JP2022114676A - 導電性高分子水溶液、及び導電性高分子膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】pH安定性に優れる導電性高分子水溶液、及びそれらから得られる導電性高分子膜を提供する。【解決手段】特定の構造単位を含むポリチオフェン(A)を0.01~10重量%含み、且つイミダゾール化合物(B)を0.001~30重量%含む導電性高分子水溶液を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、保存時のpH安定性を改善した導電性高分子水溶液を開発するためになされたものであり、高い導電性を有する特定の自己ドープ型導電性高分子と特定のイミダゾール化合物を含む新規な導電性組成物の水溶液、及びそれらを乾燥させて得られる導電性高分子膜、並びにその被覆物品に関するものである。
ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等に代表されるπ共役系高分子に、電子受容性化合物をドーパントとしてドープした導電性高分子材料が開発され、例えば、帯電防止剤、コンデンサの固体電解質、導電性塗料、電磁波シールド、エレクトロクロミック素子、電極材料、熱電変換材料、透明導電膜、化学センサ、アクチュエータ等への応用が検討されている。これらの導電性高分子材料の中でも、中でも、化学的安定性の面からポリチオフェン系導電性高分子材料が実用上有用である。
ポリチオフェン系導電性高分子材料としては、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)の水溶液中で、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を重合させることで得られるPEDOT:PSS水分散体溶液(いわゆる外部ドープ型導電性高分子)や、水溶性の付与とドーピング作用を兼ね備えた置換基(スルホ基、スルホネート基等)を直接又はスペーサを介してポリマー主鎖中に有する、いわゆる自己ドープ型導電性高分子があり、例えば、PEDOT-S等が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
導電性高分子の用途としては、特に帯電防止剤や固体電解コンデンサの固体電解質への利用が多く検討されており、導電性高分子による固体電解コンデンサの高容量化、低ESR化等について報告されている。
国際公開第2014/007299号
Journal of American Chemical Society,112,2801-2803(1990) Advanced Materials,Vol.23(38)4403-4408(2011)
従来公知の導電性高分子を含む水溶液については、中性領域でのpH安定性が乏しく、保存安定性に課題があった。
本発明は、自己ドープ型導電性高分子を含む水溶液のpH安定性を改善する組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本願発明で特定される水溶性自己ドープ型導電性ポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)をそれぞれ特定の濃度で含む導電性高分子水溶液が、従来公知の組成物に比べてpH安定性に優れ、且つ良好な導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に存する。
[1]
下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)を含む導電性高分子水溶液であって、前記(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記(B)の含有量が0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液。
Figure 2022114676000001
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
[2]
前記のイミダゾール化合物(B)が、下記一般式(6)で表されるイミダゾール化合物(B)であることを特徴とする上記[1]に記載の導電性高分子水溶液。
Figure 2022114676000002
[一般式(6)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、又は水素原子を表す。R~Rは、各々独立して、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、アセトキシ基、又は水素原子を表す。]
[3]
前記のイミダゾール化合物(B)が、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、又は1,2-ジメチルイミダゾールであることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の導電性高分子水溶液。
[4]
pHが2~8であることを特徴とする上記[1]乃至上記[3]のいずれかに記載の導電性高分子水溶液。
[5]
下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)を含む膜。
Figure 2022114676000003
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
本発明によれば、保存時のpH安定性に優れる導電性高分子水溶液を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性高分子水溶液は、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)を含む導電性高分子水溶液であって、前記の(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記の(B)の含有量が0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液に係る。
Figure 2022114676000004
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
上記一般式(1)及び(2)中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又はフッ素原子を表す。
前記の炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、又はシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記のRについては、成膜性の点で、水素原子、メチル基、エチル基、又はフッ素原子であることが好ましく、水素原子、又はメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1)及び(2)中、mは、1~10の整数を表し、成膜性の点で、1~6の整数であることが好ましく、1~4の整数であることがより好ましく、2又は3であることがより好ましい。
上記一般式(1)及び(2)中、nは、0又は1であるが、成膜性の点で、1であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される構造単位は、上記一般式(1)で表される構造単位のドーピング状態を表す。
ドーピングにより絶縁体-金属転移を引き起こすドーパントは、アクセプタとドナーに分けられる。前者は、ドーピングにより導電性ポリマーの高分子鎖の近くに入り主鎖の共役系からπ電子を奪う。結果として、主鎖上に正電荷(正孔、ホール)が注入されるため、p型ドーパントとも呼ばれる。また、後者は、逆に主鎖の共役系に電子を与えることになり、この電子が主鎖の共役系を動くことになるため、n型ドーパントとも呼ばれる。
本発明におけるドーパントは、ポリマー分子内に共有結合で結びついたスルホ基又はスルホナート基であり、p型ドーパントである。このように外部からドーパントを添加することなく導電性を発現するポリマーは自己ドープ型高分子と呼ばれている。
前記のポリチオフェン(A)は、市販品を用いることもできるし、公知情報に基づいて合成したものを用いることもできる。当該合成方法としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーを、水又はアルコール溶媒中、酸化剤の存在下に重合させ、次いで必要に応じて酸処理する方法を挙げることができる。
Figure 2022114676000005
[上記一般式(3)中、R、m、nは、上記一般式(1)及び(2)のR、m、nと同じ定義である。Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。]
上記一般式(3)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。
前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、又はセシウムイオンを例示することができる。
前記の有機アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アンモニウムイオンを例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ノルマル-プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ノルマルブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N,N,N-トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、2,3-ジヒドロキシプロピルアンモニウム、N-メチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、1,4-ブタンジアンモニウム、トリイソブチルアンモニウム、トリイソペンチルアンモニウム、トリイソオクチルアンモニウム、ピリジニウムイオン、ピコリニウムイオン、又はルチジニウムイオンを挙げることができる。
前記の4級アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムイオン、テトラノルマルブチルアンモニウムイオン、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムイオン等が挙げられる。
一般式(3)で表されるチオフェンモノマーの重合後に得られるポリマー(Mが水素イオンでないもの)については、酸処理することでMを水素イオンへ変換することができる。前記の重合方法や、Mを水素イオンへ変換する方法については、特に限定するものではない場、公知文献に記載の方法を任意に選択して行うことができる。前記の水素イオンへの変換によって、上記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)を製造することができる。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーとしては、特に限定するものではないが、具体的には、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-エチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ヘキシル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソプロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸アンモニウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸カリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸ナトリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸リチウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸カリウム、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸ナトリウム、又は8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸カリウム等が例示される。
本発明において前記のポリチオフェン(A)の導電率は、特に限定するものではないが、フィルム状態での導電率(電気伝導度)として、10S/cm以上であることが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液において、前述した一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)の濃度については、0.01~10重量%であることを特徴とする。なお、導電性に優れる点で、本発明の導電性高分子水溶液中のポリチオフェン(A)の濃度は、0.05~8重量%であることが好ましく、0.1~7重量%であることがより好ましく、0.1~5重量%であることがより好ましく、0.1~3重量%であることがより好ましく0.1~2重量%であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液におけるイミダゾール化合物(B)は、イミダゾール骨格を有していれば特に限定するものではなく、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(6)
Figure 2022114676000006
[一般式(6)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、又は水素原子を表す。R~Rは、各々独立して、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、アセトキシ基、又は水素原子を表す。]
で表されるイミダゾール化合物(B)を例示することができる。
前記の炭素数1~6のアルキル基については、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、又はシクロヘキシル基等が挙げられる。
なお、前記のイミダゾール化合物(B)については、導電性高分子水溶液のpH安定性に優れる点で、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、イミダゾール-4-カルボキシアルデヒド、イミダゾール-4-カルボニトリル、イミダゾール-4-カルボン酸、又は2-メルカプトイミダゾールであることが好ましく、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、又は1,2-ジメチルイミダゾールであることがより好ましい。
なお、上記したイミダゾール化合物(B)のうち、水に溶解しにくいイミダゾール化合物(B)に関しては、酸性化合物と塩であるイミダゾール化合物(B)塩を用いることによって本願発明の導電性高分子水溶液を製造することができる。当該イミダゾール化合物(B)塩を用いた場合、本願発明の導電性高分子水溶液に含まれるイミダゾール化合物の含有量については、前記の酸性化合物を含まない量として規定される。
本発明の導電性高分子水溶液は、イミダゾール化合物(B)を0.001~30重量%含むものであるが、導電性高分子水溶液のpH安定性に優れる点で、好ましくは0.01~20重量%であり、より好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.1~5重量%であり、より好ましくは0.1~3重量%であり、より好ましくは0.1~1重量%である。
なお、本発明の導電性高分子水溶液については、そのpH安定性に優れる点で、前記のイミダゾール化合物(B)の含有量が、前記のポリチオフェン(A)の含有量 100重量部に対して、10重量部~300重量部であることが好ましく、25重量部~200重量部であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、前記の(A)、及び(B)を含有することを特徴とするが、これらに加えて、さらに、別の化合物を含んでいてもよい。当該別の化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(C)、アルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(D)、及び/又はポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(E)等を挙げることができる。
本願発明の導電性高分子水溶液が、前記の非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(C)を含む場合、その含有量は、0.001~10重量%であることが好ましく、0.1~5重量%であることがより好ましい。
前記の非イオン界面活性剤としては特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アセチレングリコール型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、高分子型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
前記のポリエチレングリコール型界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、又はポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記のアセチレングリコール型界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、サーフィノール(登録商標、エアプロダクツ社製)、又はオルフィン(登録商標、日信化学工業社製)等が挙げられる。
前記の多価アルコール型界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、高アルコールのアルキルエーテル、又はアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記の高分子型非イオン界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンの共重合体等が挙げられる。本発明に使用されるポリビニルピロリドンの平均分子量は1千~200万であり、好ましくは1万~150万である。ポリビニルピロリドンの共重合体としては、特に限定するものではないが、親水性部と疎水性部をポリマー鎖中に併せ持つものが好ましく、例えば、ポリビニルピロリドンをポリビニルアルコールにグラフトしたコポリマーや、[ビニルピロリドン-酢酸ビニル]ブロック共重合体、[ビニルピロリドン-メチルメタクリレート]共重合体、[ビニルピロリドン-ノルマルブチルメタクリレート]共重合体、又は[ビニルピロリドン-アクリルアミド]共重合体などが例示できる。
前記の両性界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ベタイン型両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
前記のベタイン型両性界面活性剤としては特に限定するものではないが、例えば、アルキルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、又はラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
前記のフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、又はパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、又はシリコーン変性アクリル化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤はレベリング剤として塗膜の平坦性を改善するのに有効である。
本発明において、界面活性剤(C)は、水への溶解度が0.01重量%以上であることが好ましく、且つHLBが7~20の範囲である界面活性剤であることが好ましい。
また、グリフィン法HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は界面活性剤の親水性を表す数値である。値が大きいほど親水性が大きいことを示し、次式で表される。
非イオン界面活性剤のグリフィン法HLB=(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)×100/5=(親水基重量)/(疎水基重量+親水基重量)×100/5=(親水基の重量%)/5
なお、本発明において、界面活性剤(C)としてより好ましくは、アセチレングリコール型界面活性剤、又は高分子型界面活性剤である。
界面活性剤(C)の導電性高分子水溶液への添加方法は、固体で添加しても良く、あらかじめ水溶液として調整したものを添加しても良い。その際、導電性高分子水溶液に単独で添加してもよいし、2種以上を混合して添加してもよい。
本発明の導電性高分子水溶液が界面活性剤(C)を含む場合、当該導電性高分子水溶液は、ポリチオフェン(A)を0.1~10重量%、イミダゾール化合物(B)を0.001~30重量%、(C)を0.001~30重量%、界面活性剤(C)0.001~10重量%含むことが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、上記の通り、アルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(D)を含んでいてもよい。
前記のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、1価のアルコール、2価のアルコール、3価のアルコール、及び糖アルコールからなる群より選択される少なくとも一種のアルコールが挙げられる。
前記の1価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)等が挙げられるが、操作性の点から、エタノール、ブチルセロソルブ、又はヘキシルセロソルブが好ましい。前記の2価アルコールとしては、特に限定するものではないが、入手の観点から、エチレングリコールが好ましい。前記の3価アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールが好ましい。糖アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、エリトリトール、ソルビトール、又はアラビトール等が好ましい。より好ましくはソルビトールである。
また、前記の水溶性樹脂としては、界面活性作用が実質的に無いものが好ましく。特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン(界面活性作用が無いものに限る)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)、水溶性ポリエステル、又は水溶性ポリウレタン等が好ましい。なおこれらの水溶性樹脂については、金属量低減の観点から、顆粒状、膜状の陽イオン交換樹脂、ゼータ電位を利用した金属除去フィルター処理を行ったものを用いることが好ましい。
前記の水溶性樹脂の分子量は、水溶性が良好であれば特に制限されないが、好ましくはMw=1千~200万、より好ましくは1万~150万、更に好ましくはMw=1千~25万、更に好ましくは1千~10万の範囲である。
本発明の導電性高分子水溶液が水溶性化合物(D)を含む場合、0.001~30重量%含むことが好ましく、0.01~25重量%含むことが好ましい。
本願発明の導電性高分子水溶液については、上記の通り、成膜性に優れる点で、更に、ポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(E)を含有していてもよい。前記のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(E)としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属化合物、アンモニア、有機アミン化合物(ただし、上記のイミダゾール化合物(B)を除く)、第4級アンモニウム塩を挙げることができ、これらの化合物は、それぞれ、前記のポリチオフェン(A)のスルホン酸基と作用して、ポリチオフェン(A)のアルカリ金属イオン塩、アンモニウムイオン塩、有機アンモニウムイオン塩、及び第4級アンモニウムイオン塩を形成しうる。
前記のアルカリ金属化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属塩化合物(例えば、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム等)、又はアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等)を挙げることができる。
前記のアルカリ金属化合物を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、前記のリチオフェン(A)のアルカリ金属イオン塩を調製することができる。前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、又はセシウムイオンを例示することができる。
前記の有機アミン化合物(ただし、上記のイミダゾール化合物(B)を除く)としては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アミン化合物を例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ノルマル-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、ヘキシルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジアミン、トリイソブチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリイソオクチルアミン、ピリジン、ピコリン、又はルチジン等を例示することができる。
前記の有機アミン化合物(ただし、上記のイミダゾール化合物(B)を除く)を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、当該有機アミン化合物は、前記のポリチオフェン(A)と作用し、有機アンモニウムイオンとなり、ポリチオフェン(A)の有機アンモニウムイオン塩が調製される。前記の有機アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アンモニウムイオンを例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ノルマル-プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ノルマルブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N,N,N-トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、2,3-ジヒドロキシプロピルアンモニウム、N-メチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、1,4-ブタンジアンモニウム、トリイソブチルアンモニウム、トリイソペンチルアンモニウム、トリイソオクチルアンモニウム、ピリジニウムイオン、ピコリニウムイオン、又はルチジニウムイオンを挙げることができる。
前記の4級アンモニウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラノルマルプロピルアンモニウムクロリド、テトラノルマルブチルアンモニウムクロリド、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記の4級アンモニウム化合物を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、当該4級アンモニウム化合物は、前記のポリチオフェン(A)と作用し、4級アンモニウムイオンとなり、ポリチオフェン(A)の4級アンモニウムイオン塩が調製される。当該4級アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムイオン、テトラノルマルブチルアンモニウムイオン、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムイオン等が挙げられる。
本発明の導電性高分子水溶液が前記の化合物(E)を含有する場合、当該化合物(E)の含有量については、0.001~20重量%であることが好ましく、成膜性に優れる点で、0.01~15重量%であることが好ましく、0.1~10重量%であることがより好ましい。
本願発明の導電性高分子水溶液が、前記の化合物(E)を含む場合、前記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)については、その一部又は全部が前記の化合物(E)の一部又は全部と相互作用して、下記の一般式(1’)で表される構造単位及び一般式(2’)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)を形成することとなる。すなわち、前記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)と前記の化合物(E)の混合物と、一般式(1’)で表される構造単位及び一般式(2’)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)は同じものを表す。
Figure 2022114676000007
[上記一般式(1’)及び一般式(2’)中、R、m、及びnの定義及び好ましい範囲は、上記一般式(1)及び一般式(2)において示したR、m、及びnの定義及び好ましい範囲と同義である。Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。]
上記のMにおける、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、及び第4級アンモニウムイオンについては、上記の通りである。
本発明の導電性高分子水溶液を調製する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも前記のポリチオフェン(A)の水溶液又は固体と、前記のイミダゾール化合物(B)と、と必要に応じて追加の水を任意の順番、且つ任意の方法で混合する方法を挙げることができる。
この時、前記の非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(C)、前記のアルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(D)、及び前記のポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(E)を、各々独立して、任意の量を、任意の順番、且つ任意の方法で、前記の本発明の導電性高分子水溶液に混合することができる。
ここで、混合する際の温度は、特に限定するものではないが、例えば、室温~加温下で行うことができる。好ましくは0℃以上100℃以下が好ましい。
混合する際の雰囲気は、特に限定するものではないが、大気中でも、不活性ガス中でもよい。
本発明の導電性高分子水溶液のpHは10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。さらに、本発明の導電性高分子水溶液のpHは、1.5以上9.5以下の範囲が好ましく、2以上8以下の範囲内がより好ましい。ここで、pHを調整する手順としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリチオフェン(A)を含む水溶液に、イミダゾール化合物(B)を添加する方法を挙げることができる。イミダゾール化合物(B)を添加する際には、イミダゾール化合物(B)はニートでも水溶液でもよい。また、さらに、上記のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(E)を添加することによっても当該pHを調整することができ、これらに限定されることなく、目的に応じて最適な方法によってpHを調整することができる。
本発明の導電性高分子水溶液を混合する際には、スターラーチップ、攪拌羽根等による一般的な混合溶解操作に加えて、超音波照射、ホモジナイズ処理(例えば、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の使用)を行ってもよい。ホモジナイズ処理する場合には、ポリマーの熱劣化を防ぐため、冷温しながら行うことが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液の濃度調整は、配合比で調整しても良いし、配合後に濃縮により調整しても良い。濃縮の方法は、減圧下に溶媒を留去する方法であっても、限外ろ過膜を利用する方法であっても良い。
本発明の導電性高分子水溶液の中のポリチオフェン(A)の濃度は0.001重量%以上であれば特に限定するものではないが、好ましくは0.01重量%~10重量%の範囲である。なお、本願発明のポリチオフェン(A)及びイミダゾール化合物(B)とを含む導電性高分子水溶液については、支持体上に塗布された後、乾燥・脱水することによって、導電性高分子膜を製造することができる。
本発明の導電性高分子水溶液中の固形分の粒径は、特に限定するものではないが、小さいほど水溶性が良好であり、導電性や成膜時の均一な膜形成の観点からも望ましい。例えば、室温又は加温下で調製した導電性高分子水溶液の固形分濃度が10重量%以下の場合、固形分の粒子径(D50)が0.02μm以下であれば、水溶性がより良好となる。
本発明の導電性高分子水溶液の粘度(20℃)は、製造及び使用時に大変重要な因子となる。製造・使用時における高粘度の影響として、撹拌や移液時のロス、長時間化が挙げられる。250mPa・s以下であれば特に限定されないが、好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以下である。
本発明の導電性高分子水溶液から導電性高分子膜を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の導電性高分子水溶液を、支持体に塗布し乾燥する方法を挙げることができる。当該方法を行うことによって、支持体上に導電性高分子膜が簡便に得られる(以下、その支持体と導電性高分子膜を合わせて「被覆物品」と称する)。
支持体としては、本発明の導電性高分子水溶液が塗布可能なものであれば特に限定するものではないが、例えば、高分子基材又は無機基材が挙げられる。前記の高分子基材としては、例えば、熱可塑性樹脂、不織布、紙、レジスト膜基板等が挙げられる。前記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、又はポリカーボネート等が挙げられる。前記の不織布としては、例えば、天然繊維、合成繊維、又はガラス繊維製のいずれでもよい。前記の紙としては一般的なセルロースを主成分とするものでよい。前記の無機基材としては、ガラス、セラミックス、酸化アルミニウム、又は酸化タンタル等が挙げられる。
導電性高分子水溶液の塗布方法としては、例えば、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ディスペンサ法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、又はインクジェット法等が挙げられる。好ましくはスピンコート法である。
塗膜の乾燥温度は、均一な導電性高分子膜が得られる温度及び基材の耐熱温度以下であれば特に限定するものではないが、室温~300℃の範囲であり、好ましくは室温~250℃の範囲であり、さらに好ましくは室温~200℃の範囲である。
乾燥雰囲気は大気中、不活性ガス中、真空中、又は減圧下のいずれであってもよい。高分子膜の劣化抑制の観点からは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中が好ましい。
得られる導電性高分子膜の膜厚としては特に限定するものではないが、10-3~10μmの範囲が好ましい。より好ましくは10-3~10-1μmである。
本発明の被覆物品は、例えば、帯電防止フィルム、又は固体若しくはハイブリッド型電解コンデンサ用の固体電解質として使用される。
以下に本発明に関する実施例を示す。
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
[GC測定]
装置:Shimadzu製、GC-2014。
[NMR測定]
装置:VARIAN製、Gemini-200。
[表面抵抗率測定]
装置:三菱化学社製ロレスタGP MCP-T600。
[膜厚測定]
装置:BRUKER社製 DEKTAK XT。
[粘度測定]
コンプリート型粘度計/BROOKFIELD VISCOMETER DV-1 Prime。
[導電率]
導電率[S/cm]=10/(表面抵抗率[Ω/□]×膜厚[μm])。
[粒径測定]
装置:日機装社製、Microtrac Nanotrac UPA-UT151。
[自己ドープ型導電性高分子(A)の導電率測定]
自己ドープ型導電性ポリマーを含む水溶液0.5mLを25mm角の無アルカリガラス板に塗布し、室温で一晩乾燥した後、ホットプレート上で120℃にて20分、さらに160℃にて10分加熱して導電性高分子膜を得た。膜厚及び表面抵抗値から導電率を算出した。
[導電性高分子膜の導電率測定]
本発明の導電性高分子水溶液0.5mLを25mm角の無アルカリガラス板に塗布し、室温で一晩乾燥した後、ホットプレート上で150℃にて30分、さらに200℃にて30分加熱して導電性高分子膜を得た。膜厚及び表面抵抗値から導電率を算出した。
[保存安定性評価]
本発明の導電性高分子水溶液を25℃で7日間開封暴露し、調整直後からのpHの変化を調査した。初期pHから±1の変化に留まったものを良好とし、それ以上変化するものは不良とした。
合成例1.
公知文献(特開2019-196443)の合成例1及び合成例2に準拠して、ポリ(3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸[下記式(4)で表される構造単位、及び式(5)で表される構造単位を含む重合物](以下、「PEDOT-MPS」という)の水溶液(導電性高分子水溶液)を作製した。当該水溶液に含まれるポリマー量は0.74重量%であった。又、鉄イオン、及びナトリウムイオンを、各々44ppm、及び12ppm(対ポリマー)含有していた。本ポリマーの導電率は、導電率342S/cmであった。
Figure 2022114676000008
実施例1.
合成例1に準拠した方法で得られたポリチオフェン(A)を2.0重量%含む導電性高分子水溶液 300.05gに、N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液を4.12g、及び水溶性化合物(D)としてエタノールを30.01g、エチレングリコールを6.15g、水を14.53g加えてよく攪拌混合し、pH7.0の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。本発明の水溶液は、pH変動が小さく安定であることがわかった。
実施例2.
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液の添加量を4.12gから3.15gに変更し、水の添加量を14.53gから15.50gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pHを6.5の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
実施例3.
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液の添加量を4.12gから1.01gに変更し、水の添加量を14.53gから17.64gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pHを2.6の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
実施例4
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液 4.12gをイミダゾール[TCI社製]の50%水溶液 4.12gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pH=7.0の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
実施例5
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液 4.12gを1,2-ジメチルイミダゾール[TCI社製]の50%水溶液 4.12gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pH=7.0の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
比較例1.
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液 4.12gをジエチルアミン[TCI社製]の50%水溶液 2.65gに変更し、水の添加量を14.53gから16.0gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pH=6.9の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
比較例2.
N-メチルイミダゾール(B)[TCI社製]の50%水溶液 4.12gを28%アンモニア水(キシダ化学製) 2.95gに変更し、水の添加量を14.53gから16.3gに変更した以外は実施例1と同様に調整し、pH=7.0の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液のpH安定性試験の結果を表1に示す。
Figure 2022114676000009
本結果から、イミダゾール化合物でpH調整した導電性高分子水溶液は、優れたpH安定性を示した。
本発明の導電性高分子水溶液を用いて作製された導電性高分子膜は、従来公知の導電性高分子水溶液を用いたものに比べて、保管時のpH変動に伴う品質の変化が少なく、安定した導電性を維持することができるという予期せぬ格別な効果を示す。
本願発明の導電性高分子水溶液から形成される導電性高分子膜並びに被覆物品は、高い導電性を有しているため、帯電防止フィルム、及び固体電解コンデンサの固体電解質としての使用が期待できる。
表1に記載の本発明の導電性高分子水溶液は、前述の通り、室温下大気開封暴露条件においてもpH変動が小さく安定性に優れることから、例えば、コンデンサの陰極材料を形成するためにコンデンサ素子をディップコーティングする際や、導電性フィルムを作製するためのバーコーティング時のように、大気中に暴露される条件においてもpH変化がなく、品質の安定化に寄与する。また得られた導電性高分子膜は高い導電性を維持することができる点で予期せぬ効果を示すものである。
本発明の導電性高分子水溶液は、保存時のpH安定性に優れる導電性高分子組成物であり、良好な導電性高分子膜を形成することから、導電性コーティング剤(帯電防止剤)、固体またはハイブリッド型電解コンデンサの固体電解質(陰極材料)に使用できる。またこの導電性高分子膜で被覆された高分子基材からなる被覆物品は、帯電防止フィルム、巻回型アルミ電解コンデンサ用のセパレータへの利用が可能である。その他、エレクトロクロミック素子、透明電極、透明導電膜、熱電変換材料、化学センサ、アクチュエータ、電磁波シールド材、有機ELや太陽電池用途で用いられる正孔輸送材料への応用も期待できる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)を含む導電性高分子水溶液であって、前記(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記(B)の含有量が0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液。
    Figure 2022114676000010
    [一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
  2. 前記のイミダゾール化合物(B)が、下記一般式(6)で表されるイミダゾール化合物(B)であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子水溶液。
    Figure 2022114676000011
    [一般式(6)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、又は水素原子を表す。R~Rは、各々独立して、炭素数1~6のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基(該基については、フェニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、又はアセトキシ基を有していてもよい)、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ホルミル基、アシル基、アセトキシ基、又は水素原子を表す。]
  3. 前記のイミダゾール化合物(B)が、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、又は1,2-ジメチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性高分子水溶液。
  4. pHが2~8であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性高分子水溶液。
  5. 下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とイミダゾール化合物(B)を含む膜。
    Figure 2022114676000012
    [一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
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