JP2022070629A - 切断刃 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、破砕機の切断刃1には、高硬度かつ高靭性が要求される。
しかしながら、これらは相反する機能であり、両立が困難とされてきた。
これにより、アーク溶接によって肉盛りした切断刃の肉盛り溶接部は、高い硬度を確保し、母材は、靭性を有する材質にすることで、破砕機の切断刃としての性能を満たすものを得ることができた。
・アーク溶接の場合、ワイヤ状の溶接材料しか選べないため、溶接材料の選択に制約を受ける。
・入熱や溶接材料による希釈部が大きく、硬度低下部が広範囲になる。
・精密な肉盛り層の厚さ制御が困難なため肉盛り量が増え、所定の寸法精度を確保するために肉盛り量の70~80%を機械切削する必要があり、肉盛り溶接後の機械加工の作業量が増える。
・肉盛り溶接部の硬度を高めるため、硬度の高い溶接材料を採用することが好ましいが、硬度が高すぎる(HRC60以上)と、肉盛り溶接後の機械加工性が著しく悪化し、比較的機械加工が容易な溶接材料からの採用を余儀なくされる。
そして、以上のことから、アーク溶接によって肉盛り溶接する方法は、切断刃の摩耗部を補修する場合には用いられるが、新品の切断刃には、適用しにくいという課題があった。
半径方向外向きに突出する刃先部を備え、
前記刃先部は、回転方向に向かって尖った先端エッジ部を有し、
前記刃先部を含む側面外縁にサイドエッジ部を有し、
前記先端エッジ部の上面及び前記サイドエッジ部は、肉盛り溶接部が形成されてなる切断刃において、
前記肉盛り溶接部が、レーザ肉盛り溶接部からなることを特徴とする。
・レーザ肉盛り溶接の場合、溶接材料が粉体であるため、溶接材料の選択に制約を受けず、溶接材料の選択肢が広くなる。また、市販品だけでなく、独自の溶接粉末を作製可能で硬度や靭性に独自性を出すことも可能となる。
・入熱や溶接材料による希釈部が小さく、硬度低下部を狭い範囲に抑制し、硬度低下を抑えることができる。
・溶接材料(粉体)供給量や溶接速度等の条件のコントロールにより精密な肉盛り層の厚さ制御が可能なため、肉盛り量を必要最小限とすることができ、所定の寸法精度を確保するための削り代を小さく(具体的には、0.5mm前後)に制御することができ、干渉等の性能に関わる部位の仕上げ加工(例えば、切断刃の厚さの仕上げ研磨)の削り代を少なくでき、干渉等の性能に関わらない部位は肉盛溶接後の機械加工が不要となることとも相俟って、肉盛り溶接後の機械加工の作業量を低減することができる。
・肉盛り溶接部の硬度を高めるため、硬度の高い溶接材料を採用することが好ましいが、研磨のみの加工のため、高硬度(例えば、HRC60以上)の肉盛が可能となる。これにより、レーザ肉盛り溶接部の耐摩耗性をアーク溶接の場合と比較して、1.5~2倍程度に向上することができる。
そして、以上のことから、レーザ溶接によって肉盛り溶接する方法は、切断刃の摩耗部を補修する場合のほか、新品の切断刃に適用する場合に、最適な方法ということができる。
この切断刃1は、例えば、図3~図4に示す構造の剪断式破砕機の回転刃Cに用いられるものである。
回転軸3は、それぞれ軸受(図示省略)を介して、回転可能に箱形のケーシング6内に設置、支持され、モータ(図示省略)によって、内方に(図の矢印方向に)回転するように構成されている。
各回転刃Cは、切断刃1と本体部2から構成され、本体部2の外周面21に、複数(本実施例においては、6個)の切断刃1を配置し、両者をボルト穴15、22の位置でボルト(図示省略)を用いて固定するようにしている。
回転刃Cの切断刃1は、固定部11と、この固定部11から半径方向外向きに突出する刃先部12とを備え、刃先部12は、回転方向に向かって尖った先端エッジ部13を有し、処理物を引き込み、切断したり、剪断したりする作用を奏する。
これにより、ケーシング6の上方から投入された処理物は、回転刃Cの切断刃1の上記作用により破砕され、下方に排出されるようになっている。
スクレーパ5は、回転刃Cに挟まった処理物を掻き取る作用を奏する。
この期間を延長できるように、本実施例の切断刃1は、図1に示すように、刃先部12の回転方向に向かって尖った先端エッジ部13の上面及び刃先部12を含む側面外縁のサイドエッジ部14に、レーザ肉盛り溶接部16、17を形成するようにしている。
本実施例においては、バナジウム、クロム及びモリブデンを含有する粉体の溶接材料を用いるようにしている。
これにより、肉盛り溶接部16、17は、バナジウム、クロム及びモリブデンを含有したものとなり、その硬度を、高硬度(例えば、HRC60~65)にすることができる。
これにより、所定の寸法精度を確保するためのレーザ肉盛り溶接部16、17の削り代を小さく(具体的には、0.5mm前後)に制御することができ、干渉等の性能に関わる部位の仕上げ加工(例えば、切断刃1の厚さの仕上げ研磨)の削り代を少なくでき、干渉等の性能に関わらない部位は肉盛溶接後の機械加工が不要となることとも相俟って、肉盛り溶接後の機械加工の作業量を低減することができる。
なお、本実施例においては、レーザ肉盛り溶接部16は、刃先部12の回転方向に向かって尖った先端エッジ部13を形成するための削り代18を設けるようにしている。
この切断刃1は、刃先部12の回転方向に向かって尖った先端エッジ部13の上面及び刃先部12を含む側面外縁のサイドエッジ部14に形成したレーザ肉盛り溶接部16、17を、切断刃1の母材に形成された断面が半円形状の溝内に形成するようにしたものである。
半円形状の溝は、直径2~6mm程度、好ましくは、4mm程度とし、複数条、具体的には、先端エッジ部13の上面は4条、サイドエッジ部14は2条、それぞれ形成するようにしている。
これにより、上記第1実施例が奏する作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
・溶接パス数を少なくすることができ、施工時間及び施工コストを低減することができる。
・レーザ肉盛り溶接部16、17を、切断刃1の母材に形成された断面が半円形状の溝内に形成することにより、レーザ肉盛り溶接部16、17が、切断刃1の母材に一体化され、剥離することがない。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例と同様である。
上記第1~第2実施例の切断刃1は、切断刃1を複数個のピースで分割構成したものであるが、本発明の切断刃の形態は、これに限定されず、図3に示すような、矩形断面をした回転軸(図示省略)に直接装着される、一体構造の切断刃1(回転刃C)に、第1~第2実施例の切断刃1の構成を適用することもできる。
半円形状の溝は、直径2~6mm程度、好ましくは、4mm程度とし、複数条、具体的には、先端エッジ部13の上面は4条(図示省略)、サイドエッジ部14は2条、それぞれ形成するようにしている。
これにより、上記第2実施例が奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
11 固定部
12 刃先部
13 先端エッジ部
14 サイドエッジ部
16 レーザ肉盛り溶接部
17 レーザ肉盛り溶接部
18 削り代
C 回転刃
Claims (3)
- 半径方向外向きに突出する刃先部を備え、
前記刃先部は、回転方向に向かって尖った先端エッジ部を有し、
前記刃先部を含む側面外縁にサイドエッジ部を有し、
前記先端エッジ部の上面及び前記サイドエッジ部は、肉盛り溶接部が形成されてなる切断刃において、
前記肉盛り溶接部が、レーザ肉盛り溶接部からなることを特徴とする切断刃。 - 前記レーザ肉盛り溶接部が、切断刃の母材に形成された断面が半円形状の溝内に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の切断刃。
- 前記レーザ肉盛り溶接部が、バナジウム、クロム及びモリブデンを含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の切断刃。
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