JP2021160202A - セラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

セラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材にテンションをかけることができ、しかも、乾燥速度を遅くすることなく、結露を防止することができ、生産性の向上を図ることができるセラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材22に塗工して、シート状の成形体24を作製する成形工程と、成形体24を乾燥装置16にて乾燥する乾燥工程とを有する。乾燥装置16は、入口側16aに、基材22にテンションをかけるための傾斜部44を有する。乾燥工程は、成形体24を移動しながら乾燥する。乾燥工程は、複数の赤外線ヒータ50の出力を成形体24の移動方向に対して変化させる。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置に関する。
特許文献1では、乾燥の効率が良く、セラミックグリーンシートにひび割れ等が形成されにくいセラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置を提供することを課題としている。
当該課題を解決するため、特許文献1では、セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する泥漿をシート状に成形して成形体を作製する成形工程と、その後、成形体を乾燥させる乾燥工程と、を有するセラミックグリーンシートの製造方法において、上記乾燥工程は、筐体内部において成形体を移動させながら成形体の移動方向と反対方向に気流を発生させ、且つ、成形体が移動する方向に向かって成形体の温度を徐々に上昇させ又は該温度を一定に保ち、且つ気流に含まれる溶剤の濃度を成形体が移動する方向に徐々に低下させることを特徴とする。
特許文献2では、炉内温度の上昇を抑制しながら、分子間の水素結合を切断する能力に優れる近赤外線を集中的に放射し、水又は樹脂バインダを含有する未焼成セラミックを効率よく乾燥することができるセラミック乾燥炉を提供する。
当該課題を解決するため、特許文献2では、3.5μm以下の電磁波の吸収スペクトルを持ち、水素結合を有する水又は樹脂バインダを含有する未焼成セラミックを乾燥させるための炉である。炉体の内部に未焼成セラミックの搬送手段と赤外線ヒータとを備える。赤外線ヒータは、フィラメントの外周が3.5μm以上の赤外線を吸収する複数の管によって覆われ、これらの複数の管の間に赤外線ヒータの表面温度の上昇を抑制する冷却用流体の流路を形成した構造を有するようにしている。
特許文献3では、基材の表面に形成された有機溶剤を含有する塗膜を、乾燥後の膜に圧縮応力を生じさせることなく、且つ、基材の表面に形成される塗膜が膜厚100μm以上程度の厚みを有する場合であっても、熱応力に起因するひずみを生じさせることなく乾燥させることができる塗膜の乾燥方法を提供する。
当該課題を解決するため、特許文献3では、3.5μm以下の吸収スペクトルを持つ有機溶剤を含有する塗膜を、主波長が3.5μm以下の赤外線を透過する基材の表面に、100μm〜2mm形成後、該基材の裏面側からのみ、主波長が3.5μm以下の赤外線を照射して、塗膜を乾燥させることなく塗膜内にエネルギーを均一拡散させ、続いて、塗膜を形成した基材の表面側から、主波長が3.5μm以下の赤外線を照射して塗膜を乾燥させるようにしている。
特許第4287108号公報 特許第5754049号公報 特許第5776082号公報
ところで、塗工部において、塗工液をキャリアフィルム等の基材に塗工する際に、塗工液による塗工膜の厚みムラ等を抑制するために、基材にテンションをかけることが挙げられる。
この場合、基材にテンションをかけるための機構を設ける必要があり、その一例として、基材を斜め方向に引っ張りテンションをかけるという方法がある。基材を斜め方向に引っ張りテンションをかけた状態で搬送する機構を採用した場合、以下に示す課題が生じる。すなわち、空気よりも比重が大きい溶剤蒸気は下方へ移動し、塗工部側に到達する。塗工部側の温度は、乾燥装置の内部温度と比して低いため、たまった溶剤蒸気が結露する。結露した溶剤が成形中の塗工膜に滴下あるいは付着すると、厚み不良や局所的な組成の変化、クラックの発生、異物混入等の外観不良につながる。
また、乾燥装置では、基材と共に搬送する塗工膜に対して、一定の出力プロファイルで乾燥している。この場合、塗工液の乾燥速度が速いほど、すなわち、一定の出力プロファイルを全体的に高めるほど、上述の問題(外観不良)が顕著になるため、乾燥速度を遅くする必要があり、生産性の低下につながる。
本発明は、基材にテンションをかけることができ、しかも、乾燥速度を遅くすることなく、結露を防止することができ、生産性の向上を図ることができるセラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によるセラミックグリーンシートの製造方法は、
セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材に塗工して、シート状の成形体を作製する成形工程と、前記成形工程からの前記成形体を乾燥装置にて乾燥する乾燥工程とを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、
前記乾燥装置は、
前記成形体の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータと、
入口側に前記基材にテンションをかけるための傾斜部と、を有し、
前記乾燥工程は、前記乾燥装置において、前記成形体を移動しながら乾燥し、
前記乾燥工程は、前記複数の赤外線ヒータの出力を前記成形体の移動方向に対して変化させる。
本発明の他の態様によるセラミックグリーンシートの製造装置は、
セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材に塗工して、シート状の成形体を作製する成形装置と、前記成形装置からの前記成形体を乾燥する乾燥装置とを有するセラミックグリーンシートの製造装置であって、
前記乾燥装置は、前記成形体の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータを有し、
前記乾燥装置は、前記成形体を移動しながら乾燥し、
前記乾燥装置は、前記複数の赤外線ヒータの出力を前記成形体の移動方向に対して変化させ、
前記乾燥装置は、入口側に、前記基材にテンションをかけるための傾斜部を有する。
本発明によれば、基材にテンションをかけることができ、しかも、乾燥速度を遅くすることなく、結露を防止することができ、生産性の向上を図ることができる。
本実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造装置を示す構成図である。 乾燥装置の正面視概略断面図である。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例1)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例2)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例3)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例4)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例5)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(実施例6)を示すグラフである。 赤外線ヒータの位置に対する赤外線ヒータの出力プロファイル(比較例)を示すグラフである。
本発明によるセラミックグリーンシートの製造方法及び製造装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。なお、図1において、前後方向がX軸方向に対応し、左右方向(幅方向ともいう)がY軸方向に対応し、上下方向がZ軸方向に対応する。
この実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造装置(以下、「製造装置10」と記す)は、図1に示すように、塗工液供給部12と、成形装置(塗工部)14と、乾燥装置16とを有する。
塗工液供給部12は、セラミックス粉体又は金属粉体、バインダ(樹脂)、及び溶剤を含む塗工液が貯留され、塗工液を後段の成形装置14に供給する。
成形装置14は、塗工液供給部12から供給された塗工液を、コンベアベルト20にて搬送された長尺の基材22(図2参照)上に塗工する。これにより、基材22上に塗工された塗工液による成形体(塗工膜)24が長手方向にコンベアベルト20によって乾燥装置16(図1参照)に向けて搬送される。なお、基材22としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製フィルム(PETフィルム)を使用することができる。
図1に示すように、乾燥装置16は炉体34を備える。炉体34の長手方向の両端部には、搬入口36と搬出口(図示せず)とがそれぞれ設けられている。また、乾燥装置16の内部空間にわたって複数のガイドロール40が設けられている。
コンベアベルト20は、複数のガイドロール40によって、乾燥装置16の搬入口36から搬出口に向けて移動可能に構成されている。コンベアベルト20の移動速度等は、ベルト駆動用コントローラ42と、周知のベルト駆動機構(図示せず)とによって、調整されるようになっている。例えば移動速度は、0.1m/min以上、5m/min以下である。ベルト駆動用コントローラ42は、例えばCPUを中心とするマイクロプロセッサーとして構成されている。
また、乾燥装置16は、入口側16aに傾斜部44、出口側16bに平坦部46を有する。傾斜部44では、成形装置14から乾燥装置16の内部にかけて、コンベアベルト20が水平方向(X軸方向)に対して斜め上方向に延在するように設置されている。
従って、成形装置14において、塗工液をキャリアフィルム等の基材22(図2参照)に塗工する際に、基材22にテンションをかけることが可能となり、塗工液による成形体24(塗工膜)の厚みムラ等を抑制することができる。
また、成形体24の移動速度は0.1m/min以上、5m/min以下であることが好ましい。これにより、基材22に想定以上の高いテンションをかける必要がなくなり、途中で切断するという不都合を回避することができる。
傾斜部44の傾度は0.1°以上、20°以下であることが好ましく、0.7°以上、4°以下であることがさらに好ましい。傾度が大きすぎると、基材22にかかるテンションが大きくなり、基材22の切断を引き起こすおそれがある。また、乾燥装置16の上下サイズの大型化にもつながるおそれがある。
なお、平坦部46では、傾斜部44の終端から乾燥装置16の搬出口にかけてコンベアベルト20が水平方向(Y軸方向)に延在するように設置されている。
さらに、乾燥装置16は、炉体34の内部空間におけるコンベアベルト20の上方に、複数の赤外線ヒータ50が、長手方向において所定の間隔を空けてそれぞれ配置されている。特に、この実施形態では、傾斜部44に対応する複数の赤外線ヒータ50はコンベアベルト20の傾斜に沿って設置され、平坦部46に対応する複数の赤外線ヒータ50は、コンベアベルト20の延在方向に沿って水平方向に設置されている。
図2に示すように、赤外線ヒータ50は、長尺状のヒータ本体52(フィラメント)と、該ヒータ本体52を保護する筐体54とを有する。各赤外線ヒータ50は棒状を呈している。各赤外線ヒータ50は、それぞれの軸線が幅方向に沿うように配置されている。赤外線ヒータ50から発せられる赤外線の強度や波長等は、赤外線ヒータ用コントローラ56(図1参照)によって調整されるようになっている。赤外線ヒータ50は、種々の波長の赤外線を発生可能であるが、典型的には、主波長が6μm程度以下の赤外線(近赤外線)を発生するようになっている。赤外線ヒータ用コントローラ56は、例えばCPUを中心とするマイクロプロセッサーとして構成されている。
図2に示すように、炉体34の内部には、コンベアベルト20を含む第1空間S1と、赤外線ヒータ50を含む第2空間S2と、を仕切る隔壁60が、長手方向に水平に延びるように設けられている。隔壁60は、赤外線(特に、近赤外線)を透過する材料で構成された第1部分60aと、赤外線(特に、近赤外線)を透過しない材料で構成された第2部分60bと、によって構成される。
第2部分60bは、長手方向に水平に延びると共に、幅方向(Y軸方向)の中央部が上方に向けて矩形状に突出する形状を呈している。第2部分60bにおける矩形状に突出する部分の頂面(長手方向に延びる水平の平面)には、長手方向において各赤外線ヒータ50に対応するそれぞれの位置に、窓62(矩形状の開口部)が形成されている。これらの窓62を覆うように、矩形の薄板状の第1部分60aが、第2部分60bの前記頂面上にそれぞれ設けられている。従って、各赤外線ヒータ50から発せられた赤外線は、対応する第1部分60aを透過して成形体24(塗工膜)に到達し、成形体24を乾燥させ得るようになっている。
隔壁60の複数の第1部分60aは、長手方向における各赤外線ヒータ50に対応する位置にそれぞれ配置され、複数の第2部分60bは、長手方向における隣接する赤外線ヒータ50の間に対応する位置にそれぞれ配置されている。
第1部分60aの材料としては、石英ガラスが好適である。石英ガラスは、主波長が3.5μm以下の赤外線(近赤外線)を高い透過率で透過する特性を有する。第2部分60bの材料としては、ステンレスが好適である。ステンレスは、主波長が6μm程度以下の赤外線(近赤外線)を透過しない特性を有する。また、ステンレスは、赤外線(近赤外線)を一定の割合で吸収する特性を有するため、隔壁60の保温効果も併せ持つ。
なお、第2部分60bの構成材料として、アルミ合金も好適である。アルミ合金は、主波長が6μm程度以下の赤外線(近赤外線)を透過しない特性を有するのみならず、ステンレスと比べて赤外線(近赤外線)の吸収率が低い。このため、隔壁60が高温になることを抑制することができる。従って、アルミ合金は、比較的低い温度での成形体24(塗工膜)の乾燥に適している。
なお、この実施形態では、図2に示すように、第2部分60bの幅方向の両端部の下面と、コンベアベルト20の上面の両端部とが、幅方向において若干オーバーラップしている。これによって、第1空間S1が更に、コンベアベルト20の上側に対応する空間S1aと、コンベアベルト20の下側に対応する空間S1bとに仕切られている。
図1に示すように、炉体34の第2空間S2内における各赤外線ヒータ50の上方には、空気用の複数のノズル70が、長手方向において所定の間隔を空けてそれぞれ配置されている。各ノズル70からは、温度が調整された空気が下方に向けてそれぞれ吐出される。このように吐出された空気が隔壁60に当たることによって、隔壁60の温度が調整される。このように吐出された空気は、炉体34の上面に設けられた排気口(図示せず)を介して外部に排出される。
そして、本実施形態では、複数の赤外線ヒータ50の出力を成形体24の移動方向に対して変化させる。この具体的な手法については、以下の例が挙げられる。
(1) 乾燥装置16の出口側16bの赤外線ヒータ50の出力に比べて、乾燥装置16の入口側16aの赤外線ヒータ50の出力を低くする。
(2) 乾燥装置16の出口側16bの赤外線ヒータ50の出力に比べて、乾燥装置16の入口側16aの赤外線ヒータ50の出力を80%以下で、且つ、0%よりも高くする。
(3) 平坦部46に位置する赤外線ヒータ50の出力に比べて、傾斜部44に位置する赤外線ヒータ50の出力を80%以下で、且つ、0%よりも高くする。
(4) 傾斜部44のX方向の長さLaを、平坦部46のX方向の長さに対して25%〜70%とする。
なお、平坦部46における複数の赤外線ヒータ50の出力は均一であることが好ましい。
実施例1〜6及び比較例について、それぞれ平坦部46の出力プロファイル(赤外線ヒータ50の位置に対する赤外線ヒータ50の出力)に対して、傾斜部44の出力プロファイルを変化させた場合の結露状態の有無を確認した。なお、隣接する赤外線ヒータ50間の距離(中心間の距離)を5cm以上100cm以下とした。また、傾斜部44の出力プロファイルは、後述する実施例2や実施例6に示すように、必ずしも均一である必要はない。
(実施例1)
実施例1は、図3に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された赤外線ヒータ50の出力(平均値)の80%とした。
(実施例2)
実施例2は、図4に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)の78%とした。
(実施例3)
実施例3は、図5に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)の67%とした。
(実施例4)
実施例4は、図6に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)の57%とした。
(実施例5)
実施例5は、図7に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)の50%とした。
(実施例6)
実施例6は、図8に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)の24%とした。
(比較例)
比較例は、図9に示すように、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)と同じにした。
実施例1〜6及び比較例について、結露状態の有無を確認した結果を以下の表1に示す。なお、結露状態の有無は、目視確認により行った。表1において、結露がない場合を「○」と表記し、結露がある場合を「×」と表記した。
Figure 2021160202
(考察)
比較例の結果から、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)と同じにすると、結露が発生することがわかった。この結果から、以下のことが導き出される。
すなわち、基材にテンションをかける機構を採用した場合、空気よりも比重が大きい溶剤蒸気は下方へ移動し、塗工部側に到達する。塗工部側の温度は、乾燥装置の内部温度と比して低いため、たまった溶剤蒸気が結露する。結露した溶剤が成形中の塗工膜に滴下あるいは付着すると、厚み不良や局所的な組成の変化、クラックの発生、異物混入等の外観不良につながる。
上述の外観不良は、塗工液の乾燥速度が速いほど顕著になるため、乾燥速度を遅くする必要があるが、生産性の低下につながるという問題がある。すなわち、従来の乾燥装置では、基材と共に搬送する塗工膜に対して、一定の出力プロファイルで乾燥している。この場合、塗工液の乾燥速度が速いほど、すなわち、一定の出力プロファイルを全体的に高めるほど、上述の問題(外観不良)が顕著になるため、全体的に乾燥速度を遅くする必要があり、生産性の低下につながる。
これに対して、実施例1〜6の結果から、乾燥装置16の入口側16aに傾斜部44を設け、傾斜部44に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)を、平坦部46に設置された複数の赤外線ヒータ50の出力(平均値)より低く設定することで、結露の発生を抑制できることがわかった。
[本実施形態のまとめ]
[1] 本実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材(22)に塗工して、シート状の成形体(24)を作製する成形工程と、成形工程からの成形体(24)を乾燥装置(16)にて乾燥する乾燥工程とを有する。乾燥装置(16)は、成形体(24)の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータ(50)と、入口側(16a)に、基材(22)にテンションをかけるための傾斜部(44)とを有する。乾燥工程は、乾燥装置(16)において、成形体(24)を移動しながら乾燥する。乾燥工程は、複数の赤外線ヒータ(50)の出力を成形体(24)の移動方向に対して変化させる。
これにより、専用の機構を設けることなく、基材(22)にテンションをかけることができ、しかも、乾燥速度を遅くすることなく、結露を防止することができ、生産性の向上を図ることができる。
[2] セラミックグリーンシートの製造方法は、乾燥装置(16)の出口側(16b)の赤外線ヒータ(50)の出力に対して、乾燥装置(16)の入口側(16a)の赤外線ヒータ(50)の出力を低くして行う。これにより、成形体(24)への結露の発生を抑制することができる。
[3] セラミックグリーンシートの製造方法は、乾燥装置(16)の入口側(16a)の赤外線ヒータ(50)の出力を、乾燥装置(16)の出口側(16b)の赤外線ヒータ(50)の出力の80%以下で、且つ、0%よりも高くして行う。これにより、成形体(24)への結露の発生を抑制することができる。
[4] セラミックグリーンシートの製造方法において、乾燥装置(16)は、傾斜部(44)に隣接して、出口側(16b)に向かって平坦部(46)を有する。上記製造方法は、傾斜部(44)に位置する赤外線ヒータ(50)の出力を、平坦部(46)に位置する赤外線ヒータ(50)の出力の80%以下で、且つ、0%よりも高くして行う。これにより、成形体(24)への結露の発生を抑制することができる。
[5] セラミックグリーンシートの製造方法において、乾燥装置(16)は、傾斜部(44)に隣接して、出口側(16b)に向かって平坦部(46)を有する。上記製造方法は、傾斜部(44)の長さLaを、平坦部(46)の長さLbに対して25%以上、70%以下とする。
これにより、傾斜部(44)に位置する赤外線ヒータ(50)の出力を、平坦部(46)に位置する赤外線ヒータ(50)の出力の80%以下で、且つ、0%よりも高くすることができる。
[6] セラミックグリーンシートの製造方法において、乾燥装置(16)は、傾斜部(44)に隣接して、出口側(16b)に向かって平坦部(46)を有する。上記製造方法は、平坦部(46)に位置する複数の赤外線ヒータ(50)の出力をほぼ均一にして行う。ここで、「ほぼ均一」とは、乾燥装置16に設置される赤外線ヒータ(50)の全出力の平均値の±20%の範囲等が挙げられる。
[7] セラミックグリーンシートの製造方法において、乾燥工程における成形体24の移動速度が0.1m/min以上、5m/min以下である。このパラメータは、成形体24の完全乾燥のうち、赤外線ヒータ50で乾燥する割合を示す。この範囲で実施することで、成形体24への結露の発生を抑制することができる。
[8] セラミックグリーンシートの製造方法において、傾斜部(44)の傾度を0.1°以上、20°以下にして行う。これにより、基材(22)にテンションをかけることができ、且つ、成形体24への結露の発生を抑制することができる。
[9] セラミックグリーンシートの製造方法において、セラミックグリーンシートはガスセンサ素子用のグリーンシートであって、セラミックグリーンシートの主成分は金属酸化物であってもよい。金属酸化物としては、例えばZrOやAl等、を用いることができる。これらの金属酸化物は、排気ガス中の特定ガスの濃度を測定可能なガスセンサ素子の製造に用いることができる。ここで、主成分とは、50wt%以上含まれている場合、好ましくは75wt%以上含まれている場合を指す。
[10] 本実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造装置(10)は、セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材(22)に塗工して、シート状の成形体(24)を作製する成形装置(14)と、成形装置(14)からの成形体(24)を乾燥する乾燥装置(16)とを有する。乾燥装置(16)は、成形体(24)の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータ(50)を有し、成形体(24)を移動しながら乾燥する。また、乾燥装置(16)は、複数の赤外線ヒータ(50)の出力を成形体(24)の移動方向に対して変化させる。そして、乾燥装置(16)は、入口側(16a)に、基材(22)にテンションをかけるための傾斜部(44)を有する。
これにより、基材(22)にテンションをかけることができ、しかも、乾燥速度を遅くすることなく、結露を防止することができ、生産性の向上を図ることができる。
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
10…製造装置 12…塗工液供給部
14…成形装置(塗工部) 16…乾燥装置
16a…入口側 16b…出口側
20…コンベアベルト 22…基材
24…成形体(塗工膜) 40…ガイドロール
44…傾斜部 46…平坦部
50…赤外線ヒータ 60…隔壁

Claims (10)

  1. セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材に塗工して、シート状の成形体を作製する成形工程と、前記成形工程からの前記成形体を乾燥装置にて乾燥する乾燥工程とを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置は、
    前記成形体の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータと、
    入口側に前記基材にテンションをかけるための傾斜部と、を有し、
    前記乾燥工程は、前記乾燥装置において、前記成形体を移動しながら乾燥し、
    前記乾燥工程は、前記複数の赤外線ヒータの出力を前記成形体の移動方向に対して変化させる、セラミックグリーンシートの製造方法。
  2. 請求項1記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置の出口側の赤外線ヒータの出力に対して、前記乾燥装置の入口側の赤外線ヒータの出力を低くして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置の入口側の赤外線ヒータの出力を、前記乾燥装置の出口側の赤外線ヒータの出力の80%以下で、且つ、0%よりも高くして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  4. 請求項1又は2記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置は、前記傾斜部に隣接して、出口側に向かって平坦部を有し、
    前記傾斜部に位置する前記赤外線ヒータの出力を、前記平坦部に位置する前記赤外線ヒータの出力の80%以下で、且つ、0%よりも高くして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置は、前記傾斜部に隣接して、出口側に向かって平坦部を有し、
    前記傾斜部の長さが、前記平坦部の長さに対して25%以上、70%以下である、セラミックグリーンシートの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥装置は、前記傾斜部に隣接して、出口側に向かって平坦部を有し、
    前記平坦部に位置する複数の前記赤外線ヒータの出力をほぼ均一にして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記乾燥工程における前記成形体の移動速度を0.1m/min以上、5m/min以下にして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記傾斜部の傾度を0.1°以上、20°以下にして行う、セラミックグリーンシートの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法において、
    前記セラミックグリーンシートはガスセンサ素子用のグリーンシートであって、前記セラミックグリーンシートの主成分は金属酸化物である、セラミックグリーンシートの製造方法。
  10. セラミック粉末と樹脂と溶剤とを含有する塗工液を基材に塗工して、シート状の成形体を作製する成形装置と、前記成形装置からの前記成形体を乾燥する乾燥装置とを有するセラミックグリーンシートの製造装置であって、
    前記乾燥装置は、前記成形体の移動方向に沿って配列された複数の赤外線ヒータを有し、
    前記乾燥装置は、前記成形体を移動しながら乾燥し、
    前記乾燥装置は、前記複数の赤外線ヒータの出力を前記成形体の移動方向に対して変化させ、
    前記乾燥装置は、入口側に、前記基材にテンションをかけるための傾斜部を有する、セラミックグリーンシートの製造装置。
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