JP5523052B2 - 粘着剤、それを用いてなる粘着シート、一時表面保護用粘着剤、それを用いてなる一時表面保護用粘着シート、およびその一時表面保護用粘着シートの使用方法。 - Google Patents

粘着剤、それを用いてなる粘着シート、一時表面保護用粘着剤、それを用いてなる一時表面保護用粘着シート、およびその一時表面保護用粘着シートの使用方法。 Download PDF

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本発明は、粘着剤、それを用いてなる粘着シート、一時表面保護用粘着剤、それを用いてなる一時表面保護用粘着シート、およびその一時表面保護用粘着シートの使用方法に関する。詳しくは、被着体表面を所定の期間、機械的に又は電気的に保護するための粘着シートおよびその使用方法、その粘着シートに好適な粘着剤に関する。
従来、ワープロ、コンピュータ、携帯電話、テレビ等の各種ディスプレイ;偏光板やそれに準ずる積層体等の光学部品;電子基板等の表面には、通常、表面保護及び機能性付与の目的で、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の透明な一時表面保護シート(基材シート)が粘着剤を介して積層される。粘着剤が積層された一時表面保護用粘着シート(以下、単に「粘着シート」ともいう。)は、例えば液晶ディスプレイ等の組み込みが完了した後に、表面保護の役割を終え、剥離除去される場合が多い。
しかしながら、一般的な一時表面保護用粘着シートは、その剥離時に静電気が発生して周囲のゴミを巻き込んでしまったり、剥離時に生じた剥離帯電により、液晶基板や電子回路が破壊されるというトラブルが発生したりすることがある。また、製造工程において、偏光板やディスプレイ等の被着体に一時表面保護用粘着シートを貼り付けたまま、製品の検査、試験をすることもあるため、一時表面保護用粘着シートを構成する基材シートや粘着剤には、帯電防止性能に加え、透明性も求められていた。
そこで、一時表面保護用粘着シートに帯電防止性が付与された帯電防止性粘着シートを作製する手段として、例えば、表面保護粘着シートを構成する基材シートに帯電防止性を付与する方法や一時表面保護用粘着シートを構成する粘着剤に帯電防止性を付与する方法などが提案されている。
一時表面保護用粘着シートを構成する粘着剤に帯電防止性を付与する方法としては、例えば特許文献1には、ポリエーテルポリオール化合物およびアルカリ金属塩からなる帯電防止剤をアクリル系粘着剤に配合し、帯電防止性を付与する方法が開示されている。
また、特許文献2には、アクリル系ポリマーの全構成単位100重量部に対してヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを0.5〜10重量部含むアクリル系ポリマー、アルカリ金属塩、架橋剤を含む粘着剤組成物が開示されている。
特開平6−128539号公報 特開2005−298569号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、帯電防止剤として用いたポリエーテルのブリードが避けられず、一時表面保護用シートに適用した場合に経時や高温下で被着体への汚染が発生することが判明しており、更に、アクリルポリマーとアルカリ金属塩及びポリエーテルの相溶性が充分ではなく、塗膜に濁りが生じるという問題もある。
また、上記特許文献2に記載の方法では、イオンを伝播する役割を果たす水酸基の量が少ない為にイオンの移動がしにくくなり帯電防止性能が充分ではなく、また、水酸基が少ないと粘着剤とアルカリ金属塩との相溶性が悪くなり、粘着剤を塗膜とした時の透明性も不十分なものであったり、添加しているアルカリ金属塩が被着体にブリードしたりするおそれもある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、被着体から剥離する際の粘着シートの帯電防止性能に優れ、塗膜透明性にも優れた一時表面保護用粘着シート、その粘着シートに好適な一時表面保護用粘着剤を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂とイオン性化合物と架橋剤を含有する樹脂組成物において、アクリル系樹脂として、特定の親水性基含有モノマーを従来より多く含有する共重合成分を共重合させてなるアクリル系樹脂を用い、架橋剤により架橋させることにより、帯電防止性能に優れるうえ、塗膜透明性に優れる粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、親水性基含有モノマー(a1)を20〜90重量%含有する共重合成分を共重合させてなるアクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)、架橋剤(C)を含有する樹脂組成物[I]が、架橋剤(C)により架橋されてなり、親水性基含有モノマー(a1)がアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであり、イオン性化合物(B)がアルカリ金属塩であることを特徴とする粘着剤に関するものである。
なお、アクリル系樹脂(A)として、親水性基含有モノマーを多量に含有させると、ゲル化が生じやすいといった不具合が生じるおそれがあると考えられていたため、これまでは親水性基含有モノマーを20〜90重量%も含有させることはなかったのである。
本発明の粘着剤は、基材に塗布、乾燥して粘着シートを形成するが、特に一時表面保護用途とする場合には、本発明の粘着剤を基材に塗布、乾燥し、一時表面保護用粘着シートを作成すると充分な帯電防止性能を示すために、被着体からの剥離時に基板や回路に悪影響を与えることもないのである。
通常、粘着剤とイオン性化合物は相溶性が悪く粘着剤層に濁りを生じるが、本発明の粘着剤はアクリル系樹脂中に親水性基を多く含む為に、アクリル系樹脂とイオン性化合物の相溶性が向上し、透明性の高い粘着シートとなる。
また、帯電防止成分であるイオン性化合物が配合されている為にブリードし被着体に汚染を生じる可能性があるが、本発明の粘着剤はアクリル系樹脂中に親水性基を多く含む為にイオン性化合物とアクリル系樹脂との相互作用が高くなり、ブリードしにくく、被着体汚染も少ないものである。
以下、本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明の樹脂組成物は、親水性基含有モノマーを20〜90重量%含有する共重合成分を共重合させてなるアクリル系樹脂(A)(以下、単に「アクリル系樹脂(A)」と記載することがある)とイオン性化合物(B)を含有してなることを特徴とする。
本発明において用いられるアクリル系樹脂(A)は、親水性基含有モノマー(a1)を20〜90重量%含有する共重合成分をその他の共重合成分と共重合、あるいは親水性基含有モノマーのみを単独重合させたものであればよい。
かかる親水性基含有モノマー(a1)としては、公知一般の親水性基を有するものであればよいが、本発明においてはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが用いられる
上記、親水性基含有モノマー(a1)としては、特にHLB基数が0以上である官能基を有するモノマーを用いることが好ましい。
HLB(Hydrophilie-Lipophile Balance)は、化学物質の水および油への親和性の程度を表す値であり、HLB基数とは、原子団の親水性を示す数値である。
本発明におけるHLB基数は、Daviesの理論によるHLB基数であり、親水性官能基の基数の値の例としては、下記[表1]に記載するものが挙げられるが、詳細に関しては、文献「新版界面活性剤ハンドブック」(日本油脂株式会社著、工学図書株式会社版)の第234〜242頁の5.1.5.〜5.1.7.に記載されている。
また、親水性基含有モノマー(a1)のHLB値としては、好ましくは0以上、更に好ましくは0.5以上、特に好ましくは1.0以上、殊に好ましくは1.5以上である。
また、親水性基含有モノマー(a1)の中でも、具体的には、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基、アミド基、窒素含有複素等を有する窒素原子含有モノマーを用いることが、帯電防止性能及び塗膜透明性及び耐被着体汚染性の点で好ましく、特には水酸基含有モノマーが好ましく用いられる。なお、これら親水性基含有モノマー(a1)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
かかる水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10− ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、後述のイオン性化合物(B)と相溶しやすく、水酸基の自由度が大きい点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、特にはアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましく、更には2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が多いと粘着剤重合中に増粘及びゲル化する原因となるため、ジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましい。
かかるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンのアクリル酸エステル等のカルボキシル基含有モノマーを挙げることができる。
かかる窒素原子含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルフォリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等の含窒素複素環含有モノマー等を挙げることができる。
本発明おいては、共重合成分として、上記親水性基含有モノマー(a1)を共重合成分全体に対して20〜90重量%含有することが必要であり、少なすぎると充分な帯電防止性能が得られなくなる。親水性基含有モノマーの好ましい範囲は20〜70重量%、更に好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%、殊に好ましくは30〜50重量%である。
上記親水性基含有モノマー以外のその他共重合成分としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、必要に応じて更に上記親水性基含有モノマー(a1)以外の官能基含有モノマー(a3)やその他の共重合性モノマー(a4)が挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等が挙げられる。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルについては、アルキル基の炭素数が、通常1〜12、特には1〜8、更には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしてはテトラヒドロフルリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましくは帯電防止性能が優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
かかる官能基含有モノマー(a3)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有モノマー;等が挙げられ、単独又は2種以上併用して用いられる。
その他の共重合性モノマー(a4)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
なお、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、アルキレンオキサイド鎖を含有するものであることが、帯電防止性能を向上させる点で好ましく、その他の共重合性モノマー(a4)として、アルキレンオキサイド鎖含有モノマーを使用することにより得られる。
かかるアルキレンオキサイド鎖含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステルや、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートのアクリル酸エステル等があげられる。中でも脂肪族系(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられる、特にはエチレンオキサイド構造含有の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
また、本発明においては、更に、その他共重合成分として、帯電防止性能を有する化合物を共重合させることも、アクリル系樹脂(A)の帯電防止性能を、より一層優れたものにするために好ましい。
かかる帯電防止性能を有する化合物としては、例えば、イオン性基やノニオン性基を有する化合物が挙げられる。イオン性基を有する化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の四級化物、イミダゾリウム塩の(メタ)アクリレートなどの重合性基を有するイオン液体またはイオン固体、第四級アンモニウム塩基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物等のイオン性基含有重合性化合物等が挙げられる。
また、一旦共重合により作製されたアクリル系樹脂(A)の側鎖にグラフト化反応により帯電防止性能を有する化合物を導入することも可能である。この場合、例えば、上記親水性構造部位を有する化合物の中から水酸基を含有する化合物を選択し、ポリイソシアネート化合物と反応させウレタンプレポリマーとした後に、アクリル系樹脂(A)の水酸基と反応させることにより導入することができる。
本発明においては、上記(a1)〜(a4)のモノマー成分を重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、かかる重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行うことができる。例えば、有機溶媒中に、上記親水性基含有モノマー、その他の官能基含有モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、その他の共重合性モノマー等の重合モノマー、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等)を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
親水性基含有モノマー(a1)以外のその他の共重合成分の含有割合としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)が0〜90重量%、特には10〜85重量%、更には30〜80重量%、殊には40〜70重量%であることが好ましく、親水性基含有モノマー以外の官能基含有モノマー(a3)が0〜40重量%、特には0〜30重量%、更には0〜20重量%であることが好ましく、その他の共重合モノマー(a4)が0〜50重量%、特には0〜40重量%、更には0〜30重量%であることが好ましい。
かくして得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常、10万〜250万、好ましくは20万〜220万、特に好ましくは40万〜200万である。重量平均分子量が小さすぎると、架橋後の粘着剤層に凝集力が足りず、必要以上の粘着力になったり、保持力が不十分であったり、糊残りが生じる傾向があり、大きすぎると希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で好ましくない傾向となる。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量の上限は、製造のしやすさと経済性の点から、通常300万である。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、特に限定されないが、20以下であることが好ましく、更には15以下が好ましく、殊には10以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると低分子量体に起因する凝集力の低下や糊残りが生じる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常2である。
更に、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度も一概には特定されないが、−80〜−20℃、特には−75〜−25℃、更には−60〜−30℃が好ましく、ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性に劣る傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量、数平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、また、分散度は上記測定法により測定した重量平均分子量と数平均分子量より求められるものである。
またガラス転移温度は下記Foxの式より算出されるものである。
Tg :共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
本発明におけるイオン性化合物(B)としては、イオン性基を有する化合物であればよく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、シアノ基含有塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩、アルキルベタイン化合物、アルキルイミダゾリン化合物、アルキルアラニン化合物、ポリビニルベンジル型カチオン化合物、ポリアクリル酸型カチオン化合物等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、シアノ基含有塩が好ましく用いられ、特に好ましくはアルカリ金属塩やイミダゾリウム塩、シアノ基含有塩が、殊に好ましくはアルカリ金属塩が用いられる。本発明においては、イオン性化合物(B)としてアルカリ金属塩が用いられる。
前記アルカリ金属塩については、カチオン部分として、例えば、Li、Na、Kであることが好ましい。
また、アニオン部分としては、例えば、Cl-、Br-、I-、BF4 -、PF6 -、SCN-、ClO -、CF3COO-、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n-、C49SO3 -、C37COO-、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、(C25SO22-、(CF3SO2)(CF3CO)N-、AlCl4 -、Al2Cl7 -、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CH3SO3 -、AsF6 -、(CN)2-、(CSO-、(CSO-、(CSO-、(CFSO)(CSO)N-、(CFSO)(CSO)N-、(CSO)(CFOSO)N-、また、その他の有機酸塩等があげられるが、これらの中でも、BF4 -、PF6 -、CF3COO-、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n-、C49SO3 -、C37COO-、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、(C25SO22-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等のフッ素原子含有アニオンであることが好ましく、特に好ましくは(CF3SO22-、(CF3SO23-、(C25SO22-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等のスルホニル基およびフッ素原子含有アニオンであり、さらに好ましくは(CF3SO22-、(C25SO22-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等のイミド構造を有するスルホニル基およびフッ素原子含有アニオンである。
これらの中でもイオン伝導性に優れ静電気防止機能に優れる点で、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSOCなどのリチウム塩が好ましく用いられる。また、かかるアルカリ金属塩は、ポリエーテルポリオールに溶解させて使用してもよい。
前記アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩およびこれらのハロゲン化物が挙げられる。
前記四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムスルホン酸、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、(ポリ)オキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩等の四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
前記イミダゾリウム塩としては、例えば、モノアルキルイミダゾリウムカチオン、ジア
ルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のアルキルイミ
ダゾリウムカチオンを有するイミダゾリウム塩が挙げられ、具体的には、1,3−ジメチ
ルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3
−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1
−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリ
ウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メ
チルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、
1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチ
ルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1
−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等を有するイミダゾリウム塩が挙
げられる。
前記シアノ基含有塩としては、公知一般のシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合
物を用いることができるが、特には下記一般式(1)で示されるシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合物を用いることが好ましい。
(式中、Xは、ホウ素、炭素、窒素、アルミニウム、ケイ素、リン、砒素及びセレンから
なる群より選ばれるいずれか1種の元素を表す。Yは、水素原子、アルキル基、またはト
リフルオロメチル基を表す。L1およびLは、同一または異なっていてもよい有機連結
基を表す。aは、1以上の整数であり、b、c及びdは、0以上の整数である。)
上記一般式(1)中のXは、ホウ素、炭素、窒素、硫黄、アルミニウム、ケイ素、リン、砒素及びセレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、これらの中でもホウ素、炭素、窒素、硫黄が好ましい。
上記一般式(1)中のYとしては、水素原子、アルキル基、またはトリフルオロメチル基を表すが、アルキル基としては炭素数1〜10のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4であり、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。Yとして好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基である。
上記一般式(1)中のL1およびL2は有機連結基であり、好ましくは−S−、−O−、
−SO2−、−CO−であり、特には−SO2−、−CO−が好ましい。かかるL1および
2は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
上記一般式(1)中のaは1以上の整数、b、c及びdは0以上の整数であるが、アニオンの価数が−1であるので、元素Xの原子価がxであるときには、x−1=(a+d)
の関係を満足するようにaおよびcの値は決められるものである。
かかる一般式(1)で示されるシアノ基含有アニオンの具体例としては、S-(CN)
、N-(CN)2、N-(SO2CN)2、C-(CN)3、B-(CN)4等が挙げられ、
これらの中でも、S-(CN)、N-(CN)2が好ましく用いられる。
また、シアノ基含有アニオンの分子量としては、通常30〜300であり、好ましくは
50〜250である。
かかるシアノ基含有イオン性化合物のカチオン成分としては、特に限定されるものでは
なく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属等の金属系カチ
オンや、ヘテロ環式化合物のカチオン類、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニ
ウムカチオン等を挙げることができるが、これらの中でも、ヘテロ環式化合物のカチオン
類、第四級アンモニウムカチオンを用いることが好ましい。
更に、かかるヘテロ環式化合物のカチオン類としては、1〜5個のヘテロ原子を含む1
〜6員環のヘテロ環式化合物のカチオン類が好ましく、特にはヘテロ原子として窒素原子
を含む1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類が好まし
く、殊にはイミダゾリウム塩が好ましい。
上記の一般式(1)で示されるシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合物の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジシアンアミド等のジアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、
1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド等のトリアルキルイ
ミダゾリウムジシアンアミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エ
チル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリ
ウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチ
ル−3−ペンチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリ
ウムチオシアネート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メ
チル−3−オクチルイミダゾリウムチオシアネート、1−デシル−3−メチルイミダゾリ
ウムチオシアネート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エ
チル−3−プロピルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリ
ウムチオシアネート等のジアルキルイミダゾリウムチオシアネート、3−エチル−1,2
−ジメチル−イミダゾリウムチオシアネート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾ
リウムチオシアネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート、
1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムチオシアネート、1,2−ジメチル−3
−オクチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウ
ムチオシアネート、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート
等のトリアルキルイミダゾリウムチオシアネートが挙げられる。
これらの中でも、固体のイミダゾリウム塩を使うことが精製で再結晶ができることによ
り、高純度のイオン化合物を調製しやすくなる点で好ましく、特に好ましくは1−エチル
−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−2,3ジメチルイミダゾ
リウムチオシアネートが高純度のイオン化合物を調製しやすい点で用いられる。
また、帯電防止剤(B)としては、イオン性化合物の中でも、いわゆるイオン液体を
用いることも好ましい。本願発明におけるイオン液体とは、0〜100℃の範囲の一定温
度において液体を保持するカチオン成分およびアニオン成分からなるイオン性物質のこと
を表す。
上記カチオン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的なイオン液体で使用
されるカチオンが用いられる。かかるカチオン類としては、例えば、ヘテロ環式化合物の
カチオン類、特には1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオ
ン類、殊にはヘテロ原子として窒素原子を含む1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環の
ヘテロ環式化合物のカチオン類等があげられ、中でもイミダゾリウムカチオン、ピロリジ
ニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が好ましい。また、
鎖状の第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンを用いることも好まし
い。これらの中でも、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、第四級アンモニ
ウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、特にはイミダゾリウムカチオン
を用いることが、粘度が低い点で好ましい。
一方、上記アニオン成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、Cl-、B
-、AlCl4 -、Al2 Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n-、(CN)2-、SCN-、C49SO3 -、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等の一般的なイオン液体で使用されるアニオンを用いることが可能である。
これらのイオン性化合物(B)は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
イオン性化合物(B)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部、殊に好ましくは0.2〜0.8重量部である。イオン性化合物(B)の含有量が少なすぎると帯電防止性能が不十分となる傾向があり、多すぎると被着体の汚染が発生し易くなる傾向が見られる。
本発明における架橋剤(C)としては、アクリル系樹脂(A)に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物であればよく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物、アルデヒド系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系化合物が反応性の点で好ましく用いられる。
上記イソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
上記エポキシ系化合物としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アジリジン系化合物としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系化合物としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系化合物としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
また、これらの架橋剤(C)は、単独で使用しても良いし、2種以上併用してもよい。
架橋剤(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)中に含まれる官能基の量、アクリル系樹脂(A)の分子量、用途目的により適宜選択できるが、通常は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、更には0.05〜15重量部、特には0.1〜10重量部であることが好ましい。かかる架橋剤(C)が少なすぎると凝集力が低下し糊残りが生じたり粘着力が必要以上に上昇する傾向があり、多すぎると架橋が進みすぎ必要な粘着力が得られなくなる傾向がある。
なお、架橋を促進するために、酸触媒(例えばパラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸)、塩化アンモニウム等の架橋促進剤を併用することも可能で、かかる架橋促進剤の添加量は架橋剤に対して10〜50重量%であることが好ましい。
本発明における粘着剤は、上記のアクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)、架橋剤(C)を含有する樹脂組成物[I]が、上記架橋剤により架橋されることにより粘着性が付与されて得られるものである。
架橋剤(C)により架橋された後の粘着剤は、ゲル分率が10〜100%であることが好ましい。かかるゲル分率が小さすぎると、凝集力が不足することに起因する糊残りが生じる傾向が見られる。かかるゲル分率の中でも一時保護用の粘着シートとする場合には、特には20〜100%、更には40〜99%であることが好ましく、永久接着用の粘着シートとする場合には、特には10〜98重量%、更には20〜95重量%であることが好ましい。
なお、かかる粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、架橋剤量、分子量、分子量分布、官能基数、官能基種、官能基分布、組成分布、架橋剤種、架橋促進剤、エージング条件などを調整することなどにより達成される。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、以下の方法で算出される。
即ち、後述の如く得られる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。なお、基材の重量は差し引いておく。
本発明の粘着剤には、必要に応じて、充填剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、光安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、界面活性剤、低分子量ポリマー、表面平滑剤、レベリング剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、金属粉、粒子状、箔状物等の添加剤を、必要とされる物性を損ねない範囲で、配合してもよい。これらの添加剤は、1種または2種以上、使用可能である。これらの添加剤の配合量は、所望する物性が得られるように適時設定すればよい。
上記界面活性剤としては、公知一般のものを用いることができ、粘着剤組成物に含有させることにより、被着体への濡れ性に優れた粘着剤組成物となる。具体的にはイオン性化合物(B)(特にはアルカリ金属塩)との相互作用の観点から、エーテル基を有する界面活性剤であることが好ましい。
かかるエーテル基を有する界面活性剤の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーチル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤、 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤があげられる。また、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
上記エーテル基を有する界面活性剤としては、エチレンオキシド基を有する界面活性剤
であることがさらに好ましい。具体例としては、たとえば、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビ
トール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
アルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキ
シエチレン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキル
アミン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテルリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、エチレンオキシド基を
有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤があげられる。また、分子中にアク
リロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
上記界面活性剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいが、配合量として
はアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜 10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましい。0.01重量部未満であると、被着体への濡れ性向上の効果が得にくく、10重量部を超えると、被着体への汚染が増加する傾向にあるため好ましくない。
以上より得られる粘着剤は、一時表面保護用途、電子部品固定用途、電子部品ラベル用途、電子部品加工処理用途等として用いることができるが、これらの中でも、帯電防止性能、塗膜透明性、耐被着体汚染性の点で一時表面保護用途として特に好適に用いられる。
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、基材と上記粘着剤からなる層を有することを特徴としており、上記粘着剤が基材上に積層されてなるものが好ましい。
かかる粘着剤層は、親水性基含有モノマー(a1)を10重量%以上含有する共重合成分を共重合させてなるアクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)、架橋剤(C)を含有する樹脂組成物[I]を基材上に設けた後、乾燥、養生することにより得られるものである。
なお、本発明における「シート」は、フィルムをも含めた意味である。
上記樹脂組成物[I]を設ける基材としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体として又は2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これら基材の中で、価格面を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂シートが好適に用いられる。
また、基材に対する粘着剤の投錨性を上げるために、基材の表面に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート、脱脂処理、表面粗面化処理等の易接着性を改良する処理を施しても良いし、更なる帯電防止のために帯電防止層が設けられても良い。
上記基材の厚さは、特に限定されないが、一般には500μm以下、好ましくは5〜300μm、更に好ましくは10〜200μm程度の厚さを例示することができる。
上記基材に設ける樹脂組成物[I]の厚みは、特に制限はないが、乾燥後において、一般に1〜100μm、好ましくは2〜50μm程度の厚さを例示することができる。厚過ぎると、粘着シートを被着体から剥離する際に粘着剤が被着体表面に糊残りする傾向があり、また、薄過ぎると、被着体に対する接着力が低下し、粘着シートを被着体に貼り合わせた後、被着体及び粘着シートが高温に晒された際に粘着シートが剥がれてしまうなどの問題が起こる傾向がある。
本発明の粘着シートを被着体に貼り合わせるまで、その粘着剤を汚染から保護する目的で、粘着剤の表面にセパレータを積層することができる。セパレータとしては、上記で例示した合成樹脂シート、紙、布、不織布等の基材を離型処理したものを使用することができる。
上記基材上に樹脂組成物[I]を設けるに当たっては、通常、樹脂組成物[I]の溶液として、特には溶剤により塗布に適した粘度に調整した後、基材に塗布し、乾燥することが行われる。塗布する方法としては、溶液状の樹脂組成物[I]を基材に直接塗工する直接塗工法や、溶液状の樹脂組成物[I]をセパレータに塗工したのち基材と貼り合わせる転写塗工法などが挙げられる。
直接塗工法においては、基材に樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、セパレータを貼り合わせる方法などが挙げられる。塗工は、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法により行われる。
一方、転写塗工法においては、セパレータに樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、基材を貼り合わせる方法などが挙げられる。塗工方法については、直接塗工と同様の方法が使用できる。
本発明の粘着シートを被着する被着体の種類は、特に制限はないが、例えば、上記の基材で例示した、金属箔、合成樹脂シート、金属箔、紙、織物や不織布に加えて、ガラス板、合成樹脂板、金属板が挙げられる。
本発明の粘着シートの初期粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜決定される。例えば、SUS304BA板に貼着する場合には、0.01N/25mm〜50N/25mmの粘着力を有することが好ましく、一時保護用(表面保護用、マスキング用)に使用される場合は、0.01N/25mm〜5N/25mm、強粘着(永久接着)用に使用される場合は、3N/25mm〜50N/mmの粘着力が好ましい。なお、永久接着の場合でもリワーク(貼り直し)時に静電気が発生するとゴミのかみこみ等があるので、帯電防止性が要求されることになる。
上記の初期粘着力は、つぎのようにして算出される。まず、得られた粘着シートを25mm×100mmに切断した後、これを、被着体としてのステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラーを用いて2往復させることにより圧着し、試験片を作製する。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度剥離速度0.3m/分により、180度剥離試験を行い、測定した粘着力(N/25mm)を初期粘着力とする。
また、本発明の粘着シートにおいて、高速剥離粘着力は、上記初期粘着力と同様の方法により作製した試験片を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、30分放置した。その後、同雰囲気下で、剥離速度30m/分の高速により、180度剥離試験を行い、測定した粘着力(N/25mm)を、高速剥離粘着力とする。
以上より得られる粘着シートは、一時表面保護用途、電子部品固定用途、電子部品ラベル用途、電子部品加工処理用途等として用いることができるが、これらの中でも、帯電防止性能、塗膜透明性、耐被着体汚染性の点で一時表面保護用粘着シートとして特に好適に用いられる。
また、かかる一時表面保護用粘着シートは、被着体表面に貼り付け、被着体表面を保護した後、その粘着シートを剥離するという使用方法により好適に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂、各種不飽和基含有化合物を調製した。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
<アクリル系樹脂(A)>(表2参照。)
[アクリル系樹脂(A−1)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル120部とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.044部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート(BA)50部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)50部を混合溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル7部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A−1)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A−2)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル100部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.044部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル7部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A−2)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A−3)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル80部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート85部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A−3)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A−4)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル80部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート88部、2−ヒドロキシエチルアクリレート12部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A−4)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A−5)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル70部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート90部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A−5)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A’−1)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル70部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート92部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A’−1)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A’−2)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル70部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート95部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A’−2)の40%溶液を得た。
[アクリル系樹脂(A’−3)の調製]
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル64部を仕込み、撹拌しながら昇温し、78℃になったら、ブチルアクリレート97部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3部にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A’−3)の40%溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂の諸物性について下記[表2]に記す。
注)BA:ブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
<イオン性化合物(B)>
イオン性化合物(B−1)として、以下のものを用意した。
・リチウムトリフルオロメタンスルホナートの酢酸エチル30%溶液(三光化学工業株式会社製、商品名「サンコノールEAc−30T」)
<架橋剤(C)>
架橋剤(C−1)として、以下のものを用意した。
・ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル75%溶液(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHL」)
〔実施例1〕
紫外線の遮断された部屋にて、アクリル系樹脂(A−1)100部(固形分)、イオン性化合物(B)としてリチウムトリフルオロメタンスルホナート0.5部(固形分)、架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体9.5部(固形分)を加えて攪拌機のついた容器に入れ、希釈剤として酢酸エチルを用い固形分27%まで希釈し、攪拌混合し溶解した。
上記で得られた樹脂組成物を、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に乾燥後の厚みが25μmの厚さになるように塗布した。100℃で2分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPETを貼着して保護し、温度40℃の雰囲気下で3日間養生し、粘着シートを得た。
〔実施例2、参考例1〜3、比較例1〜3〕
実施例1におけるアクリル系樹脂(A−1)を、それぞれ下記[表3]に示したアクリル系樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
上記、実施例1及び2、参考例1〜3、比較例1〜3にて得られた粘着シートについて、下記の粘着特性の評価を行った。結果を[表3]に示す。
[表面抵抗]
離型処理されたPETが引き剥がされた粘着シートを、温度23℃、相対湿度50%の条件に3時間放置し、調湿後、ハイレスターUP(三菱化学社製)を用いて測定した。なお、値が小さいほど帯電防止性能が高い。実施例、参考例及び比較例の評価結果を[表3]に示す。
[初期粘着力]
被着体としてのアクリル板(日本テストパネル株式会社製アクリル(透明)標準試験板)に、25mm×100mmの上記粘着シートを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、試験片を作製した。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度0.3m/分により、180度剥離試験を行い、初期粘着力(N/25mm)を測定した。
[高速剥離性]
得られた粘着シートより25mm×100mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を被着体(アクリル板:日本テストパネル株式会社製アクリル(透明)標準試験板)に23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラーを用いて2往復させることにより圧着し、試験片を作製した。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度30m/分により、高速剥離時の粘着力(N/25mm)を測定した。
※表中( )内の数字は、重量部を表す。
実施例1及び2、参考例1〜3の粘着シートは表面抵抗値が低く帯電防止性能に大変優れるものであり、塗膜の透明性にも大変優れる。また、剥離時の粘着力十分にあり保護すべき被着体に十分に接着し、被着体の処理工程などでも浮いたり剥がれたりしないものである。また、被着体汚染も少ない為、一時表面保護用テープとして使用した場合に被着体を汚染したりする危険性が少ないものである。
一方、比較例1〜3の粘着シートは親水性基含有モノマーが少ない為に相溶性が低く塗膜透明性に劣り、更に帯電防止性能においても表面抵抗値が大きく帯電防止性能に劣るものである。
本発明の樹脂組成物は、優れた帯電防止性が付与された粘着剤の製造に好適であり、本発明の粘着剤は、とりわけ一時表面保護用粘着剤として液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、偏光板、CRT(ブラウン管)等の光学部材の表面を保護するための粘着シートの形成に好適に用いられる。また、本発明の粘着剤は、帯電防止性が要求される建材分野にも利用可能である。

Claims (6)

  1. 親水性基含有モノマー(a1)を20〜90重量%含有する共重合成分を共重合させてなるアクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)、架橋剤(C)を含有する樹脂組成物[I]が、架橋剤(C)により架橋されてなり、親水性基含有モノマー(a1)がアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであり、イオン性化合物(B)がアルカリ金属塩であることを特徴とする粘着剤。
  2. 親水性基含有モノマーが、HLB基数が0以上である官能基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
  3. 請求項1または2記載の粘着剤を用いてなる一時表面保護用粘着剤。
  4. 基材と、請求項1または2記載の粘着剤からなる層を有することを特徴とする粘着シート。
  5. 基材と、請求項記載の一時表面保護用粘着剤からなる層を有することを特徴とする一時表面保護用粘着シート。
  6. 請求項記載の一時表面保護用粘着シートを被着体表面に貼り付け、被着体表面を保護した後、その粘着シートを剥離することを特徴とする一時表面保護用粘着シートの使用方法。
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