以下、図1~図7を参照して、この発明を適用した腕時計の一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられる後述するバンド取付部2がそれぞれ設けられている。
この腕時計ケース1の2時側、3時側、4時側、6時側、8時側、および10時側には、図1に示すように、それぞれスイッチ装置3が設けられている。この場合、2時側、3時側、4時側、8時側、および10時側の各スイッチ装置3は、それぞれ側面スイッチであり、6時側のスイッチ装置3は、上面スイッチである。
この腕時計ケース1の上側開口部には、図2~図4に示すように、時計ガラス4がガラスパッキン4aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋5が防水パッキン5aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール6が設けられている。
この時計モジュール6は、図示しないが、指針を運針させて時刻を指示する時計ムーブメント、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示部、これらを電気的に制御して駆動する回路部など、時計機能に必要な各種の部品を備えている。この場合、時計モジュール6の上面には、図2に示すように、文字板6aが配置されており、この文字板6aの上面における外周部には、見切り部材6bが設けられている。
ところで、腕時計ケース1は、図1~図4に示すように、ケース本体7と外装部材8とを備えている。ケース本体7は、剛性の高いポリアミド樹脂にカーボン繊維またはガラス繊維を含有させたもので、重量が軽く強度の高いものである。このケース本体7の側壁部中には、金属製の補強部材7aが埋め込まれている。この補強部材7aは、その一部がケース本体7の内部に突出している。
このケース本体7は、図5に示すように、全体がほぼリング状に形成されている。このケース本体7の12側と6時側との各側壁部には、バンド取付部2の本体取付部2aがそれぞれ設けられている。また、このケース本体7の2時側、3時側、4時側、8時側および10時側の各側壁部には、側面スイッチであるスイッチ装置3の釦頭部3aを収納する円筒形状の第1釦収納凹部7bがそれぞれ設けられている。
これら第1釦収納凹部7bそれぞれは、図5に示すように、円形状の周縁部がケース本体7の側壁部から少し突出して設けられている。この場合、3時側の第1釦収納凹部7bの両側部には、スイッチ装置3の釦頭部3aの両側部を保護する保護カバー10がそれぞれケース本体7の外部側に向けて突出していると共にケース本体7の上方にも突出して設けられている。
また、ケース本体7の6時側には、図5に示すように、上面スイッチであるスイッチ装置3の釦頭部3aを収納する四角形状の第2釦収納凹部7cがケース本体7の斜め上方に向けて開放されて設けられている。また、このケース本体7の9時側には、装飾突起11がケース本体7の外部側に向けて突出していると共にケース本体7の上方にも突出して設けられている。
このケース本体7の上面における開口部の縁部には、図5に示すように、外装部材8の後述する第1外装ケース15が配置されるリング状の上面突起12が上方に向けて突出して設けられている。この上面突起12は、上面が平坦面に形成されており、この平坦な上面には、防水パッキン13が配置されるパッキン溝12aが環状に設けられている。
この場合、上面突起12と3時側の保護カバー10との間には、図2および図5に示すように、3時側の係合凹部14が設けられている。すなわち、上面突起12は、ケース本体7の上方に突出した3時側の保護カバー10の高さよりも少し高く形成されている。これにより、3時側の係合凹部14は、上面突起12と3時側の保護カバー10との間に設けられている。
また、上面突起12と9時側の装飾突起11との間にも、図5に示すように、3時側の係合凹部14と同様、9時側の係合凹部14が設けられている。この場合にも、上面突起12は、ケース本体7の上方に突出した9時側の装飾突起11の高さよりも少し高く形成されている。これにより、9時側の係合凹部14は、上面突起12と9時側の装飾突起11との間に設けられている。
一方、外装部材8は、図1~図4および図6に示すように、ケース本体7上に配置される第1外装ケース15と、この第1外装ケース15上にスペーサ部材16を介して配置される第2外装ケース17と、を備えている。第1外装ケース15は、ケース本体7よりも剛性の高いステンレスなどの金属によって、ケース本体7の上面の外形とほぼ同じ形状で形成されている。
すなわち、この第1外装ケース15は、図2~図4および図6に示すように、ケース本体7の上面に配置された際に、3時側の2つの保護カバー10の各上端部と9時側の装飾突起11の上端部と6時側の第2収納凹部7cとが平面視において上側に露出するような形状に形成されている。
この第1外装ケース15は、図2~図4および図6に示すように、ケース本体7の上面に配置される外装本体18と、ケース本体7におけるバンド取付部2の本体取付部2aを覆う外装取付部2bと、を備えている。これにより、バンド取付部2は、ケース本体7の本体取付部2aと第1外装ケース15の外装取付部2bとによって構成されている。
この外装本体18の上面には、図2~図4および図6に示すように、時計ガラス4がガラスパッキン4aを介して嵌め込まれるリング状のガラス装着部20が上方に向けてに突出して形成されている。この外装本体18は、ケース本体7の上面に配置された際に、外装本体18の下面がケース本体7の上面突起12上に配置され、この上面突起12のパッキン溝12a内に配置された防水パッキン13に圧接して、ケース本体7と第1外装ケース15との間の防水を図るように構成されている。
また、外装本体18の下面には、図2~図4および図6に示すように、ケース本体7の上面に配置されるほぼリング状の補強突起21がケース本体7の上面に向けて突出して設けられている。この補強突起21は、ケース本体7の上面に配置された際に、ケース本体7の3時側の係合凹部14内と9時側の係合凹部14内とにそれぞれ配置されるように構成されている。
一方、第2外装ケース17は、図1~図4に示すように、ステンレスなどの剛性の高い金属によってほぼリング状に形成されている。この第2外装ケース17は、第1外装ケース15の上面にスペーサ部材16を介して配置されて、第1外装ケース15のガラス装着部20の外周に配置されるように構成されている。
すなわち、この第2外装ケース17は、図1~図4に示すように、その内径が第1外装ケース15のガラス装着部20の外径とほぼ同じ大きさで、外径が第1外装ケース15の外径とほぼ同じ大きさに形成されている。また、この第2外装ケース17は、上下方向の長さ(厚み)が第1外装ケース15のガラス装着部20における上下方向の長さ(高さ)とほぼ同じ長さに形成されている。
これにより、第2外装ケース17は、図2~図4に示すように、第1外装ケース15上にスペーサ部材16を介して配置された際に、第2外装ケース17の上部が第1外装ケース15のガラス装着部20の上方にスペーサ部材16の厚み分だけ突出して配置されるように構成されている。この第2外装ケース17の内周面の上部には、ガラス装着部20の上面を覆う庇部17aが設けられている。
また、この第2外装ケース17は、図1に示すように、外周部における2時側、4時側、6時側、8時側および10時側にそれぞれ対応する複数の個所に複数の切欠き部17bが設けられている。この場合、2時側、4時側、8時側および10時側の各切欠き部17bは、2時側、4時側、8時側および10時側の各第1釦収納凹部7bの外端部を露出させるように設けられている。6時側の切欠き部17bは、6時側の第2釦収納凹部7cに配置されたスイッチ装置3の釦頭部3aを露出させるように設けられている。
スペーサ部材16は、図2~図4に示すように、ウレタン樹脂などの軟質合成樹脂によってリング状に形成されている。このスペーサ部材16は、断面形状がほぼ長方形の板状に形成されている。また、このスペーサ部材16は、その内径がガラス装着部20の外径とほぼ同じ大きさで、外径が第2外装ケース17の外径よりも少し小さい大きさで形成されている。これにより、スペーサ部材16は、第1外装ケース15と第2外装ケース17との間に挟まれて覆われ、外部からほとんど見えないように構成されている。
ところで、第1外装ケース15は、図2および図3に示すように、複数の第1ねじ部材22と複数の締結部材23とによってケース本体7に取り付けられている。複数の第1ねじ部材22それぞれは、第1外装ケース15の第1ねじ取付孔24を通してケース本体7の第1ねじ孔25に螺合して第1外装ケース15をケース本体7に取り付けるように構成されている。
第1ねじ取付孔24は、図6に示すように、第1外装ケース15の1時側、5時側、7時側、11時側の4か所にそれぞれ設けられている。第1ねじ孔25は、図5に示すように、ケース本体7の1時側、5時側、7時側、11時側の4か所にそれぞれ第1外装ケース15の各第1ねじ取付孔24と同一軸上に対応して設けられている。
この場合、第1ねじ取付孔24は、図3に示すように、第1ねじ部材22の頭部22aが挿入する大径孔部24aと、第1ねじ部材22のねじ部22bが挿入する小径孔部24bと、を備えている。第1ねじ取付孔24の大径孔部24aは、内径が第1ねじ部材22の頭部22aの外径よりも大きく形成され、軸方向の長さが頭部22aの軸方向の長さよりも長く形成されている。
これにより、第1ねじ部材22の頭部22aは、図3に示すように、その外周面と大径孔部24aの内周面との間に隙間をもって挿入され、且つ頭部22aの上面が大径孔部24aから上方に突出することなく、大径孔部24a内に配置されるように構成されている。このため、第1ねじ部材22の頭部22aは、第1外装ケース15上にスペーサ部材16が配置された際に、スペーサ部材16が接触しないように構成されている。
また、第1ねじ取付孔24の小径孔部24bは、図3に示すように、内径が第1ねじ部材22のねじ部22bの外径よりも大きく形成され、軸方向の長さが頭部22aの軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、第1ねじ部材22のねじ部22bは、外周面と小径孔部24bの内周面との間に隙間をもって挿入され、且つねじ部22bの外周が小径孔部24bの内周面に接触することなく、小径孔部24b内に挿入されて小径孔部24bの下側に突出するように構成されている。
ケース本体7の第1ねじ孔25は、図3に示すように、内周面に第1ねじ部材22のねじ部22bが螺合する雌ねじが設けられている。この第1ねじ孔25は、軸方向の長さが第1ねじ取付孔24の軸方向の長さよりも長く、且つねじ部22bの軸方向の長さよりも短く形成されている。これにより、第1ねじ孔25は、第1ねじ部材22の頭部22aが第1ねじ取付孔24の大径孔部24aに配置されて、第1ねじ部材22のねじ部22bが第1ねじ取付孔24の小径孔部24bを通して螺合するように構成されている。
この場合、第1ねじ部材22は、図3に示すように、頭部22aが第1ねじ取付孔24の大径孔部24aに配置され、ねじ部22bが第1ねじ取付孔24の小径孔部24bを通してケース本体7の第1ねじ孔25に螺合して締め付けられた際に、ねじ部22bの先端が第1ねじ孔25内の下端部に当接しないように構成されている。
一方、複数の締結部材23それぞれは、図2、図5、図6および図7に示すように、ケース本体7の第1挿入孔28に固定される固定部分26と、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合する嵌合部分27と、を備えている。第1挿入孔28は、図5に示すように、ケース本体7の3時側の両側部と9時側の両側部とに対応する4か所にそれぞれ設けられている。
すなわち、これら複数の第1挿入孔28は、図5に示すように、ケース本体7の3時側の両側部にそれぞれ設けられた2つの保護カバー10に対応する2か所と、ケース本体7の9時側に設けられた装飾突起11の両側部に対応する2か所と、の4か所にそれぞれ設けられている。また、複数の第2挿入孔29は、図6に示すように、第1外装ケース15の3時側の両側部と9時側の両側部とに対応する4か所にそれぞれ複数の第1挿入孔28と同一軸上に対応して設けられている。
締結部材23は、図2および図7に示すように、固定部分26の外径が嵌合部分27の外径よりも大きく形成されている。すなわち、固定部分26は、第1挿入孔28に圧着する圧着部分26aを有している。この圧着部分26aの外周面には、ケース本体7の第1挿入孔28の内周面に食い込む食込み部26bが設けられている。この食込み部26bは、ケース本体7の第1挿入孔28の内周面に食い込む凹凸であり、ローレット加工によって軸方向に沿う山部と谷部を交互に多数設けた構造になっている。
このため、圧着部分26aは、図2に示すように、食込み部26bの多数の山部がケース本体7の第1挿入孔28の内周面に食い込んで、第1挿入孔28内に圧入されることにより、圧着部分26aの軸方向と直交する方向にガタつくことなく、第1挿入孔28内に圧着して取り付けられるように構成されている。また、この圧着部分26aの下部には、図7に示すように、ケース本体7の第1挿入孔28に圧入させやすくするためのテーパ部26cが約35°の傾斜角度で設けられている。
締結部材23の嵌合部分27は、図2および図7に示すように、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれる際に、第2挿入孔29に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で第2挿入孔29に嵌合するように構成されている。この嵌合部分27は、第2挿入孔29に挿入される前よりも第2挿入孔29に挿入された後における径方向の長さが短くなるように形成されている。
すなわち、この嵌合部分27は、図2および図7に示すように、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれる際に、嵌合部分27を潰れ変形可能にするための中空部27aが設けられている。この中空部27aは、嵌合部分27の上面の中心部から軸方向に沿って設けられた穴であり、その内径が嵌合部分27の潰れ変形を可能にする程度の大きさで形成されている。
また、この中空部27aは、図2および図7に示すように、軸方向の長さ(深さ)が嵌合部分27の軸方向の長さとその軸方向の長さの半分程度の長さとの間の長さで形成されていれば良く、嵌合部分27の軸方向の長さの2/3程度の長さで形成されていることが望ましい。この嵌合部分27の上端部の外周には、嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込みやすくするための面取り部27bが設けられている。
この場合、ケース本体7の第1挿入孔28は、図2および図7に示すように、内径が締結部材23の圧着部分26aの外径よりも第1挿入孔28の内周面に対する食込み部26bの食込み量だけ小さく形成されている。このため、第1挿入孔28は、圧着部分26aの食込み部26bが食い込んで圧着部分26aが圧着されることにより、圧着部分26aが第1挿入孔28内で締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつかないように構成されている。
第1外装ケース15の第2挿入孔29は、図2および図7に示すように、内径が締結部材23の嵌合部分27の外径と同じ大きさで、且つ嵌合部分27に対する嵌合公差のない大きさ、つまり嵌合公差が0(零)の大きさで形成されている。これにより、締結部材23の嵌合部分27は、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれた際に、嵌合部分27が第2挿入孔29内で締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく、第2挿入孔29に嵌め込まれるように構成されている。
すなわち、この締結部材23の嵌合部分27は、図2および図7に示すように、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれる際に、ケース本体7の第1挿入孔28に圧着して取り付けられた圧着部分26aの軸中心と、第1外装ケース15の第2挿入孔29の軸中心と、が位置ずれしている場合に、その位置ずれに応じて嵌合部分27が潰れ変形しながら第2挿入孔29に嵌め込まれるよう構成されている。これにより、嵌合部分27は、その外周面が第2挿入孔29の内周面に密着して、第2挿入孔29に嵌め込まれるように構成されている。
一方、第2外装ケース17は、図1および図4に示すように、複数の第2ねじ部材30によって第1外装ケース15にスペーサ部材16を介して取り付けられている。複数のねじ部材30それぞれは、第2外装ケース17の第2ねじ取付孔31とスペーサ部材16の挿入孔16aを通して第1外装ケース15の第2ねじ孔32に螺合して、第2外装ケース17を第1外装ケース15に取り付けるように構成されている。
第2ねじ取付孔31は、図1および図4に示すように、第2外装ケース17の12時側の両側部と6時側の両側部との4か所にそれぞれ設けられている。第2ねじ孔32は、図6に示すように、第1外装ケース15の12時側の両側部つまり12時側のバンド取付部2の外装取付部2bに対応する2か所と、6時側の両側部つまり6時側のバンド取付部2の外装取付部2bに対応する2か所と、の4か所にそれぞれ第1外装ケース15の各第2ねじ取付孔31と同一軸上に対応して設けられている。
この場合、第2ねじ取付孔31は、図4に示すように、第2ねじ部材30の頭部30aが配置される切欠き凹部31aと、第2ねじ部材30の首部30bが挿入する孔部31bと、を備えている。この場合、第2ねじ取付孔31の切欠き凹部31aは、軸方向の長さ(深さ)が頭部30aの軸方向の長さよりも長く(深く)形成されている。
これにより、第2ねじ部材30の頭部30aは、図1および図4に示すように、その外周面と切欠き凹部31aの内周面との間に隙間をもって挿入され、且つ頭部30aの上面が切欠き凹部31aから上方に突出することなく、切欠き凹部31a内に配置されるように構成されている。このため、第2ねじ部材30の頭部30aは、第2外装ケース17の外部に露出するように構成されている。
また、第2ねじ取付孔31の孔部31bは、図4に示すように、内径が第2ねじ部材30の首部30bの外径よりも大きく形成され、軸方向の長さが首部30bの軸方向の長さよりも短く、且つ頭部30aの軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、第2ねじ部材30の首部30bは、外周面と孔部31bの内周面との間に隙間をもって孔部31bに挿入され、且つ首部30bの外周が孔部31bの内周面に接触することなく、孔部31b内に挿入されて第2外装ケース17の下側に突出するように構成されている。
スペーサ部材16の挿入孔16aは、図4に示すように、第2ねじ部材30の首部30bの下部が挿入する孔であり、その内径が第2ねじ取付孔31の孔部31bの内径と同じか、それよりも少し大きく形成されている。これにより、第2ねじ部材30の首部30bは、外周面とスペーサ部材16の挿入孔16aの内周面との間に隙間をもって挿入孔16aに挿入されるように構成されている。この場合、第2ねじ部材30の首部30bは、その軸方向の長さが第2ねじ取付孔31の孔部31bとスペーサ部材16の挿入孔16aとの両方の軸方向の長さよりも少し短く形成されている。
これにより、第2ねじ部材30の首部30bは、図4に示すように、頭部30aが第2外装ケース17の切欠き凹部31a内に配置されて、首部30bが第2ねじ取付孔31の孔部31bとスペーサ部材16の挿入孔16aとに挿入されて第2ねじ部材30が締め付けられた際に、首部30bの下端部がスペーサ部材16の挿入孔16a内から下側に突出して第1外装ケース15に当接しないように構成されている。
第1外装ケース15の第2ねじ孔32は、図4に示すように、内周面に第2ねじ部材30のねじ部30cが螺合する雌ねじが設けられている。この第2ねじ孔32は、軸方向の長さが第2ねじ部材30のねじ部30cの軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、第2ねじ孔32は、第2ねじ部材30の頭部30aが第2外装ケース17の切欠き凹部31a内に配置された状態で、第2ねじ部材30の第2ねじ部30cが第2ねじ孔32に締め付けられた際に、第2ねじ部30cの先端が第2ねじ孔32の下端部に当接しないように構成されている。
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
この場合には、まず、ケース本体7に第1外装ケース15を取り付ける。このときには、予め、ケース本体7の上面突起12のパッキン溝12aに防水パッキン13を取り付けると共に、複数の締結部材23をケース本体7の3時側の2か所と9時側の2か所とに設けられた複数の第1挿入孔28に取り付ける。
すなわち、締結部材23をケース本体7の第1挿入孔28に取り付ける際には、締結部材23における固定部分26の圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧入させて、固定部分26を第1挿入孔28に固定させる。このときには、ケース本体7の第1挿入孔28の内径が圧着部分26aの外径よりも圧着部分26aの食込み部26bの食込み量だけ小さく形成されている。このため、圧着部分26aのテーパ部26cをケース本体7の第1挿入孔28に差し込んで押し込む。
すると、圧着部分26aの食込み部26bがケース本体7の第1挿入孔28の内周面に徐々に食い込みながら圧入される。すなわち、食込み部26bは、軸方向に沿う山部と谷部とが交互に多数設けられた凹凸であるから、多数の山部が第1挿入孔28の内周面に食い込みながら、圧着部分26aが第1挿入孔28内に圧入される。このため、圧着部分26aがその軸方向と直交する径方向にガタつくことなく、第1挿入孔28内に圧入されて取り付けられる。
この状態で、ケース本体7上に第1外装ケース15を配置させて取り付ける。このときには、予め、第1外装ケース15内に見切り部材6bを上方から挿入させて配置すると共に、第1外装ケース15のガラス装着部20に時計ガラス4をガラスパッキン4aと共に嵌め込む。そして、第1外装ケース15の外装本体18をケース本体7上に配置させて、第1外装ケース15の12時側と6時側との各外装取付部2bをケース本体7の12時側と6時側との各本体取付部2a上にこれを覆って配置させる。
このときには、第1外装ケース15の外装本体18に設けられた補強突起21をケース本体7の3時側と9時側との各係合凹部14に配置させて、補強突起21に設けられた複数の第2挿入孔29をケース本体7に取り付けられた複数の締結部材23の各嵌合部分27にそれぞれ対応させると共に、補強突起21に設けられた複数の第1ねじ取付孔24をケース本体7に設けられた複数の第1ねじ孔25にそれぞれ対応させる。
この状態で、第1外装ケース15の補強突起21の複数の第1ねじ取付孔24を通して複数の第1ねじ部材22をケース本体7の複数の第1ねじ孔25にそれぞれ螺合させて取り付けると共に、ケース本体7に取り付けられた複数の締結部材23の各嵌合部分27を第1外装ケース15の補強突起21の複数の第2挿入孔29にそれぞれ嵌め込む。
すなわち、複数の第1ねじ部材22を第1外装ケース15の複数の第1ねじ取付孔24に挿入させてケース本体7の複数の第1ねじ孔25にそれぞれ螺合させて締め付けると、第1ねじ部材22の頭部22aが第1ねじ取付孔24の大径孔部24a内に配置され、第1ねじ部材22のねじ部22bが第1ねじ取付孔24の小径孔部24bを通してケース本体7の第1ねじ孔25に螺合して締め付けられる。これにより、第1外装ケース15がケース本体7上に押し付けられて取り付けられる。
このときには、複数の締結部材23の各嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29に押し込まれて嵌め込まれる。この場合、第2挿入孔29は、内径が嵌合部分27の外径と同じ大きさ、つまり嵌合公差が0(零)の大きさで形成されている。このため、第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合部分27が嵌め込まれる際に、嵌合部分27の面取り部27bによって嵌合部分27がガイドされて第2挿入孔29に嵌め込まれる。
これにより、嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれた際には、嵌合部分27の外周面と第2挿入孔29の内周面とが密着して、第1外装ケース15が締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく、第2挿入孔29に嵌合部分27が嵌め込まれる。
すなわち、嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込まれる際に、ケース本体7の第1挿入孔28に圧着して取り付けられた固定部分26の圧着部分26aの軸中心と、第1外装ケース15の第2挿入孔29の軸中心と、が位置ずれしている場合には、その位置ずれに応じて嵌合部分27が面取り部27bによってガイドされながら嵌め込まれると共に、軸中心の位置ずれに応じて嵌合部分27が中空部27aによって潰れ変形しながら第2挿入孔29に嵌め込まれる。
このときには、第2挿入孔29に嵌合する前よりも第2挿入孔29に嵌合した後における嵌合部分27の径方向の長さ方が短くなる。これにより、嵌合部分27は、外周面が第2挿入孔29の内周面に密着し、締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく、第2挿入孔29内に嵌め込まれて取り付けられる。
このときには、ケース本体7の上面突起12に第1外装ケース15の外装本体18が押し付けられるので、上面突起12のパッキン溝12a内に設けられた防水パッキン13に外装本体18が押し当てられて圧接する。これにより、ケース本体7と第1外装ケース15との間の防水が図られる。また、このときには、第1外装ケース15の外装取付部2bがケース本体7の本体取付部2aに重なって取り付けられることにより、バンド取付部2が構成される。
この状態で、第1外装ケース15上に第2外装ケース17をスペーサ部材16と共に取り付ける。このときには、第1外装ケース15の上面にスペーサ部材16を配置させ、このスペーサ部材16上に第2外装ケース17を配置させる。すると、第2外装ケース17の庇部17aが第1外装ケース15のガラス装着部20上にこれを覆って配置される。
この状態で、第2外装ケース17の複数の第2ねじ取付孔31と、スペーサ部材16の複数の挿入孔16aとを、第1外装ケース15の複数の第2ねじ孔32にそれぞれ対応させて、複数の第2ねじ部材30によって第2外装ケース17を第1外装ケース15に取り付ける。このときには、第2ねじ部材30を第2外装ケース17の第2ねじ取付孔31からスペーサ部材16の挿入孔16aに挿入させて、第1外装ケース15の第2ねじ孔32に螺合させて締め付ける。
すると、第2ねじ部材30の頭部30aが第2外装ケース17の第2ねじ取付孔31の切欠き凹部31a内に配置され、首部30bが第2ねじ取付孔31の孔部31bとスペーサ部材16の挿入孔16aとに挿入され、第2ねじ部30cが第2ねじ孔32に螺合した状態で、第2ねじ部材30の頭部30aが第2外装ケース17をスペーサ部材16と共に第1外装ケース15に押し付ける。これにより、第2外装ケース17がスペーサ部材16と共に第1外装ケース15に取り付けられて、腕時計ケース1が組み立てられる。
そして、ケース本体7に複数のスイッチ装置3をそれぞれ取り付ける。このときには、ケース本体7の2時側、3時側、4時側、8時側および10時側の各側壁部にそれぞれ設けられた第1釦収納凹部7bに、側面スイッチであるスイッチ装置3の釦頭部3aを収納させて配置させる。また、ケース本体7の6時側に設けられた第2釦収納凹部7cに、上面スイッチであるスイッチ装置3の釦頭部3aを収納させて配置させる。
この状態で、時計モジュール6をケース本体7内に下側から挿入させて配置させる。このときには、時計モジュール6の上面に文字板6aを配置し、この文字板6aと共にケース本体7内に挿入させて、文字板6aの上面の外周部を見切り部材6bの下面に押し当てて配置させる。そして、ケース本体7の下部に裏蓋5を防水パッキン5aと共に取り付ける。これにより、腕時計が組み立てられる。
次に、この腕時計の作用について説明する。
この腕時計は、通常、腕時計ケース1内に組み込まれた時計モジュール6によって時刻や日付、曜日などの各種機能の情報が表示される。また、この腕時計は、腕時計ケース1に設けられた複数のスイッチ装置3の操作によって時刻修正などの各種の機能が切り替わる。
また、この腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際には、その衝撃によって第1外装ケース15がケース本体7に対してガタつくことないので、そのガタつきによるケース本体7の破損が防げる。すなわち、このときには、金属製の締結部材23の圧着部分26aの食込み部26bが合成樹脂製のケース本体7における第1挿入孔28の内周面に食い込んだ状態で、圧着部分26aが第1挿入孔28に圧着し、締結部材23の嵌合部分27が金属製の第1外装ケース15の第2挿入孔29に潰れ変形可能に嵌合している。
このため、締結部材23は、圧着部分26aがケース本体7の第1挿入孔28内に締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく圧着され、嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29内に締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく嵌合している。
これにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、締結部材23の軸方向と直交する方向に第1外装ケース15がケース本体7に対して位置ずれを起こすことがない。このため、第1外装ケース15の位置ずれによる負荷が締結部材23を介してケース本体7に加わることがないので、ケース本体7の破損を防いで、耐衝撃性の向上が図れる。
すなわち、合成樹脂製のケース本体7の第1挿入孔28は、その内径が金属製の締結部材23の圧着部分26aの外径よりも圧着部分26aの食込み部26bの食込み量だけ小さく形成されているので、金属製の圧着部分26aの食込み部26bが合成樹脂製のケース本体7の第1挿入孔28の内周面に食い込んで圧着する。このため、締結部材23の圧着部分26aは、ケース本体7の第1挿入孔28内に締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく確実に且つ強固に固定される。
この場合、圧着部分26aの圧着部分26aの食込み部26bは、ローレット加工によって軸方向に沿う山部と谷部とを交互に多数係した凹凸であることにより、圧着部分26aを第1挿入孔28に圧入させた際に、圧着部分26aの食込み部26bの多数の山部が多数の谷部によって第1挿入孔28の内周面に確実に食い込む。このため、圧着部分26aがケース本体7の第1挿入孔28内に締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく確実に且つ強固に固定される。
また、第1外装ケース15の第2挿入孔28は、その内径が締結部材23の嵌合部分27の外径と同じ大きさで、且つ嵌合部分27に対する嵌合公差のない大きさ、つまり嵌合公差0(零)の大きさで形成されているので、嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔28に密着して嵌合するほか、第2挿入孔29と第1挿入孔28との軸中心がずれている場合に、その軸中心の位置ずれに応じて嵌合部分27が中空部27aによって潰れ変形して第2挿入孔29に嵌合する。
このため、嵌合部分27は、第1外装ケース15の第2挿入孔29内に締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことなく確実に且つ強固に固定される。この場合、金属製の第1外装ケース15は、ケース本体7上に配置される外装本体18に補強突起21が設けられ、この補強突起21に第2挿入孔29が設けられているので、第2挿入孔29に金属製の嵌合部分27が嵌合する際に、第2挿入孔29が変形することなく、嵌合部分27が潰れ変形して嵌合する。
このため、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際には、その衝撃によって第1外装ケース15がケース本体7に対して締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことがない。これにより、第1外装ケース15がケース本体7に対して締結部材23の軸方向と直交する方向に位置ずれすることがない。
これにより、ケース本体7に対する第1外装ケース15の位置ずれによる負荷が締結部材23を介してケース本体7に加わることがない。このため、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃によるケース本体7の破損が防げるので、耐衝撃性が高められる。
この場合、締結部材23は、ケース本体7の3時側の両側部と9時側の両側部との4か所に設けられた複数の第1挿入孔28に圧着部分26aがそれぞれ圧着され、第1外装ケース15の3時側の両側部と9時側の両側部との4か所に設けられた複数の第2挿入孔29に嵌合部分27がそれぞれ嵌合されているので、これら複数の圧着部分26aと複数の嵌合部分27とによって、より一層、耐衝撃性が高められる。
このように、この腕時計ケース1によれば、第1挿入孔28を有するケース本体7と、このケース本体7の上部に配置され、第1挿入孔28に同一軸上で対応する第2挿入孔29を有する第1外装ケース15と、第1挿入孔28に固定される固定部分26、および第2挿入孔29に嵌合する嵌合部分27を有する締結部材23と、を備え、嵌合部分27は、第2挿入孔29に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で第2挿入孔29に嵌合することにより、衝撃による第1外装ケース15のガタつきを防いで、衝撃によるケース本体7の破損を防ぐことができ、これにより耐衝撃性を高めることができる。
すなわち、この腕時計ケース1では、締結部材23の固定部分26がケース本体7の第1挿入孔28に固定され、締結部材23の嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で第2挿入孔29に嵌合して固定されているので、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、第1外装ケース15が締結部材23の嵌合部分27に対して締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくことがない。
このため、この腕時計ケース1では、衝撃によって第1外装ケース15がケース本体7に対して締結部材23の軸方向と直交する方向に位置ずれを起こすことがないので、ケース本体7に対する第1外装ケース15の位置ずれによる負荷が締結部材23を介してケース本体7に伝わることがない。これにより、衝撃によるケース本体7の破損を防ぐことができるので、耐衝撃性を高めることができる。
この場合、この腕時計ケース1では、第2挿入孔29に挿入される前よりも第2挿入孔29に挿入された後における締結部材23における嵌合部分27の径方向の長さが短いので、嵌合部分27が第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合した際に、嵌合部分27の外周面を第2挿入孔29の内周面に密着させることができ、これにより嵌合部分27を第2挿入孔29に確実に且つ良好に嵌合させて強固に固定させることができる。
この場合、この腕時計ケース1では、締結部材23の第1挿入孔28に固定される固定部分26が第1挿入孔28に圧着する圧着部分26aを有していることにより、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧着によって強固に固定させることができ、これにより衝撃によるケース本体7に対する第1外装ケース15のガタつきを確実に防ぐことができる。
この場合、この腕時計ケース1では、締結部材23の圧着部分26aが、ケース本体7の第1挿入孔28の内周面に食い込む食込み部26bを有していることにより、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧入させる際に、圧着部分26aの食込み部26bを第1挿入孔28の内周面に食い込ませることができ、これにより圧着部分26aがその軸方向と直交する方向にガタつくことがないので、圧着部分26aを第1挿入孔28に圧着させて確実に且つ強固に固定させることができる。
このため、この腕時計ケース1では、衝撃によって第1外装ケース15がケース本体7に対して締結部材23の軸方向と直交する方向に位置ずれを起こすことがないので、これによってもケース本体7に対する第1外装ケース15の位置ずれによる負荷が締結部材23を介してケース本体7に伝わることがない。これにより、衝撃によるケース本体7の破損を防ぐことができるので、より一層、耐衝撃性を高めることができる。
また、この腕時計ケース1では、圧着部分26aの食込み部26bがローレット加工によって設けられた凹凸であることにより、圧着部分26aの外周面に食込み部26bをローレット加工によって簡単に且つ容易に形成することができると共に、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧入させる際に、圧着部分26aの食込み部26bをケース本体7の第1挿入孔28の内周面に良好に食い込ませることができる。
この場合、圧着部分26aの食込み部26bは、例えば締結部材23の軸方向に沿う山部と谷部とを交互に多数設けた凹凸であることにより、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧入させる際に、食込み部26bの多数の山部を多数の谷部によってケース本体7の第1挿入孔28の内周面に確実に且つ良好に食い込ませることができ、これにより圧着部分26aを第1挿入孔28に確実に且つ良好に圧着させることができる。
また、この場合、圧着部分26aは、第1挿入孔28に挿入する方向の先端にテーパ部26cが設けられていることにより、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に圧入させる際に、テーパ部26cの先端を第1挿入孔28に挿入させて圧着部分26aをガイドすることができるので、圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に容易に且つ確実に圧入させることができ、これにより第1挿入孔28に対する圧着部分26aの圧入作業性を向上させることができる。
また、この腕時計ケース1では、締結部材23の圧着部分26aの外径が嵌合部分27の外径よりも大きく形成され、ケース本体7の第1挿入孔28は、内径が圧着部分26aの外径よりも第1挿入孔28の内周面に対する食込み部26bの食込み量だけ小さく形成されていることにより、締結部材23の圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に取り付ける際に、圧着部分26aの食込み部26bをケース本体7の第1挿入孔28の内周面に確実に且つ良好に食い込ませてさせて圧着させることができる。
また、この腕時計ケース1では、第1外装ケース15の第2挿入孔29の内径が嵌合部分27の外径と同じ大きさで、且つ嵌合部分27に対する嵌合公差のない大きさ、つまり嵌合公差が0(零)に形成されていることにより、締結部材23の嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌め込む際に、嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29の内周面に密着させて確実に且つ良好に嵌合させることができるほか、第2挿入孔29と第1挿入孔28との軸中心がずれている場合に、第2挿入孔29に嵌合部分27を潰れ変形させて確実に且つ良好に嵌合させることができる。
また、この腕時計ケース1では、ケース本体7が合成樹脂によって形成されていることにより、締結部材23の圧着部分26aをケース本体7の第1挿入孔28に取り付ける際に、圧着部分26aの食込み部26bを合成樹脂製のケース本体7における第1挿入孔28の内周面に確実に且つ良好に食い込ませて圧着させることができる。
また、この腕時計ケース1では、第1外装ケース15がケース本体7よりも剛性の高い金属によって形成されていることにより、締結部材23の嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29に取り付ける際に、嵌合部分27を金属製の第1外装ケース15の第2挿入孔29に潰れ変形させて確実に且つ良好に嵌合させることができる。
この場合、この腕時計ケース1では、嵌合部分27が潰れ変形を可能にするための中空部27aを備えていることにより、嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合させる際に、第2挿入孔29と第1挿入孔28との軸中心がずれしていても、中空部27aによって嵌合部分27を確実に且つ良好に潰れ変形させることができ、これにより嵌合部分27を第2挿入孔29の内周面に密着させて確実に且つ良好に第2挿入孔29に嵌合させることができる。
また、この腕時計ケース1では、第1外装ケース15に、第2挿入孔29が設けられる補強突起21がケース本体7に向けて突出して設けられていることにより、締結部材23の嵌合部分27が嵌合する第2挿入孔29を補強突起21で補強して強度を高めることができ、これにより嵌合部分27を第1外装ケース15の第2挿入孔29に嵌合させる際に、補強突起21によって嵌合部分27を確実に且つ良好に潰れ変形させることができる。
この場合、ケース本体7には、補強突起21が配置される係合凹部14が設けられ、この係合凹部14内に第1挿入孔28が設けられていることにより、第1外装ケース15に第2挿入孔29を補強する補強突起21が設けられていても、この補強突起21をケース本体7の係合凹部14内に配置させることができる。この場合、3時側の係合凹部14に対する保護カバー10および9時側の係合凹部14に対する装飾突起11によって、腕時計ケース1のデザイン性を高めることができる。
さらに、この腕時計ケース1では、第1挿入孔28がケース本体7の外周から突出する箇所、例えば3時側の保護カバー10および9時側の装飾突起11に対応して設けられていることにより、ケース本体7に締結部材23の圧着部分26aが圧着する第1挿入孔28を設けても、ケース本体7の外周から突出する箇所である3時側の保護カバー10および9時側の装飾突起11によってケース本体7の強度を確保することができる。
すなわち、この腕時計ケース1では、ケース本体7の外周から突出する箇所が、ケース本体7の3時側に設けられたスイッチ装置3の釦頭部3aを保護する保護カバー10であることにより、この保護カバー10によってスイッチ装置3の釦頭部3aを良好に保護することができる共に、圧着部分26aが圧着する第1挿入孔28に対応する箇所のケース本体7の強度を確保することができる。
また、この腕時計ケース1では、ケース本体7の外周から突出する箇所が、ケース本体7の9時側の装飾突起11であることにより、この装飾突起11によって圧着部分26aが圧着する第1挿入孔28に対応する箇所のケース本体7の強度を確保することができると共に、装飾性を高めることができ、これによりデザイン性の高いものを提供することができる。
さらに、この腕時計ケース1の締結部材23は、第1部品であるケース本体7の第1挿入孔28に固定される固定部分26と、第1部品であるケース本体7の上部に配置される第2部品である第1外装ケース15に設けられて第1挿入孔28と同一軸上で対応する第2挿入孔29に嵌合する嵌合部分27と、を備え、嵌合部分27は、第2挿入孔29に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で第2挿入孔29に嵌合することにより、ケース本体7に対して第1外装ケース15が締結部材23の軸方向と直交する方向にガタつくのを防いで、ケース本体7の破損を防ぎ、耐衝撃性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、嵌合部分27に中空部27aを設けて嵌合部分27を変形しやすくさせた場合につて述べたが、この発明は、これに限らず、溝などを設けて嵌合部分を変形しやすくしても良く、またアルミニウムなどの変形しやすい素材で嵌合部分を形成しても良い。
また、上述した実施形態では、ケース本体7が合成樹脂で形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えばケース本体7をアルミニウムなどの軟質の金属で形成しても良く、またステンレスなどの剛性の高い金属で形成しても良い。
また、上述した実施形態では、圧着部分26aの食込み部26bがローレット加工によって締結部材23の軸方向に沿う山部と谷部とを交互に多数設けた凹凸である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ローレット加工によって網目状に形成された凹凸であっても良く、また小さい突起を多数設けた凹凸であっても良い。
また、上述した実施形態では、第2外装ケース17がステンレスなどの金属で形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ウレタン樹脂などの合成樹脂であっても良く、またポリアミド系樹脂にカーボン繊維やガラス繊維を混入させた合成樹脂であっても良い。
また、上述した実施形態では第1外装ケース15金属で形成されている場合について述べたが、第1外装ケース15の第2挿入孔29の周囲のみが金属で形成され、残りの部分が金属以外の物質で形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、スペーサ部材16が第2外装ケース17がウレタン樹脂などの合成樹脂で形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ポリアミド係樹脂にカーボン繊維やガラス繊維を混入させた合成樹脂であっても良い。
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。
また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話や携帯情報端末などの電子機器にも適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、第1挿入孔を有するケース本体と、前記ケース本体の上部に配置され、前記第1挿入孔に同一軸上で対応する第2挿入孔を有する外装部材と、前記第1挿入孔に固定される固定部分、および前記第2挿入孔に嵌合する嵌合部分を有する締結部材と、を備え、前記嵌合部分は、前記第2挿入孔に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で前記第2挿入孔に嵌合する、ことを特徴とするケースである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケースにおいて、前記締結部材の前記嵌合部分は、前記第2挿入孔に挿入される前よりも前記第2挿入孔に挿入された後の方が径方向の長さが短い、ことを特徴とするケースである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のケースにおいて、前記締結部材の前記第1挿入孔に固定される前記固定部分は、前記第1挿入孔に圧着する圧着部分を含む、ことを特徴とするケースである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のケースにおいて、前記締結部材の前記圧着部分は、前記ケース本体の前記第1挿入孔の内周面に食い込む食込み部を有している、ことを特徴とするケースである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のケースにおいて、前記食込み部は、ローレット加工によって設けられた凹凸である、ことを特徴とするケースである。
請求項6に記載の発明は、請求項3~請求項5のいずれかに記載のケースにおいて、前記圧着部分は、前記第1挿入孔に挿入する方向の先端にテーパ部が設けられている、ことを特徴とするケースである。
請求項7に記載の発明は、請求項4~請求項6のいずれかに記載のケースにおいて、前記締結部材は、前記圧着部分の外径が前記嵌合部分の外径よりも大きく形成され、前記第1挿入孔は、内径が前記圧着部分の外径よりも前記第1挿入孔の内周面に対する前記食込み部の食込み量だけ小さく形成され、前記第2挿入孔は、内径が前記嵌合部分の外径と同じ大きさで、且つ前記嵌合部分に対する嵌合公差のない大きさに形成されている、ことを特徴とするケースである。
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載のケースにおいて、前記ケース本体は合成樹脂によって形成され、前記外装部材は前記ケース本体よりも剛性の高い金属によって形成されている、を備えていることを特徴とするケースである。
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載のケースにおいて、前記嵌合部分は、潰れ変形を可能にするための中空部を備えている、ことを特徴とするケースである。
請求項10に記載の発明は、請求項1~請求項9のいずれかに記載のケースにおいて、前記外装部材には、前記第2挿入孔が設けられる補強突起が前記ケース本体に向けて設けられ、前記ケース本体には、前記補強突起が配置される係合凹部が設けられ、前記係合凹部内に前記第1挿入孔が設けられている、ことを特徴とするケースである。
請求項11に記載の発明は、請求項1~請求項10のいずれかに記載のケースにおいて、前記第1挿入孔は、前記ケース本体の外周から突出する箇所に対応して設けられている、ことを特徴とするケースである。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のケースにおいて、前記ケース本体の外周から突出する前記箇所は、前記ケース本体に設けられたスイッチを保護する保護カバーである、ことを特徴とするケースである。
請求項13に記載の発明は、請求項1~請求項12のいずれかに記載されたケースを備えていることを特徴とする時計である。
請求項14に記載の発明は、第1部品の第1挿入孔に固定される固定部分と、前記第1部品の上部に配置される第2部品に設けられて前記第1挿入孔と同一軸上で対応する第2挿入孔に嵌合する嵌合部分と、を備え、前記嵌合部分は、前記第2挿入孔に嵌合する領域に対応する部分が変形した状態で前記第2挿入孔に嵌合する、ことを特徴とする締結部材である。