JP2022041890A - 感光性樹脂積層体およびレジストパターンの形成方法 - Google Patents

感光性樹脂積層体およびレジストパターンの形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性の少なくとも一つに優れた感光性樹脂積層体を提供すること。【解決手段】支持体と、以下の成分:(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および(E)有機顕色剤、を含む感光性樹脂組成物を用いて前記支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂積層体およびレジストパターンの形成方法に関するものである。
従来、プリント配線板の製造、金属の精密加工などは、フォトリソグラフィー法により行われてきた。フォトリソグラフィー法に用いる感光性樹脂組成物は、未露光部を溶解除去するネガ型の組成物と、露光部を溶解除去するポジ型の組成物とに分類される。
フォトリソグラフィー法において感光性樹脂組成物を基材上に塗布する際には、
(1)フォトレジスト溶液を基材に塗布して乾燥させる方法、並びに
(2)支持体及び感光性樹脂組成物を含む層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、並びに必要により保護層を、順次積層した感光性樹脂積層体を用いて、感光性樹脂層を基材に積層する方法
のいずれかが使用される。プリント配線板の製造においては、後者の方法が使用されることが多い。
上記感光性樹脂積層体を用いてパターンを形成する方法について以下に簡単に述べる。先ず、感光性樹脂積層体から保護層を剥離する。次いで、ラミネーターを用いて、銅張積層板、銅スパッタ薄膜などの基材上に、該基材、感光性樹脂層、及び支持体の順序になるように、感光性樹脂層及び支持体を積層する。次いで、所望の配線パターンを有するフォトマスクを介して、感光性樹脂層を露光する。次いで、露光後の積層体から支持体を剥離し、そして現像液により非パターン部を溶解又は分散除去することにより、基材上にレジストパターンを形成させる。
さらに、レジストパターンを備える基板をエッチング処理、又は銅めっき、はんだめっきなどのめっき処理に供することにより配線パターンを得ることもできる。
レジストパターン又は配線パターンの形成のために様々な感光性樹脂組成物が検討されている。例えば、特許文献1には、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、ロイコ染料と、光又は熱で酸を発生する化合物と、を含有する感光性樹脂層を備えた感光性フィルムについて開示されている。この感光性フィルムでは、発色前の感光性樹脂層を露光することで所望の形状で充分に硬化させることができ、その後に光を照射する及び/又は熱を与えることにより所望の光学濃度を有する着色パターンを形成している。
また、特許文献2には、酸の作用及び/又は130℃~250℃の熱によって分解可能な結合を有する不飽和二重結合含有化合物からなる構成単位を含むラジカル重合性ポリマーを用いた感光性樹脂組成物が記載されている。この感光性樹脂組成物では、光硬化、現像後剥離を行う前に又は剥離しながら、酸及び/又は130℃~250℃の熱によって上記結合を切断することで、フェノール性水酸基及び/又はカルボン酸が生成し、アルカリ性の剥離溶液に対する剥離性を向上させている。
ところで近年、スマートフォン(登録商標)等の普及により、タッチパネル型のディスプレイの需要が増大している。このタッチパネルのセンサーにおける配線部分の製造にも、感光性樹脂積層体を用いる場合が多い。タッチパネルセンサーの場合、エッチング工程を経て製造される配線に、高精細及び高密度等の各種の特性が求められることが多い。
国際公開第2020/031379号 特開2009-3000号公報
しかしながら、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性については、十分な特性が得られていなかった。また、これらの特性のなかには、両立が困難であるとされてきた組み合わせも存在するため、各種の特性の両立を図ることが望まれていた。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本明の目的は、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性の少なくとも一つに優れた感光性樹脂積層体およびレジストパターンの形成方法を提供することにある。
[1]
支持体と、
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、
(D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および
(E)有機顕色剤、
を含む感光性樹脂組成物を用いて前記支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、
前記感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
[2]
支持体と、
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、
(D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および
(E)有機顕色剤、
を含む感光性樹脂組成物を用いて前記支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、
前記支持体上に形成される前記感光性樹脂組成物層の膜厚(μm)と、前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(E)成分含有量(質量%)との積が、0超え5.0以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
[3]
前記(E)成分の0.01mg/mlアセトニトリル溶液の330nm又は405nmでの吸光度が0.1以上1.0未満である、[1]または[2]に記載の感光性樹脂積層体。
[4]
前記(E)成分として、非イオン性の有機顕色剤を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[5]
前記(C)成分として、ロフィン二量体を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[6]
前記(D)成分として、トリアリールメタン骨格を有する化合物を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[7]
前記(A)成分の重量平均分子量が5000以上55000未満である、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[8]
前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(A)成分の含有量が、10質量%~90質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[9]
前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(B)成分の含有量が、5質量%~70質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[10]
前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(C)成分の含有量が、0.01質量%~20質量%である、[1]~[9]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[11]
前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(D)成分の含有量が、0.001質量%~3質量%である、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[12]
前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(E)成分の含有量が、0超え3.5質量%以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[13]
前記(A)成分の総量に対する前記(E)成分の含有量が、0超え2.5質量%以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[14]
前記(A)成分が芳香族単量体成分を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[15]
前記感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、前記感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、ΔE/Tが3.5以上となるレジストパターンを形成可能である、[1]~[14]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[16]
前記感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm未満である、[1]~[15]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[17]
[1]~[16]のいずれかに記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートするラミネート工程、
ラミネートされた前記感光性樹脂積層体に露光する露光工程、及び
露光された前記感光性樹脂積層体を現像する現像工程
を含むレジストパターン形成方法であって、
前記感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、前記感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、ΔE/Tが3.5以上となる、レジストパターンの形成方法。
[18]
前記露光工程は、支持体を剥離せずに描画パターンの直接描画による露光方法、又はフォトマスクの像を、レンズを通して投影させる露光方法による、[17]に記載のレジストパターンの形成方法。
[19]
前記露光工程を300~500nmの光源を用いて露光する、[17]または[18]に記載のレジストパターン形成方法。
[20]
前記露光工程後、支持体を剥離して、無機アルカリ水溶液により現像する、[17]~[19]のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
[21]
前記現像工程後、パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程を含む、[17]~[20]のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
本発明によれば、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性の少なくとも一つに優れた感光性樹脂積層体およびレジストパターンの形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
また、本明細書では、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、そして「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明の感光性樹脂積層体は、
支持体と、
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、
(D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および
(E)有機顕色剤、
を含む感光性樹脂組成物を用いて支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、
感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm以下であることを特徴とする。
本発明の感光性樹脂積層体では、(D)成分を含むことで、高解像性であり、露光部の視認性に優れた感光性樹脂組成物を得ることが出来る。(E)成分を含むことで、高感度であり、露光部の視認性に優れた感光性樹脂組成物を得ることが出来る。また、感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm以下であることで、高解像性であり、優れた剥離特性を有する感光性樹脂組成物を得ることが出来る。
これにより、本発明では、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性の少なくとも一つに優れた感光性樹脂積層体を提供することができる。
以下、各成分について詳細に説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
(A)アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性溶液に溶解できる高分子である。また、(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましく、100~600の酸当量を有することがより好ましく、そしてカルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む共重合体であることがさらに好ましい。さらに、(A)アルカリ可溶性樹脂は熱可塑性であることができる。
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価(mgKOH/g)は、0を超えることが好ましく、感光性樹脂層の現像耐性、並びにレジストパターンの解像性及び密着性の観点、さらには、感光性樹脂層の現像性及び剥離性の観点から、200以下であることが好ましい。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価(酸当量)は、0を超え78.0以下であることがより好ましく、0を超え76.0以下であることがさらに好ましい。
上記の範囲の酸価は、従来技術と比べ、いわゆる「低酸価」に相当する。本発明の一実施形態では、感光性樹脂層の薄膜化が近年特に要求されている中で、その「感光性樹脂層の薄膜化」かつ「低酸価」が実現されている。
従来、高解像性(低SE)のための一つの手法として、レジストの疎水性を向上させることが知られていた。他方、レジストの疎水性を向上させると、現像液への溶解性が低下するため、現像時間が長くなる傾向があった。この点、現像時間を短縮するため、樹脂の分子量を低くするとCu欠損(膜強度)が低下し易くなる場合もあった。
(A)アルカリ可溶性樹脂は、下記数式(I):
Figure 2022041890000001
{式中、Wiは、アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーそれぞれの質量であり、
Tgiは、アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーのそれぞれがホモポリマーであった場合のガラス転移温度であり、
totalは、アルカリ可溶性樹脂の合計質量であり、そして
nは、該アルカリ可溶性樹脂を構成するコモノマーの種類の数である。}
により求めたガラス転移温度(Tgtotal)が100℃以下であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂として複数種の高分子の混合物を用いる場合、ガラス転移温度は、全部の高分子の平均値として定まる値である。
ガラス転移温度Tgiを求める際には、対応するアルカリ可溶性樹脂を形成するコモノマーから成るホモポリマーのガラス転移温度として、Brandrup,J.Immergut,E.H.編集「Polymer handbook, Third edition, John wiley & sons, 1989, p.209 Chapter VI 『Glass transition temperatures of polymers』」に示される値を使用するものとする。
代表的なコモノマーのTgiは、下記のとおりである(何れも文献値)。
メタクリル酸:Tg=501K
ベンジルメタクリレート:Tg=327K
メチルメタクリレート:Tg=378K
スチレン:Tg=373K
2-エチルへキシルアクリレート:Tg=223K
シクロへキシルメタクリレート:Tg=365K
ブチルアクリレート:Tg=219K
上記のようなガラス転移温度(Tgtotal)を示すアルカリ可溶性樹脂としては、酸モノマーと、その他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
上記数式(I)により求めた(A)アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度(Tgtotal)の下限値については特に限定はない。ガラス転移温度(Tgtotal)は、10℃以上であってもよく、30℃以上であってもよく、50℃以上であってもよく、70℃以上であってもよい。
(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上55,000未満であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、ドライフィルムレジストなどの感光性樹脂積層体の厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上であることが好ましく、一方で、ドライフィルムレジストなどの感光性樹脂積層体の現像性を維持するという観点から55,000未満であることが好ましい。また、(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000~50,000であることがより好ましく、23,000~50,000であることがさらに好ましい。さらに、上記Mwと(A)アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量(Mn)との比である、(A)アルカリ可溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0であることが好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂は、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂は、後述する第二の単量体に含まれる芳香族単量体成分を含むことが好ましい。また、(A)アルカリ可溶性樹脂は、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート及びマレイン酸半エステルなどが挙げられる。これらの中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
第二の単量体としては、不飽和芳香族化合物(「芳香族モノマー」とも記載することがある)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー、架橋性モノマー等が挙げられる。これらの中でも、レジストパターンの解像性を向上させるという観点から、不飽和芳香族化合物が好ましい。不飽和芳香族化合物を含む第二の単量体を用いる場合、(A)アルカリ可溶性樹脂の総量に対する不飽和芳香族化合物の割合は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
不飽和芳香族化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、スチレン、ケイ皮酸、重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマーなど)などが挙げられる。その中でも、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート等を;共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等を、それぞれ挙げることができる。極性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;メタクリル酸2-アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;等を挙げることができる。
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
(A)アルカリ可溶性樹脂は、上記の第一の単量体及び/又は第二の単量体を既知の重合法、好ましくは付加重合、より好ましくはラジカル重合により調製することができる。
感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量(感光性樹脂組成物の固形分総量を基準とする。以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である。)は、好ましくは10質量%~90質量%の範囲であり、より好ましくは20質量%~80質量%の範囲であり、さらに好ましくは30質量%~60質量%の範囲である。(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂層のアルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジスト材料としての性能を十分に発揮するという観点から、90質量%以下であることが好ましい。
<(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物>
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、その構造中にエチレン性不飽和結合、具体的にはエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。
感光性樹脂組成物は、(B)成分として、エチレン性二重結合を1個以上有していればよい。エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を用いることが好ましい。
具体的に(B)成分としては、例えば、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モル~15モルずつのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンに平均3モル~25モルのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレントリオールのトリ(メタ)アクリレート、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、イソシアヌレート環等にポリアルキレンオキシド基を付加したり、ε-カプロラクトン変性したりすることにより得られたアルコールを(メタ)アクリレートに変換することで得られる化合物、又はそれらをアルキレンオキシド基又はε-カプロラクトンで変性せずに、直接(メタ)アクリル酸を反応させた化合物、ペンタエリスリトールに平均4モル~35モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールに平均4~30モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の含有量は、好ましくは5質量%~70質量%、より好ましくは20質量%~60質量%、さらに好ましくは30質量%~50質量%の範囲内である。(B)エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、感光性樹脂層の硬化不良及び現像時間の遅延を抑えるという観点から5質量%以上であることが好ましく、一方で、硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下であることが好ましい。
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物などを重合することができる化合物である。感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤として、本技術分野において一般に知られているものを含んでよい。
(C)光重合開始剤としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N-アリール-α-アミノ酸化合物、キノン化合物、芳香族ケトン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ジアルキルケタール化合物、チオキサントン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物、オキシムエステル化合物、アクリジン化合物、ピラゾリン誘導体、N-アリールアミノ酸のエステル化合物、ハロゲン化合物等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール(別名:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール)、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、ロフィン(2,4,5-トリアリールイミダゾール)二量体等が挙げられる。
ロフィン二量体には、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス-(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等があるが、特に、高感度、解像性及び密着性の観点から、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
N-アリール-α-アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシン等が挙げられる。特にN-フェニルグリシンは増感効果が高く好ましい。
キノン化合物としては、例えば、2-エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、3-クロロ-2-メチルアントラキノン等を挙げることができる。
芳香族ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
アセトフェノン化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等を挙げることができる。アセトフェノン化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア-907、イルガキュア-369、及びイルガキュア-379を挙げることができる。増感剤としての使用及び密着性の観点からは、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド化合物の市販品としては、例えば、BASF社製のルシリンTPO、及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア-819が挙げられる。
ベンゾイン化合物及びベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等を挙げることができる。
ジアルキルケタール化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロルチオキサントン等を挙げることができる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等を挙げることができる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-O-ベンゾイルオキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。オキシムエステル化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のCGI-325、イルガキュア-OXE01、及びイルガキュア-OXE02が挙げられる。
アクリジン化合物としては、感度、解像性、入手性等の点で、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン又は9-フェニルアクリジンが好ましい。
ピラゾリン誘導体としては、密着性及びレジストパターンの矩形性の観点から、1-フェニル-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン及び1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-オクチル-フェニル)-ピラゾリンが好ましい。
N-アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N-フェニルグリシンのメチルエステル、N-フェニルグリシンのエチルエステル、N-フェニルグリシンのn-プロピルエステル、N-フェニルグリシンのイソプロピルエステル、N-フェニルグリシンの1-ブチルエステル、N-フェニルグリシンの2-ブチルエステル、N-フェニルグリシンのtertブチルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのヘキシルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのオクチルエステル等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物、ジアリルヨードニウム化合物等が挙げられ、とりわけトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。
感光性樹脂組成物における(C)光重合開始剤の含有量は、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.5質量%~10質量%がより好ましい。(C)光重合開始剤の含有量を上記範囲内に調整することにより、十分な感度を得られ、レジスト底部にまで十分に光を透過させることができ、高解像性を得られると共に、導体パターンにおけるサイドエッチ量とのバランスに優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
高感度、解像性及び密着性の観点から、(C)光重合開始剤として、ロフィン二量体を含むことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物中のロフィン二量体の含有量は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
<(D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物>
(D)成分は、光波長300~500nmの光を照射することにより構造が変化し、光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物であり、感光性樹脂組成物は、このような(D)成分を含むことで、高解像性であり、露光部の視認性に優れた感光性樹脂組成物を得ることが出来る。
このような(D)成分としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオラン系化合物、ジアリールメタン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、フェノチアジン系化合物、キサンテン系化合物、オキサジン系化合物等が挙げられる。
露光部の視認性の観点から、(D)成分として、トリアリールメタン骨格を有する化合物を含むことが好ましい。
トリアリールメタン骨格を有する化合物としては、例えば、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、グリーンDCF、メチルブルー、チモールブルー、ブロモチモールブルー、ブロモフェノールブルー、ウォーターブルー、ソルベントブルー5、ベーシックブルー7、キシレンシアノ―ル、クマシーブリリアントブルーG250、クマシーブリリアントブルーR250、ブリリアントブルーFCF、グリーンS、マラカイトグリーン、ファストグリーンFCF、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット6B、メチルバイオレット10B、クリスタルバイオレットラクトン、フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールレッド、マジェンタO、フロキシン等が挙げられる。その中でも、マラカイトグリーン又はベーシックバイオレット3が好ましい。
感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、0.001質量%~3質量%が好ましく、0.002質量%~2質量%がより好ましい。(D)成分の含有量を上記範囲内に調整することにより、十分な感度を得られ、レジスト底部にまで十分に光を透過させることができ、高解像性を得られると共に、導体パターンにおけるサイドエッチ量とのバランスに優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
<(E)有機顕色剤>
(E)有機顕色剤は、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。感光性樹脂組成物は、このような(E)有機顕色剤を含むことで、高解像性、高感度であり、露光部の視認性に優れた感光性樹脂組成物を得ることが出来る。
(E)有機顕色剤としては、例えば、光照射により分解して酸を発生する光酸発生剤である、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等が挙げられる。その中でも、吸収波長と発生する酸強度の観点から、オキシムスルホネート化合物及びイミドスルホネート化合物が好ましい。
(E)有機顕色剤としては、具体的には、(5-プロピルスルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-p-トルエンスルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、ナフタルイミドトリフルオロメチルスルホン酸塩、ナフタルイミドメタンスルホン酸塩、ナフタルイミドカンファスルホン酸塩が挙げられる。
(E)有機顕色剤の0.01mg/mlアセトニトリル溶液の330nm又は405nmでの吸光度が0.1以上であることが好ましい。また、当該吸光度は、1.0未満であることが好ましく、0.15以上、0.9未満であることがより好ましい。これにより、高感度であり、露光部の視認性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。
感光性樹脂積層体の保存安定性や発色安定性の観点から、(E)有機顕色剤として、非イオン性の有機顕色剤を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂積層体を形成し、長期保管しても解像度の低下や、露光部の視認性を安定的に維持することが出来る。
非イオン性の有機顕色剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物、等が挙げられる。その中でも、吸収波長と発生する酸強度の観点から、オキシムスルホネート化合物及びイミドスルホネート化合物が好ましい。
感光性樹脂組成物における(E)有機顕色剤の含有量は、0超え3.5質量%以下であり、0.0005質量%~3質量%が好ましく、0.001質量%~2質量%がより好ましく、0.5質量%~0.9質量がさらに好ましい。(E)有機顕色剤の含有量を上記範囲内に調整することにより、組成物との相溶性に優れ、十分な感度を有し、レジスト底部にまで十分に光を透過させることができ、高解像性を得られると共に、導体パターンにおけるサイドエッチ量とのバランスに優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
特に、上記と同様の理由により、(A)アルカリ可溶性樹脂の総量に対する、(E)有機顕色剤の含有量が、0超え2.5質量%以下であることが好ましい。
<その他の成分>
感光性樹脂組成物は、所望により、ベース染料、酸化防止剤、安定化剤、増感剤、可塑剤などの添加剤を含むことが好ましい。なお、その他の成分は、上記(A)~(E)以外の成分である。
ベース染料は、未露光部の発色性と、優れた剥離特性を付与するために、本実施形態の感光性樹脂組成物に配合することができる。例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633-03-4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、フクシン[632-99-5]、メチルバイオレット[603-47-4]、メチルグリーン[82-94-0]、ビクトリアブルーB[2580-56-5]、ベーシックブルー7[2390-60-5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81-88-9]、ローダミン6G[989-38-8]、ベーシックイエロー2[2465-27-2]等が挙げられる。これらの中でも、着色性、色相安定性及び露光コントラストを向上させるという観点から、ベーシックグリーン1が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
感光性樹脂組成物中のベース染料の含有量は、好ましくは0.001質量%~3質量%の範囲であり、より好ましくは0.01質量%~2質量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.04質量%~1質量%の範囲である。染料の含有量は、良好な着色性を得るという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト(例えば、旭電化工業社製、商品名:TPP)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(例えば、旭電化工業社製、商品名2112)、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名:1178)、ビス(モノノニルフェニル)-ジノニルフェニルホスファイト(例えば、旭電化工業社製、商品名:329K)などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
感光性樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは0.01質量%~0.8質量%の範囲であり、より好ましくは、0.01質量%~0.3質量%の範囲である。酸化防止剤の含有量は、レジストパターンの色相安定性を良好に発現させ、かつ感光性樹脂層の感度を向上させるという観点から0.01質量%以上であることが好ましく、一方で、レジストパターンの発色性を抑えながら色相安定性を良好に発現させ、かつ密着性を向上させるという観点から0.8質量%以下であることが好ましい。
安定化剤は、感光性樹脂組成物の熱安定性及び/又は保存安定性を向上させるという観点から、使用されることが好ましい。安定化剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、及びグリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert-ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩(例えば、ニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩など)、ジフェニルニトロソアミンなどが挙げられる。これらの中でも、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、又はニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩が好ましい。また、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
グリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト400E)、ビスフェノールA-プロピレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト3002)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1600)などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ラジカル重合禁止剤、及びグリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物の、感光性樹脂組成物中の合計含有量は、好ましくは0.001質量%~3質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~1質量%の範囲である。この合計含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
<感光性樹脂組成物調合液>
一実施形態では、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより感光性樹脂組成物調合液が形成されることができる。好適な溶媒としては、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500mPa・sec~4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
<感光性樹脂積層体、ドライフィルムレジスト及び転写フィルム>
本開示の感光性樹脂組成物又は感光性樹脂組成物調合液を用いて、感光性樹脂積層体を提供することができる。感光性樹脂積層体は、支持フィルム(支持体)と、支持フィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物を含む層とを有する。感光性樹脂積層体は、必要により支持フィルム側とは反対側の表面に保護層を有してもよい。感光性樹脂積層体は、本発明の効果を顕著に奏するという観点から、ドライフィルムレジスト又は転写フィルムであることが好ましく、ドライフィルムレジストであることがより好ましい。
支持フィルムとしては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能である。
支持フィルムのヘイズは5以下であることが好ましい。支持フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する機能も考慮すると、10μm~30μmであることが好ましい。
上記で説明された感光性樹脂組成物の層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)は、感光性樹脂組成物を含むか、又は感光性樹脂組成物から成ることができる。感光性樹脂積層体における感光性樹脂組成物の層の膜厚は、レジストパターンの解像度、サイドエッチ量、突き刺し強度又は剥離性の観点から、0.5μm~25μmであることが好ましく、1μm~20μmであることがより好ましい。同様の観点から、該膜厚の上限は、16μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、10μm未満であることが最も好ましい。
感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、適当な密着力を有することである。つまり、該保護層の感光性樹脂層に対する密着力が、支持フィルムの感光性樹脂層に対する密着力よりも充分小さく、保護層が感光性樹脂積層体から容易に剥離できることが好ましい。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエステルフィルムなどを用いることができる。また、フォトレジスト層から保護フィルムを剥がすために好適に使用可能な離型層を、上記保護層フィルムの片面に付与してもよい。離型層は一般に、シリコーン化合物と非シリコーン化合物とに分類される。シリコーン化合物とは、両末端シラノールポリジメチルシロキサンとポリメチル水素シロキサン又はポリメチルメトキシシロキサンとを反応させた縮合反応型シリコーン樹脂や、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体又はジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体とポリメチル水素シロキサンとを反応させた付加反応型シリコーン樹脂や、アクリルシリコーンやエポキシ基含有シリコーンなどを紫外線や電子線で硬化させた紫外線硬化型又は電子線硬化型シリコーン樹脂や、変性シリコーン樹脂、例えば、エポキシ変性シリコーン樹脂(シリコーンエポキシ)、ポリエステル変性シリコーン樹脂(シリコーンポリエステル)、アクリル変性シリコーン樹脂(シリコーンアクリル)、フェノール変性シリコーン樹脂(シリコーンフェノール)、アルキッド変性シリコーン樹脂(シリコーンアルキッド)、メラミン変性シリコーン樹脂(シリコーンメラミン)などが挙げられる。非シリコーン化合物とは、アルキド(又はアルキッドともいう)樹脂、長鎖アルキル系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。離型層の膜厚は、好ましくは0.001~2μm、より好ましくは0.005~1μm、さらに好ましくは0.01~0.5μmの範囲である。膜厚が2μmを超える場合は、塗膜外観の悪化や塗膜の硬化不足が生じる可能性があり、膜厚が0.001μm未満の場合は十分な離型性が得られない可能性がある。保護層の膜厚は10μm~100μmが好ましく、10μm~50μmがより好ましい。
<感光性樹脂積層体の作製方法>
感光性樹脂積層体は、支持フィルム(支持体)上に、感光性樹脂層、及び必要により保護層を順次積層することにより、作製することができる。その方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液状の感光性樹脂組成物調合液(塗工液)を形成する。次に、支持フィルム上に、塗工液をバーコータ又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して、支持フィルム上に感光性樹脂層を積層することができる。必要により、感光性樹脂層上に保護層をラミネートすることにより、感光性樹脂積層体を作製することができる。
本実施形態の感光性樹脂積層体において、支持フィルム(支持体)上に形成される感光性樹脂層の膜厚(μm)と、感光性樹脂組成物の総量に対する(E)有機顕色剤の含有量(質量%)との積が、0超え5.0以下である。
本実施形態では、感光性樹脂層を薄膜とし、かつ、(E)有機顕色剤の含有量を特定少量範囲に調整することに着目している。感光性樹脂層の膜厚(μm)と(E)有機顕色剤の含有量との積を特定の範囲に限定することで、より十分な感度を有し、レジスト底部にまで十分に光を透過させることができ、より高解像性を得られると共に、導体パターンにおけるサイドエッチ量とのバランスに特に優れる感光性樹脂積層体を得ることができる。
また、本実施形態の感光性樹脂積層体では、該感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、前記感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、ΔE/Tが3.5以上となるレジストパターンを形成可能である。
<レジストパターン形成方法>
本発明の別の態様は、以下の工程:
本開示の感光性樹脂積層体を基材にラミネートする工程(ラミネート工程)、
ラミネートされた感光性樹脂積層体に露光する工程(露光工程)、及び
露光された感光性樹脂積層体を現像する工程(現像工程)
を含むレジストパターン形成方法を提供する。
特に、本実施の態様では、感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、露光部及び未露光部の視認性の向上の観点から、ΔE/Tが3.5以上であり、4.0以上であることが好ましい。
本実施形態のレジストパターン形成方法において、感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差ΔEは、8.0以上でよい。かかる色差ΔEは、コントラストの向上の観点から、10以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、レジストパターンの露光前後での色差ΔEは、後述する実施例に記載の方法により測定されたものである。
<配線パターン形成方法>
本開示のさらに別の態様は、以下の工程:
前述したレジストパターン形成方法によりレジストパターンが形成された基材のエッチング又はメッキ処理を行う工程(エッチング又はメッキ工程)
を含む配線パターン形成方法を提供する。
以下、感光性樹脂積層体及び基材を用いてレジスト及び配線パターンを形成する方法の一例を説明する。
(ラミネート工程)
ラミネート工程は、感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には積層体から保護層を剥離した後に、例えば、ラミネーターを用いて感光性樹脂層を基材表面に加熱圧着しラミネートすることにより行われることができる。
使用基材の材質としては、例えば、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)、導体薄膜が積層されたフレキシブル基材等が挙げられる。導体薄膜としては、例えば、ITO、銅、銅-ニッケル合金、銀等が挙げられる。フレキシブル基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
使用基材は、銅張積層板に銅配線が形成された形態、ガラスのみから成る基材の形態、透明樹脂基材に透明電極(例えば、ITO、Agナノワイヤー基材等)又は金属電極(例えば、Cu、Al、Ag、Ni、Mo及びこれらの少なくとも2種の合金等)が形成された形態であることができる。また、使用基材は、多層基板に対応するためのスルーホールを有することができる。
使用基材は、本発明の効果を顕著に奏するという観点から、銅張積層基板であることが好ましく、より好ましくは、厚み35μmの銅箔が積層されており、厚みが1.6mmであり、かつ直径6mmのスルーホールを有する銅張積層基板である。
感光性樹脂層は、基材表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて基材両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は、40℃~160℃であることが好ましく、80℃~120℃であることがより好ましい。加熱圧着を2回以上行って、得られるレジストパターンの基材に対する密着性を向上させることもできる。2回以上の圧着を行う場合には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基材と感光性樹脂層との積層物をロールに繰り返し通して圧着してもよい。
(露光工程)
露光工程では、露光機を用いて感光性樹脂層を露光する。この露光は、マスク汚染や寸法安定性の観点から、支持体を剥離せずに描画パターンの直接描画による露光方法、又はフォトマスクの像を、レンズを通して投影させる露光方法によることが好ましい。
この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。
フォトマスクを介して露光する場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長300~500nmの半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピュータにより制御され、露光量は、露光光源の照度及び基材の移動速度により決定されることができる。
レジストパターンの解像度を向上させたり、サイドエッチ量を低減したり、レジスト又は配線パターンの歩留まりを向上させたりするという観点から、フォトマスクを介して露光を行うことが好ましい。
(現像工程)
現像工程では、感光性樹脂層の非パターン部を、現像液により除去する。現像工程においては、支持体を剥離して、無機アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、ネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には、未露光部を溶解除去することによりレジストパターンを得る。ポジ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には、露光部を溶解除去することによりレジストパターンを得る。
アルカリ水溶液としては、例えば、Na2CO3、K2CO3等の無機アルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂組成物層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%~2質量%の濃度のNa2CO3水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。現像工程における現像液の温度は、18℃~40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
所望により、現像工程後に、得られたレジストパターンを100℃~300℃で加熱する加熱工程を行ってもよい。この加熱工程を実施することにより、レジストパターンの耐薬品性や解像性が向上することがある。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができる。
(エッチング又はメッキ工程)
上記のレジストパターンの形成方法によってレジストパターンを形成した後に、レジストパターンが配置されていない領域における基板のエッチング又はメッキ処理を行うことによって、基材上に配線パターンを形成することができる。本発明の効果を顕著に奏するという観点からは、少なくともエッチング工程を行うことが好ましい。
エッチング工程は、既知のエッチング法に従って、例えば、レジストパターンの上からエッチング液を吹き付けて、レジストパターンに覆われていない基材面をエッチングすることにより行われることができる。エッチング方法としては、酸性エッチング、アルカリエッチングなどを挙げることができ、使用する感光性樹脂積層体に適した方法で行なわれる。エッチング液は、例えば、塩酸水溶液、塩化第二鉄水溶液、又はそれらの混合物であることができる。また、エッチング液は、スプレーされることができる。
メッキ工程は、既知のメッキ法に従って、現像により露出した基材表面を金属メッキ(例えば硫酸銅メッキ液による)又ははんだメッキすることにより行われることができる。
エッチング工程及び/又はメッキ工程の後に、感光性樹脂積層体を現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液によって処理し、基材からレジストパターンを剥離してよい。剥離液は、例えば、濃度約2質量%~5質量%かつ温度約40℃~70℃のNaOH又はKOHの水溶液であることができる。
上述した各種パラメータの評価値については、特に断りのない限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される測定値である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明する。しかしながら、本実施の形態は、その要旨から逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<1.感光性樹脂組成物の調製>
表1~表2に示す化合物を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。表1~表2中の値は、固形分量である。
なお、表1~表2中の略語で表した各成分の名称、使用溶剤等を表3~表4に示す。
<2.感光性樹脂積層体の製造>
感光性樹脂組成物に溶媒アセトンを固形分が58質量%となるまで添加し、よく攪拌、混合し、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。感光性樹脂組成物の溶液を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製FB-40;16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)にバーコータを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で5分間乾燥して3μm厚みの感光性樹脂層(ドライフィルム)を形成した。次に、感光性樹脂層の表面上に33μm厚みのポリエチレンフィルム(タマポリ製GF-858)を張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂層の膜厚は、膜厚計(ID-C112B、Mitutoyo社製)を用いて測定した。
<3.評価基板の作製>
(ラミネート)
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、銅層付きPET基板にホットロールラミネーター(旭化成エレクトロニクス(株)製、AL-700)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。
(露光)
支持フィルムを剥離し、クロムガラスフォトマスクを用いて、超高圧水銀ランプを有する露光機(平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801))により、評価基板を露光した。
(現像)
(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPaで、23℃の1質量%Na2CO3水溶液にて30秒スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理した。
(エッチング)
(株)フジ機工製エッチング装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度30℃で、塩酸濃度2質量%、塩化第二鉄2質量%、60秒間エッチングした。
(剥離)
(株)フジ機工製剥離装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、スプレー圧0.15MPa、温度50℃で、濃度3質量%のNaOH水溶液で30秒間処理し、剥離除去した。
<4.評価方法>
(画像性)
感光層の厚みが3μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法でラミネート後、15分経過した評価基板を、露光部と未露光部との幅が1:1の比率のラインパターンを有するクロムガラスマスクを通して露光した。その後、上記(現像)に記載の方法で現像し、レジストパターンを作製した。
作製した硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。なお、硬化レジストパターンの倒れ又は硬化レジスト同士の密着がなく、正常に形成されている最小マスク幅を評価した。
◎(良好):解像度の値が2μm以下である。
○(許容):解像度の値が2μmを超え、3μm以下である。
×(不良):解像度の値が3μmを超える。
(サイドエッチ(SE)量)
サイドエッチ量の評価には、感光性樹脂層の厚みが3μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法で銅層付きPET基板にラミネートした後、15分経過した評価基板を用いた。
該ラミネート評価基板に対し、ライン/スペース=10μm/10μmのパターンを露光した後、上記(現像)に記載の方法で現像した。
作製した該パターンのレジストトップ幅Wr(μm)を、光学顕微鏡により測定した。
次いで、このライン/スペースパターンを有する基板について、ディップ方式を用いて、塩酸濃度2質量%及び塩化第二鉄2質量%を含む水溶液、及び温度30℃の条件で、最少エッチング時間の1.5倍の時間エッチングした。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
上記エッチング後、剥離液として濃度3質量%のNaOH水溶液を用い、温度50℃において基板上の硬化膜を剥離除去して得られた銅のラインパターンのトップ幅Wc(μm)を光学顕微鏡により測定した。
そして、下記数式:
サイドエッチ(μm)=(Wr-Wc)÷2
によりサイドエッチ量を算出し、サイドエッチ量を下記のようにランク分けした。
◎(著しく良好):サイドエッチ量が2.5μm以下である。
○(良好):サイドエッチ量が2.5μmを超え3.0μm以下である。
△(許容):サイドエッチ量が3.0μmを超え3.5μm以下である。
×(不良):サイドエッチ量が3.5μmを超える。
(最小現像時間)
感光層の厚みが3μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法で、厚み18μmの銅箔を積層した厚み0.4mmの銅張積層基板へラミネートを実施し、積層体を得た。感光層上に積層されている支持フィルムを除去した後、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、23℃で所定時間スプレー現像した。
現像後の基板表面を観察し、現像残渣が残らない時間を最小現像時間とし、以下の基準によって評価した。
◎(著しく良好):最小現像時間が10秒以内である。
○(良好):最小現像時間が15秒以内である。
×(不良):最小現像時間が15秒を超える。
(コントラスト)
感光層の厚みが3~10μmである感光性樹脂積層体を、上記(ラミネート)に記載の方法で、ニカフレックス F-30VC1 25C1 1/2(ニッカン工業製)上へラミネートを実施し、積層体を得た。
露光前、色差計(日本電色工業製、NF333)を用いて、ΔE値を測定し、0点に設定した。0点設定後、超高圧水銀ランプを有する露光機(平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801))により、露光量140mJ/cm2で評価基板を露光した。
露光後3分経過した基板のΔE値を色差計にて測定し、得られたΔE値から、以下の基準によって評価した。
◎(著しく良好):色差(ΔE)の値が15以上である。
〇(良好):色差(ΔE)の値が13以上である。
△(許容A):色差(ΔE)の値が10以上である。
△△(許容B):色差(ΔE)の値が8.0以上である。
×(不良):色差(ΔE)の値が8.0未満である。
(ブリード性)
<2.感光性樹脂積層体の製造>で得られた感光性樹脂積層体(30cm×30cm)を、25℃、55%の環境下で7日間保管した後、面上を観察した。以下基準によって評価した。
〇(良好):面上に異常なし。
△(許容):面上の数か所に析出成分あり。
×(不良):面上全面に析出成分あり。
各実施例および比較例について、感光性樹脂組成物の組成と積層体についての評価結果を表1~表2に示す。また、表1~表2中の略語で表した各成分の名称、使用溶剤等を表3~表4に示す。
Figure 2022041890000002
Figure 2022041890000003
Figure 2022041890000004
Figure 2022041890000005
表から明らかなように、(E)成分を含まない比較例1~2では、コントラストが十分ではなかった。また、感光性樹脂組成物層の膜厚が10μmよりも大きい比較例3では最小現像時間、解像度が十分ではなかった。なお、膜厚15μmでは現像時間30秒以上で解像度が良好でなかったため、サイドエッジ量は評価出来なかった。
これに対し、(E)成分を含み、感光性樹脂組成物層の膜厚が10μm以下である実施例では、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性のいずれにおいても十分良好な結果が得られている。
本発明による感光性樹脂積層体を用いることで、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性に優れたものとなり、レジストパターン又は配線パターン形成用の感光性樹脂積層体として広く利用することができる。従って、本発明は、上記のような、最小現像時間、解像度、サイドエッジ(SE)量、コントラストおよびブリード性が特に要求される、タッチセンサーパネルの額縁領域における引き出し配線を形成する場合などに好適に利用することができる。

Claims (21)

  1. 支持体と、
    以下の成分:
    (A)アルカリ可溶性樹脂、
    (B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
    (C)光重合開始剤、
    (D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および
    (E)有機顕色剤、
    を含む感光性樹脂組成物を用いて前記支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、
    前記感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
  2. 支持体と、
    以下の成分:
    (A)アルカリ可溶性樹脂、
    (B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、
    (C)光重合開始剤、
    (D)光波長550~700nmの吸光度が増大する化合物、および
    (E)有機顕色剤、
    を含む感光性樹脂組成物を用いて前記支持体上に形成される感光性樹脂組成物層と、を有し、
    前記支持体上に形成される前記感光性樹脂組成物層の膜厚(μm)と、前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(E)成分含有量(質量%)との積が、0超え5.0以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
  3. 前記(E)成分の0.01mg/mlアセトニトリル溶液の330nm又は405nmでの吸光度が0.1以上1.0未満である、請求項1または2に記載の感光性樹脂積層体。
  4. 前記(E)成分として、非イオン性の有機顕色剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  5. 前記(C)成分として、ロフィン二量体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  6. 前記(D)成分として、トリアリールメタン骨格を有する化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  7. 前記(A)成分の重量平均分子量が5000以上55000未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  8. 前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(A)成分の含有量が、10質量%~90質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  9. 前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(B)成分の含有量が、5質量%~70質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  10. 前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(C)成分の含有量が、0.01質量%~20質量%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  11. 前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(D)成分の含有量が、0.001質量%~3質量%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  12. 前記感光性樹脂組成物の総量に対する前記(E)成分の含有量が、0超え3.5質量%以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  13. 前記(A)成分の総量に対する前記(E)成分の含有量が、0超え2.5質量%以下である、請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  14. 前記(A)成分が芳香族単量体成分を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  15. 前記感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、前記感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、ΔE/Tが3.5以上となるレジストパターンを形成可能である、請求項1~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  16. 前記感光性樹脂組成物層の膜厚が0超え10μm未満である、請求項1~15のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体を基材にラミネートするラミネート工程、
    ラミネートされた前記感光性樹脂積層体に露光する露光工程、及び
    露光された前記感光性樹脂積層体を現像する現像工程
    を含むレジストパターン形成方法であって、
    前記感光性樹脂積層体を用いて作製したレジストパターンの露光前後での色差をΔEとし、前記感光性樹脂組成物層の厚みをT[μm]としたとき、ΔE/Tが3.5以上となる、レジストパターンの形成方法。
  18. 前記露光工程は、支持体を剥離せずに描画パターンの直接描画による露光方法、又はフォトマスクの像を、レンズを通して投影させる露光方法による、請求項17に記載のレジストパターンの形成方法。
  19. 前記露光工程を300~500nmの光源を用いて露光する、請求項17または18に記載のレジストパターン形成方法。
  20. 前記露光工程後、支持体を剥離して、無機アルカリ水溶液により現像する、請求項17~19のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
  21. 前記現像工程後、パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
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