JP2024061391A - 液晶ポリマーおよび成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性および誘電特性に優れた成形品が得られる液晶ポリマーの提供。【解決手段】本発明による液晶ポリマーは、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、ジオールに由来する構成単位(II)と、ジカルボン酸に由来する構成単位(III)とを含むものであって、前記構成単位(I)が、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)を含み、前記構成単位(III)が、脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)を含み、前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IA)の組成比(モル%)が、下記の条件:25モル%≦構成単位(IA)≦80モル%を満たすことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリマーに関し、より詳細には、耐熱性および誘電特性に優れた液晶ポリマーに関する。また、本発明は、該液晶ポリマーを含む成形品に関する。
液晶ポリマーは成形性や耐熱性に優れているため、液晶ポリマーを使用して製造した成形品(例えば、射出成形品)は、各種電子部品に用いられている。近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の周波数を有する信号の使用が増加しており、特に、周波数が10Hz以上であるギガヘルツ(GHz)帯の周波数を有する信号の使用が盛んに行われている。しかしながら、使用される信号の周波数が高くなるに伴い、デバイスを経由する信号の送受信においてリスクが生じる。最も代表的なものは、情報の誤認識を招きうる出力信号の品質低下、すなわち、伝送損失の増大である。このリスク低減の対応法として、比誘電率と誘電正接がともに小さい「低誘電材料」を絶縁体に採用することが知られている。液晶ポリマーはエンジニアリングプラスチックスのなかでもGHz帯での比誘電率と誘電正接が小さく優れているためこの目的で液晶ポリマーの使用が拡大している。
誘電正接と伝送損失は比例関係にあり、誘電正接を低下させることで伝送損失を効果的に抑制できるが、他の観点におけるデバイスへのメリットは小さい。一方、比誘電率の低下を実現することは複数の観点でデバイス設計にメリットをもたらせる。絶縁体の比誘電率を低下させることができれば、例えば、上記の伝送損失低減効果に加え、信号の伝送遅延低減とデバイス間のインピーダンスマッチングの容易化(回路設計の自由度の向上)など複数のメリットが得られる。理想的に言えば、高周波デバイス用途に使用される液晶ポリマーをはじめとする絶縁体には比誘電率・誘電正接の両方の低下が望まれるが、部材として前提条件となる機械物性や耐熱性などの基本特性を維持した状態での実現は技術ハードルが高い。そのため、現実的には、1)回路の基盤のような面積の大きい絶縁部材には誘電正接の低下が、2)コネクタなど面積が小さいものやデバイス間の接続を担う絶縁体には比誘電率の低下が求められる傾向にある。この場合にも、他方の物性、つまり比誘電率の低下を狙う場合もできる限り誘電正接の値を低く保つことが要求される。
例えば、特許文献1には、高い融点と比誘電率に優れる全芳香族液晶ポリエステルとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸、置換基のついたかさ高い芳香族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸由来の各構成単位を合わせて100モル%含み、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構成単位がp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)に由来する構成単位からなり、その構成比率が15モル%以上25モル%以下である全芳香族液晶ポリエステルが開示されている。
また、特許文献2には、耐熱性と誘電正接に優れる全芳香族液晶ポリエステルとして、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA)に由来する構成単位、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)に由来する構成単位、4,4-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位、およびテレフタル酸に由来する構成単位の4種を特定の組成比で含む全芳香族液晶ポリエステルが開示されている。
特許第6470295号公報 特許第6530148号公報
しかしながら、特許文献1で提案される液晶ポリエステルは、成形部材として使用する観点での実用的な耐熱性と低い比誘電率の両立に向けた改善の余地がある。他方、特許文献2では耐熱性の高さと誘電正接の低下が報告されているが、比誘電率の低下に向けた改善の余地がある。
そこで、本発明者らは、液晶ポリマーの種々の組成について検討した結果、液晶ポリマーに脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位を含有させた場合、比誘電率の値を低下させつつも、耐熱性を高く維持できることを見出した。しかしながら、液晶ポリマーに脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位を含有させたとしても、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構成単位としてp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)に由来する構成単位のみが含まれる場合、誘電正接の値が上昇し、所望の特性が得られないことを知見した。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、液晶ポリマーに、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位および脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位の両方を含有させることで、耐熱性および誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)に優れた成形品が得られる液晶ポリマーを実現できることを見出した。
したがって、本発明の目的は、耐熱性および誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)に優れた成形品が得られる液晶ポリマーを提供することである。また、本発明の他の目的は、この液晶ポリマーを含む成形品および該成形品を備える電気電子部品を提供することである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、
ジオールに由来する構成単位(II)と、
ジカルボン酸に由来する構成単位(III)と、
を含む液晶ポリマーであって、
前記構成単位(I)が、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)を含み、
前記構成単位(III)が、脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)を含み、
前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
25モル%≦構成単位(IA)≦80モル%
を満たすことを特徴とする、液晶ポリマー。
[2] 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
0.1モル%≦構成単位(IIIA)<40モル%
を満たす、[1]に記載の液晶ポリマー。
[3] 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
0.1モル%≦構成単位(IIIA)≦25モル%
を満たす、[1]に記載の液晶ポリマー。
[4] 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
0.1モル%≦構成単位(IIIA)≦15モル%
を満たす、[1]に記載の液晶ポリマー。
[5] 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
25モル%≦構成単位(IA)≦70モル%
を満たす、[1]~[4]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[6] 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(II)の組成比(モル%)が、下記の条件:
10モル%≦構成単位(II)≦40モル%
を満たす、[1]~[5]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[7] 前記構成単位(IA)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[8] 前記構成単位(IIIA)が、1,4-シクロへキサンジカルボン酸に由来する構成単位を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[9] 前記構成単位(III)が、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)をさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[10] 前記芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)が、テレフタル酸に由来する構成単位およびイソフタル酸に由来する構成単位の少なくとも1種を含む、[9]に記載の液晶ポリマー。
[11] 前記構成単位(II)が、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(IIA)を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[12] 前記液晶ポリマーが、2つの官能基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)(但し、上記構成単位(I)~(III)を除く)をさらに含み、前記2つの官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される2種である、[1]~[11]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[13] 前記2つの官能基を有する芳香族モノマーが、芳香族ヒドロキシモノアミンおよび芳香族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種である、[12]に記載の液晶ポリマー。
[14] 前記液晶ポリマーの荷重たわみ温度が、210℃以上である、[1]~[13]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[15] 前記液晶ポリマーの荷重たわみ温度が、250℃以上である、[1]~[13]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[16] スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの誘電正接が、0.60×10-2以下である、[1]~[15]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[17] スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの誘電正接が、0.40×10-2以下である、[1]~[15]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[18] スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの比誘電率が、3.45以下である、[1]~[17]のいずれかに記載の液晶ポリマー。
[19] [1]~[18]のいずれかに記載の液晶ポリマーを含む、成形品。
本発明によれば、耐熱性および誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)に優れた成形品が得られる液晶ポリマーを実現することができる。このような成形品は、十分な機械特性を備えることもできる。
(液晶ポリマー)
本発明による液晶ポリマーは、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、ジオールに由来する構成単位(II)と、ジカルボン酸に由来する構成単位(III)と、を含むものであり、2つの官能基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)(但し、上記構成単位(I)~(III)を除く)をさらに含んでもよい。各構成単位については、下記で詳述する。
液晶ポリマーの融点は特に制限されないが、耐熱性を考慮すると、一般的には250℃以上であることが求められる。液晶ポリマーの融点の下限値は、好ましくは270℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは310℃以上であり、さらにより好ましくは320℃以上である。また、液晶ポリマーの融点の上限値は、例えば、370℃以下であってもよい。液晶ポリマーの融点を上記数値範囲とすることにより、実用的な温度範囲での成型可能性を維持しつつ液晶ポリマーを用いて作製した成形品の加熱加工に対する耐熱性を向上させることができる。
なお、本明細書において、液晶ポリマーの融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定した値である。具体的には、速度10℃/分で30℃から360~400℃まで昇温して液晶ポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温し、再度、速度10℃/分で1サイクル目と同じ温度まで昇温させる。昇温過程の2サイクル目での吸熱ピークの頂点での温度をTmとし、Tmを融点(℃)とする。
液晶ポリマーのガラス転移温度(Tg)は特に制限されないが、耐熱性を考慮すると、好ましくは140℃以上である。液晶ポリマーのガラス転移温度を上記数値範囲とすることにより、優れた耐熱性を有すると同時に、経済的に有利な成形条件で十分に結晶化した成形品を得ることができる。 なお、本明細書において、液晶ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、粘弾性測定装置により測定した値である。具体的には、液晶ポリマーを融点~融点+20℃条件で加熱溶融して得られた30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片から6mm×30mm×0.4mmの短冊状試験片を切り出し、測定長20mmで粘弾性測定装置に取り付ける。その後、引張モードで1Hzの周波数の振動を加えながら30℃から280℃まで5℃/分で昇温させ、試験片のtanδを測定する。tanδに見られる緩和ピークのうち、最も高温側にあるピークの位置をTgとする。
液晶ポリマーの荷重たわみ温度(DTUL)は、好ましくは190℃以上であり、より好ましくは210℃以上であり、さらに好ましくは220℃以上であり、さらにより好ましくは230℃以上であり、特に好ましくは240℃以上であり、最も好ましくは260℃以上である。液晶ポリマーの荷重たわみ温度を上記数値範囲とすることにより、液晶ポリマーを用いて作製した成形品の加熱加工に対する耐熱性を向上させることができる。 なお、本明細書において、液晶ポリマーの荷重たわみ温度は、液晶ポリマーを融点~融点+30℃条件で加熱溶融して得られた80mm×12.5mm×2mm(厚み)の試験片を、JIS K7191に準拠して、80mm×2mmの面へ荷重をかけるエッジワイズでの試験を行って測定する。具体的な測定条件は、以下の通りである。
窒素雰囲気下、支点間距離64mmで、負荷力1.80MPaを曲げ試験片の中央に加え、測定開始温度100℃、昇温速度120℃/hrで、規定たわみ0.11mmに到達したときの温度を荷重たわみ温度(℃)とする。
液晶ポリマーの比誘電率は、好ましくは3.50以下であり、より好ましくは3.45以下であり、さらに好ましくは3.40以下であり、さらにより好ましくは3.35以下であり、最も好ましくは3.30以下である。
液晶ポリマーの誘電正接は、好ましくは1.00×10-2以下であり、より好ましくは0.70×10-2以下であり、さらに好ましくは0.60×10-2以下であり、さらにより好ましくは0.50×10-2以下であり、特に好ましくは0.40×10-2以下であり、最も好ましくは0.30×10-2以下である。
液晶ポリマーの比誘電率および誘電正接を上記数値範囲とすることにより、所望の誘電特性を有する成形品を製造できるため、製品として使用する際には周波数の高い信号を使用する電気電子機器や通信機器における出力信号の品質の低下を防止することができる。
なお、本明細書において、液晶ポリマーの比誘電率・誘電正接は、液晶ポリマーを融点~融点+20℃条件で加熱溶融して得られた30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片を用いて測定することができる。具体的な測定条件は、以下の通りである。
上記の平板状試験片の面内方向の比誘電率(Er)・誘電正接(tanδ)について、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーM9805Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、23℃、湿度55%で、周波数10GHzの条件で測定することができる。
液晶ポリマーの、融点~融点+20℃で、せん断速度100s-1の条件で測定した溶融粘度(Pa・s)の下限値は、好ましくは5Pa・s以上であり、より好ましくは10Pa・s以上であり、さらに好ましくは20Pa・s以上である。また、上限値は好ましくは1000Pa・s以下であり、より好ましくは500Pa・s以下であり、さらに好ましくは300Pa・s以下である。液晶ポリマーの溶融粘度を上記数値範囲とすることにより、加工成形性を向上させることができる。
なお、本明細書において、液晶ポリマーの溶融粘度は、JIS K7199に準拠し、キャピラリーレオメーター粘度計(キャピラリーΦ1×40mm)を用いて測定することができる。
本発明による液晶ポリマーの液晶性は、ジャパンハイテック製の顕微鏡用大型試料冷却加熱ステージ(商品名:10083L)を備えたニコン(株)製の偏光顕微鏡(商品名:ECLIPSE E600 POL)を用い、液晶ポリマーを顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させた後、光学異方性の有無を観察することにより確認することができる。
以下、本発明による液晶ポリマーに含まれる各構成単位について詳細に説明する。
(ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I))
ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)は、少なくとも、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)を含む。ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)としては、例えば、下記式(1)で表される6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)に由来する構成単位が挙げられる。この構成単位を与えるモノマーとしては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、およびそのアセチル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2024061391000001
液晶ポリマー中における構成単位(IA)の組成比(モル%)は、誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)の観点から、25モル%以上80モル%以下である。構成単位(IA)の組成比(モル%)の下限値は、より好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは35モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。また、構成単位(IA)の組成比(モル%)の上限値は、より好ましくは70モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以下であり、さらにより好ましくは55モル%以下であり、特に好ましくは50モル%以下である。
ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)は、下記式(2)で表されるp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位をさらに含んでもよい。この構成単位を与えるモノマーとしては、p-ヒドロキシ安息香酸、およびそのアセチル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2024061391000002
液晶ポリマー中におけるp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位の組成比(モル%)は、目的に応じて適宜調節することができ、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下であり、0モル%であってもよい。特に誘電特性および耐熱性の両立の観点から、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位を加える場合には、液晶ポリマー中おける当該構成単位の組成比(モル%)の下限値は、好ましくは1モル%であり、より好ましくは2モル%以上である。上限値は、好ましくは10モル%であり、より好ましくは8モル%である。
(ジオールに由来する構成単位(II))
ジオールに由来する構成単位(II)は、下記式(3)で表される芳香族ジオールに由来する構成単位であることが好ましい。構成単位(II)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
Figure 2024061391000003
上記式中Arは、所望により置換基を有してもよい、芳香環を有する2価の炭化水素基である。芳香環を有する炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基等が挙げられる。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、およびフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
構成単位(II)を与えるモノマーとしては、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP)、ハイドロキノン(HQ)、メチルハイドロキノン(MeHQ)、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BisPA)、およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。構成単位(II)は、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(IIA)を含むことが好ましい。
液晶ポリマー中における構成単位(II)の組成比(モル%)は、耐熱性や誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)の観点から、好ましくは10モル%以上40モル%以下である。構成単位(II)の組成比(モル%)の下限値は、より好ましくは12.5モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、さらにより好ましくは17.5モル%以上であり、特に好ましくは20モル%以上である。また、構成単位(II)の組成比(モル%)の上限値は、より好ましくは37.5モル%以下であり、さらに好ましくは35モル%以下であり、さらにより好ましくは32.5モル%以下であり、特に好ましくは30モル%以下である。
(ジカルボン酸に由来する構成単位(III))
ジカルボン酸に由来する構成単位(III)は、少なくとも、脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)を含む。脂環式骨格の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは5~12であり、より好ましくは5~10である。脂環式骨格としては、例えば、シクロヘキシル環、シクロペンタン環、トリシクロ[5.2.1.0]デカン環等が挙げられる。
工業的に広く使用されている脂環式骨格を有するジカルボン酸を用いるため、特許文献1に開示される、置換基を有する芳香族ジオールを用いる場合と比較して、工業化および経済性の観点においても優位性がある。
脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)の一例としては、例えば、下記式(4)で表される1,4-シクロへキサンジカルボン酸に由来する構成単位が挙げられる。この構成単位を与えるモノマーとしては、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、およびそのエステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 2024061391000004
また、脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)の一例としては、下記式(5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2024061391000005
液晶ポリマー中における構成単位(IIIA)の組成比(モル%)は、誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)の観点から、好ましくは0.1モル%以上40モル%未満である。構成単位(IIIA)の組成比(モル%)の下限値は、より好ましくは1モル%以上であり、さらに好ましくは2モル%以上であり、さらにより好ましくは3モル%以上である。また、構成単位(IIIA)の組成比(モル%)の上限値は、より好ましくは25モル%以下であり、さらに好ましくは20モル%以下であり、さらにより好ましくは15モル%以下であり、最も好ましくは12モル%以下である。
本発明においては、構成単位(IIIA)の組成比が25モル%以下の場合、液晶ポリマーの比誘電率の値を低下させながら、誘電正接の値を顕著に低下させることができる。さらに、構成単位(IIIA)の組成比が15モル%以下の場合、比誘電率の値を低下させ、かつ、耐熱性を向上させながら、誘電正接の値を顕著に低下させることができる。このような効果は、構成単位(I)としてp-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位ではなく、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)を主に有する(例えば、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上)液晶ポリマーにおいて、顕著に発現させることができる。
ジカルボン酸に由来する構成単位(III)は、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)をさらに含んでもよい。芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)は、下記式(6)で表すことができる。
Figure 2024061391000006
上記式中Arは、所望により置換基を有してもよい、芳香環を有する2価の炭化水素基である。芳香環を有する炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基等が挙げられる。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、およびフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)としては、例えば、テレフタル酸(TPA)に由来する構成単位、イソフタル酸(IPA)に由来する構成単位、およびナフタレンジカルボン酸(NADA)に由来する構成単位が挙げられ、テレフタル酸に由来する構成単位およびイソフタル酸に由来する構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
液晶ポリマー中における構成単位(III)の組成比(モル%)は、耐熱性や誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下)の観点から、好ましくは10モル%以上40モル%以下である。構成単位(III)の組成比(モル%)の下限値は、より好ましくは12.5モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、さらにより好ましくは17.5モル%以上であり、特に好ましくは20モル%以上である。また、構成単位(III)の組成比(モル%)の上限値は、より好ましくは37.5モル%以下であり、さらに好ましくは35モル%以下であり、さらにより好ましくは32.5モル%以下であり、特に好ましくは30モル%以下である。
(2つの官能基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV))
本発明による液晶ポリマーは、上述の構成単位(I)~(III)の他に、2つの官能基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)を含んでも良い。当該構成単位(IV)は、2つの官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される2種であり、アミノ基を少なくとも1つ含むことが好ましい。2つの官能基を有する芳香族モノマーとしては、例えば、芳香族ヒドロキシモノアミンおよび芳香族ジアミンが挙げられる。
芳香族ヒドロキシモノアミンに由来する構成単位としては、例えば、下記式(7)で表される構成単位が挙げられる。この構成単位を与えるモノマーとしては、アセトアミノフェン(AAP)、p-アミノフェノール等が挙げられる。
Figure 2024061391000007
芳香族ジアミンに由来する構成単位としては、例えば、下記式(8)で表される構成単位が挙げられる。この構成単位を与えるモノマーとしては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)等が挙げられる。
Figure 2024061391000008
液晶ポリマー中における構成単位(IV)の組成比(モル%)は、他の構成単位の組成比に応じて適宜、調節することができる。構成単位(IV)の組成比(モル%)は、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは7モル%以下であり、さらに好ましくは5モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以下であり、0モル%であってもよい。
(液晶ポリマーの製造方法)
本発明による液晶ポリマーは、構成単位(I)~(III)を与えるモノマーと、必要に応じて他の構成単位を与えるモノマーとを、従来公知の方法で重合することにより製造することができる。一実施態様において、液晶ポリマーは、溶融重合のみによって製造することができる。また、液晶ポリマーは、溶融重合を行ってポリマーを得る工程と、前記ポリマーに固相重合を行って液晶ポリマーを得る工程とを含む方法(2段階重合)によって製造することができる。
溶融重合は、液晶ポリマーが効率よく得られる観点から、全モノマーが有する全水酸基に対し、1.03~1.15モル当量の無水酢酸を存在させて酢酸還流下において行うことが好ましい。
溶融重合の反応温度は、融点~(融点+70)℃の温度範囲であることが好ましく、(融点+20)℃~(融点+50)℃の温度範囲であることがより好ましい。
溶融重合は、触媒の存在下かつ無溶媒下において行うことが好ましい。触媒としては、ポリマーの重合用触媒として従来公知のものを使用することができる。触媒としては、例えば、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、テトラブチルチタネート、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N-メチルイミダゾール等の窒素含有複素環化合物等、有機化合物触媒等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、モノマーの合計モル数×(10~100)mg/モルであることが好ましい。
固相重合を行う際には、溶融重合により得られたポリマーを冷却固化後に粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にしてもよい。また、溶融重合により得られたポリマーストランドをペレタイズし、ペレット状にしてもよい。固相重合の反応温度は、融点以下であることが好ましく、(融点-30)℃~(融点-10)℃であることが好ましい。固相重合は、撹拌しながら行ってもよく、また撹拌することなく静置した状態で行ってもよい。
重合反応装置は特に限定されるものではないが、一般の高粘度流体の反応に用いられる反応装置が好ましく使用される。これらの反応装置の例としては、例えば、錨型、多段型、螺旋帯型、螺旋軸型等、あるいはこれらを変形した各種形状の撹拌翼をもつ撹拌装置を有する撹拌槽型重合反応装置、又は、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等の、一般に樹脂の混練に使用される混合装置等が挙げられる。
(成形品)
本発明による成形品は、上記の液晶ポリマーを含むものである。上記の液晶ポリマーを含むことで、成形品は、耐熱性および誘電特性(誘電正接を低く維持した状態での誘電率の低下))に優れたものとなる。
(充填剤)
成形品は、充填剤をさらに含んでもよい。充填材としては、炭素繊維(カーボンファイバー)、グラファイト、ガラス繊維、タルク、マイカ、ガラスフレーク、クレー、セリサイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、酸化チタン、フルオロカーボン樹脂繊維、フルオロカーボン樹脂、硫酸バリウム、各種ウィスカー等が挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成形品中の充填剤の含有量は、成形品の全量に対して、好ましくは1質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、さらにより好ましくは15質量%以上45質量%以下である。充填剤が2種以上含まれる場合には、それらの合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。成形品中の充填剤の含有量の上記範囲内であれば、機械特性に優れる成形品が得られるために好ましい。
(他の樹脂)
成形品は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の液晶ポリマー以外の他の樹脂をさらに含んでいてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレートおよびポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドおよびポリエーテルイミド等のイミド樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂およびABS樹脂等のポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂ならびにポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成形品中の液晶ポリマー以外の他の樹脂の含有量は、液晶ポリマー100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
(他の添加剤)
成形品は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、硬化剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤を含んでもよい。
成形品の形状は用途に応じ適宜変更されるものであり、特に限定されず、例えば、板状、シート状、フィルム状、繊維状、粉体状等とすることができる。
成形品は、上記の液晶ポリマーおよび所望により充填剤、他の樹脂、他の添加剤等を含む混合物を用いて、従来公知の成形方法により製造することができる。混合物は、上記の液晶ポリマー等をバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機等を用いて、溶融混練することにより得ることができる。また、成形品の成形方法としては、例えば、プレス成形法、発泡成形法、射出成形法、溶融紡糸法、溶液紡糸法、カレンダー成形法、打ち抜き成形法等が挙げられる。
(電気電子部品)
本発明による電気電子部品は、液晶ポリマーを含む成形品(例えば、繊維状の成形品や射出成形品等)を備えてなる。上記成形品を備えてなる電気電子部品としては、例えば、ETC、GPS、無線LANおよび携帯電話等の電子機器や通信機器に使用されるアンテナ、高速伝送用コネクタ、CPUソケット、回路基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、積層用回路基板、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、RFIDタグ、コンデンサー、インバーター部品、絶縁フィルム、ケーブルの被覆材、リチウムイオン電池等の二次電池の絶縁材、スピーカー振動板等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<液晶ポリマーの製造>
(実施例1)
撹拌翼を有する重合容器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)70モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP)15モル%、および1,4-シクロへキサンジカルボン酸(CHDA)15モル%を加え、触媒として酢酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを仕込み、重合容器の減圧-窒素注入を3回行った後、無水酢酸(水酸基に対して1.05モル当量)を更に添加し、160℃まで昇温し、還流状態で90分間アセチル化反応を行った。
アセチル化終了後、反応容器を185℃まで上昇させ、昇温速度0.6℃/分で310℃となるまで昇温した。この際、エステル化反応の進行に伴い副生成物の酢酸が留出した。その後、酢酸留出量が理論反応基準で92%以上になった後にポリマーを抜き出し、冷却固化した。得られたポリマーを粉砕し、目開き2.0mmの篩を通過する大きさに粉砕した。次に、粉砕したポリマーを、ヤマト科学(株)製のオーブンでヒーターにより、窒素雰囲気下にて温度を室温から5時間かけて300℃まで昇温した後、300℃で温度を1時間保持して固相重合を行った。
その後、ポリマーを室温で自然放熱し、本発明のポリマーを得た。ジャパンハイテック製の顕微鏡用大型試料冷却加熱ステージ(商品名:10083L)を備えたニコン(株)製の偏光顕微鏡(商品名:ECLIPSE E600 POL)等を用い、ポリマーを顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させ、光学異方性の有無から液晶性を確認した。
(実施例2)
モノマー仕込みを、HNA60モル%、BP20モル%、およびCHDA20モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例3)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、およびCHDA25モル%に変更し、オーブン加熱時の300℃保持時間を2時間に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例4)
モノマー仕込みを、HNA40モル%、BP30モル%、およびCHDA30モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例5)
モノマー仕込みを、HNA48モル%、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA)2モル%、BP25モル%、およびCHDA25モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例6)
モノマー仕込みを、HNA30モル%、HBA20モル%、BP25モル%、およびCHDA25モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例7)
モノマー仕込みを、HNA60モル%、BP20モル%、CHDA5モル%、およびテレフタル酸(TPA)15モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例8)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、CHDA10モル%、およびTPA15モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例9)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、CHDA15モル%、およびTPA10モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例10)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、CHDA20モル%、およびTPA5モル%に変更し、オーブン加熱時室温から6時間かけて310℃まで昇温した後、310℃で温度を1時間保持した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例11)
モノマー仕込みを、HNA30モル%、BP30モル%、CHDA5モル%、TPA30モル%、およびアセトアミノフェノン(AAP)5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例12)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP20モル%、CHDA5モル%、TPA20モル%、およびAAP5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例13)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルボン酸(TCD-DC)10モル%、およびTPA15モル%に変更し、オーブン加熱時7.5時間かけて250℃まで昇温し、250℃で2時間保持した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(実施例14)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP22.5モル%、CHDA5モル%、TPA20モル%、および4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)2.5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例1)
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、およびIPA5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例2)
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP15モル%、CHDA10モル%、TPA7モル%、IPA3モル%、およびAAP5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例3)
モノマー仕込みを、HBA40モル%、ハイドロキノン(HQ)30モル%、およびCHDA30モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例4)
モノマー仕込みを、HNA48モル%、HBA2モル%、BP25モル%、およびTPA25モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例5)
モノマー仕込みを、HNA60モル%、BP20モル%、TPA15.5モル%、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(NADA)4.5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様にして、ポリマーの液晶性を確認した。
(比較例6)
モノマー仕込みを、HNA20モル%、BP40モル%、およびCHDA40モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。次に、上記と同様の操作により、ポリマーの液晶性が無いことを確認した。なお、比較例6のポリマーについて以下の融点の測定を行ったところ融点を読み取ることができず、顕著な融解挙動も確認できなかったため、その他の物性は測定しなかった。
<融点の測定>
実施例および比較例で得られた各液晶ポリマーの融点を、ISO11357、ASTM D3418の試験方法に準拠して、日立ハイテクサイエンス(株)製の示差走査熱量計(DSC)により測定した。このとき、速度10℃/分で30℃から360~400℃まで昇温して液晶ポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温し、再度、速度10℃/分で1サイクル目と同じ温度まで昇温させた。昇温過程の2サイクル目での吸熱ピークの頂点での温度をTmとし、Tmを融点(℃)とした。測定結果を表2に示した。ただし、Tmが不明瞭で読み取れない場合は、代わりに1サイクル目のTmの値を融点(℃)とし、表2中に「※」として示した。
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度の測定には、(株)日立ハイテクサイエンス製の粘弾性測定装置(DMA7100)を用いた。液晶ポリマーを融点~融点+20℃条件で射出成形して得られた30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片から6mm×30mm×0.4mmの短冊状試験片を切り出し(長辺がポリマー流入方向)、測定長20mmで装置に取り付けた。その後、引張モードで1Hzの周波数の振動を加えながら30℃から280℃まで5℃/分で昇温させ、試験片のtanδを測定した。tanδに見られる緩和ピークのうち、最も高温側にあるピークの位置をTgとした。ガラス転移温度が140℃以上であれば、耐熱性に優れることを示す。
<曲げ試験片の作製>
実施例および比較例で得られた各液晶ポリマーを融点~融点+30℃条件で射出成形して、80mm(流入方向)×12mm×2mm(厚み)の曲げ試験片を作製した。
<荷重たわみ温度(DTUL)の測定>
上記で作製した曲げ試験片について、荷重たわみ温度測定機((株)安田精機製作所製、型番:No.148-HD500)を用いて、JIS K7191に準拠して、80mm×2mmの面へ荷重をかけるエッジワイズでの試験を行った。具体的な測定条件は、以下の通りである。
窒素雰囲気下、支点間距離64mmで、負荷力1.80MPaを曲げ試験片の中央に加え、測定開始温度100℃、昇温速度120℃/hrで、規定たわみ0.11mmに到達したときの温度を荷重たわみ温度(℃)(DTUL)とした。測定は、各サンプルN=2ずつ測定し、2回の平均値を表3に示した。なお、未測定の場合、「-」とした。
<平板状試験片の作製>
実施例および比較例で得られた各液晶ポリマーを融点~融点+20℃条件で射出成形して、30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片を作製した。
<比誘電率(Er)・誘電正接(tanδ)の測定>
上記で作製した平板状試験片の面内方向の比誘電率(Er)・誘電正接(tanδ)について、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、23℃、湿度55%で、周波数10GHzの条件で比誘電率および誘電正接を測定した。測定結果を表2に示した。誘電正接(tanδ)を1.00×10-2以下に維持した状態で、比誘電率(Er)が3.45以下であれば、誘電特性に優れることを示す。
<溶融粘度の測定>
実施例および比較例で得られた各液晶ポリマーの溶融粘度(Pa・s)を、せん断速度100s-1、融点+20℃の条件で、キャピラリーレオメーター粘度計((株)東洋精機製作所キャピログラフ1D)と内径1mm、測定長40mmのキャピラリーを用い、JIS K7199に準拠して測定した。測定結果を表2に示した。
<機械特性の測定>
上記で得られた曲げ試験片について、JIS K7171に準拠し、万能試験機(INSTRON社製、型番:4482)を用いて、室温でR=50mm、支点間距離50mm、試験速度2mm/分の条件で曲げ弾性率(GPa)、曲げ強度(MPa)、曲げひずみ(%)を測定した。各サンプルについてN=5の測定の平均値を表3に示した。
上記で得られた曲げ試験片について、JIS K7110に準拠し、IT型衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて、室温で秤量5.5J、振子刃先半径0.8mmの振子を持上げ角150°からリリースし、振子衝撃速度3.5m/sにて片持式で固定した試験片のエッジ面に当てて、アイゾット衝撃強度(kJ/m)の測定を行った。測定結果を表3に示した。なお、未測定の場合、「-」とした。
Figure 2024061391000009
Figure 2024061391000010
Figure 2024061391000011

Claims (19)

  1. ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)と、
    ジオールに由来する構成単位(II)と、
    ジカルボン酸に由来する構成単位(III)と、
    を含む液晶ポリマーであって、
    前記構成単位(I)が、ナフタレン骨格を有するヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(IA)を含み、
    前記構成単位(III)が、脂環式骨格を有するジカルボン酸に由来する構成単位(IIIA)を含み、
    前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    25モル%≦構成単位(IA)≦80モル%
    を満たすことを特徴とする、液晶ポリマー。
  2. 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    0.1モル%≦構成単位(IIIA)<40モル%
    を満たす、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  3. 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    0.1モル%≦構成単位(IIIA)≦25モル%
    を満たす、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  4. 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IIIA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    0.1モル%≦構成単位(IIIA)≦15モル%
    を満たす、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  5. 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(IA)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    25モル%≦構成単位(IA)≦70モル%
    を満たす、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  6. 前記液晶ポリマーの全構成単位中、前記構成単位(II)の組成比(モル%)が、下記の条件:
    10モル%≦構成単位(II)≦40モル%
    を満たす、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  7. 前記構成単位(IA)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位を含む、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  8. 前記構成単位(IIIA)が、1,4-シクロへキサンジカルボン酸に由来する構成単位を含む、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  9. 前記構成単位(III)が、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)をさらに含む、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  10. 前記芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(IIIB)が、テレフタル酸に由来する構成単位およびイソフタル酸に由来する構成単位の少なくとも1種を含む、請求項9に記載の液晶ポリマー。
  11. 前記構成単位(II)が、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(IIA)を含む、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  12. 前記液晶ポリマーが、2つの官能基を有する芳香族モノマーに由来する構成単位(IV)(但し、上記構成単位(I)~(III)を除く)をさらに含み、前記2つの官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される2種である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  13. 前記2つの官能基を有する芳香族モノマーが、芳香族ヒドロキシモノアミンおよび芳香族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項12に記載の液晶ポリマー。
  14. 前記液晶ポリマーの荷重たわみ温度が、210℃以上である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  15. 前記液晶ポリマーの荷重たわみ温度が、250℃以上である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  16. スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの誘電正接が、0.60×10-2以下である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  17. スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの誘電正接が、0.40×10-2以下である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  18. スプリットポスト誘電体共振器法(23℃、湿度55%、測定周波数10GHz)によって測定した前記液晶ポリマーの比誘電率が、3.45以下である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載の液晶ポリマーを含む、成形品。
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