JP2022078453A - 高発色性ポリエステル繊維 - Google Patents

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正孝 牧野
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【課題】経済性が低く環境負荷の高いアルカリ減量処理工程に頼らずとも優れた発色性を示すポリエステル繊維を提供する。【解決手段】繊維中の二酸化チタン含有率が0.10~0.57重量%であり、該二酸化チタンが鞘成分の0.28~2.30重量%を構成し、該二酸化チタンが繊維の鞘部にのみ配置される芯鞘複合ポリエステル繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、発色性に優れる芯鞘複合ポリエステル繊維に関する。
ポリエステル繊維は耐熱性や機械的特性などの多くの特性に優れるため、衣料用途に広く使用されている。一方で、ポリエステル繊維は屈折率の高さや染料吸尽率の低さに起因し、染色した際には色の深みや鮮明性に欠けるという欠点を有している。特にフォーマルウエアで主体となる黒色染色については、繊維表面での鏡面反射によるギラツキが問題となり、他のアセテート繊維やアクリル繊維が呈する深みある発色に及ばない。
これを解決する手段として、ポリエステル繊維表面に凹凸を形成させることで繊維表面での鏡面反射を抑制する手法が知られており、種々の表面凹凸形成技術が提案されている。例えば、特許文献1では不活性粒子としてシリカを添加したポリエステル繊維をアルカリで減量加工することで繊維表面に凹凸を形成する方法が提案されている。また、特許文献2では、鞘成分に不活性粒子を含むポリエステルを使用し、芯成分には実質的に不活性粒子を含まず鞘成分に比べてアルカリ溶出速度の速い共重合ポリエステルを使用した芯鞘複合ポリエステル繊維が提案されており、アルカリ処理時の溶出速度差を利用して芯成分の一部まで溶出させて繊維表面の凹凸を深くすることで、ポリエステル繊維の染色性向上を図っている。しかしながら、上に挙げたような従来の手法はアルカリ減量処理を前提としており、排水処理を必要とする点や原料効率が悪い点を考えると環境負荷が高く、経済性が低いといった問題がある。
特開昭55-107512号公報 特開平3-199465号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の問題を解決すべく、経済性が低く環境負荷の高いアルカリ減量処理工程に頼らずとも優れた発色性を示すポリエステル繊維を提供するものである。
上記課題を解決すべく本発明者は鋭意検討を重ねた結果、二酸化チタン粒子を含み、繊維中の二酸化チタン粒子含有率が0.10~0.57重量%であり、該二酸化チタン粒子が鞘成分の0.28~2.30重量%を構成し、該二酸化チタン粒子が繊維の鞘部にのみ配置されることを特徴とする芯鞘複合ポリエステル繊維によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
本発明で得られる芯鞘複合ポリエステル繊維は、アルカリ減量処理を伴わずとも発色性に優れたポリエステル繊維が得られる。このため、染色時に煩雑な排水処理工程の必要がないほか、原料効率に優れており、染色時の染料節減も可能である点から、本質的に低環境負荷かつ経済性に優れる。また、本発明で得られる芯鞘複合ポリエステル繊維は発色性に優れているため、特に衣料用途において好適に用いることができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
まず、本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維について説明する。
芯鞘複合繊維とは、2種類の異なるポリマーがほぼ同心円状に配列されているもので、内側を芯、その芯を包んでいる外側を鞘と呼ぶものである。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸成分を主たる酸成分とし、少なくとも一種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを主たる対象とする。また、テレフタル酸の一部をほかのカルボン酸成分で置き換えたポリエステルであっても良く、グリコール成分の一部を主成分以外のグリコール成分で置き換えたポリエステルでもよい。汎用性、繊維成形性、ポリエステル繊維特有のハリ、コシ感が得られるという観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維は二酸化チタンを含み、繊維中の二酸化チタン粒子含有率が0.10~0.57重量%以下の範囲であることが必須である。本発明における二酸化チタンは、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、アナターゼ型あるいはルチル型が好ましく用いられ、これらの混合物を用いてもよい。二酸化チタン粒子含有率が0.57重量%より多くなると繊維内部での二酸化チタン粒子/ポリエステル界面での光反射が生じ発色性が低下する。また、0.10重量%よりも少ない場合、十分な表面凹凸が形成されず繊維表面での鏡面反射抑制効果が発現しないため、目的の高発色性は得られない。発色性の観点から、繊維中の二酸化チタン粒子含有量は0.20重量%~0.57重量%であることがより好ましい。
また、本発明で用いられる二酸化チタンの粒径は製糸安定性の観点から、最大粒径が5.0μm以下であることが好ましい。
本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維は、鞘成分中の二酸化チタン粒子含有率が0.28~2.30重量%であることが必須である。鞘成分中の二酸化チタン粒子含有率が0.28重量%以上であれば、繊維に十分な表面凹凸を形成させることができ、高発色性の繊維が得られる。また、鞘成分中の二酸化チタン粒子含有率が2.30重量%以下であれば、ポリエステルと二酸化チタン粒子との界面で生じる光散乱効果に対し、表面凹凸による鏡面反射抑制効果が上回るため高発色性の繊維が得られる。発色性の観点から、鞘成分中の二酸化チタン含有率は1.50~2.30重量%以上であることがより好ましい。
また、本発明において二酸化チタン粒子は繊維中の鞘部にのみ配置されることが必須である。二酸化チタン粒子が繊維中の鞘部にのみ配置されることで、芯成分中での光散乱が十分に抑制され、発色性が向上する。
また、本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維は、繊維横断面積に占める鞘成分の面積比率は15~35%であることが好ましい。繊維横断面積とは、繊維長手方向に対して垂直方向の繊維断面積であり、実施例記載の方法で算出される。繊維横断面積に占める鞘成分面積比率が15%以上であれば、鞘部の僅かの厚さ斑がなく均一な染色物が得られる。また、35%よりも大きくなると鞘成分による表面凹凸形成による鏡面反射抑制効果よりも、繊維内部での光散乱効果が増大し発色性低下を招くため好ましくない。
また、本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維の総繊度は、10~500dtexであることが好ましい。芯鞘型複合繊維の総繊度が10dtex以上であれば、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れるため好ましい。芯鞘複合ポリエステル繊維の総繊度は、30dtex以上であることがより好ましく、50dtex以上であることが更に好ましい。一方、芯鞘複合ポリエステル繊維の総繊度が500dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。芯鞘複合繊維の繊度は、400dtex以下であることがより好ましく、300dtex以下であることが更に好ましい。
本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維の単繊維繊度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、0.1~7dtexであることが好ましい。単繊維繊度が0.1dtex以上であれば、糸切れが少なく、製編、製織工程における工程通過性が優れるため好ましい。一方、単繊維繊度が7dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。
次に本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維の製造方法について述べる。
本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維の製造方法としては、公知の溶融紡糸法を用いることができる。
ただし、本発明では溶融紡糸を行う前に、芯成分、鞘成分を乾燥させ、含水率を300ppm以下としておくことが好ましい。含水率が300ppm以下であれば、溶融紡糸の際に加水分解による分子量低下や水分による発泡が抑制され、安定して紡糸を行うことができるため好ましい。含水率は200ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましい。
本発明では、溶融紡糸を行う際に芯成分、鞘成分へ酸化防止剤を添加してもよい。溶融紡糸を行う際の酸化防止剤の添加方法として、芯成分または鞘成分と酸化防止剤を事前にドライブレンドした後に溶融紡糸機へ投入する方法、芯成分または鞘成分と酸化防止剤を別々のフィーダーから溶融紡糸機へ投入する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、事前に乾燥したチップをエクストルーダー型やプレッシャーメルター型などの溶融紡糸機へ供給して、芯成分と鞘成分を別々に溶融し、計量ポンプで計量する。その後、紡糸ブロックにおいて加温した紡糸パックへ導入して、紡糸パック内で溶融ポリマーを濾過した後、芯鞘型複合紡糸口金で芯成分と鞘成分を合流させて芯鞘構造として、紡糸口金から吐出して繊維糸条とする。紡糸口金から吐出された繊維糸条は、冷却装置によって冷却固化し、第1ゴデットローラーで引き取り、第2ゴデットローラーを介してワインダーで巻き取り、巻取糸とする。なお、製糸操業性、生産性、繊維の機械的特性を向上させるために、必要に応じて紡糸口金下部に2~20cmの長さの加熱筒や保温筒を設置してもよい。また、給油装置を用いて繊維糸条へ給油してもよく、交絡装置を用いて繊維糸条へ交絡を付与してもよい。
溶融紡糸における紡糸温度は、芯成分、鞘成分の融点や耐熱性などに応じて適宜選択することができるが、240~320℃であることが好ましい。紡糸温度が240℃以上であれば、紡糸口金より吐出された繊維糸条の伸長粘度が十分に低下するため吐出が安定し、さらには、紡糸張力が過度に高くならず、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸温度は250℃以上であることがより好ましく、260℃以上であることが更に好ましい。一方、紡糸温度が320℃以下であれば、紡糸時の熱分解を抑制することができ、繊維の機械的特性の低下や着色を抑制できるため好ましい。紡糸温度は310℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸における紡糸速度は、芯成分、鞘成分の組成、紡糸温度などに応じて適宜選択することができる。一旦溶融紡糸を行って巻き取った後、別途延伸を行う二工程法の場合の紡糸速度は、500~5000m/分であることが好ましい。紡糸速度が500m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れを抑制することができるため好ましい。二工程法の場合の紡糸速度は1000m/分以上であることがより好ましく、1500m/分以上であることが更に好ましい。一方、紡糸速度が5000m/分以下であれば、繊維糸条を十分に冷却することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。二工程法の場合の紡糸速度は4500m/分以下であることがより好ましく、4000m/分以下であることが更に好ましい。また、一旦巻き取ることなく紡糸と延伸を同時に行う一工程法の場合の紡糸速度は、低速ローラーを500~5000m/分、高速ローラーを3000~6000m/分とすることが好ましい。低速ローラーおよび高速ローラーが上記の範囲内であれば、走行糸条が安定するとともに、糸切れを抑制することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。一工程法の場合の紡糸速度は低速ローラーを1000~4500m/分、高速ローラーを3500~5500m/分とすることがより好ましく、低速ローラーを1500~4000m/分、高速ローラーを4000~5000m/分とすることが更に好ましい。
一工程法または二工程法により延伸を行う場合には、一段延伸法または二段以上の多段延伸法のいずれの方法によってもよい。延伸における加熱方法としては、走行糸条を直接的あるいは間接的に加熱できる装置であれば、特に限定されない。加熱方法の具体例として、加熱ローラー、熱ピン、熱板、温水、熱水などの液体浴、熱空、スチームなどの気体浴、レーザーなどが挙げられるがこれらに限定されない。これらの加熱方法は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。加熱方法としては、加熱温度の制御、走行糸条への均一な加熱、装置が複雑にならない観点から、加熱ローラーとの接触、熱ピンとの接触、熱板との接触、液体浴への浸漬を好適に採用できる。
延伸を行う場合の延伸倍率は、延伸後の繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、1.02~7.0倍であることが好ましい。延伸倍率が1.02倍以上であれば、延伸によって繊維の強度や伸度などの機械的特性を向上させることができるため好ましい。延伸倍率は、1.2倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることが更に好ましい。一方、延伸倍率が7.0倍以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸倍率は6.0倍以下であることがより好ましく、5.0倍以下であることが更に好ましい。
延伸を行う場合の延伸温度は、延伸後の繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、60~150℃であることが好ましい。延伸温度が60℃以上であれば、延伸に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸時の熱変形が均一となり、繊度斑の発生を抑制できるため好ましい。延伸温度は65℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。一方、延伸温度が150℃以下であれば、繊維の熱分解を抑制することができるため好ましい。また、延伸ローラーに対する繊維の滑り性が良好となるため、糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸温度は145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることが更に好ましい。また、必要に応じて60~150℃の熱セットを行ってもよい。
延伸を行う場合の延伸速度は、延伸方法が一工程法または二工程法のいずれであるかなどに応じて適宜選択することができる。一工程法の場合には、上記紡糸速度の高速ローラーの速度が延伸速度に相当する。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は、30~1000m/分であることが好ましい。延伸速度が30m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れが抑制できるため好ましい。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は50m/分以上であることがより好ましく、100m/分以上であることが更に好ましい。一方、延伸速度が1000m/分以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は800m/分以下であることがより好ましく、500m/分以下であることが更に好ましい。
本発明における染色方法は、特に制限がなく、公知の方法に従い、チーズ染色機、液流染色機、ドラム染色機、ビーム染色機、ジッガー、高圧ジッガーなどを好適に採用することができる。
また、本発明では、染料濃度や染色温度に関して特に制限がなく、公知の方法を好適に採用できる。また、必要に応じて、染色加工前に精練を行ってもよく、染色加工後に還元洗浄を行ってもよい。また、染色加工前にアルカリ減量処理を行ってもよいが、原料効率や環境負荷の観点からアルカリ処理は行わないことが好ましい。
本発明の芯鞘複合ポリエステル繊維を用いた織編物の形態は特に制限がない。いかなる織組織または編組織に用いてもよく、平織、綾織、朱子織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などへ好適に採用できる。また、織編物に用いる際、交織や交編などによって他の繊維と組み合わせてもよく、他の繊維との混繊糸として用いてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めたものである。
(繊維中の二酸化チタン含有率)
延伸糸を270℃にて溶融した後プレート状に成形し、理学電気(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いてTi含有量を測定し、繊維中の総二酸化チタン量を算出した。
(鞘成分中の二酸化チタン含有率)
実施例・比較例によって得られた延伸糸をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert-Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した。その後、繊維横断面を日立製走査型電子顕微鏡(SEM)S-4000型を用いて無作為に抽出した単繊維10本以上について繊維横断面を観察し、エネルギー分散型X線分析(EDS)により繊維中粒子の元素組成を決定し、繊維中の全粒子における二酸化チタン量を重量比として算出した(R1)。また、日立製作所製透過型電子顕微鏡(TEM)H-7100FA型を用いて無作為に抽出した単繊維10本について繊維横断面を観察し、繊維横断面中の芯部の二酸化チタン面積と鞘部の二酸化チタン面積をそれぞれ算出し、繊維中の全二酸化チタンに対する鞘部二酸化チタン存在比(R2)を算出した。また、日立製作所製熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)STA7200RV型により、延伸糸を500℃で24時間加熱分解した際の残留重量を測定し、繊維中に含まれる粒子量を重量比として算出した(R3)。芯鞘複合繊維の芯成分、鞘成分の重量比から、繊維全体に対する鞘成分の重量比(R4)を算出し、下式により鞘成分中の二酸化チタン含有率を算出した。
鞘成分中の二酸化チタン含有率(重量%)={R1×R2×R3/R4}×100
(L値測定法)
実施例により得られた延伸糸を試料とし、英光産業製丸編機(釜径3インチ半、26ゲージ)を用いて筒編み約10gを作製し、この筒編みを浴比が1:40になるように炭酸ナトリウム1.0g/L、界面活性剤(明成化学工業社製 グランアップUS-20)0.5g/Lの濃度の水溶液に浸し、80℃で20分間精練処理を行い、水洗い、風乾を行った。処理した筒編みを、染料としてTERASILBLACK WW-KSNを1.25g/Lとなるように加えた染色液に浴比1:40(5.0%o.w.f)となるように浸し、130℃で45分間染色後、水洗い、風乾を行った。さらに染色後の筒編みを浴比が1:40となるように水酸化ナトリウム0.6g/L、ハイドロサルファイトナトリウム1.0g/L、界面活性剤(明成化学工業社製 グランアップUS-20)0.5g/Lの濃度の水溶液に浸し、80℃で20分間還元洗浄を行い、水洗い、風乾を行った。染色後の筒編みを試料とし、試料を8枚重ねとしてミノルタ製分光測色計CM-3700D型にて白色校正板をバックにL値を測定した。なお、測定は試料の位置を変え3回実施し、その平均値をL値とした。ここで、L値は数値が小さいほど発色性が良好(高発色性)である。
(鞘部断面積比率)
実施例・比較例によって得られた延伸糸をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert-Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した。その後、繊維横断面を日立製走査型電子顕微鏡(SEM)S-4000型を用いて単繊維の全体像が観察できる最も高い倍率で観察し、得られた写真において繊維横断面積および鞘成分が占める面積を算出した。測定は無作為に抽出した単繊維10本に対して行い、繊維横断面積の平均値と鞘成分の面積の平均値から、鞘成分が占める面積比率を下式
鞘部断面積比率(%)={(鞘成分の面積の平均値)/(繊維横断面積の平均値)}×100
のとおり算出した。
[製造例1:成分Aの調製方法]
ジメチルテレフタル酸(DMT)10.1kg、エチレングリコール(EG)6.3kg、酢酸マンガン4水和物(MN)2.5g、酢酸コバルト4水和物(COA)1.0g、三酸化アンチモン(AO)5.0gを加え、140~230℃でメタノールを留出しつつエステル交換(EI)反応を行い、210分後、リン酸(PA)5.0gを添加した。さらに、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して二酸化チタン換算で2.20重量%添加した。減圧および昇温開始し、重縮合反応を開始した。徐々に0.1kPa以下まで減圧し、同時に290℃まで昇温し、重合開始120分後、攪拌トルクが目標トルクに到達したことを確認してから反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、口金からストランド状に押出して水槽冷却しカッティングすることで、ペレット状のポリエチレンテレフタレートを得た。
[製造例2:成分Bの調製方法]
二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを添加しないこと以外は、製造例1と同様にしてペレット状のポリエチレンテレフタレートを得た。
[製造例3~8:成分C~Hの調製方法]
二酸化チタン粒子添加量を表1記載の比率に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてペレット状のポリエチレンテレフタレートを得た。
Figure 2022078453000001
[実施例1]
鞘成分Aと芯成分Bそれぞれのポリマーを150℃で12時間真空乾燥した後、芯成分を85重量%、鞘成分を15重量%の配合比でエクストルーダー型複合紡糸機へ供給して別々に溶融させ、紡糸温度290℃において、吐出孔数が48の芯鞘型複合口金を組み込んだ紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出量42.3g/分で吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速20m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、3000m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って141dtex-48fの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第一ホットローラー温度90℃、第二ホットローラー温度140℃、倍率1.62倍の条件で延伸し、87dtex-48fの延伸糸を得た。
得られた延伸糸を試料とし、英光産業製丸編機(釜径3インチ半、26ゲージ)を用いて筒編み約10gを作製し、この筒編みを浴比が1:40になるように炭酸ナトリウム1.0g/L、界面活性剤(明成化学工業社製 グランアップUS-20)0.5g/Lの濃度の水溶液に浸し、80℃で20分間精練処理を行い、水洗い、風乾を行った。処理した筒編みを、染料としてTERASILBLACK WW-KSNを1.25g/Lとなるように加えた染色液に浴比1:40(5.0%o.w.f)となるように浸し、130℃で45分間染色後、水洗い、風乾を行った。さらに染色後の筒編みを浴比が1:40となるように水酸化ナトリウム0.6g/L、ハイドロサルファイトナトリウム1.0g/L、界面活性剤(明成化学工業社製 グランアップUS-20)0.5g/Lの濃度の水溶液に浸し、80℃で20分間還元洗浄を行い、水洗い、風乾を行った。染色後の筒編みのL値は15.0と良好であった。
[実施例2]
芯成分の配合比を75重量%、鞘成分の配合比を25重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は15.3と良好であった。
[実施例3]
鞘成分として製造例3に記載のペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は14.8と良好であった。
[実施例4]
鞘成分として製造例4に記載のペレットを使用し、芯成分の配合比を65重量%、鞘成分の配合比を35重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は15.7と良好であった。
[実施例5]
芯成分の配合比を90重量%、鞘成分の配合比を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は14.9と良好であったが、繊維長手方向に鞘の厚み斑があることが、複数の繊維横断面の観察から明らかとなり、製品として問題があるレベルであった。
[比較例1]
製造例1で得られたペレットを150℃で12時間真空乾燥した後、エクストルーダー型紡糸機へ供給して溶融させ、紡糸温度290℃、吐出孔数が48の単独紡糸口金からポリマー流を吐出量42.3g/分で吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速20m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、3000m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って141dtex-48fの未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を試料とし、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は17.1と発色性に欠けるものであった。
[比較例2]
製造例2で得られたペレットを使用した以外は比較例1と同様にして未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を試料とし、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は17.3と発色性に欠けるものであった。
[比較例3]
製造例2で得られたペレットを鞘成分に、製造例1で得られたペレットを芯成分にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は17.5と発色性に欠けるものであった。
[比較例4]
芯成分の配合比を65重量%、鞘成分の配合比を35重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は16.2と発色性に欠けるものであった
[比較例5、6]
鞘成分として製造例4、5に記載のペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は16.6と発色性に欠けるものであった。
[比較例7]
鞘成分として製造例6に記載のペレットを使用し、芯成分の配合比を65重量%、鞘成分の配合比を35重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は16.3と発色性に欠けるものであった。
[比較例8、9]
芯成分として製造例7,8に記載のペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして延伸糸、筒編み作製、精練処理、染色、還元洗浄を行った。染色後の筒編みのL値は16.2以上と発色性に欠けるものであった。
Figure 2022078453000002

Claims (2)

  1. 繊維中の二酸化チタン粒子含有率が0.10~0.57重量%であり、該二酸化チタン粒子が鞘成分の0.28~2.30重量%を構成し、該二酸化チタン粒子が繊維の鞘部にのみ配置される芯鞘複合ポリエステル繊維。
  2. 繊維横断面積に占める鞘成分の面積比率が15~35%である請求項1に記載の芯鞘複合ポリエステル繊維。
JP2020189136A 2020-11-13 2020-11-13 高発色性ポリエステル繊維 Pending JP2022078453A (ja)

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