JP5377241B2 - ガスタービン動翼の補修方法およびガスタービン動翼 - Google Patents
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本発明は、ガスタービン動翼の補修方法に係り、特に、冷却ガスタービン動翼のプラットフォームに発生するき裂を補修するガスタービン動翼の補修方法、およびこの補修方法によって補修されたガスタービン動翼に関する。
ガスタービン動翼は、燃焼器から排出される1000℃以上の高温ガスに曝される。そのため、有効な設計寿命サイクルを得るためには、冷却が必要とされている。一般に、ガスタービン動翼は、圧縮機からの圧縮空気の一部を抽出し、ガスタービン動翼の植込み部の下端から供給することによって冷却されている。ガスタービン動翼の内部に供給された冷却空気は、ガスタービン動翼の翼形部内に形成された冷却通路を通過して翼外に放出される。
ガスタービン動翼は、冷却空気の使用量を極力減らすために、例えば、Ni基耐熱合金で形成され、800℃以上の温度環境で使用される。ガスタービン動翼は、回転場で使用されるため、ガスタービン静翼や燃焼器等の高温部品とは異なり、翼面およびプラットフォームに発生するき裂は許容されない。
しかしながら、使用されるガスタービン動翼の材料は、高温強度が大きい反面、溶接性が悪く、溶接によるき裂の補修は実施されていなかった。そのため、き裂が発生した場合には、限られた部位に対して、研削によってき裂を除去するのみの処置がなされていた。
ここで、ガスタービン動翼のプラットフォームにき裂が発生した場合の、従来の補修方法について説明する。図8は、き裂303が発生した、ガスタービン動翼300のプラットフォーム301を示す斜視図である。図9は、従来の、き裂の補修が施されたガスタービン動翼300のプラットフォーム301を示す斜視図である。
図8に示すように、ガスタービン動翼300のプラットフォーム301の側面302には、翼長手方向に伸びるき裂303が発生している。このき裂303は、熱応力により発生するものであり、ガスタービンの起動および停止を繰り返すことで、低サイクル疲労により発生する。
このき裂303を残存させることは、き裂をさらに進展させる危険性がある。そのため、図9に示すように、研削等によりき裂303は除去される。き裂303を除去したとしても、除去部305に発生する遠心力は翼有効部304比べて相対的に小さいため、機械強度的な問題は生じない。また、き裂303を除去することによって、除去部305に生じる熱応力が緩和される。
しかしながら、き裂303が除去された除去部305は、隣接するガスタービン動翼300との接触面であり、ガス通路側と冷却空気側のシール面となっている。そのため、この除去部305を介して冷却空気CAの一部がガス通路側に流出し、ガスタービン性能に影響を及ぼす。さらに、冷却空気CAの流量バランスが崩れ、翼有効部304への冷却空気CAの流量が減少し、ガスタービン動翼300の損傷に繋がる危険性がある。そのため、従来では、除去部305の範囲が所定の範囲を超えるガスタービン動翼300は、廃却処分されていた。
また、プラットフォームに発生する遠心力は、翼有効部に比べて相対的に小さいことを考慮して、プラットフォームの表面の損傷に対して、溶接によって補修する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば、プラットフォームの側面に発生したき裂を研削し、溶接によって補修する補修方法において、き裂を除去した後の除去部の形状によっては、溶接界面に割れなどが発生することがあった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、き裂を除去した除去部を肉盛により補修する際の、熱ひずみによる影響を抑制して、補修部における欠陥の発生を防止することができるガスタービン動翼の補修方法およびガスタービン動翼を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、ガスタービン動翼のプラットフォームの側面に発生したき裂を、前記プラットフォームの厚さ方向に断面形状が円弧状の溝を形成することで除去するき裂除去工程と、前記プラットフォームの厚さ方向に走査しながら、肉盛材料を多層に肉盛して前記溝を埋める肉盛工程と、前記肉盛材料によって肉盛された肉盛部の寸法を当初の寸法に戻す成形工程と、当初の寸法に戻された前記プラットフォームを熱処理する熱処理工程とを具備することを特徴とするガスタービン動翼の補修方法が提供される。
また、本発明の一態様によれば、上記したガスタービン動翼の補修方法によって補修されたことを特徴とするガスタービン動翼が提供される。
本発明のガスタービン動翼の補修方法およびガスタービン動翼によれば、き裂を除去した除去部を肉盛により補修する際の、熱ひずみによる影響を抑制して、補修部における欠陥の発生を防止することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、き裂12が発生した、ガスタービン動翼10のプラットフォーム11を示す斜視図である。図2は、本発明に係る一実施の形態のガスタービン動翼の補修方法の工程を示す図である。図3A〜図3Dは、本発明に係る一実施の形態のガスタービン動翼の補修方法の工程を説明するための、図1のA−A断面を示す図である。
図1に示すように、ガスタービン動翼10のプラットフォーム11の側面11aにき裂12が発生した場合、図2に示す工程によって、補修処理が行われる。
ここでは、ガスタービン動翼10のプラットフォーム11の側面11aに、き裂12を明らかに目視できる場合を示しているが、き裂12が目視できない場合には、次の工程を経てから、図2に示す補修処理を施してもよい。
まず、ガスタービン動翼10を、溶体化温度(例えば、1200℃程度)で加熱する熱処理を施す。この熱処理を施すことで、例えば、目視できない程度に小さなき裂がある場合や、プラットフォーム11の側面11aよりも内部にき裂が内在している場合、き裂が目視できる程度に発生することがある。また、熱処理後、例えば、蛍光浸透探傷検査などにより、き裂の有無やき裂が存在する位置を確認してもよい。
次に、図2に示す補修処理について説明する。
図3Aに示すようなプラットフォーム11の側面11aにき裂12を確認した場合、例えば、図3Bに示すように、研削等により、プラットフォーム11の厚さ方向(図3Bでは、紙面に垂直な方向)に断面形状が円弧状の溝13を形成して、き裂12を除去する(き裂除去工程S100)。なお、き裂12が、プラットフォーム11の厚さ方向の一部に発生している場合には、プラットフォーム11の厚さ方向に亘って溝13を形成せずに、き裂12が発生した部分のみ、プラットフォーム11の厚さ方向に溝13を形成するようにしてもよい。
ここで、円弧状の溝13は、図3Bに示す断面形状における溝13の側面13bが、所定の直径の円周の一部で構成されている溝であることが好ましい。このように、溝13の断面形状を円弧状にすることで、肉盛工程S101において、溝13の開口端縁においても、適切に肉盛を行うことができる。さらに、溝13の開口端縁(円弧状の終端縁)と、プラットフォーム11の母材との接続部近傍の界面に垂直な方向に生じる、肉盛材料14が凝固する際の収縮力に伴う引張力を低減することができる。そのため、溝13の開口端縁(円弧状の終端縁)と、プラットフォーム11の母材との接続部近傍の界面に発生しやすい、熱ひずみの蓄積による割れを抑制することができる。
また、上記したように、プラットフォーム11の厚さ方向に溝13を形成するのは、き裂はプラットフォーム11の厚さ方向に生じるためである。さらには、肉盛領域を最小にすることができるからである。
き裂除去工程S100において形成される溝13の形状は、き裂12の深さにより溝の最大深さHが異なる。また、溝13の開口幅Wは、溝13の最大深さHの2.5倍以上であることが好ましい。溝13の開口幅Wを溝13の最大深さHの2.5倍以上とすることで、例えば、肉盛工程S101において、溝13の表面の全面に亘って均一に接合および積層された肉盛層を形成することができる。なお、溝13の開口幅Wの上限値は、肉盛部の接合強度やプラットフォーム11の機械的強度の低下を考慮して、溝13の最大深さHの3倍程度にすることが好ましい。
続いて、肉盛材料14からなるビードを形成するための装置をプラットフォーム11の厚さ方向(図3Cでは、紙面に垂直な方向)に走査しながら、肉盛材料14からなるビードを多層に肉盛して、図3Cに示すように溝13を埋める(肉盛工程S101)。
このようにプラットフォーム11の厚さ方向、すなわち溝13が形成された方向にビードを形成することで、例えば、後述するレーザ肉盛溶接により肉盛する場合、レーザ照射面がビードの方向に水平となり、レーザトーチから照射位置までの距離が一定となり、安定した入熱が得られる。また、同様の理由より、肉盛材料である粉末の供給も一定で、均一に行うことができる。一方、プラットフォーム11の厚さ方向に直交する方向、すなわち、溝13が形成された方向に直交する方向にビードを形成した場合には、レーザトーチから照射位置までの距離が一定とならず、安定した入熱が得られない。同様に、肉盛材料である粉末の供給も一定に行うことができない。
ここで、ガスタービン動翼10(プラットフォーム11を含む)は、例えば、IN738(登録商標)やGTD111(登録商標)などのNi基耐熱合金で形成されている。肉盛材料14は、このガスタービン動翼10(プラットフォーム11を含む)を形成するNi基耐熱合金よりも延性が大きなNi基耐熱合金で形成されることが好ましい。この延性に優れたNi基耐熱合金として、例えば、IN625(登録商標)、IN600(登録商標)などを使用することができる。なお、この延性に優れたNi基耐熱合金は、プラットフォーム11の母材を形成するNi基耐熱合金の耐熱温度と同等の耐熱温度を有するものであることが好ましい。
上記した、ガスタービン動翼10(プラットフォーム11を含む)を形成するNi基耐熱合金は、高温強度に優れる反面、高温における延性が小さく、溶接性が悪い。そのため、溶接時の過大な入熱で割れやすい性質を有している。また、プラットフォーム11の側面11aでは、遠心荷重等に対して、プラットフォーム11を形成する母材が有するほどの機械的強度は必要なく、当初の平面が確保されることが重要である。そのため、プラットフォーム11の側面11aに形成された溝13を埋める肉盛材料14として、上記した、延性に優れたNi基耐熱合金を使用している。
また、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、次に示す(1)〜(3)のいずれかの方法を採用することが好ましい。
(1)レーザ肉盛溶接
まず、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末をレーザ光によって溶融して肉盛するレーザ肉盛溶接法を採用することができる。
まず、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末をレーザ光によって溶融して肉盛するレーザ肉盛溶接法を採用することができる。
図4は、レーザ肉盛溶接法を説明するための図である。なお、図4では、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向(図4では、左右方向)に沿った断面が示されている。
図4に示すように、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向に、レーザトーチ110から照射されるレーザ光111を走査するとともに、肉盛材料14の粉末14aを粉末供給装置112からレーザ光111の前方に供給する。これにより溝13に供給された肉盛材料14の粉末14aは、レーザ光111の熱で溶融し、プラットフォーム11の母材に溶着する。このように、溝13のプラットフォーム11の厚さ方向にレーザ肉盛溶接を繰り返し行い、溶接ビード113を積層して肉盛する。なお、レーザとして、例えば、CO2レーザやYAGレーザなどを使用することができる。
また、前述したように、溝13の開口幅Wを溝13の最大深さHの2.5倍以上とすることで、レーザ光111を溝13の表面の全面に均一に照射することができるため、溶接時の融合不良等を防止することができる。特に、溝13の開口端縁においても、レーザ光111を均一に照射することができるので有効である。
また、供給する肉盛材料14の粉末14aの供給量は、レーザの出力、すなわちレーザ光111のエネルギに依存し、レーザの出力が大きいほど多量の粉末14aを供給して、溶接することが可能となる。ここで、溶接時の凝固割れを防ぐためには、レーザの出力を極力低下させて、溶接時の入熱を押さえることが重要である。そのため、肉盛材料14の粉末14aを溶融できる程度の最小限のエネルギを有するレーザ光111を照射しながら、溝13のプラットフォーム11の厚さ方向(図4では、左右方向)にレーザ肉盛溶接を繰り返し行い、溶接ビード113を積層して肉盛することが好ましい。
このように、レーザの出力を調整して、肉盛材料14の粉末14aを溶融できる程度の最小限のエネルギを有するレーザ光111を照射することで、溶接時の熱ひずみの蓄積による溶接界面での割れの発生を抑制することができる。
(2)高速フレーム溶射(HVOF、HVAF)
次に、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末を高温の燃焼ガスとともに高速で噴出して肉盛する高速フレーム溶射(HVOF、HVAF)法を採用することができる。なお、HVOFは、高圧の酸素および炭化水素系の燃料による燃焼炎を利用したフレーム溶射法であり、HVAFは、圧縮空気および炭化水素系の燃料による燃焼炎を利用したフレーム溶射法である。いずれの高速フレーム溶射法を採用してもよい。
次に、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末を高温の燃焼ガスとともに高速で噴出して肉盛する高速フレーム溶射(HVOF、HVAF)法を採用することができる。なお、HVOFは、高圧の酸素および炭化水素系の燃料による燃焼炎を利用したフレーム溶射法であり、HVAFは、圧縮空気および炭化水素系の燃料による燃焼炎を利用したフレーム溶射法である。いずれの高速フレーム溶射法を採用してもよい。
図5は、高速フレーム溶射法を説明するための図である。なお、図5では、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向(図5では、左右方向)に沿った断面が示されている。
図5に示すように、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向に、溶射ガン120を走査する。この溶射ガン120には、肉盛材料14の粉末14aが供給される。そして、粉末14aは、燃焼フレームの熱により溶融して微粒子となり、溶射ジェット121によって溶射ガン120の先端から高速で噴出される。溶射ジェット121のうち、フレームの速度は、例えば、超音速となり、微粒子の速度は、微粒子の組成や粒径、燃焼圧、溶射ジェット121の噴出口の形状にもよるが高速となる。
噴出された微粒子は、プラットフォーム11の母材に溶着する。このように、溝13のプラットフォーム11の厚さ方向に高速フレーム溶射を繰り返し行い、溶射ビード122を積層して肉盛する。
なお、ここで使用することができる肉盛材料14は、前述した材料の他に、例えば、NiCoCrAlYやCoNiCrAlYなどの材料を使用してもよい。
また、前述したように、溝13の開口幅Wを溝13の最大深さHの2.5倍以上とすることで、溶射ジェット121を溝13の表面の全面に均一に溶射することができるため、溶射時の融合不良等を防止することができる。特に、溝13の開口端縁においても、溶射ジェット121を均一に溶射することができるので有効である。
ここで、高速フレーム溶射では、上記したように、溶融した微粒子を高速で吹き付けて密着させるため、プラットフォーム11の母材が溶融することなく、形成された溶射ビード122には、基本的に圧縮応力が発生し、凝固時の収縮による割れの発生を抑制することができる。また、高速フレーム溶射では、プラットフォーム11の母材への熱影響を極力抑えることができる。また、高速フレーム溶射では、溶射部に圧縮応力が発生するため、厚膜化が可能である。さらに、高速フレーム溶射では、肉盛材料14の熱変質が抑制され、緻密で密着性に優れた溶射ビード122を形成することができる。
(3)コールドスプレー
次に、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末を気体とともに超音速で噴出して肉盛するコールドスプレー法を採用することができる。
次に、肉盛工程S101において、肉盛材料14で溝13を埋めて肉盛する方法として、肉盛材料14の粉末を気体とともに超音速で噴出して肉盛するコールドスプレー法を採用することができる。
図6は、コールドスプレー法を説明するための図である。なお、図6では、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向(図6では、左右方向)に沿った断面が示されている。
図6に示すように、溝13が形成されるプラットフォーム11の厚さ方向に、スプレーガン130を走査する。このスプレーガン130に供給された肉盛材料14の粉末14aは、例えば、ヘリウム、窒素、空気などの気体の流れの中に流引されて加速され、先細末広(ラバル)ノズルで構成されたスプレーガン130の先端から超音速で噴出される。噴出された粉末14aは、プラットフォーム11の母材に衝突して密着してビードを構成する。このように、溝13のプラットフォーム11の厚さ方向にコールドスプレーを繰り返し行い、ビード131を積層して肉盛する。
また、前述したように、溝13の開口幅Wを溝13の最大深さHの2.5倍以上とすることで、スプレーガン130からの超音噴流を溝13の表面の全面に均一に噴出することができるため、肉盛時の融合不良等を防止することができる。特に、溝13の開口端縁においても、スプレーガン130からの超音噴流を均一に溶射することができるので有効である。
このように、コールドスプレーにより肉盛することで、粉末14aに熱を与えないため、溶射時の熱ひずみの影響がない。また、コールドスプレーでは、プラットフォーム11の母材への熱影響もほとんどない。
続いて、肉盛工程S101において、肉盛された肉盛部の寸法を、図3Dに示すように、当初の寸法に戻す(成形工程S102)。
成形工程S102では、図3Cに示す、プラットフォーム11の母材の表面に対して突出した肉盛部15を、図3Dに示すように、その表面がプラットフォーム11の母材の表面と同一平面となるように研磨する。研磨は、例えば、グラインダなどの研磨機を使用して行われる。
成形工程S102後、残留応力を取り除くため、熱処理を施す(熱処理工程S103)。熱処理工程S103では、ガスタービン動翼10を真空中において、溶体化温度まで加熱して溶体化処理を施す。
続いて、熱処理工程S103後の、ガスタービン動翼10のプラットフォーム11の側面11aに対して、例えば、蛍光浸透探傷検査などによりき裂の有無などを確認してもよい。なお、蛍光浸透探傷検査によりき裂は発見された場合には、そのき裂に対して、上記した、き裂除去工程S100、肉盛工程S101、形成工程S102および熱処理工程S103を施すことができる。
続いて、ガスタービン動翼10に、公知なコーティング処理および時効処理を施す。また、上記した熱処理工程S103は、コーティング処理後に行ってもよい。
上記したように、一実施の形態のガスタービン動翼の補修方法によれば、肉盛工程S101において、レーザ肉盛溶接、高速フレーム溶射およびコールドスプレーのいずれかを採用して肉盛することで、き裂を除去した除去部を肉盛により補修する際の、熱ひずみによる影響を抑制することができる。そのため、熱ひずみの蓄積による溶接界面または溶射界面での割れ発生を抑制することができる。また、一実施の形態のガスタービン動翼の補修方法によれば、プラットフォーム11の母材への熱影響を極力抑えることができる。
また、溝13の開口幅Wを溝13の最大深さHの2.5倍以上とすることで、溶接時または溶射時の融合不良等を防止することができる。特に、溝13の開口端縁においても、均一に溶接または溶射することができるので有効である。
(溝13の開口端縁の他の形状)
ここで、溝13の開口端縁の形状は、前述した円弧状の形状に限られるものではない。図7は、き裂12を除去するためにプラットフォーム11の厚さ方向(図7では、紙面に垂直な方向)に形成される溝13の開口端縁の他の形状を説明するための、図1のA−A断面に相当する断面を示す図である。なお、図7には、肉盛材料14からなるビードを多層に肉盛することで、溝13が埋められた状態を示している。
ここで、溝13の開口端縁の形状は、前述した円弧状の形状に限られるものではない。図7は、き裂12を除去するためにプラットフォーム11の厚さ方向(図7では、紙面に垂直な方向)に形成される溝13の開口端縁の他の形状を説明するための、図1のA−A断面に相当する断面を示す図である。なお、図7には、肉盛材料14からなるビードを多層に肉盛することで、溝13が埋められた状態を示している。
図7に示すように、溝13の断面形状において、溝13の開口端縁13aが、溝13の側面13bとプラットフォーム11の側面11aとをなだらかに接続する、溝13の開口側に凸となる曲面13cを有するように、溝13を構成してもよい。
この場合、溝13の開口幅Wは、図7に示すように、曲面13cとプラットフォーム11の側面11aとの境界間となる。この場合も、前述した円弧状の溝13と同様に、溝13の開口幅Wは、溝13の最大深さHの2.5倍以上であることが好ましく、溝13の開口幅Wの上限値は、溝13の最大深さHの3倍程度にすることが好ましい。
なお、この溝形状の場合も、肉盛工程S101以降の処理は、前述した処理と同じである。
ここで、溝13の開口端縁(円弧状の終端縁)と、プラットフォーム11の母材との接続部近傍の界面には、肉盛材料14が凝固する際の収縮力が、溝13の中央に向かって水平方向に作用する。そのため、界面には、界面に垂直な方向に引張力が生じる。
そこで、溝13の形状に、溝13の側面13bとプラットフォーム11の側面11aとをなだらかに接続する曲面13cを有することで、界面に垂直な方向に生じる引張力を低減することができる。そのため、溝13の開口端縁(円弧状の終端縁)と、プラットフォーム11の母材との接続部近傍の界面に発生しやすい、熱ひずみの蓄積による割れを抑制することができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10…ガスタービン動翼、11…プラットフォーム、11a…表面、12…き裂、13…溝、13a…開口端縁、11a、13b…側面、13c…曲面、14…肉盛材料、14a…粉末、15…肉盛部、110…レーザトーチ、111…レーザ光、112…粉末供給装置、113…溶接ビード、120…溶射ガン、121…溶射ジェット、122…溶射ビード、130…スプレーガン、131…ビード。
Claims (8)
- ガスタービン動翼のプラットフォームの側面に発生したき裂を、前記プラットフォームの厚さ方向に断面形状が円弧状の溝を形成することで除去するき裂除去工程と、
前記プラットフォームの厚さ方向に走査しながら、肉盛材料を多層に肉盛して前記溝を埋める肉盛工程と、
前記肉盛材料によって肉盛された肉盛部の寸法を当初の寸法に戻す成形工程と、
当初の寸法に戻された前記プラットフォームを熱処理する熱処理工程と
を具備することを特徴とするガスタービン動翼の補修方法。 - 前記肉盛工程において、前記肉盛材料の粉末をレーザ光によって溶融して肉盛することを特徴とする請求項1記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 前記肉盛工程において、前記肉盛材料の粉末を高温の燃焼ガスとともに高速で噴出する高速フレーム溶射により肉盛することを特徴とする請求項1記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 前記肉盛工程において、前記肉盛材料の粉末を気体とともに超音速で噴出するコールドスプレーにより肉盛することを特徴とする請求項1記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 前記プラットフォームがNi基耐熱合金で形成され、前記肉盛材料が、前記プラットフォームを形成するNi基耐熱合金よりも延性が大きなNi基耐熱合金で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 前記溝の開口幅が、前記溝の最大深さの2.5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 前記溝の断面形状において、前記溝の開口端縁が、前記溝の側面と前記プラットフォームの表面とをなだらかに接続する、前記溝の開口側に凸となる曲面で構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のガスタービン動翼の補修方法。
- 請求項1乃至7のいずれか1項記載のガスタービン動翼の補修方法によって補修されたことを特徴とするガスタービン動翼。
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