JP5750139B2 - ハンマーヘッド - Google Patents
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たとえば、特許文献1および特許文献2は、コークス用の石炭を破砕する破砕機を開示する。
特に、ハンマーヘッド100は、図10に示すように、ハンマーヘッド本体106の破砕側先端の短辺平面102の全面と、これに続く長辺側面104の一部とに2mm〜10mmの深さの減肉部を形成し、この減肉部に、逆U字態様で、硬化肉盛溶接101を施して減肉部を消滅させている。
しかしながら、従来のこのようなハンマーヘッドおよびこのようなハンマーヘッドを有する破砕機には、以下のような技術的課題が存する。
より詳細には、図11に示すように、衝撃を受ける硬化肉盛部101は、硬化肉盛部101の幅方向(図11(A))および硬化肉盛部101の高さ方向(図11(B))それぞれアールを生じる態様(摩耗の進行を線で示す)で摩耗する。換言すれば、硬化肉盛部101の衝撃受け面は、端面との間に第1エッジ103、対向側面それぞれとの間に第2エッジ105および第3エッジ107が、エッジが立った態様で構成されるところ、第1エッジ103、第2エッジ105および第3エッジ107それぞれを構成する構成面同士が同材質の硬化肉盛部101により構成されることになることから、これらの第1エッジ103、第2エッジ105および第3エッジ107がいずれも、角部が丸められる態様で摩耗する。
このような摩耗形態が生じると、ハンマーヘッドを交換せざるを得ず、交換作業のために粉砕または破砕の効率性が損なわれる。
より詳細には、反撥固定刃は、ハンマーヘッドの回転軌跡に対して、所定間隔を確保可能なようにハンマーに対して相対移動可能に設けられており、ハンマーヘッドの摩耗進行とともに、反撥固定刃をハンマーヘッドに対して近づけるように相対移動させることにより、反撥固定刃とハンマーヘッドの先端との間隔は調整可能である。
しかしながら、図11に示すような態様でハンマーヘッドが摩耗した場合、反撥固定刃とハンマーヘッドの先端との間隔を調整するとしても、破砕対象物の粒度を一定に管理することは技術的に困難であり、粒度にばらつきを生じ、破砕物の品質劣化を引き起こす。
特に、製鉄に用いられるコークス用の石炭は、その粒度管理が厳しく、破砕対象物の粒度を一定に管理するためには、上述の態様のハンマーヘッドの摩耗が生じた場合、ハンマーヘッドを交換せざるを得ない。
より具体的には、粒度調整は、従来、ローターの回転数の調整および/またはハンマーヘッドと反撥固定刃との間隔の調整により行われてきたところ、前者は、ハンマーヘッドの衝撃荷重受け面による打撃による粒度調整であり、粗調整であり、後者は、それに比して、微調整であり、粒度管理の厳格に伴い、後者による調整に重点が置かれるようになってきた。
この場合、ローターの回転数の調整による粒度調整に比べ、ハンマーヘッドと反撥固定刃との間隔の調整による粒度調整の場合には、ハンマーヘッドの破砕側先端の短辺平面102および回転方向進み側の第1エッジ部103がより苛酷な摩耗条件に晒される。
この点において、この摩耗特性を調整することが可能なハンマーヘッド、およびこのようなハンマーヘッドにより、粉砕または破砕対象物の粒度管理が可能な破砕機の実現が業界内で要望されている。
より詳細には、通常鋳造品で構成されるハンマーヘッド本体に対して、硬化肉盛溶接は手作業により行われるため、ハンマーヘッドを効率的に製造することが困難であり、また仕上がりの硬化肉盛部、特に衝撃荷重受け面は、凹凸状となり平坦でなく、第1エッジなし第3エッジはいずれも、鋭く立った状態に形成されておらず、ハンマーヘッドの耐摩耗性を低下させる。
より詳細には、この衝撃刃は衝撃刃本体と、この衝撃刃本体の先端部に埋設される超硬チップとから構成されており、合金鋼及び軟鋼等の耐衝撃性材料からなる衝撃刃本体は、超硬チップがろう付け等によって埋設される先端部と、回転ドラムの刃受け台にボルト(図示せず)を介して取り付けるためのボルト孔を有する基端部とからなり、これら先端部と基端部とは、はめ合い結合によって相互に結合固定されている。超硬チップは衝撃刃本体より耐摩耗性が優れている材料、例えば超硬質合金、セラミック等からなり、半径方向外方へ向かって回転ドラムの回転方向に傾斜するように先端部にろう付け加工によって埋め込まれており、超硬チップの先端鋭角部は、先端部の前面と頂面との境界線において露出している。
しかしながら、先端部には、超硬チップをろう付け等により手作業で埋設しなければならず、衝撃刃本体の効率的な製造が困難であるとともに、半径方向外方へ向かって回転ドラムの回転方向に傾斜するように先端部に超硬チップを埋設することにより、超硬チップを埋設しない場合に比べて、衝撃刃本体の先端エッジの耐摩耗性を向上することは可能であるが、摩耗態様は、衝撃荷重受け面と衝撃刃本体の回転ドラムからの遠位側端面との間の第1エッジ全体に亘って超硬チップを設けない限り、第1の技術的問題点で述べたのと同様に、アールを発生するように摩耗する問題を引き起こす。
また、第1エッジに加えて、衝撃荷重受け面と衝撃刃本体の対向側面それぞれとの間の第2エッジおよび第3エッジについて、同様に鋳造本体部にろう付けで設けるのは困難である。特に、超硬チップは、タングステン成分を多く含有するため、耐摩耗性に優れる反面、耐衝撃性に劣り、さらに溶接性が悪く、母材を溶かすことのないろう付けによる固定によらざるを得ないことから、耐衝撃性が悪く、超硬チップの脱落、破損を生じる可能性が高まる。この点、超硬チップの先端鋭角部のみが、先端部の前面と頂面との境界線において露出するように、半径方向外方へ向かって回転ドラムの回転方向に傾斜するように衝撃刃本体に埋め込む必要があり、超硬チップをろう付けにより設けるのが余計に困難となる。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、ハンマーヘッドの摩耗に係らず、破砕あるいは粉砕対象物の粒度管理が可能な破砕機を提供することにある。
回転可能なロータの外周部に固定され、ロータのまわりに配置された反撥固定刃との間で破砕または粉砕を行うハンマーヘッドにおいて、
反撥固定刃は、前記ロータを挟んで、前記ロータの各側に配置され、
それぞれの反撥固定刃は、前記ロータの外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなし、
該ハンマーヘッドは、該ロータから該反撥固定刃に向かって所定長さに亘って延びる本体部を有し、
該本体部は、反撥固定刃側の端部の回転方向進み側に、衝撃荷重受け面を構成する硬化肉盛部と、該硬化肉盛部の内側かつ回転方向遅れ側に設けられた、該硬化肉盛部より軟質の軟鋼部とを有し、
該硬化肉盛部は、前記衝撃荷重受け面と、前記衝撃荷重受け面と前記端部側で交差する端面とにより第1エッジを形成し、
該軟鋼部は、破砕または粉砕に伴う前記硬化肉盛部の該第1エッジの摩耗に追従して摩耗するように、前記端面に隣接して前記端面と面一の軟鋼部端面を有し、
前記本体部の反撥固定刃側の上面には、該軟鋼部端面より回転方向遅れ側に、溝が設けられ、該溝には、追加硬化肉盛部が前記上面とほぼ面一となるように設けられる、構成としている。
すなわち、以上の構成を有するハンマーヘッドによれば、ロータを回転させることによりハンマーヘッドを回転させて、ハンマーヘッドの先端部と反撥固定刃とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕を行う際、回転方向進み側の衝撃荷重受け面、特に衝撃荷重受け面と交差する端面とにより構成される第1エッジが時間経過とともに摩耗していくところ、硬化肉盛部の内側に設けられた硬化肉盛部より軟質の軟鋼部を、端面に隣接して端面と面一の軟鋼部端面を形成するように設けることにより、軟鋼部が、破砕または粉砕に伴う硬化肉盛部の第1エッジの摩耗に追従して摩耗するようにすることが可能であり、それにより、従来のように、第1エッジにアールが生じる態様で摩耗することなく、第1エッジを鋭く立った状態で摩耗させていくことが可能である。
さらに、反撥固定刃は、ロータを挟んで、ロータの各側に配置され、それぞれの反撥固定刃は、ロータの外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなすことから、ハンマーヘッドの先端部と反撥固定刃とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕を行う際、衝撃荷重受け面による破砕あるいは粉砕対象物の打撃のみならず、破砕あるいは粉砕対象物がハンマーヘッドの先端部、すなわち本体部の反撥固定刃側の上面と反撥固定刃との間に位置して破砕あるいは粉砕される割合も高いことから、本体部の反撥固定刃側の上面には、軟鋼部端面より回転方向遅れ側に、溝を設け、溝には、追加硬化肉盛部を上面とほぼ面一となるように設けることにより、ハンマーヘッドの先端部と反撥固定刃とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕することによって、本体部の反撥固定刃側の上面の耐摩耗性を向上させることが可能である。
さらにまた、前記矩形状溝は、前記本体部の壁により複数に区画されるのがよい。
さらに、前記2層プレートは、矩形状であり、前記鋳造本体部に対して、前記軟鋼層を介して、該上面および該対向側面それぞれと面一となるように溶接固定されるのがよい。
さらにまた、前記鋳造本体部は、前記2層プレートに対する突合せ面を有し、該突合せ面を挟んで該突合せ面の各側に、前記2層プレートを前記鋳造本体部に対して溶接固定するための凹状溶接部が設けられるのがよい。
加えて、前記凹状溶接部それぞれの幅は、前記鋳造本体部の前記対向側面の幅の10分の1ないし5分の1であり、前記凹状溶接部それぞれの深さは、前記2層プレートの高さの2分の1以上であるのがよい。
さらに、反撥固定刃は、ロータを挟んで、ロータの各側に配置され、それぞれの反撥固定刃は、ロータの外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなすことから、ハンマーヘッドの先端部と反撥固定刃とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕を行う際、衝撃荷重受け面による破砕あるいは粉砕対象物の打撃のみならず、破砕あるいは粉砕対象物がハンマーヘッドの先端部、すなわち本体部の反撥固定刃側の上面と反撥固定刃との間に位置して破砕あるいは粉砕される割合も高いことから、本体部の反撥固定刃側の上面には、軟鋼部端面より回転方向遅れ側に、溝を設け、溝には、追加硬化肉盛部を上面とほぼ面一となるように設けることにより、ハンマーヘッドの先端部と反撥固定刃とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕することによって、本体部の反撥固定刃側の上面の耐摩耗性を向上させることが可能であり、以て、破砕あるいは粉砕対象物の粒度管理をさらに向上させることが可能である。
図1は、破砕機10の概念的な断面図であり、破砕機10は、内部に破砕または粉砕スペースを形成するケーシング12と、ケーシング内に設けられ、回転可能なロータ18と、ロータ18の外周部に一端が固定されるハンマーアーム20と、ハンマーアーム20の他端部に固定されるハンマーヘッド24とを有するハンマーと、ハンマーヘッド24の回転軌跡に対して、所定間隔を確保可能なようにハンマーに対して相対移動可能に設けられた反撥固定刃27と、ハンマーを回転させる回転駆動手段とを有し、ハンマーヘッド24と反撥固定刃27とが協働して破砕または粉砕を行うようにしている。
箱型のケーシング12には、その上部に、石炭を内部に投入するための投入口14、その下部には、破砕した石炭を排出するための排出口16が設けられている。ケーシング12の内部において、その中央には、水平軸を中心として回転するローター18が設けられており、モータ(図示せず)によって回転される。ローター18の回転速度及び回転方向は、石炭の種類に応じて可変となっている。
図1に示すように、ロータ18が回転することにより、ハンマーアーム20は遠心力により回転するが、ハンマーヘッド24の回転軌跡に近接させて、ロータ18の両側には、凹円弧状の断面を持つ磨砕板26が、上下のシリンダ28によって進退可能(図面上左右方向)に設けられている。
なお、このような多数のハンマーアーム20の組が、ロータ18の長手方向に互いに適宜の間隔を隔てて、複数組設けられる。
より詳細には、反撥固定刃27は、ロータ18を挟んで、ロータ18の各側に配置され、それぞれの反撥固定刃27は、ロータ18の外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなす。
磨砕板26、すなわち反撥固定刃27の円弧の長さは、粉砕あるいは破砕対象物の種類、目標粒度、ロータ18の回転数、ハンマー4の設置数等に応じて適宜決定すればよい。
以上より、石炭投入口14からケーシング12内に投入された石炭は、回転するハンマーヘッド24による衝撃と磨砕板26の表面における磨砕とによって粉砕され、コークス用原料炭となって排出口16から排出されるようにしている。
本体部32は、端部13の回転方向進み側に、衝撃荷重受け面34を構成する硬化肉盛部36と、硬化肉盛部36の内側に設けられた硬化肉盛部36より軟質の軟鋼部38とを有する。
ここに、硬化肉盛り部とは、アーク溶接部を意味し、硬化肉盛とは、アーク溶接により、耐摩耗性向上を目的として硬い金属層を母材表面に溶着させることをいう。硬化肉盛り部の材質としては、耐摩耗性および耐衝撃性に優れる観点から、パーライト系、マルテンサイト系、13%クロムステンレス鋼系、セミ・オーステナイト系、および高マンガン・オーステナイト系が好ましい。
本体部32は同様に、端部13の回転方向遅れ側に、衝撃荷重受け面34を構成する硬化肉盛部36と、硬化肉盛部36の内側に設けられた硬化肉盛部36より軟質の軟鋼部38とをさらに有し、破砕または粉砕に伴う硬化肉盛部36の摩耗度合に応じて、回転方向遅れ側の衝撃荷重受け面34が回転方向進み側となるように本体部32の配置向きを変えるようにしている。
軟鋼部38は、破砕または粉砕に伴う硬化肉盛部36の第1エッジ42の摩耗に追従して摩耗するように、端面40に隣接して端面40と面一の軟鋼部端面41を有するとともに、破砕または粉砕に伴う硬化肉盛部36の第2エッジ46および第3エッジ48の摩耗に追従して摩耗するように、対向側面44それぞれに隣接して対向側面44と面一の軟鋼部対向側面47を有する。
軟鋼部38の材質としては、溶接のしやすさ、および硬化肉盛部36に比べて軟質であればよく、炭素含有率0.13%ないし0.20%の軟鋼が好ましいが、それより炭素含有率の低い特別極軟鋼、極軟鋼、あるいはそれより炭素含有率の高い半軟鋼のいずれでもよく、破砕対象との関係で定まる軟鋼部の耐摩耗性を考慮して、適宜選択すればよい。
鋳造本体部32は、たとえば、Cr―Mn低合金鋳鋼製であり、互いに対向する一対の対向側面66、それぞれ衝撃荷重受け面34が設けられる、互いに対向する一対の対向正面62および上面64を有し、ロータ側には、ハンマーアーム20の先端が内嵌し、ピン穴53が設けられた中空部があり、磨砕板側、すなわち、先端部は、断面亀の子状の中実部67であり、中空部と一体である。なお、89は、重量調整用の突起部である。
中実部67は、2層プレート50に対する帯状の突合せ面52を有し、突合せ面52の各側に、突合せ面52を挟む形態で、2層プレート50を鋳造本体部32に対して溶接固定するための凹状溶接部54が設けられる。
より具体的には、鋳造本体部32の反撥固定刃27側の上面64は、矩形状であり、上面64の外周縁により区画される矩形状溝200が設けられ、図8に示すように、矩形状溝200には、追加硬化肉盛部201が上面64とほぼ面一となるように設けられる。
摩耗性向上の観点から、上面64において、鋳造本体部32の部分が露出しないように、矩形状溝200は、上面64の全体に亘って設けられるのが好ましい。
図9に示すように、変形例として、矩形状溝200は、鋳造本体部32の壁により複数に区画されてもよい。図9(A)に示すように、互いに直交に交差する、鋳造本体部32の壁203により2区画としてもよいし、図9(B)に示すように、鋳造本体部32の壁203および壁204により4区画としてもよい。
いずれにせよ、矩形状溝200の深さは、耐摩耗性の観点から、追加硬化肉盛部201の量に応じて決定すればよく、矩形状溝200AないしDの間で、溝の深さを異ならせてもよい。
これは、特に、粒度管理について、摩破板26の移動による鋳造本体部32の反撥固定刃27側の上面64と反撥固定刃27との間隔調整による微調整により行う場合には、上面64および回転方向進み側の第1エッジ42が苛酷な摩耗条件に晒されることから、技術的に有利である。
凹状溶接部54それぞれの幅D2は、鋳造本体部32の幅D1の10分の1ないし5分の1が好ましく、凹状溶接部54それぞれの深さW2は、2層プレート50の高さhの2分の1以上であるのが好ましい。10分の1以下であれば、突合せ面52の幅が拡がり、その分、溶接の際、2層プレート50の鋳造本体部32に対する位置決めが容易となるが、溶接の領域が狭まり、2層プレート50の鋳造本体部32に対する固定性が劣化し、逆に、5分の1以上であれば、溶接の領域が広がり、2層プレート50の鋳造本体部32に対する固定性が良好であるが、逆に、突合せ面52の幅が狭まり、その分、溶接の際、2層プレート50の鋳造本体部32に対する位置決めが困難となり、また2分の1以下であれば、2層プレート50の鋳造本体部32に対する固定性が劣化する。この点、後に説明するように、2層プレート50の下端部を鋳造本体部32の正面62に対して外部から溶接することにより、凹状溶接部54それぞれの深さW2を2層プレート50の高さhの2分の1程度としてもよい。
2層プレート50の厚みが一定の場合、硬化肉盛層36の厚みが厚いほど、軟鋼層38の厚みがその分薄くなることから、耐摩耗性は向上するものの、いったん摩耗が進行すると、軟鋼層38の摩耗が硬化肉盛層36の摩耗に追従する度合いが下がり、エッジの立った状態での摩耗が発生しにくくなるとともに、母材である軟鋼層38に対して硬化肉盛36を溶接により設ける際、母材に対する熱影響により、母材に対して熱ひずみ等が生じやくなる。
それに対して、軟鋼層38の厚みが厚いほど、硬化肉盛層36の厚みがその分薄くなることから、耐摩耗性は低下するものの、いったん摩耗が進行すると、軟鋼層38の摩耗が硬化肉盛層36の摩耗に追従する度合いが上がり、エッジの立った状態での摩耗が発生しやすくなるとともに、母材である軟鋼層38に対して硬化肉盛36を溶接により設ける際、母材に対する熱影響により、母材に対して熱ひずみ等が生じにくくなる。
以上の観点から、硬化肉盛層36および軟鋼層38それぞれの厚みを決定すればよく、特に硬化肉盛層36の厚みは、軟鋼層38の厚み以下であるのが好ましい。
硬化肉盛部の成分は、30%Cr+5ないし6%Cの鋳鉄であり、下記の試験条件のいわゆるラバーホイール試験による耐摩耗性は、以下のようである。
試験荷重:8.8キログラム
試験時間:25分
回転速度:120RPM
ラバーホイール円盤寸法:厚さ 15ミリ、外形 250ミリ
粉体:珪砂6号
粉体落下量:300グラム/分
摩耗減量について、軟鋼材(SS400)が1.5911、ALCOPLATEが0.1117であることから、耐摩耗比(軟鋼材を1とする)としては、ALCOPLATEは、14.2である。また、ALCOPLATEの硬度について、ロックウェル硬さは、60ないし65、ショア―硬さは、80ないし91、ビッカース硬さは、690ないし830である。
まず、硬化肉盛層36および軟鋼層38からなる2層プレート50を準備するとともに、2層プレート50に対する突合せ面52および2層プレート50との凹状溶接部54を設けるとともに、上面64に矩形状溝200を設けた鋳造本体部32を準備する。
この場合、2層プレート50の準備段階は、所定厚さの軟鋼プレートを準備する段階と、軟鋼プレートの一方の平面部全体に亘って、所定厚さの硬化肉盛りを行う段階と、硬化肉盛りの行われた軟鋼プレートを所定の矩形形状に切り出し、硬化肉盛層の縁部をエッジが立った状態に仕上げる段階とを、有する。
切り出しは、2層プレート50の周側面において、硬化肉盛層36の周側面と軟鋼層38の周側面とが隣接しかつ面一となるように、たとえばプラズマ切断により行えば、従来のような衝撃荷重受け面のエッジが鈍い状態での仕上がりに比べ、エッジが鋭く立った状態で仕上げることが可能である。
次いで、2層プレート50を鋳造本体部32の突合せ面52に対して軟鋼層側を突き合せて、軟鋼層38を介して溶接固定し、それにより、2層プレート50の硬化肉盛層36を衝撃荷重受け面34として形成する。
より詳細には、斜め開先面である傾斜面68および傾斜面63を利用して、ワイヤを利用したトーチを凹状溶接部54内部および2層プレート50の下面と傾斜面63との間それぞれに差し込んで、アーク溶接により溶接を行う。
このように、2層プレート50を鋳造本体部32に溶接する際、軟鋼層側を突き合せて軟鋼層38を介して溶接することにより、容易に溶接することが可能であり、破砕または粉砕に伴う衝撃荷重による硬化肉盛部36の摩耗に追従して摩耗していくという軟鋼部38を溶接のしやすさにも有効利用している。
これにより、2層プレート50それぞれについて、軟鋼層側のプレート内面と下面とにおいて鋳造本体部32に対して溶接固定することから、破砕の際の衝撃荷重により、2層プレート50が鋳造本体部32から脱落することなく、強固に固定することが可能である。
次いで、上面64に設けた矩形状溝200に対して、追加硬化肉盛りを行って、肉盛り部が上面64と面一となるようにして、ハンマーヘッド24が完成する。
さらに、反撥固定刃27は、ロータ18を挟んで、ロータ18の各側に配置され、それぞれの反撥固定刃27は、ロータ18の外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなすことから、ハンマーヘッド24の先端部と反撥固定刃27とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕を行う際、衝撃荷重受け面34による破砕あるいは粉砕対象物の打撃のみならず、破砕あるいは粉砕対象物がハンマーヘッド24の先端部、すなわち本体部の反撥固定刃27側の上面64と反撥固定刃27との間に位置して破砕あるいは粉砕される割合も高いことから、本体部の反撥固定刃27側の上面64には、軟鋼部端面41より回転方向遅れ側に、溝200を設け、溝200には、追加硬化肉盛部201を上面64とほぼ面一となるように設けることにより、ハンマーヘッド24の先端部と反撥固定刃27とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕することによって、本体部の反撥固定刃27側の上面64の耐摩耗性を向上させることが可能である。
より具体的には、第1エッジ42の摩耗状況に応じて、反撥固定刃27を移動させることにより、長期間にわたり破砕粒度を一定に維持することが可能であり、あるいはロータ18の回転速度を従来より上げることにより、破砕効率を確保しつつ、それに伴う第1エッジ42の摩耗状況に対して反撥固定刃27を移動させることにより対処可能である。
さらに、反撥固定刃27は、ロータ18を挟んで、ロータ18の各側に配置され、それぞれの反撥固定刃27は、ロータ18の外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなすことから、ハンマーヘッド24の先端部と反撥固定刃27とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕を行う際、衝撃荷重受け面34による破砕あるいは粉砕対象物の打撃のみならず、破砕あるいは粉砕対象物がハンマーヘッド24の先端部、すなわち本体部の反撥固定刃27側の上面64と反撥固定刃27との間に位置して破砕あるいは粉砕される割合も高いことから、本体部の反撥固定刃27側の上面64には、軟鋼部端面41より回転方向遅れ側に、溝200を設け、溝200には、追加硬化肉盛部201を上面64とほぼ面一となるように設けることにより、ハンマーヘッド24の先端部と反撥固定刃27とで協働して破砕あるいは粉砕対象物を破砕または粉砕することによって、本体部の反撥固定刃27側の上面64の耐摩耗性を向上させることが可能であり、以て、破砕あるいは粉砕対象物の粒度管理をさらに向上させることが可能である。
たとえば、本実施形態において、破砕対象物を製鉄用の石炭として説明したが、それに限定されることなく、粉砕または破砕に伴いハンマーヘッドの衝撃荷重受け面の摩耗が問題とされる限り、たとえば廃棄プラスチック、廃材や廃棄物、コンクリート塊でもよい。
たとえば、本実施形態において、2層プレート50を鋳造本体部32に対して溶接する場合として説明したが、それに限定されることなく、衝撃荷重受け面を構成する硬化肉盛部36の内側に軟鋼部38を設ける限り、硬化肉盛部36および軟鋼部38をそれぞれ別途に、鋳造本体部に対して設けてもよい。
たとえば、本実施形態において、鋳造本体部について従来と同様に、Cr―Mn低合金鋳鋼製として説明したが、従来より、耐衝撃摩耗性が低いものを採用可能であることから、ハンマーアームとのピン連結部の耐摩擦摩耗性が確保可能な範囲で、より安価な鋳造品を採用してもよい。
T2 軟鋼部の肉厚
H 張出量
D1 突合せ面の幅
D2 凹状溶接部の幅
W 凹状溶接部の深さ
H 凹状溶接部の高さ
X―X 中心線
S 固定刃27とハンマーヘッドとの間隔
10 破砕機
12 ケーシング
14 投入口
16 排出口
18 ロータ
20 ハンマーアーム
22 アームピン
24 ハンマーヘッド
25 破砕スペース
26 摩砕板
28 シリンダ
32 鋳造本体部
34 衝撃荷重受け面
36 硬化肉盛部
38 軟鋼部
40 端面
40 軟鋼端面
42 第1エッジ
43 内面
44 軟鋼対向側面
44 対向側面
44 対向側面
46 第2エッジ
48 第3エッジ
50 2層プレート
52 突き合わせ面
53 ピン穴
54 凹状溶接部
57 縁
59 縁
62 対向側面
63 傾斜面
64 上面
66 対向正面
67 中実部
68 傾斜面
70 軟鋼溶接部
72 追加硬化肉盛部
77 硬化肉盛部の端面部
79 軟鋼部の端面部
80 ハンマーヘッド部
81 硬化肉盛部の側面部
82 ピン穴
83 軟鋼部の側面部
85 軟鋼部の側面部
87 硬化肉盛部の側面部
89 突起部
100 ハンマーヘッド
101 硬化肉盛部
102 短辺平面
103 第1エッジ
104 長辺側面
105 第2エッジ
106 本体
107 第3エッジ
108 ピン穴
200 矩形溝
201 追加硬化肉盛部
203 壁
204 壁
Claims (6)
- 回転可能なロータの外周部に固定され、ロータのまわりに配置された反撥固定刃との間で破砕または粉砕を行うハンマーヘッドにおいて、
反撥固定刃は、前記ロータを挟んで、前記ロータの各側に配置され、
それぞれの反撥固定刃は、前記ロータの外周部に沿って同心円状に、所定長さの円弧状をなし、
該ハンマーヘッドは、該ロータから該反撥固定刃に向かって所定長さに亘って延びる本体部を有し、
該本体部は、反撥固定刃側の端部の回転方向進み側に、衝撃荷重受け面を構成する硬化肉盛部と、該硬化肉盛部の内側かつ回転方向遅れ側に設けられた、該硬化肉盛部より軟質の軟鋼部とを有し、
該硬化肉盛部は、前記衝撃荷重受け面と、前記衝撃荷重受け面と前記端部側で交差する端面とにより第1エッジを形成し、
該軟鋼部は、破砕または粉砕に伴う前記硬化肉盛部の該第1エッジの摩耗に追従して摩耗するように、前記端面に隣接して前記端面と面一の軟鋼部端面を有し、
前記本体部の反撥固定刃側の上面には、該軟鋼部端面より回転方向遅れ側に、溝が設けられ、該溝には、追加硬化肉盛部が前記上面とほぼ面一となるように設けられる、
ことを特徴とするハンマーヘッド。 - 前記硬化肉盛部および前記軟鋼部は、硬化肉盛層および軟鋼層よりなる2層プレートを構成し、硬化肉盛層と軟鋼層との境界面は、該2層プレートのプレート面と平行となるように設けられ、前記2層プレートは、硬化肉盛層側のプレート面が前記衝撃荷重受け面となる向きに設けられ、
前記2層プレートは、矩形状であり、前記鋳造本体部に対して、前記軟鋼層を介して、該上面および該対向側面それぞれと面一となるように溶接固定される、請求項1に記載のハンマーヘッド。 - 前記鋳造本体部は、前記2層プレートに対する突合せ面を有し、該突合せ面を挟んで該突合せ面の各側に、前記2層プレートを前記鋳造本体部に対して溶接固定するための凹状溶接部が設けられる、請求項2に記載のハンマーヘッド。
- 前記凹状溶接部それぞれの幅は、前記鋳造本体部の前記対向側面の幅の10分の1ないし5分の1であり、前記凹状溶接部それぞれの深さは、前記2層プレートの高さの2分の1以上である、請求項3に記載のハンマーヘッド。
- 前記本体部の反撥固定刃側の上面は、矩形状であり、前記上面の外周縁により区画される矩形状溝が設けられ、該矩形状溝には、追加硬化肉盛部が前記上面とほぼ面一となるように設けられる、請求項1に記載のハンマーヘッド。
- 前記矩形状溝は、前記本体部の壁により複数に区画される、請求項5に記載のハンマーヘッド。
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