JP2022021173A - 液晶ポリエステル樹脂、成形品、および電気電子部品 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂、成形品、および電気電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電正接を有しながら、耐熱性および加工安定性のバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂の提供。【解決手段】本発明による液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)、および芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含んでなり、前記構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(IA)を含み、前記構成単位(III)が、テレフタル酸に由来する構成単位(IIIA)、およびイソフタル酸に由来する構成単位(IIIB)を含み、測定周波数10GHzにおける誘電正接が、1.50×10-3以下であり、融点が295℃以上であり、融点と結晶化点との差が35℃以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル樹脂に関し、より詳細には、低誘電正接を有する液晶ポリエステル樹脂、該液晶ポリエステル樹脂を含む成形品、および該成形品を備える電気電子部品に関する。
近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の周波数を有する信号の使用が増加しており、特に、周波数が10Hz以上であるギガヘルツ(GHz)帯の周波数を有する信号の使用が盛んに行われている。例えば、自動車分野においてGHz帯の高周波数帯が使用されている。具体的には、自動車の衝突防止目的で搭載されるミリ波レーダー、準ミリ波レーダーにおいては、それぞれ76~79GHz、24GHzの高周波数が使用されており、今後更なる普及が進んでいくことが予想される。
しかしながら、使用される信号の周波数が高くなるに伴い、情報の誤認識を招きうる出力信号の品質低下、すなわち、伝送損失が大きくなる。この伝送損失は、導体に起因する導体損失と、電子機器や通信機器における基板等の電気電子部品を構成する絶縁用の樹脂に起因する誘電損失とからなるが、導体損失は使用する周波数の0.5乗、誘電損失は周波数の1乗に比例するため、高周波帯、特にGHz帯においては、この誘電損失による影響が非常に大きくなる。また、誘電損失は、樹脂の誘電正接にも比例して増大するため、情報の劣化を防ぐため低誘電正接を有する樹脂が求められている。例えば、特許文献1では、誘電損失が小さい液晶ポリエステル樹脂として、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位および2,6-ナフタレンジカルボン酸を特定の組成比で含む液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
また、電気電子部品を構成する樹脂には、成形時の加熱に対する高い耐熱性が要求され、さらにこれを用いて作製した成形品には、はんだ等を用いた加熱加工に対する高い耐熱性が要求される。このような課題に対し、特許文献2では、このような耐熱性等に優れる液晶ポリエステル樹脂として、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(I)、テレフタル酸に由来する構成単位(II)、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(III)およびp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(IV)を特定の組成比で含む液晶ポリエステル樹脂が提案されている。また、特許文献3では、このような耐熱性等に優れる液晶ポリエステル樹脂として、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(I)、テレフタル酸に由来する構成単位(II)、イソフタル酸に由来する構成単位(III)、および4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(IV)を特定の組成比で含む液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
特開2006-1990号公報 特開2002-179776号公報 特開2010-37474号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1~3において提案される液晶ポリエステル樹脂を用いたとしても、十分な低誘電正接を有しながら、耐熱性と加工安定性のバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂が得られないことを知見した。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位、テレフタル酸に由来する構成単位、およびイソフタル酸に由来する構成単位を含む液晶ポリエステル樹脂において、融点および融点と結晶化点との温度差を調節することにより、低誘電正接を有しながら、耐熱性および加工安定性のバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂を得られることを見出した。
したがって、本発明の目的は、低誘電正接を有しながら、耐熱性および加工安定性のバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂を提供することである。また、本発明の他の目的は、この液晶ポリエステル樹脂を含む成形品および該成形品を備える電気電子部品を提供することである。
本発明による液晶ポリエステル樹脂は、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)
芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)、および
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)
を含んでなり、
前記構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(IA)を含み、
前記構成単位(III)が、テレフタル酸に由来する構成単位(IIIA)、およびイソフタル酸に由来する構成単位(IIIB)を含み、
測定周波数10GHzにおける誘電正接が、1.50×10-3以下であり、
融点が295℃以上であり、
融点と結晶化点との温度差が35℃以上であることを特徴とする。
本発明の態様においては、液晶ポリエステル樹脂の融点が340℃以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記構成単位(I)が、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(IB)をさらに含み、
前記構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
39モル%≦構成単位(IA)≦70モル%
1モル%≦構成単位(IB)≦6モル%
12モル%≦構成単位(II)≦30モル%
10モル%≦構成単位(IIIA)≦21モル%
2モル%≦構成単位(IIIB)≦9モル%
を満たすことが好ましい。
本発明の態様においては、前記構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
42モル%≦構成単位(IA)≦69モル%
2モル%≦構成単位(IB)≦5モル%
13モル%≦構成単位(II)≦28モル%
10モル%≦構成単位(IIIA)≦20モル%
3モル%≦構成単位(IIIB)≦8モル%
を満たすことが好ましい。
本発明の態様においては、前記芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)が、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位であることが好ましい。
本発明による成形品は、上記液晶ポリエステル樹脂を含んでなり、該成形品が繊維状であることが好ましい。
本発明による成形品は、上記液晶ポリエステル樹脂を含んでなり、該成形品が射出成形品であることが好ましい。
本発明による電気電子部品は、上記成形品を備えることを特徴とする。
本発明によれば、低誘電正接を有しながら、耐熱性および加工安定性のバランスに優れた液晶ポリエステル樹脂を実現することができる。すなわち、本発明の液晶ポリエステル樹脂を用いることで、射出成形安定性および紡糸安定性等の加工安定性を向上させることができるとともに、作製した成形品の加熱加工に対する耐熱性を向上させることができる。したがって、加工成形し、製品として使用する際には周波数の高い信号を使用する電気電子機器や通信機器における出力信号の品質の低下を防止することができる。
発明を実施するための態様
(液晶ポリエステル樹脂)
本発明による液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)、および 芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含んでなる。さらに、液晶ポリエステル樹脂は、構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(IA)を含み、好ましくはp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(IB)をさらに含み、構成単位(III)が、テレフタル酸に由来する構成単位(IIIA)、およびイソフタル酸に由来する構成単位(IIIB)を含み、下記の特定の性質(誘電正接、融点、融点と結晶化点の温度差)を有するものである。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の誘電正接(測定周波数:10GHz)は、1.50×10-3以下であり、好ましくは1.20×10-3以下であり、より好ましくは1.00×10-3以下であり、さらに好ましくは0.90×10-3以下である。本発明による液晶ポリエステル樹脂の誘電正接を上記数値範囲とすることにより、低誘電正接を有する成形品を製造できるため、製品として使用する際には周波数の高い信号を使用する電気電子機器や通信機器における出力信号の品質の低下を防止することができる。
なお、本明細書において、液晶ポリエステル樹脂の10GHzにおける誘電正接は、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247A等を用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により測定することができる。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の融点は、下限値としては、295℃以上であり、好ましくは300℃以上であり、また、上限値としては、好ましくは340℃以下であり、より好ましくは335℃以下であり、さらに好ましくは330℃以下である。本発明による液晶ポリエステル樹脂の融点を上記数値範囲とすることにより、液晶ポリエステル樹脂を用いて作製した成形品の加熱加工に対する耐熱性を向上させることができる。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の結晶化点は、下限値としては、好ましくは240℃以上であり、より好ましくは245℃以上であり、また、上限値としては、好ましくは290℃以下であり、より好ましくは280℃以下である。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の融点と結晶化点の温度差(=「融点(℃)」-「結晶化点(℃)」)は、下限値としては、35℃以上であり、好ましくは40℃以上であり、また、上限値としては、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは60℃以下である。本発明による液晶ポリエステル樹脂の融点と結晶化点の温度差を上記数値範囲とすることにより、液晶ポリエステルを溶融成形する際に、液晶ポリエステルが溶融してから固化するまでに十分な時間をかけることができ、成形温度等の温度条件設定の自由度を高くすることが可能である。従って、射出成形安定性および紡糸安定性等の加工安定性を向上させることができる。
なお、本明細書において、液晶ポリエステル樹脂の融点および結晶化点は、示差走査熱量計(DSC)により測定した値である。具体的には、昇温速度10℃/分で室温から340~360℃まで昇温して液晶ポリエステル樹脂を完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温した時に得られる発熱ピークの頂点を結晶化点(Tc)、さらに10℃/分の速度で360℃まで昇温する時に得られる吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とした。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の液晶性は、メトラー製の顕微鏡用ホットステージ(商品名:FP82HT)を備えたオリンパス(株)製の偏光顕微鏡(商品名:BH-2)等を用い、液晶ポリエステル樹脂を顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させた後、光学異方性の有無を観察することにより確認することができる。
本発明による液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、成形性という観点から、液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、せん断速度100s-1の条件で、下限値としては、好ましくは20Pa・s以上であり、より好ましくは40Pa・s以上であり、さらに好ましくは50Pa・s以上であり、また、上限値としては好ましくは600Pa・s以下であり、より好ましくは350Pa・s以下であり、さらに好ましくは320Pa・s以下である。
なお、本明細書において、液晶ポリエステル樹脂の粘度は、JIS K7199に準拠し、キャピラリーレオメーター粘度計を用いて測定することができる。
本発明による液晶ポリエステル樹脂は、構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
39モル%≦構成単位(IA)≦70モル%
1モル%≦構成単位(IB)≦6モル%
12モル%≦構成単位(II)≦30モル%
10モル%≦構成単位(IIIA)≦21モル%
2モル%≦構成単位(IIIB)≦9モル%
を満たすことが好ましい。
さらに、本発明による液晶ポリエステル樹脂は、構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
42モル%≦構成単位(IA)≦69モル%
2モル%≦構成単位(IB)≦5モル%
13モル%≦構成単位(II)≦28モル%
10モル%≦構成単位(IIIA)≦20モル%
3モル%≦構成単位(IIIB)≦8モル%
を満たすことがより好ましく、
48モル%≦構成単位(IA)≦67モル%
2モル%≦構成単位(IB)≦5モル%
14モル%≦構成単位(II)≦25モル%
11モル%≦構成単位(IIIA)≦18モル%
3モル%≦構成単位(IIIB)≦7モル%
を満たすことがさらに好ましい。
本発明による液晶ポリエステル樹脂は、構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が上記の条件を満たすことにより、低誘電正接を有しながら、耐熱性および加工安定性のバランスに優れたものとなる。
本発明による液晶ポリエステル樹脂において、構成単位(II)の組成比は、構成単位(III)の組成比と実質的に当量(構成単位(II)≒構成単位(III))となる。また、液晶ポリエステル樹脂全体の構成単位に対して、構成単位(I)~(III))の合計は、下限値としては、好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは99モル%以上であり、上限値としては、好ましくは100モル%以下である。
以下、液晶ポリエステル樹脂に含まれる各構成単位について詳細に説明する。
(芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I))
液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)を含む。芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)は、下記式(IA)で表される6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(IA)を含む。液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(IA)の組成比(モル%)は、好ましくは39モル%以上70モル%以下である。液晶ポリエステル樹脂の誘電正接の低下、耐熱性の向上、および加工安定性の向上という観点からは、構成単位(IA)の組成比(モル%)は、下限値としては、好ましくは42モル%以上であり、より好ましくは48モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上であり、また、上限値としては、好ましくは69モル%以下であり、より好ましくは67モル%以下であり、さらに好ましくは65モル%以下である。
Figure 2022021173000001
構成単位(IA)を与えるモノマーとしては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA、下記式(1))、およびそのアセチル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2022021173000002
さらに、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)は、下記式(IB)で表されるp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(IB)を含むことが好ましい。液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(IB)の組成比(モル%)は、1モル%以上6モル%以下である。液晶ポリエステル樹脂の誘電正接の低下、耐熱性の向上、および加工安定性の向上という観点からは、構成単位(IB)の組成比(モル%)は、下限値としては、好ましくは2モル%以上であり、より好ましくは2.5モル%以上であり、また、上限値としては、好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは4.5モル%以下である。
Figure 2022021173000003
構成単位(IB)を与えるモノマーとしては、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA、下記式(2))、およびそのアセチル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2022021173000004
(芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II))
液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)を含むものであり、液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(II)の組成比(モル%)は、好ましくは12モル%以上30モル%以下である。液晶ポリエステル樹脂の誘電正接の低下、耐熱性の向上、および加工安定性の向上という観点からは、構成単位(II)の組成比(モル%)は、下限値としては、好ましくは13モル%以上であり、より好ましくは14モル%以上であり、また、上限値としては、好ましくは28モル%以下であり、より好ましくは24モル%以下である。
一実施態様において、構成単位(II)は下記式(II)で表される。
Figure 2022021173000005
上記式中Arは、所望により置換基を有するフェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基からなる群より選択される。これらの中でもフェニル基およびビフェニル基がより好ましい。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、ならびにフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
構成単位(II)を与えるモノマーとしては、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP、下記式(3))、ハイドロキノン(HQ、下記式(4))、メチルハイドロキノン(MeHQ、下記式(5))、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BisPA、下記式(6))、およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP)およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物を用いることが好ましい。
Figure 2022021173000006
Figure 2022021173000007
Figure 2022021173000008
Figure 2022021173000009
(芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III))
液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含む。さらに、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)は、下記式(IIIA)で表されるテレフタル酸に由来する構成単位(IIIA)を含む。液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(IIIA)の組成比(モル%)は、好ましくは10モル%以上21モル%以下である。液晶ポリエステル樹脂の誘電正接の低下、耐熱性の向上、および加工安定性の向上という観点からは、構成単位(IIIA)の組成比(モル%)は、下限値としては、好ましくは11モル%以上であり、より好ましくは12モル%以上であり、また、上限値としては、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは18モル%以下である。
Figure 2022021173000010
構成単位(IIIA)を与えるモノマーとしては、テレフタル酸(TPA、下記式(7))、およびこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2022021173000011
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)は、下記式(IIIB)で表されるイソフタル酸に由来する構成単位(IIIB)を含む。液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(IIIB)の組成比(モル%)は、好ましくは2モル%以上9モル%以下である。液晶ポリエステル樹脂の誘電正接の低下、耐熱性の向上、および加工安定性の向上という観点からは、構成単位(IIIB)の組成比(モル%)は、下限値としては、好ましくは3モル%以上であり、より好ましくは4モル%以上であり、また、上限値としては、好ましくは8モル%以下であり、より好ましくは7モル%以下であり、さらに好ましくは6モル%以下である。
Figure 2022021173000012
構成単位(IIIB)を与えるモノマーとしては、イソフタル酸(IPA、下記式(8))、およびこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2022021173000013
(液晶ポリエステル樹脂の製造方法)
本発明に係る液晶ポリエステル樹脂は、構成単位(I)~(III)を与えるモノマーを、溶融重合、固相重合、溶液重合およびスラリー重合等、従来公知の方法で重合することにより製造することができる。一実施態様において、本発明に係る液晶ポリエステル樹脂は、溶融重合のみによって製造することができる。また、溶融重合によりプレポリマーを作製し、これをさらに固相重合する2段階重合によっても製造することができる。
溶融重合は、本発明に係る液晶ポリエステル樹脂が効率よく得られる観点から、上記構成単位(I)~(III)を与えるモノマーを、所定の配合で合わせて100モル%として、モノマーが有する全水酸基に対し、1.05~1.15モル当量の無水酢酸を存在させて酢酸還流下において行うことが好ましい。また、溶融重合は、減圧下で反応を行うことが好ましい。反応条件としては、反応温度が好ましくは200~380℃であり、より好ましくは240~370℃であり、さらに好ましくは260~360℃であり、最終到達圧力が、好ましくは0.1~760Torrであり、より好ましくは1~100Torrであり、さらに好ましくは1~50Torrである。
溶融重合とこれに続く固相重合の二段階により重合反応を行う場合は、溶融重合により得られたポリマーを冷却固化後に粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にしてもよい。また、溶融重合により得られたポリマーストランドをペレタイズし、ペレット状にしてもよい。その後、公知の固相重合方法、例えば、窒素等の不活性雰囲気下、または真空下において200~350℃の温度範囲で1~30時間、ポリマーを熱処理する等の方法が好ましくは選択される。固相重合は、撹拌しながら行ってもよく、また撹拌することなく静置した状態で行ってもよい。
重合反応において触媒は使用してもよいし、また使用しなくてもよい。使用する触媒としては、ポリエステル樹脂の重合用触媒として従来公知のものを使用することができ、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、テトラブチルチタネート、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N-メチルイミダゾール等の窒素含有複素環化合物等、有機化合物触媒等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、モノマーの総量100重量部に対して、0.0001~0.1重量部であることが好ましい。
溶融重合における重合反応装置は特に限定されるものではないが、一般の高粘度流体の反応に用いられる反応装置が好ましく使用される。これらの反応装置の例としては、例えば、錨型、多段型、螺旋帯型、螺旋軸型等、あるいはこれらを変形した各種形状の撹拌翼をもつ撹拌装置を有する撹拌槽型重合反応装置、又は、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等の、一般に樹脂の混練に使用される混合装置等が挙げられる。
(成形品)
本発明による成形品は、液晶ポリエステル樹脂を含んでなるものであり、その形状は用途に応じ適宜変更されるものであり、特に限定されず、例えば、板状、シート状、繊維状等とすることができる。
一実施態様において、成形品は繊維状であることが好ましい。繊維は、従来公知の方法、例えば、溶融紡糸法、溶液紡糸法等により得ることができる。繊維は、液晶ポリエステル樹脂のみからなるものであってもよく、他の樹脂と混合してもよい。
本発明による成形品は、充填剤をさらに含んでもよい。充填材としては、炭素繊維(カーボンファイバー)、グラファイト、ガラス繊維、タルク、マイカ、ガラスフレーク、クレー、セリサイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、酸化チタン、フルオロカーボン樹脂繊維、フルオロカーボン樹脂、硫酸バリウム、各種ウィスカー等が挙げられる。
また、本発明による成形品は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、液晶ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレートおよびポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドおよびポリエーテルイミド等のイミド樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂およびABS樹脂等のポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂ならびにポリカーボネート樹脂等が挙げられ、成形品は、これらを1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明による成形品は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、硬化剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明による成形品は、液晶ポリエステル樹脂および所望によりその他の樹脂や添加剤等を含む混合物をプレス成形、発泡成形、射出成形、カレンダー成形、打ち抜き成形することにより得ることができる。なお、混合物は、液晶ポリエステル樹脂等をバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機等を用いて、溶融混練することにより得ることができる。
(電気電子部品)
本発明による電気電子部品は、液晶ポリエステル樹脂を含む成形品(例えば、射出成形品等)を備えてなる。上記成形品を備えてなる電気電子部品としては、例えば、ETC、GPS、無線LANおよび携帯電話等の電子機器や通信機器に使用されるアンテナ、高速伝送用コネクタ、CPUソケット、回路基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、積層用回路基板、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、RFIDタグ、コンデンサー、インバーター部品、ケーブルの被覆材、リチウムイオン電池等の二次電池の絶縁材、スピーカー振動板等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<液晶ポリエステル樹脂の製造>
(実施例1)
撹拌翼を有する重合容器に6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)48モル%、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA)2モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP)25モル%、テレフタル酸(TPA)20モル%、およびイソフタル酸(IPA)5モル%を加え、触媒として酢酸カリウムを仕込み、重合容器の減圧-窒素注入を3回行った後、無水酢酸(水酸基に対して1.05モル当量)を更に添加し、150℃まで昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。
アセチル化終了後、酢酸留出状態にした重合容器を0.5℃/分で槽内の溶融帯温度が330℃となるまで昇温した。その後、30分かけて系内が50Torrになるまで減圧した。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧にし、ポリマーを抜き出し、冷却固化した。得られたポリマーを粉砕し、目開き2.0mmの篩を通過する大きさに粉砕して、ポリマーを得た。得られたポリマーの、融点+20℃、100s-1における溶融粘度が20Pa・s以上600Pa・s以下の範囲内であれば、重合を完了する。なお、上記で得られたポリマーの、融点+20℃、100s-1における溶融粘度が20Pa・s未満の場合には重合度が不足しているため、溶融粘度が20Pa・s以上600Pa・s以下の範囲に収まるように、310℃まで昇温した後、3時間保持して固相重合を行って、再度の重合を完了する。
その後、室温で自然放熱し、本発明のポリエステル樹脂を得た。メトラー製の顕微鏡用ホットステージ(商品名:FP82HT)を備えたオリンパス(株)製の偏光顕微鏡(商品名:BH-2)を用い、ポリエステル樹脂を顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させ、光学異方性の有無から液晶性を確認した。
(実施例2)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、HBA2モル%、BP24モル%、TPA16モル%、およびIPA8モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(実施例3)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、HBA2モル%、BP24モル%、TPA16モル%、およびIPA6モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(実施例4)
モノマー仕込みを、HNA68モル%、HBA2モル%、BP15モル%、TPA11モル%、およびIPA4モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(実施例5)
モノマー仕込みを、HNA56モル%、HBA4モル%、BP20モル%、TPA16モル%、およびIPA4モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(実施例6)
モノマー仕込みを、HNA66モル%、HBA4モル%、BP15モル%、TPA11モル%、およびIPA4モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(実施例7)
モノマー仕込みを、HNA47モル%、HBA5モル%、BP24モル%、TPA20モル%、およびIPA4モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(比較例1)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、TPA15モル%、およびIPA10モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(比較例2)
モノマー仕込みを、HNA48モル%、HBA2モル%、BP25モル%、およびTPA25モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(比較例3)
モノマー仕込みを、HNA48モル%、HBA2モル%、BP25モル%、TPA13モル%、およびIPA12モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(比較例4)
モノマー仕込みを、HNA58モル%、HBA2モル%、BP20モル%、TPA19モル%、およびIPA1モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
(比較例5)
モノマー仕込みを、HNA27モル%およびHBA73モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。次に、上記と同様にして、ポリエステル樹脂の液晶性を確認した。
<平板状試験片の作製>
実施例および比較例において得られた液晶ポリエステル樹脂を融点~融点+20℃条件で加熱溶融、射出成形し、30mm×30mm×0.4mmの平板状試験片を作製した。
<誘電正接測定(10GHz)の測定>
上記で作製した平板状試験片の面内方向の誘電正接(tanδ)について、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、周波数10GHzの誘電正接を測定した。測定結果を表1に示す。
<融点および結晶化点の測定>
実施例および比較例において得られた液晶ポリエステル樹脂の融点および結晶化点を、日立ハイテクサイエンス(株)製の示差走査熱量計(DSC)により測定した。まず、昇温速度10℃/分で室温から340~360℃まで昇温して液晶ポリエステル樹脂を完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温した時に得られる発熱ピークの頂点を結晶化点(Tc)、さらに10℃/分の速度で360℃まで昇温する時に得られる吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とした。また、得られた融点および結晶化点から融点および結晶化点の差を算出した。融点、結晶化点、ならびに融点および結晶化点の差を表1に示した。
<耐熱性と加工安定性のバランスの評価>
実施例および比較例において得られた液晶ポリエステル樹脂の耐熱性と加工安定性のバランスを下記の基準により評価した。評価基準の点数は数値が大きい方が好ましく、3点以上を合格とした。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
5:融点が300℃以上340℃以下であり、かつ、融点と結晶化点の差が40℃以上であり、耐熱性と加工安定性のバランスに非常に優れていた。
4:融点が300℃以上340℃以下であり、かつ、融点と結晶化点の差が35℃以上40℃未満であり、耐熱性と加工安定性のバランスに特に優れていた。
3:融点が295℃以上300℃未満であり、かつ、融点と結晶化点の差が40℃以上であり、耐熱性と加工安定性のバランスに優れていた。
2:融点が295℃未満もしくは340℃超であったか、または、融点と結晶化点の差が35℃未満であり、耐熱性と加工安定性のバランスに劣っていた。
1:融点が295℃未満もしくは340℃超であり、かつ、融点と結晶化点の差が35℃未満であり、耐熱性と加工安定性のバランスに特に劣っていた。
表1の結果から明らかなように、実施例1~7の液晶ポリエステル樹脂は、汎用の液晶ポリエステル樹脂である比較例5と比較例して、誘電正接が明らかに低く、耐熱性と加工安定性のバランスに優れるものであった。さらに、実施例1~7の液晶ポリエステル樹脂は、他の組成の液晶ポリエステル樹脂である比較例1~4と比較例しても、耐熱性と加工安定性のバランスに優れるものであった。
<溶融粘度の測定>
実施例および比較例において得られた液晶ポリエステル樹脂の、せん断速度100S-1における融点+20℃での溶融粘度(Pa・s)を、キャピラリーレオメーター粘度計((株)東洋精機製作所キャピログラフ1D)と内径1mmキャピラリーを用い、JIS K7199に準拠して測定した。測定結果を表1に示した。
Figure 2022021173000014
<成形品の製造・評価>
(試験片の成形)
実施例5で得られた液晶ポリエステル樹脂を、射出成形機(Rambaldi製:Babyplast)で射出成形して、ISO527に準じたダンベル状引張試験片を作製した。
(引張強度、引張弾性率、および引張伸びの測定)
上記で作製した引張試験片を用い、ISO 527に準拠して、引張強度(MPa)および引張伸び(%)の測定を行った。
Figure 2022021173000015

Claims (8)

  1. 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、
    芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)、および
    芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III)
    を含んでなり、
    前記構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位(IA)を含み、
    前記構成単位(III)が、テレフタル酸に由来する構成単位(IIIA)、およびイソフタル酸に由来する構成単位(IIIB)を含み、
    測定周波数10GHzにおける誘電正接が、1.50×10-3以下であり、
    融点が295℃以上であり、
    融点と結晶化点との温度差が35℃以上であることを特徴とする、液晶ポリエステル樹脂。
  2. 融点が340℃以下である、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  3. 前記構成単位(I)が、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(IB)をさらに含み、
    前記構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    39モル%≦構成単位(IA)≦70モル%
    1モル%≦構成単位(IB)≦6モル%
    12モル%≦構成単位(II)≦30モル%
    10モル%≦構成単位(IIIA)≦21モル%
    2モル%≦構成単位(IIIB)≦9モル%
    を満たす、請求項1または2に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  4. 前記構成単位(I)~(III)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    42モル%≦構成単位(IA)≦69モル%
    2モル%≦構成単位(IB)≦5モル%
    13モル%≦構成単位(II)≦28モル%
    10モル%≦構成単位(IIIA)≦20モル%
    3モル%≦構成単位(IIIB)≦8モル%
    を満たす、請求項3に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  5. 前記芳香族ジオール化合物に由来する構成単位(II)が、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂を含む、繊維状の成形品。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル樹脂を含む、射出成形品。
  8. 請求項6または7に記載の成形品を備える、電気電子部品。
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