JP4928916B2 - ガスタービン高温部品の補修方法およびガスタービン高温部品 - Google Patents

ガスタービン高温部品の補修方法およびガスタービン高温部品 Download PDF

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本発明は方向性凝固部材を適用したガスタービン高温部品のハーフオーバラップ法による肉盛補修技術に係り、特に溶け込み性の向上および異結晶の析出防止等を図ったガスタービン高温部品の補修方法およびガスタービン高温部品に関する。
ガスタービン高温部品、特にガスタービン動翼およびガスタービン静翼等には、起動停止などによる高/低サイクル疲労により、翼表面に疲労き裂等の表面損傷が発生する。また、ガスタービン高温部品は高温にて高速流体に晒されるため、固体粒子の衝突等によっても静翼表面、動翼プラットホーム部等にエロージョンによる損傷および疲労き裂等が発生する。これに対し、ガスタービン高温部品はNi基超合金等を材料とする高価なものであるため、所定の運用間隔毎に点検を行い、発見された損傷発生部の補修等を施し、繰返して使用することが多い。
従来、これらガスタービン高温部品の動/静翼の補修については、ガスタングステンアーク溶接や、ろう付け補修などが行われてきた。しかしながら、これらの補修方法を適用した場合には、補修部の組織が細かい結晶粒の集合による等軸晶となり、例えば一方向凝固超合金のろう付け補修については、補修部の引張強度が母材とほぼ同様になるものの、クリープ強度が母材の33−87%に減少するとの報告がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、ガスタービンには燃焼ガスの静翼入口温度が1500℃を超えるものがあり、このような高温に対処するため、従来使用されてきた普通鋳造超合金に代って方向性凝固合金である一方向凝固超合金が使用され、さらに最近では高強度の方向性凝固合金である単結晶超合金が使用されるようになっている。しかし、単結晶超合金を適用したガスタービン高温部品については、上述した従来の補修技術により補修部の強度を十分に回復することができないのが実情である。
この事態に対する提案として、ガスタービン高温部品の補修時に、切除面が母材の優先結晶成長方向を向くように損傷部位を削除し、その後、溶加材を添加するとともに、比較的低い出力密度で照射面でのビーム直径が比較的大きくなるように、かつ比較的長時間にわたってレーザビームを照射し、深さの幅に対する比が小さい溶融池を生成して補修を行なう技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載された補修方法によれば、補修部としてガスタービン高温部品の母材の結晶方位と同等な組織が得られるため、補修部も十分な強度を得ることができる。
しかしながら、この方法では補修部位を広範囲にわたって削除する必要があり、また溶解に時間がかかるため、非効率的であった。また溶融池の幅方向端部における結晶成長方向は他の部位に比べて大幅に異なる。
ところで従来、被補修部材の母材表面上に、複数に分けた肉盛部を一定パス間隔で積層させるハーフオーバラップ法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
図9は、このハーフオーバラップ法による補修方法を示す断面図である。この図9に示すように、被補修部材の母材101の補修部である表面上に、単結晶の肉盛部102a〜102eを所定のパス間隔で順次に積層させる。この方法により、母材101の表面に、連続した肉盛部としての積層体103を形成する。
特開平9−110596号公報 特開2005−152918号公報 D.W.Gandy他,2000年 ASM International Materials Solutions conference 2000
上述したオーバラップ法を採用する従来技術においては、複数に分けた肉盛部を一定パス間隔で積層させる際に、加熱分布および溶加材添加量が不均一となり、温度分布管理が困難となっていた。また、異結晶が発生する場合があった。さらに、アルミニウムを多く含むニッケル基一方向あるいは単結晶超合金の肉盛溶接を行なう方法では、溶加材の溶け込み不良による割れの発生、溶接時の残留応力による再結晶が生成し易いという課題があった。
図10は、発明者により異結晶および溶け込み不良等を確認した結果を示す顕微鏡写真である。この図10に示すように、母材101と積層体103との接合部において、異結晶104が形成されるほか、溶加材の溶け込み不良105による割れの発生が見られる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、方向性凝固部材を用いたガスタービン高温部品の補修対象部を、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接により補修するガスタービン高温部品の補修方法において、前記肉盛溶接による肉盛部の単結晶の組織を維持し、かつ前記肉盛溶接における加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cm、操作速度を5mm/s以上、ビーム径を2mmφ以下にするとともに、前記肉盛溶接の単位層の厚さを300μm以下とし、1層以上形成することを特徴とするガスタービン高温部品の補修方法を提供することにある。
発明者においては、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛補修について種々の試験および研究の結果、加熱源の出力密度、肉盛量、加熱源の走査速度および加熱源のビーム径等を規定することにより、溶加材添加量の均一化、温度分布管理の適正化および異結晶発生防止等が図れることを見出した。
すなわち、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接において、加熱源の出力密度が一定の範囲を越えた場合、また形成する肉盛溶接の単位層の厚さが過度に大きい場合には、溶加材添加量が不均一となり、温度分布の管理が困難となり、異結晶の発生原因が増大した。
例えば、アルミニウムを多く含むニッケル超合金のガスタービン高温部品および肉盛溶接について、加熱源の出力密度が1×10 W/cm を超えた場合、あるいは10×10W/cmに満たない場合には、温度分布変動幅が大きくなることが確認された。また、肉盛溶接の単位層の厚さが300μmを超えた場合にも同様に、温度分布変動幅が大きくなり、溶加材添加量が不均一となり、異結晶の発生が見られた。

また、加熱源の走査速度が過度に遅く、5mm/s未満であると、温度上昇が大きくなり、肉盛部の結晶成長方向を一方向に確実に揃えることが困難となり、溶加材の溶け込みが過大となり、割れが発生したり、溶接時の残留応力による再結晶の生成が見られた。
さらに、肉盛溶接における加熱源のビーム径が過大である場合、特に2mmφを超える場合にも、溶加材の溶け込み不良による割れの発生、溶接時の残留応力による再結晶の生成が認められた。
以上の見地から、本発明においては、肉盛溶接における加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cmにするとともに、肉盛溶接の単位層の厚さを300μm以下とすることを特徴とする。望ましくは、200μm以下とする。
本発明においては、肉盛溶接における加熱源の走査速度を5mm/s以上とすることが望ましい。また、肉盛溶接における加熱源のビーム径を2mmφ以下とすることが望ましい。
以上のように、加熱源のビーム径を2mmφ以下、加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cm、レーザの走査速度を5mm/s以上とし、溶加材の添加量を調整し、単位層の肉盛量を300μm以下とすることにより、溶け込み不良、異結晶の析出がなく、熱処理後も再結晶の生成がない金属組織を得ることができる。
本発明によれば、ハーフオーバラップ法による肉盛補修技術を適用する場合において、母材と補修部位の結晶成長方向を合わせることにより、効率よく作業できるとともに、肉盛部の結晶成長方向を一方向に確実に揃えることができ、しかも溶加材を良好に溶け込ませて、割れの発生や溶接時の残留応力による再結晶の生成を防止することができ、高強度かつ耐環境性に優れた補修部位を得ることができる。
以下、本発明に係るガスタービン高温部品の補修方法およびガスタービン高温部品の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
[第1実施形態(図1〜図5)]
本実施形態では基本例として、1層の肉盛溶接を行なう場合の補修方法について説明する。図1は補修時における肉盛溶接部を示す断面図であり、図2(a),(b),(c)は補修工程全体の手順を順次に示す説明図である。図3は溶接時におけるレーザ出力および溶接速度の条件を示すグラフである。図4および図5は本実施形態による2種の試験例を示す顕微鏡写真である。
まず、図2(a)〜(c)を参照して補修工程を説明する。図2(a)には、ガスタービンの動翼または静翼等であるガスタービン高温部品1の母材1aの表面に、き裂2が発生した状態を示している。このき裂2は、ガスタービンの起動および停止などの高/低サイクル疲労、あるいは高速流体に晒されたことによるエロージョンに起因して発生したものである。このき裂2が形成された部位が補修対象部3となる。
図2(b)には、補修対象部3に肉盛溶接を施すための準備工程を示している。この工程では、図2(a)に示したき裂2の周辺母材1aをグラインダ等によって削除し、補修対象部3を緩やかな凹形の窪みとして形成する。
図2(c)には、被補修部3に対し、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接を行なう補修工程を概略的に示している。この工程では、被補修部3に形成された凹形の窪み内に、図示省略の溶加材の添加とともに加熱源4を配置し、この加熱源4から所定の出力密度によりレーザビーム、プラズマビームまたは電子ビーム等の加熱ビームを照射する。そして、この加熱ビームの照射により、被補修部3の母材表面上に、複数の肉盛部5a‥を一定パス間隔で積層し、1層の肉盛部5を形成する。
次に、図1を参照して肉盛部5の形成方法について説明する。図1に示すように、本実施形態では、ハーフオーバラップ法により、ガスタービン高温部品1の被補修部3の表面上に、単結晶の肉盛部5a‥を所定の肉盛厚さh1に制御しつつ形成する。すなわち、母材1aの表面上に、単結晶の肉盛部5a‥を所定の溶接幅L1および溶接パス間隔L2で順次に積層することにより、母材1aの表面に、連続した肉盛部5としての積層体を形成する。この場合、制御する肉盛厚さh1は300μm以下とし、積層体の肉厚h1を極めて薄くすることにより、単結晶組織を維持するようにする。肉盛厚さh1の制御方法としては、例えば各肉盛部5a‥の溶接幅L1の端部位置を超えた位置に、それぞれ溶接パス間隔L2の終始点が配置するように制御し、各肉盛部5a‥の積層厚さが過度に大きくならないようにする。
このように、本実施形態による積層方法では、一回あたりの肉盛厚さh1を300μm以下に設定することにより、単結晶または一方向凝固材料の母材1に対し、加熱源4によって加熱溶融される単結晶の溶融積層部としての肉盛部を、所定の走査距離を置きながら、所定厚さの金属積層体の形成を行なう。なお、肉盛厚さh1については、200μm以下とすることが望ましい。
この場合、加熱源としてのレーザビーム、電子ビーム、プラズマビーム等の局所的で、かつ入熱が低い熱源は、300μm以下の肉盛溶接に好適である。また、溶加材については、ガスタービン高温部品1の母材1aと母金属が同一であれば、必ずしも母材1aと同一材料である必要はない。また溶加材の供給形態については粉末、棒、ワイヤ供給のいずれであってもよい。
図3は、方向性凝固部材を用いたガスタービン高温部品の補修対象部を、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接により補修するガスタービン高温部品の補修方法を実施する場合において、発明者による多くの試験結果に基いて肉盛溶接条件の設定要件を説明するために示す試験データおよび好ましい実施範囲を設定するためのグラフである。
試料は、母材としてCMSX−4(商品名(キャノンマスケゴン社製単結晶超合金))を適用した。溶加材としては、0.8mmのNi基超合金溶接棒(商品名(ポリメット社製PMET842))を適用した。これらの材料組成は、下記の表1および表2にそれぞれ示すように、アルミニウムを多く含むニッケル超合金である。加熱源にはφ1.5mmφのYAGレーザを使用した。
この図3において、縦軸には加熱源としてのレーザ出力(W)を示し、横軸には溶接速度(mm/s)を示している。曲線Aの下方領域イは未溶融領域であり、同曲線Aの上方領域ロは溶融領域(単結晶化領域)である。また、曲線Bは溶融領域(単結晶化領域)の上限を示す区画線であり、この曲線の上方領域ハは多結晶化領域である。さらに、単結晶領域ロ内を通る曲線Cの上方領域二は母材の再溶融を含む条件での単結晶領域である。
そして、最も好ましい溶接条件に合致するのは図3に「ホ」で示した領域である。この領域は、肉盛溶接におけるレーザの出力密度を1×10〜10×10W/cmに設定し、レーザの走査速度を5mm/s以上とした領域であり、この領域で処理した場合には、溶け込み不良、異結晶の析出がなく、熱処理後も再結晶の生成がない金属組織を得ることができた。
実際の検討結果では、アルミニウムを多く含むニッケル超合金のガスタービン高温部品および肉盛溶接について、加熱源の出力密度が1×10 W/cm を超えた場合、あるいは10×10W/cmに満たない場合には、温度分布変動幅が大きくなる。そこで、本実施形態では、肉盛溶接における加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cmに設定するものである。
また、肉盛溶接の1層の厚さが300μmを超えた場合にも同様に、温度分布変動幅が大きくなり、溶加材添加量が不均一となり、異結晶の発生が見られる。そこで、本実施形態では、肉盛溶接の単位層の厚さを300μm以下とする。また、加熱源の走査速度が過度に遅く、5mm/s未満であると、温度上昇が大きくなり、肉盛部の結晶成長方向を一方向に確実に揃えることが困難となり、溶加材の溶け込みが過大となり、割れが発生したり、溶接時の残留応力による再結晶の生成が見られる。そこで、本実施形態では、肉盛溶接における加熱源の走査速度を5mm/s以上とする。
さらに、肉盛溶接における加熱源のビーム径が過大である場合、特に2mmφを超える場合にも、溶加材の溶け込み不良による割れの発生、溶接時の残留応力による再結晶の生成が認められる。そこで、本実施形態では、肉盛溶接における加熱源のビーム径を2mmφ以下とする。
以上の条件に基き、本実施形態では、加熱源のビーム径を2mmφ以下、加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cm、レーザの走査速度を5mm/s以上とし、かつ溶加材の添加量を調整し、1回あたりの肉盛量を300μm以下とした。この結果、上述したように、本実施形態では、図3に示した一定の領域「ホ」で処理することで溶け込み不良、異結晶の析出がなく、熱処理後も再結晶の生成がない金属組織を得ることができた。
図4は、上記の条件で実際に得られた肉盛溶接の顕微鏡写真である。具体的には、レーザ出力を600W、溶接速度を10mm/s、ビーム径を2mmφ(出力密度1.9×10W/cm)、ワイヤ供給速度を7mm/sとした場合であり、図1および図2で示したように、1層の肉盛溶接を行ったものである。この図4に示すように、溶接肉盛部5の組織は単結晶となり、異結晶の発生および溶け込み不良もなく、極めて良好な結晶成長例を得ることが確認された。
表1には、本実施形態で適用したガスタービン高温部品の材料構成を示す(商品名および組成)。この表1に示すように、本実施形態では、ガスタービン高温部品を構成する方向性凝固部材は、一方向凝固部材または単結晶部材とされる。
表2には、本実施形態で適用した溶加材の材料構成を示す(商品名および組成)。
また、図5は、多パス施工による具体例を示す顕微鏡写真である。この例では、レーザ出力を600W、溶接速度を10mm/s、ビーム径を1.5mmφ(出力密度3.4×10W/cm)、ワイヤ供給速度を3.5mm/sとし、5パスを積層した場合であり、図1および図2で示したように、母材1aに対し、1層の肉盛溶接を行ったものである。この図5に示すように、本例においても、溶接肉盛部5の組織は単結晶であり、異結晶の発生および溶け込み不良もなく、極めて良好な結晶成長例を得ることが確認された。
[第2実施形態(図6〜図8)]
本実施形態では2層の肉盛溶接を行なう場合の補修方法について説明する。図6は補修時における肉盛溶接部を示す断面図であり、図7(a),(b),(c)は補修工程全体の手順を順次に示す説明図である。図8は本実施形態による試験例を示す顕微鏡写真である。
まず、図7(a)〜(c)を参照して補修工程を説明する。図7(a)には、ガスタービンの動翼または静翼等であるガスタービン高温部品11の母材11aの表面に、き裂12が発生した状態を示している。このき裂12は、ガスタービンの起動および停止などの高/低サイクル疲労、あるいは高速流体に晒されたことによるエロージョンに起因して発生したものである。このき裂12が形成された部位が補修対象部13となる。
図7(b)には、補修対象部13に肉盛溶接を施すための準備工程を示している。この工程では、図7(a)に示したき裂2の周辺母材11aをグラインダ等によって削除し、補修対象部13を緩やかな凹形の窪みとして形成する。
図7(c)には、被補修部13に対し、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接を行なう補修工程を概略的に示している。この工程では、被補修部13に形成された凹形の窪み内に、図示省略の溶加材の添加とともに加熱源14を配置し、この加熱源14から所定の出力密度によりレーザビーム、プラズマビームまたは電子ビーム等の加熱ビームを照射する。そして、この加熱ビームの照射により、被補修部13の母材表面上に、複数の肉盛部15a‥を一定パス間隔で積層して第1層の肉盛部15を形成した後、第2層の肉盛層16を形成する。
次に、図6を参照して肉盛部15の形成方法について説明する。図6に示すように、本実施形態では、まず、ハーフオーバラップ法により、ガスタービン高温部品11の被補修部13の表面上に、第1層としての単結晶の肉盛部15a‥を所定の肉盛厚さh2に制御しつつ形成する(なお、図6においては、下記第2層の形成により、h2の上部が溶融して寸法が低くなった状態が示されている)。
このように、母材11aの表面上に、単結晶の肉盛部15a‥を所定の溶接幅および溶接パス間隔で順次に積層することにより、母材1aの表面に、連続した第1の肉盛部15としての積層体を形成する。この場合、制御する肉盛厚さh2は200μm以下とし、積層体の肉厚を極めて薄くすることにより、単結晶組織を維持するようにする。肉盛厚さh2の制御方法としては、例えば各肉盛部15a‥の溶接幅の端部位置を超えた位置に、それぞれ溶接パス間隔の終始点が配置するように制御し、各肉盛部15a‥の積層厚さが過度に大きくならないようにする。
次に、第2層としての単結晶の肉盛部16a‥を所定の肉盛厚さh3に制御しつつ形成する。すなわち、第1層の肉盛部15の表面上に、第2層としての単結晶の肉盛部16a‥を所定の溶接幅および溶接パス間隔で順次に積層することにより、第1層の肉盛部15の表面に、連続した第2の肉盛部16としての積層体を形成する。この場合、制御する肉盛厚さh3も第1層と同様に、300μm以下とし、積層体の肉厚h3も極めて薄くすることにより、単結晶組織を維持するようにする。これら第1層および第2層の肉盛厚さh2,h3の制御方法も、第1実施形態と同様に、各肉盛部15a‥,16a‥の溶接幅の端部位置を超えた位置に、それぞれ溶接パス間隔の終始点が配置するように制御し、各肉盛部15a‥,16a‥の積層厚さが過度に大きくならないようにする。
このように、本実施形態による積層方法では、単位層の肉盛厚さh1を300μm以下に設定して2層肉盛することにより、単結晶または一方向凝固材料の母材11に対し、加熱源14によって加熱溶融される単結晶の溶融積層部としての肉盛部を、所定の走査距離を置きながら、所定厚さの金属積層体の形成を行なう。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で示した図3の試験データに基いて溶接条件を設定した。また、試料も、母材としてCMSX−4(商品名(キャノンマスケゴン社製単結晶超合金))を適用し、溶加材としては、Ni基超合金溶接棒(商品名(ポリメット社製PMET842))を適用した。
図8は、上記の条件で実際に得られた肉盛溶接の顕微鏡写真である。具体的には、レーザ出力を600W、溶接速度を10mm/s、ビーム径を1.5mmφ(出力密度3.4×10W/cm)、ワイヤ供給速度を5mm/sとした場合であり、図6および図7で示したように、2層の肉盛溶接を行ったものである。この図8に示すように、2層の溶接肉盛部15,16が一体化され、その組織は単結晶となった。
本実施形態によれば、単位層あたりの積層厚さを300μm以下、特に200μm以下とすることによって2層の肉盛についても溶け込み不良をなくすことができ、加えて溶融積層部を薄くすることによって金属積層部中の残留応力を減少させることができ、金属積層体を形成させた後に熱処理を実施した場合も再結晶を生じない。また、異結晶がなく下地の結晶組織を引き継いだ良好な積層体を得ることができる。
[他の実施形態]
なお、以上の各実施例では、金属積層体を1層の肉盛溶接および2層の肉盛溶接を行なった場合について説明したが、本発明では、3層以上の多層であっても問題なく積層させることができる。
本発明の第1実施形態による1層の肉盛溶接状態を示す説明図。 (a)〜(c)は、本発明の第1実施形態によるき裂部の肉盛溶接補修フローを示す説明図。 本発明の第1実施形態による溶接条件を示すグラフ。 本発明の第1実施形態による結晶成長の一例を示す顕微鏡写真。 本発明の第1実施形態による結晶成長の他の例を示す顕微鏡写真。 本発明の第2実施形態による2層の肉盛溶接状態を示す説明図。 (a)〜(c)は、本発明の第2実施形態によるき裂部の肉盛溶接補修フローを示す説明図。 本発明の第2実施形態による結晶成長の一例を示す顕微鏡写真。 従来例を示すハーフオーバラップ法の説明図。 従来のハーフオーバラップ法により形成した肉盛層の例を示す説明図。
符号の説明
1,11…ガスタービン高温部品、1a,11a…母材、2,12…き裂、3,13…補修対象部、4,14…加熱源、5,15,16…肉盛部、h1,h2,h3…肉盛厚さ、L1…溶接幅、L2…溶接パス間隔。

Claims (7)

  1. 方向性凝固部材を用いたガスタービン高温部品の補修対象部を、ハーフオーバラップ法による単結晶の肉盛溶接により補修するガスタービン高温部品の補修方法において、
    前記肉盛溶接による肉盛部の単結晶の組織を維持し、かつ前記肉盛溶接における加熱源の出力密度を1×10〜10×10W/cm、操作速度を5mm/s以上、ビーム径を2mmφ以下にするとともに、前記肉盛溶接の単位層の厚さを300μm以下とし、1層以上形成することを特徴とするガスタービン高温部品の補修方法
  2. 前記ガスタービン高温部品を構成する方向性凝固部材は、一方向凝固部材または単結晶部材である請求項1記載の高温部品の補修方法。
  3. 前記肉盛溶接における加熱源として、レーザビーム、プラズマビームまたは電子ビームを適用する請求項1記載の高温部品の補修方法。
  4. 前記肉盛溶接における溶接材料として粉末、棒またはワイヤを用いる請求項1記載の高温部品の補修方法。
  5. 前記ガスタービン高温部品の補修対象部であるクラック部またはエロージョン部の除去により形成された窪み部内で、金属を積層させることにより前記肉盛溶接を行なう請求項1記載のガスタービン高温部品の補修方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項記載の方法によって補修されたガスタービン高温部品。
  7. 前記ガスタービン高温部品は、ガスタービン動翼またはガスタービン静翼である請求項6記載のガスタービン高温部品。
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