JP2022043861A - 全固体電池用正極 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造効率を高めつつ導電性の低下を抑制する、炭素層を含む全固体電池用正極の提供。
【解決手段】全固体電池用正極1は、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10を備える。炭素層11は、正極集電体12と正極活物質層10との間に介在している。炭素層11は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含む。正極活物質層10は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含む。正極活物質層10および炭素層11において、「Ma/Mc≧0.6」の関係が満たされている。「Ma」は、正極活物質層10におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。「Mc」は、炭素層11におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。
【選択図】図1
【解決手段】全固体電池用正極1は、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10を備える。炭素層11は、正極集電体12と正極活物質層10との間に介在している。炭素層11は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含む。正極活物質層10は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含む。正極活物質層10および炭素層11において、「Ma/Mc≧0.6」の関係が満たされている。「Ma」は、正極活物質層10におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。「Mc」は、炭素層11におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。
【選択図】図1
Description
本開示は、全固体電池用正極に関する。
特開2019-200947号公報(特許文献1)には、金属箔(集電体)と活物質層との間に炭素材料を含有するコート層(炭素層)を含む電極を備える全固体電池が開示されている。特許文献1の全固体電池においては、炭素材料を含有するコート層を設けることにより、全固体電池の温度が高くなった場合に、全固体電池の抵抗を増加させることができると考えられる。
例えば、正極活物質層と正極集電体とは、例えば、ホットプレス等により接着され得る。正極活物質層および炭素層は、材料を含むペーストを塗工し乾燥することにより作製する方法(塗膜形成法)によって作製され得る。
しかし、正極活物質層および炭素層を塗膜形成法で作製する際に、乾燥時間を短くして製造効率を高める目的で乾燥温度を高くすると、正極活物質層と炭素層との間の界面抵抗(接触抵抗)が高くなり、正極の電子伝導性が低下してしまう場合があった。
本開示の目的は、炭素層を含む全固体電池用正極において、製造効率を高めつつ、導電性の低下を抑制することである。
全固体電池用正極は、正極集電体、炭素層および正極活物質層を備える。
炭素層は、正極集電体と正極活物質層との間に介在している。
炭素層は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含む。
正極活物質層は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含む。
正極活物質層および炭素層において、
Ma/Mc≧0.6
の関係が満たされている。
Maは、正極活物質層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標であり、
Mcは、炭素層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。
MaおよびMcの各々は、下記手順(a)から(d)により算出される。
(a)対象層の厚さ方向断面が取得される。
(b)厚さ方向断面が上下に2等分されることにより、厚さ方向断面が上層と下層とに区分され、正極集電体に近い方が下層と定義される。
(c)上層および下層の各々において、SEM-EDXによりフッ素を対象とする面分析が実施される。
(d)上層におけるフッ素の特性X線のカウント数が、下層におけるフッ素の特性X線のカウント数で除される。
炭素層は、正極集電体と正極活物質層との間に介在している。
炭素層は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含む。
正極活物質層は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含む。
正極活物質層および炭素層において、
Ma/Mc≧0.6
の関係が満たされている。
Maは、正極活物質層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標であり、
Mcは、炭素層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標である。
MaおよびMcの各々は、下記手順(a)から(d)により算出される。
(a)対象層の厚さ方向断面が取得される。
(b)厚さ方向断面が上下に2等分されることにより、厚さ方向断面が上層と下層とに区分され、正極集電体に近い方が下層と定義される。
(c)上層および下層の各々において、SEM-EDXによりフッ素を対象とする面分析が実施される。
(d)上層におけるフッ素の特性X線のカウント数が、下層におけるフッ素の特性X線のカウント数で除される。
正極活物質層および炭素層を塗膜形成法によって作製する際、スラリーの乾燥時に「マイグレーション」と称される現象が発生することがある。「マイグレーション」とは、塗膜内の対流によりバインダが塗膜の表面(鉛直上方)側に浮き上がることで、正極活物質層および炭素層において厚さ方向にバインダの分布が生じる現象である。
本開示における新たな知見によれば、正極活物質層および炭素層を塗膜形成法で作製する際に乾燥温度を高くすると、マイグレーションが顕著になり、正極活物質層および炭素層の表面(鉛直上方)側に偏析する傾向がある。これにより、正極活物質層と炭素層との間での炭素同士の接触性が不足し、正極活物質層と炭素層との間の界面抵抗(接触抵抗)が高くなる場合があると考えられる。
本開示においては、正極活物質層および炭素層において、フッ素樹脂バインダが使用されている。各層の厚さ方向断面において、SEM-EDX(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)によって、フッ素(F)を対象とする面分析が実施される。これにより、各層におけるバインダの分布が把握され得る。本実施形態においては、面分析の結果に基づいて、「Ma」および「Mc」が算出される。「Ma」および「Mc」は、「マイグレーション指数」とも称される。
図1を参照して、「Ma」は、正極活物質層10におけるマイグレーションの指標である。「Ma」が大きい程、正極活物質層10において、バインダがセパレータ3側(塗膜乾燥時の上層UL側)に偏って分布していると考えられる。
「Mc」は、炭素層11におけるマイグレーションの指標である。「Mc」が大きい程、炭素層11において、バインダが正極集電体12側(塗膜乾燥時の上層UL側)に偏って分布していると考えられる。
そして、「Ma/Mc」は、正極活物質層10と炭素層11との界面におけるバインダ量の指標である。「Ma/Mc」が大きい程、正極活物質層10と炭素層11との界面におけるバインダの量が少ないと考えられる。
本開示においては、「Ma/Mc」が0.6以上である。これにより、正極活物質層10と炭素層11との界面におけるバインダの量が十分に少ない状態となり、正極活物質層10と炭素層11との界面における接触抵抗が低減する傾向がある。
したがって、炭素層を含む全固体電池用正極を製造する際に、製造効率を高めるために塗膜の乾燥温度を高めた場合でも、「Ma/Mc」を0.6以上に調整することで、正極の導電性の低下を抑制することができる。
以下、本開示の実施形態(「本実施形態」とも記される。)が説明される。ただし以下の説明は、特許請求の範囲を限定しない。
本実施形態において、例えば「1~10質量部」等の記載は、特に断りのない限り、境界値を含む範囲を示す。すなわち、例えば「1~10質量部」は、「1質量部以上10質量部以下」の範囲を示す。
図1は、本実施形態の正極(全固体電池用正極)を備える全固体電池を示す断面概念図である。電池100は、バルク型全固体電池である。電池100(全固体電池)は、正極1、セパレータ3および負極2を含む。
<全固体電池用正極>
正極1(全固体電池用正極)は、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10を備える。炭素層11は、正極集電体12と正極活物質層10との間に介在している。すなわち、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10は、この順に積層されている。正極活物質層10は、炭素層11に接着されている。
正極1は、層状である。正極1は、例えば、10~200μmの厚さを有していてもよい。
正極1(全固体電池用正極)は、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10を備える。炭素層11は、正極集電体12と正極活物質層10との間に介在している。すなわち、正極集電体12、炭素層11および正極活物質層10は、この順に積層されている。正極活物質層10は、炭素層11に接着されている。
正極1は、層状である。正極1は、例えば、10~200μmの厚さを有していてもよい。
≪正極集電体≫
正極集電体12は、集電部材の基材である。正極集電体12は、例えば、アルミニウム(Al)箔等であってもよい。Al箔は、例えば、純Al箔であってもよいし、Al合金箔であってもよい。Al箔は、その製造時に不可避的に混入する不純物元素を含んでいてもよい。Al箔は、意図的に添加された金属元素を含んでいてもよい。
正極集電体12は、集電部材の基材である。正極集電体12は、例えば、アルミニウム(Al)箔等であってもよい。Al箔は、例えば、純Al箔であってもよいし、Al合金箔であってもよい。Al箔は、その製造時に不可避的に混入する不純物元素を含んでいてもよい。Al箔は、意図的に添加された金属元素を含んでいてもよい。
Al箔は、例えば「JIS H 4160:アルミニウム及びアルミニウム合金はく」に規定される合金番号「1085」、「1070」、「1050」、「1N30」、「1100」、「3003」、「3004」、「8021」、「8079」等であってもよい。Al箔に、圧延、アニール等が施されていてもよい。
≪炭素層≫
炭素層11は、正極集電体12の表面の少なくとも一部を被覆している。炭素層11は、正極集電体12の表面の一部を被覆していてもよい。炭素層11は、正極集電体12の表面全体を被覆していてもよい。
炭素層11は、正極集電体12の表面の少なくとも一部を被覆している。炭素層11は、正極集電体12の表面の一部を被覆していてもよい。炭素層11は、正極集電体12の表面全体を被覆していてもよい。
炭素層11は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含む。
導電性炭素材料は、炭素を含む導電性材料(導電材)である。導電性炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、サーマルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
バインダは特に限定されるべきではない。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸(PAA)等であってもよい。
炭素層11は、例えば、1~3μmの厚さを有していてもよい。
なお、炭素層11は、塗膜形成法により形成され得る。塗膜形成に用いられる炭素材料スラリーの固形分率は、例えば5~25質量%である。
≪正極活物質層≫
正極活物質層10は、負極活物質層20に比して高い電位を有する。正極活物質層10は、例えば、1~200μmの厚さを有していてもよい。
正極活物質層10は、負極活物質層20に比して高い電位を有する。正極活物質層10は、例えば、1~200μmの厚さを有していてもよい。
正極活物質層10は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含む。正極活物質層10は、実質的に、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダからなっていてもよい。正極活物質層10は、例えば、導電材等をさらに含んでいてもよい。
(正極活物質)
正極活物質は、例えば、粒子群であってもよい。正極活物質は、例えば、1~30μmの平均粒子径を有していてもよい。本実施形態において、「正極活物質の平均粒子径」は、二次粒子のメジアン径を示す。メジアン径は、体積基準の粒度分布において微粒側からの累積粒子体積が全粒子体積の50%になる粒子径を示す。メジアン径は、レーザ回折法により測定され得る。
正極活物質は、例えば、粒子群であってもよい。正極活物質は、例えば、1~30μmの平均粒子径を有していてもよい。本実施形態において、「正極活物質の平均粒子径」は、二次粒子のメジアン径を示す。メジアン径は、体積基準の粒度分布において微粒側からの累積粒子体積が全粒子体積の50%になる粒子径を示す。メジアン径は、レーザ回折法により測定され得る。
正極活物質は、Liを吸蔵放出し得る。正極活物質は、任意の成分を含み得る。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、および、リン酸鉄リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
正極活物質に表面処理が施されていてもよい。表面処理により、正極活物質の表面に緩衝層が形成されてもよい。緩衝層は、例えば、ニオブ酸リチウム等を含んでいてもよい。緩衝層は、硫化物固体電解質と正極活物質との直接接触を阻害し得る。硫化物固体電解質と正極活物質とが直接接触すると、Li空乏層が形成され、抵抗が増加する可能性もある。
例えば、100質量部の正極活物質層10は、50~99質量部の正極活物質を含んでいてもよい。例えば、100質量部の正極活物質層10は、70~95質量部の正極活物質を含んでいてもよい。例えば、100質量部の正極活物質層10は、80~90質量部の正極活物質を含んでいてもよい。
(固体電解質)
固体電解質は、例えば、粒子群であってもよい。固体電解質は、例えば、0.1~10μmの平均粒子径を有していてもよい。固体電解質は、例えば、0.1~1μmの平均粒子径を有していてもよい。本実施形態において、「固体電解質の平均粒子径」は、一次粒子の定方向径の平均値である。一次粒子の定方向径は、顕微鏡法により測定され得る。平均粒子径は、例えば100個の定方向径の算術平均であり得る。
固体電解質は、例えば、粒子群であってもよい。固体電解質は、例えば、0.1~10μmの平均粒子径を有していてもよい。固体電解質は、例えば、0.1~1μmの平均粒子径を有していてもよい。本実施形態において、「固体電解質の平均粒子径」は、一次粒子の定方向径の平均値である。一次粒子の定方向径は、顕微鏡法により測定され得る。平均粒子径は、例えば100個の定方向径の算術平均であり得る。
固体電解質は、Liイオン伝導体である。本実施形態における固体電解質は、硫化物固体電解質であってもよいし、酸化物固体電解質であってもよい。硫化物固体電解質は、高いイオン伝導度を有する傾向がある。硫化物固体電解質は、例えば、ガラスであってもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ガラスセラミックス(「結晶化ガラス」とも称される)であってもよい。硫化物固体電解質は、硫黄(S)およびリチウム(Li)を含む。硫化物固体電解質は、例えば、リン(P)をさらに含んでいてもよい。すなわち、硫化物固体電解質は、硫化リンリチウムであってもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ハロゲン元素をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ヨウ素(I)、臭素(Br)等をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、酸素(O)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)等をさらに含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Si2S-P2S5、LiI-LiBr-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2O-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li3PO4-Li2S-SiS2、およびLi2S-P2S5-GeS2からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
硫化物固体電解質の組成は、原材料によって表され得る。例えば、「Li2S-P2S5」は、硫化物固体電解質が、Li2Sに由来する成分と、P2S5に由来する成分とからなることを示す。Li2S-P2S5は、例えば、Li2SとP2S5とのメカノケミカル反応により生成され得る。Li2SとP2S5との混合比は、任意である。Li2SとP2S5とは、例えば、モル比で「Li2S/P2S5=50/50」から「Li2S/P2S5=90/10」の関係を満たしていてもよい。Li2SとP2S5とは、例えば、モル比で「Li2S/P2S5=60/40」から「Li2S/P2S5=80/20」の関係を満たしていてもよい。
例えば、100質量部の正極活物質層10は、1~50質量部の固体電解質を含んでいてもよい。例えば、100質量部の正極活物質層10は、5~30質量部の固体電解質を含んでいてもよい。例えば、100質量部の正極活物質層10は、10~20質量部の固体電解質を含んでいてもよい。
なお、固体電解質は、セパレータ3、正極活物質層10および負極活物質層20の3層に、共通して含まれ得る。各層に含まれる固体電解質は、すべて同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
(フッ素樹脂バインダ)
フッ素樹脂バインダは、固体同士を結合する。フッ素樹脂バインダは、フッ素樹脂からなる。フッ素樹脂は、分子構造内にフッ素(F)を含む。SEM-EDXの面分析において、Fの分布は、フッ素樹脂バインダの分布を示すと考えられる。Fの分布は、前述のマイグレーション指数(Ma、Mc)により評価され得る。フッ素樹脂バインダの分布は、例えば、スラリーのバインダ配合量、スラリーの固形分濃度、スラリーの乾燥条件等により調整され得る。
フッ素樹脂バインダは、固体同士を結合する。フッ素樹脂バインダは、フッ素樹脂からなる。フッ素樹脂は、分子構造内にフッ素(F)を含む。SEM-EDXの面分析において、Fの分布は、フッ素樹脂バインダの分布を示すと考えられる。Fの分布は、前述のマイグレーション指数(Ma、Mc)により評価され得る。フッ素樹脂バインダの分布は、例えば、スラリーのバインダ配合量、スラリーの固形分濃度、スラリーの乾燥条件等により調整され得る。
フッ素樹脂バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
例えば、100質量部の正極活物質層10は、0.1~10質量部のフッ素樹脂バインダを含んでいてもよい。例えば、100質量部の正極活物質層10は、0.5~5質量部のフッ素樹脂バインダを含んでいてもよい。
なお、フッ素樹脂バインダは、セパレータ3および正極活物質層10の2層に共通して含まれる。フッ素樹脂バインダは、セパレータ3、正極活物質層10および負極活物質層20の3層に共通して含まれていてもよい。各層に含まれるフッ素樹脂バインダは、すべて同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
(導電材)
導電材は、正極活物質層10および負極活物質層20の2層に、共通して含まれ得る。各層に含まれる導電材は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
導電材は、正極活物質層10および負極活物質層20の2層に、共通して含まれ得る。各層に含まれる導電材は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
導電材は、電子伝導体である。導電材は、任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、およびグラフェンフレークからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。炭素繊維は、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維(VGCF)、およびカーボンナノチューブ(CNT)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
例えば、100質量部の正極活物質層10は、0.1~10質量部の導電材を含んでいてもよい。
なお、正極活物質層10は、塗膜形成法により形成され得る。塗膜形成に用いられる正極活物質スラリーの固形分率は、例えば40~65質量%である。
《マイグレーション指数》
本実施形態では、正極活物質層10および炭素層11において、
Ma/Mc≧0.6
の関係が満たされている。
本実施形態では、正極活物質層10および炭素層11において、
Ma/Mc≧0.6
の関係が満たされている。
Maは、正極活物質層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標(マイグレーション指数)である。
Mcは、炭素層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標(マイグレーション指数)である。
「Ma」および「Mc」は、下記手順(a)から(d)により算出される。
(a)対象層(正極活物質層または炭素層)の厚さ方向断面が取得される。
(b)厚さ方向断面が上下に2等分されることにより、厚さ方向断面が上層と下層とに区分され、正極集電体に近い方が下層と定義される。
(c)上層および下層の各々において、SEM-EDXによりフッ素を対象とする面分析が実施される。
(d)上層におけるフッ素の特性X線のカウント数が、下層におけるフッ素の特性X線のカウント数で除される。
Mcは、炭素層におけるフッ素樹脂バインダの分布の指標(マイグレーション指数)である。
「Ma」および「Mc」は、下記手順(a)から(d)により算出される。
(a)対象層(正極活物質層または炭素層)の厚さ方向断面が取得される。
(b)厚さ方向断面が上下に2等分されることにより、厚さ方向断面が上層と下層とに区分され、正極集電体に近い方が下層と定義される。
(c)上層および下層の各々において、SEM-EDXによりフッ素を対象とする面分析が実施される。
(d)上層におけるフッ素の特性X線のカウント数が、下層におけるフッ素の特性X線のカウント数で除される。
上記の関係が満たされることにより、正極活物質層10と炭素層11との界面におけるバインダの量が十分に少ない状態となり、正極活物質層10と炭素層11との界面における接触抵抗が低減する傾向がある。
「Ma」は、好ましくは0.4~2.5である。「Mc」は、好ましくは0.4~2.5である。
以下、手順(a)~(d)の詳細について説明する。
(a) まず、0.2Cの電流レートにより、電池100が完全放電される。完全放電後、電池100が解体される。電池100から正極1が回収される。正極1が切断されることにより、断面試料が取得される。断面試料は、正極活物質層10または炭素層11の厚さ方向断面を含む。本実施形態における「厚さ方向断面」は、図1のxz平面に平行な断面を示す。ただし、本実施形態における「平行」は、幾何学的に完全な平行のみを示すものではない。本実施形態における「平行」は、実質的に平行とみなせる関係も含む。厚さ方向断面と、xz平面とのなす角は、例えば、0°±5°であってもよい。FIB(Focused Ion Beam)またはCP(Cross section Polisher)により、断面試料の表面が平坦化される。
(b) 平坦化後、SEMにより、断面試料が観察される。観察視野に対象層(正極活物質層10または炭素層11)の厚さ方向の全体が含まれるように、観察倍率が調整される。対象層が厚さ方向に2等分される。これにより対象層の厚さ方向断面が上層ULと下層LLとに区分される。本実施形態においては、厚さ方向(図1のz軸方向)において、正極集電体12に近い方が下層LLと定義される。
なお、炭素層11および正極活物質層10を塗膜形成法により形成する際の塗膜の乾燥時の状態(図4および図5参照)においては、鉛直上方が上層ULに相当し、鉛直下方が下層LLに相当する。
なお、炭素層11および正極活物質層10を塗膜形成法により形成する際の塗膜の乾燥時の状態(図4および図5参照)においては、鉛直上方が上層ULに相当し、鉛直下方が下層LLに相当する。
(c) 上層ULおよび下層LLの各々において、EDXによりFを対象とする面分析が実施される。Fは、フッ素樹脂バインダに含まれている。分析エリアAEのサイズは、上層ULと下層LLとで同一である。分析エリアAEは、一辺の長さが上層UL(または下層LL)の厚さと等しい正方形である。
(d) 分析エリアAEにおいて、Fの特性X線がカウントされる。上層ULおよび下層LLの各々において、特性X線のカウント数(検出強度)が取得される。上層ULにおける特性X線のカウント数が、下層LLにおける特性X線のカウント数で除されることにより、対象層のマイグレーション指数が算出される。すなわち、対象層が正極活物質層10である時、「Ma」が算出される。対象層が炭素層11である時、「Mc」が算出される。
「Ma」および「Mc」は、それぞれ5個の断面試料において測定される。本実施形態においては、5回測定の算術平均が採用される。
≪マイグレーション指数の制御≫
図3を参照して、炭素層11は、導電材、バインダおよび分散媒を混合し(図3(a))、一定条件下でホモジナイズして得られた炭素材料ペースト110を正極集電体12の表面に塗布(例えば、グラビア塗布)し(図3(b))、乾燥(例えば、温風乾燥)することにより形成される(図3(c))。
図3を参照して、炭素層11は、導電材、バインダおよび分散媒を混合し(図3(a))、一定条件下でホモジナイズして得られた炭素材料ペースト110を正極集電体12の表面に塗布(例えば、グラビア塗布)し(図3(b))、乾燥(例えば、温風乾燥)することにより形成される(図3(c))。
この塗膜乾燥時の温度をコントロールすることで、正極活物質層10および炭素層11のマイグレーション指数を制御することができる。
乾燥は大きく分けると。乾燥前半の定率乾燥期間と乾燥後半の減率乾燥期間に分けられる。なお、定率乾燥期間とは、単位時間当たりの溶媒蒸発量が一定である乾燥期間を意味する。また、減率乾燥期間とは、定率乾燥期間より溶媒蒸発量が小さい乾燥期間を意味する。定率乾燥期間は、塗布されたペーストが乾燥とともに対流する期間なので、バインダの偏析が起こりやすい。このため、定率乾燥期間の温度(乾燥温度)を下げることでマイグレーションの進行を抑制する(MaおよびMcの値を低減する)ことが可能である。
なお、定率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%まで減少する時間である。減率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%から100%まで減少する時間である。
乾燥は大きく分けると。乾燥前半の定率乾燥期間と乾燥後半の減率乾燥期間に分けられる。なお、定率乾燥期間とは、単位時間当たりの溶媒蒸発量が一定である乾燥期間を意味する。また、減率乾燥期間とは、定率乾燥期間より溶媒蒸発量が小さい乾燥期間を意味する。定率乾燥期間は、塗布されたペーストが乾燥とともに対流する期間なので、バインダの偏析が起こりやすい。このため、定率乾燥期間の温度(乾燥温度)を下げることでマイグレーションの進行を抑制する(MaおよびMcの値を低減する)ことが可能である。
なお、定率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%まで減少する時間である。減率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%から100%まで減少する時間である。
<セパレータ>
セパレータ3は、正極活物質層10と負極活物質層20との間に介在している。セパレータ3は、正極活物質層10と負極活物質層20とを物理的に分離している。セパレータ3は、固体電解質とフッ素樹脂バインダとを含む。
セパレータ3は、正極活物質層10と負極活物質層20との間に介在している。セパレータ3は、正極活物質層10と負極活物質層20とを物理的に分離している。セパレータ3は、固体電解質とフッ素樹脂バインダとを含む。
<負極>
負極2は、負極活物質層20および負極集電体21を含む。
負極2は、負極活物質層20および負極集電体21を含む。
負極活物質層20は、正極活物質層10に比して低い電位を有する。負極活物質層20は、負極活物質、固体電解質およびバインダを含む。負極活物質層20は、導電材等をさらに含んでいてもよい。
負極活物質は、Liを吸蔵放出し得る。負極活物質は、例えば、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金、およびチタン酸リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
負極活物質層20も、前述のフッ素樹脂バインダを含んでいてもよい。負極活物質層20は、フッ素樹脂バインダ以外のバインダを含んでいてもよい。
負極活物質は、Liを吸蔵放出し得る。負極活物質は、例えば、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金、およびチタン酸リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
負極活物質層20も、前述のフッ素樹脂バインダを含んでいてもよい。負極活物質層20は、フッ素樹脂バインダ以外のバインダを含んでいてもよい。
負極集電体21は、負極活物質層20に接着されていてもよい。負極集電体21は、例えば、ニッケル(Ni)箔、銅(Cu)箔等を含んでいてもよい。負極集電体21は、例えば、5~50μmの厚さを有していてもよい。
以下、実施例が説明される。ただし以下の例は、特許請求の範囲を限定するものではない。
<全固体電池の製造>
下記手順(図2参照)により、各種の電池100(図1参照)が製造された。
下記手順(図2参照)により、各種の電池100(図1参照)が製造された。
《負極層の形成》
下記材料が準備された。
負極活物質 :チタン酸リチウム(平均粒子径 0.8μm)
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
導電材 :炭素繊維(平均繊維径 0.15μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
負極集電体 :Ni箔
(負極は支持体にも塗布し転写されており、そこに使われている支持体はセパレータと同じAl箔である。)
下記材料が準備された。
負極活物質 :チタン酸リチウム(平均粒子径 0.8μm)
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
導電材 :炭素繊維(平均繊維径 0.15μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
負極集電体 :Ni箔
(負極は支持体にも塗布し転写されており、そこに使われている支持体はセパレータと同じAl箔である。)
71質量部の負極活物質と、23.9質量部の固体電解質と、1.7質量部の導電材と、3.4質量部のバインダと、89質量部の分散媒とが混合されることにより、負極スラリーが調製された。負極スラリーが、負極集電体21の表面に塗布され、乾燥されることにより、負極活物質層20が形成された(図2(a))。
《セパレータの形成》
下記材料が準備された。
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
第1仮支持体:Al箔
下記材料が準備された。
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
第1仮支持体:Al箔
99質量部の固体電解質と、1質量部のバインダと、75.4質量部の分散媒とが混合されることにより、セパレータスラリーが調製された。セパレータスラリーが仮支持体の表面に塗布され、乾燥されることにより、セパレータ3が形成された。
セパレータ3と負極活物質層20とが積層され、プレス加工により接着された(図2a)。
セパレータ3と負極活物質層20とが積層され、プレス加工により接着された(図2a)。
《正極の形成》
下記材料が準備された。
正極活物質 :ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニオブ酸リチウム
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
導電材 :炭素繊維(平均繊維径 0.15μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
仮支持体 :Al箔
正極集電体 :Al箔
下記材料が準備された。
正極活物質 :ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニオブ酸リチウム
固体電解質 :硫化リンリチウム(平均粒子径 0.5μm)
導電材 :炭素繊維(平均繊維径 0.15μm)
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
仮支持体 :Al箔
正極集電体 :Al箔
ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの表面に緩衝層が形成された。緩衝層は、ニオブ酸リチウムからなっていた。
81質量部の正極活物質と、16.5質量部の固体電解質と、1.9質量部の導電材と、0.6質量部のバインダと、37質量部の分散媒とが混合されることにより、正極活物質スラリーが調製された。正極活物質スラリーが、仮支持体4の表面に塗布され、乾燥されることにより、正極活物質層10が形成された(図5参照)。
セパレータ3に、正極活物質層10および仮支持体4が積層された(図2(a)参照)。プレス加工により、セパレータ3と正極活物質層10と接着された。接着後、仮支持体4が正極活物質層10から剥離された(図2(b)参照)。仮支持体4の剥離後、セパレータ3と正極活物質層10との間において、接着不良の有無が確認された。
≪炭素コート集電体(炭素層および正極集電体)の製造≫
下記材料が準備された。
正極集電体 :Al箔(A1N30-H18)
導電材 :AB
バインダ :PVdF
分散媒 :NMP
ホットメルト接着剤:エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂
下記材料が準備された。
正極集電体 :Al箔(A1N30-H18)
導電材 :AB
バインダ :PVdF
分散媒 :NMP
ホットメルト接着剤:エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂
エスエムテー社製の超音波ホモジナイザー(製品名「UH-50」)により、20(±0.2)質量部の導電材、80(±0.8)質量部のバインダ、および500質量部の分散媒が混合され、炭素材料ペースト110が調製された(図3(a)参照)。
グラビア塗布機により、上記で調製された炭素材料ペースト110が正極集電体12の表面に目付量1.45(±0.3)g/m2で塗布され(図3(b)参照)、乾燥されることにより正極集電体12の表面に炭素層11(厚さ:2±1μm)が形成されてなる炭素コート集電体13が作製された(図3(c)、図4参照)。
炭素コート集電体13(正極集電体12および炭素層11)の炭素層11側に接着剤14(ホットメルト接着剤)がスポット塗布され、正極活物質層10と炭素コート集電体13とが、正極活物質層10と炭素層11が接するように積層された(図2(c)参照)。
ホットプレスにより、正極活物質層10と炭素層11とが接着剤14により接着されることで、電池100(図1)が製造された(図2(d)参照)。なお、電池100は、外装材(アルミラミネートフィルム製のパウチ)に封入された。
なお、本実施例においては、表1に示されるように、正極活物質層を形成する際の正極活物質スラリーの乾燥条件(乾燥温度)が変更されることにより、「Ma」が互いに異なる6種の正極活物質層がそれぞれ作製された。
また、表2に示されるように、炭素層が形成される際の炭素材料スラリーの乾燥条件(乾燥温度)が変更されることにより、「Mc」が互いに異なる6種の炭素層がそれぞれ作製された。なお、塗膜の溶媒質量が約95%まで減少する時間である。減率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%から100%まで減少する時間である。
また、表2に示されるように、炭素層が形成される際の炭素材料スラリーの乾燥条件(乾燥温度)が変更されることにより、「Mc」が互いに異なる6種の炭素層がそれぞれ作製された。なお、塗膜の溶媒質量が約95%まで減少する時間である。減率乾燥期間は、例えば、塗膜の溶媒質量が約95%から100%まで減少する時間である。
本実施例においては、下記表3に示されるように、6種の正極活物質層10と、6種の炭素層11とが組み合わされることにより、36種の電池100(実施例1~26および比較例1~10)が製造された。36種の電池100のMa/Mcの値を表4に示す。なお、36種の各仕様について、電池100は5個ずつ製造された。
<評価>
《マイグレーション指数》
上記の全固体電池の正極について、上述の手順(a)から(d)により、「Ma」および「Mc」が測定された。
《マイグレーション指数》
上記の全固体電池の正極について、上述の手順(a)から(d)により、「Ma」および「Mc」が測定された。
《接触抵抗の評価》
上記の全固体電池の正極について、正極活物質層と炭素層との間の接触抵抗が測定された。具体的には、図6を参照して、上記の全固体電池を解体して得られた正極1を更に分解して得られた正極活物質層10と炭素コート集電体13(正極集電体12および炭素層11)とを、正極活物質層10と炭素層11が当接するように積層し、積層物を2枚のSUS板51,52で1MPaの圧力で挟み、直流電流を印加した際の電圧推移から抵抗を算出した。
上記の全固体電池の正極について、正極活物質層と炭素層との間の接触抵抗が測定された。具体的には、図6を参照して、上記の全固体電池を解体して得られた正極1を更に分解して得られた正極活物質層10と炭素コート集電体13(正極集電体12および炭素層11)とを、正極活物質層10と炭素層11が当接するように積層し、積層物を2枚のSUS板51,52で1MPaの圧力で挟み、直流電流を印加した際の電圧推移から抵抗を算出した。
接触抵抗の測定結果が表5に示され、接触抵抗の評価結果が表6に示される。
なお、表6において、「A」は、接触抵抗が1.3Ω/cm2以下であることを示し、「B」は、接触抵抗が1.3Ω/cm2超であることを示す。本実施例においては、評価が「A」であれば、接触抵抗が低く所期の導電性が得られているとみなされる。
なお、表6において、「A」は、接触抵抗が1.3Ω/cm2以下であることを示し、「B」は、接触抵抗が1.3Ω/cm2超であることを示す。本実施例においては、評価が「A」であれば、接触抵抗が低く所期の導電性が得られているとみなされる。
<結果>
上記表3~表6に示されるように、「Ma/Mc≧0.6」の関係が満たされるとき、正極活物質層と炭素層との間の接触抵抗が低減する(正極の導電性が向上する)傾向がみられる。
上記表3~表6に示されるように、「Ma/Mc≧0.6」の関係が満たされるとき、正極活物質層と炭素層との間の接触抵抗が低減する(正極の導電性が向上する)傾向がみられる。
本実施形態および本実施例は、すべての点で例示である。本実施形態および本実施例は、制限的ではない。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味におけるすべての変更を包含する。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の範囲内におけるすべての変更も包含する。
1 正極、10 正極活物質層、11 炭素層、110 炭素材料ペースト、12 集電箔、13 炭素コート集電箔、14 接着剤、2 負極、20 負極活物質層、21 負極集電体、3 セパレータ、4 仮支持体、51,52 SUS板、100 電池。
Claims (1)
- 集電箔、炭素層および正極活物質層を備え、
前記炭素層は、前記集電箔と前記正極活物質層との間に介在しており、
前記炭素層は、導電性炭素材料およびフッ素樹脂バインダを含み、
前記正極活物質層は、正極活物質、固体電解質およびフッ素樹脂バインダを含み、
正極活物質層および炭素層において、
Ma/Mc≧0.6
の関係が満たされており、
前記Maは、前記正極活物質層における前記フッ素樹脂バインダの分布の指標であり、
前記Mcは、前記炭素層における前記フッ素樹脂バインダの分布の指標であり、
前記Maおよび前記Mcの各々は、下記手順(a)から(d):
(a)対象層の厚さ方向断面が取得され、
(b)前記厚さ方向断面が上下に2等分されることにより、前記厚さ方向断面が上層と下層とに区分され、前記集電箔に近い方が前記下層と定義され、
(c)前記上層および前記下層の各々において、SEM-EDXによりフッ素を対象とする面分析が実施され、
(d)前記上層におけるフッ素の特性X線のカウント数が、前記下層におけるフッ素の特性X線のカウント数で除される、
により算出される、
全固体電池用正極。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020149354A JP2022043861A (ja) | 2020-09-04 | 2020-09-04 | 全固体電池用正極 |
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