JP2022114670A - 導電性高分子水溶液、及び導電性高分子膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性、耐熱性に優れる導電性高分子水溶液、及びその水溶液から得られる導電性高分子膜を提供する。【解決手段】特定の構造単位を含むポリチオフェン(A)を0.01~10重量%含み、且つポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を、各々独立して、0.001~30重量%含む導電性高分子水溶液を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、耐水性と耐熱性を両立した導電性高分子を提供することができる導電性高分子水溶液を開発するためになされたものであり、高い導電性を有する特定の自己ドープ型導電性高分子とポリスチレンスルホン酸化合物とシラン化合物を含む導電性高分子水溶液、及びそれらを乾燥させて得られる導電性高分子膜、並びにその被覆物品に関するものである。
ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等に代表されるπ共役系高分子に、電子受容性化合物をドーパントとしてドープした導電性高分子材料が開発され、例えば、帯電防止剤、コンデンサの固体電解質、導電性塗料、電磁波シールド、エレクトロクロミック素子、電極材料、熱電変換材料、透明導電膜、化学センサ、アクチュエータ等への応用が検討されている。これらの導電性高分子材料の中でも、中でも、化学的安定性の面からポリチオフェン系導電性高分子材料が実用上有用である。
ポリチオフェン系導電性高分子材料としては、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)の水溶液中で、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を重合させることで得られるPEDOT:PSS水分散体溶液(いわゆる外部ドープ型導電性高分子)や、水溶性の付与とドーピング作用を兼ね備えた置換基(スルホ基、スルホネート基等)を直接又はスペーサを介してポリマー主鎖中に有する、いわゆる自己ドープ型導電性高分子があり、例えば、PEDOT-S等が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
導電性高分子の用途としては、特に帯電防止剤や固体電解コンデンサの固体電解質への利用が多く検討されており、導電性高分子による固体電解コンデンサの高容量化、低ESR化等について報告されている。
国際公開第2014/007299号
Journal of American Chemical Society,112,2801-2803(1990) Advanced Materials,Vol.23(38)4403-4408(2011)
本発明は、自己ドープ型導電性高分子を含む導電膜の耐水性と耐熱性を改善する導電性高分子水溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本願発明で特定される水溶性自己ドープ型導電性ポリチオフェン(A)と水溶性ポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)をそれぞれ特定の濃度で含む導電性高分子水溶液が、従来公知の組成物に比べて耐水性と耐熱性に優れる導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に存する。
[1]
下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む導電性高分子水溶液であって、前記の(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記の(B)及び前記の(C)の含有量が、各々独立して、0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液。
Figure 2022114670000001
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
[2]
前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)が、平均分子量1,000~1,000,000のポリスチレンスルホン酸化合物(B)であることを特徴とする上記[1]に記載の導電性高分子水溶液。
[3]
前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)が、置換基を有していてもよいポリスチレンスルホン酸、その金属塩、若しくはそのアミン塩、又は置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸モノマーとその他の異種モノマーとの共重合体、その金属塩、若しくはそのアミン塩であることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の導電性高分子水溶液。
[4]
前記のシラン化合物(C)が、エポキシ基、及びアミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする上記[1]に記載の導電性高分子水溶液。
[5]
上記[1]乃至上記[4]のいずれかに記載の導電性高分子水溶液を支持体上に塗布し、次いで乾燥させることを特徴とする膜の製造方法。
[6]
下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む膜。
Figure 2022114670000002
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
本発明によれば、耐水性、及び耐熱性に優れる導電性高分子膜を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性高分子水溶液は、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む導電性高分子水溶液であって、前記の(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記の(B)及び前記の(C)の含有量が、各々独立して、0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液に係る。
Figure 2022114670000003
[一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
上記一般式(1)及び(2)中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又はフッ素原子を表す。
前記の炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記のRについては、成膜性の点で、水素原子、メチル基、エチル基、又はフッ素原子であることが好ましく、水素原子、又はメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1)及び(2)中、mは、1~10の整数を表し、成膜性の点で、1~6の整数であることが好ましく、1~4の整数であることがより好ましく、2又は3であることがより好ましい。
上記一般式(1)及び(2)中、nは、0又は1であるが、成膜性の点で、1であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される構造単位は、上記一般式(1)で表される構造単位のドーピング状態を表す。
ドーピングにより絶縁体-金属転移を引き起こすドーパントは、アクセプタとドナーに分けられる。前者は、ドーピングにより導電性ポリマーの高分子鎖の近くに入り主鎖の共役系からπ電子を奪う。結果として、主鎖上に正電荷(正孔、ホール)が注入されるため、p型ドーパントとも呼ばれる。また、後者は、逆に主鎖の共役系に電子を与えることになり、この電子が主鎖の共役系を動くことになるため、n型ドーパントとも呼ばれる。
本発明におけるドーパントは、ポリマー分子内に共有結合で結びついたスルホ基又はスルホナート基であり、p型ドーパントである。このように外部からドーパントを添加することなく導電性を発現するポリマーは自己ドープ型高分子と呼ばれている。
前記のポリチオフェン(A)は、市販品を用いることもできるし、公知情報に基づいて合成したものを用いることもできる。当該合成方法としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーを、水又はアルコール溶媒中、酸化剤の存在下に重合させ、次いで必要に応じて酸処理する方法を挙げることができる。
Figure 2022114670000004
[上記一般式(3)中、R、m、nは、上記一般式(1)及び(2)のR、m、nと同じ定義である。Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。]
上記一般式(3)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。
前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、又はセシウムイオンを例示することができる。
前記の有機アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アンモニウムイオンを例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ノルマル-プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ノルマルブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N,N,N-トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、2,3-ジヒドロキシプロピルアンモニウム、N-メチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、1,4-ブタンジアンモニウム、トリイソブチルアンモニウム、トリイソペンチルアンモニウム、トリイソオクチルアンモニウム、ピリジニウムイオン、ピコリニウムイオン、又はルチジニウムイオンを挙げることができる。
前記の4級アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムイオン、テトラノルマルブチルアンモニウムイオン、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムイオン等が挙げられる。
一般式(3)で表されるチオフェンモノマーの重合後に得られるポリマー(Mが水素イオンでないもの)については、酸処理することでMを水素イオンへ変換することができる。前記の重合方法や、Mを水素イオンへ変換する方法については、特に限定するものではない場、公知文献に記載の方法を任意に選択して行うことができる。前記の水素イオンへの変換によって、上記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)を製造することができる。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーとしては、特に限定するものではないが、具体的には、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-エチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ヘキシル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソプロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸アンモニウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸カリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸ナトリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸リチウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸カリウム、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸ナトリウム、又は8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸カリウム等が例示される。
本発明において前記のポリチオフェン(A)の導電率は、特に限定するものではないが、フィルム状態での導電率(電気伝導度)として、10S/cm以上であることが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液において、前述した一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)の濃度については、0.01~10重量%であることを特徴とする。なお、導電性に優れる点で、本発明の導電性高分子水溶液中のポリチオフェン(A)の濃度は、0.05重量%以上であることが好ましく、操作性に優れる点で8.0重量%以下であることが好ましい。すなわち、0.05~8重量%であることが好ましく、0.1~7重量%であることがより好ましく、0.1~5重量%であることがより好ましく、0.1~3重量%であることがより好ましく0.1~2重量%であることがより好ましい。
なお、本発明におけるポリチオフェン(A)については、公知情報に基づいて合成したものを用いることができる。
本発明におけるポリスチレンスルホン酸化合物(B)は、置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸をモノマーとしたホモポリマー(単一重合物)であってもよいし、コポリマー(共重合物)であってもよく、酸型化合物であってもよいし、塩化合物であってもよい。なお、コポリマーにおける異種モノマーの数、種類に特に制限は無く、酸残基及び塩残基の比率についても特に制限はない。
本発明におけるポリスチレンスルホン酸化合物(B)は、市販品でも一般公知の方法で製造されたものであってもよい。
本発明に用いられるポリスチレンスルホン酸化合物(B)としては、特に限定されない
が、平均分子量が1,000~1,000,000の範囲に入るものが好ましく、より好ましくは平均分子量が10,000~800,000の範囲に入るものである。
本発明に用いられるポリスチレンスルホン酸化合物(B)の種類としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有していてもよいポリスチレンスルホン酸、その金属塩、若しくはそのアミン塩、又は置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸モノマーとその他の異種モノマーとの共重合体、その金属塩、若しくはそのアミン塩を例示することができる。
前記の置換基を有していてもよいポリスチレンスルホン酸としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリスチレンスルホン酸又は置換基を有するポリスチレンスルホン酸を挙げることができる。また、前記の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)アミノ基、又はカルボキシ基等を挙げることができる。
前記の置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、スチレンスルホン酸又は置換基を有するスチレンスルホン酸を挙げることができる。また、前記の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)アミノ基、又はカルボキシ基等を挙げることができる。
前記のその他の異種モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有していてもよいスチレン(例えば、スチレン、p-フロロスチレン、p-メトキシスチレン、p-ブトキシスチレン、又はp-ビニル安息香酸等)、置換基を有していてもよいアクリル酸(例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、又はアクリル酸ジメチルアミノエチル等)、置換基を有していてもよいメタクリル酸(例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、又はメタクリル酸ジメチルアミノエチル等)、αβ不飽和カルボン酸化合物(例えば、無水マレイン酸、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等)、又はN-ビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、p-ブトキシスチレン、又はメタクリル酸メチルが好ましいものとして挙げられる。
すなわち、ポリスチレンスルホン酸化合物(B)における前記の置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸モノマーとその他の異種モノマーとの共重合体としては、特に限定するものではないが、例えば、スチレンスルホン酸/スチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-フロロスチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-メトキシスチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-ブトキシスチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-ビニル安息香酸共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸メチル共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸エチル共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体、スチレンスルホン酸/アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸メチル共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸エチル共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸2-エチルヘキシル共重合体、スチレンスルホン酸/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレンスルホン酸/無水マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸/N-フェニルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-メチルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-エチルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-ブチルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-ベンジルマレイミド共重合体、スチレンスルホン酸/N-ビニルピロリドン共重合体、又はスチレンスルホン酸/スチレン/メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられ、これらのうち、スチレンスルホン酸/スチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-ブトキシスチレン共重合体、又はスチレンスルホン酸/メタクリル酸メチル共重合体が好ましいものとして挙げられる。なお、当該共重合物については、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよいし、交互重合体であってもよい。
本発明のポリスチレンスルホン酸化合物(B)については、成膜性に優れる点で、ポリスチレンスルホン酸、その金属塩、若しくはそのアミン塩、又はスチレンスルホン酸/スチレン共重合体、スチレンスルホン酸/p-ブトキシスチレン共重合体、及びスチレンスルホン酸/メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選ばれるスチレンスルホン酸共重合体、その金属塩、若しくはそのアミン塩を含むものであることが好ましい。
前記の金属塩としては、特に限定するものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられる。また、前記のアミン塩におけるアミンについては、特に限定するものではないが、後述するアミン化合物の共役酸におけるアミン化合物と同じものを例示することができ、好ましいものについても同様である。
本発明の導電性高分子水溶液は、ポリスチレンスルホン酸化合物(B)を0.001~30重量%含むものであるが、膜の密着性に優れる点で、好ましくは0.01~20重量%であり、より好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.1~5重量%であり、より好ましくは0.1~3重量%であり、より好ましくは0.1~1重量%である。
なお、本発明の導電性高分子水溶液については、そのpH安定性に優れる点で、前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)の含有量が、前記のポリチオフェン(A)の含有量 100重量部に対して、10重量部~300重量部であることが好ましく、25重量部~200重量部であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、さらに、シラン化合物(C)を0.001~30重量%含むことを特徴とする。
前記のシラン化合物(C)としては特に限定するものではないが、例えば、クロロシリル基、アシルシリル基、アルコキシシリル基等を有するシラン化合物(これらの化合物は、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい)が挙げられる。取扱い性がよいという点でアルコキシシリル基を有するシラン化合物(これらの化合物は、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい)が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基を有するシラン化合物(これらの化合物は、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい)が特に好ましい。
前記のシラン化合物(C)の具体的としては、特に限定するものではないが、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、パラ-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)トリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で使用しても、2種以上を混合してよい。
なお、前記のシラン化合物(C)については、成膜性に優れる点で、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するアルコキシシラン化合物であることが好ましく、エポキシ基、及びアミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するアルコキシシラン化合物であることがより好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は3-アミノプロピルトリメトキシシランであることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、シラン化合物(C)を0.001~30重量%含むものであるが、膜の密着性に優れる点で、好ましくは0.01~20重量%であり、より好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.1~5重量%であり、より好ましくは0.1~3重量%であり、より好ましくは0.1~1重量%である。
なお、本発明の導電性高分子水溶液については、そのpH安定性に優れる点で、前記のシラン化合物(C)の含有量が、前記のポリチオフェン(A)の含有量 100重量部に対して、10重量部~300重量部であることが好ましく、25重量部~200重量部であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、前記の(A)、(B)、及び(C)を含有することを特徴とするが、これらに加えて、さらに、別の化合物を含んでいてもよい。当該別の化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(D)、アルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(E)、及び/又はポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(F)等を挙げることができる。
前記の非イオン界面活性剤としては特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アセチレングリコール型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、高分子型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
前記のポリエチレングリコール型界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、又はポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記のアセチレングリコール型界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、サーフィノール(登録商標、エアプロダクツ社製)、又はオルフィン(登録商標、日信化学工業社製)等が挙げられる。
前記の多価アルコール型界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、高アルコールのアルキルエーテル、又はアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記の高分子型非イオン界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンの共重合体等が挙げられる。本発明に使用されるポリビニルピロリドンの平均分子量は1千~200万であり、好ましくは1万~150万である。ポリビニルピロリドンの共重合体としては、特に限定するものではないが、親水性部と疎水性部をポリマー鎖中に併せ持つものが好ましく、例えば、ポリビニルピロリドンをポリビニルアルコールにグラフトしたコポリマーや、[ビニルピロリドン-酢酸ビニル]ブロック共重合体、[ビニルピロリドン-メチルメタクリレート]共重合体、[ビニルピロリドン-ノルマルブチルメタクリレート]共重合体、又は[ビニルピロリドン-アクリルアミド]共重合体などが例示できる。
前記の両性界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ベタイン型両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
前記のベタイン型両性界面活性剤としては特に限定するものではないが、例えば、アルキルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、又はラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
前記のフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、又はパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、又はシリコーン変性アクリル化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤はレベリング剤として塗膜の平坦性を改善するのに有効である。
本発明において、界面活性剤(D)は、水への溶解度が0.01重量%以上であることが好ましく、且つHLBが7~20の範囲である界面活性剤であることが好ましい。
また、グリフィン法HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は界面活性剤の親水性を表す数値である。値が大きいほど親水性が大きいことを示し、次式で表される。
非イオン界面活性剤のグリフィン法HLB=(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)×100/5=(親水基重量)/(疎水基重量+親水基重量)×100/5=(親水基の重量%)/5
なお、本発明において、界面活性剤(D)としてより好ましくは、アセチレングリコール型界面活性剤、又は高分子型界面活性剤である。
界面活性剤(D)の導電性高分子水溶液への添加方法は、固体で添加しても良く、あらかじめ水溶液として調整したものを添加しても良い。その際、導電性高分子水溶液に単独で添加してもよいし、2種以上を混合して添加してもよい。
本発明の導電性高分子水溶液において、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(D)の含有量は、成膜性に優れる点で、0.001~10重量%であることが好ましく、0.1~5重量%であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液が界面活性剤(D)を含む場合、当該導電性高分子水溶液は、前記のポリチオフェン(A)を0.1~10重量%、前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)を0.001~30重量%、前記のシラン化合物(C)を0.001~30重量%、前記の界面活性剤(D)0.001~10重量%含むことが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液は、上記の通り、アルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(E)を含んでいてもよい。
前記のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、1価のアルコール、2価のアルコール、3価のアルコール、及び糖アルコールからなる群より選択される少なくとも一種のアルコールが挙げられる。
前記の1価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)等が挙げられるが、操作性の点から、エタノール、ブチルセロソルブ、又はヘキシルセロソルブが好ましい。前記の2価アルコールとしては、特に限定するものではないが、入手の観点から、エチレングリコールが好ましい。前記の3価アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールが好ましい。糖アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、エリトリトール、ソルビトール、又はアラビトール等が好ましい。より好ましくはソルビトールである。
また、前記の水溶性樹脂としては、界面活性作用が実質的に無いものが好ましく。特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン(界面活性作用が無いものに限る)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)、水溶性ポリエステル、又は水溶性ポリウレタン等が好ましい。なおこれらの水溶性樹脂については、金属量低減の観点から、顆粒状、膜状の陽イオン交換樹脂、ゼータ電位を利用した金属除去フィルター処理を行ったものを用いることが好ましい。
前記の水溶性樹脂の分子量は、水溶性が良好であれば特に制限されないが、好ましくはMw=1千~200万、より好ましくは1万~150万、更に好ましくはMw=1千~25万、更に好ましくは1千~10万の範囲である。
本発明の導電性高分子水溶液が水溶性化合物(E)を含む場合、0.001~30重量%含むことが好ましく、0.01~25重量%含むことがより好ましい。
本願発明の導電性高分子水溶液については、上記の通り、成膜性に優れる点で、更に、ポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(F)を含有していてもよい。前記のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(F)としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属化合物、アンモニア、有機アミン化合物、第4級アンモニウム塩を挙げることができ、これらの化合物は、それぞれ、前記のポリチオフェン(A)のスルホン酸基と作用して、ポリチオフェン(A)のアルカリ金属イオン塩、アンモニウムイオン塩、有機アンモニウムイオン塩、及び第4級アンモニウムイオン塩を形成しうる。
前記のアルカリ金属化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属塩化合物(例えば、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム等)、又はアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等)を挙げることができる。
前記のアルカリ金属化合物を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、前記のリチオフェン(A)のアルカリ金属イオン塩を調製することができる。前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、又はセシウムイオンを例示することができる。
前記の有機アミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アミン化合物を例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ノルマル-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、ヘキシルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジアミン、トリイソブチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリイソオクチルアミン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、ピリジン、ピコリン、又はルチジン等を例示することができる。
前記の有機アミン化合物を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、当該有機アミン化合物は、前記のポリチオフェン(A)と作用し、有機アンモニウムイオンとなり、ポリチオフェン(A)の有機アンモニウムイオン塩が調製される。前記の有機アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数が1~30の1級、2級、若しくは3級の有機アンモニウムイオンを例示することができ、より具体的には、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ノルマル-プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ノルマルブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、N,N,N-トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、2,3-ジヒドロキシプロピルアンモニウム、N-メチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、1,4-ブタンジアンモニウム、トリイソブチルアンモニウム、トリイソペンチルアンモニウム、トリイソオクチルアンモニウム、イミダゾールカチオン、N-メチルイミダゾールカチオン、1、2-ジメチルイミダゾールカチオン、ピリジニウムイオン、ピコリニウムイオン、又はルチジニウムイオンを挙げることができる。
前記の4級アンモニウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラノルマルプロピルアンモニウムクロリド、テトラノルマルブチルアンモニウムクロリド、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記の4級アンモニウム化合物を本発明の導電性高分子水溶液に含有させることによって、当該4級アンモニウム化合物は、前記のポリチオフェン(A)と作用し、4級アンモニウムイオンとなり、ポリチオフェン(A)の4級アンモニウムイオン塩が調製される。当該4級アンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムイオン、テトラノルマルブチルアンモニウムイオン、又はテトラノルマルヘキシルアンモニウムイオン等が挙げられる。
本発明の導電性高分子水溶液が前記の化合物(E)を含有する場合、前記化合物(F)の含有量については、0.001~20重量%であることが好ましく、成膜性に優れる点で、0.01~15重量%であることが好ましく、0.1~10重量%であることがより好ましい。
本願発明の導電性高分子水溶液が、前記の化合物(F)を含む場合、前記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)については、その一部又は全部が前記の化合物(F)の一部又は全部と相互作用して、下記の一般式(1’)で表される構造単位及び一般式(2’)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)を形成することとなる。すなわち、前記の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)と前記の化合物(F)の混合物と、一般式(1’)で表される構造単位及び一般式(2’)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)は同じものを表す。
Figure 2022114670000005
[上記一般式(1’)及び一般式(2’)中、R、m、及びnの定義及び好ましい範囲は、上記一般式(1)及び一般式(2)において示したR、m、及びnの定義及び好ましい範囲と同義である。Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は第4級アンモニウムイオンを表す。]
上記のMにおける、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、及び第4級アンモニウムイオンについては、上記の通りである。
本発明の導電性高分子水溶液のpHは10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。さらに、本発明の導電性高分子水溶液のpHは、1.5以上9.5以下の範囲が好ましく、1.5以上9以下の範囲内がより好ましい。ここで、pHを調整する手順としては、特に限定するものではないが、例えば、前記の化合物(F)の種類と添加量を制御する方法を挙げることができる。
本発明の導電性高分子水溶液を調製する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも前記のポリチオフェン(A)の水溶液又は固体と、前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)と、前記のシラン化合物(C)と必要に応じて追加の水を任意の順番、且つ任意の方法で混合する方法を挙げることができる。
この時、前記の非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤(D)、前記のアルコール及び水溶性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性化合物(E)、及び前記のポリチオフェン(A)のスルホン酸基とイオン対を形成可能な化合物(F)を、各々独立して、任意の量を、任意の順番、且つ任意の方法で、前記の本発明の導電性高分子水溶液に混合することができる。
ここで、混合する際の温度は、特に限定するものではないが、例えば、室温~加温下で行うことができる。好ましくは0℃以上100℃以下が好ましい。
混合する際の雰囲気は、特に限定するものではないが、大気中でも、不活性ガス中でも良い。
本発明の導電性高分子水溶液を混合する際には、スターラーチップ、攪拌羽根等による一般的な混合溶解操作に加えて、超音波照射、ホモジナイズ処理(例えば、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の使用)を行ってもよい。ホモジナイズ処理する場合には、ポリマーの熱劣化を防ぐため、冷温しながら行うことが好ましい。
本発明の導電性高分子水溶液の濃度調整は、配合比で調整しても良いし、配合後に濃縮により調整しても良い。濃縮の方法は、減圧下に溶媒を留去する方法であっても、限外ろ過膜を利用する方法であっても良い。
本発明の導電性高分子水溶液の中のポリチオフェン(A)の濃度は0.001重量%以上であれば特に限定するものではないが、好ましくは0.01重量%~10重量%の範囲である。なお、本願発明のポリチオフェン(A)と水溶性のポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む導電性高分子水溶液については、支持体上に塗布された後、乾燥・脱水することによって、導電性高分子膜を製造することができる。
本発明の導電性高分子水溶液中の固形分の粒径は、特に限定するものではないが、小さいほど水溶性が良好であり、導電性や成膜時の均一な膜形成の観点からも望ましい。例えば、室温又は加温下で調製した導電性高分子水溶液の固形分濃度が10重量%以下の場合、固形分の粒子径(D50)が0.02μm以下であれば、水溶性がより良好となる。
本発明の導電性高分子水溶液の粘度(20℃)は、製造及び使用時に大変重要な因子となる。製造・使用時における高粘度の影響として、撹拌や移液時のロス、長時間化が挙げられる。250mPa・s以下であれば特に限定されないが、好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以下である。
本発明の導電性高分子水溶液から導電性高分子膜を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の導電性高分子水溶液を、支持体に塗布し乾燥する方法を挙げることができる。当該方法を行うことによって、支持体上に導電性高分子膜が簡便に得られる(以下、その支持体と導電性高分子膜を合わせて「被覆物品」と称する)。
支持体としては、本発明の導電性高分子水溶液が塗布可能なものであれば特に限定するものではないが、例えば、高分子基材又は無機基材が挙げられる。前記の高分子基材としては、例えば、熱可塑性樹脂、不織布、紙、レジスト膜基板等が挙げられる。前記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、又はポリカーボネート等が挙げられる。前記の不織布としては、例えば、天然繊維、合成繊維、又はガラス繊維製のいずれでもよい。前記の紙としては一般的なセルロースを主成分とするものでよい。前記の無機基材としては、ガラス、セラミックス、酸化アルミニウム、又は酸化タンタル等が挙げられる。
導電性高分子水溶液の塗布方法としては、例えば、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ディスペンサ法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、又はインクジェット法等が挙げられる。好ましくはスピンコート法である。
塗膜の乾燥温度は、均一な導電性高分子膜が得られる温度及び基材の耐熱温度以下であれば特に限定するものではないが、室温~300℃の範囲であり、好ましくは室温~250℃の範囲であり、さらに好ましくは室温~200℃の範囲である。
乾燥雰囲気は大気中、不活性ガス中、真空中、又は減圧下のいずれであってもよい。高分子膜の劣化抑制の観点からは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中が好ましい。
得られる導電性高分子膜の膜厚としては特に限定するものではないが、10-3~10μmの範囲が好ましい。より好ましくは10-3~10-1μmである。
本発明の被覆物品は、例えば、帯電防止フィルム、又は固体若しくはハイブリッド型電解コンデンサ用の固体電解質、として使用される。
以下に本発明に関する実施例を示す。
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
[GC測定]
装置:Shimadzu製、GC-2014。
[NMR測定]
装置:VARIAN製、Gemini-200。
[表面抵抗率測定]
装置:三菱化学社製ロレスタGP MCP-T600。
[膜厚測定]
装置:BRUKER社製 DEKTAK XT。
[粘度測定]
コンプリート型粘度計/BROOKFIELD VISCOMETER DV-1 Prime。
[導電率]
導電率[S/cm]=10/(表面抵抗率[Ω/□]×膜厚[μm])。
[粒径測定]
装置:日機装社製、Microtrac Nanotrac UPA-UT151。
[自己ドープ型導電性高分子(A)の導電率測定]
自己ドープ型導電性ポリマーを含む水溶液0.5mLを25mm角の無アルカリガラス板に塗布し、室温で一晩乾燥した後、ホットプレート上で120℃にて20分、さらに160℃にて10分加熱して導電性高分子膜を得た。膜厚及び表面抵抗値から導電率を算出した。
[導電性高分子膜の導電率測定]
本発明の導電性高分子水溶液0.5mLを25mm角の無アルカリガラス板に塗布し、室温で一晩乾燥した後、ホットプレート上で150℃にて30分、さらに200℃にて30分加熱して導電性高分子膜を得た。膜厚及び表面抵抗値から導電率を算出した。
[耐水性評価]
本発明の導電性高分子水溶液の導電率測定と同様の手順で作成した導電膜を、水中に浸漬した状態で80℃×60分処理し、塗膜が溶解した又は溶解はしないが基材から脱落したものは不良とし、溶解も脱落もないものを良好とした。
[耐熱性評価]
本発明の導電性高分子水溶液の導電率測定と同様の手順で作成した導電膜について、三菱化学社製ロレスタGP MCP-T600を用いて初期表面抵抗値(SR)を測定し、次いで前記導電膜をETTAS社製EOP-450B(プログラム定温乾燥機)中、150℃で60時間静置した後に、再度、表面抵抗値(SR)を測定した。表面抵抗値(SR)の初期表面抵抗値(SR)からの変化倍率(SR/SR)を算出した。
合成例1(3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウムの合成)
Figure 2022114670000006
窒素雰囲気下、100mLナス型フラスコに60%水素化ナトリウム 0.437g(10.9mmol)、及びトルエン 37mLを仕込んだ後、(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メタノール 1.52g(8.84ml)を添加した。その後、撹拌しながら還流温度に昇温させ、本還流温度で1時間攪拌した。その後、還流を継続しながら、2,4-ブタンスルトン 1.21g(8.89mmol)とトルエン 10mLとからなる混合液を滴下し、次いで還流温度でさらに2時間攪拌した。冷却後、得られた反応液をアセトン 160mLに滴下し再沈を行った。得られた粉末を濾過し、真空乾燥させることで1.82gの淡黄色粉末を収率62%で得た。
NMR測定から、これが上記の式(6)で表される3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウムであることを確認した。
H-NMR(DO)δ(ppm);6.67(s,2H),4.54-4.60(m,1H),4.45(dd,1H,J=12.0,2.2Hz),4.26(dd,1H,J=12.0,6.8Hz),3.90-3.81(m,4H),3.10-3.18(m,1H),2.30-2.47(m,1H),1.77-1.92(m,1H),1.45(d,3H)。
13C-NMR(DO)δ(ppm);14.91,31.22,53.13,66.18,69.18,73.29,73.36,100.81,100.94,140.88,141.06。
合成例2 ポリチオフェン(A)の合成[下記式(7)及び(8)で表される構造単位を含むポリマー].
Figure 2022114670000007
Figure 2022114670000008
500mlセパラブルフラスコに、合成例1に準じて合成した3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム 10g(30mmol)と水 150gを加えた。溶解後、室温下、無水塩化鉄(III) 2.94g(18.1mmol)を加えて20分攪拌した。その後、過硫酸ナトリウム 14.5g(60.4mmol)と水 100gからなる混合溶液を反応液温度が30℃以下を保持しながら滴下した。次いで、室温で3時間攪拌したのち、反応液を800gのアセトンに滴下させ黒色のNa型のポリマーを析出させた。ポリマーを濾過・真空乾燥することで、18.0gの3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウムの粗ポリマーを得た。
次に、この粗ポリマー 14.5gに水を加え固形分2重量%に調製した水溶液 725gのうち700gを、陽イオン交換樹脂Lewatit MonoPlus S100(H型) 200mLを充填したカラムに通液(空間速度=1.1)することによりH型のポリマー水溶液を738g得た。更に、本ポリマー水溶液をクロスフロー式限外ろ過(ろ過器=ビバフロー200,分画分子量=5,000、透過倍率=5)により精製することにより上記式(7)及び(8)で表される構造単位を含むポリマーの濃群青色水溶液を698g取得した。前記ポリマー水溶液に含まれるポリマー量(固形物含量)は0.74重量%であった。また、ICP-MS分析を行ったところ、前記ポリマー水溶液は、その固形物量を基準として、鉄イオンを44ppm、ナトリウムイオンを12ppm、含んでいた。
実施例1.
合成例2に準拠した方法で得られたポリチオフェン(A)を1.2重量%含む導電性高分子水溶液 20.67gに、ポリスチレンスルホン酸(B)[アルドリッチ社製/Mw=75,000、18重量%水溶液]を3.47g、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C)を0.50g、水溶性化合物(E)としてエチレングリコールを0.25g、水を0.12g加えてよく攪拌混合し、固形分濃度が5.5重量%の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液から作製した膜の導電率は20S/cmであり、耐水性試験においても導電膜の水への溶解及び基材からの脱落も無く良好な耐水性を示した。また耐熱性試験後のSR/SRは1.0と安定であり、良好な耐熱性を示した。
実施例2.
合成例2に準拠した方法で得られたポリチオフェン(A)を1.5重量%含む導電性高分子水溶液 16.67gに、ポリスチレンスルホン酸(B)[アルドリッチ社製/Mw=75,000、18重量%水溶液]を0.69g、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C)を0.05g、水溶性化合物(E)としてエチレングリコールを5.00g、水を2.59g加えてよく攪拌混合し、固形分濃度が1.7重量%の導電性高分子水溶液を得た。この導電性高分子水溶液から作製した膜の導電率は182S/cmであり、耐水性試験においても導電膜の水への溶解及び基材からの脱落も無く良好な耐水性を示した。また耐熱性試験後のSR/SRは1.1と安定であり、良好な耐熱性を示した。
実施例3.
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C)を3-グリシドキシブチルトリメトキシシラン(C)に変更した以外は実施例1に準拠して行った。この導電性高分子水溶液から作製した膜の導電率は18S/cmであり、耐水性試験においても導電膜の水への溶解及び基材からの脱落も無く良好な耐水性を示した。また耐熱性試験後のSR/SRは1.0と安定であり、良好な耐熱性を示した。
実施例4.
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C)を3-アミノプロピルトリメトキシシラン(C)に変更した以外は実施例2に準拠して行った。この導電性高分子水溶液から作製した膜の導電率は156S/cmであり、耐水性試験においても導電膜の水への溶解及び基材からの脱落も無く良好な耐水性を示した。また耐熱性試験後のSR/SRは1.0と安定であり、良好な耐熱性を示した。
比較例1.
実施例1において、ポリスチレンスルホン酸(B)[アルドリッチ社製/Mw=75,000、18重量%水溶液] 3.47g、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C) 0.50gの代わりに、水3.97gを用いた以外は、実施例1の方法に準拠して実験を行った。本導電性高分子水溶液から作製した導電膜は、耐水性試験にて溶解は無かったが塗膜の基材からの脱離がみられたため不良とした。
比較例2.
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C) 0.50gの代わりに、水0.5gを用いた以外は、実施例1の方法に準拠して実験を行った。本導電性高分子水溶液から作製した導電膜は、耐水性試験にて溶解は無かったが塗膜の基材からの脱離がみられたため不良とした。
比較例3.
ポリチオフェン(A)を市販のPEDOT:PSS(1.2wt%濃度水溶液、アルドリッチ社製)に変更した以外は実施例1に準拠して行った。この導電性高分子水溶液から作製した導電膜の耐水性は良好であったが、導電率は0.5S/cmに留まり、耐熱性試験後のSR/SRも3.4と本発明の導電膜よりも変化が大きかった。
Figure 2022114670000009
これらの導電性高分子水溶液から作製される塗膜は、導電性を維持しながら、耐水性と耐熱性を付与できる点で予期せぬ効果を示すものである。
本発明の導電性高分子水溶液を用いて作製された導電性高分子膜は、従来公知の導電性高分子水溶液を用いたものに比べて、耐熱性と耐水性に優れ、高い導電性を維持することができるという予期せぬ格別な効果を示す。
本願発明の導電性高分子水溶液から形成される導電性高分子膜並びに被覆物品は、高い導電性を有しているため、帯電防止フィルム、及び固体電解コンデンサの固体電解質としての使用が期待できる。
本発明の導電性高分子水溶液は、高分子や金属、ガラスなどの基材に対して密着性の優れる導電性高分子水溶液であり、さらに本導電性高分子水溶液は、良好な導電性高分子膜を形成することから、導電性コーティング剤(帯電防止剤)、固体またはハイブリッド型電解コンデンサの固体電解質(陰極材料)に使用できる。特に、タンタル、アルミ固体電解コンデンサで課題となる誘電体と導電層の密着性、耐水性と耐熱性に優れるため、高耐久性、高信頼性のコンデンサを提供できる。またこの導電性高分子膜で被覆された高分子基材からなる被覆物品は、帯電防止フィルム、巻回型アルミ電解コンデンサ用のセパレータへの利用が可能である。その他、エレクトロクロミック素子、透明電極、透明導電膜、熱電変換材料、化学センサ、アクチュエータ、電磁波シールド材、有機ELや太陽電池用途で用いられる正孔輸送材料への応用も期待できる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む導電性高分子水溶液であって、前記の(A)の含有量が0.01~10重量%であり、前記の(B)及び前記の(C)の含有量が、各々独立して、0.001~30重量%であることを特徴とする導電性高分子水溶液。
    Figure 2022114670000010
    [一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
  2. 前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)が、平均分子量1,000~1,000,000のポリスチレンスルホン酸化合物(B)であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子水溶液。
  3. 前記のポリスチレンスルホン酸化合物(B)が、置換基を有していてもよいポリスチレンスルホン酸、その金属塩、若しくはそのアミン塩、又は置換基を有していてもよいスチレンスルホン酸モノマーとその他の異種モノマーとの共重合体、その金属塩、若しくはそのアミン塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性高分子水溶液。
  4. 前記のシラン化合物(C)が、エポキシ基、及びアミノ基の群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子水溶液。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性高分子水溶液を支持体上に塗布し、次いで乾燥させることを特徴とする膜の製造方法。
  6. 下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むポリチオフェン(A)とポリスチレンスルホン酸化合物(B)とシラン化合物(C)を含む膜。
    Figure 2022114670000011
    [一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは、1~10の整数を表し、nは、0又は1を表す。]
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