JP2022127585A - 感光性ドライフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ピンホールを低減可能であり、かつ微細化可能な感光性ドライフィルムを提供すること。【解決手段】(1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有する感光性ドライフィルムであって、(2)感光性樹脂層が、以下の成分;(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルム。【選択図】図1
Description
本発明は、感光性ドライフィルムに関する。
従来、プリント配線板の製造、金属の精密加工などには、フォトリソグラフィー法により行われてきた。フォトリソグラフィー法に用いる感光性樹脂組成物は、未露光部を溶解除去するネガ型の組成物と、露光部を溶解除去するポジ型の組成物とに分類される。
フォトリソグラフィー法において感光性樹脂組成物を基材上に塗布する際には、
(1)フォトレジスト溶液を基材に塗布して乾燥させる方法、並びに
(2)支持体及び感光性樹脂組成物を含む層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、並びに必要により保護層を、順次積層した感光性樹脂積層体を用いて、感光性樹脂層を基材に積層する方法
のいずれかが使用される。プリント配線板の製造においては、後者の方法が使用されることが多い。
(1)フォトレジスト溶液を基材に塗布して乾燥させる方法、並びに
(2)支持体及び感光性樹脂組成物を含む層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、並びに必要により保護層を、順次積層した感光性樹脂積層体を用いて、感光性樹脂層を基材に積層する方法
のいずれかが使用される。プリント配線板の製造においては、後者の方法が使用されることが多い。
上記感光性樹脂積層体を用いてパターンを形成する方法について以下に簡単に述べる。先ず、感光性樹脂積層体から保護層を剥離する。次いで、ラミネーターを用いて、銅張積層板、銅スパッタ薄膜などの基材上に、該基材、感光性樹脂層、及び支持体の順序になるように、感光性樹脂層及び支持体を積層する。次いで、所望の配線パターンを有するフォトマスクを介して、感光性樹脂層を露光する。次いで、露光後の積層体から支持体を剥離し、そして現像液により非パターン部を溶解又は分散除去することにより、基材上にレジストパターンを形成させる。
さらに、レジストパターンを備える基板をエッチング処理、又は銅めっき、はんだめっきなどのめっき処理に供することにより配線パターンを得ることもできる。
レジストパターン又は配線パターンの形成のために様々な感光性樹脂組成物が検討されている。例えば、特許文献1~特許文献3には、ポリテトラメチレンオキサイドを構造単位として有する化合物を含有することで、低露光量でもレジストパターンを形成でき、形成される硬化膜のテント信頼性及びエッチング耐性に優れる感光性樹脂組成物について開示されている。
また、特許文献4には、ポリアルキレンオキサイドを構造単位として有する化合物を含有することで、低露光量でもレジストパターンを形成でき、形成される硬化膜のテント信頼性及びエッチング耐性に優れる感光性樹脂組成物について開示されている。
また、特許文献4には、ポリアルキレンオキサイドを構造単位として有する化合物を含有することで、低露光量でもレジストパターンを形成でき、形成される硬化膜のテント信頼性及びエッチング耐性に優れる感光性樹脂組成物について開示されている。
しかしながら、解像度、サイドエッチ(SE)量、Cu欠損、Cu直線性(銅ライン幅の均一性)およびクラックの低減については、十分な特性が得られていなかった。
ところで、タッチスクリーンパネル(TSP)分野では、銅配線の微細化と歩留り向上とが求められている。歩留りで重要な項目として、ピンホール(Pinhole)がある。ピンホールとは、露光時にPET(支持体)内部異物による遮光の影響で、内部異物下に存在するレジストが硬化不十分となり、レジストに孔があき、その下の銅配線にも孔が開く現象をいう。PET内部異物の影響を減らすため、生産ラインの改善や膜厚低減などといった対策が講じられているが、未だ十分ではない。
一方、銅配線の微細化のために、レジストの解像度を向上すると、ピンホールも開きやすくなってしまう。
このように、配線の微細化(解像度)と歩留り向上(特にピンホールの抑制)とは両立が困難であるとされてきた組み合わせであるため、各種の特性の両立を図ることが望まれていた。
このように、配線の微細化(解像度)と歩留り向上(特にピンホールの抑制)とは両立が困難であるとされてきた組み合わせであるため、各種の特性の両立を図ることが望まれていた。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、ピンホールを低減可能であり、かつ微細化可能な感光性ドライフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ピンホールの低減および微細化を実現する方法として、サイドエッチ(SE)を抑制することが有効であることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
(1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有する感光性ドライフィルムであって、
前記(2)感光性樹脂層が、以下の成分;
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、および
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)
を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルム。
[2]
前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基(-COOH基)を含有する複素環化合物の含有量が70重量部以下である、[1]に記載の感光性ドライフィルム。
[3]
前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基を含有する複素環化合物の含有量が0重量部である、[1]または[2]に記載の感光性ドライフィルム。
[4]
前記(D)成分が、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、又はベンゾチアゾール骨格を有する化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[5]
前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、12重量部以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[6]
前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、3重量部以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[7]
前記支持体は、ヤング率が0超え6000MPa以下であり、厚みが0超え20μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[8]
前記(2)感光性樹脂層の膜厚(μm)と前記I/O値との比(感光性樹脂層の膜厚(μm)/I/O値)が、5.0を超え100以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[9]
前記(C)成分が、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[10]
(1)支持体と、[1]~[9]のいずれかに記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体を銅基板にラミネートする工程、
前記ラミネートされた前記感光性樹脂積層体を露光する工程、
前記露光した前記感光性樹脂積層体における、前記(2)感光性樹脂層を現像する工程、及び、
前記現像した前記(2)感光性樹脂層及び前記銅基板をエッチングする工程
を有する、銅パターンの形成方法。
[11]
前記銅パターンの形成方法における、サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記現像後のレジストパターンのトップ幅
Wc:前記エッチング後の銅パターンのトップ幅
を満たす、[10]に記載の銅パターンの形成方法。
[12]
(1)支持体と、[1]~[9]のいずれかに記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体によって得られるレジストパターンを有する、銅基板であって、
サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記レジストパターンのトップ幅
Wc:前記銅パターンのトップ幅
を満たす、レジストパターン付きの銅基板。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
(1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有する感光性ドライフィルムであって、
前記(2)感光性樹脂層が、以下の成分;
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、および
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)
を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルム。
[2]
前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基(-COOH基)を含有する複素環化合物の含有量が70重量部以下である、[1]に記載の感光性ドライフィルム。
[3]
前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基を含有する複素環化合物の含有量が0重量部である、[1]または[2]に記載の感光性ドライフィルム。
[4]
前記(D)成分が、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、又はベンゾチアゾール骨格を有する化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[5]
前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、12重量部以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[6]
前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、3重量部以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[7]
前記支持体は、ヤング率が0超え6000MPa以下であり、厚みが0超え20μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[8]
前記(2)感光性樹脂層の膜厚(μm)と前記I/O値との比(感光性樹脂層の膜厚(μm)/I/O値)が、5.0を超え100以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[9]
前記(C)成分が、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[10]
(1)支持体と、[1]~[9]のいずれかに記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体を銅基板にラミネートする工程、
前記ラミネートされた前記感光性樹脂積層体を露光する工程、
前記露光した前記感光性樹脂積層体における、前記(2)感光性樹脂層を現像する工程、及び、
前記現像した前記(2)感光性樹脂層及び前記銅基板をエッチングする工程
を有する、銅パターンの形成方法。
[11]
前記銅パターンの形成方法における、サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記現像後のレジストパターンのトップ幅
Wc:前記エッチング後の銅パターンのトップ幅
を満たす、[10]に記載の銅パターンの形成方法。
[12]
(1)支持体と、[1]~[9]のいずれかに記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体によって得られるレジストパターンを有する、銅基板であって、
サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記レジストパターンのトップ幅
Wc:前記銅パターンのトップ幅
を満たす、レジストパターン付きの銅基板。
本発明では、I/O値(無機性値/有機性値)が低く(0.7以下)、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)を含有することで、サイドエッチ(SE)の抑制が可能となる。これにより、ピンホールを低減可能であり、かつ微細化可能な感光性ドライフィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
また、本明細書では、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、そして「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
[感光性ドライフィルム]
図1は、本発明の感光性ドライフィルムの一構成例を模式的に示す断面図である。
本発明の感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)は、(1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有し、
(2)感光性樹脂層が、以下の成分;
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、および
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)、
を含むことを特徴とする。
図1は、本発明の感光性ドライフィルムの一構成例を模式的に示す断面図である。
本発明の感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)は、(1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有し、
(2)感光性樹脂層が、以下の成分;
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、および
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)、
を含むことを特徴とする。
本発明では、(2)感光性樹脂層が、(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)を含有することで、サイドエッチ(SE)の抑制が可能となる。これにより、ピンホールが低減可能となり、歩留り向上と配線の微細化(解像度)とを両立可能となる。
また、本発明の感光性ドライフィルムは、Cu直線性(銅ライン幅の均一性)、クラックの低減にも優れたものとなる。
また、本発明の感光性ドライフィルムは、Cu直線性(銅ライン幅の均一性)、クラックの低減にも優れたものとなる。
(1)支持体
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なフィルムが望ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、シクロオレフィンポリマー含有ポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能である。支持体のヘイズは5以下であることが好ましい。
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なフィルムが望ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、シクロオレフィンポリマー含有ポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能である。支持体のヘイズは5以下であることが好ましい。
本実施形態の感光性ドライフィルムのように、低I/O値の(D)成分を含有することで、感光性樹脂組成物層が疎水的になり、ロール成形時に、塗膜の疎水性に起因すると思われるクラックが生じる懸念がある。そこで、支持体の弾性率と膜厚を所定の範囲にすることで、感光性ドライフィルムロールを作製した際に、クラックの発生を抑制することが出来る。支持体の膜厚を薄く、弾性率を低くすることで、クラックの発生を抑制できる。他方、支持体の弾性率や膜厚を低くしすぎると、フィルムにコシがなくなり、ハンドリングが難しくなる。
すなわち、支持体の厚みは、0μm超え~20μm以下であり、ヤング率が0MPa超え~6000MPa以下であることが好ましい。上記の観点から、支持体の厚みは、8μm~15μmであることがより好ましく、ヤング率は1000MPa~5000MPaであることがより好ましい。
すなわち、支持体の厚みは、0μm超え~20μm以下であり、ヤング率が0MPa超え~6000MPa以下であることが好ましい。上記の観点から、支持体の厚みは、8μm~15μmであることがより好ましく、ヤング率は1000MPa~5000MPaであることがより好ましい。
(2)感光性樹脂層
感光性樹脂層は、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)を含む。感光性樹脂層の厚みは1~20μmが好ましく、2~10μmがより好ましい。厚みがこの範囲内であることで、本発明の効果を奏し易くなる。
以下、感光性樹脂層を構成する各成分について説明する。
感光性樹脂層は、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、および(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)を含む。感光性樹脂層の厚みは1~20μmが好ましく、2~10μmがより好ましい。厚みがこの範囲内であることで、本発明の効果を奏し易くなる。
以下、感光性樹脂層を構成する各成分について説明する。
<(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂>
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性溶液に溶解できる高分子である。また、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましく、100~600の酸当量を有することがより好ましく、そしてカルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む共重合体であることがさらに好ましい。さらに、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は熱可塑性であることができる。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性溶液に溶解できる高分子である。また、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましく、100~600の酸当量を有することがより好ましく、そしてカルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む共重合体であることがさらに好ましい。さらに、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は熱可塑性であることができる。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の酸当量は、0を超えることが好ましく、感光性樹脂層の現像耐性、並びにレジストパターンの解像性及び密着性の観点、さらには、感光性樹脂層の現像性及び剥離性の観点から、79.0以下であることが好ましい。
また、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の酸価(酸当量)は、0を超え78.0以下であることがより好ましく、0を超え76.0以下であることがさらに好ましい。
上記の範囲の酸価は、従来技術と比べ、いわゆる「低酸価」に相当する。本願の一実施形態では、感光性樹脂層の薄膜化が近年特に要求されている中で、その「感光性樹脂層の薄膜化」かつ「低酸価」が実現されている。
従来、高解像性(低SE)のための一つの手法として、レジストの疎水性を向上させることが知られていた。他方、レジストの疎水性を向上させると、現像液への溶解性が低下するため、現像時間が長くなる傾向があった。この点、現像時間を短縮するため、樹脂の分子量を低くするとCu欠損(膜強度)が低下し易くなる場合もあった。
これらに対して、本願の一実施形態である「感光性樹脂層の薄膜化」かつ「低酸価」が実現された態様では、各種効果の両立が図り易くなっている。
従来、高解像性(低SE)のための一つの手法として、レジストの疎水性を向上させることが知られていた。他方、レジストの疎水性を向上させると、現像液への溶解性が低下するため、現像時間が長くなる傾向があった。この点、現像時間を短縮するため、樹脂の分子量を低くするとCu欠損(膜強度)が低下し易くなる場合もあった。
これらに対して、本願の一実施形態である「感光性樹脂層の薄膜化」かつ「低酸価」が実現された態様では、各種効果の両立が図り易くなっている。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、下記数式(I):
{式中、Wiは、アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーそれぞれの質量であり、
Tgiは、アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーのそれぞれがホモポリマーであった場合のガラス転移温度であり、
Wtotalは、アルカリ可溶性樹脂の合計質量であり、そして
nは、該アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーの種類の数である。}
により求めたガラス転移温度(Tgtotal)が100℃以下であることが好ましい。(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂として複数種の高分子の混合物を用いる場合、ガラス転移温度は、全部の高分子の平均値として定まる値である。
Tgiは、アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーのそれぞれがホモポリマーであった場合のガラス転移温度であり、
Wtotalは、アルカリ可溶性樹脂の合計質量であり、そして
nは、該アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーの種類の数である。}
により求めたガラス転移温度(Tgtotal)が100℃以下であることが好ましい。(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂として複数種の高分子の混合物を用いる場合、ガラス転移温度は、全部の高分子の平均値として定まる値である。
ガラス転移温度Tgiを求める際には、対応するアルカリ可溶性樹脂を形成するコモノマーから成るホモポリマーのガラス転移温度として、Brandrup,J.Immergut,E.H.編集「Polymer handbook, Third edition, John wiley & sons, 1989, p.209 Chapter VI 『Glass transition temperatures of polymers』」に示される値を使用するものとする。
代表的なコモノマーのTgiは、下記のとおりである(何れも文献値)。
メタクリル酸:Tg=501K
ベンジルメタクリレート:Tg=327K
メチルメタクリレート:Tg=378K
スチレン:Tg=373K
2-エチルへキシルアクリレート:Tg=223K
上記のようなガラス転移温度(Tgtotal)を示すアルカリ可溶性樹脂としては、酸モノマーと、その他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
メタクリル酸:Tg=501K
ベンジルメタクリレート:Tg=327K
メチルメタクリレート:Tg=378K
スチレン:Tg=373K
2-エチルへキシルアクリレート:Tg=223K
上記のようなガラス転移温度(Tgtotal)を示すアルカリ可溶性樹脂としては、酸モノマーと、その他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
上記数式(I)により求めた(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度(Tgtotal)の下限値については特に限定はない。ガラス転移温度(Tgtotal)は、10℃以上であってもよく、30℃以上であってもよく、50℃以上であってもよく、70℃以上であってもよい。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、5,000~500,000であることが好ましい。(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、ドライフィルムレジストなどの感光性樹脂積層体の厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上であることが好ましく、一方で、ドライフィルムレジストなどの感光性樹脂積層体の現像性を維持するという観点から500,000以下であることが好ましい。また、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000~200,000であることがより好ましく、20,000~100,000又は23,000~50,000であることがさらに好ましい。さらに、上記Mwと(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の数平均分子量(Mn)との比である、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0であることが好ましい。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましい。また、(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート及びマレイン酸半エステルなどが挙げられる。これらの中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
第二の単量体としては、不飽和芳香族化合物(「芳香族モノマー」とも記載することがある)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー、架橋性モノマー等を挙げられる。これらの中でも、レジストパターンの解像性を向上させるという観点から、不飽和芳香族化合物が好ましい。
不飽和芳香族化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、スチレン、ケイ皮酸、重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマーなど)などが挙げられる。その中でも、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート等を;共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等を、それぞれ挙げることができる。極性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;メタクリル酸2-アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;等を挙げることができる。
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂は、上記の第一の単量体及び/又は第二の単量体を既知の重合法、好ましくは付加重合、より好ましくはラジカル重合により調製することができる。
感光性樹脂組成物中の(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の含有量(感光性樹脂組成物の固形分総量を基準とする。以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である。)は、好ましくは10質量%~90質量%の範囲であり、より好ましくは20質量%~80質量%の範囲であり、さらに好ましくは30質量%~60質量%の範囲である。(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂層のアルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジスト材料としての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
<(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物>
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、その構造中にエチレン性不飽和結合、具体的にはエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。
感光性樹脂組成物は、(B)成分として、エチレン性二重結合を1個以上有していればよい。エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を用いることが好ましい。
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、その構造中にエチレン性不飽和結合、具体的にはエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。
感光性樹脂組成物は、(B)成分として、エチレン性二重結合を1個以上有していればよい。エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を用いることが好ましい。
具体的に(B)成分としては、例えば、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モル~15モルずつのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンに平均3モル~25モルのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレントリオールのトリ(メタ)アクリレート、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、イソシアヌレート環等にポリアルキレンオキシド基を付加したり、ε-カプロラクトン変性したりすることにより得られたアルコールを(メタ)アクリレートに変換することで得られる化合物、又はそれらをアルキレンオキシド基又はε-カプロラクトンで変性せずに、直接(メタ)アクリル酸を反応させた化合物、ペンタエリスリトールに平均4モル~35モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールに平均4~30モルアルキレンオキサイドを付加したポリオールのヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の含有量は、好ましくは5質量%~70質量%、より好ましくは20質量%~60質量%、さらに好ましくは30質量%~50質量%の範囲内である。(B)エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、感光性樹脂層の硬化不良及び現像時間の遅延を抑えるという観点から5質量%以上であることが好ましく、一方で、硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下であることが好ましい。
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物などを重合することができる化合物である。感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤として、本技術分野において一般に知られているものを含んでよい。
(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物などを重合することができる化合物である。感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤として、本技術分野において一般に知られているものを含んでよい。
(C)光重合開始剤としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N-アリール-α-アミノ酸化合物、キノン化合物、芳香族ケトン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ジアルキルケタール化合物、チオキサントン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物、オキシムエステル化合物、アクリジン化合物、ピラゾリン誘導体、N-アリールアミノ酸のエステル化合物、ハロゲン化合物等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール(別名:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール)、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール等が挙げられる。中でも、高感度、解像性及び密着性の観点から、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
N-アリール-α-アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシン等が挙げられる。特にN-フェニルグリシンは増感効果が高く好ましい。
キノン化合物としては、例えば、2-エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、3-クロロ-2-メチルアントラキノン等を挙げることができる。
芳香族ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
アセトフェノン化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等を挙げることができる。アセトフェノン化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア-907、イルガキュア-369、及びイルガキュア-379を挙げることができる。増感剤としての使用及び密着性の観点からは、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
アセトフェノン化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等を挙げることができる。アセトフェノン化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア-907、イルガキュア-369、及びイルガキュア-379を挙げることができる。増感剤としての使用及び密着性の観点からは、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフォンオキサイド等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド化合物の市販品としては、例えば、BASF社製のルシリンTPO、及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア-819が挙げられる。
ベンゾイン化合物及びベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等を挙げることができる。
ジアルキルケタール化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロルチオキサントン等を挙げることができる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等を挙げることができる。
ジアルキルケタール化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロルチオキサントン等を挙げることができる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等を挙げることができる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-O-ベンゾイルオキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。オキシムエステル化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のCGI-325、イルガキュア-OXE01、及びイルガキュア-OXE02が挙げられる。
アクリジン化合物としては、感度、解像性、入手性等の点で、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン又は9-フェニルアクリジンが好ましい。
ピラゾリン誘導体としては、密着性及びレジストパターンの矩形性の観点から、1-フェニル-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン及び1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-オクチル-フェニル)-ピラゾリンが好ましい。
N-アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N-フェニルグリシンのメチルエステル、N-フェニルグリシンのエチルエステル、N-フェニルグリシンのn-プロピルエステル、N-フェニルグリシンのイソプロピルエステル、N-フェニルグリシンの1-ブチルエステル、N-フェニルグリシンの2-ブチルエステル、N-フェニルグリシンのtertブチルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのヘキシルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのオクチルエステル等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物、ジアリルヨードニウム化合物等が挙げられ、とりわけトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。
感光性樹脂組成物における(C)光重合開始剤の含有量は、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.5質量%~10質量%がより好ましい。(C)光重合開始剤の含有量を上記範囲内に調整することにより、十分な感度を得られ、レジスト底部にまで十分に光を透過させることができ、高解像性を得られると共に、導体パターンにおけるサイドエッチ量とのバランスに優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
(C)光重合開始剤として、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物を使用することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール化合物の含有量は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
(C)光重合開始剤としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン化合物と、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物とを併用することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物中の芳香族ケトン化合物の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%~0.4質量%であることがより好ましく、また感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール化合物の含有量は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)
(以下、単に(D)複素環化合物と称する場合がある。)
前記I/O値は、(無機性値)/(有機性値)とも呼ばれる各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。前記I/O値としては、詳しくは、有機概念図(甲田善生著、三共出版(1984));KUMAMOTOPHARMACEUTICALBULLETIN,第1号、第1~16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719~725項(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97~111項(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79~82項(1981年);などの文献に詳細に説明されている。
前記I/O値の概念は、化合物の性質を、共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
(以下、単に(D)複素環化合物と称する場合がある。)
前記I/O値は、(無機性値)/(有機性値)とも呼ばれる各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。前記I/O値としては、詳しくは、有機概念図(甲田善生著、三共出版(1984));KUMAMOTOPHARMACEUTICALBULLETIN,第1号、第1~16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719~725項(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97~111項(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79~82項(1981年);などの文献に詳細に説明されている。
前記I/O値の概念は、化合物の性質を、共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
前記無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて、各種置換基或いは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値である。例えば、-COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。従って、ある種の有機化合物の無機性値とは、該化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
前記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。即ち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5~10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に、炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として、各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値である。例えば、ニトロ基(-NO2)の有機性値は70である。
前記I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性の大きな)の有機化合物であることを示し、大きいほど極性(親水性、無機性の大きな)の有機化合物であることを示す。
以下において前記I/O値の計算方法の一例を説明する。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸のI/O値は、該化合物の無機性値及び有機性値を以下の方法により計算し、次式:
(4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の無機性値)/(4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の有機性値)
を計算することにより求められる。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸は、二重結合を3個有し、カルボキシル基を1個有し、-N=N-結合を1個有し、=N-NH-結合を1個有するため、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の無機性値は、次式:
2(二重結合の無機性値)×3+150(カルボキシル基の無機性値)×1+30(-N=N-結合の無機性値)×1+210(=N-NH-結合の無機性値)×1
を計算することにより、396であることが計算される。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸は、炭素原子7個を有するため、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の有機性値は、次式:
20(炭素原子の有機性値)×7
を計算することにより、140であることが計算される。
よって、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸のI/O値は、396(無機性値)/140(有機性値)=2.83であることが判る。
以下において前記I/O値の計算方法の一例を説明する。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸のI/O値は、該化合物の無機性値及び有機性値を以下の方法により計算し、次式:
(4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の無機性値)/(4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の有機性値)
を計算することにより求められる。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸は、二重結合を3個有し、カルボキシル基を1個有し、-N=N-結合を1個有し、=N-NH-結合を1個有するため、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の無機性値は、次式:
2(二重結合の無機性値)×3+150(カルボキシル基の無機性値)×1+30(-N=N-結合の無機性値)×1+210(=N-NH-結合の無機性値)×1
を計算することにより、396であることが計算される。
4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸は、炭素原子7個を有するため、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸の有機性値は、次式:
20(炭素原子の有機性値)×7
を計算することにより、140であることが計算される。
よって、4-ベンゾトリアゾ-ルカルボン酸のI/O値は、396(無機性値)/140(有機性値)=2.83であることが判る。
(D)複素環化合物のI/O値は0.7以下である。I/O値が0.7以下であると、銅界面に疎水的な複素環化合物が偏在化するため、オーバーエッチング条件や温度が高いエッチング条件といった極めて過酷な条件において、SEが入り難いため、Cu直線性や高解像性に優れる。同様の観点で、I/O値としては、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。
I/O値を低くして疎水性とすることにより、過酷なエッチング条件下でも高いCu直線性や高解像性を実現でき、一方でI/O値が低過ぎるとエッチング時間が長過ぎてしまい、結果的にエッチング条件がより過酷になるために、I/O値は一定以上高い必要があると考えられる。同様の観点で、I/O値としては、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。
I/O値を低くして疎水性とすることにより、過酷なエッチング条件下でも高いCu直線性や高解像性を実現でき、一方でI/O値が低過ぎるとエッチング時間が長過ぎてしまい、結果的にエッチング条件がより過酷になるために、I/O値は一定以上高い必要があると考えられる。同様の観点で、I/O値としては、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。
SE量は、感光性樹脂層の膜厚に影響を受ける場合がある。従って、感光性樹脂層の膜厚(μm)とI/O値との比(感光性樹脂層の膜厚(μm)/I/O値)が、5.0を超え100以下であることが好ましく、5.0を超え25以下であることがより好ましく、6.0以上20以下であることが更に好ましい。感光性樹脂層の膜厚(μm)/I/O値が上記の範囲であることで、本発明の効果を奏し易くなる場合がある。
このような(D)複素環化合物としては、チオール基(-SH基)を含有しない。複素環化合物がチオール基を含有していると、連鎖移動し、解像度が悪くなってしまう。また、(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基(-COOH基)を含有する複素環化合物の含有量は、70重量部未満であることが好ましく、50重量部又は35重量部であることがより好ましく、0.1重量部未満であることが更に好ましく、0重量%であることが特に好ましい。複素環化合物がカルボン酸基を含有していると、サイドエッチ(SE)が大きくなってしまう。
(D)I/O値が0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物として具体的には、例えば、BT-LX(1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、(城北化学製、I/O値=0.30)、TT-LYK( 1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール(城北化学製、I/O値=0.64)、2-Nonylbenzimidazole(I/O値=0.42)、2-Phenylbenzimidazole(I/O値=0.58)、2-メチルベンゾチアゾール(I/O値=0.43)、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール(I/O値=0.67)、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール(I/O値=0.47)等が挙げられる。
(D)成分が、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、又はベンゾチアゾール骨格を有する化合物であることが好ましい。これによれば、本発明の効果を奏し易くなる。
(2)感光性樹脂層において、(D)成分の含有量が多すぎると直線性が悪くなる観点から、(A)成分を100重量部としたとき、(D)成分が0重量部を超え、12重量部以下であることが好ましく、3重量部以下であることがより好ましく、0.01重量部以上0.1重量部以下であることが更に好ましい。
<感光性樹脂組成物調合液>
一実施形態では、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより感光性樹脂組成物調合液が形成されることができる。好適な溶媒としては、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500mPa・sec~4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
一実施形態では、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより感光性樹脂組成物調合液が形成されることができる。好適な溶媒としては、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500mPa・sec~4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
(3)カバーフィルム
感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)に用いられるカバーフィルム(保護層)の重要な特性は、適当な密着力を有することである。つまり、該カバーフィルムの感光性樹脂層に対する密着力が、支持体の感光性樹脂層に対する密着力よりも充分小さく、カバーフィルムが感光性樹脂積層体から容易に剥離できることが好ましい。カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエステルフィルムなどを用いることができる。カバーフィルムの膜厚は10μm~100μmが好ましく、10μm~50μmがより好ましい。
感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)に用いられるカバーフィルム(保護層)の重要な特性は、適当な密着力を有することである。つまり、該カバーフィルムの感光性樹脂層に対する密着力が、支持体の感光性樹脂層に対する密着力よりも充分小さく、カバーフィルムが感光性樹脂積層体から容易に剥離できることが好ましい。カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエステルフィルムなどを用いることができる。カバーフィルムの膜厚は10μm~100μmが好ましく、10μm~50μmがより好ましい。
またフォトレジスト層から保護フィルムを剥がすために好適に使用可能な離型層を、上記カバーフィルムの片面に付与してもよい。離型層は一般に、シリコーン化合物と非シリコーン化合物に分類され、シリコーン化合物とは、両末端シラノールポリジメチルシロキサンとポリメチル水素シロキサン又はポリメチルメトキシシロキサンとを反応させた縮合反応型シリコーン樹脂や、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体又はジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体とポリメチル水素シロキサンとを反応させた付加反応型シリコーン樹脂や、アクリルシリコーンやエポキシ基含有シリコーンなどを紫外線や電子線で硬化させた紫外線硬化型又は電子線硬化型シリコーン樹脂や、変性シリコーン樹脂、例えば、エポキシ変性シリコーン樹脂(シリコーンエポキシ)、ポリエステル変性シリコーン樹脂(シリコーンポリエステル)、アクリル変性シリコーン樹脂(シリコーンアクリル)、フェノール変性シリコーン樹脂(シリコーンフェノール)、アルキッド変性シリコーン樹脂(シリコーンアルキッド)、メラミン変性シリコーン樹脂(シリコーンメラミン)などが挙げられる。非シリコーン化合物とは、アルキド(又はアルキッドともいう)樹脂、長鎖アルキル系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。離型層の膜厚は、好ましくは0.001~2μm、より好ましくは0.005~1μm、さらに好ましくは0.01~0.5μmの範囲である。膜厚が2μmを超える場合は、塗膜外観の悪化や塗膜の硬化不足が生じる可能性があり、膜厚が0.001μm未満の場合は十分な離型性が得られない可能性がある。
[感光性ドライフィルムの作製方法]
感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)は、支持体上に、感光性樹脂層、及びカバーフィルムを順次積層することにより、作製することができる。その方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液状の感光性樹脂組成物調合液(塗工液)を形成する。次に、支持体上に、塗工液をバーコータ又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して、支持体上に感光性樹脂層を積層することができる。そして、感光性樹脂層上にカバーフィルムをラミネートすることにより、感光性ドライフィルムを作製することができる。
感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)は、支持体上に、感光性樹脂層、及びカバーフィルムを順次積層することにより、作製することができる。その方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液状の感光性樹脂組成物調合液(塗工液)を形成する。次に、支持体上に、塗工液をバーコータ又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して、支持体上に感光性樹脂層を積層することができる。そして、感光性樹脂層上にカバーフィルムをラミネートすることにより、感光性ドライフィルムを作製することができる。
[レジストパターン形成方法]
本開示の別の態様は、以下の工程:
本開示の感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)を基材にラミネートする工程(ラミネート工程)、
ラミネートされた感光性ドライフィルムに露光する工程(露光工程)、及び
露光された感光性ドライフィルムを現像する工程(現像工程)
を含むレジストパターン形成方法を提供する。
本開示の別の態様は、以下の工程:
本開示の感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)を基材にラミネートする工程(ラミネート工程)、
ラミネートされた感光性ドライフィルムに露光する工程(露光工程)、及び
露光された感光性ドライフィルムを現像する工程(現像工程)
を含むレジストパターン形成方法を提供する。
[配線パターン形成方法]
本開示のさらに別の態様は、以下の工程:
前述したレジストパターン形成方法によりレジストパターンが形成された基材のエッチング又はメッキ処理を行う工程(エッチング又はメッキ工程)
を含む配線パターン形成方法を提供する。
本開示のさらに別の態様は、以下の工程:
前述したレジストパターン形成方法によりレジストパターンが形成された基材のエッチング又はメッキ処理を行う工程(エッチング又はメッキ工程)
を含む配線パターン形成方法を提供する。
以下、感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)及び基材を用いてレジスト及び配線パターンを形成する方法の一例を説明する。
(ラミネート工程)
ラミネート工程は、感光性ドライフィルムからカバーフィルムを剥離した後に、例えば、ラミネーターを用いて感光性樹脂層を基材表面に加熱圧着しラミネートすることにより行われることができる。
ラミネート工程は、感光性ドライフィルムからカバーフィルムを剥離した後に、例えば、ラミネーターを用いて感光性樹脂層を基材表面に加熱圧着しラミネートすることにより行われることができる。
使用基材の材質としては、例えば、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)、導体薄膜が積層されたフレキシブル基材等が挙げられる。導体薄膜としては、例えば、ITO、銅、銅-ニッケル合金、銀等が挙げられる。フレキシブル基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
使用基材は、銅張積層板に銅配線が形成された形態、ガラスのみから成る基材の形態、透明樹脂基材に透明電極(例えば、ITO、Agナノワイヤー基材等)又は金属電極(例えば、Cu、Al、Ag、Ni、Mo及びこれらの少なくとも2種の合金等)が形成された形態であることができる。また、使用基材は、多層基板に対応するためのスルーホールを有することができる。
使用基材は、本発明の効果を顕著に奏するという観点から、銅張積層基板であることが好ましく、より好ましくは、厚み35μmの銅箔が積層されており、厚みが1.6mmであり、かつ直径6mmのスルーホールを有する銅張積層基板である。
感光性樹脂層は、基材表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて基材両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は、40℃~160℃であることが好ましく、80℃~120℃であることがより好ましい。加熱圧着を2回以上行って、得られるレジストパターンの基材に対する密着性を向上させることもできる。2回以上の圧着を行う場合には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基材と感光性樹脂層との積層物をロールに繰り返し通して圧着してもよい。
(露光工程)
露光工程では、露光機を用いて感光性樹脂層を露光する。この露光は、得られるレジスト膜の突き刺し強度の観点から、感光性樹脂積層体から支持体を剥離してから行うことが好ましい。この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。
露光工程では、露光機を用いて感光性樹脂層を露光する。この露光は、得られるレジスト膜の突き刺し強度の観点から、感光性樹脂積層体から支持体を剥離してから行うことが好ましい。この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。
フォトマスクを介して露光する場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長350nm~410nmの半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピュータにより制御され、露光量は、露光光源の照度及び基材の移動速度により決定されることができる。
レジストパターンの解像度を向上させたり、サイドエッチ量を低減したり、レジスト又は配線パターンの歩留まりを向上させたりするという観点から、フォトマスクを介して露光を行うことが好ましい。
(現像工程)
現像工程では、感光性樹脂層の非パターン部を、現像液により除去する。現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、ネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には未露光部を溶解除去することにより、ポジ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には露光部を溶解除去することによりレジストパターンを得る。
現像工程では、感光性樹脂層の非パターン部を、現像液により除去する。現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、ネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には未露光部を溶解除去することにより、ポジ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には露光部を溶解除去することによりレジストパターンを得る。
アルカリ水溶液としては、例えば、Na2CO3、K2CO3等の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%~2質量%の濃度のNa2CO3水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。現像工程における現像液の温度は、18℃~40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
所望により、現像工程後に、得られたレジストパターンを100℃~300℃で加熱する加熱工程を行ってよい。この加熱工程を実施することにより、レジストパターンの耐薬品性が向上することがある。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができる。
(エッチング又はメッキ工程)
上記のレジストパターンの形成方法によってレジストパターンを形成した後に、レジストパターンが形成された基材のエッチング又はメッキ処理を行うことによって、基材上に配線パターンを形成することができる。本発明の効果を顕著に奏するという観点からは、少なくともエッチング工程を行うことが好ましい。
上記のレジストパターンの形成方法によってレジストパターンを形成した後に、レジストパターンが形成された基材のエッチング又はメッキ処理を行うことによって、基材上に配線パターンを形成することができる。本発明の効果を顕著に奏するという観点からは、少なくともエッチング工程を行うことが好ましい。
エッチング工程は、既知のエッチング法に従って、例えば、レジストパターンの上からエッチング液を吹き付けて、レジストパターンに覆われていない基材面をエッチングすることにより行われることができる。エッチング方法としては、酸性エッチング、アルカリエッチングなどを挙げることができ、使用する感光性樹脂積層体に適した方法で行なわれる。エッチング液は、例えば、塩酸水溶液、塩化第二鉄水溶液、又はそれらの混合物であることができる。また、エッチング液は、スプレーされることができる。
本実施形態の一態様は、(1)支持体と、上記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体を銅基板にラミネートする工程、
ラミネートされた感光性樹脂積層体を露光する工程、
露光した感光性樹脂積層体における、(2)感光性樹脂層を現像する工程、及び、
現像した(2)感光性樹脂層及び銅基板をエッチングする工程
を有する、銅パターンの形成方法である。
ラミネートされた感光性樹脂積層体を露光する工程、
露光した感光性樹脂積層体における、(2)感光性樹脂層を現像する工程、及び、
現像した(2)感光性樹脂層及び銅基板をエッチングする工程
を有する、銅パターンの形成方法である。
上記の銅パターンの形成方法は、サイドエッチを抑制可能な上記感光性樹脂積層体によって好適に実現されるものであり、これによって得られる銅パターンは、ラインの直進性に優れ、かつ、レジストパターンに対するずれが少ない。現像した感光性樹脂層のトップ幅は、エッチング前後で実質的に変化がないとして扱ってよい。
上記と同様の観点から、銅パターンの形成方法における、サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:現像後のレジストパターンのトップ幅
Wc:エッチング後の銅パターンのトップ幅
を満たすことが好ましい。SEは、1.0以下がより好ましい。
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:現像後のレジストパターンのトップ幅
Wc:エッチング後の銅パターンのトップ幅
を満たすことが好ましい。SEは、1.0以下がより好ましい。
上記銅パターンの形成方法において、露光、現像、エッチングの、条件及び/又は操作等は、実際の条件及び/又は操作に準じて適宜選択されてよい。各トップ幅は、例えば、光学顕微鏡により測定可能である。
本実施形態の更なる一態様は、(1)支持体と、上記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体によって得られるレジストパターンを有する、銅基板であって、
サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:レジストパターンのトップ幅
Wc:銅パターンのトップ幅
を満たす、レジストパターン付きの銅基板である。
サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:レジストパターンのトップ幅
Wc:銅パターンのトップ幅
を満たす、レジストパターン付きの銅基板である。
上記のレジストパターン付きの銅基板は、サイドエッチを抑制可能な上記感光性樹脂積層体によって好適に実現されるものであり、これによって得られる銅パターンは、ラインの直進性に優れ、かつ、レジストパターンに対するずれが少ない。
メッキ工程は、既知のメッキ法に従って、現像により露出した基材表面を金属メッキ(例えば硫酸銅メッキ液による)又ははんだメッキすることにより行われることができる。
エッチング工程及び/又はメッキ工程の後に、感光性樹脂積層体を現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液によって処理し、基材からレジストパターンを剥離してよい。剥離液は、例えば、濃度約2質量%~5質量%かつ温度約40℃~70℃のNaOH又はKOHの水溶液であることができる。
上述した各種パラメータの評価値については、特に断りのない限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される測定値である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明する。しかしながら、本実施の形態は、その要旨から逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の物性は以下の方法により測定した。
<1.感光性樹脂組成物の調製>
表1及び表2に示す化合物を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。表1及び表2中の値は、固形分量である。
なお、表1および表2中の略語で表した各成分の名称、使用溶剤等を表3に示す。
表1及び表2に示す化合物を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。表1及び表2中の値は、固形分量である。
なお、表1および表2中の略語で表した各成分の名称、使用溶剤等を表3に示す。
<2.感光性ドライフィルム(感光性樹脂積層体)の製造>
(実施例1~19,21~23、比較例1,2)
感光性樹脂組成物に溶媒アセトンを固形分が58質量%となるまで添加し、よく攪拌、混合し、感光性樹脂組成物の溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコータを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で5分間乾燥して5μm厚みの感光性樹脂層(ドライフィルム)を形成した。次に、感光性樹脂層の表面上にカバーフィルムを張り合わせて、図1に示すような感光性樹脂積層体(支持体/感光性樹脂層/カバーフィルム)を得た。
(実施例1~19,21~23、比較例1,2)
感光性樹脂組成物に溶媒アセトンを固形分が58質量%となるまで添加し、よく攪拌、混合し、感光性樹脂組成物の溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコータを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で5分間乾燥して5μm厚みの感光性樹脂層(ドライフィルム)を形成した。次に、感光性樹脂層の表面上にカバーフィルムを張り合わせて、図1に示すような感光性樹脂積層体(支持体/感光性樹脂層/カバーフィルム)を得た。
(実施例20)
PVA-235(クラレポバール、分子量3500)を8重量部と、モノアセチンを2重量部と、UNIOX M-550 (ポリオキシエチレンモノメチルエーテル)を1重量部と、水を99重量部とを混合し、親水性層用塗工液を調製した。
実施例1記載の成分から、成分A、成分B、成分D、および溶剤を混合し、熱可塑性樹脂層用塗工液を調製した。
支持体上に、熱可塑性樹脂層を5μmとなるように塗工した。熱可塑性樹脂層を塗工後、親水性層用塗工液を1μmとなるように塗工し、さらにその上に実施例1の感光性樹脂層を5μmとなるように塗工した。最後にカバーフィルムとしてLDPEフィルムを貼り合せ、図2に示すような感光性樹脂積層体(支持体/熱可塑性樹脂層/親水性層/感光性樹脂層/カバーフィルム)を得た。
PVA-235(クラレポバール、分子量3500)を8重量部と、モノアセチンを2重量部と、UNIOX M-550 (ポリオキシエチレンモノメチルエーテル)を1重量部と、水を99重量部とを混合し、親水性層用塗工液を調製した。
実施例1記載の成分から、成分A、成分B、成分D、および溶剤を混合し、熱可塑性樹脂層用塗工液を調製した。
支持体上に、熱可塑性樹脂層を5μmとなるように塗工した。熱可塑性樹脂層を塗工後、親水性層用塗工液を1μmとなるように塗工し、さらにその上に実施例1の感光性樹脂層を5μmとなるように塗工した。最後にカバーフィルムとしてLDPEフィルムを貼り合せ、図2に示すような感光性樹脂積層体(支持体/熱可塑性樹脂層/親水性層/感光性樹脂層/カバーフィルム)を得た。
<3.評価基板の作製>
(ラミネート)
感光性樹脂積層体のカバーフィルムを剥がしながら、銅層付きPET基板にホットロールラミネーター(旭化成エレクトロニクス(株)製、AL-700)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
(露光)
支持体を剥離し、クロムガラスフォトマスクを用いて、超高圧水銀ランプを有する露光機(平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801))により、評価基板を露光した。
(現像)
(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPaで、23℃の1質量%Na2CO3水溶液にて30秒スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理した。
(エッチング)
(株)フジ機工製エッチング装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度30℃で、塩酸濃度2質量%、塩化第二鉄2質量%、60秒エッチングした。
(剥離)
(株)フジ機工製剥離装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度50℃で、濃度3質量%のNaOH水溶液で30秒処理し、剥離除去した。"
(ラミネート)
感光性樹脂積層体のカバーフィルムを剥がしながら、銅層付きPET基板にホットロールラミネーター(旭化成エレクトロニクス(株)製、AL-700)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
(露光)
支持体を剥離し、クロムガラスフォトマスクを用いて、超高圧水銀ランプを有する露光機(平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801))により、評価基板を露光した。
(現像)
(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPaで、23℃の1質量%Na2CO3水溶液にて30秒スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理した。
(エッチング)
(株)フジ機工製エッチング装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度30℃で、塩酸濃度2質量%、塩化第二鉄2質量%、60秒エッチングした。
(剥離)
(株)フジ機工製剥離装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度50℃で、濃度3質量%のNaOH水溶液で30秒処理し、剥離除去した。"
<4.評価方法>
(画像性評価)
感光性樹脂層の厚みが5μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法でラミネート後、15分経過した評価基板を、露光部と未露光部との幅が1:1の比率のラインパターンを有するクロムガラスマスクを通して露光した。その後、上記<現像>に記載の方法で現像し、レジストパターンを作製した。
(画像性評価)
感光性樹脂層の厚みが5μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法でラミネート後、15分経過した評価基板を、露光部と未露光部との幅が1:1の比率のラインパターンを有するクロムガラスマスクを通して露光した。その後、上記<現像>に記載の方法で現像し、レジストパターンを作製した。
作製した硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。なお、硬化レジストパターンの倒れ又は硬化レジスト同士の密着がなく、正常に形成されている最小マスク幅を評価した。"
◎:解像度の値が3μm以下である。
○:解像度の値が3μmを超え、4μm以下である。
×:解像度の値が4μmを超える。
◎:解像度の値が3μm以下である。
○:解像度の値が3μmを超え、4μm以下である。
×:解像度の値が4μmを超える。
(サイドエッチ(SE)量)
サイドエッチ量の評価には、感光性樹脂層の厚みが5μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法で銅層付きPET基板にラミネートした後、15分経過した評価基板を用いた。
該ラミネート評価基板に対し、ライン/スペース=10μm/10μmのパターンを露光した後、上記(現像)に記載の方法で現像した。
作製した該パターンのレジストトップ幅Wr(μm)を、光学顕微鏡により測定した。
次いで、このライン/スペースパターンを有する基板について、ディップ方式を用いて、塩酸濃度2質量%及び塩化第二鉄2質量%を含む水溶液、及び温度30℃の条件で、最少エッチング時間の1.5倍の時間エッチングした。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
サイドエッチ量の評価には、感光性樹脂層の厚みが5μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法で銅層付きPET基板にラミネートした後、15分経過した評価基板を用いた。
該ラミネート評価基板に対し、ライン/スペース=10μm/10μmのパターンを露光した後、上記(現像)に記載の方法で現像した。
作製した該パターンのレジストトップ幅Wr(μm)を、光学顕微鏡により測定した。
次いで、このライン/スペースパターンを有する基板について、ディップ方式を用いて、塩酸濃度2質量%及び塩化第二鉄2質量%を含む水溶液、及び温度30℃の条件で、最少エッチング時間の1.5倍の時間エッチングした。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
上記エッチング後、剥離液として濃度3質量%のNaOH水溶液を用い、温度50℃において基板上の硬化膜を剥離除去して得られた銅のラインパターンのトップ幅Wc(μm)を光学顕微鏡により測定した。
そして、下記数式:
サイドエッチ(μm)=(Wr-Wc)÷2
によりサイドエッチ量を算出し、サイドエッチ量を下記のようにランク分けした。
◎(著しく良好):サイドエッチ量が1.0μm以下である。
○(良好):サイドエッチ量が1.0μmを超え1.5μm以下である。
×(不良):サイドエッチ量が1.5μmを超える。
そして、下記数式:
サイドエッチ(μm)=(Wr-Wc)÷2
によりサイドエッチ量を算出し、サイドエッチ量を下記のようにランク分けした。
◎(著しく良好):サイドエッチ量が1.0μm以下である。
○(良好):サイドエッチ量が1.0μmを超え1.5μm以下である。
×(不良):サイドエッチ量が1.5μmを超える。
(銅ライン幅の均一性)
該ラミネート評価基板に対し、ライン/スペース=10μm/10μmのパターン(全長5000μm)を140mJ/cm2で露光した後、上記(現像)に記載の方法によって現像した。次いで、このライン/スペースパターンを有する基板について、ディップ方式を用いて、塩酸濃度2質量%及び塩化第二鉄2質量%を含む水溶液、及び温度30℃の条件で、最少エッチング時間の1.5倍の時間エッチングした。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
該ラミネート評価基板に対し、ライン/スペース=10μm/10μmのパターン(全長5000μm)を140mJ/cm2で露光した後、上記(現像)に記載の方法によって現像した。次いで、このライン/スペースパターンを有する基板について、ディップ方式を用いて、塩酸濃度2質量%及び塩化第二鉄2質量%を含む水溶液、及び温度30℃の条件で、最少エッチング時間の1.5倍の時間エッチングした。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
上記エッチング後、剥離液として濃度3質量%のNaOH水溶液を用い、温度50℃において基板上の硬化膜を剥離除去して得られた銅のラインパターンを光学顕微鏡により銅ラインを観察し、下記のようにランク分けした。
〇:銅ラインにうねり、突起が無く、直線性が高い。
×:銅ラインにうねり、突起が有り、直線性が低い。
〇:銅ラインにうねり、突起が無く、直線性が高い。
×:銅ラインにうねり、突起が有り、直線性が低い。
(クラック)
感光性樹脂層の厚みが10μmの感光性樹脂積層体を2cm×20cmにカットし、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW-801)により、支持体側から各組成の最適露光量で露光した。30分以上静置した後、保護フィルムを剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーして現像した。現像した評価用サンプルは、23℃、50%RHにて1日調湿した後、試験に供した。
〇:クラックなし
×:クラックあり
感光性樹脂層の厚みが10μmの感光性樹脂積層体を2cm×20cmにカットし、平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW-801)により、支持体側から各組成の最適露光量で露光した。30分以上静置した後、保護フィルムを剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーして現像した。現像した評価用サンプルは、23℃、50%RHにて1日調湿した後、試験に供した。
〇:クラックなし
×:クラックあり
各実施例および比較例について、感光性樹脂組成物の組成と感光性樹脂積層体についての評価結果を表1および表2に示す。また、表1および表2中の略語で表した各成分の名称、使用溶剤等を表3および表4に示す。
表1および表2から明らかなように、(D)成分がカルボン酸基を有する比較例1では、I/O値が0.7より大きくなり、サイドエッチ(SE)が大きくなってしまった。また、(D)成分がチオール基を有する比較例2では連鎖移動してしまい、解像度が悪くなってしまった。
これに対し、(D)成分として、I/O値(無機性値/有機性値)が0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物を用いた実施例では、解像度、サイドエッチ(SE)量、Cu直線性(銅ライン幅の均一性)およびクラックの抑制に優れていた。
なお、支持体として60μmのPETフィルムを用いた実施例21では、ヤング率が高くなり、クラックが入ってしまった。また、(A)成分の100重量部に対し、(D)成分が5重量部と多かった実施例22では、直線性が悪くなってしまった。
なお、支持体として60μmのPETフィルムを用いた実施例21では、ヤング率が高くなり、クラックが入ってしまった。また、(A)成分の100重量部に対し、(D)成分が5重量部と多かった実施例22では、直線性が悪くなってしまった。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明による感光性ドライフィルムを用いることで、解像度、サイドエッチ(SE)量、Cu欠損、Cu直線性(銅ライン幅の均一性)およびクラックの抑制に優れ、特に、ピンホールの低減による歩留り向上と配線の微細化(解像度)とを両立可能なものとなり、レジストパターン又は配線パターン形成用の感光性ドライフィルムとして広く利用することができる。
Claims (12)
- (1)支持体、(2)感光性樹脂層、および(3)カバーフィルム、を有する感光性ドライフィルムであって、
前記(2)感光性樹脂層が、以下の成分;
(A)主鎖にエチレン性不飽和基を含有しないアルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、および
(D)I/O値(無機性値/有機性値)が0を超え0.7以下であり、環の中にN原子を1個以上含有する複素環化合物(ただし、チオール基(―SH基)を含有する複素環化合物を除く)
を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルム。 - 前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基(-COOH基)を含有する複素環化合物の含有量が70重量部以下である、請求項1に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(D)成分を100重量部としたとき、カルボン酸基を含有する複素環化合物の含有量が0重量部である、請求項1または2に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(D)成分が、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、又はベンゾチアゾール骨格を有する化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、12重量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(A)成分を100重量部としたとき、前記(D)成分が0重量部を超え、3重量部以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記支持体は、ヤング率が0超え6000MPa以下であり、厚みが0超え20μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(2)感光性樹脂層の膜厚(μm)と前記I/O値との比(感光性樹脂層の膜厚(μm)/I/O値)が、5.0を超え100以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- 前記(C)成分が、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性ドライフィルム。
- (1)支持体と、請求項1~9のいずれか1項に記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体を銅基板にラミネートする工程、
前記ラミネートされた前記感光性樹脂積層体を露光する工程、
前記露光した前記感光性樹脂積層体における、前記(2)感光性樹脂層を現像する工程、及び、
前記現像した前記(2)感光性樹脂層及び前記銅基板をエッチングする工程
を有する、銅パターンの形成方法。 - 前記銅パターンの形成方法における、サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記現像後のレジストパターンのトップ幅
Wc:前記エッチング後の銅パターンのトップ幅
を満たす、請求項10に記載の銅パターンの形成方法。 - (1)支持体と、請求項1~9のいずれか1項に記載の前記(2)感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体によって得られるレジストパターンを有する、銅基板であって、
サイドエッチ(SE)が、下記式:
0.1≦SE≦1.5
SE=(Wr-Wc)/2
Wr:前記レジストパターンのトップ幅
Wc:前記銅パターンのトップ幅
を満たす、レジストパターン付きの銅基板。
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---|---|---|---|
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JP2021025328 | 2021-02-19 | ||
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JP2022009314A Pending JP2022127585A (ja) | 2021-02-19 | 2022-01-25 | 感光性ドライフィルム |
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-
2022
- 2022-01-25 JP JP2022009314A patent/JP2022127585A/ja active Pending
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