JP5670314B2 - 密封容器入り調理栗、栗中のマルトース生成方法、調理栗の甘味増強方法及び密封容器入り調理栗の製造方法 - Google Patents

密封容器入り調理栗、栗中のマルトース生成方法、調理栗の甘味増強方法及び密封容器入り調理栗の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、そのままつまみ食べができ、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強された密封容器入り調理栗、栗中のマルトース生成方法、調理栗の甘味増強方法及び密封容器入り調理栗の製造方法に関する。
従来より、焼き栗は、日本栗の焼き栗のみならず、中国栗を焼いた天津甘栗、西洋栗の焼き栗等、皮を剥きながら食べる食品として、露店、駅構内、スーパーの店先等で発売されているものが広く親しまれている。この焼き栗をいつでも食べられるようにと、最近では予め皮を剥いた天津甘栗を、耐熱性の袋に収容密封し加熱殺菌されたものが多数発売されている。消費者はこの袋を開封すると、手軽に天津甘栗をそのままつまんで食べることができ、これに関する発明も開示されている。
例えば、皮付きの生栗を、高温短時間加熱して外皮と渋皮を焦がし、その後150℃程度で果肉が半焼き状態になるよう蒸し焼きし、高圧空気を吹き付けて果肉から外皮と渋皮を剥離する。そして、剥離した果肉を耐水気密性の袋に収容密封し、これを圧力釜内にて蒸気加熱する皮むき焼栗が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このようにして得られる皮むき焼栗は、露店の焼き栗のようなしまった食感を再現できなかった。また剥皮前の外皮と渋皮を焦がす工程と果肉を蒸し焼きする工程が、乾燥空気雰囲気中での加熱なので、栗果肉中の澱粉が糖化されず、良質でこくのある甘味としっとりとした食感に増強されることはなかった。
更に、耐水気密性の袋に収容密封してからおこなう蒸気加熱は、熱履歴によって生じる栗果肉軟化であるため、ねっとりと重い食感になり、しっとりとした食感ではなかった。
他に、良好な品質の剥き栗を提供するために、剥き栗を糖液に10分〜24時間浸漬し、液切りした後、容器に収容、密封し加圧加熱殺菌する調理栗が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、糖液浸漬により得られる調理栗は、露店の焼き栗のような香ばしい香りを再現できなかった。また表面に付着した糖液がべたつきそのままつまみ食べするには問題があった。そして、糖液によって付与された甘味は、栗自体からの自然な甘みとは異なり、バランスのよい甘味ではなかった。
一方で本発明者らは、手で喫食しても手が汚れたりベタベタせずに、そのまま食することができる調理栗として、剥き栗表面に水分を施与した後に、容器に収容、密封して加熱殺菌する調理栗を提案している(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、該調理栗は、露店の焼き栗のようなしまった食感ではなかった。また、焼成後剥皮した剥き栗に水分施与し加熱殺菌する加工法のため、マルトースを生成することはなく、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感に増強させるためには、更に改善の余地があった。
他方、調理栗の甘味を増強する方法として、収穫後の皮付き生栗を一定期間冷蔵保管することが知られている(例えば、特許文献4及び5参照。)。冷蔵保管中に澱粉の糖化が進み、主としてしょ糖含量が増加し、糖含量が収穫直後の約3倍、或いはBxが28°以上まで上昇するものである。
しかしながら、この甘味増強法は、調理栗中のしょ糖の増加によりキレのある甘味を増強させることはできるものの、マルトースの生成はないため、良質でこくのある甘味に増強させることはできなかった。そして、しっとりとした食感を増強することもできなかった。
特公昭53−5386号公報 特開2005−73617号公報 特開2001−204381号公報 特許第2516149号公報 特開2006−166915号公報
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものである。その目的とするところは、そのままつまみ食べができ、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強された密封容器入り調理栗、栗中のマルトース生成方法、調理栗の甘味増強方法及び密封容器入り調理栗の製造方法を提供するにある。
上記目的は、剥皮した栗を容器に収容、密封して加熱殺菌されてなる調理栗であって、該調理栗中にマルトースを含有することを特徴とする密封容器入り調理栗によって達成される。
また、マルトースを、調理栗全体重量中2.5重量%以上含有することが好ましい。更に好ましくは、調理栗のBrix値が20〜40%である。
更に上記目的は、生の皮付き栗を湿熱処理することを特徴とする、栗中のマルトース生成方法を用いた調理栗の甘味増強方法によって達成される。
更に上記目的は、下記工程を順次備えてなることを特徴とする調理栗の甘味増強方法によって達成される。
(1)生の皮付き栗を湿熱処理する工程
(2)上記湿熱処理した栗を、焼成する工程
(3)上記焼成した栗を、剥皮する工程
他に上記目的は、下記工程を順次備えてなることを特徴とする密封容器入り調理栗の製造方法によって達成される。
(1)生の皮付き栗を湿熱処理する工程
(2)上記湿熱処理した栗を、焼成する工程
(3)上記焼成した栗を、剥皮する工程
(4)上記剥皮した栗を、容器に収容密封後、加熱殺菌する工程
すなわち、本発明者らは、密封容器入り剥き焼き栗(以後、密封容器入り調理栗とする)において、露店の焼き栗の品質と何が異なるかを比較検討したところ、特に「食感」「香り」の2点に差異があり、露店の焼き栗の方が「食感」はしまって硬く、「香り」は香ばしく焼き感が強い傾向であることが判明した。
この差異の原因は次のように考えられた。すなわち、露店の焼き栗は皮付き生栗を石焼釜等で焼成したものが、そのまま商品となるので加熱は1回しかされない。これに対し密封容器入り調理栗の場合、焼成後、剥皮した栗を容器に収容した後に更に加熱殺菌を行うことから2回加熱される。また密封容器入り調理栗は、工程が煩雑になり剥皮、解凍等、剥き栗状態のときに水分が介在する。以上のように、両者の差異は製法上に起因して生じるものと推定された。
そして、この両者の製法差異によって、露店の焼き栗の場合には「香ばしい焦げ臭をほうふつさせる甘味」、「適度にしまった食感」及び「香ばしい香り」が付与され、他方、密封容器入り調理栗の場合は、「露店の焼き栗よりはやわらかい食感」であるが故に、同じ甘味でも感じ方が異なり、「こくのある甘味」、「しっとりとした食感」が付与されると推定される。
そこで、本発明者らは、密封容器入り調理栗の利点である「こくのある甘味」及び「しっとりとした食感」を更に増強しつつ、喫食時に手がべたつかず、容易につまみ食べができる方法について検討を行った。そして従来のスクロース増強法として一般的に知られている冷蔵保管を要する方法とは異なる方法で、鋭意検討を行った。その結果、甘味源としてマルトースを含有させると、驚くべきことに従来のスクロース主体の調理栗に比べて、甘味及び食感の質がともに飛躍的に向上できることがわかった。
更にマルトースの含有方法として、マルトースを添加せずに、調理栗中にマルトースを生成させる方法はないかと考え検討した。しかし調理栗の製造工程中、焼成後、剥皮後にいくつかの処理工程を試みたが、マルトースを生成させることはできなかった。
ところが、焼成する前に皮付き生栗のまま、水等の水性媒体中での加熱や蒸気で蒸す等の湿熱処理を行うと、驚くべきことに、マルトースが生成されることを見いだした。
以上をふまえ、更に栗中におけるマルトース生成機構を検証した。その結果、生栗を湿熱処理すると、膨潤しα化された生栗中の澱粉に対し、栗含有β−アミラーゼが反応する糖化作用によって、マルトースが生成されることを見いだした。そして、この澱粉の膨潤及びマルトース生成によって、栗果肉が軟化するものと推察された。
次に、この湿熱処理を施した調理栗の官能評価を行ったところ、未処理の調理栗に比べ、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強されていた。また、しっとりとした食感によって、甘味をより強く感じやすくなるという相乗効果もあり、密封容器入り調理栗の品質が総合的に向上することを見いだし、本発明に到達した。
本発明の密封容器入り調理栗は、マルトースを含有するため、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強されるので、品質が総合的に向上する。
また、本発明の密封容器入り調理栗は、栗果肉が軟化するため、甘味をより強く感じやすくなる。
本発明の密封容器入り調理栗は、喫食時に手がべたつかず、そのままつまみ食べができる。
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の調理栗は、剥皮した栗を容器に収容、密封して加熱殺菌されてなる調理栗であって、マルトースを含有する。
まず原料となる皮付き栗は、特に品種や大きさを限定するものではないが、例えば、日本栗(丹沢栗・利平栗・筑波栗・銀寄栗・国見栗・岸見栗等)、中国栗(天津栗・丹東栗等)、ヨーロッパ栗、アメリカ栗、朝鮮栗、オーストラリア栗等が挙げられる。この中でも特に中国栗(特に好ましくは天津栗)は、栗果肉中の澱粉含有量が多いため、マルトースを生成させ、こくのある甘味を増強させ、しっとりとした食感を増強させる点で好ましい。
通常皮付き栗は、イガから取り出されており、外層から順に鬼皮、渋皮、栗果肉からなる。
上記マルトースは、調理栗中に含有されるマルトースを指し、その由来は浸漬やコーティング等による外的要因と、栗澱粉の糖化によって生じる等の内的要因によるものがある。特に、内的要因によるマルトースを含有すると、良質でこくのある甘味、及びしっとりとした食感がしっかりと増強され、栗自体のもつ自然な甘味を生じ、バランスのよい甘味となる点で好適である。また、内的要因により調理栗内で甘味が増強されると、調理栗中に均一にマルトースが分布し、栗表面がべたつかない点でも好適である。
また、マルトースの含有量は、調理栗全体重量中2.5重量%以上であることが、更に好ましくは、3〜5重量%であることが、良質でこくのある甘味を増強する点で好適である。すなわち、2.5重量%未満であると、こくのある甘味を官能的に感じにくい傾向があり、逆に5重量%を超えると、こくのある甘味が強くなりしつこく重い甘味となる傾向にある。
なお、調理栗中のマルトース含有量は、以下のように測定すればよい。また、調理栗中のスクロース等の各糖類も同様の方法で測定すればよい。
(マルトース等の各糖類の測定法)
調理栗と一定量の蒸留水をブレンダーカップに入れる。ホモゲナイザー等にて粉砕、均質化後、更に、最終希釈倍率が1000〜1500倍になるよう希釈する。この希釈液を、糖分析計(SU−300、東亜DKK製)にて測定する。
更にまた、調理栗のBrix値が20〜40%であることが、調理栗元来の甘味と、付与されたこくのある甘味のバランスが良好となり、栗自体のもつ自然な甘味として感じる点で好適である。なお、Brix値(以下、Bxとする)は以下のように測定すればよい。
(Bxの測定法)
1.調理栗を、包丁、フードプロセッサー等で細かく破砕し、赤外線水分計FD−240(ケット科学研究所製)にて水分値(W(f))を測定する。
2.調理栗と一定量の蒸留水をブレンダーカップに入れ、ホモゲナイザー等にて粉砕、均質化後、10〜15分間静置し、上清のBxをデシタルアッベ屈折形(DR−A1、アタゴ製)にて測定する。この時の蒸留水量を(W(a))、測定したBxを、(Bx´(f))とする。
3.次式により調理栗のBx(Bx(f))を算出する。
Figure 0005670314
本発明の密封容器入り調理栗は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、生の皮付き栗を水洗し、浮き栗(腐った栗や虫喰い栗)や異物を除いた後、湿熱処理する。
湿熱処理方法としては、特に限定するものでなく、水中で加熱する方法、蒸気等によって蒸す方法、その両者の併用等が挙げられる。なお、水中で加熱するとは、親水性もしくは水溶性の溶媒、溶質を含有する水性媒体あるいは水そのもので加熱することを意味する。
この湿熱処理により、膨潤しα化された栗澱粉に対する、皮付き栗が含有する澱粉加水分解酵素(β−アミラーゼ)の糖化作用によってマルトースを生成する。
したがって生栗に湿熱処理することが、マルトースを生成させ、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感を増強させ、そして栗果肉が軟化し甘味をより強く感じやすくなる点で重要である。
また、蒸気等によって蒸す方法は、栗表面の煮くずれ感を出すことなくしっとりとした食感となる点で好適である。
湿熱条件としては、例えば、水中で加熱する場合は液温60〜70℃で10〜20分間浸漬する。蒸気等によって蒸す場合は60〜100℃の雰囲気中蒸気によって10〜20分間蒸すことが、栗澱粉を糖化しマルトースを生成する点で好ましい。
また、湿熱処理の前に、皮付き栗の表面に切り込みを入れると、容易に剥皮できる点で好ましい。
湿熱処理後、必要に応じて、ロット単位で調理栗中のマルトース含有量やBx値を抜き取りで測定し、規定値内に収まっていることを確認することが望ましい。
次に、湿熱処理した栗を焼成する。
焼成方法としては、特に限定するものでなく、従来用いられている焼成方法を適宜用いればよい。なお、表面に高温短時間で程よい焦げ色をつけ、また香ばしい風味を付与し、栗果肉内部まで加熱できる点で、特に乾熱加熱が好適である。
具体的には、焼成釜での石焼、砂煎り、炭焼き、遠赤外線加熱、オーブン加熱、熱風ローストのような流体加熱等が挙げられる。
上記流体加熱とは、流体(好ましくは空気などの気体)が加熱された状態で流動しているか、もしくは流体と熱源とが共存した状態で流体が流動し、栗を熱交換しながら加熱するものである。
焼成条件としては、装置仕様、処理量によって適宜設定すればよい。例えばオーブン加熱の場合、170〜230℃で10〜30分程度が好適である。鬼皮、渋皮が栗果肉から遊離し剥皮しやすくなること、また加熱加工後に長期保存した調理栗の変色を防止できるからである。
また、熱風ローストの場合は、具体的には、ジェットゾーンシステム(連続式)、ジェットロースト(バッチ式)(共に、荒川製作所製)などの熱風乾燥や、コーヒー豆の焙煎などに用いられる熱風が滞留する装置等が挙げられる。栗の表面温度が100〜110℃程度になるように、熱風の温度を110〜140℃とすることが、鬼皮、渋皮を栗果肉から良好に遊離し、かつ、栗の形状を保持する点で望ましい。
上記のようして得られた栗はこの後、人手もしくは機械によって渋皮ごと剥皮する。具体的には、焼成処理後に引き続き、栗表面温度を40℃以上、好ましくは60〜80℃に保持した状態で剥皮することが好適である。鬼皮、渋皮が欠損することなく完全に栗果肉から遊離し、また加熱加工後に長期保存した調理栗の変色を防止できるからである。
次に、剥き栗を、缶、ビン、パウチのような合成樹脂製袋などの、耐熱性のある密封可能な包装容器に収容し、密封した後、加熱殺菌する。
包装容器に収容する際、容器内の空気を、窒素、アルゴン等の不活性ガスに置換してから密封すると、調理栗の変色防止の点で好適である。
殺菌方法は、長期保存と品質保持の観点からレトルト殺菌(加熱加圧殺菌)を施すことが望ましい。この時、レトルト殺菌は、115〜125℃、1.7〜2.5kg/cmで20〜60分の条件で行うことが、栗の形状を維持しながら殺菌できる点で望ましい。
なお、包装容器に収容する前に、剥き栗全体重量中0.5〜10重量%になるように水分を施与すると、剥き栗表面に澱粉質の表出が抑制され、剥き栗表面のべたつきや栗同士の付着を抑制できる点で好ましい。
水分施与方法としては、浸漬して液切りする(どぶ漬け)方式や、スプレーコーティング方式や、回転釜、恒温高湿機、高湿度条件に設定したチャンバー等を用いて水分を施与する方式等が挙げられる。これらの中でも、剥き栗表面に均一に水分が施与される点で、浸漬して液切りする(どぶ漬け)方式が好適である。
上記のようにして得られた調理栗は、良質でこくのある甘味としっとりとした食感が増強されている上に、表面がべたつかず、そのままつまみ食べができ、品質が総合的に向上した密封容器入り調理栗である。
また、マルトースの増強によって、栗果肉が軟化するため甘味をより強く感じやすくなる。
さらにマルトースは栗由来で生成することが可能なので、栗自体のもつ自然な甘味を生じ、バランスのよい甘味となり、特に添加物を加えず栗そのもので甘味が増強され、より栗そのままの風味を楽しむことができる。
以下、本発明を実施例に基づき例示する。
<実施例1>
表1に示す工程を用いて、下記のようにして密封容器入り調理栗を調製した。
[冷蔵工程] 中国河北省産の生の皮付き天津栗を−2℃約1ヶ月間冷蔵保管した。
[湿熱処理工程] 冷蔵保管した皮付き天津栗表面に切り込みを入れた後、70℃の水道水中で10分間浸漬(水中加熱)した。
[焼成工程] 水道水中で加熱した栗を、焼成釜にて150℃で7.5分間石焼焼成した。
[剥皮工程] 焼成した栗の鬼皮と渋皮を、人手で剥皮した。
[容器収納密封工程]剥皮した栗を、レトルトパウチ(東洋製罐製)に6個収容し、窒素ガス封入後、ヒートシールによって密封した。
[加熱殺菌工程] 次に、熱水レトルトにて121℃で30分間加熱加圧殺菌処理し、密封容器入り調理栗を得た。
<実施例2〜4>
表1のマルトース含有量になるように、実施例1の[湿熱処理工程]の水中加熱時間を調整する以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例5>
実施例1の[冷蔵工程]を省略する以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例6>
実施例1の[湿熱処理工程]を以下のように変更する以外は、実施例1と同様に行った。
[湿熱処理工程]´ 冷蔵保管した皮付き天津栗表面に切り込みを入れた後、70℃の雰囲気中で、蒸気によって10分間蒸した。
<実施例7>
実施例1の[容器収納密封工程][加熱殺菌工程]を省略する以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例8>
[冷蔵工程] 中国河北省産の生の皮付き天津栗を−2℃約1ヶ月間冷蔵保管した。
[剥皮工程] 冷蔵保管した皮付き天津栗の鬼皮と渋皮を、人手で剥皮した。
[糖浸漬工程] 剥皮した栗を、スクロース含有量が9%になるよう調製したスクロース及びマルトース混合糖液に、12時間浸漬した後液切りした。
[容器収納密封工程]糖浸漬した剥皮栗を、レトルトパウチ(東洋製罐製)に6個収容し、窒素ガス封入後、ヒートシールによって密封した。
[加熱殺菌工程] 次に、熱水レトルトにて121℃で30分間加熱加圧殺菌処理し、密封容器入り調理栗を得た。
<比較例1>
実施例1の[湿熱処理工程]の水中加熱工程を省略する以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例2>
実施例1の[湿熱処理工程]の水中加熱工程を省略し、[剥皮工程]の後に以下の[湿熱処理工程]”を追加する以外は、実施例1と同様に行った。
[湿熱処理工程]”剥皮した栗を水(20℃)に浸漬し15分後に引き上げて液切りした。
<比較例3>
実施例1の[湿熱処理工程]の水中加熱工程を省略し、[剥皮工程]の後に以下の[湿熱処理工程]を追加する以外は、実施例1と同様に行った。
[湿熱処理工程] 剥皮した栗を70℃の水道水中で10分間浸漬(水中加熱)した。
<比較例4>
実施例1の工程の順番を[焼成工程]→[湿熱処理工程]→[剥皮工程]に変更する以外は、実施例1と同様に行った。
以上のようにして得られた実施例1〜8及び比較例1〜4について、マルトース及びスクロース含有量測定、Bx測定を行い、甘味、食感及びべたつきについて専門パネラー10名で評価した。その結果を表1にあわせて示す。なお、マルトース及びスクロース含有量測定、Bx測定は、上述の方法で行った。
Figure 0005670314

以上のように実施例1〜7は、マルトースを含有し、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強されるので、調理栗自体の品質が総合的に向上していた。また更に、つまみ食べしても手に付くことはなかった。
また、実施例3はこくのある甘味がやや強かった。実施例5は、調理栗全体の甘味強度は実施例1よりも劣ったが、こくのある甘味がしっかりと付与されていた。実施例6の食感は、栗表面の煮くずれ感を出すことなくしっとりとした食感であった。実施例7はマルトースを含有しており、未殺菌でも、良質でこくのある甘味及びしっとりとした食感が増強されていた。実施例8はこくのある甘味及びしっとり感はある一方、不自然な甘味も感じられ、総合的な甘味バランスは悪く、つまみ食べするとべたついて手が汚れた。
これに対し比較例1〜4はマルトースを含有していないため、キレのある甘味のみで、こくのある甘味はなく、また食感についても比較的不良であった。また比較例3及び4の食感は、しっとり感を通り越し、ねっとりと重い感じがあった。

Claims (3)

  1. 生の皮付き栗を湿熱処理した後に剥皮して容器に収容、密封して加熱殺菌されてなる調理栗であって、該調理栗中にマルトースを調味栗全体重量中2.5重量%以上含有することを特徴とする密封容器入り調理栗。
  2. 更に、調理栗のBrix値が20〜40%である請求項1記載の密封容器入り調理栗。
  3. 下記工程を順次備えてなることを特徴とするマルトースを調味栗全体重量中2.5重量%以上含有する密封容器入り調理栗の製造方法。
    (1)生の皮付き栗を湿熱処理する工程
    (2)上記湿熱処理した栗を焼成する工程
    (3)上記焼成した栗を、剥皮する工程
    (4)上記剥皮した栗を、容器に収容密封後、加熱殺菌する工程
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