JP2022034852A - バリア材形成用組成物及びその製造方法、バリア材及びその製造方法、並びに製品及びその製造方法 - Google Patents

バリア材形成用組成物及びその製造方法、バリア材及びその製造方法、並びに製品及びその製造方法 Download PDF

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龍一郎 福田
Ryuichiro Fukuda
崇之 鈴木
Takayuki Suzuki
智彦 小竹
Tomohiko Kotake
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Abstract

【課題】防湿性に優れ、様々な形状の対象物に適用可能であり、且つ、適用後に対象物表面を良好に視認できる、バリア材を提供すること。【解決手段】シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含み、前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中の、ケイ素原子に結合する炭素原子の総数N1に対する酸素原子に結合する炭素原子の総数N2の比(N2/N1)が、2~4である、バリア材形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、バリア材形成用組成物及びその製造方法、バリア材及びその製造方法、並びに製品及びその製造方法に関する。
従来から、電子部品に形成された空隙部に湿気が混入することを避けるため、バリアフィルム等によって電子部品を封止することが検討されている。例えば、特許文献1には、無機酸化物層を備えるバリアフィルムを積層させた、バリアフィルム積層体が記載されている。
特開2011-093195号公報
しかし、特許文献1に記載のバリアフィルム積層体は、フィルム状であるため適用可能な対象が限定されている。
また、近年、電子部品の精細化・多様化により、対象物上にバリア材を形成した後に、バリア材を介して対象物表面の印字、マーカ等を良好に視認できることが求められている。
そこで本発明は、防湿性に優れ、様々な形状の対象物に適用可能であり、且つ、適用後に対象物表面を良好に視認できる、バリア材を提供することを目的とする。本発明はまた、上記バリア材を容易に形成可能な、バリア材形成用組成物を提供することを目的とする。本発明は更に、上記バリア材形成用組成物の製造方法、上記バリア材の製造方法、上記バリア材を備える製品、及び当該製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含む、バリア材形成用組成物を提供する。このような組成物は、対象物への塗布により、容易に対象物上に防湿性に優れたバリア材を形成できる。また、上記組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中のポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率を後述のように適切に選択することで、対象物表面を良好に視認できるバリア材の形成が可能となる。
一態様に係る組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中の、ケイ素原子に結合する炭素原子の総数Nに対する酸素原子に結合する炭素原子の総数Nの比(N/N)が、2~4である。このような組成物は、ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率が適切に調整されており、当該ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンがレベリング材として良好に機能し、対象物上に形成されるバリア材の表面が平滑化する。これにより、バリア材形成後の対象物表面の視認性が顕著に向上する。
一態様に係る組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの13C-NMRスペクトルにおいて、ケイ素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC1のピーク面積SC1に対する、酸素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC2のピーク面積SC2の比(SC2/SC1)が、2~4である。このような組成物は、ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率が適切に調整されており、当該ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンがレベリング材として良好に機能し、対象物上に形成されるバリア材の表面が平滑化する。これにより、バリア材形成後の対象物表面の視認性が顕著に向上する。
一態様に係る組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのH-NMRスペクトルにおいて、ケイ素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH1のピーク面積SH1に対する、酸素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH2のピーク面積SH2の比(SH2/SH1)が、1.0~1.8である。このような組成物は、ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率が適切に調整されており、当該ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンがレベリング材として良好に機能し、対象物上に形成されるバリア材の表面が平滑化する。これにより、バリア材形成後の対象物表面の視認性が顕著に向上する。
一態様において、上記シランオリゴマーは、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有していてよい。
一態様において、上記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合は、30%以上であってよい。
一態様において、上記シランモノマーは、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。
一態様において、上記シラン化合物中の上記シランモノマーの含有量は、上記シランオリゴマー100質量部に対して5~40質量部であってよい。
一態様において、上記シラン化合物は直鎖状ポリシロキサンを更に含有していてよい。
一態様において、上記直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度は50mm/s以上であってよい。
一態様において、上記直鎖状ポリシロキサンは、ジオルガノポリシロキサン鎖を有していてよい。
一態様において、上記直鎖状ポリシロキサンは、シラノール基及びアルコキシ基からなる群より選択される基を両末端に有していてよい。
一態様において、上記シラン化合物中の上記直鎖状ポリシロキサンの含有量は、上記シランオリゴマー100質量部に対して1~30質量部であってよい。
本発明はまた、上記組成物の製造方法を提供する。この製造方法は、上記シラン化合物を酸触媒の存在下で加熱して、上記加水分解重縮合物を得る工程と、上記加水分解重縮合物と上記硬化触媒と上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを混合する工程と、を備える。
一態様において、上記酸触媒は、酢酸、リン酸、塩酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。
本発明はまた、上記組成物を硬化させて、バリア材を形成する工程を備える、バリア材の製造方法を提供する。
本発明はまた、防湿処理された部材を有する製品の製造方法を提供する。この製造方法は、部材上に上記組成物を塗布する第一の工程と、塗布された上記組成物を硬化させて、上記部材上にバリア材を形成する第二の工程と、を備える。
本発明はまた、第一の部材と上記第一の部材に接合された第二の部材とを有し、上記第一の部材と上記第二の部材との接合部が防湿処理された製品の製造方法を提供する。この製造方法は、第一の部材と第二の部材との間に上記組成物を配置する第一の工程と、上記組成物を硬化させてバリア材を形成し、上記第一の部材と上記第二の部材とを上記バリア材を介して接合する第二の工程と、を備える。
本発明はまた、防湿部材を備える製品の製造方法を提供する。この製造方法は、上記組成物を硬化させて、バリア材を有する防湿部材を作製する第一の工程と、上記防湿部材を含む複数の部材を組み立てる第二の工程と、を備える。
本発明はまた、上記組成物の硬化物である、バリア材を提供する。
本発明はまた、部材と、上記部材上に形成された上記バリア材と、を備える、製品を提供する。
本発明はまた、第一の部材と、第二の部材と、上記第一の部材及び上記第二の部材の間に設けられた上記バリア材と、を備える製品を提供する。この製品において、上記第一の部材と上記第二の部材とは上記バリア材を介して接合されていてよい。
本発明は更に、上記バリア材を有する防湿部材を含む複数の部材の組立品である、製品を提供する。
本発明によれば、防湿性に優れ、様々な形状の対象物に適用可能であり、且つ、適用後に対象物表面を良好に視認できる、バリア材が提供される。また、本発明によれば、上記バリア材を容易に形成可能な、バリア材形成用組成物が提供される。更に、本発明によれば、上記バリア材形成用組成物の製造方法、上記バリア材の製造方法、上記バリア材を備える製品、及び当該製品の製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのいずれか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。本実施形態で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<バリア材形成用組成物>
本実施形態のバリア材形成用組成物は、シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含む。本実施形態において、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率が所定範囲に調整されている。
このような組成物は、対象物への塗布により、容易に対象物上に防湿性に優れたバリア材を形成できる、また、組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンがレベリング材として良好に機能することで、対象物上に形成されるバリア材の表面が平滑化する。このため、上記組成物によれば、対象物表面を良好に視認できるバリア材の形成が可能となる。
また、従来のシロキサン系バリア材は、高温高湿下において加水分解等に起因する重量減少が生じ、長期信頼性に劣る場合があった。これに対して、上記組成物から形成されるバリア材は、高温高湿下であっても加水分解等に起因する重量減少が十分に抑制され、長期信頼性に優れる。
ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率は、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中の、ケイ素原子に結合する炭素原子の総数Nに対する酸素原子に結合する炭素原子の総数Nの比(N/N)により規定できる。比(N/N)は、例えば2~4であり、好ましくは2.2~3.8である。
ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率は、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの13C-NMRスペクトルにおける、ケイ素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC1のピーク面積SC1に対する、酸素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC2のピーク面積SC2の比(SC2/SC1)により規定してもよい。比(SC2/SC1)は、例えば2~4であり、好ましくは2.2~3.8である。
ポリジメチルシロキサン部分とポリエーテル部分との比率は、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのH-NMRスペクトルにおける、ケイ素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH1のピーク面積SH1に対する、酸素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH2のピーク面積SH2の比(SH2/SH1)により規定してもよい。比(SH2/SH1)は、例えば0.8~2.0であり、好ましくは1.0~1.8である。
すなわち、本実施形態の組成物は、下記式(1)を満たすものであってよい。
2<N/N<4 …(1)
また、本実施形態の組成物は、下記式(2)又は式(3)のいずれか一方を満たすものであってよく、両方を満たすものであることが好ましい。
2<SC2/SC1<4 …(2)
0.8<SH2/SH1<2.0 …(3)
本明細書中、13C-NMRスペクトルは、以下の方法で測定される。
(溶液13C-NMR測定条件)
装置名 :JEOL RESONANCE社製ECX400II
観測核 :13C
観測周波数 :10.052MHz
測定温度 :室温(23℃)
測定溶媒 :CDCl
パルス幅 :11.4μ秒(45°)
パルス繰り返し時間:2.0秒
積算回数 :700回
試料濃度(試料/測定溶媒):100mg/1.0ml
13C-NMRスペクトルにおいて、ピークPC1は、ケミカルシフトが5ppm~-5ppm(好ましくは3ppm~-3ppm)の範囲のピークであってよい。すなわち、ピーク面積SC1は、ケミカルシフトが5ppm~-5ppm(好ましくは3ppm~-3ppm)の範囲のピークのピーク面積の合計値であってよい。
また、13C-NMRスペクトルにおいて、ピークPC2は、ケミカルシフトが47ppm~65ppm(好ましくは50ppm~65ppm)の範囲のピークであってよい。すなわち、ピーク面積SC2は、ケミカルシフトが47ppm~65ppm(好ましくは50ppm~65ppm)の範囲のピークのピーク面積の合計値であってよい。
本明細書中、H-NMRスペクトルは、以下の方法で測定される。
(溶液H-NMR測定条件)
装置名 :JEOL RESONANCE社製ECX400II
観測核 :1H
観測周波数 :399.78MHz
測定温度 :室温(23℃)
測定溶媒 :CDCl
パルス幅 :6.64μ秒(90°)
パルス繰り返し時間:5.0秒
積算回数 :8回
試料濃度(試料/測定溶媒):10mg/1.0ml
H-NMRスペクトルにおいて、ピークPH1は、ケミカルシフトが0.5ppm~-0.5ppm(好ましくは0.3ppm~-0.3ppm)の範囲のピークであってよい。すなわち、ピーク面積SH1は、ケミカルシフトが0.5ppm~-0.5ppm(好ましくは0.3ppm~-0.3ppm)の範囲のピークのピーク面積の合計値であってよい。
また、H-NMRスペクトルにおいて、ピークPH2は、ケミカルシフトが4.5ppm~2.5ppm(好ましくは4ppm~2ppm)の範囲のピークであってよい。すなわち、ピーク面積SH2は、ケミカルシフトが4.5ppm~2.5ppm(好ましくは4ppm~2ppm)の範囲のピークのピーク面積の合計値であってよい。
バリア材形成用組成物は、液状であってもペースト状であってもよく、対象物への塗布がより容易となる観点からは、液状であることが好ましい。
シランオリゴマーは複数のケイ素原子が酸素原子を介して連結された構造を有し、シランモノマーの重合体ということもできる。本明細書中、シランオリゴマーは、分子量が100000以下の重合体を示す。
シランオリゴマーに含まれるケイ素原子は、1個の酸素原子と結合したケイ素原子(M単位)、2個の酸素原子と結合したケイ素原子(D単位)、3個の酸素原子と結合したケイ素原子(T単位)及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子(Q単位)に区別することができる。M単位、D単位、T単位及びQ単位としては、それぞれ以下の式(M)、(D)、(T)及び(Q)が例示できる。
Figure 2022034852000001
上記式中、Rはケイ素に結合する酸素原子以外の原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。これらの単位の含有量に関する情報は、Si-NMRにより得ることができる。
シランオリゴマーにおいて、ケイ素原子の総数に対するT単位及びQ単位の合計数の割合は、例えば30%以上であってよく、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーによれば、防湿性に一層優れたバリア材が得られる。
好適な一態様において、シランオリゴマーはT単位を含有していることが好ましい。シランオリゴマーにおけるT単位の含有量は、ケイ素原子の総数に対して、例えば10%以上であり、好ましくは20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、70%以上、80%以上又は90%以上であり、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーによれば、バリア材の柔軟性がより向上する傾向がある。
好適な他の一態様において、シランオリゴマーにおけるQ単位の含有量は、ケイ素原子の総数に対して、例えば50%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーによれば、バリア材の防湿性及び透明性がより向上する傾向がある。
シランオリゴマーは、上述の式(M)、(D)、(T)及び(Q)中のRとして、アルキル基又はアリール基を有していることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エトキシ基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば400以上であってよく、好ましくは600以上、より好ましくは1000以上である。また、シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば30000以下であってよく、好ましくは10000以下、より好ましくは6000以下である。シランオリゴマーの重量平均分子量が大きいと柔軟性がより向上する傾向があり、小さいと防湿性及び透明性がより向上する傾向がある。なお、本明細書中、シランオリゴマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で表される重量平均分子量の値を示す。
シラン化合物中のシランオリゴマーの含有量は、シラン化合物の全量基準で、例えば30質量%以上であってよく、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。これにより、上述の発明の効果がより顕著に奏される。また、シラン化合物中のシランオリゴマーの含有量は、シラン化合物の全量基準で、例えば95質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよく、85質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。
本実施形態において、シラン化合物はシランモノマーを含有する。シランモノマーを配合することで、例えば、バリア材におけるT単位及びQ単位の含有量を容易に調整することができ、用途に応じてバリア材に透明性、柔軟性等の効果を付与することができる。また、シランモノマーを配合することで、防湿性に一層優れるバリア材が得られる傾向がある。
シランモノマーとしては、例えば、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一種のシランモノマー(以下、第一のシランモノマーともいう。)が挙げられる。
第一のシランモノマーを配合することで、例えば、バリア材におけるT単位及びQ単位の含有量を調整することができ、用途に応じてバリア材に透明性、柔軟性等の効果を付与することができる。また、第一のシランモノマーを配合することで、防湿性に一層優れるバリア材が得られる傾向がある。
シラン化合物が第一のシランモノマーを含む場合、シラン化合物中の第一のシランモノマーの含有量は特に限定されず、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば5質量部以上であってよく、好ましくは8質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。これにより、硬化物の柔軟性がより向上する傾向がある。また、第一のシランモノマーの含有量は、例えば40質量部以下であってよく、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。これにより、塗液の揮発性が低減し、作業性がより向上する傾向がある。
アルキルトリアルコキシシランは、ケイ素原子に1つのアルキル基と3つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。
アルキルトリアルコキシシランのアルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、アルキルトリアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
アリールトリアルコキシシランは、ケイ素原子に1つのアリール基と3つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。
アリールトリアルコキシシランのアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基が好ましい。また、アリールトリアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。
テトラアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
第一のシランモノマーの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
シランモノマーとしては、ビニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも一種の反応性官能基を有するシランモノマー(以下、第二のシランモノマーともいう。)も例示できる。上記組成物がこのようなシランモノマーを含むと、対象物への追従性及び密着性に一層優れたバリア材が形成される傾向がある。
第二のシランモノマーによって上記効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、バリア材の形成時に、反応性官能基同士の反応、反応性官能基とシラノール基との反応等によってシロキサン結合以外の架橋構造が形成され、これにより、優れた防湿性及び柔軟性が実現されると考えられる。また、バリア材の形成時に、第二のシランモノマーの反応性官能基が対象物表面に存在する官能基と結合することにより、より優れた防湿性及び柔軟性が実現されるとも考えられる。
第二のシランモノマーが有する反応性官能基としては、バリア材の柔軟性及び部材への密着性がより向上する観点からは、ビニル基、エポキシ基(より好ましくはグリシジル基)、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より選択されることが好ましく、アミノ基がより好ましい。
第二のシランモノマーは、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有していることが好ましい。
第二のシランモノマーとしては、例えば、下記式(A-1)で表されるシランモノマーを好適に用いることができる。
Figure 2022034852000002
式中、RA1は反応性官能基を示し、Lはアルカンジイル基又はオキシアルカンジイル基(-OL-で表される基、Lはアルカンジイル基を示す。)を示し、pは0以上の整数(好ましくは0~3の整数)を示し、RA2はアルキル基又はアリール基を示す。
A1がビニル基であるとき、pは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
A1がエポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基又はメルカプト基であるとき、pは1以上の整数であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
A1がビニル基、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基であるとき、Lはオキシアルカンジイル基であることが好ましい。
A1がアミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基又はメルカプト基であるとき、Lはアルカンジイル基であることが好ましい。
及びLおけるアルカンジイル基としては、炭素数2~10のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2~8のアルカンジイル基がより好ましい。
A2におけるアルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基)等が挙げられる。
A2におけるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
A2はアルキル基であることが好ましい。
シラン化合物がシランモノマーを含む場合、シラン化合物中の第二のシランモノマーの含有量は、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であってよく、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。これにより、追従性及び密着性がより向上する傾向がある。また、シラン化合物中の第二のシランモノマーの含有量は、例えば5質量部以下であってよく、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。これにより、硬化物の熱安定性がより向上する傾向がある。
本実施形態において、シラン化合物は、直鎖状ポリシロキサンを更に含有していてよい。これにより、対象物への追従性により優れ、クラック等の欠陥のより少ないバリア材が形成される。
直鎖状ポリシロキサンは、シロキサン結合による直鎖状の主鎖を有する化合物ということができ、当該主鎖は、ジオルガノポリシロキサン鎖であることが好ましい。すなわち、直鎖状ポリシロキサンは、D単位の繰り返しにより構成されたポリシロキサン鎖を有することが好ましい。
直鎖状ポリシロキサンの主鎖中のケイ素原子と結合する有機基(すなわち、式(D)におけるR)は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エトキシ基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
直鎖状ポリシロキサンは、少なくとも一方の末端に、シラノール基及びアルコキシ基からなる群より選択される基を有することが好ましく、両末端に、当該基を有することがより好ましい。なお、当該基と結合する末端のケイ素原子は、Q単位又はD単位であることが好ましく、D単位であることがより好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度は、50mm/s以上であることが好ましい。このような直鎖状ポリシロキサンは十分な鎖長を有するため、直鎖状ポリシロキサンの配合による上述の効果を顕著に得ることができる。
直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度は、上述の効果がより顕著に得られる観点から、好ましくは60mm/s以上であり、より好ましくは70mm/s以上である。
また、直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度は、500mm/s以下であることが好ましい。これにより、直鎖状ポリシロキサンが組成物中の他の成分との相溶性に優れるものとなり、バリア材形成用組成物及びその硬化物であるバリア材の透明性が向上する。この効果がより顕著に得られる観点から、直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度は、300mm/s以下であることがより好ましく、100mm/s以下であることが更に好ましい。
シラン化合物が直鎖状ポリシロキサンを含む場合、シラン化合物中の直鎖状ポリシロキサンの含有量は、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であってよく、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。これにより、上述の効果がより顕著に奏される。また、シラン化合物中の直鎖状ポリシロキサンの含有量は、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば40質量部以下であってよく、好ましくは30質量部以上、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。これにより、塗膜の緻密性がより向上し、防湿性が特に優れる傾向がある。
本実施形態に係る組成物は、シラン化合物の加水分解重縮合物が配合されている。本明細書中、シラン化合物の加水分解重縮合物は、シラン化合物を加水分解・重縮合反応(以下、単に加水分解反応ともいう)に供して得られるシラン混合物ということができる。また、シラン化合物の加水分解重縮合物は、シラン化合物中の加水分解性基を加水分解して得られた加水分解物が重縮合して形成されるシラン混合物ということもできる。
加水分解性基は、加水分解によりシラノール基を生じ得る基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であってよい。加水分解性基は、シラン化合物中のケイ素原子に直接結合する基であることが好ましい。
加水分解反応の反応条件は特に限定されず、加水分解性基がシラノール基に変換される条件であればよい。加水分解反応は、例えば、シラン化合物を酸触媒の存在下に加熱することで実施することが好ましい。
酸触媒としては、例えば酢酸、リン酸、塩酸、硝酸、炭酸、硫酸等が挙げられ、酢酸、リン酸、塩酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
酸触媒の量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば0.001質量部以上であってよく、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上である。また、酸触媒の量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば5質量部以下であってよく、好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
加水分解反応時の加熱の温度は、例えば40℃以上であってよく、好ましくは60℃以下である。また、加水分解反応時の加熱の温度は、例えば100℃以下であってよく、好ましくは90℃以下である。
加水分解反応の反応時間は、例えば30分以上であってよく、好ましくは1時間以上である。また、加水分解反応の反応時間は、例えば10時間以下であってよく、好ましくは5時間以下である。
加水分解反応は液状媒体中で実施することが好ましい。液状媒体としては、水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。また、これらの他に、アセトニトリル、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等も用いることができる。
好適な一態様において、加水分解反応は、水及びアルコ-ル類を含む液状媒体中で実施してよい。このような液状媒体を用いることで透明性に優れるバリア材が得られやすくなる。
アルコール類としては、バリア材形成時の加熱によって気化させることができるものが好ましい。アルコール類としては、例えば、炭素数6以下のアルコール類が好ましく、炭素数1~4のアルコール類がより好ましい。
本実施形態の組成物には、硬化触媒が配合される。硬化触媒は、シラン化合物の加水分s解重縮合物の更なる重合反応を促進でき、加熱等により組成物を硬化させることが可能な触媒であればよい。
硬化触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸等の酸触媒、スズ、チタン、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属元素を含む金属触媒、脂肪族アミン、水酸化アンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基触媒等が挙げられる。硬化触媒は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
金属触媒としては、例えば、金属アルコキシド、金属錯体等が挙げられる。金属触媒は、シラノール基を有するシラン化合物の脱水縮合反応(例えば、上述のシラン化合物の加水分解重縮合物の更なる脱水縮合反応)を促進できる触媒であればよく、公知の金属触媒を特に制限なく用いることができる。金属触媒は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
金属触媒としては、アルミニウム触媒(アルミニウムを含む金属触媒)、ニッケル触媒(ニッケルを含む金属触媒)、チタン触媒(チタンを含む金属触媒)、及びジルコニウム触媒(ジルコニウムを含む金属触媒)からなる群より選択される金属触媒が好ましく、アルミニウム触媒、ニッケル触媒及びジルコニウム触媒からなる群より選択される金属触媒がより好ましい。
アルミニウム触媒、ニッケル触媒、チタン触媒及びジルコニウム触媒としては、金属アルコキシド、金属錯体等が挙げられる。金属触媒は、シラノール基を有するシラン化合物の脱水縮合反応(例えば、上述のシラン化合物の加水分解重縮合物の更なる脱水縮合反応)を促進できる触媒であればよく、例えば、当該脱水縮合反応を促進できる公知の触媒であってよい。例えば、アルミニウム触媒としては、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
硬化触媒の配合量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば0.001質量部以上であってよく、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上である。これにより、硬化時間がより短縮される。また、硬化触媒の配合量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば1質量部以下であってよく、好ましくは0.9質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。これにより、バリア材の長期信頼性がより向上する傾向がある。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部が、ポリエーテル構造を含む基に置換された化合物、ということができる。
ポリエーテル構造としては、ポリオキシアルキレン構造が好ましい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造、ポリオキシプロピレン構造及びこれらを組み合わせた構造が好ましい。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記式(1-1)で表される構造単位(以下、構造単位(1-1)ともいう)と下記式(1-2)で表される構造単位(以下、構造単位(1-2)ともいう)とを有する化合物が挙げられる。
Figure 2022034852000003
式中、R及びRはアルカンジイル基を示し、Rはアルキル基を示し、nは2以上の整数を示す。
におけるアルカンジイル基としては、炭素数2~15のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2~10のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2~8のアルカンジイル基が更に好ましい。
におけるアルカンジイル基としては、炭素数2~6のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2~4のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2又は3のアルカンジイル基が更に好ましい。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるアルキル基は、炭素数10以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上のアルキル基が更に好ましい。
nは、2以上であれば特に限定されないが、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。また、nは、例えば35以下であってよく、好ましくは30以下、更に好ましくは25以下である。
構造単位(1-1)と構造単位(1-2)との比率は特に限定されず、例えば、上述の式(1)~(3)のうち少なくとも1つ(好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ全て)をみたすように適宜変更してよい。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中、構造単位(1-1)の含有量Cに対する構造単位(1-2)の含有量Cの比(C/C)は、例えば0.01以上であってよく、0.02以上、0.03以上であってもよい。また、比(C/C)は、例えば0.3以下であってよく、0.25以下、0.2以下であってもよい。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの末端(すなわち、ポリジメチルシロキサンの末端)は特に限定されないが、トリアルキルシリル基であることが好ましく、トリメチルシリル基であることがより好ましい。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、例えば100以上であってよく、好ましくは200以上、より好ましくは500以上である。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、例えば100000以下であってよく、好ましくは50000以下、より好ましくは10000以下である。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば0.001質量部以上であってよく、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上である。これにより、表面の均一性が一層向上する傾向がある。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば2.0質量部以下であってよく、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。これにより、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの製造コストの低減により、バリア材のコスト低減を図ることができる。
本実施形態の組成物は、液状媒体が更に配合されていてよい。本実施形態の組成物に配合される液状媒体は、加水分解反応で用いた液状媒体であってよい。すなわち、加水分解反応で用いた液状媒体は、加水分解重縮合物とともに本実施形態の組成物に配合されてよい。液状媒体としては、上記と同じものが例示できる。
組成物中の液状媒体の含有量は特に限定されず、例えば、組成物の粘度が塗布に好適な粘度となる含有量としてよい。組成物の粘度は特に限定されず、作製するバリア材の厚さ、塗布方法、対象物の形状等に応じて適宜調整してよい。
組成物の25℃における粘度は、例えば1~6000mPa・sであってよく、5~3000mPa・sであることが好ましい。このような組成物によれば、対象物への塗布及び対象物上へのバリア材の形成が一層容易となる。
本実施形態の組成物は、上記以外の他の成分を更に配合してもよい。他の成分としては、例えば、分子構造中に水酸基を有する樹脂、金属酸化物粒子、金属酸化物ファイバー等が挙げられる。分子構造中に水酸基を有する樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子等が挙げられ、これらの粒子はナノサイズ(例えば粒径が1nm以上1000nm未満)であることが好ましい(すなわち、ナノシリカ粒子、ナノアルミナ粒子が好ましい。)。金属酸化物ファイバーとしては、例えば、アルミナファイバー等が挙げられ、これら金属酸化物ファイバーの繊維径はナノサイズ(例えば繊維径が1nm以上1000nm未満)であることが好ましい(すなわち、アルミナナノファイバーが好ましい。)。
上記の他の成分の配合量は、上述の効果が得られる範囲であれば特に限定されず、例えば、シラン化合物100質量部に対して50質量部以下であってよく、好ましくは40質量部以下である。また、上記他の成分の配合量は、シラン化合物100質量部に対して、例えば10質量部以上であってよく、20質量部以上であってもよい。
本実施形態に係る組成物の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
<組成物の製造方法>
本製造方法は、上述のシラン化合物を酸触媒の存在下で加熱して、シラン化合物の加水分解重縮合物を得る第一の工程と、シラン化合物の加水分解重縮合物と硬化触媒とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを混合する第二の工程と、を備える。
第一の工程は、酸触媒の存在下での加熱により、シラン化合物を加水分解する工程である。加水分解反応の好適な条件等は上記のとおりである。
第二の工程は、第一の工程で得られた加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと、必要に応じて更に他の成分と、を混合して、組成物を得る工程である。第二の工程における混合方法は特に限定されず、公知の方法で混合してよい。
<バリア材>
本実施形態のバリア材は、上述のバリア材形成用組成物の硬化物であってよい。また、このバリア材は、上述のバリア材形成用組成物を加熱して形成されたものであってよい。当該加熱によって、組成物中のシラン化合物の加水分解重縮合物が更に重合して、ポリシロキサン化合物が形成される。
バリア材は低い水蒸気透過率を有しており、防湿性に優れる。厚さ25μm当たりのバリア材の水蒸気透過率(40℃、95%RH)は、例えば5000g/m・day以下であってよく、4000g/m・day以下であることが好ましく、3000g/m・day以下であることが更に好ましい。
また、厚さ25μm当たりのバリア材の水蒸気透過率(40℃、95%RH)は、例えば100g/m・day以上であってよく、500g/m・day以上であることが好ましい。このようなバリア材は脱湿性を有し、高温環境下で使用しても内部に侵入した水分の膨張による破壊を十分に抑制できる。
なお、バリア材の水蒸気透過率は、JIS K7129に準拠し、感湿センサー法(Lyssy法)の方法で測定される値を示す。
バリア材は透明性を有していてもよい。このようなバリア材は、透明性が要求される用途、例えばイメージセンサパッケージにおけるイメージセンサ上を被覆する被覆材として、好適に用いることができる。なお、ここで透明性を有するとは、厚さ1mm当たりの可視光透過率(550nmの光透過率)が80%以上であることを示す。
バリア材は、厚さ1mm当たりの可視光透過率(550nmの光透過率)が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。バリア材の可視光透過率は、分光光度計により測定される。
バリア材は、絶縁性に優れており、絶縁性が要求される用途、例えば電子部品用防湿バリア材として、好適に用いることができる。
バリア材の体積抵抗率は、例えば1×1010Ωcm以上であってよく、電子部品用防湿バリア材としての十分な絶縁性を確保する観点からは、1×1012Ωcm以上が好ましく、1×1014Ωcm以上がより好ましい。また、バリア材の体積抵抗率は、例えば1×1019Ωcm以下であってよく、1×1018Ωcm以下であってもよい。なお、本明細書中、バリア材の体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定される値を示す。
バリア材の絶縁破壊強さは、例えば10kV/mm以上であってよく、電子部品用防湿バリア材としての十分な絶縁性を確保する観点からは、50kV/mm以上が好ましく、100kV/mm以上がより好ましい。また、バリア材の絶縁破壊強さは、例えば1000kV/mm以下であってよく、500kV/mm以下であってもよい。なお、本明細書中、バリア材の絶縁破壊強さは、JIS C 2110に準拠して測定される値を示す。
バリア材は、耐熱性に優れており、耐熱性が要求される用途、例えば、実装時に高温工程(例えば、リフロー工程)を経る電子部品用の防湿バリア材として好適に用いることができる。バリア材は、例えば、リフロー炉での加熱前に部材上に配置され、当該部材と共にリフロー炉に供される防湿バリア材として、好適に用いることができる。バリア材は、耐熱性に優れるため、リフロー炉での加熱後も十分に防湿性を発揮することができる。
バリア材の5%重量減少温度(Td5)は、例えば260℃以上であってよく、好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上である。また、バリア材の5%重量減少温度は、例えば500℃以下であってよく、450℃以下であってもよい。なお、本明細書中、バリア材の5%重量減少温度は、熱重量示差熱分析装置により測定される値を示す。
バリア材の形状は特に限定されない。バリア材は、例えば、フィルム状に成形されていてよく、このようなバリア材は防湿バリアフィルムとして用いることができる。また、バリア材は、部材間の空隙を充填するように形成されていてよく、この場合、当該空隙からの湿気の侵入を防止できる。また、バリア材は、部材を被覆するように形成されていてよく、この場合、部材の湿気との接触を防止することができる。
<バリア材の製造方法>
本実施形態に係るバリア材の製造方法は、上述の組成物を加熱して、バリア材を形成する加熱工程を備える。この製造方法では、加熱により組成物中のシラン化合物の加水分解重縮合物が更に重合してポリシロキサン化合物が形成される。
加熱工程では、加熱により組成物中の液体媒体が除去されてよい。すなわち、加熱工程は、組成物の加熱乾燥により、ポリシロキサン化合物を含むバリア材を形成する工程であってよい。
加熱工程における加熱温度は特に限定されず、シランオリゴマーが重合可能な温度であればよい。また、組成物が液状媒体を含む場合は、加熱温度は、液状媒体が揮発する温度であることが好ましい。加熱温度は、例えば70℃以上であってよく、好ましくは100℃以上である。また、加熱温度は、例えば200℃以下であってよく、好ましくは180℃以下である。
本製造方法は、組成物を塗布する塗布工程を更に備えていてよい。このとき、加熱工程は、塗布された組成物を加熱する工程ということができる。
組成物の塗布方法は特に限定されず、塗布する対象物の形状、バリア材の厚み等に応じて適宜変更してよい。
本製造方法では、防湿性を付与したい対象物に組成物を塗布して、当該対象物上にバリア材を形成してよい。また、本製造方法では、所定形状のバリア材を製造してから、製造されたバリア材を対象物上に適用してもよい。
<バリア材の用途>
本実施形態に係るバリア材の用途は特に限定されず、防湿性が要求される種々の用途に好適に適用できる。例えば、バリア材は、電子部品用の防湿バリア材として好適に用いることができる。
本実施形態に係るバリア材は、高温環境下(例えば100℃以上)においても優れた防湿性を有する。このため、本実施形態に係るバリア材は、例えば、高温環境下で使用される電子部品用の防湿バリア材、実装時に高温工程を経る電子部品用の防湿バリア材等の用途に好適に用いることができる。具体的には、例えば、パワー半導体用防湿バリア材、イメージセンサ用防湿バリア材、ディスプレイ用防湿バリア材等として好適に用いることができる。
以下に、バリア材の用途の好適な一形態について詳述するが、バリア材の用途は以下に限定されない。
<用途例1>
一形態に係る用途は、防湿処理された部材を有する製品に関する。このような製品は、部材と、部材上に形成されたバリア材とを備える。バリア材は、一つの部材上に形成されていてよく、複数の部材上に形成されていてもよい。バリア材は、例えば、一つ又は複数の部材を被覆するように形成されていてよく、二つの部材間の接合部を覆うように形成されていてもよい。
このような製品は、部材上に上記バリア材形成用組成物を塗布する第一の工程と、塗布された組成物を加熱して部材上にバリア材を形成する第二の工程と、を備える製造方法によって製造される。この製造方法は、防湿処理された部材が高温下に晒される工程(例えば、リフローはんだ付け、チップボンドの熱硬化処理、加熱による材料の乾燥工程等)を更に備えていてよい。
このような用途の具体例として、例えば、以下の電子部品が挙げられる。
(電子部品A-1)
一形態に係る電子部品は、基板と、カバーガラスと、基板及びカバーガラスの間に配置されたイメージセンサと、カバーガラス及びイメージセンサを基板上に支持する支持部材と、カバーガラスと支持部材との接合部上に設けられた上記バリア材と、を備える。
このような電子部品は、例えば、支持部材とカバーガラスとの接合部にバリア材形成用組成物を塗布する塗布工程と、塗布された組成物を加熱して、接合部上にバリア材を形成するバリア材形成工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
(電子部品A-2)
一形態に係る電子部品は、基板と、基板上に配置されたイメージセンサと、イメージセンサ上に設けられた上記バリア材と、を備える。
上記バリア材は、防湿性及び透明性に優れたものとすることができる。このため、上記バリア材は、イメージセンサを封止する封止材としても好適に用いることができる。このような電子部品は、カバーガラスを用いずにイメージセンサパッケージを構成できるため、部品サイズの縮小化、取扱い性の向上等が期待できる。
この用途において、厚さ1mm当たりのバリア材の可視光透過率(550nm)は、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。
このような電子部品は、例えば、イメージセンサ上にバリア材形成用組成物を塗布する塗布工程と、塗布された組成物を加熱して、イメージセンサ上にバリア材を形成するバリア材形成工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
<用途例2>
一形態に係る用途は、第一の部材と第一の部材に接合された第二の部材とを有し、第一の部材と第二の部材との接合部が防湿処理された製品に関する。このような製品は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材と第二の部材との間に設けられたバリア材と、を備え、第一の部材と第二の部材とがバリア材を介して接合されている。
このような製品は、第一の部材と第二の部材との間にバリア材形成用組成物を配置する第一の工程と、当該組成物を加熱してバリア材を形成し、第一の部材と第二の部材とをバリア材を介して接合する第二の工程と、を備える製造方法によって製造することができる。この製造方法は、バリア材を介して接合された第一の部材及び第二の部材が高温下に晒される工程(例えば、リフローはんだ付け、チップボンドの熱硬化処理、加熱による材料の乾燥工程等)を更に備えていてよい。
このような用途の具体例として、例えば、以下の電子部品が挙げられる。
(電子部品B-1)
一形態に係る電子部品は、基板と、カバーガラスと、基板及びカバーガラスの間に配置されたイメージセンサと、カバーガラス及びイメージセンサを基板上に支持する支持部材と、カバーガラスと支持部材とを接合するバリア材と、を備える。
このような電子部品は、例えば、支持部材とカバーガラスとの間にバリア材形成用組成物を配置する工程と、当該組成物を加熱してバリア材を形成し、支持部材とカバーガラスとをバリア材を介して接合する工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
<用途例3>
一形態に係る用途は、防湿部材を備える製品に関する。このような製品は、バリア材からなる防湿部材を備え、例えば、当該防湿部材を含む複数の部材の組立品であってよい。
このような製品は、上記バリア材形成用組成物を加熱して、バリア材からなる防湿部材を作製する第一の工程と、防湿部材を含む複数の部材を組み立てる第二の工程と、を備える製造方法によって製造することができる。この製造方法は、第二の工程で得られた組立品が高温下に晒される工程(例えば、リフローはんだ付け、チップボンドの熱硬化処理、加熱による材料の乾燥工程等)を更に備えていてよい。
このような用途の具体例として、例えば、以下の電子部品が挙げられる。
(電子部品C-1)
一形態に係る電子部品は、基板と、MEMSセンサー、ワイヤレスモジュール及びカメラモジュールからなる群より選択される少なくとも一種の部品と、バリア材を有する防湿部材と、を備える。
上記バリア材は、防湿性に優れる。このため、上記電子部品は、耐湿性に優れ、吸湿によるセンシング特性の低下が十分に防止される。
このような電子部品は、例えば、バリア材形成用組成物を加熱することでバリア材を有する防湿部材を作製する工程と、防湿部材を含む複数の部材を組み立てる工程と、を備える製造方法によって製造することができる。ここで、バリア材は、上記基板及び上記部品と独立して形成されてよく、上記部品上に塗布されたバリア材形成用組成物の加熱により、上記部品と一体化して形成されてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(溶液13C-NMR測定条件)
装置名 :JEOL RESONANCE社製ECX400II
観測核 :13C
観測周波数 :10.052MHz
測定温度 :室温(23℃)
測定溶媒 :CDCl
パルス幅 :11.4μ秒(45°)
パルス繰り返し時間:2.0秒
積算回数 :700回
試料濃度(試料/測定溶媒):100mg/1.0ml
(溶液H-NMR測定条件)
装置名 :JEOL RESONANCE社製ECX400II
観測核 :1H
観測周波数 :399.78MHz
測定温度 :室温(23℃)
測定溶媒 :CDCl
パルス幅 :6.64μ秒(90°)
パルス繰り返し時間:5.0秒
積算回数 :8回
試料濃度(試料/測定溶媒):10mg/1.0ml
(実施例1)
<ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの準備>
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして、N/Nが2.6、SC2/SC1が2.6、SH2/SH1が1.2であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(以下、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-1)ともいう。)を準備した。
<バリア材形成用組成物の調製>
10質量部の2-BuOH(富士フイルム和光純薬株式会社製)、64.9質量部のシランオリゴマー(信越化学工業株式会社製、製品名:X-40-9227)、14.3質量部のメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-13、以下「MTMS」と略記)、2.0質量部の直鎖状ポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名:YF3800、25℃における動粘度:80mm/s)、0.1質量部の硝酸、及び、11.3質量部の水を混合し、撹拌子で撹拌しながら、70℃で1時間反応させた。次いで、0.28質量部のニッケル触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名:CR12、固形分:12質量%)、0.02質量部のアルミニウム触媒(アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、マツモトファインケミカル社製、製品名:アルミニウムキレートM)、及び、0.5質量部のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-1)を添加し、混合して、バリア材形成用組成物を得た。
(実施例2)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして、N/Nが3.5、SC2/SC1が3.5、SH2/SH1が1.6であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(以下、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-2)ともいう。)を準備した。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-1)をポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバリア材形成用組成物を得た。
(比較例1)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして、N/Nが6.2、SC2/SC1が6.2、SH2/SH1が2.9であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(以下、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(X-1)ともいう。)を準備した。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-1)をポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(X-1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバリア材形成用組成物を得た。
(比較例2)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして、N/Nが4.4、SC2/SC1が4.4、SH2/SH1が1.9であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(以下、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(X-2)ともいう。)を準備した。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S-1)をポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(X-2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバリア材形成用組成物を得た。
(評価方法)
実施例及び比較例で得られたバリア材形成用組成物について、以下の方法で、防湿性(吸湿率)及び視認性を評価した。結果を表1に示す。
<防湿性(吸湿率)>
厚さ0.4mmの銅張積層板MCL-E-700G(日立化成株式会社製、製品名)の片面をマスキングし、銅エッチング液に浸漬することにより片面の銅箔を取り除いた40mm角のベース基板を作製した。次に、バリア材形成用組成物を、上記ベース基板の銅箔を取り除いた面に対し、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、セーフティーオーブン(エスペック株式会社製、製品名:SPHH-202)を用いて150℃で1時間乾燥した。これにより、基板上にバリア材が形成され、バリア材付き評価基板が得られた。
バリア材付き評価基板を、セーフティーオーブン(エスペック株式会社製、製品名:SPHH-202)を用いて150℃で1時間乾燥し、測定サンプルを得た。得られた測定サンプルの質量を測定し、初期質量m4を求めた。次に、恒温恒湿槽(株式会社カトー製、製品名:SE-44CI-A)を用いて、85℃/85%RHの雰囲気下で120時間処理することで、恒温恒湿処理後のサンプルを得た。恒温恒湿処理後の測定サンプルの質量を測定し、恒温恒湿処理後の質量m5を求めた。初期質量m4及び恒温恒湿処理後の質量m5から、下記式によって、吸湿率QB(%)を求めた。
QB=100×(m5-m4)/m4
<視認性>
三端子レギュレーター(新日本無線(株)製SOT-89 NJM78L05UA)に対して、バリア材形成用組成物を、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、セーフティーオーブン(エスペック株式会社製、製品名:SPHH-202)を用いて150℃で1時間乾燥した。その後、三端子レギュレーターのラベルを認識できるか目視評価した。
Figure 2022034852000004

Claims (22)

  1. シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含み、
    前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン中の、ケイ素原子に結合する炭素原子の総数Nに対する酸素原子に結合する炭素原子の総数Nの比(N/N)が、2~4である、バリア材形成用組成物。
  2. シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含み、
    前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの13C-NMRスペクトルにおいて、ケイ素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC1のピーク面積SC1に対する、酸素原子に結合する炭素原子に相当するピークPC2のピーク面積SC2の比(SC2/SC1)が、2~4である、バリア材形成用組成物。
  3. シランオリゴマー及びシランモノマーを含有するシラン化合物の加水分解重縮合物と、硬化触媒と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの混合物を含み、
    前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのH-NMRスペクトルにおいて、ケイ素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH1のピーク面積SH1に対する、酸素原子に結合する炭素原子上の水素原子に相当するピークPH2のピーク面積SH2の比(SH2/SH1)が、1.0~1.8である、バリア材形成用組成物。
  4. 前記シランオリゴマーが、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合が、30%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記シランモノマーが、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記シラン化合物中の前記シランモノマーの含有量が、前記シランオリゴマー100質量部に対して5~40質量部である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記シラン化合物が直鎖状ポリシロキサンを更に含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記直鎖状ポリシロキサンの25℃における動粘度が50mm/s以上である、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記直鎖状ポリシロキサンが、ジオルガノポリシロキサン鎖を有する、請求項8又は9に記載の組成物。
  11. 前記直鎖状ポリシロキサンが、シラノール基及びアルコキシ基からなる群より選択される基を両末端に有する、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記シラン化合物中の前記直鎖状ポリシロキサンの含有量が、前記シランオリゴマー100質量部に対して1~30質量部である、請求項8~11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
    前記シラン化合物を酸触媒の存在下で加熱して、前記加水分解重縮合物を得る工程と、
    前記加水分解重縮合物と前記硬化触媒と前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを混合する工程と、
    を備える、製造方法。
  14. 前記酸触媒が、酢酸、リン酸、塩酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項13に記載の製造方法。
  15. 請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を硬化させて、バリア材を形成する工程を備える、バリア材の製造方法。
  16. 防湿処理された部材を有する製品の製造方法であって、
    部材上に請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を塗布する第一の工程と、
    塗布された前記組成物を硬化させて、前記部材上にバリア材を形成する第二の工程と、
    を備える、製造方法。
  17. 第一の部材と前記第一の部材に接合された第二の部材とを有し、前記第一の部材と前記第二の部材との接合部が防湿処理された製品の製造方法であって、
    第一の部材と第二の部材との間に請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を配置する第一の工程と、
    前記組成物を硬化させてバリア材を形成し、前記第一の部材と前記第二の部材とを前記バリア材を介して接合する第二の工程と、
    を備える、製造方法。
  18. 防湿部材を備える製品の製造方法であって、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を硬化させて、バリア材を有する防湿部材を作製する第一の工程と、
    前記防湿部材を含む複数の部材を組み立てる第二の工程と、
    を備える、製造方法。
  19. 請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物の硬化物である、バリア材。
  20. 部材と、
    前記部材上に形成された請求項19に記載のバリア材と、
    を備える、製品。
  21. 第一の部材と、第二の部材と、前記第一の部材及び前記第二の部材の間に設けられた請求項19に記載のバリア材と、を備え、
    前記第一の部材と前記第二の部材とが前記バリア材を介して接合されている、製品。
  22. 請求項19に記載のバリア材を有する防湿部材を含む複数の部材の組立品である、製品。
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