JP2022073517A - ガスバリア積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱、耐湿試験後も密着性を保持する、耐久性に優れた透明なガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】ガスバリア積層フィルム10は、樹脂基材11とプライマー層12と蒸着膜層13とを備え、樹脂基材11の少なくとも片面にプライマー層12と蒸着膜層13とがこの順に積層されたガスバリア積層フィルム10であって、プライマー層12が、ポリオールとイソシアネート系化合物との複合物によって形成されたものであり、ポリオールが特定の化学式で表される部分構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、対象物をガスから守るガスバリア積層フィルムに関する。
ガスバリア積層フィルムは、空気中の湿気、酸素、炭酸ガスなどのガスから対象物を守り、品質・性能の劣化を抑制する役割を有しており、食品・医薬品などの包装材料をはじめ、太陽電池バックシートや電子ペーパー、有機ELなどのエレクトロニクス分野でのガラスやアルミ箔などの代替としての採用も検討されている。
現在、ガスバリア積層フィルムの主な種類は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂などの単体フィルム、共押出多層ナイロン(Ny)フィルム、塩化ビニリデン(PVDC)コートやポリビニルアルコール(PVA)コートのウェットコートフィルムなどがある。しかしながら、これらの種類のフィルムは、ガスバリア性が高いものでも水蒸気透過度3g/m/day程度であり、より高度なガスバリア性を要求される包装材や電子部材としての利用は難しい。従って、より高度なバリア性を要求される場合は、アルミニウムなどの金属箔を積層せざるを得なかった。
しかしながら、金属箔を積層したフィルムを用いた包装材では、内容物が見えない、内容物検査に金属探知機を使用できない、などの問題があった。
これらの問題を克服するために、例えば、特許文献1では、高分子樹脂基材上に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機化合物を蒸着した透明なガスバリア性フィルムについて提案がなされている。
さらに、蒸着層の樹脂基材への密着性を向上させるために、樹脂基材と蒸着層の間に、プライマー層を設けた構造のものが多く提案されている。これらのプライマー層の材料には、アクリル系の樹脂を用いることが多く、特に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応複合物あるいはそれにシランカップリング剤が添加されたものを用いることにより、ボイル殺菌やレトルト殺菌後も物性の劣化がなく、デラミネーション等の発生がない高い耐ボイル性、耐レトルト性を有するガスバリア性フィルムを実現している(例えば、特許文献2~4)。
特公昭63-28017号公報 特開2004-106443号公報 特開2007-69456号公報 特開2002-36419号公報
しかしながら、これらのフィルムは、太陽電池モジュールの耐久試験として一般的な高温試験(JIS C8917、C8938、C8990、C8991)後にも密着性を保持することが難しく、高い耐久性が要求される用途への利用は難しい。
そこで、本発明は、高温試験後も密着性を保持する、耐久性に優れた透明なガスバリア積層フィルムを提供することを目的とする。
発明者は鋭意検討の結果、耐熱性に優れる特定のポリオールをプライマー層に使用することが上記課題を解決するために重要であることを見出した。
上記課題を解決するための本発明の一局面は、樹脂基材とプライマー層と蒸着膜層とを備え、樹脂基材の少なくとも片面にプライマー層と蒸着膜層とがこの順に積層されたガスバリア積層フィルムであって、プライマー層が、ポリオールとイソシアネート系化合物との複合物によって形成されたものであり、ポリオールが下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とするガスバリア積層フィルムである。
Figure 2022073517000002

式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
Figure 2022073517000003

式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
また、ポリオール中の繰り返し単位の含有率が、ポリオール中の全繰り返し単位に対し2モル%以上50モル%以下であってもよい。
また、繰り返し単位が、(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位、およびN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位のいずれかであってもよい。
また、プライマー層が、さらに有機系添加剤を含んでもよい。
また、蒸着膜層の表面に、水溶性高分子とアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有するコーティング液からなる薄膜の乾燥被膜であるガスバリア性被覆層が設けられてもよい。
本発明によれば、高温試験後にも密着性を保持する、耐久性に優れた透明なガスバリア積層フィルムを提供することが可能となる。
本発明のガスバリア積層フィルムの一実施形態における断面図である。 本発明のガスバリア積層フィルムの一実施形態における断面図である。 本発明のガスバリア積層フィルムの一実施形態における両面ラミネート構成の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下において、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明のガスバリア積層フィルム10は、樹脂基材11とプライマー層12と蒸着膜層13とを備え、樹脂基材11の片面に、プライマー層12と蒸着膜層13とを順次積層した構成となっている。ガスバリア積層フィルムは、より高い水蒸気バリア性を達成するために、樹脂基材11の両面にプライマー層12と蒸着膜層13とを順次積層した構成であってもよい。
樹脂基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックフィルムなどがある。樹脂基材11の厚みは、特に制限を設けないが、実用上6μm以上200μm以下程度がよく、好ましくは12μm以上125μm以下、さらに好ましくは12μm以上25μm以下がよい。
また、樹脂基材11の他の層を積層する側の表面には、密着性を高めるため、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理や、酸やアルカリによる薬液処理などの化学的処理を施してもよい。
プライマー層12は、樹脂基材11上に設けられ、樹脂基材11と蒸着膜層13との密着性を高め、ボイル殺菌やレトルト殺菌などの各種殺菌処理や、長期屋外設置による蒸着層の剥離発生を防止するために設けられる。
プライマー層12は、ポリオールとイソシアネート系化合物との複合物を用いて形成されることにより、樹脂基材11と蒸着膜層13との密着性を高めることができる。
ポリオールとは、分子内に複数の水酸基を有する化合物の総称であり、イソシアネート系化合物のイソシアネート基と反応するものである。主なポリオールとして、主鎖にエーテル結合を有するポリエーテルポリオール、主鎖にエステル結合を有するポリエステルポリオール、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、又は(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物であるアクリルポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールには、主にアルキレンオキサイドを多価アルコールやポリアミンを開始剤として付加重合したポリオキシアルキレンポリオール、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得られるポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールには、主に二塩基酸とグリコール類から得られる宿重合系ポリエステルポリオールとε-カプロラクトンの開環重合によって得られるポリカプロラクトンポリオールがある。宿重合系ポリエステルポリオールに使用される二塩基酸としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられ、グリコール類としてはエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタジオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー同士、あるいは(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーをラジカル重合により共重合した高分子化合物のうち、末端に水酸基を有するものである。
このとき、ポリオールとして、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a)を含有するものを選定するとよい。
Figure 2022073517000004
式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位(a)の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
Figure 2022073517000005
式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位(a)の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
により表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基又はエトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。n1は、上記の通り1~5の整数を表し、1~3の整数であってもよい。n1が2以上の整数の場合、複数存在するRは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。
は、上記の通り、Qで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表す。Qで表されるエステル結合以外の連結基としては、例えば、-CONR-(Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。)、アルキレン基(例えば、炭素数1~4のアルキレン基)、ウレタン結合、エーテル結合、*-O-CO-**で表されるエステル結合(**は式(II)中のフェニル基との結合部位を表す。)等が挙げられる。
により表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。但し、上記の通り、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
n2は、上記の通り1~5の整数を表し、あるいは1~3の整数であってもよい。n2が2以上の整数の場合、複数存在するRは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。複数のRが全て同じである場合、Rは全て水酸基となる。
繰り返し単位(a)は、上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するものであればよいが、例えば、(メタ)アクリレート系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、(メタ)アクリルアミド系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、N-置換マレイミド系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、またはスチレン系モノマーに由来する繰り返し単位であってよい。
繰り返し単位(a)が(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-4-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4-ジ-メチル-6-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
繰り返し単位(a)が(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、N-(4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
繰り返し単位(a)がN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、N-置換マレイミド系モノマーとしては、例えば、4-ヒドロキシフェニルマレイミド、3-ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
繰り返し単位(a)がスチレン系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、スチレン系モノマーとしては、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーと共重合可能なモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートなどの末端にアルキル基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸などの末端にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの末端に芳香環や環状構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーがある。(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外では、スチレンモノマー、シクロヘキシルマレイミドモノマー、フェニルマレイミドモノマーなどがある。
本実施形態において、ポリオールは、繰り返し単位(a)とは異なる1種又は2種以上の繰り返し単位をさらに含有する2元又は3元以上の共重合体であることが好ましい。この場合において、ポリオール中の繰り返し単位(a)の含有率は、ポリオール中の全繰り返し単位に対し、2モル%以上50モル%以下の範囲であることが好ましい。ポリオール中の繰り返し単位(a)の含有率が2モル%以上の場合、ポリオールの熱分解をより効果的に抑制することができる。
また、ポリオール中の繰り返し単位(a)の含有率が50モル%以下の場合、ポリオールおよび併用される添加剤の熱分解の抑制効果を維持しつつ、加熱時のガスバリアフィルムの黄変の発生や、プライマー層12が硬くなり脆くなることを効果的に抑制することができる。同様の観点から、樹脂中の繰り返し単位(a)の含有率は、2モル%以上30モル%以下であってよく、あるいは2モル%以上20モル%以下であってよい。
本実施形態において、ポリオールが共重合体である場合に含有し得る、繰り返し単位(a)とは異なる繰り返し単位(以下において、「共重合成分」という。)としては、例えば、(メタ)アクリレート系繰り返し単位、オレフィン系繰り返し単位、ハロゲン原子含有繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、酢酸ビニル系繰り返し単位、ビニルアルコール系繰り返し単位等が挙げられる。
共重合成分である(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、水酸基(フェノール性水酸基を除く)を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位等が挙げられる。
直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併用してもよい。上記の中でも炭素数が1以上4以下の直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を好適に用いることができる。
共重合成分であるオレフィン系繰り返し単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合成分であるハロゲン原子含有繰り返し単位としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合成分であるスチレン系繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールの分子量は特に規定しないが、具体的には、3000以上200000以下、好ましくは5000以上100000以下、さらに好ましくは5000以上40000以下である。
フェノール性水酸基以外の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
但し、繰り返し単位(a)が水酸基を含まない場合は、共重合成分として水酸基を有する成分を2モル%以上含有する必要がある。
共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。共重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程およびシアニン色素との調製が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
共重合体を得るための重合方法には、ラジカル重合を用いることができる。ラジカル重合を用いることは、工業的な生産が容易である点で好ましい。ラジカル重合の方法は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、および、懸濁重合法などであってよいが、特に溶液重合法が好ましい。溶液重合法を用いることによって、共重合体における分子量の制御が容易である。
ラジカル重合では、上述したモノマーを重合溶剤によって希釈した後に、重合開始剤を加えてモノマーの重合を行ってもよい。重合溶剤は、例えば、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、および、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t-ブチル、乳酸メチル、および、乳酸エチルなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、および、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール、および、2-メチル-2-ブタノールなどであってよい。なお、上述した重合溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ラジカル重合において、重合溶剤を使用する量は特に限定されないが、モノマーの合計を100質量部に設定する場合に、重合溶剤の使用量は、1質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、および、ジ-t-ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、および、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの合計を100質量部に設定した場合に、0.0001質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上15質量部以下であることがより好ましく、0.005質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤は、モノマーおよび重合溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をモノマーおよび重合溶剤に対して重合反応系中に滴下することは、重合による発熱を抑制することができる点で好ましい。
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤および重合溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、および、反応制御性の観点から、60℃以上110℃以下であることが好ましい。
イソシアネート系化合物とは、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものである。例えば、モノマー系イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族系イソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族系イソシアネートなどがある。また、これらのモノマー系イソシアネートの重合体あるいは誘導体も使用可能である。例えば、3~5量体のヌレート型、1,1,1-トリメチロールプロパンなどと反応させたアダクト型、ビウレットと反応させたビウレット型などがある。
イソシアネート系化合物は、上記のイソシアネート系化合物あるいはその重合体、誘導体から任意に選択してよく、1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、上記ポリオール及びイソシアネート系化合物に加えて、用途に応じて添加剤を加えることもできる。例えば、硬化反応を促進させる触媒、紫外線吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などの光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、シランカップリング剤などがある。特に、本実施形態においては、繰り返し単位(a)を含有し耐熱性に優れるポリオールを使用することにより、有機系添加剤の熱劣化も抑制することができる。ここで「有機系添加剤」は、炭素原子を含有する化合物から選択される添加剤であり、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよく、オリゴマーであってもよく、有機金属塩も含まれる。添加剤の具体例を表1に示す。
Figure 2022073517000006
繰り返し単位(a)を含むポリオールを使用することにより、添加剤の熱劣化を抑制することができる。例えば、添加剤として光安定剤を使用した場合は、加熱した後も、耐光性が良好なガスバリア積層フィルムとなる。
プライマー層12は、上記のポリオールと上記のイソシアネート系化合物との複合物と溶媒とからなる溶液を樹脂基材11上に塗工し、反応硬化させることにより形成される。用いられる溶媒としては、上記ポリオール及びイソシアネート系化合物を溶解する溶媒であればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトンなどが挙げられ、これらの溶媒を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
プライマー層12の形成方法としては、通常のコーティング方法を用いることができる。例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
プライマー層12の膜厚は、30nm以上200nm以下が望ましく、好ましくは100nm以上200nm以下である。これよりも厚みが薄いと、樹脂基材11と蒸着膜層13との密着性が不十分となり、300nmよりも厚いと内部応力の影響が大きくなり、蒸着膜層13がきれいに積層されず、バリア性の発現が不十分となる問題がある。
蒸着膜層13は、プライマー層12上に設けられ、フィルム全体にガスバリア性を付与するために設けられる。
蒸着膜層13の材料には、金属珪素と二酸化珪素とを含有した蒸着材料を用いることが望ましい。また、蒸着膜層13の材料には、さらに他の金属錫または金属酸化物を含有した蒸着材料を用いてもよい。
金属珪素と二酸化珪素とを含有した蒸着材料を蒸着させることで、フィルム全体に高いガスバリア性を付与することができる。さらに、金属珪素と二酸化珪素に金属錫または酸化錫を混合した蒸着材料を蒸着させることで、膜密度の高い蒸着膜層13が形成され、高い水蒸気バリア性が発現するとともに、ポリオールとイソシアネート系化合物との複合物によって形成されたプライマー層12との相乗効果により、高いガスバリア性と、高い耐久性を合わせ持つガスバリア性フィルムが得られる。
金属珪素と二酸化珪素は、元素比O/Siが1以上1.8以下になるように混合することか望ましく、好ましくは1.2以上1.7以下である。
蒸着膜層13の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法、原子層堆積法などの公知の方法を適宜用いてよいが、真空蒸着法が望ましい。また、蒸着膜層13の透明性を上げるために、蒸着材料を蒸着させる際に、蒸発した粒子と雰囲気中に導入した酸素ガスなどと反応させて蒸着させる反応蒸着をさせてもよい。酸素ガスやアルゴンガスとの反応蒸着を行うことにより、蒸着材料中の金属成分が酸化され、蒸着膜層13の透明性を向上させることができる。ガスを導入する際は、成膜室の圧力が2×10-1Pa以下にすることが望ましい。成膜室の圧力が2×10-1Paよりも大きくなってしまうと、蒸着膜層13がきれいに積層されず、水蒸気バリア性が低下してしまう。
蒸着膜層13の膜厚は、0.005μm以上0.3μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.03μm以上0.05μm以下である。0.005μmより小さいと十分なバリア性が発現せず、また0.3μmを超えると脆く、クラックが発生しやすくなり、バリア性が発現しない問題が生じる。
本発明のガスバリア積層フィルムは、図2に示すガスバリア積層フィルム20のように、ガスバリア積層フィルム10の蒸着膜層13の上に、水溶性高分子とアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有するコーティング液からなる薄膜の乾燥被膜であるガスバリア性被覆層21が設けられていてもよい。
ガスバリア性被覆層21は、硬く脆い蒸着膜層13を保護し、擦れや屈曲によるクラックの発生を防止するために設けられ、水溶性高分子とアルコキシシランまたはその加水分解生成物を含有した成分からなる。ガスバリア性被覆層21は、水溶性高分子とアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有するコーティング液を蒸着膜層13の上に塗工し、乾燥させることにより形成される。
ガスバリア性被覆層21の形成方法としては、プライマー層12と同様に通常のコーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリビニルピロリドン樹脂(PVP)などを用いることができ、これらを単独あるいは複数組み合わせて用いてもよい。
アルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどを用いることができる。また、アルコキシシランの加水分解生成物としては、メタノールなどのアルコールにアルコキシシランを溶解し、その溶液に塩酸などの酸の水溶液を添加し、加水分解反応させることにより調製したものが挙げられる。
また、蒸着膜層13との密着性を上げるために、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するものなどが挙げられ、これらのシランカップリング剤を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明のガスバリア積層フィルムは、図3に示すガスバリア積層フィルム30のように、ガスバリア積層フィルム20の両面に、接着剤層31を介してラミネート樹脂層32が設けられる構成であってもよく、これにより、実用性の高いガスバリア積層フィルムとなる。ラミネート樹脂層32は、ヒートシール性のあるシーラントフィルムが積層されることで、袋状包装体などを形成する際の接着部に利用される。ラミネート樹脂層32には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。ラミネート樹脂層32の厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15μm以上200μm以下の範囲である。なお、ラミネート樹脂層32は、接着剤層31を介してガスバリア積層フィルム20の片面にのみ設けられてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムを本発明のガスバリア積層フィルム10、20、30の片面または両面に積層することで、液晶表示素子や、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネルで使用する透明伝導シートなどの封止材として用いることもできる。
<ポリオールの合成>
ポリオールを19種類合成し、それぞれをP-a~P-pとした。ポリオールP-a~P-pが含有する繰り返し単位の構造式を化5-1、化5-2に示す。また、それぞれの合成方法を以下に説明する。
合成例1:ポリオールP-aの合成
80質量部のシクロヘキサノンを重合溶剤として準備した。また、5質量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、14質量部のメチルメタクリレート(MMA)、および1質量部の4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)をアクリルモノマーとして準備した。さらに、0.22質量部の過酸化ベンゾイル(BPO)を重合開始剤として準備した。これらを攪拌装置と還流管とが設置された反応容器に入れ、反応容器に窒素ガスを導入しつつ、80℃に加熱しながら8時間にわたって攪拌および還流した。これにより、HEMAに由来する繰り返し単位およびMMAに由来する繰り返し単位およびMPhMAに由来する繰り返し単位から形成されるアクリル共重合体を含むポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を大量のメタノールに滴下して再沈精製をおこない、室温で24時間減圧乾燥することにより、ポリオールP-aを得た。
合成例2:ポリオールP-bの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-bを得た。
合成例3:ポリオールP-cの合成
合成例2に対し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を5.6質量部、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を0.4質量部とした以外は合成例2と同様の方法でポリオールP-cを得た。
合成例4:ポリオールP-dの合成
合成例2に対し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を4質量部、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を2質量部とした以外は合成例2と同様の方法でポリオールP-dを得た。
合成例5:ポリオールP-eの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキシフェニルメタクリルアミド(HPMAA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-eを得た。
合成例6:ポリオールP-fの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキフェニルマレイミド(HPhMI)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-fを得た。
合成例7:ポリオールP-gの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,6-ジ-tert-ブチルフェニルメタクリレート(t-BuPhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-gを得た。
合成例8:ポリオールP-hの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニルメタクリレート(t-BuMPhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-hを得た。
合成例9:ポリオールP-iの合成
80質量部のシクロヘキサノンを重合溶剤として準備した。また、5質量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、14質量部のメチルメタクリレート(MMA)、および1質量部の4-アセトキシスチレン(AcSt)をアクリルモノマーとして準備した。さらに、0.22質量部の過酸化ベンゾイル(BPO)を重合開始剤として準備した。これらを攪拌装置と還流管とが設置された反応容器に入れ、反応容器に窒素ガスを導入しつつ、80℃に加熱しながら8時間にわたって攪拌および還流した。これにより、HEMAに由来する繰り返し単位およびMMAに由来する繰り返し単位およびAcStに由来する繰り返し単位から形成されるアクリル共重合体を含むポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を大量のメタノールに滴下して再沈精製をおこない、室温で24時間減圧乾燥することにより、HEMA/MMA/AcSt共重合体を得た。得られたHEMA/MMA/AcSt共重合体1質量部に、1mol/lの水酸化ナトリウムエタノール溶液を2質量部、テトラヒドロフランを10質量部加え、2時間攪拌した。この溶液を大量のメタノールに滴下し、ポリオールP-iを得た。
合成例10:ポリオールP-jの合成
合成例1に対し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を6質量部、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)を使用しない以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-jを得た。
合成例11:ポリオールP-kの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてスチレン(St)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-kを得た。
合成例12:ポリオールP-lの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルメタクリレート(PhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-lを得た。
合成例13:ポリオールP-mの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルメタクリルアミド(PhMAA)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-mを得た。
合成例14:ポリオールP-nの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルマレイミド(PhMI)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-nを得た。
合成例15:ポリオールP-oの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-メトキシスチレン(MSt)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-oを得た。
合成例16:ポリオールP-pの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,4,6-トリメチルスチレン(TMSt)を使用した以外は合成例1と同様の方法でポリオールP-pを得た。
Figure 2022073517000007

Figure 2022073517000008
<ガスバリア積層フィルムの作製>
下記工程(1)~(6)の手順で実施例1~11および比較例1~8のガスバリア積層フィルムを作製した。
(1)プライマー層溶液の調液工程
(実施例1)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-aのメチルエチルケトン溶液と、固形分濃度5%に調整したイソシアネート系化合物のメチルエチルケトン溶液を7:3で混合した溶液を調液した。イソシアネート系化合物として、トリレンジイソシアネートのアダクト体(東ソー株式会社製、コロネートT-65)を使用した。
(実施例2)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-bのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例3)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-bのメチルエチルケトン溶液を用い、固形分濃度5%に調整したイソシアネート系化合物のメチルエチルケトン溶液を7:3で混合した後に、添加剤として光安定剤(BASFジャパン株式会社製、チヌビン(登録商標)292)を固形分の1重量%混合したこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液の調液を行った。
(実施例4)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-cのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例5)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-dのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例6)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-eのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例7)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-eのメチルエチルケトン溶液を用い、固形分濃度5%に調整したイソシアネート系化合物のメチルエチルケトン溶液を7:3で混合した後に、添加剤として光安定剤(BASFジャパン株式会社製、チヌビン292)を固形分の1重量%混合したこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液の調液を行った。
(実施例8)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-fのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例9)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-gのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例10)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-hのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(実施例11)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-iのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例1)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-jのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例2)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-kのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例3)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-lのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例4)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-lのメチルエチルケトン溶液を用い、固形分濃度5%に調整したイソシアネート系化合物のメチルエチルケトン溶液を7:3で混合した後に、添加剤として光安定剤(BASFジャパン株式会社製、チヌビン292)を固形分の1重量%混合したこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液の調液を行った。
(比較例5)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-mのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例6)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-nのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例7)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-oのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
(比較例8)
固形分濃度5%に調整したポリオールP-pのメチルエチルケトン溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にプライマー層溶液を調液した。
実施例1~11、比較例1~8でそれぞれ使用したポリオールの成分、添加剤内容を表2に示す。
Figure 2022073517000009
Figure 2022073517000010
(2)プライマー層溶液の塗工工程
樹脂基材として、片面がコロナ処理された厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製、P60)を使用した。実施例1~11および比較例1~8のプライマー層溶液を、乾燥後の厚みが0.20μmとなるように、樹脂基材のコロナ処理面にグラビアコート機を用いて塗工することで、プライマー層を積層した。
(3)蒸着膜層の積層工程
元素比O/Siが1.5になるように金属珪素粉末及び二酸化珪素粉末を混合した材料を作製し、真空蒸着機を使用して、プライマー層の上に厚さ0.05μmの蒸着膜層を積層し、樹脂基材/プライマー層/蒸着膜層の構成の、実施例1~11および比較例1~8のガスバリア積層フィルムを作製した。
(4)ガスバリア性被覆層溶液の調液工程
テトラエトキシシランを0.02mol/Lの塩酸で加水分解した溶液をけん化度99%、重合度2400のPVAの5%水溶液にSiO/PVA=60/40となる割合で加え、ガスバリア性被覆層溶液とした。
(5)ガスバリア性被覆層溶液の塗工工程
工程(3)で作製した、実施例1~11および比較例1~8のガスバリア積層フィルムの蒸着膜層の上に、グラビアコート機を用いて上記ガスバリア性被覆層溶液を塗工し、乾燥後の厚みが0.40μmのガスバリア性皮膜層を積層して、実施例1~11および比較例1~8のガスバリア積層フィルムを作製した。
(6)ガスバリア性積層フィルムへのラミネート樹脂層積層工程
工程(5)で作製した、ガスバリア性被覆層が積層された実施例1~11および比較例1~8のガスバリア性積層フィルムの両面に、5g/mのポリウレタン系接着剤を介して厚さ50μmの耐加水分解PET(東レフィルム加工株式会社製、X10S)をドライラミネート法により積層し、実施例1~11および比較例1~8のガスバリア積層フィルムを作製した。
<ガスバリア積層フィルムの評価>
(1)水蒸気透過度の測定
工程(3)で作製した、実施例1~11及び比較例1~8のガスバリア積層フィルムについて、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN-W 3/31)により、40℃-90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m/day)を測定した。結果を表3に示す。
(2)高温試験の実施
工程(6)で作製した、実施例1~11および比較例1~8のガスバリア性積層フィルムを10mm巾に切り出し、JISC 8917記載の耐熱性試験の温度条件および時間条件で高温試験を実施した。
(3)耐光試験の実施
高温試験実施後の実施例1~11および比較例1~8のガスバリア性積層フィルムに対して耐光試験を実施した。耐光試験の条件は、JISC 8917記載の光照射試験において、照射時間を120時間としたものである。
(4)密着強度の測定
高温試験後のみ実施した実施例1~11および比較例1~8のガスバリア性積層フィルムと、高温試験と耐光試験後の両方を実施した実施例1~11および比較例1~8のガスバリア性積層フィルムについて、テンシロン型万能試験器を使用して密着強度の測定を行った。具体的には、JISK 6854の試験方法であるT時剥離試験及び180度剥離試験をおこない、ラミネート強度(N/10mm巾)を測定した。T時剥離試験及び180度剥離試験の両方の試験において、ラミネート強度(密着強度)が1N/10mm巾以上であったものを合格「〇」とし、1N/10mm巾未満であったものを不合格「×」とした。結果を表3に示す。
Figure 2022073517000011
実施例1~11のガスバリア性積層フィルムはいずれも、プライマー層12を形成するポリオールが、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a)を含有するため、高温試験後であっても1N/10mm巾以上の密着強度を有していた。しかし、比較例1~8のガスバリア性積層フィルムはいずれも、プライマー層12を形成するポリオールが繰り返し単位(a)を含有していないため、高温試験後の密着強度は1N/10mm巾未満であった。
また、実施例2のガスバリア性積層フィルムは、耐光試験後には密着強度が低下して不合格となったのに対し、プライマー層溶液の調液の際に光安定剤を添加した以外は同条件で作製された実施例3のガスバリア性積層フィルムは、耐光試験後であっても密着強度は合格の範囲であった。また、同様に実施例6と実施例7とを比較しても、光安定剤を用いた実施例7のみが耐光試験後であっても密着強度は合格の範囲であった。しかし、同じく光安定剤を用いた比較例4であっても、プライマー層12を形成するポリオールが繰り返し単位(a)を含有していないため、高温試験の時点で密着強度が不足しており、不合格となった。これは、繰り返し単位(a)を含むポリオールを使用することにより、添加剤である光安定剤の熱劣化を抑制することができたことに起因する。
以上のことから、プライマー層を形成するポリオールが繰り返し単位(a)を含有することは、ガスバリア性積層フィルムの密着性を向上させるために有用であるといえる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明のガスバリアフィルム積層体は、食品、日用品、医薬品などの包装分野、及び電子機器関連部材などの分野において、特に高耐久性が必要とされる場合に好適に利用が期待される。
11・・・樹脂基材
12・・・プライマー層
13・・・蒸着膜層
21・・・ガスバリア性被覆層
31・・・接着剤層
32・・・ラミネート樹脂層
10、20、30・・・ガスバリア積層フィルム

Claims (5)

  1. 樹脂基材とプライマー層と蒸着膜層とを備え、
    前記樹脂基材の少なくとも片面に、前記プライマー層と前記蒸着膜層とがこの順に積層されたガスバリア積層フィルムであって、
    前記プライマー層が、ポリオールとイソシアネート系化合物との複合物によって形成されたものであり、
    前記ポリオールが下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とするガスバリア積層フィルム。
    Figure 2022073517000012

    式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は前記繰り返し単位の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
    Figure 2022073517000013

    式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は前記繰り返し単位の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
  2. 前記ポリオール中の前記繰り返し単位の含有率が、前記ポリオール中の全繰り返し単位に対し2モル%以上50モル%以下である、請求項1に記載のガスバリア積層フィルム。
  3. 前記繰り返し単位が、(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位、およびN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位のいずれかである、請求項1又は2に記載のガスバリア積層フィルム。
  4. 前記プライマー層が、さらに有機系添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のガスバリア積層フィルム。
  5. 前記蒸着膜層の表面に、水溶性高分子とアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有するコーティング液からなる薄膜の乾燥被膜であるガスバリア性被覆層が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のガスバリア積層フィルム。
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