JP2022129484A - 温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型表面に均一な潤滑皮膜を生成でき、被加工材と金型表面が直接接触することによる被加工材の焼付きやキズ発生を防いで、優れた潤滑性をもたらす温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤を提供すること。【解決手段】(A)非イオン性界面活性剤、(B)水溶性高分子化合物、(C)有機低分子カルボン酸の塩、及び(D)水を含有する温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。【選択図】なし

Description

本発明は、鋼、アルミニウム、銅等の被加工材を、温熱間鍛造する際に、金型表面に塗布して適用される温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤に関する。
温熱間鍛造においては、金型から鋼、アルミニウム、銅等の被加工材を離型するため、また金型表面を冷却するため、さらに金型寿命を向上させるために、金型表面に潤滑離型剤が塗布される。温熱間鍛造に使用される水溶性潤滑離型剤は、水をベースとしており、通常、水で希釈して金型表面に塗布される。
水溶性潤滑離型剤は、温熱間鍛造の際、金型に塗布され、金型表面に付着し乾燥し、金型表面に潤滑皮膜を形成して鍛造に供される。鍛造に供された潤滑皮膜は、被加工材を温熱間鍛造する加工界面で燃焼を伴いながら潤滑を行い、最終的に加工界面に残渣を残すことによって金型表面から被加工材を離型させる。金型表面に残った残渣物は次回の塗布によって洗い流され、金型表面には新たな潤滑皮膜が形成される。
上記のように、温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、塗布、付着、皮膜乾燥、皮膜生成、高温潤滑、残渣形成、再溶解のサイクルを繰り返して作用することから、使用される水溶性潤滑離型剤には、付着性、皮膜乾燥性、均一皮膜生成性、皮膜密着性、高温潤滑性、再溶解性等の性能が要求される。
特許文献1(特開平6-212184)は、(a) マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩を0.1~30重量%、(b) イソフタル酸及びアジピン酸のアルカリ金属塩またはイソフタル酸、アジピン酸及びオルトフタル酸のアルカリ金属塩を0.1~30重量%、(c) 水溶性高分子化合物0.1~10重量%を有し、残部が水からなることを特徴とする塑性加工用水溶性潤滑離型剤を開示している。
特許文献2(特開2018-24727)は、(a)低分子カルボン酸のアルカリ金属塩、低分子カルボン酸のアルカリ土類金属塩、及び、低分子カルボン酸のアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の潤滑成分と、(b)500℃に加熱した際の分解残渣が50%未満である、2種類以上の付着性向上剤と、(c)水とを含有することを特徴とする温間又は熱間鍛造用潤滑剤を開示している。
また、特許文献3(WO2019-087573)は、(a)シリカと、(b)有機酸のアルカリ金属塩とを含み、前記(a)シリカに対する、前記(b)有機酸のアルカリ金属塩の重量比((b)の重量/(a)の重量)が2以上であることを特徴とする、塑性加工用潤滑剤組成物を開示している。
しかしながら、特許文献1~3に開示された各水溶性潤滑離型剤は、潤滑離型剤の表面張力が高く濡れ性に劣る場合が多く、通常、均一な潤滑皮膜の生成は期待できず、潤滑皮膜が不均一な状態で温熱間鍛造に供されるため、潤滑皮膜の薄い部分では被加工材と金型表面が直接接触することになって、被加工材の焼付きやキズ発生につながる。
特開平6-212184 特開2018-24727 WO2019-087573
温熱間鍛造を行う際に塗布される水溶性潤滑離型剤は、潤滑皮膜が金型表面に均一に付着していれば十分な潤滑性を発揮することができるが、潤滑皮膜が不均一な状態で鍛造に供された場合、潤滑皮膜が薄い部分では被加工材が金型表面と直接接触し、被加工材の焼付きやキズ発生につながる。
従って、本発明の目的は、金型表面に均一な潤滑皮膜を生成でき、被加工材と金型表面が直接接触することによる被加工材の焼付きやキズ発生を防いで、優れた潤滑性をもたらす温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究した結果、金型表面に均一な潤滑皮膜を生成するためには、潤滑離型剤の表面張力を下げるため界面活性剤の添加が考えられるが、潤滑離型剤に界面活性剤を添加すると操業中に混入してくる異種油分を取り込んでしまうため、潤滑離型剤の1次性能である潤滑性、離型性、冷却性を大きく損なう可能性があること、均一皮膜を生成し被加工材と金型表面が直接接触することを防ぎしかも潤滑性等を損なわないためには、表面張力を下げるとともに優れた油水分離性を持つような潤滑離型剤を開発する必要があることを見出した。
本発明者は、このような温熱間鍛造において、均一な潤滑皮膜を生成しながら油水分離性を損なうことのない温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤を開発するべく、用いる界面活性剤について、更に鋭意検討を重ねた結果、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤ではなく、非イオン性界面活性剤を選択し添加することによって、表面張力を低下させるが油水分離性を損なうことの無い水溶性潤滑離型剤を実現できることを見出した。
また、本発明者は、非イオン性界面活性剤の中でも、特に、高分子ポリマー系界面活性剤を選択すること、更にはHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)が7~9の界面活性剤を選択することによって、より顕著に、表面張力を低下させるが油水分離性を損なうことの無い水溶性潤滑離型剤を実現できることを見出した。
本発明は、上記の新たな諸知見に基づいて完成されたものである。即ち、本発明は、以下に示す通り、特定の界面活性剤を含む温熱間鍛造用潤滑離型剤を提供するものである。
1.(A)非イオン性界面活性剤、(B)水溶性高分子化合物、(C)有機低分子カルボン酸の塩、及び(D)水を含有する温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
2.温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤全量を100質量%とした場合に、
(A)非イオン性界面活性剤の含有量が0.1~5.0質量%であり、
(B)水溶性高分子化合物の含有量が1~30質量%であり、
(C)有機低分子カルボン酸の塩の含有量が1~30質量%であり、及び
残部が(D)水である、上記項1に記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
3.(A)非イオン性界面活性剤が、高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤から選択される1種類または2種類以上である、上記項1又は2に記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
4.高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤が、HLB値7~9の範囲内のものである、上記項1~3のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
5.(B)水溶性高分子化合物が、ポリアクリル酸、アクリル酸-無水マレイン酸共重合物、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸-無水マレイン酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、イソブチレン-無水マレイン酸共重合物、及びメチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合物からなる群から選択される1種類または2種類以上である、上記項1~4のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
6.(C)有機低分子カルボン酸の塩が、イタコン酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、セバシン酸,ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、安息香酸、及びアゼライン酸からなる群から選択される1種類または2種類以上のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩である、上記項1~5のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤によれば、次の様な顕著な効果が奏される。
(1)本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、含有する特定の界面活性剤の働きにより、表面張力が低く濡れ性に優れることから、金型に塗布された際には金型表面に均一に広がって、均一な潤滑皮膜を生成でき、被加工材と金型表面が直接接触することによる被加工材の焼付きやキズ発生を防いで、優れた潤滑性、離型性、冷却性をもたらす。
(2)また、本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤ではなく、非イオン性界面活性剤を適用したことによって、金型表面に均一な潤滑皮膜を生成しながら油水分離性を損なうことがない。
(3)更にまた、本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、非イオン性界面活性剤の中でも、特に、高分子ポリマー系界面活性剤を選択すること、更にはHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)値が7~9の界面活性剤を選択することによって、より顕著に、表面張力を低下させると共に油水分離性を損なうことも無い。
(4)従って、本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、非イオン性界面活性剤、特に好ましくは、高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤を適用し、又HLB値が7~9のものを選択することによって,顕著に均一な潤滑皮膜を生成することができ、又界面活性剤を添加しているにもかかわらず油水分離性に優れるため、操業中に混入してくる異種油分を取り込むことなく、潤滑液の静置や油水分離装置の設置で簡単に異種油分を取り除くことができる。
均一皮膜生成能に関する試験結果の写真を示す図である。 油水分離性能に関する試験結果の写真を示す図である。 潤滑性能に関する熱間リング圧縮試験器の概略を示す図である。 潤滑性能に関する熱間リング圧縮試験結果のグラフを示す図である。
温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤
本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、金型に塗布して使用する、水をベースとした潤滑離型剤であり、(A)非イオン性界面活性剤、(B)水溶性高分子化合物、(C)有機低分子カルボン酸の塩、及び(D)水を含有することによって、特徴付けられる。また、ここでいう温間鍛造とは、例えば鋼の場合、素材(加工材)の加熱温度を、700℃~1000℃程度にして鍛造する加工方法である。また、ここでいう熱間鍛造とは、例えば鋼の場合、素材(加工材)の加熱温度を、1000℃~1300℃程度にして鍛造する加工方法である。
(A)非イオン性界面活性剤
本発明水溶性潤滑離型剤において、非イオン性界面活性剤(A)は、潤滑離型剤の表面張力を低下させて、金型に塗布された際に均一な潤滑皮膜を生成するという機能を発揮するものである。
非イオン性界面活性剤(A)としては、特に、高分子ポリマー系非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである「エパン」(登録商標)(第一工業製薬(株)製),ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールのブロックコポリマーである「プロノン」(登録商標)(日油(株)製)などを挙げることができる。これらのグリコール型の高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤は、分子中にアルキル基が少ないため油水分離性を損なうことが無いという利点がある。
また、高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤は、HLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)値が7~9程度の範囲内のものを選択することが、より顕著に、表面張力を低下させると共に油水分離性を損なうことも無い点から、好ましい。HLB値が9を超えて高すぎる場合は表面張力を低下させる効果が低下し、一方7未満となって低すぎる場合は潤滑離型剤に添加しても、添加した高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤が析出分離するため効果を得られない可能性がある。
非イオン性界面活性剤(A)の含有量は、潤滑離型剤全量を100質量%とした場合に、0.1~5.0質量%程度であるのが好ましく、0.3~3.0質量%程度であるのがより好ましい。非イオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると必要となる表面張力の低下を得難く、一方その含有量が5.0質量%を超える場合には、油水分離性の低下が著しくなり操業中に混入する異種油分の分離が困難になる傾向がある。
(B)水溶性高分子化合物
水溶性高分子化合物(B)は、付着性の向上に優れた効果を示し、潤滑離型剤中の潤滑成分を金型表面に付着させ強固な潤滑皮膜を形成させるという機能を有する。
水溶性高分子化合物(B)としては、ポリアクリル酸、アクリル酸-無水マレイン酸共重合物、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸-無水マレイン酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、イソブチレン-無水マレイン酸共重合物、及びメチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合物等が挙げられる。例えば、ポリアクリル酸の市販品としては、「アロン」(登録商標)(東亜合成株式会社)、アクリル酸-無水マレイン酸共重合物の市販品としては、「アクアリック」(登録商標)(株式会社日本触媒)、ポリエチレンイミンの市販品としては、「エポミン」(登録商標)(株式会社日本触媒)、ポリスチレンスルホン酸、およびスチレンスルホン酸-無水マレイン酸共重合物の市販品としては、「VERSA-TL」(登録商標)(米国NSC社)、カルボキシメチルセルロースの市販品としては、「セロゲン」(登録商標)(第一工業製薬株式会社)、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体の市販品としては、「イソバン」(登録商標)(クラレ株式会社)、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合物の市販品としては、「ガントレッツ」(登録商標)(アイエスピー・ジャパン株式会社)などを挙げることができる。
水溶性高分子化合物(B)は、アルカリ金属塩、あるいはアミン塩にして水に可溶化し使用することができる。アルカリ金属塩にする場合、水酸化ナトリウムと反応させてナトリウム塩とするか、水酸化カリウムと反応させてカリウム塩とする。アミン塩にする場合、アルカノールアミン類、例えばエタノールアミンと反応させてエタノールアミン塩として使用する。
水溶性高分子化合物(B)の含有量は、潤滑離型剤全量を100質量%とした場合に、1~30質量%程度であるのが好ましく、5~20質量%程度であるのがより好ましい。水溶性高分子化合物の含有量が1質量%未満である場合には、金型への付着効果が充分に発揮されない傾向があり、また30質量%を超えると、潤滑離型剤が流動性を失い、均一な潤滑皮膜ができなくなるおそれがある。
(C)有機低分子カルボン酸の塩
有機低分子カルボン酸の塩(C)は、形成した潤滑皮膜の潤滑性向上に優れた効果を示し、被加工材と金型との間の摩擦を軽減して良好な成形性を発揮させるために適用する。
有機低分子カルボン酸の塩(C)としては、有機低分子カルボン酸のアルカリ金属塩,あるいはアミン塩を用いることができる。有機低分子カルボン酸としては、イタコン酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、セバシン酸,ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、安息香酸、アゼライン酸などを挙げることができる。
有機低分子カルボン酸の塩(C)は、当初からカルボン酸塩の状態のものを原料として用いてもよいし、又は潤滑剤を製造する段階で、カルボン酸(例えば、アジピン酸)とアルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)又はアルカノールアミン類とを反応させてカルボン酸塩(例えば、アジピン酸ナトリウム)を形成してもかまわない。
有機低分子カルボン酸の塩(C)の含有量は、潤滑離型剤全量を100質量%とした場合に、1~30質量%程度であるのが好ましく、5~20質量%程度であるのがより好ましい。有機低分子カルボン酸の塩の含有量が1質量%未満である場合、十分な潤滑性を発揮できない可能性があり、また30質量%を超えると、形成した潤滑皮膜の金型への密着性が低下し、十分な効果が発揮できないおそれがある。
(D)水
水(D)としては、工業用水、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等を使用することができる。水(D)の含有量は、(A)、(B)、(C)の各成分及びその他の添加剤成分以外の残部とする。
本発明の潤滑離型剤中の水(D)の含有量は、潤滑離型剤の合計質量を100質量%とした場合、通常、40~95質量%程度であるのが好ましく、50~80質量%程度であるのがより好ましい。
その他の成分
本発明の潤滑離型剤には、上記各必須成分に加えて、必要に応じて、防腐剤、消泡剤などの添加剤を添加しても良い。
本発明の潤滑離型剤の製造方法の一例を示す。まず(D)成分である水にアルカリ金属の水酸化物を添加し、攪拌機にて攪拌することにより完全溶解させる。そこに(B)成分である水溶性高分子化合物を添加し、攪拌することにより完全溶解させる。更に(C)成分である有機低分子カルボン酸を添加し、攪拌することにより完全溶解させる。この時、中和反応による発熱があるので、液の突沸を防ぐため80℃以下に冷却しながら溶解させることが望ましい。そして液の温度が50℃以下になってから(A)成分である非イオン性界面活性剤を添加し、攪拌することにより完全溶解させる。この時液はやや白濁し半透明になることもある。これら成分が完全に溶解した後、その他成分(防腐剤、消泡剤など)を添加し攪拌して潤滑離型剤とする。
本発明の潤滑離型剤の使用方法の一例を示す。本発明の潤滑離型剤は、前記各成分それぞれの好ましい含有量を含むものを原液とするので、通常、原液中に水を40~95質量%程度含有している。この原液を、そのままで使用することも可能だが、原液を水で3倍~50倍に希釈した状態で使用するのが望ましい。例えば原液を希釈して使用することで、使用条件に適した潤滑離型剤の濃度に調整することができる。また運搬時は希釈前の原液を運搬するため、使用する際の希釈液に比べ容量が少なくて済み、潤滑離型剤の運搬性を向上させることができる。
原液あるいは原液を水で希釈した液をエアミックススプレーなどによって金型に直接塗布する。金型に塗布された潤滑離型剤は、水が蒸発すれば金型表面に固形成分による潤滑皮膜を形成し温熱間鍛造に供される。本発明における潤滑離型剤は(A)成分である非イオン性界面活性剤の働きにより、金型表面に均一な潤滑皮膜を生成し、被加工材と金型表面の直接接触を防ぎ、焼き付きの発生やキズの発生を防ぐ働きを行う。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1~2及び比較例1~2
下記表1に示す各成分を用いて、実施例1~2及び比較例1~2の水溶性潤滑離型剤を、以下の手順で製造した。表1中における配合割合の数値は、質量%を示す。各実施例については、水に水酸化ナトリウムを添加し攪拌して完全溶解した後、イソブチレン-無水マレイン酸共重合物又はポリアクリル酸ナトリウム、アジピン酸を順に添加し攪拌して完全に溶解させ、液温度が50℃以下になってから高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤である「プロノン104」(日油株式会社)(ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールのブロックコポリマー;HLB=8.0)を添加して、やや白濁した半透明液体とし、その後防腐剤および消泡剤を添加した。各比較例については界面活性剤の添加を行わず、その他は実施例と同様の手順で製造した。
Figure 2022129484000001
均一皮膜生成能に関する試験
実施例1~2及び比較例1~2の各潤滑離型剤を水で5倍に希釈したものを使用し、150℃に加熱して斜めに立てかけたダイス(金型)(マトリックスハイス;材質YXR-33、形状φ50×15mm)の表面にスプレー塗布し、ダイス表面に付着した潤滑離型剤皮膜の状態を目視評価する。スプレー塗布は、扶桑精機製スプレーガンST-5RWを使用し、吐出量200mL/min、塗布時間0.5sec、ノズルとダイスとの距離300mmで実施した。
試験結果を写した写真を図1に示す。図1より、実施例1~2の潤滑離型剤は、それぞれ、比較例1~2の潤滑離型剤に比べて、顕著に均一な潤滑皮膜が形成されており、均一皮膜生成能が大きく向上していることが明らかである。
油水分離性能に関する試験
実施例1~2及び比較例1~2の各潤滑離型剤を水で5倍に希釈したものを、サンプルとして使用し、メスシリンダーにサンプルと作動油(エネオス「スーパーハイランド68」)10vol%分を入れ、手振りで激しく振とうした後2分間静置する。静置2分後の油水分離状態を目視評価する。
試験結果を写した写真を図2に示す。図2より、実施例1~2の潤滑離型剤は、何れも、比較例1~2の潤滑離型剤と同様に、試験前及び静置2分後のいずれにおいても、各潤滑離型剤を水で5倍に希釈した水分と作動油とが明確に分離しており、本発明の潤滑離型剤が、非イオン性界面活性剤を含んでいるのにも拘わらず、油水分離性能に優れていることが明らかである。
潤滑性能に関する熱間リング圧縮試験
実施例1~2及び比較例1~2の各潤滑離型剤を水で5倍に希釈したものを使用して、熱間リング圧縮試験を行う。図3に、熱間リング圧縮試験器の概略を示す。図3において、1は加熱試験片を、2はダイス(金型)を、それぞれ示す。
熱間リング圧縮試験は、ダイス表面に各潤滑離型剤の5倍水希釈液を、扶桑精機製スプレーガンST-5RWを使用し、塗布量200mL/min、塗布時間0.5secで、スプレー塗布後、下記の試験条件下で行い、圧縮前後のリングの内径変化率と圧縮率から求められる摩擦係数で潤滑性能を評価した。
試験片:材質SUS-304、形状φ20×φ10×7mm
試験片温度:1000℃
ダイス:マトリックスハイス;材質YXR-33、形状φ50×15mm
ダイス温度:150℃
下記表2に、実施例1~2及び比較例1~2の水溶性潤滑離型剤の各5倍水希釈液を用いて、算出した摩擦係数を示した。
Figure 2022129484000002
また、上記表2に示した各摩擦係数を表したグラフを、図4に示す。表2及び図4から明らかな通り、熱間リング圧縮試験の結果、実施例1は比較例1に比べ摩擦係数が低くなり、また実施例2は比較例2に比べ摩擦係数が低くなり、明確に潤滑性能の向上が認められた。
本発明の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤は、金型表面に均一な潤滑皮膜を生成でき、被加工材と金型表面が直接接触することによる被加工材の焼付きやキズ発生を防いで、優れた潤滑性をもたらすことができるので、鋼、アルミニウム、銅等の被加工材の温熱間鍛造において好適に使用される。

Claims (6)

  1. (A)非イオン性界面活性剤、(B)水溶性高分子化合物、(C)有機低分子カルボン酸の塩、及び(D)水を含有する温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
  2. 温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤全量を100質量%とした場合に、
    (A)非イオン性界面活性剤の含有量が0.1~5.0質量%であり、
    (B)水溶性高分子化合物の含有量が1~30質量%であり、
    (C)有機低分子カルボン酸の塩の含有量が1~30質量%であり、及び
    残部が(D)水である、請求項1に記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
  3. (A)非イオン性界面活性剤が、高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤から選択される1種類または2種類以上である、請求項1又は2に記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
  4. 高分子ポリマー系非イオン性界面活性剤が、HLB値が7~9の範囲内のものである、請求項1~3のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
  5. (B)水溶性高分子化合物が、ポリアクリル酸、アクリル酸-無水マレイン酸共重合物、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸-無水マレイン酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、イソブチレン-無水マレイン酸共重合物、及びメチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合物からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項1~4のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。
  6. (C)有機低分子カルボン酸の塩が、イタコン酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、セバシン酸,ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、安息香酸、及びアゼライン酸からなる群から選択される1種類または2種類以上のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩である、請求項1~5のいずれかに記載の温熱間鍛造用水溶性潤滑離型剤。

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