JP2022034490A - 発芽コーヒー生豆 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コーヒー生豆を発芽処理するときに、未成熟の果実を成熟させることによって、トリプトファン含有量を減少させ、コーヒー飲料の品質を向上させことができる発芽コーヒー生豆を提供する。【解決手段】 発芽コーヒー生豆は、温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を所定の温度の湿潤雰囲気で未成熟のコーヒー生豆を発芽成熟処理することによつて、トリプトファンの含有量を減少させる【選択図】図4
Description
本発明は、未成熟なコーヒー生豆を発芽処理によって成熟させ、コーヒーの香りや味わいに悪影響を与えるトリプトファンを減少させた発芽コーヒー生豆に関する。
コーヒー(飲料)は、最も親しまれている飲み物であり、世界各国で飲用されている。コーヒーの香りや味は、焙煎や抽出など、様々な要素によって決まるが、最も重要な要素はコーヒー豆そのものの品質である。一般にコーヒーの風味は収穫時の果実の熟度がコーヒーの風味に影響を及ぼすことは業界で広く知られている。未成熟な果実から得られたコーヒー豆は未成熟豆と呼ばれ、混入することで異味異臭をもたらす欠点豆の1つとして知られている。このような未成熟のコーヒー生豆には、トリプトファンの含有量が多く、このトリプトファンの熱分解物が異味異臭の直接的な原因となることをサントリーグローバルイノベーションセンター株式会社、九州大学らの共同研究により解明された。(第25回国際コーヒー科学学会・2014年9月8日-13日・コロンビア アルメニアにて発表)この研究によれば、コーヒー飲料の品質向上のためには、コーヒー生豆中のトリプトファン含有量を除去又は減少させる技術の開発が必要としている。
このような、トリプトファンを多く含有する未成熟のコーヒー生豆を除去するための方法が特開2016-167993号公報に開示されている。この方法は、コーヒー生豆中のトリプトファン含有量を近赤外線法により測定し、含有量が所定値よりも少ないコーヒー生豆を選別して分離するようにしている。
通常、コーヒー生豆を生産するには、コーヒーの木から果実を収穫し、果実を精選しているが、収穫した果実には、未成熟の果実も相当の割合で含まれている。特許文献1(特開2016-167993号公報)は、未成熟の果実のトリプトファン含有量を近赤外線法により測定し、分離するようにしている。しかしながら、収穫した果実を個々に近赤外線法により測定することは、多くの時間を要する問題がある。また、近赤外線法による測定装置は複雑であり、装置自体が大型化し高価になる問題がある。このため、未成熟豆の混入を防ぐ技術の開発や、不快臭のもとであるトリプトファンを除去する技術の開発により、コーヒー飲料の品質を向上することが課題であった。
本発明の課題は、コーヒー生豆を発芽処理するときに、未成熟の果実を成熟させることによって、トリプトファン含有量を減少させ、コーヒー飲料の品質を向上させことができる発芽コーヒー生豆を提供することである。
本発明による発芽コーヒー生豆は、温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を所定の温度の湿潤雰囲気で未成熟のコーヒー生豆を発芽成熟処理することによって、トリプトファンの含有量を減少させることを要旨としている。
また、未成熟コーヒー生豆を成熟させる成熟発芽処理の時間は、8~14時間とすることが望ましい。
本発明による発芽コーヒー生豆によれば、コーヒー生豆を温水に浸漬して発芽させると共に、成熟させる工程を含ませることにより、未成熟のコーヒー生豆が存在していても、所定時間温水に浸漬することにより、成熟させることができる。この結果、未成熟のコーヒー生豆を成熟させることにより、トリプトファンの含有量を減少させることができる。このトリプトファンの含有量が減少することにより、コーヒー飲料の異味異臭の直接的な原因が排除または減少するので、コーヒーの本来の風味を良好にして、コーヒー飲料の品質を向上させることができる。
また、成熟発芽処理の時間を、8~14時間とすることにより、未成熟コーヒー生豆を成熟させ、トリプトファンの含有量を成熟したコーヒー生豆と同等に減少させることができる。しかも、成熟発芽処理を施すことによって、成熟したコーヒー生豆の塾度がさらに高まり、コーヒーの風味を一段と高めることが可能となる。
本発明の発芽コーヒー生豆は、温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を所定の温度の湿潤雰囲気で未成熟のコーヒー生豆を発芽成熟処理することによって、トリプトファンの含有量を減少させている。
次に、本発明の発芽コーヒー生豆について詳細に説明する。コーヒー生豆としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種のいずれであってもよく、このコーヒー生豆には、収穫時に成熟したコーヒー生豆の中に、未成熟のコーヒー生豆が含まれている。これらのコーヒー生豆は、図4に示すように、アルカリ性温水中に浸漬し、アルカリ性温水をコーヒー生豆に吸水させる。
コーヒー生豆を浸漬する弱アルカリ性温水は、コーヒー生豆が発芽できる温度として、好ましくは15~40℃としている。因みに、弱アルカリ性温水の温度が15℃未満では、コーヒー生豆の発芽期間が長くなる傾向にある。一方、弱アルカリ性温水の温度が40℃を超えると、コーヒー生豆が発芽し難くなる傾向にある。
また、弱アルカリ性温水のpHは、7.5~9.7に調整する。弱アルカリ性温水のpHが7.5未満では、コーヒー生豆の発芽時間が長くなる傾向にある。他方、弱アルカリ性温水のpHが9.7を超えると、得られた発芽コーヒー豆を原料に用いたコーヒー飲料の味が変化することがある。このような弱アルカリ性温水のpHを調整するには、食品用して市販されている重曹等のアルカリ化合物の添加する、水を電気分解して得られるアルカリ電解水を添加するなどの周知の方法で調整される。また、コーヒー生豆を弱アルカリ性温水中に浸漬する時間は、コーヒー生豆の乾燥程度によって異なるが、概ね2~4時間程度とすることが好ましい。
このようにして弱アルカリ性温水を吸水した吸水コーヒー生豆を、弱アルカリ性温水と分離して湿潤雰囲気中に載置して発芽させる。この湿潤雰囲気の温度は、弱アルカリ性温水の温度よりも高温とすることによって、まず、吸水コーヒー生豆を発芽させる。このとき、湿潤雰囲気の温度を37℃以上、好ましくは42℃以上として吸水コーヒー生豆が発芽できる温度に維持する。なお、湿潤雰囲気の上限温度としては80℃程度とすることが好ましい。吸水コーヒー生豆の雰囲気を湿潤雰囲気とするには、吸水コーヒー生豆をアルカリ性温水と分離した後、吸水コーヒー生豆が載置されている容器内に、所定温度の水蒸気を吹き込んでもよいが、吸水コーヒー生豆と接触することのないように貯留した貯留水を所定温度に加熱して、吸水コーヒー生豆の雰囲気を湿潤雰囲気とすることが効率的である。吸水コーヒー生豆は、この湿潤雰囲気とした発芽工程において発芽が促進される。
その後、吸水コーヒー生豆を熟成工程に移行する。まず、浸漬した弱アルカリ性温水を抜き出し、吸水コーヒー生豆と接触することのないように残留させた残留アルカリ性温水を、所定温度に加熱して吸水コーヒー生豆を高温の湿潤雰囲気とする。この熟成工程は、コーヒー生豆の状態にもよるが、概ね4時間から10時間とする。従って、コーヒー生豆を発芽成熟処理の時間は、通算して8時間~14時間程度となる。
これにより、高温の湿潤雰囲気の中で成熟し、未成熟であったコーヒー生豆が、成熟したコーヒー生豆に変化する。この結果、図5に示すように、コーヒー生豆の状態では、100g当たりのトリプトファンの含有量が15.1mgであったが、発芽成熟処理を施すことにより、9.9mgまで約17.5%と大幅に減少させることができる。このとき、成熟いているコーヒー生豆もさらに成熟することになるが。上記の成熟処理時間であれば、ほどよい熟度となりコーヒーの風味が増して、コーヒー飲料の品質をさらに向上する。
なお、吸水コーヒー生豆を湿潤雰囲気中に載置していると、吸水コーヒー生豆の一部が乾燥することがある。このため、かかる乾燥を防止するため、湿潤雰囲気中の吸水コーヒー生豆に温水を散布することが好ましい。この散布する温水としては、弱アルカリ性温水を用いることによって、吸水コーヒー生豆中の弱アルカリ性温水を洗い流すことを防止できる。
次に、本発明に係る発芽コーヒー生豆の発芽成熟処理について詳細に説明する。図1は、コーヒー生豆を発芽させて成熟することにより、トリプトファンの含有量を減少させるための発芽熟成装置の一例を示す概略図である。容器10内は多孔質板又は金網の仕切り板12によって、上部室10aと下部室10bとに仕切られている。この仕切り板12は、水を通過させるがコーヒー生豆は通過させないものである。上部室10aには、バルブ20が設けられた温水供給配管が接続されており、下部室10bには、ヒータ14が設けられていると共に、バルブ22が設けられた排水管が接続されている。
容器10には、下部室10bの水を循環するポンプ16とバルブ19が装着された循環配管17とが設けられている。この循環配管17の容器10の上部室10a側端部には、ノズル18が設けられている。図1に示すコーヒー生豆の発芽装置では、容器10の上部室10aに所定量のコーヒー生豆を充填した後、バルブ20を開いて温水を容器内に供給する。この温水は、図2に示すように、上部室10aに充填されたコーヒー生豆の充填層が浸漬される量である。この温水には、アルカリ電解水を添加してpHが7.5~9.7の弱アルカリ性温水24となるように調整する。
さらに、弱アルカリ性温水24の温度を、コーヒー生豆が発芽可能な温度である15~40℃に維持する。この弱アルカリ性温水の温度の維持手段としては、下部室10bに設けられているヒータ14によって行うことができる。この際に、上部室10aと下部室10bのアルカリ性温水24の温度が等しくなるように、ポンプ16を駆動して弱アルカリ性温水24を循環配管17及びノズル18を経由して循環してもよい。図2に示す様に、上部室10aに充填したコーヒー生豆を、アルカリ性温水24に、2~4時間ほど浸漬して、アルカリ性温水を吸水して吸水コーヒー生豆とした後、バルブ22を開いて排水管からアルカリ性温水24を抜き出す。
弱アルカリ性温水24の抜き出しによって、上部室10aの吸水コーヒー生豆と弱アルカリ性温水24とを分離するが、図3に示す様に、弱アルカリ性温水24の一部を下部室10bに残留する。下部室10bに残留した弱アルカリ性温水24aは、ヒータ14によつて加熱して上部室10aの吸水コーヒー生豆の雰囲気を湿潤雰囲気とする。この残留した弱アルカリ性温水24aを、図2に示すコーヒー生豆を浸漬する弱アルカリ性温水の温度よりも高温とすることが好ましく、残留アルカリ性温水24aを37℃以上、特に42~80℃に調整することが好ましい。この様に、残留した弱アルカリ性温水24aを、図2に示す弱アルカリ性温水24よりも高温とすることによって、残留した弱アルカリ性温水24aと平衡状態の水蒸気が上部室10aに上昇して上部室10aの吸水コーヒー生豆の雰囲気を湿潤雰囲気とすることができる。
図3に示す様に、上部室10aの吸水コーヒー生豆を湿潤雰囲気で保持していても、吸水コーヒー生豆の一部が乾燥することがある。この吸水コーヒー生豆の乾燥を防ぐためには、残留した弱アルカリ性温水を吸水コーヒー生豆に散布することが好ましい。このように、間歇的に残留した弱アルカリ性温水を散布しつつ、吸水コーヒー生豆を湿潤雰囲気中に載置することにより、約3時間で発芽し、発芽工程が終了する。
この発芽工程において、成熟したコーヒー生豆は順調に発芽するが、中には発芽しないか遅延するものがある、これは未成熟のコーヒー生豆であり、さらに熟成させる必要がある。このため、吸水コーヒー生豆をさらに4時間から10時間の間、湿潤雰囲気中に載置し、未成熟のコーヒー生豆を熟成させる。このように熟成工程を経ることにより、未成熟のコーヒー生豆が熟成することから、成熟したコーヒー生豆を含めてほぼ全てのコーヒー生豆を発芽させることができる。従って、コーヒー生豆を発芽成熟処理する時間は、通算して8時間~14時間程度となる。
その後、発芽したコーヒー生豆を容器10から取り出し、更に水洗して発芽中に流出した不要物や雑菌等を洗い流す。この水洗によって、コーヒー生豆に付着している、いわゆるチャフと称される薄皮も容易に取り除くことができる。
このように、発芽と共に成熟処理を施して未成熟のコーヒー生豆を熟成させることにより、得られた発芽コーヒー豆に含有されるトリプトファンの含有量は、図4に示すように、成熟処理を施超さないコーヒー生豆では、生豆100g当たりのトリプトファンの含有量が15.1mgであったが、成熟処理を施こすことによって、9.9mgまで約17.5%減少した。トリプトファンの含有量を減少させることにより、
コーヒー飲料の異味異臭が殆ど感じられなくなり、パネラーによる官能評価においても、品質が向上したことを確認できた。
コーヒー飲料の異味異臭が殆ど感じられなくなり、パネラーによる官能評価においても、品質が向上したことを確認できた。
以上、本発明について説明したが、前述した発芽コーヒー生豆の発芽成熟処理装置は、一実施例を示すものであり、温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を所定の温度の湿潤雰囲気で未成熟のコーヒー生豆を発芽成熟処理することが可能であれば、本実施例に限定されるものではない。また、コーヒー生豆の吸水から発芽及び熟成のために、弱アルカリ性の温水を使用したが、この温水についても適宜に変更しても良い。
10 容器
10a 上部室
10b 下部室
12 仕切り板
14 ヒータ
16 ポンプ
17 循環配管
18 ノズル
19 バルブ
20 バルブ
22 バルブ
24 弱アルカリ性温水
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Claims (2)
- 温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を所定の温度の湿潤雰囲気で未成熟のコーヒー生豆を発芽成熟処理することによって、トリプトファンの含有量を減少させたことを特徴とする発芽コーヒー生豆。
- 未成熟コーヒー生豆を成熟させる前記成熟発芽処理の時間を8~14時間とした請求項1に記載の発芽コーヒー生豆。
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Publication Number | Publication Date |
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2020
- 2020-08-18 JP JP2020150159A patent/JP2022034490A/ja active Pending
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