JP2022129314A - 蓄電素子 - Google Patents

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Yuta Osugi
雄大 川副
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Abstract

【課題】電極間の隙間の広がりが低減され、電極体全体に加えられる荷重のムラも低減された蓄電素子を提供する。【解決手段】蓄電素子は、正極及び負極が上記セパレータを介して巻回されて構成された扁平状の電極体2と、上記電極体を収容している容器とを備え、巻回の軸線方向Xにおいて正極基材における正極活物質層が形成されていない第1未形成部が負極基材よりも一方側に突出し、上記負極基材における負極活物質層が形成されていない第2未形成部が上記正極基材よりも他方側に突出しており、巻回されて積層された上記第1未形成部及び上記第2未形成部が、互いに同じ積層方向に束ねられ、かつ上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねられており、上記容器の内部が負圧状態である。【選択図】図3

Description

本発明は、蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池等の蓄電素子は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
このような非水電解質二次電池として、正極電極の正極電極箔の幅方向一方側の端部に正極活物質合材を塗布しない正極箔露出部が設けられ、負極電極の負極電極箔の幅方向他方側の端部に負極活物質合材を塗布しない負極箔露出部が設けられており、正極電極及び負極電極が捲回(巻回)されることで捲回電極群が形成され、正極箔露出部が2つの湾曲部の間の平面部分で束ねられて溶接によって互いに接続され、この状態で正極集電板の正極側接続端部に接続され、負極箔露出部が2つの湾曲部の間の平面部分で束ねられて溶接によって互いに接続され、この状態で負極集電板の負極側接続端部に接続されてなる二次電池が提案されている。この二次電池では、捲回電極群の偏平部が押圧部材で押圧されている(特許文献1参照)。
特開2015-118828
上記特許文献1のような蓄電素子では、正極箔露出部及び負極箔露出部における各幅方向端部が束ねられて溶接されると、正極電極箔及び負極電極箔の剛性に起因して電極間の隙間が広くなり、その結果、抵抗が増大するおそれがある。また、上記蓄電素子では、捲回電極群全体において、加えられる荷重のムラが大きくなり、その結果、電気化学反応が不均一になるおそれがある。
本発明の目的は、電極間の隙間の広がりが低減され、しかも電極体全体に加えられる荷重のムラも低減された蓄電素子を提供することである。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、正極、負極及びセパレータを有し、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して巻回されて構成された扁平状の電極体と、上記電極体を収容している容器とを備え、上記正極が、長尺の正極基材と、この正極基材上にその長手方向に亘って形成された正極活物質層とを有し、かつ上記正極基材が、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有し、上記負極が、長尺の負極基材と、この負極基材上にその長手方向に亘って形成された負極活物質層とを有し、かつ上記負極基材が、その上記長手方向に垂直な方向における上記第1未形成部とは反対の側の端部に、上記負極活物質層が形成されていない第2未形成部を上記長手方向に亘って有し、巻回の軸線方向において上記第1未形成部が上記負極基材よりも一方側に突出し、上記第2未形成部が上記正極基材よりも他方側に突出しており、巻回されて積層された上記第1未形成部及び上記第2未形成部が、互いに同じ積層方向に束ねられ、かつ上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねられており、上記容器の内部が負圧状態である。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、電極間の隙間の広がりが低減され、しかも電極体全体に加えられる荷重のムラも低減されている。
図1は、一実施形態の蓄電素子を示す模式的分解透視図である。 図2は、本実施形態の蓄電素子の一例を示す模式的断面図である。 図3は、本実施形態の蓄電素子における容器の内部の一例を示す模式的正面図である。 図4は、電極体の層構成の一例を示す模式図である。 図5は、図3のA-A矢視断面図である。 図6は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。 図7は、比較例1の蓄電素子のX線CT写真である。 図8は、実施例1の蓄電素子のX線CT写真である。 図9は、比較例2の蓄電素子のX線CT写真である。 図10は、実施例2の蓄電素子のX線CT写真である。
初めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、正極、負極及びセパレータを有し、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して巻回されて構成された扁平状の電極体と、上記電極体を収容している容器とを備え、上記正極が、長尺の正極基材と、この正極基材上にその長手方向に亘って形成された正極活物質層とを有し、かつ上記正極基材が、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有し、上記負極が、長尺の負極基材と、この負極基材上にその長手方向に亘って形成された負極活物質層とを有し、かつ上記負極基材が、その上記長手方向に垂直な方向における上記第1未形成部とは反対の側の端部に、上記負極活物質層が形成されていない第2未形成部を上記長手方向に亘って有し、巻回の軸線方向において上記第1未形成部が上記負極基材よりも一方側に突出し、上記第2未形成部が上記正極基材よりも他方側に突出しており、巻回されて積層された上記第1未形成部及び上記第2未形成部が、互いに同じ積層方向に束ねられ、かつ上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねられており、上記容器の内部が負圧状態である。
ここで、「同じ積層方向」とは、扁平状の電極体の厚さ方向であって、第1未形成部及び第2未形成部が束ねられる際の積層方向(正極とセパレータと負極とが積層される方向)を意味し、また、束ねられる際の第1未形成部の積層方向と第2未形成部の積層方向とが平行であることを意味する。「第1未形成部及び第2未形成部が束ねられている」とは、巻回されて積層された第1未形成部の各層、及び第2未形成部の各層が、それぞれ互いに集合されて接続されていることを意味する。「容器の内部が負圧状態である」とは、容器の外部の圧力と比較して容器の内部の余剰空間の圧力が低いことをいう。
この蓄電素子は、電極間の隙間の広がりが低減され、しかも電極体に加えられる荷重ムラも低減されている。このような効果が奏される理由は、必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察される。
すなわち、巻回されて積層された第1未形成部及び第2未形成部が上記同じ積層方向に束ねられる際に、第1未形成部及び第2未形成部における上記高さ方向の全体が束ねられる場合には、正極基材及び負極基材の剛性に起因して、束ねる力(すなわち、正極基材及び負極基材を積層方向の中央側に向かって曲げる力)に抗して元の形状に戻ろうとする力(以下、反力ともいう)が正極基材及び負極基材に作用する。この反力に起因して、巻回によって積層された電極間(すなわち、正極及び負極の間)の隙間が広がる。電極間の隙間が広がると、その分、電極体の抵抗が増大する。
これに対し、第1未形成部及び第2未形成部における上記高さ方向の一部が部分的に束ねられる場合には、上記のように高さ方向の全体が束ねられる場合よりも、上記束ねる力が第1未形成部及び第2未形成部において作用する領域が小さくなる。これに伴って、上記反力が正極基材及び負極基材において作用する領域も小さくなるため、電極間の隙間の広がりが低減される。
また、容器の内部が負圧状態であることで、電極体が押圧部材等で押圧される場合と比較して、電極体全体に万遍なく荷重が加えられるため、電極体全体に加えられる荷重のムラが低減される。その結果、電気化学反応が不均一になることが抑制される。
しかも、上記のように部分的に束ねられることと、負圧状態であることとが相まって、相乗的に電極間の隙間の広がりが低減される。
このように、電極間の隙間の広がりが低減され、しかも電極体に加えられる荷重ムラも低減されると推察される。
ここで、上記第1未形成部及び上記第2未形成部が束ねられた部分が、上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記高さ方向の中央部に配置されていてもよい。
このように上記各束ねられた部分が上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記高さ方向の中央部に配置される場合、他の位置に配置される場合よりも正極基材及び負極基材に作用する上記反力が小さくなる。よって、同じ負圧状態で比較すると、上記各束ねられた部分が上記中央部に配置される場合の方が、他の部分に配置される場合よりも、電極間の隙間の広がりが抑制される。換言すれば、上記各束ねられた部分が上記中央部に配置される場合の方が、他の部分に配置される場合よりも、負圧状態である容器の内部の圧力が高くても、電極間の隙間の広がりが低減される。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、及び蓄電素子の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<蓄電素子の構成>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及び、セパレータ、を有し、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して巻回されて構成された電極体と、電解液と、上記電極体、及び電解液を収容するための密閉可能な容器と、を備える。
当該蓄電素子では、上記正極が、長尺の正極基材と、この正極基材上にその長手方向に亘って形成された正極活物質層とを有し、かつ上記正極基材が、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有する。上記負極が、長尺の負極基材と、この負極基材上にその長手方向に亘って形成された負極活物質層とを有し、かつ上記負極基材が、その上記長手方向に垂直な方向における上記第1未形成部とは反対の側の端部に、上記負極活物質層が形成されていない第2未形成部を上記長手方向に亘って有する。巻回の軸線方向において上記第1未形成部が上記負極基材よりも一方側に突出し、上記第2未形成部が上記正極基材よりも他方側に突出している。巻回されて積層された上記第1未形成部及び上記第2未形成部が、互いに同じ積層方向に束ねられ、かつ上記同じ積層方向に視た上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記軸線方向に垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねられている。上記容器の内部が負圧状態である。
電解液は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。以下、蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
図1に角型電池の一例としての蓄電素子1を分解して示す。図2は、図1の蓄電素子の模式的断面図である。図3は、図1の蓄電素子における容器の内部を示す模式的正面図である。図4は、電極体の層構成の一例を示す模式図である。図5は、図3のA-A矢視断面図である。図1、図2及び図3において、X方向は電極体の巻回における軸線方向を示し、Y方向は、第1未形成部及び第2未形成部が束ねられる同じ積層方向を示し、Z方向は、巻回の軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向を示す。X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交している。また、図5は、図3の容器の内部をY方向に切断した断面図である。
蓄電素子1は、セパレータ6を介して積層された正極及び負極を巻回した扁平状の巻回型電極体2と、電極体2における巻回の軸線方向の両端部にそれぞれ接続される正極集電接続体8及び負極集電接続体9と、正極集電接続体8及び負極集電接続体9とそれぞれ接続される正極集電体41及び負極集電体51と、これらを収納する容器3とを備える。容器3は、正極端子4及び負極端子5を備える。
[容器]
容器3は、偏平の有底角筒形状の容器本体3aと、容器本体3aの細長い矩形状の開口部を閉鎖可能である細長い矩形板状の蓋体3bとを有している。上記電極体2は、上記容器本体3aの内表面に直接又は間接的に接触している。
蓋体3bには、外部と通電する正極端子4及び負極端子5が設けられている。また、正極は、正極集電接続体8、及びこの正極集電接続体8と接続される正極集電体41を介して正極端子4と電気的に接続される。負極は、負極集電接続体9、及びこの負極集電接続体9と接続される負極集電体51を介して負極端子5と電気的に接続される。
[電極体]
電極体2は、正極及び負極がセパレータ6を介して積層された状態で巻回された巻回型であってもよく、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型であってもよい。この実施形態では、電極体2は、扁平形状の巻回電極体である。電極体2は、2つの巻回R部と、2つの平坦部とを有する。2つの平坦部は、電極体2を構成する外壁側面の扁平部分に相当し、それぞれ、容器本体を構成する内壁側面の幅広な側面に対向して配置されている。この実施形態では、2つの平坦部は、容器本体の幅広な側面と接するように配置されている。2つの巻回R部は、電極体2を構成する外壁側面の曲率部分(湾曲部分)に相当し、それぞれ、容器本体の底面および蓋体に面して配置されている。2つの巻回R部は、容器本体の幅広な側面と接しないように配置されている。かかる構成によると、上記容器3の内部を負圧状態にすることで、容器3を内側に向けて引く力が生じて容器3の幅広な側面が撓み、扁平状の電極体2の平坦部(扁平面)が厚さ方向(矩形板状の蓋体における短辺方向であって、正極、負極及びセパレータの積層方向)に圧迫される。このように、電極体2の平坦部(扁平面)を厚さ方向に圧迫することで、電極間の隙間の広がりをより良く低減することができる。上記電極体2が巻回型の場合、上記電極体2は、さらに中央部に巻芯を備え、巻芯を中心として巻回されていてもよい。巻芯は、中空構造及び中実構造のいずれを有していてもよいが、中空構造の巻芯が好ましい。上記電極体2が中空構造の巻芯を備えることで、上記容器3の内部を負圧状態にする方法として、容器3の内部に電解液に可溶な気体を収容する方法を採用した場合、電極体2の中心に中空領域が形成された状態で上記電解液に可溶な気体が封入されるため、容器3の内部の圧力をより効果的に下げることができる。
図4に示すように、正極は、長尺の正極基材43と、この正極基材43上にその長手方向に亘って形成された正極活物質層45とを有し、かつ上記正極基材43が、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層45が形成されていない第1未形成部43aを上記長手方向に亘って有する。正極活物質層45は、正極基材43の一方の面に形成されていても、両方の面に形成されていてもよい。また、正極基材43は、上記長手方向に垂直な他の端部に、上記正極活物質層45が形成されていない未形成部を上記長手方向に亘って有していてもよく、このような未形成部を有していなくてもよい。
図4に示すように、負極は、長尺の負極基材53と、この負極基材53上にその長手方向に亘って形成された負極活物質層55とを有し、かつ上記負極基材53が、その上記長手方向に垂直な方向における上記第1未形成部43aとは反対の側の端部に、上記負極活物質層55が形成されていない第2未形成部53aを上記長手方向に亘って有する。負極活物質層55は、負極基材53の一方の面に形成されていても、両方の面に形成されていてもよい。また、負極基材53は、上記長手方向に垂直な他の端部に、上記負極活物質層55が形成されていない未形成部を上記長手方向に亘って有していてもよく、このような未形成部を有していなくてもよい。
巻回されて積層された状態(以下、「巻回状態」ともいう)で、巻回の軸線方向(図4の左右方向、X方向)において、第1未形成部43aは負極基材53よりも一方側(図4の左側)に突出し、第2未形成部53aは正極基材43よりも他方側(図4の右側)に突出している。
図3及び図5に示すように、巻回状態にある第1未形成部43a及び第2未形成部53aは、互いに同じ積層方向(図3のY方向、図5の上下方向)に束ねられ、かつ第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける軸線方向(図3のX方向、図5の左右方向)と上記積層方向(図3のY方向、図5の上下方向)とに垂直な高さ方向(図3のZ方向、図5の紙面に垂直な方向)の一部にて部分的に束ねられている。この実施形態では、巻回状態にある第1未形成部43a及び第2未形成部53aは、それぞれ積層方向の両側から積層方向の中央側に寄せ集められ、一つに束ねられている。
上記同じ積層方向(Y方向)に視て、第1未形成部43a及び第2未形成部53aが束ねられた部分M1及びM2(以下、それぞれ「第1束ね部」及び「第2束ね部」ともいう)の、第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける高さ方向(Z方向)の配置は、特に限定されない。例えば、図3に示すように、第1束ね部M1及び第2束ね部M2は、第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける高さ方向(Z方向)の中央部に配置されていてもよい。
このように第1束ね部M1及び第2束ね部M2が第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける高さ方向(Z方向)の中央部に配置される場合、他の位置に配置される場合よりも正極基材43及び負極基材53に作用する上記反力が小さくなる。よって、同じ負圧状態で比較すると、上記各束ねられた部分が上記中央部に配置される場合の方が、他の部分に配置される場合よりも、電極間の隙間の広がりが抑制される。換言すれば、上記各束ねられた部分が上記中央部に配置される場合の方が、他の部分に配置される場合よりも、負圧状態である容器の内部の圧力が高くても、電極間の隙間の広がりが低減される。かかる負圧状態は、電極体全体の荷重ムラを低減する(ひいては電極体内において電気化学反応が不均一になることを抑制する)観点からも好適である。また、上記各束ねられた部分が上記中央部に配置される場合、電極間の隙間の広がりが巻回電極体の高さ方向の中央部で特に発生しやすくなるが、上記構成によると、容器3の内部を負圧状態にして容器3の幅広な側面を凹ませる(例えば、容器3の幅広な側面の高さ方向の上端および下端から高さ方向の中央側に向かうに従って凹み量が暫次増加するように凹ませる)ことで、上記電極間の隙間の広がりが生じやすい電極体2の高さ方向の中央部を選択的に圧迫することができる。そのため、電極間の隙間の広がりをより効果的に低減することができる。
図5に示すように、第1未形成部43a及び第2未形成部53aは、高さ方向(Z方向、図5の紙面に垂直な方向)に視て、各突出端部(図5の左右の端部)に向かって折れ曲がることなく湾曲した状態で各突出端部が集合されて束ねられていることが好ましい。第1未形成部43a及び第2未形成部53aがこのように湾曲している場合、折り曲げられている場合よりも、束ね力に抗する反力が大きくなり、電極間の隙間が広がり易くなる傾向にあるところ、このように電極間の隙間が広がり易い場合においても、電極間の隙間の広がりが抑制されるため、当該蓄電素子1の優位性が向上する。
電極間の広がりをより低減する観点から、例えば、第1束ね部M1及び第2束ね部M2が、第1未形成部43a及び第2未形成部53aを高さ方向に3分割した領域のうち中央の領域に配置されることが好ましく、第1未形成部43a及び第2未形成部53aを高さ方向に5分割した領域のうち中央の領域に配置されることがより好ましく、第1未形成部43a及び第2未形成部53aを高さ方向に7分割した領域のうち中央の領域に配置されることがさらに好ましい。また、第1未形成部43aの第1束ね部M1と、第2未形成部53aの第2束ね部M2とが、上記同じ積層方向(Y方向)に視て同じ寸法であることが好ましい。
図5に示すように、第1束ね部M1及び第2束ね部における上記同じ積層方向(Y方向、図5の上下方向)の中心が、電極体2におけるY方向の中心と一致することが好ましい。
第1未形成部43a及び第2未形成部53aを束ねる手段としては、これらの各層が集合されて接続されるような手段であればよく、特に限定されない。上記束ねる手段としては、例えば公知の束ねる手段を採用することができる。公知の束ねる手段としては、溶接、導電性接着剤による接着、2枚の金属板による挟持などが挙げられる。
(第1未形成部及び第2未形成部)
束ねられていない状態(以下、未束状態ともいう)での第1未形成部43a及び第2未形成部の軸線方向(X方向)の長さ(以下、「軸方向の長さ」を「幅」ともいう)は、特に限定されず、当該蓄電素子1の設計等に応じて適宜設定され得る。例えば未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅の下限としては、未束状態での正極基材43及び負極基材53の(全体の)幅に対して70%が好ましく、75%がより好ましく、80%がさらに好ましい。一方、未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅の上限としては、未束状態での正極基材43及び負極基材53の(全体の)幅に対して95%が好ましく、92%がより好ましく、90%がさらに好ましい。
より具体的には、未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅の下限としては、80mmが好ましく、87mmがより好ましく、93mmがさらに好ましい。一方、未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅の上限としては、110mmが好ましく、107mmがより好ましく、105mmがさらに好ましい。
未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅が上記下限以上である場合、束ねる力の反力が正極基材43及び負極基材53に及ぼす領域が相対的に小さくなるため、電極間の隙間の広がりがより抑制される。一方、未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅が上記上限以下である場合、当該蓄電素子1の無駄な大型化が抑制される。なお、未束状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅は、互いに同じであっても、異なってもよい。
第1未形成部43aの第1束ね部M1、及び第2未形成部53aの第2束ね部M2における軸線方向(X方向)の長さ(以下、それぞれ「第1束ね幅」及び「第2束ね幅」ともいう)の上限としては、束ねた状態(以下、「束ね状態」ともいう)での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅に対して8%が好ましく、7%がより好ましい。一方、第1束ね幅及び第2束ね幅の下限としては、束ね状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aの幅に対して1%が好ましく、2%がより好ましい。
より具体的には、第1束ね幅及び第2束ね幅の上限としては、8mmが好ましく、7mmがより好ましい。一方、第1束ね幅及び第2束ね幅の下限としては、1mmが好ましく、2mmがより好ましい。
第1束ね幅及び第2束ね幅が上記上限以下である場合、束ねる力の反力が正極基材43及び負極基材53に及ぼす領域が相対的に小さくなるため、電極間の隙間の広がりがより抑制される。第1束ね幅及び第2束ね幅が上記下限以上である場合、より確実に第1未形成部43a及び第2未形成部53aが束ねられる。なお、第1束ね幅及び第2束ね幅は、互いに同じであっても、異なってもよい。
第1束ね部M1及び第2束ね部M2における高さ方向(Z方向)の長さ(以下、それぞれ「第1束ね長さ」及び「第2束ね長さ」ともいう)の上限としては、束ね状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける高さ方向(Z方向)の(全体の)長さに対して50%が好ましく、42%がより好ましい。一方、第1束ね長さ及び第2束ね長さの下限としては、束ね状態での第1未形成部43a及び第2未形成部53aにおける高さ方向(Z方向)の(全体)の長さに対して12%が好ましく、15%がより好ましい。
より具体的には、第1束ね長さ及び第2束ね長さの上限としては、30mmが好ましく、26mmがより好ましい。一方、第1束ね長さ及び第2束ね長さの下限としては、7mmが好ましく、9mmがより好ましい。
第1束ね長さ及び第2束ね長さが上記上限以下である場合、束ねる力の反力が正極基材43及び負極基材53に及ぼす領域が相対的に小さくなるため、電極間の隙間の広がりがより抑制される。一方、第1束ね長さ及び第2束ね長さが上記下限以上である場合、より確実に第1未形成部43a及び第2未形成部53aが束ねられる。なお、第1束ね長さ及び第2束ね長さは、互いに同じであっても、異なってもよい。
[電極体と正極集電体及び負極集電体との接続]
第1未形成部43aの第1束ね部M1及び第2未形成部53aの第2束ね部M2は、正極集電接続体8及び負極集電接続体9とそれぞれ接続(例えば接合)される。その接続方法としては、公知の接続方法が挙げられ、例えば、溶接、導電性接着剤による接着、2枚の金属板による挟持などが挙げられる。
図3及び図5に示す態様では、第1束ね部M1及び第2束ね部M2は、正極集電接続体8及び負極集電接続体9とそれぞれ溶接によって接続される。
図5に示す態様では、正極集電接続体8は2枚の第1金属板8a及び第2金属板8bを有する。この実施形態では、第1束ね部M1の積層方向の一方の面(図5の上面)に第1金属板8aが配置され、他方の面(図5の下面)に第2金属板8bが配置される。第1束ね部M1は、これら金属板によって挟まれて、これら金属板に例えば溶接によって接続される。上記同じ積層方向(Y方向)に視て、正極集電接続体8は、第1束ね部M1と同じ寸法に形成されることが好ましい。正極集電接続体8の厚さは、特に限定されず、適宜設定される。
図5に示す態様では、負極集電接続体9は2枚の第3金属板9a及び第4金属板9bを有する。この実施形態では、第2束ね部M2の積層方向の一方の面(図5の上面)に第3金属板9aが配置され、他方の面(図5の下面)に第4金属板9bが配置される。第2束ね部M2は、これら金属板によって挟まれて、これら金属板に例えば溶接によって接着される。上記同じ積層方向(Y方向)に視て、負極集電接続体9は、第2束ね部M2と同じ寸法に形成されることが好ましい。負極集電接続体9の厚さは、特に限定されず、適宜設定される。
第1束ね部M1及び第2束ね部M2と接続された正極集電接続体8及び負極集電接続体9は、公知の接続方法によって、正極集電体41及び負極集電体51にそれぞれ接続される。
なお、当該蓄電素子1は、上記した正極集電接続体8及び正極集電体41の代わりに、正極集電接続体と正極集電体とが一体に形成されたもの(正極集電接続部を有する正極集電体)を備えていてもよく、負極集電接続体9及び負極集電体51の代わりに、負極集電接続体と負極集電体とが一体に形成されたもの(負極集電接続部を有する負極集電体)を備えていてもよい。
容器3としては、非水電解質二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。上記金属としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。負圧によって図2に示すように歪みやすい(ひいては容器内部を負圧にして電極体に対する圧迫をより効果的に行う)等の観点から、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製の容器3を用いることが好ましい。本実施形態に係る容器3はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。容器の板厚は特に限定されないが、概ね0.2mmから2mm(例えば0.3mmから1.5mm、典型的には0.35mmから1mm)であり得る。
当該蓄電素子1においては、上記容器3の内部が負圧状態である。上記容器3の内部が負圧状態になることにより、すなわち容器3を内側に向けて引く力が生じることにより、電極間の隙間の広がりを低減できる。
上記容器3の内部の圧力(絶対圧)は、容器3の外部の圧力(典型的には大気圧=1気圧=0.1013MPa)よりも小さければよく、特に限定されない。上記圧力としては、電極間の隙間の広がりの低減効果をより良く発揮させる等の観点から、0.09MPa以下が好ましく、0.085MPa以下がより好ましく、0.075MPa以下がさらに好ましい。いくつかの態様において、上記容器3の内部の圧力は、0.07MPa以下であってもよく、0.065MPa以下(例えば0.055MPa)であってもよい。上記容器3の内部の圧力の下限は特に限定されないが、例えば0.02MPaであり得る。上記容器3の内部の圧力は、容器の負圧耐性等の観点から、0.03MPa以上であってもよく、0.035MPa以上(例えば0.04MPa以上)であってもよい。ここに開示される技術は、上記容器3の内部の圧力が、0.02MPa以上0.09MPa以下(好ましくは0.03MPa以上0.07MPa以下)である態様で好ましく実施され得る。
上記容器の内部を負圧状態にする方法としては、特に限定されない。上記容器の内部を負圧状態にする方法としては、例えば真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で封止する方法や、容器の内部に気体を吸着する部材を収容する方法、容器の内部に電解液に可溶な気体を収容する方法等を採用することができる。上記容器の内部を負圧状態にする方法は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。この実施形態では、上記容器3の内部に電解液に可溶な気体が収容されている。密閉された容器3の内部に電解液に可溶な気体が収容されていることで、上記気体が電解液に溶解し、容器3の内部の圧力を効果的に下げることができ、容器の内部をより確実に負圧状態にすることができる。
上記電解液が非水電解液の場合、上記非水電解液に可溶な気体としては、例えば二酸化炭素ガス(1気圧下、25℃の非水電解液1cmに対する溶解度5cm)、亜酸化窒素ガス等が挙げられる。上記気体としては、取り扱い及び入手が容易な二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素は、上記非水電解液に溶解し易いため、充放電による電極の膨張収縮によって容器の内部に存在しているガス(高濃度の二酸化炭素を含むガス)が電極間の隙間に流入して溜まったとしても、当該ガスが非水電解液に速やかに溶解し得、その結果、電極間の隙間の広がりが低減されやすくなる点でも好ましい。
上記非水電解液に可溶な気体として、二酸化炭素を用いる場合、容器の内部の余剰空間における二酸化炭素の含有量(濃度)は特に限定されないが、容器の内部を好適な負圧状態とする等の観点から、2体積%以上であることが好ましく、2.5体積%以上であることがより好ましく、3体積%以上であることがさらに好ましい。いくつかの態様において、上記二酸化炭素の含有量は、4体積%以上であってもよく、5体積%以上(例えば6体積%以上、典型的には7体積%以上)であってもよい。上記二酸化炭素の含有量の上限は特に限定されないが、概ね100体積%(例えば80体積%)であり得る。上記二酸化炭素の含有量は、例えば50体積%以下であってもよく、30体積%以下(例えば20体積%以下、典型的には15体積%以下)であってもよい。二酸化炭素が電解液に溶解した後において、このような組成雰囲気となるように容器内部に二酸化炭素を収容することにより、電極間の隙間の広がりをより低減することができる。上記非水電解液に可溶な気体として、二酸化炭素を用いる場合、容器の内部の電解液中における二酸化炭素の含有量(濃度)は特に限定されないが、容器の内部を好適な負圧状態とする等の観点から、0.001体積%以上であることが好ましく、0.003体積%以上であることがより好ましい。いくつかの態様において、容器の内部の電解液中における二酸化炭素の含有量(濃度)は、0.0035体積%以上であってもよく、0.005体積%以上であってもよい。
一方、上記電解液が非水電解液の場合、上記非水電解液に難溶又は不溶な気体としては、例えば、酸素ガス、窒素ガス、メタンガス等が挙げられる。好ましい一態様では、上記容器内部の余剰空間における窒素の含有量(濃度)は、50体積%以下(例えば45体積%以下)であり得る。いくつかの態様において、窒素の含有量(濃度)は、40体積%以下であってもよく、30体積%以下であってもよい。上記窒素の含有量の下限は特に限定されないが、概ね10体積%であり得る。上記窒素の含有量は、例えば15体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよい。非水電解液に可溶な気体が電解液に溶解した後において、このような窒素の濃度となるように容器内部に非水電解液に可溶な気体を収容することにより、容器の内部を電極間の隙間の広がりの低減に好適な負圧状態とすることができる。上記容器の内部の余剰空間における各ガスの含有量(濃度)は、ガスクロマトグラフによって測定できる。
当該蓄電素子においては、上記電解液に可溶な気体を吸着可能な部材がさらに上記容器に収容されることが好ましい。上記電解液に可溶な気体を吸着可能な部材が上記容器に収容されることで、容器の内部の余剰空間における上記電解液に可溶な気体の含有量(濃度)が低減しやすくなり、容器の内部がより好適な負圧状態となることで、電極間の隙間の広がりの低減効果をより向上できる。また、上記電解液に可溶な気体を吸着可能な部材によっても、上記電解液に可溶な気体が吸着されるので、上記容器を密閉した後に容器の内部が負圧状態になるまでの時間を短縮できる。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。正極は、電極体を組み立てる前段階において長尺状のシート構造を有している。この実施形態では、正極基材は長尺シート状であり、正極活物質層は、正極基材上にこの正極基材の長手方向に亘って形成されている。また、正極基材は、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有している。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO,Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましい一態様では、上記正極活物質は、充放電性能、エネルギー密度等の点から、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物により構成されている。例えば、上記リチウム遷移金属複合酸化物として、Li以外に、少なくともニッケル(Ni)を構成元素として含むニッケル含有リチウム遷移金属複合酸化物、少なくともコバルト(Co)を構成元素として含むコバルト含有リチウム遷移金属複合酸化物、少なくともマンガン(Mn)を構成元素として含むマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物等が例示される。なかでも、ニッケル含有リチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、ニッケル、マンガン及びコバルトを含むリチウム遷移金属複合酸化物がより好ましい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
正極活物質層(片面)の単位面積当たりの質量としては特に限定されないが、固形分換算で、例えば2.0mg/cm以上30.0mg/cm以下であり得る。正極活物質層の単位面積当たりの質量は、3.0mg/cm以上20.0mg/cm以下が好ましく、4.0mg/cm以上15.0mg/cm以下がより好ましく、5.0mg/cm以上10.0mg/cm以下がさらに好ましい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。負極は、電極体を組み立てる前段階において長尺状のシート構造を有している。この実施形態では、負極基材は長尺シート状であり、負極活物質層は、負極基材上にこの負極基材の長手方向に亘って形成されている。また、負極基材は、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記負極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有している。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba、等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
負極活物質層(片面)の単位面積当たりの質量としては特に限定されないが、固形分換算で、例えば0.5mg/cm以上20.0mg/cm以下であり得る。負極活物質層の単位面積当たりの質量は、0.8mg/cm以上15.0mg/cm以下が好ましく、1.0mg/cm以上10.0mg/cm以下がより好ましく、2.0mg/cm以上7.0mg/cm以下がさらに好ましい。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の材質としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの材質の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(電解液)
電解液としては、当該蓄電素子が非水電解液二次電池である場合、非水電解液が用いられる。非水電解液としては、公知の非水電解液の中から適宜選択できる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃~25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の場合、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
本実施形態の蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
本実施形態の蓄電素子の形状については特に限定されるものではないが、例えば、偏平の角型電池が好ましい。当該蓄電素子の形状が偏平の角型電池であることで、電極間の隙間の広がりがより抑制される。また、容器の内部が負圧状態の場合、容器を内側に向けて引く力が生じることにより、容器本体の側面が凹みやすくなる。負圧により凹んだ容器本体の側面に対向する電極体の側面が積層方向に加圧されるので、電極間の広がりの低減効果を向上できる。
<蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子の製造方法は、例えば負極及び正極が積層された電極体を容器に収容すること(以下、電極体収容工程ともいう。)、電極体を形成すること(以下、電極体形成工程ともいう。)、電極体と正極集電体及び負極集電体とを接続すること(以下、接続工程ともいう)、電解液を上記容器に収容すること(以下、電解液収容工程ともいう。)、上記容器の内部を負圧状態にすること(以下、負圧形成工程ともいう。)、及び、上記容器を密閉すること(以下、密閉工程ともいう。)を備える。この実施形態では、上記負圧形成工程は、上記電解液収容工程後かつ上記密閉工程前に、上記電解液に可溶な気体を上記容器に収容すること(以下、気体収容工程ともいう。)を備えていてもよい。さらに、当該蓄電素子の製造方法は、その他の工程として、例えば、正極を形成すること(以下、正極形成工程ともいう。)、負極を形成すること(以下、負極形成工程ともいう。)等を備えることができる。
(正極形成工程)
正極形成工程では、正極基材及び正極活物質層を有する正極を形成する。上記正極形成工程では、正極活物質を含有する正極合剤を正極基材へ塗工することにより正極合剤を正極基材の少なくとも一方の面に沿って配置することができる。具体的には、例えば正極基材に正極合剤を塗工して乾燥することにより正極活物質層を配置する。
上記正極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である正極合剤ペーストであってもよい。この分散媒としては、例えば、水、水を主体とする混合溶媒等の水系溶媒;N-メチルピロリドン(NMP)、トルエン等の有機系溶媒を用いることができる。正極活物質層は、正極基材に直接又は中間層を介して積層されてもよい。
(負極形成工程)
負極形成工程では、負極基材及び負極活物質層を有する負極を形成する。上記負極形成工程では、負極活物質を含有する負極合剤を負極基材に塗工することにより負極合剤を負極基材の少なくとも一方の面に沿って配置することができる。具体的には、例えば負極基材に負極合剤を塗工して乾燥することにより負極活物質層を配置する。また、上記負極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である負極合剤ペーストであってもよい。分散媒は、上記正極形成工程で例示したものから任意に選択できる。負極活物質層は、負極基材に直接又は中間層を介して積層されてもよい。
(電極体形成工程)
電極体形成工程では、上記正極及び上記負極を用いて電極体を形成する。上記電極体は、対向する一対の湾曲部と、上記一対の湾曲部の間に位置する平坦部とを有する巻回型電極体であると好ましい。当該蓄電素子の電極体形成工程では、上述のセパレータを介して上記正極及び負極を積層及び巻回することにより、これらが交互に重畳された巻回体を形成する。この際、正極基材及び負極基材を、巻回の軸線方向において正極基材の第1未形成部が負極基材よりも一方側に突出し、負極基材の第2未形成部が正極基材よりも他方側に突出するように配置する。巻回されて積層された第1未形成部及び第2未形成部を、互いに同じ積層方向に束ね、かつ第1未形成部及び第2未形成部における巻回の軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねることにより、電極体を形成する。束ねる方法としては、上述したように、溶接、導電性接着剤による接着、2枚の金属板による挟持などが挙げられる。
(接続工程)
接続工程では、上記電極体の第1未形成部における束ねられた部分(第1束ね部)を正極集電接続体に接続し、この正極集電接続体を正極集電体に接続する。第2未形成部における束ねられた部分(第2束ね部)を負極集電接続体に接続し、この負極集電接続体を負極集電体に接続する。第1束ね部と正極集電接続体との接続方法、第2束ね部と負極集電接続体との接続方法としては、公知の接続方法を採用することができ、例えば溶接、導電性接着剤による接着、2枚の金属板による挟持などを採用することができる。正極集電接続体と正極集電体との接続方法、及び負極集電接続体と負極集電体との接続方法としては、公知の接続方法を採用することができ、例えば溶接、導電性接着剤による接着、2枚の金属による挟持などを採用することができる。なお、正極集電接続体と正極集電体とが一体に形成されたもの(正極集電接続部を有する正極集電体)を使用してもよく、負極集電接続体と負極集電体とが一体に形成されたもの(負極集電接続部を有する負極集電体)を使用してもよい。
(電極体収容工程)
電極体収容工程では、正極集電接続体を介して正極集電体と接続され、かつ負極集電接続体を介して負極集電体と接続された電極体を容器に収容する。この際、正極集電体及び負極集電体は、容器の正極端子及び負極端子と接続される。
(電解液収容工程)
電解液収容工程では、上記電解液を上記容器に収容する。電解液の収容は、公知の方法により行うことができる。当該蓄電素子が非水電解液二次電池の場合は、例えば容器に設けられた注入口から非水電解液を注入することで上記非水電解液を上記容器に収容する。
(気体収容工程)
気体収容工程では、上記電解液収容工程の後、上記電解液に可溶な気体を容器に収容する。具体的には、上記電解液を上記容器に収容した後、上記容器に上記電解液に可溶な気体を上記注入口から注入することで上記電解液に可溶な気体を容器に収容する。上記電解液に可溶な気体の注入は、大気圧で実施してもよく、真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で実施してもよい。ここで、「減圧」とは、容器の内部の余剰空間の圧力が大気圧未満であることをいう。なお、気体収容工程を加圧した状態で実施すると、封口前の電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎるため、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体が上記電解液にさらに溶解することが困難になり、上記容器の内部が十分に負圧状態にならないおそれがある。また、上記注入口は、上記電解液を注入するための注入口と別に設けられていてもよい。
上述のとおり、当該蓄電素子は、容器の内部が負圧状態であり、かかる負圧状態を実現する好適な方法のーつとして、上記電解液を上記容器に収容した後、当該容器に上記電解液に可溶な気体を収容することが挙げられる。このように、電解液が収容された状態の容器に上記電解液に可溶な気体を注入することにより、密閉工程後に上記気体が上記電解液に溶解することによって容器の内部の圧力が効果的に下がり、容器の内部が好適な負圧状態になり得る。一方、上記電解液に可溶な気体を上記容器に収容した後、当該容器に上記電解液を収容する態様では、上記電解液の収容時に上記電解液に可溶な気体の多くが電解液に溶解し、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる(例えば飽和溶解する)ため好ましくない。すなわち、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎると、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体が上記電解液にさらに溶解することが困難になり、上記容器の内部の圧力を効果的に低減できない場合があり得る。好ましくは、上記電解液を上記容器に収容した後、予備充電を行い、真空ポンプ等を用いて上記容器の内部の圧力を減圧した後に、上記容器の内部の圧力が大気圧付近となるように上記電解液に可溶な気体を注入するとよい。この上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力は、密閉工程の後に上記容器の内部を好適な負圧状態にする観点から一つの重要なファクターである。上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力は、好ましくは0.1MPa以上0.2MPa以下、より好ましくは0.1MPa以上0.15MPa以下、さらに好ましくは0.1MPa以上0.12MPa以下、特に好ましくは0.1MPa以上0.11MPa以下である。このように上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力が大気圧付近となるように上記電解液に可溶な気体を注入することにより、密閉工程の前の上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる不都合を解消または緩和し得、密閉工程の後に上記容器の内部の圧力を効果的に下げることができる。
上記電解液に可溶な気体の収容量としては、上記容器の内部の圧力をより小さくする観点から、容器の内部の余剰空間の体積に対して40体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、例えば95体積%以上であってもよい。上記電解液に可溶な気体の収容量としては、容器の内部の余剰空間の体積に対して100体積%であってもよい。ここに開示される技術は、上記電解液に可溶な気体の収容量が、容器の内部の余剰空間の体積に対して好ましくは70体積%以上100体積%未満、より好ましくは80体積%以上95体積%以下である態様で好ましく実施され得る。ここで、「容器の内部の余剰空間の体積」とは、容器の内容積から電極体、電解液、及び集電体等の構造体の体積を差し引いた体積を意味する。また、電極体の体積とは、電極の構成要素(活物質、セパレータ、等)の実体積を意味し、活物質間やセパレータ内に存在する空隙は含まれない。つまり、容器の内部の余剰空間の体積とは、25℃において、容器の内部の圧力が1気圧(0.1013MPa)のときの容器の内部に収容されている気体の体積を意味する。
容器の内部に収容される上記電解液に可溶な気体の含有量は、上記容器の内部の圧力をより小さくする観点から、容器の内部に収容される全気体の収容量に対して80体積%以上であることが好ましく、98体積%以上であることが好ましく、100体積%であることがさらに好ましい。上記電解液に可溶な気体の含有量は、上記気体の取り扱いやすさの観点から、容器の内部に収容される全気体の収容量に対して80体積%以下であってもよい。
(密閉工程)
密閉工程では、上記電解液に可溶な気体が上記容器に収容された状態で上記容器を密閉する。具体的には、上記容器に上記気体を収容した後に注入口を封止することにより蓄電素子を得ることができる。注入口の封止は、例えば、上記注入口を封止部材で塞ぎ、上記封止部材をレーザ溶接等により固定することにより行われる。
密閉工程は、上記電解液に可溶な気体を封入後に、速やかに行う必要がある。上記電解液に可溶な気体を封入後に長時間放置した場合、密閉工程の前に電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎるため、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体が上記電解液にさらに溶解することが困難になり、上記容器の内部が十分に負圧状態にならないおそれがある。上記電解液に可溶な気体の収容後から注入口の封止までの経過時間としては、密閉工程の前に上記電解液に溶解したり、拡散によって上記注入口を介して上記容器の外部へ排出されたりする上記電解液に可溶な気体の量を小さくする観点から1時間以下が好ましい。当該経過時間は、好ましくは30分以下(例えば1分以上30分以下)、より好ましくは20分以下、さらに好ましくは15分以下、特に好ましくは10分以下(例えば5分以下)である。上記電解液に可溶な気体の収容後から注入口の封止までの経過時間を短くすることにより、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる(典型的には飽和溶解する)不都合を解消または緩和し得、密閉工程の後に上記容器の内部の圧力を効果的に下げることができる。
上記容器に上記電解液に可溶な気体を収容した後、注入口を封止する工程までの間に、上記注入口を仮封止する工程を有してもよい。上記注入口を仮封止する工程は、例えば、ゴム製の栓部材等を用いて一時的に上記注入口を塞ぐ工程である。上記注入口を仮封止する工程を有することで、上記容器に収容された上記電解液に可溶な気体が拡散によって上記注入口を介して上記容器の外部に放出されることを抑制できる。この場合、上記注入口を封止する工程においては、栓部材等を取り外した後に上記注入口を封止部材で塞ぎ、上記封止部材をレーザ溶接等により固定すればよい。また、上記注入口を封止する工程においては、上記注入口を塞ぐ栓部材等ごと覆う封止部材を配置し、上記封止部材をレーザ溶接等により固定してもよい。
密閉工程の後、上記電解液に可溶な気体の上記電解液への溶解が平衡状態になった際の上記容器の内部の圧力としては、電極間距離が大きくなることを効果的に抑制する観点から、25℃において0.02MPa以上0.09MPa以下が好ましい。なお、密閉直後における上記容器の内部の圧力は、0.1MPa以上0.2MPa以下が好ましい。つまり、密閉工程の直後は、上記電解液に可溶な気体の多くが上記電解液に溶解しておらず、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体を上記電解液に溶解させることで、上記容器の内部の圧力を小さくすることができる。
上記蓄電素子の製造方法における電極体、正極集電接続体、負極集電接続体、電解液、電解液に可溶な気体及び容器等についての詳細は上述したとおりである。
<その他の実施形態>
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
例えば、上述した実施形態では、上記容器の内部を負圧状態にする方法として、容器の内部に電解液に可溶な気体を収容する方法を採用する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、上記容器の内部を負圧状態にする方法として、真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で封止する方法を採用してもよい。この場合、上記負圧形成工程は、上記気体収容工程に代えて、真空ポンプ等を用いて上記容器の内部の圧力を減圧する減圧工程を備えてもよい。かかる減圧工程は、上記電解液収容工程後かつ上記密閉工程前に実施することができる。ただし、上述した実施形態の如く、上記容器の内部に電解液に可溶な気体を収容する方法を採用した方が、電極間の隙間の広がりを低減しやすい点で好ましい。すなわち、容器の内部の余剰空間における電解液に可溶な気体の濃度が高まるため、充放電による電極の膨張収縮によって電極間に隙間が発生し、容器の内部に存在しているガスが電極間の隙間に溜まったとしても、電解液に速やかに溶解し得、その結果、負圧状態が維持され易くなる点で好ましい。
また、上述した実施形態では、巻回状態にある第1未形成部43a及び第2未形成部53aが積層方向の両側から一つに束ねられている場合を例示したが、第1未形成部43a及び第2未形成部53aの束ね方はこれに限定されない。例えば、巻回状態にある第1未形成部43a及び第2未形成部53aを積層方向における複数の箇所(例えば2箇所)に分割して束ねてもよい。このように第1未形成部43a及び第2未形成部53aを複数に分割して束ねた場合でも、容器の内部の圧力を負圧状態にすることで、前述した効果(電極間の隙間の広がりを低減する効果)が得られる。ただし、上述した実施形態の如く、第1未形成部43a及び第2未形成部53aをそれぞれ一つに束ねた方が、正極集電接続体及び負極集電接続体との接続が一度で済み、作業時間を短縮できる点で好適である。また、第1未形成部43a及び第2未形成部53aをそれぞれ一つに束ねる場合、複数に分割して束ねる場合に比べて、束ねる力(すなわち、正極基材及び負極基材を曲げる力)が大きくなり、電極間の隙間が特に広がりやすいが、本態様によると、容器の内部の圧力を負圧状態にすることで、そのような不都合を解消または緩和できる。ここに開示される技術は、第1未形成部43a及び第2未形成部53aをそれぞれ一つに束ねる態様において、電極間の隙間をより良く低減できる点で特に技術的価値が高い。
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図6に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子1の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2]
(1)正極形成工程
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、バインダとしてのPVDFと、導電剤としてのアセチレンブラックとを含有し、NMPを分散媒とする正極合剤ペーストを調製した。正極活物質、バインダ、導電剤の比率は、固形分換算の質量比で、90:5:5とした。正極合剤ペーストを正極基材としての厚さ12μmのアルミニウム箔の両面に塗工し、乾燥して、正極活物質層を形成し、実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の正極を得た。乾燥後の片面の単位面積当たりの正極合剤(正極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗布量は、8.5mg/cmとなるようにした。正極基材における第1未形成部の幅は12mmであり、正極基材の幅に対して12%であった。
(2)負極形成工程
負極活物質としての難黒鉛化性炭素と、バインダとしてのPVDFとを含有し、NMPを分散媒とする負極合剤ペーストを調製した。負極活物質及びバインダの比率は、固形分換算の質量比で、95:5とした。負極合剤ペーストを負極基材としての厚さ8μmの銅箔の両面に塗工し、乾燥して、負極活物質層を形成し、実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の負極を得た。乾燥後の片面の単位面積当たりの負極合剤(負極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗布量は、4mg/cmとなるようにした。負極基材における第2未形成部の幅は11mmであり、負極基材の幅に対して10%であった。
(3)電極体形成工程
上記負極及び正極と、50%の空孔率を有する厚さ20μmのセパレータとを積層した状態で中空構造の巻芯を中心として巻回(27巻き)することで、実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の巻回体を作製した。巻回においては、正極基材及び負極基材を、巻回の軸線方向において正極基材の第1未形成部が負極基材よりも一方側に10mm突出し、負極基材の第2未形成部が正極基材よりも一方側に13mm突出するように配置した。
実施例1及び比較例1では、得られた巻回体の第1未形成部及び第2未形成部を、折れ曲げることなく湾曲させつつ同じ積層方向に束ね、かつ上記同じ積層方向に視た第1未形成部及び第2未形成部における高さ方向の一方の端部(容器の蓋側の端部、図3の上部)にて部分的に、溶接によって束ねることによって、実施例1及び比較例1の巻回電極体を作製した。
実施例2及び比較例2では、得られた巻回体の第1未形成部及び第2未形成部を、折れ曲げることなく湾曲させつつ同じ積層方向に束ね、かつ上記同じ積層方向に視た第1未形成部及び第2未形成部における高さ方向の中央部(図3参照)にて部分的に、溶接によって束ねることによって、実施例2及び比較例2の巻回電極体を作製した。
各実施例及び比較例において、束ね状態での第1未形成部及び第2未形成部の軸線方向の長さ(幅)は95mmであり、束ね状態での第1未形成部及び第2未形成部の上記高さ方向の長さは57mmであった。各実施例比較例において、上記同じ積層方向に視て、第1未形成部の第1束ね部の幅(第1束ね幅)、及び第2未形成部の第2束ね部の幅(第2束ね幅)は6mmであり、束ね状態の第1未形成部及び第2未形成部の幅に対して6%であった。上記同じ積層方向に視て、第1未形成部の第1束ね部の長さ(第1束ね長さ)、及び第2未形成部の第2束ね部の長さ(第2束ね長さ)は23mmであり、第1未形成部及び第2未形成部の高さ方向の長さの40%であった。
(4)接続工程
アルミニウム製の2枚の金属板(軸線方向の長さ6mm、高さ方向の長さ23mm、厚さ0.2mm)を正極集電接続体として用い、これら金属板で巻回電極体の第1束ね部を挟み、この状態で溶接した。さらに、正極集電接続体を正極集電体と溶接した。一方、上記と同様の2枚の銅製の金属板を負極集電接続体として用い、これら金属板で巻回電極体の第2束ね部を挟み、この状態で溶接した。さらに、正極集電接続体を正極集電体と溶接した。このようにして、実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の電極体を、正極集電接続体を介して正電集電体に接続し、負極集電接続体を介して負極集電体に接続した。
(5)電極体収容工程
上記正極集電体及び上記負極集電体と接続された上記電極体をアルミニウム合金製の偏平の有底角筒形状の容器本体に収容した。
(6)電解液収容工程
PC、DMC及びEMCを体積比率1:1:1で混合した非水溶媒にLiPFを1.2mol/dmの濃度で溶解した非水電解液を調製した。実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の蓄電素子において、調整された電解液を上記容器に30cm収容した。上記容器の内部の余剰空間の体積は12cmであった。
(7)気体収容工程
上記電解液の収容後、予備充電を行った。その後、実施例1及び実施例2の蓄電素子において、真空ポンプを用いて容器の内部の圧力を10000Paまで減圧した後に、電解液に可溶な気体としての二酸化炭素ガスを容器の内部に収容した。比較例1及び比較例2の蓄電素子は、二酸化炭素ガスの代わりに空気を容器の内部に収容した。
(8)密閉工程
上記二酸化炭素ガス又は上記空気を上記容器に収容した5分後に注入口の封止を行うことにより容器を密閉し、試験用セルである実施例1から実施例2及び比較例1から比較例2の蓄電素子を得た。
[評価]
(容器の内部の圧力)
容器の内部の圧力は、容器に内圧測定器を取り付けて測定した。密閉後、48時間経過後の容器の内部の圧力(ゲージ圧力)を表1に示す。
(電極間の隙間量)
X線CT撮影装置(製品名:inspeXio SMX-225CT FPD HR、島津製作所製)を用い、実施例及び比較例の蓄電素子における巻回の軸線方向にX線CT観察を行った。撮影したX線CT写真を図7から図10に示す。比較例1の写真を図7、実施例1の写真を図8、比較例2の写真を図9、実施例2の写真を図10に示す。また、得られた写真において、松電舎製の製品名WinROOF2015を用いて各図の上下方向(高さ方向)に走査しながら電極間の隙間の長さを測定し、得られた電極間の隙間の積算量(mm)を算出した。図7から図10において、上下の湾曲部分には内側への張力が加えられているため、電極間に隙間は生じていなかった。そこで、上記で得られた電極間の隙間の積算量を平坦部分(上下の湾曲部を除いた部分)における高さ方向(各図の上下方向)の長さで除することによって、長さ1mm当たりの電極間の隙間の積算量(mm)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2022129314000002
表1に示すように、負圧状態である実施例1から2は、負圧状態ではない比較例1から2よりも電極間の隙間が小さいことが示された。また、第1未形成部及び第2未形成部が高さ方向の中央部で束ねられた場合の方が、端部で束ねられた場合よりも、電極間の隙間が小さいことが示された。なお、上記走査の結果、負圧状態である実施例1及び実施例2は、高さ方向における電極間の隙間のバラツキが小さいことが示され、これにより、押圧部材によって押圧される場合よりも電極体全体に加えられる荷重のムラが低減されると推察される。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される蓄電素子に適用できる。
1 蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極集電体
5 負極端子
51 負極集電体
6 セパレータ
8 正極集電接続体
8a 第1金属板
8b 第2金属板
9 負極集電接続体
9a 第3金属板
9b 第4金属板
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
M1 第1束ね部
M2 第2束ね部
X 電極体の巻回における軸線方向
Y 第1未形成部及び第2未形成部が束ねられる同じ積層方向
Z 第1未形成部及び第2未形成部が束ねられる同じ積層方向に視て巻回の軸線方向に垂直な高さ方向

Claims (2)

  1. 正極、負極及びセパレータを有し、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して巻回されて構成された扁平状の電極体と、
    上記電極体を収容している容器と
    を備え、
    上記正極が、長尺の正極基材と、この正極基材上にその長手方向に亘って形成された正極活物質層とを有し、かつ上記正極基材が、その上記長手方向に垂直な方向の一の端部に、上記正極活物質層が形成されていない第1未形成部を上記長手方向に亘って有し、
    上記負極が、長尺の負極基材と、この負極基材上にその長手方向に亘って形成された負極活物質層とを有し、かつ上記負極基材が、その上記長手方向に垂直な方向における上記第1未形成部とは反対の側の端部に、上記負極活物質層が形成されていない第2未形成部を上記長手方向に亘って有し、
    巻回の軸線方向において上記第1未形成部が上記負極基材よりも一方側に突出し、上記第2未形成部が上記正極基材よりも他方側に突出しており、
    巻回されて積層された上記第1未形成部及び上記第2未形成部が、互いに同じ積層方向に束ねられ、かつ上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記軸線方向と上記積層方向とに垂直な高さ方向の一部にて部分的に束ねられており、
    上記容器の内部が負圧状態である蓄電素子。
  2. 上記第1未形成部及び上記第2未形成部が束ねられた部分が、上記第1未形成部及び上記第2未形成部における上記高さ方向の中央部に配置されている請求項1に記載の蓄電素子。

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