JP6854124B2 - 熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよびそれを用いた回路基板 - Google Patents

熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよびそれを用いた回路基板 Download PDF

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Description

本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルム(以下、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)に関し、特にマイクロ波・ミリ波(例えば、10GHz〜300GHz、好ましくは30GHz〜300GHz)で用いられる回路基板として有用な熱可塑性液晶ポリマーフィルムに関する。
自動車の安全運転支援や自動運転化に向け、車体に搭載し車間距離などを検出するための赤外線レーダやミリ波レーダの開発が進んでおり、中でも雨天・霧などの悪天候下においても安定した検出能力を有するミリ波レーダが注目されている。ミリ波レーダは、電磁波信号の送受信を行うためのアンテナを備えているが、このアンテナは、絶縁基板上に精密に設置された導体層(銅箔等)から構成されている。
アンテナの絶縁基板としてはセラミック基板やフッ素基板が知られているが、セラミック基板は加工が困難であり、高価であることが課題であり、フッ素基板では、寸法安定性を高めるために用いられるガラスクロス等の影響により、基板全体の高周波特性および耐湿性に問題がある。
一方、加工性に優れ、高周波特性の良好な熱可塑性液晶ポリマーフィルムが注目されており、特許文献1(特開2012−077117号公報)にはミリ波レーダ用途を想定した熱可塑性液晶ポリマーフィルムが記載されている。
特許文献1には、熱膨張係数0〜25ppm/℃であるとともに、面内における誘電率の変動係数が所定の範囲である熱可塑性液晶ポリマーフィルムが開示されている。また、この文献では、好ましい熱可塑性液晶ポリマーフィルムでは15GHzにおける誘電正接が0.005以下であることが記載されている。
特開2012−077117号公報
一般に、誘電正接は温度依存性であり、温度が高くなると誘電正接も上昇する。特許文献1には面内の誘電率ばらつきを抑制した熱可塑性液晶ポリマーフィルムの記載はあるものの、このフィルムが高温下で低い誘電正接を維持できることについては何ら記載されていない。
例えば、ミリ波レーダでは、基板上のICチップの発熱や、外部(例えばエンジン)に由来する熱により、高温(例えば、120℃)となる場合がある。したがって、そのような高温下においても誘電正接の上昇を抑制できる熱可塑性液晶ポリマーフィルムが求められている。
従って、本発明の目的は、高温下における誘電正接が低減された熱可塑性液晶ポリマーフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、マイクロ波・ミリ波アンテナを製造するのに好適な熱可塑性液晶ポリマーフィルムを提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、(1)誘電率の面内均一性を高めたフィルムであっても、高温下では分子の運動が激しくなるために、温度が上昇するにつれ増加する誘電損に由来して誘電正接が上昇してしまうことを見出し、(2)さらに、熱可塑性液晶ポリマー中の永久双極子を構成するカルボニル基に着目し、その配向性および回転性を検討したところ、(3)カルボニル基に結合する芳香族環をナフタレン環とする構造単位を液晶ポリマーの全構造単位の中で所定の範囲にすることにより、高温下であっても誘電損が発生するのを抑制できるためか、誘電率の面内均一性に優れるとともに、高温下での誘電正接が低減された熱可塑性液晶ポリマーフィルムを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の態様で構成されうる。
〔態様1〕
光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)からなる熱可塑性ポリマーフィルムであって、前記熱可塑性ポリマーは、
下記式(1):
Figure 0006854124
(式中、a、b、c、dは、互いに独立に0または1である。ただし、a+b=1、c+d=1であって、bおよびcが同時に0になることはない。)
で示される構造単位を、熱可塑性液晶ポリマーを構成する全構造単位中、30〜90モル%(好ましくは40〜90モル%、より好ましくは45〜85モル%)含むとともに、
前記フィルムにおいて、25℃、15GHzでの誘電率の面内での変動係数C(%)が、下記式:
C=σ/εave×100≦1
(ここで、C:変動係数、σ:標準偏差、εave:平均値を示す。)
を満たす(好ましくはC≦0.6、より好ましくはC≦0.5、さらに好ましくはC≦0.4、特に好ましくはC≦0.3)、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様2〕
態様1に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、式(1)の構造単位中、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位を30〜100モル%(好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%)含む、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様3〕
態様1または2に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、120℃における20GHzの誘電正接(Tanδ120)が0.004以下(好ましくは40〜90モル%、より好ましくは45〜85モル%)である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様4〕
態様1〜3のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、120℃における20GHzの誘電率が2.5〜4.0(好ましくは2.8〜4.0)である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様5〕
態様1〜4のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、融点が200〜400℃(好ましくは280〜380℃、より好ましくは300〜360℃)である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様6〕
態様1〜5のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、熱可塑性液晶ポリマーが、融点+20℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度30〜120Pa・s(好ましくは50〜100Pa・s)を有する、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様7〕
態様1〜3のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、40℃における20GHzの誘電正接(Tanδ40)と120℃における20GHzの誘電正接(Tanδ120)について、X={(Tanδ120−(Tanδ40}×10とする場合、Xが、0〜25(好ましくは0〜20、より好ましくは0〜15)である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様8〕
態様1〜7のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、10GHz〜300GHzの周波数帯域に対応するレーダに基板材料として用いられる、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
〔態様9〕
少なくとも1つの導体層と、態様1〜8のいずれか一態様に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを備える回路基板。
〔態様10〕
態様9に記載の回路基板であって、多層回路である回路基板。
〔態様11〕
態様9または10に記載の回路基板であって、半導体素子を搭載している回路基板。
〔態様12〕
態様9〜11のいずれか一態様に記載の回路基板を含む車載レーダ。
本発明では、誘電率の面内均一性に優れるとともに、高温下においても誘電正接の上昇を抑制できる熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得ることができる。
このような熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、高温下でも誘電正接の上昇に伴う誘電体損失を低減させることが可能であるため、温度が高温となる環境下においても誘電体損失を抑制することができる。
本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、使用時に高温(例えば、120℃程度)にさらされる車載レーダを構成する部材(例えば、ミリ波アンテナ部材)として好適に用いることができる。
[熱可塑性液晶ポリマー]
熱可塑性液晶ポリマーは、少なくとも、下記式(1)で示される構造単位を、所定の範囲で含んでいる。
Figure 0006854124
(式中、a、b、c、dは、互いに独立に0または1である。ただし、a+b=1、c+d=1であって、bおよびcが同時に0になることはない。)
熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、本発明の効果を達成できる範囲であれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性液晶ポリエステル、又はこれにアミド結合が導入された熱可塑性液晶ポリエステルアミドなどを挙げることができる。また熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カーボネート結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
本発明に用いられる熱可塑性液晶ポリマーの具体例としては、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知の熱可塑性液晶ポリエステルおよび熱可塑性液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。ただし、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを形成するためには、種々の原料化合物の組合せには適当な範囲があることは言うまでもない。
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
Figure 0006854124
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
Figure 0006854124
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
Figure 0006854124
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
Figure 0006854124
これらの原料化合物から得られる液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体を挙げることができる。
Figure 0006854124
式(1)で示される構造単位としては、具体的には、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸も含む)に由来する構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位が挙げられる。これらの構造単位は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
式(1)で示される構造単位は、ポリマー中のカルボニル基の回転運動を抑制する観点から、熱可塑性液晶ポリマーを構成する全構造単位中、30〜90モル%で含まれている。この範囲で式(1)の構造単位を含むことにより、液晶ポリマー中で、カルボニル基がナフタレン骨格に結合した永久双極子の割合を制御することができるためか、永久双極子の振動に由来する誘電正接の上昇を抑制することが可能である。
式(1)で示される構造単位は、熱可塑性液晶ポリマーを構成する全構造単位中、好ましくは40〜90モル%程度、さらに好ましくは45〜85モル%程度で含まれていてもよい。
また、熱可塑性液晶ポリマーは、好ましくは、式(1)の構造単位中、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位を、例えば、30〜100モル%含んでいてもよく、より好ましくは40〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%含んでいてもよい。
好ましい熱可塑性液晶ポリマーは、式(1)で示される構造単位に加えて、下記式(2)で示される構造単位を、所定の範囲で含んでいてもよい。
Figure 0006854124
(式中、e、f、g、hは、互いに独立に0または1である。ただし、e+f=1、g+h=1であって、fおよびgが同時に0になることはない。)
式(2)で示される構造単位としては、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位が挙げられる。これらの構造単位は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうち、好ましくは、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位である。
式(2)で示される構造単位は、ベンゼン環に結合するカルボニル基に由来して、誘電正接が上昇するのを抑制する観点から、モル比として、例えば、式(1)の構造単位/式(2)の構造単位=99/1〜30/70、好ましくは99/1〜50/50で含まれていてもよい。
なお、本発明にいう溶融時における光学的異方性とは、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
熱可塑性液晶ポリマーとして好ましいものは、融点(以下、Tmと称す)が260〜360℃の範囲のものであり、さらに好ましくはTmが270〜350℃のものである。なお、融点は示差走査熱量計((株)島津製作所DSC)により主吸熱ピークが現れる温度を測定することにより求められる。
また熱可塑性液晶ポリマーは、溶融成形性の観点から、例えば、融点+20℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度30〜120Pa・sを有していてもよく、好ましくは溶融粘度50〜100Pa・sを有していてもよい。
前記熱可塑性液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマー、各種添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて充填剤を添加してもよい。
[熱可塑性液晶ポリマーフィルムの製造方法]
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムの原反(以下、原反フィルムと称する場合がある)は、前記熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。熱可塑性液晶ポリマーの剛直な棒状分子の方向を制御できる限り、任意の押出成形法が適用できるが、円筒状に成形することでフィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられ、MD方向、TD方向に均一に延伸できることから、誘電率のばらつきが小さいフィルム製膜を得るにはインフレーション法を用いることが好ましい。
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。熱可塑性液晶ポリマーの剛直な棒状分子の方向を制御できる限り、任意の押出成形法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特にインフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(または機械加工方向:以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられ、MD方向とTD方向における分子配向性を制御したフィルムが得られる。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムには、押出成形した後に、必要に応じて延伸を行ってもよい。延伸方法自体は公知であり、二軸延伸、一軸延伸のいずれを採用してもよいが、分子配向度を制御することがより容易であることから、二軸延伸が好ましい。また、延伸は、公知の一軸延伸機、同時二軸延伸機、逐次二軸延伸機などが使用できる。
押出成形では、配向を制御するために、延伸処理を伴ってもよく、例えば、Tダイ法による押出成形では、Tダイから押出した溶融体シートを、フィルムのMD方向だけでなく、これとTD方向の双方に対して同時に延伸してもよいし、またはTダイから押出した溶融体シートを一旦MD方向に延伸し、ついでTD方向に延伸してもよい。
また、インフレーション法による押出成形では、リングダイから溶融押出された円筒状シートに対して、所定のドロー比(MD方向の延伸倍率に相当する)およびブロー比(TD方向の延伸倍率に相当する)で延伸してもよい。
このような押出成形の延伸倍率は、MD方向の延伸倍率(またはドロー比)として、例えば、1.0〜10程度であってもよく、好ましくは1.2〜7程度、さらに好ましくは1.3〜7程度であってもよい。また、TD方向の延伸倍率(またはブロー比)として、例えば、1.5〜20程度であってもよく、好ましくは2〜15程度、さらに好ましくは2.5〜14程度であってもよい。
MD方向とTD方向とのそれぞれの延伸倍率の比(TD方向/MD方向)は、例えば、2.6以下、好ましくは0.4〜2.5程度であってもよい。
また、必要に応じて、公知または慣用の熱処理を行い、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点および/または熱膨張係数を調整してもよい。熱処理条件は目的に応じて適宜設定でき、例えば、液晶ポリマーの融点(Tm)−10℃以上(例えば、Tm−10〜Tm+30℃程度、好ましくはTm〜Tm+20℃程度)で数時間加熱することにより、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点(Tm)を上昇させてもよい。
さらに、フィルムの誘電率の面内均一性を向上させるため、得られたフィルム(原反フィルム)に対して、熱処理が施される。熱処理は、原反フィルムは、幅方向(すなわち、TD方向)において複数ブロック(例えば、2〜5ブロック、好ましくは3ブロック)にわけて、各ブロックにおけるMD方向およびTD方向の誘電率が測定される。
より詳細には、例えば、幅方向(すなわち、TD方向)において3ブロックに原反フィルムを分ける場合、フィルムは、左ブロック、中央ブロック、および右ブロックの3つに分けられる。そして、左ブロック、中央ブロック、右ブロックのそれぞれのブロックについてサンプルを切り出し、MD方向、TD方向の誘電率を決定する。
なお、ブロックの幅に関しては、フィルムの種類などに応じて適宜設定することが可能であるが、各ブロックの幅は均一であるのが好ましい。
次いで、各ブロックのMD方向とTD方向との誘電率の比(PMD/PTD)をとり、PMD/PTD<1であれば、そのブロックの熱処理温度を、PMD/PTD≧1であるブロックの熱処理温度よりも低く(例えば、0.5〜5℃程度、好ましくは1〜4℃程度)設定することにより、熱可塑性液晶ポリマーフィルム全体の誘電率のばらつきを低減することができる。
このようにして得られた本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、基板材料、特に10GHz〜300GHz(好ましくは30GHz〜300GHz)の周波数帯域に対応するレーダに用いられる基板材料として好適に用いることができる。
[熱可塑性液晶ポリマーフィルム]
このようにして得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、フィルムを構成するポリマーの構造単位において、式(1)の構造単位の割合を調整するため、誘電正接が高温下で上昇するのを抑制することができる。
(誘電正接)
本発明の第1の構成にかかる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、高温下(例えば、120℃)での、誘電正接が上昇するのを抑制することができる。例えば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、120℃、20GHzにおける誘電正接(Tanδ120)が、0.004以下(例えば、0.0001〜0.0035程度)、好ましくは0.0005〜0.003程度(例えば、0.0005〜0.0025程度)であってもよい。なお、誘電正接は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
また、本発明の第1の構成にかかる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、40℃、20GHzにおける誘電正接(Tanδ40)が、0.003以下(例えば、0.0001〜0.0025程度)、好ましくは0.0005〜0.002程度(例えば、0.0005〜0.0015程度)であってもよい。なお、誘電正接は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
例えば、120℃の誘電正接(Tanδ120)と、40℃の誘電正接(Tanδ40)は、その変化の度合いを、X={(Tanδ120−(Tanδ40}×10により評価した場合、Xは、例えば、0以上25以下であってもよく、好ましくは20以下であってもよく、より好ましくは15以下であってもよい。
誘電正接が低いほど伝送損失が小さくなるため、このような熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、伝送回路に対しても好適に用いることができ、低電力化や低ノイズ化が可能となる。
(誘電率)
本発明の第1の構成にかかる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、高周波領域(例えばギガヘルツ帯)における周波数依存性が低く、例えば、15GHzと80GHzにおける誘電率の変化の割合(変動率)は、±2%以内、より好ましくは±1%以内であってもよい。なお、誘電率の変動率(周波数)は、以下の式で求めることができる。
誘電率の変動率=100×(DkF15−DkF80)/DkF15
(ここで、DkF15は15GHzの誘電率であり、DkF80は80GHzでの誘電率である。)
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの誘電率は、例えば、40℃、20GHzにおける熱可塑性液晶ポリマーフィルムの誘電率が、2.5〜4.0(例えば、2.6〜4.0程度)であってもよく、好ましくは2.8〜4.0程度であってもよい。なお、誘電率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、誘電率が高温下において変化することが抑制されているのが好ましく、例えば、120℃、20GHzにおける熱可塑性液晶ポリマーフィルムの誘電率が、2.5〜4.0(例えば、2.6〜4.0程度)であってもよく、好ましくは2.8〜4.0程度であってもよい。
例えば、上記誘電率を用いた場合、120℃と40℃における誘電率の変化の割合(変動率)は、例えば、±3%以内であってもよく、より好ましくは±2.5%以内、さらに好ましくは±2%以内であってもよい。なお、誘電率の変動率は、以下の式で求めることができる。
誘電率の変動率=100×(DkT120−DkT40)/DkT40
(ここで、DkT40は40℃での誘電率であり、DkT120は120℃での誘電率である。)
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの誘電率は、面内均一性を有しているのが好ましく、例えば、25℃における面内における誘電率(15GHz)の変動係数C(%)が下記式(1)を満たしていてもよい。
C=σ/εave×100≦1 (1)
(ここで、C:変動係数、σ:標準偏差、εave:平均値を示す。)
Cは、好ましくは0.6以下であってもよく、より好ましくは0.5以下であってもよく、さらに好ましくは0.4以下、特に好ましくは0.3以下であってもよい。誘電率の変動係数は、例えば、特開2012−077117号公報に記載された方法により決定することが可能である。
(融点)
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点(Tm)は、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的において、200〜400℃程度の範囲内で選択することができ、好ましくは250〜380℃程度、より好ましくは300〜360℃程度であってもよい。なお、フィルムの融点は、示差走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得ることができる。すなわち供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を20℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した後に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録すればよい。
(熱膨張係数)
本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムでは、熱膨張係数0〜25ppm/℃を有しており、熱膨張係数は、好ましくは5〜22ppm/℃程度であってもよい。なお、熱膨張係数は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱膨張係数を熱処理に応じて変化させることができるため、幅広い範囲の熱膨張係数とすることができ、例えば、回路基板として用いる場合、相手側の材料の熱膨張係数にあわせることが可能である。
(厚み)
本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、用途に応じて任意の厚みであってよく、そして、5mm以下の板状またはシート状のものをも包含する。例えば、高周波伝送線路に使用する場合は、厚みが厚いほど伝送損失が小さくなるので、できるだけ厚みを厚くするのが好ましい。一方で、回路基板の電気絶縁層として熱可塑性液晶ポリマーフィルムを単独で用いる場合、そのフィルムの膜厚は、10〜500μmの範囲内にあることが好ましく、15〜200μmの範囲内がより好ましい。フィルムの厚さが薄過ぎる場合には、フィルムの剛性や強度が小さくなることから、フィルム膜厚10〜200μmの範囲のフィルムを積層させて任意の厚みを得る方法を使用してもよい。
[回路基板]
本発明の第2の構成である回路基板は、少なくとも1つの導体層と、少なくとも1つの絶縁体(または誘電体)層とを含んでおり、上記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを絶縁体(または誘電体)として用いる限り、その形態は特に限定されず、公知または慣用の手段により、各種高周波回路基板として用いることが可能である。また、回路基板は、半導体素子(例えば、ICチップ)を搭載している回路基板(または半導体素子実装基板)であってもよい。
(導体層)
導体層は、例えば、少なくとも導電性を有する金属から形成され、この導体層に公知の回路加工方法を用いて回路が形成される。導体層を形成する導体としては、導電性を有する各種金属、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウムまたはこれらの合金金属などであってもよい。
熱可塑性液晶ポリマーフィルムからなる絶縁性基材上に導体層を形成する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば金属層を蒸着してもよく、無電解めっき、電解めっきにより、金属層を形成してもよい。また、金属箔(例えば銅箔)を熱圧着により、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの表面に圧着してもよい。
導体層を構成する金属箔は、電気的接続に使用されるような金属箔が好適であり、銅箔、のほか金、銀、ニッケル、アルミニウムなどの各種金属箔を挙げることができ、また実質的に(例えば、98質量%以上)これらの金属で構成される合金箔を含んでいてもよい。
これらの金属箔のうち、銅箔が好ましく用いられる。銅箔は、回路基板において用い得る銅箔であれば、特に限定されず、圧延銅箔、電解銅箔のいずれであってもよい。
特に、本発明の第2の構成である回路基板は、高温下での熱可塑性液晶ポリマーフィルムの誘電正接が抑制されているため、各種伝送線路、例えば、同軸線路、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレナー線路、平行線路などの公知または慣用の伝送線路に用いられてもよいし、アンテナ(例えば、マイクロ波またはミリ波用アンテナ)に用いられてもよい。また、回路基板は、アンテナと伝送線路が一体化したアンテナ装置に用いられてもよい。
アンテナとしては、導波管スロットアンテナ、ホーンアンテナ、レンズアンテナ、プリントアンテナ、トリプレートアンテナ、マイクロストリップアンテナ、パッチアンテナなどのミリ波やマイクロ波を利用するアンテナが挙げられる。
これらのアンテナは、例えば、少なくとも1つの導体層と、本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムからなる少なくとも1つの絶縁体(または誘電体)とを含む回路基板(好ましくは多層回路基板)を、アンテナの基板層として少なくとも備えている。
本発明の回路基板(または半導体素子実装基板)は、各種センサ、特に車載用レーダに用いられるのが好ましく、各種センサ、特に車載用レーダは、例えば、本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを含む回路基板、半導体素子(例えば、ICチップ)を少なくとも備えている。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
[膜厚]
誘電率測定の中心点から6mm四方の領域について、等間隔に9筒所測定した平均値をサンプルの膜厚とし、接触式リニアゲージ(小野測器製HS3412)を用いて測定した。
[面内における誘電率の変動係数C(%)]
王子計測機器(株)製分子配向計「MOA6015」を用いて、TD方向、MD方向のそれぞれにおいて採取した各サンプル(70個)について、25℃、15GHzでの誘電率を測定した。また、測定の際に入力する膜厚は、上述した膜厚を採用した。
[熟膨張係数(CTE)]
熱機械分析装置(TMA)を用いて、5℃/分の速度で25℃から200℃まで昇温した後、20℃/分の速度で30℃まで冷却し、再び5℃/分の速度で昇温したときの、30℃および150℃の間で測定した。フィルムのTD方向、MD方向の双方について測定し、平均値をフィルムの熱膨張係数とした。
[40℃および120℃における誘電特性]
(サンプル作成方法)
熱可塑性液晶ポリマーを融点+15〜30℃の条件で、圧力100kg/cmで熱プレスを行い、厚み1mm、縦10cm、横10cmの10cm角シートを得た。次いで、得られたシートを、シート横方向に、断面の対角線の長さが1.87mmになるように幅を調整(約1.6mm)してカットし、長さ10cm、幅約1.6mm、厚さ1mmのサンプル片を得た。シート縦方向についても同様に切り出し、長さ10cm、幅約1.6mm、厚さ1mmのサンプル片を得た。
(測定方法)
40℃の状態で、20GHzで測定をおこない、誘電率および誘電正接について、縦方向のサンプル片と横方向のサンプル片で同様の測定をおこない、得られた測定値の平均値を、40℃の誘電率および誘電正接の各代表値としてそれぞれ用いる。また、120℃の状態で、同様の測定をおこなう。
[誘電率の変動率]
40℃での誘電率(DkT40)に対する120℃での誘電率(DkT120)の変動率を以下の式で求めた。
誘電率の変動率=100×(DkT120−DkT40)/DkT40
[実施例1]
(1)熱可塑性液晶ポリマーの作製
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1034.99g(55モル%)、ハイドロキノン272.52g(ポリマー中の組成としては22.5モル%)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(17.5モル%)、テレフタル酸83.07g(5モル%)、および無水酢酸1226.87gを投入し、アセチル化(145℃、還流下約1時間)後、0.78℃/分で昇温し310℃で保持し、同温度で3時間保温して芳香族液晶ポリエステルを得た。得られた芳香族液晶ポリエステルを室温に冷却後、粉砕して粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得て、この粉末を3.75℃/分で250℃まで昇温した後、0.21℃/分で昇温し315℃で3時間保温して固相重合させた後、二軸押出機を用いて340℃で造粒して、ペレットを得た。
得られたポリマーは、式(1)の構成成分72.5モル%の共重合物で、融点が320℃、340℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度75Pa・sであった。
(2)原反熱可塑性液晶ポリマーフィルムの作製
前記(1)で得られた熱可塑性液晶ポリマーを単軸押出機で加熱混練し、環状インフレーションダイ(ダイ直径46.0mm、ダイスリット間隔800μm)から、ドロー比2.5、ブロー比4.0で溶融押出し、膜厚100μmの原反フィルムを作製した。
(3)熱可塑性液晶ポリマーフィルムの作製
支持体として、厚さ50μmのアルミニウム箔を用い、連続熱ロールプレス装置に耐熱ゴムロール(硬さ90度)と、加熱金属ロールを取り付け、耐熱ゴムロール面に熱可塑性液晶ポリマーフィルム原反が、加熱金属ロール面にアルミニウム箔が接触するようにロール間に供給し、260℃の加熱状態で圧力10kg/cmで圧着して、熱可塑性液晶ポリマーフィルム/アルミニウムの構成の積層板を作製した。続いて、炉内において、左側、中央、右側をそれぞれ表に示す所定の温度に精密に制御した炉長1.5mの熱風循環式熱処理炉に、前記積層板を3m/分の速度で加熱処理し、熱処理後の積層板を得た。続いて、炉内において、前記積層板を315℃で加熱処理し、熱処理後の積層板を得た。得られた積層板において、フィルムを支持体に対して180°の角度で剥がし、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。
得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの物性を表6に示す。
[参考例1]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸16.6g(48モル%)、テレフタル酸7.6g(25モル%)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.6g(25モル%)、p−ヒドロキシ安息香酸0.5g(2モル%)、および無水酢酸19.2gを投入し、アセチル化(140℃、還流下約1時間)後、0.7℃/分で昇温し370℃で保持し、60分間減圧処理(1000Pa)を行い溶融重縮合を行った。
得られたポリマーは、式(1)の構成成分48モル%の共重合物で、融点が355℃、370℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度30Pa・sであった。
[参考例2]
p−ヒドロキシ安息香酸8.0g(30モル%)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸25.5g(70モル%)、および無水酢酸20.1gを投入し、アセチル化(160℃、還流下約2時間)後、1℃/分で昇温し340℃で保持し、60分間減圧処理(1000Pa)を行い溶融重縮合を行った。。
得られたポリマーは、式(1)の構成成分70モル%の共重合物で、融点が325℃、340℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度40Pa・sであった。
[比較例1]
熱可塑性液晶ポリマーとして、p−ヒドロキシ安息香酸(73モル%)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(27モル%)の共重合物(融点:280℃、300℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度42Pa・s)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
[比較例2]
加熱処理において、炉内の温度を、左側、中央、右側で均一温度として加熱処理する以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。
Figure 0006854124
Figure 0006854124
表6に示すように、実施例1および参考例1および2では、120℃での誘電正接が上昇するのを抑制することができる。また、誘電正接の変化Xは、10以下の低い値となっている。さらに、40℃と120℃の間での誘電率は、ほとんど変化せず、略均一な範囲におさまっている。
一方、比較例1では、誘電率については、40℃と120℃の間でほとんど変化しないものの、誘電正接については、式(1)の構造単位の割合が、30モル%未満であるため、120℃での誘電正接が上昇してしまい、誘電正接の変化Xが、27もの高い値となる。
また、表7に示すように、実施例1では、CTEを好適な範囲とすることができるとともに、面内の誘電率を略均一にすることができ、誘電率の変動係数を1未満の低い値にすることが可能である。
一方、比較例2では、CTEを好適な範囲とすることができるが、面内の誘電率の均一性は、実施例1と比較して劣っており、誘電率の変動係数1.2は、実施例1の0.3と比較して、4倍もの値である。
本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、回路基板材料として利用することができ、高周波回路基板材料、特にマイクロ波ミリ波アンテナに用いられる高周波回路の基板材料、さらには、マイクロ波ミリ波を利用した車載用レーダに用いられる基板材料として有用に用いることができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

Claims (12)

  1. 光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)からなる熱可塑性ポリマーフィルムであって、前記熱可塑性ポリマーは、
    下記式(1):
    Figure 0006854124

    (式中、a、b、c、dは、互いに独立に0または1である。ただし、a+b=1、c+d=1であって、bおよびcが同時に0になることはない。)
    で示される構造単位を、熱可塑性液晶ポリマーを構成する全構造単位中、30〜90モル%含むとともに、
    前記フィルムにおいて、25℃、15GHzでの誘電率の面内での変動係数C(%)が、下記式:
    C=σ/εave×100≦1
    (ここで、C:変動係数、σ:標準偏差、εave:平均値を示す。)
    を満たす、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、式(1)の構造単位中、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位を30〜100モル%含む、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、120℃における20GHzの誘電正接(Tanδ120)が0.004以下である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、120℃における20GHzの誘電率が2.5〜4.0である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、融点が200〜400℃である、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、熱可塑性液晶ポリマーが、融点+20℃におけるせん断速度1000s−1の溶融粘度30〜120Pa・sを有する、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、40℃における20GHzの誘電正接(Tanδ40)と120℃における20GHzの誘電正接(Tanδ120)について、下記式の関係を有する、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
    0≦{(Tanδ120−(Tanδ40}×10≦25
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムであって、10GHz〜300GHzの周波数帯域に対応するレーダに基板材料として用いられる、熱可塑性液晶ポリマーフィルム。
  9. 少なくとも1つの導体層と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを備える回路基板。
  10. 請求項9に記載の回路基板であって、多層回路である回路基板。
  11. 請求項9または10に記載の回路基板であって、半導体素子を搭載している回路基板。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の回路基板を含む車載レーダ。
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