JP2004063724A - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パターニング処理の工程数が少なく、安価で、低い熱処理温度で形成できるプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】プラスチックフィルム等からなる絶縁基材11の所定位置に、金型を用いたエンボス加工を施し、所定形状、所定深さの凹部12を形成する。さらに、溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属微粒子溶液を作製し、グラビア塗工機を用いて、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に上記溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属微粒子溶液を塗布し、ドクター刃による塗液の掻き取り、乾燥を順次繰り返して、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び銀微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を得る。
【選択図】図2
【解決手段】プラスチックフィルム等からなる絶縁基材11の所定位置に、金型を用いたエンボス加工を施し、所定形状、所定深さの凹部12を形成する。さらに、溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属微粒子溶液を作製し、グラビア塗工機を用いて、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に上記溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属微粒子溶液を塗布し、ドクター刃による塗液の掻き取り、乾燥を順次繰り返して、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び銀微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を得る。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器等に用いられるプリント配線板に関し、詳しくは、所定形状にエンボス加工された絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層、凝集促進層及び金属微粒子凝集層からなる配線パターンを有するプリント配線板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在まで、電子機器等に用いられている配線基板は、必要不可欠な役割を果たしつつ、着実に成長をつづけてきた。然しながら、近年、電子機器、特に情報通信関連機器等の高性能化及び市場の増大、細分化に伴い、配線パターンの更なる微細化、製品の多品種化、試作、製造の短納期化が求められている。また、プリント配線板の電子機器全体のコストに占める割合は大きく、プリント配線板の低コスト化は、更なる市場拡大、新規市場の創設に向けて避けられない課題である。
【0003】
プリント配線板の製造方法としては、銅張積層板の銅箔の不要部分をエッチングなどにより選択的に除去して導電パターンを形成するサブトラクティブ法が現在の主流な方法である。その他には、基材上にあらかじめ触媒をパターン状に形成しておき、その部分に選択的に金属を析出させ配線パターンを形成するセミアディティブ法、または導電ペーストを印刷して配線パターンを形成する印刷法などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、サブトラクティブ法においては、配線パターンのさらなる微細化には対応可能であるが、レジストの塗布・露光・現像・レジスト除去などのパターニング処理工程数が多く、低コスト化、製造・試作の短納期化は難しい。
また、セミアディティブ法においても、現在のところ、レジストの塗布及び露光、現像の工程を要しない方法は実用化されておらず、サブトラクティブ法同様、低コスト化及び製造・試作の短納期化は難しい状況にある。また、導電ペーストを印刷する方法においては、スクリーン印刷法を用いて実用化されているが、現在実用化されている低温焼成型ペーストにおいても導電性を確保するためにはバインダ樹脂を除く必要があるため、少なくとも200℃の焼成工程が必要であるから、選択可能な基材が限定され、また絶縁基材に対する熱の影響が問題点として残る。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に配線パターンを形成することにより、パターニング処理の工程数を少なく、安価で、低い熱処理温度で形成できるプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いては上記問題を解決するため、まず請求項1においては、絶縁基材の片面もしくは両面に少なくとも配線パターンが形成されたプリント配線板であって、前記配線パターンが、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する溶媒浸透層と、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する凝集促進層と、少なくとも金属微粒子を含有する金属微粒子凝集層とで形成されていることを特徴とするプリント配線板としたものである。
【0007】
また、請求項2においては、前記金属微粒子は、銀、アルミ、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属または合金であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板としたものである。
【0008】
また、請求項3においては、少なくとも以下の工程を具備することを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法としたものである。
(a)プラスチックフィルム等からなる絶縁基材をエンボス加工して所定形状の凹部を形成する工程。
(b)前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる溶媒浸透溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して溶媒浸透層を形成する工程。
(c)前記溶媒浸透層が形成された前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる凝集促進溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して凝集促進層を形成する工程。
(d)前記溶媒浸透層及び前記凝集促進が形成された前記絶縁基材の凹部に、金属微粒子及び溶媒からなる金属微粒子溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して金属微粒子凝集層を形成して、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層、凝集促進層及び金属微粒子凝集層を順次積層して配線パターンを形成する工程。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1(a)は、本発明のプリント配線板の構成の一例を示す部分模式構成断面図である。図1(b)は、(a)の配線パターンA部を拡大した部分模式構成断面図である。
本発明のプリント配線板は、図1(a)に示すように、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材11の凹部に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41を順次積層して配線パターン50を形成したものである。
【0010】
溶媒浸透層21は、金属微粒子溶液を基材に塗布した際に、金属微粒子凝集層形成に不要な溶媒成分や添加物を速やかに浸透、吸収し、金属粒子成分のみ凝集促進層31上に残す役割を担っている。
凝集促進層31は、金属微粒子溶液から溶媒成分や添加物が溶媒浸透層21に吸収、浸透された後、残りの金属微粒子が凝集、堆積し、金属微粒子凝集層41が形成される助けとなる。
金属微粒子凝集層41は、溶媒浸透層21及び凝集促進層31の作用により金属微粒子が堆積、凝集した層であり、これにより電気的導通が発現する。
【0011】
以下本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。
図2(a)〜(e)に、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図を示す。
まず、プラスチックフィルム等からなる絶縁基材11を準備する(図2(a)参照)。
絶縁基材11は配線パターン間の絶縁性を保持でき、エンボス加工適性のある材料であれば使用可能である、例えば、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂など、公知のプラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。
絶縁基材11の厚みとしては特に限定されるものではないが、少なくとも溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41を形成できるエンボス凹部の深さが確保でき、エンボス加工後もある程度の機械強度が保てるような厚みに設定する。
【0012】
次に、絶縁基材11の所定位置に、金型を用いたエンボス加工を施し、所定形状、所定深さの凹部12を形成する(図2(b)参照)。
エンボス用の金型は、配線パターンの形状に応じた凸部が形成されており、フォトエッチング加工、機械加工等で作製される。
【0013】
次に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒を混合して、溶媒浸透溶液を作製し、この溶媒浸透溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で溶媒浸透溶液を絶縁基材11の凹部12にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12に所定厚の溶媒浸透層21を形成する(図2(c)参照)。
ここで、溶媒浸透溶液に含まれるバインダ樹脂の含有量としては、フィラー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましい。バインダ樹脂の含有量がフィラー100重量部に対して100重量部を超えると、フィラーの隙間が無くなってしまい、1重量部を下回ると、塗膜強度や基材への密着が劣るため、好ましくない。
溶媒浸透層21の膜厚は、100nm〜100μmの間で適宜設定される。
【0014】
溶媒浸透溶液を構成しているバインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えばポリビニルアルコールやポリエチレングリコールなどの水溶性高分子や、各種熱硬化性樹脂及びモノマー、光硬化性樹脂及びモノマーなどを用いることができる。
【0015】
溶媒浸透溶液を構成しているフィラーとしては、水酸化物系、酸化物系、ケイ酸及びケイ酸塩微粒子及び樹脂系等からなる微粒子、または繊維状物質が使用できる。水酸化物系微粒子としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩微粒子及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの微粒子を、酸化物系微粒子としては酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化インジウムなどの微粒子を、ケイ酸及びケイ酸塩微粒子としてはケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどの微粒子を、樹脂系微粒子としては、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂などの微粒子をそれぞれ挙げることができる。
また、繊維状物質としては、木材繊維、綿繊維、羊毛繊維、絹繊維、麻繊維、セルロース繊維、レイヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、ガラス繊維などを挙げることができる。
溶媒浸透溶液を構成している溶媒としては特に限定されるものではなく、水系、溶剤系、若しくはその混合系等、使用するフィラーとバインダ樹脂により適宜選定することができる。必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることもできる。
【0016】
溶媒浸透溶液を絶縁基材11の凹部12に埋め込む方法としては、グラビアコート、マイクログラビアコート、シルクスクリーンコート、ワイヤーバーコート、インクジェット、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート等公知の方法が使用できるが、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取り、乾燥する工程を考慮すれば、グラビアコート、マイクログラビアコート、ワイヤーバーコート、ロールコート、特にグラビアコートが好適である。
【0017】
次に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒を混合して、凝集促進溶液を作製し、この凝集促進溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で凝集促進溶液を絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21上にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21上に所定厚の凝集促進層31を形成する(図2(d)参照)。
ここで、凝集促進溶液に含まれるバインダ樹脂の含有量としては、フィラー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましい。バインダ樹脂の含有量がフィラー100重量部に対して100重量部を超えると、フィラーの隙間が無くなってしまい、1重量部を下回ると、塗膜強度や基材への密着が劣るため、好ましくない。
凝集促進層31の膜厚は、5nm〜10μmの間で適宜設定される。
【0018】
凝集促進溶液を構成するバインダ樹脂及びフィラーは上記溶媒浸透溶液に用いた材料がそのまま使用できる。
【0019】
次に、金属微粒子を主溶媒に分散した金属微粒子溶液を作製し、この金属微粒子溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で金属微粒子溶液を絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21及び凝集促進層31上にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21及び凝集促進層31上に金属微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を作製する(図2(e)参照)。
【0020】
ここで、金属微粒子溶液を構成している金属微粒子は、銀、アルミ、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム、インジウム等が挙げられるが、特に導電性とコストの観点から、銀、銅、アルミを主体とするものが好ましい。
金属微粒子の粒径としては、溶媒に分散可能であれば特に限定されるものではないが、50μm以下、特に分散剤などを用いて溶媒に分散可能な粒径としては、5μm以下であることが好ましい。また、微細加工の必要がある場合は、100nm以下のものが好ましい。
【0021】
また、金属微粒子溶液に用いられる主溶媒としては、水が好ましく、更にはイオン交換、蒸留などの精製工程を経た純水又は超純水が好ましい。また、主溶媒である水に対して、乾燥性、濡れ性の向上を目的として、エタノール、プロパノール等の高揮発性のアルコール類も少量ならば添加可能である。
金属微粒子溶液としては、溶媒以外に、調整時に用いられるクエン酸などの分散剤や、洗浄しきれていない還元剤その他添加物が含まれるが、溶液中の金属微粒子の分散性や塗膜形成後の導電性の劣化の原因となることがあるので、それ以外の添加剤は加えない方が好ましい。
分散剤としては、クエン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などのカルボン酸や、フェニルジアゾスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0022】
本発明のプリント配線板は、上記したように、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に形成された溶媒浸透層21、凝集促進層31上に金属微粒子溶液を塗布することにより、フィラーの持つ細孔や隙間へ、主として溶媒が選択的に浸透し、それに伴って凝集促進層表面に近い部分に金属微粒子の凝集層を形成し、目的の配線パターンが得られようにしたもので、この金属微粒子凝集層が、低い熱処理温度で形成されるのが特徴である。
また、本事例では、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を形成した2層の両面プリント配線板について説明したが、片面に配線パターンを形成した片面プリント配線板でも良い。さらに、2層の両面プリント配線板上に公知のビルドアップ等の工法で所望層数の絶縁層、配線パターン等を形成して、多層プリント配線板を得ることができることは言うまでもない。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
まず、100μm厚のポリエステルフィルム(電気化学工業社製)からなる絶縁基材11の両面に予めフォトエッチング加工で所定形状に加工されたエンボス金型を用いてエンボス加工を行い、深さ20μmの凹部12を形成した(図2(b)参照)。
【0024】
次に、溶媒浸透層を形成するための溶媒浸透溶液、凝集促進層を形成するための凝集促進溶液及びを金属微粒子凝集層を形成するための金属微粒子溶液をそれぞれ作製した。
まず、フレーク状アルミナゾル水溶液(アルミナゾル520(アルミナ分20重量%):日産化学工業製)を25重量部、ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA217)の10重量%水溶液を5重量部及び蒸留水を100重量部の割合で混合し、30分間攪拌して溶媒浸透溶液を得た。
次に、球状シリカゾル水溶液(スノーテックAk(シリカ分20重量%):日産化学工業(株)製)を25重量部、ポリビニルアルコール(PVA217:クラレ(株)製)の10重量%水溶液を5重量部及び蒸留水を100重量部の割合で混合し、30分間攪拌して凝集促進溶液を得た。
次に、公知の方法(例えばCarey−Leaが1889年に発表した方法(Am.J.Sci.,vol.37,pp.491,1889)により、銀微粒子分散水溶液を調製した。まず、30%硫酸鉄水溶液20重量部に、40%クエン酸ナトリウム水溶液を28重量部、10%水酸化ナトリウム水溶液を5重量部混合したものに、10%硝酸銀水溶液水溶液を20重量部加えて室温で15分間撹拌した。次に、12000rpmにて遠心分離工程15分を経た後に、超音波照射下で沈殿を5分程度洗浄した。洗浄液は10%硝酸アンモニウムを適当量使用した。再び12000rpmの遠心分離工程15分を経た後、蒸留水に再分散させ、赤褐色の銀コロイド分散液を得た。TEM観察により平均一次粒子径は約7nmであった。さらに、Ag濃度が7重量%となるように蒸留水にて希釈し調製した。
【0025】
次に、グラビア塗工機を用いて、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に上記溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属粒子溶液を、順次塗布し、ドクター刃による塗液の掻き取り、乾燥する工程を繰り返して、10μm厚の溶媒浸透層21、5μm厚の凝集促進層31及び500nm厚の銀微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を得た(図2(e)参照)。
【0026】
実施例で得られたプリント配線板の配線パターン(L(線幅)/S(間隔)=300/200μmのパターン)を光学顕微鏡にて観察した結果パターン形状は精度良く形成されていることが確認された。また、導通試験により、短絡、断線がないことが確認された。
【0027】
【発明の効果】
上記したように、本発明のプリント配線板は、所定形状にエンボス加工された絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層及び凝集促進層の微細孔構造層を設けることにより、バインダ樹脂を含まない金属微粒子溶液を塗布するだけで金属微粒子凝集層を形成でき、バインダ樹脂などを焼成する工程が不要であることから処理温度が低い工程で作製することができ、絶縁基材への熱の影響を軽減することができる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、微細な配線パターン形成を、従来の方法よりも大幅に少ない工程数でできるため、高品質の安価なプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のプリント配線板の一実施例を示す部分模式構成断面図である。(b)は、(a)の配線パターンA部を拡大した模式構成断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【符号の説明】
11……絶縁基材
12……凹部
21……溶媒浸透層
31……凝集促進層
41……金属微粒子凝集層
50……配線パターン
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器等に用いられるプリント配線板に関し、詳しくは、所定形状にエンボス加工された絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層、凝集促進層及び金属微粒子凝集層からなる配線パターンを有するプリント配線板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在まで、電子機器等に用いられている配線基板は、必要不可欠な役割を果たしつつ、着実に成長をつづけてきた。然しながら、近年、電子機器、特に情報通信関連機器等の高性能化及び市場の増大、細分化に伴い、配線パターンの更なる微細化、製品の多品種化、試作、製造の短納期化が求められている。また、プリント配線板の電子機器全体のコストに占める割合は大きく、プリント配線板の低コスト化は、更なる市場拡大、新規市場の創設に向けて避けられない課題である。
【0003】
プリント配線板の製造方法としては、銅張積層板の銅箔の不要部分をエッチングなどにより選択的に除去して導電パターンを形成するサブトラクティブ法が現在の主流な方法である。その他には、基材上にあらかじめ触媒をパターン状に形成しておき、その部分に選択的に金属を析出させ配線パターンを形成するセミアディティブ法、または導電ペーストを印刷して配線パターンを形成する印刷法などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、サブトラクティブ法においては、配線パターンのさらなる微細化には対応可能であるが、レジストの塗布・露光・現像・レジスト除去などのパターニング処理工程数が多く、低コスト化、製造・試作の短納期化は難しい。
また、セミアディティブ法においても、現在のところ、レジストの塗布及び露光、現像の工程を要しない方法は実用化されておらず、サブトラクティブ法同様、低コスト化及び製造・試作の短納期化は難しい状況にある。また、導電ペーストを印刷する方法においては、スクリーン印刷法を用いて実用化されているが、現在実用化されている低温焼成型ペーストにおいても導電性を確保するためにはバインダ樹脂を除く必要があるため、少なくとも200℃の焼成工程が必要であるから、選択可能な基材が限定され、また絶縁基材に対する熱の影響が問題点として残る。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に配線パターンを形成することにより、パターニング処理の工程数を少なく、安価で、低い熱処理温度で形成できるプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いては上記問題を解決するため、まず請求項1においては、絶縁基材の片面もしくは両面に少なくとも配線パターンが形成されたプリント配線板であって、前記配線パターンが、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する溶媒浸透層と、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する凝集促進層と、少なくとも金属微粒子を含有する金属微粒子凝集層とで形成されていることを特徴とするプリント配線板としたものである。
【0007】
また、請求項2においては、前記金属微粒子は、銀、アルミ、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属または合金であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板としたものである。
【0008】
また、請求項3においては、少なくとも以下の工程を具備することを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法としたものである。
(a)プラスチックフィルム等からなる絶縁基材をエンボス加工して所定形状の凹部を形成する工程。
(b)前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる溶媒浸透溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して溶媒浸透層を形成する工程。
(c)前記溶媒浸透層が形成された前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる凝集促進溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して凝集促進層を形成する工程。
(d)前記溶媒浸透層及び前記凝集促進が形成された前記絶縁基材の凹部に、金属微粒子及び溶媒からなる金属微粒子溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して金属微粒子凝集層を形成して、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層、凝集促進層及び金属微粒子凝集層を順次積層して配線パターンを形成する工程。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1(a)は、本発明のプリント配線板の構成の一例を示す部分模式構成断面図である。図1(b)は、(a)の配線パターンA部を拡大した部分模式構成断面図である。
本発明のプリント配線板は、図1(a)に示すように、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材11の凹部に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41を順次積層して配線パターン50を形成したものである。
【0010】
溶媒浸透層21は、金属微粒子溶液を基材に塗布した際に、金属微粒子凝集層形成に不要な溶媒成分や添加物を速やかに浸透、吸収し、金属粒子成分のみ凝集促進層31上に残す役割を担っている。
凝集促進層31は、金属微粒子溶液から溶媒成分や添加物が溶媒浸透層21に吸収、浸透された後、残りの金属微粒子が凝集、堆積し、金属微粒子凝集層41が形成される助けとなる。
金属微粒子凝集層41は、溶媒浸透層21及び凝集促進層31の作用により金属微粒子が堆積、凝集した層であり、これにより電気的導通が発現する。
【0011】
以下本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。
図2(a)〜(e)に、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図を示す。
まず、プラスチックフィルム等からなる絶縁基材11を準備する(図2(a)参照)。
絶縁基材11は配線パターン間の絶縁性を保持でき、エンボス加工適性のある材料であれば使用可能である、例えば、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂など、公知のプラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。
絶縁基材11の厚みとしては特に限定されるものではないが、少なくとも溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41を形成できるエンボス凹部の深さが確保でき、エンボス加工後もある程度の機械強度が保てるような厚みに設定する。
【0012】
次に、絶縁基材11の所定位置に、金型を用いたエンボス加工を施し、所定形状、所定深さの凹部12を形成する(図2(b)参照)。
エンボス用の金型は、配線パターンの形状に応じた凸部が形成されており、フォトエッチング加工、機械加工等で作製される。
【0013】
次に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒を混合して、溶媒浸透溶液を作製し、この溶媒浸透溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で溶媒浸透溶液を絶縁基材11の凹部12にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12に所定厚の溶媒浸透層21を形成する(図2(c)参照)。
ここで、溶媒浸透溶液に含まれるバインダ樹脂の含有量としては、フィラー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましい。バインダ樹脂の含有量がフィラー100重量部に対して100重量部を超えると、フィラーの隙間が無くなってしまい、1重量部を下回ると、塗膜強度や基材への密着が劣るため、好ましくない。
溶媒浸透層21の膜厚は、100nm〜100μmの間で適宜設定される。
【0014】
溶媒浸透溶液を構成しているバインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えばポリビニルアルコールやポリエチレングリコールなどの水溶性高分子や、各種熱硬化性樹脂及びモノマー、光硬化性樹脂及びモノマーなどを用いることができる。
【0015】
溶媒浸透溶液を構成しているフィラーとしては、水酸化物系、酸化物系、ケイ酸及びケイ酸塩微粒子及び樹脂系等からなる微粒子、または繊維状物質が使用できる。水酸化物系微粒子としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩微粒子及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの微粒子を、酸化物系微粒子としては酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化インジウムなどの微粒子を、ケイ酸及びケイ酸塩微粒子としてはケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどの微粒子を、樹脂系微粒子としては、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂などの微粒子をそれぞれ挙げることができる。
また、繊維状物質としては、木材繊維、綿繊維、羊毛繊維、絹繊維、麻繊維、セルロース繊維、レイヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、ガラス繊維などを挙げることができる。
溶媒浸透溶液を構成している溶媒としては特に限定されるものではなく、水系、溶剤系、若しくはその混合系等、使用するフィラーとバインダ樹脂により適宜選定することができる。必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることもできる。
【0016】
溶媒浸透溶液を絶縁基材11の凹部12に埋め込む方法としては、グラビアコート、マイクログラビアコート、シルクスクリーンコート、ワイヤーバーコート、インクジェット、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート等公知の方法が使用できるが、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取り、乾燥する工程を考慮すれば、グラビアコート、マイクログラビアコート、ワイヤーバーコート、ロールコート、特にグラビアコートが好適である。
【0017】
次に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒を混合して、凝集促進溶液を作製し、この凝集促進溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で凝集促進溶液を絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21上にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21上に所定厚の凝集促進層31を形成する(図2(d)参照)。
ここで、凝集促進溶液に含まれるバインダ樹脂の含有量としては、フィラー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲であることが好ましい。バインダ樹脂の含有量がフィラー100重量部に対して100重量部を超えると、フィラーの隙間が無くなってしまい、1重量部を下回ると、塗膜強度や基材への密着が劣るため、好ましくない。
凝集促進層31の膜厚は、5nm〜10μmの間で適宜設定される。
【0018】
凝集促進溶液を構成するバインダ樹脂及びフィラーは上記溶媒浸透溶液に用いた材料がそのまま使用できる。
【0019】
次に、金属微粒子を主溶媒に分散した金属微粒子溶液を作製し、この金属微粒子溶液を絶縁基材11上に所定厚塗布し、塗布直後にドクター刃で不要な塗液を掻き取る等の方法で金属微粒子溶液を絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21及び凝集促進層31上にのみ埋め込み、所定の温度、時間乾燥して、絶縁基材11の凹部12の溶媒浸透層21及び凝集促進層31上に金属微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を作製する(図2(e)参照)。
【0020】
ここで、金属微粒子溶液を構成している金属微粒子は、銀、アルミ、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム、インジウム等が挙げられるが、特に導電性とコストの観点から、銀、銅、アルミを主体とするものが好ましい。
金属微粒子の粒径としては、溶媒に分散可能であれば特に限定されるものではないが、50μm以下、特に分散剤などを用いて溶媒に分散可能な粒径としては、5μm以下であることが好ましい。また、微細加工の必要がある場合は、100nm以下のものが好ましい。
【0021】
また、金属微粒子溶液に用いられる主溶媒としては、水が好ましく、更にはイオン交換、蒸留などの精製工程を経た純水又は超純水が好ましい。また、主溶媒である水に対して、乾燥性、濡れ性の向上を目的として、エタノール、プロパノール等の高揮発性のアルコール類も少量ならば添加可能である。
金属微粒子溶液としては、溶媒以外に、調整時に用いられるクエン酸などの分散剤や、洗浄しきれていない還元剤その他添加物が含まれるが、溶液中の金属微粒子の分散性や塗膜形成後の導電性の劣化の原因となることがあるので、それ以外の添加剤は加えない方が好ましい。
分散剤としては、クエン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などのカルボン酸や、フェニルジアゾスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0022】
本発明のプリント配線板は、上記したように、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に形成された溶媒浸透層21、凝集促進層31上に金属微粒子溶液を塗布することにより、フィラーの持つ細孔や隙間へ、主として溶媒が選択的に浸透し、それに伴って凝集促進層表面に近い部分に金属微粒子の凝集層を形成し、目的の配線パターンが得られようにしたもので、この金属微粒子凝集層が、低い熱処理温度で形成されるのが特徴である。
また、本事例では、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を形成した2層の両面プリント配線板について説明したが、片面に配線パターンを形成した片面プリント配線板でも良い。さらに、2層の両面プリント配線板上に公知のビルドアップ等の工法で所望層数の絶縁層、配線パターン等を形成して、多層プリント配線板を得ることができることは言うまでもない。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
まず、100μm厚のポリエステルフィルム(電気化学工業社製)からなる絶縁基材11の両面に予めフォトエッチング加工で所定形状に加工されたエンボス金型を用いてエンボス加工を行い、深さ20μmの凹部12を形成した(図2(b)参照)。
【0024】
次に、溶媒浸透層を形成するための溶媒浸透溶液、凝集促進層を形成するための凝集促進溶液及びを金属微粒子凝集層を形成するための金属微粒子溶液をそれぞれ作製した。
まず、フレーク状アルミナゾル水溶液(アルミナゾル520(アルミナ分20重量%):日産化学工業製)を25重量部、ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA217)の10重量%水溶液を5重量部及び蒸留水を100重量部の割合で混合し、30分間攪拌して溶媒浸透溶液を得た。
次に、球状シリカゾル水溶液(スノーテックAk(シリカ分20重量%):日産化学工業(株)製)を25重量部、ポリビニルアルコール(PVA217:クラレ(株)製)の10重量%水溶液を5重量部及び蒸留水を100重量部の割合で混合し、30分間攪拌して凝集促進溶液を得た。
次に、公知の方法(例えばCarey−Leaが1889年に発表した方法(Am.J.Sci.,vol.37,pp.491,1889)により、銀微粒子分散水溶液を調製した。まず、30%硫酸鉄水溶液20重量部に、40%クエン酸ナトリウム水溶液を28重量部、10%水酸化ナトリウム水溶液を5重量部混合したものに、10%硝酸銀水溶液水溶液を20重量部加えて室温で15分間撹拌した。次に、12000rpmにて遠心分離工程15分を経た後に、超音波照射下で沈殿を5分程度洗浄した。洗浄液は10%硝酸アンモニウムを適当量使用した。再び12000rpmの遠心分離工程15分を経た後、蒸留水に再分散させ、赤褐色の銀コロイド分散液を得た。TEM観察により平均一次粒子径は約7nmであった。さらに、Ag濃度が7重量%となるように蒸留水にて希釈し調製した。
【0025】
次に、グラビア塗工機を用いて、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に上記溶媒浸透溶液、凝集促進溶液及び金属粒子溶液を、順次塗布し、ドクター刃による塗液の掻き取り、乾燥する工程を繰り返して、10μm厚の溶媒浸透層21、5μm厚の凝集促進層31及び500nm厚の銀微粒子凝集層41を形成し、所定形状にエンボス加工された絶縁基材11の凹部12に、溶媒浸透層21、凝集促進層31及び金属微粒子凝集層41からなる配線パターン50を有する2層の両面プリント配線板を得た(図2(e)参照)。
【0026】
実施例で得られたプリント配線板の配線パターン(L(線幅)/S(間隔)=300/200μmのパターン)を光学顕微鏡にて観察した結果パターン形状は精度良く形成されていることが確認された。また、導通試験により、短絡、断線がないことが確認された。
【0027】
【発明の効果】
上記したように、本発明のプリント配線板は、所定形状にエンボス加工された絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層及び凝集促進層の微細孔構造層を設けることにより、バインダ樹脂を含まない金属微粒子溶液を塗布するだけで金属微粒子凝集層を形成でき、バインダ樹脂などを焼成する工程が不要であることから処理温度が低い工程で作製することができ、絶縁基材への熱の影響を軽減することができる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、微細な配線パターン形成を、従来の方法よりも大幅に少ない工程数でできるため、高品質の安価なプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のプリント配線板の一実施例を示す部分模式構成断面図である。(b)は、(a)の配線パターンA部を拡大した模式構成断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【符号の説明】
11……絶縁基材
12……凹部
21……溶媒浸透層
31……凝集促進層
41……金属微粒子凝集層
50……配線パターン
Claims (3)
- 絶縁基材の片面もしくは両面に少なくとも配線パターンが形成されたプリント配線板であって、前記配線パターンが、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する溶媒浸透層と、少なくともバインダ樹脂とフィラーとを含有する凝集促進層と、少なくとも金属微粒子を含有する金属微粒子凝集層とで形成されていることを特徴とするプリント配線板。
- 前記金属微粒子は、銀、アルミ、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属または合金であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 少なくとも以下の工程を具備することを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
(a)プラスチックフィルム等からなる絶縁基材をエンボス加工して所定形状の凹部を形成する工程。
(b)前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる溶媒浸透溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して溶媒浸透層を形成する工程。(c)前記溶媒浸透層が形成された前記絶縁基材の凹部に、バインダ樹脂、フィラー及び溶媒からなる凝集促進溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して凝集促進層を形成する工程。
(d)前記溶媒浸透層及び前記凝集促進層が形成された前記絶縁基材の凹部に、金属微粒子及び溶媒からなる金属微粒子溶液をグラビアコート等で埋め込み、乾燥して金属微粒子凝集層を形成して、所定形状にエンボス加工された前記絶縁基材の凹部に、溶媒浸透層、凝集促進層及び金属微粒子凝集層からなる配線パターンを形成する工程。
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JP2006210891A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-08-10 | Mitsuboshi Belting Ltd | ポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法 |
JP2009136844A (ja) * | 2007-12-10 | 2009-06-25 | Seiko Epson Corp | 洗浄液および液滴吐出装置 |
US11350520B2 (en) | 2019-08-08 | 2022-05-31 | At&S Austria Technologie & Systemtechnik Aktiengesellschaft | Component carrier and method of manufacturing the same |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219244A patent/JP2004063724A/ja active Pending
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