JP2021505800A - 上昇及び下降することができる乗物のサイドウィンドウのための保持要素 - Google Patents

Abstract

本発明は、以下を含む、乗物のサイドウィンドウ（Ｉ）のための保持要素（１）であって：− サイドウィンドウ（Ｉ）の第一の面（Ｉａ）に固定するための、第一の固定部分（３．１）及びこれに連結した第一の接触部分（２．１）、− サイドウィンドウ（Ｉ）の第二の面（Ｉｂ）に固定するための、第二の固定部分（３．２）及びこれに連結した第二の接触部分（２．２）、ここで、第一の固定部分（３．１）と第二の固定部分（３．２）とが、ヒンジ部分（４）を介して、接触部分（２．１、２．２）の反対側で互いに接続し、それによって、第一の接触部分（２．１）と一緒になった第一の固定部分（３．１）と、第二の接触部分（２．２）と一緒になった第二の固定部分（３．２）とが、互いに対して旋回することができるようになっており、これによって保持要素（１）を開いたり閉じたりすることができ、閉じた状態で、− 固定部分（３．１、３．２）が、互いに表面接触しており、かつ一緒になって乗物に固定するために適しており、かつ− 接触部分（２．１、２．２）が、サイドウィンドウ（Ｉ）の２つの対向している面（Ｉａ、Ｉｂ）に固定するために適している、乗物のサイドウィンドウ（Ｉ）のための保持要素（１）に関する。

Description

本発明は、乗物のサイドウィンドウのための保持要素、この保持要素を備え付けたサイドウィンドウ、並びにこのサイドウィンドウの製造方法及び使用に関する。

動力乗物は、典型的には、開閉式のサイドウィンドウを有している。このようなサイドウィンドウは、実質的に鉛直変位（すなわち、上昇及び下降）によって動かすことができるサイドペインを具備しており、それによって、サイドウィンドウを開けたり閉めたりすることができるようになっている。ウィンドウを動かすことができるようにするために、これを乗物本体の内部の機構に接続する。

上昇及び下降機構にサイドウィンドウを接続するために、サイドウィンドウは、一つ又は複数の孔を、その下縁の領域に具備することができる。あるいは、下縁の領域で、一つ又は複数の保持要素をサイドウィンドウに取り付けることもでき、特に接着することもできる。このような保持要素は、通常は、サイドウィンドウの２つの面に接着する２つの接触部分を有する実質的にＹ字型の断面を有し、かつ共通の固定部分が、これらの接触部分に段を介してそれぞれ連結している。固定部分は、サイドウィンドウの下縁に接続され、かつ上昇及び下降機構に接続するための孔を備えている。このようなＹ字型の保持要素は、例えば、欧州特許出願公開第１ ９３６ ０８８ Ａ１号公報、欧州特許出願公開第１ ９３６ ０８７ Ａ１号公報、欧州特許出願公開第１ ９３５ ５５７ Ａ１号公報、欧州特許出願公開第１ ９３５ ５５８ Ａ１号公報、欧州特許出願公開第１ ７４５ １９０ Ａ１号公報、欧州特許出願公開第１ ２９９ ６１１ Ａ２号公報、及び独国特許出願公開第４ ３４０ ３６３ Ａ１号公報から公知である。

独国特許第１ １９２ ５５１ Ｂ号明細書は、実質的にＹ字型の保持要素を開示しており、ここで、この保持要素は、いわば２つの部分に分割されており、各部分が、接触部分に連結し、かつこれらの部分は、接続部分を介して接触部分の反対側で互いに連結している。この構造は、ペイン面に対して接触部分を押し付けるある一定のスプリング部分を作り出している。しかしながら、その他の点では、この保持要素は本質的に剛性である。類似の保持要素は、特開昭５７−１８７４８２号公報からも公知である。

独国実用新案第２０１０１０５７ Ｕ１号は、二部分保持要素を開示しており、ここでは、ペインとは反対側を向いた端で２つの部分を互いに挿入し、ヒンジ状の連結を作り出している。保持要素を、ペイン上へクランプすることによって固定し、ここで、一方の部分の接触部分は、ペインの下縁に近い孔を通って案内され、かつ他方の部分の凹部にはめ込まれるピン状の突出部分を有している。

典型的には、従来技術のＹ字型保持要素は、サイドウィンドウの下縁に配置されている。一つ目の従来技術の設計では、保持要素の開口した間隙に接着剤を導入した後で、保持要素をサイドウィンドウの下縁に配置し、そしてすぐに、通常はこの保持要素をクランプ様式でペインに押し付ける。その結果、過剰な接着剤が、ペインの下縁と保持要素との間で、制御されずに膨出する。二つ目の従来技術では、保持要素をサイドウィンドウに配置した後で接着剤を導入する。特に、接触部分における注入口を通じて接着剤を注入する。接触部分とペイン表面との間の中間領域から接着剤が漏れ出ることを防止するために、接触部分の側端部に寄り掛かる密封装置を使って、この中間領域を密封する必要がある。次いで、この中間領域全体を充填し、かつ硬化させるまで接着剤を注入する。密封要素の使用は、保持要素の取り付けを複雑にする。

取り付けた保持要素の方向性は、縁領域のペインの湾曲に本質的に依存し、これは、その部分に対して、製造関連のある一定の変化を受ける。固定部分がペインの下縁からレバー状に延在する結果、上昇及び下降機構に接続する位置も変化を受け、この位置はしばしば、意図した位置から著しく外れることがある。このことは、製品の組み立てを不可能にする。

したがって、乗物のサイドウィンドウのための改善した保持要素、及び上述した不利益を克服したその取り付けのための改善した方法が求められている。本発明の目的は、このような改善した保持要素及び方法を提供することにある。この保持要素は、できるだけ素早くかつ（特に密封装置を使用することなく）容易に取り付けることができるものでなければならず、位置決めについて高い順応性をもたらすことができ、かつサイドウィンドウにしっかりと安定して接着することができるものでなければならない。

本発明の目的は、請求項１に従う保持要素によって本発明に基づき達成される。有利な実施形態は、従属請求項から明らかである。

本発明による乗物のサイドウィンドウのための保持要素は、サイドウィンドウの第一の面に固定するために設けられた、第一の固定部分及びこれにしっかりと連結した第一の接触部分を含む。また、この保持要素は、サイドウィンドウの第二の面に固定するために設けられた、第二の固定部分及びこれにしっかりと連結した第二の接触部分を含む。この２つの固定部分は、対応する接触部分とは反対側に面した２つの固定部分の縁にそれぞれ固定されたヒンジ部分を介して互いに連結している。言い換えれば、第一の固定部分及び第二の固定部分は、ヒンジ部分を介して、接触部分の反対側で互いに連結している。ヒンジ部分は、曲げることができ、かつ第一の固定部分と第一の接触部分とからなる保持部分の部分が、第二の固定部分と第二の接触部分とからなる保持部分の他方の部分に対して旋回できるようにしている。第一の接触部分と一緒になった第一の固定部分と、第二の接触部分と一緒になった第二の固定部分とが、互いに対して旋回することができるので、保持要素は、開いたり閉じたりすることができる。閉じた状態で、これらの固定部分は互いに表面接触しており、かつ一緒になって乗物に固定するために適している。したがって、この２つの個々の固定部分は、いわば共通の固定部分を形成し、この共通の固定部分を介して、乗物本体内の上昇及び下降機構に保持要素を接続することができる。２つの接触部分は、閉じた状態で、サイドウィンドウの２つの対向している面に固定するために適しており、かつこの目的のために互いに向かい合って配置されている。

したがって、閉じた状態で、本発明による保持要素は、従来技術の保持要素から基本的に既に公知でもあるように、おおよそＹ字型の断面を有している。しかしながら、従来技術の保持要素とは対照的に、本発明による保持要素は、全体で剛性の構成要素ではなく、組み立て前に別々に開いたり又は折り曲げたりすることができる。例えば、開いた状態で、サイドウィンドウに接着することを意図した接触部分の表面は、接着剤の一部を具備することができる。したがって、後続する接着剤の注入は不要である。サイドウィンドウの下縁の周りで保持要素を閉じることによって、保持要素をサイドウィンドウに取り付ける。接着剤の部分の適切な寸法決め及び位置決めによって、接触部分とペイン表面との間の中間領域から接着剤が漏れ出すことがなく、それによって、中間領域の密封を省略することができるようになっている。加えて、このタイプの組み立ては、保持要素の位置付けの観点から高度の順応性を保証する。したがって、例えば、閉じる前に保持要素を自動的に配置し、それによって、共通の固定部分の相対的な位置を、所望した理想的な位置に対応させる一方で、接着剤の適切に厚い部分によって、ペインの湾曲における任意のずれを補償するようになっている。

あるいは、本発明による保持要素を、従来技術の保持要素から出発して、乗物のサイドウィンドウのための保持要素として記述することができ、この保持要素は、サイドウィンドウの下縁の領域でサイドウィンドウの反対側にある主面に固定するための２つの向かい合った接触部分と、両方の接触部分に（典型的には段部分を介して）連結する固定部分とを含む。従来技術のＹ字型保持要素とは対照的に、固定部分は硬いものではないが、長手方向に２つに分割されていて、この固定部分のそれぞれの部分が１つだけの接触部分と連結している。固定部分の２つの部分は、ヒンジ部分を介して互いに連結しており、このヒンジ部分は、対応する接触部分とは反対側を向いた２つの固定部分のその縁にそれぞれ固定されている。それぞれの接触部分を有する２つの固定部分のサブセクションを、回転軸（旋回中心）としてのヒンジ部分の周りで離して曲げることができ、その結果、保持要素を開くことができる。

本発明の意味するところにおいて、保持要素の開いた状態及び閉じた状態は、外力の作用なしで安定である。したがって、開いた状態から閉じた状態への、及びその逆の状態への移行は、外力を必要とする。例えば、内部の復元力の結果として、外力の作用なしで、弾性の保持要素が曲がり、元の状態に戻ることは、本発明の意味するところの開いた状態ではなく、かつ本発明の場合のように、接着剤の通常の適用をすることはできない。特に好ましくは、保持要素は、非破壊的に開いた状態にすることができ、この状態で接触部分は、一つの平面上に配置されている。したがって、接触部分を上に向けて、支持体の上に保持要素を置き、接着剤を適用することができる。

第一の固定部分及び第二の固定部分は、好ましくはそれぞれに、孔（取り付け孔）を有しており、ここで、第一の固定部分の孔と第二の固定部分の孔は、保持要素が閉じた状態で合致しており、それによって、通路が保持要素を通じて延在するようになっている。互いに寄り掛かる２つの固定部分によって形成される共通の固定部分を通じたこの通路は、乗物に、特に、サイドウィンドウの上昇及び下降機構に、保持要素を固定するために設けられる。理想的には、閉じた状態で、この２つの孔は同軸上にある。

閉じた状態で、固定部分の孔及びその結果として生じる保持要素を通じた通路は、通常は実質的に円形であり、ほとんどの従来技術の固定システムは、これについて設計されている。孔が同軸上にあるとき、通路の大きさは、孔が両方とも同じ大きさである場合は、孔の大きさに相当し、あるいは２つの孔が異なる大きさを有する場合は、より小さい穴の大きさに相当する。しかしながら、個々の場合の必要条件に応じて、孔及び通路は、任意のその他の形状を有することもでき、例えば、楕円形状でも、又は不規則な形状であってもよい。通路の大きさは、通常、少なくとも２０ｍｍ^２、特に２０ｍｍ^２〜２０００ｍｍ^２、好ましくは８０ｍｍ^２〜７００ｍｍ^２である。通路は、理想的にはおおよそ円形であり、その直径は、５ｍｍ〜５０ｍｍ、好ましくは１０ｍｍ〜３０ｍｍである。

２つの固定部分は、例えば、それらが接着剤の層によって一緒に接着しているときに、閉じた状態で、直接的又は間接的に互いに接することができる。好ましくは、２つの固定部分は、互いに直接接触する。好ましい実施形態では、２つの固定部分は、一緒に固定される。したがって、有利には、保持要素の安定性及び位置精度は、さらに向上する。このために、第二の固定部分が孔を具備し、この孔の中に、第一の固定部分に配置したガイド要素又はラッチ要素、例えばマンドレル又は係合フックを挿入する。有利な実施形態では、固定部分の取り付け孔をラッチングのために使用することもできる。この場合に、第一の固定部分の孔は、その周囲に又は断続的に、少なくとも一つのガイド要素によって囲まれており、保持要素を閉じた状態で、ガイド要素を、第二の固定部分の孔に挿入するか又は第二の固定部分の孔を通じて案内する。少なくとも一つのガイド要素は、好ましくは、マンドレルとして又は係合フックとして実施される。ガイド要素は、好ましくは、第二の固定部分の孔の周囲の側端部に寄り掛かって置かれており、それによって、固定部分の互いに対する側方変位を防止する。係合フックの実施態様では、固定要素は、閉じた状態でさらに安定化されている。

典型的には、接触部分と固定部分とは、同じ材料厚さを有している。この場合、設置状態では、接触部分がサイドウィンドウによって互いから離して置かれ、かつ固定部分が互いに接しているので、少なくとも一つの固定部分は、対応する接触部分に対してオフセットしていなければならない。このオフセットは、好ましくは、段部分によって作り出され、この段部分を介して、少なくとも一つの接触部分とそれに対応する固定部分とが、互いに連結する。オフセットを作り出すために、段部分と接触部分との間の角度、及び段部分と固定部分との間の角度は、０°を超え、かつ１８０°未満であり、典型的には４５°又はこれを超え、かつ１８０°未満である。特に好ましい実施態様では、接触部分は両方とも、それぞれ段部分を介して、各々に対応する固定部分に連結しており、ここで、この段部分が、接触部分を固定部分に対してオフセットさせている。特に、２つの段部分は、特に長さ及び隣接する部分に対する角度について、同一の形状を有する。したがって、保持要素の第一のサブ要素（第一の固定部分、第一の段部分、及び第一の接触部分）と、保持要素の第二のサブ要素（第二の固定部分、第二の段部分、及び第二の接触部分）とは、互いに鏡面対称である。このことは、設置位置において、接触部分間で及びサイドウィンドウの面で、固定部分が中心に配置されるという利点を有し、これは、重心の位置及び乗物本体に必要とされるスペースの観点から有利である。

保持要素は、好ましくは、金属、金属合金、又はプラスチックでできており、特に好ましくは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、あるいは、ガラス繊維、ガラスビーズ、若しくは類似の補強材を有するか又は有さない熱可塑性プラスチック、及び追加のプラスチックを有するそれらのブレンドでできている。適切な熱可塑性プラスチックは、例えば、ポリアミド（ＰＡ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、又はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）である。保持要素は、最も特に好ましくは、アルミニウム、ＰＥＴ、又はポリアミド６６でできている。適切な材料は、例えば、Ｔｅｃｈｎｙｌ、Ｚｙｔｅｌ、Ｕｌｔｒａｍｉｄ、Ｓｃｈｕｌａｍｉｄ、Ｕｌｔｒａｄｕｒ、Ａｒｎｉｔｅ、Ｄｕｒａｎｅｘ、Ｃｒａｓｔｉｎ、Ｂｅｒｇａｄｕｒ、Ｐｏｃａｎ、又はＧｒｉｖｏｒという商品名の下で入手することができる。上述した材料の組み合わせも想定でき、例えば、接触部分及び固定部分がプラスチックでできていて、アルミニウムでできたヒンジ部分を介して互いに連結しているか、又はその逆も同様である。しかしながら、好ましくは、保持要素の全体が同じ材料でできている。保持材料がプラスチックでできている場合、このプラスチックは、好ましくは、ガラス繊維で強化されているか、又は炭素繊維で強化されている。保持要素は、好ましくは、ワンピースとして実施されている。しかしながら、基本的に、マルチパート設計も可能であり、この場合、個々のサブ要素を、例えば、接着、クランピング、ネジ留め、リベット打ち、はんだ付け、又は溶着によって、互いに接続する。フレームのないサイドウィンドウについては、金属又は金属合金でできた保持要素が、その大きな安定性の理由から好ましい。フレームを含むサイドウィンドウについては、プラスチックでできた保持要素が、その重量が軽い理由から好ましく、ここでは、金属の保持要素に比較したプラスチックの保持要素の低い安定性を、ウィンドウを閉めた状態でフレームの安定化効果によって補償する。

接触部分及び固定部分は、典型的には板状であり、その他の形状も想定可能であるが、実質的に矩形である。固定部分及び接触部分、並びに任意に段部分の材料厚さは、好ましくは１ｍｍ〜１０ｍｍ、特に好ましくは２ｍｍ〜５ｍｍ、例えば３．５ｍｍである。これは、過剰なスペース及び過剰な材料を必要とせずに良好な安定性をもたらす。好ましくは、接触部分、固定部分、及び任意に段部分は、同一の材料厚さを有する。

接触部分、固定部分、及び任意に段部分の幅は、好ましくは１ｃｍ〜１００ｃｍ、特に好ましくは２ｃｍ〜１５ｃｍ、例えば１０ｃｍである。これは、良好な安定性をもたらし、特に、接触部分は、サイドウィンドウへの接合のために、十分に大きな接着表面を与える。

接触部分の長さ（又は高さ）は、好ましくは、１ｃｍ〜６ｃｍ、特に好ましくは２ｃｍ〜４ｃｍ、例えば３ｃｍである。これは、良好な安定性をもたらし、特に、接触部分は、サイドウィンドウへの接合のために、十分に大きな接着表面を与える。接触部分の面積は、好ましくは５ｃｍ^２〜５００ｃｍ^２、特に好ましくは１０ｃｍ^２〜５０ｃｍ^２、例えば３０ｃｍ^２である。

固定部分の長さ（又は高さ）は、好ましくは、２ｃｍ〜１５ｃｍ、特に好ましくは４ｃｍ〜１０ｃｍ、例えば８ｃｍである。この範囲で、固定部分は、サイドウィンドウを上昇しかつ下降するための通常の機構に接続するために、特に有利に適している。段部分の長さは、例えば、２ｍｍ〜１０ｍｍである。

ヒンジ部分の材料厚さは、典型的には、その他の部分のものよりも著しく薄く、それによって、必要な屈曲性を保証するようになっている。ヒンジ部分の材料厚さは、好ましくは、０．１ｍｍ〜２．５ｍｍ、特に好ましくは０．１ｍｍ〜１ｍｍ、最も特に好ましくは０．２ｍｍ〜０．５ｍｍ、例えば０．２５ｍｍである。ヒンジ部分の長さは、例えば、５ｍｍ〜１５ｍｍである。ヒンジ部分の幅は、好ましくは、固定部分の幅の少なくとも６０％、特に好ましくは少なくとも８０％であり、それによって、折りたたみの間の十分な安定性及び位置決めの精度を達成するようになっている。最も特に好ましくは、ヒンジ部分の幅が、固定部分の幅に相当する。

本発明の意味するところにおいて、「幅」とは、設置位置でサイドウィンドウの下縁に沿った寸法を指す。「長さ」（又は高さ）は、それに垂直な寸法であり、設置位置でサイドウィンドウの面に実質的に平行に配置される寸法を意味する。サイドウィンドウに接触する接触部分の接触面積は、例えば、接触部分の長さと幅の積である。材料厚さは、設置位置におけるサイドウィンドウの面に垂直な寸法である。

固定部分と接触部分とは平面であってよい。したがって、サイドウィンドウの湾曲は、接着剤の層によって補償される。しかしながら、あるいは、一方では接触部分が、他方では固定部分が、互いに相補的に湾曲していてもよく、したがって、例えば、サイドウィンドウの湾曲に適合しかつそれを再現することができ、かつ固定部分の場合は、その湾曲に続いていてもよい。

本発明はまた、保持要素を有するサイドウィンドウを含む。サイドウィンドウは、乗物のサイドウィンドウとして、乗物内部を外部環境から隔てることを目的としている。サイドウィンドウは、上縁、下縁、前端、及び後端を有する。サイドウィンドウは、第一の面（主面）と、第一の面と反対側の第二の面（主面）とを有し、これらの間に上述した縁が延在している。本発明による少なくとも一つ保持要素が、下縁の領域でサイドウィンドウに取り付けられている。これは、保持要素が、サイドウィンドウの下縁の領域、及びそれに隣接する面の領域を覆うことを意味する。接着剤によってなされる接着結合によって、保持要素の第一の接触部分は、サイドウィンドウの第一の面に接着して固定され、かつ第二の接触部分は、サイドウィンドウの第二の面に接着して固定される。典型的には、サイドウィンドウの下縁は、２つの保持要素を具備する。

保持要素は、好ましくは、もっぱら接着剤によってサイドウィンドウに接着して固定される。サイドウィンドウは、特に、クランプ接続のために保持要素の突起物やピンを通して案内する一つ又は複数の孔又は穿孔を具備していない。したがって、接触面は、そのような突起物やピンのための局所的な突出物、ピン、又はレセプタクルのない、好ましくは平面であるか、又は湾曲した面の形状である。

「上縁」とは、設置位置で上方を指すサイドウィンドウの側端部である。「下縁」とは、設置位置で地面に向かう下方を指す側端部である。「前端」とは、進行方向の前方を向いた側端部である。「後端」とは、進行方向の後方を向いた側端部である。

本発明によるサイドウィンドウは、好ましくは開閉式であり、特に、動力乗物の、特に乗用車の、上昇させることができかつ下降させることができるサイドウィンドウである。これは、自動車本体へのサイドウィンドウの実質的な鉛直変位によって、開けることができかつ再び閉めることができるサンドウィンドウのペインを意味する。典型的には、このようなウィンドウは、下縁の領域に取り付けられた複数の、特に２つの保持要素を有し、ここで、これらの保持要素は、ウィンドウを開けた状態で、また、閉めた状態でも、乗物本体の中に隠れている。各保持要素は、乗物本体、典型的には乗物のドアに配置された上昇機構に接続するために設けられた通路を有し、それによって、特に、上昇機構の固定部分、例えば固定ピンを、この通路に挿入することによってペインを固定するようになっている。サイドウィンドウは、フレームなしでもフレーム付きでもよい。フレーム付きのサイドウィンドウは、ウィンドウの開口部の周りに完全な本体フレームを有し、それによって、閉めた状態で、サイドウィンドウのすべての側端部が、乗物本体内で重なり合い、すなわち、上昇したときに、サイドウィンドウは、いわば本体フレームの中に案内される。フレームなしのサイドウィンドウの場合は、そのような本体フレームは存在しない。その代わりに、サイドウィンドウの上縁、前端、及び後端が、閉めた状態で露出する。

第一の接触部分を、第一の接着剤層を介してサイドウィンドウの第一の面に固定し、第二の接触部分を、第二の接着剤層を介してサイドウィンドウの第二の面に固定する。各接着剤層の厚さは、好ましくは０．５ｍｍ〜５ｍｍであり、特に好ましくは１ｍｍ〜４ｍｍである。従来技術の保持要素は、典型的には、それぞれ約１ｍｍの厚さの接着剤層を介してサイドウィンドウに固定されている。有利な実施形態では、より厚い接着剤層を使用し、好ましくは、２ｍｍ〜４ｍｍの厚さの接着剤層を使用する。これは、サイドウィンドウの縁の湾曲の変化を、より厚い接着剤層でより良く補償することができるという利点を有する。このため、保持要素の精密な位置付けをより自由に選択することができ、それによって、サイドウィンドウの縁部の湾曲とは関係なく、所望した位置により正確に固定部分を配置することができるようになっている。したがって、上昇機構に固定するための通路の位置決めの観点から、連続する製造の範囲内での変動を低減することができる。接着剤層の厚さは、閉じた状態での接触部分の互いからの距離（典型的には段部分の設計によって定まる距離）、及びサイドウィンドウの厚さによって定まり、これは、特定のタイプのサイドウィンドウについての保持要素の設計時に、それに応じて考慮する必要がある。

好ましい実施形態では、接着剤は高弾性接着剤である。接着剤の弾性率は、好ましくは、少なくとも２０ＭＰａであり、特に好ましくは少なくとも１５０ＭＰａ、特に少なくとも３００ＭＰａであり、最も特に好ましくは４００ＭＰａ〜６００ＭＰａである。これは、保持要素へのサイドウィンドウの接続について特別な安定性を保証する。この利点は、フレームなしのサイドウィンドウの場合に特に意味があり、フレームなしのサイドウィンドウの場合は、サイドウィンドウと保持要素との間の接続が特に応力を受け、例えば、風によって引き起こされる後端の方向に作用する力によって応力を受ける。適切な高弾性接着剤は、例えば、ポリウレタン、アクリレート、又はエポキシの接着剤である。

有利な実施態様では、接着剤は速硬化性接着剤であり、それによって、さらなる安定化手段なしで直接型から取り出すことができるようになっている。速硬化性は、２つの成分を混合することによって達成することができる。別の方法は、外部からのエネルギー、例えば熱又は光を導入することによって硬化させることである。二成分型接着剤のいわゆる「オープンタイム」は、０．５分〜１０分、好ましくは１分〜５分である。十分な内部強度に達するまでの接着剤の硬化時間又は凝結時間は、１０分未満であり、好ましくは１分〜５分である。これは、サイドウィンドウに対する保持要素の位置を素早く確定し、それによって、保持要素の取り付け後の安定化（固定化）手段を省略することができるという利点を有する。しかしながら、接着剤を遅硬化性接着剤にすることもできる。

サイドウィンドウは、乗物のウィンドウについて一般的であるように、好ましくは湾曲しており、それによって、内部側の面が凹面であり、外部側の面が凸面であるようになっている。「外部側の面」は、設置位置で外部環境に面した表面を指す。「内部側の面」は、設置位置で内部に面した表面を指す。

一実施形態では、サイドウィンドウは、単層ペイン安全ガラス（ＥＳＧ）である。この場合に、サイドウィンドウは、熱的に又は化学的に強化した（テンパリングした）単層ガラスペインでできている。ガラスペインの厚さは、好ましくは２ｍｍ〜５ｍｍである。

別の実施形態では、サイドウィンドウは、積層ペイン（ＶＳＧ：積層安全ガラス）である。積層ペインは、互いに熱可塑性中間層を介して接合した第一のガラスペインと第二のガラスペインとを含む。これらのペインは、外部ペイン及び内部ペインとも呼ばれており、内部ペインは、設置位置で内部に面し、かつ外部ペインは、設置位置で外部環境に面している。保持要素を接合するサイドウィンドウの露出した面は、中間層とは反対側の個々のペインの表面であり、すなわち、外部ペインの外部側の面と、内部ペインの内部側の面である。外部ペイン及び内部ペインは、好ましくは、１ｍｍ〜５ｍｍの厚さを有し、ここで、２つのペインの厚さは、同じであっても（対称ペイン）、異なっていてもよい（非対称ペイン）。中間層の厚さは、好ましくは、０．３ｍｍ〜２ｍｍ、特に好ましくは０．５ｍｍ〜１ｍｍである。中間層は、典型的にはポリマーフィルムでできており、好ましくは、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、エチレンビニルアセテート（ＥＶＡ）、若しくはポリウレタン（ＰＵ）でできているか、又はこれらをベースとするものである。乗物における熱的快適性を向上させるために、中間層は、典型的には少なくとも３つの層を含むノイズ低減ポリマーフィルムでできていてよく、ここで、このフィルムの中間の層は、例えば、可塑剤含量が異なる結果として、それを囲む外側の層よりも高い可塑性又は弾性を有する。

一つの又は複数のガラスペインは、ウィンドウペインに通常であるように、好ましくは、ソーダ石灰ガラスでできている。ガラスペインは、透明かつ無色であってよいが、薄く着色していても、曇っていても、あるいは着色していてもよい。

本発明は、また、車体内に配置した開閉式のサイドウィンドウのための上昇機構と、本発明によるサイドウィンドウとを有する乗物を含み、ここで、この上昇機構は、好ましくは、固定部分を通じた通路内のホルダーを介して、保持要素の固定部分に取り付けられている。

本発明は、乗物用の保持要素を有するサイドウィンドウを製造する方法も含む。本発明による少なくとも一つの保持要素、並びに第一の面、その反対側の第二の面、及び下縁を有するサイドウィンドウを提供する。保持要素を開いた状態、すなわち、折り曲げていない状態で、接着剤を接触部分に適用する。より正確には、サイドウィンドウに接続するために設けられ、かつ保持要素を閉じた状態で互いに向き合う接触部分の接着面に、接着剤を適用する。次いで、保持要素を閉じ、すなわち、サイドウィンドウの下縁の領域の周りで折りたたむ。これは、保持要素を閉じ、それによって、サイドウィンドウの第一の面の領域、サイドウィンドウの第二の面の領域、及びこれらの面の上記領域の間に延在する下縁の領域を、接触部分の間に配置することを意味する。接着剤を介して、第一の接触部分を第一の面に接合し、かつ第二の接触部分を第二の面に接合する。

本発明の方法の好ましい実施態様では、サイドウィンドウに接続する接触部分の接着面の中央部にのみ接着剤を適用する。接着剤は、接触部分の側端部から少なくとも２ｍｍ、好ましくは、２ｍｍ〜１０ｍｍ離れた距離を有する。したがって、接着面の周囲の縁領域は接着剤がないままである。保持要素をサイドウィンドウに取り付けたとき、接着剤は、接触圧力を受けて、接着面の上に分布する。接着剤の量を適切な寸法にすることで、それぞれの接触部分とこれに対応するペイン面との間の中間領域から接着剤が漏れ出ることがなく、又はわずかしか漏れ出さない。この場合に、接着剤が漏れ出すのを防止するために、この中間領域を密封する必要はない。したがって、好ましくは、中間領域を密封する手段、例えば、接触部分の周りに密封要素を一時的に適用する等の手段を何らとらない。接着剤の適切な量は、ペイン面と接触部分との間の意図した距離、及び接着面の大きさに依存し、かつ簡易な計算又は予備的試験によって当業者が決定することができる。開いた状態で接着面に到達でき、かつ密封要素を用いて続いて接着剤を注入しなければならない代わりに接着剤をこの接着面に特異的に分布させることができるということは、従来技術の剛性の要素と比較して、本発明による折りたためる保持要素の特別な利点である。

本発明の方法の好ましい実施形態では、サイドウィンドウを、工具の特定の位置に、例えば、ペインの基準点によって定義される位置に配置し、かつ固定する。例えば、組立補助具又はロボットを使って、所望する位置で保持要素を開いた状態にし、かつそこで一緒に折りたたみ、それによって、接触部分をサイドウィンドウの面に接合するようになっている。完全に組み立てた保持要素の固定部分をペインに対して所望する位置に配置するようにして、保持要素の位置を選択する。

本発明の方法の有利な実施形態では、接着剤は速硬化性接着剤である。その結果、サイドウィンドウに対する保持要素の位置を十分に素早く固定し、それによって、接着剤の硬化の間の一時的な位置の安定化（固定化）手段を省略することができるようになっている。したがって、製造プロセスが、簡略化され、かつ加速する。

代替の実施形態では、接着剤は、遅硬化性接着剤である。接着剤の完全な硬化前に、保持要素がずれるのを防止するためには、一時的な位置安定化手段を採用するべきである。これは、有利には、第二の接着剤によって、例えば、実際の接着剤のない接着面の縁領域に、例えば接着面の隅にある箇所に適用するホットメルト接着剤によって達成される。速硬化性接着剤は、実際の接着剤が硬化する間に、保持要素の位置を固定する。サイドウィンドウと保持要素との間の接合には、通常は、保持要素に作用する重力の力よりも大きい力は硬化時には掛からないので、第二の接着剤の接着力に対する要求は比較的低い。

保持要素それ自体は、技術的に慣例となっている方法で製造する。プラスチックでできた保持要素は、好ましくは、射出成形で作製し、金属又は金属合金でできた保持要素は、例えば、押し出し成形、フライス加工、パンチング、圧延加工、及び／又は溶着によって作製する。

本発明は、さらに、動力乗物の、好ましくは乗用車の、開閉式サイドウィンドウとしての、本発明によるサイドウィンドウの使用を含み、ここで、保持要素は、乗り物本体の上昇機構に固定するために使用される。

以下に、図面及び例示的な実施形態を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図面は、概略的な配置図であり、原寸に比例した縮尺ではない。図面は、本発明を何ら限定するものではない。

２つの一般的な保持要素を有するサイドウィンドウの平面図である。 従来技術の保持要素の断面図である。 開いた状態にある本発明による保持要素の実施形態の透視図である。 閉じてかつサイドウィンドウに取り付けるときの図３の保持要素である。 サイドウィンドウに取り付けた図３の保持要素である。 開いた状態にある本発明による保持要素の実施形態の断面図である。 閉じた状態にある本発明による保持要素の２つの実施形態の断面図である。 本発明による方法の実施形態のフローチャートである。

図１は、乗用車のフロントサイドウィンドウのための、開閉式のサイドウィンドウとして意図された一般的なサイドウィンドウＩの平面図を示したものである。乗物のドア内の上昇機構に接続することを意図した２つの保持要素１がサイドウィンドウの下縁Ｕの領域に取り付けられている。このために、保持要素１は、上昇機構を固定することができる通路８を有している。

図２は、従来技術の保持要素１’を有するサイドウィンドウＩの断面図を示したものである。保持要素１’は、実質的にＹ字型の断面を有する。保持要素１’は、２つの接触部分２．１’、２．２’を含み、この２つの接触部分は互いに向き合い、かつサイドウィンドウＩの下縁Ｕの領域で、その２つの面Ｉａ、Ｉｂに接着している。したがって、保持要素１’は、下縁Ｕの領域及びそこに隣接する面Ｉａ、Ｉｂの面を取り囲んでいる。サイドウィンドウＩの下にあり、下縁Ｕの方を向いている固定部分３’は、接触部分２．１’、２．２’に連結している。固定部分３’は、上昇機構に接続するための通路８’を有している。

一方、図３は、開いた状態又は折りたたんでいない状態の、ヒンジで動く本発明による保持要素を示したものである。保持要素１は、第一の接触部分２．１を有し、この第一の接触部分に、第一の段部分５．１を介して第一の固定部分３．１が連結している。第一の接触部分２．１、第一の段部分５．１、及び第一の固定部分３．１は、互いにしっかりと連結している。保持要素１は、第二の接触部分２．２を有し、この第二の接触部分に、第二の段部分５．２を介して第二の固定部分３．２が連結している。段部分５．１、５．２が、それぞれ関連する接触部分２．１、２．２と、固定部分３．１、３．２との間で側面でのオフセットを生じさせ、それによって、接触部分と固定部分が同一平面上にないようにされている。第一の接触部分２．１、第一の段部分５．１、及び第一の固定部分３．１からなる保持要素１の第一の剛性部分と、第二の接触部分２．２、第二の段部分５．２、及び第二の固定部分３．２からなる保持要素１の第二の剛性部分は、互いに鏡面対称である。基本的に、保持要素の固定部分が長手方向に２つに分割されている場合、これらは、従来技術の保持要素に由来するものである。接触部分２．１、２．２を有するそれぞれの関連する段部分５．１、５．２の反対側を向いた２つの固定部分３．１、３．２の側端部は、互いにヒンジ部分４を介して連結している。ヒンジ部分４は、曲げることができ、かつ保持要素１の２つの部分を互いに対して旋回することができるようにしており、その結果、保持要素１を開いたり閉じたりすることができる。

保持要素１は、ガラス繊維で強化したポリアミド６６から、ワンピースで作製されている。接触部分２．１、２．２、固定部分３．１、３．２、及び段部分５．１、５．２は、３ｍｍの厚さＤ（材料厚さ）を有する。対照的に、ヒンジ部分４は、かなり薄く、０．２５ｍｍの厚さＤを有する。異なる材料厚さに起因して、ヒンジ部分４は曲げることができ、その一方で保持要素１のその他の部分は剛性である。

保持要素１の幅Ｂは、例えば８０ｍｍである。接触部分２．１、２．２の長さＬは、例えば３０ｍｍである。固定部分３．１、３．２の長さＬは、例えば５０ｍｍである。

固定部分３．１、３．２は、それぞれ孔７．１、７．２を有する。孔７．１、７．２は、円形であり、それらの中心は、対応する固定部分３．１、３．２の同じ場所に配置されている。したがって、保持要素１を閉じた状態で、孔７．１、７．２は同軸にあり、上昇機構を固定するための保持要素を通じた通路を生じさせる。

第一の固定部分３．１の孔７．１は、１０ｍｍの直径を有し、かつガイド要素６で囲まれている。第二の固定部分３．２の孔７．２は、やや大きく、１０．４ｍｍの直径を有する。保持要素１を一緒に折りたたんだとき、ガイド要素６を孔７．２に挿入し、その結果、２つの固定部分３．１、３．２が互いに係合する。

接着剤９の層を、それぞれ、接触部分２．１、２．２の接着面に適用する。接着剤は、例えば、４００ＭＰａの弾性率、８０％の破断点伸び、１５ＭＰａの引張強度、及び６分のポットライフを有するＤＯＷ Ｂｅｔａｆｏｒｃｅ ９０５０Ｓである。接合前の接着剤層の厚さは、例えば４ｍｍである。接着剤９をそれぞれ、接着面の中心領域にのみ適用し、それによって、接着面の５ｍｍ幅の周囲縁領域は、接着剤のないフリーのままになっている。保持要素１を結合したとき、接着剤は、このフリーの領域に広がることができ、それによって、サイドウィンドウと接触領域２．１、２．２との間の中間領域から漏れ出さないようになっている。

図４は、図３の保持要素１を、サイドウィンドウＩにいかにして取り付けるかを示したものである。開いた状態で接着剤９を具備した保持要素１を、サイドウィンドウＩの下縁Ｕの周りで一緒に折りたたみ、すなわち、閉じる。サイドウィンドウＩは、例えば、３．８５ｍｍの厚さのソーダ石灰ガラスでできた単層ペイン安全ガラス（ＥＳＧ）として実施されている。簡素化のために、図中でサイドウィンドウＩを平面に描いているが、実際には、乗用車のウィンドウに通常であるように、サイドウィンドウは湾曲を有する。

図５は、サイドウィンドウＩに完全に組み立てた図３及び４の保持要素１を示す。接触部分２．１、２．２は、接着剤９を介してサイドウィンドウＩの面Ｉａ、Ｉｂに接着している。ガイド要素６を孔７．２内に配置し、かつ２つの固定要素３．１、３．２を互いに係合する。

図中、矢印は、本発明の意味するところの幅Ｂ及び長さＬの寸法を示す。

図６は、開いた状態での本発明による保持要素１の断面図を示したものであり、この保持要素は、第一の接触部分２．１、第一の段部分５．１、第一の固定部分３．１、ヒンジ部分４、第二の接触部分２．２、第二の段部分５．２、及び第二の固定部分３．２を有している。加えて、本発明の意味するところの厚さＤ（材料厚さ）の寸法を示している。

図７は、異なるガイド要素６を有する本発明による２つの保持要素１の断面を示したものである。図７ａの保持要素１の場合、ガイド要素６は、反対側の固定部分３．２の孔７．２に延在するマンドレルとして設計されている。本発明の意味するところにおいて、このマンドレルは、好ましくは一定の幅又はテーパリングを有する隆起であり、相補的な孔に挿入するのに適しているが、孔からの取り外しを積極的に防止する要素は有していない。対照的に、図７ｂの保持要素１の場合は、ガイド要素６を係合フックとして実施している。このガイド要素は、末端に孔からの取り外しを妨げる鉤状部（かえし）を有するように形成されている。

図３〜５に示したように、マンドレルとして設計されていても、又は係合フックとして設計されていても、ガイド要素６は、第一の固定部分３．１の孔７．１を完全に取り囲んでいる。しかしながら、代替的に、複数のマンドレル又は係合フックを、孔７．１の周りに分布させてもよい。

図８は、保持要素を有する本発明によるサイドウィンドウを製造するための、本発明による方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。

１ 乗物のサイドウィンドウのための保持要素
２．１ 保持要素１の第一の接触部分
２．２ 保持要素１の第二の接触部分
３．１ 保持要素１の第一の固定部分
３．２ 保持要素１の第二の固定部分
４ 保持要素１のヒンジ部分
５．１ 保持要素１の第一の段部分
５．２ 保持要素１の第二の段部分
６ ガイド要素
７．１ 第一の固定部分３．１の孔
７．２ 第二の固定部分３．２の孔
８ 固定部分３．１、３．２を通じた通路
９ 接着剤
Ｉ 乗物のサイドウィンドウ
Ｉａ サイドウィンドウＩの第一の面
Ｉｂ サイドウィンドウＩの第二の面
Ｏ サイドウィンドウＩの上縁
Ｕ サイドウィンドウＩの下縁
Ｖ サイドウィンドウＩの前端
Ｈ サイドウィンドウＩの後端
１’ 従来技術による保持要素
２．１’ 保持要素１’の第一の接触部分
２．２’ 保持要素１’の第二の接触部分
３’ 保持要素１’の固定部分
８’ 固定要素３’を通じた通路
Ｌ 長さ／高さ
Ｂ 幅
Ｄ 厚さ／材料厚さ

Claims (15)

1. 以下を含む、乗物のサイドウィンドウ（Ｉ）のための保持要素（１）であって：
   − 前記サイドウィンドウ（Ｉ）の第一の面（Ｉａ）に固定するための、第一の固定部分（３．１）及びこれに連結した第一の接触部分（２．１）、
   − 前記サイドウィンドウ（Ｉ）の第二の面（Ｉｂ）に固定するための、第二の固定部分（３．２）及びこれに連結した第二の接触部分（２．２）、
   ここで、前記第一の固定部分（３．１）と前記第二の固定部分（３．２）とが、ヒンジ部分（４）を介して、前記接触部分（２．１、２．２）の反対側で互いに連結し、それによって、前記第一の接触部分（２．１）と一緒になった前記第一の固定部分（３．１）と、前記第二の接触部分（２．２）と一緒になった前記第二の固定部分（３．２）とが、互いに対して旋回することができるようになっており、これによって前記保持要素（１）を開いたり閉じたりすることができ、
   前記閉じた状態で、
   − 前記固定部分（３．１、３．２）が、互いに表面接触しており、かつ一緒になって前記乗物に固定するために適しており、かつ
   − 前記接触部分（２．１、２．２）が、前記サイドウィンドウ（Ｉ）の２つの対向している面（Ｉａ、Ｉｂ）に固定するために適している、
   乗物のサイドウィンドウ（Ｉ）のための保持要素（１）。
2. 前記開いた状態及び前記閉じた状態が、外力の作用なしで安定である、請求項１に記載の保持要素（１）。
3. ワンピースに形成され、前記ヒンジ部分（４）が、前記固定部分（３．１、３．２）及び前記接触部分（２．１、２．２）よりも薄い材料厚さを有しており、それによって、前記保持要素の開閉に必要な屈曲性を保証するようになっている、請求項１又は２に記載の保持要素（１）。
4. 前記固定部分（３．１、３．２）が、それぞれ、孔（７．１、７．２）を有し、かつ前記孔（７．１、７．２）が、前記保持要素（１）の前記閉じた状態で互いに重ね合わせられており、それによって、前記乗物に固定するための通路（８）が、前記保持要素（１）を通じて延在するようになっている、請求項１〜３のいずれか一項に記載の保持要素（１）。
5. 前記第一の固定部分（３．１）の前記孔（７．１）が、少なくとも一つのガイド要素（６）で囲まれており、このガイド要素は、マンドレル又は係合フックとして実施され、かつ前記保持要素（１）の前記閉じた状態で、前記第二の固定部分（３．２）の前記孔（７．２）に挿入されている、請求項４に記載の保持要素（１）。
6. 前記第一の接触部分（２．１）が、第一の段部分（５．１）を介して前記第一の固定部分（３．１）に連結し、かつ前記第二の接触部分（２．２）が、第二の段部分（５．２）を介して前記第二の固定部分（３．２）に連結しており、かつ前記段部分（５．１、５．２）が同じ形状を有している、請求項１〜５のいずれか一項に記載の保持要素（１）。
7. 前記ヒンジ部分（４）が、０．１ｍｍ〜１ｍｍ、好ましくは０．２ｍｍ〜０．５ｍｍの材料厚さを有する、請求項１〜６のいずれか一項に記載の保持要素（１）。
8. 第一の面（Ｉａ）、その反対側の第二の面（Ｉｂ）、及び下縁（Ｕ）を有し、かつ前記下縁（Ｕ）の領域に取り付けられた請求項１〜７のいずれか一項に記載の少なくとも一つの保持要素（１）を有する乗物用のサイドウィンドウであって、
   接着剤（９）によって、前記第一の接触部分（２．１）が前記第一の面（Ｉａ）に固定されており、かつ前記第二の接触部分（２．２）が前記第二の面（Ｉｂ）に固定されている、
   乗物用のサイドウィンドウ。
9. 前記接着剤（９）の厚さが、０．５ｍｍ〜５ｍｍ、好ましくは１ｍｍ〜４ｍｍ、特に好ましくは２ｍｍ〜４ｍｍである、請求項８に記載のサイドウィンドウ。
10. 前記接着剤（９）が、少なくとも２０ＭＰａ、好ましくは少なくとも１５０ＭＰａの、最も特に好ましくは４００ＭＰａ〜６００ＭＰａの弾性率を有する、請求項８又は９に記載のサイドウィンドウ。
11. （ａ）請求項１〜７のいずれか一項に記載の保持要素（１）、並びに第一の面（Ｉａ）、その反対側の第二の面（Ｉｂ）、及び下縁（Ｕ）を有するサイドウィンドウ（Ｉ）を提供し、
    （ｂ）開いた状態にある前記保持要素（１）の前記接触部分（２．１、２．２）に、接着剤（９）を適用し、かつ
    （ｃ）前記サイドウィンドウ（Ｉ）の下縁（Ｕ）の領域の周りで、前記保持要素（１）を閉じ、ここで、前記接着剤（９）を介して、前記第一の接触部分（２．１）を前記第一の面（Ｉａ）に接合し、かつ前記第二の接触部分（２．２）を前記第二の面（Ｉｂ）に接合する、
    乗物用の保持要素を有するサイドウィンドウを製造するための方法。
12. 前記サイドウィンドウ（Ｉ）に接合する前記接触部分（２．１、２．２）の表面の中心領域にのみ前記接着剤（９）を適用し、かつ前記接着剤（９）が、前記接触部分（２．１、２．２）の側端部から、少なくとも２ｍｍ、好ましくは２ｍｍ〜１０ｍｍ離れた距離にある、請求項１１に記載の方法。
13. 前記接着剤（９）と、前記接触部分（２．１、２．２）の側端部との間に第二の接着剤を適用し、この第二の接着剤は、前記接着剤（９）が硬化するまで、前記サイドウィンドウ（Ｉ）における前記固定要素（１）の一時的な固定化のために適している、請求項１２に記載の方法。
14. 前記接着剤（９）は、１０分未満、好ましくは１分〜５分の硬化時間を有し、かつ前記接着剤（９）の硬化の間に、一時的な位置固定化のための手段を何らとらない、請求項１１又は１２に記載の方法。
15. 動力乗物、好ましくは乗用車の開閉式のサイドウィンドウとしての、請求項８〜１０のいずれか一項に記載のサイドウィンドウの使用。