JP2022110919A - 紙基材、導電性紙基板及び導電性紙基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成するために使用される紙基材であって、光照射しても、導電層が紙基材から剥離せず、また、導電層が良好な導電性を発揮することができる紙基材を提供すること。【解決手段】表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成するための紙基材であって、紙基材が原紙及び塗工層を備えており、塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含み、塗工層上に導電層が形成される、紙基材。【選択図】図1
Description
本発明は、RFIDタグ等に使用される導電性基板向けの紙基材に関する。
近年、各種の導電性基板上の金属細線を光照射により製造することが提案されている。例えば、特許文献1には、基材上に酸化銅粒子を含む前駆体層を形成し、光照射を行い、前駆体層中の酸化銅粒子を還元して金属銅を含む導電層を形成することが提案されている。
金属細線の導電性を高めるためには、照射される光のエネルギーを高めることが必要である。しかし、高エネルギーの光を照射すると前駆体層が瞬間的に高温となり、その結果、前駆体層から得られる導電層および基材表面は瞬間的に高温となる。
そこで、基材として高温安定性に優れた紙を使用することが適切だと考えられる。しかし、紙製の基材を使用しても、導電層が紙基材から剥離し易くなったり、導電層の導電性が低下したりする問題が存在する。
本発明は、表面に酸化銅等の金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成するために使用される紙基材であって、光照射しても、導電層が紙基材から剥離せず、また、導電層が良好な導電性を発揮することができる紙基材を提供することを課題とする。
本発明では、特定の塗工層を備える紙基材によって上記の課題を解決する。
本発明の第一の態様は、表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成するための紙基材であって、
前記紙基材が原紙及び塗工層を備えており、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含み、
前記塗工層上に前記導電層が形成される、紙基材に関する。
前記紙基材が原紙及び塗工層を備えており、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含み、
前記塗工層上に前記導電層が形成される、紙基材に関する。
前記無機塩の平均粒子径は1~10μmが好ましい。
前記塗工層の空隙率は30%~80%であることが好ましい。
前記塗工層に含まれる前記バインダーの量は前記無機塩100質量部に対し10質量部~50質量部が好ましい。
前記無機塩は炭酸カルシウムであることが好ましい。
前記バインダーは水溶性高分子又はガラス転移温度が0℃以上のアクリル系樹脂が好ましい。
前記塗工層の厚みは3~30μmが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記導電層が形成された紙基材を備える導電性紙基板に関する。
本発明の第三の態様は、前記導電性紙基板を備えるRFIDタグである。
本発明の第四の態様は、
原紙及び塗工層を備える紙基材であって、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む紙基材
の前記塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成する工程、及び、
前記前駆体層に光照射して前記金属酸化物が還元された金属を含む導電層を前記塗工層上に形成する工程
を含む、導電性紙基板の製造方法である。
原紙及び塗工層を備える紙基材であって、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む紙基材
の前記塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成する工程、及び、
前記前駆体層に光照射して前記金属酸化物が還元された金属を含む導電層を前記塗工層上に形成する工程
を含む、導電性紙基板の製造方法である。
前記塗工層の空隙率は30%~80%であることが好ましい。
本発明の紙基材の塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物を還元した金属を含む導電層を形成すると、導電層は、紙基材から剥離せず、また、良好な導電性を発揮することができる。したがって、導電層が形成された本発明の紙基材を備える本発明の導電性紙基板は、導電層が紙基材から剥離せず、且つ、良好な導電性を発揮することができる。
本発明の導電性紙基板は、例えば、RFIDタグとして使用することができる。
本発明の製造方法では、導電層が紙基材から剥離せず、且つ、良好な導電性を発揮可能な導電性紙基板を提供することができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、多孔性であり空隙率が高く、且つ、無機塩及びバインダーを含む塗工層を原紙上に備える紙基材であれば、当該紙基材の塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成すると、当該導電層は、紙基材から剥離せず、また、良好な導電性を発揮可能であることを見出した。
本発明の紙基材では原紙上に塗工層が形成されており、紙基材の表面の方が原紙の表面に比べてミクロ的により滑らかであるので紙基材と前駆体層との密着性を高めることができる。
また、本発明の紙基材では、塗工層が多孔質であり、多くの空気を含むため、塗工層の熱伝導性が低く、断熱性が高い。その為、光照射による塗工層の温度上昇が抑えられ、塗工層の寸法変化率が小さくなり、塗工層の収縮等が抑えられる。そのために、光照射を行っても、塗工層表面と導電層との密着性が高く、導電層が紙基材から剥離しなくなると考えられる。
さらに、本発明の紙基材は、上記のように塗工層の耐熱性が高いために、より強い光照射エネルギーにも耐えうることから、本発明の紙基材から得られる導電性紙基板は高い導電性を発揮することが出来ると考えられる。
[紙基材]
本発明の紙基材は原紙及び塗工層を備える。塗工層は原紙の表面に塗工により形成される表面層であり、原紙の一方の表面又は両面に形成される。
本発明の紙基材は原紙及び塗工層を備える。塗工層は原紙の表面に塗工により形成される表面層であり、原紙の一方の表面又は両面に形成される。
(原紙)
原紙を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。
原紙を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。
原紙を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプ、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプ、並びに、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプの混合物を使用することができる。
原紙の坪量は特には限定されるものではなく、用途によって基板の厚み、コシなどの要求性能が異なるが、坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は30g/m2~500g/m2が好ましく、35g/m2~400g/m2がより好ましく、40g/m2~350g/m2がより好ましい。また、原紙の紙厚も用途によって任意に選択されるため特には限定されるものではないが、紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])は10μm~500μmが好ましく、15μm~400μmがより好ましい。
(塗工層)
塗工層の数は特に限定されるものではなく、1つ又は2つ以上とすることが可能であるが、1つであることが好ましい。
塗工層の数は特に限定されるものではなく、1つ又は2つ以上とすることが可能であるが、1つであることが好ましい。
塗工層は少なくとも無機塩及びバインダーを含む。無機塩は1種又は2種以上であってもよく、また、バインダーも1種又は2種以上であってもよい。
本発明における無機塩は二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン等の無機酸化物とは異なる。二酸化ケイ素(シリカ)を塗工層に用いた場合、その高い細孔容積により、金属酸化物を含む組成物を塗工層上に印刷等により塗布して前駆体層を形成した際に当該組成物に含まれるバインダー等の成分がシリカ内部に奪われ、塗工層上に形成される前駆体層乃至導電層の強度が低下し、紙基材と前駆体層乃至導電層の密着性が低下してしまう。また、二酸化チタンを塗工層に用いた場合には、光照射時に二酸化チタンの光触媒効果により塗工層中のバインダー等の成分が劣化し、塗工層の強度が低下してしまい、また、紙基材と導電層の密着性が低下する。
無機塩は粒子の形態であることが好ましい。無機塩の一次粒子の平均粒径は、1.0~10μmが好ましく、2~6μmがより好ましく、4.0~5.0μmが更により好ましい。
無機塩の種類は特には限定されるものではなく、酸性塩、正塩又は塩基性塩のいずれでもよい。また、無機塩は水溶性又は水不溶性若しくは難水溶性のいずれでもよいが、水不溶性若しくは難水溶性であることが好ましい。
無機塩は金属塩であることが好ましく、多価金属塩であることがより好ましく、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であることが更により好ましく、マグネシウム塩又はカルシウム塩であることが更により好ましい。
無機塩は、炭酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ピロリン酸等の無機酸の金属塩であることが好ましく、炭酸塩がより好ましい。
無機塩は光照射を受ける関係上、白色であることが好ましい。白色の無機塩は照射光のエネルギー吸収が最も小さいので塗工層の耐熱性を高めることができる。
無機塩としては、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムが特に好ましい。
バインダーは特に限定されるものではなく、例えば、塗工紙分野において汎用の水分散性バインダー又は水溶性バインダーを使用することができる。水分散性バインダー及び水溶性バインダーの混合物を使用してもよい。
分散性バインダーの例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂;アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの(共)重合体等の(メタ)アクリル系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の水不溶性ビニル系樹脂;その他の熱可塑性樹脂;ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂を挙げることができる。
分散性バインダーは水分散体又はエマルションの形態であってもよい。分散性バインダーとしては、ガラス転移温度が0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上の(メタ)アクリル系樹脂のエマルションが好ましい。
水溶性バインダーの例としては、澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール;シラノール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチン又はそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂又はこれらの誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソーダ等のビニル系ポリマー;アルギン酸ソーダ、無水マレイン酸又はその共重合体等の水溶性高分子を挙げることができる。
水溶性バインダーとしてはポリビニルアルコール(以下、PVAと表記することがある。)が好ましい。
塗工層に含まれるバインダーの量は無機塩100質量部に対し10質量部~50質量部が好ましく、15質量部~40質量部がより好ましく、20質量部~30質量部が更により好ましい。バインダー量が多すぎる場合、塗工層に含まれるバインダーが光照射による熱エネルギーにより変形しやすくなり、塗工層全体の寸法安定性が悪くなりやすく、紙基材と導電層の密着性の低下を招いたり、また、導電層のクラック発生の原因となり得たりするために、導電性が悪化するおそれがある。
塗工層には、無機塩及びバインダー以外の任意の成分が含まれていてもよい。但し、塗工層には二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン等の無機酸化物が含まれていないことが好ましい。
塗工層の厚みは特には限定されるものではないが、3~30μmが好ましく、5~20μmがより好ましく、10~15μmが更により好ましい。
塗工層は多孔性である。すなわち、塗工層は多くの空隙を有する。塗工層は30%~80%の空隙率を備えることが好ましい。塗工層の空隙率は35%~75%がより好ましく、40%~70%が更により好ましい。無機塩が粒子の形態の場合、無機塩の一次粒子同士が接触する隙間、及び/又は、無機塩の二次粒子同士が接触する隙間が空隙を形成することが好ましい。
塗工層の空隙率が高い場合、塗工層内部に多くの空気を含むことになり、塗工層の熱伝導率は低くなる。これにより、光照射のエネルギーによる塗工層の温度上昇が抑制され、塗工層の熱による寸法変化がより軽減されると考えられる。
塗工層の空隙率は含浸法により測定することができる。具体的には、塗工層にジエチレングリコール等の高沸点溶剤を塗工層に吸収させ、塗工層が吸収できなかった余剰分を除去した後、吸収による重量増加を求め、溶剤の密度から吸収体積( = 空隙体積) を求めることができる。
また、塗工層の空隙率は、紙断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)で観察し、得られた断面画像を、二値化処理等の画像解析処理により、塗工層を形成する部分と空隙を形成する部分に判別し、各部分の面積比率から求めることもできる。
塗工層は無機塩及びバインダーを含むペースト等の組成物を原紙の表面に塗布することにより原紙上に形成することができる。塗布を容易とするために前記組成物は溶媒乃至分散媒を含むことが好ましい。前記組成物が溶媒を含む場合は、例えば、無機塩、バインダー及び溶媒を含む前記組成物を原紙上に塗布し、その後、乾燥等により溶媒を除去することにより、塗工層を形成することができる。
塗工層の塗布量は特には限定されるものではないが、1~25g/cm2が好ましく、5~20g/cm2がより好ましく、10~15g/cm2が更により好ましい。塗布量が多い場合、光照射時の熱によってバインダーが溶融し、導電層中の銅の飛散や導電層の剥離が生じるおそれがある。
原紙上に塗工層を形成することにより、本発明の紙基材を製造することができる。
原紙及び塗工層を備える本発明の紙基材の坪量は特には限定されるものではないが、31g/m2~525g/m2が好ましく、50g/m2~365g/m2がより好ましい。また、紙基材の厚みも特には限定されるものではないが、13μm~530μmが好ましく、160μm~415μmがより好ましい。
[導電性紙基板]
本発明の導電性紙基板は、本発明の紙基材の塗工層上に形成される導電層を備える。導電層の数は特に限定されるものではなく、1つ又は2つ以上とすることが可能であるが、1つであることが好ましい。
本発明の導電性紙基板は、本発明の紙基材の塗工層上に形成される導電層を備える。導電層の数は特に限定されるものではなく、1つ又は2つ以上とすることが可能であるが、1つであることが好ましい。
導電層は前駆体層中の金属酸化物が還元されて金属に変換されることにより得られる。ここで金属酸化物は光照射による還元反応によって導電性を示すものであれば特に限定はなく、例えば、酸化銅、酸化銀、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ等が使用できる。特に、汎用性や導電性の面で酸化銅が好ましい。
導電層の厚みは特には限定されるものではないが、0.01~1000μmが好ましく、0.1~500μmがより好ましく、1~100μmが更により好ましい。
導電層は塗工層の表面上に存在することが好ましい。すなわち、導電層は塗工層の一部として塗工層中に形成されるのではなく、塗工層とは異なる層として塗工層の上に形成されることが好ましい。但し、導電層の一部が塗工層中に埋没していても、他の一部が塗工層の表面上に突出していてもよい。
導電層の電気抵抗率(μΩ・cm)は、導電特性の点から、55μΩ・cm未満が好ましく、50μΩ・cm未満がより好ましく、45μΩ・cm未満が更により好ましい。
導電層は紙基材の全面又は一部に設けることができる。また、導電層を線形として所定のパターン状に設けてもよい。所定のパターン状の導電層は配線、アンテナ等として有用である。
本発明の導電性紙基板は紙基材を備えるのでプラスチックフィルムを基材として使用する場合に比べて優れた高温安定性を備えることができる。
本発明の導電性紙基板はプリント配線基板、RFID、TFTディスプレイ、センサー、有機EL照明、太陽電池、各種モニター、その他の印刷回路や電子デバイス等の種々の用途に使用することができる。
[RFIDタグ]
RFID(Radio Frequency Identification)は物流管理等の用途で幅広く利用されている。RFIDのために物品に取り付けられるRFIDタグは、アンテナ回路を有する基材、及び、当該基材に実装されたICチップにより構成される。
RFID(Radio Frequency Identification)は物流管理等の用途で幅広く利用されている。RFIDのために物品に取り付けられるRFIDタグは、アンテナ回路を有する基材、及び、当該基材に実装されたICチップにより構成される。
本発明のRFIDタグは本発明の導電性紙基板を備える。本発明のRFIDタグはID情報を記録した少なくとも1つのICチップを備えることが好ましい。
図1に本発明のRFIDタグの一例を示す。図1に示す例では、原紙1の一方の表面に存在する塗工層2が紙基材を構成しており、塗工層2の表面に導電層3が形成されている。そして、導電層3と紙基材が導電性紙基板を構成している。
図1に示す例では、導電層3の表面にバンプと称される突起状の金属部材(4)を介してICチップ5が取り付けられており、バンプ4は図示を省略する導電性接着剤によって導電層3に固定されており、ICチップ5はバンプ4を介して導電層3と電気的に接続している。
図1に示すRFIDタグでは、導電層3はアンテナとして機能する回路パターンにデザインされており、たとえば、パッシブタグでは、アンテナとして機能する導電層3が図示を省略するリーダーからの電波を受信して電流に変換してICチップ5を作動させ、ICチップ5に記録されているID情報をリーダーに返信する。リーダーはRFIDタグからの電波を受信してID情報を認識する。
RFIDタグにより、例えば、工場で生産された製品のその後の配送ルートの追跡等が可能となり、物流及び生産の合理化を図ることができる。
[導電性紙基板の製造方法]
本発明の導電性紙基板の製造方法は、
原紙及び塗工層を備える紙基材であって、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む紙基材
の前記塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成する工程、及び、
前記前駆体層に光照射して前記金属酸化物が還元された金属を含む導電層を前記塗工層上に形成する工程
を含む。
本発明の導電性紙基板の製造方法は、
原紙及び塗工層を備える紙基材であって、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む紙基材
の前記塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成する工程、及び、
前記前駆体層に光照射して前記金属酸化物が還元された金属を含む導電層を前記塗工層上に形成する工程
を含む。
本発明の製造方法で使用される紙基材は原紙及び塗工層を備えている。
前記塗工層は多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む。
前記塗工層は無機塩及びバインダーを含むペースト等の組成物を原紙の表面に塗布することにより原紙上に形成することができる。塗布を容易とするために前記組成物は溶媒乃至分散媒を含むことが好ましい。前記組成物が溶媒を含む場は、例えば、無機塩、バインダー及び溶媒を含む前記組成物を原紙上に塗布し、その後、乾燥等により溶媒を除去することにより、塗工層を形成することができる。
塗工層は30%~80%の空隙率を備えることが好ましい。塗工層の空隙率は35%~75%がより好ましく、40%~70%が更により好ましい。無機塩が粒子の形態の場合、無機塩の一次粒子同士が接触する隙間、及び/又は、無機塩の二次粒子が接触する隙間が空隙を形成することが好ましい。
塗工層の空隙率は含浸法により測定することができる。具体的には、塗工層にジエチレングリコール等の高沸点溶剤を塗工層に吸収させ、塗工層が吸収できなかった余剰分を除去した後、吸収による重量増加を求め、溶剤の密度から吸収体積( = 空隙体積) を求めることができる。
また、塗工層の空隙率は、紙断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)で観察し、得られた断面画像を、二値化処理等の画像解析処理により、塗工層を形成する部分と空隙を形成する部分に判別し、各部分の面積比率から求めることもできる。
本発明の製造方法では、紙基材の塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層が形成される。
金属酸化物は前記のように酸化銅が好ましく、酸化銅としては、酸化銅(I)又は酸化銅(II) が好ましく、酸化銅(II)がより好ましい。
金属酸化物は粒子の形態であることが好ましい。この場合の金属酸化物の一次粒子の平均粒子径は特には限定されるものではないが、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。下限も特に制限されないが、10nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。
前駆体層の形成方法は特には限定されるものではないが、印刷法により形成されることが好ましい。印刷法は、例えば、金属酸化物を含む組成物を所定のパターンで紙基材の塗工層の表面にスクリーン印刷法、インクジェット印刷等によって実施可能であり、スクリーン印刷法が好ましい。紙基材はスクリーン印刷に適した基材であり、スクリーン印刷はその他の印刷方法に比べより多くの塗布量によりパターン形成が可能であることから、スクリーン印刷による前駆体層の形成により優れた電気抵抗を発揮する導電層を得ることが出来る。
金属酸化物を含む組成物には天然又は合成の高分子化合物が含まれることが好ましく、当該高分子化合物はバインダーとして機能することがより好ましい。高分子化合物としては、例えば、ビニル系ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、ポリエーテル、アクリル系ポリマー、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ロジン配合物等が挙げられる。高分子化合物は、1種を単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。
金属酸化物を含む組成物は溶媒及び/又は分散媒を含むことが好ましい。溶媒・分散媒の種類は特には限定されるものではないが、例えば、水、アルコール、エーテル、エステル等の有機溶媒を使用することができる。特に、水、1~3価のヒドロキシル基を有する脂肪族アルコール、当該脂肪族アルコールのアルキルエーテル、当該脂肪族アルコールのアルキルエステル、又は、これらの混合物が好ましい。
1~3価のヒドロキシル基を有する脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、グリシドール、メチルシクロヘキサノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、イソプロピルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール、2-オクタノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-n-ブトキシエタノール、カルビトール、エチルカルビトール、n-ブチルカルビトール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
上記脂肪族アルコールのアルキルエーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
上記脂肪族アルコールのアルキルエステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
金属酸化物を含む組成物には、金属酸化物及び溶媒・分散媒以外にも他の成分が含まれていてもよい。例えば、前記組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤の種類は特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種を単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。
前記組成物中の金属酸化物の含有量は特には限定されるものではないが、組成物の全質量に対して、5~60質量%が好ましく、10~50質量%が更により好ましい。また、前記組成物が溶媒・分散媒を含む場合は、溶媒・分散媒の含有量も特には限定されるものではないが、組成物の全質量に対して、5~90質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましい。
前記組成物の調製方法は特には限定されるものではなく、公知の方法を使用することができる。例えば、溶媒及び/又は分散媒に金属酸化物を添加した後、超音波法(例えば、超音波ホモジナイザーによる処理)、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等の公知の手段により成分を溶解・分散させることによって前記組成物を得ることができる。前記組成物はペースト状であることが好ましい。
本発明の製造方法では、次に、前駆体層に光を照射する。光照射により金属酸化物は還元された金属となり、金属酸化物を含む前駆体層は金属を含む導電層に変換されて、導電層が塗工層上に形成される。金属酸化物が粒子の形態の場合は、光照射により金属酸化物粒子は金属粒子に還元され、金属粒子が焼結して導電層が形成される。
光照射で使用される光源は特には限定されるものではなく、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等を使用することができる。光としては、X線、紫外線、赤外線等の各種電磁波が挙げられる。
フラッシュランプによる光照射が好ましく、キセノンフラッシュランプによるパルス光照射がより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、前駆体層の表面を極めて短時間で加熱することができるため、紙基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
光照射のエネルギーとしては特に限定されるものではないが、例えばパルス電圧300V~3500V、パルス周期500~3000μsで波長200nm~1000nmの光を照射することによって行われるのが好ましく、複数回照射してもよい。
光照射を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、又は、還元性雰囲気下が挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気である。
光照射の際又はその後に、必要に応じて、加熱処理および/または加圧処理を実施してもよい。加熱温度は100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましく、また、加熱時間は5~120分が好ましく、10~60分がより好ましい。加圧処理は100MPa以上の圧力で加圧することが望ましい。光照射直後の導電層内部には前駆体層中の成分に由来して発生したガスにより生じた空隙が存在することがあるが、導電層形成後に加圧圧縮することで導電層内部の空隙をなくし、より優れた電気抵抗および密着性を発揮することが出来る。
導電層の厚みは特には限定されるものではないが、0.01~1000μmが好ましく、0.1~500μmがより好ましく、1~100μmが更により好ましい。
導電層は塗工層の表面に存在することが好ましい。すなわち、導電層は塗工層の一部として塗工層中に形成されるのではなく、塗工層とは異なる層として塗工層の上に形成されることが好ましい。
導電層の電気抵抗率(μΩ・cm)は、導電特性の点から、55μΩ・cm未満が好ましく、50μΩ・cm未満がより好ましく、45μΩ・cm未満が更により好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<紙基材の作成>
水中に炭酸カルシウム(商品名:「白艶華PZ」、粒子径4.8μm、白石工業(株)製)100質量部に対し、分散剤(商品名:「ポイズ520」、花王(株)社製)を0.4質量部添加し固形分濃度が57質量%となる分散液を得た。この分散液に対してバインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:R1130、(株)クラレ社製)を25質量部、消泡剤(商品名:ノプタム740A、サンノプコ(株)社製)0.02質量部添加し固形分濃度が20質量%となるよう水で希釈し塗工液を得た後、原紙として坪量127.5 g/m2、厚さ143.7μmの上質紙上にバーコーターを用いて上記塗工液を15 g/m2の割合で塗工し、乾燥することで塗工層を備えた紙基材を作成した。
<紙基材の作成>
水中に炭酸カルシウム(商品名:「白艶華PZ」、粒子径4.8μm、白石工業(株)製)100質量部に対し、分散剤(商品名:「ポイズ520」、花王(株)社製)を0.4質量部添加し固形分濃度が57質量%となる分散液を得た。この分散液に対してバインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:R1130、(株)クラレ社製)を25質量部、消泡剤(商品名:ノプタム740A、サンノプコ(株)社製)0.02質量部添加し固形分濃度が20質量%となるよう水で希釈し塗工液を得た後、原紙として坪量127.5 g/m2、厚さ143.7μmの上質紙上にバーコーターを用いて上記塗工液を15 g/m2の割合で塗工し、乾燥することで塗工層を備えた紙基材を作成した。
<空隙率の測定>
得られた紙基材をイオンミリング(型式:EM-TIC3x、Leica Microsystems製)によって断面を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)(型式:SU8020、日立ハイテク(株)製)を用いて加速電圧7 kVにて5000倍の断面像を撮影し、得られた画像を画像解析処理ソフト(商品名:WinROOF2018、三谷商事(株)製)で画像処理をして塗工層の空隙率を求めた。
尚、画像解析処理において、明るさとコントラストを調整後、目視にて空隙と判断される箇所と画像が一致するように閾値を設定し2値化処理を行った。
得られた紙基材をイオンミリング(型式:EM-TIC3x、Leica Microsystems製)によって断面を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)(型式:SU8020、日立ハイテク(株)製)を用いて加速電圧7 kVにて5000倍の断面像を撮影し、得られた画像を画像解析処理ソフト(商品名:WinROOF2018、三谷商事(株)製)で画像処理をして塗工層の空隙率を求めた。
尚、画像解析処理において、明るさとコントラストを調整後、目視にて空隙と判断される箇所と画像が一致するように閾値を設定し2値化処理を行った。
<光照射による導電層の形成>
得られた紙基材上に酸化銅ペースト(商品名:Metalon ICI-021、Nova Centrix社製)をスクリーン印刷により印刷することで前駆体層を設け、さらに光照射することで導電層を得た。
具体的には、上記紙基材上に、上記酸化銅ペーストを用いてスクリーン印刷にて巾1mm×長さ39mm、厚さ10μmの長方形パターンを印刷し、印刷層を大気雰囲気下80℃で10分間乾燥させて前駆体層を設けた。前駆体層にパルス照射装置(商品名:S-2300、Xenon社製)を使用して、パルス電圧2800V、パルス幅3000μsでキセノンフラッシュランプにより波長200~800nmの光を1パルス照射して、光焼成して導電層を得た後、油圧ロールプレスにて圧縮して導電性紙基板1を作成した。
得られた紙基材上に酸化銅ペースト(商品名:Metalon ICI-021、Nova Centrix社製)をスクリーン印刷により印刷することで前駆体層を設け、さらに光照射することで導電層を得た。
具体的には、上記紙基材上に、上記酸化銅ペーストを用いてスクリーン印刷にて巾1mm×長さ39mm、厚さ10μmの長方形パターンを印刷し、印刷層を大気雰囲気下80℃で10分間乾燥させて前駆体層を設けた。前駆体層にパルス照射装置(商品名:S-2300、Xenon社製)を使用して、パルス電圧2800V、パルス幅3000μsでキセノンフラッシュランプにより波長200~800nmの光を1パルス照射して、光焼成して導電層を得た後、油圧ロールプレスにて圧縮して導電性紙基板1を作成した。
<導電層の電気抵抗率の測定>
導電性紙基板1の導電層の電気抵抗をテスター(商品名:デジタルマルチテスター117、FLUKU社製)により導電層の電気抵抗値(Ω)を測定した。導電層の長さを39mm、幅を1mm、厚みを10μmとして電気抵抗率(μΩ・cm)を算出した。
導電性紙基板1の導電層の電気抵抗をテスター(商品名:デジタルマルチテスター117、FLUKU社製)により導電層の電気抵抗値(Ω)を測定した。導電層の長さを39mm、幅を1mm、厚みを10μmとして電気抵抗率(μΩ・cm)を算出した。
<導電層の密着性評価>
導電性紙基板1の導電層に巾18mmの粘着性テープ(商品名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を2kgのゴムローラーを用いて荷重をかけながら気泡が入らないように貼り付け、ゴムローラーで2往復荷重をかけた後、基板とテープの角度が約90度になるように注意しながらテープを引きはがし、テープに付着した導電層の剥離量により紙基材と導電層の密着性を評価した。
導電層がテープにほとんど転写しなかったものを〇、テープのエッジ部等に部分的に転写したものを△、導電層の大半が転写したものを×と評価した。
導電性紙基板1の導電層に巾18mmの粘着性テープ(商品名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を2kgのゴムローラーを用いて荷重をかけながら気泡が入らないように貼り付け、ゴムローラーで2往復荷重をかけた後、基板とテープの角度が約90度になるように注意しながらテープを引きはがし、テープに付着した導電層の剥離量により紙基材と導電層の密着性を評価した。
導電層がテープにほとんど転写しなかったものを〇、テープのエッジ部等に部分的に転写したものを△、導電層の大半が転写したものを×と評価した。
[実施例2]
実施例1の炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウム(商品名「TP221」、粒子径3.9μm、奥多摩工業(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板2を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、並びに、導電性紙基板2の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
実施例1の炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウム(商品名「TP221」、粒子径3.9μm、奥多摩工業(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板2を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、並びに、導電性紙基板2の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
[実施例3]
実施例1の炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウム(商品名「TP221」、粒子径3.9μm、奥多摩工業(株)社製)に変更し、バインダー(PVA)の添加量を50質量部に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板3を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、並びに、導電性紙基板3の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
実施例1の炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウム(商品名「TP221」、粒子径3.9μm、奥多摩工業(株)社製)に変更し、バインダー(PVA)の添加量を50質量部に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板3を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、並びに、導電性紙基板3の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
[比較例1]
実施例1の炭酸カルシウムをゲル法シリカ(商品名「NIPGEL CX-200」、粒子径2.7μm、東ソー・シリカ(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板4を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、導電性紙基板4の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
実施例1の炭酸カルシウムをゲル法シリカ(商品名「NIPGEL CX-200」、粒子径2.7μm、東ソー・シリカ(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板4を作成した。
実施例1と同様に、塗工層の空隙率、導電性紙基板4の導電層の電気抵抗率及び密着性を測定乃至評価した。
[比較例2]
実施例1にて使用の原紙に塗工層を設けず、スクリーン印刷以降の手順は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板5を作成した。
導電性紙基板5では導電層が紙基材上から飛散しており、電気抵抗率及び密着性の測定乃至評価はできなかった。
実施例1にて使用の原紙に塗工層を設けず、スクリーン印刷以降の手順は実施例1と同様の手順に従い、導電性紙基板5を作成した。
導電性紙基板5では導電層が紙基材上から飛散しており、電気抵抗率及び密着性の測定乃至評価はできなかった。
[比較例3]
実施例1にて使用した原紙に、実施例1で使用した塗工液から炭酸カルシウムを除いたものをバーコーターを用いて15 g/m2の割合で塗工し乾燥して紙基材を作成した以外は実施例1と同様の手順に従い導電性紙基板6を作成した。
塗工層の空隙率は測定不可であった。また、導電性紙基板6では導電層が紙基材上から飛散しており、電気抵抗率及び密着性の測定乃至評価はできなかった。
実施例1にて使用した原紙に、実施例1で使用した塗工液から炭酸カルシウムを除いたものをバーコーターを用いて15 g/m2の割合で塗工し乾燥して紙基材を作成した以外は実施例1と同様の手順に従い導電性紙基板6を作成した。
塗工層の空隙率は測定不可であった。また、導電性紙基板6では導電層が紙基材上から飛散しており、電気抵抗率及び密着性の測定乃至評価はできなかった。
実施例1~3及び比較例1~3の紙基材の塗工層の空隙率、並びに、導電性紙基板の導電層の電気抵抗率及び密着性の測定乃至評価結果を表1に示す。
1 原紙
2 塗工層
3 導電層
4 バンプ
5 ICチップ
2 塗工層
3 導電層
4 バンプ
5 ICチップ
Claims (12)
- 表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成後、光照射により金属酸化物が還元された金属を含む導電層を形成するための紙基材であって、
前記紙基材が原紙及び塗工層を備えており、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含み、
前記塗工層上に前記導電層が形成される、紙基材。 - 前記無機塩の平均粒子径が1~10μmである、請求項1記載の紙基材。
- 前記塗工層の空隙率が30%~80%である、請求項1又は2記載の紙基材。
- 前記塗工層に含まれる前記バインダーの量が前記無機塩100質量部に対し10質量部~50質量部である、請求項1乃至3のいずれかに記載の紙基材。
- 前記無機塩が炭酸カルシウムである、請求項1乃至4のいずれかに記載の紙基材。
- 前記バインダーが水溶性高分子である、請求項1乃至5のいずれかに記載の紙基材。
- 前記バインダーが、ガラス転移温度が0℃以上のアクリル系樹脂である、請求項1乃至5のいずれかに記載の紙基材。
- 前記塗工層の厚みが3~30μmである、請求項1乃至7のいずれかに記載の紙基材。
- 前記導電層が形成された請求項1乃至8のいずれかに記載の紙基材を備える導電性紙基板。
- 請求項9記載の導電性紙基板を備えるRFIDタグ。
- 原紙及び塗工層を備える紙基材であって、
前記塗工層が多孔性であり、且つ、無機塩及びバインダーを含む紙基材
の前記塗工層の表面に金属酸化物を含む前駆体層を形成する工程、及び、
前記前駆体層に光照射して前記金属酸化物が還元された金属を含む導電層を前記塗工層上に形成する工程
を含む、導電性紙基板の製造方法。 - 前記塗工層の空隙率が30%~80%である、請求項11記載の製造方法。
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JP2021006649A JP2022110919A (ja) | 2021-01-19 | 2021-01-19 | 紙基材、導電性紙基板及び導電性紙基板の製造方法 |
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