JP2022019565A - 保護シート、及び積層体 - Google Patents

Abstract

【課題】透明シートに貼り付けて前記透明シートを保護することができるだけではなく、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シートを、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを提供することを目的とする。【解決手段】透明シートを保護する保護シート１４であって、シート状の基材１２と、前記透明シート１１に前記基材１２を剥離可能に貼り付ける粘着層１３とを備え、前記粘着層１３は、帯電防止剤を含有する保護シート１４である。【選択図】図１

Description

本発明は、保護シート、及び積層体に関する。

フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、及びゴーグル等のように、顔の一部を、透明シートで覆うことがある。このような顔を覆う透明シートには、何かに接触すること等により、傷等が発生してしまうことがある。このように傷ついた透明シートを、顔の一部、特に眼の周辺を覆うように装着すると、装着者は周囲が見えにくくなる等の、装着者の視認性が低下するという問題が発生する。このため、使用する前や使用しないときには、透明シートに保護シート等を貼り付けて、透明シートを保護することが考えられる。また、上記のような顔を覆って用いる透明シートに限らず、透明シートは、搬送時等の使用前において何かに接触して、前記透明シートを傷つけてしまう場合が考えられる。また、透明シートを用いて、その透明性を利用した製品（光学製品等）を製造する際に、他の部材が接触する等によって、前記透明シートを傷つけてしまう場合も考えられる。透明シートは、上記のような傷つきを防ぐためにも、透明シートに保護シート等を貼り付けて、透明シートを保護することが考えられる。このような透明シートを保護したものとしては、例えば、特許文献１に挙げられるゴーグル用シールド等が挙げられる。

特許文献１には、複数のスナップ式留具によってゴーグルに取り付けられ、装着者の眼を保護するゴーグル用シールドであって、透明なプラスチックフィルムから成るシールド本体と、前記シールド本体の表面の前記スナップ式留具が配置される領域以外の領域に密着して被覆し、使用時に前記シールド本体から剥離可能に設けられた保護シールと、を備えるゴーグル用シールドが記載されている。

特開２０１６－１３１７２５号公報

特許文献１によれば、使用前のシールドに対する埃等の付着を防止し、使用時に良好な視界を得ることが可能である旨が開示されている。

しかしながら、本発明者等の検討によれば、特許文献１のように、透明シートに保護シートを単に貼り付けても、使用時にその保護シートを剥離すると、透明シートに埃等が付着する場合があることを見出した。また、このような透明シートを、例えば、顔を覆うように用いると、装着者の呼気によって、透明シートが曇る場合もある。このように、透明シートに埃等が付着したり、透明シートが曇ってしまうような場合、透明シートを、例えば、顔の一部を覆うように装着していると、装着者の視認性が低下するという問題が発生する。また、透明シートを、顔を覆うように用いた場合以外でも、前記透明シートの透明性を利用する場合、その透明シートに埃等が付着したり、透明シートが曇ってしまった場合、前記透明シートの透明性を充分に活かせないことになる。これらのことからも、透明シートには、傷付きを防止するための保護シートを剥離した後でも、埃等の付着を抑制できることが求められる。さらに、透明シートには、防曇性が高くて、例えば、装着者の呼気があたる等の、透明シートが曇りやすい状況でも、曇りにくいことが求められる。

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、透明シートに貼り付けて前記透明シートを保護することができるだけではなく、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シート（前記保護シートを剥離した後の前記透明シート）を、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを提供することを目的とする。また、本発明は、透明シートに保護シートを貼り付けた積層体であって、前記保護シートを剥離した後に、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる積層体を提供することを目的とする。

本発明者等の検討によれば、保護シートを剥離した後の透明シートに、埃等が付着するのは、保護シートを剥離することによって、透明シートに剥離帯電が発生することによることを見出した。このため、透明シート自体が、剥離帯電の発生しにくいものを用いることが考えられる。本発明者等は、透明シートを変更しなくても、透明シートに保護シートを剥離可能に貼り付けるための粘着層に着目して、その組成等を詳細に検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。

本発明の一態様に係る保護シートは、透明シートを保護する保護シートであって、シート状の基材と、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付ける粘着層とを備え、前記粘着層は、帯電防止剤を含有することを特徴とする。

このような構成によれば、透明シートに貼り付けて前記透明シートを保護することができるだけではなく、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シート（前記保護シートを剥離した後の前記透明シート）を、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを提供することができる。すなわち、前記透明シートを使用する前、例えば、搬送時等には、前記透明シートに前記保護シートを貼り付けておくことで、前記透明シートに傷がつくことを抑制できる。そして、前記透明シートを使用するときには、前記保護シートを剥離して、上述したように、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

このことは、以下のことによると考えられる。

前記透明シートに前記保護シートを剥離可能に貼り付けるための粘着層に帯電防止剤を含むことによって、前記保護シートを剥離した後に、前記透明シートの、前記保護シートが貼り付けられていた面上に、帯電防止剤が残存すると考えらえる。さらに、前記透明シートには、前記粘着層が接触されていたことによって、前記粘着層に含まれていた帯電防止剤が、前記透明シートの、前記保護シートが貼り付けられていた面側から、前記透明シートに転写（移行）されることも考えられる。これらのことから、前記保護シートを剥離する際に、帯電防止剤を含む粘着層も剥離されても、前記透明シートの、前記保護シートが貼り付けられていた面が帯電することを抑制することができると考えられる。よって、保護シートを剥離した後に、前記透明シートへの埃等の付着を充分に抑制することができると考えられる。また、前記帯電防止剤は、親水性が高い。このことから、前記透明シートの、前記保護シートが貼り付けられていた面上に残存した帯電防止剤、及び前記粘着層から前記透明シートに移行された帯電防止剤が、空気中の水分を吸着して、導電性を発現し、防曇効果を発揮すると考えられる。

以上のことから、前記保護シートは、前記透明シートに貼り付けることによって、前記透明シートを保護することができる。また、前記保護シートを前記透明シートに貼り付け、その後剥離することによって、前記透明シート（前記保護シートを剥離した後の前記透明シート）を、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができると考えられる。さらに、前記透明シート自体に、埃が付きにくくしたり、防曇性を高めるという効果が特になかったとしても、前記保護シートを前記透明シートに貼り付け、その後剥離するだけで、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

また、前記保護シートにおいて、前記帯電防止剤が、イオン電導型帯電防止剤及び界面活性剤系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも１種であることが好ましい。

このような構成によれば、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シートを、埃等の付着をより抑制し、さらに、防曇性のより高い透明シートにすることができる保護シートを提供することができる。

また、前記保護シートにおいて、前記帯電防止剤が、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤であることが好ましい。

このような構成によれば、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シートを、埃等の付着をより抑制し、さらに、防曇性のより高い透明シートにすることができる保護シートを提供することができる。

また、前記保護シートにおいて、前記粘着層は、アクリル系粘着剤及びイソシアネート系硬化剤をさらに含有することが好ましい。

このような構成によれば、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シートを、埃等の付着をより抑制し、さらに、防曇性のより高い透明シートにすることができる保護シートを提供することができる。また、前記粘着層は、アクリル系粘着剤及びイソシアネート系硬化剤を含む粘着層等の一般的な粘着層であっても、上述したように、帯電防止剤を含有していれば、前記透明シートに対して、埃等の付着を抑制させ、さらに、防曇性を高めるという効果を付与することができる。

また、前記保護シートにおいて、前記基材には、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも１種を含んでいてもよい。

このような構成によれば、前記基材として、ポリエステルやポリプロピレンを含む基材を用いても、すなわち、この基材が、前記透明シートに埃が付きにくくしたり、防曇性を高めるという効果が特にないような基材であったとしても、前記保護シートの構成を満たせば、つまり、前記粘着層に帯電防止剤を含む保護シートであれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを実現できる点で好ましい。

また、前記保護シートにおいて、前記透明シートが、少なくとも顔の一部を覆う透明シートであることが好ましい。すなわち、前記保護シートは、少なくとも顔の一部を覆う透明シートに適用することが好ましい。

前記透明シートを、少なくとも顔の一部を覆うように用いると、前記透明シートを装着した装着者の呼気によって、前記透明シートが曇る場合がある。前記透明シートをこのように用いる場合であっても、前記保護シートを剥離して前記透明シートを使用すると、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。このことから、前記保護シートは、少なくとも顔の一部を覆う透明シートに適用することが好ましい。

また、本発明の他の一態様に係る積層体は、前記保護シートと、透明シートとを備え、前記保護シートに備えられる前記粘着層が前記透明シートに接触するように、前記保護シートが前記透明シートに積層されていることを特徴とする。

このような構成によれば、透明シートに保護シートを貼り付けた積層体であって、保護シートを剥離した後に、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる積層体を提供することができる。前記透明シートを使用する前、例えば、搬送時等には、前記透明シートに前記保護シートを貼り付けておくことで、前記透明シートに傷がつくことを抑制できる。そして、前記透明シートを使用するときには、前記保護シートを剥離して、上述したように、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

また、前記積層体において、前記透明シートが、ポリエステル、ポリカーボネート、及びイソソルバイドポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも１種を含むことが好ましい。

このような構成であれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できるという効果を奏し、さらに、前記透明シート自体が有する効果も奏することができる。例えば、前記透明シートにポリカーボネートを含むと、前記透明シートに、透明性及び耐衝撃性を高める効果も奏する。また、前記透明シートにイソソルバイドポリカーボネートを含むと、前記透明シートに、細菌等が付着しにくくなる効果も奏する。また、ポリエステル、ポリカーボネート、及びイソソルバイドポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも１種を含む透明シートは、埃が付きにくい素材からなるものでもなく、防曇性を高める素材からなるものでもないにもかかわらず、前記積層体の構成を満たせば、つまり、前記粘着層に帯電防止剤を含む積層体であれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

また、前記積層体において、前記透明シートが、少なくとも顔の一部を覆う透明シートであることが好ましい。

前記透明シートを、少なくとも顔の一部を覆うように用いると、上述したように、前記透明シートを装着した装着者の呼気によって、前記透明シートが曇る場合がある。前記透明シートをこのように用いる場合であっても、前記積層体であれば、保護シートを剥離した後に、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

また、前記積層体において、前記保護シートが、前記透明シートの顔に近い側の表面上に少なくとも備えられることが好ましい。

このような構成によれば、前記透明シートにおいて、防曇性がより求められる、顔に近い側の表面に、防曇性を発揮できる。すなわち、前記透明シートを少なくとも顔の一部を覆うように用いた場合に、その使用者（装用者）の呼気によって、曇りやすい前記透明シートの顔に近い側の表面に、防曇性を発揮できる。また、前記透明シートの顔に近い側の表面への埃等の付着を抑制できる。前記透明シートを少なくとも顔の一部を覆うように用いているときには、前記透明シートの顔に近い側の表面を拭きにくいことから、この拭きにくい側の表面である前記透明シートの顔に近い側の表面への埃等の付着を抑制できる。なお、前記保護シートが、前記透明シートの顔に近い側の表面上に少なくとも備えられることが好ましいのであって、前記透明シートの顔に遠い側の表面上にも備えることによって、前記透明シートの顔に遠い側の表面にも、埃等の付着を充分に抑制し、防曇性を高めることができる。

また、前記積層体に備えられる前記透明シートが、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルに用いられることが好ましい。

このような構成によれば、使用する前には、前記保護シートによって傷がつくことを抑制でき、使用するときに、前記保護シートを剥離しても、上述したように、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高いフェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルが得られる。

本発明によれば、透明シートに貼り付けて前記透明シートを保護することができるだけではなく、前記透明シートから剥離した後に、前記透明シートを、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを提供することができる。また、本発明によれば、透明シートに保護シートを貼り付けた積層体であって、保護シートを剥離した後に、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる積層体を提供することができる。

図１は、本発明の実施形態に係る積層体を備えたフェイスシールドを示す概略断面図である。

以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。

本発明の一実施形態に係る保護シート１４は、図１に示すように、少なくとも顔の一部を覆う透明シート１１を保護する保護シートである。前記保護シート１４は、シート状の基材１２と、前記透明シート１１に前記基材１２を剥離可能に貼り付ける粘着層１３とを備える。そして、前記粘着層１３は、帯電防止剤を含有する。また、本発明の他の一実施形態に係る積層体１０は、図１に示すように、前記保護シート１４と、前記透明シート１１とを備え、前記粘着層１３が前記透明シート１１に接触するように、前記保護シート１４が前記透明シート１１に積層されている。すなわち、前記積層体１０は、前記透明シート１１と、前記基材１２と、前記透明シート１１に前記基材１２を剥離可能に貼り付ける粘着層１３とを備える。このように、前記透明シート１１に前記基材１２を剥離可能に貼り付けるための粘着層１３に帯電防止剤を含むことによって、前記保護シート１４を剥離した後に、前記透明シート１１の、前記保護シート１４が貼り付けられていた面上に、帯電防止剤が残存すると考えらえる。さらに、前記透明シート１１には、前記粘着層１３が接触されていたことによって、前記粘着層１３に含まれていた帯電防止剤が、前記透明シート１１の、前記保護シート１４が貼り付けられていた面側から、前記透明シートに転写（移行）されることも考えられる。これらのことから、前記保護シート１４を剥離した後に、前記透明シート１１の、前記基材１２が貼り付けられていた面が帯電することを抑制することができると考えられる。よって、前記透明シート１１は、前記保護シート１４を剥離した後であっても、埃等が付着されることを充分に抑制することができると考えられる。また、前記帯電防止剤は、親水性が高いことから、前記帯電防止剤が空気中の水分を吸着することによって、前記透明シート１１の、前記保護シート１４が貼り付けられていた面側において、導電性を発現し、防曇効果を発揮すると考えられる。以上のことから、前記保護シート１４は、前記透明シート１１に貼り付けることによって、前記透明シート１１を保護することができる。また、前記保護シート１４を前記透明シート１１に貼り付け、その後剥離することによって、前記透明シート１１を、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる。また、前記積層体１０は、前記保護シート１４を剥離した後に、前記透明シート１１に対する埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。また、この透明シート１１を少なくとも顔の一部を覆うように用いる前（使用する前）には、前記透明シート１１に前記保護シート１４を貼り付けておくことで、前記透明シート１１に傷がつくことを抑制できる。そして、前記透明シート１１を使用するときに、前記保護シート１４を剥離しても、上述したように、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。

前記積層体１０は、前記透明シート１１を少なくとも顔の一部を覆うように用いるものであれば、その用途は特に限定されないが、例えば、前記積層体１０に備えられる前記透明シート１１が、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルに用いられることが好ましい。前記眼鏡としては、一般的な眼鏡以外にも、実験等の時に用いる眼鏡、いわゆる保護メガネ等も含まれる。なお、図１は、その一例であるフェイスシールドに用いた場合の積層体１０を示す概略断面図である。すなわち、図１は、本実施形態に係る積層体１０を備えたフェイスシールドを示す概略断面図である。フェイスシールドとして用いる場合には、図１に示すように、前記積層体１０が装着者の顔を覆うように保持部１５で保持して用いる。また、実際には、フェイスシールドを使用する際には、前記積層体１０を保持する前であっても保持した後であってもよいが、前記保護シート１４を前記透明シート１１から剥離し、少なくとも顔の一部が前記透明シート１１で覆われた状態で用いる。

前記透明シートは、少なくとも顔の一部を覆うことができる透明シートであれば、特に限定されないが、眼も覆う場合は、視認性を高める点でも、透明性がより高い部材であることが好ましい。また、前記透明シートは、前記積層体の用途に応じた強度を有していることが好ましい。例えば、フェイスシールドに用いる場合は、前記透明シートは、フェイスシールドとして求められる強度を有していることが求められる。前記透明シートを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）及びポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体（ＡＢＳ）等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース（ＴＡＣ）、イソソルバイドポリカーボネート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂等が挙げられる。前記透明シートは、これらを単独で用いて構成されていてもよいし、２種以上を組み合わせて用いて構成されていてもよい。前記透明シートは、絶縁体であることが多く、例えば、前記例示の材料からなる部材である場合、絶縁体である。前記透明シートが絶縁体であるから、保護シートを剥離した後に、剥離帯電が発生しやすく、埃等が付着しやすい。このような材料からなる透明シートであっても、前記構成の積層体であれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。また、前記透明シートとしては、この中でも、ポリエステル、ポリカーボネート、及びイソソルバイドポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも１種を含むことが好ましい。前記透明シートとして、例えば、ＰＥＴ等のポリエステルからなるシート（ＰＥＴシート等）の一般的な透明シートを用いても、上述したように、前記構成の積層体であれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できる。また、ポリカーボネートからなるシート等の、ポリカーボネートを含む透明シートは、透明性及び耐衝撃性を高める効果を奏する。また、イソソルバイドポリカーボネートからなるシート等の、イソソルバイドポリカーボネートを含む透明シートは、細菌等が付着しにくくなる効果（撥菌性）を奏する。前記構成の積層体であれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを奏し、さらに、前記透明シート自体が有する効果も奏することができる。すなわち、前記透明シートに、前記イソソルバイドポリカーボネートを含むと、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートを実現できるという効果を奏し、さらに、細菌等が付着しにくくなる効果も奏する。

前記透明シートの厚みは、構成する材料等によっても異なるが、例えば、１００～３００μｍであることが好ましく、１５０～２５０μｍであることがより好ましい。前記透明シートが薄すぎると、強度が低下する傾向がある。また、前記透明シートが厚すぎると、装用者の視認性が低下したり、使用しにくくなる傾向がある。よって、前記透明シートが上記のような厚みであると、装用者の視認性を確保しつつ、前記積層体の用途に応じた強度、例えば、フェイスシールドとして求められる強度を充分に発揮することができる。

前記基材は、前記透明シートに、前記粘着層で貼り付けることができるシートであれば、特に限定されない。前記基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）及びポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリアミド等が挙げられる。前記基材は、これらを単独で用いて構成されていてもよいし、２種以上を組み合わせて用いて構成されていてもよい。また、前記基材としては、例えば、２軸延伸のポリプロピレンフィルムや未延伸のポリプロピレンフィルム等も挙げられる。また、前記基材としては、この中でも、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも１種を含むシートであってもよい。前記基材として、ポリエステルやポリプロピレンを含む基材を用いても、すなわち、この基材が、前記透明シートに埃が付きにくくしたり、防曇性を高めるという効果が特にないような基材であったとしても、前記保護シートの構成を満たせば、つまり、前記粘着層に帯電防止剤を含む保護シートであれば、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる保護シートを実現できる点で好ましい。

前記基材の厚みは、構成する材料等によっても異なるが、例えば、１０～１００μｍであることが好ましく、３０～８０μｍであることがより好ましい。前記基材がＰＥＴシートである場合は、前記基材の厚みは、３８～７５μｍであることが好ましい。また、前記基材が２軸延伸のポリプロピレンフィルムである場合は、前記基材の厚みは、３０～７０μｍであることが好ましい。前記基材が薄すぎると、前記透明シートを充分に保護できなかったり、剥離する際に前記保護シートが損傷する傾向がある。また、前記基材が厚すぎると、剛性が高くなりすぎ、前記透明シートを曲げて使用するとき等、その形状に応じた貼り付けが困難になる傾向がある。よって、前記基材が上記のような厚みであると、前記透明シートを適切に保護でき、前記保護シートを適切に剥離でき、さらに、前記透明シートの形状に応じて、適切に貼り付けることができ、すなわち、前記透明シートを曲げて使用していても、その曲げに応じて適切に貼り付けることができる。

前記粘着層は、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付ける粘着層であって、帯電防止剤を含有する粘着層であれば、特に限定されず、例えば、前記帯電防止剤だけではなく、一般的な粘着剤を含有する層等が挙げられる。

前記帯電防止剤は、特に限定されず、例えば、イオン電導型帯電防止剤、及び界面活性剤系帯電防止剤等が挙げられる。

前記イオン電導型帯電防止剤としては、特に限定されず、例えば、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤、及びポリアルキレングリコールを主成分とするポリマーにリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤等が挙げられる。前記シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が挙げられる。前記リチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム等が挙げられる。前記イオン電導型帯電防止剤の具体例としては、例えば、ポリアルキレングリコールを主成分とするポリマーに過塩素酸リチウム等を複合化させたイオン導電性付与剤、及び変性シリコーンオイルにＬｉ塩を溶解させたイオン伝導性帯電防止剤等が挙げられる。

前記界面活性剤系帯電防止剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。前記非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の、エーテル型の界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル等の、エステル型の界面活性剤、ＸＸ－ビス（２－ヒドロキシエチル）アルキルアミン、アルキルジエタノールアミン、ｙ－２－ヒドロキシエチル－ｙ－２－ヒドロキシアルキルアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及びアルキルジエタノールアマイド等の、脂肪酸アルカノールアミド型の界面活性剤等が挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルホスフェート、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。なお、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端ヒドロキシル（ＯＨ）基を硫酸化し、アルカリで中和して得られるアニオン系界面活性剤等が挙げられる。前記カチオン界面活性剤としては、例えば、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、及びテトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。前記両性界面活性剤としては、例えば、アルキルイミダゾリウムベタイン、及びアルキルベタイン等が挙げられる。

前記帯電防止剤は、単独で用いてもよいし、２種以上を組み合わせて用いてもよい。前記帯電防止剤は、上記の中でも、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩であることが好ましく、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤であることがより好ましい。

前記粘着剤としては、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付ける粘着層を形成できる粘着剤であれば、特に限定されない。前記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤等が挙げられる。前記アクリル系粘着剤としては、例えば、２－エチルへキシルアクリレート樹脂等が挙げられる。前記粘着剤としては、粘着力及びコストの点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。また、前記粘着層には、前記粘着層を含み、硬化剤をさらに含有することが好ましい。前記硬化剤としては、前記粘着剤の粘着性を残しつつ、前記粘着剤を硬化させることができる硬化剤であれば、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系硬化剤等が挙げられる。すなわち、前記粘着層は、粘着剤として、アクリル系粘着剤を含み、イソシアネート系硬化剤をさらに含有することが好ましい。

前記帯電防止剤の含有量は、前記粘着剤１００質量部に対して、０．５～８質量部であることが好ましく、２～４質量部であることがより好ましい。前記帯電防止剤の含有量が少なすぎると、前記粘着層に前記帯電防止剤を含有することによって発揮される効果を充分に奏することができない傾向がある。また、前記帯電防止剤の含有量が多すぎると、前記粘着層に前記帯電防止剤を含有することによって発揮される効果が飽和し、さらに、前記粘着剤の含有量が相対的に少なくなり、前記粘着層の粘着性が低下する傾向がある。よって、前記帯電防止剤の含有量が、上記範囲内であると、前記透明シートに前記基材を剥離可能に好適に貼り付けることができ、前記粘着層に前記帯電防止剤を含有することによって発揮される効果を充分に奏することができる。

前記硬化剤の含有量は、前記粘着剤１００質量部に対して、０．５～５質量部であることが好ましく、１～３質量部であることがより好ましい。前記硬化剤の含有量が少なすぎると、すなわち、前記粘着剤の含有量が多すぎると、前記粘着剤を好適に硬化できず、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付けるという前記粘着層としての機能を充分に奏することができない傾向がある。また、前記硬化剤の含有量が多すぎると、すなわち、前記粘着剤の含有量が少なすぎると、得られた粘着層の粘着性が低下し、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付けるという前記粘着層としての機能を充分に奏することができない傾向がある。

前記保護シートの製造方法は、前記保護シートを製造することができれば、特に限定されない。前記保護シートの製造方法としては、例えば、まず、前記帯電防止剤、必要に応じて、前記粘着剤及び前記硬化剤を、溶剤（希釈溶剤）に溶解又は分散させた液状の組成物（粘着層形成用組成物）を調製する。この調製した粘着層形成用組成物を前記基材上に塗工して、前記粘着層を形成する。このようにして、前記保護シートを製造してもよい。また、前記積層体の製造方法は、前記積層体を製造することができれば、特に限定されない。前記積層体の製造方法としては、例えば、前記保護シートの、前記粘着層を形成した面が前記透明シートに接触するように、前記保護シートと前記透明シートとを積層する。このようにして、前記積層体を製造してもよい。

前記希釈溶剤は、前記帯電防止剤、前記粘着剤、及び前記硬化剤等を、好適に溶解又は分散させることができる溶剤であれば、特に限定されず、例えば、トルエン、及び酢酸エチル等が挙げられる。前記希釈溶媒は、どちらか一方を用いてもよいし、２種を混合した混合溶媒であってもよい。前記希釈溶媒は、この中でも、トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒であることが好ましい。

前記粘着層の厚みは、構成する材料等によっても異なるが、例えば、２～３０μｍであることが好ましく、５～１５μｍであることがより好ましい。すなわち、前記粘着層形成用組成物の塗工量が、得られる粘着層の厚みが上記範囲内となるような塗工量であることが好ましい。前記粘着層が薄すぎると、粘着性が不充分になったり、また、前記粘着層に前記帯電防止剤を含有することによって発揮される効果を充分に奏することができない傾向がある。また、前記粘着層が厚すぎると、前記透明シートから前記保護シートを剥離した際、前記透明シートに前記粘着層の一部が残存しやすくなる。よって、前記粘着層が上記のような厚みであると、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付けるという前記粘着層としての機能を充分に奏し、かつ、前記粘着層に前記帯電防止剤を含有することによって発揮される効果を充分に奏することができる。

前記積層体において、前記保護シートは、前記透明シートの両面側に、それぞれ備えていてもよいし、どちらか一方の面側に備えていてもよい。その際、前記保護シートは、前記保護シートが前記透明シートの顔に近い側の表面上に少なくとも備えられることが好ましい。そうすることによって、前記透明シートにおいて、防曇性がより求められる、顔に近い側の表面に、防曇性を発揮できる。すなわち、前記透明シートを少なくとも顔の一部を覆うように用いた場合に、その使用者（装用者）の呼気によって、曇りやすい前記透明シートの顔に近い側の表面に、防曇性を発揮できる。また、前記透明シートの顔に近い側の表面への埃等の付着を抑制できる。前記透明シートを少なくとも顔の一部を覆うように用いているときには、前記透明シートの顔に近い側の表面を拭きにくいことから、この拭きにくい側の表面である前記透明シートの顔に近い側の表面への埃等の付着を抑制できる。

なお、前記保護シートが、前記透明シートの顔に近い側の表面上に少なくとも備えられることが好ましいのであって、前記透明シートの顔に遠い側の表面上にも備えること、すなわち、両面に備えることによって、前記透明シートの顔に遠い側の表面にも、埃等の付着を充分に抑制し、防曇性を高めることができる。

前記積層体は、前記透明シートを少なくとも顔の一部を覆うように用いる用途に用いることが好ましい。その用途としては、具体的には、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグル等が挙げられる。すなわち、前記積層体に備えられる前記透明シートが、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルに用いられることが好ましい。このような用途に用いると、使用する前には、前記保護シートによって傷がつくことを抑制でき、使用するときに、前記保護シートを剥離しても、上述したように、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高いフェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルが得られる。

前記保護シートで保護する透明シート、及び前記積層体に備えられる透明シートとしては、上記では、少なくとも顔の一部を覆う透明シートで説明しているが、本発明は、これに限定されない。前記透明シートは、透明性を有するシートであれば、特に限定されず、また、少なくとも顔の一部を覆う透明シートのような、肉眼での視認性が求められる透明シートにも限らず、光学部品等に用いられる透明シート等であってもよい。

前記肉眼での視認性が求められる透明シートとしては、上述した、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグル等の、少なくとも顔の一部を覆う透明シート以外にも、例えば、建材、車・交通、及び生活雑貨等の広い分野で用いられる透明シート等が挙げられる。前記建材の分野で用いられる透明シートとしては、例えば、外環境と温度差があるような展示媒体における透明シート（より具体的には、コンビニエンスストアの冷蔵庫前面のガラス板、及び水族館における水槽のアクリル板等）、博物館、美術館、水族館等における、展示対象物を鑑賞することを目的とした容器等における透明シート（前記容器における透明部分を構成する透明シート等）、情報表示を用いる広告部材の表示面を構成する透明シート、浴室洗面台の鏡を構成する透明シート、及び窓ガラスが挙げられる。前記透明シートとして、例えば、窓ガラスを用いた場合、本実施形態に係る保護シートを貼り付けることで、前記保護シートを剥離した後であっても、埃がつきにくく、雨の日でも曇らない窓ガラスになる。前記車・交通の分野で用いられる透明シートとしては、例えば、車のフロントガラス、及び道路にあるカーブミラーを構成する透明シート等が挙げられる。前記生活雑貨の分野で用いられる透明シートとしては、例えば、キャンプ用テントの窓に用いられる透明シート、野菜や果物等の梱包袋における透明シート（例えば、梱包袋に収容した野菜等に基づく水滴が付着する態様で用いられる透明シート）、虫かごにおける透明部分を構成する透明シート、少なくとも一部に透明部分を有する傘（例えば、ビニール傘等）における透明部分を構成する透明シート、及び少なくとも一部に透明部分を有するマスクにおける透明部分を構成する透明シート（例えば、顔認証が出来るくらい透明性を維持できるマスク等）が挙げられる。前記透明シートとして、例えば、少なくとも一部に透明部分を有する傘における透明部分を構成する透明シートを用いた場合、透明部分が曇りにくい、前が見やすい傘が得られる。すなわち、前記透明シートに本実施形態に係る保護シートを貼り付けることで、前記保護シートを剥離した後であっても、その透明シートに防曇性が発揮され、前が見やすい傘となる。また、前記透明シートとして、例えば、少なくとも一部に透明部分を有するマスクにおける透明部分を構成する透明シートを用いた場合、透明部分が曇りにくく、例えば、顔認証ができるくらいの透明性を維持できるマスク等が得られる。すなわち、前記透明シートに本実施形態に係る保護シートを貼り付けることで、前記保護シートを剥離した後であっても、その透明シートに防曇性が発揮され、透明性が維持されるマスクとなる。また、少なくとも顔の一部を覆う透明シートとして挙げられている透明シートの例示として挙げられているものの中でも、装着車の呼気の影響をあまり受けないものであってもよい。例えば、水泳用のゴーグル、及び箱メガネ（例えば、海女が海の中を見るために使用する箱等）等が挙げられる。

前記光学部品として用いられる透明シートとしては、例えば、ディスプレイの分野で用いられる透明シート、レンズを構成する透明シート、光学シャッタの表面部分を構成する透明シート、及び太陽光パネルの表面部分を構成する透明シート等が挙げられる。前記ディスプレイの分野で用いられる透明シートとしては、例えば、ヘッドアップディスプレイの投影面を構成する透明シート（車両、航空機、船舶等の交通手段、情報を投影して用いる分野、ゲーム、金融等を問わず）、及び３Ｄマッピング用のウインドウを構成する透明シート（例えば、スカイツリーの内に設置されるウインドウ等）等が挙げられる。前記レンズとしては、カメラのレンズ、及びドライブレコーダーのレンズ等が挙げられる。前記光学シャッタの表面部分を構成する透明シートとしては、例えば、液晶、荷電性粒子、及び荷電性液体等を用いる光学シャッタの表面部分を構成する透明シート等が挙げられる。なお、太陽光パネルは、表面部分を構成する透明シートの透明性が低下すると（曇ると）、光が拡散して太陽光パネルの発電効率が下がるため、この透明シートには防曇性等が求められる。これに対して、太陽光パネルの表面部分を構成する透明シートに本実施形態に係る保護シートを貼り付けることで、前記保護シートを剥離した後であっても、埃がつきにくく、また、その透明シートに防曇性が発揮されることから、発電効率が維持される太陽光パネルが得られる。

前記保護シートは、少なくとも顔の一部を覆う透明シートに限らず、透明シートであれば、前記透明シートに貼り付けることによって、前記透明シートを保護することができる。また、前記保護シートを前記透明シートから剥離した後に、埃等の付着を充分に抑制し、さらに、防曇性の高い透明シートにすることができる。

以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。

実施例１～６、及び比較例
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。

［透明シート］
ＰＥＴフィルム（三菱ケミカル株式会社製のダイヤホイル Ｔ－１００、厚み１８８μｍ）
［保護シート］
（基材）
ＰＥＴフィルム（三菱ケミカル株式会社製のＭＲ、厚み５０μｍ）
（粘着層形成用組成物）
アクリル系粘着剤：２－エチルへキシルアクリレート樹脂（三菱ケミカル株式会社製のコーポニールＮ４３９９）
硬化剤：イソシアネート系硬化剤（東ソー株式会社製のコロネートＨＸ）
希釈溶剤：トルエンと酢酸エチルとの混合溶剤（質量比１：１）
帯電防止剤１：ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩（花王株式会社製のエマール２０Ｃ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端ヒドロキシル（ＯＨ）基を硫酸化し、アルカリで中和して得られるアニオン系界面活性剤）
帯電防止剤２：イオン電導型帯電防止剤（丸菱油化工業株式会社製のＰＣ６８５５Ｃ、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤）
［製造方法］
まず、前記帯電防止剤、前記粘着剤及び前記硬化剤を、表１に記載の組成（質量部）で、前記希釈溶剤に添加し、混合させた。その混合物を２０分間攪拌した。そうすることによって、前記帯電防止剤、前記粘着剤及び前記硬化剤が前記希釈溶剤に溶解又は分散させた液状の組成物が得られた。この組成物を粘着層形成用組成物として用いた。

次に、この調製した粘着層形成用組成物を前記基材の一方の面上に、粘着層形成用組成物を、最終的に得られる粘着層の厚みが１０μｍになるような塗工量で塗布した後、１００℃で１分間乾燥させた。そうすることによって、前記基材の一方の面上に粘着層が形成された。そうすることによって、前記保護シートが得られた。

そして、この粘着層を形成した前記保護シートの、前記粘着層を形成した面が前記透明シートに接触するように、前記保護シートと前記透明シートとを積層した。そうすることによって、前記積層体が得られた。

上記のようにして得られた保護シート及び積層体を、以下に示す方法により評価を行った。

［表面抵抗率］
前記保護シートに備えられる前記粘着層の表面（粘着層表面）の表面抵抗率を、ＪＩＳ Ｋ ６９１１に準拠した二重リング電極法で測定した。具体的には、温度２３℃相対湿度５０％に調整された恒温恒湿室内に前記保護シートを置いた状態、印加電圧５００Ｖ、印加時間２０秒間の条件を、前記二重リング電極法の測定条件として、前記粘着層表面の表面抵抗率を測定した。

また、前記保護シートの代わりに、前記積層体から前記保護シートを剥離した直後（剥離直後）の透明シート、前記剥離した後１時間後（剥離１時間後）の透明シート、及び前記剥離した後２４時間後（剥離２４時間後）の透明シートのそれぞれを用いたこと以外、上記と同様の方法にて、それぞれの状態の前記透明シートの表面抵抗率を測定した。

［防曇効果］
パイプヒータのついたステンレス鋼製のウォーターバスを用いて９０℃以上に保持した熱湯から発生する湯気があたる位置（高さ）に、前記剥離１時間後の透明シート、及び前記剥離２４時間後の透明シートのそれぞれを配置し、前記透明シートの曇る状態を目視で観察した。

観察した結果、前記湯気があたらない位置に移動させた後、曇りが確認できなくなる時間が１秒以下であれば、「◎」と評価した。前記時間が１秒超５秒以下であれば、「○」と評価した。前記時間が５秒超９秒以下であれば、「△」と評価した。前記時間が９秒超であれば、「×」と評価した。

これらの結果を、粘着層形成用組成物の組成とともに、表１に示す。なお、表面抵抗率が、上記測定方法で測定できない程高いときは、「－」と表記する。

表１からわかるように、帯電防止剤を含む粘着層を用いた場合（実施例１～６）は、帯電防止剤を含まない粘着層を用いた場合（比較例）と比較して、透明シートの表面抵抗率が低かった。さらに、帯電防止剤を含む粘着層を用いた場合（実施例１～６）は、保護フィルムを剥離した後、透明シートの表面抵抗率を低いまま維持できた。特に、帯電防止剤として、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤を用いた場合（実施例４～６）や、帯電防止剤の含有量が高い場合（実施例３及び実施例６等）に、その傾向が強かった。このことから、帯電防止剤として、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤を用いることが好ましいことがわかった。また、帯電防止剤の含有量も、帯電防止剤を高含量にすることによる不具合が発生しない範囲で、高いことが好ましいことがわかった。そして、このことからも、前記帯電防止剤の含有量が上記範囲内、例えば、前記粘着剤１００質量部に対して、０．５～８質量部であることが好ましいことが示唆される。

（実施例７）
前記透明シートとして、ＰＥＴフィルム（三菱ケミカル株式会社製のダイヤホイル Ｔ－１００、厚み１８８μｍ）の代わりに、イソソルバイドポリカーボネートフィルム（恵和株式会社製のイソソルバイドポリカーボネートフィルム、厚み２００μｍ）を用いたこと以外、実施例６と同様にした。

得られた保護シート及び積層体の評価結果（表面抵抗率及び防曇効果）は、実施例６と同じ結果であった。さらに、前記透明シートとして、イソソルバイドポリカーボネートフィルムを用いた場合、細菌等が付着しにくくなる効果も奏した。これらのことから、前記透明シートが、イソソルバイドポリカーボネートフィルムであっても、本願発明の効果を奏することがわかった。さらに、前記透明シートの素材にかかわらず、本願発明の効果を奏しうる。そして、前記透明シートとして、前記イソソルバイドポリカーボネートフィルムを用いた場合、イソソルバイドポリカーボネートフィルムが元々有する、細菌等が付着しにくくなる効果も奏することがわかった。

（実施例８）
前記透明シートとして、ＰＥＴフィルム（三菱ケミカル株式会社製のダイヤホイル Ｔ－１００、厚み１８８μｍ）の代わりに、ポリカーボネートフィルム（恵和株式会社製のポリカーボネートフィルム、厚み２００μｍ）を用いたこと以外、実施例６と同様にした。

得られた保護シート及び積層体の評価結果（表面抵抗率及び防曇効果）は、実施例６と同じ結果であった。さらに、前記透明シートとして、ポリカーボネートフィルムを用いた場合、前記ポリカーボネートフィルムが元々有する（前記保護シートを貼り付ける前の前記ポリカーボネートフィルムが有する）、優れた透明性及び耐衝撃性を低下させなかった。これらのことから、前記ポリカーボネートフィルムが元々有する、優れた透明性及び耐衝撃性を低下させずに、本願発明の効果を奏することがわかった。また、このことからも、前記透明シートの素材にかかわらず、本願発明の効果を奏しうることがわかった。

（実施例９）
前記基材として、ＰＥＴフィルム（三菱ケミカル株式会社製のＭＲ、厚み５０μｍ）の代わりに、２軸延伸のポリプロピレンフィルム（王子エフテックス株式会社製のアルファン Ｅ－２０１Ｆ、厚み５０μｍ）を用いたこと以外、実施例６と同様にした。

得られた保護シート及び積層体の評価結果（表面抵抗率及び防曇効果）は、実施例６と同じ結果であった。このことから、前記基材が、ポリプロピレンフィルムであっても、本願発明の効果を奏することがわかり、前記基材の素材にかかわらず、本願発明の効果を奏しうることがわかった。

１０ 積層体
１１ 透明シート
１２ 基材
１３ 粘着層
１４ 保護シート
１５ 保持部

Claims (11)

1. 透明シートを保護する保護シートであって、
   シート状の基材と、前記透明シートに前記基材を剥離可能に貼り付ける粘着層とを備え、
   前記粘着層は、帯電防止剤を含有することを特徴とする保護シート。
2. 前記帯電防止剤が、イオン電導型帯電防止剤及び界面活性剤系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも１種である請求項１に記載の保護シート。
3. 前記帯電防止剤が、２５℃で液体のシリコーン樹脂にリチウム塩を溶解させたリチウムイオン型帯電防止剤である請求項１に記載の保護シート。
4. 前記粘着層は、アクリル系粘着剤及びイソシアネート系硬化剤をさらに含有する請求項１～３のいずれか１項に記載の保護シート。
5. 前記基材が、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも１種を含む請求項１～４のいずれか１項に記載の保護シート。
6. 前記透明シートが、少なくとも顔の一部を覆う透明シートである請求項１～５のいずれか１項に記載の保護シート。
7. 請求項１～６のいずれか１項に記載の保護シートと、
   透明シートとを備え、
   前記保護シートに備えられる前記粘着層が前記透明シートに接触するように、前記保護シートが前記透明シートに積層されていることを特徴とする積層体。
8. 前記透明シートが、ポリエステル、ポリカーボネート、及びイソソルバイドポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも１種を含む請求項７に記載の積層体。
9. 前記透明シートが、少なくとも顔の一部を覆う透明シートである請求項７又は請求項８に記載の積層体。
10. 前記保護シートが、前記透明シートの顔に近い側の表面上に少なくとも備えられる請求項９に記載の積層体。
11. 前記透明シートが、フェイスシールド、フェイスガード、眼鏡、サングラス、又はゴーグルに用いられる請求項９又は請求項１０に記載の積層体。

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