JP2022034223A - 冷凍食品用スープ及びその製造方法並びに該冷凍食品用スープを用いた冷凍食品 - Google Patents

冷凍食品用スープ及びその製造方法並びに該冷凍食品用スープを用いた冷凍食品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、濃縮スープであっても冷凍食品の主食材に直充填でき、包材が削減でき、簡便な調理が可能な冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することを目的とする。また、醤油ラーメンのような有色の濃縮スープを直充填する場合であっても、スープの色移りが少ない冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することを目的とする。【解決手段】冷凍食品用スープを内側の内層スープを、外側の外層スープが包含するような二層構造とし、充填時の外層スープの粘度を270Pa・s以上とし、60℃における外層スープの粘度を250Pa・s以上とすることにより解決する。また、色移りする色素成分を外層スープよりも内層スープに多く配合することでスープの色移りが少ない冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することができる。【選択図】図6

Description

本発明は、冷凍食品用スープ及びその製造方法並びに該冷凍食品用スープを用いた冷凍食品に関する。
近年、電子レンジを用いて簡単に調理できる冷凍食品が多数上市されており、スープやソースを使用するものとしては、冷凍うどんや冷凍ラーメン、冷凍パスタなどの冷凍食品が挙げられる。この内、冷凍パスタは、ソースの添加量が少なく、ソースの色が麺に色移りしても問題が少ないため、主にソースが麺に直充填されており、電子レンジ調理のみで喫食できる。それに対し、冷凍うどんや冷凍ラーメンは、主に濃縮スープが別添されており、麺や具材を電子レンジ調理した後、予め別添スープを熱湯で溶かして用意したスープに麺や具材を入れて調理するか、麺や具材を鍋炊きで調理した後、別添スープを添加する方法が一般的である。
近年、調理方法の簡便化だけでなく、環境面からも別添スープの包材を減らし、スープを直充填することが試みられている。冷凍うどんや冷凍ラーメンなどの冷凍食品は、鍋炊き調理する場合は、濃縮スープではなくストレートスープごと麺と凍結することが可能であるが、電子レンジ調理する場合は、ストレートスープごと麺と凍結すると解凍に時間がかかりすぎる問題がある。また、濃縮スープを麺に直充填すると製造中や保存中、電子レンジなどの調理中に主食材である麺にスープの色が移る問題がある。
これらの問題に対する方法として、特許文献1の方法が開示されている。特許文献1には、容器内に、調味液の上に主食の順に配置され、該調味液の70℃における粘度がC型粘度計で1000~8000cPであり、調味液と主食が全面でなく一部で接触して凍結されている冷凍食品が記載されており、調味液から主食である麺や米飯への水分移行を少なくし、喫食時の手間を省き、包材コストを減らすことができる旨が記載されている。
また、スープを二層とする技術については、特許文献2~4の技術が知られている。特許文献2には、解凍・加熱調理を電子レンジ等で行うのに適した冷凍調味液塊並びに調味液付き冷凍食品及びその製造方法として、凍結させてなる主食材塊の上に、凍結させてなる第一成分を含む第一層と凍結させてなる第二成分を含む第二層とが積層された冷凍調味液塊が配置されてなる調味液付き冷凍食品であって、前記冷凍調味液塊は、第二層を下にして配置され、さらに、60℃における流動性が、第二成分よりも第一成分の方が低く、平面視において前記冷凍調味液塊の全外周が、前記主食材塊の外周より内に収まるように配置され、前記冷凍調味液塊の底部が前記主食材塊に埋没しているとともに、前記冷凍調味液塊の少なくとも第二層の一部を含む上部が前記主食材塊の周縁上面より突出していることを特徴とする調味液付き冷凍食品が記載されている。しかしながら、二層は積層状態であって、本件発明のような内側の内層スープを外側の外層スープが包含する構造ではなく、また、流動性の高い第二層が主食材塊と接触する必要があり、主食材に直充填できず、スープを事前に凍結して充填する必要がある。
特許文献3には、ソースと茹麺を一緒にして包装してもソースから茹麺への水分移行が抑制された包装冷凍麺類として、ブリックス度が一番高い冷凍ソース層を表層として、ブリックス度の異なる冷凍ソース層を複数層重層して構成された冷凍ソースのブリックス度の一番高い冷凍ソース層面と、この冷凍ソースとは別に凍結して得られた冷凍麺塊面とが直接接触する状態で包装されていることを特徴とする、包装冷凍麺類が記載されている。しかしながら、ブリックスが高いスープは、凝固点効果によって、運搬時や冷凍保存時に溶解しやすく、色素などが含まれている場合には容易に麺に色移りが起きやすい。また、特許文献3に記載された技術は、冷凍麺とソースを別々に凍結する必要があり、直充填できず、ソースの上に冷凍麺塊を置く必要がある。
特許文献4には、保存性が高く、かつ固形状態のまま常温保存することができるゲル状ソースとして、ゲル状ソースであって、ゲル状の第一ソースと、これに被覆される第二ソースとを含み、該第一ソースが、pH7.0以下で、Awが0.80より高く0.90以下かつ該第二ソースのAwよりも高く、該第二ソースが、pH3.5~7.0で、Awが0.80以上0.86未満である、ゲル状ソースが記載されている。しかしながら、第一ソースを常温でゲル化する必要があり、また、加熱調理により溶解し、粘度の低いゾルとなるため、加熱調理時に麺に色移りしたり、麺に水分移行したりして食感が不均質となる可能性がある。
特許第4654772号公報 特許第4197671号公報 特許第4091535号公報 特開2019-205357号公報
本発明は、濃縮スープであっても冷凍食品の主食材に直充填でき、包材が削減でき、簡便な調理が可能な冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することを目的とする。また、醤油ラーメンのような有色の濃縮スープを冷凍食品の主食材に直充填する場合であっても、冷凍保存時や電子レンジなどの調理時に食品へのスープの色移りが少ない冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することを目的とする。
発明者は、醤油ラーメンのような有色スープを有する冷凍食品において、主食材である麺に濃縮スープを直充填し、包材を削減し、調理を簡便化できる方法を検討したが、通常の濃縮スープを麺に直充填しただけでは、濃縮スープが麺を凍結するための冷凍用容器の底に溜まり、冷凍保存中や電子レンジ調理時に麺線にスープの色が移り、見た目が悪く、また、電子レンジ調理時に濃縮スープが焦げるなどの課題があった。そこで鋭意研究した結果、濃縮スープであっても主食材に直充填でき、冷凍保存時や調理時に主食材への色移りを抑制できる冷凍食品用スープを見出し本発明に至った。
すなわち、二層構造を有する冷凍食品用スープであって、前記二層構造は、内側の内層スープを、外側の外層スープが包含する構造であり、充填時の前記外層スープの粘度が270Pa・s以上であり、60℃の前記外層スープの粘度が250Pa・s以上であることを特徴とする冷凍食品用スープである。
また、外層スープが、ゼラチン、澱粉または増粘多糖類の少なくとも何れか一つを含むことが好ましい。
また、外層スープは少なくとも澱粉を含み、澱粉の種類としては、リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉またはアセチル化リン酸架橋澱粉の少なくとも何れか一つを含むことが好ましい。
また、冷凍食品用スープ中の外層スープの重量は、内層スープの重量の2倍以上であることが好ましい。
また、内層スープが外層スープよりも主食材に色移りする色素成分多く含むことが好ましい。
また、冷凍食品用スープは、冷凍食品に直充填されることが好ましい。
また、本発明に係る二層構造を有する冷凍食品用スープは、冷凍食品に使用され、特に冷凍食品としては冷凍麺類に使用されることが好ましい。
また、本発明に係る二重構造を有する冷凍食品スープを冷凍食品に使用する場合、冷凍食品中に耐熱性アミラーゼを含むことが好ましい。
また、本発明に係る二重構造を有する冷凍食品スープの製造方法としては、外層スープの充填時の粘度が270Pa・s以上であり、60℃の粘度が250Pa・s以上であり、二液充填ノズルを用いて製造することが好ましい。
本発明により、食品に直接濃縮スープを直充填でき、包材が削減でき、簡便な調理が可能な冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することができる。また、醤油ラーメンのような有色の濃縮スープを冷凍食品に直充填する場合であっても、冷凍保存時や電子レンジなどの調理時に食品へのスープの色移りが少ない冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る冷凍食品用スープAの上面図である。 本発明の実施形態に係る冷凍食品用スープAのα-α’線断面図である。 本発明の実施形態に係る冷凍食品Bの上面図である。 本発明の実施形態に係る冷凍食品Bのβ-β’線断面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例である冷凍食品用スープA’及び冷凍食品B’の上面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例である冷凍食品用スープA’及び冷凍食品B’のγ-γ’線断面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例である冷凍食品B”の上面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例である冷凍食品B”の下面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例である冷凍食品B”のΔ-Δ’線断面図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例のである冷凍食品B’の作製例を示した説明図である。 本発明に実施形態に係る冷凍食品の変形例のである冷凍食品B”の作製例を示した説明図である。 実施例3の冷凍食品サンプルの上面写真、虐待処理後の底面写真、虐待処理サンプルの電子レンジ調理後の上面写真、虐待処理サンプルの給湯後の麺の写真である。 比較例1の冷凍食品サンプルの上面写真、虐待処理後の底面写真、虐待処理サンプルの給湯後の麺の写真である。 比較例3の冷凍食品サンプルの上面写真、虐待処理後の底面写真、虐待処理サンプルの電子レンジ調理後の上面写真、虐待処理サンプルの給湯後の麺の写真である。
1 内層スープ
2 外層スープ
3 主食品
4 耐熱性アミラーゼを含む氷層
5 冷凍用容器
6 内層スープノズル
7 外層スープノズル
8 二液充填ノズル
9 耐熱性アミラーゼ水溶液
A 冷凍食品用スープ
B 冷凍食品
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
(1)冷凍食品用スープ
本発明に係る冷凍食品用スープは、図1及び2で示す冷凍食品用スープAや図7及び図9で示す冷凍食品用スープA’のように内層スープ1と、これを包含する外層スープ2を有する二層構造となっている。
本発明に係る外層スープ2は、充填時の粘度として270Pa・s以上が好ましい。粘度が270Pa・s未満であると内層スープ1の粘度が低い場合、内層スープ1を包含することが難しいだけでなく、主食材3上に直充填する場合には、冷凍食品用スープが主食材3の上に留まることが難しくなる。逆に高すぎるとノズルから充填しにくくなる。好ましくは550~1610Pa・sである。粘度の測定方法は、各充填時の温度においてB型粘度計で測定する。ローターや回転速度については、ローター4番で回転数0.3rpmで測定すればよい。
本発明に係る外層スープ2は、60℃における粘度が250Pa・s以上であることが好ましい。250Pa・s未満であると、電子レンジなどの調理時に、融解した外層スープ2が主食品3の隙間から落下して内層スープ1が主食品3と接触したり、沸騰して主食品3に色移りする。また、内層スープ1が落下することで内層スープ1が焦げたりする。逆に粘度が高すぎると、外層スープ2が熱湯に溶解しにくくなったり、均質に混ぜにくくなったりする。好ましくは520~1140Pa・sである。粘度の測定方法は、60℃に調整した外層2スープをB型粘度計で測定する。ローターや回転速度については、ローター4番で回転数0.3rpmで測定すればよい。
本発明に係る外層スープ2は、ゼラチン、澱粉または増粘多糖類の少なくとも何れか一つにより、粘度を調整することが好ましい。本発明に係る冷凍食品用スープを直充填するためには、高粘度とする必要があり、また、電子レンジ調理などの加熱後においても粘性を保ち、主食材3の上に留まり、必要により熱湯などに溶解可能であることが好ましいことから、高温でも粘度を維持しやすく、熱湯に溶解しやすい澱粉をベースに粘度を調整することが好ましい。
本発明に係る外層スープ2の粘度調整に澱粉を使用する場合、澱粉の種類は、特に限定はなく、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ 、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、緑豆澱粉、小麦澱粉、米澱粉などの澱粉及びこれらにエーテル化、エステル化、リン酸化、酸化処理などの処理を施した加工澱粉などが例示され、これら澱粉から一または二以上を選択して使用することができる。なお、本発明で使用する澱粉として、冷凍耐性のある澱粉が好ましく、リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉が好ましい。澱粉の添加量としては、外層スープの粘度にもよるが、5~15重量%が好ましい。5重量%未満だと十分な粘度が発現できず、15重量%よりも多いと粘度が高くなりすぎ、ノズルによる充填が困難となる。
本発明に係る外層スープ2は、ゼラチンや増粘多糖類を用いて粘度を調整することもできる。澱粉だけでなくゼラチンや増粘多糖類を用いることで、冷凍食品用スープの充填適性を改善することができるだけでなく、澱粉だけでは表現できない調理後のスープ粘度を調整することができる。増粘多糖類の種類としては、グアガム、キサンタンガム、タラガム、タマリンドシードガム、スクシノグリカンなどが挙げられる。ゼラチンとしては、板ゼラチン、粉ゼラチン、顆粒ゼラチンなど何れのゼラチンも使用することができる。また、豚由来、牛由来、魚由来の何れのゼラチンも使用できる。増粘剤の添加量としては、求める冷凍麺類のスープの粘度や増粘剤の種類によるが、外層スープ中に0.1~3重量%程度添加することができる。
本発明に係る外層スープ2のその他の素材としては、通常の目的とする冷凍食品のスープやソースに使用する素材を使用できる。例えば、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、核酸、蛋白加水分解物、アミノ酸、クエン酸、酢酸などの酸味料、醤油、酒、みりん、油脂、動植物粉末、動植物エキス、香辛料、色素、香料などが挙げられる。また、肉ミンチやカット野菜などの固形分を含んでもよい。ただし、外層スープ2は、直接冷凍食品の主食品3と接するため、主食材3に接したときに色移りするような濃口醤油や色素などの成分の添加はできるだけ少なくし、内層スープ1に多く配合することが好ましい。そうすることで、冷凍保存中の温度上昇によりスープが融解した場合でも、外層スープ2から主食材3への色移りを防ぐことができる。また、冷凍食品であっても、冷凍保存中に風味が劣化していくため、風味が劣化する成分は、出来るだけ内層スープ1に多く配合することが好ましい。具体的には、食塩、砂糖などの結晶物と澱粉やゼラチン、増粘剤などの粘度を出す素材を含むことが好ましい。
本発明に係る内層スープ1の粘度は、特に限定はなく、粘性が無くても、粘性があっても外層スープ2に包含されれば問題ないが、多少粘性がある方が充填時や冷凍保存時に内層スープ1が外層スープ2と混ざったり、外層スープ1の外側へ出て広がることが少なく好ましい。好ましい粘度としては、充填時において0.2Pa・s~1250Pa・s程度である。
本発明に係る内層スープ1に使用される素材としては、外層スープ2と同様に、澱粉、ゼラチン、増粘剤を使用できる他に、通常の目的とする冷凍食品の濃縮スープに使用する素材を使用できる。例えば、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、核酸、蛋白加水分解物、アミノ酸、クエン酸、酢酸などの酸味料、醤油、酒、みりん、油脂、動植物粉末、動植物エキス、香辛料、色素、香料などが挙げられる。また、肉ミンチやカット野菜などの固形分を含んでもよい。ただし、内層スープ1は、外層スープ2よりも色移りするような濃口醤油や色素などを多く含むことが好ましい。そうすることで、冷凍保存中の温度上昇によりスープが融解した場合でも、外層スープ2から主食材3への色移りを防ぐことができる。また、内層スープ1には、冷凍保存中に風味が劣化する成分や、電子レンジ調理による加熱により風味が悪くなったり、揮発してしまうような成分を多く含むことが好ましい。具体的には、醤油ラーメンの場合は、濃口醤油やカラメル色素の色素成分、香辛料、香料、動植物エキスなどの風味素材は外層スープ1よりも内層スープ2に含まれることが好ましい。
本発明に係る冷凍食品用スープは内層スープ1及び外層スープ2合わせて、本発明に係る冷凍食品1食あたり、50~150g添加することが好ましい。添加量が少なくなると濃縮スープの場合、スープの濃縮が困難であり、多すぎると解凍に時間がかかる。また、外層スープ2の重量は、内層スープ1の重量に対して2~10倍程度が好ましい。外層スープ2の量が少なすぎると内層スープ1が外層スープ2の外に出てしまう可能性が高く、また、図5及び図6で示した冷凍食品B’のように、冷凍食品用スープA’を主食材3に直充填した場合には、外層スープ2が主食材3の隙間から垂れることにより内層スープ1が主食材3と部分的に接触してしまう可能性が高くなる。逆に外層スープ2の量が多すぎると調理時の解凍や熱湯でスープを溶解するのに時間がかかり好ましくない。
本発明に係る冷凍食品用スープは、図1及び図2で示すような冷凍食品用スープAのように冷凍食品用スープのみを凍結してから、図3で示すように主食材3に添加して使用してもよく、図5及び図6で示す冷凍食品用スープA’のように主食材3に直充填して使用してもよい。冷凍食品用スープAのように冷凍食品用スープのみを凍結する場合には、凍結用の型枠に入れて、ワゴンフリーザーやスパイラルフリーザーなどで凍結してもよく、また型枠に入れずにコンベア上に冷凍食品用スープを充填し、スパイラルフリーザーやトンネルフリーザー等により凍結してもよい。凍結温度は特に限定はないが、少なくとも外層スープがしっかりと凍結するまで凍結すればよい。
また、本発明に係る冷凍食品用スープは、ラーメン、うどん、そばなどの濃縮スープとして電子レンジ調理後に熱湯をかけて溶解することにより喫食できるものや、水を入れて鍋炊き調理してスープを溶解し喫食でもよく、また、あんかけラーメン、パスタなどのストレートスープ(またはソース)として電子レンジ調理などによりそのまま喫食できるものでもよい。ラーメン、うどん、そばなどの場合は、外層スープの粘度を主に澱粉で発現させ、熱湯をかける際や鍋炊き調理時に耐熱性アミラーゼを作用させることによって、喫食時のスープの粘度を低下させることができる。
本発明に係る冷凍食品用スープの製造方法としては、特に限定はなく、外層スープを容器に充填した後、中央を凹ませて内層スープを充填し、包含するように更に上から外層スープを載せて作製してもよく、容器に充填した外層スープの中央にノズルを差し込み内層スープを充填した後、ノズル孔を外層スープで塞いで作製してもよく、後述する二液充填ノズルにより作製してもよい。
なお、本発明における包含とは、内層スープが完全に外層スープ内に含まれるものだけではなく、内層スープの大部分が外層スープに包まれていることをいい、充填時や凍結時の膨張により意図せずに内層スープの一部が外層スープ外に出てしまうものも含む。これらの場合の多くが冷凍食品用スープの上面側でおこるため、部分的に内層が外層外に漏れ出ても主食材3と直接接しないため、大きな問題はない。
(2)冷凍食品
本発明に係る冷凍食品は、図4、図6及び図9の冷凍食品B、冷凍食品B’、冷凍食品B”で示すように、本発明に係る冷凍食品用スープAや冷凍食品用スープA’と主食材3を含む食品であれば特に限定はなく、例えば、冷凍うどん、冷凍そば、冷凍中華麺、冷凍パスタ、冷凍あんかけ焼きそば、冷凍あんかけラーメン、冷凍あんかけチャーパンが挙げられる。この内、喫食時のスープが粘度の少なく、濃縮スープを使用するような、冷凍うどん、冷凍そば、冷凍ラーメンなどの冷凍麺類は、濃縮スープを直充填する場合に主食材3への色移りが問題となることが多く、本発明に係る冷凍食品用スープを使用する冷凍食品として適している。つまり、主食材3への色移りを防ぐべく、主食材3と直接接する外層スープ2に色移りする成分を少なくし、内層スープ1に色移りする成分を多く配合することで、冷凍保存時や電子レンジなどの調理時に色素成分が麺へ移行することを防ぐことができる。
主食材3としては、そば、うどん、ラーメン、マカロニ、スパゲティ、パスタ、春雨、ビーフン、冷麺などの麺類やチャーハンなどの米飯類が挙げられ、常法により加熱調理したものを冷凍食品1食当たり150~250gで充填することが好ましい。
例えば、本発明に係る冷凍食品の主食材3が麺類の場合は、常法の製法で作製した生麺や乾麺を使用することができる。生麺や乾麺を茹で処理や蒸し処理することによりα化する。本発明に係る冷凍食品は、喫食時に加熱調理されるため、完全に喫食できる程度まで麺を茹で処理や蒸し処理するのではなく、時間を短くするなどにより、一部不完全な状態にすることが好ましい。例えば、茹で温度が95~100℃程度、茹で時間については、ラーメンであれば通常20秒~5分程度、うどんであれば4分~20分程度で加熱処理すればよい。蒸煮の方法としては、飽和水蒸気による加熱だけでなく、過熱水蒸気により加熱することもでき、シャワーや浸漬などの水分補給工程を組み合わせることもできる。調理された麺は必要により、水洗冷却や調味液浸漬を行うこともできる。加熱調理した麺は、冷凍用容器5に充填し、凍結処理する。
本発明に係る冷凍食品の主食材3が米飯類の場合は、常法により炊飯した米飯を冷凍用容器5に充填して凍結してもよいが、常法によりバラ凍結し作製した冷凍米飯を冷凍用容器5に充填して凍結してもよい。
主食材3の厚みとしては、凍結後の厚みが20mm以上であることが好ましい。20mm以下となると電子レンジ調理時に溶解した冷凍食品用スープが底に落下し、焦げる可能性がある。好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上である。また、逆に主食材3の厚みが厚くなりすぎると、調理時間が長くなり調理ムラが発生するため、50mm以下が好ましい。
また、本発明に係る主食材3の充填密度としては、あまりに密度が低いと冷凍食品用スープが主食材3の上面に留まらず、また、電子レンジ調理した際に冷凍食品用スープが垂れ落ちるため、0.3g/cm以上が好ましい。より好ましくは0.4g/cm以上である。また、あまり高密度すぎても電子レンジ調理に時間がかかるため0.6g/cm以下が好ましい。麺塊密度については、冷凍麺塊の平坦面を10~20mm角の正方形に切断し、切断面の四辺の長さ(高さ)の平均をサンプルの高さとして、切断サンプルの体積として算出すればよい。
本発明に係る冷凍食品の主食材3の形状は、特に限定はなく、円錐台状や四角錘台状、円柱状や四角柱状でもよい。また、図7、図8及び図9で示すように主食材の底面の中央に窪みを設けてもよい。窪みを設けることで、電子レンジ調理ムラを低減することができ、電子レンジ調理時間を短縮できる。窪みの深さとしては、主食材3の厚みにもよるが、5mm以上が好ましく、主食材3の厚みの10~70%となるように設けることが好ましい。
本発明に係る冷凍食品は、図3及び図4で示す冷凍食品Bのように別途作製した冷凍食品用スープAを主食材3に添加し、凍結するか、または、別途作製した冷凍食品用スープAを凍結した主食材3に添加して作製してもよい。
また、本発明に係る冷凍食品は、図5及び図6で示す冷凍食品B’のように主食材3の上に冷凍食品用スープA’を直充填したものでもよい。冷凍食品B’の作製方法としては、図10(b)のように冷凍用容器5に主食材3を充填し、次いで図10(c)、(d)のように二液充填ノズル8の外層ノズル7から外層スープ2を充填しつつ、遅れて内層スープ1を内層ノズル6から充填し、図10(e)のように内層ノズル6から内層スープ1の充填を止め、次いで図10(f)のように外層ノズル7から外層スープ2の充填を止めることで、外層スープ2に内層スープ1が包含された冷凍食品用スープA’を主食材3の上に直充填できる。冷凍食品用スープA’を主食材3の上に直充填した冷凍用容器5を図10(g)で示すように凍結庫などで冷凍する。このとき、完全に凍結するまでに時間がかかるが、その間に冷凍食品用スープA’が主食材3から垂れ落ちないことが好ましい。完全に凍結した後、図10(h)のように冷凍用容器5から取り出すことで冷凍食品B’を作製することができる。
また、本発明に係る冷凍食品は、図7、図8及び図9で示す冷凍食品B”のように主食材3に耐熱性アミラーゼの表層4を付着させることができる。耐熱性アミラーゼを冷凍食品B”に添加することで、冷凍食品用スープA’の外層スープ2の粘度が澱粉をベースに付けられている場合、熱湯を注ぐことで主食材3に付着した耐熱性アミラーゼが外層スープ2の澱粉を分解し、喫食時のスープの粘度を低下させることができ、うどんやそば、ラーメンなどの低粘度のスープを有する食品とすることができる。
本発明にいう耐熱性アミラーゼとは、至適温度が概ね70℃以上のアミラーゼをいう。通常の酵素では、至適温度が30℃~50℃程度であり、これと比較して高温度帯において至適温度を有する。また、耐熱性のアミラーゼであれば、特に種類は限定されない。すなわち、αアミラーゼ、βアミラーゼのいずれでも使用可能であるが、αアミラーゼの方が澱粉の分解速度が速いため好ましい。また、これらのアミラーゼは細菌や植物 、動物等の生物から抽出したものや遺伝子工学的手法を用いて大量生産して製造されたものでもよい。具体的な製品としては、天野エンザイム株式会社のクライスターゼ(登録商標)T10S、クライスターゼ(登録商標)SD8、コクゲンSD―TC3等が挙げられる。尚、本発明に利用できる耐熱性アミラーゼは、固形の粉末状態のタイプや液体のタイプのいずれも用いることができる。
本発明に係る耐熱性アミラーゼを含む表層4中の耐熱性アミラーゼの量としては、喫食時のスープ量は250g~350gである場合、喫食時のスープ中に概ね15U以上の耐熱性アミラーゼを含むように添加すればよい。15U以上含まれれば、本発明に係る冷凍食品用スープに含まれる澱粉を分解することができる。上限は、特に限定はないが、200U以上添加すると麺の食感に影響が出ることがある。具体的には、耐熱性アミラーゼを1.5U/g~20U/g含む水溶液を本発明に係る冷凍食品1食あたり、5~50g程度添加することが好ましい。
本発明に係る冷凍食品B”の作製方法としては、図11(a)に記載したような底面の中央が凸上に盛り上がった冷凍用容器5に図11(b)で記載したように主食材3を充填し、図11(c)~(f)で示すように冷凍食品用スープA’を直充填した後、図11(f)で示すように耐熱性アミラーゼ水溶液9を冷凍用容器5の側面に充填し、図11(g)で示すように凍結することで耐熱性アミラーゼを含む氷層4を作製し、図11(h)で示すように冷凍用容器5から取り外すことで冷凍用食品B”を作製できる。耐熱性アミラーゼ水溶液の充填は、主食材3の充填前に行っても、主食材3の充填後、冷凍食品用スープA’の充填前に行ってもよい。また、冷凍用容器5は、底面の中央が凸上に盛り上がっているが、図10に記載された冷凍用容器5のように底面の中央が平坦のものであってもよい。
その他の食材として、チャーシュー、メンマ、ホウレンソウ、天ぷら、油揚げ、揚げ玉などの具材を本発明に係る冷凍食品に添加することができる。添加方法としては、予め凍結した具材を凍結した冷凍食品に添加してもよく、主食材3を凍結する際に添加させ一緒に凍結させてもよい。
凍結した冷凍食品は、電子レンジ調理する場合は、電子レンジ調理可能な袋や容器に入れ包装し、市販することができる。鍋炊き調理の場合は、耐冷性のあるプラスチック製のフィルムに包装したり、直火調理可能なアルミ皿に本発明に係る冷凍食品を入れ、耐冷凍性のあるプラスチックフィルムで包装することで市販するができる。
(3)調理
本発明に係る冷凍食品の調理方法としては、特に限定はなく、電子レンジ調理や鍋炊き調理で喫食することができる。冷凍食品が米飯類やパスタ、あんかけ焼きそば、焼きそば、焼うどんなどを電子レンジ調理する場合は、電子レンジ調理後そのまま喫食可能であり、うどん、そば、ラーメンを電子レンジ調理する場合は、電子レンジ調理後、どんぶりに移して熱湯を注ぎ撹拌することで簡便に喫食できる。また、うどん、そば、ラーメンを鍋炊き調理する場合は、鍋やアルミ皿に水や熱湯を注ぎ、加熱することで喫食することができる。
このとき、本発明に係る冷凍食品用スープは、電子レンジ調理によって加熱されても60℃における粘度が250Pa・s以上と高いため、図12で示すように、加熱されても冷凍食品用スープが主食材3の上に落下せずに留まり、また、内層スープ1が外層スープ2の外へ溶出してしまうことがない。そのため、冷凍食品スープが焦げることもなく、また、色移りするような成分を内層スープ1に多く配合することにより、調理時に冷凍食品用スープから主食材3に色移りを防ぐことができる。
また、本発明に係る冷凍食品B”のように耐熱性アミラーゼを含む場合、電子レンジ調理などによる加熱調理の後に熱湯を注ぐことで冷凍食品用スープの外層スープ2に含まれる澱粉が溶解するため、喫食時のスープ粘度が低くすることができる。
以上のように、冷凍食品用スープを内側の内層スープを、外側の外層スープが包含するような二層構造とし、充填時の外層スープの粘度を270Pa・s以上とし、60℃における外層スープの粘度を250Pa・s以上とすることにより、冷凍食品の主食材に直接濃縮スープを直充填でき、包材が削減でき、簡便な調理が可能な冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することができる。また、醤油ラーメンのような有色の濃縮スープを冷凍食品に直充填する場合であっても、冷凍保存時や調理時の食品へのスープの色移りが少ない冷凍食品用スープ及び該冷凍食品用スープを含む冷凍食品を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
(各試験区の冷凍食品用スープの作製)
下記表1に記載された各試験区の配合のスープ用の資材を、水、粉体物、液体物の順にタンクに投入し良く撹拌した。次いで、タンクを加熱しながら良く撹拌した後、90℃達温後10分間温度を維持しながら撹拌し、35℃まで冷却した。このとき、35℃におけるスープ(二層スープの場合は、各層スープ)の粘度を測定した。また、60℃におけるスープ(二層スープの場合は、各層スープ)の粘度を測定した。粘度についてはB型粘度計で測定し、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉の重量が3重量%についてはローター1番で12rpm、その他のサンプルについてはローター4番で回転数0.3rpmで測定した。
Figure 2022034223000002
(実施例1)
小麦粉950gと澱粉50gを混合した原料粉に、食塩10gとかんすい製剤(炭酸ナトリウム50:炭酸カリウム45:重合リン酸塩5)10gを350mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作製した。これをロールで圧延して厚さ1.5mmの麺帯とし、20番の切刃(角刃)で切出して生麺線とした。次に、得られた生麺線を、1食分25~30cm(重量116g/食)にカットし、沸騰水にて30秒間茹で、冷水で1分間水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、水切し、調理済み麺(ラーメン)とした。
次いで、冷凍用容器(容器口径:150mm,容器底面径:140mm,容器高さ:54mm,容器凸部口径:108mm,容器凸部底面径:96.5mm,容器凸部高さ:8mm)に調理済み麺を170g充填した後、充填した調理済み麺の上に二液ノズルを用いて表1の実施例1に記載された内層スープが外層スープに包含するように麺塊上面の中央に充填した(麺密度0.46g/cm、麺塊厚み30mm)。次いで耐熱性アミラーゼとしてクライスターゼ(登録商標)T10S(1700U/g)を0.3重量%となるように溶解した溶液を10g冷凍用容器に充填し、-35℃のエアブラスト式急速凍結機に入れ45分間、冷凍処理し、トレーから取り出し、図7、図8及び図9で示したような冷凍食品(醤油ラーメン)を作製した。作製した冷凍食品は、電子レンジ調理用の袋にいれて試験サンプルとした。
(実施例2)
表1の実施例2に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(実施例3)
表1の実施例3に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(実施例4)
表1の実施例4に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(実施例5)
表1の実施例5に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(実施例6)
表1の実施例6に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(比較例1)
表1の比較例1に記載された濃縮スープを二液ノズルの内層ノズルから充填し、耐熱性アミラーゼ溶液を添加しない以外は、実施例1方法に従って試験サンプルを作製した。
(比較例2)
表1の比較例2、3に記載された濃縮スープを二液ノズルの内層ノズルから充填する以外は、比較例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
(比較例3)
表1の比較例2、3に記載された濃縮スープを二液ノズルの内層ノズルから充填する以外は、実施例1方法に従って試験サンプルを作製した。
(比較例4)
表1の比較例4に記載された内層スープ、外層スープを充填する以外は実施例1の方法に従って試験サンプルを作製した。
各試験例の冷凍麺類サンプルを調理し評価を行った。調理方法は、試験例サンプルを電子レンジにて500Wで5分30秒間調理して行い、どんぶりに移した後に、熱湯を250g注ぎスープと麺を撹拌して行った。評価については、充填時のスープの垂れ落ち、二層スープに関しては内層スープの包含性、調理時の麺への色移り、スープの垂れ落ち、スープの溶解性・粘度について行った。また、各サンプルは、虐待処理したものについても調理を行い、調理後の色移りについて評価を行った。虐待処理は、-18℃の冷蔵庫に14日間保存し、1回30分かけて庫内温度が5℃まで昇温し、30分かけて-18℃まで降温する処理を6時間ごとに行った。
評価方法は、4段階評価で行った。充填時のスープの垂れ落ちについては、麺塊内部への垂れ落ちがほとんどないものを◎、麺塊の内部に垂れ落ちはあるが軽微である(内層スープが麺塊と接触していない)ものを○、電子レンジ用包材までは垂れ落ちがないが麺塊内部深くまで垂れ落ちがある(内層スープが麺塊と接触している)ものを△、電子レンジ用包材まで垂れ落ちがあるものを×とした。
二層スープについては、内層の包含性について評価を行った。内層スープが外層スープ内部に非常に良好に包含されているものを◎、内層スープが外層スープ内部に包含されているものを○、内層スープが外層スープの一部が出てしまっているものを△、内層スープが外層スープから大部分が出てしまっているものを×とした。
調理時の色移りについては、麺線の色移りが全くないものを◎、麺線の色移りはほとんどなく薄く軽微なものを○、麺への色移りが部分的にあり気づくものを△、麺への色移りが著しく、目立つものを×とした。
調理時のスープの垂れ落ちについては、電子レンジ調理後にスープの麺塊内部への垂れ落ちがほとんどないものを◎、麺塊の内部に垂れ落ちはあるが麺塊の底面までは垂れ落ちていないものを○、僅かに麺塊の底面まで垂れ落ちがあるが電子レンジ用包材までは垂れ落ちがないものを△、電子レンジ用包材まで垂れ落ちがあるものを×とした。
調理時のスープの粘度・溶解性については、お湯に溶解し、別添スープで調理した際のスープの粘度とほとんど変わらないものを◎、お湯に溶解し、僅かに別添スープで調理した際のスープの粘度より高いが概ね良好なものを○、お湯に溶解しづらく、別添スープで調理した際のスープの粘度が高く劣るものを△、お湯に溶解させることが困難で、別添スープで調理した際のスープの粘度が著しく高く不可なものを×とした。
また、各試験サンプルを虐待処理したサンプルを同様に調理を行い、調理時の色移りについて評価を行った。
各試験例の官能評価結果について下記表2に示す。
Figure 2022034223000003
比較例1で示すように、通常の濃縮スープをそのまま充填する場合には、充填時からスープが麺塊から垂れ落ち、調理時に麺に色移りするだけでなく、スープが焦げて風味が悪いものとなった。また、図13で示すように、虐待処理によりさらに麺にスープの色が移った。
比較例2で示すように、主に澱粉によりスープに粘性を持たせることにより、充填時にスープが垂れ落ちず、調理時もスープが垂れ落ちることがないため、ある程度麺線への色移りや焦げによる風味劣化を抑制することができた。しかしながら、スープをお湯で溶かしたときのスープの溶解性が悪く、澱粉によりスープの粘度が増加した。
比較例3で示すように、耐熱性アミラーゼの氷層を麺塊に付着させることにより、比較例2と比較し、調理時のスープの溶解性が向上し、スープ中の澱粉が分解されるため粘度がほとんど発生しなくなった。しかしながら、図14で示すように、虐待処理を行うと麺塊と濃口醤油やカラメル色素を含むスープが直接接触しているため、品温の上昇に伴いスープが溶解し色移りが発生したことから冷凍保存中の色移りが起きると考える。
それに対し、実施例1~6で示すように、冷凍食品用スープを二層化し、色移りしやすい濃口醤油やカラメル色素を内層に充填することで、調理時の色移りだけでなく、図12で示すように虐待時の色移りも防ぐことができることから、冷凍保存中の色移りも防ぐことができると考える。
しかしながら、比較例4で示すように、外層スープの澱粉添加量が低く、粘度が低い場合には、充填時に内層スープを外層スープが包含することが難しく、また、スープが麺塊内部に落下してしまうため、調理時の色移りが発生するだけでなく、虐待処理により麺にスープの色が移った。したがって、外層スープの充填時の粘度としては、270Pa・s以上、より好ましくは、550Pa・s以上が好ましいと考える。また、澱粉の含量としては、5重量%以上、より好ましくは7重量%以上が好ましいと考える。逆に、実施例5で示すように、外層スープの澱粉添加量が多く、粘度が高い場合は、熱湯の溶解性が悪く耐熱性アミラーゼによる分解に時間がかかり、スープの粘度が高めとなった。また、充填も難しくなるため澱粉含量としては15重量%以下、より好ましくは12重量%以下、充填時の粘度としては、2000pa・s以下、より好ましくは1610Pa・s以下が好ましいと考える。
実施例6で示すように、内層スープの重量に対して外層スープの重量が少なくなると充填時の包含性が悪くなり、内層スープが麺塊と接触しやすくなり、色移りが発生しやすくなった。よって、内層スープを包含する外層スープの量としては2倍以上が好ましいと考える。しかしながら、外層スープの量を増やせば増やすほど、冷凍食品用スープの重量が重くなり、解凍に時間がかかるだけでなく、澱粉を分解するためにより多くの酵素が必要となるため、実質的に10倍以下が好ましいと考える。

Claims (10)

  1. 二層構造を有する冷凍食品用スープであって、
    前記二層構造は、内側の内層スープを、外側の外層スープが包含する構造であり、
    充填時の前記外層スープの粘度が270Pa・s以上であり、
    60℃の前記外層スープの粘度が250Pa・s以上であることを特徴とする冷凍食品用スープ。
  2. 前記外層スープが、ゼラチン、澱粉または増粘多糖類の少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品用スープ。
  3. 前記外層スープが少なくとも澱粉を含み、前記澱粉がリン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉またはアセチル化リン酸架橋澱粉の少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1または2記載の冷凍食品用スープ。
  4. 前記冷凍食品用スープ中の前記外層スープの重量は、前記内層スープの重量の2倍以上であることを特徴とする請求項1~3何れか一項記載の冷凍食品用スープ。
  5. 前記内層スープの方が前記外層スープよりも色素成分を多く含むことを特徴とする請求項1~4何れか一項記載の冷凍食品用スープ。
  6. 前記冷凍食品用スープが冷凍食品に直充填されることを特徴とする請求項1~5記載の冷凍食品用スープ。
  7. 請求項1~6何れか一項記載の冷凍食品用スープを含むことを特徴とする冷凍食品。
  8. 前記冷凍食品が冷凍麺類であることを特徴とする請求項7記載の冷凍食品。
  9. 前記冷凍食品中に耐熱性アミラーゼを含むことを特徴とする請求項7または8記載の冷凍食品。
  10. 内側の内層スープを、外側の外層スープが包含する二層構造を有する冷凍食品用スープの製造方法であって、
    前記外層スープは、充填時の粘度が270Pa・s以上であり、60℃の粘度が250Pa・s以上であり、 二液充填ノズルを使用して製造されることを特徴とする冷凍食品用スープの製造方法。
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