JP2022064297A - トナー用バインダー樹脂及び樹脂粒子 - Google Patents

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Shunsuke Suzuki
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Abstract

【課題】低温定着性と耐熱保存性に優れたトナー用バインダー樹脂及び樹脂粒子を提供することを目的とする。【解決手段】非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル(C)を含むトナー用バインダー樹脂であって、前記結晶性ポリエステル(C)のSP値が10.4~11.5(cal/cm3)1/2であり、前記結晶性ポリエステル(C)の融点が60~100(℃)であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂及びトナー用バインダー樹脂を含有する樹脂粒子を用いる。【選択図】なし

Description

本発明はトナー用バインダー樹脂及び樹脂粒子に関する。
複写機、プリンター等における画像の定着方式として一般的に使用されている熱定着方式を採用した電子写真用トナーバインダーには、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、耐熱保存性が要求されている。しかしながら、一般に低温定着性を向上させようとすると、耐熱保存性が低下し、耐熱保存性を向上させようとすると低温定着性が低下するため、低温定着性と耐熱保存性はトレードオフの関係にあり、低温定着性と耐熱保存性との両立が可能となるトナーバインダーの開発が求められている。そこで、低温定着性と耐熱保存性の両立を目的として、結晶性ポリエステルをトナー内部に導入することで、耐熱保存性を維持しつつ、低温定着性を改善できるトナーバインダーが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、上記結晶性ポリエステルは、融点が高く低温定着性と耐熱保存性の両立において、未だ不充分であり満足できるものではない。
特開2002-287426号公報
本発明の目的は、低温定着性と耐熱保存性に優れたトナー用バインダー樹脂及び樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル(C)を含むトナー用バインダー樹脂であって、前記結晶性ポリエステル(C)のSP値が10.4~11.5(cal/cm1/2であり、前記結晶性ポリエステル(C)の融点が60~100(℃)であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂;及び前記トナー用バインダー樹脂を含有する樹脂粒子である。
本発明により、低温定着性と耐熱保存性に優れたトナー用バインダー樹脂及び樹脂粒子を提供することが可能になる。
以下に本発明のトナー用バインダー樹脂を説明する。
本発明のトナー用バインダー樹脂は非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル(C)を含むバインダー樹脂である。
本発明における「結晶性」とは示差走査熱量測定(DSC測定ともいう)において、DSC曲線が吸熱ピークのピークトップ温度(融点)を有することを意味する。
以下に吸熱ピークのピークトップ温度(融点)の測定方法を記載する。
示差走査熱量計(例えばTA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて測定する。試料を30℃から10℃/分の条件で180℃まで第1回目の昇温を行い、続いて180℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で180℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度をその試料の融点とする。
本発明における結晶性ポリエステル(C)は、アルコール成分とカルボン酸成分とを含有する成分を重縮合して得られた結晶性ポリエステル樹脂である。低温定着性及び耐熱保存性の観点から、2種以上のアルコール成分及び/又は2種以上のカルボン酸成分から得られる結晶性ポリエステルであることが好ましく、同炭素数で比較するとアルコール成分はカルボン酸成分に比べ低沸点であり、減圧下で重縮合反応を行う際に系外へ留去され、2種以上のアルコール成分の組成比を制御することが困難であることから、1種のアルコール成分及び2種以上のカルボン酸成分から得られる結晶性ポリエステルがより好ましい。
また、アルコール成分としては、ジオール及び3価以上のポリオールが挙げられ、カルボン酸成分としては、ジカルボン酸及び3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジオールとしては、炭素数2~20の直鎖脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,15-ペンタデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,19-ノナデカンジオール及び1,20-エイコサンジオール等)、炭素数6~36の脂環式ジオール〔1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、スピログリコール、イソソルバイド及び上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)付加物等〕、及び芳香族ジオール(1,3-ベンゼンジメタノール,1,4-ベンゼンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2-メチルビスフェノールA、2,6-ジメチルビスフェノールA、2,2’-ジエチルビスフェノールF及び上記芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物)等が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン、糖類及びそのエステル化物、例えばショ糖、及びメチルグルコシド等)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2~30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2~30)並びにアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等]等が挙げられる。
上記アルコール成分のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から炭素数2~20の直鎖脂肪族ジオールが好ましく、より好ましくは炭素数2~12の直鎖脂肪族ジオールであり、さらに好ましくは炭素数2~6の直鎖脂肪族ジオールである。
ジカルボン酸としては、炭素数2~50の直鎖脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸及び1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、炭素数8~36の脂環式ジカルボン酸(1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等)、及び炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等)等が挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)が挙げられる。
上記カルボン酸成分のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から炭素数2~50の直鎖脂肪族ジカルボン酸が好ましく、より好ましくは炭素数2~10の直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、さらに好ましくは炭素数4~6の直鎖脂肪族ジカルボン酸である。
本発明において、結晶性ポリエステル(C)に使用される全アルコール成分の50モル%以上が炭素数2~6の直鎖脂肪族ジオールであることが好ましく、より好ましくは75モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上である。
また、結晶性ポリエステル(C)に使用される全カルボン酸成分の50モル%以上が炭素数4~6の直鎖脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、より好ましくは75モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上である。
アルコール成分とカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基のモル比{[OH]/[COOH]}として、好ましくは1/2~2/1であり、より好ましくは1/1.3~1.5/1、さらに好ましくは1/1.2~1.4/1である。上記水酸基は、アルコール成分由来の水酸基である。
本発明において結晶性ポリエステル(C)は、公知のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを含む成分を、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150~280℃、より好ましくは160~250℃、さらに好ましくは170~235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2~40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することもできる。
エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006-243715号公報に記載の触媒(チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビストリエタノールアミネート、チタニウムモノヒドロキシトリストリエタノールアミネート、チタニルビストリエタノールアミネート及びそれらの分子内重縮合物等)、及び特開2007-11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル等)並びに酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
本発明における結晶性ポリエステル(C)のSP値は10.4~11.5(cal/cm1/2であり、好ましくは10.5~11.2(cal/cm1/2であり、より好ましくは、10.6~11.0(cal/cm1/2である。SP値が上記範囲内であれば非晶性ポリエステルとの相溶性が良好となり、低温定着性に優れる。
例えば、結晶性ポリエステル(C)が2種以上のアルコール成分及び/又は2種以上のカルボン酸成分から得られる結晶性ポリエステルであり、全アルコール成分の50モル%以上が炭素数2~6の直鎖脂肪族ジオールであり、全カルボン酸成分の50モル%以上が炭素数4~6の直鎖脂肪族ジカルボン酸であれば上記SP値の達成が容易となる。
なお、SP値とは、溶解性パラメータのことであり、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものであり、本発明における結晶性ポリエステル(C)及び非晶性ポリエステルのSP値は、使用したアルコール成分から水酸基を、カルボン酸成分からカルボキシル基の水素を除いた構造のSP値を求め、モル分率に基づいて相加平均することにより計算することができる。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147~154頁)」
また、本発明において結晶性ポリエステル(C)及び非晶性ポリエステルのSP値は、末端の官能基を除く構造のSP値のことである。
本発明における結晶性ポリエステル(C)の融点は60~100℃であり、好ましくは65~95℃であり、より好ましくは65~85℃である。融点が60℃以上であれば、耐熱保存性が良好となり、100℃以下であれば、低温定着性が良好となる。
例えば結晶性ポリエステル(C)が2種以上のアルコール成分及び/又は2種以上のカルボン酸成分から得られる結晶性ポリエステルであり、全アルコール成分の50モル%以上が炭素数2~6の直鎖脂肪族ジオールであり、全カルボン酸成分の50モル%以上が炭素数4~6の直鎖脂肪族ジカルボン酸であれば上記融点の達成が容易となる。
本発明における結晶性ポリエステル(C)の100℃での粘度は10~10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは400~7000mPa・sである。100℃での粘度が10mPa・s以上であれば、耐熱保存性が良好となり、10000mPa・s以下であれば、低温定着性が良好となる。
本発明における結晶性ポリエステル(C)のエステル基濃度は、(C)の重量に基づいて40~60重量%であることが好ましく、より好ましくは45~55重量%である。エステル基濃度が上記範囲内であれば非晶性ポリエステルとの相溶性が良好となり、低温定着性に優れる。
なお、結晶性ポリエステル(C)の(C)の重量に基づくエステル基濃度は、(C)中のエステル基[-C(=O)O-]の数から算出することができ、(C)1g中に存在するエステル基の重量%と定義される。
実際のエステル基濃度を算出するにあたり、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等で(C)を構成するモノマー組成とエステル基数を求めて算出する方法や、(C)の製造に供した原料の量比からエステル基数を求めて算出する方法が挙げられる。
結晶性ポリエステル(C)の吸熱量は、好ましくは5~70J/gであり、より好ましくは40~60J/gである。吸熱量が5J/g以上であれば、低温定着性が良好となり、70J/g以下であれば、耐熱保存性が良好となる。
結晶性ポリエステル(C)の酸価は、好ましくは0~75mgKOH/gであり、より好ましくは20~35mgKOH/gである。
結晶性ポリエステル(C)の水酸基価は、好ましくは0~120mgKOH/gであり、より好ましくは5~20mgKOH/gである。
結晶性ポリエステル(C)の数平均分子量(以下Mnと略記する場合がある)は、好ましくは1,000~1,000,000であり、より好ましくは2,000~50,000である。
結晶性ポリエステル(C)の重量平均分子量(以下Mwと略記する場合がある)は、好ましくは8,000~10,000,000であり、より好ましくは6,000~15,000である。
本発明における非晶性ポリエステルは、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体である非晶性ポリエステル樹脂であればその樹脂の組成は特に限定されない。
なお、本発明における「非晶性」とは、示差走査熱量計を用いて試料の転移温度測定を行った場合に、吸熱ピークのピークトップ温度が存在しないことを意味する。
非晶性ポリエステルのアルコール成分(x)としては、ジオール(g)及び3価以上のポリオール(h)が挙げられる。
カルボン酸成分(y)としては、ジカルボン酸(i)、3価以上のポリカルボン酸(j)及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられる。
ジオール(g)としては、炭素数2~36のアルキレングリコール、炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコール、炭素数4~36の脂環式ジオール、アルキレングリコール又は脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物、ポリラクトンジオール及びポリブタジエンジオール等が挙げられる。
炭素数2~36のアルキレングリコールの具体的な例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコールの具体的な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
炭素数4~36の脂環式ジオールの具体的な例としては、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
アルキレングリコール又は脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物において、アルキレングリコール又は脂環式ジオールとしては上記が挙げられ、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)付加物、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)付加物及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)付加物等が挙げられる。
ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2~30)等が挙げられる。
ポリラクトンジオールとしては、ポリε-カプロラクトンジオール等が挙げられる。
3価以上のポリオール(h)としては、炭素数3~36の3価以上の多価脂肪族アルコール、多価脂肪族アルコールのAO付加物(付加モル数2~120)、トリスフェノール(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2~30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2~30)、アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物など]等が挙げられる。
炭素数3~36の3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物並びに糖類(ショ糖等)及びそのメチルグルコシド等が挙げられる。
アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物の具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン及びポリグリセリン等が挙げられる。
上記アルコール成分(x)のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数2~36のアルキレングリコール、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、より好ましくは、ビスフェノールAのAO付加物である。
ジカルボン酸(i)としては、炭素数4~36のアルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸、炭素数4~36のアルケンジカルボン酸及び炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
炭素数4~36のアルカンジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸及びデシルコハク酸等が挙げられる。
アルケニルコハク酸としては、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等が挙げられる。
炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸としては、ダイマー酸(2量化リノール酸)等が挙げられる。
炭素数4~36のアルケンジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸等が挙げられる。
炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸(j)としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)及び炭素数6~36の脂肪族(脂環式を含む)トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸及びデカントリカルボン酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸(i)又は3価以上のポリカルボン酸(j)としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1~4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
上記カルボン酸成分(y)のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数4~36のアルカンジカルボン酸、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸が好ましく、より好ましくは炭素数4~20のアルカンジカルボン酸、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸及びトリメリット酸である。
アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基のモル比{[OH]/[COOH]}として、好ましくは1/2~2/1であり、より好ましくは1/1.3~1.5/1、さらに好ましくは1/1.2~1.4/1である。上記水酸基は、アルコール成分由来の水酸基である。
本発明において非晶性ポリエステルは、上記の結晶性ポリエステル(C)と同様に公知のポリエステル製造方法と同様にして製造することができる。
本発明における非晶性ポリエステルのSP値は10.4~11.5(cal/cm1/2であり、好ましくは10.4~11.2(cal/cm1/2であり、より好ましくは、10.5~11.0(cal/cm1/2である。SP値が上記範囲内であれば結晶性ポリエステル(C)との相溶性が良好となり、低温定着性に優れる。
例えば、非晶性ポリエステルが2種以上のアルコール成分(x)及び/又は2種以上のカルボン酸成分(y)から得られる非晶性ポリエステルであり、全アルコール成分の80モル%以上がビスフェノールAのAO付加物であれば上記SP値の達成が容易となる。
非晶性ポリエステルのガラス転移温度(以下Tgと略記する)は、好ましくは20~90℃であり、更に好ましくは40~80℃である。20℃以上であれば耐熱保存性に優れ、90℃以下であれば低温定着性に対する阻害が少ない。
非晶性ポリエステルの酸価は、好ましくは0~75mgKOH/gであり、より好ましくは7~24mgKOH/gである。
非晶性ポリエステルの水酸基価は、好ましくは0~120mgKOH/gであり、より好ましくは3~70mgKOH/gである。
非晶性ポリエステルの数平均分子量(以下Mnと略記する場合がある)は、好ましくは1,000~1,000,000であり、より好ましくは2,000~8,000である。
非晶性ポリエステルの重量平均分子量(以下Mwと略記する場合がある)は、好ましくは4,000~10,000,000であり、より好ましくは4,000~15,000である。
本発明のトナー用バインダー樹脂は、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル(C)とともに、他のバインダー樹脂を含有させることができる。他の樹脂としては、ポリウレタン樹脂、スチレン樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。耐熱保存性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、ジオール(g)とポリイソシアネートの重付加物、上記非晶ポリエステルとポリイソシアネートの重付加物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6~20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5~20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-及び/又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのポリイソシアネートのうちで好ましいものは、炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネートであり、より好ましくは、6~15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4~12の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数6~15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
本発明のトナー用バインダー樹脂中の非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステル(C)の重量比[非晶性ポリエステル(B):結晶性ポリエステル(C)]は97:3~70:30であることが好ましく、95:5~85:15であることがより好ましい。
本発明の樹脂粒子は、上記トナー用バインダー樹脂を含有する。
前記トナー用バインダー樹脂の前記樹脂粒子における含有量は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは30~97重量%であり、より好ましくは42~96重量%、更に好ましくは50~95重量%である。
本発明の樹脂粒子は、必要により公知の、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動化剤などの種々の添加剤等を混合することができる。
着色剤としては黒色着色剤、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有することが好ましい。着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21、77及び114等)、ピグメントイエロー(12、14、17及び83等)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17、49、128、5、13、22及び48・2等)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25、94、60及び15・3等)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末、マグネタイト、ヘマタイト並びにフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは1~40重量部、より好ましくは2~15重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、磁性粉の含有量は、トナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは20~150重量部、より好ましくは30~120重量部である。
離型剤としては、天然ワックス(蜜ろう、カルナバワックス及びモンタンワックス等)、石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等)、合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及び酸化ポリプロピレンワックス等)、及び合成エステルワックス(炭素数10~30の脂肪酸と炭素数10~30のアルコールから合成される脂肪酸エステル等)等が挙げられ、これらの離型剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有することが好ましい。離型剤の含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%である。
上記離型剤を使用する際必要により、変性ワックスを併用してもよい。変性ワックスは、離型剤にビニルポリマー鎖がグラフトしたものである。変性ワックスに用いられる離型剤としては上記離型剤と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。変性ワックスのビニルポリマー鎖を構成するビニルモノマーとしては、スチレン、メタクリル酸エステル等が挙げられる。ビニルポリマー鎖はビニルモノマーの単独重合体でもよいし、共重合体でもよい。前記変性ワックスの含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは0~15重量%、より好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1~5重量%である。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよく、例えば、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニ
ウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、0~20重量%であってよく、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~7.5重量%である。
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。トナーの帯電性の観点からシリカが好ましい。また、シリカは、トナーの転写性の観点から疎水性シリカであることが好ましい。流動化剤の含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂の合計100重量部に対して、0~10重量%であってよく、好ましくは0~5重量%、より好ましくは0.1~4重量%である。
また、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動化剤などの添加剤の合計重量は樹脂粒子の重量に基づき、3~70重量%であってよく、好ましくは4~58重量%、より好ましくは5~50重量%である。
樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、好ましくは1~15μmであり、更に好ましくは2~10μm、特に好ましくは3~7μmである。上記範囲とすることで低温定着性が良好となる。
樹脂粒子の製造方法については特に制限はなく、公知の混練粉砕法、特公昭36-10231号公報、特開昭59-53856号公報、特開昭59-61842号公報に記載されている懸濁重合法、単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in site重合法、コアセルベーション法、特開昭62-106473号公報や特開昭63-186253号公報に開示されている様な少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る乳化凝集法、単分散を特徴とする分散重合法、非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後水中で樹脂粒子化する溶解懸濁法やエステル伸長重合法により得られたものであってもよいし、超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
上記の製造方法のうち、樹脂粒子の粒径制御、保存安定性の観点から少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る乳化凝集法が好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は重量部を示す。
結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及び樹脂粒子等の各物性値については次の方法により測定した。
[測定方法]
<融点(Tm)>
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて30℃から10℃/分の条件で180℃まで第1回目の昇温を行い、続いて180℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で180℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を融点とした。
<吸熱量>
上記融点の測定と同様の測定条件で観測される第2回目の昇温過程のDSC曲線で、吸熱ピークの吸熱開始温度以下のベースライン上の最もピークに近い点と吸熱ピークの終点温度以上のベースライン上の最もピークに近い点とを結ぶ直線を引くことにより、上記吸熱ピークのピークトップ温度をもつ吸熱ピークにおける吸熱量を算出した。
<100℃での粘度>
JIS-K7117(1999年)に準拠し、B型粘度計(東機産業株式会社製「RB-80H」)を用いて100℃での粘度を測定した。
<酸価及び水酸基価>
JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、酸価の測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)、水酸基価の測定溶媒はTHFとした。
<数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)>
樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置:HLC-8120〔東ソー(株)製〕
カラム:TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量:100μL
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)
<エステル基濃度>
エステル基濃度はH-NMR法で測定した結果をもとに下記計算式により算出した。
<試料調製法>
測定試料約30mgと1,1,2,2-テトラブロモエタン約1mgを4桁天秤で秤量し混合した。その混合物に約1.0mlの重水素化クロロホルムを加え溶解した。その溶液0.7mlをNMR用試料管に入れ、分析用試料とした。
<NMR測定条件>
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
積算回数:4回
緩和時間:1秒
<エステル基濃度の計算式>
エステル基濃度(重量%)=[6.365×(CH)×(BW)/(BH)/(CW)]
上記エステル基濃度の式における各パラメータの定義を以下に示す。
(CH)は、4.0~4.4ppmに確認されるピークの積分値である。そのピークは測定試料中に存在するエステル基の酸素原子に結合したメチレン基由来のピークである。
(BH)は、6.0ppm付近に確認されるピークの積分値である。そのピークは1,1,2,2-テトラブロモエタンのH原子由来のピークである。
(CW)は、測定に用いた測定試料の重量(g)である。
(BW)は、測定に用いた1,1,2,2-テトラブロモエタンの重量(g)である。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定した。
ガラス転移温度の測定条件は以下の通り
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で-35℃まで冷却
(4)-35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析しガラス転移温度を求めた。
<分散液の固形分濃度及び揮発分>
樹脂粒子又は樹脂微粒子等の沈澱が起こらないよう注意しながら、乾燥前の試料2.00gをはかりとり、120℃で1時間の条件で乾燥し、乾燥後の試料を取り出し重量を小数点第2位まで測定し、(乾燥後の試料の重量/乾燥前の試料の重量)×100から固形分濃度(重量%)を算出し、{(乾燥前の試料の重量-乾燥後の試料の重量)/乾燥前の試料の重量}×100から揮発分(重量%)を算出した。
<樹脂微粒子分散液の体積基準のメジアン径>
樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置「SZ-100」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
樹脂微粒子分散液をイオン交換水で100倍希釈して25℃に温調後、ディズポーサブルセル(四面透明)に充填した。次に、測定モードを粒子径測定モードにし、体積基準のメジアン径を測定した。
<樹脂粒子の体積平均粒径(D50)(μm)、個数平均粒径(μm)、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)>
コールターカウンター[商品名:マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)]を用いて測定した。
まず、電解水溶液であるISOTON-II(ベックマン・コールター社製)100~150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1~5mL加えた。さらに測定試料を2~20mg加え、試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1~3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして50μmアパーチャーを用いて、樹脂粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、樹脂粒子の体積平均粒径(D50)(μm)、個数平均粒径(μm)、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)を求めた。
<製造例1>[結晶性ポリエステル(C-1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール292部、アジピン酸148部、コハク酸280部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(C-1)を得た。
<製造例2>[結晶性ポリエステル(C-2)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール296部、アジピン酸147部、コハク酸277部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(C-2)を得た。
<製造例3>[結晶性ポリエステル(C-3)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール290部、セバシン酸100部、コハク酸330部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(C-3)を得た。
<製造例4>[結晶性ポリエステル(C-4)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にエチレングリコール241部、アジピン酸58部、コハク酸421部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(C-4)を得た。
<製造例5>[結晶性ポリエステル(C-5)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール145部、1,6-ヘキサンジオール189部、コハク酸386部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(C-5)を得た。
<比較製造例1>[比較用結晶性ポリエステル(CR-1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にエチレングリコール部213部、アジピン酸512部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(CR-1)を得た。
<比較製造例2>
[比較用結晶性ポリエステル(CR-2)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にエチレングリコール部159部、セバシン酸535部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(CR-2)を得た。
<比較製造例3>
[比較用結晶性ポリエステル(CR-3)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール部310部、コハク酸416部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。その後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら反応させ、結晶性ポリエステル(CR-3)を得た。
製造例1~5で得られた結晶性ポリエステル(C-1)~(C-5)及び比較製造例1~3で得られた比較用結晶性ポリエステル(CR-1)~(CR-3)の組成及び物性を表1に示す。
Figure 2022064297000001
<製造例6>[非晶性ポリエステル(B-1)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物(三洋化成工業(株)製、「ハイマーBP-2P」)633部、ビスフェノールA・PO3モル付加物(三洋化成工業(株)製、「ハイマーBP-3P」)150部、テレフタル酸251部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2.5部を入れ、230℃まで0.5~2.5kPaの減圧下で昇温しながら、生成する水を留去しながら反応させ、酸価が2mgKOH/g未満になった時点で無水トリメリット酸17部を入れ、さらに、0.5~2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が7mgKOH/gになった時点で取り出し、非晶性ポリエステル(B-1)を得た。
<製造例7>[非晶性ポリエステル(B-2)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物(三洋化成工業(株)製、「ハイマーBP-2P」)66部、ビスフェノールA・PO3モル付加物(三洋化成工業(株)製、「ハイマーBP-3P」)687部、テレフタル酸185部、アジピン酸53部、縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2.5部を入れ、230℃まで0.5~2.5kPaの減圧下で昇温しながら、生成する水を留去しながら反応させ、酸価が2mgKOH/g未満になった時点で無水トリメリット酸74部を入れ、さらに、0.5~2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が24mgKOH/gになった時点で取り出し、非晶性ポリエステル(B-2)を得た。
<製造例8>[非晶性ポリエステル(B-3)の製造]
冷却管、攪拌機、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物260部、ビスフェノールA・PO3モル付加物200部、ビスフェノールA・EO3モル付加物270部、テレフタル酸260部、アジピン酸40部、及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れて、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら酸価が20mgKOH/g以下になるまで反応させた後、0.001~0.026MPaの減圧下、水を除去しながら、酸価が1.5mgKOH/g以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸30部を加え、175℃で1時間保持し、非晶性ポリエステル(B-3)を得た。
製造例6~8で得られた非晶性ポリエステル(B-1)~(B-3)の組成及び物性を表2に示す。
Figure 2022064297000002
<製造例9>[結晶性ポリエステル(C-1)の樹脂微粒子分散液(CDW-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管および温度計を備えた反応容器に、(C-1)15部およびイオン交換水20部を仕込み、撹拌下90℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて10℃まで冷却して結晶性ポリエステルを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、結晶性ポリエステル(C-1)の樹脂微粒子分散液(CDW-1)を得た。(CDW-1)の体積基準のメジアン径は0.10μm、固形分濃度は43重量%であった。
<製造例10>[非晶性ポリエステル(B―1)の樹脂微粒子分散液(BDW-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管および温度計を備えた反応容器に、(B-1)15.5部、メチルエチルケトン15.1部及びイソプロピルアルコール1.7部を仕込み、撹拌、均一化を行い有機溶剤溶液を得て、25℃に温調した。これに中和剤として10.0重量%アンモニア水を0.87重量部添加し、5分間撹拌した。その後、25℃の水61.7部を1時間かけて滴下して転相乳化させ樹脂微粒子の分散液を得た後、40℃において30kPaの減圧下でメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、結着樹脂である非晶性ポリエステル(B-1)の樹脂微粒子分散液(BDW-1)を得た。樹脂微粒子分散液(BDW-1)の体積基準のメジアン径は0.15μm、固形分濃度は20重量%であった。
<製造例11>[非晶性ポリエステル(B―2)の樹脂微粒子分散液(BDW-2)の製造]
(B-1)を(B-2)に置き換えた以外は製造例10と同様に樹脂微粒子分散液(BDW-2)を得た。樹脂微粒子分散液(BDW-2)の体積基準のメジアン径は0.15μm、固形分濃度は20重量%であった。
<製造例12>[着色剤分散液(PW-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管および温度計を備えた反応容器に、カーボンブラック「MA100」[三菱化学(株)製]8.3部、着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]1.6部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、イオン交換水40部を投入し、回転数300rpmで撹拌下30℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、更にウルトラビスコミルで湿式粉砕し、黒色着色剤分散液(PW-1)を得た。得られた黒色着色剤分散液(PW-1)の体積基準のメジアン径は0.05μm、固形分濃度は21重量%であった。
<製造例13> <変性ワックス(WD-1)の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、低分子量ポリエチレン「サンワックスLEL-400」[軟化点:128℃、三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595重量部、メタクリル酸メチル255重量部、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、変性ワックスを得た。変性ワックス(WD-1)のグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは57℃であった。
<製造例14>[離型剤分散液(WW-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管および温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP-9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精蝋(株)製]10部、変性ワックス(WD-1)5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、イオン交換水20部を投入し、回転数300rpmで撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミルで湿式粉砕し、離型剤分散液(WW-1)を得た。得られた離型剤分散液(WW-1)の体積基準のメジアン径は0.25μm、固形分濃度は41重量%であった。
<製造例15> [結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)の製造]
冷却管、攪拌機、加熱冷却装置及び温度計の付いた反応容器中に、結晶性ポリエステル(C-1)10部及び酢酸エチル90部を投入し、78℃に昇温して同温度で3時間間撹拌した後、1時間かけて30℃まで冷却して結晶性ポリエステル(C-1)を微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例16> [結晶性ポリエステル分散液(CDO-2)の製造]
(C-1)から(C-2)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CDO-2)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CDO-2)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例17> [結晶性ポリエステル分散液(CDO-3)の製造]
(C-1)から(C-3)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CDO-3)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CDO-3)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例18> [結晶性ポリエステル分散液(CDO-4)の製造]
(C-1)から(C-4)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CDO-4)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CDO-4)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例19> [結晶性ポリエステル分散液(CDO-5)の製造]
(C-1)から(C-5)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CDO-5)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CDO-5)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<比較製造例4> [結晶性ポリエステル分散液(CRDO-1)の製造]
結晶性ポリエステル(C-1)を(CR-1)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CRDO-1)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CRDO-1)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<比較製造例5> [結晶性ポリエステル分散液(CRDO-2)の製造]
結晶性ポリエステル(C-1)を(CR-2)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CRDO-2)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CRDO-2)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<比較製造例6> [結晶性ポリエステル分散液(CRDO-3)の製造]
結晶性ポリエステル(C-1)を(CR-3)に変更する以外は、製造例15と同様に製造し、結晶性ポリエステル分散液(CRDO-3)を得た。結晶性ポリエステル分散液(CRDO-3)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例20> [樹脂微粒子の水性分散液(OW-1)の製造]
攪拌機、加熱冷却装置及び温度計をセットした反応容器に、水790部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム(三洋化成工業製、エレミノールJS-20)5部を仕込み、200回転/分で撹拌して均一化した。これを加熱して、系内温度75℃まで昇温させた後、10%過硫酸アンモニウム水溶液5部を加えてから、スチレン89.6部、ブチルアクリレート49.0部、及びメタクリル酸61.4部からなるモノマー混合液を2時間かけて滴下した。滴下後、75℃で10時間熟成させることで脂微粒子を含む微粒子分散液(OW-1)1000部を得た。微粒子分散液に含まれる微粒子の体積平均粒径は0.047μmであった。また微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂を単離した。該樹脂分のMnは30900、Mwは321000、Tgは60℃、酸価は200mgKOH/g、100℃における損失弾性率は3.5MPaであった。
<製造例21>[離型剤分散液(WO-1)の製造]
冷却管、攪拌機、加熱冷却装置及び温度計の付いた反応容器中に、パラフィンワックス「HNP-9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精蝋(株)製]10部、変性ワックス(WD-1)5部及び酢酸エチル85部を投入し、78℃に昇温して同温度で3時間間撹拌した後、1時間かけて30℃まで冷却して離型剤を微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液(WO-1)を得た。離型剤分散液(WO-1)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例22>[着色剤分散液(PO-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管および温度計を備えた反応容器に、カーボンブラック「MA100」[三菱化学(株)製]20部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4部、及び酢酸エチル56部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって顔料を微分散して、着色剤分散液(PO-1)を得た。着色剤分散液(PO-1)の「LA-920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例23>[反応性プレポリマー(H-1)の製造]
冷却管、攪拌機、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物439部、ビスフェノールA・PO3モル付加物329部、テレフタル酸206部、アジピン酸90部及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を投入し、230℃まで徐々に昇温しながら、0.5~2.5kPaの減圧下で10時間反応させた。酸価が1未満となった時点で取り出し、ポリエステル(H0-1)を得た。該樹脂分のTgは45℃、Mnは3900、Mwは11000、水酸基価は25mgKOH/gであった。
次に、攪拌機、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にポリエステル(H0-1)448部、イソホロンジイソシアネート52部及び酢酸エチル500部を投入し、密閉状態で80℃、10時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を含有する反応性プレポリマー(H-1)溶液を得た。反応性プレポリマー(H-1)のウレタン基濃度は2.0、Mnは6900、Mwは25000であった。
<実施例1>[樹脂粒子(T-1)の作製]
製造例9で得られた樹脂微粒子分散液(CDW-1)、製造例10で得られた樹脂微粒子分散液(BDW-1)、製造例11で得られた樹脂微粒子分散液(BDW-2)、製造例12で得られた着色剤分散液(PW-1)及び製造例14で得られた離型剤分散液(WW-1)を用い、以下の方法(乳化凝集法)により樹脂粒子(T-1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管、温度計および窒素導入管の付いた反応容器に非晶性ポリエステルの樹脂微粒子分散液(BDW-1)、樹脂微粒子分散液(BDW-2)、結晶性ポリエステル(C-1)の樹脂微粒子分散液(CDW-1)、着色剤分散液(PW-1)、および離型剤分散液(WW-1)を固形分換算値での配合量が表3の部数となるように仕込み、さらにイオン交換水300部を仕込み、液温を30℃に調整した後、撹拌しながら濃度25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整して分散液を得た。
次いで、非晶性ポリエステル(B-1)、非晶性ポリエステル(B-2)、結晶性ポリエステル(C-1)、着色剤、および離型剤の凝集を行うため、回転数300rpmで撹拌しながら凝集剤として濃度10重量%の塩化マグネシウム水溶液を加えていき、適宜にサンプリングを行い体積平均粒径5μmになったことを確認した後、系の温度を60℃に調整し、続いて0.3M硝酸水溶液を添加することにより、pHを4.5に調節し、30分後に4.0に調節した。撹拌を3時間保持することにより融着および球状化を行った。
その後、30℃まで冷却して着色剤を含有する樹脂粒子の水性分散液を得た。次いで樹脂粒子を濾過と水による洗浄を3回繰り返したあと、濾別し、40℃の送風循環式乾燥機で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした本発明のトナー用バインダー樹脂(D-1)を含む樹脂粒子(T-1)を得た。
<実施例2> [樹脂粒子(T-2)の製造]
製造例20で得た水性分散液(OW-1)、製造例6で得た非晶性ポリエステル(B-1)、製造例7で得た非晶性ポリエステル(B-2)、製造例22で得た着色剤分散液(PO-1)、製造例21で得た離型剤分散液(WO-1)及び製造例15で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を用い、以下の方法(溶解懸濁法)により樹脂粒子(T-2)を得た。
ビーカーにイオン交換水330部、樹脂微粒子の水性分散液(OW-1)30部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム「エレミノールMon-7」[三洋化成工業製]52部及び酢酸エチル28部を投入し、均一に混合させた水溶液を得た。次いで別のビーカーに非晶性ポリエステル(B-1)45部、非晶性ポリエステル(B-2)45部、着色剤分散液(PO-1)32部、離型剤分散液(WO-1)40部及び結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)100部を混合し、非晶性ポリエステルが溶解した樹脂分散液を作製した。この分散液を先ほど作成した水溶液に全量加えてTKオートホモミキサーで2分間撹拌下して混合液を得た。次いでこの混合液を攪拌機および温度計を備えた反応器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去して複合化工程を行い樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで樹脂粒子を濾過と水による洗浄を3回繰り返したあと、濾別し、40℃の送風循環式乾燥機で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした本発明のトナー用バインダー樹脂(D-1)を含む樹脂粒子(T-2)を得た。
<実施例3> [樹脂粒子(T-3)の製造]
結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を製造例16で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-2)に変更する以外は実施例2と同様に製造し、本発明のトナー用バインダー樹脂(D-2)を含む樹脂粒子(T-3)を溶解懸濁法により得た。
<実施例4> [樹脂粒子(T-4)の製造]
結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を製造例17で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-3)に変更する以外は実施例2と同様に製造し、本発明のトナー用バインダー樹脂(D-3)を含む樹脂粒子(T-4)を溶解懸濁法により得た。
<実施例5> [樹脂粒子(T-5)の製造]
結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を製造例18で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-4)に変更する以外は実施例2と同様に製造し、本発明のトナー用バインダー樹脂(D-4)を含む樹脂粒子(T-5)を溶解懸濁法により得た。
<実施例6> [樹脂粒子(T-6)の製造]
結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を製造例19で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-5)に変更する以外は実施例2と同様に製造し、本発明のトナー用バインダー樹脂(D-5)を含む樹脂粒子(T-6)を溶解懸濁法により得た。
<比較例1~3> [樹脂粒子(TR-1)~樹脂粒子(TR-3)の製造]
結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)を比較製造例4~6で得た(CRDO-1)~(CRDO-3)に変更する以外は実施例2と同様に製造し、本発明のトナー用バインダー樹脂(DR-1)~(DR-3)を含む樹脂粒子(TR-1)~(TR-3)を溶解懸濁法により得た。
<実施例7>[樹脂粒子(T-7)の製造]
製造例1で得た結晶性ポリエステル(C-1)、製造例6で得た非晶性ポリエステル(B-1)、製造例7で得た非晶性ポリエステル(B-2)、及び製造例13で得た変性ワックス(WD-1)を用い、以下の方法(粉砕法)により樹脂粒子(T-7)を得た。
結晶性ポリエステル(C-1)10部、非晶性ポリエステル(B-1)45部、非晶性ポリエステル(B-2)45部、カーボンブラック「MA-100」[三菱化学(株)製]8部、着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]1.5部、パラフィンワックス「HNP-9」[日本精鑞(株)製]4部、変性ワックス(WD-1)2部を加え、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製PCM-30]で混練した。
ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製MDS-I]で分級し、本発明のトナー用バインダー樹脂(D-1)を含む体積平均粒径が5μm、粒度分布が1.8の樹脂粒子(T-7)を得た。
<実施例8>[樹脂粒子(T-8)の製造]
製造例20で得た水性分散液(OW-1)、製造例8で得た非晶性ポリエステル(B-3)、製造例22で得た着色剤分散液(PO-1)、製造例21で得た離型剤分散液(WO-1)、製造例15で得た結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)及び製造例23で得た反応性プレポリマー(H-1)溶液を用い、以下の方法(エステル伸長重合法)により樹脂粒子(T-8)を得た。
ビーカーにイオン交換水330部、樹脂微粒子の水性分散液(OW-1)30部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(三洋化成工業製、エレミノールMon-7)52部及び酢酸エチル30部を投入し、均一に混合させた水溶液を得た。次いで別のビーカーに非晶性ポリエステル(B-3)81部、着色剤分散液(PO-1)32部、離型剤分散液(WO-1)40部及び結晶性ポリエステル分散液(CDO-1)100部を混合し、非晶性ポリエステルが溶解した樹脂分散液を作製。その分散液に反応性プレポリマー(H-1)溶液18部及びイソホロンジアミン0.4部を投入して均一に混合し、この混合液を先ほど作成した水溶液に全量加えてTKオートホモミキサーで2分間撹拌下して混合液を得た。次いでこの混合液を攪拌機および温度計を備えた反応器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去して複合化工程を行い樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで樹脂粒子を濾過と水による洗浄を3回繰り返したあと、濾別し、40℃の送風循環式乾燥機で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした本発明のトナー用バインダー樹脂(D-6)を含む樹脂粒子(T-8)を得た。
樹脂粒子(T-1)~(T-8)及び(TR-1)~(TR-3)を、それぞれの樹脂粒子99重量部と疎水性シリカ「アエロジルR-972」[日本アエロジル製]1重量部とを均一混合してトナーとし、低温定着性、耐熱保存性を評価した。評価方法は下に記載した。それぞれの樹脂粒子の配合量、物性及び評価結果を表3に示す。
Figure 2022064297000003
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.8mg/cmとなるように均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性のこの評価条件では130℃以下が好ましいとされる。
◎:105℃以下
○:106~115℃
△:116~125℃
×:126℃以上
<耐熱保存性>
以下に示す方法で、針入度を測定し耐熱保存性を評価した。
トナーを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、100回タッピングし、50℃で120分温調して冷却した後、針入度を測定した。
測定装置:針入度試験機[安田精機製作所][判定基準]
◎:30mm以上
○:25~29mm
△:20~24mm
×:20mm未満
本発明の実施例1~8の樹脂粒子は低温定着性、耐熱保存性のいずれも優れた性能を示した。
一方で、結晶性ポリエステル(CR-1)を使用した樹脂粒子(TR-1)は、耐熱保存性が不良となった。
また、結晶性ポリエステル(CR-2)を使用した樹脂粒子(TR-2)は、低温定着性がやや不良となった。
また、結晶性ポリエステル(CR-3)を使用した樹脂粒子(TR-3)は、低温定着性が不良となった。
本発明の結晶性ポリエステル(C)は、低温定着性と耐熱保存性とを高い水準で両立させることができ、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーに用いる樹脂として極めて有用である。

Claims (7)

  1. 非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル(C)を含むトナー用バインダー樹脂であって、前記結晶性ポリエステル(C)のSP値が10.4~11.5(cal/cm1/2であり、前記結晶性ポリエステル(C)の融点が60~100℃であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂。
  2. 前記結晶性ポリエステル(C)の吸熱量が5~70J/gである請求項1に記載のトナー用バインダー樹脂。
  3. 前記結晶性ポリエステル(C)の100℃での粘度が10~10000mPa・sである請求項1又は2に記載のトナー用バインダー樹脂。
  4. 前記結晶性ポリエステル(C)のエステル基濃度が、(C)の重量に基づいて40~60重量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂。
  5. 前記結晶性ポリエステル(C)が2種以上のアルコール成分及び/又は2種以上のカルボン酸成分から得られる結晶性ポリエステルであり、全アルコール成分の50モル%以上が炭素数2~6の直鎖脂肪族ジオールであり、全カルボン酸成分の50モル%以上が炭素数4~6の直鎖脂肪族ジカルボン酸である請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂。
  6. 前記非晶性ポリエステルと前記結晶性ポリエステル(C)の重量比[非晶性ポリエステル(B):結晶性ポリエステル(C)]が97:3~70:30である請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂を含有する樹脂粒子。
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