JP2022013210A - 防振床構造 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022013210000001
【課題】歩行等の加振力が小さい動作の場合は防振床の揺れを抑制し、所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作の場合は防振床の防振性能を発揮させる。
【解決手段】防振床構造102は、構造体32を構成する底版34に設置された防振装置50に支持された防振床70と、構造体32を構成するスラブ30の外周部30Aの側壁30Bと防振床70との間に設けられ、防振床70の水平方向の移動を拘束すると共に鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れると防振装置50が防振性能を発揮する拘束機構10と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、防振床構造に関する。
特許文献1には、防振床構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、防振床構造は、底版に設置された空気バネで支持された浮床と、地盤に設置された複数の杭で構成される。更に、底版を支持し、浮床の下方領域がそれ以外の領域よりも鉛直剛性が高い杭群を備えている。
特許文献2には、防振床構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、防振床構造は、構造体に設けられた凹部の内部にばね軸を鉛直方向に向けて設けられたばね部材と、ばね部材の上端を接続して支持され凹部に設けられた浮き床とを備えている。更に、浮き床を、構造体に対して鉛直変位を阻害することなく水平変位を拘束するための変位制御装置を備えている。
特許文献3には、超音波振動体支持構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、超音波振動体支持構造は、超音波振動子と、この超音波振動子の端面に同軸的に連結された振動伝達体と、この振動伝達体の外周に所定距離離れて設けられたピストンとして作用する二個のフランジと、このフランジを収容するシリンダと、各フランジとシリンダの各端部との間に形成されある空間にそれぞれ加圧流体を供給する手段と、を設けている。
特許文献4には、振動発生源を持つ建物(構造物)内から、建物自身または建物の周囲へ伝播する振動、および建物周辺にある振動発生源から建物内へ伝播する振動を低減することができる防振床構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、防振床構造は、地盤上に構築された構造物内に配置され該構造物とは縁が切られた床版と、床版を地盤から浮かした状態で地盤の下層にある支持基盤上に支持する支持部材と、支持部材から地盤へ又は地盤から支持部材へ伝達される振動を遮断する振動遮断手段と、を有している。
特開2019-090211号公報 特開2019-178555号公報 特開昭63-193699号公報 特開2007-107208号公報
コンサートホール等で観客が飛び跳ねる所謂縦ノリによる振動が、周辺の建物に伝播することが問題になっている。先行技術では、防振装置に支持された防振床とすることで、周辺の建物に伝播する振動を低減している。
しかし、防振床の上の人が歩行等の加振力の小さい動作をした場合に、防振床が揺れ、防振床の上にいる人にとって不快と感じる振動、感覚的に表現すると”ふわふわ感”が発生する場合がある。
本発明は、上記事実を鑑み、歩行等の加振力が小さい動作の場合は防振床の揺れを抑制し、所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作の場合は防振床の防振性能を発揮させることが目的である。
第一態様は、構造体に設置された防振装置に支持された防振床と、前記構造体と前記防振床との間に設けられ、前記防振床の前記構造体に対する水平方向の移動を拘束すると共に鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れると前記防振装置が防振性能を発揮する拘束機構と、を備えた防振床構造である。
第一態様の防振床構造では、拘束機構が鉛直方向の移動を摩擦によって拘束しているので、防振床の上の人が歩行等の加振力の小さい動作をした際の防振床の揺れが抑制される。一方、防振床の上の人が所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作をした際には、拘束機構の鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れて、前記防振装置が防振性能を発揮する。これにより、周辺の建物に伝播する振動が低減される。
第二態様は、前記拘束機構は、前記構造体又は前記防振床の一方に鉛直方向に沿って設けられた第一摩擦プレートと、前記構造体又は前記防振床の他方から水平方向に突出する第一筐体と、前記第一筐体にスライド可能に設けられ、先端部の第二摩擦プレートが前記第一摩擦プレートに面接触した状態で前記第一筐体に接合された第二筐体と、前記第一筐体内及び前記第二筐体内に充填されて硬化し、前記第一摩擦プレートと前記第二摩擦プレートとの面接触状態を保持する充填材と、を備えた第一態様に記載の防振床構造である。
第二態様の防振床構造では、先端部の第二摩擦プレートが第一摩擦プレートに面接触した状態で第二筐体が第一筐体に接合されると共に第一筐体内及び第二筐体内に充填材が充填されて硬化することで第一摩擦プレートと第二摩擦プレートとの面接触状態を保持している。よって、拘束機構が防振床の構造体に対する水平方向の移動を拘束しつつ、面接触した第一摩擦プレートと第二摩擦プレートとの間の摩擦によって鉛直方向の移動を拘束することができる。
第三態様は、前記拘束機構は、前記摩擦が切れる上限値を前記防振床の鉛直力をQ(N)とし、前記防振床の上の人の歩行によって発生する加振力をT(N)とし、前記防振床の上の人の跳躍着地によって発生する加振力をT2(N)とすると、T2>Q≧Tが成立するように設定されている、第一態様又は第二態様に記載の防振床構造である。
第三態様の防振床構造では、T>Q≧Tが成立するように設定されている。よって防振床の上の人が歩行をした際は防振床の揺れが抑制されると共に防振床の上の人が跳躍した際は防振装置の防振性能が発揮される。
本発明によれば、歩行等の加振力が小さい動作の場合は防振床の揺れを抑制し、所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作の場合は防振床の防振性能を発揮させることができる。
防振床構造が適用された建築物を模式的に示す構成図である。 図1の建築物の要部の断面図である。 図1の防振装置を一部断面で示す正面図である。 (A)は拘束装置の正面図であり、(B)は拘束装置の上面図である。 加振力と摩擦力との関係を示すグラフである。 (A)はモックアップの(B)の6B-6Bに沿った水平断面を模式的に示す断面図であり、(B)はモックアップの(A)の6A-6Aに沿った垂直断面を模式的に示す断面図である。 モックアップでの測定結果のアクセレランスを示すグラフである。 防振床構造の振動低減効果を示すグラフである。
<実施形態>
本発明の一実施形態の防振床構造について説明する。
[構成]
先ず、本実施形態の防振床構造の構成について説明する。
図1に示すように、建築物10は、本実施形態の防振床構造102の防振床70を備えている。また、建築物10の周辺には、建物300、302が構築されている。
建築物10は、地盤20上に構築され、地盤20内に設置された複数の杭59によって支持されている。なお、本実施形態の建築物10は、コンサートホールである。建築物10の内部には、アリーナ12や階段状の客席15等が設けられている。アリーナ12を構成するスラブ30の一部は、防振床70になっている。
図1及び図2に示すように、防振床70は、建築物10の構造体32を構成する底版36に設置された複数の防振装置50によって支持されている。なお、本実施形態では、底版36に設けられた架台38に防振装置50が設置されている
図3に示すように、本実施形態の防振装置50は、コイルばね52とダンパー54とを有して構成されているが、これに限定されるものではない。どのような装置であってもよい。例えば、防振装置50は、空気ばねで構成されていてもよい。
図2に示すように、構造体32を構成するスラブ30の外周部30Aの側壁30Bと防振床70の外周部70Aの側壁70Bとの隙間は、エキスパンションジョイント80を構成する可動板82によって覆われている。スラブ30の外周部30Aの側壁30Bと防振床70の外周部70Aの側壁70Bとの間には、拘束機構100が設けられている。
なお、図示されていていないが、防振床70及びスラブ30の側壁30Bは平面視矩形状とされ、拘束機構100は矩形の各辺に相当する部位にそれぞれ複数設けられている。
このような構成により、図1に示す防振床70は、水平方向に対しては、移動が拘束されているが、鉛直方向に対しては、摩擦が切れるまでは拘束され、摩擦が切れると変動可能となっている。なお、「摩擦が切れる」についての説明は、後述する。
防振床70の鉛直方向の振動は、防振装置50の減衰機能によって減衰する。本実施形態では、防振床70の質量は、構造体32を構成する底版36の質量よりも小さいが、これに限定されるものではない。また、本施形態では、防振床70の固有振動数は、1Hz以下に設定されているが、これに限定されるものではない。
(拘束機構)
次に、拘束機構100について説明する。
図4(A)及び図4(B)に示すように、拘束機構100は、第二摩擦プレート162を有する筐体150と、筐体150内に充填された充填材J(図4(B)参照)と、第一摩擦プレート110と、を有して構成されている。なお、本実施形態では、充填材Jは無収縮モルタルを用いている。
防振床70の外周部70Aに埋設されたスタッド114によって、打込プレート112が、防振床70の側壁70Bに固定されている。本実施形態の第一摩擦プレート110は、板面が鉛直方向に沿って配置され、打込プレート112に接合されている。本実施形態では、第一摩擦プレート110は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene(PTFE))と金属板とが強固に接合されて一体となった構造であり、低摩擦材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)側が露出するように打込プレート112に接合されている。
なお、スタッド114及び後述するアンカーボルト116は、判りやすくするため実線で図示している。また、図4(B)では、充填材Jは判り易くするためハッチングを入れている。
スラブ30の外周部30Aにアンカーボルト116が埋設されていると共に側壁30Bに打ち込みプレート113が固定されている。本実施形態の筐体150は、アンカーボルト116にボルト接合され側壁30Bに固定されている。筐体150は、鋼製とされ、上方が開口した箱形状とされ、第一筐体152と第二筐体160とで構成されている。
第二筐体160は、第一筐体152よりも若干大きく、第一筐体152に対して水平方向にスライド可能となっている。第一筐体152のスラブ30側の端部は、幅広の接合プレート154で構成され、この接合プレート154が前述したスラブ30の外周部30Aに埋設されたアンカーボルト116にボルト接合されている。なお、接合プレート154は、打ち込みプレート113に当接している。第二筐体160の防振床70側の先端部の側壁は、鉛直方向に沿った第二摩擦プレート162で構成されている。
なお、第一筐体152の接合プレート154には第二筐体160側に向かって突出するスタッド156が設けられ、第二筐体160の第二摩擦プレート162には第一筐体152側に向かってスタッド166が設けられている。これらスタッド156、166によって充填材Jと筐体150とが一体化する。
拘束機構100を構成する筐体150の第一筐体152と第二筐体160との接合及び充填材Jの充填は、防振床70及びスラブ30が構築された後、すなわち防振床70とスラブ30の外周部70Aとの位置関係が決定した後に施工する。
具体的には、第二筐体160をスライドさせて、先端部の第二摩擦プレート162を第一摩擦プレート110に面接触させた状態で、両者を溶接して接合する。なお、図における符号158が溶接部である。そして、筐体150内に充填材Jを充填して硬化させる。
拘束機構100は、このような構造及び施工方法により、第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162とが隙間なく面接触した状態が保持される。これにより、防振床70は水平方向の移動が拘束される。
一方、防振床70の鉛直方向の移動については、低摩擦材であるPTFEで構成された第一摩擦プレート110と鋼製の第二摩擦プレート162との面接触による摩擦が防振床70の鉛直方向の移動を拘束している。しかし、防振床70の鉛直方向に作用する加振力が大きくなると摩擦が切れて防振装置50が防振性能を発揮する。
別の観点から説明すると、防振床70に作用する鉛直方向の加振力が小さいときは、第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との間に作用する静止摩擦力によって防振床70は拘束される。しかし、防振床70に作用する加振力が大きいときは、第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との間に作用する静止摩擦力が動摩擦力になり、防振床70は鉛直方向に移動する。このとき第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との間に作用する摩擦係数を小さくすることで、動摩擦力は小さく設定され、防振装置50は防振性能を発揮することができる。
図4は、横軸が防振床70に作用する加振力であり、縦軸が第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との間に作用する摩擦力Fである。そして、線Sが静摩擦力で、線Dが動摩擦力である。また、Fが静止摩擦力の最大摩擦力であり、摩擦力Fが動摩擦力である。最大摩擦力Fとなる加振力がTであり、加振力がTを超えると静摩擦から動摩擦になる。
摩擦力Fは、第一摩擦プレート110及び第二摩擦プレート162との間の摩擦係数をμとし、垂直抗力Nとすると、
F=μ×N
となる。
複数個所に設けた拘束機構100の垂直抗力Nのコントロールは、拘束機構100の固定方法を統一することで可能である。例えば、本実施形態では、防振床70の外周部70Aの側壁70Bとスラブ30の外周部30Aの側壁30Bとの間にジャッキ等を設置して、両者が離間する方向に所定の力を加えた状態で、拘束機構100を第一筐体152と第二筐体160とを溶接して、充填材Jを充填して硬化させたのち、ジャッキ除去することで、垂直抗力Nをコントロールすることができる。
また、本実施形態では、防振床70の上を所定人数の人が歩行した際の加振力Tは、最大摩擦力Fとなる加振力T以下になるように設定されている。更に、防振床70の上を所定人数の人が跳躍着地した際の加振力Tは、最大摩擦力Fとなる加振力Tよりも大きくなるように設定されている。
すなわち、
>T≧T
の関係になるように設定されている。
(T2、T0及びT1の計算方法)
つぎに、T、T及びTの計算方法について説明する。なお、本計算方法は一例であって、これに限定されるものではない。
最大摩擦力Fとなる加振力Tは、防振床70の鉛直荷重Qとして計算する。
また、防振床70の上を同時に歩行及び跳躍着地する所定人数をM(人)、
防振床70の上を歩行する人の平均体重をK(kg)、
防振床70の上を平均体重Kの人が一人でピッチf(Hz)で歩行した際の加振力を基準化した値をα
防振床70の上を平均体重Kの人が一人でピッチf(Hz)で跳躍着地した際の加振力を基準化した値をα
とすると、
=√M×(K×9.8)×α
=√M×(K×9.8)×α
で計算している。
つまり、
>T≧T
は、
√M×(K×9.8)×α>Q≧√M×(K×9.8)×α
で計算される。
なお、上記表記では「√M」では、正確には√(ルート記号)内にMが納まっていないが、本明細書では、√内にMが納まっているものとする。また、√の後に他の記号や数字が記載されている場合も√内に納まっているものとする。
ここで、複数人の歩行及び跳躍着地は、ランダムであるので、単純に所定人数倍の加振力とはならない。M人の歩行では、エネルギー和の考え方から、合計体重を「√M×歩行者の平均体重」と評価する方法が知られている。よって、上記においても単純にM倍としないで√M倍としている。
また、f、fα及びαは、「建築物荷重指針を活かす設計資料1 ISBN978-4-8189-0632-7」に記載されている下記を適宜設定して利用したが、これらに限定されるものではない。
:1.6Hz~2.3Hz
:2.0Hz~3.0Hz
α:0.38~0.50
α:1.07~1.90
なお、本実施形態では、所定人数(歩行人数及び跳躍人数)のM人は、防振床70上の最大収容人数の50%を適用したが、これに限定されるものではない。所定人数は、建築物10の使用方法やイベントの種類等から適宜設定すればよい。
[作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態の防振床構造102では、拘束機構100が鉛直方向の移動が摩擦によって拘束されているので、防振床70の上の人が歩行等の加振力の小さい動作をした際の防振床70の揺れが抑制される。よって、防振床70の上にいる人は、不快と感じる振動、感覚的に表現すると”ふわふわ感”を感じない又は殆ど感じない。
一方、防振床70の上の人が跳躍着地、所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作をした際には、拘束機構100の鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れて、防振装置50の防振性能が発揮される。これにより、建築物10の周辺の建物300、302に伝播する振動が低減する。
また、防振床構造102では、先端部の第二摩擦プレート162が第一摩擦プレート110に面接触した状態で第二筐体160を第一筐体152に接合し、第一筐体152及び第二筐体160内に充填材Jを充填して充填材Jが硬化することで第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との面接触状態を保持している。よって、拘束機構100が防振床70のスラブ30に外周部30Aに対する水平方向の移動を拘束しつつ、面接触した第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162との間の摩擦によって鉛直方向の移動を拘束することができる。
また、摩擦が切れる上限値を防振床70の鉛直力をT(N)とし、防振床70の上の人の歩行によって発生する加振力をT(N)とし、防振床70の上の人の跳躍着地によって発生する加振力をT2(N)とすると、T2>T≧Tが成立するように設定されている。よって防振床70の上の人が歩行をした際は防振床70の揺れが抑制されると共に防振床70の人が跳躍着地した際は防振装置50の防振性能が発揮される。
[防振床構造のモックアップを用いての測定]
次に、防振床構造のモックアップを用いて、拘束機構100による性能を確認した測定及びその結果について説明する。
(防振床のモックアップの仕様)
まず、モックアップの仕様について説明する。
図6(A)及び図6(B)に示すモックアップ104は、防振床70(図1参照)の測定モデルとしてのコンクリートマス75が、外周部に擁壁35Aが形成されたコンクリート製の支持部35の底部35Cに設けられた複数のコイルばね53で支持されている。コンクリートマス75と底部35Cとの間は粘性ダンパー55(図6(A)参照)が接続されている。コンクリートマス75の鉛直方向の固有振動数の設計値は1Hzになるように設定されている。
図6(B)に示すように、モックアップ104には、ストッパー機構78が設けられている。ストッパー機構78は、コンクリートマス75の底部から突出する突出部77と、底部35Cに設けられ突出部77の周囲を囲む規制部79と、で構成されている。
なお、図6(A)及び図6(B)は模式的に図示している。よって、コイルばね53及び粘性ダンパー55は模式的に図示され、各部材の断面を示すハッチング等が省略されている。また、図6(A)においては、コイルばね53及び粘性ダンパー55は、実線で図示している。
コンクリートマス75の外周部75Aの側壁75Bと擁壁35Aの側壁35Bとの間には、拘束機構100が設けられている。拘束機構100は、前述の実施形態と同様の構成及び施工方法のため、説明は省略する。なお、第一摩擦プレート110と第二摩擦プレート162(図3参照)との間に作用する動摩擦係数μは0.06である。
ここで、図6(A)における左側には擁壁35Aが形成されていない。モックアップ104は実験装置であり、本測定以外にも他の種々実験を行う。よって、コイルばね53及び粘性ダンパー55へのアクセス及び測定時の視認性の確保等のため、図における左側には擁壁35Aを形成していない。
(測定方法)
次に測定方法について説明する。
コンクリートマス75の上に、大型加振機200及び小型加振機210を設置する。大型加振機200は、正弦波加振、本測定では3.06Hzで加振を行い、その状態を維持したまま小型加振機210で0.5Hz~20HzまでのSweep加振を行った。
(測定結果)
次に測定結果について説明する。
図7は、大型加振機200の出力を調整してコンクリートマス75の振幅を順次大きくしていったときの、コンクリートマス75のアクセレランス(振動特性)を示している。なお、「アクセレランス」とは、小型加振機210で加振する0.5Hz~20Hzの振動数範囲を対象に、各振動数の正弦波加振を1kNの加振力で実施したときに得られるコンクリートマス75の応答加速度と等価なものである。
図7のグラフ線R1、R2、R10、R20、R45、R120、R290、R620は、下記の条件である。
R1 :振幅0μm(加振無し)
R2 :拘束機構無し(拘束機構設置前)
R10 :振幅10μm
R20 :振幅20μm
R45 :振幅45μm
R120:振幅120μm
R290:振幅290μm
R620:振幅620μm
なお、前述のように、大型加振機200で加振した正弦波の周波数は、3.06Hzである。この周波数3.06Hz付近では、大型加振機200の由来の振動成分が支配的になり、小型加振機210の由来の振動成分が相対的に極小化される。よって、周波数3.06Hz付近は、著しく信頼性が低いデータとなり、有効なデータが得られない。したがって、図7では、2.5Hz~3.5Hzの結果を削除して図示している。
この図7のグラフより、アクセレランスに関してはコンクリートマス75の変位に対して顕著な振幅依存性があることがわかる。
具体的には、大型加振機200の出力が大きくなるに従って、言い換えるとコンクリートマス75の振幅が大きくなるに従って、拘束機構100が無い場合(「R2:拘束機構無し(拘束機構設置前)」)、すなわち本来のコンクリートマス75の防振性能に近づくことが確認できる。したがって、拘束機構100を設けても縦ノリ(跳躍着地)を行った場合は、防振性能が発揮されることが判る。
一方で、大型加振機200の出力が小さい場合、言い換えるとコンクリートマス75の振幅が10μm~20μmの場合(R10及びR20)は、歩行や小走り等の加振力の小さい動作をする場合の振動特性に相当する。そして、前述した本来のコンクリートマス75の防振性能に近い振幅620μm(R620)のピーク振動数1.13Hzの値に対して、コンクリートマス75の振幅10~20μmの1.13Hzの値は、数十分の一程度の応答に抑えられている。したがって、拘束機構100を設けることで、歩行や小走り等の加振力の小さい動作で生じるコンクリートマス75の振動を抑制可能であることが確認できる。
より具体的に説明すると、「R1:振幅0μm(加振無し)加振なし」と、変位振幅が小さい「R10:振幅10μm」及び「R20:振幅20μm」では、拘束機構100の摩擦が大きく影響し、「R2:拘束機構無し(拘束機構設置前)」で1.25Hzであった低振動数防振床の固有振動数が6.3Hz~12.5Hzへと向上し、5Hz以下でのアクセレランスが小さくなっている。
また、変位振幅が大きくなるほど拘束機構100の摩擦の影響は小さく、5Hz以下のアクセレランスは大きくなっている。例えば、「R620:振幅620μm」では、「R2:拘束機構無し(拘束機構設置前)」と比べて、固有振動数が1.13Hzと約10%程度低く、アクセレランスのピーク値が約30%程度低くなっている。
図8は、図7の1.25Hz、1.6Hz、2.0Hz及び2.5Hzの振動数におけるコンクリートマス75の変位振幅とアクセレランス低減倍率との関係を示すグラフである。具体的には、変位振幅を与えたときの値に対する「R1:振幅0μm(加振無し)加振なし」の値の比率をアクセレランス低減倍率として求めたものである。なお、1.25Hz、1.6Hz及び2.0Hzは、歩行を想定したピッチである。2.5Hzは、小走りを想定したピッチである。
図8より、変位振幅が大きくなるほど及び振動数が低くなるほど、アクセレランス低減倍率が低くなっていることが判る。具体的には、「R620:振幅620μm」は、「R1:振幅0μm(加振無し)加振なし」に対して、アクセレランスは、1.25Hzで約1/32、1.6Hzで約1/13、2.0Hzで約1/6、そして2.5Hzで約1/2まで低減されており、加振力が大きい場合は、防振性能を発揮することが確認できる
また、「R10:振幅10μm」及び「R20:振幅20μm」では、いずれの振動数についても「R1:振幅0μm(加振無し)」と大きな差がなく、加振力が小さい場合は、コンクリーマス75が拘束されていることが確認できる。
以上の結果から、防振床構造102は、拘束機構100が鉛直方向の移動を摩擦によって拘束しているので、防振床70の上の人が歩行等の加振力の小さい動作をした際の防振床70の揺れが抑制され、防振床70の上にいる人に対して、不快と感じる振動、感覚的に表現すると”ふわふわ感”を感じさせない効果があることが確認された。一方、防振床70の上の人が跳躍着地、所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作をした際には、拘束機構100の鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れて、防振装置50の防振性能が発揮される。これにより、建築物10の周辺の建物300、302に伝播する振動が低減することが確認された。
(測定結果からの概算例)
次に、図6(A)及び図6(B)に示すモックアップ104における拘束機構100の最大摩擦力となる加振力Tであるコンクリートマス75の鉛直Qと、垂直抗力Nと、コンクリートマス75の上を二人が歩行したとき加振力Tと、について概算した例を説明する。
図7において、「R20:振幅20μm」の結果までを「R1:振幅0μm(加振無し)」と略同等と見做した場合、大型加振機200による3.06Hzでの加振で20μmの振幅があることから、
「振幅×(2πf)×2」により加速度を算出すると、
加速度=20[μm]×(2π×3.06[Hz])×2=0.0074[m/s2]
コンクリートマス75の重量は60[t]であるから、コンクリートマス75の鉛直力Qは、
鉛直力Q=60[t]×0.0074[m/s]=0.444[kN]
動摩擦係数μは、0.06であるので。
垂直抗力N=0.444[kN]/0.06=7.4[kN]となる。
なお、コンクリートマス75の上を実際に二人で歩行してもコンクリートマス75は拘束されており、”ふわふわ感”を感じなかった。
二人が歩行したとき加振力Tは、平均体重を60[kg]とし、αを0.4とすると、
√2×(60kg×9.8)×0.4≒0.333[kN]
となる。
コンクリートマス75の鉛直力Qの0.444[kN]を静摩擦による抵抗力の上限値、すなわち最大摩擦力Fとなる加振力Tと見做せば、コンクリートマス75の上を二人が歩行したときの加振力Tである0.333[kN]は、それを下回るため、コンクリートマス75の上を実際に二人で歩行しても”ふわふわ感”を感じなかったことと合致する。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、拘束機構100は、第二摩擦プレート162を有する筐体150及び充填材Jを外周部30A側に設け、第一摩擦プレート110を防振床70側に設けたが、これに限定されない。第二摩擦プレート162を有する筐体150及び充填材Jを防振床70側に設け、第一摩擦プレート110を外周部30A側に設けてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、スラブ30の外周部30Aの側壁30Bと防振床70の外周部70Aの側壁70Bとの間は、拘束機構100が設けられているが、これに限定されない。例えば、スラブ30の底版36と防振床70との間に設けてもよい。この場合、例えば、スラブ30の底版36及び防振床70に、図6(B)に示すモックアップ104のストッパー機構78の突出部77及び規制部79のような部材を設け、これら突出部77と規制部79との間に拘束機構100を設ける等すればよい。
拘束機構100は、第一摩擦プレート110と、第二摩擦プレート162を有する筐体150及び充填材Jと、を有して構成されていたが、これに限定されない。防振床70の上の人が歩行等の加振力の小さい動作をした際には摩擦によって防振床の鉛直方向の移動が拘束され、防振床の上の人が所謂縦ノリ等の加振力が大きい動作をした際には摩擦が切れて防振装置が防振性能を発揮する機構であれば、どのような機構であってもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
10 建築物
32 構造体
50 防振装置
70 防振床
75 コンクリートマス
100 拘束機構
102 防振床構造
104 モックアップ
110 第一摩擦プレート
150 筐体
152 第一筐体
160 第二筐体
162 第二摩擦プレート
J 充填材

Claims (3)

  1. 構造体に設置された防振装置に支持された防振床と、
    前記構造体と前記防振床との間に設けられ、前記防振床の前記構造体に対する水平方向の移動を拘束すると共に鉛直方向の移動を拘束する摩擦が切れると前記防振装置が防振性能を発揮する拘束機構と、
    を備えた防振床構造。
  2. 前記拘束機構は、
    前記構造体又は前記防振床の一方に鉛直方向に沿って設けられた第一摩擦プレートと、
    前記構造体又は前記防振床の他方から水平方向に突出する第一筐体と、
    前記第一筐体にスライド可能に設けられ、先端部の第二摩擦プレートが前記第一摩擦プレートに面接触した状態で前記第一筐体に接合された第二筐体と、
    前記第一筐体内及び前記第二筐体内に充填されて硬化し、前記第一摩擦プレートと前記第二摩擦プレートとの面接触状態を保持する充填材と、
    を備えた請求項1に記載の防振床構造。
  3. 前記拘束機構は、
    前記摩擦が切れる加振力を前記防振床の鉛直力であるQ(N)とし、
    前記防振床の上の人の歩行によって発生する加振力をT(N)とし、
    前記防振床の上の人の跳躍着地によって発生する加振力をT2(N)とすると、
    2>Q≧T
    が成立するように設定されている、
    請求項1又は請求項2に記載の防振床構造。
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