JP5721374B2 - 加工栗および加工栗の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加工栗およびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、栗の食味品質である食感、味、および外観が良好で、なおかつ、生産性の良好な新規な加工剥き栗およびその製造方法に関する。
栗は、古くから澱粉質食品として食用されてきた季節的な収穫果実で、世界中で栽培されている。本来この栗は、食用として加熱し澱粉を糊化させてから直接食用とされてきたが、近年では栗の食品加工用途も広がり、その保存方法、加工方法も多様化し、工業的な加工食品として利用されている。
このような、栗を加工した代表的な加工食品としては、焼き栗、栗甘露煮、天津甘栗、マロングラッセ、栗ペーストなどの各種の調理栗が知られている。特に、栗の鬼皮および渋皮を剥離した栗本来の形状をした加工品は、消費者側で皮剥き等の煩雑な手間が不要であるために、栗ごはん、栗きんとん、栗甘露煮などに手軽に用いられるなど、二次加工に利用する加工食品原料としての需要が多い。特に、業務用向けの味付け加工栗である栗甘露煮、栗水煮、栗シロップ漬けなどがその加工食品原料に該当する。
しかしながら、実際の味付け加工栗の工業生産には様々な煩雑な製造工程が必要とされる場合が少なくない。この製造工程は、一般的には、まず生栗の鬼皮及び渋皮を皮剥きし、水晒しした後に加熱工程に入る。この加熱工程で栗の食感や味が決まるため、この工程は各加工栗生産者のノウハウとなるが、一般的には加熱温度、時間を変えながら2〜5回程度段階的に加熱が行われる。特に、この段階的な加熱工程には、加熱しながら栗を漂白処理する工程や、栗の形割れを防止するために食品添加物を配合する工程が入る場合もある。
味付け加工栗の製造工程における、この2〜5回にわたる段階的な加熱処理は、栗に糖液の甘味質を徐々に浸透させるためにも行われる。この意味で加熱工程は調理工程でもあり得る(これらの処理を総称して「加熱・調理」ともいう)。すなわち、栗内部には一度の加熱・調理処理では甘味質が浸透しないために、上記する段階的な加熱処理において、糖液の濃度を変えながら数度にわたって甘味質を加熱浸透させる場合が多い。そのため、度重なる加熱・調理処理で、加工栗の外観が煮崩れたり、栗の割れが起こったりして生産の歩留りが著しく低下する原因にもなる。
斯くして加熱・調理された栗は、最後に糖液等の調味液とともに缶やパウチ等の容器に詰められて長期保存が可能なように殺菌されるが、このように味付け加工栗の製造には、皮剥きから容器充填及び殺菌まで、多くの工程を要することになる。
味付け加工栗の製造に関する具体的な例として、特許文献1には、生栗を剥皮し、水晒しした後、ボイルし、糖液(調味液)を加えて煮上げる方法が記載されている。さらに、複雑な加工工程として、特許文献2では、栗収穫後の保存、あるいは栗加工後の長期保存を考慮して、生栗を剥栗、冷・解凍、選別、ボイル、冷却、焼き、糖液浸漬、調味液混合、及び殺菌と多くの工程を経由した製造工程が開示されている。特に、糖液浸漬工程に関しては、栗に浸透させる糖質量を上げるために、低濃度糖液への浸漬から順次段階的に高濃度糖液に浸漬させる等、複数回の浸漬工程が用いられている。しかし、濃度の異なる糖液で複数回、加熱・調理することにより、栗の外観は著しく損なわれてしまう。
こうした味付け加工栗は、そのまま食する場合のみならず、二次加工食品原料としても広く用いられる。具体的には、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの量販店の拡大や外食産業の多様化に伴って発展してきた加工食品業界では、この味付け加工栗を基にした栗惣菜、栗和菓子、栗洋菓子などの二次加工食品が作られている。
このような二次加工食品の原料となる味付け加工栗に求められる品質的ニーズとして、第一に食味品質が挙げられる。
栗の食味品質は、(1)食感(軟らかさ)、(2)外観(色調、型崩れ・煮崩れがない)、及び(3)味(甘味の浸透と均一性)の3点で評価される(非特許文献1)。なかでも食感と味(甘味の強さ)は栗の食味品質の評価に大きく影響する。特に、栗甘露煮、栗水煮、栗シロップ漬けなどの甘味付け加工栗は、甘味質の均一性と食感の軟らかさが要求される。
味付け加工栗には、これらの食味品質に加えて、さらに長期保存性、長期保存時安定性、物流時安定性、供給安定性などが要求される。さらに、加工栗生産者からの経済性視点では、原料栗の安定供給、加工歩留まり向上、及び簡易生産性なども要求される。
こうした味付け加工栗に要求される多くのニーズを満たすために、様々な製造方法が提案されている。特許文献1には、生栗を糖液でボイルし、甘露煮にした後、ビン詰め時に寒天溶液を入れてビン詰め甘露煮にすることで、栗澱粉の老化防止を図るとともに、溶液のゲル化により栗の割れを防止することが記載されている。しかし、当該方法は、味付け加工栗の品質、特に食感や味を向上させるものではなく、また製造工程が複雑であるため、生産性が劣るという問題がある。
特許文献3には、剥き栗を水あるいは糖液に漬けて脱気し、その後加圧加熱殺菌することで、加熱時の泡発生を抑え、栗の煮崩れや酸素による栗表面の白斑点化を防止すること、また極軟栗のような軟らかい食感と綺麗な外観を備えた味付け加工栗が調製できることが記載されている。また当該方法によれば、製造歩留りが向上することが記載されている。しかしながら、当該方法では、栗の甘露煮に必要な甘味質を栗内部に均一に浸透させるという課題が解決されない。
また、特許文献3には加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)を、栗を密閉容器(缶やプラスチックパウチ)に入れて行うとは記載されていない。一般的な加圧加熱殺菌処理装置(レトルト装置)に使用される水は、必ずしも衛生的な水ではなく、装置のサビや水垢が混入している場合や、サビ止め剤や水垢防止剤などの水質保持用薬品が配合されている場合が多い。こうしたことを考えると、特許文献3に記載されている発明は、実際には使用できない課題を抱えている。
さらに、味付け加工栗の味の均一性を図るため、特に栗果肉への甘味質の浸透性を高めるために、特許文献4では渋皮付き栗を一旦凍結した後に解凍することが記載されている。つまり、栗を凍結解凍することで、栗果肉に無数の孔を設け、糖質をこの孔内より果肉内に円滑に浸透させて甘味質の均一性を図る方法である。この方法では、栗甘露煮の歩留りを通常の30〜50%から75%まで上げることができ、経済性を向上させることができる。しかしながら、逆に栗果肉内組織に無数の孔が形成され多孔質になるために、食感が脆くなり、本来の栗甘露煮の食感が損なわれるという問題がある。
特許文献5では、剥き栗に誘導蛋白質や繊維状蛋白質をコーティングしてから加熱殺菌することで、加工栗の加熱褐変や風味劣化を防止して品質向上を図ることが記載されている。この方法では、剥き栗を水晒しするなどといった前処理工程が不要なため、生産性の向上を図ることができる。この方法は、栗表面をコーティングすることにより栗表面からのタンニンやポリフェノール類の溶出を防ぐことで、加熱褐変や風味劣化を防止するというものであるが、逆に栗表面をコーティングしてしまうことで、糖液などの栗内部への浸透が妨げられてしまい、栗加工品の味覚品質(甘味)を向上させることができない。さらには、栗内部への水分浸透がないことから、栗の持つ水分のみでの澱粉を糊化するため、加工栗の食感も硬くなってしまうと想定される。
特許文献6と特許文献7では、剥き栗の加熱による割れや破損を防止し色調の良い加工栗を作ることを目的にして、剥き栗の表面に水もしくは糖液、あるいは水溶性多糖類溶液を塗布するか、または剥き栗を水溶性多糖類溶液に浸漬し、加圧加熱殺菌する方法が提案されている。この方法では、剥き栗表面に糖質を含めた多糖類がコーティングされるために栗内部の澱粉質が溶出しにくくなり、出来上がった加工栗の色調や、手で触った時のベタつき、あるいは加熱による割れが防止できる。しかしながら、栗表面に糖質や多糖類をコーティングしてしまうために、逆に加工栗本来の甘味質が栗内部まで浸透しないことになる。そのため、かかる製造方法では、所望な味覚が得られないという問題がある。さらに、特許文献5と同様に栗内部への水分浸透がないため、栗が持つ水分のみで澱粉を糊化するため、加工栗の食感も硬くなる。
また特許文献8には、加工栗の外観を改良し、長期保存を目的にした製造方法が開示されている。具体的には、当該文献には、剥き栗を、アスコルビン酸を加えた糖液に浸漬した後、糖液中の酸素を脱気して、次いで加圧加熱殺菌することで、殺菌時の栗のむれ臭を低減し、色調の良好な加工栗が製造できることが記載されている。しかし、この方法では、味、風味及び色調は改善できているものの、栗の食味品質として最重要な食感についての改善ができるかは不明である。
特許文献9には、原料栗を糖液などの液体と一緒に10〜93,000Paで減圧処理し、栗内部の空気や水分を排出した上で、その後常圧〜500,000Paに加圧して加工栗を製造する方法が記載されている。この方法では、栗内部に短時間で均一に糖液などの成分を浸透させることができるため、生産性が高く、製造コストを低減することが可能になる。しかしながら、加工栗の最重要品質である食感や外観についての解決には至っていない。
特許文献10には、鬼皮及び渋皮の皮付き栗を食塩水に漬けて、さらに過熱水蒸気で120〜300℃で5〜60分間加熱することで、皮が剥き易く甘味の付き易い皮付き加工栗が製造できることが記載されている。この方法は、皮付き栗の皮を剥き易くするために過熱水蒸気で加熱することを主体にするものであり、栗の食味品質に関しては記載全く解決できておらず、実施例においても評価されていない。
特開昭53−072849号公報 特開平06−209702号公報 特開平01−240141号公報 特開平05−103642号公報 特開2000−125800号公報 特開2001−204381号公報 特開2003−000203号公報 特開2005−073617号公報 特開2005−137300号公報 特開2009−183187号公報
杉本温美、他、「栗果肉の食味評価と理化学特性との関連について」、近畿大学農学部紀要、第37号、p.31−37、(2004)
上記の栗加工に関する先行技術を総括すると、味付け加工栗に求められる食味品質の3大要素である(1)食感(軟らかさ)、(2)外観(色調、型崩れ・煮崩れがない)、(3)味(甘味の浸透と均一性)を個々に解決する製造方法は従来から種々提案されているが、全てを同時に解決できる製造方法は未だに確立されていない。さらに、味付け加工栗を二次加工食品原料として工業的に生産するためには、加工歩留りの向上、加工時間の短縮、製造工程の簡素化などが必要であるが、これらの生産性を向上させた製造方法も確立されていないのが現状である。そのため、現在、味付け加工栗の生産者は、食味品質の三大要素(食感、外観、及び味)を満足させるために、複雑で手間のかかる製造方法を用いざるをえない状況であり、これが味付け加工栗が広く二次加工食品原料として流通しない一つの原因にもなっている。
本発明は、このような栗加工業界の現状を勘案してなされたものであり、その目的とするところは、需要者側のニーズである食味品質(食感、外観、味)を満たした味付け加工栗を、生産者側のニーズである生産性の高い製造方法で製造し、提供することである。
本発明者らは、上記の味付け加工栗製造における食味品質(食感、外観、味)向上と生産性向上の両方の課題を解決するために鋭意検討を重ねていたところ、澱粉が糊化していない剥き栗(生栗)を原料として、これを調味液存在下で、一旦減圧した後、衛生的な加熱水蒸気、好ましくは飽和水蒸気で復圧下または加圧下で加熱処理し、次いで、復圧、減圧下で冷却することで、栗内部に調味液の味質が均一に浸透し、且つ軟らかい食感の味付け加工栗が得られること、加えて加熱・調理による栗の割れ等の外観の劣化が防止できるなど、食味品質(食感、外観、味)を満たした味付け加工栗が、複雑な工程なく短時間で製造できること等を見出した。また、上記の処理を調味液非配合の状態で行った場合は、得られた加工栗を調味液存在下で加熱殺菌することで、上記と同様に所望の食味品質(食感、外観、味)を有する味付け加工栗が得られることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
(I)下記(1)及び(2)の工程を有する味付け加工栗の製造方法:
(1)原料栗を直接あるいは調味液に漬けた状態で、一旦減圧した後、復圧または加圧しながら湿熱処理し、次いで、復圧、及び冷却する工程、
(2)上記で得られた加工栗を密閉包装し、殺菌する工程。
(II)上記(1)工程が、下記(1-a)〜(1-c)工程を有するものである(I)記載の製造方法:
(1-a)原料栗を直接あるいは調味液に漬けた状態で、8.0×103〜1.0×104 Paまで減圧処理する工程(減圧工程)、
(1-b)上記で得られた栗を、加熱水蒸気を用いて7.5×104 Pa以上(好ましくは7.5×104〜2.0×105 Pa)、90℃以上(好ましくは90〜120℃)の条件で、加熱処理する工程(復・加圧加熱工程)、
(1-c)上記で得られた栗を、4.0×104〜5.0×104 Paで少なくとも品温70℃になるまで冷却処理する工程(減圧冷却工程)。
(III)上記加熱水蒸気が飽和水蒸気である、(II)記載の製造方法。
(IV)上記(2)工程が、(1)工程で得られた栗を調理液に漬けた状態で密閉包装し、95〜120℃で30〜50分間程度、加熱殺菌処理する工程である、(I)記載の製造方法。
(V)原料栗が、鬼皮及び渋皮を剥いた生栗、当該生栗を水に漬けた水漬け生栗、及び生栗を調味液に漬けた調味液漬け生栗からなる群から選択される、澱粉が糊化していない生栗であることを特徴とする、(I)〜(IV)のいずれかに記載の製造方法。
(VI)調味液が、糖類、調味料、酸味料及び食品添加物からなる群から選択される少なくとも1種の成分、好ましくは糖類に加えて調味料、酸味料及び食品添加物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有するものであることを特徴とする(I)〜(V)のいずれかに記載の製造方法。
(VII)(I)〜(VI)のいずれかに記載する製造方法により得られることを特徴とする味付け加工栗。
なかでも好適な製造方法としては、次の方法を挙げることができる:
原料の栗(剥き生栗)をそのまま、あるいは一定濃度の糖液や糖調味液に漬けたまま、加圧加熱装置庫内に入れ密閉する。その後、密閉庫内の空気を排除して真空近くまで減圧状態にする(減圧工程)。次に、衛生的で安全な加熱水蒸気(好ましくは飽和水蒸気)を用いて、所定の温度及び圧力まで徐々に移行させ(温度・圧力移行工程)、所定温度及び圧力に達した後、加熱を行う(加熱工程)。加熱が終了すれば圧力を戻し(復圧工程)、温度を下げて、最後に温度と圧力を下げながら真空に近い状況で冷却し(減圧冷却工程)、その後、加圧加熱装置から取り出す。またこの一連の工程内では、密閉庫内の水蒸気を定期的に排気して圧力と温度を制御する。こうして、加熱水蒸気、好ましくは飽和水蒸気による加熱・調理工程を終えた栗を、そのまま、または一定濃度の糖液に漬けた状態で、缶やプラスチックパウチ等の容器に充填、密封し、殺菌することで、味付け栗加工品を調製する。
すなわち、本発明の味付け加工栗の製造方法は、好適には、剥き生栗をそのまま、あるいは糖液に漬けたまま密閉庫内に入れて、減圧工程、温度・圧力移行工程、加熱工程、復圧工程、及び減圧冷却工程の一連の処理を、衛生的な水蒸気を利用しながら行い、その後、再度、糖液に漬けて殺菌することを特徴とする製造方法であり、この製造方法によれば、栗の食味品質(食感、外観、味)を備えた味付け栗加工品を得ることができる。さらにこの製造方法は、従来からの複雑な栗加工品の製造方法を簡略化し、短時間で行えることも特徴の一つである。
本発明の製造方法によれば、栗の煮崩れや割れなどを有意に防ぎながら、短時間で原料栗を果実の内部まで軟らかくするとともに、均質に調味液に含まれる甘味質等の味質成分を浸透させることができる。このため、本発明によれば、食味品質(食感、外観、味)を満たした味付け加工栗を歩留まりの高い製造方法で製造し、提供することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、各製造工程を温度と圧力とが制御可能な装置、好ましくは飽和水蒸気での加熱処理または過熱処理が可能な装置内で行うことにより、製造の手間と時間を省くことができ、生産性を向上させることができる。すなわち、かかる装置を用いて飽和水蒸気を利用した一連の加熱調理を段階的に行うことで、複雑で煩雑な製造工程を省力化することができる。
本発明の味付け加工栗の製造方法は、下記の製造工程を含むものである:
(1)原料栗を直接あるいは調味液に漬けた状態で、一旦減圧した後、復圧または加圧しながら湿熱処理し、次いで、復圧、及び冷却する工程(第1工程)、
(2) 上記で得られた加工栗を密閉包装し、殺菌する工程(第2工程)。
以下、各工程について説明する。
(1)第1工程(加熱・調理工程)
本発明の味付け加工栗の製造方法において、原料とする栗は、栗澱粉が加熱等によって糊化(α化)する以前の生栗である。また少なくとも鬼皮が除去された生栗である。鬼皮に加えて渋皮も除去されていることが好ましいが、渋皮の一部あるいは全部が残っていてもよい。当該生栗は、水や調味液等の液体に漬けた状態の液体漬け生栗(水漬け生栗、調味液漬け生栗)などでも良い。また、原料栗は可食部が全形をとどめているものであることがより好ましい。
第1工程では、上記の原料栗をそのまま制御された圧力と温度条件下で処理するか、または上記原料栗を調味液に漬け、その状態で制御された圧力と温度条件下で処理を行う。前者と後者とは、栗への味付けを第1工程時に行うか、後述する第2工程(加熱殺菌)時に行うかの違いであり、どちらの方法にもこだわらない。かかる処理はいずれの場合も、上記の原料栗を耐熱性または耐圧耐熱性のトレイまたはホテルパン等の容器に入れ、これを圧力と温度が制御可能な装置に入れることによって行うことができる。
原料栗を浸漬するために使用する調味液は、原料栗に少なくとも甘味質を付与することができるものであればよく、例えば糖類または甘味料を含む糖液、あるいは糖類及び/または甘味料以外に各種調味料や酸味料を含む糖調味液を挙げることができる。ここで糖類としては食用されている糖類であれば特に制限されず、例えば砂糖(白糖、黒糖、三温糖、和三盆等)、果糖、乳糖、オリゴ糖、麦芽糖、ブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖、オリゴ糖、水飴、モラセス(糖蜜)、蜂蜜、メープルシロップ等の糖;並びにキシリトールやソルビトール等の糖アルコールを挙げることができる。甘味料としても食用されている天然由来または非天然の甘味料であれば特に制限されず、例えば、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、スクラロース、甘草抽出物、ステビア、ソーマチン、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、羅漢果抽出物等を例示することができる。これらの糖類や甘味料はその種類を特に制限することなく、1種単独でまたは2種以上を任意に組み合わせて、所望の甘味質に合わせて適宜設定調整することができる。これらの糖類または甘味料に組み合わせて配合する調味料または酸味料としても、特に制限されず、食用されている調味料や酸味料を適宜用いることができる。調味料としては、アスパラギン酸ナトリウム、アラニン、グリシン、グルタミン酸やその塩、バリン等のアミノ酸;5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-ウリジル酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、5’-シチジル酸二ナトリウム、5’-リボヌクレオチドカリウム、5’-リボヌクレオチド二ナトリウム等の核酸;クエン酸、クエン酸三ナトリウム、コハク酸、コハク酸二ナトリウム、グルコン酸塩、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機酸またはその塩;塩化カリウムやホエイソルトなどの無機塩を例示することができる。また、酸味料としては、クエン酸、乳酸、氷酢酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、酒石酸等の有機酸またはその塩;及びリン酸などの無機酸を例示することができる。
また調味液には、栗色を保持するアスコルビン酸や着色料などの食品添加物を含んでも良い。
第1工程は、詳細には下記の工程に分類することができる:
(1-a)原料栗をそのままあるいは調味液に漬けた状態で減圧処理する工程(減圧工程)、
(1-b)上記(1-a)で得られた栗を復圧または加圧しながら加熱処理する工程(復・加圧加熱工程)、
(1-c)上記(1-b)で得られた栗を減圧冷却処理する工程(減圧冷却工程)。
これらの一連の工程は、圧力と温度が制御可能な装置内で密閉した状態で実施することができる。圧力と温度が制御可能な装置としては、制限されないが、加圧加熱装置、好ましくはレトルト殺菌装置等の加圧加熱殺菌装置を挙げることができる。加熱処理には加熱空気による乾熱処理と、水蒸気や熱水による湿熱処理が挙げられるが、好ましくは後者の湿熱処理である。かかる湿熱処理は、好ましくは加熱水蒸気や飽和水蒸気または熱水による加熱処理機能を備えた装置を用いて行うことができる。かかる装置としては飽和蒸気調理機や熱水噴流式調理殺菌装置等を挙げることができる。より好ましくは飽和水蒸気による加熱処理機能を備えた装置(飽和蒸気加熱調理機)である。具体的には、飽和蒸気加熱調理機としては、例えば槽内を60〜120℃の範囲の飽和蒸気環境にして加熱または過熱調理することができる三浦工業(株)製の飽和蒸気調理機CK・CLや飽和蒸気調理機スチームマイスターを例示することができる。
(1-a)減圧工程
当該工程において減圧処理は、原料栗をそのまま又は調味液に浸漬した状態で上記装置内に入れて、庫内を密閉した後、庫内の空気を排除して減圧状態にすることによって実施することができる。
ここで減圧状態とは、「大気圧よりも低い圧力(負圧)の気体で満たされた空間内の状態」を意味する。ここで「大気圧よりも低い圧力」とは、必ずしも「標準大気圧(1 atm=760 Toor=1.01325×105 Pa)よりも低い圧力」を厳密に意味するものではなく、周囲の圧力(常圧)に対して減圧された状態を意味するが、標準大気圧を基準に判断してもよい。
制限はされないものの、かかる減圧条件として、具体的には1.0×104 Pa(abs:以下同じ)程度以下、好ましくは8.0×103〜1.0×104 Pa程度、より好ましくは8.5×103〜9.5×103 Pa程度を挙げることができる。かかる減圧処理時の温度条件としては、特に制限されず、例えば室温(25±5℃)を挙げることができるが、必要に応じて80〜50℃、好ましくは60〜50℃の温度範囲に設定する。なお、減圧処理にかける時間は特に制限されないが、通常20分以上、好ましくは30〜40分程度の時間をかけて徐々に処理することが好ましい。
(1-b)復・加圧加熱工程
上記減圧処理後、庫内が例えば8.0×103〜1.0×104 Pa程度の真空状況に近くなれば加熱処理を開始する。
加熱温度条件としては、澱粉が糊化する温度以上であればよく、通常90℃程度以上を挙げることができる。栗の均一加熱を考えると、好ましくは90〜120℃、より好ましくは100〜120℃である。
加熱は上記減圧状態を解除した状態(復圧状態)で行うことが好ましく、通常、7.5×104 Pa(abs:以下同じ)程度以上の条件で加熱される。好ましくは大気圧以上の条件、または加圧した条件(加圧状態)で加熱される。ここで「大気圧」は、標準大気圧(1.01325×105 Pa)を厳密に意味するものではなく、通常の状態における周囲の圧力(常圧)を含む意味で用いられる。また加圧状態とは、「大気圧よりも高い圧力(正圧)の気体(水蒸気を含む)で満たされた空間内の状態」を意味する。
制限はされないものの、かかる加圧条件として、具体的には大気圧(1.0×105 Pa(abs:以下同じ)程度)より高い条件、好ましくは大気圧より高く2.0×105 Pa程度以下、より好ましくは大気圧より高く1.5×105 Pa程度以下を挙げることができる。本発明では、上記復圧条件下での加熱処理及び加圧条件下での加熱処理を総称して「復・加圧加熱処理」という。
なお、復・加圧加熱処理にかける時間は特に制限されないが、上記復・加圧加熱状態を通常10分以上、好ましくは20〜60分程度、より好ましくは20〜50分程度維持することが望ましい。
かかる加熱処理は、加熱水蒸気または過熱水蒸気(以下「加熱(過熱)水蒸気」という)を用いて行うことが好ましい。加熱(過熱)水蒸気の中でも好ましくは飽和水蒸気である。具体的には、食用の衛生的で安全な水(例えば、水道水や滅菌水など)を水蒸気、好ましくは飽和水蒸気にして用い、温度によっては上記するように庫内に圧力を加えて所望の温度まで徐々に昇温し(昇温工程)、その後、当該所定温度で所定時間加熱する(加熱工程)。加熱(過熱)水蒸気、特に飽和水蒸気を用いて工程(1-a)で得られた栗を加熱することで、加熱による煮崩れや割れを防止しながらも、栗に水分または/及び調味液に含まれる成分が均質に浸透し、軟らかい食感を有する栗を取得することができる。また飽和水蒸気は高い凝縮熱伝達率を有するため、急速加熱を実現させて短時間で澱粉を糊化することができる。特に飽和水蒸気によれば温度の低いところほど集中して蒸気が凝縮して熱を加えることができるために、栗澱粉の加熱糊化をむらなく均一に行うことができ、均質に軟らかい食感を有する栗を調製することができる。
この原理は、飽和水蒸気の温度と圧力の関係が一対一になる現象を応用したものである。つまり、密閉庫内が同じ圧力状態になるため庫内温度もむらなく一定になることを用いている。この飽和水蒸気を用いた圧力と温度との関係によって、栗内部を均一に加熱でき、また飽和水蒸気による高い凝集熱伝達効果によって全体的に軟らかい加工栗を効率よく製造することができる。これは栗を加熱・調理するうえで非常に重要な効果であり、通常の製造方法では得られない効果である。
なお、この飽和水蒸気による密閉庫内での圧力と温度の制御は、蒸気を定期的または不定期に間歇排気することで行うことができる。このように蒸気を定期または不定期に間歇排気することから、栗の加熱調理時に発生するむれ臭等が排気されて、臭いの点からも品質の良い加工栗を得ることができる。
(1-c)減圧冷却工程
上記復・加圧加熱処理後、加圧状態を解除し(復圧)、次いで徐々に圧力と温度を下げながら粗熱をとり、減圧状態で冷却する(減圧冷却工程)。
ここで減圧状態としては、大気圧以下の状態であればよく、制限はされないが、4.0×104〜5.0×104 Pa程度を例示することができる。
冷却の時間は制限されないが10〜50分程度を挙げることができ、加熱調理栗の品温が75℃程度以下、好ましくは50〜75℃程度まで冷えたら、減圧状態を解除して(復圧)、加圧加熱装置から取り出す。
上記減圧工程、復・加圧加熱工程(昇温工程→復・加圧加熱工程)、減圧冷却工程(復圧工程→減圧冷却工程)の一連の処理工程は、通常約1〜2時間半で終了することが好ましい。
(2)第2工程(殺菌工程)
当該第2工程は、上記(1)の工程で得られた加工栗を密閉包装し、殺菌する工程である。
上記第1工程(調理工程)を、調理液を用いず原料栗そのままの状態で行う場合は、加工栗の密閉包装に際して、調理液を一緒に充填することが好ましい。また、原料栗を調理液に浸漬した状態で第1工程(調理工程)を用いて行う場合は、得られた加工栗をそのまま密閉包装してもよいが、所望に応じて、密閉包装に際して調理液を一緒に充填してもよい。
調理液としては、前述の調理液を同様に用いることができる。なお、浸漬に使用した調理液と密閉包装に使用する調理液の組成は同一であってもよいし、また所望に応じて変更してもよい。
密閉包装に用いる容器としては、缶、プラスチックパウチ、プラスチックトレイなど、密封できるものであれば、特に限定されない。好ましくは耐熱性、特にレトルト耐性のある密閉可能容器である。
殺菌条件は、第1工程での加熱処理における熱履歴との兼ね合いで決まるため、特に制限されないが、好ましくは95〜120℃条件で30〜50分程度処理する方法を例示することができる。
以上説明するように、本発明の製造方法によれば、減圧→復・加圧加熱→復圧の工程を経て最後に減圧状態で冷却することから、調味液に原料栗を漬けて処理する場合は、調味液が急速に均一に栗内部に浸透し、均質な味と食感を有する加工栗を得ることができる。加熱処理時に調味液を利用しない場合でも、栗澱粉が均一に加熱糊化するため、その後の調味液存在下での殺菌工程で、均等に糊化した栗澱粉の内部に調味液(糖類など)が均質に浸透し、均質な味と食感を有する加工栗を調製することができる。さらに、加熱に飽和水蒸気を用いることで、沸騰による攪拌が起こらないために、栗の煮崩れや割れなども起こりにくく、外観の綺麗な加工栗が得られ、同時に栗加工の歩留りも向上し、生産性を向上することにもつながる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1 味付け加工栗の調製
(1)原料栗とその調製
原料栗として、鬼皮及び渋皮を剥いた生栗をそのままの状態で水漬けした水漬け生栗を使用した。これは、栗加工に用いられる原料栗が日本国産から中国産へ大きく移行している中で、中国で栗の皮を剥いた生栗が水漬けした状態で日本国内に輸入され、これが日本国内で加工されて甘露煮などの栗加工品にされている現状を鑑みたものである。この水漬け生栗は、加熱されていないために、栗澱粉は糊化していない状態のものである。
この水漬け生栗の水を切って異物選別、形・サイズ選別した後に、ホテルパンに入れた。このホテルパンに、さらに栗が浸かる程度に糖度約50°(Brix50°)の糖液を入れた。この糖液は、加熱調理時に生栗に甘味質を付与するための調味液であり、50重量%の砂糖が含まれている。調味液の糖度は、最終的に調製する味付け加工栗の甘味質の程度によって適宜変えることができる。
(2)減圧および加熱・調理工程
この生栗と調味液を入れたホテルパンを、飽和蒸気加熱機能を備えた温度と圧力が制御可能な調理装置(飽和蒸気調理機CK210:三浦工業(株)製)(以下、単に「装置」という)に入れた。この時のホテルパンは蓋をせずに直接、衛生的な飽和水蒸気に晒されるようにしておく。
生栗を加熱調理するために、まず装置庫内の空気を抜いて80×102 Paまで減圧した(温度25℃)。減圧が終了した後、衛生的な飽和水蒸気を装置内に流入し圧力とともに温度を上げていく。具体的には、装置庫内の温度を約10分間かけて設定の100℃とし、100℃に達したときに飽和水蒸気による加熱調理を開始し30分間加熱調理を行った。この加熱調理時の装置庫内の圧力は庫内温度が最初の25℃の8.0×103 Paから、100℃の1.0×105 Paまで上昇している。かかる飽和水蒸気(加熱水蒸気)による加熱調理が終了すると、装置庫内の圧力を通常の圧力(大気圧)に戻していき、さらに4.0×104 Paまで減圧し、冷却を開始するとともに、糖質の栗内部への浸透を図った。冷却は、4.0×104〜5.0×104 Paで栗の品温が70℃になるまで通常30分間行う。
(3)殺菌工程
調理した栗の品温が70℃以下になった後、飽和蒸気加熱調理装置から取りだした。この調理された栗は、そのままでも甘味が付与され、栗の澱粉も糊化しているために軟らかい食感になっている。ただし、この調理栗を栗加工品として流通・保管するためには、殺菌を行った方が良い。このため、上記で得られた調理栗を密封できる容器(例えば、缶、プラスチックトレイ、プラスチックフィルムまたはビン)に入れた。この時に、さらに調理液も同時に入れて封入すると、上記で得られた調理栗にさらに高い甘味質を付与することができる。ここでは、プラスチックフィルムに上記で調製した調理栗と糖度65°の調理液(65質量%の砂糖水)を封入し、真空包装した。次いで真空包装した調理栗を、レトルト殺菌することができる加圧加熱殺菌装置(調理殺菌装置SGC80:株式会社サムソン製)を用いて、110℃で30分間殺菌処理を行った。
(4)比較例
比較のために、従来の一般的な味付け加工栗の製造工程で製造した加工栗を用意した(比較例)。これは、鬼皮及び渋皮を剥いた生栗(原料栗)を、そのまま鍋で60℃、40分間水煮し、アク取りなどを行い、さらに温度を上げて70℃で30分間の第2加熱、80℃で30分間の第3加熱、95℃で20分間の第4加熱の合計4段階の加熱を行って生栗を軟らかく加熱・調理した後、冷却し、缶に糖度62°の糖液(62質量%の砂糖水)とともに充填し、98℃で70分間殺菌する製造方法を用いたものである。
(5)評価
本発明の製造方法(実施例)と従来の製造方法(比較例)で製造した味付け加工栗の食感、外観、味および生産性を比較するために、調製した味付け加工栗の硬度、食感、歩留まり、及び甘味質を官能評価で比較した。硬度は、果実硬度計(果実硬度計:(株)大場計器製作所製)を用いて測定した。甘味質と食感は、調製した味付け加工栗を実際に8名のパネラーに食させて官能検査を行うことで評価した。
歩留まりは、処理後に煮崩れたり、割れたりして外観が劣化した栗を除いた加工栗の数の、処理前の生栗数(原料栗数)に対する割合から算出した。つまり、処理前の生栗数が100個である場合において、処理によって外観が劣化した加工栗数が15個である場合は、歩留まりは85になる。
原料として用いた生栗、実施例1及び比較例の製法で製造した味付け加工栗の結果を表1に示す。
Figure 0005721374
表1に示すように、本発明の方法で製造した味付け加工栗は、従来法(比較例)と比較して軟らかく、食感も良好で、しかも甘味質も内部に均等に浸透しており非常に良好であると同時に、歩留まりもよかった。このことから、本発明の製造方法によれば、食味品質(食感、味、外観)を備えた味付け加工栗を高い歩留まりで、つまり高い生産性で製造することができることが判明した。
栗を味付け加工栗として、惣菜、和菓子や洋菓子の二次加工原料として利用するためには、需要者からの要求である3つの食味品質(食感、甘味質、外観)という品質特性を満たす必要がある。さらに、加工栗生産者からの経済性視点での歩留まり向上、生産性向上の必要もある。
本発明の味付け加工栗の製造方法によれば、食味品質の面では、農産物であるために品種や産地による品質のバラツキの大きい栗を原料として、食感を均一的に軟らかくでき、さらに甘味質も均一となり、見た目もキズや割れの少ないものを安定的に製造することができる。そのため、加工栗を二次原料として利用している総菜、和菓子、洋菓子だけでなく様々な食品加工分野へと汎用性を広げると同時に安定的に生産できるようになる。
さらに、栗の生産者からの立場で考えると、複雑で、手作業の多かった栗加工の製造工程を本製造方法のように一連の工程で、簡単で短時間の製造工程で製造でき、さらに、栗の加工・製造時の割れや砕けを防止でき、栗加工品の生産者として歩留まりの向上と生産性の向上が可能になる。本発明で用いた衛生的な飽和蒸気加熱装置や、加圧加熱殺菌装置は、すでに食品産業で普及、利用されているものであるために、これらの装置を組み合わせることで、一貫生産することも可能となる。

Claims (7)

  1. 下記(1)及び(2)の工程を有する味付け加工栗の製造方法:
    (1)原料栗を直接あるいは調味液に漬けた状態で、一旦減圧した後、復圧または加圧しながら加熱水蒸気を用いて湿熱処理し、次いで、復圧、及び冷却する工程、
    (2) 上記で得られた加工栗を密閉包装し、殺菌する工程。
  2. 上記(1)の工程が、下記(1-a)〜(1-c)工程を有するものである請求項1に記載する製造方法:
    (1-a)原料栗を直接あるいは調味液に漬けた状態で、8.0×103〜1.0×104 Paまで減圧処理する工程、
    (1-b)上記(1-a)工程で得られた栗を、加熱水蒸気を用いて、7.5×103〜2.0×105 Pa、90〜120℃の条件で、加熱処理する工程、
    (1-c)上記(1-b)で得られた栗を、4.0×104〜5.0×104Paの条件で少なくとも品温70℃になるまで冷却処理する工程。
  3. 上記加熱水蒸気が飽和水蒸気である、請求項1または2に記載する製造方法。
  4. 上記(2)工程が、(1)工程で得られた栗を調理液に漬けた状態で密閉包装し、95〜120℃で30〜50分間程度加熱殺菌処理する工程である、請求項1乃至3のいずれかに記載する製造方法:
  5. 前記原料栗が、鬼皮及び渋皮を剥いた生栗、当該水漬け生栗、及び調味液漬け生栗からなる群から選択される、澱粉が糊化していない生栗であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載する製造方法。
  6. 調味液が、糖類、調味料、酸味料及び食品添加物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有するものであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載する製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする味付け加工栗。
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