材に対する軸部材の傾きや抜けをより確実に抑止することができる。
[適用例10]上記適用例に係る機械部品であって、前記回転部材は、前記軸部材に接着材を介して固定されていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、回転部材が接着材を介して軸部材に固定されるので、回転部材に対する軸部材の傾きや抜けをより確実に抑止できる。
[適用例11]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材に前記回転部材を固定する環状の固定部材を備えていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、回転部材が環状の固定部材により軸部材に固定されるので、回転部材に対する軸部材の傾きや抜けをより確実に抑止できる。
[適用例12]本適用例に係る時計は、上記に記載の機械部品を備えたことを特徴とする。
本適用例の時計の構成によれば、上記適用例のいずれかに記載の機械部品を備えているので、品質に優れた精度の高い時計を提供することができる。
本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図。 実施形態1に係る脱進機構の平面図。 実施形態1に係る機械部品としてのがんぎ車を表面側から見た斜視図。 実施形態1に係る機械部品としてのがんぎ車を裏面側から見た斜視図。 図2のA-A’線に沿う断面図。 実施形態1に係るがんぎ車の軸部材の斜視図。 図5のB部を拡大した部分断面図。 実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車を表面側から見た斜視図。 実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車の軸部材の斜視図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、本発明の時計の一例として、機械式時計をとりあげる。そして、本発明の機械部品の一例として、機械式時計のムーブメントにおける時計部品を構成する歯車の1つであるがんぎ車を例にあげて説明する。以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。
(実施形態1)
[機械式時計]
はじめに、本実施形態に係る時計としての機械式時計1について説明する。図1は、本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図である。図1に示すように、本実施形態に係る機械式時計1は、ムーブメント10と、ムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
図1における紙面の手前側を表側といい、奥側を裏側という。ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。地板11の裏側には、図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、巻真案内穴11aに巻真12が回転自在に組み込まれている。巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15、及び裏押さえ16を有する切換装置により、その軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、きち車17が回転することにより、きち車17と噛合う丸穴車20が回転する。そして、丸穴車20が回転することにより、丸穴車20と噛合う角穴車21が回転する。さらに、角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント10の表輪列は、上述した香箱車(機械部品)22の他に、所謂番車と呼ばれる二番車(機械部品)25、三番車(機械部品)26、及び四番車(機械部品)27により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30及び調速機構31が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車である。三番車26は、二番車25に噛合う歯車である。四番車27は、三番車26に噛合う歯車である。脱進機構30は、上述した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車27と噛み合うがんぎ車(機械部品)35と、がんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル(機械部品)36と、を備えている。調速機構31は、上述した脱進機構30を調速する機構であって、てんぷ(機械部品)40を具備している。
<がんぎ車>
次に、実施形態1に係る脱進機構30が備えるがんぎ車35について、より詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る脱進機構の平面図である。図3は、実施形態1に係る機械部品としてのがんぎ車を表面側から見た斜視図である。図4は、実施形態1に係る機械部品としてのがんぎ車を裏面側から見た斜視図である。図5は、図2のA-A’線に沿う断面図である。図6は、実施形態1に係るがんぎ車の軸部材の斜視図である。図7は、図5のB部を拡大した部分断面図である。
図2~図5に示すように、脱進機構30が備えるがんぎ車35は、回転部材としてのがんぎ歯車部101と、がんぎ歯車部101に同軸(軸線O1)上に固定された軸部材(回転軸)102と、を備えている。
以下の説明では、がんぎ歯車部101及び軸部材102の軸線O1に沿う長手方向を単に軸方向という。がんぎ歯車部101の表面101a及び裏面101bは、軸線O1(軸部材102の中心を軸方向に沿って通る線)と直交している。がんぎ歯車部101の表面101a及び裏面101bに平行な面内で軸線O1を通る方向を径方向という。がんぎ歯車部101及び軸部材102の軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
がんぎ歯車部101は、一方の面としての表面101a、及び、一方の面と反対側の他方の面としての裏面101bが平坦面とされるとともに、全面に亘って均一な厚みとされた板状のものである。がんぎ歯車部101は、単結晶シリコン等、結晶方位を有する材料、または金属等の材料からなる。
がんぎ歯車部101は、複数の歯部112を有するリム部111と、軸部材102を保持する保持部115と、を有する。リム部111は、がんぎ歯車部101の外縁の環状部分である。歯部112は、リム部111の外周から外側に向けて突設されており、特殊な鉤型状に形成されている。複数の歯部112の先端に、後述するアンクル36の爪石144a,144bが接触するようになっている。
保持部115は、リム部111に対して軸部材102側に配置されている。本実施形態では、がんぎ歯車部101は7つの保持部115を有している。保持部115は、環状のリム部111の周方向における7箇所に、360/7°の等ピッチで配置されている。なお、保持部115の数は、3つから7つの範囲でもよいし7つ以上でもよく、特に限定されない。保持部115は、リム部111から延在する第1保持部113と、第1保持部113から分岐して設けられた第2保持部114と、を有する。第1保持部113、第2保持部114(第1部分114a、第2部分114b)、及びリム部111は、同一の材料で一体に形成されている。
がんぎ歯車部101の中央部の保持部115(第1保持部113及び第2保持部114)で囲まれた領域に、軸部材102が挿通されている。換言すれば、保持部115により、がんぎ歯車部101の中央部に軸部材102を挿通させる貫通孔が構成されている。
第1保持部113は、リム部111から軸部材102に向かう方向に延在する。第1保持部113は、溝125に嵌合することで、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の回転を抑止する機能を有する。第1保持部113の先端は、第2保持部114の第2部分114bの先端よりも軸部材102の中心側に位置している。
第2保持部114は、第1部分114aと第2部分114bとを有している。第2保持部114は、軸部材102をがんぎ歯車部101の中心に固定するとともに、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の傾きや抜けを抑止する機能を有する。
第1部分114aは、第1保持部113に接続され、第1保持部113の延在方向と交差する方向に延在する。第2保持部114は、複数の第1部分114aを有する。複数の第1部分114aは、互いに略平行に配置されている。複数の第1部分114aは、第2部分114bに対して、第2部分114bの延在方向に加えられる応力を緩和する機能を有する。第2部分114bは、複数の第1部分114aに接続され、軸部材102に向かう方向に延在する。第2部分114bは、凹部126に嵌合している。
図2に示すように、がんぎ歯車部101を軸部材102から見ると、第1保持部113と第2部分114bとはそれぞれ放射状に径方向の外側に向かって延在する。がんぎ歯車部101の表面101aに平行な面内において、第1保持部113の延在方向と第2部分114bの延在方向とは、それぞれ径方向に沿った方向であるが、互いに平行ではない。
第1部分114aの延在方向は、がんぎ歯車部101の表面101aに平行な面内において、第1保持部113の延在方向及び第2部分114bの延在方向と交差する方向である。
第1保持部113と第2部分114bとの間に梁状に形成された複数の第1部分114aは、複数の第1部分114aで構成される面(がんぎ歯車部101の表面101a及び裏面101b)内において、その延在方向には撓みにくいが、その延在方向と交差する方向には撓みやすい。また、複数の第1部分114aで構成される面と交差する軸方向には撓みにくい。
そのため、軸部材102をがんぎ歯車部101に挿通する際には、複数の第1部分114aが撓んで軸部材102に対して第2部分114bの延在方向に変形することにより、容易に第2部分114bを凹部126に嵌合させることができる。また、がんぎ車35に外力が加えられた際には、第2部分114bの延在方向に変形し易いので、がんぎ歯車部101の中心に軸部材102を保持することができる。一方、軸方向、すなわち軸部材102ががんぎ歯車部101から抜ける方向には変形しにくいので、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の傾きや抜けを抑止することができる。
がんぎ歯車部101は、例えば、シリコンを含むウェハー状の基板の表面に形成したフォトレジストパターンを介して、異方性エッチングを施して基板の厚さ方向に深掘りすることにより形成される。がんぎ歯車部101の第1保持部113、第2保持部114、及びリム部111等の各部を、同一の基板から同じエッチング工程により形成することができ、1枚の基板からがんぎ歯車部101を複数取りできるので、がんぎ歯車部101の生産性を向上させるとともに生産コストを低減することができる。また、フォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて形成するので、形状の自由度が高く、加工精度を向上できるという利点もある。
がんぎ車35(がんぎ歯車部101)の複数の歯部112は、アンクル36に噛合するようになっている。アンクル36は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、軸であるアンクル真142fと、を備えている。アンクル体142dは、アンクル真142fによって回動可能に構成されている。なお、アンクル真142fは、その両端が地板11(図1参照)及び図示しないアンクル受に対してそれぞれ回動可能に支持されている。
3つのアンクルビーム143のうち、2つのアンクルビーム143の先端には爪石144a,144bが設けられ、残り1つのアンクルビーム143の先端にはアンクルハコ145が取り付けられている。爪石144a,144bは、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
このように構成されたアンクル36がアンクル真142fを中心に回動した際に、爪石144a或いは爪石144bが、がんぎ車35の歯部112の先端に接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ145が取り付けられたアンクルビーム143が、図示しないドテピンに接触するようになっており、これによってアンクル36は、同方向にそれ以上回動しないようになっている。その結果、がんぎ車35の回転も一時的に停止するようになっている。
図2に示す平面視において、軸部材102は、がんぎ歯車部101の中央部に配置されている。図3~図6に示すように、軸部材102は、ほぞ部121a,121bと、歯車部としてのがんぎかな部122と、第1テーパー部123と、突出部124(図4~図6参照)と、を有している。軸部材102は、がんぎ歯車部101の保持部115で囲まれた貫通孔内に、裏面101b側から挿通されている。軸部材102は、第1テーパー部123ががんぎ歯車部101の表面101aから軸方向の他端側に向けて突出した状態で、がんぎ歯車部101に固定されている。
ほぞ部121a,121bは、軸部材102における軸方向の両端部に位置している。
ほぞ部121a,121bのうち、軸方向の一端側に位置するほぞ部121aは、図示しない輪列受に回転可能に支持され、軸方向の他端側に位置するほぞ部121bは、地板11に回転可能に支持されている。軸部材102における、がんぎかな部122と突出部124との間の部分を軸部129という(図5及び図6参照)。
歯車部としてのがんぎかな部122は、軸部材102の軸方向におけるほぞ部121a寄りに形成されている。がんぎかな部122は、複数の歯122aを有している。複数の歯122aは、軸部129から径方向の外側に突出するように形成されている。がんぎかな部122が四番車27(図1参照)の歯車部に噛合されることで、四番車27の回転力が軸部材102に伝達され、がんぎ車35が回転するようになっている。
本実施形態では、がんぎかな部122は7つの歯122aを有している。歯122aは、がんぎかな部122の周方向における7箇所に、360/7°の等ピッチで配置されている。したがって、溝128も、がんぎかな部122の周方向における7箇所に360/7°の等ピッチで配置されている。がんぎかな部122における隣り合う歯122a同士の間には、溝128が設けられている。したがって、溝128の数は歯122aの数と同じである。隣り合う歯122a同士の間隔は、溝128の幅と等しい。なお、歯122aの数は、本実施形態では7つであるが、3つから7つの範囲でもよいし7つ以上でもよく、特に限定されない。
図3、図5、及び図6に示すように、第1テーパー部123は、軸部材102の軸方向におけるほぞ部121b寄り、すなわち、がんぎ歯車部101の保持部115に対してがんぎかな部122とは反対側に形成されている(図5参照)。第1テーパー部123は、ほぞ部121a,121bよりも大径に形成されている。第1テーパー部123は、保持部115からほぞ部121b側へ遠ざかるにしたがって径が小さくなるように形成されている。換言すれば、第1テーパー部123は、ほぞ部121b側から突出部124に近付くにしたがって径が大きくなるように形成されている。
突出部124は、保持部115に対してがんぎかな部122側に配置されている。突出部124は、軸部129から径方向の外側に突出するように複数形成されている。突出部124は、第2部分114b(第2保持部114)のがんぎかな部122側の面(裏面101b)に当接している(図5参照)。本実施形態では、突出部124はがんぎかな部122の歯122aと同じ数だけ配置されている。
隣り合う突出部124同士の間には、第1保持部113と嵌合する溝125が設けられている。隣り合う突出部124同士の間隔は、溝125の幅と等しい。溝125の幅は、溝128の幅と等しい。したがって、溝125の幅は、がんぎかな部122の隣り合う歯122a同士の間隔と等しい。
溝125と溝128とは、軸部材102の周方向における同じ位置に配置されている。
換言すれば、図6において軸部材102をほぞ部121b側から軸方向に平面視すると、溝125と溝128とは互いに重なるように配置される。溝125は、軸部材102における軸方向に沿って、突出部124が形成された位置から第1テーパー部123が形成された位置まで延在している。
図5~図7に示すように、軸部材102の軸方向における突出部124と第1テーパー部123との間には、第2保持部114の第2部分114bと嵌合する凹部126が配置されている。凹部126は、径方向において突出部124及び第1テーパー部123よりも内側(軸部材102の中心側)に窪んでいる。凹部126には、突出部124に近付くにしたがって径が小さくなるように形成された第2テーパー部127が設けられている(図7参照)。
軸部材102は、軸部材102となる部材に対して、切削加工や研削加工などの機械加工を行うことにより形成される。軸部材102の材料としては、高温で行う熱酸化処理などの酸化処理の温度に対する十分な耐熱性を有する材料である炭素鋼が好ましい。炭素鋼は、上述した剛性や耐熱性に優れた材料であることに加えて、切削加工や研削加工などの加工性も高い材料であるため、軸部材102の材料として特に好適である。なお、軸部材102の材料として、タンタル(Ta)またはタングステン(W)を用いてもよい。
図6に示すように、溝125は、第1テーパー部123から窪むように形成されている。溝125は、第1保持部113と嵌合することで、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の回転を抑止する機能を有する。溝125は、第1テーパー部123が形成された位置から突出部124が形成された位置まで、軸部材102の軸方向に沿って直線状に形成されている。溝128は、軸部材102の軸方向に沿った溝125の延長線上に位置している。
本実施形態では、溝125は、がんぎかな部122を形成する工程において、ほぞ部121a側からほぞ部121b側まで軸方向に沿って一直線状に、軸部材102の表面から径方向の内側(軸部材102の中心側)に切削加工することにより形成される。すなわち、軸方向における平面視で互いに重なる溝125と溝128とは、同じ工程において1本の溝として形成される。これにより、がんぎかな部122を形成する工程とは別工程で溝125を形成する場合と比べて、機械加工を容易に行えるとともに生産性を向上することができる。
その結果、溝125と溝128とは、軸部材102の周方向における同じ位置に形成される。そして、溝125の幅が、溝128の幅、すなわち、がんぎかな部122の隣り合う歯122a同士の間隔と等しくなるように形成される。また、溝125も、溝128と同様に、軸部材102の周方向における7箇所に360/7°の等ピッチで形成される。
なお、本実施形態では、溝125の底部と軸部129の外周面とが軸部材102の中心から径方向に同じ距離にあるため軸部129には溝が形成されないが、例えば、軸部129の径が本実施形態よりも大きい(太い)場合には、軸部129にも溝が形成される構成としてもよい。
上述したように、溝125には第1保持部113が嵌合する。軸部材102をがんぎ歯車部101にほぞ部121b側から挿通させる際は、第1テーパー部123が保持部115の位置に到達したら、溝125に第1保持部113を嵌合させる。そして、第1保持部113が溝125に嵌合した状態で、突出部124が第2部分114bの裏面101bに当接するまで軸部材102を挿通させる。
図7に示すように、溝125に第1保持部113が嵌合した状態では、第1保持部113と溝125との間に間隙Gが存在するよう設計されている。この状態においては、軸部材102と第1保持部113との間に応力は発生しない。ただし、がんぎ車35を組み込んだ機械式時計1(ムーブメント10)が動作している状態等で、がんぎ車35に外力が加えられたときには、第1保持部113は軸部材102と接触してもよい。
図6に示すように、溝125は、後述する凹部126の底部(第2テーパー部127)から窪むように形成されている。したがって、周方向における溝125と凹部126との間には段差が形成されている。そして、第1保持部113の先端は、凹部126の底部よりも軸部材102の中心側に位置している。そのため、がんぎ車35の回転方向である周方向に外力が加えられても、溝125に第1保持部113が嵌合した状態が保持される。
これにより、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の回転を抑止することができる。
凹部126は、軸方向における第1テーパー部123と突出部124との間に、第1テーパー部123から内側(軸部材102の中心側)に窪むように形成されている。したがって、軸方向における第1テーパー部123と凹部126との間には段差が形成されている。凹部126は、第2保持部114の第2部分114bと嵌合することで、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の抜けを抑止する機能を有する。
凹部126は、軸方向における第1テーパー部123と突出部124との間を周方向に1周、軸部材102の表面から内側(軸部材102の中心側)に切削加工することにより形成される。凹部126は、周方向と交差する軸方向に沿って第1テーパー部123から突出部124まで形成された溝125により、周方向における7個所で分断されている。
軸部材102をがんぎ歯車部101にほぞ部121b側から挿通させる際は、第1テーパー部123が保持部115の位置に到達して、溝125に第1保持部113を嵌合させると、第2部分114bの先端が第1テーパー部123に当接する。第1テーパー部123のほぞ部121b側の径は突出部124側の径よりも小さいので、軸部材102をがんぎ歯車部101の保持部115で囲まれた貫通孔内に容易に挿入できる。
第1テーパー部123の径は突出部124に近付くにしたがって大きくなるので、第2部分114bの先端が第1テーパー部123に当接した状態でさらに軸部材102を挿通させると、凹部126と第2部分114bとが近付くにしたがって、複数の第1部分114aは撓み第2部分114bが軸部材102に対して外側に変形する。そして、第2部分114bは、第1テーパー部123との間の段差を乗り超えて、凹部126に容易に嵌合する。
また、軸部材102に対して第2部分114bが外側に変形することにより、軸部材102の周方向における複数箇所(本実施形態では7箇所)に配置された第2保持部114に応力が生じる。複数箇所の第2保持部114が、互いにこの応力を均衡しようとする作用により、軸部材102の中心ががんぎ歯車部101の中心と重なるように相互の位置関係が調整されて配置される。
第2部分114bは、凹部126に嵌合した状態において、第1テーパー部123と突出部124との間に挟まれている。第2部分114bは、裏面101b側が突出部124に当接しているため、突出部124により軸方向のほぞ部121a側への移動が規制される。第2部分114bは、表面101a側に第1テーパー部123と凹部126との間の段差があるため、この段差により軸方向のほぞ部121b側への移動も規制される。これにより、第2部分114bが凹部126から軸方向にずれることを抑止できる。
上述したように、第2部分114bは軸部材102に対して外側に変形し易いので、容易に軸部材102をがんぎ歯車部101に挿通させることができる。一方、第2部分114bは軸方向、すなわち軸部材102ががんぎ歯車部101から抜ける方向には変形しにくいので、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の傾きや抜けを抑止することができる。
また、図7に示すように、凹部126は、第1テーパー部123側から突出部124に近付くにしたがって、その底部の深さが大きく(深く)なるように形成されている。すなわち、凹部126の底部に、第1テーパー部123側から突出部124に近付くにしたがって径が小さくなる第2テーパー部127が形成されている。
第2部分114bのがんぎかな部122側の面(裏面101b)は、突出部124に当接している。第2部分114bの先端(内周側端部)における突出部124とは反対側(第1テーパー部123側)の角部は、凹部126の底部(第2テーパー部127)に当接している。第2部分114bの先端における突出部124側の角部114cを含む部分は、凹部126の底部(第2テーパー部127)から離れている。
ここで、凹部126を切削などの機械加工で形成する場合、凹部126の底部と側端面との角部を直角に形成することは容易ではなく、突出部124の凹部126側の側端面との角部に断面が円弧状に張り出した張出部127aができてしまう場合がある。一方、第2部分114bの先端の角部114cは、異方性エッチングを用いて形成されるため略直角に形成される。そのため、凹部126の底部に第2テーパー部127が形成されていない場合、がんぎ歯車部101に軸部材102を挿通して第2部分114bの裏面101bに突出部124の凹部126側の側端面を当接させようとすると、第2部分114bの先端の角部114cが張出部127aと干渉してしまう。
第2部分114bの先端の角部114cが張出部127aと干渉すると、第2部分114bの裏面101bに突出部124が当接するまで確実に軸部材102を挿通させることが困難となる。第2部分114bの裏面101bに突出部124が当接するまで軸部材102が挿通できないと、第2部分114bが凹部126と十分嵌合しなかったり、軸部材102に対してがんぎ歯車部101の傾きが生じたりしてしまうこととなる。
本実施形態では、凹部126の底部に、突出部124に近付くにしたがって径が小さくなるように第2テーパー部127を形成するので、張出部127aを第2部分114bの角部114cに対して軸部材102の中心側へ寄せて(角部114cから離間して)配置することができる。これにより、第2部分114bの先端の角部114cと張出部127aとの干渉が緩和されるので、第2部分114bを突出部124に当接した状態で凹部126に確実に嵌合させることができる。
なお、第2部分114bの先端の角部114cと張出部127aとの干渉を避けるため、第2部分114bの先端の角部114cを円弧状に形成する方法も考えられる。角部114cを円弧状に形成するためには、がんぎ歯車部101に対して熱酸化とエッチングとを繰り返す工程、あるいは、がんぎ歯車部101に対して等方性エッチングを施す工程が必要になる。しかしながら、熱酸化とエッチングとを繰り返しても角部114cを張出部127aに対応できる程度の円弧状に形成することは困難である。等方性エッチングを施す工程を追加する場合には工数が増大してしまう。
本実施形態では、軸部材102に凹部126を形成する際に、その底部に第2テーパー部127を形成できるので、工数を増大させることなく、より容易かつ確実に第2部分114bの先端の角部114cと張出部127aとの干渉を緩和することができる。
以上述べたように、第1の実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の構成によれば、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の回転を抑止できるので、回転トルクの損失が少ないがんぎ車35を提供することができる。そして、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の傾きや抜けを抑止できるので、外部応力による変形等に対する耐性が高いがんぎ車35を提供することができる。また、がんぎ歯車部101の保持部115に軸部材102を挿通して嵌合させることで、軸部材102及びがんぎ歯車部101以外の部材を用いることなく容易かつ確実に固定できるので、簡易な工程で効率的にがんぎ車35を製造することができる。
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1に対して、時計の構成は同じであるが、機械部品としてのがんぎ車の構成が一部異なる。ここでは、実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車の構成について、実施形態1との相違点を説明する。
<がんぎ車>
実施形態2に係るがんぎ車35Aの構成について説明する。図8は、実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車を表面側から見た斜視図である。図9は、実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車の軸部材の斜視図である。ここでは、実施形態1に係るがんぎ車35との相違点を説明し、実施形態1と同じ構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、実施形態2に係る機械部品としてのがんぎ車35Aは、回転部材としてのがんぎ歯車部101と、軸部材102Aと、固定部材130と、を備えている。実施形態2に係るがんぎ車35Aは、実施形態1に対して、軸部材102Aに凹部126が形成されていない点と(図9参照)、固定部材130を備えている点と、が異なる。固定部材130は、金属等で形成された環状の部材である。固定部材130は、軸部材102Aの第1テーパー部123にかしめることにより、がんぎ歯車部101を軸部材102Aに固定する機能を有する。
図9に示すように、軸部材102Aは、ほぞ部121a,121bと、歯車部としてのがんぎかな部122と、第1テーパー部123と、突出部124と、を有している。軸部材102Aは、第1テーパー部123と突出部124との間、すなわちがんぎ歯車部101の保持部115に対応する位置に、第1テーパー部123から突出部124に近付くにしたがって径が小さくなる第2テーパー部127を有している。
第2テーパー部127には、がんぎ歯車部101の第2保持部114の第2部分114bが当接する。第2テーパー部127に第2部分114bが当接した状態で、複数の第1部分114aが撓むことにより生じる応力により、第2部分114bで軸部材102Aが保持される。したがって、固定部材130が無い場合でも、がんぎ歯車部101を軸部材102Aに保持できる。
しかしながら、第1テーパー部123と第2テーパー部127との間に段差がないため、がんぎ車35Aに対して軸方向に強い外力が加えられた場合に、第2部分114bが第1テーパー部123と第2テーパー部127との境界を乗り越えて第1テーパー部123側へずれてしまうおそれがある。
そこで、実施形態2では、図8に示すように、固定部材130によりがんぎ歯車部101を軸部材102Aに固定する。すなわち、固定部材130が、第2部分114bの第1テーパー部123側への移動を規制する。また、固定部材130は、溝125に嵌合する第1保持部113のほぞ部121b側への移動も規制する。これにより、実施形態2に係るがんぎ車35Aにおいても、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の傾きや抜けを抑止することができる。
また、実施形態2に係る軸部材102Aにおいても、第2部分114bが当接する部分に、突出部124に近付くにしたがって径が小さくなるように第2テーパー部127が形成されている。そのため、突出部124の側端面との角部に断面が円弧状に張り出した張出部127aがある場合でも、第2部分114bの先端の角部114cと張出部127aとの干渉が緩和されるので、第2部分114bを突出部124に当接させることができる。
なお、実施形態2に係る軸部材102Aを備えたがんぎ車35Aにおいて、固定部材130を備える代わりに、接着材を介してがんぎ車35Aを軸部材102Aに固定する構成としてもよい。
上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態では、がんぎ歯車部101が有する保持部115(第1保持部113、第2保持部114)の数が、がんぎかな部122の歯122aの数と同じ(上記実施形態では7つ)構成であったが、本発明はこれに限定されない。保持部115の数ががんぎかな部122の歯122aの数(すなわち、溝125の数)よりも少ない構成であっても同様の効果が得られる。ただし、この場合は、第1保持部113が、周方向において溝125に嵌合できる位置に配置されているものとする。
また、保持部115の数ががんぎかな部122の歯122aの数よりも少なく、溝125の数もがんぎかな部122の歯122aの数よりも少ない構成であってもよい。この場合は、がんぎかな部122を形成する工程とは別工程で溝125を形成することとなる。
(変形例2)
上記実施形態では、機械部品の一例としてがんぎ車を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の機械部品の構成及びその製造方法は、香箱車22、二番車25、三番車26、四番車27、アンクル36、てんぷ40等の他の機械部品にも適用することができる。
1…機械式時計(時計)、35,35A…がんぎ車(機械部品)、101…がんぎ歯車部(回転部材)、102,102A…軸部材、111…リム部、112…歯部、113…第1保持部、114…第2保持部、114a…第1部分、114b…第2部分、115…保持部、122…がんぎかな部(歯車部)、122a…歯、123…第1テーパー部、124…突出部、125,128…溝、126…凹部、127…第2テーパー部、130…回転部材。

Claims (12)

  1. 軸部材と、
    前記軸部材を保持する保持部と、複数の歯部を有するリム部と、を有する回転部材と、を備え、
    前記保持部は、前記リム部から延在する第1保持部と、前記第1保持部から分岐して設けられた第2保持部と、を有することを特徴とする機械部品。
  2. 前記第1保持部は、前記リム部から前記軸部材に向かう方向に延在し、
    前記第2保持部は、前記第1保持部と交差する方向に延在する第1部分と、前記第1部分から前記軸部材に向かう方向に延在する第2部分と、を有することを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記第2保持部は、複数の前記第1部分を有することを特徴とする請求項2に記載の機械部品。
  4. 前記第1保持部、前記第2保持部、及び前記リム部は、それぞれ同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の機械部品。
  5. 前記軸部材は、前記第1保持部と嵌合する溝を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の機械部品。
  6. 前記軸部材は、歯車部を有し、
    前記歯車部の隣り合う歯同士の間隔は、前記溝の幅と等しいことを特徴とする請求項5に記載の機械部品。
  7. 前記軸部材は、前記保持部に対して前記歯車部とは反対側に、前記保持部から遠ざかるにしたがって径が小さくなるように形成された第1テーパー部を有することを特徴とする請求項6に記載の機械部品。
  8. 前記軸部材は、前記保持部に対して前記歯車部側に、外側に突出するとともに前記第2保持部の前記歯車部側の面に当接する突出部を有し、
    前記突出部と前記第1テーパー部との間に、前記突出部に近付くにしたがって径が小さくなるように形成された第2テーパー部を有することを特徴とする請求項7に記載の機械部品。
  9. 前記軸部材は、前記突出部と前記第1テーパー部との間に、前記第2保持部と嵌合する凹部を有し、
    前記第2テーパー部は、前記凹部に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の機械部品。
  10. 前記回転部材は、前記軸部材に接着材を介して固定されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の機械部品。
  11. 前記軸部材に前記回転部材を固定する環状の固定部材を備えていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の機械部品。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の機械部品を備えたことを特徴とする時計。
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