JP2022029301A - 磁性樹脂複合材料及び樹脂磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂磁石に成形する際の成形加工性と耐水性とを合わせ持つ磁性樹脂複合材料を提供する。【解決手段】(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂を含有する磁性樹脂複合材料であって、前記(B)バインダー樹脂は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、前記(A)磁性粉体及び前記(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(A)磁性粉体を57~98質量部、前記(B)バインダー樹脂を2~43質量部含有し、前記(A)磁性粉体及び前記(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂を0.7~39質量部、前記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.2~27質量部含有する、磁性樹脂複合材料である。【選択図】なし

Description

本開示は、磁性樹脂複合材料及び当該磁性樹脂複合材料を用いた樹脂磁石に関する。
樹脂磁石は焼結磁石に比べて成形加工性に優れており、近年特に注目され、工業的利用範囲が広がっている。このような樹脂磁石の中でも、磁性粉体としてSmCo系、NdFeB系、SmFeN系の希土類磁石材料を用いた、高磁気特性樹脂磁石の市場が拡大している。これらの樹脂磁石は、射出成形、プレス成形、押出成形、紡糸及びその他の加熱成形等で成形されるが、中でもポリアミド又はポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂を用いる樹脂磁石は、複雑形状の磁石又は薄肉磁石等への加工に代表されるような高い設計自由度を有し、一体成形によってセミアセンブリ化が可能となり製造工数減少によるコストダウンで市場性を高度化してきている。
このような樹脂磁石は、磁性粉体と、該磁性粉体をなす粒子同士を結合するバインダー樹脂と、各種添加剤とを混練してなる磁性樹脂複合材料を、射出成形、プレス成形、押出成形、紡糸等の方法により得られるものである。例えば射出成形により樹脂磁石を得る場合には、熱可塑性樹脂、カップリング剤、滑剤等の各種添加剤と、磁性粉体とからなる混合物を、押出機等により混練した後にペレット或いは粉体に加工し、得られたペレット或いは粉体を射出成形機に導入している。
磁性樹脂複合材料に含まれるバインダー樹脂としては、例えば特許文献1に記載されているようなポリアミド12樹脂、又は、例えば特許文献2に記載されているようなポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPS樹脂とも表記する)が多く使用されている。ポリアミド12樹脂は、機械強度又は流動性、磁粉の充填性又は耐リサイクル性に優れる等、幅広い特性を有していることから、最も普及したバインダー樹脂である。
また特許文献3では、芳香族ポリアミド9Tと、ポリフェニレンエーテルをポリスチレンで変性させた変性ポリフェニレンエーテル樹脂と、を混合させた材料をバインダー樹脂とすることによって、リフロー性又は低吸水性の検討がなされている。
特開2005-162802号公報 特開2017-174929号公報 特許第4154685号公報
一般的にこのような磁性樹脂複合材料においては、樹脂磁石としたときの磁気特性を向上させるために、磁性粉体の含量を極力多くする必要がある。しかしながら、磁性粉体の含有量が多いほど磁性樹脂複合材料の流動性が低下し、成形加工性が低下する。磁性樹脂複合材料の流動性が低下すると、樹脂磁石成形時の成形加工性が悪くなるだけではなく、磁性粉体をなす粒子の配向性が低下し、磁性粉体を多くしたことにより期待出来る磁気特性の向上が得られない。さらに、易流動性を確保するためにバインダー樹脂の溶融温度を高く設定すると、表面活性が高い磁性粉体は混練時に酸化劣化を起こしやすくなり、保磁力、磁化等の劣化により磁気特性が低下することになる。
上記特許文献1で使用されるポリアミド12樹脂は、比較的流動性に優れるため、上記のような課題は生じにくいが、構造中のアミド基に起因して吸水性が比較的高く、熱水中での浸漬といった厳しい環境下では、吸水による寸法変化、加水分解による強度低下が起こりやすい。また、上記特許文献2で使用されるPPS樹脂は、ポリアミド12樹脂と比べて機械強度又は磁粉の充填性、靭性に劣り収縮寸法変化を生じやすいものの、耐熱性、耐水性を有しており、過酷な環境下で使用される樹脂磁石のバインダー樹脂として使用されている。しかし、ポリアミド樹脂12又はポリアミド樹脂6と比べ融点が高いPPS樹脂は、特に上述した流動性の課題が生じやすい傾向にある。芳香族ポリアミドも耐熱性に優れるが、融点が高く成形温度が高いため同様に改良が求められている。
このため、磁気特性を向上させる目的で磁性粉体の含有量を多くしても、磁性樹脂複合材料の流動性の低下とともに、期待される磁気特性が得られないのが現状である。このような問題点を解決するために、磁性樹脂複合材料のバインダー樹脂について多くの添加方法や混練方法等について検討がなされている。
本開示は、樹脂磁石に成形する際の成形加工性と耐水性とを合わせ持つ磁性樹脂複合材料を提供することを目的としたものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、磁性樹脂複合材料のバインダー樹脂として、ポリアミド樹脂に、ポリフェニレンエーテル樹脂を加えることで、優れた、成形加工性及び耐水性の両立が図れることを明らかにして、本発明を完成した。
[1]本発明は、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂を含有する磁性樹脂複合材料であって、
前記(B)バインダー樹脂は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、
前記(A)磁性粉体及び前記(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(A)磁性粉体を57~98質量部、前記(B)バインダー樹脂を2~43質量部含有し、
前記(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂を0.7~39質量部、前記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.2~27質量部含有する、磁性樹脂複合材料である。
[2]本発明において、前記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度が、0.25~0.55dl/gの範囲であることが好ましい。
[3]本発明は、上記[1]又は[2]に記載の磁性樹脂複合材料を含む樹脂磁石である。
本開示の磁性樹脂複合材料によれば、樹脂磁石に成形する際の成形加工性と耐水性とを高い水準で合わせ持つことができる。
本開示によれば、優れた成形加工性及び耐水性を有する磁性樹脂複合材料から好適に樹脂磁石に成形できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
「磁性樹脂複合材料」
本実施形態の磁性樹脂複合材料は、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂を含有し、(B)バインダー樹脂は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、(A)磁性粉体を57~98質量部、(B)バインダー樹脂を2~43質量部含有し、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂を0.7~39質量部、(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.2~27質量部含有する。本実施形態の磁性樹脂複合材料は、上記構成をとることにより、優れた流動性を有し、かつ高い耐水性を併せ持つ。
<(A)磁性粉体>
本実施形態における(A)磁性粉体としては、磁性材料の粉体であれば特に限定はされない。当該磁性材料としては、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系、又はフェライト系等が適している。NdFeB系あるいはSmFeN系において、Feの一部をCoで置換した材料は、耐酸化性が高く特に有用な材料である。又、これらの磁性材料を混合して使用することも可能であり、特に磁気特性のバランスを考慮した混合系は有用である。
本実施形態に使用する(A)磁性粉体は、以下に示す耐酸化性、耐水性、樹脂との濡れ性改善、耐薬品性を改善する目的で表面処理が施されていることが好ましい。なお、これらの処理は必要に応じて組み合わせて用いることが可能である。表面処理方法は、必要に応じて選択されるが、基本的には湿式、ミキサーなどの乾式で行われる。
上記表面処理方法において使用する処理剤としては、第一に、P-O結合を有するリン化合物が挙げられる。処理剤として使用するリン化合物は、例えば、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等のリン酸塩系、次亜リン酸系、次亜リン酸塩系、ピロリン酸、ポリリン酸系等の無機リン酸、有機リン酸が適用可能である。
本実施形態に適用する磁性粉体の表面処理方法の一例としては、以下の(i)~(iii)が挙げられる。(i)上記リン化合物等のリン酸源を基本的には水中、又はIPAなどの有機溶媒中に溶解させ、必要に応じて硝酸イオン等の反応促進剤、Vイオン、Crイオン、Moイオン等の結晶微細化剤を添加したリン酸浴中に磁性粉を投入し、当該磁性粉表面にP-O結合を有する不動態膜を形成させた後、このリン酸塩皮膜である不動態膜に加えて、湿式又は乾式により、シリカ、アルミナ又はチタニア等の無機酸化物を含有するサブミクロン又はナノオーダーの粒子を用いて、これらシリカ、アルミナ又はチタニア膜等の無機酸化物膜を磁性粉体表面に吸着させて膜を形成させる処理法、(ii)有機金属を用いたゾルゲル法、及び(iii)磁性粉体表面に膜を形成させる無機酸化物処理膜形成処理。
本実施形態に係る磁性樹脂複合材料中の(A)磁性粉体の含有量は、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、57~98質量部、好ましくは75~95質量部、さらに好ましくは86~93質量部である。(A)磁性粉体の含有量が57質量部より少ない場合は残留磁束密度が低く、永久磁石用途としての実用性は小さいうえに、本実施形態における(B)バインダー樹脂の流動特性に対する効果が小さくなる。また、(A)磁性粉体の含有量が98質量部を越えると、単位体積当たりの磁性粉量が多くなる反面、(B)バインダー樹脂量が少ないため流動性に劣り、これが混練及び成形工程にて充填不良等が増え実用性に欠ける。
また、本実施形態に用いる(A)磁性粉体の平均粒径は10~500μmの範囲にあることが好ましい。さらに、本実施形態の磁性樹脂複合材料の特徴である流動特性に加えて、寸法安定性、表面平滑性にも特に優れた材料を作成する場合、磁性粉体の平均粒径が50~300μmであることが好ましい。さらに密度向上のため、粒度に適当な分布を持たせることも有効である。本実施形態において、上記磁性粉体の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、メジアン径で表されるものとする。
<(B)バインダー樹脂>
本実施形態の(B)バインダー樹脂は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含む。
((B-1)脂肪族ポリアミド樹脂)
本実施形態において(B)バインダー樹脂に使用する(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド12、ポリアミド10、ポリアミド6が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ポリアミドであるポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612が好ましく、ポリフェニレンエーテルとの混練容易性の観点から、融点の高いポリアミド66がより好ましく、耐水性をより向上させる観点から、ポリアミド612がより好ましい。
また、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂には、耐熱性、機械的強度、弾性、寸法精度、耐油性、耐薬品性、耐候性等の要求性能を適正なものにするために、例えば、脂環式ポリアミド又は半芳香族ポリアミド及びこれらのポリアミドを構成する2種類以上の単位(単量体)の共重合で得られる共重合物をさらに含んでいてもよい。脂環式ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド12C、ポリアミド10C、ポリアミド9C、ポリアミド6Cが挙げられる(Cは1,4-シクロヘキサンジカルボン酸由来であることを表す。)。半芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド12T、ポリアミド11T、ポリアミド10T、ポリアミド9T、ポリアミド8T、ポリアミド7T、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド12I、ポリアミド11I、ポリアミド10I、ポリアミド9I、ポリアミド8I、ポリアミド7I、ポリアミド6I、ポリアミド4I(Tはテレフタル酸、Iはイソフタル酸由来であることを表す。)が挙げられる。これらの中でも半芳香族ポリアミドである、ポリアミド4T、ポリアミド6I、ポリアミド6Tが好ましく、ポリアミド6Iがより好ましい。
また、磁性樹脂複合材料中の(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の含有量としては、(A)磁性粉体、(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、0.7~39質量部の範囲にあることが必要である。0.7質量部未満の樹脂量では流動性が極端に悪くなり、39質量部を超えると、(A)磁性粉体の含有量が少なくなるので磁気特性が低下し、永久磁石用途としての実用性に乏しい。好ましい(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂量の範囲としては、1.2~39質量部、より好ましい樹脂量の範囲としては、3~22質量部、さらに好ましい樹脂量の範囲としては、4~12.5質量部である。
上記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の粘度数(ISO307(JIS-K6933)に準拠して25℃において96%濃度の硫酸で測定される。)は、70~350mL/gであることが好ましく、80~200mL/gであることがより好ましい。当該粘度数が上記範囲であることにより、(B)バインダー樹脂の流動性と機械的強度をより高めることが可能となる。上記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂は、粘度数が異なる複数のポリアミドの混合物であっても良い。粘度数が異なる複数のポリアミドを使用した場合においても、ポリアミド混合物の粘度数は上記範囲内にあることが望ましい。ポリアミド混合物の粘度数は、所望の混合比で混合したポリアミド混合物の粘度数を測定することで確かめることができる。
さらに上述の(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の末端基は、ポリフェニレンエーテルとの反応に関与する。ポリアミドは末端基としてアミノ基又はカルボキシル基を有しているが、一般的にカルボキシル基濃度が高くなると、耐衝撃性が低下して流動性が向上し、アミノ基濃度が高くなると耐衝撃性が向上して流動性が低下する。上記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の末端基のアミノ基/カルボキシル基濃度比は、9/1~1/9であることが好ましく、6/4~1/9であることがより好ましく、5/5~1/9であることがさらに好ましい。
上記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の末端基としてのアミノ基濃度は、50μmol/g以下であることが好ましく、40μmol/g以下であることがより好ましく、35μmol/g以下であることがさらに好ましく、また、10μmol/g以上であることが好ましい。末端アミノ基濃度が50μmol/g以下であると、(B)バインダー樹脂の金型内での流動性の大幅な低下、成形品の加熱後の変形の増大を防止できる。
上記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の末端基は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることで調整することができ、例えば、ポリアミド重合時に、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノアミン、ジアミン、ラクトン類、ヒドロキシカルボン酸、アミノアルコール等からなる群から選ばれる1種以上を添加する方法等により調整することができる。
((B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂)
本実施形態で用いられる(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に限定されることなく、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、及び両者の混合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本実施形態において、(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂成分の固有粘度[η](0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)は、(B)バインダー樹脂の流動性を向上させる観点から0.25~0.55の範囲、好ましくは0.25~0.50の範囲、さらに好ましくは0.25~0.45の範囲のものを用いることが好ましい。(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度は、十分な機械物性、特に引張強度保持の観点から0.25dl/g以上が好ましく、成形加工性の観点から0.55dl/g以下が好ましい。なお、本実施形態において、固有粘度は、重合時間や触媒量により制御することができる。
本実施形態の(B)バインダー樹脂において、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は0.2~27質量部である。(B)バインダー樹脂中の(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有割合が上記範囲にあると、得られた成形品において優れた耐水性と成形性とを得ることができる。(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有割合は、好ましくは0.3~18質量部、より好ましくは0.5~10質量部であり、さらに好ましくは1~6質量部である。
-ポリフェニレンエーテル-
本実施形態の(B)バインダー樹脂において、上記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の一例であるポリフェニレンエーテルとしては、下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位(フェニレンエーテル単量体に由来する繰り返し単位)を有する、ホモ重合体又は共重合体が挙げられる。上記ポリフェニレンエーテルは、1種のみを単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2022029301000001
(上記式(1)及び(2)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~9のアリール基又はハロゲン原子を表す。但し、R及びRは同時に水素原子ではない。また、上記式(1)及び(2)中の*は、他の原子との結合を表す。)
上記ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル);ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル);ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル);ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル);2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52-17880号公報に記載されてあるような2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体又は2-メチル-6-ブチルフェノールとの共重合体);等が挙げられる。中でも、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体、又はこれらの混合物が好ましい。
ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されることなく、従来公知の方法を用いることができる。ポリフェニレンエーテルの製造方法の具体例としては、例えば、第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として用いて、例えば、2,6-キシレノールを酸化重合することによって製造する、米国特許第3306874号明細書等に記載される方法、あるいは米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52-17880号公報、特開昭50-51197号公報、又は特開昭63-152628号公報等に記載される方法等が挙げられる。
-変性ポリフェニレンエーテル-
上記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂は、全部又は一部が変性された変性ポリフェニレンエーテルであってもよい。変性ポリフェニレンエーテルとしては、炭素-炭素二重結合又は三重結合、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、及びグリシジル基からなる群から選択される少なくとも1種以上の基を有する1種以上の変性化合物により、分子構造内において変性されたポリフェニレンエーテルが挙げられる。当該変性化合物としては、その分子構造内に少なくとも1個の、炭素-炭素二重結合又は三重結合を有し、かつカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基のいずれか1種以上の基を有することが好ましい。上記変性化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子構造内に炭素-炭素二重結合及びカルボン酸基又は酸無水物基を有する上記変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。中でも、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。また、これら不飽和ジカルボン酸の2個のカルボキシル基のうちの1個又は2個がエステルになってもよい。
分子構造内に炭素-炭素二重結合及びグリシジル基を有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。中でも、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが好ましい。
分子構造内に炭素-炭素二重結合及び水酸基を有する変性化合物としては、アリルアルコール、4-ペンテン-1-オール、1,4-ペンタジエン-3-オール等の一般式C2n-3OH(nは正の整数)、一般式C2n-5OH(nは正の整数)、一般式C2n-7OH(nは正の整数)等で表される不飽和アルコール等が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、ラジカル開始剤の存在下又は不存在下で、(1)100℃以上ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、中でも(1)又は(2)の方法が好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の、上記変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.3~5質量部であることがより好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルを製造する際にラジカル開始剤を用いる場合、ラジカル開始剤の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.001~1質量部であることが好ましい。
上記変性ポリフェニレンエーテルにおける上記変性化合物の付加率は、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~3質量部であることがより好ましい。変性ポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/又は変性化合物の重合体が、1質量部未満残存していても構わない。
本実施形態において、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂と(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂とを併用した(B)バインダー樹脂を使用する場合、当該(B)バインダー樹脂における(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂と(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂と(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の合計量100質量部に対して、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の含有量は40~90質量部、(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は60~10質量部であることが好ましく、より好ましくは(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂の含有量が60~80質量部、(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が40~20質量部である。
得られた(B)バインダー樹脂の流動性は、ISO1133で測定されるMVR(280℃、2.16kg)にて20~50g/10分であることが好ましく、より好ましくは25~45g/10分、さらに好ましくは25~40g/10分である。20g/10分以上であることで、(A)磁性粉体との混練をより容易とできる傾向にあり、50g/10分以下であることで、より優れた機械強度が得られる傾向にある。
(カップリング剤)
本実施形態の磁性樹脂複合材料には、カップリング剤又は/及び滑剤を添加することもできる。添加する段階は特に問わない。本実施形態における好ましいカップリング剤としては、シランカップリング剤及びシラン化合物として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン)、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられ、チタン系カップリング剤として、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、単独もしくは二種以上で用いることができる。また、これらカップリング剤の種類は、(B)バインダー樹脂として用いる樹脂の種類により適宜最適なものを選択する。本実施形態においては、その極性及び沸点等の物性から、シラン化合物が好ましく、さらに、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが特に好ましい。
(滑剤)
本実施形態における滑剤としては、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、12-オキシステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2-エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N-ステアリルスアリン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらの変性物からなるポリエーテル類、シリコーンオイル、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカゲル等の無機化合物粉体等が挙げられる。
上記の滑剤は、これらの一種又は二種以上が用いることができ、滑剤の添加量は(A)磁性粉体と(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1~2質量部である。
(その他添加剤)
本実施形態の磁性樹脂複合材料は、カップリング剤、又は滑剤以外のその他添加剤を含んでもよい。当該その他添加剤としては、公知の添加剤、熱安定剤、後述の熱老化防止剤又は酸化防止剤等の安定剤が挙げられる。
さらに、本実施形態の磁性樹脂複合材料は、(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の耐熱性を向上させるために、熱老化防止剤、酸化防止剤等の安定剤を、混合、混練、成形の各段階において添加してもよく、或いは(B)バインダー樹脂、又はカップリング剤、滑剤、その他添加剤等の添加剤にあらかじめ添加することができる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、銅系の酸化防止剤等を用いることができる。
「樹脂磁石」
本実施形態の磁性樹脂複合材料は、成形加工して樹脂磁石として用いることができる。当該樹脂磁石は、各種モーター、エンコーダー、スピーカー、オイルポンプ、振動子やバランサー、車載用電磁機器(電動機、発電機等)スピードセンサー、流量センサーやヒートシンクなどの放熱部品、導電部品等に用いることができる。
「磁性樹脂複合材料及び樹脂磁石の製造方法」
次に本実施形態の磁性樹脂複合材料及び樹脂磁石の製造方法について説明するが、特に以下に記載した製造方法に限定されるものではない。
本実施形態の磁性樹脂複合材料の製造方法は、(B)バインダー樹脂を製造するバインダー樹脂製造工程と、前記バインダー樹脂製造工程から得られた(B)バインダー樹脂を用いて磁性樹脂複合材料を製造する磁性樹脂複合材料工程と、を有する。また、本実施形態の樹脂磁石の製造方法は、前記磁性樹脂複合材料工程により得られた磁性樹脂複合材料を用いて樹脂磁石に成形する成形工程をさらに有する。以下、各工程について説明する。
1.バインダー樹脂製造工程
(A)磁性粉体、及び(B)バインダー樹脂、ならびに必要に応じカップリング剤、滑剤、及びその他添加剤の混合と混練を一度の工程で行なってもよい。好ましくは(B)バインダー樹脂の混練物を得たのちに(A)磁性粉体、ならびに必要に応じカップリング剤、滑剤、及びその他添加剤を混合し混練する多段工程をとることが好ましい。(B)バインダー樹脂を得るに当たっては、(B)バインダー樹脂の原料の一例である(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂をそれぞれ又は両者を混合するが、その混合方法は特に限定されるものではなく、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で事前混合し、溶融混練押出機に投入するか、もしくはそれぞれの原料を個別に押出し機へフィードしてもよい。溶融混練では(B)バインダー樹脂の原料及び必要により変性化合物、熱安定剤、滑剤、その他添加剤を添加してもよい。溶融温度は50~320℃の領域で、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂と(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を溶融しながら混練することができる。
2.磁性樹脂複合材料製造工程
得られた(B)バインダー樹脂と(A)磁性粉体は必要によりカップリング剤、滑剤、その他添加剤を加えてブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押し出し機、二軸押し出し機等を用いて50~350℃の温度領域で、(B)バインダー樹脂を溶融しながら混練する混錬工程である。(B)バインダー樹脂はペレットでも粒状に粉砕したものでもよい。
混練温度は、一般に(B)バインダー樹脂が溶融し、かつ分解しない温度領域から選ばれる。混練物は、ストランドやシート状に押し出した後カッテイング或いは、ホットカット、アンダーウオーターカット、もしくは冷却固化したブロック状の物を粉砕機にかける、といった方法でペレット状態やパウダー状態にして成形に供される。こうして本実施形態の磁性樹脂複合材料を得ることができる。
3.成形工程
上記混練工程で得られた磁性樹脂複合材料から、樹脂磁石を得るためには、さらに成形加工処理を施す。中でも高い磁気特性をもつ樹脂磁石を製造する方法として、ペレットあるいはパウダー状の磁性樹脂複合材料を加熱溶融し、必要に応じ磁場をかけながら、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、紡糸する方法が挙げられる。押し出し成形の場合には、混練と共に行うこともできる。これらの成形法のなかで、特に射出成形法は、表面平滑性及び磁気特性に優れた樹脂磁石が得られると共に、成形形状の自由度が大きいことから有用性が大きい。
得られた成形体は、通常さらに着磁を行って、永久磁石としての性能を高めることができる。着磁は通常行われる方法、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等によって行われる。例示した方法により、本実施形態の磁性樹脂複合材料を用いて、プレス成形、押出成形又は射出成形法等で、樹脂磁石を作成することが可能である。
以下、本実施形態を実施例、比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本実施形態は実施例などにより何ら限定されるものではない。
まず以下に、実施例、比較例で使用した(A)磁性粉及び(B)バインダー樹脂、ならびに磁性樹脂複合材料の評価方法について説明する。
(A)磁性粉体
愛知製鋼社製のNdFeB系異方性磁石粉末、マグファイン(登録商標)MF18P、メジアン径X50:90-130μm(カタログ値)
(B)バインダー樹脂
(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂
樹脂(B-1-a):ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(PA66)(粘度数=120mL/g、末端アミノ基濃度=30μmol/g、末端カルボキシル基濃度=110μmol/g
樹脂(B-1-b):ドデカン二酸およびヘキサメチレンジアミンからなる重合物であるポリアミド612樹脂(粘度数=100mL/g)

樹脂(B-1-x):芳香族ポリアミド樹脂 ポリアミド9T クラレ社製ジェネスタ N1000A
(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂
樹脂(B-2-a):クロロホルム中30℃で測定した固有粘度が0.38であるポリ2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル
樹脂(B-2-b):クロロホルム中30℃で測定した固有粘度が0.47であるポリ2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル
樹脂(B-2-c):旭化成社製 ザイロン500H
<磁性樹脂複合材料の作製>
(実施例1)
実施例1の磁性樹脂複合材料を得るために、(A)磁性粉末と(B)バインダー樹脂とをそれぞれ下記表1中の組成比に従って96質量部と4質量部にそれぞれ計量した後、二軸押出機に投入して溶融混練した。この際、二軸押出機のスクリュー径は25mmφ、シリンダー設定温度は280℃であった。ノズルから吐出された混練物を空冷式ストランドカッターで切断して、ペレット状の磁性樹脂複合材料を作製した。そして、後述の評価方法に従って、耐水性評価及び流動性評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2~10)
表1の組成に従って、(A)磁性粉末と(B)バインダー樹脂との組成比以外は実施例1と同様の方法により、実施例2~10のペレット状の磁性樹脂複合材料を作製し、各実施例の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1~4)
表1の組成に従って、(A)磁性粉末と(B)バインダー樹脂との組成比以外は実施例1と同様の方法により、比較例1~4のペレット状の複合材料を作製し、実施例と同様に評価を行った。その結果を表1に示す。
<評価方法>
(耐水性評価:重量変化)
得られたペレット状の磁性樹脂複合材料及び複合材料を株式会社日本製鋼所製の射出成形機 「JSW J50ADS」を用いてISO-Aダンベル試験片を成形した。
成形によって得られた該試験片を真空乾燥48時間後の重量を測定した後、80℃・95RH%の恒温恒湿槽内で成形品を192時間放置する環境試験を実施した。試験後のサンプルを48時間かけて再び真空乾燥にて水分を除去し、試験前後における成型品の重量増加を測定することで錆の発生状況を確認した。重量が試験前に比べ0.6%増以下の場合を◎、0.6を超え1.2%以下を○、1.2%を超える場合を×とした。
(流動性評価(成形加工性):MVR)
ペレット状の磁性樹脂複合材料及び複合材料を、メルトフローインデクサー(東洋精機製)を使用して、ISO1133に基づき280℃、荷重5kgの条件でMVR測定を行った。
(B-1-a)と(B-2-b)を2:1で溶融混練したバインダー樹脂のMVR値で各磁性材複合材料のMVR値を除した値が0.1以上の場合を◎、0.005以上0.1未満を○、0.005未満を×とした。
Figure 2022029301000002
上記表1の実験結果から、実施例1~7の磁性樹脂複合材料は、比較例と比べて優れた流動性及び耐水性を有することが確認された。
(A)磁性粉体と、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含む(B)バインダー樹脂で構成された磁性樹脂複合材料は、優れた流動性を有し、かつ高い耐水性を併せ持つため、従来の樹脂磁石の大きな欠点を大幅に改良した斬新的なものであり、各種モーター、エンコーダー、スピーカー、オイルポンプ、車載用電磁機器(電動機、発電機等)スピードセンサー、流量センサーや振動子やバランサー、ヒートシンクなどの放熱部品、導電部品等としても有用である。

Claims (3)

  1. (A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂を含有する磁性樹脂複合材料であって、
    前記(B)バインダー樹脂は、(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂及び(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、
    前記(A)磁性粉体及び前記(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(A)磁性粉体を57~98質量部、前記(B)バインダー樹脂を2~43質量部含有し、
    前記(A)磁性粉体及び(B)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、前記(B-1)脂肪族ポリアミド樹脂を0.7~39質量部、前記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.2~27質量部含有する、磁性樹脂複合材料。
  2. 前記(B-2)ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度が、0.25~0.55dl/gの範囲である、請求項1に記載の磁性樹脂複合材料。
  3. 請求項1又は2に記載の磁性樹脂複合材料を含む樹脂磁石。
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