JP2022130818A - 光改質装置及び光改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで単純な構造で、ワーク表面の耐摩耗性又は耐候性を向上させる光改質装置を提供する。【解決手段】本発明の光処理装置は、ワークの表面を改質する処理室と、前記処理室内にガスを供給するガス供給口と、主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光で前記処理室内のワークを照射する光源と、前記ガス供給口から供給する不活性ガスの供給量を制御すること、及び、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記光源と前記ワークとの間隔を制御すること、の少なくともいずれか一つにより、前記ワークの照射環境を変更する照射環境変更手段と、を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、ワークを表面改質するための光改質装置及び光改質方法に関する。
近年、自動車又は建設機械等の窓に使用するケイ酸ガラスの代替材料として、透明合成樹脂を用いる樹脂グレージングが注目されている。樹脂グレージングに用いられる透明合成樹脂は、ガラスと同程度の高い可視光透過性を有しつつ、ケイ酸ガラスに比べて半分程度の質量(比重)を呈する。さらに、樹脂グレージングに用いられる透明合成樹脂は、成形性、耐衝撃性又は断熱性が高いという特徴を有する。このような透明合成樹脂の具体材料として、ポリカーボネートが例示される。
しかしながら、ポリカ―ボネート等の透明合成樹脂の耐摩耗性又は耐候性は、ケイ酸ガラスよりも低い。そこで、透明合成樹脂の耐摩耗性及び耐候性を高めるために、透明合成樹脂上に、ポリシロキサン系のハードコート膜を成膜する技術が知られている。
さらに、このようなハードコート膜を改良する技術が知られている。例えば、特許文献1には、主たる発光波長が172nmの真空紫外光でハードコート膜を照射し、その後に、222nm、248nm、308nmなどの近紫外光でハードコート膜を照射して、ハードコート膜の表面に二酸化ケイ素を主成分とする硬化層を形成する表面改質方法が開示されている。
特開2016-183235号公報
特許文献1に記載の表面改質方法では、真空紫外光を放射する光源の他に、近紫外光を放射する光源を準備する必要があり、装置が高コスト化又は複雑化する。そこで、本発明は、低コストで単純な構造で、ワーク表面の耐摩耗性又は耐候性を向上させる光改質装置及び光改質方法を提供することを目的とする。
本発明の光改質装置は、ワークの表面を改質する処理室と、
前記処理室内にガスを供給するガス供給口と、
主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光で前記処理室内の前記ワークを照射する光源と、
前記ガス供給口から供給する不活性ガスの供給量を変更すること、及び、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記光源と前記ワークとの間隔を変更すること、の少なくともいずれか一つにより、前記ワークの照射環境を変更する照射環境変更手段と、を備える。
本発明は、「主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光」によりワークの表面の高分子材料を改質する。詳細は後述するが、この紫外光による表面改質は、次に示すメカニズムにより行われると推定される。まず、「主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光」が、ワーク表面の高分子材料の原子間結合を光開裂するとともに、当該高分子材料に含まれる酸素分子を光分解する。そして、光開裂した原子に、光分解によって生じた励起状態の酸素原子が結合し、前記高分子材料が硬化した硬化層を形成する。ワークは、少なくとも表面に高分子材料を有するものとして構わない。
本発明者は、鋭意研究により、ワークを照射する紫外光について以下の知見を得た。紫外光でワークを照射中に、処理室内の酸素濃度が変化すると、ワークの表面に到達する紫外光の波長成分が変化する。さらに、紫外光でワークを照射中に、光源とワークとの間隔(以降、単に「離間距離」ということがある。)が変化すると、ワークの表面に到達する紫外光の波長成分が変化する。
この現象は、光源から放射される紫外光に含まれる比較的短い波長帯域の光が、比較的長い波長帯域の光に比べて酸素に吸収されやすいために起こる。例えば、処理室内の酸素濃度が高くなったり、離間距離が長くなったりすると、上述した比較的短い波長帯域の光が酸素に吸収される量が増えて、その結果、酸素ガスに吸収されなかった比較的長い波長の光のみが、ワークの表面に到達する。
比較的短い波長帯域の光は、ワークの内部に浸入できず、紫外光はワークの表面付近の高分子材料を硬化させる特性がある。それに対し、比較的長い波長帯域の光は、ワークの内部まで浸入し、ワークの内部の高分子材料を硬化させる特性がある。したがって、ワークの表面に到達する波長帯域が変化すると、ワークが硬化する深さが変化する。
以上により、紫外光でワークを照射中に、処理室内の酸素濃度、又は、離間距離を変化させると、光源から放射される紫外光の波長成分に変化がなくても、ワークの表面に到達する光の波長成分が変化して、その波長成分に対応した浸入深さで高分子材料を硬化させることができるという知見を得た。
具体的に説明すると、処理室内の酸素濃度を高い状態、又は離間距離を長くした状態で光源が紫外光を放射することにより、ワークの表面を照射する光を、より長い波長帯域のものとして、ワークの内部を硬化させる。処理室内の酸素濃度を低い状態、又は離間距離を短くした状態で光源が紫外光を放射することにより、ワークの表面を照射する光を、より短い波長帯域のものとして、ワークの表面を硬化させる。その結果、ワークの表面に緻密な硬化層を形成しつつ、従来よりも厚い硬化層を形成できる。
さらに、詳細は後述するが、本実施形態では、ハードコート膜の表面から内部に向かうにつれてSiO濃度が減少するように、SiO濃度が深さ方向に対して傾斜する領域を形成できる。これにより、耐摩耗性及び耐候性の向上と熱膨張歪みの抑制とを両立できる。
ワークが処理室内に搬入された直後の処理室内の雰囲気は、通常、大気である。つまり、処理室内には、不活性ガスとしての窒素及び酸素が混合した混合気体の雰囲気下にある。よって、照射環境変更手段は、後述する酸素含有ガスの供給の有無にかかわらず、前記紫外光でワークを照射中に前記処理室内の不活性ガスの供給量を変更するだけで、処理室内の酸素濃度を変化させ得る。
前記照射環境変更手段は、前記紫外光で前記ワークを照射中にガス供給口から供給する前記不活性ガスの供給量を変更する不活性ガス流量調整器を備えても構わない。
前記照射環境変更手段は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記ガス供給口から供給する酸素含有ガスの供給量を変更する酸素含有ガス流量調整器と、を備えても構わない。
紫外光でワークを照射中に、不活性ガスとともに酸素含有ガスの供給量を調整することで、精確に酸素濃度を制御できる。また、紫外光でワークを照射中に、不活性ガスの供給量を調整せずに、酸素含有ガスの供給量を調整するだけでも、ワークの照射環境を変更できる。具体的には、例えば、ワークが処理室内に搬入された後、処理室内の雰囲気を不活性ガスで置換する。その後、紫外光でワークを照射しながら、酸素含有ガスを供給して酸素ガスの濃度を変化させる。
前記光改質装置は制御部を備え、
前記制御部は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記処理室内の酸素濃度が低下するように、前記不活性ガス流量調整器及び前記酸素含有ガス流量調整器のうち少なくとも一つを制御しても構わない。これにより、ワークの表面を効果的に表面改質できる。
前記光改質装置は制御部を備え、
前記制御部は、前記処理室内の酸素濃度の検出結果に基づいて、前記不活性ガス流量調整器及び前記酸素含有ガス流量調整器のうち少なくとも一つを制御しても構わない。
前記照射環境変更手段は、前記光源と前記ワークの間隔を変更する離間距離変更器を備えても構わない。
前記光改質装置は、制御部と、前記ワークを支持する支持部とを備え、
前記制御部は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記支持部を前記光源に近づけて、前記間隔を小さくするように変更しても構わない。これにより、ワークの表面を効果的に表面改質できる。
ワークを高温にすると、ワーク内での酸素分子の拡散速度が上昇する。処理室内の雰囲気に含まれる酸素が、ワークの内部へ奥深く拡散する量が増えるため、厚い硬化層を形成しやすい。
そこで、前記光改質装置は、前記ワークを前記処理室の外側の室温より高い温度まで加熱する加熱器を備えても構わない。加熱は前記ワークの搬入前でも搬入後でもよいことから、前記加熱器は、処理室の外に配置されてもよいし、処理室の内部に配置されてもよい。
前記加熱器は、例えば、処理室内に高温のガスを供給するためのガス加熱器、電熱線、加熱流体、又は、赤外光源であっても構わない。これにより、ワークの表面に厚い硬化層を形成できる。
本発明の光改質方法は、ワークを処理室内に搬入し、
光源から主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光で前記ワークを照射し、
前記紫外光で前記ワークを照射中に、不活性ガス及び酸素含有ガスの少なくとも一つの供給量を制御して前記処理室内の酸素濃度を変更すること、並びに、前記光源と前記ワークとの間隔を制御すること、の少なくとも一つを行うことにより、前記ワークの照射環境を変更する。
前記照射環境の変更は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記処理室内の酸素濃度が低下するように、前記不活性ガス及び前記酸素含有ガスのうち少なくとも一つの前記供給量を制御しても構わない。これにより、ワークの表面を効果的に表面改質できる。
前記照射環境の変更は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記光源と前記ワークとの間隔を小さくしても構わない。これにより、ワークの表面を効果的に表面改質できる。
前記ワークを前記処理室の外側の室温より高い温度まで加熱しても構わない。
前記ワークは、可視光透過性の合成樹脂からなる基材と、ポリシロキサン系の膜とを含む積層体であっても構わない。
これにより、低コストで単純な構造で、ワーク表面の耐摩耗性又は耐候性を向上させる光改質装置及び光改質方法を提供できる。
光改質装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 ワークの一例を模式的に示す断面図である。 紫外光の波長と当該紫外光のハードコート膜内への浸入深さとの関係を表したグラフである。 ワーク表面に到達した各波長帯域の強度比を、酸素濃度別に示すグラフである。 酸素濃度を変化させて紫外光でワークを照射した場合の、ハードコート膜に含まれるSiOの量を表す模式図である。 酸素濃度が0.1%の雰囲気下における、ワーク表面に到達した波長帯域別強度比を、離間距離を異ならせて示したグラフである。 酸素濃度が21%の雰囲気下における、ワーク表面に到達した波長帯域別強度比を、離間距離を異ならせて示したグラフである。 ハードコート膜のガラス化が進行する様子を示す模式図である。
図面を参照しながら各実施形態を説明する。なお、本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
以下において、各図面は、適宜、XYZ座標系を参照しながら説明される。なお、本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。+Z方向は、重力の作用する方向である。
<第一実施形態>
[光改質装置の概要]
図1は、光改質装置の第一実施形態を模式的に示す断面図である。光改質装置100は、ワーク3の表面を改質する処理室2と、処理室2内にガスを供給するガス供給口9と、光源10と、制御部5と、照射環境変更手段(6,7,8)とを備える。ワーク3は、処理室2内で表面の改質が行われる対象物であり、詳細は後述される。照射環境変更手段(6,7,8)の詳細は後述される。
本実施形態において、処理室2は、搬送方向(図面上X方向)に沿って実質的に等間隔に配置された複数の光源10を取り付けるためのランプハウスによって構成される。ワーク3が処理室2内に搬入された状態において、ワーク3と光源10との間には、図面上のZ方向に離間距離が確保されている。そして、ランプハウスである処理室2に取り付けられた複数の光源10から、ワーク3に向けて紫外光L1が出射される。紫外光L1がワーク3を照射することで、ワーク3の表面が改質される。
光源10は、主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光L1を放射する光源である。「主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光」は、真空紫外光又は深紫外光と言われる波長帯域に属する。
本明細書において「主たる発光波長」とは、ある波長λに対して±10nmの波長域Z(λ)を発光スペクトル上で規定した場合において、発光スペクトル内における全積分強度に対して40%以上の積分強度を示す波長域Z(λi)における、波長λiを指す。例えばXeなどの発光ガスが封入されているエキシマランプのように、半値幅が極めて狭く、且つ、特定の波長においてのみ光強度を示す光源においては、通常は、相対強度が最も高い波長(主ピーク波長)をもって、主たる発光波長として構わない。
本実施形態では、光源10として、Xeを含む発光ガスが封入されたXeエキシマランプを使用している。Xeエキシマランプは、主たる発光波長が172nmのエキシマ光を放射する。発光ガスの材料を替えることで、主たる発光波長を異ならせることができる。例えば、Krガスの場合には146nmであり、ArBrガスの場合には165nmであり、ArFガスの場合には193nmである。
光源10は、上記で例示した発光ガスが封入された発光管の管壁等に蛍光体を塗布してなる誘電体バリア放電ランプであっても構わない。光源10は、電源部15から電圧を印加されると、発光ガスに応じた波長域における連続スペクトルを放射する。電源部15は制御部5と電気的に接続されている。
本実施形態において、搬送部4は、ワーク3を支持した状態で、処理室2内に搬入したり、処理室2からワーク3を搬出したりする。本実施形態の搬送部4は、それぞれモータMに接続された複数のローラ41で構成されている。モータMは、制御部5によって駆動制御される。複数のローラ41の回転により、ワーク3の搬入及び搬出を行う。なお、搬送部4は、ローラ以外の公知の手段で構成しても構わない。そのような公知の手段として、例えば、ベルトコンベアやロボットアームが挙げられる。
[ワーク]
図2は、ワーク3の一例を模式的に示す断面図である。ワーク3は、可視光透過性の合成樹脂からなる基材31と、基材31の保護膜として使用されるハードコート膜33と、基材31とハードコート膜33との接合を強化するプライマー層32とを含む積層体である。ワーク3の形状や寸法は、様々な態様が考えられる。ワーク3は、例えば、長辺が1500mmを呈する矩形の板状体である。
基材31の材料は特に限定されないが、好ましくは合成樹脂が使用される。本実施形態では、基材31の材料は、ポリカーボネートである。基材31とハードコート膜33の間のプライマー層32は、例えば、アクリル樹脂を主成分とする材料である。本実施形態では、プライマー層32として、トプロン社のASプライマーを使用している。なお、プライマー層は設けなくても構わない。
ハードコート膜33は、シロキサン結合で構成された主鎖に、側鎖として有機基が結合した、ポリシロキサン系の高分子材料である。このような高分子材料として、例えば、ジメチルポリシロキサンを主とする材料が挙げられる。本実施形態では、トプロン社のAS100を使用している。
ワーク3は、例えば、以下のようにして製造される。まず、基材31を洗浄して表面に付着しているゴミを取り除く。基材31をプライマー液に浸漬するか、又は、スプレーガンを使用してプライマー液を基材31に吹きつけて塗装し、所定の温度で一定時間乾燥させて、プライマー層32を形成する。
その後、ポリシロキサン系の高分子材料の溶液に浸漬するか、又は、スプレーガンで吹きつけて塗装し、所定の温度で一定時間乾燥させて、ハードコート膜33を形成する。プライマー液又はハードコート膜の液の塗装は、上述の方法の他に、流し塗り(フローコート)しても構わない。
[表面改質メカニズム]
ワーク3の表面改質メカニズムについて説明する。上述したように、ワーク3の表面は、ジメチルポリシロキサンを主とするハードコート膜33で覆われている。主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光(hν)でワーク3の表面を照射すると、以下の(1)式に示す化学反応が生じる。
Figure 2022130818000002
この化学反応は、以下のメカニズムによって起こることが知られている。まず、紫外光(hν)が、ジメチルポリシロキサンの側鎖におけるSi-CH結合を光開裂させる。なお、紫外光(hν)が、ジメチルポリシロキサンの主鎖に作用する場合には、主鎖を開裂させて低分子量化を誘起する。
紫外光(hν)は、ジメチルポリシロキサンの光開裂と同時に、ハードコート膜33中に含まれるOを光分解し、励起状態の酸素(以降、「酸素ラジカル」という。)を生成する。この光分解を以下の(2)式に示す。(2)式において、酸素ラジカルは、O(D)及びO(P)と示されている。
Figure 2022130818000003
そして、生成された酸素ラジカルが、Si-C結合の光開裂した部分に結合する。これにより、(1)式の右辺に示される化学構造が得られる。なお、(1)式における「O1/2」は、(1)式に示されるSiとともに、隣接するSiとも結合していることを表す。この化学反応は、ガラス化(SiO化)とも呼ばれる。このようにして、ハードコート膜33中の表面では、ハードコート膜33中に含まれるOを消費してガラス化が進行する。ハードコート膜33の表面のガラス化が進行すると硬化して、ワーク3の耐摩耗性及び耐候性が向上する。
紫外光(hν)は、Si-C結合やO-O結合の結合エネルギーよりも高い光エネルギーを示す波長成分を含む必要がある。Si-C結合の結合エネルギーは約3.2eVであり、波長換算で388nmである。また、O-O結合の結合エネルギーは約5.1eVであり、波長換算で約243nmである。主鎖を形成するSi-O結合の結合エネルギーは約4.7eVであり、波長換算で264nmである。よって、これらの結合を全て切断するには、243nm以下の波長域にある紫外光(hν)を要する。
[紫外光の波長と侵入深さ]
紫外光のハードコート膜33への浸入深さは、当該紫外光の波長によって異なる。図3は紫外光の波長と、当該紫外光のハードコート膜33内への浸入深さとの関係を表したグラフである。このグラフは、4μmの膜厚を有するハードコート膜33の、波長別の光透過率(実測値)と、ハードコート膜33の膜厚(4μm)から、波長別の浸入深さを計算することにより得られた。各波長の光強度及びハードコート膜33の材質等の諸条件は、同じであるとして計算した。
図3から、紫外光の波長が長くなるにつれて、紫外光はハードコート膜33の奥深くに浸入できることがわかる。これは、紫外光の波長が長くなるにつれて、ハードコート膜33は、光透過率が高くなることに因る。
[酸素濃度の違いによる表面改質層の特徴]
光源10から出射される紫外光L1は、処理室2内の雰囲気ガスを通過して、ワーク3の表面にあるハードコート膜33に入射する。紫外光L1の一部は、処理室2内の雰囲気ガスに含まれる酸素に吸収される。酸素に吸収される割合は、紫外光L1の波長帯域によって異なる。
図4は、光源10から出射された紫外光L1が、処理室2内の雰囲気ガスを通過して、ワーク3の表面に到達した各波長帯域の強度比を、処理室内の雰囲気の酸素濃度別(0.01%、0.1%、1%、5%、10%、及び、大気と同等の21%)に算出し、作成したグラフである。
図4のグラフ作成時の諸条件について、光源10は、主たる発光波長が172nmの連続スペクトルを放射する、Xeエキシマランプを使用している。光源10とワーク3との間隔(離間距離)は50mmに設定している。雰囲気ガスの湿度は1%に設定している。参考のため、グラフには、光源10の表面における波長帯別の強度比を追加している。
このグラフより、酸素濃度の変化に伴い、ワーク3の表面に到達する光の波長成分が変化することがわかる。酸素濃度が低くなるにつれて、ワーク3の表面に到達する光の波長成分は、Xeエキシマランプからの出射光の波長帯域の強度比(グラフの左端の「光源の表面」に対応する)に近づく。酸素濃度が高くなるにつれて、ワーク3の表面に到達する光の波長成分は、出射光の波長成分よりも長波長成分に移行する。
この結果は、Xeエキシマランプからの出射光の波長成分のうち、比較的短波長の紫外光が雰囲気中の酸素に吸収されやすいのに対し、比較的長い波長の紫外光が雰囲気中の酸素に吸収されにくいことによる。なお、図4ではワーク3の表面における紫外光の強度比は示されるが、ワーク3の表面における紫外光の絶対強度は示されない。ワーク3の表面における紫外光の絶対強度は、波長帯域を問わず、酸素濃度が高くなるにつれて低下する。
以上より、次のことがわかる。酸素濃度が低いと、光源10より出射される紫外光L1のうち、比較的短波長の紫外光成分が主となって、ハードコート膜33に表面付近に浸入する。その結果、ハードコート膜33の表面付近を、高強度の光で緻密にガラス化する。
これに対し、酸素濃度が高いと、光源10より出射される紫外光L1のうち、比較的長波長成分が主となって、ハードコート膜33の内部に浸入する。その結果、ハードコート膜33の内部を、低強度の光でガラス化する。
したがって、紫外光でワークを照射中に処理室内の酸素濃度を変化させることで、ハードコート膜33に入射する紫外光の波長帯域を意図的に変化させることができる。そして、それぞれの波長帯域に応じた浸入深さで、ハードコート膜33のガラス化を進行させる。その結果、ハードコート膜33中に、従来よりも厚く緻密な、主成分がSiOで構成されるガラス化層を形成できる。
図5は、酸素濃度を変化させて紫外光でワークを照射した場合の、ハードコート膜33に含まれるSiOの量を模式的に表した図である。ハードコート膜33の内部では、比較的長波長で低強度の紫外光成分により、少量のSiOが形成される。これに対し、ハードコート膜33の表面付近では、比較的短波長で高強度の紫外光成分により、多量のSiOが形成される。
ハードコート膜33は、温度変化に強いとより好ましい。そこで、ハードコート膜33及びガラス化層の、熱膨張歪みについて説明する。ガラス化が進行したガラス化層とガラス化していないハードコート膜33とは熱膨張係数が大きく異なる。よって、ハードコート膜33をガラス化させると、ガラス化層とガラス化していないハードコート膜33との間で熱膨張歪みが生じる。
本実施形態では、ハードコート膜33の表面付近では、多量のSiOが形成され、ハードコート膜33の内部に向かうにつれてSiO濃度が減少する。つまり、ハードコート膜33内に、深さ方向に対してSiO濃度が傾斜する領域が形成される。その結果、ハードコート膜33の表面のガラス化層から、ハードコート膜33の内部のガラス化していない層に向かって、熱膨張係数が緩やかに変化する。熱膨張係数が緩やかに変化すると、熱膨張歪みを抑えることができる。
このように、紫外光でワークを照射中に処理室内の酸素濃度を変化させる方法で表面改質を行うと、ハードコート膜33内の深さ方向にSiOの濃度の傾斜した領域を形成し、熱膨張歪みを抑制して、耐熱性が向上する。
[離間距離の違いによる表面改質層の特徴]
図6A及び図6Bは、ワーク3の表面に到達した波長帯域別強度比を、離間距離別(0mm、50mm及び190mm)に算出し、作成したグラフである。
これらのグラフ作成時の諸条件について、光源10は、主たる発光波長が172nmの連続スペクトルを放射する、Xeエキシマランプを使用している。雰囲気ガスの湿度は1%に設定している。図6Aでは、処理室内の雰囲気ガスの酸素濃度が0.1%である。図6Bでは、処理室内の雰囲気ガスの酸素濃度が21%、つまり、ほぼ大気と同じ値である。
なお、離間距離が0mmというのは、光源10からの出射光(紫外光L1)が、雰囲気ガスを介することなく、ハードコート膜33の表面に入射すると仮定した状態であり、この状態下では、光源10から出射された紫外光L1は雰囲気ガスで吸収されないことを表す。つまり、光源10から出射される紫外光L1の、波長帯域別の強度比と同じである。
図6Aより、離間距離が長くなるにつれて、ワーク3の表面に到達する光は、比較的長波長成分に移行することがわかる。図6Bも同様に、離間距離が長くなるにつれて、ワーク3の表面に到達する光は、比較的長波長成分に移行することがわかる。これらの図に表れる現象は、酸素濃度を変化させた場合と同様に、光源10より出射される紫外光L1のうち、比較的短波長の紫外光が雰囲気中の酸素に吸収されやすいことに因って生じる。
図6Bにおける雰囲気ガスの酸素濃度は、図6Aにおける雰囲気ガスの酸素濃度よりも高い。それだけ、比較的短波長の紫外光が吸収されて、ワーク3に到達する紫外光が長波長成分に移行する傾向が顕著に表れている。雰囲気ガスの酸素濃度が高いと、より長波長成分を主とした紫外光が、ワーク3の表面に到達することがわかる。
なお、図4と同様に、図6A及び図6Bではワーク3の表面における紫外光の強度比は示されるが、ワーク3の表面における紫外光の絶対強度は示されない。主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光の絶対強度は、波長帯域を問わず、離間距離が長くなるにつれて低下する。
以上より、紫外光でワークを照射中に離間距離を変化させることで、ハードコート膜33に入射する紫外光の波長帯域を意図的に変化させることができる。そして、それぞれの波長帯域に応じた浸入深さで、ハードコート膜33のガラス化を進行させる。その結果、ハードコート膜33中に、従来よりも厚いガラス化層を形成できる。
さらに、紫外光でワークを照射中に離間距離を変化させる方法で表面改質を行うと、ハードコート膜33内の深さ方向に、SiOの濃度の傾斜した領域を形成し、熱膨張歪みの抑制による耐熱性が向上する。
[照射環境変更手段]
図1に戻り、光改質装置100が備える照射環境変更手段(6,7,8)について説明する。光改質装置100が備える照射環境変更手段(6,7,8)として、紫外光でワークを照射中に、光源10とワーク3との間隔(離間距離)を制御する、離間距離変更器6、紫外光でワークを照射中に処理室内の不活性ガスの濃度を制御する不活性ガス流量調整器7、及び、紫外光でワークを照射中に処理室内の酸素含有ガスの濃度を制御する酸素含有ガス流量調整器8がある。
[不活性ガス流量調整器]
不活性ガス流量調整器7について説明する。不活性ガス流量調整器7は、不活性ガス供給源75から供給された不活性ガスの流量を調整して、ガス供給口9に供給する。不活性ガス流量調整器7は、不活性ガスの供給量を変更する流量制御弁を有する。
不活性ガス流量調整器7は、制御部5と電気的に接続されている。不活性ガスには、光源10から放射される紫外光L1に吸収されにくいガスを使用する。本実施形態では、不活性ガスとして窒素ガスを使用している。
本明細書において、流量制御弁は、供給量を多段階又は連続的に調整できる流量弁の他に、不活性ガスの供給を全開/全閉するON-OFF弁を含む。不活性ガス流量調整器7は、他に、流量制御弁を高精度に制御するマスフローコントローラ(MFC)を含んでも構わない。ここに示される不活性ガス流量調整器7の特徴は、供給するガスが異なる他は、後述する酸素含有ガス流量調整器8も同様である。
ガス供給口9は、処理室2内に複数配置されている。本実施形態では、ガス供給口9から供給されるガスは基板平面と平行なX方向に噴出されるが、噴出される向きはY方向でも+Z方向でも構わない。
不活性ガス流量調整器7の使用方法について説明する。まず、処理室2は、通常、ワーク3が搬入されるときに大気開放される。そのため、ワーク3が処理室2内に搬入された直後の処理室2内の雰囲気ガスは、酸素含有ガス、すなわち空気である。そのため、処理室2のシャッター22(図1参照)を閉じた後に、不活性ガスを供給して処理室内の空気を不活性ガスに置換させることで、処理室2内の酸素濃度が変化する。
紫外光でワークを照射するときの酸素濃度は、空気中に含まれる酸素濃度である21%以下の値であるとよい。なお、紫外光は連続的な放射でなくても構わない。例えば、高酸素濃度下での放射と低酸素濃度下での放射という二段階で放射しても構わないし、さらに多段階の濃度下での放射でも構わない。
本実施形態では、処理室2内の雰囲気ガスが大気の状態から、紫外光でワークを照射することを開始する。その後、不活性ガス流量調整器7を構成する弁を開いて、ガス供給口9から不活性ガスを供給し始めると、処理室2内の空気が排気口72から排出され、処理室2の雰囲気ガスが徐々に不活性ガスに置換される。このようにして、紫外光でワークを照射しながら、処理室2内の酸素濃度を低下させて、紫外光の照射環境を変更する。なお、図1では、排気口72が開放状態である場合が図示されているが、排気口72は、開度制御を可能とするものとしても構わない。
不活性ガス流量調整器7を上記のように動作させた場合、紫外光の照射初期では、酸素濃度の高い雰囲気下で、比較的長波長の成分によりハードコート膜33内部のガラス化を進行させる。照射時間が経過するにつれて連続的に(又は、段階的に)酸素濃度が低下し、比較的短波長の成分により、ハードコート膜33の表面付近のガラス化を進行させる。酸素濃度の低下とともに、ハードコート膜33の表面に到達する紫外光の強度が大きくなるから、上述したように、表面付近のガラス化は緻密なものとなる。
図7は、ハードコート膜33のガラス化が進行する様子を示す模式図である。この模式図では、酸素分子とSiOのみを模式的に図示しており、他の分子や酸素ラジカルを図示していない。ガラス化に伴い、ハードコート膜33中に含まれているOが減少する。ハードコート膜33中には、Oが潤沢に存在しないため、紫外光でワークが照射されるに伴い、ハードコート膜33中に含まれているOが枯渇することがある。
しかしながら、本発明者は、ハードコート膜33中に含まれているOが枯渇しても、ハードコート膜33に接する雰囲気中にOがあれば、図7に示されるように、当該雰囲気中のOがハードコート膜33中に浸入して拡散し、ガラス化が進行することを発見した。
ハードコート膜33のガラス化した領域(SiO領域)におけるOの拡散係数は、ハードコート膜33におけるOの拡散係数より格段に小さい。ガラス化に際して、先に表面をガラス化すると、ガラス化した領域を超えてOがハードコート膜33の内部に拡散しにくい。逆に、先に内部をガラス化すると、ガラス化した領域を超えてOを拡散させる必要がなく、ハードコート膜33を効果的にガラス化できる。その結果、ガラス化した表面改質層の厚みを増加させることができる。先にハードコート膜33内部をガラス化し、後でハードコート膜33の表面をガラス化させるには、上述した方法のように、紫外光でワークを照射中に、酸素濃度の高い状態から低い状態へと変化させるとよい。
[酸素含有ガス流量調整器]
酸素含有ガス流量調整器8について説明する。酸素含有ガス流量調整器8は、酸素含有ガス供給源85から供給された酸素含有ガスの流量を調整して、ガス供給口9に供給する。酸素含有ガス流量調整器8は、酸素含有ガスの供給量を変更する流量制御弁を有する。酸素含有ガス流量調整器8は、制御部5と電気的に接続されている。
本実施形態では、酸素含有ガスとして空気を使用している。具体的には、クリーンドライエア(CDA)と呼ばれる乾燥した清浄空気を使用している。しかしながら、他の酸素含有ガスであっても構わない。また、酸素含有ガスには、実質的に他のガスを含まない高純度の酸素ガスを含む。
本実施形態では、不活性ガスと同じガス供給口9から酸素含有ガスを供給しているが、ガス供給口を不活性ガスと酸素含有ガスで異ならせても構わない。
不活性ガスとともに酸素含有ガスを供給すると、不活性ガスのみの供給で処理室2内の酸素濃度を制御するよりも、精確に酸素濃度を制御できる。
しかしながら、例えば、以下のような場合には、紫外光でワークを照射中に、不活性ガスを供給することなく、酸素含有ガスのみを供給して、処理室2内の酸素濃度を変更することができる。すなわち、ワーク3が処理室2内に搬入された後、先に処理室2内の雰囲気を不活性ガスで置換する。その後、紫外光でワークを照射しながら酸素含有ガスを供給して、処理室2内の酸素濃度を変化させる。
[酸素濃度計]
図1に示されるように、処理室2は、排気口72の近くに、酸素濃度検出ポート74を有している。酸素濃度検出ポート74に酸素濃度計73を接続し、処理室2内の酸素濃度を検出できる。酸素濃度計73の検出結果を制御部5に送り、制御部5は、検出結果に基づいて、不活性ガス流量調整器7又は酸素含有ガス流量調整器8を使用し、不活性ガス又は酸素含有ガスの供給量を制御できる。光改質装置100が酸素濃度計73を有していても構わないし、計測時にのみ酸素濃度計を光改質装置100に取り付けても構わない。
酸素濃度計73を使用した光改質装置100の制御方法の一例を説明する。例えば、酸素濃度計73の検出結果が規定範囲よりも高い場合には、酸素含有ガスの供給量を下げるか、不活性ガスの供給量を上げる。酸素濃度計73の検出結果が規定範囲よりも低い場合には、酸素含有ガスの供給量を上げるか、不活性ガスの供給量を下げる。酸素濃度を規定範囲に保つことにより、所望の波長帯域の光をワーク3の表面に入射して、光のワーク3内への浸入深さを調整する。
[離間距離変更器]
離間距離変更器6について説明する。光改質装置100は、ワーク3を支持する支持部として、複数の支持ピン61と複数の支持ピン61が固定されたベースフレーム62とを有する。本実施形態において、離間距離変更器6とは、光源10とワーク3との間隔を変更するための、ワーク3の昇降器であり、具体的には、支持部を昇降させる駆動部Hである。
駆動部Hは制御部5によって駆動制御される。駆動部Hにより、ローラ41の隙間から支持ピン61を上昇させて、ワーク3を光源10に近づけることができる。これにより、光源10とワーク3との間隔を変更できる。なお、ワーク3の搬入又は搬出時には、支持ピン61がワーク3に接触しないように、支持ピン61の先端を、ローラ41のワーク接触面よりも+Z方向に移動させる。
離間距離の変更は、二段階に行っても構わないし、三段階以上の多段階に行っても構わないし、連続的に行っても構わない。
先にハードコート膜33内部をガラス化させて、後でハードコート膜33の表面をガラス化させるため、紫外光の照射初期では離間距離を比較的長く設定し、照射時間が経過するにつれて離間距離を短くするように設定するとよい。これにより、ハードコート膜33を効果的にガラス化することができる。
本実施形態の離間距離変更器6は、ワーク3を昇降させる駆動部であるが、光源10を昇降させる(Z方向に移動させる)駆動部であっても構わないし、光源10とワーク3をそれぞれ昇降させる駆動部であっても構わない。
以上で、光改質装置100の有する照射環境変更手段である、不活性ガス流量調整器7、酸素含有ガス流量調整器8及び離間距離変更器6を説明した。しかしながら、光改質装置は、照射環境変更手段として、不活性ガス流量調整器7、酸素含有ガス流量調整器8及び離間距離変更器6のうち少なくとも一つを有してさえおればよい。
[処理室]
処理室2の詳細を説明する。処理室2を構成するランプハウスは、X方向に並べられた複数のランプユニット20を備え、各ランプユニット20内に、X方向に離間して配置された複数の光源10が取り付けられるように構成されている。ただし、処理室2に搭載されている全ての光源10が、一つのランプユニット20として取り付けられるように構成されても構わない。
各光源10は、X方向とは異なる方向(ここではY方向とする。)に延伸する形状を呈している。また、以下では、+Z方向が鉛直下向きであるものとして説明するが、本発明は、光改質装置100が設置される向きを問わない。
処理室2は、X方向に係る一方の端部に開口端21を備える。本実施形態では、処理室2が開口端21を閉塞可能なシャッター22を備える。シャッター22の位置を移動させることで、開口端21が開放され、ワーク3を処理室2内に搬入可能な状態が実現される。
本実施形態では、処理室2は、X方向に係る他方の端部に閉塞端23を有する。すなわち、処理室2では、開口端21とは反対側の端部が閉塞されている。このため、ワーク3は、閉塞端23よりも+X側の位置に搬送されることがなく、言い換えれば、ワーク3は、+X側の方向に向かって処理室2の外側に搬出されることがない。
[光改質装置の変形例]
変形例として、光改質装置100は、処理室2内にワーク3を載置するテーブルを有していてもよい。そして、何らかの搬送部が、処理室2の外から当該テーブルへワーク3を搬入したり、当該テーブルから処理室2の外へワーク3を搬出したりする機構であっても構わない。テーブルは、離間距離変更器6によりZ方向に移動可能に構成されても構わない。
なお、ワーク3は、図示しないワーク保持体によって保持されており、搬送部4によってワーク保持体ごと搬送されることで、ワーク3が処理室2内に搬入されるものとしても構わない。
処理室2は、閉塞端23である端部にも、もう一つの開口端を設けても構わない。すなわち、処理室2はX方向に係る両方の端部に一つずつ開口端を備えても構わない。両方の端部に一つずつ開口端を使用するとき、例えば、異なる開口端からワーク3を交互に搬入及び搬出させてもよいし、一方の開口端をワーク3の搬入にのみ使用し、他方の開口端をワーク3の搬出にのみ使用してもよい。
[光改質方法]
光改質方法を説明する。処理室2のシャッター22を開け、搬送部4を使用してワーク3を処理室2内に搬入して、シャッター22を閉じる。シャッター22を閉じた後に、上述した方法により照射環境を変更させつつ、紫外光でワークを照射してワーク3の表面改質を行う。
表面改質が終了すると、光源10を消灯し、処理室2のシャッター22を開けて、搬送部4を使用してワーク3を処理室2内に搬出する。次に処理するワークがある場合は、当該ワークを処理室2内に搬入し、シャッター22を閉じる。
[ワークの加熱]
ワーク3を昇温させると、ハードコート膜33中でのOの拡散速度を向上させることができる。その結果、雰囲気中のOをハードコート膜33のより内部まで拡散させて、ガラス化した表面改質層の厚みを増加させることができる。
ハードコート膜33は、処理室2の外側の室温(例えば、25℃)より高い温度になるまで加熱する。ワーク3の温度は、高くなるほどガラス化層の厚みが増加して、好ましい。ただし、加熱の上限温度は、ハードコート膜33に亀裂が入らず焼損しない温度、例えば100℃にするとよい。
ワーク3は、処理室2に搬入された後に、光改質装置100が有する加熱器(不図示)を使用して加熱されてもよい。また、処理室2に搬入される前に、別の加熱器で加熱されてもよい。
ワーク3の加熱器には、特に制限されることなく、様々な形態のものが使用できる。高温のガスをワーク3に吹き付けるガス加熱器、ワーク3に載置するテーブルに内蔵された電熱線若しくは加熱流体、又は、ワーク3に向かって出射する赤外光源であっても構わない。上述した不活性ガス又は酸素含有ガスを加熱して供給することで、ワーク3を加熱してもよい。
以上で実施形態及び変形例を説明した。しかしながら、本発明は、上記した実施形態及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上記の各実施形態に種々の変更又は改良を加えたりすることができる。
例えば、上述した処理室2はランプハウスであり、処理室2の内部に光源10を備えていたが、処理室2の外部に光源を配置し、当該光源から処理室2の内部に配置されたワーク3を改質処理しても構わない。
2 :処理室
3 :ワーク
4 :搬送部
5 :制御部
6 :離間距離変更器
7 :不活性ガス流量調整器
8 :酸素含有ガス流量調整器
9 :ガス供給口
10 :光源
20 :ランプユニット
21 :開口端
22 :シャッター
23 :閉塞端
31 :基材
32 :プライマー層
33 :ハードコート膜
41 :ローラ
61 :支持ピン
62 :ベースフレーム
72 :排気口
73 :酸素濃度計
74 :酸素濃度検出ポート
75 :不活性ガス供給源
85 :酸素含有ガス供給源
100 :光改質装置
H :駆動部
M :モータ

Claims (13)

  1. ワークの表面を改質する処理室と、
    前記処理室内にガスを供給するガス供給口と、
    主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光で前記処理室内の前記ワークを照射する光源と、
    前記ガス供給口から供給する不活性ガスの供給量を変更すること、及び、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記光源と前記ワークとの間隔を変更すること、の少なくともいずれか一つにより、前記ワークの照射環境を変更する照射環境変更手段と、を備えることを特徴とする光改質装置。
  2. 前記照射環境変更手段は、前記紫外光で前記ワークを照射中にガス供給口から供給する前記不活性ガスの供給量を変更する不活性ガス流量調整器を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光改質装置。
  3. 前記照射環境変更手段は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記ガス供給口から供給する酸素含有ガスの供給量を変更する酸素含有ガス流量調整器を備えることを特徴とする、請求項2に記載の光改質装置。
  4. 前記光改質装置は制御部を備え、
    前記制御部は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記処理室内の酸素濃度が低下するように、前記不活性ガス流量調整器及び前記酸素含有ガス流量調整器のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする、請求項2又は3に記載の光改質装置。
  5. 前記光改質装置は制御部を備え、
    前記制御部は、前記処理室内の酸素濃度の検出結果に基づいて、前記不活性ガス流量調整器及び前記酸素含有ガス流量調整器のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の光改質装置。
  6. 前記照射環境変更手段は、前記光源と前記ワークの間隔を変更する離間距離変更器を備えることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の光改質装置。
  7. 前記光改質装置は、制御部と、前記ワークを支持する支持部とを備え、
    前記制御部は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記支持部を前記光源に近づけて、前記間隔を小さくするように変更することを特徴とする、請求項6に記載の光改質装置。
  8. 前記ワークを、前記処理室の外側の室温より高い温度まで加熱する加熱器を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の光改質装置。
  9. ワークを処理室内に搬入し、
    光源から主たる発光波長が243nm以下の波長域にある紫外光で前記ワークを照射し、
    前記紫外光で前記ワークを照射中に、不活性ガス及び酸素含有ガスの少なくとも一つの供給量を制御して前記処理室内の酸素濃度を変更すること、並びに、前記光源と前記ワークとの間隔を変更すること、の少なくとも一つを行うことにより、前記ワークの照射環境を変更することを特徴とする、光改質方法。
  10. 前記照射環境の変更は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記処理室内の酸素濃度が低下するように、前記不活性ガス及び前記酸素含有ガスのうち少なくとも一つの前記供給量を制御することを特徴とする、請求項9に記載の光改質方法。
  11. 前記照射環境の変更は、前記紫外光で前記ワークを照射中に前記光源と前記ワークとの間隔を小さくすることを特徴とする、請求項9~10のいずれか一項に記載の光改質方法。
  12. 前記ワークを前記処理室の外側の室温より高い温度まで加熱することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の光改質方法。
  13. 前記ワークは、可視光透過性の合成樹脂からなる基材と、ポリシロキサン系の膜とを含む積層体であることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の光改質方法。
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