JP2019219249A - 脱進機、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents
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Abstract
Description
この脱進機は、主にがんぎ車と、てんぷに設けられた振り座と、てんぷの往復回転に基づいて回動可能とされ、がんぎ車の歯部に対して係脱可能な入爪石及び出爪石を有するアンクルと、備えている。入爪石及び出爪石は、アンクルの回動に伴ってがんぎ車の歯部に対して交互に係脱可能とされている。
しかしながらクラブトゥース・レバー脱進機は、がんぎ車側からアンクルを介しててんぷ側に伝えるトルクの伝達効率(脱進機効率)が低いことが一般的に知られており、改善の余地がある。
この場合には、入爪石からアンクルを介しててんぷに伝えるトルクの伝達量と、出爪石からアンクルを介しててんぷに伝えるトルクの伝達量と、の供給バランスを最適なバランスとなるように変化させることができ、トルク伝達効率を改善することが可能とされている。
この場合には、入爪石及び第1がんぎ歯車と、出爪石及び第2がんぎ歯車と、の組み合わせをそれぞれ別個に設計できるので、上述した場合と同様に、第1がんぎ歯車の歯部と入爪石との接触時におけるがんぎ車の回転作動角と、第2がんぎ歯車の歯部と出爪石との接触時におけるがんぎ車の回転作動角と、を不均一にすることができ、トルク伝達効率を改善することが可能とされている。
この場合には、第1がんぎ歯及び第2がんぎ歯をそれぞれ別個に設計できるので、上述した場合と同様に、第1がんぎ歯と入爪石との接触時におけるがんぎ車の回転作動角と、第2がんぎ歯と出爪石との接触時におけるがんぎ車の回転作動角と、を不均一にすることができ、トルク伝達効率を改善することが可能とされている。
従って、直接的なトルク伝達と間接的なトルク伝達とを交互に行いながら(切り換えながら)、がんぎ車からてんぷにトルクを補充することができると共に、てんぷに対応した一定の振動でがんぎ車の回転を制御することができる。つまり、半間接−半直接衝撃型の脱進機とすることができ、間接型脱進機である従来のクラブトゥース・レバー脱進機に比べて、トルク伝達効率を高めることができる。
また、第1回転作動角度と第2回転作動角度とがあえて同一の作動角度となるように、がんぎ車、てんぷ及び制御部材を配置させる必要がないので、これらがんぎ車、てんぷ及び制御部材をそれぞれ制約少なく自由に設計配置することが可能である。そのため、最適なレイアウトで脱進機を構成することができ、作動誤差が少なく、計時精度に優れた(時刻誤差が少ない)脱進機とすることが可能である。
次いで、てんぷが第2回転方向に回転した際、これに伴ってアンクルが回動し、がんぎ歯と第2爪石との係合が解除される。これにより、がんぎ車の停止の解除を行うことができる。すると、回転を開始したがんぎ車のがんぎ歯が第2爪石における摺動面上を摺動しながら相対移動する。これにより、がんぎ車から第2爪石にトルクを伝えることができると共に、さらにアンクルを介しててんぷに間接的にトルクを伝えることができる。この間接的なトルク伝達後、すなわちがんぎ歯が第2爪石から離れた後、がんぎ歯と第1爪石とが係合するので、がんぎ車の回転を停止することができる。
またがんぎ歯車を2層化することで,例えばてんぷ振動1周期で、各々のがんぎ歯(第1がんぎ歯及び第2のがんぎ歯)が摺動する距離を短くすることができるため、摺動摩耗を低減することができる。
さらに、第1がんぎ歯車と第2がんぎ歯車とを別個に設計することができ、例えば第1がんぎ歯及び第2がんぎ歯をそれぞれに適した異なる形状に形成する、或いは第1がんぎ歯車及び第2がんぎ歯車をそれぞれ異なる径に形成する等、トルク伝達効率のさらなる高効率化に繋がる最適な設計を行い易い。
次いで、てんぷが第2回転方向に回転した際、これに伴ってアンクルユニットが回動し、がんぎ歯と第2爪石との係合が解除される。これにより、がんぎ車の停止の解除を行うことができる。そのため、回転を開始したがんぎ車のがんぎ歯と第2接触爪石とを接触(衝突)させることができ、がんぎ車から第2接触爪石及びアンクルユニットを介しててんぷに間接的にトルクを伝えることができる。この間接的なトルク伝達後、がんぎ歯と第1爪石とが係合するので、がんぎ車の回転を停止することができる。
それに加え、所定回転作動角度に対して第1回転作動角度が占める割合を75%未満とするので、てんぷが第2回転方向に回転するときのがんぎ車の回転作動角度(第2回転作動角度)が例えば過度に小さい作動角度になることを防ぐことができる。これにより、例えばアンクルが適切に作動するための作動角を確保することができ、安定して作動する信頼性の高い脱進機とすることができる。従って、優れたトルク伝達効率を維持しつつ、アンクルを適切に作動させることができ、さらに安定した作動性能を具備する信頼性の高い脱進機とすることができる。
なお、がんぎ歯の数が少ないほど、第1回転作動角度及び第2回転作動角度を大きくすることができるので、トルク伝達効率を高めることが可能である。
(11)本発明に係る時計は、前記時計用ムーブメントと、前記脱進機及び前記調速機により調速された回転速度で回転する指針と、を備えている。
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げて説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上方、その反対側を下方と定義して説明する。
地板11の表側には、表輪列(本発明に係る輪列)12と、表輪列12の回転を制御する脱進機13と、脱進機13を調速する調速機14と、を備えている。
図3及び図4に示すように、てんぷ30は、てん真31、てん輪32及び図示しないひげぜんまいを備え、地板11と図示しないてんぷ受との間に軸支されている。てんぷ30は、ひげぜんまいを動力源として、第2軸線O2回りに、香箱車20の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)する。
図示の例では、第2軸線O2を中心として90度の間隔をあけて4つのアーム部33が配置されたてん輪32としているが、アーム部33の数、配置や形状はこの場合に限定されるものではなく、自由に変更して構わない。
振り座35は、例えば金属材料や単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料等により形成されている。振り座35の製造方法としては、例えば電鋳加工、フォトリソグラフィ技術のような光学的な手法を取り入れたLIGAプロセス、DRIE、金属粉末射出成形(MIM)等が挙げられる。ただし、この場合に限定されるものではなく、その他の方法で振り座35を形成しても構わない。
大つば36には、該大つば36を上下に貫通する貫通孔38と、径方向に沿って延びると共に径方向の外側に開口するようにU字状に形成されたスリット39と、が形成されている。
なお、振り石40は、てんぷ30に伴って第2軸線O2回りに往復回転し、その途中で後述するアンクルハコ81に対して離脱可能に係合する。
図3及び図4に示すように、脱進機13は、上述した振り座35と、てんぷ30に設けられた接触爪石50と、ぜんまいから表輪列12を介して伝達される動力によって回転するがんぎ車60と、てんぷ30の回転に基づいてがんぎ車60を回転及び停止させる制御部材70と、を備えている。
なお、これ以降、がんぎ車60に伝達される動力を、単にトルクと称する場合がある。
接触爪石50は、がんぎ車60の後述するがんぎ歯63に対して接触可能とされ、がんぎ車60に伝わったトルクをてんぷ30に伝えるための爪石とされている。接触爪石50は、振り座35における大つば36に取り付けられている。
なお、接触爪石50は、大つば36よりも下方に突出しないようにスリット39内に固定されている。これにより、接触爪石50と後述するアンクル71とが互いに接触することが防止されている。
図3、図4及び図6に示すように、がんぎ車60は、四番車23と噛合するがんぎかな61が形成されたがんぎ軸部62と、がんぎ軸部62に例えば圧入等によって一体的に固定され、複数のがんぎ歯63を有するがんぎ歯車64と、を備えている。
なお本実施形態では、がんぎ歯63の歯数を8歯、がんぎかな61の歯数を10歯とした場合に例に挙げて説明している。ただし、この場合に限定されるものではなく、がんぎ歯63及びがんぎかな61の歯数は、適宜変更して構わない。
なお、第1軸線O1を中心として時計回りに回転する方向を時計方向M3、その反対方向を反時計方向M4という。さらに、がんぎ車60の回転に伴ってがんぎ歯63の歯先が描く回転軌跡Rを、単にがんぎ歯車64の回転軌跡Rという。
がんぎ車60は、主にこれら第1肉抜き孔68及び第2肉抜き孔69によって計量化が図られている。ただし、この場合に限定されるものではなく、がんぎ車60の性能や剛性等に影響を与えない範囲で、さらに肉抜き孔を形成しても構わないし、薄肉部等を設けても構わない。
図3、図4及び図6に示すように、制御部材70は、てんぷ30の回転に基づいて第3軸線O3回りに回動するアンクル71を備え、がんぎ車60の回転を制御、すなわちがんぎ車60の回転の開始、及び回転の停止を制御する。
アンクル71は、がんぎ歯63に対して係脱可能とされた入爪石72及び出爪石73を有している。またアンクル71は、回動軸であるアンクル真75と、2本のアンクルビーム76、77を有するアンクル体78と、を備えている。
アンクル真75における軸方向の中央部分には、アンクル真75よりも拡径したフランジ部75cが一体に形成されている。アンクル体78は、フランジ部75c上に載置された状態で、例えば圧入等によりアンクル真75に一体に固定されている。
剣先82は、一方のアンクルビーム76の先端部に対して下方から例えば圧入等によって嵌め込まれることで、アンクルビーム76に一体に固定されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば一方のアンクルビーム76の先端部に接着剤、カシメ等を利用して剣先82を固定しても構わない。
なお、剣先82の先端部は、振り石40がアンクルハコ81から離脱している状態において、小つば37の外周面のうちツキガタ43を除いた部分に対して若干の隙間をあけて径方向に対向し、且つ振り石40がアンクルハコ81に係合している状態において、ツキガタ43内に収容される。
入爪石72のうち、がんぎ車60の回転方向とは反対の反時計方向M4側を向いた側面は、がんぎ歯車64におけるがんぎ歯63の作用面63aが係合する係合面72aとされている。
係合面73aは、スリット85に沿うように平坦に形成され、がんぎ歯車64におけるがんぎ歯63の作用面63aが係合可能とされている。
摺動面73bは、係合面73aよりもがんぎ車60側に位置していると共に、スリット85側からがんぎ車60側に向かうにしたがって、がんぎ車60の回転方向である時計方向M3側に向けて延びるように形成された傾斜面とされ、がんぎ歯63が摺動可能とされている。
具体的には、アンクル71は、てんぷ30の往復回転に伴って移動する振り石40によって、てんぷ30の回転方向とは反対の方向に向けて第3軸線O3回りに回動する。このとき、入爪石72及び出爪石73は、アンクル71の回動によってがんぎ歯車64の回転軌跡Rに対する進入と退避とを交互に繰り返す。これにより、がんぎ歯車64におけるがんぎ歯63の作用面63aを、入爪石72の係合面72a、或いは出爪石73の係合面73aに対して係合させることが可能となる。
特に、入爪石72及び出爪石73は、第3軸線O3を挟んで配置されているので、がんぎ歯63と入爪石72とが係合しているときに、出爪石73ががんぎ歯63から離脱し、がんぎ歯63と出爪石73とが係合しているときに、入爪石72ががんぎ歯63から離脱する。
第1ドテピン90は、一方のアンクルビーム76を挟んでがんぎ車60とは反対側に配置されている。第2ドテピン91は、他方のアンクルビーム77を挟んでがんぎ車60とは反対側に配置されている。これら第1ドテピン90及び第2ドテピン91は、例えば地板11から上方に向けて突出するように固定され、アンクル体78と同等の高さに位置している。
さらに、図6に示すように、アンクル真75の第3軸線O3とがんぎ歯63の歯先とを結ぶ仮想線を第1直線L1、第1直線L1と直交する仮想線を第2直線L2と定義したときに、入爪石72の係合面72aとがんぎ歯63の作用面63aとが係合した際、入爪石72の係合面72aが第2直線L2に対して、がんぎ車60の回転方向である時計方向M3側に所定角度αだけ傾斜するように、入爪石72がアンクルビーム76に固定されている。なお、所定角度αとしては、例えば11°から16°程度である。
さらに、入爪石72と同様に、出爪石73の係合面73aとがんぎ歯63の作用面63aとが係合した際(図10参照)、出爪石73の係合面73aが第2直線L2に対して、がんぎ車60の回転方向である時計方向M3に所定角度αだけ傾斜するように、出爪石73がアンクルビーム77に固定されている。なお、所定角度αとしては、例えば11°から16°程度である。
具体的には、第1回転作動角度θ1が第2回転作動角度θ2よりも大きくなるようにがんぎ車60の回転が、アンクル71を含む制御部材70によって制御されている。この点については、後に詳細に説明する。
次に、上述のように構成された脱進機13の動作について説明する。
なお、以下の説明における動作開始状態では、図6に示すように、がんぎ歯63の作用面63aが入爪石72の係合面72aに係合していると共に、他方のアンクルビーム77における外側面77aが第2ドテピン91に対して接触してアンクル71が位置決めされている。これにより、がんぎ車60は回転が停止している。さらに、てんぷ30の自由振動によって振り石40が第1回転方向M1に移動し、アンクルハコ81の内側に進入している。なお、接触爪石50は、がんぎ歯車64の回転軌跡Rから退避している。
なお、アンクルハコ81と振り石40との係合時、ツキガタ43が形成されているために、小つば37と剣先82とは互いに接触することがない。従って、てんぷ30からの動力をアンクル71に効率よく伝えることができる。
そして、入爪石72ががんぎ歯車64の回転軌跡Rから僅かに外れた位置まで移動することで、入爪石72をがんぎ歯63から離脱させて、がんぎ歯63との係合を解除することができる。これにより、がんぎ車60の停止の解除を行うことができる。
このように、がんぎ車60を瞬間的に後退させることで、表輪列12の噛み合いをより確実にすることができ、安定且つ高い信頼性で表輪列12を作動させることができる。
この段階で、てんぷ30への直接的なトルク伝達動作が終了する。
そして、図11に示すように、振り石40がアンクル71のアンクルハコ81内に進入すると、振り石40はアンクルハコ81の内面のうち、振り石40よりも該振り石40の進行方向側に位置するクワガタ80側の内面に接触して係合すると共に、アンクルハコ81を第2回転方向M2に向けて押圧する。これにより、振り石40を介してひげぜんまいからの動力がアンクル71に伝わる。
この段階で、てんぷ30への間接的なトルク伝達動作が終了する。
つまり、直接衝撃及び間接衝撃を併用した、半間接−半直接衝撃型の脱進機13として動作させることができ、間接衝撃型である従来のクラブトゥース・レバー脱進機に比べて、トルク伝達効率を高めることができる。
より詳細には、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車60が回転する所定回転作動角度θ3に対して、第1回転作動角度θ1が占める割合が50%よりも大きく、且つ75%未満となるようにがんぎ車60の回転が制御されている。
本実施形態では、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車60が回転する所定回転作動角度θ3に対して、第1回転作動角度θ1が占める割合が略66.7%となるようにがんぎ車60の回転が制御されている。
上述の動作において、てんぷ30が1往復する間、がんぎ車60は1歯分だけ回転する。本実施形態のがんぎ車60は、がんぎ歯63を8歯有しているので、てんぷ30が1往復する間、第1軸線O1回りに45度回転する。従って、図15に示すように、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車60が回転する所定回転作動角度θ3は、45度となる。
従って、図15に示すように、図6に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車60から、図10に示す状態を実線で表したがんぎ車60に移行するまでの角度が第1回転作動角度θ1に相当し、本実施形態では30度としている。
従って、図16に示すように、図11に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車60から、図14に示す状態を実線で表したがんぎ車60に移行するまでの角度が第2回転作動角度θ2に相当し、本実施形態では15度としている。
なお、第1回転作動角度θ1と第2回転作動角度θ2との合計が、所定回転作動角度θ3に相当する。
また、第1回転作動角度θ1と第2回転作動角度θ2とがあえて同一の作動角度となるように、がんぎ車60、てんぷ30及びアンクル71を配置する必要がないので、これらがんぎ車60、てんぷ30及びアンクル71をそれぞれ制約少なく自由に設計配置することが可能である。そのため、最適なレイアウトで脱進機13を構成することができ、作動誤差が少なく、計時精度に優れた(時刻誤差が少ない)脱進機13とすることが可能である。
従って、優れたトルク伝達効率を維持しつつ、アンクル71を適切に作動させることができ、安定した作動性能を具備する信頼性の高い脱進機13とすることができる。
また、本実施形態のムーブメント10及び時計1によれば、上記脱進機13を具備しているので、同様に計時精度に優れた高性能なムーブメント10及び時計1となる。特に、トルク伝達効率に優れた脱進機13を具備するので、例えばてんぷ30の振り角を大きく維持し易く、例えば外乱の影響を受け難いムーブメント10及び時計1となる。
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、がんぎ車60が単層構造とされていたが、第2実施形態では、がんぎ車が二層構造とされている。
本実施形態では、図19に示すように、第1実施形態におけるがんぎ歯63を、第1がんぎ歯111と称する。また、がんぎ車101の回転に伴って第1がんぎ歯111の歯先が描く回転軌跡R1を、単に第1がんぎ歯車110の回転軌跡R1という。
さらに、第1がんぎ歯111のうち、時計方向M3を向いた側面は、接触爪石50に対して接触すると共に、入爪石72に対して係合する第1作用面111aとされている。
なお、第2がんぎ歯121の歯数は、第1がんぎ歯111の歯数と同様に、8歯とされている。また、がんぎ車101の回転に伴って第2がんぎ歯121の歯先が描く回転軌跡R2を、単に第2がんぎ歯車120の回転軌跡R2という。
なお、第2がんぎ歯121は、いわゆるクラブトゥース・レバー脱進機におけるがんぎ歯車の歯形を有しており、時計方向M3を向いた側面(第2作用面121a)を介して出爪石73に対して衝撃を与え、アンクル71にエネルギー伝達を行う役割を担っている。
なお、第3肉抜き孔125は、第1がんぎ歯車110に形成された第1肉抜き孔68と同一且つ同サイズの形状とされている。
上述のように構成されている本実施形態の脱進機100であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。以下、本実施形態の脱進機100の動作について簡単に説明する。
図20に示す状態から、てんぷ30が第1回転方向M1に回転すると、振り石40がアンクルハコ81の内面に接触して係合すると共に、アンクルハコ81を第1回転方向M1に押圧する。これにより、振り石40を介して、ひげぜんまいからの動力がアンクル71に伝わる。
これにより、がんぎ車101に伝わったトルクを、接触爪石50及び振り座35を介しててんぷ30に直接的に伝えることができる。従って、がんぎ車101に伝わったトルクを、てんぷ30に対して直接的に伝えることで、てんぷ30にトルクを補充することができる。
この段階で、てんぷ30への直接的なトルク伝達動作が終了する。
そして、図24に示すように、振り石40がアンクル71のアンクルハコ81内に進入すると、振り石40はアンクルハコ81の内面に接触して係合すると共に、アンクルハコ81を第2回転方向M2に向けて押圧する。これにより、振り石40を介してひげぜんまいからの動力がアンクル71に伝わる。
この段階で、てんぷ30への間接的なトルク伝達動作が終了する。
具体的には、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車101が回転する所定回転作動角度θ3に対して、第1回転作動角度θ1が占める割合が略66.7%となるようにがんぎ車101の回転が制御されている。
上述の動作において、てんぷ30が1往復する間、がんぎ車101は1歯分だけ回転する。従って、図27及び図28に示すように、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車60が回転する所定回転作動角度θ3は、45度となる。
従って、図27に示すように、図20に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車101から、図23に示す状態を実線で表したがんぎ車101に移行するまでの角度が第1回転作動角度θ1に相当し、本実施形態では30度としている。
従って、図28に示すように、図24に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車101から、図26に示す状態を実線で表したがんぎ車101に移行するまでの角度が第2回転作動角度θ2に相当し、本実施形態では15度としている。
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、制御部材70が1つのアンクル71を備えていたが、第3実施形態では、制御部材70が複数のアンクルで構成されたアンクルユニットを備えている。
さらに第1実施形態では、大つば36及び小つば37が一体形成された振り座35を有し、大つば36に振り石40及び接触爪石50が固定されていたが、第3実施形態では、大つば及び小つばが別体に形成された振り座を有し、大つばに振り石が固定され、小つばに第1接触爪石が固定されている。
振り座140は、互いに別体に形成された大つば141及び小つば142を備えている。大つば141は、中心部にてん真31を挿通させるための図示しない挿通孔が形成された円板状に形成され、第2軸線O2と同軸上に配置された状態でてん輪32の下方に配置されている。大つば141のうち、後述する小つば本体142bよりも径方向の外側に位置する部分に、振り石40を固定するための貫通孔143が形成されている。この貫通孔143内に振り石40が圧入等により固定されている。
なお、振り石40は、大つば141よりも下方に延びるように形成されているが、小つば本体142bよりも上方に位置するように形成されている。
なお、肉抜き孔に代えて薄肉部等を形成しても構わないし、肉抜き孔に加えて薄肉部等をさらに追加して形成しても構わない。
さらに小つば142は、挿入部が大つば141に形成された挿通孔内に下方から挿入されて該挿通孔の内側に嵌合されると共に、フランジ部142aが大つば141に対して下方から接触した状態でてん真31に対して組み合わされている。これにより、大つば141は、小つば142に対して一体的に組み合わされていると共に、小つば142を介しててん真31に一体的に組み合わされている。
第1接触爪石150は、がんぎ車160の後述するがんぎ歯161に対して接触可能とされ、がんぎ車160に伝わったトルクをてんぷ30に伝えるための爪石とされている。
第1接触爪石150は、小つば本体142bに形成されたスリット144内に径方向の外側から挿入され、例えば接着剤等により固定されている。第1接触爪石150は、振り石40と同様に例えばルビー等の人工宝石によって形成されている。第1接触爪石150は、小つば本体142bの径方向に沿って延びた矩形板状に形成され、先端部が小つば本体142bの外周縁よりも径方向の外側に突出している。
なお、第1接触爪石150は、振り石40よりも下方に位置する小つば本体142bに固定されているので、後述するアンクルユニット170に対して接触することが防止されている。
がんぎ歯161の作用面161aが第1接触爪石150の第1接触面151に対して接触することで、がんぎ車160から第1接触爪石150にエネルギーが伝えられる。
がんぎ車160は、四番車23と噛合するがんぎかな61が形成されたがんぎ軸部62と、がんぎ軸部62に例えば圧入等によって一体的に固定され、複数のがんぎ歯161を有するがんぎ歯車162と、を備えている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、がんぎ歯161の歯数を8歯とした場合に例に挙げて説明している。ただし、この場合に限定されるものではなく、がんぎ歯161の歯数は、適宜変更して構わない。
さらに本実施形態において、がんぎ車160の回転に伴ってがんぎ歯161の歯先が描く回転軌跡Rを、単にがんぎ歯車162の回転軌跡Rという。
がんぎ歯161のうち、反時計方向M4を向いた側面は、第1接触爪石150及び後述する第2接触爪石200に対して接触すると共に、後述する第1停止爪石(本発明に係る第1爪石)210及び第2停止爪石(本発明に係る第2爪石)220に対して係合する作用面161aとされている。
制御部材70は、複数のアンクル180、190で構成され、てんぷ30の回転に基づいて回動するアンクルユニット170を備え、がんぎ車160の回転を制御、すなわちがんぎ車160の回転の開始、及び回転の停止を制御する。
本実施形態のアンクルユニット170は、第1アンクル180及び第2アンクル190を備えている。これら第1アンクル180及び第2アンクル190は、互いに相対変位可能に連結され、これによって一列状に繋がるように連結されている。そして、アンクルユニット170は、てんぷ30の往復回転に基づいて、第1アンクル180及び第2アンクル190を各別に回動させるように変位する。
第1停止爪石210及び第2停止爪石220は、がんぎ車160の停止及びその解除を行うための爪石とされ、第2アンクル190にそれぞれ固定されている。
第1アンクル180は、回動軸である第1アンクル真181、及び第1アンクル体182を備え、てんぷ30の往復回転に基づいて第4軸線O4回りに回動する。
第1アンクル真181における軸方向の中央部分には、第1アンクル真181よりも拡径したフランジ部181cが一体に形成されている。第1アンクル体182は、フランジ部181c上に載置された状態で、例えば圧入等により第1アンクル真181に一体に固定されている。
本実施形態の剣先82は、第1アンクルビーム183の先端部に対して上方から例えば圧入等によって嵌め込まれることで、第1アンクルビーム183に一体に固定されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば第1アンクルビーム183の先端部に接着剤、カシメ等を利用して剣先82を固定しても構わない。
剣先82は、平面視でアンクルハコ81よりも第1アンクル真181側に寄った位置に固定されていると共に、大つば141と同等の高さに位置するように固定されている。
具体的には、第1アンクル180は、てんぷ30の往復回転に伴って移動する振り石40によって、てんぷ30の回転方向とは反対の方向に向けて第4軸線O4回りに回動する。このとき、第2接触爪石200は、第1アンクル180の回動によってがんぎ歯車162の回転軌跡Rに対する進入と退避とを繰り返す。これにより、がんぎ歯車162におけるがんぎ歯161の作用面161aを、第2接触爪石200の第2接触面201に対して接触(衝突)させることが可能とされている。がんぎ歯161の作用面161aが第2接触爪石200の第2接触面201に対して接触することで、がんぎ車160から第2接触爪石200にエネルギーが伝えられる。
第2アンクル190は、第1アンクル180よりも、がんぎ車160の回転方向とは反対の時計方向M3側に配置され、回動軸である第2アンクル真191及び第2アンクル体192を備えている。そして、第2アンクル190は、第1アンクル180の回転に基づいて、第1アンクル180の回動方向とは反対の方向に向けて第5軸線O5回りに回動する。
第2アンクル真191における軸方向の中央部分には、第2アンクル真191よりも拡径したフランジ部191cが一体に形成されている。第2アンクル体192は、フランジ部191c上に載置された状態で、例えば圧入等により第2アンクル真191に一体に固定されている。
係合フォーク186の内側に係合ピン195が入り込んでいることで、係合ピン195の外周面と係合フォーク186の内面とは、互いに摺動可能に係合している。これにより、第1アンクル180及び第2アンクル190は、相対変位可能に互いに連結され、且つ互いに反対方向に向けて回動することが可能とされている。
第1停止爪石210の突出した部分のうち、がんぎ車160の回転方向とは反対の時計方向M3側を向いた側面は、がんぎ歯車162におけるがんぎ歯161の作用面161aが係合する第1係合面210aとされている。なお、第1停止爪石210は、いわゆる入爪石72として機能する。
第2停止爪石220の突出した部分のうち、がんぎ車160の回転方向とは反対の時計方向M3側を向いた側面は、がんぎ歯車162におけるがんぎ歯161の作用面161aが係合する第2係合面220aとされている。なお、第2停止爪石220は、いわゆる出爪石73として機能する。
特に、第1停止爪石210と第2停止爪石220とが第5軸線O5を挟んで配置されているので、第1停止爪石210ががんぎ歯車162に対して係合するときに第2停止爪石220ががんぎ歯車162から離脱し、第1停止爪石210ががんぎ歯車162から離脱したときに第2停止爪石220ががんぎ歯車162に係合する。
また、第1アンクル体182には、第1アンクル真181が固定された部分から、第2アンクルビーム184とは反対の方向に向けて延びた規制レバー240が形成されている。そして、第2停止爪石220ががんぎ車160のがんぎ歯車162と係合した際、規制レバー240がドテピン230に対して接触するように構成されている。
上述のように構成されている本実施形態の脱進機130であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。以下、本実施形態の脱進機130の動作について簡単に説明する。
なお、動作開始状態では、図31に示すように、がんぎ歯161の作用面161aが第1停止爪石210の第1係合面210aに係合していると共に、第1アンクルビーム183における外側面183aがドテピン230に対して接触してアンクルユニット170の全体が位置決めされている。これにより、がんぎ車160は回転が停止している。さらに、てんぷ30の自由振動によって振り石40が第1回転方向M1に移動し、アンクルハコ81の内側に進入している。なお、第1接触爪石150は、がんぎ歯車162の回転軌跡Rから退避している。
なお、アンクルハコ81と振り石40との係合時、ツキガタ43が形成されているために、大つば141と剣先82とは互いに接触することがない。従って、てんぷ30からの動力を第1アンクル180に効率よく伝えることができる。
第1アンクル180が回動することで、第1アンクルビーム183における外側面183aがドテピン230から離間する。また、第2アンクル190が回動することで、第1停止爪石210ががんぎ歯車162から離脱する方向(がんぎ歯車162の回転軌跡Rから退避する方向)に移動する。
これにより、がんぎ車160に伝わったトルクを、第1接触爪石150及び振り座140を介しててんぷ30に直接的に伝えることができ、てんぷ30にトルクを補充することができる。
この段階で、てんぷ30への直接的なトルク伝達動作が終了する。
そして、図35に示すように、振り石40がアンクル71のアンクルハコ81内に進入すると共に、アンクルハコ81の内面を第2回転方向M2に向けて押圧する。これにより、振り石40を介してひげぜんまいからの動力が第1アンクル180に伝わる。
第1アンクル180が回動することで、規制レバー240がドテピン230から離間する。また、第2アンクル190が回動することで、第2停止爪石220ががんぎ歯車162から離脱する方向(がんぎ歯車162の回転軌跡Rから退避する方向)に移動する。
これにより、がんぎ車160に伝わったトルクを、第2接触爪石200及び第1アンクル180を介しててんぷ30に間接的に伝えることができ、てんぷ30にトルクを補充することができる。
この段階で、てんぷ30への間接的なトルク伝達動作が終了する。
具体的には、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車160が回転する所定回転作動角度θ3に対して、第1回転作動角度θ1が占める割合が略55.6%となるようにがんぎ車160の回転が制御されている。
上述の動作において、てんぷ30が1往復する間、がんぎ車160は1歯分だけ回転する。従って、図39及び図40に示すように、てんぷ30が1往復する間にがんぎ車160が回転する所定回転作動角度θ3は、45度となる。
従って、図39に示すように、図31に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車160から、図34に示す状態を実線で表したがんぎ車160に移行するまでの角度が第1回転作動角度θ1に相当し、本実施形態では25度としている。
従って、図40に示すように、図35に示す状態を二点鎖線で表したがんぎ車160から、図38に示す状態を実線で表したがんぎ車160に移行するまでの角度が第2回転作動角度θ2に相当し、本実施形態では20度としている。
さらに、例えば第1実施形態では、一般的な輪列構成(表輪列)を例に挙げて説明したが、輪列構成は時計の用途等に応じて適宜変更して構わない。例えば、四番車とがんぎ車との間に、がんぎ中間車を配置した輪列構成を採用しても構わない。いずれにしても輪列構成に影響されることなく、本願発明を適用することが可能である。
ただし、がんぎ歯の歯数が多くなるほど、周方向に隣り合うがんぎ歯間の角度が小さくなり、その逆に、がんぎ歯の歯数が少なくなるほど、周方向に隣り合うがんぎ歯間の角度が大きくなる。従って、がんぎ歯の歯数が少なくなるほど、てんぷに直接的にトルクを伝達するときのがんぎ車の第1回転作動角度θ1、及びてんぷに間接的にトルクを伝達するときのがんぎ車の第2回転作動角度θ2を大きくすることが可能となる。従って、がんぎ歯の歯数が少なくなるほど、トルク伝達効率を高めることが可能である。
従って、さらなる高効率を図る観点で、がんぎ歯の歯数を少なくすることが好ましく、本発明では、がんぎ歯を少なくも2歯以上具備するがんぎ車であれば構わない。
従って、トルク伝達効率の高効率化に繋げる観点においては、上記割合を大きくすることが好ましい。
従って、優れたトルク伝達効率を維持しつつ、アンクルを適切に作動させることができ、安定した作動性能を具備する信頼性の高い脱進機を実現する観点において、所定回転作動角度θ3に対して第1回転作動角度θ1が占める割合としては、50%よりも大きく、且つ75%未満であることが好ましい。
この場合には、第1回転作動角度θ1と第2回転作動角度θ2との間に角度差がつきことを抑制できるので、運針角度をほぼ均一にすることが可能である。この場合には、例えば所定回転作動角度θ3が45度で、第1回転作動角度θ1が25度となるように構成すれば良い。
M2…第2回転方向
θ1…第1回転作動角度
θ2…第2回転作動角度
θ3…所定回転作動角度
O1…第1軸線
O2…第2軸線
1…時計
4…指針
10…ムーブメント(時計用ムーブメント)
12…表輪列(輪列)
13、100、130…脱進機
14…調速機
30…てんぷ
50…接触爪石
60、101、160…がんぎ車
63、161…がんぎ歯
70…制御部材
71…アンクル
72…入爪石(第1爪石)
73…出爪石(第2爪石)
73b…第2爪石の摺動面
110…第1がんぎ歯車
111…第1がんぎ歯
120…第2がんぎ歯車
121…第2がんぎ歯
150…第1接触爪石
170…アンクルユニット
180…第1アンクル(アンクル)
190…第2アンクル(アンクル)
200…第2接触爪石
210…第1停止爪石(第1爪石)
220…第2停止爪石(第2爪石)
(10)本発明に係る時計は、前記時計用ムーブメントと、前記脱進機及び前記調速機により調速された回転速度で回転する指針と、を備えている。
Claims (11)
- 伝達される動力によって第1軸線回りに回転するがんぎ車と、
第2軸線を中心として互いに逆向きの第1回転方向及び第2回転方向に往復回転するてんぷの回転に基づいて、前記がんぎ車を回転及び停止させる制御部材と、を備え、
前記がんぎ車は、
前記てんぷが前記第1回転方向に回転したときに、伝達された動力を前記てんぷに直接的に伝えると共に、前記てんぷが前記第2回転方向に回転したときに、伝達された動力を、前記制御部材を介して前記てんぷに間接的に伝え、
前記制御部材は、前記がんぎ車から前記てんぷに前記動力を直接的に伝えるときの第1回転作動角度と、前記がんぎ車から前記てんぷに前記動力を間接的に伝えるときの第2回転作動角度と、が異なる作動角度となるように前記がんぎ車の回転を制御する、脱進機。 - 請求項1に記載の脱進機において、
前記制御部材は、前記第1回転作動角度が前記第2回転作動角度よりも大きくなるように前記がんぎ車の回転を制御する、脱進機。 - 請求項1又は2に記載の脱進機において、
前記てんぷには、前記がんぎ車のがんぎ歯に対して接触可能とされた接触爪石が設けられ、
前記制御部材は、前記がんぎ歯に対して係脱可能とされた第1爪石及び第2爪石を有し、前記てんぷの回転に基づいて回動するアンクルを備え、
前記てんぷが前記第1回転方向に回転したときに、前記がんぎ歯と前記第1爪石との係合が解除され、且つ前記がんぎ歯と前記接触爪石とが接触した後に、前記がんぎ歯と前記第2爪石とが係合し、
前記てんぷが前記第2回転方向に回転したときに、前記がんぎ歯と前記第2爪石との係合が解除され、且つ前記がんぎ歯が前記第2爪石に形成された摺動面上を摺動しながら相対移動した後に、前記がんぎ歯と前記第1爪石とが係合する、脱進機。 - 請求項3に記載の脱進機において、
前記がんぎ車は、
前記がんぎ歯として第1がんぎ歯が形成された第1がんぎ歯車と、
前記第1がんぎ歯車に対して前記第1軸線の軸方向に重ねて配置され、前記がんぎ歯として第2がんぎ歯が形成された第2がんぎ歯車と、を備えた二層構造とされ、
少なくとも前記接触爪石が前記第1がんぎ歯に対して接触可能とされ、
少なくとも前記第2爪石が前記第2がんぎ歯に対して係脱可能とされている、脱進機。 - 請求項1又は2に記載の脱進機において、
前記てんぷには、前記がんぎ車のがんぎ歯に対して接触可能とされた第1接触爪石が設けられ、
前記制御部材は、複数のアンクルで構成され、前記てんぷの回転に基づいて回動するアンクルユニットを備え、
前記アンクルユニットは、前記がんぎ歯に対して接触可能とされた第2接触爪石と、前記がんぎ歯に対して係脱可能とされた第1爪石及び第2爪石と、を有し、
前記てんぷが前記第1回転方向に回転したときに、前記がんぎ歯と前記第1爪石との係合が解除され、且つ前記がんぎ歯と前記第1接触爪石とが接触した後に、前記がんぎ歯と前記第2爪石とが係合し、
前記てんぷが前記第2回転方向に回転したときに、前記がんぎ歯と前記第2爪石との係合が解除され、且つ前記がんぎ歯と前記第2接触爪石とが接触した後に、前記がんぎ歯と前記第1爪石とが係合する、脱進機。 - 請求項2から5のいずれか1項に記載の脱進機において、
前記制御部材は、前記てんぷが1往復する間に前記がんぎ車が回転する所定回転作動角度に対して、前記第1回転作動角度が占める割合が50%よりも大きく、且つ75%未満となるように前記がんぎ車の回転を制御する、脱進機。 - 請求項6に記載の脱進機において、
前記制御部材は、前記所定回転作動角度に対して、前記第1回転作動角度が占める割合が50%よりも大きく、且つ56%未満となるように前記がんぎ車の回転を制御する、脱進機。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の脱進機において、
前記がんぎ車は、前記がんぎ歯を少なくとも2歯以上備えている、脱進機。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の脱進機において、
前記がんぎ車は、前記がんぎ歯を8歯備えている、脱進機。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の脱進機と、
前記てんぷを有する調速機と、
前記がんぎ車に動力を伝える輪列と、を備えている、時計用ムーブメント。 - 請求項10に記載の時計用ムーブメントと、
前記脱進機及び前記調速機により調速された回転速度で回転する指針と、を備えている、時計。
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