JP2022083340A - 固定構造および光学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】接着剤の体積変化により被着体に生じる位置ずれを抑制する。【解決手段】第1被着体と第2被着体とを、接着剤により固定する。第1被着体は、接着剤と接触する第1接着面を有し、第2被着体は、第1接着面に対向する第2接着面と、接着剤を第2接着面に対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの少なくとも一部に設けられ、垂直な軸に対して平行な方向に延びる延設面と、を有する。第2被着体において、接着剤は、第2接着面に接触する一方、延設面に対して非接触である。【選択図】図3
Description
本開示は、被着体を接着剤により接合させる固定構造、および被着体として光学部品を備える光学デバイスに関する。
接着剤による接合部に比較的高い精度が求められる用途に対する固定方法として、特許文献1には、接着剤に熱膨張率が小さい無機充填剤を添加することが開示されている。
特許文献1に記載の技術は、接着剤に平均粒径が1~20μmほどの無機充填材を添加することで、高温高湿環境または温度サイクル条件のもとで接着剤に生じる体積変化を抑制するものである。しかし、接着剤の体積変化を完全になくすことは困難であるから、接合部の精度に多少なりとも影響があり得る点で改善が望まれる。
したがって、接着剤の体積変化により被着体に生じる位置ずれを適切に抑制することが可能な固定構造および光学デバイスを提供することが望ましい。
本開示の一実施形態に係る固定構造は、第1被着体と第2被着体とが、接着剤により固定された固定構造である。本形態では、第1被着体は、接着剤と接触する第1接着面を有し、第2被着体は、第1接着面に対向する第2接着面と、接着剤を第2接着面に対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの少なくとも一部に設けられ、この垂直な軸に対して平行な方向に延びる延設面と、を有する。そして、第2被着体において、接着剤は、第2接着面に接触する一方、延設面に対して非接触である。
以下、本開示における実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一具体例であり、本開示の技術を以下の具体的態様に限定することが意図されたものではない。また、以下の実施形態における各構成要素の配置、寸法および寸法比についても各図に表示される例に限定されるわけではない。
説明は、以下の順序で行う。
1.光学デバイスの概略構成
2.光学デバイスの組立手順
3.作用および効果
4.まとめ
1.光学デバイスの概略構成
2.光学デバイスの組立手順
3.作用および効果
4.まとめ
<1.光学デバイスの概略構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る固定構造が適用された光学デバイス1の外観を模式的に示す概略図である。
図1は、本開示の一実施形態に係る固定構造が適用された光学デバイス1の外観を模式的に示す概略図である。
本実施形態では、光学デバイス1は、光学部品である光学ガラス部品11を、接着剤Aにより保持部材である枠体12に固定して構成される。採用可能な光学ガラス部品11として、レンズ、偏光板およびハーフミラーを例示することが可能である。枠体12は、アルミニウム等の金属のほか、強化プラスチック等を材料とすることが可能であり、枠体12の材料は、枠体12に求められる強度に応じて適宜に選択可能である。光学ガラス部品11は、本実施形態に係る「第1被着体」に相当し、枠体12は、本実施形態に係る「第2被着体」に相当する。
光学ガラス部品11をレンズ等とする光学デバイス1において、光学ガラス部品11の表面に対して垂直な方向、つまり、光軸方向における光学ガラス部品11の位置精度が重要となる。本実施形態では、光学ガラス部品11に対し、光軸方向に数百ナノメートル(nm)オーダからマイクロメートル(μm)オーダの位置精度が求められる。
このような高い位置精度を達成するため、本実施形態では、次に述べるような固定構造を採用する。以下の説明において、光学ガラス部品11の表面に対して垂直な方向(以下「上下方向」という場合がある)のうち、光学ガラス部品11の表面が向く方向、つまり、図1における上方に向く方向を「上方」といい、これとは反対の下方に向く方向を「下方」というものとする。さらに、枠体12の内面12aに対して垂直な方向(光学ガラス部品11の表面に対して平行な方向であり、以下「水平方向」という場合がある)のうち、枠体12の内外に関する内側に向く方向を「内方」といい、これとは反対の外側に向く方向を「外方」というものとする。
図3は、本実施形態に係る光学デバイス1の、接着剤Aによる接合部近傍の状態を、(a)接着剤Aの膨張前および(b)膨張後のそれぞれについて模式的に示す概略図であり、図1中、符号Rにより示す領域を拡大して示す。図3(a)を便宜的に参照して、本実施形態に係る固定構造について説明する。
本実施形態では、第1被着体である光学ガラス部品11と第2被着体である枠体12とを、接着剤Aにより固定する。光学ガラス部品11では、枠体12の内面12aと向き合う端面11aの一部に接着剤Aが接触する。他方で、枠体12は、内面12aの一部に、光学ガラス部品11の端面11aに向けて開口する凹状部Dを有する。凹状部Dは、内方に開口するとともに、上方に開口する。換言すれば、凹状部Dは、内方および上方以外の方向に閉じた状態にあり、光学ガラス部品11の端面11aに対して平行な底面12bを有するとともに、底面12bに対して垂直な側面12cを有する。接着剤Aは、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの間に保持され、凹状部Dの底面12bの一部に接触する。
光学ガラス部品11の端面11aは、本実施形態に係る「第1面」に相当し、枠体12の内面12aは、本実施形態に係る「第2面」に相当する。光学ガラス部品11の端面11aのうち、接着剤Aが接触する部分は、本実施形態に係る「第1接触面」に相当し、枠体12の内面12a、具体的には、凹状部Dの底面12bのうち、接着剤Aが接触する部分は、本実施形態に係る「第2接着面」に相当する。さらに、凹状部Dの側面12cは、接着剤Aを底面12bに対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの一部、具体的には、接着剤Aの下方に設けられ、この垂直な軸に対して平行な方向に延在するものであり、本実施形態に係る「延設面」に相当する。
ここで、接着剤Aは、光学ガラス部品11の端面11aの一部と枠体12の凹状部Dの底面12bの一部に接触する一方、凹状部Dの側面12cに対して非接触であり、側面12cから浮いた状態にある。
接着剤Aを凹状部Dの底面12bに対して垂直な軸まわりに囲む側面のうち、接着剤Aの側方にある面は、接着剤Aに接触していてもよいし、接着剤Aに対して非接触であってもよい。
<2.光学デバイスの組立手順>
図2は、本実施形態に係る光学デバイス1の、光学ガラス部品11と枠体12との固定手順を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る光学デバイス1の、光学ガラス部品11と枠体12との固定手順を示す概略図である。
枠体12は、光学デバイス1の組立前の状態において、適宜の数の胴付片13が設けられ、光学ガラス部品11と枠体12とを固定する際に、光学ガラス部品11をこの胴付片13に載置することが可能である。光学ガラス部品11を胴付片13に載置した状態で、光学ガラス部品11の位置決めが達成され、光学ガラス部品11の上下方向の位置が定められる。
光学ガラス部品11を胴付片13に載置した状態では、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の内面12aとの間に多少の隙間が形成される。この隙間の存在により、接着剤Aの硬化時に、光学ガラス部品11の位置を水平方向に僅かにずらし、枠体12に対する位置調整を図ることが可能となる。ここに、凹状部Dは、接着剤Aを塗布する際の目安となる領域を規定し、凹状部Dの側面12cは、接着剤Aが必要以上に塗布された場合に、この余剰分が凹状部Dから流出し、枠体12の内面12aを伝って下方に垂れるのを抑制する受け部となるものである。
接着剤Aは、UV硬化型の接着剤であり、採用可能な接着剤Aとして、アクリル系接着剤、変成アクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤およびウレタン系接着剤を例示することが可能である。変成アクリレート系接着剤は、UV光照射により数秒の短い時間のうちに接着剤Aを硬化させることができ、さらに、硬化させている間に、光学ガラス部品11の位置を容易に調整可能であるという利点を有する。UV硬化型の接着剤以外に、2液硬化型のエポキシ系接着剤および温度硬化型の接着剤を採用することも可能である。
光学ガラス部品11を胴付片13に載置した後、光学ガラス部品11の端面11aの一部と、これと向き合う枠体12の凹状部Dの底面12bの一部と、のそれぞれに接触するように、接着剤Aを塗布する。ここで、接着剤Aは、凹状部Dの側面12cに対して非接触であり、側面12cから浮いた状態に保持する。
後により詳しく述べるが、接着剤Aを凹状部Dの側面12cから浮いた状態に保持するため、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの間隔をXとし、硬化前における接着剤Aのチキソ比をYとして、間隔Xとチキソ比Yとの間には、次式(1)により示す関係が成立する。
2X≦Y …(1)
2X≦Y …(1)
<3.作用および効果>
光学部品が接着剤により固定された光学デバイスは、高温高湿環境、熱衝撃または温度サイクル条件に曝した場合に、接着剤の体積変化、つまり、膨張または収縮に起因して光学部品に生じる位置ずれが生じる可能性があるとともに、接着剤の機械物性および応力分布が変化することに起因して生じる接着強度および耐衝撃性の低下が生じる可能性がある。
光学部品が接着剤により固定された光学デバイスは、高温高湿環境、熱衝撃または温度サイクル条件に曝した場合に、接着剤の体積変化、つまり、膨張または収縮に起因して光学部品に生じる位置ずれが生じる可能性があるとともに、接着剤の機械物性および応力分布が変化することに起因して生じる接着強度および耐衝撃性の低下が生じる可能性がある。
光学デバイス等、接着剤による接合部に比較的高い精度(例えば、μmオーダの精度)が求められる用途における固定方法として、前掲特許文献1には、接着剤に熱膨張率が小さい無機充填剤を添加することが開示されている。特許文献1に記載の技術は、平均粒径が1~20μmほどの無機充填材を添加することで、高温高湿環境または温度サイクル条件のもとで接着剤に生じる体積変化を抑制するものであり、耐剥離性を改善する点で効果が期待されるが、接着剤の体積変化を完全になくすことは困難であることから、接合部の精度に多少なりとも影響があり、特に光学部品に生じる位置ずれを完全になくすことが困難である点で、更なる改善の余地がある。そして、高温高湿環境のもとでは、接着剤が水分により膨潤し、接着剤の体積に数%から十数%の増加がもたらされるため、高温高湿環境が位置ずれに及ぼす影響はより大きなものとなり得る。
他方で、特開2016-020951号公報には、光学部品を固定する枠体に胴付面を形成するとともに、胴付面に開口を有する貫通穴を形成し、光学部品を枠体に固定する際に、光学部品を枠体の胴付面に当接させて、光学部品のスラスト方向の位置決めを図りながら、光学部品と枠体との接合部に向け、貫通穴を介して接着剤を供給することが開示されている。特開2016-020951号公報に記載の技術は、接着剤の収縮時に光学部品を胴付面上に固定したまま、光学部品に生じる歪を抑制するものであり、接着剤の膨張時についてまで対応可能なものではない。これは、高温高湿環境のもとでは、接着剤が膨潤するため、光学部品に対し、光学部品を胴付面から離間させる方向に応力が働くからである。
これに対し、本実施形態では、2つの被着体を接着剤により接合させる固定構造を提供し、接着剤が接触する面を、2つの被着体同士の間で互いに対向する一面ずつとし、それ以外の面については接着剤に対して非接触とする。接着剤に対して非接触とする構造は、2つの被着体を接合させる際に、接着剤を互いの対向面以外の面から浮かせた状態で塗布し、この浮かせた状態を維持しながら硬化させることにより実現可能である。
図3は、本実施形態に係る光学デバイス1の、接着剤Aによる接合部近傍の状態を、(a)接着剤Aの膨張前および(b)膨張後について模式的に示す概略図である。
図4は、比較例として、接着剤Aによる接合部近傍の状態を、(a)接着剤Aの膨張前および(b)膨張後について模式的に示す概略図である。
接着剤Aは通常、塗布時の作業性を考慮して、接着剤Aの組成を調整することにより粘性が付与されるため、接着剤Aを塗布した後、これが直ちに凹状部Dから流れ出し、枠体12の内面12aを伝って下方へ垂れることはない。しかし、凹状部Dを設け、その側面12cを余剰分の接着剤Aの受け部とすることで、接着剤Aが完全に硬化するまでの間に垂れるのを抑制することが可能となる。図4に示すように、比較例では、接着剤Aは、硬化後の状態において、光学ガラス部品11の端面11aのほか、枠体12の凹状部Dの底面12bおよび側面12cを含む3つ以上の面に接触することになる。
このような状態にある光学デバイス1を高温高湿環境等に晒した場合に、接着剤Aに体積変化(この場合は、膨張)が生じ、光学ガラス部品11に上方への位置ずれが生じる懸念がある。図4は、膨張後の接着剤を、特に符号A’により示す(図3においても同様である)。これは、接着剤Aに水分が侵入し、拡散することで、接着剤Aの体積が増加するためである。接着剤Aは、膨張による応力を逃がすために変形しようとするが、比較例では、光学ガラス部品11および枠体12により、枠体12の内面12aに対して垂直な水平方向の変形が制限されるため、接着剤Aは、上下方向に変形しようとする。さらに、下方への変形が凹状部Dの側面12cまたは受け部により制限された状態にあるため、結果として、接着剤Aは、上方への変形が促されることとなる。これにより、光学ガラス部品11が接着剤Aに引かれるようにして上方へ移動し、上方への位置ずれが生じることになる。光学ガラス部品11の上下方向の位置ずれは、焦点位置にずれを生じさせたり、入射光と反射光との間に光路差を生じさせたりする可能性がある。
他方で、光学デバイスを低温環境等に晒した場合は、接着剤Aに収縮が生じるが、この場合は、接着剤Aが凹状部Dの側面12cに接触し、接着剤Aの上方への変形が制限される一方、下方への変形に対する制限はないことから、接着剤Aは、下方へ縮むように変形する。これにより、光学ガラス部品11が接着剤Aに引かれるようにして下方へ移動し、下方への位置ずれを生じることとなる。比較例では、胴付片13により光学ガラス部品11の下方へのずれが制限されるものの、胴付片13の表面に凹凸があったり、異物が乗っていたりすると、光学ガラス部品11に凹凸または異物の頂部との接点を中心とした回転が生じ、位置ずれを生じる場合がある。
これに対し、本実施形態では、図3に示すように、接着剤Aが枠体12の凹状部Dの底面12bに接触する一方、側面12cに対して非接触であることで、接着剤Aに体積変化が生じたとしても、接着剤Aの変形が凹状部Dの側面12cによる制限を受けず、接着剤Aの変形を上下方向に等しく生じさせる(つまり、接着剤Aの変形を上下方向に等しく逃がす)ことが可能となる。これにより、光学ガラス部品11に位置ずれ、特に光学ガラス部品11の位置精度が求められる上下方向の位置ずれが生じるのを抑制することができる。
これは、高温高湿環境等、接着剤Aに膨張が生じる場合に限らず、低温環境等、接着剤Aに収縮が生じる場合であっても同様である。
図5は、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの間隔をXとし、硬化前における接着剤Aのチキソ比をYとして、間隔Xとチキソ比Yとの関係を示す説明図である。横軸に間隔Xを、縦軸にチキソ比Yを示す。
チキソ比Yは、回転粘度計を用い、25℃の温度のもと、高速回転時(例えば、10rpm)における接着剤Aの粘度と低速回転時(例えば、1rpm)における接着剤Aの粘度との比を算出することにより求めることが可能である。一般的な性質として、チキソ比が高い接着剤は、塗布時の流動性を確保しながら、塗布後の形状を保持し、垂れを生じ難いことから、凹状部Dの側面12cから浮いた状態を維持することが容易となる。
図5中、塗布後に接着剤Aが光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの間で良好に保持され、凹状部Dの側面12cから浮いた状態に維持された場合を〇(マル)により、接着剤Aが垂れてしまい、対向面である端面11aおよび底面12b以外の面(例えば、凹状部Dの側面12c)に付着した場合を×(バツ)により夫々示す。
図5から分かるように、間隔Xとチキソ比Yとの間に、上式(1)により示す関係が成立する場合に、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの間で接着剤Aを良好に保持し、凹状部Dの側面12cから浮いた状態に維持することが可能となる。
本実施形態では、光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとが互いに平行であり、接着剤Aを塗布する接着面が平行であるが、接着面が互いに傾斜する場合は、両者の間で最も間隔が狭い箇所について上式(1)に示す関係が成立することで、同様の効果を得ることが可能である。
このように、本実施形態によれば、光学ガラス部品11と枠体12とを、互いの接着面に接触する接着剤Aにより接合させる一方、枠体12の凹状部Dの側面12cを接着剤Aに対して非接触としたことで、接着剤Aに体積変化、つまり、膨張または収縮等の変形が生じたとしても、その変形に偏りが生じることを抑制し、光学ガラス部品11に位置ずれが生じることを抑制することが可能となる。
そして、凹状部Dの側面12cが備わることで、接着剤Aが完全に硬化するまでの間に、仮に余剰な接着剤Aに垂れが生じたとしても、この余剰分を側面12cにより受け、他の面(例えば、枠体12の内面12a)に付着するのを回避することが可能となる。
さらに、間隔Xとチキソ比Yとの間に、2X≦Yの関係が成立することで、接合に際して光学ガラス部品11の端面11aと枠体12の凹状部Dの底面12bとの(互いの接着面の間)で接着剤Aを良好に保持し、接着剤Aと凹状部Dの側面12cとの非接触の状態を良好に維持することが可能となる。
<4.まとめ>
以上、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明した。本開示における実施形態によれば、接着剤に体積変化が生じたとしても、その変形に偏りが生じることを抑制し、被着体に位置ずれが生じることを抑制することが可能となる。
以上、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明した。本開示における実施形態によれば、接着剤に体積変化が生じたとしても、その変形に偏りが生じることを抑制し、被着体に位置ずれが生じることを抑制することが可能となる。
本開示の技術は、以上の具体的態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、変形例の組み合わせもまた可能である。
さらに、各実施形態で説明された構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。例えば、各実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素は、任意の構成要素として理解される。
本明細書および添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」または「含まれる」との用語は、「含まれるとして記載された態様に限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」との用語は、「有するとして記載された態様に限定されない」と解釈される。
本明細書で使用された用語には、単に説明の便宜のために使用され、構成および動作等の限定を目的としないものが含まれる。例えば、「右」、「左」、「上」および「下」等の用語は、参照すべき図面上での方向を示すに過ぎない。さらに、「内側」および「外側」等の用語は夫々、注目要素の中心に向かう方向、注目要素の中心から離れる方向を示す。これらの用語に類似しまたはこれらの用語と同旨の用語についても同様である。
本開示の技術は、以下の構成を有するものであってもよい。以下の構成を有する本開示の技術によれば、接着剤に体積変化が生じた場合に、この変形に偏りが生じるのを抑制し、被着体に位置ずれが生じるのを抑制することが可能となる。本開示の技術が奏する効果は、必ずしもこれに限定されるものではなく、本明細書に記載されたいずれの効果であってもよい。
(1)第1被着体と第2被着体とが、接着剤により固定された固定構造であって、前記第1被着体は、前記接着剤と接触する第1接着面を有し、前記第2被着体は、前記第1接着面に対向する第2接着面と、前記接着剤を前記第2接着面に対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの少なくとも一部に設けられ、前記垂直な軸に対して平行な方向に延びる延設面と、を有し、前記第2被着体において、前記接着剤は、前記第2接着面に接触する一方、前記延設面に対して非接触である、固定構造。
(2)被着体の間隔をXとし、硬化前における前記接着剤のチキソ比をYとして、間隔Xとチキソ比Yとの間に、2X≦Yの関係が成立する、上記(1)の固定構造。
(3)前記第1被着体は、光学ガラス部品であり、前記第2被着体は、前記光学ガラス部品を保持可能に構成された枠体であり、前記枠体に対し、前記光学ガラス部品が前記接着剤により固定された、上記(1)または(2)の固定構造。
(4)前記延設面は、固定後における前記第1被着体の位置に関して精度が求められる方向に向く、上記(1)から上記(3)のいずれか1つの固定構造。
(5)前記接着剤は、UV硬化型の接着剤である、上記(1)から上記(4)のいずれか1つの固定構造。
(6)前記接着剤は、アクリル系接着剤、変成アクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤またはウレタン系接着剤である、上記(5)の固定構造。
(7)第1面を有する光学部品と、前記第1面に対向する第2面を有し、前記光学部品が接着剤により固定された保持部材と、を備え、前記光学部品は、前記第1面の少なくとも一部である第1接着面に前記接着剤が接触し、前記保持部材は、前記第2面において、前記第1接着面に向けて開口する凹状部を有し、前記凹状部の底面である第2接着面に前記接着剤が接触する一方、前記底面から前記光学部品に近付く方向に延びる側面が前記接着剤に対して非接触である、光学デバイス。
(1)第1被着体と第2被着体とが、接着剤により固定された固定構造であって、前記第1被着体は、前記接着剤と接触する第1接着面を有し、前記第2被着体は、前記第1接着面に対向する第2接着面と、前記接着剤を前記第2接着面に対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの少なくとも一部に設けられ、前記垂直な軸に対して平行な方向に延びる延設面と、を有し、前記第2被着体において、前記接着剤は、前記第2接着面に接触する一方、前記延設面に対して非接触である、固定構造。
(2)被着体の間隔をXとし、硬化前における前記接着剤のチキソ比をYとして、間隔Xとチキソ比Yとの間に、2X≦Yの関係が成立する、上記(1)の固定構造。
(3)前記第1被着体は、光学ガラス部品であり、前記第2被着体は、前記光学ガラス部品を保持可能に構成された枠体であり、前記枠体に対し、前記光学ガラス部品が前記接着剤により固定された、上記(1)または(2)の固定構造。
(4)前記延設面は、固定後における前記第1被着体の位置に関して精度が求められる方向に向く、上記(1)から上記(3)のいずれか1つの固定構造。
(5)前記接着剤は、UV硬化型の接着剤である、上記(1)から上記(4)のいずれか1つの固定構造。
(6)前記接着剤は、アクリル系接着剤、変成アクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤またはウレタン系接着剤である、上記(5)の固定構造。
(7)第1面を有する光学部品と、前記第1面に対向する第2面を有し、前記光学部品が接着剤により固定された保持部材と、を備え、前記光学部品は、前記第1面の少なくとも一部である第1接着面に前記接着剤が接触し、前記保持部材は、前記第2面において、前記第1接着面に向けて開口する凹状部を有し、前記凹状部の底面である第2接着面に前記接着剤が接触する一方、前記底面から前記光学部品に近付く方向に延びる側面が前記接着剤に対して非接触である、光学デバイス。
1…光学デバイス、11…光学ガラス部品、11a…端面、12…枠体、12a…内面、12b…底面、12c…側面、13…胴付片、A…接着剤、D…凹状部
Claims (7)
- 第1被着体と第2被着体とが、接着剤により固定された固定構造であって、
前記第1被着体は、前記接着剤と接触する第1接着面を有し、
前記第2被着体は、前記第1接着面に対向する第2接着面と、前記接着剤を前記第2接着面に対して垂直な軸まわりに囲む全周のうちの少なくとも一部に設けられ、前記垂直な軸に対して平行な方向に延びる延設面と、を有し、
前記第2被着体において、前記接着剤は、前記第2接着面に接触する一方、前記延設面に対して非接触である、
固定構造。 - 被着体の間隔をXとし、硬化前における前記接着剤のチキソ比をYとして、間隔Xとチキソ比Yとの間に、2X≦Yの関係が成立する、
請求項1に記載の固定構造。 - 前記第1被着体は、光学ガラス部品であり、
前記第2被着体は、前記光学ガラス部品を保持可能に構成された枠体であり、
前記枠体に対し、前記光学ガラス部品が前記接着剤により固定された、
請求項1に記載された固定構造。 - 前記延設面は、固定後における前記第1被着体の位置に関して精度が求められる方向に向く、
請求項1に記載の固定構造。 - 前記接着剤は、UV硬化型の接着剤である、
請求項1に記載の固定構造。 - 前記接着剤は、アクリル系接着剤、変成アクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤またはウレタン系接着剤である、
請求項5に記載の固定構造。 - 第1面を有する光学部品と、
前記第1面に対向する第2面を有し、前記光学部品が接着剤により固定された保持部材と、
を備え、
前記光学部品は、前記第1面の少なくとも一部である第1接着面に前記接着剤が接触し、
前記保持部材は、前記第2面において、前記第1接着面に向けて開口する凹状部を有し、前記凹状部の底面である第2接着面に前記接着剤が接触する一方、前記底面から前記光学部品に近付く方向に延びる側面が前記接着剤に対して非接触である、
光学デバイス。
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US18/253,154 US20230418016A1 (en) | 2020-11-24 | 2021-10-13 | Fixing structure and optical device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020194725A JP2022083340A (ja) | 2020-11-24 | 2020-11-24 | 固定構造および光学デバイス |
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Family Applications (1)
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JP2020194725A Pending JP2022083340A (ja) | 2020-11-24 | 2020-11-24 | 固定構造および光学デバイス |
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