JP7312767B2 - 樹脂組成物および該樹脂組成物からなる樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、低誘電正接および低誘電率を有する樹脂組成物に関する。さらに、本発明は該樹脂組成物からなる樹脂成形品、および該樹脂成形品を備える電気電子部品に関する。
近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の周波数を有する信号の使用が増加しており、特に、周波数が10Hz以上であるギガヘルツ(GHz)帯の周波数を有する信号の使用が盛んに行われている。しかしながら、使用される信号の周波数が高くなるに伴い、情報の誤認識を招きうる出力信号の品質低下、すなわち、伝送損失が大きくなる。この伝送損失は、導体に起因する導体損失と、電子機器や通信機器における基板等の電気電子部品を構成する絶縁用の樹脂組成物に起因する誘電損失とからなるが、導体損失は使用する周波数の0.5乗、誘電損失は周波数の1乗に比例するため、高周波数帯、とりわけGHz帯においては、この誘電損失による影響が非常に大きくなる。また、誘電損失は、樹脂組成物の誘電正接や誘電率にも比例して増大するため、情報の劣化を防ぐため低誘電正接および低誘電率を有する樹脂組成物が求められている。
近年、液晶ポリエステル樹脂は低粘度および高耐熱性を兼ね備えた熱可塑性樹脂であり、ポリイミド等の基板向けの絶縁材料に比べると一桁小さい誘電正接を有することから注目を集めいている。液晶ポリエステル樹脂は、原料モノマーの構造の観点から設計がなされている。例えば、嵩高い置換基を持つモノマーを液晶ポリエステル樹脂に共重合させて、誘電率を低下させることが提案されている(特許文献1参照)。また、原料モノマーとしてナフタレン環をもつモノマーを使用することで、誘電正接を低下させることが提案されている。しかし、液晶ポリエステル樹脂の特徴である高耐熱性と溶融時の低粘度性に由来した優れた加工性を維持した状態で、誘電正接と誘電率の両方を低下させることは、いまだ実現されていない。
また、モノマー設計以外の材料設計法としては、液晶ポリエステル樹脂にフィラーや他樹脂を混練ないしブレンドすることで優れた特性をもつ材料を開発する手法も知られている。例えば、空気層を有する中空ガラスバルーンフィラーを液晶ポリエステル樹脂に混練することが提案されている(特許文献2参照)。空気は誘電率1と極めて低い誘電率をもつため、樹脂にブレンドすることで誘電率を低下させることができる。しかしながら、中空ガラスバルーンは液晶ポリエステル樹脂の液晶性を大きく阻害するために、少量の混練であっても顕著に粘度を上昇させる。そのため、樹脂組成物の加工性を顕著に低下させてしまうため、現実的には樹脂組成物全体の10質量%以下程度のごく少量のみしか混練することができない。また、中空であるがゆえに、混練後の材料は脆く、機械強度や耐熱性が低下してしまうという課題も存在する。
さらに、誘電正接を低下させる手法としては、液晶ポリエステル樹脂に酸化マグネシウムや窒化ホウ素等のセラミックスを混練ないしブレンドすることも知られている。しかし、セラミック材料は、誘電正接は10-4~10-5台と低いが、誘電率は8以上であり、場合によっては80程度と非常に高く、混練した材料の誘電率は逆に上昇してしまう。
また、従来、誘電正接および誘電率がともに極めて低い材料としては、フッ素系の材料が知られている。特にポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)は誘電率が2程度であり、誘電正接も10-4台として優れた電気特性を持つことで知られている。一方で、PTFEは溶融状態での粘度が極めて高いことが知られており、射出成形や溶融押出し製膜等の溶融加工することはできない。唯一の加工法は圧縮したブロック体を切削する切削加工であるが、こうした方法では射出成形のような高い生産性や微細加工は不可能であった。PTFEの加工性を改良する方法として、PTFEの構造を変えたテトラフルオロエチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)等のフッ素材料が開発されている。こうした材料はPTFEより粘度が低下し、フィルムなどへの加工が可能になっている一方で、PTFEほどの低誘電正接および低誘電率を維持することはできない。そのため、電気物性を犠牲にして加工性を向上させるものとなっており、加工に適切な溶融粘度、製品としてはんだ耐熱等を担保する耐熱性を維持した状態で、誘電正接と誘電率をともに低下させることができる材料が求められている。
国際公開第2016/027446号 特開2004-27021号公報
したがって、本発明の目的は、液晶ポリエステル樹脂と比べて遜色ない溶融成形加工性と耐熱性を兼ね備えたうえで、低誘電正接および低誘電率を有する樹脂組成物を提供することである。また、このような樹脂組成物からなる樹脂成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の液晶ポリエステル樹脂(A)と、フッ素樹脂(B)とを混合した樹脂組成物であって、誘電正接および比誘電率を特定の数値範囲内に調節することで、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、ジオール化合物に由来する構成単位(II)、およびジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含む液晶ポリエステル樹脂(A)と、
フッ素樹脂(B)と
を含んでなり、
測定周波数10GHzにおけるSPDR法で測定した誘電正接が、0.80×10-3以下であり、かつ比誘電率が3.50以下である、樹脂組成物が提供される。
本発明の態様においては、樹脂組成物は前記液晶ポリエステル樹脂(A)の融点+20℃以上、せん断速度1000s-1における溶融粘度が、5Pa・s以上250Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、液晶ポリエステル樹脂(A)は融点+20℃、せん断速度1000s-1における溶融粘度が、5Pa・s以上130Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記液晶ポリエステル樹脂(A)の融点が280℃以上であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記液晶ポリエステル樹脂(A)は、10GHzSPDR法で測定した誘電正接が1.00×10-3以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記樹脂(B)が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記液晶ポリエステル樹脂(A)と前記フッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、前記液晶ポリエステル樹脂(A)の配合量が30質量部以上95質量部以下であり、前記フッ素樹脂(B)の配合量が5質量部以上70質量部以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記液晶ポリエステル樹脂(A)全体の構成単位に対する前記構成単位(I)の組成比が、30モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記ジオール化合物に由来する構成単位(II)が、4,4-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、および4,4’-イソプロピリデンジフェノールからなる群から選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記ジカルボン酸に由来する構成単位(III)が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6-ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記樹脂組成物からなる、樹脂成形品が提供される。
本発明の別の態様においては、熱処理後の樹脂成形品は、測定周波数10GHzにおけるSPDR法で測定した誘電正接が、0.70×10-3以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、ASTM D570に準拠して測定した吸水率が0.04%以下であることが好ましい。
本発明のさらに別の態様によれば、上記樹脂成形品を備える電気電子部品が提供される。
本発明によれば、液晶ポリエステル樹脂と比べて遜色ない溶融成形加工性と耐熱性を兼ね備えたうえで、低誘電正接および低誘電率を有する樹脂組成物を得ることができる。また、このような樹脂組成物を用いることで、耐熱性に優れながら、低誘電正接および低誘電率を有する樹脂成形品を得ることができる。
実施例2-2の樹脂成形品の実用耐熱温度を算出する損失弾性率のグラフを示す図である。
発明を実施するための態様
[樹脂組成物]
本発明による樹脂組成物は、下記の液晶ポリエステル樹脂(A)と、フッ素樹脂(B)とを含むものであり、液晶ポリエステル樹脂と比べて遜色ない溶融成形加工性と耐熱性を兼ね備えたうえで、低誘電正接および低誘電率を有するものである。このような樹脂組成物を用いることで、耐熱性に優れながら、低誘電正接および低誘電率を有する樹脂成形品を得ることができる。
樹脂組成物の溶融粘度は、溶融成形加工性という観点からは、液晶ポリエステル樹脂(A)のの融点+20℃以上、せん断速度1000s-1の条件において、下限値として、好ましくは5Pa・s以上であり、上限値として、好ましくは250Pa・s以下であり、より好ましくは230Pa・s以下であり、さらに好ましくは200Pa・s以下、さらにより好ましくは150Pa・sである。
樹脂組成物の誘電正接(測定周波数:10GHz)は、0.80×10-3以下であり、好ましくは0.75×10-3以下であり、より好ましくは0.70×10-3以下であり、さらに好ましくは0.65×10-3以下である。当該値は、樹脂組成物の射出成形品の面内方向の誘電正接の測定値である。なお、当該射出成形品は、樹脂組成物の溶融粘度が150Pa・s以下の場合、30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片であり、樹脂組成物の溶融粘度が150Pa・s超250Pa・s以下の場合、30mm×30mm×0.8mm(厚み)の平板状試験片である。
なお、本明細書において、樹脂組成物の10GHzにおける誘電正接は、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247A等を用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により測定することができる。また、特別に指定がない場合、誘電正接の値は、23℃、大気雰囲気下、湿度60%での測定値である。
樹脂組成物の10GHzのSPDR法で測定した比誘電率は、3.5以下であり、好ましくは3.4以下であり、より好ましくは3.3以下であり、さらに好ましくは3.2以下である。また、数式(2)で定める誘電損失ファクターFは、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.8以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。なお、本明細書における誘電損失の値は、上記の射出成形品を用いて回路基板を作成して、回路基板における伝送損失のうち、誘電体(絶縁フィルム)で生じるエネルギー損失を下記数式(1)で求めたものである(技術文献(高周波用高分子材料の開発と応用、CMCテクニカルライブラリー201、馬場文明監修、120頁参照))。
Figure 0007312767000001
この数式(1)によると、下記数式(2)で定めた特定の周波数における誘電損失ファクターFを材料間で比較することで、その材料を使用して回路基板を作成した際に生じる伝送損失のうち、誘電損失の発生度合いを知ることができ、誘電損失ファクターFの値が小さい程、低誘電損失基板向け絶縁体としての機能が期待できる。
Figure 0007312767000002
上記数式(2)で定めた特定の周波数における誘電損失ファクターFは、材料間での誘電損失を比較するための新たなパラメータである。
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
(液晶ポリエステル樹脂(A))
本発明の樹脂組成物に用いる液晶ポリエステル樹脂は、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、ジオール化合物に由来する構成単位(II)、およびジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含むものである。以下、液晶ポリエステル樹脂に含まれる各構成単位について説明する。
(ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I))
液晶ポリエステル樹脂(A)を構成する単位(I)は、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位であり、下記式(I)で表される芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(I)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
Figure 0007312767000003
上記式中Arは、所望により置換基を有するフェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基からなる群より選択される。これらの中でもフェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基が好ましく、ナフチル基がより好ましい。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、ならびにフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
上記式(I)で表される構成単位を与えるモノマーとしては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA、下記式(1))、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA、下記式(2))、およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 0007312767000004
Figure 0007312767000005
ポリエステル樹脂全体の構成単位に対する構成単位(I)の組成比(モル%)は、下限値としては好ましくは30モル%以上であり、より好ましくは35モル%以上であり、さらに好ましくは40モル%以上であり、さらにより好ましくは45モル%以上であり、上限値としては、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは75モル%以下であり、さらに好ましくは70モル%以下であり、さらにより好ましくは65モル%以下である。構成単位(I)が2種以上含まれる場合、それらの合計モル比が上記組成比の範囲内であればよい。なお、構成単位(I)として、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位の組成比は、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位の組成比よりも多いことが好ましい。また、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位の組成比は、構成単位(I)が2種以上含まれる場合、構成単位(I)の合計の50モル%超であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。
(ジオール化合物に由来する構成単位(II))
液晶ポリエステル樹脂(A)を構成する単位(II)は、ジオール化合物に由来する構成単位であり、下記式(II)で表される芳香族ジオール化合物に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(II)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
Figure 0007312767000006
上記式中Arは、所望により置換基を有するフェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基からなる群より選択される。これらの中でもフェニル基およびビフェニル基がより好ましい。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、ならびにフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
構成単位(II)を与えるモノマーとしては、例えば、4,4-ジヒドロキシビフェニル(BP、下記式(3))、ハイドロキノン(HQ、下記式(4))、メチルハイドロキノン(MeHQ、下記式(5))、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BisPA、下記式(6))、およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも4,4-ジヒドロキシビフェニル(BP)およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物を用いることが好ましい。
Figure 0007312767000007
Figure 0007312767000008
Figure 0007312767000009
Figure 0007312767000010
ポリエステル樹脂全体の構成単位に対する構成単位(II)の組成比(モル%)は、下限値としては好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは12.5モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、さらにより好ましくは17.5モル%以上であり、上限値としては、好ましくは35モル%以下であり、より好ましくは32.5モル%以下であり、さらに好ましくは30モル%以下であり、さらにより好ましくは27.5モル%以下である。構成単位(II)が2種以上含まれる場合、それらの合計モル比が上記組成比の範囲内であればよい。
(芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位(III))
液晶ポリエステル樹脂(A)を構成する単位(III)は、ジカルボン酸に由来する構成単位であり、下記式(III)で表される芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位であることが好ましい。なお、構成単位(III)は、1種のみが含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
Figure 0007312767000011
上記式中Arは、所望により置換基を有するフェニル基、ビフェニル基、4,4’-イソプロピリデンジフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基からなる群より選択される。これらの中でもフェニル基およびビフェニル基がより好ましい。置換基としては、水素、アルキル基、アルコキシ基ならびにフッ素等が挙げられる。アルキル基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。また、直鎖状のアルキル基であっても、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。アルコキシ基が有する炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
構成単位(III)を与えるモノマーとしては、テレフタル酸(TPA、下記式(7))、イソフタル酸(IPA、下記式(8))、2,6-ナフタレンジカルボン酸(NADA、下記式(9))、およびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
Figure 0007312767000012
Figure 0007312767000013
Figure 0007312767000014
ポリエステル樹脂(A)全体の構成単位に対する構成単位(III)の組成比(モル%)は、下限値としては好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは12.5モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、さらにより好ましくは17.5モル%以上であり、上限値としては、好ましくは35モル%以下であり、より好ましくは32.5モル%以下であり、さらに好ましくは30モル%以下であり、さらにより好ましくは27.5モル%以下である。構成単位(II)が2種以上含まれる場合、それらの合計モル比が上記組成比の範囲内であればよい。なお、構成単位(II)の組成比と構成単位(III)の組成比は実質的に当量((構成単位(II)≒構成単位(III))となる。
液晶ポリエステル樹脂(A)の液晶性は、メトラー製の顕微鏡用ホットステージ(商品名:FP82HT)を備えたオリンパス(株)製の偏光顕微鏡(商品名:BH-2)等を用い、族液晶ポリエステル樹脂(A)を顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させた後、光学異方性の有無を観察することにより確認することができる。
液晶ポリエステル樹脂(A)の融点は、下限値として、好ましくは280℃以上であり、より好ましくは290℃以上であり、さらに好ましくは300℃以上であり、さらにより好ましくは305℃以上である。上限値として、好ましくは370℃以下であり、好ましくは360℃以下であり、さらに好ましくは355℃以下であり、さらにより好ましくは350℃以下である。液晶ポリエステル樹脂(A)の融点を上記数値範囲とすることにより、本発明で示す範囲の液晶ポリエステル樹脂(A)を含む樹脂組成物の加工安定性、具体的にはせん断をかけた溶融加工性の安定性、せん断をかけない状態での溶融加工安定性を向上させることができると共に、これを用いて作製した成形品の材料としての耐熱性をはんだ耐熱の観点で良好な範囲に維持させることができる。
液晶ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度は、溶融成形加工性と耐熱性の担保という観点からは、液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃以上、せん断速度1000s-1の条件において、下限値として、好ましくは5Pa・s以上であり上限値として、好ましくは130Pa・s以下であり、より好ましくは100Pa・s、さらに好ましくは70Pa・s以下、さらにより好ましくは50Pa・sである。
液晶ポリエステル樹脂(A)の誘電正接(測定周波数:10GHz)は、1.00×10-3以下であり、好ましくは0.95×10-3以下であり、より好ましくは0.90×10-3以下であり、さらに好ましくは0.85×10-3以下である。当該値は、液晶ポリエステル樹脂(A)の射出成形品の面内方向の誘電正接の測定値である。なお、当該射出成形品は、30mm×30mm×0.4mm(厚み)の平板状試験片である。
液晶ポリエステル樹脂(A)の10GHzのSPDR法で測定した比誘電率は、3.7以下であり、好ましくは3.6以下である。
(液晶ポリエステル樹脂(A)の製造方法)
液晶ポリエステル樹脂(A)は、所望により構成単位(I)~(III)を与えるモノマーを、従来公知の方法で重合することにより製造することができる。一実施態様において、本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、溶融重合によりプレポリマーを作製し、これをさらに固相重合する2段階重合によっても製造することができる。
溶融重合は、本発明に係るポリエステル化合物が効率よく得られる観点から、所望により上記構成単位(I)~(III)を与えるモノマーを、所定の配合で合わせて100モル%として、モノマーが有する全水酸基に対し、1.05~1.15モル当量の無水酢酸を存在させて酢酸還流下において行うことが好ましい。
溶融重合とこれに続く固相重合の二段階により重合反応を行う場合は、溶融重合により得られたプレポリマーを冷却固化後に粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法、例えば、窒素等の不活性雰囲気下、または真空下において200~350℃の温度範囲で1~30時間プレポリマー樹脂を熱処理する等の方法が好ましくは選択される。固相重合は、攪拌しながら行ってもよく、また攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。
重合反応において触媒は使用してもよいし、また使用しなくてもよい。使用する触媒としては、ポリエステルの重合用触媒として従来公知のものを使用することができ、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N-メチルイミダゾール等の窒素含有複素環化合物等、有機化合物触媒等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、モノマーの総量100重量部に対して、0.0001~0.1重量部であることが好ましい。
溶融重合における重合反応装置は特に限定されるものではないが、一般の高粘度流体の反応に用いられる反応装置が好ましく使用される。これらの反応装置の例としては、例えば、錨型、多段型、螺旋帯型、螺旋軸型等、あるいはこれらを変形した各種形状の攪拌翼をもつ攪拌装置を有する攪拌槽型重合反応装置、又は、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等の、一般に樹脂の混練に使用される混合装置等が挙げられる。
(フッ素樹脂(B))
フッ素樹脂(B)は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(ETFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体樹脂(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(EPE)等が挙げられる。これらの中でもポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を用いることが好ましい。フッ素樹脂(B)は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を用いてもよい。
本発明による樹脂組成物においては、液晶ポリエステル樹脂(A)とフッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、液晶ポリエステル樹脂(A)の配合量は、下限値として、好ましくは30質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは45質量部以上であり、さらにより好ましくは50質量部以上であり、上限値として、好ましくは95質量部以下であり、より好ましくは90質量部以下であり、さらに好ましくは85質量部以下であり、さらにより好ましくは80質量部以下である。また、液晶ポリエステル樹脂(A)とフッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、フッ素樹脂(B)の配合量は、下限値として、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上であり、さらにより好ましくは20質量部以上であり、上限値として、好ましくは70質量部以下であり、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは55質量部以下であり、さらにより好ましくは50質量部以下である。液晶ポリエステル樹脂(A)とフッ素樹脂(B)の配合比が上記数値範囲程度であれば、低誘電正接および低誘電率を有しながら、加工性および耐熱性により優れる樹脂組成物を得ることができる。
本発明による樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、硬化剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤を含んでいてもよい。
(樹脂成形品)
本発明による樹脂成形品は上記の樹脂組成物からなるものである。本発明による樹脂成形品は、耐熱性に優れながら、低誘電正接および低誘電率を有するものである。
樹脂成形品の実用耐熱温度は、下限値としては、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは270℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。
なお、本明細書において、樹脂成形品の実用耐熱温度は、以下の通りに測定した温度である。まず、樹脂成形品(平板状試験片)を30mm×8mmとなるように切削し(長辺はTD方向)、測定用サンプルを得る。得られたサンプルについて、動的粘弾性装置(DMA、日立ハイテクサイエンス(株)製、型番:DMS6100)を用いて、実用的耐熱性を評価する。具体的には、1Hz、昇温速度6℃/分、測定開始温度30℃で測定を行い、サンプルが熱により非弾性的に変形または破断した点を測定終了点とする。測定データにおいて損失弾性率のグラフにおいて200℃以降で、フラットな部分と測定が終了する直前の部分のそれぞれの接線の交点を求め、交点の温度を材料がDMA装置の応力に負けて破断する実用耐熱温度とする。
熱処理後の樹脂成形品のSPDR法で測定した誘電正接(測定周波数:10GHz)は、0.70×10-3以下であり、好ましくは0.65×10-3以下であり、より好ましくは0.60×10-3以下であり、さらに好ましくは0.55×10-3以下である。この誘電正接の値は、上述の樹脂組成物の誘電正接の測定方法と同様にして測定した値である。
熱処理後の樹脂成形品の比誘電率は、好ましくは3.5以下であり、好ましくは3.4以下であり、より好ましくは3.3以下であり、さらに好ましくは3.2以下である。なお、この比誘電率の値は、上述の樹脂組成物の比誘電率の測定方法と同様にして上記数式(1)で求めたものである。
樹脂成形品は、ASTM D570に準拠して測定した吸水率が、好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.03%以下であり、さらに好ましくは0.02%以下である。吸水率は、乾燥状態の試験片重量と24時間水中に試験片を浸漬させた後の重量を測定し、その重量増加率から測定した値である。樹脂成形品は、低い吸水率を有することで、実使用下においても低誘電性能を安定的に発現することができる。
(樹脂成形品の製造方法)
本発明においては、上記の液晶ポリエステル樹脂(A)およびフッ素樹脂(B)や所望により添加剤等を含む樹脂組成物を、従来公知の方法で成形して得ることができる。なお、樹脂組成物は、全液晶ポリエステル樹脂(A)およびフッ素樹脂(B)等をバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機等を用いて、溶融混練することにより得ることができる。
上記の成形方法としては、例えば、プレス成形、発泡成形、射出成形、押出成形、打ち抜き成形等が挙げられる。上記のようにして製造される成形品は、用途に応じて、様々な形状に加工することができる。成形品の形状としては、例えば、板状やフィルム状等とすることができる。
本発明においては、得られた樹脂成形品にさらに加熱処理(アニーリング)を施すことで、誘電正接をより低下させることができる。加熱処理(アニーリング)の温度は、下限値としては、好ましくは「Tm-50℃」以上、より好ましくは「Tm-40℃」以上、さらに好ましくは「Tm-30℃以上、さらにより好ましくは「Tm-20℃」以上、上限値としては、好ましくは「Tm+10℃」以下、より好ましくは「Tm+5℃」以下、さらに好ましくは「Tm」以下、さらにより好ましくは「Tm-5℃」以下である。また、例えば、熱処理の時間は、下限値としては、好ましくは30分以上、1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、上限値としては、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。加熱時の雰囲気としては、好ましくは空気雰囲気下、より好ましくは減圧下、さらに好ましくは窒素雰囲気下である。加熱処理の温度、時間、ならびに雰囲気が上記範囲内であれば、樹脂成形品の誘電正接をより低減することができる。
(電気電子部品)
本発明による電気電子部品は、上記の樹脂組成物を備えてなる。電気電子部品としては、例えば、ETC、GPS、無線LANおよび携帯電話等の電子機器や通信機器に使用されるアンテナ、高速伝送用コネクタ、CPUソケット、回路基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、積層用回路基板、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、RFIDタグ、コンデンサー、インバーター部品、絶縁フィルム、ケーブルの被覆材、リチウムイオン電池等の二次電池の絶縁材、スピーカー振動板等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[試験1]
特定の液晶ポリエステル樹脂にフッ素樹脂を配合した樹脂組成物を製造できること、さらには、得られた樹脂組成物は高せん断領域での低粘度性を保ち、加工性を維持できることを確認するために以下の試験を行った。
<液晶ポリエステル樹脂(A)の製造>
(合成例1)
攪拌翼を有する重合容器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)50モル%、4,4-ジヒドロキシビフェニル(BP)25モル%、テレフタル酸(TPA)17モル%、2,6-ナフタレンジカルボン酸(NADA)8モル%を加え、触媒として酢酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを仕込み、重合容器の減圧-窒素注入を3回行って窒素置換を行った後、無水酢酸(水酸基に対して1.08モル当量)を更に添加し、150℃まで昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。
アセチル化終了後、酢酸留出状態にした重合容器を0.5℃/分で昇温して、槽内の溶融体温度が310℃になったところで重合物を抜き出し、冷却固化した。得られた重合物を粉砕し目開き2.0mmの篩を通過する大きさに粉砕してプレポリマーを得た。
次に、上記で得られたプレポリマーを、ヤマト科学(株)製のオーブンでヒーターにより、温度を室温から14時間かけて300℃まで昇温した後、300℃で温度を2時間保持して固相重合を行った。その後室温で自然放熱し、液晶ポリエステル樹脂A1を得た。メトラー製の顕微鏡用ホットステージ(商品名:FP82HT)を備えたオリンパス(株)製の偏光顕微鏡(商品名:BH-2)を用い、液晶ポリエステル樹脂試料を顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させ、光学異方性の有無から液晶性を示すことを確認した。
(合成例2)
モノマー仕込みを、HNA60モル%、BP20モル%、TPA15.5モル%、およびNADA4.5モル%に変更し、固相重合の最終温度を295℃、保持時間を1時間にした以外は合成例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂A2を得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリエステル樹脂A2が液晶性を示すことを確認した。
(合成例3)
モノマー仕込みを、HNA50モル%、BP25モル%、TPA22モル%、およびイソフタル酸(IPA)3モル%に変更し、固相重合の最終温度を310℃にした以外は合成例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂A3を得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリエステル樹脂A3が液晶性を示すことを確認した。
(合成例4)
モノマー仕込みを、HNA27モル%、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA)73モル%に変更し、同様にアセチル化を行った後、5時間30分かけて360℃まで昇温した。その後、20分かけて10torrまで減圧したところで重合物を抜き出し、冷却固化した。冷却固化した。得られた重合物を粉砕し目開き2.0mmの篩を通過する大きさに粉砕して、固相重合せずに液晶ポリエステル樹脂A4を得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリエステル樹脂A4が液晶性を示すことを確認した。
(合成例5)
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、およびIPA5モル%に変更し、300℃での保持時間を1時間にした以外は合成例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂A5を得た。続いて、上記と同様にして、得られた液晶ポリエステル樹脂A5が液晶性を示すことを確認した。
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1~A5の構成単位(モノマー組成)を表1に示した。
(融点の測定)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1~A5の融点を、ISO11357、ASTM D3418の試験方法に準拠して、日立ハイテクサイエンス(株)製の示差走査熱量計(DSC)により測定した。このとき、昇温速度10℃/分で室温から360~380℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温し、更に10℃/分の速度で380℃まで昇温するときに得られる吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とした。測定結果を表1に示した。
(溶融粘度の測定)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1~A5の、せん断速度1000S-1における融点+20℃での溶融粘度(Pa・s)を、キャピラリーレオメーター粘度計((株)東洋精機製作所キャピログラフ1D)と内径1mmキャピラリーを用い、JIS K7199に準拠して測定した。測定結果を表1に示した。なお、測定前に樹脂組成物を150℃、4時間減圧下で乾燥した。
(誘電正接・比誘電率測定(10GHz))
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1~A5を用いて、それぞれの融点~融点+30℃条件で加熱溶融し、30mm×30mm×0.4mm(厚み)の金型を用いて射出成形し、平板状試験片を作製した。続いて、該平板状試験片を用いて、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、周波数10GHzの面内方向の比誘電率と誘電正接を測定した。なお、各種類のサンプルをN=4ずつ測定し、4回の平均値を表1に示した。
Figure 0007312767000015
<フッ素樹脂(B)の準備>
フッ素樹脂(B)として、以下の樹脂を準備した。
・ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE):(株)喜多村製、商品名KT-400M
<他の混合物の準備>
他の混合物として、以下の中空ガラスを準備した。
・中空ガラス(3M社製、商品名S-60HS、平均粒径30μm、真比重0.60g/cm
<樹脂組成物の製造>
(実施例1-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を95質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を5質量部とを、ドライブレンドし、その後2軸混練機(株式会社東洋精機製作所製、ラボプラストミルマイクロ2D15W)で液晶ポリエステル樹脂A1のTm2+30~50℃の温度で混練し、ストランドカットしてペレタイズすることで、ペレット状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を90質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を10質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-3)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を80質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を20質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-4)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を70質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-5)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を50質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-6)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を40質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を60質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例1-7)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を30質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を70質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例2-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A2を90質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を10質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例2-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A2を80質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を20質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例2-3)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A2を70質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例2-4)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A2を50質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例2-5)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A2を40質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を60質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例3-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A3を70質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(実施例3-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A3を50質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例1-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A4を90質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を10質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例1-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A4を70質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例1-3)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A4を50質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例1-4)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A4を30質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を70質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例2-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A5を90質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を10質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例2-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A5を70質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例2-3)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A5を50質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例3-1)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を90質量部と、中空ガラスを10質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例3-2)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を70質量部と、中空ガラスを30質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
(比較例3-3)
上記で得られた液晶ポリエステル樹脂A1を50質量部と、中空ガラスを50質量部とを混練した以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物を製造した。上記と同様にして液晶性を確認したところ、融解した液晶ポリエステル樹脂部分に液晶性を確認することができた。
上記で得られた樹脂組成物の組成を表2に示した。
(融点の測定)
上記の実施例および比較例で得られた樹脂組成物の融点を、ISO11357、ASTM D3418の試験方法に準拠して、日立ハイテクサイエンス(株)製の示差走査熱量計(DSC)により測定した。このとき、昇温速度10℃/分で室温から360~380℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で30℃まで降温し、更に10℃/分の速度で380℃まで昇温するときに得られる、液晶ポリエステル樹脂由来の吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とした。測定結果を表2に示した。
(溶融粘度の測定)
上記の実施例および比較例で得られた樹脂組成物について、液晶ポリエステル樹脂(A)由来の融点+20℃以上の温度でせん断速度1000S-1における溶融粘度(Pa・s)を、キャピラリーレオメーター粘度計((株)東洋精機製作所キャピログラフ1D)と内径1mmキャピラリーを用い、JIS K7199に準拠して測定した。測定結果を表2に示した。なお、測定前に樹脂組成物を150℃、4時間減圧下で乾燥した。
また、液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度と比較した樹脂組成物の溶融粘度の割合(樹脂組成物の溶融粘度/液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度)(%)を表2に示した。
Figure 0007312767000016
表2の結果から、樹脂組成物におけるフッ素樹脂の配合量に応じて粘度上昇が確認された。液晶ポリエステル樹脂の種類とフッ素樹脂の組み合わせによって粘度の上昇の仕方は異なるが、実施例の組成物では最大でも溶融粘度が250Pa・s以下であり、加工性を維持できることが確認された。
液晶ポリエステル樹脂A1にフッ素樹脂を配合した実施例1-1~1-7と、同一の液晶ポリエステル樹脂A1に中空ガラスを配合した比較例3-1~3-3とを比較すると、中空ガラスを配合した方が粘度の上昇度合いが高く、液晶ポリエステル樹脂の優れた特徴である高せん断領域での低粘度性を大きく損なう性質が確認された。
[試験2]
試験1で得られた樹脂組成物を用いて樹脂成形品を製造できること、さらには、これらの樹脂組成物は加工性に優れながら、低誘電正接および低誘電率であることを確認するために以下の試験を行った。
<樹脂成形品の製造1>
上記の実施例および比較例で得られたペレット状の樹脂組成物を小型の射出成形機を用いて、融点~融点+30℃条件で加熱溶融し、30mm×30mm×0.4mm(厚み)または30mm×30mm×0.8mm(厚み)の金型を用いて射出成形し、平板状試験片を作製した。平板状試験片は、樹脂組成物の溶融粘度が150Pa・s以下の場合、厚さ0.4mmで成形し、樹脂組成物の溶融粘度がより高粘度(150Pa・s超)の場合、厚み0.8mmで成形した。一方、樹脂組成物の溶融粘度がさらに高粘度(250Pa・s超)の場合、金型に樹脂組成物が充填できず、完全な成形品は得られなかった。
<性能評価1>
<誘電正接・比誘電率測定(10GHz)>
上記で作製した平板状試験片を用いて、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、周波数10GHzの面内方向の比誘電率と誘電正接を測定した。なお、各種類のサンプルをN=4ずつ測定し、4回の平均値を表3に示した。
<誘電損失ファクターFの計算>
実測した比誘電率Erと誘電正接tanδを上記数式(2)に適応し、誘電損失ファクターFを計算し、表3に示した。誘電損失ファクターFの値が小さい程、本材料で回路基板を作成した際の誘電損失の発生が小さくなると期待できる。
Figure 0007312767000017
本発明の樹脂組成物は、加工性に優れながら、低誘電正接および低誘電率であることが確認された。具体的には、実施例1-1~3-2の樹脂組成物は、フッ素樹脂配合の比較例の1-1~比較例2-3の樹脂組成物に比べて、誘電正接(tanδ)が極めて低く、誘電損失ファクターFは半分近い小さな値を示し、回路基板に用いた場合に誘電損失を比較例に比べ半減できる可能性を示した。したがって、実施例1-1~3-2の樹脂組成物は、誘電損失を大きく抑制できる材料であることが確認された。
また、実施例1-1~1~7の樹脂組成物は、中空ガラス配合の比較例3-1~3-2に比べて、比誘電率はフッ素樹脂の配合量に応じた低い値を示しているが、誘電正接(tanδ)は極めて低い値を示した。一方、比較例3-1~3-2では、中空ガラスの配合量に応じて誘電正接(tanδ)の値は上昇し、悪化した。
以上により、加工性に優れながら、低誘電正接および低誘電率である樹脂組成物を得るためには、特定の液晶ポリエステル樹脂とフッ素樹脂の組み合わせが重要であることが確認された。
[試験3]
試験2と同様の平板状試験片を用いて、厚み方向の誘電特性を評価するために以下の試験を行った。
<性能評価2>
<誘電正接・比誘電率測定(10GHz)>
上記の試験2で作製した平板状試験片について、円筒空洞共振器法により、周波数10GHzの厚み方向の比誘電率と誘電正接を測定した。なお、各種類のサンプルをN=4ずつ測定し、4回の平均値を表4に示した。
<誘電損失ファクターFの計算>
上記の<性能評価1>と同様にして、上記数式(2)を用いて厚み方向の誘電損失ファクターFを計算し、値を表4に示した。
Figure 0007312767000018
表4の結果から、実施例の平板状試験片は、厚み方向でも誘電正接および比誘電率ともに小さい値を示すことが確認された。
[試験4]
樹脂成形品の熱処理による誘電特性への影響を確認するために、以下の試験を行った。
<性能評価3>
<誘電正接・比誘電率測定(10GHz)>
上記の試験2で作製した平板状試験片を平坦なステンレスバットに乗せ、イナートオーブン(ヤマト科学(株)製)を用いて表5に示す温度(約「Tm-20℃」の温度)で3時間窒素雰囲気下にて熱処理を施した後、空冷した。熱処理後の平板状試験片について、SPDR法)により、周波数10GHzの面内方向の比誘電率と誘電正接を測定した。なお、各種類のサンプルをN=4ずつ測定し、4回の平均値を表5に示した。
<誘電損失ファクターFの計算>
上記の<性能評価1>と同様にして、上記の熱処理後の平板状試験片を用いた際の、誘電損失ファクターFを上記数式(2)から計算し、表5に示した。
Figure 0007312767000019
表5の結果から、実施例の熱処理後の平板状試験片は、熱処理前の平板状試験片に比べて、誘電正接および比誘電率ともに低減できることを示すことが確認された。特に実施例の組成物では誘電正接が0.6×10-3を下回り極めて小さい値となった。
[試験5]
樹脂成形品の熱膨張の程度を確認するために、以下の試験を行った。
<性能評価4>
上記の試験2で作製した平板状試験片をTD方向、MD方向にそれぞれ幅4mm程度に切削して、短冊状の測定用サンプルを得た。測定用サンプルを、熱機械分析装置((株)日立ハイテクサイエンス製、型番:TMA7000)を用いて引張モードにてサンプルの線膨張係数(CTE)を測定した。測定は測定間距離20mm、10℃から160℃までの温度範囲を10℃/minで昇温、降温させ、2サイクル測定した。2サイクル目の30-100℃の平均CTE測定結果を表6に示した。また、平板状試験片の中央を8×8mm角に切り出し、測定用サンプルとして圧縮モードで測定した。測定の温度条件は引張モードと同じで、2サイクル測定し、2サイクル目の30-100℃の平均値CTE(ppm/K)を表6に記載した。
Figure 0007312767000020
表6の結果から、実施例の樹脂成形品は、線膨張係数(CTE)のx、y、およびzの合計が210ppm/K以下であった。一方、比較例の樹脂成形品は、線膨張係数(CTE)のx、y、およびzの合計が240ppm/K超であった。したがって、実施例の樹脂成形品は、比較例の樹脂成形品に比べて、熱膨張が抑制されていた。線膨張係数の値が低い程、樹脂成形品を実装、加工等の2次加工する際に熱膨張が少ないもの程取扱いし易くなることから、部品の特性として小さい方が好ましいと言える。
表6の結果から、フッ素樹脂(B)の配合量が多くなる程、線膨張係数(CTE)は増加する傾向にあった。フッ素樹脂(B)の配合量(10質量%)が同等の実施例2-1と比較例2-1を比較すると、実施例2-1は、比較例2-1に比べて、熱膨張が30%以上抑制されていた。また、フッ素樹脂(B)の配合量(30質量%)が同等の実施例1-4および実施例2-3と、比較例1-2および比較例2-2とを比較すると、実施例1-4および実施例2-3は、比較例1-2および比較例2-2に比べて、熱膨張が20%程度抑制されていた。さらに、フッ素樹脂(B)の配合量(50質量%)が同等の実施例3-2と、比較例1-3および比較例2-3とを比較すると、実施例3-2は、比較例1-3および比較例2-3に比べて、熱膨張が30%以上抑制されていた。
以上により、線膨張係数の値が低い樹脂成形品を得るためには、特定の液晶ポリエステル樹脂とフッ素樹脂の組み合わせが重要であることが確認された。
[試験6]
本発明による樹脂成形品が高い実用耐熱性を示すことを確認するために、以下の試験を行った。
<性能評価5>
上記の試験2で作製した平板状試験片を30mm×8mmとなるように切削し(長辺はTD方向)、測定用サンプルを得た。得られたサンプルについて、動的粘弾性装置(DMA、日立ハイテクサイエンス(株)製、型番:DMS6100)を用いて、実用的耐熱性を評価した。具体的には、引張モード、1Hz、昇温速度6℃/分、測定開始温度30℃で測定を行い、昇温過程でサンプルが熱により変形または破断した点、または、損失弾性率が測定開始時から1000分の1になった点を測定終了点とした。測定データでは、損失弾性率のグラフにおいてガラス転移点よりも高い200℃以降で、温度に対して安定的な物性変化を示す、フラットな部分と更なる加熱により材料の液体としての挙動が急激に強まり、非弾性的な変化または破断によって測定が終了する直前の部分のそれぞれの接線の交点を求め、交点の温度を材料がDMA装置の所定の応力に耐えられず破断する実用耐熱温度とした。測定結果を表7に示した。
Figure 0007312767000021
表7の結果から、原料として液晶ポリエステル樹脂とフッ素樹脂とを配合したサンプルは、原料の液晶ポリエステル樹脂単体と同等の実用耐熱性を示し、液晶ポリエステルの特徴である優れた耐熱性を示した。特に実施例のサンプルについてはいずれも280℃以上の実用耐熱温度を示し、材料としてはんだ耐熱を有することが示された。一例として、図1に、実施例2-2の樹脂成形品の実用耐熱温度を算出する損失弾性率のグラフを示す。ここで、実用耐熱温度は、はんだ耐熱の指標となる耐熱評価である荷重たわみ温度とほぼ一致することを確認した。なお、荷重たわみ温度とは、JIS K7191で占めされる評価で、(株)安田精機製作所社製、荷重たわみ測定機No.148-HD500を用いて、曲げ試験片に対して窒素雰囲気下、支点間距離64mm、負荷力1.80MPaの荷重を加え、測定開始温度100℃、昇温速度120℃/時で昇温した際に、規定たわみ0.11mmに達した際の温度として測定したものである。合成例2の液晶性ポリエステル樹脂A2の荷重たわみ温度は281℃であり、このサンプルのDMA測定での実用耐熱温度は297℃あった。このことからDMA測定における実用的耐熱温度が、一般的に実用耐熱性の評価として使われる荷重たわみ試験と同等の結果を示すことが確認できている。
さらに、実施例のサンプルは、実施例と同等の実用耐熱性を示す比較例2-1~2-3のサンプルと比較すると、液晶ポリエステル樹脂のTmと実用耐熱温度の差が小さいことが分かった。本発明の材料は、はんだ耐熱を示すような高い実用耐熱性をもつ材料の中でも、Tmを比較的小さくできていることから、加熱能力がそれほど大きくない成形機でも加工することができる。本発明の樹脂組成物は、こうした観点においても、優れた加工性能を持ち、そのうえで高い実用耐熱性を有する優れた材料とであると言える。
[試験7]
樹脂成形品の吸水率を確認するために、以下の試験を行った。
<性能評価6>
上記の試験2で作製した平板状試験片について、ASTM D570に準拠して乾燥状態の試験片重量と24時間水中に試験片を浸漬させた後の重量を測定し、その重量増加率から吸水率を測定した。なお、各種類のサンプルをN=4ずつ測定し、4回の平均値を表8に示した。
Figure 0007312767000022
表8の結果から、実施例の平板状試験片は、吸水率が0.03%以下と極めて小さい値を示した。水は誘電率が80近いため、材料に水分が入れば低誘電材料としての魅力は失われていく。本発明の材料は極めて低い吸水率を有することが確認できたため、実使用下においても低誘電性能を安定的に発現できる材料であることが確認された。

Claims (15)

  1. ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)、ジオール化合物に由来する構成単位(II)、およびジカルボン酸に由来する構成単位(III)を含む液晶ポリエステル樹脂(A)と、
    フッ素樹脂(B)と
    を含んでなり、
    前記ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位を含み、前記液晶ポリエステル樹脂(A)全体の構成単位に対する前記6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位の組成比が、30モル%以上であり、
    測定周波数10GHzにおけるSPDR法で測定した誘電正接が、0.80×10-3以下であり、かつ比誘電率が3.50以下である、樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物は、前記液晶ポリエステル樹脂(A)の融点+20℃以上、せん断速度1000s-1における溶融粘度が、5Pa・s以上250Pa・s以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記液晶ポリエステル樹脂(A)は、融点+20℃、せん断速度1000s-1における溶融粘度が、5Pa・s以上130Pa・s以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記液晶ポリエステル樹脂(A)の融点が280℃以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記液晶ポリエステル樹脂(A)は、10GHzSPDR法で測定した誘電正接が1.00×10-3以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂(B)が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記液晶ポリエステル樹脂(A)と前記フッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、前記液晶ポリエステル樹脂(A)の配合量が30質量部以上95質量部以下であり、前記フッ素樹脂(B)の配合量が5質量部以上70質量部以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(I)が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位である、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記液晶ポリエステル樹脂(A)全体の構成単位に対する前記構成単位(I)の組成比が、30モル%以上80モル%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記ジオール化合物に由来する構成単位(II)が、4,4-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、および4,4’-イソプロピリデンジフェノールからなる群から選択される少なくとも1種に由来する構成単位である、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記ジカルボン酸に由来する構成単位(III)が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6-ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種に由来する構成単位である、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、樹脂成形品。
  13. 熱処理後の樹脂成形品は、測定周波数10GHzにおけるSPDR法で測定した誘電正接が、0.70×10-3以下である、請求項12に記載の樹脂成形品。
  14. ASTM D570に準拠して測定した吸水率が0.04%以下である、請求項12または13に記載の樹脂成形品。
  15. 請求項12~14のいずれか一項に記載の樹脂成形品を備えてなる、電気電子部品。
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