JP2022129753A - 繊維構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステル系フィラメントを含む繊維構造物に関し、良好な風合いを有し、かつ湿潤時の摩擦を低減し、洗濯時に発生する繊維屑の発生量が少ない繊維構造物を提供する。【解決手段】繊維構造物を構成する繊維の内、ポリエステルフィラメントの割合が60質量%以上である繊維構造物であって、繊維構造物の質量に対し、シリコーン系樹脂を3.0~8.0質量%、ポリエステル系樹脂を0.5~1.0質量%がそれぞれ繊維構造物を構成する繊維表面の少なくとも一部に付着しており、繊維構造物に含まれる前記ポリエステルフィラメントについて、湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.01以上0.10以下、かつ乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数が0.40以上0.60以下である繊維構造物。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維構造物に関する。
近年、海洋や河川中のプラスチックごみが生物に取り込まれることによる、生態系への
悪影響が懸念されている。特に懸念されているのはプラスチック容器が紫外線などにより
微細化され、マイクロサイズのプラスチック片となったものであるが、全てのプラスチッ
ク製品に対しても、廃棄物の削減やマイクロプラスチック問題との関連性有無が議論され
ている。
悪影響が懸念されている。特に懸念されているのはプラスチック容器が紫外線などにより
微細化され、マイクロサイズのプラスチック片となったものであるが、全てのプラスチッ
ク製品に対しても、廃棄物の削減やマイクロプラスチック問題との関連性有無が議論され
ている。
現在販売されている繊維製品には、合成繊維が多く用いられているが、洗濯時に合成繊維が糸屑として脱落し、洗濯機内で洗濯屑として捕集される場合がある。
一方、繊維-繊維間の摩擦を低減するための手段も種々検討されている。乾燥状態の繊維製品における摩擦性を低減する手法としては、シリコーン系樹脂と親水性樹脂を特定の比率で併用する方法が提案されている(特許文献1、2)。
また、ポリエステル繊維における湿潤時の摩擦を低減する手段として、ポリアルキレングリコールやその誘導体を付与する方法が提案されている(特許文献3)。
洗濯時に毛羽が発生する要因として、洗濯の水流によって繊維製品同士が接触し、摩擦が生じることによって、繊維製品を構成する単繊維が破断し、洗濯屑となって脱落することが挙げられる。
特許文献1~3には摩擦性を低減する方法が開示されているが、特許文献1に記載の親水性樹脂とシリコーン系処理剤を付与した布帛は水拭き等の拭き取りによって汚れ除去が行われるような用途の布帛を対象としており、乾燥時の摩擦低減効果は得られるものの、洗濯時のような湿潤状態での摩擦低減は必ずしも十分ではなく、洗濯屑の発生という点では抑制効果が不十分であった。
同様に、特許文献2に記載の繊維編織物では、衣料用途を想定しているものの、乾燥時の摩擦係数を低減する効果は十分であるが、湿潤時の摩擦低減効果は必ずしも十分ではなく、洗濯屑の抑制効果は十分ではない可能性があった。
また、特許文献3に記載のポリエステル繊維は、抄紙加工時の分散性向上が目的であり、水溶性の高いポリアルキレングリコール及びその誘導体を使用していることから、短時間の湿潤加工に対する耐久性はあるものの、繰り返し洗濯を行った際の摩擦低減効果は必ずしも十分ではなかった。
洗濯などで発生する繊維屑の増加は、洗濯排水中の繊維屑の増加につながり、排水処理負荷、洗濯機等のメンテナンス負荷等、様々な問題の可能性を考慮すると、繊維屑は少ないほど好ましい。
本発明の目的は、ポリエステル系フィラメントを含む繊維構造物に関し、良好な風合いを有し、かつ湿潤時の摩擦を低減し、洗濯時に発生する繊維屑の発生量が少ない繊維構造物を提供することである。
本発明は上記課題を解決するために次の構成を有する。
(1)繊維構造物を構成する繊維の内、ポリエステルフィラメントの割合が60質量%以上である繊維構造物であって、シリコーン系樹脂およびポリエステル系樹脂が繊維構造物を構成する繊維表面の少なくとも一部に付着しており、前記シリコーン系樹脂の含有量が繊維構造物の質量に対し、3.0~8.0質量%であり、前記ポリエステル系樹脂の含有量が繊維構造物の質量に対し、0.5~1.0質量%であり、繊維構造物に含まれる前記ポリエステルフィラメントについて、湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.01以上0.10以下、かつ乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数が0.40以上0.60以下である繊維構造物。
(2)家庭洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.05以上0.20以下である請求項1に記載の繊維構造物。
(3)前記繊維構造物から構成される有効評価面積900cm2の試験片2枚について、ISO 6330 C4N法(2012)に従う洗濯試験において、洗濯機排水口から排出される繊維屑を、メンブレンフィルターを用いて捕集した場合の繊維屑量が30(mg/試験片2枚)以下である請求項1、または2に記載の繊維構造物。
本発明によれば、良好な風合いを有し、かつ洗濯時の繊維製品同士の摩擦抵抗を抑制し、洗濯繊維屑量が少ない繊維製品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の繊維構造物は、繊維構造物を構成する繊維の内、ポリエステルフィラメントの割合が60質量%以上であることが必要であり、好ましくは70質量%以上である。上限としては100質量%でもよいが、衣料用途に好適な機能性や風合いを与える素材を組み合わせることができる点から90質量%以下であることが好ましい。ポリエステルフィラメントを上記割合で含むことで、速乾性に優れた衣料用途に好適な繊維構造物が得られる他、連続した繊維であることから毛羽の発生が抑えられることで洗濯屑の発生を抑制でき、また剛直で平滑な平面を有することで繊維束の摩擦性を低減することが可能であり、繊維製品としたときの洗濯屑の抑制に効果的である。さらに、ポリエステル系繊維は後述するシリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂との親和性が高く、樹脂加工による摩擦低減効果を高めることが可能となるため有用である。
本発明におけるポリエステルフィラメントを構成する素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートやその共重合体などのポリマーが挙げられ、これらに限定されるものではなく、例えば、前記ポリマーにさらにイソフタル酸スルホネート、アジピン酸、イソフタル酸、ポリエチレングリコールなどを共重合して得られる共重合体、またはポリエチレングリコールをブレンドして得られる変性ポリエステルであってもよい。これらの素材は、溶融紡糸してポリエステルフィラメントとすることができる。
これらのポリエステルフィラメントは、1種単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、物性に優れ、安価に入手可能なことから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエステルフィラメント断面としては、例えば、C字型、Y字型、W字型、十字型等の多葉断面や、溝が深い三角形や四角形、五角形、六角形といった多角形が挙げられる。
なかでも安価に入手可能であり、摩擦抵抗を低く抑えることが可能な円形断面であることが好ましい。
なかでも安価に入手可能であり、摩擦抵抗を低く抑えることが可能な円形断面であることが好ましい。
本発明の繊維構造物において、前述のポリエステルフィラメント以外に用いることのできる繊維については特に制限は無く、合成繊維であっても、天然繊維であってもよい。
合成繊維としては、例えば、ナイロン6繊維やナイロン66繊維などのポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリルを主成分とするアクリル系繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維が挙げられる。また、前述のポリエステルフィラメントを構成する素材からなる繊維であって、ステープル形状のものを用いることも可能である。中でも物理的特性に優れ、相対的に安価な芳香族ポリエステル系繊維が好ましく使用される。
天然繊維としては、セルロース系繊維、ウールや絹などといったタンパク質繊維等を使用することができ、該セルロース系繊維としては、綿、麻、パルプ等の天然セルロース系繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生セルロース系繊維等を使用することが出来る。摩擦抵抗を低減する観点から、ウールのような表面に凹凸を有する繊維よりも、セルロース系繊維、中でも表面の平滑な再生セルロース系繊維を用いることが好ましい。
上記繊維の形態は、フィラメントであっても、ステープルであってもよく、フィラメントであれば、延伸糸および各種撚糸を含んでもよい。撚糸の種類は特に限定されず、例えば仮撚加工糸、仮撚融着糸、中強撚糸などが挙げられる。毛羽の発生が少なく、洗濯屑の発生をより低減できる観点から、長繊維を用いることが好ましい。
本発明に用いる繊維構造物とは、特に限定されず、織物であっても編物であってもよい。該繊維構造物が織物である場合、織組織としては特に限定されず、例えば平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。また、該繊維構造物が編物である場合、編組織としては特に限定されず、例えば丸編、緯編、経編(トリコット編、ラッシェル編を含む)、パイル編、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織などが挙げられる。繊維構造物の組織が緻密であり、洗濯時に繊維屑が脱落しにくいこと、また、繊維構造物表面の平滑性に優れ、洗濯時の摩擦抵抗を低減できることから、織物、とりわけ平織が好ましい。
また、繊維製品の後加工としてカレンダー加工などのプレス加工が施されてもよく、適度に繊維同士を圧着することで、繊維製品からの繊維屑の脱落を抑制することが可能となる。また、目付は50~400g/m2であることが好ましい。繊維構造物の重量あたりの表面積を下げ、洗濯時の接触を抑制できる観点から、好ましくは100g/m2以上であり、さらに好ましくは150g/m2以上である。
本発明の繊維構造物は、繊維構造物の質量に対して、シリコーン系樹脂を3.0~8.0質量%含むことが必要であり、好ましくは4.0~7.0質量%、より好ましくは4.5~6.0質量%含まれることが好ましい。シリコーン系樹脂が3.0質量%以上であることで、湿潤時に優れた摩擦低減を達成することができ、洗濯時の繊維製品の摩擦による洗濯屑の発生を低減することが可能である。また、8.0質量%以下とすることで、繊維製品を染色した際の堅牢度を維持することが可能である他、薬剤コストの低減や、余剰薬剤の脱落による排水への影響を低減することが可能となる。
本発明におけるシリコーン系樹脂としては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。繊維構造物への付着の均一性に優れる点からポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
このようなシリコーン系樹脂は市販品から入手可能であり、例えば、ユニオン化学工業株式会社製“ユニカシリコン”SL-53などが好ましく挙げられる。
さらに、本発明の繊維構造物は、繊維構造物の質量に対して、ポリエステル系樹脂を0.5~1.0質量%含むことが必要である。繊維構造物を構成するポリエステルフィラメントに適度な親水性を付与し、シリコーン系樹脂の繊維構造物への固着を維持する観点から、より好ましくは0.7~0.9質量%である。
ポリエステル系樹脂が0.5質量%未満であると、前記のポリエステルフィラメントと前記のシリコーン系樹脂との相互作用が低下し、繊維への固着が低下するため、繰り返し洗濯を行ったときの摩擦係数の上昇を抑制することが困難となる。一方、1.0質量%を超えると繊維表面に露出するポリエステル系樹脂量が多くなり、シリコーン系樹脂による摩擦抑制効果を十分に得られない可能性がある。
本発明で用いることのできるポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール成分と、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸とからなるポリエステル系樹脂等が挙げられる。中でも、シリコーン系樹脂、及びポリエステルフィラメントとの親和性が良好である観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールといったポリアルキレングリコールを共重合した共重合ポリエステルが繊維構造物を構成するポリエステルフィラメントにより一層適度な親水性を付与し得る観点から、好ましく用いられる。
このようなポリエステル系樹脂は市販品から入手可能であり、例えば、ユニオン化学工業株式会社製“UNIKON” NSR-1081、あるいは左記より比較的分子量の小さい“UNIKON” NSR-1や“UNIKON” NSR-580などが好ましく挙げられる。
シリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂を上記の範囲で繊維構造物を構成する繊維の表面に付与することにより、繊維に対する樹脂の固着が強固となり、繰り返し洗濯を行っても摩擦係数の上昇を抑制することが可能となる。シリコーン系樹脂のみでは、繰り返し洗濯を行ったときの摩擦係数の上昇を抑制することが困難となるので、特定の付着量の範囲で併用することが重要である。
本発明の繊維構造物では、上記のシリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂とを含む組成物が、繊維構造物を構成する繊維表面の少なくとも一部に付着していることが必要である。これらの樹脂が繊維表面の少なくとも一部に付着していることで、繊維構造物同士が接触した際に上記の樹脂により付与される柔軟、平滑性により摩擦を低減することができ、結果として洗濯屑の発生を低減することができる。
本発明の繊維構造物としては、シリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂を混合した加工液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が布帛重量に対して40~100質量%となるように圧搾し、余剰液を除去し、次いで110~180℃で1~2分間処理して乾燥し、その後、160~180℃で1~2分間キュアリング処理をする、パッドドライ法で処理されることが好ましい。前記割合で混合された樹脂が繊維に付着することで、繊維に固着したポリエステル系樹脂と、シリコーン系樹脂との親和性によって、樹脂の固着が強固となり、繰り返し洗濯後も優れた摩擦低減効果を発揮することができる。
本発明のシリコーン系樹脂、及びポリエステル系樹脂を付与する際の加工液に用いられる溶媒としては、水の他、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、テトラヒドロフランなどの有機溶媒を用いることも可能であり、これらの混合溶媒も用いることができるが、取扱いが容易であり、コスト面にも優れる点から、水溶媒が好ましく用いられる。
本発明の繊維構造物に含まれるポリエステルフィラメントは、前記シリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂が付着した状態で繊維構造物から抜き出し、測定した湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.01以上、0.10以下であり、好ましくは0.02以上、0.08以下である。上記の値が0.01以上であることで洗濯時の適度な摩擦性を付与し、繊維製品の揉み洗いによる洗濯効果を付与することができ、かつ、繊維が滑りすぎないことで、繊維束から毛羽が脱落するのを抑えることができる。また、上記の値が0.10以下であることで、洗濯時の単糸間の擦過を低減し、洗濯屑の生成を低減することが可能となる。
また、繊維構造物に含まれるポリエステルフィラメントは、前記シリコーン系樹脂とポリエステル系樹脂が付着した状態で繊維構造物から抜き出し、測定した乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数は0.40以上、0.60以下であり、好ましくは0.45以上、0.50以下である。上記の値が0.40以上であることで、織物などの繊維製品としたときの滑脱抵抗を確保し、縫目ずれなどの問題を防ぐことが可能となる。
本発明の繊維構造物は、家庭洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.05以上、0.20以下であることが好ましく、より好ましくは0.05以上、0.10以下である。上記範囲であることで、繰り返し洗濯を行う用途であっても、洗濯時の摩擦抵抗を抑制し、繊維屑の脱落を抑制することができる。
湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数、及び乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数は、繊維束を構成する繊維の種類や表面状態等の影響を受けるのでそれにあわせて調整するが、前記シリコーン系樹脂、及びポリエステル系樹脂の設計を適正化することで、本発明の繊維構造物に必要な摩擦特性を得ることができる。
本発明においては、繊維構造物を構成するポリエステルフィラメントについて、上記のように湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数、及び乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数を制御することにより、洗濯時の単繊維間の擦過を低減し、単糸切れ等の繊維損傷を抑制して毛羽発生を低減するとともに、毛羽が発生した場合の繊維束からの毛羽の脱落を抑制することができるのである。
また、本発明で得られる繊維構造物は、各種摩擦係数を上記のように制御することで、適度な滑り性、ぬめり感といった、繊維製品としたときに良好な風合いを付与することが可能である。
上記湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数、及び乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数は、具体的には、以下のような調整が可能である。
乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数を調整する手段としては、例えば、本発明で用いることができるシリコーン系樹脂、及びポリエステル系樹脂の付着量を、本発明で規定する範囲内で高目に設定することで、乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数を低下させることができる。また、本発明で用いることができるポリエステル系樹脂の分子量が高いものを用いることで、乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数を上昇させることが可能である。
湿潤状態の繊維-繊維間動摩擦係数を調整する手段としては、例えば、本発明で用いることができるシリコーン系樹脂、及びポリエステル系樹脂の付着量を、本発明で規定する範囲内で高目に設定することにより、湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数を低下させることができる。とりわけ、シリコーン系樹脂の付着量を増加させることで、湿潤状態の繊維-繊維間動摩擦係数を大きく下げることが可能である。また、本発明で用いることができるポリエステル系樹脂として、その分子構造内に芳香環を有するポリエステル系樹脂を用いることで、本発明で用いるシリコーン系樹脂とポリエステルフィラメントとの親和性を高め、湿潤状態の繊維-繊維間動摩擦係数を低下させることができる。
なお、上記各種摩擦係数は、後述の通り、JIS L 1095:2010に準拠した方法によって測定されるものである。
本発明の繊維構造物を用いて得られる繊維製品は、洗濯により汚れを除去する用途に用いることができ、シャツ、パーカー、パンツ、など一般的な衣料用途の他、タオル、クッション、ワイピングクロスといった生活資材にも好適に用いられる。
本発明の繊維構造物において、洗濯時に発生する繊維屑の評価は次の方法で行うことが可能である。繊維構造物の洗濯試験を実施し、洗濯機の排水ホース等に取り付けた捕集体、例えば捕集袋(フィルター)を用いて繊維屑を捕集し、その質量を評価するものである。具体的な方法は以下のとおりである。
タテ32cm、ヨコ32cmに生地片をカットし、周囲を巾20mmの目止めテープ E302(東レ・コーテックス(株)製)を布の端から1.0cmの範囲に、目止めテープの半分がはみ出した状態で仮接着した。四辺を仮接着後、反対側から同様に目止めテープを接着し、布の端を目止めテープ2枚で挟みこむ形とした。目止めテープと布の端の接着部を、縫糸に、本縫いミシン(縫糸はポリエステルフィラメントを使用、運針数:13針/3.0cm)で縫い、剥がれないようにした。さらに、エアー駆動式全自動転写用プレス HP-4536A-12(株式会社ハシマ製)を使用し、0.6MPa、130℃で5秒間プレスし、本接着を行い、試験片(有効評価面積:900cm2)を作製した。
洗濯機に被洗物、負荷布、洗剤を入れずにISO 6330 C4N法(2012)に従い、洗濯を行い、洗濯機を洗浄した。洗濯機の排水口に目開き10μmのナイロンスクリーン NY10-HC(フロン工業(株)製)を用いて製造した捕集袋を取り付けた状態で、作製した試験片2枚を洗濯機に入れ、ISO 6330 C4N法(2012)の洗濯条件の洗い時間を半分にして洗濯を行った。ただし、洗剤と負荷布は使用しないものとする。又、洗濯機に備えつけの糸屑回収用のフィルター類はとりはずして使用し、洗濯後、ナイロンスクリーンに付着した繊維屑を純水で回収し、あらかじめ質量を測定したポリカーボネートメンブレンフィルター(K040A047A アドバンテック東洋(株))を用いて吸引濾過する。濾過後のポリカーボネートメンブレンと繊維屑を105℃で1時間乾燥、質量を測定し、濾過前の質量との差を繊維屑発生量とした。
本発明の繊維構造物は、本試験後に捕集された繊維屑量として、30(mg/試験片2枚)以下を達成することも可能であり、好ましい態様においては20(mg/試験片2枚)以下、より好ましい態様においては6.0(mg/試験片2枚)以下を達成することも可能である。
すなわち、前記繊維構造物から構成される有効評価面積900cm2の試験片2枚について、ISO 6330 C4N法(2012)に従う洗濯試験において、洗濯機排水口から排出される繊維屑を、メンブレンフィルターを用いて捕集した場合の繊維屑量が、30(mg/試験片2枚)以下であることが好ましく、20(mg/試験片2枚)以下であることがより好ましく、6.0(mg/試験片2枚)以下であることがさらに好ましい。
本願発明の実施例については、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における性能の評価は、以下の方法に従った。
(1)摩擦係数
摩擦係数はJIS L1095:2010一般紡績糸試験方法に記載の方法に準拠し、いずれもN=30の結果を平均した値を用いた。具体的な測定方法を次に示す。インテック株式会社製YR-1レーダー法摩擦係数測定装置を用いて、初荷重0.098cN/デシテックス、測定時の円筒周速は2m/分で測定を行った。サンプルは、繊維構造物からポリエステルフィラメントを取り出し熱風乾燥機で110℃×30分間乾燥した後、20℃×60%RH雰囲気下で24時間調湿したサンプルで測定を行ったものを乾燥時の摩擦係数とし、湿潤時の摩擦係数については、上記と同様に調整したサンプルを用い、測定部が水中に浸漬した状態で測定を行った。同様の繊維構造物から90cm×30cmに切り出した試験片についてJIS L1930 C4M法で50回洗濯を行った。50回洗濯後の試験片を洗濯後の摩擦係数については、繊維構造物をJIS L 1930:2014 C4M法(つり干し)でJIS L1930 C4M法50回洗濯すること以外は上記と同じ処理を行ったサンプルで測定を行った。
摩擦係数はJIS L1095:2010一般紡績糸試験方法に記載の方法に準拠し、いずれもN=30の結果を平均した値を用いた。具体的な測定方法を次に示す。インテック株式会社製YR-1レーダー法摩擦係数測定装置を用いて、初荷重0.098cN/デシテックス、測定時の円筒周速は2m/分で測定を行った。サンプルは、繊維構造物からポリエステルフィラメントを取り出し熱風乾燥機で110℃×30分間乾燥した後、20℃×60%RH雰囲気下で24時間調湿したサンプルで測定を行ったものを乾燥時の摩擦係数とし、湿潤時の摩擦係数については、上記と同様に調整したサンプルを用い、測定部が水中に浸漬した状態で測定を行った。同様の繊維構造物から90cm×30cmに切り出した試験片についてJIS L1930 C4M法で50回洗濯を行った。50回洗濯後の試験片を洗濯後の摩擦係数については、繊維構造物をJIS L 1930:2014 C4M法(つり干し)でJIS L1930 C4M法50回洗濯すること以外は上記と同じ処理を行ったサンプルで測定を行った。
(2)洗濯時の繊維屑量
タテ32cm、ヨコ32cmに生地片をカットし、周囲を巾20mmの目止めテープ E302(東レ・コーテックス(株)製)を布の端から1.0cmの範囲に、目止めテープの半分がはみ出した状態で仮接着した。四辺を仮接着後、反対側から同様に目止めテープを接着し、布の端を目止めテープ2枚で挟みこむ形とした。目止めテープと布の端の接着部を、縫糸に、本縫いミシン(縫糸はポリエステルフィラメントを使用、運針数:13針/3.0cm)で縫い、剥がれないようにした。さらに、エアー駆動式全自動転写用プレス HP-4536A-12(株式会社ハシマ製)を使用し、0.6MPa、130℃で5秒間プレスし、本接着を行い、試験片(有効評価面積:900cm2)を作製した。
タテ32cm、ヨコ32cmに生地片をカットし、周囲を巾20mmの目止めテープ E302(東レ・コーテックス(株)製)を布の端から1.0cmの範囲に、目止めテープの半分がはみ出した状態で仮接着した。四辺を仮接着後、反対側から同様に目止めテープを接着し、布の端を目止めテープ2枚で挟みこむ形とした。目止めテープと布の端の接着部を、縫糸に、本縫いミシン(縫糸はポリエステルフィラメントを使用、運針数:13針/3.0cm)で縫い、剥がれないようにした。さらに、エアー駆動式全自動転写用プレス HP-4536A-12(株式会社ハシマ製)を使用し、0.6MPa、130℃で5秒間プレスし、本接着を行い、試験片(有効評価面積:900cm2)を作製した。
洗濯機に被洗物、負荷布、洗剤を入れずにISO 6330 C4N法(2012)に従い、洗濯を行い、洗濯機を洗浄した。洗濯機の排水口に目開き10μmのナイロンスクリーン NY10-HC(フロン工業(株)製)を用いて製造した捕集袋を取り付けた状態で、作製した生地片サンプル2枚を洗濯機に入れ、ISO 6330 C4N法(2012)の洗濯条件の洗い時間を半分にして洗濯を行った。ただし、洗剤と負荷布は使用しないものとする。又、洗濯機に備えつけの糸屑回収用のフィルター類はとりはずして使用し、洗濯後、ナイロンスクリーンに付着した繊維屑を純水で回収し、あらかじめ質量を測定したポリカーボネートメンブレンフィルター(K040A047A アドバンテック東洋(株))を用いて吸引濾過する。濾過後のポリカーボネートメンブレンと繊維屑を105℃で1時間乾燥、質量を測定し、試験片2枚から出た屑量を繊維屑発生量(mg/試験片2枚)とした。
(3)樹脂の付着量
繊維構造物に浸漬する加工液中のシリコーン系樹脂の固形分濃度をA(質量%)、ポリエステル系樹脂の固形分濃度をB(質量%)、圧搾機の圧搾率をC(%)とすると、繊維構造物に対するシリコーン系樹脂の付着量XA(質量%)、ポリエステル系樹脂の付着量XB(質量%)は次式で表される値を付着量とする。
XA= A/100 × C/100 ÷(1+A/100+B/100)×100
XB= B/100 × C/100 ÷(1+A/100+B/100)×100
繊維構造物に浸漬する加工液中のシリコーン系樹脂の固形分濃度をA(質量%)、ポリエステル系樹脂の固形分濃度をB(質量%)、圧搾機の圧搾率をC(%)とすると、繊維構造物に対するシリコーン系樹脂の付着量XA(質量%)、ポリエステル系樹脂の付着量XB(質量%)は次式で表される値を付着量とする。
XA= A/100 × C/100 ÷(1+A/100+B/100)×100
XB= B/100 × C/100 ÷(1+A/100+B/100)×100
(4)風合い評価
風合いの評価は官能評価で行い、適度な滑り、ぬめり感があり、柔らかなタッチを有するものを◎(非常に良好)、滑り性があり、柔軟性を有するが、僅かなきしみ感やぬめりが僅かに強く感じられるものを〇(良好)、滑り性が強く手指へのなじみ感が低いものや、逆に滑り性やぬめり性がやや劣りきしみ感がややあるもの、ぬめり感がやや強いものを△(やや不良)、滑りが無く、きしみ感があるものや、ぬめり感が強く、手指にまとわりつくようなタッチのものを×(不良)で判断した。
風合いの評価は官能評価で行い、適度な滑り、ぬめり感があり、柔らかなタッチを有するものを◎(非常に良好)、滑り性があり、柔軟性を有するが、僅かなきしみ感やぬめりが僅かに強く感じられるものを〇(良好)、滑り性が強く手指へのなじみ感が低いものや、逆に滑り性やぬめり性がやや劣りきしみ感がややあるもの、ぬめり感がやや強いものを△(やや不良)、滑りが無く、きしみ感があるものや、ぬめり感が強く、手指にまとわりつくようなタッチのものを×(不良)で判断した。
[実施例1]
167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント100質量%を経糸に用い、84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント100質量%を緯糸に用いて平織物(経糸密度:126本/2.54cm、緯糸密度:72本/2.54cm、目付:150g/m2)を、レピア織機を用いて常法に従い製織した。その後、常法に従い、糊抜、精練を行った後、黒色の分散染料で染色し、テンター乾燥を行い、生地を作成した。その後、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、シリコーン系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“ユニカシリコン”SL-53、ポリエーテル変性シリコーンオイル)が繊維構造物に対して5.0質量%、かつ、ポリエステル系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“UNIKON” NSR-1081、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル)が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が布帛重量に対して50%となるように圧搾し、次いで120℃で1分間処理して乾燥した。その後、160℃で1分間キュアリング処理をして、実施例1の織物を得た。比較例1~3に対し、乾燥時の静摩擦係数、及び湿潤時の動摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯時の洗濯屑量も低減しており、風合いも非常に良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント100質量%を経糸に用い、84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント100質量%を緯糸に用いて平織物(経糸密度:126本/2.54cm、緯糸密度:72本/2.54cm、目付:150g/m2)を、レピア織機を用いて常法に従い製織した。その後、常法に従い、糊抜、精練を行った後、黒色の分散染料で染色し、テンター乾燥を行い、生地を作成した。その後、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、シリコーン系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“ユニカシリコン”SL-53、ポリエーテル変性シリコーンオイル)が繊維構造物に対して5.0質量%、かつ、ポリエステル系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“UNIKON” NSR-1081、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル)が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が布帛重量に対して50%となるように圧搾し、次いで120℃で1分間処理して乾燥した。その後、160℃で1分間キュアリング処理をして、実施例1の織物を得た。比較例1~3に対し、乾燥時の静摩擦係数、及び湿潤時の動摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯時の洗濯屑量も低減しており、風合いも非常に良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[実施例2]
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して3.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.6質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、実施例2の織物を得た。実施例1と同様に、比較例1~3よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにきしみがあるが、良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して3.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.6質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、実施例2の織物を得た。実施例1と同様に、比較例1~3よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにきしみがあるが、良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[実施例3]
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して3.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.0質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、実施例3の織物を得た。実施例1、2と同様に、比較例1~3よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにきしみがあるが、良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して3.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.0質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、実施例3の織物を得た。実施例1、2と同様に、比較例1~3よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度に低く制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにきしみがあるが、良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[実施例4]
84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント80質量%と、綿50番手綿紡績糸11質量%と、44デシテックスのポリウレタン糸9質量%からなるトリコット編地を、常法に従い編成した。その後、常法に従い、精練、漂白加工を行った後、黒色の分散染料、及び反応染料で染色し、テンター乾燥を行い、生地を作成した。その後、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、シリコーン系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“ユニカシリコン”SL-53)が繊維構造物に対して8.0質量%、かつ、ポリエステル系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“UNIKON” NSR-1081、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル)が繊維構造物に対して0.6質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が布帛重量に対して50%となるように圧搾し、次いで120℃で1分間処理して乾燥した。その後、160℃で1分間キュアリング処理をして、実施例4の編地を得た。比較例4~6に対し、乾燥時の静摩擦係数が低すぎず、湿潤時の動摩擦係数が十分に低い結果であり、適度な範囲に制御されていた。また、洗濯時の洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにぬめりが強いが良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント80質量%と、綿50番手綿紡績糸11質量%と、44デシテックスのポリウレタン糸9質量%からなるトリコット編地を、常法に従い編成した。その後、常法に従い、精練、漂白加工を行った後、黒色の分散染料、及び反応染料で染色し、テンター乾燥を行い、生地を作成した。その後、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、シリコーン系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“ユニカシリコン”SL-53)が繊維構造物に対して8.0質量%、かつ、ポリエステル系樹脂(ユニオン化学工業株式会社製“UNIKON” NSR-1081、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル)が繊維構造物に対して0.6質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が布帛重量に対して50%となるように圧搾し、次いで120℃で1分間処理して乾燥した。その後、160℃で1分間キュアリング処理をして、実施例4の編地を得た。比較例4~6に対し、乾燥時の静摩擦係数が低すぎず、湿潤時の動摩擦係数が十分に低い結果であり、適度な範囲に制御されていた。また、洗濯時の洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにぬめりが強いが良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[実施例5]
実施例4で作成した黒色の編地に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して8.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.0質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、実施例5の編地を得た。実施例4と同様に、比較例4~6よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度な範囲に制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにぬめりが強いが良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
実施例4で作成した黒色の編地に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して8.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.0質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、実施例5の編地を得た。実施例4と同様に、比較例4~6よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度な範囲に制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも僅かにぬめりが強いが良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[実施例6]
実施例4で作成した黒色の編地に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して5.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、実施例6の編地を得た。実施例4、5と同様に、比較例4~6よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度な範囲に制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも非常に良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
実施例4で作成した黒色の編地に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して5.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、実施例6の編地を得た。実施例4、5と同様に、比較例4~6よりも繊維-繊維間の摩擦係数が適度な範囲に制御され、洗濯屑量も低減しており、風合いも非常に良好であった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も適度に低く維持していた。
評価結果は表1に示す。
[比較例1]
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して2.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.4質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例1の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもきしみが強いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して2.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.4質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例1の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもきしみが強いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
評価結果は表1に示す。
[比較例2]
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して2.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例2の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもきしみがやや強いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して2.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例2の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもきしみがやや強いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
評価結果は表1に示す。
[比較例3]
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して10.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例3の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は大幅に低かったが、繊維同士の摩擦が低すぎることで毛羽の脱落が多く、洗濯屑は増加する傾向であった。また風合いもぬめり感が過度に強いものであった。
実施例1で作成した黒色の織物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例1で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して10.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.8質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例1と同様の樹脂加工を施して、比較例3の織物を得た。実施例1と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は大幅に低かったが、繊維同士の摩擦が低すぎることで毛羽の脱落が多く、洗濯屑は増加する傾向であった。また風合いもぬめり感が過度に強いものであった。
評価結果は表1に示す。
[比較例4]
実施例4で作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して8.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.4質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例4の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いも滑りが強く、手指へのなじみがやや悪いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
実施例4で作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して8.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.4質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例4の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いも滑りが強く、手指へのなじみがやや悪いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
評価結果は表1に示す。
[比較例5]
実施例4で作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して5.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.5質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例5の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いも滑りがやや悪くきしみを感じるものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
実施例4で作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して5.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して1.5質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例5の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いも滑りがやや悪くきしみを感じるものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
評価結果は表1に示す。
[比較例6]
84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント50質量%と、綿50番手綿紡績糸41質量%と、44デシテックスのポリウレタン糸9質量%からなるトリコット編地とした以外は、実施例4と同様の加工を行い、作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して6.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.5質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例6の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもぬめり感がやや低いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
84デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント50質量%と、綿50番手綿紡績糸41質量%と、44デシテックスのポリウレタン糸9質量%からなるトリコット編地とした以外は、実施例4と同様の加工を行い、作成した黒色の編物に、前述の樹脂の付着量の定義に基づき、実施例4で使用したのと同じシリコーン系樹脂が繊維構造物に対して6.0質量%、ポリエステル系樹脂が繊維構造物に対して0.5質量%となるよう、イオン交換水を用いて調製した加工液に浸漬後、実施例4と同様の樹脂加工を施して、比較例6の編物を得た。実施例4と異なり、湿潤時の繊維-繊維間の動摩擦係数は高く、洗濯屑量も高い水準であり、また風合いもぬめり感がやや低いものであった。また、洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数も高いレベルであった。
評価結果は表1に示す。
本発明の繊維構造物は、洗濯を行っても繊維屑が少なく、環境負荷の少ない一般衣料等に好適に用いられる。
Claims (3)
- 繊維構造物を構成する繊維の内、ポリエステルフィラメントの割合が60質量%以上である繊維構造物であって、シリコーン系樹脂およびポリエステル系樹脂が繊維構造物を構成する繊維表面の少なくとも一部に付着しており、前記シリコーン系樹脂の含有量が繊維構造物の質量に対し、3.0~8.0質量%であり、前記ポリエステル系樹脂の含有量が繊維構造物の質量に対し、0.5~1.0質量%であり、繊維構造物に含まれる前記ポリエステルフィラメントについて、湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.01以上0.10以下、かつ乾燥時の繊維-繊維間静摩擦係数が0.40以上0.60以下である繊維構造物。
- 家庭洗濯50回後の湿潤時の繊維-繊維間動摩擦係数が0.05以上0.20以下である請求項1に記載の繊維構造物。
- 前記繊維構造物から構成される有効評価面積900cm2の試験片2枚について、ISO 6330 C4N法(2012)に従う洗濯試験において、洗濯機排水口から排出される繊維屑を、メンブレンフィルターを用いて捕集した場合の繊維屑量が30(mg/試験片2枚)以下である請求項1、または2に記載の繊維構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021028562A JP2022129753A (ja) | 2021-02-25 | 2021-02-25 | 繊維構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021028562A JP2022129753A (ja) | 2021-02-25 | 2021-02-25 | 繊維構造物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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