JP2015080982A - パネルアセンブリおよび車体における積層パネルの支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境温度が変化して積層パネルを構成する樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、車体開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくし、シール部材を小型化すること。
【解決手段】ガラスパネル12、およびガラスパネル12に積層され、ガラスパネル12よりも線膨張係数が大きい樹脂パネル13を有する積層パネル11と、積層パネル11の樹脂パネル13側に設けられて積層パネル11を支持するホルダ15と、を備え、樹脂パネル13は、その外縁に沿って配置された貫通孔22を有し、ホルダ15は、貫通孔22の内側でガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bに接着されている。
【選択図】図6
【解決手段】ガラスパネル12、およびガラスパネル12に積層され、ガラスパネル12よりも線膨張係数が大きい樹脂パネル13を有する積層パネル11と、積層パネル11の樹脂パネル13側に設けられて積層パネル11を支持するホルダ15と、を備え、樹脂パネル13は、その外縁に沿って配置された貫通孔22を有し、ホルダ15は、貫通孔22の内側でガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bに接着されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、積層パネルとこれを支持する支持部材とを備えたパネルアセンブリ、特にガラスパネルと樹脂パネルとを積層した積層パネルを含むパネルアセンブリ、および車体における積層パネルの支持構造に関するものである。
従来、車両用に無機ガラスで構成されたガラスパネルが多用されているが、ガラスパネルは重量が大きいことから、軽量化を図るために、例えば透光性樹脂板の少なくとも一方の表面上に接着剤層を介してガラス薄板層を積層した積層パネルが知られている(特許文献1)。特許文献1によれば、このような構成を採用することで、積層パネルは無機ガラスと同等の耐擦傷性を備えることができ、かつガラス板単体で構成した場合と比較して軽量化を達成できるとしている。
一般に、ガラスパネルと樹脂パネルとを積層した積層パネルを用いた車両用のパネルアセンブリは、無機ガラス等の透明板を車両の室内側から支持する支持部材を含んでいる。耐擦傷性の観点から、積層パネルはガラスパネルが車両の外側に、樹脂パネルが車両の室内側に配置される。このため支持部材は樹脂パネルに接着、固定されて積層パネル全体を支持することになる。
また、パネルアセンブリの多くは積層パネルを外囲するシール部材を含んでいる。シール部材は、車体のルーフ等に形成された車体開口部をパネルアセンブリが閉じた際に、車体開口部と積層パネルとの間を水密に閉塞する部材である。パネルアセンブリが車体開口部を閉塞した際に積層パネルに直接的に負荷がかかるのを防止するため、通常、シール部材は支持部材の外縁に配設される。
ここで、樹脂パネルはガラスパネルと比較して線膨張係数(熱膨張率)が大きく、環境温度の変化等に伴って主に樹脂パネルが膨張あるいは収縮する。例えば、低温環境下においては樹脂パネルが収縮し、樹脂パネルの収縮に伴って樹脂パネルに接着された支持部材が変位または変形し、結果的に支持部材に設けられたシール部材も変位する。このため、樹脂パネルが収縮した際に、積層パネルと車体開口部との間の隙間が拡大することになる。
しかしながら、特許文献1では樹脂パネルの膨張あるいは収縮による弊害について何ら言及されておらず、積層パネルを例えばサンルーフに導入しようとする場合、樹脂パネルが収縮した際の形状等を考慮して、シール部材のサイズを予め大きく設計しておく必要があった。即ち、車体開口部と積層パネルとの間の隙間が拡大した場合においてもシール性能を確保する必要性から、シール部材が大型化してしまうという課題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、その主な目的は、環境温度が変化して樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくし、シール部材を小型化することが可能なパネルアセンブリおよび車体における積層パネルの支持構造を提供することにある。
前記課題を解決するためになされた本発明は、第1パネル(12)、および前記第1パネルに積層され、前記第1パネルよりも線膨張係数が大きい第2パネル(13)を有する積層パネル(11)と、前記積層パネルの前記第2パネル側に設けられて前記積層パネルを支持する支持部材(15)と、を備え、前記第2パネルは、その外縁に沿って配置された貫通孔(22)を有し、前記支持部材は、前記貫通孔の内側で前記第1パネルの前記第2パネル側の主面(12b)に接着されていることを特徴とするパネルアセンブリ(10)である。
これによって、環境温度が変化して積層パネルを構成する樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、積層パネルを支持する支持部材は樹脂パネルの変形の影響を受けないことから、パネルアセンブリが設置された状態で、開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくすることが可能となる。
また、本発明は、前記第1パネル(12)は前記第2パネル(13)の外縁からさらに外方に延出する延出部(12a)を有し、前記支持部材(15)は、更に前記延出部において前記第1パネルの前記第2パネル側の主面(12b)に接着されているものである。
これによって、第1パネルは、貫通孔部分および延出部の双方で支持部材に接着されるため、積層パネルおよび支持部材で構成されるパネルアセンブリ全体としての強度を向上することが可能となる。
また、本発明は、間隔を空けて配置された複数の前記貫通孔(22)が前記第2パネル(13)の全周にわたって設けられ、前記支持部材(15)が前記第1パネル(12)を全周にわたって支持すべく枠状に構成され、前記支持部材の外縁に沿って前記支持部材を外囲するシール部材(16)が設けられているものである。
これによって、パネルアセンブリが設置された状態で、開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を開口部の全周にわたって小さくすることができ、シール部材を小型化することが可能となる。
また、本発明は、前記支持部材(15)は、前記第2パネル(13)の主面(13b)に沿って前記第2パネルの主面の中央に向けて延設された延設部(15a)と、前記延設部の前記中央の側の端縁に沿って設けられ、前記第2パネルの前記延設部側への変位を規制する規制部材(17)と、を有するものである。
これによって、積層パネルに外力が加わっても、規制部材が積層パネルの延設部側への変位を規制することから、支持部材によって積層パネルをより安定に支持して、積層パネルの破損等を防止することが可能となる。
また、本発明は、前記第1パネル(12)がガラスで構成され、前記第2パネル(13)が樹脂で構成されたものである。
これによって、ガラスパネルは高い耐擦傷性を備えることから、ガラスパネルを車体の外側に配置することで、積層パネルに傷がつくのを防止することが可能となる。
また、本発明は、第1パネル(12)、および前記第1パネルに積層され、前記第1パネルよりも線膨張係数が大きい第2パネル(13)を有する積層パネル(11)と、車体(1)の一部で構成され、または車体の一部と連結され、前記積層パネルの前記第2パネル側に設けられて前記積層パネルを支持する支持部材(15)と、を備え、前記第2パネルは、その外縁に沿って配置された貫通孔(22)を有し、前記支持部材は、前記貫通孔の内側で前記第1パネルの前記第2パネル側の主面(12b)に接着されていることを特徴とする車体における積層パネルの支持構造である。
これによって、環境温度が変化して積層パネルを構成する樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、積層パネルを支持する支持部材は樹脂パネルの変形の影響を受けないことから、積層パネルが車体に取り付けられた状態で、車体開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくすることが可能となる。
本発明によれば、環境温度が変化して積層パネルを構成する樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、パネルアセンブリが設置された状態で、開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくすることが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「右」および「左」は車両に搭乗した乗員から見た方向に対応している。
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「右」および「左」は車両に搭乗した乗員から見た方向に対応している。
図1は、車体1に搭載されたサンルーフ装置4の概要を示す説明図である。図示するように、車体1のルーフ2には上面視で矩形状の車体開口部3が設けられている。車体開口部3にはサンルーフ装置4が取り付けられている。サンルーフ装置4はパネルアセンブリ10を備えており、パネルアセンブリ10は図示しない駆動源と機械的に接続されて、車体開口部3に対して前後方向に変位可能に構成されている。サンルーフ装置4はいわゆるチルトインナータイプのものであり、サンルーフ装置4が開状態のとき、車体開口部3の後方において、パネルアセンブリ10はルーフ2と内装材(図示せず)との間に設けられた空間に収納され、他方、閉状態のとき、パネルアセンブリ10は車体開口部3の前縁まで到達し、シール部材16(図2参照)が車体開口部3の前縁、後縁、側縁に押圧されて車体開口部3との間が水密に閉塞される。
図2は、本発明の第1実施形態に係るパネルアセンブリ10の構成を示す分解斜視図、図3は、パネルアセンブリ10を構成する積層パネル11を樹脂パネル13の側から見た斜視図である。以降、図2、図3を用いて第1実施形態に係るパネルアセンブリ10の構成について説明する。
図2に示すように、パネルアセンブリ10は、積層パネル11と積層パネル11を支持する支持部材としてのホルダ15とシール部材16と規制部材17とで構成されている。積層パネル11は、ガラスパネル(第1パネル)12と接着媒体14と樹脂パネル(第2パネル)13とを積層したもので、その一部に樹脂パネル13を用いることで積層パネル11が軽量化される。ホルダ15は、ガラスパネル12よりも一回り大きい枠体であって、その左右方向の下部にパネルアセンブリ10を車体1(図1参照)に連結する連結部(図示せず)を備える。車体1にパネルアセンブリ10を取り付けた状態において、積層パネル11のうちガラスパネル12は上方(車体1の外側)に配置され、樹脂パネル13は下方(車体1の内側)に配置される。ガラスパネル12は高い耐擦傷性を備えることから、積層パネル11の外面に擦過による傷がつきにくくなっている。
ガラスパネル12としては、フロートガラスを急激に冷却して製造される透明な強化ガラスが用いられる。また、樹脂パネル13は透明性の高い熱可塑性樹脂を射出成形することで得られ、ここでは樹脂としてポリカーボネートが用いられている。なお、樹脂パネル13の材料としてはアクリルを使用することもできる。
ここで、
ガラスの線膨張係数をαgとすると、αg=8.3×10−6/℃、
ポリカーボネートの線膨張係数をαpとすると、αp=70×10−6/℃、
アクリルの線膨張係数をαaとすると、αa=70〜80×10−6/℃
であり、一般に樹脂パネル13の線膨張係数は、ガラスパネル12よりも一桁大きい値となっている。即ち、環境温度が変化した場合、樹脂パネル13はガラスパネル12よりも膨張あるいは収縮の程度が大きい。
ガラスの線膨張係数をαgとすると、αg=8.3×10−6/℃、
ポリカーボネートの線膨張係数をαpとすると、αp=70×10−6/℃、
アクリルの線膨張係数をαaとすると、αa=70〜80×10−6/℃
であり、一般に樹脂パネル13の線膨張係数は、ガラスパネル12よりも一桁大きい値となっている。即ち、環境温度が変化した場合、樹脂パネル13はガラスパネル12よりも膨張あるいは収縮の程度が大きい。
樹脂パネル13の主面13bはガラスパネル12の主面12bよりも小さく構成されており(図3参照)、ガラスパネル12の主面12bの中央と樹脂パネル13の主面13bの中央とは略一致するように積層される。樹脂パネル13とガラスパネル12とを積層した状態において、ガラスパネル12は、樹脂パネル13の外縁からさらに外方に延出する延出部12aを含み、延出部12aは、樹脂パネル13の外縁を外囲するように、ガラスパネル12の全周にわたって帯状に形成されている。また、積層パネル11は、ガラスパネル12と樹脂パネル13との間に設けられた接着媒体14を含む。接着媒体14は、樹脂パネル13と略同一形状とされ、接着媒体14はガラスパネル12と樹脂パネル13とが重畳する全範囲において、ガラスパネル12と樹脂パネル13とを接着する。
接着媒体14として、ここでは主にPVB(ポリビニールブチラール)を材料とするシート材が用いられている。PVBは透明性と成形性に優れ、かつガラスパネル12と樹脂パネル13とが圧接された状況下にあっても柔軟性を失わない。この特性によって、樹脂パネル13が膨張あるいは収縮した際に、樹脂パネル13の外縁はガラスパネル12の主面12bに沿って相対的に変位する。また、PVBを用いることで、万が一ガラスパネル12が破損した場合でもガラスの破片の飛散を防止することができ、また遮音性を向上することができる。なお、ここではガラスパネル12は例えば1.6mm、樹脂パネル13は1.5mm、接着媒体14は0.8mm程度の厚みとされている。
ホルダ15は、例えば引張強さ270N/mm2以上の冷間圧延鋼板をプレス加工することで得られる一体成型品であり、厚みは例えば0.8〜1.6mm程度とされている。ホルダ15は、上述した延出部12aにおいて室内側からガラスパネル12と接着され、これによって積層パネル11の全体がホルダ15によって支持される。なお、ホルダ15を構成する鉄鋼材料の線膨張係数αsは、例えばαs=11.7×10−6/℃であり、ホルダ15の線膨張係数はガラスパネル12の線膨張係数αgとほぼ同程度である。
また、枠状に構成されたホルダ15の内縁には、例えばゴム等で構成された規制部材17が設けられている。そしてホルダ15の外縁には、ホルダ15の全周を外囲するようにゴム等で構成されたシール部材16が設けられている。なお、ホルダ15を前後左右に別パーツで構成し、これらを対応するガラスパネル12の部位に個別に接着するようにしてパネルアセンブリ10を構成してもよい。この場合、4つに分割されたホルダ15の外縁にシール部材16が架け渡される。
図4は、パネルアセンブリ10の要部側断面図である。図4は、図1におけるIV−IV断面に相当している。なお、図4ではサンルーフ装置4(図1参照)を構成するパネルアセンブリ10が閉状態となる直前(シール部材16が車体開口部3に当接した時点)の状態を図示している。
以下、車体開口部3(図1参照)の前縁近傍におけるパネルアセンブリ10の構成を説明する。上述したように、ホルダ15は積層パネル11の外周に沿って枠状をなし、ホルダ15に取り付けられるシール部材16も環状の形状をなし、パネルアセンブリ10は全周にわたって図4に示す前縁部分とほぼ同様の構成を備える。
なお、以降の説明において「接着剤」の用語は、固体物の面と面とを接着するために用いる物質という厳密な意味ではなく、2つの物の結合に用いることができる物質、あるいは硬化した接着剤が気体や液体に対する高いバリア性を備えている場合は、封止材としての機能を有する物質という広い意味で用いるものとする。
図示するように、ホルダ15は、ガラスパネル12の主面12bに沿ってガラスパネル12の外縁(前方)側に設けられた基部15bと、樹脂パネル13(ガラスパネル12と樹脂パネル13とが積層された積層部分)の主面13bに沿って樹脂パネル13の主面13bの中央(後方)に向けて延設された延設部15aとを有している。
基部15bと延設部15aとの間には上方に突設された凸部15cが設けられ、凸部15cに対して延設部15aと基部15bとは相対的に凹部を構成する。このように、枠体であるホルダ15を内縁から外縁にかけて凹凸を有する形状とすることで、ホルダ15の強度が向上する。延設部15a、基部15b、凸部15cともに、積層パネル11の下方においてガラスパネル12または樹脂パネル13の主面13bと略平行に形成された平坦面15h、15f、15gを備えている。
以下、ホルダ15の基部15bの周辺構成について説明する。基部15bにはシール部材16が配置される。シール部材16は、その外縁側(前方)に断面中空構造を有するシール外縁部16aと、その内縁側(後方)に被支持部16bとを有し、シール外縁部16aと被支持部16bとの間の下面にはシール部材16の表面から凹陥した溝部16cが形成されている。また、シール外縁部16aの下方には車体開口部3の側に突出する開口側舌片16gが設けられ、被支持部16bの上面には接着剤溜り16dが形成され、接着剤溜り16dを上方から覆うように舌片16fが設けられている。また、被支持部16bの下方には内縁に沿って切欠き部16eが形成されている。サンルーフ装置4(図1参照)においてパネルアセンブリ10が閉状態の際、シール外縁部16aは車体開口部3の前縁に圧接され前後方向に変形することで、車体開口部3にシール外縁部16aおよび開口側舌片16gが密着して、車体開口部3とシール外縁部16aとの間が水密状態となる。
ホルダ15の最外縁(最前方)には基部15bの平坦面15fから上方に向けて外枠15dが形成されている。シール部材16に設けた溝部16cには外枠15dが嵌め込まれており、これによってシール部材16がホルダ15の外縁に取り付けられる。
また、被支持部16bはパネルアセンブリ10において積層パネル11(より正確にはガラスパネル12)とホルダ15とに挟持されて支持されるが、その一方で、被支持部16bによってホルダ15と積層パネル11との離間距離が規制される。
また、接着剤溜り16dには接着剤20が充填され、接着剤溜り16dに充填された接着剤20によって、積層パネル11(ガラスパネル12)とシール部材16とが水密に接合される。
次に、ホルダ15の延設部15aの周辺構成について説明する。延設部15aの最内縁は樹脂パネル13と平行な平坦面15eを備えており、平坦面15eには、その形状に相補的に対応する断面略コの字形状の規制部材17が取り付けられている。図示するように規制部材17の上面は平坦面17aをなし、平坦面17aは樹脂パネル13と対向するように配置されている。規制部材17はゴム等の弾性材料で構成されて、樹脂パネル13(積層パネル11)が延設部15a側(即ち、下方向)に変位するのを規制する。規制部材17によって積層パネル11の下方への変位が規制されるから、積層パネル11に上方から外力が加わっても、積層パネル11はホルダ15によって安定して支持されるとともに、積層パネル11の破損等が防止される。なお、図4においては、規制部材17は樹脂パネル13と離間して設けられているが、積層パネル11に外力が加わっていない状態において、予め規制部材17を樹脂パネル13に当接させておいてもよい。
次に、ホルダ15の凸部15cの周辺構成について説明する。凸部15cに形成された平坦面15gは、積層パネル11のうちガラスパネル12のみで構成される単層部分、即ち延出部12a(図2を併せて参照)とは非当接とされている。上述したように、被支持部16bによってホルダ15と積層パネル11との離間距離が規制されており、これによって、延出部12aと平坦面15hとは離間して配置される。
凸部15cに形成された平坦面15gから基部15bの平坦面15fに至る領域S1には接着剤20が充填され、これによってホルダ15にガラスパネル12が接着、固定される。より詳細には、領域S1において、積層パネル11を構成するガラスパネル12のうち樹脂パネル13側の主面12bが、ホルダ15(その凸部15c)に接着されている。また、接着剤20はシール部材16の被支持部16bの最内縁に接触するとともに、被支持部16bの下面に形成された切欠き部16eにも充填されている。切欠き部16eに接着剤20を充填することで、シール部材16が外縁(前方)方向に抜け出ることが確実に防止される。このように領域S1に充填された接着剤20によって、ガラスパネル12、ホルダ15およびシール部材16の三者が相互に固定される。なお、接着剤20としてはウレタン系のものを用いればよく、特に高弾性、高粘度タイプのものを使用することが望ましい。
このように第1実施形態では、ガラスパネル12は、樹脂パネル13の外縁からさらに外方に延出する延出部12aを含んでおり、延出部12aにおいて、ガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bが支持部材としてのホルダ15に接着されている。このため、積層パネル11をホルダ15が支持する構成において、ホルダ15は樹脂パネル13との間で直接的な接続部位を持たない。上述したように、ガラスパネル12の線膨張係数αgは樹脂パネル13(ポリカーボネート)の線膨張係数αpと比較して十分小さいため、例えば環境温度が変化して樹脂パネル13が膨張あるいは収縮したような場合であっても、積層パネル11を支持するホルダ15は樹脂パネル13の変形の影響を受けず、ホルダ15に設けられたシール部材16の外縁の拡大や縮小は最小限に抑えられる。即ち、パネルアセンブリ10を車体1(図1参照)に取り付けた際に、車体開口部3と積層パネル11との間の隙間の変化が小さくなる。これによって、シール部材16、特にシール外縁部16aの外径方向のサイズを小さく構成しても、車体開口部3とパネルアセンブリ10との間を水密に閉塞することが可能となる。
また、上述したように、ホルダ15は鉄系の材料で構成されており、その線膨張係数αs(=11.7×10−6/℃)はガラスパネル12の線膨張係数αg(=8.3×10−6/℃)と近接している。ガラスパネル12とホルダ15とシール部材16とは接着剤20によって相互に固定され、構成的にはシール部材16はガラスパネル12とホルダ15とに挟持されることから、シール部材16はガラスパネル12が変形した場合は応力を受け得る。ここで、例えばガラスパネル12が熱膨張によって前方に伸びる状況を仮定すると、ホルダ15はガラスパネル12に接着されているため、ガラスパネル12が前方に伸びると、これに伴ってホルダ15も前方に移動して、両者の間には相対的な変位は生じない。
ただし、両者が接着剤20で固定された領域S1よりも外縁部分においては、ガラスパネル12とホルダ15との線膨張係数の差に基づいて、両者の相対的な変位が発生しうる。しかしながら、基部15bの前後方向の長さは短いことから変形量そのものが小さく、かつガラスパネル12とホルダ15との線膨張係数は近接しているため、ガラスパネル12とホルダ15との変形量は実質的に同一とみなしてよい。従って、領域S1において接着剤20に大きな剪断応力が作用することも、シール部材16がダメージを受けることもない。また、シール部材16はゴム等の弾性体で構成されるから、仮にガラスパネル12とホルダ15とが相対的に多少変位したとしても、この変位差はシール部材16が変形することで吸収される。
次に、図2、図4を参照して、パネルアセンブリ10の製造工程について概要を説明する。ここでは、既にガラスパネル12と樹脂パネル13と接着媒体14とを用いて積層パネル11を製造する工程は完了しているものとして説明する。パネルアセンブリ10の製造工程においては、まずホルダ15の内縁に沿って環状の規制部材17を取り付け、また、ホルダ15の外縁に沿ってシール部材16の溝部16cをホルダ15の外枠15dに嵌め込んで仮留めする。その後、接着剤20が領域S1に充填される。このとき、接着剤20を吐出する吐出ノズル(図示せず)はホルダ15の内縁(後方)側からシール部材16の切欠き部16eの側に向けられており、吐出ノズルから吐出された接着剤20は切欠き部16eに充填され、次いで領域S1に充填される。接着剤20の充填は、枠状のホルダ15の外縁に沿って、吐出ノズルを移動させながら行われる。またこれと同時に、他の吐出ノズルを用いてシール部材16の接着剤溜り16dにも接着剤20が充填される。
接着剤20を充填する工程が完了すると、接着剤20が露出したホルダ15の上方から積層パネル11を組み付ける。このとき、積層パネル11は、ホルダ15に取り付けられたシール部材16の舌片16fの先端を全周にわたって覆うように組み付けられる。即ち、舌片16fの先端部分は、前後および左右方向(図2を参照)の位置決めマーカとして利用されうる。ホルダ15に組み付けられた積層パネル11は、シール部材16の被支持部16bによって上下方向に位置決めされ、積層パネル11はホルダ15(特に凸部15cから平坦面15fに至る範囲)に対して層状の接着剤20を介して支持される。この状態で接着剤20が硬化することでパネルアセンブリ10の組立が完成する。
図5は、パネルアセンブリ10を構成する積層パネル11の変形例を樹脂パネル13の側から見た斜視図である。図3を用いて説明した積層パネル11では、接着媒体14は樹脂パネル13の全面に重畳するサイズとされていたが、変形例の積層パネル31では、接着媒体14は樹脂パネル13の外縁に沿った部位A1(図5において、樹脂パネル13の外縁と破線との間の部位)に帯状に設けられており、ガラスパネル12と樹脂パネル13との間において、接着媒体14が介在しない空間(部位A2)は空気層となっている。この積層パネル31を図4に示す積層パネル11と置き換えてパネルアセンブリ10を構成してもよい。なお、図5に示す構成の積層パネル31は、以下に説明する第2〜第5実施形態においても採用することができる。
なお、積層パネル31においては、環境温度によって空気層が膨張あるいは収縮するため、樹脂パネル13に部位A2(即ち、空気層)と外部とを連通する連通孔を設けてもよい。また、部位A2内の空気を予め抜気しておき、部位A1に設けた接着媒体14によってガラスパネル12と樹脂パネル13との間を封止する構成としてもよい。上述したように、第1実施形態では、ホルダ15(図4参照)と樹脂パネル13との直接的な接続が排除され、ホルダ15がガラスパネル12を支持し、ガラスパネル12が樹脂パネル13を支持する構成とされており、ガラスパネル12で樹脂パネル13を支持する構成は任意に選択することができる。このようにガラスパネル12と樹脂パネル13との関係において、本発明は、パネルアセンブリ10の設計自由度を向上することが可能となる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るパネルアセンブリ10の要部側断面図、図7(a)、(b)は、ガラスパネル12とホルダ15との接着位置を示す上面図である。なお、図6は図1におけるVI−VI断面に相当している。
図6は、本発明の第2実施形態に係るパネルアセンブリ10の要部側断面図、図7(a)、(b)は、ガラスパネル12とホルダ15との接着位置を示す上面図である。なお、図6は図1におけるVI−VI断面に相当している。
第1実施形態では、ガラスパネル12は樹脂パネル13の外縁に延出部12aを有しており、この延出部12aにおいて、ホルダ15がガラスパネル12の主面12bに接着、固定されていた。第2実施形態では、樹脂パネル13には外縁に沿って複数の貫通孔22が設けられており、この貫通孔22を介してガラスパネル12の主面12bがホルダ15に接着、固定されている点が特徴となっている。また、以降の説明にあたっては、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する(第3〜第5実施形態についても同じ)。
図示するように、支持部材としてのホルダ15は、ガラスパネル(第1パネル)12の主面12bに沿ってガラスパネル12の外縁(前方)側に設けられた基部15bと、樹脂パネル(第2パネル)13の主面13bに沿って樹脂パネル13の主面13bの中央(後方)に向けて延設された延設部15aとを有している。
延設部15aには基部15bに対して上方に突設された凸部15cが設けられ、凸部15cから後方に向けて、凸部15cに対して一段低く形成された平坦面15iが設けられている。平坦面15iから更に後方には下方に向けて凹部15jが形成され、更に凹部15jの後方には平坦面15iと略同一高さの平坦面15eが形成されている。平坦面15eには規制部材17が配置されている。
ここで、平坦面15iと対向する位置において、樹脂パネル13および接着媒体14には貫通孔22が設けられている。そしてガラスパネル12とホルダ15との間、かつ貫通孔22の内側に形成された領域S2には接着剤20が充填され、この接着剤20によってガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bがホルダ15に接着されている。
図7(a)、(b)に示すように、貫通孔22は樹脂パネル13の外縁に沿って所定の間隔をおいて複数個配置されている。貫通孔22の形状は上面視において、図7(a)に示すように略円形としてもよく、図7(b)に示すように樹脂パネル13の外縁に沿う方向に長孔をなす略楕円形状を採用してもよい。図7(a)、(b)では、積層パネル11においてガラスパネル12と樹脂パネル13とを接着する接着媒体14の図示を省略しているが、接着媒体14は貫通孔22の範囲を除いて、樹脂パネル13と重畳配置されている。なお、第2実施形態において、図5で説明した積層パネル31を用いてパネルアセンブリ10を構成する場合、貫通孔22は図5に示す部位A1に設ければよい。
図6に示すように、第2実施形態では、第1実施形態と同様にガラスパネル12は樹脂パネル13の外縁から更に外方に延出する延出部12aを有しており、この延出部12aにおいて領域S1にも接着剤20が充填され、ホルダ15はガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bに接続されている。
以降、図2を援用して第2実施形態におけるパネルアセンブリ10の製造工程について概要を説明する。まず、接着媒体14の表面のカバーフィルムを剥離して、表面に露出した接着面を樹脂パネル13に張り付ける。その後、裏面のカバーフィルムが残存する状態で樹脂パネル13の外縁に沿って、例えば打ち抜き加工によって貫通孔22を形成する。次に接着媒体14の裏面のカバーフィルムを剥離して、貫通孔22が形成された樹脂パネル13および接着媒体14の積層体をガラスパネル12に重ね合わせて積層パネル11を作成する。
次に、ホルダ15の内縁に沿って環状の規制部材17を取り付け、また、ホルダ15の外縁に沿ってシール部材16の溝部16cをホルダ15の外枠15dに嵌め込んで仮留めする。その後、塗布ノズルを移動させながら接着剤20が領域S1と接着剤溜り16dとに充填される。
一方、樹脂パネル13に形成した貫通孔22(領域S2)にも別途接着剤20が充填される。第2実施形態では、領域S1についてはホルダ15側に接着剤20が充填され、領域S2については貫通孔22を介して積層パネル11側に接着剤20が充填される。このような工程とすることで、貫通孔22に確実に接着剤20を充填することができる。そして、接着剤20を充填する工程が完了すると、接着剤20が充填された側を向き合わせてホルダ15の上方から積層パネル11を組み付ける。
このように第2実施形態では、上面視で、ガラスパネル12はガラスパネル12の外縁に沿って帯状に設けられた領域S1においてホルダ15に接着されるとともに、領域S1の内側(後方)にあって、これも帯状に(ただしスポット的に)設けられた領域S2においてもホルダ15に接着されることになる。このような構成とすることで、第1実施形態と比較して、ガラスパネル12をより強固にホルダ15に支持することが可能となり、パネルアセンブリ10の全体としての強度が向上する。もちろん第2実施形態においても、樹脂パネル13の膨張あるいは収縮は、領域S2に充填された高弾性を備える接着剤20によって吸収され、積層パネル11を支持するホルダ15は樹脂パネル13の変形の影響を受けず、ホルダ15に設けられたシール部材16の外縁の拡大や縮小が最小限に抑えられる、という効果が維持される。
さて、図6に示すように、接着剤20は貫通孔22の内側に完全に収まるように充填されており、前後方向(および左右方向)において樹脂パネル13および接着媒体14と接着剤20との間には、環境温度の変化に伴う樹脂パネル13の膨張および収縮を考慮した間隙がマージンとして形成されていることが望ましい。
ただし、第1実施形態でも説明したように接着剤20はウレタン系のものが採用されており、接着剤20が高弾性を備えている場合は、「接着剤20が貫通孔22の内側に収まるように充填されている」という構成は必須のものではない。即ち、一部の貫通孔22において、あるいは各貫通孔22の一部において、貫通孔22の内周面(樹脂パネル13)に接着剤20が接触していたとしても構わない。この場合、貫通孔22において樹脂パネル13の膨張あるいは収縮に伴って高弾性の接着剤20が変形し緩衝材として機能するからである。このように接着剤20の弾性体としての特性を積極的に利用することで、積層パネル11に設けられた貫通孔22に接着剤20を充填する際の、量の管理や充填位置の管理が簡素化される。
なお、図6に示す領域S1と領域S2とで、使用する接着剤20の種類を異ならせてもよい。即ち、領域S1についてはより硬化時の硬度が高い(弾性が小さい)接着剤20を用いてホルダ15による積層パネル11の支持機能を優先させ、他方、領域S2については領域S1よりも高弾性の接着剤20を用いて、支持機能を確保しつつ樹脂パネル13の変形を吸収する機能を優先させるようにしてもよい。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態おいて、車体1における積層パネル11の支持構造を示す説明図である。第1、第2実施形態では、パネルアセンブリ10は積層パネル11、ホルダ15等を備えて独立した形態を備えていたが、第3実施形態ではホルダ15は車体1の一部で構成されている点が特徴となっている。
図8は、本発明の第3実施形態おいて、車体1における積層パネル11の支持構造を示す説明図である。第1、第2実施形態では、パネルアセンブリ10は積層パネル11、ホルダ15等を備えて独立した形態を備えていたが、第3実施形態ではホルダ15は車体1の一部で構成されている点が特徴となっている。
第3実施形態では、図8に示すように積層パネル11は車体1を構成するルーフサイドレール50に直接取り付けられており、ここでは積層パネル11の開閉を行うことは想定されていない。ルーフサイドレール50は、車体1の前後に左右一対設けられ、上部材50aと下部材50bとが溶接によって一体化された高剛性の車体骨格の一部であり、室内側には上部材50aと下部材50bとが重畳するように延設された水平面50cを備えている。第3実施形態では、この水平面50cに積層パネル11が支持、固定される。
積層パネル11は、第1実施形態で説明したものと同様の構成を備え、ガラスパネル12と樹脂パネル13とは接着媒体14を介在して積層されており、ガラスパネル12は、樹脂パネル13の外縁からさらに外方に延出する延出部12aを含んでいる。この延出部12aはルーフサイドレール50に形成された水平面50cと対向する位置に配置され、積層パネル11の延出部12a(即ち、積層パネル11のうちガラスパネル12が単層となっている部分)と水平面50cとの間には接着剤20が充填される。この接着剤20によってガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bが水平面50c、即ちルーフサイドレール50に固定されている。第3実施形態では、接着剤20は積層パネル11とルーフサイドレール50との間の水密状態を確保する封止材としての役割も担っている。
水平面50cの更に室内側には、接着剤20と所定間隔だけ離間して保持部材51が設けられている。保持部材51は第1実施形態で説明した規制部材17(図4参照)に対応し、積層パネル11のうち樹脂パネル13(即ち、ガラスパネル12と樹脂パネル13とが重畳した部分)と対向する位置に設けられて、積層パネル11を下方から保持する部材である。保持部材51はゴム等の弾性体で構成され、積層パネル11の上下方向における取り付け位置を規制するとともに、積層パネル11に加わる外力に対して支持構造全体としての強度を確保する。ここで、樹脂パネル13は保持部材51の上面に対して固定されておらず、樹脂パネル13が膨張あるいは収縮した際に、樹脂パネル13は保持部材51の上面に対して相対的に変位可能とされている。
ルーフサイドレール50による積層パネル11の支持強度を向上させるためには、保持部材51は樹脂パネル13に接触して左右方向に摩擦力を発現することが望ましいが、接着剤20によって十分な支持強度が得られる場合、保持部材51と樹脂パネル13との間に若干の隙間を設けてもよい。また樹脂パネル13が膨張あるいは収縮した際に、この変形を阻害しないように保持部材51の上面に摺動性を高めるために例えばフッ素樹脂被膜を設けてもよく、また、保持部材51と対向する樹脂パネル13側に高摺動性(あるいは自己潤滑性)の金属膜等を形成してもよい。
また、図示するように、左右方向において接着剤20と樹脂パネル13との間に所定の隙間を設けるのが望ましい。ただし、車体1の製造工程において、保持部材51を取り付けたルーフサイドレール50の水平面50cに接着剤20を塗布して、その後に積層パネル11を組み付けた結果、接着剤20が左右に広がって、部分的に樹脂パネル13の外縁と接触する状態となっても構わない。上述したように、接着剤20としては高弾性のものが用いられており、樹脂パネル13が膨張した場合には、樹脂パネル13は接着剤20に側面から押圧されることとなるが、この押圧力は接着剤20によって吸収されるからである。
このように第3実施形態においては、車体1を構成するルーフサイドレール50と樹脂パネル13との間での直接的な接続は排除され、環境温度が変化して樹脂パネル13が膨張あるいは収縮したような場合であっても、積層パネル11の外縁の拡大や縮小が最小限に抑えられる。これによって、ルーフサイドレール50と積層パネル11(ガラスパネル12)との間の隙間の変化が小さくなるため、図示するように、ルーフサイドレール50と積層パネル11との間隔δDを小さくすることができ、車体1(図1参照)の外観の見栄えが向上する。また、ガラスパネル12の線膨張係数は小さいため、ガラスパネル12の膨張あるいは収縮によって、接着剤20に過大な剪断応力が作用することもない。
以上、本発明の第3実施形態に係る積層パネル11の支持構造について説明したが、積層パネル11をルーフサイドレール50以外の他の構成要素に取り付けてもよい。例えば、ルーフサイドレール50に加えて、ルーフフロントレール(図示せず)やルーフサイドレール間に架け渡されるセンターフレーム(図示せず)によっても積層パネル11を支持する構成とすれば、これらによって形成される車体開口部3(図1参照)に、簡易に固定式のサンルーフを設けることが可能となる。
(第4実施形態)
図9(a)は、本発明の第4実施形態に係る積層パネル11の支持構造が適用される部位を示す上面図、(b),(c),(d)は、積層パネル11の支持構造の例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb断面を、図9(c)は、図9(a)のIXc−IXc断面を、図9(d)は、図9(a)のIXd−IXd断面をそれぞれ示している。第3実施形態では、積層パネル11は車体1の一部で構成される支持部材(ルーフサイドレール50)に対して固定されていたが、第4実施形態では、積層パネル11は車体1の一部と連結された支持部材に固定される点が特徴となっている。なお、図9(a)において、積層パネル11は固定式のパノラマサンルーフ70を構成している。
図9(a)は、本発明の第4実施形態に係る積層パネル11の支持構造が適用される部位を示す上面図、(b),(c),(d)は、積層パネル11の支持構造の例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb断面を、図9(c)は、図9(a)のIXc−IXc断面を、図9(d)は、図9(a)のIXd−IXd断面をそれぞれ示している。第3実施形態では、積層パネル11は車体1の一部で構成される支持部材(ルーフサイドレール50)に対して固定されていたが、第4実施形態では、積層パネル11は車体1の一部と連結された支持部材に固定される点が特徴となっている。なお、図9(a)において、積層パネル11は固定式のパノラマサンルーフ70を構成している。
図9(b)に示すように、積層パネル11は前方側をフロント側ホルダ55によって支持されている。フロント側ホルダ55は、その前方に第1水平面55aと、後方に第2水平面55bを備え、第1水平面55aと第2水平面55bとの間には下方に凹陥する凹部55cが形成されている。そして、第1水平面55aには接着剤20が塗布され、接着剤20によって、ガラスパネル12の延出部12aはフロント側ホルダ55に接着、固定されている。また、第2水平面55bには保持部材51が設けられ、保持部材51は樹脂パネル13に当接して樹脂パネル13を下方から支持する。
また、図9(c)に示すように、積層パネル11は後方側をリア側ホルダ56によって支持されている。リア側ホルダ56は最後方に第1水平面56aと、第1水平面56aから前方に向けて形成され第1水平面56aに対して一段低く設けられた第2水平面56bと、最前方に形成され第2水平面56bと略同一高さに設けられた第3水平面56cと、を備える。そして第2水平面56bと第3水平面56cとの間には下方に凹陥する凹部56dが形成されている。そして、第1水平面56aには接着剤20が塗布され、接着剤20によって、ガラスパネル12の延出部12aはリア側ホルダ56に接着、固定されている。また、第2水平面56bおよび第3水平面56cには保持部材51が設けられ、2つの保持部材51、51は樹脂パネル13に当接して樹脂パネル13を下方から支持する。このように保持部材51を離散的に複数設けて、樹脂パネル13を内外で支持することで、支持強度を向上させることができる。
また、図9(d)に示すように、積層パネル11は側方をサイド側ホルダ57によって支持されている。図9(d)は、車体1(図1参照)の左側における積層パネル11の支持構造を示しているが、この構造は車体1の右側についても対称に設けられている。サイド側ホルダ57は、車外側(左側)に第1水平面57aと、第1水平面57aから室内側に向けて形成され第1水平面57aに対して一段低く設けられた第2水平面57bと、第2水平面57bの室内側の端部において下方に折り曲げ加工された連結部57cと、を備える。そして、第1水平面57aには接着剤20が塗布され、接着剤20によってガラスパネル12の延出部12aはサイド側ホルダ57に接着、固定されている。また、第2水平面57bと対向する位置において、樹脂パネル13および接着媒体14には貫通孔22が設けられており、この貫通孔22の内部に充填された接着剤20によって、ガラスパネル12はサイド側ホルダ57の第2水平面57bに接着、固定されている。
サイド側ホルダ57の連結部57cは、車体1を構成するルーフパネルスチフナ60等にボルト61等を用いて連結されている。このように積層パネル11は、支持部材としてのサイド側ホルダ57によって車体1の一部に固定される。なお、図9(b)〜(d)では、ガラスパネル12の端縁に設けられるシール部材16(図4等参照)の記載は省略されているが、第3実施形態で説明したように、シール部材16を用いず接着剤20を封止材として兼用してもよい。
このように、第4実施形態に係る積層パネル11の支持構造では、パノラマサンルーフ70を構成する積層パネル11は、その前後端部においては第1実施形態に近似する構成を備え、左右端部においては第2実施形態と近似する構成を備えている。なお、第4実施形態では、図9(b)に示す構成をパノラマサンルーフ70の前端部に、図9(c)に示す構成をパノラマサンルーフ70の後端部に適用するものとして説明したが、図9(b)および図9(c)の構成は互換性を有しており、積層パネル11の重量や必要とする支持強度に応じて適宜選択すればよい。また、図9(b)〜(d)では、フロント側ホルダ55、リア側ホルダ56、サイド側ホルダ57をそれぞれ別体のものとして説明したが、これらを第1、第2実施形態で説明したように、一体のホルダ15(図2参照)として構成してもよい。
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態に係る開閉式天窓100の概略を示す斜視図である。開閉式天窓100は、家屋の屋根99に設置された本体部101と可動窓102とで構成される。
図10は、本発明の第5実施形態に係る開閉式天窓100の概略を示す斜視図である。開閉式天窓100は、家屋の屋根99に設置された本体部101と可動窓102とで構成される。
本体部101は固定枠103を備え、固定枠103の左右には一対のスライダ104が設けられている。また、可動窓102は、積層パネル11と、積層パネル11を支持するホルダ15と、可動窓102の左右に一対設けられた略三角形状のステー105と、ステー105に接続されたスライドバー106と、を備えている。ホルダ15は、家屋の屋根99に設けた開閉式天窓100の固定枠103(あるいはスライダ104)に対して連結部材としてのステー105によって連結されている。各ステー105はスライダ104の内部で前後方向に摺動可能に支持され、他方、ステー105は本体部101に設けられた図示しない駆動源と接続されている。駆動源を動作させることによって、使用者は可動窓102を固定枠103に対して相対的に移動させて、窓を開閉することが可能となっている。
ここで可動窓102は、第1、第2実施形態等で説明したパネルアセンブリ10(図2等を参照)に相当している。パネルアセンブリ10を構成する積層パネル11やホルダ15は第1、第2実施形態と同様に構成され、ここで図2を援用すると、積層パネル11は屋外側(上側)にガラスパネル12が、屋内側(下側)に樹脂パネル13が配置され、これらの間には接着媒体14が設けられる。ただし、第5実施形態においては、シール部材(図示せず)はホルダ15ではなく固定枠103の側に設けられている。
ここで図4を援用すると、第5実施形態に係る開閉式天窓100についても、可動窓102を構成するガラスパネル12は、樹脂パネル13の外縁からさらに外方に延出する延出部12aを含み、延出部12aにおいて、ホルダ15はガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bに接着される。または、図6、図7を援用すると、樹脂パネル13は、その外縁に沿って配置された貫通孔22を有し、貫通孔22を介して、ホルダ15はガラスパネル12の樹脂パネル13側の主面12bに接着される。
家屋の屋根99も車両ルーフと同様に温度差が大きい環境下に置かれるが、第5実施形態に係る開閉式天窓100は、積層パネル11を支持するホルダ15は樹脂パネル13の変形の影響を受けないことから、積層パネル11を家屋の屋根99に取り付けた際に、屋根99の開口部(ここでは、固定枠103)と積層パネル11との間の隙間の変化を小さくすることができ、固定枠103に設けたシール部材(図示せず)を小型化できる。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、第1,第2実施形態では可動式のサンルーフ、第3,第4では固定式のサンルーフを例示して説明したが、本発明はフロントウィンドウやリアウィンドウにも適用することが可能である。更に、本発明を適用可能な車両は自動車に限定されず、また家屋に適用する場合も天窓に限定されるものではない。
なお、上記実施形態に示した本発明に係るパネルアセンブリ10および積層パネル11の支持構造の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明に係るパネルアセンブリおよび車体における積層パネルの支持構造は、環境温度が変化して樹脂パネルが膨張あるいは収縮したような場合であっても、車体等に設けられた開口部と積層パネルとの間の隙間の変化を小さくすることができ、シール部材を小型化することが可能となることから、自動車、船舶、鉄道車両、飛行機などの輸送機器全般、更に家屋用の天窓等について好適に利用することができる。
3 車体開口部
10 パネルアセンブリ
11 積層パネル
12 ガラスパネル(第1パネル)
12a 延出部
12b 主面
13 樹脂パネル(第2パネル)
13b 主面
14 接着媒体
15 ホルダ(支持部材)
15a 延設部
15b 基部
15c 凸部
15f 平坦面
15d 外枠
15i 平坦面
16 シール部材
17 規制部材
20 接着剤
22 貫通孔
50 ルーフサイドレール
51 保持部材
55 フロント側ホルダ
56 リア側ホルダ
57 サイド側ホルダ
57c 連結部
100 開閉式天窓
10 パネルアセンブリ
11 積層パネル
12 ガラスパネル(第1パネル)
12a 延出部
12b 主面
13 樹脂パネル(第2パネル)
13b 主面
14 接着媒体
15 ホルダ(支持部材)
15a 延設部
15b 基部
15c 凸部
15f 平坦面
15d 外枠
15i 平坦面
16 シール部材
17 規制部材
20 接着剤
22 貫通孔
50 ルーフサイドレール
51 保持部材
55 フロント側ホルダ
56 リア側ホルダ
57 サイド側ホルダ
57c 連結部
100 開閉式天窓
Claims (7)
- 第1パネル、および前記第1パネルに積層され、前記第1パネルよりも線膨張係数が大きい第2パネルを有する積層パネルと、
前記積層パネルの前記第2パネル側に設けられて前記積層パネルを支持する支持部材と、を備え、
前記第2パネルは、その外縁に沿って配置された貫通孔を有し、
前記支持部材は、前記貫通孔の内側で前記第1パネルの前記第2パネル側の主面に接着されていることを特徴とするパネルアセンブリ。 - 前記第1パネルは前記第2パネルの外縁からさらに外方に延出する延出部を有し、
前記支持部材は、更に前記延出部において前記第1パネルの前記第2パネル側の主面に接着されていることを特徴とする請求項1に記載のパネルアセンブリ。 - 間隔を空けて配置された複数の前記貫通孔が前記第2パネルの全周にわたって設けられ、
前記支持部材が前記第1パネルを全周にわたって支持すべく枠状に構成され、
前記支持部材の外縁に沿って前記支持部材を外囲するシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルアセンブリ。 - 前記支持部材は、前記第2パネルの主面に沿って前記第2パネルの主面の中央に向けて延設された延設部と、前記延設部の前記中央の側の端縁に沿って設けられ、前記第2パネルの前記延設部側への変位を規制する規制部材と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパネルアセンブリ。
- 前記第1パネルがガラスで構成され、前記第2パネルが樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のパネルアセンブリ。
- 第1パネル、および前記第1パネルに積層され、前記第1パネルよりも線膨張係数が大きい第2パネルを有する積層パネルと、
車体の一部で構成され、または車体の一部と連結され、前記積層パネルの前記第2パネル側に設けられて前記積層パネルを支持する支持部材と、を備え、
前記第2パネルは、その外縁に沿って配置された貫通孔を有し、
前記支持部材は、前記貫通孔の内側で前記第1パネルの前記第2パネル側の主面に接着されていることを特徴とする車体における積層パネルの支持構造。 - 前記第1パネルがガラスで構成され、前記第2パネルが樹脂で構成され、前記第1パネルが車体の外側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車体における積層パネルの支持構造。
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JP7533209B2 (ja) | 2020-12-25 | 2024-08-14 | トヨタ自動車株式会社 | 樹脂ルーフ |
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