JP2021503897A - 新生抗原のためのジャンクションエピトープ提示の低減 - Google Patents

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Abstract

治療用エピトープのセットを前提として、患者においてジャンクションエピトープが提示される尤度を低減するようにカセット配列を設計する。当該カセット配列は、当該カセットにおける一対の治療用エピトープの間にあるジャンクションにわたるジャンクションエピトープの提示を考慮して設計する。当該カセット配列は、当該カセットのジャンクションにそれぞれが関連付けられた距離メトリックのセットに基づいて設計され得る。当該距離メトリックは、一対の隣接するエピトープの間にわたるジャンクションエピトープのうちの1つ以上が提示される尤度を特定し得る。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月22日に出願した米国仮出願第62/590,045号の利益と優先権を主張するものであり、事実上、本明細書の一部を構成するものとして、同出願の全内容を援用する。
背景
腫瘍特異的な新生抗原に基づいた治療用ワクチンは、次世代の個別化がん免疫療法として極めて有望である。1〜3非小細胞肺癌(NSCLC)及びメラノーマなどの高い遺伝子変異量を有するがんは、新生抗原を生じる可能性が比較的高いことから、かかる治療法の特に有望な標的である。4,5初期の証拠により、新生抗原に基づいたワクチン接種がT細胞応答を誘発し、新生抗原を標的とした細胞療法が、選択された患者において腫瘍退縮を引き起こしうることが示されている。MHCクラスI及びMHCクラスIIはいずれもT細胞の応答に影響を及ぼす70〜71
新生抗原ワクチンの設計に関する1つの疑問は、対象とする腫瘍に存在する多数のコーディング変異のうちのどれが「最良の」治療用新生抗原(例えば、抗腫瘍免疫を誘発し、腫瘍退縮を引き起こすことができる抗原)を生じることができるか、ということである。
次世代のシークエンシング、RNA遺伝子発現、及び新生抗原ペプチドのMHC結合親和性の予測を用いた、変異に基づいた分析を取り入れた初期の方法が提案されている。しかしながら、これらの提案されている方法では、遺伝子発現及びMHC結合に加えて多くの段階(例えば、TAP輸送、プロテアソーム切断、MHC結合、ペプチド−MHC複合体の細胞表面への輸送、及び/またはMHC−IのTCRによる認識;エンドサイトーシスまたはオートファジー、細胞外またはリソソームプロテアーゼ(例えばカテプシン)による切断、HLA−DMにより触媒されるHLA結合に対するCLIPペプチドとの競合、ペプチド−MHC複合体の細胞表面への輸送、及び/またはMHC−IIのTCRによる認識)を含むエピトープ生成プロセスの全体をモデル化することはできない。したがって、既存の方法は、陽性適中率(PPV)が低くなるという問題を有する傾向にある(図1A)。
実際、複数の群によって実施された、腫瘍細胞により提示されるペプチドの分析は、遺伝子発現及びMHC結合親和性を用いて提示されることが予測されたペプチドの5%未満しか腫瘍表面のMHC上に見られないことを示している10,11(図1B)。結合予測とMHC提示との間のこのような低い相関は、変異の数単独に対してチェックポイント阻害剤反応について結合に制限された新生抗原の予測精度の向上が認められないことによってさらに指示されている12
提示を予測するための既存の方法のこのような低い陽性適中率(PPV)は、新生抗原に基づいたワクチンの設計において問題を提示する。PPVの低い予測を用いてワクチンが設計される場合、大部分の患者で治療用新生抗原が投与される可能性は低くなり、複数の新生抗原が投与される患者はさらに少なくなるものと考えられる(提示されるペプチドのすべてが免疫原性であると仮定したとしても)。したがって、現行の方法による新生抗原ワクチン接種は、腫瘍を有する対象の相当数において奏功する可能性は低い(図1C)。
さらに、これまでのアプローチは、シス作用性の変異のみを用いて候補新生抗原を生成するものであり、複数の腫瘍タイプで生じ、多くの遺伝子で異常スプライシングにつながるスプライシング因子の変異13、及びプロテアーゼ切断部位を生じるかまたは除去する変異を含む、新生ORFのさらなるソースをほとんどの場合で考慮していなかった。
腫瘍ゲノム及びトランスクリプトーム解析に対する標準的アプローチは、ライブラリ構築、エクソーム及びトランスクリプトームの捕捉、シークエンシング、またはデータ分析における最適に満たない条件のために、候補新生抗原を生ずる体細胞突然変異を見逃す可能性がある。同様に、標準的な腫瘍分析のアプローチでは、配列アーチファクトまたは生殖系列多型を新生抗原として誤って助長してしまう場合があり、それぞれワクチン容量の非効率的な利用または自己免疫のリスクにつながりうる。
新生抗原ワクチンはまた、一般的に、一連の治療用エピトープが次々に連結されたワクチンカセットとしても設計される。当該ワクチンカセット配列は、隣接する治療用エピトープのペアの間にリンカー配列を含んでも、または含まなくてもよい。カセット配列は、治療用エピトープのペアの間のジャンクションにわたる、新規でありながらも、無関係なエピトープ配列であるジャンクションエピトープをもたらすことができる。ジャンクションエピトープは、患者のHLAクラスIまたはクラスIIアレルが提示することができ、また、それぞれ、CD8またはCD4T細胞応答を刺激する。当該ジャンクションエピトープに反応するT細胞には治療効果が認められないため、このような反応は望ましくない場合がよくあり、また、抗原競合によって当該カセットでの選択された治療用エピトープに対する免疫応答を低下させ得る。
概要
本明細書では、個別化がんワクチン用の新生抗原を特定及び選択するための最適化されたアプローチが開示される。第1に、次世代新生抗原(NGS)を用いた新生抗原候補を特定するための最適化された腫瘍エクソーム及びトランスクリプトーム解析アプローチに対する取り組みを行う。これらの方法は、最も感度及び特異性の高い新生抗原候補がすべてのクラスのゲノム変化にわたって発展されるように、NGSによる腫瘍解析の標準的アプローチに立脚したものである。第2に、特異性の問題を克服し、ワクチン添加用に開発される新生抗原が抗腫瘍免疫をより誘発しやすくするために高PPVの新生抗原選択に対する新規なアプローチが提供される。これらのアプローチには、実施形態に応じて、ペプチド−アレルマッピングを共にモデル化する訓練された統計学的回帰または非線形ディープラーニングモデル、ならびに異なる長さのペプチドにわたって統計学的効力を共有する、複数の長さのペプチドについてのアレルごとのモチーフが含まれる。特に非線形ディープラーニングモデルは同じ細胞内の異なるMHCアレルを独立したものとして扱うように設計及び訓練することができるため、線形モデル同士が互いに干渉する線形モデルに伴う問題が解決される。最後に、新生抗原に基づいた個別化ワクチンの設計及び製造に関するさらなる懸案事項が解決される。
治療用エピトープのセットを前提として、患者においてジャンクションエピトープが提示される尤度を低減するようにカセット配列を設計する。当該カセット配列は、当該カセットにおける一対の治療用エピトープの間にあるジャンクションにわたるジャンクションエピトープの提示を考慮して設計する。一実施形態では、当該カセット配列は、当該カセットのジャンクションにそれぞれが関連付けられた距離メトリックのセットに基づいて設計される。当該距離メトリックは、一対の隣接するエピトープの間にわたる当該ジャンクションエピトープのうちの1つ以上が提示される尤度を特定し得る。一実施形態では、1つ以上の候補カセット配列が、治療用エピトープのセットを連結する配置をランダムに並べ替えることで生成しており、そして、所定の閾値を下回る提示スコア(例えば、距離メトリックの合計)を有するカセット配列を選択する。別の実施形態では、当該治療用エピトープを、ノードとしてモデル化しており、そして、隣接するエピトープのペアに関する距離メトリックは、対応するノード間の距離を表す。所定の閾値を厳密に一旦下回ったそれぞれの治療用エピトープを「訪れる」ための合計距離をもたらすカセット配列を選択する。
本発明のこれらの特徴、態様、及び側面、ならびに他の特徴、態様、及び側面は、以下の説明文及び添付の図面に関してより深い理解が得られるであろう。
新生抗原の特定に対する現在の臨床的アプローチを示す。 予測された結合ペプチドのうち、腫瘍細胞上に提示されるものは5%未満であることを示す。 新生抗原予測の特異性の問題の影響を示す。 結合予測が、新生抗原の特定に充分ではないことを示す。 ペプチド長の関数としてのMHC−I提示の確率を示す。 Promega社のダイナミックレンジ標準から生成された、例示的なペプチドスペクトルを示す。 特性の追加が、いかにモデルの陽性適中率を増大させるかを示す。 一実施形態による、患者におけるペプチド提示の尤度を特定するための環境の概略である。 一実施形態による、提示情報を取得する方法を説明する。 一実施形態による、提示情報を取得する方法を説明する。 一実施形態による、プレゼンテーション特定システムのコンピュータ論理構成要素を説明する、ハイレベルブロック図である。 一実施形態による、訓練データの例示的なセットを説明する。 MHCアレルに関連した例示的なネットワークモデルを説明する。 一実施形態による、MHCアレルによって共有される例示的なネットワークモデルNNH(・)を説明する。 別の実施形態による、MHCアレルによって共有される例示的なネットワークモデルNN(・)を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 2つのカセット配列の実施例についての距離メトリックの決定を例示する。 図1及び3に示した実体を実施するための例示的なコンピュータを説明する。
詳細な説明
I.定義
一般に、特許請求の範囲及び明細書において使用される用語は、当業者により理解される通常の意味を有するものとして解釈されるものとする。特定の用語を、さらなる明確性を与えるために下記に定義する。通常の意味と与えられる定義との間に矛盾が存在する場合、与えられる定義が用いられるものとする。
本明細書で使用するところの「抗原」という用語は、免疫反応を誘導する物質のことである。
本明細書で使用するところの「新生抗原」という用語は、例えば、腫瘍細胞の変異、または腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾によって、抗原を対応する野生型の親抗原とは異なるものとする少なくとも1つの変化を有する抗原のことである。新生抗原は、ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列を含んでよい。変異は、フレームシフトもしくは非フレームシフト挿入欠失(indel)、ミスセンスもしくはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、または、新生ORFを生じる任意のゲノム変化もしくは発現変化を含むことができる。変異はまた、スプライス変異体も含むことができる。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾は、異常リン酸化を含むことができる。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾はまた、プロテアソームによって生成されるスプライス抗原も含むことができる。Liepe et al.,A large fraction ofHLAclass I ligandsare proteasome− generated spliced peptides;Science.2016 Oct 21;354(6310):354−358を参照されたい。
本明細書で使用するところの「腫瘍新生抗原」という用語は、対象の腫瘍細胞または組織中に存在するが、対象の対応する正常細胞または組織中には存在しない新生抗原のことである。
本明細書において使用される場合、「新生抗原ベースのワクチン」という用語は、1つ以上の新生抗原、例えば複数の新生抗原に基づいたワクチンコンストラクトのことである。
本明細書において使用される場合、「候補新生抗原」という用語は、新生抗原を表しうる新たな配列を生じる変異、または他の異常のことである。
本明細書において使用される場合、「コード領域」という用語は、タンパク質をコード化する遺伝子の部分のことである。
本明細書において使用される場合、「コード変異」という用語は、コード領域で生じる変異のことである。
本明細書において使用される場合、「ORF」という用語は、オープンリーディングフレームを意味する。
本明細書において使用される場合、「新生ORF」という用語は、変異またはスプライシングなどの他の異常により生じる腫瘍特異的なORFのことである。
本明細書において使用される場合、「ミスセンス変異」という用語は、1つのアミノ酸から別のアミノ酸への置換を引き起こす変異である。
本明細書において使用される場合、「ナンセンス変異」という用語は、アミノ酸から終止コドンへの置換を引き起こす変異である。
本明細書において使用される場合、「フレームシフト変異」という用語は、タンパク質のフレームに変更を引き起こす変異である。
本明細書において使用される場合、「挿入欠失」という用語は、1つ以上の核酸の挿入または欠失である。
本明細書において使用される場合、2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列との関連での「同一率」(%)という用語は、下記の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTN、または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを用いて、または目視検査により測定される、最大の一致について比較し、整列させた場合に、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定の比率(%)が同じである2つ以上の配列または部分配列のことを指す。用途に応じて、「同一率」(%)は、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在するか、あるいは、比較される2つの配列の完全長にわたって存在することができる。
配列比較では、一般的に、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要な場合には部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一率(%)を算出する。あるいは、配列の類似性または相違性は、選択された配列位置(例えば、配列モチーフ)における特定のヌクレオチドの、または翻訳後の配列ではアミノ酸の有無の組み合わせによって確立することもできる。
比較を行うための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性の探索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理による実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によって、または目視検査によって実施することができる(一般的には、下記のAusubel et al.を参照)。
配列同一率(%)及び配列類似率(%)を決定するのに適したアルゴリズムの1つの例として、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に記載されるBLASTアルゴリズムがある。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公に入手可能である。
本明細書において使用される場合、「ノンストップまたはリードスルー」という用語は、天然の終止コドンの除去を引き起こす変異のことである。
本明細書において使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体が一般的に結合する、抗原の特異的な部分のことである。
本明細書において使用される場合、「免疫原性」という用語は、例えば、T細胞、B細胞、またはその両方を介して免疫応答を誘発する能力のことである。
本明細書において使用される場合、「HLA結合親和性」、「MHC結合親和性」という用語は、特異的な抗原と特異的なMHCアレルとの結合の親和性を意味する。
本明細書において使用される場合、「ベイト」という用語は、DNAまたはRNAの特異的な配列を試料から濃縮するために使用される核酸プローブのことである。
本明細書において使用される場合、「変異」という用語は、対象の核酸と、対照として使用される参照ヒトゲノムとの差である。
本明細書において使用される場合、「変異コール」という用語は、典型的にはシークエンシングからの、変異の存在のアルゴリズム的決定である。
本明細書において使用される場合、「多型」という用語は、生殖細胞系列変異、すなわち、個体のすべてのDNA保有細胞において見出される変異である。
本明細書において使用される場合、「体細胞変異」という用語は、個体の非生殖系列細胞において生じる変異である。
本明細書において使用される場合、「アレル」という用語は、遺伝子の1つのバージョンまたは遺伝子配列の1つのバージョンまたはタンパク質の1つのバージョンのことである。
本明細書において使用される場合、「HLA型」という用語は、HLA遺伝子アレルの相補体のことである。
本明細書において使用される場合、「ナンセンス変異依存分解機構」または「NMD」という用語は、未成熟な終止コドンに起因する細胞によるmRNAの分解のことである。
本明細書において使用される場合、「トランカル変異(truncal mutation)」という用語は、腫瘍の発生の初期に生じ、腫瘍の細胞の大部分に存在する変異である。
本明細書において使用される場合、「サブクローナル変異」という用語は、腫瘍の発生において後期に生じ、腫瘍の細胞の一部のみに存在する変異である。
本明細書において使用される場合、「エクソーム」という用語は、タンパク質をコードするゲノムのサブセットである。エクソームは、ゲノムの集合的なエクソンでありうる。
本明細書において使用される場合、「ロジスティック回帰」という用語は、従属変数が1に等しい確率のロジットが従属変数の線形関数としてモデル化される、統計からのバイナリデータ用の回帰モデルである。
本明細書において使用される場合、「ニューラルネットワーク」という用語は、多層の線形変換に続いて一般的に確率的勾配降下法及び逆伝搬により訓練された要素ごとの非線形変換を行うことからなる分類または回帰のための機械学習モデルである。
本明細書において使用される場合、「プロテオーム」という用語は、細胞、細胞の群、または個体によって発現される、及び/または翻訳されるすべてのタンパク質のセットのことである。
本明細書において使用される場合、「ペプチドーム」という用語は、細胞表面上のMHC−IまたはMHC−IIによって提示されるすべてのペプチドのセットのことである。ペプチドームは、細胞または細胞の集合の性質を指す場合もある(例えば、腫瘍ペプチドームは、腫瘍を含むすべての細胞のペプチドームの和集合を意味する)。
本明細書において使用される場合、「ELISPOT」という用語は、ヒト及び動物において免疫応答を観察するための一般的な方法である、酵素結合免疫吸着スポットアッセイを意味する。
本明細書において使用される場合、「デキサトラマー」という用語は、フローサイトメトリーにおいて抗原特異的T細胞染色に使用される、デキストランベースのペプチド−MHCマルチマーである。
本明細書において使用される場合、「寛容または免疫寛容」という用語は、1つ以上の抗原、例えば、自己抗原に対する免疫不応答の状態のことである。
本明細書において使用される場合、「中枢性寛容」という用語は、自己反応性T細胞クローンを欠失させること、または自己反応性T細胞クローンの免疫抑制性制御性T細胞(Treg)への分化を促進することのいずれかにより、胸腺において与えられる寛容である。
本明細書において使用される場合、「末梢性寛容」という用語は、中枢性寛容を生き延びた自己反応性T細胞を下方制御もしくはアネルギー化すること、またはこれらのT細胞のTregへの分化を促進することにより、末梢系において与えられる寛容である。
「試料」という用語は、静脈穿刺、排泄、射精、マッサージ、生検、針吸引、洗浄試料、擦過、外科的切開、もしくは介入、または当該技術分野において公知の他の手段を含む手段によって対象から採取された、単一細胞、または複数の細胞、または細胞の断片、または体液のアリコートを含むことができる。
「対象」という用語は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロ、雄または雌のいずれかの、細胞、組織、または生物体、ヒトまたは非ヒトを包含する。対象という用語は、ヒトを含む哺乳動物を含める。
「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒトの両方を包含し、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含むが、それらに限定されない。
「臨床的因子」という用語は、対象の状態、例えば、疾患の活性または重症度の測定を指す。「臨床的因子」は、非試料マーカーを含む、対象の健康状態のすべてのマーカー、ならびに/または、非限定的に年齢及び性別などの、対象の他の特徴を包含する。臨床的因子は、対象または所定の条件下の対象由来の試料(または試料の集団)の評定から取得され得るスコア、値、または値のセットであることができる。臨床的因子はまた、マーカー、及び/または遺伝子発現代替物などの他のパラメータによっても予測することができる。臨床的因子は、腫瘍タイプ、腫瘍サブタイプ、及び喫煙歴を含むことができる。
略語:MHC:主要組織適合性複合体;HLA:ヒト白血球抗原、またはヒトMHC遺伝子座;NGS:次世代シークエンシング;PPV:陽性適中率;TSNA:腫瘍特異的新生抗原;FFPE:ホルマリン固定パラフィン包埋;NMD:ナンセンス変異依存分解機構;NSCLC:非小細胞肺癌;DC:樹状細胞。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によってそうでない旨が明示されない限り、複数の指示物を含む点に留意されたい。
本明細書において直接定義されていない用語は、本発明の技術分野の範囲内で理解されるような、一般的にそれらに付随する意味を有するものとして理解されるべきである。本発明の態様の組成物、装置、方法など、ならびにそれらの製造または使用法を説明するうえで実施者にさらなる手引きを与える目的で特定の用語が本明細書で検討される。同じものについて複数の言い方がなされうる点は認識されるであろう。したがって、代替的な語及び同義語が、本明細書で検討される用語の任意の1つ以上について用いられる場合がある。本明細書においてある用語が詳述または検討されているか否かに重きが置かれるべきではない。いくつかの同義語または代用可能な方法、材料などが提供される。1つまたは数個の同義語または均等物の記載は、明確に述べられない限り、他の同義語または均等物の使用を除外しない。用語の例を含む例の使用は、あくまで説明を目的としたものにすぎず、本明細書における発明の態様の範囲及び意味を限定しない。
本明細書の本文において引用されるすべての参照文献、発行特許、及び特許出願は、あらゆる目的でそれらの全内容を参照により本明細書に援用するものである。
II.ジャンクションエピトープの提示を抑制する方法
本明細書では、新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法を開示している。一例として、そのような方法の1つは、以下のステップを含み得る:患者について、当該対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、当該ヌクレオチドシークエンシングデータが、当該腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、当該正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、当該ペプチド配列を当該対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、当該ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得するステップ;新生抗原のセットについての数値的提示尤度のセットを生成するために、コンピュータプロセッサを使用して当該新生抗原のペプチド配列を機械学習提示モデルに入力するステップであって、当該セットの内の各提示尤度が、対応する新生抗原が、当該対象の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を表す、前記入力するステップ。当該機械学習提示モデルは、訓練データセットに少なくとも基づいて同定される複数のパラメータを含む。この訓練データセットは、試料のセット内の各試料について、試料中に存在するとして同定されたMHCアレルのセット内の少なくとも1つのMHCアレルに結合したペプチドの存在を測定する質量分析で得たラベル;当該試料のそれぞれについて、訓練ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、訓練ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む訓練ペプチド配列;及び、入力として受け取った新生抗原のペプチド配列と、出力として生成した提示尤度との間の関係を表す関数を含む。当該方法は、以下のステップをさらに含み得る:当該対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定するステップであって、当該新生抗原の治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する所定の個数の新生抗原に対応する、前記同定するステップ;及び、当該対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定するステップであって、当該カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定するステップ。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの配列を当該機械学習提示モデルに入力することにより生成される提示尤度に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、1つ以上のジャンクションエピトープと、当該対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープは、第1の治療用エピトープの配列及び当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
リンカー配列は、第1の治療用エピトープと、当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、当該1つ以上のジャンクションエピトープは、当該リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
当該カセット配列を同定することは、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定するステップ;及び、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、当該対象の1つ以上のMHCアレル上での順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定するステップ、をさらに含み得る。
当該カセット配列を同定することは、当該治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成するステップ;各候補カセット配列について、当該候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、当該候補カセット配列の提示スコアを決定するステップ;及び、当該新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択するステップ、をさらに含み得る。
当該候補カセット配列のセットは、ランダムに生成し得る。
当該カセット配列を同定することは、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるxkmの数値を求めるステップであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、当該治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記ステップ;及び、
kmの解の数値に基づいて、当該カセット配列を選択するステップ
をさらに含み得る。
当該方法は、当該カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造する、または製造したステップをさらに含み得る。
本明細書では、新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法も開示しており、同方法は、患者について、当該対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、当該ヌクレオチドシークエンシングデータが、当該腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、当該正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、当該ペプチド配列を当該対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、当該ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、当該ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得するステップ;当該対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定するステップ:及び、当該対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定するステップであって、当該カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定するステップ、を含む。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成された提示尤度に基づいて決定され得るものであり、当該提示尤度は、当該1つ以上のジャンクションエピトープが当該患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、当該提示尤度のセットは、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、1つ以上のジャンクションエピトープと、当該対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープは、第1の治療用エピトープの配列及び当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
リンカー配列は、第1の治療用エピトープと、当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、当該1つ以上のジャンクションエピトープは、当該リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
当該カセット配列を同定することは、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定するステップ;及び、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、当該対象の1つ以上のMHCアレル上での順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定するステップ、をさらに含み得る。
当該カセット配列を同定することは、当該治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;各候補カセット配列について、当該候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、当該候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び、当該新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択するステップをさらに含み得る。
当該候補カセット配列のセットは、ランダムに生成され得る。
当該カセット配列を同定することは、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるxkmの数値を求めるステップであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、当該治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記ステップ;及び
kmの解の数値に基づいて、当該カセット配列を選択するステップ
をさらに含み得る。
当該方法は、当該カセット配列を含む腫瘍ワクチンの製造を行ったステップをさらに含み得る。
本明細書では、新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法も開示しており、同方法は、複数の対象を治療するための、共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットのためのペプチド配列を取得するステップであって、所定の個数のペプチド配列に対応する当該治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する、前記取得するステップ;及び、共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットにおける対応するペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含む当該カセット配列を同定するステップを含み、当該カセット配列を同定するステップは、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定することを含み、ここで、当該距離メトリックは、対応するMHCアレルの有病率をそれぞれが示す重みのセットと、MHCアレル上でのジャンクションエピトープのセットの提示尤度を示す対応するサブ距離メトリックとの組み合わせとして決定される。
本明細書では、連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンも開示しており、当該カセット配列は、以下のステップを行うことにより同定される:患者について、当該対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、当該ヌクレオチドシークエンシングデータが、当該腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、当該正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、当該ペプチド配列を当該対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、当該ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、当該ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得するステップ;当該対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定するステップ;及び、当該対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定するステップであって、当該カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定するステップ。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成された提示尤度に基づいて決定され、当該提示尤度は、当該1つ以上のジャンクションエピトープが当該患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、当該提示尤度のセットは、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、1つ以上のジャンクションエピトープと、当該対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープの提示は、当該1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定され得る。
当該1つ以上のジャンクションエピトープは、第1の治療用エピトープの配列及び当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
リンカー配列は、第1の治療用エピトープと、当該第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、当該1つ以上のジャンクションエピトープは、当該リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含み得る。
当該カセット配列を同定することは、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定するステップ;及び、治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、当該対象の1つ以上のMHCアレル上での順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定するステップをさらに含み得る。
当該カセット配列を同定することは、当該治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成するステップ;各候補カセット配列について、当該候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、当該候補カセット配列の提示スコアを決定するステップ;及び、当該新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択するステップをさらに含み得る。
当該候補カセット配列のセットは、ランダムに生成され得る。
当該カセット配列を同定することは、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるxkmの数値を求めることであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、第1の治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記ステップ;及び
kmの解の数値に基づいて、当該カセット配列を選択するステップ
をさらに含み得る。
当該カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
本明細書では、連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンも開示しており、当該カセット配列は、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、当該治療用エピトープの配列は、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、当該カセット配列のジャンクションエピトープは、閾値結合親和性を下回るHLA結合親和性を有する。
当該閾値結合親和性は、1000nM以上であり得る。
本明細書では、連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンも開示しており、当該カセット配列は、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、当該治療用エピトープの配列は、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、当該カセット配列のジャンクションエピトープの少なくとも閾値パーセンテージは、閾値提示尤度を下回る提示尤度を有する。
当該閾値パーセンテージは、50%であり得る。
III.新生抗原における腫瘍特異的変異の特定
また、ある特定の変異(例えば、がん細胞中に存在する変異またはアレル)の特定のための方法も、本明細書に開示する。特に、これらの変異は、がんを有する対象のがん細胞のゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはエクソーム中に存在し得るが、対象由来の正常組織には存在し得ない。
腫瘍における遺伝子変異は、それらが腫瘍において排他的にタンパク質のアミノ酸配列における変更をもたらす場合、腫瘍の免疫学的ターゲティングに有用と考えることができる。有用な変異は、以下を含む:(1)タンパク質において異なるアミノ酸をもたらす非同義変異;(2)C末端に新規の腫瘍特異的配列を有する、より長いタンパク質の翻訳をもたらす、終止コドンが修飾されているかまたは欠失しているリードスルー変異;(3)成熟mRNAにおけるイントロンの包含、したがって固有の腫瘍特異的タンパク質配列をもたらす、スプライス部位変異;(4)2種類のタンパク質の接合部に腫瘍特異的配列を有するキメラタンパク質を生じる、染色体再編成(すなわち、遺伝子融合);(5)新規の腫瘍特異的タンパク質配列を有する新たなオープンリーディングフレームをもたらす、フレームシフト変異または欠失。変異はまた、非フレームシフト挿入欠失、ミスセンスもしくはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、または、新生ORFを生じる任意のゲノム変化もしくは発現変化のうちの1つ以上も含むことができる。
例えば、腫瘍細胞におけるスプライス部位、フレームシフト、リードスルー、または遺伝子融合の変異から生じた、変異を有するペプチドまたは変異したポリペプチドは、腫瘍対正常細胞において、DNA、RNA、またはタンパク質をシークエンシングすることによって特定することができる。
また、変異は、以前に特定された腫瘍特異的変異を含むことができる。公知の腫瘍変異は、Catalogue of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)データベースで見出すことができる。
様々な方法を、個体のDNAまたはRNAにおいて特定の変異またはアレルの存在を検出するために利用可能である。この分野における進歩は、正確で、容易な、かつ安価な大規模SNP遺伝子型判定を提供している。例えば、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角線ゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、及びAffymetrix SNPチップなどの種々のDNA「チップ」技術を含むいくつかの技法が、記載されている。これらの方法は、典型的にはPCRによる、標的遺伝子領域の増幅を利用する。さらに他の方法は、侵襲性切断による小さなシグナル分子の生成及びその後の質量分析、または、固定化されたパッドロックプローブ及びローリングサークル増幅に基づく。特異的な変異を検出するための、当該技術分野において公知の方法のいくつかを、下記に要約する。
PCRベースの検出手段は、多数のマーカーの多重増幅を同時に含むことができる。例えば、サイズがオーバーラップせず、同時に解析することができるPCR産物を生成するようにPCRプライマーを選択することが、当該技術分野において周知である。あるいは、差次的にラベル化され、したがって、各々を差次的に検出することができるプライマーで異なるマーカーを増幅することが可能である。当然、ハイブリダイゼーションベースの検出手段により、試料における複数のPCR産物の差次的な検出が可能になる。複数のマーカーの多重解析を可能にする他の技法が、当該技術分野において公知である。
いくつかの方法が、ゲノムDNAまたは細胞RNAにおける単一ヌクレオチド多型の解析を容易にするために開発されている。例えば、一塩基多型は、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)において開示されているような、特化されたエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを用いることによって検出することができる。この方法にしたがって、多型部位のすぐ3’のアレル配列に対して相補的なプライマーを、特定の動物またはヒトから取得された標的分子に対してハイブリダイズさせる。標的分子上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド誘導体に対して相補的であるヌクレオチドを含有する場合、その誘導体は、ハイブリダイズされたプライマーの末端上に組み込まれる。そのような組み込みのために、プライマーはエキソヌクレアーゼに対して抵抗性になり、それによりその検出が可能になる。試料のエキソヌクレアーゼ抵抗性誘導体の同一性は既知であるため、プライマーがエキソヌクレアーゼに対して抵抗性になったという知見により、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが、反応において使用されたヌクレオチド誘導体のものに対して相補的であることが明らかになる。この方法は、多量の外来性配列データの決定を必要としないという利点を有する。
多型部位のヌクレオチドの同一性を決定するために、溶液ベースの方法を使用することができる(Cohen,D.et al.(フランス国特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/02087号)。米国特許第4,656,127号のMundyの方法におけるように、多型部位のすぐ3’のアレル配列に対して相補的であるプライマーを使用する。この方法は、多型部位のヌクレオチドに対して相補的である場合は、プライマーの末端上に組み込まれるようになる、ラベル化ジデオキシヌクレオチド誘導体を用いて、その部位のヌクレオチドの同一性を決定する。Genetic Bit AnalysisまたはGBAとして公知である代替的な方法が、Goelet,P.et al.(PCT出願第92/15712号)により記載されている。Goelet,P.et al.の方法は、ラベル化ターミネーターと、多型部位の3’の配列に対して相補的であるプライマーとの混合物を使用する。Goelet,P.et al.の方法は、ラベル化ターミネーターと、多型部位の3’の配列に対して相補的であるプライマーとの混合物を使用する。Cohen et al.(フランス国特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/02087号)の方法とは対照的に、Goelet,P.et al.の方法は、プライマーまたは標的分子が固相に固定化される、不均一相アッセイであることができる。
DNAにおいて多型部位をアッセイするための、いくつかのプライマーガイドヌクレオチド組み込み手順が、記載されている(Komher,J.S.et al.,Nucl.Acids.Res.17:7779−7784(1989);Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990);Syvanen,A.−C.,et al.,Genomics 8:684−692(1990);Kuppuswamy,M.N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)88:1143−1147(1991);Prezant,T.R.et al.,Hum.Mutat.1:159−164(1992);Ugozzoli,L.et al.,GATA 9:107−112(1992);Nyren,P.et al.,Anal.Biochem.208:171−175(1993))。これらの方法は、それらが、多型部位で塩基間を識別するためにラベル化デオキシヌクレオチドの組み込みを利用する点で、GBAとは異なる。そのような形式において、シグナルは、組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドのランにおいて起こる多型は、ランの長さに比例するシグナルを結果としてもたらすことができる(Syvanen,A.−C.,et al.,Amer.J.Hum.Genet.52:46−59(1993))。
数多くのイニシアティブは、DNAまたはRNAの何百万もの個々の分子から並行して直接、配列情報を取得する。リアルタイムの単一分子の合成によるシークエンシング技術は、シークエンシングされる鋳型に対して相補的であるDNAの新生鎖の中に組み込まれる際の、蛍光ヌクレオチドの検出に依拠する。1つの方法において、長さが30〜50塩基のオリゴヌクレオチドを、ガラスのカバーガラスに、5’端で共有結合性に固着させる。これらの固着した鎖は、2つの機能を果たす。第1に、それらは、鋳型が、表面結合オリゴヌクレオチドに対して相補的な捕捉尾部を有して構成されている場合に、標的鋳型鎖の捕捉部位として作用する。それらはまた、配列読み取りの基礎を形成する、鋳型指向性プライマー伸長のためのプライマーとしても作用する。捕捉プライマーは、複数サイクルの合成、検出、及び、色素を除去するための色素−リンカーの化学的切断を用いた、シークエンシングのための、固定された位置部位として機能する。各サイクルは、ポリメラーゼ/ラベル化ヌクレオチド混合物の添加、リンス、画像化、及び色素の切断からなる。代替的な方法において、ポリメラーゼは、蛍光ドナー分子で修飾されてスライドガラス上に固定化され、他方、各ヌクレオチドは、γ−ホスファートに付着したアクセプター蛍光部分で色分けされている。ヌクレオチドが、新規の鎖の中に組み込まれるようになる際に、システムが、蛍光タグ付加されたポリメラーゼと蛍光修飾されたヌクレオチドとの間の相互作用を検出する。他の合成によるシークエンシング技術もまた、存在する。
任意の適している合成によるシークエンシングプラットフォームを、変異を特定するために使用することができる。上記のように、4種類の主要な合成によるシークエンシングプラットフォームを、現在利用可能である:Roche/454 Life Sciencesより販売されるGenome Sequencer、Illumina/Solexaより販売される1G Analyzer、Applied BioSystemsより販売されるSOLiDシステム、及びHelicos Bioscienceより販売されるHeliscopeシステム。合成によるシークエンシングプラットフォームはまた、Pacific BioSciences及びVisiGen Biotechnologiesによっても記載されている。いくつかの実施形態において、シークエンシングされる多数の核酸分子は、支持体(例えば、固体支持体)に結合している。核酸を支持体上に固定化するために、捕捉配列/万能プライミング部位を、鋳型の3’端及び/または5’端に付加することができる。核酸は、支持体に共有結合性に付着した相補的配列に対して捕捉配列をハイブリダイズすることによって、支持体に結合させることができる。捕捉配列(万能捕捉配列とも呼ばれる)は、万能プライマーとして二重に働き得る、支持体に付着した配列に対して相補的な核酸配列である。
捕捉配列に対する代替物として、カップリングペア(例えば、抗体/抗原、受容体/リガンド、または、例えば米国特許出願第2006/0252077号に記載されているようなアビジン−ビオチンペアなど)のメンバーを、各断片に連結させて、そのカップリングペアのそれぞれの第2のメンバーでコーティングされた表面上に捕捉させることができる。
捕捉に続いて、配列を、例えば、鋳型依存性の合成によるシークエンシングを含む、例えば、実施例及び米国特許第7,283,337号に記載されているような、単一分子検出/シークエンシングによって解析することができる。合成によるシークエンシングにおいて、表面に結合した分子は、ポリメラーゼの存在下で、多数のラベル化ヌクレオチド三リン酸に曝露される。鋳型の配列は、成長する鎖の3’端の中に組み込まれるラベル化ヌクレオチドの順序によって決定される。これは、リアルタイムで行うことができ、ステップ・アンド・リピートモードで行うことができる。リアルタイム解析のために、各ヌクレオチドに対して異なる光ラベルを組み込むことができ、複数のレーザーを、組み込まれたヌクレオチドの刺激のために利用することができる。
シークエンシングはまた、他の大規模並列処理シークエンシング、または次世代シークエンシング(NGS)技法及びプラットフォームも含むことができる。大規模並列処理シークエンシング技法及びプラットフォームの追加的な例は、Illumina HiSeqまたはMiSeq、ThermoPGMまたはProton、Pac Bio RS IIまたはSequel、QiagenのGene Reader、及びOxford Nanopore MinIONである。追加的な類似した現在の大規模並列処理シークエンシング技術、及びこれらの技術の将来世代を、使用することができる。
任意の細胞タイプまたは組織を利用して、本明細書に記載した方法における使用のための核酸試料を取得することができる。例えば、DNAまたはRNA試料を、腫瘍または体液、例えば、公知の技法(例えば、静脈穿刺)によって取得された血液、もしくは唾液から取得することができる。あるいは、核酸試験を、乾燥試料(例えば、髪または皮膚)に対して行うことができる。加えて、試料を、シークエンシングのために腫瘍から取得することができ、別の試料を、正常組織が腫瘍と同じ組織タイプのものである場合に、シークエンシングのために正常組織から取得することができる。試料を、シークエンシングのために腫瘍から取得することができ、別の試料を、正常試料が腫瘍とは別個の組織タイプのものである場合に、シークエンシングのために正常組織から取得することができる。
腫瘍は、肺癌、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、及びT細胞リンパ球性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌のうちの1つ以上を含むことができる。
あるいは、タンパク質質量分析を使用して、腫瘍細胞上のMHCタンパク質に結合した変異したペプチドの存在を特定または実証することができる。ペプチドは、腫瘍細胞から、または腫瘍から免疫沈降させたHLA分子から酸溶出することができ、次いで、質量分析を用いて特定することができる。
IV.新生抗原
新生抗原は、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むことができる。例えば、新生抗原は、ポリペプチド配列をコードするRNA配列であることができる。ワクチンにおいて有用な新生抗原は、したがって、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を含むことができる。
本明細書に開示する方法によって特定された腫瘍特異的変異を含む単離されたペプチド、公知の腫瘍特異的変異を含むペプチド、及び、本明細書に開示する方法によって特定された変異ポリペプチドまたはその断片を、本明細書に開示する。新生抗原ペプチドは、新生抗原が関連するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)を含む場合に、それらのコード配列の文脈において記載することができる。
新生抗原ヌクレオチド配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドは、以下のうちの少なくとも1つを含むことができる:1000nM未満のIC50値でのMHCとの結合親和性、MHCクラスIペプチドについてはアミノ酸8〜15個、8、9、10、11、12、13、14、または15個の長さ、プロテアソーム切断を促進するペプチド内またはその近くの配列モチーフの存在、及び、TAP輸送を促進する配列モチーフの存在。MHCクラスIIのポリペプチドではアミノ酸6〜30、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の長さ、細胞外またはリソソームプロテアーゼ(例えば、カテプシン類)による切断またはHLA−DMにより触媒されるHLA結合を促進するペプチド内またはその近くの配列モチーフの存在。
1つ以上の新生抗原は、腫瘍の表面上に存在することができる。
1つ以上の新生抗原は、腫瘍を有する対象において免疫原性であることができ、例えば、対象においてT細胞応答またはB細胞応答を惹起することができ得る。
対象において自己免疫応答を誘導する1つ以上の新生抗原は、腫瘍を有する対象のためのワクチン生成の文脈において、考察から排除することができる。
少なくとも1つの新生抗原性ペプチド分子のサイズは、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、約31個、約32個、約33個、約34個、約35個、約36個、約37個、約38個、約39個、約40個、約41個、約42個、約43個、約44個、約45個、約46個、約47個、約48個、約49個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個、またはそれよりも多いアミノ分子残基、及びこれらの範囲から導出される任意の範囲を含むことができるが、それらに限定されない。具体的な実施形態において、新生抗原性ペプチド分子は、アミノ酸50個以下である。
新生抗原性ペプチド及びポリペプチドは、MHCクラスIについては長さが15残基以下で、通常約8〜約11残基の間からなり、特に9または10残基であることができ;MHCクラスIIについては、6〜30残基であることができる。
望ましい場合、より長いペプチドを、いくつかのやり方において設計することができる。1つの例において、HLAアレル上のペプチドの提示尤度が予測されるかまたは公知である場合、より長いペプチドは、(1)各々の対応する遺伝子産物のN末端及びC末端に向かって2〜5アミノ酸の伸長を有する個々の提示されるペプチド;(2)各々について伸長した配列を有する、提示されるペプチドのいくつかまたはすべての連鎖のいずれかからなることができる。別の例において、シークエンシングにより、腫瘍中に存在する長い(10残基より長い)新生エピトープ配列(例えば、新規のペプチド配列をもたらすフレームシフト、リードスルー、またはイントロンの包含による)が明らかになる場合、より長いペプチドは、(3)新規の腫瘍特異的アミノ酸のストレッチ全体からなることになり、したがって、最強のHLAに提示されるより短いペプチドの計算的なまたはインビトロ試験ベースの選択の必要を回避する。いずれの例においても、より長いペプチドの使用によって、患者細胞による内因性のプロセシングが可能になり、より有効な抗原提示及びT細胞応答の誘導がもたらされ得る。
新生抗原性ペプチド及びポリペプチドは、HLAタンパク質上に提示されることができる。いくつかの態様において、新生抗原性ペプチド及びポリペプチドは、野生型ペプチドよりも強い親和性でHLAタンパク質上に提示される。いくつかの態様において、新生抗原性ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも5000nM未満、少なくとも1000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも250nM未満、少なくとも200nM未満、少なくとも150nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満、またはそれよりも小さいIC50を有することができる。
いくつかの態様において、新生抗原性ペプチド及びポリペプチドは、対象に投与された場合に、自己免疫応答を誘導せず、及び/または免疫寛容を引き起こさない。
また、少なくとも2種類以上の新生抗原性ペプチドを含む組成物も提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも2種類の異なるペプチドを含有する。少なくとも2種類の異なるペプチドは、同じポリペプチドに由来することができる。異なるポリペプチドとは、ペプチドが、長さ、アミノ酸配列、またはその両方において異なることを意味する。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有することが知られているか、または見出されている任意のポリペプチドに由来する。新生抗原性ペプチドが由来することができる、適しているポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースにおいて見出すことができる。COSMICは、ヒトがんにおける体細胞性変異についての総合的な情報の管理を行う。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有する。いくつかの態様において、腫瘍特異的変異は、特定のがんタイプについてのドライバー変異である。
望ましい活性または性質を有する新生抗原性ペプチド及びポリペプチドは、望ましいMHC分子に結合して適切なT細胞を活性化する非改変ペプチドの生物学的活性を増大させるかまたは実質的にそのすべてを少なくとも保持しつつ、特定の望ましい属性、例えば、改善された薬理学的特徴を与えるように改変することができる。例として、新生抗原性ペプチド及びポリペプチドを、保存的または非保存的のいずれかの置換などの、種々の改変にさらに供することができ、そのような改変は、改善されたMHC結合、安定性、または提示などの、それらの使用におけるある特定の利点を提供し得る。保存的置換とは、アミノ酸残基を、生物学的及び/または化学的に類似している別のもので、例えば、1つの疎水性残基を別の疎水性残基、または1つの極性残基を別の極性残基で置き換えることを意味する。置換は、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrなどの組み合わせを含む。単一アミノ酸置換の効果はまた、D−アミノ酸を用いて探査してもよい。そのような改変は、例えば、Merrifield,Science 232:341−347(1986),Barany & Merrifield,The Peptides,Gross & Meienhofer,eds.(N.Y.,Academic Press),pp.1−284(1979);及びStewart & Young,Solid Phase Peptide Synthesis,(Rockford,Ill.,Pierce),2d Ed.(1984)に記載されているように、周知のペプチド合成手順を用いて行うことができる。
種々のアミノ酸模倣物または非天然アミノ酸でのペプチド及びポリペプチドの改変は、インビボでのペプチド及びポリペプチドの安定性の増大に特に有用である場合がある。安定性は多くの方法でアッセイすることができる。例として、ペプチダーゼ、ならびに、ヒト血漿及び血清などの種々の生物学的媒質が、安定性を試験するために使用されている。例えば、Verhoef et al.,Eur.J.Drug Metab Pharmacokin.11:291−302(1986)を参照されたい。ペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを用いて好都合に決定することができる。プロトコールは、概して以下のようなものである。プールしたヒト血清(タイプAB、非熱不活性化)を、使用前に遠心分離によって脱脂する。次いで、血清を、RPMI組織培養培地で25%に希釈し、ペプチド安定性を試験するために使用する。あらかじめ決定された時間間隔で、少量の反応溶液を取り出して、6%水性トリクロロ酢酸またはエタノールのいずれかに添加する。濁った反応試料を15分間冷却(4℃)し、次いで、スピンして沈降血清タンパク質を沈殿させる。次いで、ペプチドの存在を、安定性特異的クロマトグラフィー条件を用いた逆相HPLCによって決定する。
ペプチド及びポリペプチドを、改善された血清半減期以外の望ましい属性を提供するために修飾することができる。例として、CTL活性を誘導するペプチドの能力を、Tヘルパー細胞応答を誘導することができる少なくとも1つのエピトープを含有する配列への連結によって増強することができる。免疫原性ペプチド/Tヘルパーコンジュゲートは、スペーサー分子によって連結することができる。スペーサーは、典型的には、生理学的条件下で実質的に無電荷である、アミノ酸またはアミノ酸模倣物などの相対的に小さな中性分子から構成される。スペーサーは、典型的には、例えば、Ala、Gly、または、非極性アミノ酸もしくは中性極性アミノ酸の他の中性スペーサーから選択される。任意で存在するスペーサーは、同じ残基から構成される必要はなく、したがって、ヘテロオリゴマーまたはホモオリゴマーであり得ることが、理解されるであろう。存在する場合、スペーサーは、通常、少なくとも1または2残基、より通常は、3〜6残基であろう。あるいは、ペプチドを、スペーサーなしでTヘルパーペプチドに連結することができる。
新生抗原性ペプチドは、ペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかで、直接またはスペーサーを介してのいずれかでTヘルパーペプチドに連結することができる。新生抗原性ペプチドまたはTヘルパーペプチドのいずれかのアミノ末端を、アシル化することができる。例示的なTヘルパーペプチドは、破傷風毒素の830〜843、インフルエンザの307〜319、マラリアスポロゾイトの周囲382〜398及び378〜389を含む。
タンパク質またはペプチドは、標準的な分子生物学的技法を通したタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの発現、天然由来源からのタンパク質もしくはペプチドの単離、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成を含む、当業者に公知の任意の技法によって作製することができる。種々の遺伝子に対応する、ヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチド及びペプチドの配列は、以前に開示されており、当業者に公知のコンピュータ処理されたデータベースで見出すことができる。1つのそのようなデータベースは、National Institutes of Healthのウェブサイトに位置する、National Center for Biotechnology InformationのGenbank及びGenPeptデータベースである。公知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示する技法を用いて、または当業者に公知であるように、増幅及び/または発現させることができる。あるいは、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドの種々の商業的調製物が、当業者に公知である。
さらなる態様において、新生抗原は、新生抗原性ペプチドまたはその一部をコードする核酸(例えば、ポリヌクレオチド)を含む。ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNA(例えば、mRNA)、例えば、ホスホロチオアートバックボーンを有するポリヌクレオチドなどの、ポリヌクレオチドの一本鎖及び/もしくは二本鎖、または天然形態もしくは安定化形態のいずれか、または、それらの組み合わせであることができ、イントロンを含有してもよく、または含有しなくてもよい。またさらなる態様は、ポリペプチドまたはその一部を発現することができる発現ベクターを提供する。様々な細胞タイプ用の発現ベクターが、当該技術分野において周知であり、過度の実験なしで選択することができる。概して、DNAを、プラスミドなどの発現ベクター中に、発現のための適正な方向及び正確なリーディングフレームで挿入する。必要な場合は、DNAを、望ましい宿主によって認識される適切な転写及び翻訳調節性制御ヌクレオチド配列に連結することができるが、そのような制御は、概して発現ベクターにおいて利用可能である。次いで、ベクターを、標準的な技法を通して宿主中に導入する。手引きは、例えば、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.において見出すことができる。
V.ワクチン組成物
また、特異的な免疫応答、例えば、腫瘍特異的な免疫応答を生じることができる免疫原性組成物、例えば、ワクチン組成物も、本明細書に開示する。ワクチン組成物は、典型的に、例えば、本明細書に記載した方法を用いて選択された多数の新生抗原を含む。ワクチン組成物はまた、ワクチンと呼ぶこともできる。
ワクチンは、1〜30種類のペプチド、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30種類の異なるペプチド、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14種類の異なるペプチド、または12、13、もしくは14種類の異なるペプチドを含有することができる。ペプチドは、翻訳後修飾を含むことができる。ワクチンは、1〜100種類もしくはそれよりも多いヌクレオチド配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100種類もしくはそれよりも多い異なるヌクレオチド配列、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14種類の異なるヌクレオチド配列、または12、13、もしくは14種類の異なるヌクレオチド配列を含有することができる。ワクチンは、1〜30種類の新生抗原配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100種類もしくはそれよりも多い異なる新生抗原配列、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14種類の異なる新生抗原配列、または12、13、もしくは14種類の異なる新生抗原配列を含有することができる。
一実施形態では、異なるペプチド及び/またはポリペプチド、またはそれらをコードするヌクレオチド配列は、ペプチド及び/またはポリペプチドが、異なるMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子などの異なるMHC分子と結合することができるように選択される。いくつかの態様において、1つのワクチン組成物は、最も頻繁に存在するMHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子と結合することができるペプチド及び/またはポリペプチドのコード配列を含む。したがって、ワクチン組成物は、少なくとも2種類の好ましい、少なくとも3種類の好ましい、または少なくとも4種類の好ましいMHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子と結合することができる異なる断片を含むことができる。
ワクチン組成物は、特異的な細胞傷害性T細胞応答、及び/または特異的なヘルパーT細胞応答を生じることができる。
ワクチン組成物は、アジュバント及び/または担体をさらに含むことができる。有用なアジュバント及び担体の例を、本明細書の下記に示す。組成物は、例えば、タンパク質などの担体、または、例えば、T細胞に対してペプチドを提示することができる樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞と結合することができる。
アジュバントは、ワクチン組成物中へのその混合が、新生抗原に対する免疫応答を増大させるか、または別の方法で修飾する任意の物質である。担体は、新生抗原がそれに結合することができる足場構造、例えば、ポリペプチドまたは多糖であることができる。任意で、アジュバントは、共有結合性または非共有結合性にコンジュゲートされる。
抗原に対する免疫応答を増大させるアジュバントの能力は、典型的に、免疫媒介性反応の有意なもしくは実質的な増大、または疾患症候の低減によって明示される。例えば、体液性免疫の増大は、典型的に、抗原に対して生じた抗体の力価の有意な増大によって明示され、T細胞活性の増大は、典型的に、細胞増殖、または細胞性細胞傷害、またはサイトカイン分泌の増大において明示される。アジュバントはまた、例えば、主として体液性またはTh応答を、主として細胞性またはTh応答へと変更することによって、免疫応答を変化させ得る。
適しているアジュバントは、1018 ISS、アラム、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリル脂質A、Montanide IMS 1312、MontanideISA206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、PepTelベクターシステム、PLGマイクロ粒子、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、β−グルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila’s QS21 stimulon(Aquila Biotech、Worcester、Mass.、USA)、マイコバクテリア抽出物及び合成細菌細胞壁模倣物、及びRibi’s Detox.QuilまたはSuperfosなどの他の専売アジュバントを含むが、それらに限定されない。不完全フロインドまたはGM−CSFなどのアジュバントが、有用である。樹状細胞に特異的ないくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)及びそれらの調製物が、以前に記載されている(Dupuis M,et al.,Cell Immunol.1998;186(1):18−27;Allison A C;Dev Biol Stand.1998;92:3−11)。また、サイトカインを使用することもできる。いくつかのサイトカインは、リンパ組織に対する樹状細胞の遊走への影響(例えば、TNF−α)、Tリンパ球に対する効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟の加速化(例えば、GM−CSF、IL−1、及びIL−4)(具体的にその全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,849,589号)、及び免疫アジュバントとしての作用(例えば、IL−12)に直接結び付けられている(Gabrilovich D I,et al.,J Immunother Emphasis Tumor Immunol.1996(6):414−418)。
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドもまた、ワクチン設定においてアジュバントの効果を増強することが報告されている。TLR 7、TLR 8、及び/またはTLR 9に結合するRNAなどの他のTLR結合分子がまた、使用されてもよい。
有用なアジュバントの他の例は、化学的に修飾されたCpG(例えば、CpR、Idera)、Poly(I:C)(例えば、polyi:CI2U)、非CpG細菌DNAまたはRNA、ならびに、治療的に及び/またはアジュバントとして作用し得る、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX−4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL−999、CP−547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、及びSC58175などの免疫活性小分子及び抗体を含むが、それらに限定されない。アジュバント及び添加物の量及び濃度は、当業者が過度の実験なしで容易に決定することができる。追加的なアジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、サルグラモスチム)などのコロニー刺激因子を含む。
ワクチン組成物は、1種類よりも多い異なるアジュバントを含むことができる。さらに、治療用組成物は、上記の任意またはそれらの組み合わせを含む、任意のアジュバント物質を含むことができる。ワクチン及びアジュバントを、任意の適切な配列において、一緒にまたは別々に投与できることもまた、企図される。
担体(または賦形剤)は、アジュバントから独立して存在することができる。担体の機能は、例えば、活性または免疫原性を増大させるため、安定性を与えるため、生物学的活性を増大させるため、または血清半減期を増大させるために、特に変異体の分子量を増大させることであり得る。さらに、担体は、T細胞に対してペプチドを提示するのを助けることができる。担体は、当業者に公知の任意の適している担体、例えば、タンパク質または抗原提示細胞であることができる。担体タンパク質は、キーホールリンペットヘモシアニン、トランスフェリンなどの血清タンパク質、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、サイログロブリンもしくはオボアルブミン、免疫グロブリン、またはインスリンなどのホルモン、またはパルミチン酸であることができるが、それらに限定されない。ヒトの免疫化のためには、担体は概して、ヒトに許容されかつ安全な、生理学的に許容される担体である。しかし、破傷風トキソイド及び/またはジフテリアトキソイドは、適している担体である。あるいは、担体は、デキストラン、例えばセファロースであることができる。
細胞傷害性T細胞(CTL)は、無傷の外来抗原自体よりも、MHC分子に結合したペプチドの形態において抗原を認識する。MHC分子自体は、抗原提示細胞の細胞表面に位置する。したがって、CTLの活性化は、ペプチド抗原、MHC分子、及びAPCの三量体複合体が存在する場合に可能である。対応して、ペプチドがCTLの活性化のために使用される場合だけではなく、追加的にそれぞれのMHC分子を有するAPCが添加される場合に、それは免疫応答を増強し得る。したがって、いくつかの実施形態において、ワクチン組成物は、追加的に、少なくとも1つの抗原提示細胞を含有する。
新生抗原はまた、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616−629を参照されたい)、または、第2、第3、もしくはハイブリッド第2/第3世代のレンチウイルス、及び特異的な細胞タイプもしくは受容体を標的とするように設計された任意の世代の組換えレンチウイルスを含むがそれらに限定されないレンチウイルス(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45−61、Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basicto translational,Biochem J.(2012)443(3):603−18、Cooper et al.,Rescue of splicing−mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.AcidsRes.(2015)43(1):682−690、Zufferey et al.,Self−Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873−9880を参照されたい)などの、ウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームに含めることもできる。上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング能力に依存して、このアプローチは、1つ以上の新生抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列が隣接していてもよく、リンカーによって分離されていてもよく、または、細胞内区画を標的とする1つもしくは複数の配列が先行していてもよい(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen−specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016)22(4):433−8、Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor−derived T cell receptor repertoires,Science.(2016)352(6291):1337−41、Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014)20( 13):3401−10を参照されたい)。宿主中への導入時に、感染した細胞は、新生抗原を発現し、それにより、ペプチドに対する宿主免疫(例えば、CTL)応答を惹起する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456−460(1991))に記載されている。新生抗原の治療的投与または免疫化に有用な、多種多様の他のワクチンベクター、例えば、チフス菌(Salmonella typhi)ベクターなどが、本明細書における記載から当業者に明らかであろう。
V.A.新生抗原カセット
1つ以上の新生抗原の選択、「カセット」のクローニング及び構築、ならびに、ウイルスベクターへのその挿入のために使用する方法は、本明細書で教示が提供されておれば、当該技術分野の範囲内にある。「新生抗原カセット」とは、選択した新生抗原または複数の新生抗原と、当該新生抗原(複数可)を転写し、そして、転写産物を発現させる上で必要なその他の調節要素との組み合わせを意味する。新生抗原または複数の新生抗原は、転写を可能にする方法で、調節成分に作動可能に結合することができる。そのような成分として、当該ウイルスベクターでトランスフェクトした細胞での新生抗原(複数可)の発現を駆動することができる従来の調節要素がある。したがって、当該新生抗原カセットは、新生抗原(複数可)に連結され、かつ、その他の任意の調節要素とともに、組換えベクターの選択したウイルス配列内に位置する選択したプロモーターを含むこともできる。
有用なプロモーターとして、構成的プロモーター、または、調節した(誘導性)プロモーターがあり、それらは、発現する新生抗原(複数可)の量の制御を可能にする。例えば、望ましいプロモーターは、サイトメガロウイルス前初期プロモーター/エンハンサーのプロモーターである[例えば、Boshart et al,Cell,41:521−530(1985)を参照されたい]。別の望ましいプロモーターとして、ラウス肉腫ウイルスLTRプロモーター/エンハンサーがある。さらに別のプロモーター/エンハンサー配列は、ニワトリ細胞質ベータ−アクチンプロモーターである[T.A.Kost et al,Nucl.Acids Res.,11(23):8287(1983)]。その他の適切な、または、望ましいプロモーターは、当業者が選択し得る。
また、当該新生抗原カセットは、転写物(ポリ−A、または、pA)、及び、機能的スプライスドナー、及び、アクセプター部位を有するイントロンの効率的なポリアデニル化のためのシグナルを提供する配列を含むウイルスベクター配列に対して異種の核酸配列を含むことができる。本発明の例示的なベクターで使用する一般的なポリA配列は、パポバウイルスSV−40由来のものである。当該ポリA配列は、一般的に、当該新生抗原をベースとした配列の後で、かつ、ウイルスベクター配列の前で、カセットに挿入することができる。一般的なイントロン配列を、SV−40由来のものとすることができ、また、それは、SV−40Tイントロン配列とも称されている。また、新生抗原カセットは、プロモーター/エンハンサー配列と当該新生抗原(複数可)との間に位置するそのようなイントロンを含むことができる。これらの、及び、その他の一般的なベクター要素の選択は、従来技術であり[例えば、Sambrook et al.,“Molecular Cloning. A Laboratory Manual.”2d edit., Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1989)、及び、同文献で引用された参考文献を参照されたい]、また、数多くのかような配列は、Genbankのみならず、市販品、及び、工業原料からも入手できる。
新生抗原カセットは、1つ以上の新生抗原を有することができる。例えば、所与のカセットは、1〜10個、1〜20個、1〜30個、10〜20個、15〜25個、15〜20個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、または、それ以上の新生抗原を含むことができる。新生抗原は、互いに直接に結合することができる。新生抗原は、リンカーを使用して、互いに結合することもできる。新生抗原は、N−C、または、C−Nなど、互いに、あらゆる相対的幾何学的配置をとることができる。
上記したように、当該新生抗原カセットは、とりわけ、選択し得るE1遺伝子領域欠失、または、E3遺伝子領域欠失の部位など、ウイルスベクターで選択したあらゆる欠失部位に位置させることができる。
V.B.免疫チェックポイント
本明細書に記載したC68ベクター、または、本明細書に記載したアルファウイルスベクターなどの本明細書に記載したベクターは、少なくとも1つの新生抗原をコードする核酸を含むことができ、そして、同じ、または、別個のベクターは、少なくとも1つの免疫モジュレーターをコードする核酸(例えば、scFvなどの抗体)を含み、免疫チェックポイント分子に結合して、その活性をブロックする。ベクターは、新生抗原カセットと、チェックポイント阻害剤をコードする1つ以上の核酸分子とを含むことができる。
ブロックまたは阻害の標的となることができる免疫チェックポイント分子の例として、CTLA−4、4−1BB(CD137)、4−1BBL(CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属しており、かつ、すべてのNK、γδ、及び、メモリーCD8+(αβ)T細胞で発現する)、CD160(別名、BY55)、及び、CGEN−15049があるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤として、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、及び、GEN−15049の1つ以上に結合し、そして、その活性をブロックまたは阻害する抗体、または、その抗原結合断片、または、その他の結合タンパク質がある。免疫チェックポイント阻害剤の例として、トレメリムマブ(CTLA−4ブロッキング抗体)、抗OX40、PD−L1モノクローナル抗体(抗B7−Hl;MEDI4736)、イピリムマブ、MK−3475(PD−lブロッカー)、ニボルマンブ(抗PD1抗体)、CT−011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS−936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及び、ヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA−4チェックポイント阻害剤)がある。抗体をコードする配列を、当該技術分野の通常の技術を使用して、C68などのベクターへ遺伝子操作することができる。例示的な方法は、本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的で、その内容を援用する、Fang et al.,Stable antibody expression at therapeutic levels using the 2A peptide.Nat Biotechnol.2005 May;23(5):584−90.Epub 2005 Apr 17で説明されている。
V.A.ワクチン設計及び製造のさらなる考慮事項
V.A.1.すべての腫瘍サブクローンをカバーするペプチドのセットの決定
すべての、または大部分の腫瘍サブクローンによって提示されるものを意味するトランカルペプチド(truncal peptide)が、ワクチン中への包含について優先される53。任意で、高い確率で提示されかつ免疫原性であることが予測されるトランカルペプチドがない場合、または、高い確率で提示されかつ免疫原性であることが予測されるトランカルペプチドの数が、追加的な非トランカルペプチドをワクチンに含めることができるほど少ない場合には、腫瘍サブクローンの数及び同一性を推定すること、及びワクチンによってカバーされる腫瘍サブクローンの数を最大化するようにペプチドを選ぶことによって、さらなるペプチドを優先順位付けすることができる54
V.A.2.新生抗原の優先順位決定
上記の新生抗原フィルターのすべてを適用した後、ワクチン技術が対応できるよりも多くの候補新生抗原が、依然としてワクチン包含に利用可能である可能性がある。追加的に、新生抗原解析の種々の態様についての不確定度が残っている可能性があり、候補ワクチン新生抗原の様々な性状の間にトレードオフが存在する可能性がある。したがって、選択プロセスの各段階でのあらかじめ決定されたフィルターの代わりに、少なくとも以下の軸を有する空間に候補新生抗原を置き、積分アプローチを用いて選択を最適化する、積分多次元モデルを考えることができる。
1. 自己免疫または寛容のリスク(生殖細胞系列のリスク)(より低い自己免疫のリスクが、典型的に好ましい)
2. シークエンシングアーチファクトの確率(より低いアーチファクトの確率が、典型的に好ましい)
3. 免疫原性の確率(より高い免疫原性の確率が、典型的に好ましい)
4. 提示の確率(より高い提示の確率が、典型的に好ましい)
5. 遺伝子発現(より高い発現が、典型的に好ましい)
6. HLA遺伝子のカバレッジ(新生抗原のセットの提示に関与する、より多い数のHLA分子は、腫瘍が、HLA分子の下方制御または変異を介して免疫攻撃を回避する確率を低くする可能性がある)
7. HLAクラスのカバレッジ(HLA−I及びHLA−IIの両方をカバーすることで、治療応答の確率が高まり、腫瘍の免疫回避の確率が低くなる可能性がある)
VI.治療及び製造方法
本明細書に開示する方法を用いて特定された複数の新生抗原などの1つ以上の新生抗原を対象に投与することにより、対象に腫瘍特異的な免疫応答を誘導し、腫瘍に対するワクチン接種を行い、対象のがんの症状を治療及び/または緩和する方法も提供される。
いくつかの態様において、対象は、がんと診断されているか、またはがんを発症するリスクにある。対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、または、腫瘍特異的な免疫応答が望ましい任意の動物であることができる。腫瘍は、乳、卵巣、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸、精巣、頭頸部、膵臓、脳、黒色腫、及び他の組織器官の腫瘍などの、任意の固形腫瘍、ならびに、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞リンパ球性白血病、及びB細胞リンパ腫を含むリンパ腫及び白血病などの、血液腫瘍であることができる。
新生抗原は、CTL応答を誘導するのに十分な量で投与することができる。
新生抗原は、単独で、または他の治療用物質との組み合わせで投与することができる。治療用物質は、例えば、化学療法剤、放射線、または免疫療法である。特定のがんのための任意の適している治療的処置を、施すことができる。
加えて、対象に、チェックポイント阻害因子などの抗免疫抑制性/免疫刺激性物質をさらに投与することができる。例えば、対象に、抗CTLA抗体または抗PD−1または抗PD−L1をさらに投与することができる。抗体によるCTLA−4またはPD−L1の遮断は、患者においてがん性細胞に対する免疫応答を増強することができる。特に、CTLA−4遮断は、ワクチン接種プロトコールを採用した場合に有効であることが示されている。
ワクチン組成物に含まれるべき各新生抗原の最適量、及び最適投薬レジメンを、決定することができる。例えば、新生抗原またはその変異体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調製することができる。注射の方法は、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、及びi.v.を含む。DNAまたはRNA注射の方法は、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、及びi.v.を含む。ワクチン組成物の投与の他の方法は、当業者に公知である。
ワクチンは、組成物中に存在する新生抗原の選択、数、及び/または量が、組織、がん、及び/または患者に特異的であるように編集することができる。例として、ペプチドの厳密な選択は、所定の組織における親タンパク質の発現パターンによって手引きされ得る。選択は、がんの特異的なタイプ、疾患の状態、より早期の処置レジメン、患者の免疫状態、及び当然、患者のHLAハロタイプに依存し得る。さらに、ワクチンは、特定の患者の個人的な必要にしたがって、個別化された構成要素を含有することができる。例は、特定の患者における新生抗原の発現にしたがって新生抗原の選択を変えること、または、処置の第1のラウンドまたはスキームの後の二次的処置についての調整を含む。
がんのためのワクチンとして使用されるべき組成物について、正常組織において多量に発現している類似した正常な自己ペプチドを有する新生抗原は、本明細書に記載した組成物において、避けられるか、または少量で存在することができる。他方で、患者の腫瘍が、多量のある特定の新生抗原を発現することが公知である場合、このがんの処置のためのそれぞれの薬学的組成物は、多量に存在することができ、及び/または、この特定の新生抗原もしくはこの新生抗原の経路に特異的な1種類よりも多い新生抗原を含めることができる。
新生抗原を含む組成物を、既にがんを患っている個体に投与することができる。治療的適用において、組成物は、腫瘍抗原に対する有効なCTL応答を惹起し、かつ、症候及び/または合併症を治癒するかまたは少なくとも部分的に停止するのに十分な量で、患者に投与される。これを達成するのに妥当な量を、「治療的有効用量」として定義する。この用途のために有効な量は、例えば、組成物、投与の様式、処置される疾患の病期及び重症度、患者の体重及び健康の全身状態、ならびに処方医の判断に依存するであろう。組成物は、概して、重篤な疾患状態、すなわち、命に関わるか、または潜在的に命に関わる状況、特にがんが転移している場合に使用できることを、心に留めるべきである。そのような例において、外来性物質の最小化、及び新生抗原の相対的な非毒性の性質を考慮して、実質的過剰量のこれらの組成物を投与することが、可能であり、かつ処置する医師が望ましいと感じることができる。
治療的用途のために、投与は、腫瘍の検出または外科的除去時に始めることができる。これに、少なくとも症候が実質的に減ずるまで、及びその後ある期間にわたって、ブースト用量が続く。
治療的処置のための薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)は、非経口、局部、経鼻、経口、または局所投与について意図される。薬学的組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内に投与することができる。組成物は、腫瘍に対する局所免疫応答を誘導するために、外科的切除の部位に投与することができる。新生抗原の溶液を含む非経口投与用の組成物を、本明細書に開示し、ワクチン組成物は、許容される担体、例えば、水性担体に溶解または懸濁される。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.9%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用することができる。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法によって滅菌することができ、または滅菌濾過することができる。結果として生じた水溶液を、そのままで使用のためにパッケージングするか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液と組み合わされる。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウラート、トリエタノールアミンオレアートなどのような、生理学的条件に近づけるために必要とされる、薬学的に許容される補助物質を含有してもよい。
新生抗原はまた、それらをリンパ組織などの特定の細胞組織にターゲティングする、リポソームを介して投与することもできる。リポソームはまた、半減期を増大させるのにも有用である。リポソームは、エマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散物、ラメラ層などを含む。これらの調製物において、送達されるべき新生抗原は、単独で、または、CD45抗原に結合するモノクローナル抗体などの、例えば、リンパ系細胞の間で優性な受容体に結合する分子、または他の治療用組成物もしくは免疫原性組成物と共に、リポソームの一部として組み込まれる。したがって、所望の新生抗原で満たされたリポソームは、リンパ系細胞の部位へ方向付けられることができ、そこで、リポソームは次いで、選択された治療用/免疫原性組成物を送達する。リポソームは、概して、中性及び負電荷を有するリン脂質、及びコレステロールなどのステロールを含む、標準的な小胞形成脂質から形成され得る。脂質の選択は、概して、例えば、リポソームサイズ、酸不安定性、及び血流におけるリポソームの安定性の考慮により手引きされる。例えば、Szoka et al., Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9;467 (1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,501,728号、第4,837,028号、及び第5,019,369号に記載されているように、様々な方法を、リポソームを調製するために利用可能である。
免疫細胞へのターゲティングのために、リポソーム中に組み込まれるべきリガンドは、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはその断片を含むことができる。リポソーム懸濁液は、とりわけ、投与の様式、送達されるペプチド、及び処置される疾患の病期にしたがって変動する用量で、静脈内、局所、局部などに投与することができる。
治療目的または免疫化目的で、本明細書に記載したペプチド、及び任意でペプチドの1つ以上をコードする核酸をまた、患者に投与することもできる。数多くの方法が、核酸を患者に送達するために好都合に使用される。例として、核酸を、「裸のDNA」として直接送達することができる。このアプローチは、例として、Wolff et al., Science 247:1465−1468 (1990)、ならびに米国特許第5,580,859号及び第5,589,466号に記載されている。核酸はまた、例として、米国特許第5,204,253号に記載されているような弾道送達を用いて投与することもできる。単にDNAからなる粒子を、投与することができる。あるいは、DNAを、金粒子などの粒子に接着させることができる。核酸配列を送達するためのアプローチは、エレクトロポレーションを伴うかまたは伴わない、ウイルスベクター、mRNAベクター、及びDNAベクターを含むことができる。
核酸はまた、カチオン性脂質などのカチオン性化合物に複合体化させて送達することもできる。脂質媒介性遺伝子送達法は、例として、9618372WOAWO 96/18372;9324640WOAWO 93/24640;Mannino & Gould−Fogerite, BioTechniques 6(7): 682−691 (1988);米国特許第5,279,833号 Rose、米国特許第5,279,833号;9106309WOAWO 91/06309;及びFelgner et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84: 7413−7414 (1987)に記載されている。
新生抗原はまた、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al., Adenoviruses, Molecular Therapy (2004) 10, 616−629を参照されたい)、または、第2、第3、もしくはハイブリッド第2/第3世代のレンチウイルス、及び特異的な細胞タイプもしくは受容体を標的とするように設計された任意の世代の組換えレンチウイルスを含むがそれらに限定されないレンチウイルス(例えば、Hu et al., Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases, Immunol Rev.(2011) 239(1): 45−61、Sakuma et al., Lentiviral vectors:basicto translational, Biochem J.(2012) 443(3):603−18、Cooper et al., Rescue of splicing−mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter, Nucl.AcidsRes.(2015) 43 (1): 682−690、Zufferey et al., Self−Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998) 72 (12): 9873−9880を参照されたい)などの、ウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームに含めることもできる。上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング能力に依存して、このアプローチは、1つ以上の新生抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列が隣接していてもよく、リンカーによって分離されていてもよく、または、細胞内区画を標的とする1つもしくは複数の配列が先行していてもよい(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen−specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016) 22 (4):433−8、Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor−derived T cell receptor repertoires,Science.(2016) 352 (6291):1337−41、Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014) 20(13):3401−10を参照されたい)。宿主中への導入時に、感染した細胞は、新生抗原を発現し、それにより、ペプチドに対する宿主免疫(例えば、CTL)応答を惹起する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456−460 (1991))に記載されている。新生抗原の治療的投与または免疫化に有用な、多種多様の他のワクチンベクター、例えば、チフス菌ベクターなどが、本明細書における記載から当業者に明らかであろう。
核酸を投与する手段は、1つ以上のエピトープをコードするミニ遺伝子コンストラクトを使用する。ヒト細胞における発現のための、選択されたCTLエピトープをコードするDNA配列(ミニ遺伝子)を作製するために、エピトープのアミノ酸配列を逆翻訳する。各アミノ酸に対するコドン選択を手引きするために、ヒトコドン使用頻度表を使用する。これらのエピトープをコードするDNA配列を、直接隣り合わせて、連続的なポリペプチド配列を作製する。発現及び/または免疫原性を最適化するために、追加の要素を、ミニ遺伝子設計中に組み入れることができる。逆翻訳して、ミニ遺伝子配列に含めることができるアミノ酸配列の例は、ヘルパーTリンパ球エピトープ、リーダー(シグナル)配列、及び小胞体保持シグナルを含む。加えて、CTLエピトープのMHC提示は、CTLエピトープに近接した合成の(例えば、ポリアラニン)または天然に存在する隣接配列を含むことによって、改善することができる。ミニ遺伝子配列は、ミニ遺伝子のプラス鎖及びマイナス鎖をコードするオリゴヌクレオチドをアセンブルすることによって、DNAに変換される。オーバーラップするオリゴヌクレオチド(30〜100塩基長)を、周知の技法を用いて適切な条件下で、合成し、リン酸化し、精製し、アニーリングする。オリゴヌクレオチドの端は、T4DNAリガーゼを用いて連結する。CTLエピトープポリペプチドをコードするこの合成ミニ遺伝子を、次いで、望ましい発現ベクター中にクローニングすることができる。
精製プラスミドDNAは、様々な製剤を用いて、注射のために調製することができる。これらのうちでもっとも単純なものは、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)における凍結乾燥DNAの再構成である。様々な方法が記載されており、新たな技法が利用可能になり得る。上記で言及したように、核酸は、カチオン性脂質で好都合に製剤化される。加えて、糖脂質、融合性リポソーム、ペプチド、及び保護的、相互作用的、非縮合性(PINC)と集合的に呼ばれる化合物もまた、精製プラスミドDNAと複合体化させて、安定性、筋肉内分散、または特異的な器官もしくは細胞タイプへの輸送などの変数に影響を及ぼすことができる。
また、本明細書に開示する方法の工程を行うこと;及び、多数の新生抗原または多数の新生抗原のサブセットを含む腫瘍ワクチンを生産する工程を含む、腫瘍ワクチンを製造する方法も、本明細書に開示する。
本明細書に開示する新生抗原は、当該技術分野において公知の方法を用いて製造することができる。例えば、本明細書に開示する新生抗原またはベクター(例えば、1つ以上の新生抗原をコードする少なくとも1つの配列を含むベクター)を生産する方法は、新生抗原またはベクターを発現するのに適している条件下で宿主細胞を培養する工程であって、宿主細胞が、新生抗原またはベクターをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む工程、及び、新生抗原またはベクターを精製する工程を含むことができる。標準的な精製法は、クロマトグラフィー技法、電気泳動技法、免疫学的技法、沈降技法、透析技法、濾過技法、濃縮技法、及びクロマトフォーカシング技法を含む。
宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、酵母、またはHEK293細胞を含むことができる。宿主細胞は、本明細書に開示する新生抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換することができ、任意で、単離されたポリヌクレオチドは、新生抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター配列をさらに含む。ある特定の実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、cDNAであることができる。
VII.新生抗原の特定
VII.A.新生抗原候補の特定
腫瘍及び正常のエクソーム及びトランスクリプトームのNGS解析のための研究法を、新生抗原の特定のスペースに記載し、適用している6,14,15。下記の例は、臨床設定における新生抗原の特定について、より大きな感度及び特異性のためのある特定の最適化を考慮している。これらの最適化は、実験室プロセスに関連するもの及びNGSデータ解析に関連するものの、2つの区域にグループ化することができる。
VII.A.1.実験室プロセスの最適化
本明細書に提示したプロセスの改善は、標的とされるがんパネルにおける信頼できるがんドライバー遺伝子の評価について開発された概念16を、新生抗原の特定のために必要な全エクソーム設定及び全トランスクリプトーム設定に拡大することによって、低い腫瘍含量及び少ない体積の臨床標本からの高精度の新生抗原の発見における難題に対処する。具体的には、これらの改善は、以下を含む:
1.低い腫瘍含量またはサブクローン状態のいずれかにより、低い変異体アレル頻度で存在する変異を検出するための、腫瘍エクソームにわたる深い(500xよりも大きい)固有の平均カバレッジのターゲティング。
2.可能性のある新生抗原の見逃しが最も少ないように、100x未満でカバーされる塩基が5%未満である、例として、
a.個々のプローブQCを有するDNAベースの捕捉プローブの使用17
b.十分にカバーされていない領域についての追加的なベイトの包含
3.可能性のある新生抗原が体細胞性/生殖細胞系列ステータスについて分類されていないままである(したがってTSNAとして使用可能ではない)ことが最も少ないように、20x未満でカバーされる塩基が5%未満である、正常エクソームにわたる均一カバレッジのターゲティング。
4.必要とされるシークエンシングの総量を最小化するために、配列捕捉プローブは、非コードRNAは新生抗原を生じることができないことから、遺伝子のコード領域のみについて設計される。追加的な最適化は、以下を含む:
a.GCリッチであり、標準的なエクソームシークエンシングでは十分に捕捉されないHLA遺伝子についての補充的プローブ18
b.不十分な発現、プロテアソームによる最適に満たない消化、または異例の配列特性などの要因により、候補新生抗原を少ししかまたは全く生成しないと予測される遺伝子の排除。
5.変異検出、遺伝子及びスプライス変異体(「アイソフォーム」)発現の定量、ならびに融合物検出を可能にするために、腫瘍RNAが同様に、高深度(100Mリードよりも大きい)でシークエンシングされる。FFPE試料由来のRNAは、DNAにおいてエクソームを捕捉するために使用されるのと同じまたは類似したプローブで、プローブベース濃縮19を用いて抽出される。
VII.A.2.NGSデータ解析の最適化
解析法の改善は、一般的な研究変異コーリングアプローチの最適に満たない感度及び特異性に対処し、具体的には、臨床設定における新生抗原の特定のために関連するカスタマイズ化を考慮する。これらは、以下を含む:
1.アラインメントのための、HG38参照ヒトゲノムまたはより後のバージョンの使用(それが、以前のゲノムリリースとは対照的に、集団多型をより良好に反映する複数のMHC領域アセンブリーを含有するため)。
2.様々なプログラムからの結果をマージすることによる、単一変異コーラー20の限界の克服。
a.単一ヌクレオチド変異及び挿入欠失は、以下を含む一連のツールで、腫瘍DNA、腫瘍RNA、及び正常DNAから検出される:Strelka21及びMutect22などの、腫瘍及び正常DNAの比較に基づくプログラム;ならびに、低純度の試料において特に有利である23、UNCeqRなどの、腫瘍DNA、腫瘍RNA、及び正常DNAを組み入れるプログラム。
b.挿入欠失は、Strelka及びABRA24などの、局所リアセンブリーを行うプログラムで決定される。
c.構造的再編成は、Pindel25またはBreakseq26などの専用のツールを用いて決定される。
3.試料スワップを検出して阻止するために、同じ患者についての試料由来の変異コールが、選ばれた数の多型部位で比較される。
4.例として、以下による、人工的コールの広範囲のフィルタリングが行われる:
a.潜在的に、低いカバレッジの例においては緩やかな検出パラメータで、及び挿入欠失の例においては許容的な近接基準での、正常DNAにおいて見出される変異の除去。
b.低いマッピング品質または低い塩基品質による変異の除去27
c.たとえ対応する正常において観察されないとしても、再出現するシークエンシングアーチファクトから生じる変異の除去27。例は、主として1本の鎖上に検出される変異を含む。
d.無関連の対照のセットにおいて検出される変異の除去27
5.seq2HLA28、ATHLATES29、またはOptitypeのうちの1つを使用する、かつまた、エクソーム及びRNAシークエンシングデータを組み合わせる28、正常エクソームからの正確なHLAコーリング。追加的な潜在的最適化は、ロングリードDNAシークエンシングなどの、HLAタイピングのための専用アッセイの採用30、または、RNA断片を連結して連続性を保持するための方法の適応31を含む。
6.腫瘍特異的スプライス変異体から生じた新生ORFの堅牢な検出は、CLASS32、Bayesembler33、StringTie34、またはそのリファレンスガイドモードにおける類似したプログラム(すなわち、各実験からそれらの全体の転写産物を再作製するように試みるよりもむしろ、公知の転写産物構造を用いる)を用いて、RNA−seqデータから転写産物をアセンブルすることによって、行われる。Cufflinks35が、この目的で一般的に使用されるが、それは頻繁に、信じ難いほど多数のスプライス変異体を産生し、それらの多くは、完全長遺伝子よりもはるかに短く、単純な陽性対照をリカバーすることができない場合がある。コード配列及び潜在的なナンセンス変異依存分解機構は、変異体配列を再導入した、SpliceR36及びMAMBA37などのツールで決定される。遺伝子発現は、Cufflinks35またはExpress(Roberts and Pachter,2013)などのツールで決定される。野生型及び変異体特異的な発現カウント及び/または相対レベルは、ASE38またはHTSeq39などの、これらの目的で開発されたツールで決定される。潜在的なフィルタリング段階は、以下を含む:
a.不十分に発現されていると考えられる候補新生ORFの除去。
b.ナンセンス変異依存分解機構(NMD)を引き起こすと予測される候補新生ORFの除去。
7.腫瘍特異的と直接検証することができない、RNAにおいてのみ観察される候補新生抗原(例えば、新生ORF)は、例として以下を考慮することにより、追加的なパラメータにしたがって、腫瘍特異的である可能性が高いとして分類される:
a.腫瘍DNAのみのシス作用性フレームシフトまたはスプライス部位変異の支持の存在。
b.スプライシング因子における腫瘍DNAのみのトランス作用性変異の確証の存在。例として、R625変異体SF3B1での3つの独立して公開された実験において、最も差次的にスプライシングを呈する遺伝子は、1つの実験がブドウ膜黒色腫患者を検討し40、第2の実験がブドウ膜黒色腫細胞株を検討し41、及び第3の実験が乳がん患者を検討した42にもかかわらず、一致していた。
c.新規のスプライシングアイソフォームについては、RNASeqデータにおける「新規の」スプライス−ジャンクションリードの確証の存在。
d.新規の再編成については、正常DNAには存在しない腫瘍DNAにおけるエクソン近傍リードの確証の存在。
e.GTEx43などの遺伝子発現大要からの欠如(すなわち、生殖細胞系列起源の可能性をより低くする)。
8.アラインメント及びアノテーションベースのエラー及びアーチファクトを直接避けるために、アセンブルされたDNAの腫瘍及び正常リード(またはそのようなリード由来のkマー)を比較することによる、参照ゲノムアラインメントベースの解析の補完(例えば、生殖細胞系列変異またはリピートコンテクスト挿入欠失の近くに生じる体細胞性変異について)。
ポリアデニル化RNAを有する試料において、RNA−seqデータにおけるウイルスRNA及び微生物RNAの存在は、患者の応答を予測し得る追加的因子の特定に向かって、RNA CoMPASS44または類似した方法を用いて評価される。
VII.B.HLAペプチドの単離及び検出
HLAペプチド分子の単離は、組織試料の溶解及び可溶化後に、古典的な免疫沈降(IP)法を用いて行った55〜58。清澄化した溶解物を、HLA特異的IPに使用した。
免疫沈降は、抗体がHLA分子に特異的である、ビーズにカップリングした抗体を用いて行った。汎クラスI HLA免疫沈降のためには、汎クラスI CR抗体を使用し、クラスII HLA−DRのためには、HLA−DR抗体を使用する。抗体を、一晩インキュベーション中に、NHS−セファロースビーズに共有結合で付着させる。共有結合性の付着後、ビーズを洗浄して、IPのために等分した59、60。ビーズに共有結合されていない抗体を用いて免疫沈降を行うこともできる。一般的に、これは、抗体をカラムに保持するためにProtein A及び/またはProtein Gでコーティングしたセファロースまたは磁気ビーズを使用して行われる。MHC/ペプチド複合体を選択的に濃縮するために使用することができるいくつかの抗体を下記に示す。
Figure 2021503897
清澄化した組織溶解物を、免疫沈降のために抗体ビーズに添加する。免疫沈降後、ビーズを溶解物から除去し、追加的なIPを含む追加的な実験のために、溶解物を保存する。標準的な技法を用いて、IPビーズを洗浄して非特異的結合を除去し、HLA/ペプチド複合体をビーズから溶出する。分子量スピンカラムまたはC18分画を用いて、タンパク質構成要素をペプチドから除去する。結果として生じたペプチドを、SpeedVac蒸発によって乾燥させ、いくつかの場合には、MS解析の前に−20℃で保存する。
乾燥したペプチドを、逆相クロマトグラフィーに適しているHPLC緩衝液において再構成し、Fusion Lumos質量分析計(Thermo)における勾配溶出のために、C−18マイクロキャピラリーHPLCカラム上にロードする。ペプチド質量/電荷(m/z)のMS1スペクトルを、Orbitrap検出器において高解像度で収集し、その後、MS2低解像度スキャンを、選択イオンのHCDフラグメンテーション後にイオントラップ検出器において収集した。追加的に、MS2スペクトルは、CIDもしくはETDフラグメンテーション法、または、ペプチドのより大きなアミノ酸カバレッジを獲得するための3つの技法の任意の組み合わせのいずれかを用いて、取得することができる。MS2スペクトルはまた、Orbitrap検出器において高解像度質量精度で測定することもできる。
各解析由来のMS2スペクトルを、Comet61、62を用いてタンパク質データベースに対して検索し、ペプチド特定を、Percolator63〜65を用いてスコア化する。PEAKS studio(Bioinformatics Solutions Inc.)及び他のサーチエンジンを用いてさらなるシークエンシングを行うか、またはスペクトルマッチング及びデノボシークエンシング75を含むシークエンシング法を用いることができる。
VII.B.1.総合的HLAペプチドシークエンシングのためのMS検出限界の研究
ペプチドYVYVADVAAKを用いて、何が検出の限界かを、LCカラム上にロードした様々な量のペプチドを用いて決定した。試験したペプチドの量は、1pmol、100fmol、10fmol、1fmol、及び100amolであった。(表1)結果を図1Fに示す。これらの結果は、検出の最低限界(LoD)がアトモルの範囲(10−18)にあること、ダイナミックレンジが5桁に及ぶこと、及び、シグナル対ノイズが、低いフェムトモル範囲(10−15)でシークエンシングに十分であるように見えることを示す。
Figure 2021503897
VIII.提示モデル
VIII.A.システムの概要
図2Aは、1つの実施形態にしたがう、患者におけるペプチド提示の尤度を特定するための環境100の概要である。環境100は、それ自体が提示情報記憶装置165を含むプレゼンテーション特定システム160を導入するコンテクストを提供する。
プレゼンテーション特定システム160は、図14に関して下記で議論されるようなコンピュータ計算システムにおいて具現化された、1つまたはコンピュータモデルであり、MHCアレルのセットに関連するペプチド配列を受け取り、ペプチド配列が、関連するMHCアレルのセットの1つ以上によって提示されるであろう尤度を決定する。プレゼンテーション特定システム160はクラスI及びクラスII MHCアレルの両方に適用することができる。これは、様々なコンテクストにおいて有用である。プレゼンテーション特定システム160の1つの具体的な用途の例は、患者110の腫瘍細胞由来のMHCアレルのセットに関連する候補新生抗原のヌクレオチド配列を受け取り、候補新生抗原が、腫瘍の関連するMHCアレルの1つ以上によって提示され、及び/または患者110の免疫系において免疫原性応答を誘導するであろう尤度を決定することができることである。システム160によって決定された際に高い尤度を有するそれらの候補新生抗原を、ワクチン118における包含のために選択することができ、そのような抗腫瘍免疫応答が、腫瘍細胞を提供する患者110の免疫系から惹起され得る。
プレゼンテーション特定システム160は、1つ以上の提示モデルを通して提示尤度を決定する。具体的には、提示モデルは、所定のペプチド配列が、関連するMHCアレルのセットについて提示されるかどうかの尤度を生成し、尤度は、記憶装置165に保存された提示情報に基づいて生成される。例えば、提示モデルは、ペプチド配列「YVYVADVAAK」が、試料の細胞表面上のアレルのセットHLA−A02:01、HLA−A03:01、HLA−B07:02、HLA−B08:03、HLA−C01:04について提示されるかどうかの尤度を生成し得る。提示情報165は、MHCアレルによってペプチドが提示されるようにこれらのペプチドが様々なタイプのMHCアレルに結合するかどうかについての情報を含有し、これは、モデルにおいて、ペプチド配列中のアミノ酸の位置に応じて決定される。提示モデルは、提示情報165に基づいて、認識されていないペプチド配列が、MHCアレルの関連するセットと結合して提示されるかどうかを予測することができる。上記に述べたように、提示モデルはクラスI及びクラスII MHCアレルの両方に適用することができる。
VIII.B.提示情報
図2は、1つの実施形態にしたがう、提示情報を取得する方法を説明する。提示情報165は、2つの一般的部類の情報:アレル相互作用情報及びアレル非相互作用情報を含む。アレル相互作用情報は、MHCアレルのタイプに依存する、ペプチド配列の提示に影響を及ぼす情報を含む。アレル非相互作用情報は、MHCアレルのタイプに非依存的な、ペプチド配列の提示に影響を及ぼす情報を含む。
VIII.B.1.アレル相互作用情報
アレル相互作用情報は、主として、ヒト、マウスなど由来の1つ以上の特定されたMHC分子によって提示されていることが公知である、特定されたペプチド配列を含む。注目すべきことに、これは、腫瘍試料から取得されたデータを含んでもよく、または含まなくてもよい。提示されたペプチド配列は、単一のMHCアレルを発現する細胞から特定されてもよい。この例において、提示されたペプチド配列は、概して、あらかじめ決定されたMHCアレルを発現するように操作されてその後合成タンパク質に曝露された単一アレル細胞株から収集される。MHCアレル上に提示されたペプチドは、酸溶出などの技法によって単離され、質量分析により特定される。図2Bは、あらかじめ決定されたMHCアレルHLA−DRB112:01上に提示された例示的なペプチド
Figure 2021503897
が単離され、質量分析により特定される、この例を示す。この状況においては、ペプチドが、単一のあらかじめ決定されたMHCタンパク質を発現するように操作された細胞を通して特定されるため、提示されたペプチドとそれが結合したMHCタンパク質との間の直接の関連が、決定的に既知である。
提示されたペプチド配列はまた、複数のMHCアレルを発現する細胞から収集されてもよい。典型的にヒトにおいては、6種類の異なるタイプのMHCI分子及び最大で12種類の異なるタイプのMHCII分子が細胞で発現している。そのような提示されたペプチド配列は、複数のあらかじめ決定されたMHCアレルを発現するように操作されている複数のアレル細胞株から特定されてもよい。そのような提示されたペプチド配列はまた、正常組織試料または腫瘍組織試料のいずれかの、組織試料から特定されてもよい。この例において特に、MHC分子は、正常組織または腫瘍組織から免疫沈降させることができる。複数のMHCアレル上に提示されたペプチドは、同様に、酸溶出などの技法によって単離され、質量分析により特定されることができる。図2Cは、6種類の例示的なペプチド
Figure 2021503897
が、特定されたクラスI MHCアレルHLA−A01:01、HLA−A02:01、HLA−B07:02、HLA−B08:01、及びクラスII MHCアレルHLA−DRB110:01、HLA−DRB1:11:01上に提示されており、単離され、質量分析により特定される、この例を示す。単一アレル細胞株とは対照的に、結合したペプチドが、特定される前のMHC分子から単離されるため、提示されたペプチドとそれが結合したMHCタンパク質との間の直接の関連は、未知である可能性がある。
アレル相互作用情報はまた、ペプチド−MHC分子複合体の濃度、及びペプチドのイオン化効率の両方に依存する、質量分析イオン電流も含むことができる。イオン化効率は、配列依存性様式で、ペプチドごとに変動する。概して、イオン効率は、およそ2桁にわたってペプチドごとに変動し、他方、ペプチド−MHC複合体の濃度は、それよりも大きい範囲にわたって変動する。
アレル相互作用情報はまた、所定のMHCアレルと所定のペプチドとの間の結合親和性の測定値または予測値も含むことができる。1つ以上の親和性モデルが、そのような予測値を生成することができる(72,73,74)。例えば、図1Dに示した例に戻ると、提示情報165は、ペプチドYEMFNDKSFとクラスIアレルHLA−A01:01との間の1000nMの結合親和性予測値を含み得る。IC50>1000nmであるペプチドはわずかしか、MHCによって提示されず、より低いIC50値が、提示の確率を増大させる。提示情報165は、ペプチドKNFLENFIESOFIとクラスIIアレルHLA−DRB1:11:01との間の結合親和性予測値を含み得る。
アレル相互作用情報はまた、MHC複合体の安定性の測定値または予測値も含むことができる。1つ以上の安定性モデルが、そのような予測値を生成することができる。より安定なペプチド−MHC複合体(すなわち、より長い半減期を有する複合体)は、腫瘍細胞上、及びワクチン抗原に遭遇する抗原提示細胞上に高コピー数で提示される可能性がより高い。例えば、図2Cに示した例に戻ると、提示情報165は、クラスI分子HLA−A*01:01について1時間の半減期の安定性予測値を含み得る。提示情報165はクラスII分子HLA−DRB1:11:01の半減期の安定性予測値も含み得る。
アレル相互作用情報はまた、ペプチド−MHC複合体の形成反応の、測定されたかまたは予測された速度も含むことができる。より速い速度で形成する複合体は、高濃度で細胞表面上に提示される可能性がより高い。
アレル相互作用情報はまた、ペプチドの配列及び長さも含むことができる。MHCクラスI分子は典型的に、8〜15ペプチドの長さを有するペプチドを提示することを好む。提示されたペプチドの60〜80%は、長さ9を有する。MHCクラスII分子は一般的にペプチド6〜30個の長さを有するペプチドを提示する傾向にある。
アレル相互作用情報はまた、新生抗原コード化ペプチド上のキナーゼ配列モチーフの存在、及び新生抗原コード化ペプチド上の特異的な翻訳後修飾の有無も含むことができる。キナーゼモチーフの存在は、MHC結合を増強または干渉し得る、翻訳後修飾の確率に影響を及ぼす。
アレル相互作用情報はまた、(RNA seq、質量分析、または他の方法によって測定されたかまたは予測された際の)翻訳後修飾のプロセスに関与するタンパク質、例えば、キナーゼの発現または活性レベルも含むことができる。
アレル相互作用情報はまた、質量分析プロテオミクスまたは他の手段によって評価された際の、特定のMHCアレルを発現する他の個体由来の細胞における、類似した配列を有するペプチドの提示の確率も含むことができる。
アレル相互作用情報はまた、(例えば、RNA−seqまたは質量分析によって測定された際の)問題の個体における特定のMHCアレルの発現レベルも含むことができる。高レベルで発現しているMHCアレルに最も強く結合するペプチドは、低レベルで発現しているMHCアレルに最も強く結合するペプチドよりも、提示される可能性がより高い。
アレル相互作用情報はまた、特定のMHCアレルを発現する他の個体における、特定のMHCアレルによる提示の、全体的な新生抗原コード化ペプチド配列非依存的確率も含むことができる。
アレル相互作用情報はまた、他の個体における同じファミリーの分子(例えば、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DQ、HLA−DR、HLA−DP)のMHCアレルによる提示の、全体的なペプチド配列に非依存的な確率も含むことができる。例えば、HLA−C分子は典型的に、HLA−AまたはHLA−B分子よりも低いレベルで発現しており、したがって、HLA−Cによるペプチドの提示は、HLA−AまたはHLA−B IIによる提示よりも先験的に確率が低い。別の例として、HLA−DPは一般的にHLA−DRまたはHLA−DQよりも低いレベルで発現されることから、HLA−DPによるペプチドの提示はHLA−DRまたはHLA−DQによる提示よりもより確率が低いものと推測される。
アレル相互作用情報はまた、特定のMHCアレルのタンパク質配列も含むことができる。
下記のセクションに列挙される任意のMHCアレル非相互作用情報もまた、MHCアレル相互作用情報としてモデル化することができる。
VIII.B.2.アレル非相互作用情報
アレル非相互作用情報は、そのソースタンパク質配列内の、新生抗原コード化ペプチドに隣接するC末端配列を含むことができる。MHC−Iでは、C末端フランキング配列は、ペプチドのプロテアソームプロセシングに影響を及ぼし得る。しかし、C末端フランキング配列は、ペプチドが小胞体に輸送され、細胞の表面上のMHCアレルと遭遇する前に、プロテアソームによってペプチドから切断される。その結果、MHC分子は、C末端フランキング配列についてのいかなる情報も受け取らず、したがって、C末端フランキング配列の効果は、MHCアレルタイプに応じて変動することができない。例えば、図2Cに示した例に戻ると、提示情報165は、ペプチドのソースタンパク質から特定された、提示されたペプチドFJIEJFOESSのC末端フランキング配列FOEIFNDKSLDKFJIを含み得る。
アレル非相互作用情報はまた、mRNA定量測定値も含むことができる。例えば、mRNA定量データは、質量分析訓練データを提供する同じ試料について取得することができる。図13Hに関して後述するように、RNA発現は、ペプチド提示の強い予測因子であると特定された。一実施形態では、mRNA定量測定値は、ソフトウェアツールRSEMから特定される。RSEMソフトウェアツールの詳細な実行は、Bo Li and Colin N.Dewey.RSEM: accurate transcript quantification from RNA−Seq data with or without a reference genome.BMC Bioinformatics,12:323,August 2011で見出すことができる。一実施形態では、mRNA定量は、100万個のマップされたリードあたりの転写産物のキロ塩基あたりの断片の単位(FPKM)で測定される。
アレル非相互作用情報はまた、そのソースタンパク質配列内の、ペプチドに隣接するN末端配列も含むことができる。
アレル非相互作用情報はペプチド配列のソース遺伝子も含むことができる。ソース遺伝子はペプチド配列のEnsemblタンパク質ファミリーとして定義することができる。他の例では、ソース遺伝子はペプチド配列のソースDNAまたはソースRNAとして定義することができる。ソース遺伝子は、例えば、タンパク質をコードするヌクレオチドのストリングとして表すか、またはその代わりに、特定のタンパク質をコードしていることが知られている既知のDNAまたはRNA配列の命名されたセットに基づいてよりカテゴリー化された形で表すことができる。別の例では、アレル非相互作用情報は、EnsemblまたはRefSeqのようなデータベースから抽出されたペプチド配列のソース転写産物もしくはアイソフォームまたは潜在的なソース転写産物もしくはアイソフォームのセットも含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、ペプチド配列が由来する細胞の組織タイプ、細胞タイプ、または腫瘍タイプも含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、(RNA−seqまたは質量分析によって測定された際の)任意で、腫瘍細胞における対応するプロテアーゼの発現にしたがって重み付けされる、ペプチドにおけるプロテアーゼ切断モチーフの存在も含むことができる。プロテアーゼ切断モチーフを含有するペプチドは、プロテアーゼによってより容易に分解され、したがって細胞内で安定性がより低いことになるため、提示される可能性がより低い。
アレル非相互作用情報はまた、適切な細胞タイプにおいて測定された際の、ソースタンパク質の代謝回転速度も含むことができる。より速い代謝回転速度(すなわち、より低い半減期)は提示の確率を増大させるが、類似していない細胞タイプにおいて測定された場合、この特性の予測力は低い。
アレル非相互作用情報はまた、RNA−seqもしくはプロテオーム質量分析によって測定された際、または、DNAもしくはRNA配列データにおいて検出される生殖細胞系列もしくは体細胞性スプライシング変異のアノテーションから予測された際の、任意で、腫瘍細胞において最も高発現している特異的なスプライス変異体(「アイソフォーム」)を考慮する、ソースタンパク質の長さも含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、(RNA−seq、プロテオーム質量分析、または免疫組織化学によって測定され得る)腫瘍細胞におけるプロテアソーム、イムノプロテアソーム、胸腺プロテアソーム、または他のプロテアーゼの発現のレベルも含むことができる。異なるプロテアソームは、異なる切断部位の好みを有する。より大きい重みが、その発現レベルに比例して、プロテアソームの各タイプの切断の好みに与えられる。
アレル非相互作用情報はまた、(例えば、RNA−seqまたは質量分析によって測定された際の)ペプチドのソース遺伝子の発現も含むことができる。可能な最適化は、腫瘍試料内の間質細胞及び腫瘍浸潤リンパ球の存在を説明する、測定された発現を調整することを含む。より高発現している遺伝子由来のペプチドは、提示される可能性がより高い。検出不可能なレベルの発現を有する遺伝子由来のペプチドは、考察から排除することができる。
アレル非相互作用情報はまた、新生抗原コード化ペプチドのソースmRNAが、ナンセンス変異依存分解機構のモデル、例えば、Rivas et al,Science 2015からのモデルによって予測されるようなナンセンス変異依存分解機構に供されるであろう確率も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、細胞周期の種々の段階の最中の、ペプチドのソース遺伝子の典型的な組織特異的発現も含むことができる。(RNA−seqまたは試料分析プロテオミクスによって測定された際に)全体的に低いレベルで発現しているが、細胞周期の特異的な段階の最中に高レベルで発現していることが公知である遺伝子は、非常に低いレベルで安定に発現している遺伝子よりも、より提示されるペプチドを産生する可能性が高い。
アレル非相互作用情報はまた、例えば、uniProtまたはPDB http://www.rcsb.org/pdb/home/home.doにおいて与えられるような、ソースタンパク質の特性の総合的なカタログも含むことができる。これらの特性は、とりわけ、タンパク質の二次構造及び三次構造、細胞内局在化11、遺伝子オントロジー(GO)用語を含み得る。具体的には、この情報は、タンパク質のレベルで作用するアノテーション、例えば、5’UTR長、及び特異的残基のレベルで作用するアノテーション、例えば、残基300〜310のヘリックスモチーフを含有し得る。これらの特性はまた、ターンモチーフ、シートモチーフ、及び無秩序残基も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、ペプチドを含有するソースタンパク質のドメインの性状を説明する特性、例えば、二次構造または三次構造(例えば、アルファ−ヘリックス対ベータ−シート);選択的スプライシングも含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、ペプチドのソースタンパク質におけるペプチドの位置での提示ホットスポットの有無を説明する特性も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、他の個体における問題のペプチドのソースタンパク質由来のペプチドの提示の確率(それらの個体におけるソースタンパク質の発現レベル、及びそれらの個体の様々なHLAタイプの影響を調整した後)も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、ペプチドが、技術的バイアスのために質量分析によって検出されないか、または過剰に表されるであろう確率も含むことができる。
腫瘍細胞、間質、または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の状態について情報を与える、RNASeq、マイクロアレイ(複数可)、Nanostringなどの標的化パネル(複数可)などの、遺伝子発現アッセイ、または、RT−PCRなどのアッセイによって測定される遺伝子モジュールを代表する単一/複数遺伝子によって測定された際の、種々の遺伝子モジュール/経路の発現(ペプチドのソースタンパク質を含有する必要はない)。
アレル非相互作用情報はまた、腫瘍細胞におけるペプチドのソース遺伝子のコピー数も含むことができる。例えば、腫瘍細胞においてホモ接合性欠失に供される遺伝子由来のペプチドは、ゼロの提示確率を割り当てることができる。
アレル非相互作用情報はまた、ペプチドがTAPに結合する確率、または、測定されたかもしくは予測された、TAPに対するペプチドの結合親和性も含むことができる。TAPに結合する可能性がより高いペプチド、またはより高い親和性でTAPに結合するペプチドは、MHC−Iによって提示される可能性がより高い。
アレル非相互作用情報はまた、(RNA−seq、プロテオーム質量分析、免疫組織化学によって測定され得る)腫瘍細胞におけるTAPの発現レベルも含むことができる。MHC−Iでは、より高いTAP発現レベルは、すべてのペプチドの提示の確率を増大させる。
アレル非相互作用情報はまた、以下を含むがそれらに限定されない、腫瘍変異の有無も含むことができる:
i.EGFR、KRAS、ALK、RET、ROS1、TP53、CDKN2A、CDKN2B、NTRK1、NTRK2、NTRK3などの公知のがんドライバー遺伝子におけるドライバー変異。
ii.抗原提示マシナリーに関与するタンパク質をコードする遺伝子(例えば、B2M、HLA−A、HLA−B、HLA−C、TAP−1、TAP−2、TAPBP、CALR、CNX、ERP57、HLA−DM、HLA−DMA、HLA−DMB、HLA−DO、HLA−DOA、HLA−DOBHLA−DP、HLA−DPA1、HLA−DPB1、HLA−DQ、HLA−DQA1、HLA−DQA2、HLA−DQB1、HLA−DQB2、HLA−DR、HLA−DRA、HLA−DRB1、HLA−DRB3、HLA−DRB4、HLA−DRB5、または、プロテアソームもしくはイムノプロテアソームの構成要素をコードする遺伝子のいずれか)におけるもの。その提示が、腫瘍において機能喪失変異の影響下にある抗原提示マシナリーの構成要素に依拠するペプチドは、提示の確率が低減している。
以下を含むがそれらに限定されない、機能的生殖細胞系列多型の有無:
i.抗原提示マシナリーに関与するタンパク質をコードする遺伝子(例えば、B2M、HLA−A、HLA−B、HLA−C、TAP−1、TAP−2、TAPBP、CALR、CNX、ERP57、HLA−DM、HLA−DMA、HLA−DMB、HLA−DO、HLA−DOA、HLA−DOBHLA−DP、HLA−DPA1、HLA−DPB1、HLA−DQ、HLA−DQA1、HLA−DQA2、HLA−DQB1、HLA−DQB2、HLA−DR、HLA−DRA、HLA−DRB1、HLA−DRB3、HLA−DRB4、HLA−DRB5、または、プロテアソームもしくはイムノプロテアソームの構成要素をコードする遺伝子のいずれか)におけるもの。
アレル非相互作用情報はまた、腫瘍タイプ(例えば、NSCLC、黒色腫)も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、例としてHLAアレル接尾辞によって反映されるような、HLAアレルの公知の機能性も含むことができる。例えば、アレル名HLA−A*24:09NにおけるNの接尾辞は、発現せず、したがってエピトープを提示する可能性が低いヌルアレルを示し;完全なHLAアレル接尾辞の命名法は、https://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/nomenclature/suffixes.htmlに記載されている。
アレル非相互作用情報はまた、臨床的腫瘍サブタイプ(例えば、扁平上皮肺癌対非扁平上皮)も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、喫煙歴も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、日焼け、日光曝露、または他の変異原に対する曝露の経歴も含むことができる。
アレル非相互作用情報はまた、任意でドライバー変異によって層別化される、関連性のある腫瘍タイプまたは臨床的サブタイプにおけるペプチドのソース遺伝子の局部的発現も含むことができる。関連性のある腫瘍タイプにおいて典型的に高レベルで発現している遺伝子は、提示される可能性がより高い。
アレル非相互作用情報はまた、すべての腫瘍における、または同じタイプの腫瘍における、または少なくとも1つの共有されたMHCアレルを有する個体由来の腫瘍における、または少なくとも1つの共有されたMHCアレルを有する個体中の同じタイプの腫瘍における、変異の頻度も含むことができる。
変異した腫瘍特異的ペプチドの例において、提示の確率を予測するために使用される特性の一覧はまた、変異のアノテーション(例えば、ミスセンス、リードスルー、フレームシフト、融合など)、または、変異がナンセンス変異依存分解機構(NMD)を結果としてもたらすと予測されるかどうかも含み得る。例えば、ホモ接合性早期終止変異のために腫瘍細胞において翻訳されないタンパク質セグメント由来のペプチドは、ゼロの提示確率を割り当てることができる。NMDは、提示の確率を減少させる、mRNA翻訳の減少を結果としてもたらす。
VIII.C.プレゼンテーション特定システム
図3は、1つの実施形態による、プレゼンテーション特定システム160のコンピュータ論理構成要素を説明する、ハイレベルブロック図である。この例示的実施形態において、プレゼンテーション特定システム160は、データ管理モジュール312、コード化モジュール314、訓練モジュール316、及び予測モジュール320を含む。プレゼンテーション特定システム160はまた、訓練データ記憶装置170及び提示モデル記憶装置175から構成される。モデル管理システム160のいくつかの実施形態は、本明細書に記載したものとは異なるモジュールを有する。同様に、機能は、本明細書に記載したものは異なる様式で、モジュールの間に分配され得る。
VIII.C.1.データ管理モジュール
データ管理モジュール312は、提示情報165から訓練データ170のセットを生成する。各々の訓練データのセットは、多数のデータ例を含有し、各データ例iは、少なくとも、提示されるかまたは提示されないペプチド配列pと、ペプチド配列pと結合した1つ以上の関連するMHCアレルaと、プレゼンテーション特定システム160が、独立変数の新たな値を予測することに関心があるという情報を表す従属変数yとを含む、独立変数zのセットを含有する。
本明細書で後述する1つの特定の実現形態において、従属変数yは、ペプチドpが、1つ以上の関連するMHCアレルaによって提示されたかどうかを示す、バイナリーラベルである。しかし、他の実現形態において、従属変数yは、プレゼンテーション特定システム160が、独立変数zに依存して予測することに関心があるという任意の他の種類の情報を表し得ることが、認識される。例えば、別の実現形態において、従属変数yはまた、データ例について特定された質量分析イオン電流を示す数値であってもよい。
データ例iについてのペプチド配列pは、k個のアミノ酸の配列であり、kは、データ例iの間で、ある範囲内で変動し得る。例えば、その範囲は、MHCクラスIについては8〜15、またはMHCクラスIIについては6〜30であり得る。システム160の1つの具体的な実現形態において、訓練データセット中のすべてのペプチド配列pは、同じ長さ、例えば9を有し得る。ペプチド配列中のアミノ酸の数は、MHCアレルのタイプ(例えば、ヒトにおけるMHCアレルなど)に応じて変動し得る。データ例iについてのMHCアレルaは、どのMHCアレルが対応するペプチド配列pと結合して存在したかを示す。
データ管理モジュール312はまた、訓練データ170に含有されるペプチド配列p及び結合したMHCアレルaと共に、結合親和性b及び安定性sの予測値などの追加的なアレル相互作用変数も含み得る。例えば、訓練データ170は、ペプチドpと、aにおいて示される結合したMHC分子の各々との間の結合親和性予測値bを含有し得る。別の例として、訓練データ170は、aにおいて示されるMHCアレルの各々についての安定性予測値sを含有し得る。
データ管理モジュール312はまた、ペプチド配列pと共に、C末端隣接配列及びmRNA定量測定値などのアレル非相互作用変数wも含み得る。
データ管理モジュール312はまた、MHCアレルによって提示されないペプチド配列も特定して、訓練データ170を生成する。概して、これは、提示の前に、提示されるペプチド配列を含むソースタンパク質の「より長い」配列を特定することを含む。提示情報が、遺伝子操作した細胞株を含有する場合、データ管理モジュール312は、細胞のMHCアレル上に提示されなかった、細胞がそれに対して曝露された合成タンパク質における一連のペプチド配列を特定する。提示情報が、組織試料を含有する場合、データ管理モジュール312は、提示されたペプチド配列の起源であるソースタンパク質を特定して、組織試料細胞のMHCアレル上に提示されなかった、ソースタンパク質における一連のペプチド配列を特定する。
データ管理モジュール312はまた、ランダム配列のアミノ酸を有するペプチドを人工的に生成し、生成された配列を、MHCアレル上に提示されないペプチドとして特定する。これは、ペプチド配列をランダムに生成することによって達成することができ、MHCアレル上に提示されないペプチドについての多量の合成データをデータ管理モジュール312が容易に生成することを可能にする。実際には、小さなパーセンテージのペプチド配列がMHCアレルによって提示されるため、合成で生成されたペプチド配列は、たとえそれらが細胞によってプロセシングされたタンパク質に含まれたとしても、MHCアレルによって提示されていない可能性が非常に高い。
図4は、1つの実施形態による、訓練データ170Aの例示的なセットを説明する。具体的には、訓練データ170A中の最初の3つのデータ例は、アレルHLA−C01:03を含む単一アレル細胞株、ならびに3種類のペプチド配列
Figure 2021503897
からのペプチド提示情報を示す。訓練データ170A中の4番目のデータ例は、アレルHLA−B07:02、HLA−C01:03、HLA−A01:01を含む複数アレル細胞株、及びペプチド配列QIEJOEIJEからのペプチド情報を示す。最初のデータ例は、ペプチド配列QCEIOWAREが、アレルHLA−DRB3:01:01によって提示されなかったことを示す。前の2つの段落において議論したように、ネガティブ標識されたペプチド配列は、データ管理モジュール312によってランダムに生成されてもよく、または提示されるペプチドのソースタンパク質から特定されてもよい。訓練データ170Aはまた、ペプチド配列−アレルペアについて、1000nMの結合親和性予測値及び1時間の半減期の安定性予測値も含む。訓練データ170Aはまた、ペプチド
Figure 2021503897
のC末端フランキング配列、及び10TPMのmRNA定量測定値などの、アレル非相互作用変数も含む。4番目のデータ例は、ペプチド配列QIEJOEIJEが、アレルHLA−B07:02、HLA−C01:03、またはHLA−A01:01のうちの1つによって提示されたことを示す。訓練データ170Aはまた、アレルの各々についての結合親和性予測値及び安定性予測値、ならびに、ペプチドのC末端フランキング配列及びペプチドについてのmRNA定量測定値も含む。
VIII.C.2.コード化モジュール
コード化モジュール314は、訓練データ170に含有される情報を、1つ以上の提示モデルを生成するために使用することができる数値的表示へとコード化する。一実現形態では、コード化モジュール314は、配列(例えば、ペプチド配列またはC末端隣接配列)を、あらかじめ決定された20文字のアミノ酸アルファベットについて、ワン・ホットでコード化する。具体的には、k個のアミノ酸を有するペプチド配列pは、20・k要素の行ベクトルとして表され、ペプチド配列のj番目の位置のアミノ酸のアルファベットに対応するp 20・(j−1)+1,p 20・(j−1)+2,...,p 20・jの中の単一要素は、1の値を有する。その以外の、残りの要素は、0の値を有する。例として、所定のアルファベット{A,C,D,E,F,G,H,I,K,L,M,N,P,Q,R,S,T,V,W,Y}について、データ例iの3個のアミノ酸のペプチド配列EAFは、60個の要素の行ベクトル
Figure 2021503897
によって表され得る。C末端隣接配列c、ならびに、MHCアレルについてのタンパク質配列d、及び提示情報における他の配列データは、同様に、上記のようにコード化することができる。
訓練データ170が、異なる長さのアミノ酸の配列を含有する場合、コード化モジュール314は、さらに、あらかじめ決定されたアルファベットを拡張するようにPAD文字を追加することによって、ペプチドを同等の長さのベクトルへとコード化し得る。例えば、これは、ペプチド配列の長さが、訓練データ170において最大の長さを有するペプチド配列に達するまで、ペプチド配列をPAD文字でレフトパディングすることによって行われ得る。したがって、最大の長さを有するペプチド配列がk最大個のアミノ酸を有する場合、コード化モジュール314は、各配列を、(20+1)・k最大個の要素の行ベクトルとして数値的に表す。例として、拡張されたアルファベット{PAD,A,C,D,E,F,G,H,I,K,L,M,N,P,Q,R,S,T,V,W,Y}及びk最大=5の最大アミノ酸長について、3個のアミノ酸の同じ例示的なペプチド配列EAFは、105要素の行ベクトル
Figure 2021503897
によって表され得る。C末端隣接配列cまたは他の配列データは、同様に、上記のようにコード化することができる。したがって、ペプチド配列pまたはcにおける各々の独立変数または列は、配列の特定の位置の特定のアミノ酸の存在を表す。
配列データをコード化する上記の方法は、アミノ酸配列を有する配列に関して記載したが、方法を、同様に、例えば、DNAまたはRNAの配列データなどの、他のタイプの配列データに拡張することができる。
コード化モジュール314はまた、データ例iについての1つ以上のMHCアレルaを、m要素の行ベクトルへとコード化し、各要素h=1,2,...,mは、固有の特定されたMHCアレルに対応する。データ例iについて特定されたMHCアレルに対応する要素は、1の値を有する。その以外の、残りの要素は、0の値を有する。例として、m=4の固有の特定されたMHCアレルタイプ{HLA−A01:01,HLA−C01:08,HLA−B07:02,HLA−DRB110:01}の中の、複数アレル細胞株に対応するデータ例iについてのアレルHLA−B07:02及びHLA−DRB110:01は、4要素の行ベクトルa=[0 0 1 1]によって表され得、a =1及びa =1である。4種類の特定されたMHCアレルタイプでの例を、本明細書に記載するが、MHCアレルタイプの数は、実際には数百または数千であることができる。上記で述べたように、各データ例iは、典型的に、ペプチド配列pに関連して最大で6種類の異なるMHCアレルタイプを含む。
コード化モジュール314はまた、各データ例iについてのラベルyを、{0,1}のセットからの値を有するバイナリー変数としてコード化し、1の値は、ペプチドxが、関連するMHCアレルaのうちの1つによって提示されたことを示し、0の値は、ペプチドxが、関連するMHCアレルaのいずれによっても提示されなかったことを示す。従属変数yが、質量分析イオン電流を表す場合、コード化モジュール314は、[0,∞]の間のイオン電流値について[−∞,∞]の範囲を有するlog関数などの種々の関数を用いて、値を追加的にスケール調整し得る。
コード化モジュール314は、ペプチドp及び関連するMHCアレルhについてのアレル相互作用変数x のペアを、アレル相互作用変数の数値的表示が次々に連結されている行ベクトルとして表し得る。例えば、コード化モジュール314は、x を、[p]、[p ]、[p ]、または[p ]と同等の行ベクトルとして表し得、ただし、b は、ペプチドpi及び関連するMHCアレルhについての結合親和性予測値であり、同様に、s は、安定性についてのものである。あるいは、アレル相互作用変数の1つ以上の組み合わせは、個々に(例えば、個々のベクトルまたは行列として)保存されてもよい。
1つの例において、コード化モジュール314は、結合親和性について測定されたかまたは予測された値をアレル相互作用変数x に組み入れることによって、結合親和性情報を表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、結合安定性について測定されたかまたは予測された値をアレル相互作用変数x に組み入れることによって、結合安定性情報を表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、結合オンレートについて測定されたかまたは予測された値をアレル相互作用変数x に組み入れることによって、結合オンレート情報を表す。
1つの例において、クラスI MHC分子によって提示されるペプチドについて、コード化モジュール314は、ペプチド長を、ベクトル
Figure 2021503897
(式中、
Figure 2021503897
は指標関数であり、Lはペプチドpの長さを意味する)として表す。ベクトルTを、アレル相互作用変数x に含めることができる。別の例では、クラスIIのMHC分子によって提示されるペプチドについて、コード化モジュール314はペプチド長をベクトル
Figure 2021503897
(式中、
Figure 2021503897
は指標関数であり、Lはペプチドpの長さを意味する)として表す。ベクトルTを、アレル相互作用変数x に含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、MHCアレルのRNA−seqベースの発現レベルをアレル相互作用変数xhiに組み入れることによって、MHCアレルのRNA発現情報を表す。
同様に、コード化モジュール314は、アレル非相互作用変数wを、アレル非相互作用変数の数値的表示が次々に連鎖している行ベクトルとして表し得る。例えば、wは、[c]または[c]と同等の行ベクトルであってもよく、wは、ペプチドpiのC末端隣接配列及びペプチドに関連するmRNA定量測定値mに加えて任意の他のアレル非相互作用変数を表す、行ベクトルである。あるいは、アレル非相互作用変数の1つ以上の組み合わせは、個々に(例えば、個々のベクトルまたは行列として)保存されてもよい。
1つの例において、コード化モジュール314は、代謝回転速度または半減期をアレル非相互作用変数wに組み入れることによって、ペプチド配列についてのソースタンパク質の代謝回転速度を表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、タンパク質長をアレル非相互作用変数wに組み入れることによって、ソースタンパク質またはアイソフォームの長さを表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、β1、β2、β5サブユニットを含むイムノプロテアソーム特異的プロテアソームサブユニットの平均発現を、アレル非相互作用変数wに組み入れることによって、イムノプロテアソームの活性化を表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、(RSEMなどの技法によってFPKM、TPMの単位で定量された)ペプチド、またはペプチドの遺伝子もしくは転写産物のソースタンパク質のRNA−seq存在量を、ソースタンパク質の存在量をアレル非相互作用変数wに組み入れることによって表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、例えば、Rivas et.al.Science,2015におけるモデルによって推定されるような、ペプチドの起源の転写産物がナンセンス変異依存分解機構(NMD)を受けるであろう確率を、この確率をアレル非相互作用変数wに組み入れることによって表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、RNA−seqを介して評価された遺伝子モジュールまたは経路の活性化状況を、例えば、経路における遺伝子の各々について、例えばRSEMを用いてTPMの単位で、経路における遺伝子の発現を定量すること、次いで、経路における遺伝子にわたる要約統計量、例えば平均値をコンピュータ計算することによって表す。平均を、アレル非相互作用変数wに組み入れることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、ソース遺伝子のコピー数を、コピー数をアレル非相互作用変数wに組み入れることによって表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、(例えば、ナノモル単位での)測定されたかまたは予測されたTAP結合親和性をアレル非相互作用変数wに含むことによって、TAP結合親和性を表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、RNA−seqによって測定された(かつ、例えばRSEMによってTPMの単位で定量された)TAP発現レベルをアレル非相互作用変数wに含むことによって、TAP発現レベルを表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、腫瘍変異を、アレル非相互作用変数wにおける指標変数のベクトル(すなわち、ペプチドpがKRAS G12D変異を有する試料に由来するならばd=1、それ以外は0)として表す。
1つの例において、コード化モジュール314は、抗原提示遺伝子における生殖細胞系列多型を、指標変数のベクトル(すなわち、ペプチドpがTAPにおいて特異的な生殖細胞系列多型を有する試料に由来するならばd=1)として表す。これらの指標変数を、アレル非相互作用変数wに含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、腫瘍タイプを、腫瘍タイプ(例えば、NSCLC、黒色腫、大腸癌など)のアルファベットについての長さ1のワン・ホットコード化ベクトルとして表す。これらのワン・ホットコード化変数を、アレル非相互作用変数wに含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、MHCアレル接尾辞を、4桁のHLAアレルを様々な接尾辞で処理することによって表す。例えば、HLA−A24:09Nは、モデルの目的で、HLA−A24:09とは異なるアレルと考えられる。あるいは、N接尾辞で終わるHLAアレルは発現しないため、N接尾辞のMHCアレルによる提示の確率は、すべてのペプチドについてゼロに設定することができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、腫瘍サブタイプを、腫瘍サブタイプ(例えば、肺腺癌、肺扁平上皮細胞癌など)のアルファベットについての長さ1のワン・ホットコード化ベクトルとして表す。これらのワン・ホットコード化変数を、アレル非相互作用変数wに含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、喫煙歴を、アレル非相互作用変数wに含めることができる、バイナリー指標変数(患者が喫煙歴を有するならばd=1、それ以外は0)として表す。あるいは、喫煙歴を、喫煙の重症度のアルファベットについての長さ1のワン・ホットコード化変数としてコード化することができる。例えば、喫煙状況を、1が非喫煙者を示し、5が現在の大量喫煙者を示す、1〜5のスケールに査定することができる。喫煙歴は、主として肺腫瘍と関連性があるため、複数の腫瘍タイプに対するモデルを訓練する場合、この変数は、患者が喫煙の経歴を有し、かつ腫瘍タイプが肺腫瘍であるならば1と同等であり、それ以外はゼロであると定義することもできる。
1つの例において、コード化モジュール314は、日焼け歴を、アレル非相互作用変数wに含めることができる、バイナリー指標変数(患者が重症の日焼けの経歴を有するならばd=1、それ以外は0)として表す。重症の日焼けは、主として黒色腫と関連性があるため、複数の腫瘍タイプに対するモデルを訓練する場合、この変数は、患者が重症の日焼けの経歴を有し、かつ腫瘍タイプが黒色腫であるならば1と同等であり、それ以外はゼロであると定義することもできる。
1つの例において、コード化モジュール314は、ヒトゲノムにおける各遺伝子または転写産物についての特定の遺伝子または転写産物の発現レベルの分布を、TCGAなどの参照データベースを用いることによって、発現レベルの分布の要約統計量(例えば、平均値、中央値)として表す。具体的には、腫瘍タイプ黒色腫を有する試料におけるペプチドpについて、ペプチドpの起源の遺伝子または転写産物の、測定された遺伝子または転写産物の発現レベルをアレル非相互作用変数wに含むことができるだけでなく、TCGAによって測定された際の、黒色腫におけるペプチドpの起源の遺伝子または転写産物の、平均値及び/または中央値の遺伝子または転写産物発現も含むことができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、変異タイプを、変異タイプ(例えば、ミスセンス、フレームシフト、NMD誘導性など)のアルファベットについての長さ1のワン・ホットコード化変数として表す。これらのワン・ホットコード化変数を、アレル非相互作用変数wに含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、タンパク質のタンパク質レベルの特性を、ソースタンパク質のアノテーション(例えば、5’UTR長)の値として、アレル非相互作用変数wにおいて表す。別の例において、コード化モジュール314は、ペプチドpについてのソースタンパク質の残基レベルのアノテーションを、ペプチドpがヘリックスモチーフとオーバーラップするならば1と同等であり、それ以外は0であるか、または、ペプチドpがヘリックスモチーフ内に完全に含有されるならば1と同等である指標変数を、アレル非相互作用変数wiに含むことによって表す。別の例において、ヘリックスモチーフアノテーション内に含有されるペプチドpにおける残基の割合を表す特性を、アレル非相互作用変数wに含めることができる。
1つの例において、コード化モジュール314は、ヒトプロテオームにおけるタンパク質またはアイソフォームのタイプを、ヒトプロテオームにおけるタンパク質またはアイソフォームの数と同等の長さを有する指標ベクトルoとして表し、対応する要素o は、ペプチドpがタンパク質iに由来するならば1であり、それ以外は0である。
1つの例において、コード化モジュール314は、ペプチドpのソース遺伝子G=gene(p)をL個の可能なカテゴリーを有するカテゴリー変数として表す(ただし、Lは添え字を付したソース遺伝子1,2,...,Lの数の上限を示す)。
1つの例において、コード化モジュール314は、ペプチドpの組織タイプ、細胞タイプ、腫瘍タイプ、または腫瘍組織学タイプT=組織(p)をM個の可能なカテゴリーを有するカテゴリー変数として表す(ただし、Mは添え字を付したタイプ1,2,...,Mの数の上限を示す)。組織のタイプとしては、例えば、肺組織、心組織、腸組織、神経組織などを挙げることができる。細胞のタイプとしては、樹状細胞、マクロファージ、CD4 T細胞などを挙げることができる。肺腺癌、肺扁平上皮癌、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫などを挙げることができる。
コード化モジュール314はまた、ペプチドp及び関連するMHCアレルhについての変数zの全体的なセットを、アレル相互作用変数x及びアレル非相互作用変数wの数値的表示が次々に連鎖している行ベクトルとしても表し得る。例えば、コード化モジュール314は、z を、[x ]または[w ]と同等の行ベクトルとして表し得る。
IX.訓練モジュール
訓練モジュール316は、ペプチド配列に関連するMHCアレルによってペプチド配列が提示されるかどうかの尤度を生成する、1つ以上の提示モデルを構築する。具体的には、ペプチド配列p及びペプチド配列pに関連するMHCアレルaのセットが与えられ、各提示モデルは、ペプチド配列pが、関連するMHCアレルaのうちの1つ以上によって提示されるであろう尤度を示す、推定値uを生成する。
IX.A.概要
訓練モジュール316は、165に保存された提示情報から生成された、記憶装置170に保存された訓練データセットに基づいて、1つ以上の提示モデルを構築する。概して、提示モデルの具体的なタイプに関わらず、提示モデルのすべては、損失関数が最小化されるように、訓練データ170における独立変数と従属変数との間の依存性を捕捉する。具体的には、損失関数
Figure 2021503897
は、訓練データ170における1つ以上のデータ例Sについての従属変数yi∈Sの値と、提示モデルによって生成されたデータ例Sについての推定された尤度ui∈Sとの間の矛盾を表す。本明細書で後述する1つの特定の実現形態において、損失関数(yi∈S,ui∈S;θ)は、以下のような等式(1a)によって与えられる負のlog尤度関数である。
Figure 2021503897
しかし、実際には、別の損失関数が使用されてもよい。例えば、質量分析イオン電流について予測がなされる場合、損失関数は、以下のような等式1bによって与えられる平均二乗損失である。
Figure 2021503897
提示モデルは、1つ以上のパラメータθが、独立変数と従属変数との間の依存性を数学的に明記する、パラメトリックモデルであり得る。典型的に、損失関数(yi∈S,ui∈S;θ)を最小化するパラメトリックタイプの提示モデルの種々のパラメータは、例えば、バッチ勾配アルゴリズム、確率的勾配アルゴリズムなどの、勾配ベースの数値的最適化アルゴリズムを通して決定される。あるいは、提示モデルは、モデル構造が、訓練データ170から決定され、固定されたパラメータのセットに厳密には基づかない、ノンパラメトリックモデルであり得る。
IX.B.アレル毎モデル
訓練モジュール316は、アレル毎ベースでペプチドの提示尤度を予測するための提示モデルを構築し得る。この例において、訓練モジュール316は、単一のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170におけるデータ例Sに基づいて、提示モデルを訓練し得る。
一実現形態では、訓練モジュール316は、
Figure 2021503897
によって、特定のアレルhについてのペプチドpkの推定提示尤度uをモデル化し、ただし、ペプチド配列x は、ペプチドp及び対応するMHCアレルhについてのコード化されたアレル相互作用変数を意味し、f(・)は、任意の関数であり、記載の便宜上、本明細書中を通して変換関数と呼ばれる。さらに、g(・)は、任意の関数であり、記載の便宜上、本明細書中を通して依存性関数と呼ばれ、MHCアレルhについて決定されたパラメータθのセットに基づいて、アレル相互作用変数x についての依存性スコアを生成する。各MHCアレルhについてのパラメータθのセットの値は、θに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、ここでiは、単一のMHCアレルhを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。
依存性関数g(x ;θ)の出力は、MHCアレルhが、少なくともアレル相互作用特性x に基づいて、及び特に、ペプチドpのペプチド配列のアミノ酸の位置に基づいて、対応する新生抗原を提示するかどうかを示す、MHCアレルhについての依存性スコアを表す。例えば、MHCアレルhについての依存性スコアは、MHCアレルhが、ペプチドpを提示する可能性が高い場合に、高い値を有し得、提示の可能性が高くない場合に、低い値を有し得る。変換関数f(・)は、入力を変換し、より具体的には、この例においてg(x ;θ)によって生成された依存性スコアを、ペプチドpがMHCアレルによって提示されるであろう尤度を示す適切な値に変換する。
本明細書で後述する1つの特定の実現形態において、f(・)は、適切なドメイン範囲について[0,1]内の範囲を有する関数である。1つの例において、f(・)は、
Figure 2021503897
によって与えられるexpit関数である。
別の例として、f(・)はまた、ドメインzの値が0以上である場合、
f(z)=tanh(z) (5)
によって与えられる双曲線正接関数であることもできる。あるいは、予測が、範囲[0,1]の外側の値を有する質量分析イオン電流についてなされる場合、f(・)は、例えば、恒等関数、指数関数、log関数などの任意の関数であることができる。
したがって、ペプチド配列pがMHCアレルhによって提示されるであろうアレル毎尤度は、MHCアレルhについての依存性関数g(・)をペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、対応する依存性スコアを生成することによって、生成することができる。依存性スコアは、ペプチド配列pがMHCアレルhによって提示されるであろうアレル毎尤度を生成するように、変換関数f(・)によって変換されてもよい。
IX.B.1 アレル相互作用変数についての依存性関数
本明細書を通して言及される1つの特定の実現形態において、依存性関数g(・)は、x における各アレル相互作用変数を、関連するMHCアレルhについて決定されたパラメータθのセットにおける対応するパラメータと線形結合する、
Figure 2021503897
によって与えられるアフィン関数である。
本明細書を通して言及される別の特定の実現形態において、依存性関数g(・)は、1つ以上の層において配置された一連のノードを有するネットワークモデルNN(・)によって表される、
Figure 2021503897
によって与えられるネットワーク関数である。ノードは、パラメータθのセットにおける関連するパラメータを各々有する接続を通して、他のノードに接続され得る。1つの特定のノードでの値は、特定のノードに関連する活性化関数によってマッピングされた関連するパラメータによって重み付けられた、特定のノードに接続されたノードの値の和として表され得る。アフィン関数と対照的に、ネットワークモデルは、提示モデルが非線形性、及び異なる長さのアミノ酸配列を有するプロセスデータを組み入れることができるため、有利である。具体的には、非線形モデリングを通して、ネットワークモデルは、ペプチド配列中の異なる位置のアミノ酸間の相互作用、及びこの相互作用がペプチド提示にいかに影響を及ぼすかを捕捉することができる。
概して、ネットワークモデルNN(・)は、人工ニューラルネットワーク(ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、深層ニューラルネットワーク(DNN)などのフィードフォワードネットワーク、及び/または、長・短期記憶ネットワーク(LSTM)、双方向再帰型ネットワーク、深層双方向再帰型ネットワークなどの再帰型ネットワークなどとして、構造化され得る。
本明細書で後述する1つの例において、h=1,2,...,mにおける各MHCアレルは、別々のネットワークモデルに関連し、NN(・)は、MHCアレルhに関連するネットワークモデルからの出力を意味する。
図5は、任意のMHCアレルh=3に関連した例示的なネットワークモデルNN(・)を説明する。図5に示すように、MHCアレルh=3についてのネットワークモデルNN(・)は、層l=1での3種類の入力ノード、層l=2での4種類のノード、層l=3での2種類のノード、及び層l=4での1種類の出力ノードを含む。ネットワークモデルNN(・)は、10種類のパラメータθ(1),θ(2),...,θ(10)のセットに関連している。ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についての3種類のアレル相互作用変数x (1)、x (2)、及びx (3)についての入力値(コード化されたポリペプチド配列データ及び使用される任意の他の訓練データを含む、個々のデータ例)を受け取り、値NN(x )を出力する。ネットワーク関数は、異なるアレル相互作用変数をそれぞれが入力として取る1つ以上のネットワークモデルを含んでもよい。
別の例において、特定されたMHCアレルh=1,2,...,mは、単一ネットワークモデルNN(・)に関連しており、NN(・)は、MHCアレルhに関連する単一ネットワークモデルの1つ以上の出力を意味する。そのような例において、パラメータθのセットは、単一ネットワークモデルについてのパラメータのセットに対応し得、したがって、パラメータθのセットは、すべてのMHCアレルによって共有され得る。
図6Aは、MHCアレルh=1,2,...,mによって共有される例示的なネットワークモデルNN(・)を説明する。図6Aに示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルに各々対応する、m個の出力ノードを含む。ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、MHCアレルh=3に対応する値NN(x )を含む、m個の値を出力する。
さらに別の例において、単一ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルhのアレル相互作用変数x 及びコード化されたタンパク質配列dを与えられて依存性スコアを出力する、ネットワークモデルであり得る。そのような例において、パラメータθのセットは、再び、単一ネットワークモデルについてのパラメータのセットに対応し得、したがって、パラメータθのセットは、すべてのMHCアレルによって共有され得る。したがって、そのような例において、NNh(・)は、単一ネットワークモデルに対して入力[x ]を与えられた、単一ネットワークモデルNN(・)の出力を意味する。そのようなネットワークモデルは、訓練データにおいて未知であったMHCアレルについてのペプチド提示確率を、単にそれらのタンパク質配列を特定することによって正しく予測することができるため、有利である。
図6Bは、MHCアレルによって共有される例示的なネットワークモデルNN(・)を説明する。図6Bに示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3のアレル相互作用変数及びタンパク質配列を入力として受け取り、MHCアレルh=3に対応する依存性スコアNN(x )を出力する。
さらに別の例において、依存性関数g(・)は、
Figure 2021503897
として表すことができ、式中、g’(x ;θ’)は、パラメータθ’のセットを伴うアフィン関数、ネットワーク関数などであり、MHCアレルhについての提示のベースライン確率を表す、MHCアレルのアレル相互作用変数についてのパラメータのセットにおけるバイアスパラメータθ を伴う。
別の実現形態において、バイアスパラメータθ は、MHCアレルhの遺伝子ファミリーにしたがって共有されてもよい。すなわち、MHCアレルhについてのバイアスパラメータθ はθ遺伝子(h) と同等であり得、遺伝子(h)は、MHCアレルhの遺伝子ファミリーである。例えば、クラスI MHCアレルHLA−A02:01、HLA−A02:02、及びHLA−A02:03は、「HLA−A」の遺伝子ファミリーに割り当てられてもよく、これらのMHCアレルの各々についてのバイアスパラメータθ が共有されてもよい。別の例として、クラスII MHCアレルHLA−DRB1:10:01、HLA−DRB1:11:01、及びHLA−DRB3:01:01を「HLA−DRB」の遺伝子ファミリーに割り当て、これらのMHCアレルのそれぞれのバイアスパラメータθ を共有することができる。
例として、等式(2)に戻ると、アフィン依存性関数g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、x は、MHCアレルh=3について特定されたアレル相互作用変数であり、θは、損失関数最小化を通してMHCアレルh=3について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、別々のネットワーク変換関数g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、x は、MHCアレルh=3について特定されたアレル相互作用変数であり、θは、MHCアレルh=3に関連するネットワークモデルNN(・)について決定されたパラメータのセットである。
図7は、例示的なネットワークモデルNN(・)を用いた、MHCアレルh=3に関連したペプチドpの提示尤度の生成を説明する。図7に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。出力は、関数f(・)によってマッピングされて、推定提示尤度uを生成する。
IX.B.2.アレル非相互作用変数を伴うアレル毎
一実現形態では、訓練モジュール316は、アレル非相互作用変数を組み入れて、
Figure 2021503897
によって、ペプチドpの推定提示尤度ukをモデル化し、式中、wは、ペプチドpについてのコード化されたアレル非相互作用変数を意味し、g(・)は、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータθのセットに基づく、アレル非相互作用変数wについての関数である。具体的には、各MHCアレルhについてのパラメータθのセット及びアレル非相互作用変数についてのパラメータθのセットの値を、θ及びθに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、iは、単一のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。
依存性関数g(w;θ)の出力は、アレル非相互作用変数の影響に基づいて、1つ以上のMHCアレルによってペプチドpが提示されるかどうかを示す、アレル非相互作用変数についての依存性スコアを表す。例えば、アレル非相互作用変数についての依存性スコアは、ペプチドpの提示に正の影響を及ぼすことが公知であるC末端隣接配列とペプチドpが結合している場合は、高い値を有し得、ペプチドpの提示に負の影響を及ぼすことが公知であるC末端隣接配列とペプチドpが結合している場合は、低い値を有し得る。
等式(8)によると、ペプチド配列pがMHCアレルhによって提示されるであろうアレル毎尤度は、MHCアレルhについての関数g(・)を、ペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、アレル相互作用変数について対応する依存性スコアを生成することによって、生成することができる。アレル非相互作用変数についての関数g(・)もまた、アレル非相互作用変数についての依存性スコアを生成するように、アレル非相互作用変数のコード化されたバージョンに適用される。両方のスコアが組み合わされ、組み合わされたスコアが、MHCアレルhによってペプチド配列pが提示されるであろうアレル毎尤度を生成するように、変換関数f(・)によって変換される。
あるいは、訓練モジュール316は、等式(2)においてアレル非相互作用変数wをアレル相互作用変数x に付加することにより、予測におけるアレル非相互作用変数wを含んでもよい。したがって、提示尤度は、
Figure 2021503897
によって与えられ得る。
IX.B.3 アレル非相互作用変数についての依存性関数
アレル相互作用変数についての依存性関数g(・)と同様に、アレル非相互作用変数についての依存性関数g(・)は、アフィン関数、または別々のネットワークモデルがアレル非相互作用変数wに関連しているネットワーク関数であり得る。
具体的には、依存性関数g(・)は、wにおけるアレル非相互作用変数を、パラメータθのセットにおける対応するパラメータと線形結合する、
Figure 2021503897
によって与えられるアフィン関数である。
依存性関数g(・)はまた、パラメータθのセットにおける関連するパラメータを有するネットワークモデルNN(・)によって表される、
Figure 2021503897
によって与えられるネットワーク関数である。ネットワーク関数は、異なるアレル非相互作用変数をそれぞれが入力として取る1つ以上のネットワークモデルを含んでもよい。
別の例において、アレル非相互作用変数についての依存性関数g(・)は、
Figure 2021503897
によって与えられ得、式中、g’(w;θ’)は、アレル非相互作用パラメータθ’のセットを伴うアフィン関数、ネットワーク関数などであり、mは、ペプチドpについてのmRNA定量測定値であり、h(・)は、定量測定値を変換する関数であり、かつθ は、mRNA定量測定値についての依存性スコアを生成するようにmRNA定量測定値と組み合わされる、アレル非相互作用変数についてのパラメータのセットにおけるパラメータである。本明細書で後述する1つの特定の実施形態において、h(・)はlog関数であるが、実際には、h(・)は、様々な異なる関数のうちのいずれか1つであり得る。
さらに別の例において、アレル非相互作用変数についての依存性関数g(・)は、
Figure 2021503897
によって与えられ、式中、g’(w;θ’)は、アレル非相互作用パラメータθ’のセットを伴うアフィン関数、ネットワーク関数などであり、oは、ペプチドpについてヒトプロテオームにおけるタンパク質及びアイソフォームを表す、セクションVII.C.2で述べた指標ベクトルであり、かつθ は、指標ベクトルと組み合わされるアレル非相互作用変数についてのパラメータのセットにおける、パラメータのセットである。1つのバリエーションにおいて、o及びパラメータθ のセットの次元が有意に高い場合、
Figure 2021503897
(式中、
Figure 2021503897
は、L1ノルム、L2ノルム、組み合わせなどを表す)などのパラメータ正則化項を、パラメータの値を決定する時に損失関数に加えることができる。ハイパーパラメータλの最適値を、適切な方法を通して決定することができる。
さらに別の例において、アレル非相互作用変数に対する依存性関数g(・)は下式により与えられる。すなわち、
Figure 2021503897
式中、g’(w;θ’)は、アレル非相互作用パラメータθ’のセットを伴うアフィン関数、ネットワーク関数などであり、
Figure 2021503897
は、ペプチドpがアレル非相互作用変数に関して上記に述べたソース遺伝子1に由来するものである場合に1に等しいインジケータ関数であり、θ はソース遺伝子1の「抗原性」を示すパラメータである。1つのバリエーションにおいて、Lが充分に大きく、したがって、パラメータの数θ l=1, 2,...,Lが充分に大きい場合、
Figure 2021503897
のようなパラメータ正則化項(式中、
Figure 2021503897
は、L1ノルム、L2ノルム、組み合わせなどを表す)をパラメータの値を決定する際に損失関数に加えることができる。ハイパーパラメータλの最適値は適当な方法によって決定することができる。
さらに別の例において、アレル非相互作用変数に対する依存性関数g(・)は下式により与えられる。
Figure 2021503897
式中、g’(w;θ’)は、アレル非相互作用パラメータθ’のセットを伴うアフィン関数、ネットワーク関数などであり、
Figure 2021503897
は、アレル非相互作用変数に関して上記に述べたようにペプチドpがソース遺伝子1に由来するものである場合、かつペプチドpが組織タイプmに由来するものである場合に1に等しいインジケータ関数であり、θ lmはソース遺伝子1と組織タイプmとの組み合わせの抗原性を示すパラメータである。詳細には、組織タイプmの遺伝子1の抗原性は、組織タイプmの細胞が、RNA発現及びペプチド配列コンテキストについての調節後に遺伝子1由来のペプチドを提示する残留傾向を示し得る。
1つのバリエーションにおいて、LまたはMが充分に大きく、したがって、パラメータの数θ lm=1, 2,...,LMが充分に大きい場合、
Figure 2021503897
のようなパラメータ正則化項(式中、
Figure 2021503897
は、L1ノルム、L2ノルム、組み合わせなどを表す)をパラメータの値を決定する際に損失関数に加えることができる。ハイパーパラメータλの最適値は適当な方法によって決定することができる。別のバリエーションにおいて、同じソース遺伝子に対する係数が組織タイプ間で大きく異ならないように、パラメータの値を決定する際にパラメータ正則化項を損失関数に加えることができる。例えば、以下のようなペナルティ項:
Figure 2021503897
(式中、
Figure 2021503897
はソース遺伝子1の組織タイプにわたった平均の抗原性である)は、損失関数中の異なる組織タイプにわたった抗原性の標準偏差にペナルティを付加することができる。
実際には、式(10)、(11)、(12a)及び(12b)のいずれかの追加項を組み合わせることによってアレル非相互作用変数に関する依存性関数g(・)を生成することができる。例えば、式(10)のmRNA定量測定値を示す項h(・)と、式(12)のソース遺伝子の抗原性を示す項とを他の任意のアフィン関数またはネットワーク関数とともに互いに加え合わせることにより、アレル非相互作用変数に関する依存性関数を生成することができる。
例として、等式(8)に戻ると、アフィン変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル非相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
図8は、例示的なネットワークモデルNN(・)及びNN(・)を用いた、MHCアレルh=3に関連したペプチドpの提示尤度の生成を説明する。図8に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。ネットワークモデルNN(・)は、ペプチドpについてのアレル非相互作用変数wを受け取り、出力NN(w)を生成する。出力は、組み合わされ、関数f(・)によってマッピングされて、推定提示尤度ukを生成する。
IX.C.複数アレルモデル
訓練モジュール316はまた、2つ以上のMHCアレルが存在する複数アレル設定においてペプチドの提示尤度を予測するための提示モデルを構築し得る。この例において、訓練モジュール316は、単一のMHCアレルを発現する細胞、複数のMHCアレルを発現する細胞、またはそれらの組み合わせから生成された訓練データ170におけるデータ例Sに基づいて、提示モデルを訓練し得る。
IX.C.1.実施例1:アレル毎モデルの最大値
一実現形態では、訓練モジュール316は、複数のMHCアレルHのセットに関連したペプチドpの推定提示尤度uを、等式(2)〜(11)と共に上記で説明したような、単一アレルを発現する細胞に基づいて決定されたセットHにおけるMHCアレルhの各々について決定された提示尤度u h∈Hの関数としてモデル化する。具体的には、提示尤度uは、u h∈Hの任意の関数であることができる。一実現形態では、等式(12)に示すように、関数は最大値関数であり、提示尤度uは、セットHにおける各MHCアレルhについての提示尤度の最大値として決定することができる。
Figure 2021503897
IX.C.2.実施例2.1:和の関数モデル
一実現形態では、訓練モジュール316は、ペプチドpの推定提示尤度uを、
Figure 2021503897
によってモデル化し、式中、要素a は、ペプチド配列pに関連する複数のMHCアレルHについて1であり、x は、ペプチドp及び対応するMHCアレルについてのコード化されたアレル相互作用変数を意味する。各MHCアレルhについてのパラメータθのセットの値は、θに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、iは、単一のMHCアレルを発現する細胞及び/または複数のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。依存性関数gは、セクションVIII.B.1.において上記で導入された依存性関数gのいずれかの形態であり得る。
等式(13)によると、ペプチド配列pが1つ以上のMHCアレルhによって提示されるであろう提示尤度は、依存性関数g(・)を、MHCアレルHの各々についてペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、アレル相互作用変数についての対応するスコアを生成することによって、生成することができる。各MHCアレルhについてのスコアが組み合わされて、ペプチド配列pがMHCアレルHのセットによって提示されるであろう提示尤度を生成するように変換関数f(・)によって変換される。
等式(13)の提示モデルは、各ペプチドpについての関連するアレルの数が1よりも大きいことができる点で、等式(2)のアレル毎モデルとは異なる。換言すると、a における1つよりも多い要素が、ペプチド配列pに関連する複数のMHCアレルHについて1の値を有することができる。
例として、アフィン変換関数g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、x 、x は、MHCアレルh=2、h=3について特定されたアレル相互作用変数であり、θ、θは、MHCアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、NN(・)、NN(・)は、MHCアレルh=2、h=3について特定されたネットワークモデルであり、θ、θは、MHCアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
図9は、例示的なネットワークモデルNN(・)及びNN(・)を用いた、MHCアレルh=2、h=3に関連したペプチドpの提示尤度の生成を説明する。図9に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=2についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成し、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。出力は、組み合わされ、関数f(・)によってマッピングされて、推定提示尤度uを生成する。
IX.C.3.実施例2.2:アレル非相互作用変数を伴う和の関数モデル
一実現形態では、訓練モジュール316は、アレル非相互作用変数を組み入れて、
Figure 2021503897
によって、ペプチドpの推定提示尤度uをモデル化し、式中、wは、ペプチドpについてのコード化されたアレル非相互作用変数を意味する。具体的には、各MHCアレルhについてのパラメータθのセット及びアレル非相互作用変数についてのパラメータθのセットの値を、θ及びθに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、iは、単一のMHCアレルを発現する細胞及び/または複数のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。依存性関数gは、セクションVIII.B.3.において上記で導入された依存性関数gのいずれかの形態であり得る。
したがって、等式(14)によると、1つ以上のMHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度は、関数g(・)を、MHCアレルHの各々についてペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、各MHCアレルhのアレル相互作用変数について対応する依存性スコアを生成することによって、生成することができる。アレル非相互作用変数についての関数g(・)もまた、アレル非相互作用変数についての依存性スコアを生成するように、アレル非相互作用変数のコード化されたバージョンに適用される。スコアが組み合わされ、組み合わされたスコアが、MHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度を生成するように、変換関数f(・)によって変換される。
等式(14)の提示モデルにおいて、各ペプチドpについての関連するアレルの数は、1よりも大きいことができる。換言すると、a における1つよりも多い要素が、ペプチド配列pに関連する複数のMHCアレルHについて1の値を有することができる。
例として、アフィン変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル非相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
図10は、例示的なネットワークモデルNN(・)、NN(・)、及びNN(・)を用いて、MHCアレルh=2、h=3に関連するペプチドpの提示尤度を生成する、ことを例示している。図10に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=2についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。ネットワークモデルNN(・)は、ペプチドpについてのアレル非相互作用変数wを受け取り、出力NN(w)を生成する。出力は、組み合わされ、関数f(・)によってマッピングされて、推定提示尤度uを生成する。
あるいは、訓練モジュール316は、等式(15)においてアレル非相互作用変数wをアレル相互作用変数x に付加することにより、予測におけるアレル非相互作用変数wを含んでもよい。したがって、提示尤度は、
Figure 2021503897
によって与えられ得る。
IX.C.4.実施例3.1:暗黙のアレル毎尤度を用いたモデル
別の実現形態において、訓練モジュール316は、ペプチドpの推定提示尤度uを、
Figure 2021503897
によってモデル化し、式中、要素a は、ペプチド配列pに関連する複数のMHCアレルh∈Hについて1であり、u’ は、MHCアレルhについての暗黙のアレル毎提示尤度であり、ベクトルvは、要素vが、a ・・・u’ に対応するベクトルであり、s(・)は、vの要素をマッピングする関数であり、かつr(・)は、入力の値を所定の範囲中にクリップするクリッピング関数である。より詳細に下記に記載するように、s(・)は、総和関数または二次関数であってもよいが、他の実施形態において、s(・)は、最大値関数などの任意の関数であり得ることが認識される。暗黙のアレル毎尤度についてのパラメータθのセットの値は、θに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、iは、単一のMHCアレルを発現する細胞及び/または複数のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。
等式(17)の提示モデルにおける提示尤度は、各々が、個々のMHCアレルhによってペプチドpが提示されるであろう尤度に対応する、暗黙のアレル毎提示尤度u’ の関数としてモデル化される。暗黙のアレル毎尤度は、暗黙のアレル毎尤度についてのパラメータが、単一アレル設定に加えて、提示されるペプチドと対応するMHCアレルとの間の直接の関連が未知である複数アレル設定から学習され得る点で、セクションVIII.Bのアレル毎提示尤度とは異なる。したがって、複数アレル設定において、提示モデルは、ペプチドpが全体としてMHCアレルHのセットによって提示されるかどうかを推定できるだけではなく、どのMHCアレルhがペプチドpを提示した可能性が最も高いかを示す個々の尤度u’ h∈Hも提供することもできる。これの利点は、提示モデルが、単一のMHCアレルを発現する細胞についての訓練データを伴わずに暗黙の尤度を生成できることである。
本明細書で後述する1つの特定の実現形態において、r(・)は、範囲[0,1]を有する関数である。例えば、r(・)は、クリップ関数:
r(z)=min(max(z,0),1)
であってもよく、zと1の間の最小値が、提示尤度ukとして選ばれる。別の実現形態において、r(・)は、
r(z)=tanh(z)
として与えられる双曲線正接関数であり、ドメインzの値は、0以上である。
IX.C.5.実施例3.2:関数の和モデル
1つの特定の実現形態において、s(・)は、総和関数であり、提示尤度は、暗黙のアレル毎提示尤度を総和することによって与えられる。
Figure 2021503897
1つの実現形態では、MHCアレルhについての暗黙のアレル毎提示尤度を、
Figure 2021503897
によって生成して、提示尤度が、
Figure 2021503897
によって推定されるようにする。
等式(19)によると、1つ以上のMHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度は、関数g(・)を、MHCアレルHの各々についてペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、アレル相互作用変数についての対応する依存性スコアを生成することによって、生成することができる。各依存性スコアは、最初に、暗黙のアレル毎提示尤度u’ を生成するように、関数f(・)によって変換される。アレル毎尤度u’ が組み合わされ、組み合わされた尤度にクリッピング関数が、値を範囲[0,1]中にクリップするために適用されて、ペプチド配列pがMHCアレルHのセットによって提示されるであろう提示尤度が生成され得る。依存性関数gは、セクションVIII.B.1.において上記で導入された依存性関数gのいずれかの形態であり得る。
例として、アフィン変換関数g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、x 、x は、MHCアレルh=2、h=3について特定されたアレル相互作用変数であり、θ、θは、MHCアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、NN(・)、NN(・)は、MHCアレルh=2、h=3について特定されたネットワークモデルであり、θ、θは、MHCアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
図11は、例示的なネットワークモデルNN(・)及びNN(・)を用いた、MHCアレルh=2、h=3に関連したペプチドpの提示尤度の生成を説明する。図9に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=2についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成し、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。各出力は、関数f(・)によってマッピングされ、組み合わされて、推定提示尤度uを生成する。
別の実現形態において、予測が、質量分析イオン電流のlogについてなされる場合、r(・)はlog関数であり、f(・)は指数関数である。
IX.C.6.実施例3.3:アレル非相互作用変数を伴う関数の和モデル
1つの実現形態では、MHCアレルhについての暗黙のアレル毎提示尤度を、
Figure 2021503897
によって生成して、提示尤度が、
Figure 2021503897
によって生成されるようにして、ペプチド提示に、アレル非相互作用変数の影響を組み入れる。
等式(21)によると、1つ以上のMHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度は、関数g(・)を、MHCアレルHの各々についてペプチド配列pのコード化されたバージョンに適用して、各MHCアレルhのアレル相互作用変数について対応する依存性スコアを生成することによって、生成することができる。アレル非相互作用変数についての関数g(・)もまた、アレル非相互作用変数についての依存性スコアを生成するように、アレル非相互作用変数のコード化されたバージョンに適用される。アレル非相互作用変数のスコアが、アレル相互作用変数の依存性スコアの各々に組み合わされる。組み合わされたスコアの各々が、暗黙のアレル毎提示尤度を生成するように、関数f(・)によって変換される。暗黙の尤度が組み合わされ、組み合わされた出力にクリッピング関数が、値を範囲[0,1]中にクリップするために適用されて、MHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度が生成され得る。依存性関数gは、セクションVIII.B.3.において上記で導入された依存性関数gのいずれかの形態であり得る。
例として、アフィン変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル非相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数gh(・)、gw(・)を用いた、m=4の異なる特定されたMHCアレルの中でMHCアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、wは、ペプチドpについて特定されたアレル相互作用変数であり、θは、アレル非相互作用変数について決定されたパラメータのセットである。
図12は、例示的なネットワークモデルNN(・)、NN(・)、及びNN(・)を用いた、MHCアレルh=2、h=3に関連したペプチドpの提示尤度の生成を説明する。図12に示すように、ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=2についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成する。ネットワークモデルNN(・)は、ペプチドpについてのアレル非相互作用変数wを受け取り、出力NN(w)を生成する。出力は、組み合わされ、関数f(・)によってマッピングされる。ネットワークモデルNN(・)は、MHCアレルh=3についてのアレル相互作用変数x を受け取り、出力NN(x )を生成し、これも、同じネットワークモデルNN(・)の出力NN(w)と組み合わされ、関数f(・)によってマッピングされる。両方の出力が組み合わされて、推定提示尤度ukを生成する。
別の実現形態では、MHCアレルhについての暗黙のアレル毎提示尤度を、
Figure 2021503897
によって生成して、提示尤度が、
Figure 2021503897
によって生成されるようにする。
IX.C.7.実施例4:二次モデル
一実現形態では、s(・)は、二次関数であり、ペプチドpの推定提示尤度uは、
Figure 2021503897
によって与えられ、式中、要素u’ は、MHCアレルhについての暗黙のアレル毎提示尤度である。暗黙のアレル毎尤度についてのパラメータθのセットの値は、θに関する損失関数を最小化することによって決定することができ、iは、単一のMHCアレルを発現する細胞及び/または複数のMHCアレルを発現する細胞から生成された訓練データ170のサブセットSにおける各例である。暗黙のアレル毎提示尤度は、上記の等式(18)、(20)、及び(22)において示すいずれかの形態であり得る。
一態様において、等式(23)のモデルは、ペプチド配列pが、2つのMHCアレルによって同時に提示されるであろう可能性が存在し、2つのHLAアレルによる提示は統計学的に独立していることを含意し得る。
等式(23)によると、1つ以上のMHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度は、暗黙のアレル毎提示尤度を組み合わせること、及び、MHCアレルHによってペプチド配列pが提示されるであろう提示尤度を生成するように、MHCアレルの各ペアがペプチドpを同時に提示するであろう尤度を総和から差し引くことによって、生成することができる。
例として、アフィン変換関数g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたHLAアレルの中でHLAアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、x 、x は、HLAアレルh=2、h=3について特定されたアレル相互作用変数であり、θ、θは、HLAアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
別の例として、ネットワーク変換関数g(・)、g(・)を用いた、m=4の異なる特定されたHLAアレルの中でHLAアレルh=2、h=3によってペプチドpが提示されるであろう尤度は、
Figure 2021503897
によって生成することができ、式中、NN(・)、NN(・)は、HLAアレルh=2、h=3について特定されたネットワークモデルであり、θ、θは、HLAアレルh=2、h=3について決定されたパラメータのセットである。
X.実施例5:予測モジュール
予測モジュール320は、配列データを受け取って、提示モデルを用いて配列データ中の候補新生抗原を選択する。具体的には、配列データは、患者の腫瘍組織細胞から抽出されたDNA配列、RNA配列、及び/またはタンパク質配列であってよい。予測モジュール320は、配列データを、MHC−Iについては8〜15個のアミノ酸を有する、またはMHC−IIについては6〜30個のアミノ酸を有する複数のペプチド配列pに処理する。例えば、予測モジュール320は、所定の配列「IEFROEIFJEF」を、9個のアミノ酸を有する3種類のペプチド配列「IEFROEIFJ」、「EFROEIFJE」、及び「FROEIFJEF」に処理することができる。一実施形態では、予測モジュール320は、患者の正常組織細胞から抽出された配列データをその患者の腫瘍組織細胞から抽出された配列データと比較して1つ以上の変異を有する部分を特定することによって、変異したペプチド配列である候補新生抗原を特定することができる。
予測モジュール320は、提示モデルの1つ以上を処理されたペプチド配列に適用してペプチド配列の提示尤度を推定する。具体的には、予測モジュール320は、提示モデルを候補新生抗原に適用することによって、腫瘍HLA分子上に提示される可能性が高い1つ以上の候補新生抗原ペプチド配列を選択することができる。一実現形態では、予測モジュール320は、あらかじめ決定された閾値を上回る推定提示尤度を有する候補新生抗原配列を選択する。別の実現形態では、提示モデルは、最も高い推定提示尤度を有するv個の候補新生抗原配列を選択する(vは、一般的に、ワクチン中で送達することができるエピトープの最大数である)。所定の患者について選択された候補新生抗原を含むワクチンを患者に注射して免疫応答を誘導することができる。
XI.実施例6:カセット設計モジュール
XI.A.概要
カセット設計モジュール324は、患者へ注射するために選択したv個の候補ペプチドに基づいて、ワクチンカセット配列を生成する。具体的には、容量vのワクチンに取り込むために選択したペプチドp、k=1,2、...、vのセットについて、当該カセット配列は、治療用エピトープのセット配列p‘k、k=1,2、...、vの連結で与えられており、それぞれが、対応するペプチドpの配列を含んでいる。当該カセット設計モジュール324は、互いに直接に接するエピトープを連結し得る。例えば、ワクチンカセットCは、次のように表される:
Figure 2021503897
式中、p’tiは、当該カセットのi番目のエピトープを示す。したがって、tは、当該カセットのi番目の位置にある選択したペプチドのインデックスk=1,2、...、vに対応する。当該カセット設計モジュール324は、隣接するエピトープの間にある1つ以上の任意のリンカー配列とエピトープを連結し得る。例えば、ワクチンカセットCは、次のように表される:
Figure 2021503897
式中、l(ti,tj)は、当該カセットのi番目のエピトープp’tiと、j=i+1番目のエピトープp’j=i+1との間に配置したリンカー配列を示す。当該カセット設計モジュール324は、選択したエピトープp’,k=1,2,…,vの内、当該カセットの異なる位置に配置したもの、ならびに、エピトープの間に配置したリンカー配列を決定する。カセット配列Cは、本明細書に記載したあらゆる方法に基づいて、ワクチンとしてロードすることができる。
治療用エピトープのセットは、所定の閾値を超える提示尤度に関連した予測モジュール320で決定した選択したペプチドに基づいて生成し得るものであり、提示尤度は、提示モデルで決定する。しかしながら、その他の実施形態では、治療用エピトープのセットは、数多くの方法のいずれか1つ以上(単独で、または、組み合わせて)をベースとして、例えば、当該患者のHLAクラスI、または、クラスIIアレルに対する結合親和性、または、予測結合親和性、当該患者のHLAクラスI、または、クラスIIアレルに対する結合安定性、または、予測結合安定性、ランダムサンプリングなどをベースとして生成し得る。
ある実施形態では、治療用エピトープp‘kは、当該選択したペプチドp自体に対応し得る。当該治療用エピトープp‘kは、選択したペプチドに加えて、C末端、及び/または、N末端フランキング配列も含み得る。例えば、当該カセットに含まれるエピトープp‘kはは、配列[n]で表し得るものであり、式中、cは、選択したペプチドpのC末端に結合したC末端フランキング配列であり、かつ、nは、選択したペプチドpのN末端に結合したN末端フランキング配列である。本明細書で後述する一例では、当該N末端及びC末端フランキング配列は、その供給源タンパク質に関連する当該治療用ワクチンエピトープのネイティブN末端及びC末端フランキング配列である。本明細書で後述する一例では、当該治療用エピトープp‘kは、一定の長さのエピトープを表す。別の例では、当該治療用エピトープp‘kは、長さが変化するエピトープを表すことができ、当該エピトープの長さは、例えば、CまたはNフランキング配列の長さに応じて変化させることができる。例えば、当該C末端フランキング配列c、及び、N末端フランキング配列nは、それぞれが、2〜5残基の様々な長さを有することができ、その結果、当該エピトープp‘kでは、16の選択肢を使える。
当該カセット設計モジュール324は、当該カセットでの一対の治療用エピトープの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープの提示を考慮して、カセット配列を生成する。ジャンクションエピトープは、新規の非自己であるが、無関係なエピトープ配列であり、当該カセットで治療用エピトープとリンカー配列とを連結するプロセスが故に、当該カセットで生じる。ジャンクションエピトープの新規配列は、当該カセットそれ自体の治療用エピトープとは異なる。エピトープp’ti及びp’tjに及ぶジャンクションエピトープは、治療用エピトープp’ti及びp’tjそれ自体の配列とは異なる、p’tiまたはp’tjの両方と重複するあらゆるエピトープ配列を含み得る。具体的には、任意のリンカー配列l(ti,tj)の有無にかかわらず、当該カセットのエピトープp’tiと、隣接するエピトープp’tjとの間のそれぞれのジャンクションは、n(ti,tj)ジャンクションエピトープe (ti,tj), n=1,2,…,n(ti,tj)に関連し得る。当該ジャンクションエピトープは、両方のエピトープp’ti及びp’tjと少なくとも部分的に重複する配列、または、エピトープp’ti及びp’tjとの間に配置したリンカー配列と少なくとも部分的に重複する配列とし得る。ジャンクションエピトープは、MHCクラスI、MHCクラスII、または、その両方で提示し得る。
図13は、2つの例示的なカセット配列、カセット1(C)、及び、カセット2(C)を示す。それぞれのカセットは、v=2のワクチン容量を有しており、そして、治療用エピトープp’t1=p=SINFEKL、及び、p’t2=p=LLLLLVVVV、それに、これら2つのエピトープの間のリンカー配列l(t1,t2)=AAYを含む。具体的には、カセットCの配列は、[p(t1,t2)]で与えられており、一方で、カセットCの配列は、[p(t1,t2)]で与えられる。カセットCのジャンクションエピトープe (1,2)の例として、当該カセットでのエピトープp’及びp’の両方に及ぶEKLAAYLLL、KLAAYLLLLL、及び、FEKLAAYLなどの配列、及び、リンカー配列と、カセット内での単一の選択したエピトープとに及ぶAAYLLLLLやYLLLLLVVVなどの配列がある。同様に、カセットCの例示的なジュンクションエピトープe (2,1)を、VVVVAAYSIN、VVVVAAY、及び、AYSINFEKなどの配列とし得る。どちらのカセットも、同じセットの配列p、l(c1,c2)、及び、pのセットに関係するが、同定するジャンクションエピトープのセットは、当該カセット内に治療用エピトープの順序づけられた配列に応じて異なる。
当該カセット設計モジュール324は、ジャンクションエピトープを、当該患者に提示する可能性を抑制するカセット配列を生成する。具体的には、当該カセットを当該患者に注射すると、ジャンクションエピトープは、当該患者のHLAクラスIまたはHLAクラスIIアレルが提示する効果を奏し、かつ、それぞれ、CD8またはCD4T細胞応答を刺激する。当該ジャンクションエピトープに反応するT細胞には治療効果がないため、このような反応が望ましくない場合がよくあり、また、抗原競合によって、当該カセットで選択した治療用エピトープに対する免疫応答を低下し得る。76
ある実施形態では、当該カセット設計モジュール324は、1つ以上の候補カセットを反復し、そして、当該カセット配列に関連するジャンクションエピトープの提示スコアが数値閾値未満であるカセット配列を決定する。当該ジャンクションエピトープ提示スコアは、当該カセットでのジャンクションエピトープの提示尤度に関連する量であり、また、当該ジャンクションエピトープ提示スコアの値が大きいほど、当該カセットのジャンクションエピトープを、HLAクラスI、または、HLAクラスII、または、その両方が提示する尤度が大きいことを示す。
当該カセット設計モジュール324は、当該候補カセット配列の中で最も小さなジャンクションエピトープ提示スコアに関連するカセット配列を決定し得る、または、所定の閾値未満の提示スコアを有するカセット配列を選択し得る。一例では、所与のカセット配列Cの提示スコアを、距離メトリックd(e (ti,tj),n=1,2,…,n(ti,tj))=d(ti,tj)のセットに基づいて決定しており、それぞれは、当該カセットCのジャンクションに関連する。具体的には、距離メトリックd(ti,tj)は、隣接する治療用エピトープp’tiとp’tjとの間に及ぶジャンクションエピトープの1つ以上を提示する尤度を特定する。次いで、カセットCのジャンクションエピトープ提示スコアは、当該カセットCの距離メトリックのセットに対する関数(例えば、合計、統計関数)を適用して決定することができる。数学的には、提示スコアは:
Figure 2021503897
で得ることになり、式中、h(・)は、それぞれのジャンクションの距離メトリックをスコアにマッピングする一部の関数である。本明細書で後述するある特定の事例では、関数h(・)は、当該カセットの距離メトリック全体の合計である。
当該カセット設計モジュール324は、1つ以上の候補カセット配列を反復し、当該候補カセットのジャンクションエピトープ提示スコアを決定し、及び、閾値未満のジャンクションエピトープ提示スコアに関連する最適カセット配列を同定し得る。本明細書で後述するある特定の実施形態では、所与のジャンクションの当該距離メトリックd(・)は、本明細書のセクションVII及びVIIIで説明した提示モデルで決定する提示尤度、または、提示した予測値プレゼンテーションジャンクションエピトープの合計で与え得る。しかしながら、その他の実施形態では、当該距離メトリックは、その他の要因だけから、または、先に例示したようなモデルとを組み合わせて求め得るものであり、これらのその他の要因は:HLAクラスI、または、HLAクラスIIについてのHLA結合親和性、または、安定性の測定または予測、及び、HLAクラスI、または、HLAクラスIIについてのHLA質量分析、または、T細胞エピトープデータに関して訓練した提示モデルまたは免疫原性モデルの1つ以上(単独で、または、組み合わせて)から距離メトリックを求めることを含み得る。例えば、当該距離メトリックは、HLAクラスI、及び、HLAクラスIIの提示に関する情報を組み合わせ得る。例えば、当該距離メトリックを、当該患者のHLAクラスI、または、HLAクラスIIアレルのいずれかに、閾値を下回る結合親和性で結合すると予測されるジャンクションエピトープの数とすることができる。別の例では、当該距離メトリックは、当該患者のHLAクラスI、または、HLAクラスIIアレルのいずれかで提示されると予測されるジャンクションエピトープの予測値とすることができる。
当該カセット設計モジュール324は、1つ以上の候補カセット配列をチェックして、当該候補カセット配列でのジャンクションエピトープのいずれかが、ワクチンを設計する所与の患者の自己エピトープであるかどうかをさらに同定し得る。このことを達成するために、当該カセット設計モジュール324は、BLASTなどの公知のデータベースで、当該ジャンクションエピトープをチェックする。ある実施形態では、当該カセット設計モジュールは、エピトープtをエピトープtのN末端に対して結合させて、ジャンクション自己エピトープを形成するエピトープのペアt,tについて、当該距離メトリックd(ti,tj)を非常に大きな値(例えば、100)に設定することで、ジャンクション自己エピトープを回避するカセットを設計するように構成し得る。
図13の例に戻り、当該カセット設計モジュール324は、例えば、MHCクラスIでは8〜15アミノ酸、または、MHCクラスIIでは9〜30アミノ酸の長さを有する可能なすべてのジャンクションエピトープe (t1,t2)=e (1,2)の提示尤度を合計して得られる(例えば)カセットCでの単一ジャンクション(t,t)についての距離メトリックd(t1,t2)=d(1,2)= 0.39を決定する。カセットCには、その他のジャンクションが存在しないので、カセットCについての距離メトリック全体を合計した当該ジャンクションエピトープ提示スコアも、0.39である。当該カセット設計モジュール324は、MHCクラスIでは8〜15アミノ酸、または、MHCクラスIIでは9〜30アミノ酸の長さを有する可能なすべてのジャンクションエピトープe (t1,t2)=e (1,2)の提示尤度を合計して得られるカセットCでの単一ジャンクション(t,t)についての距離メトリックd(t1,t2)=d(2,1)=0.068も決定する。この例では、カセットCについての当該ジャンクションエピトープ提示スコアも、単一ジャンクションの距離メトリック0.068を与える。当該カセット設計モジュール324は、当該ジャンクションエピトープ提示スコアが、Cのカセット配列よりも低いので、Cのカセット配列を最適なカセットとして出力する。
当該カセット設計モジュール324は、総当たりアプローチを実行し、そして、すべて、または、最も可能性のある候補カセット配列を反復して、最小のジャンクションエピトープ提示スコアを有する配列を選択することができる。しかしながら、そのような候補カセットの数は、ワクチンvの容量が大きくなるにつれて、とてつもなく大きくなってしまう。例えば、v=20エピトープのワクチン容量について、当該カセット設計モジュール324は、最も低いジャンクションエピトープ提示スコアを有するカセットを決定するために、約1018もの可能な候補カセットを反復しなければならない。当該カセット設計モジュール324が、妥当な時間内に当該患者のためのワクチンの生成を完了する上で、この決定は、(必要とする計算処理リソースの観点から)コンピュータの負担となり、また、対処し得ない場合もあり得る。さらに、それぞれの候補カセットの可能なジャンクションエピトープを考慮することは、さらに厄介である。したがって、当該カセット設計モジュール324は、強引なアプローチでの候補カセット配列の数よりも大幅に少ない数の候補カセット配列を反復する方法に基づいて、カセット配列を選択し得る。
ある実施形態では、当該カセット設計モジュール324は、ランダム、または、少なくとも疑似ランダムに生成した候補カセットのサブセットを生成し、そして、所定の閾値未満のジャンクションエピトープ提示スコアに関連する候補カセットを、カセット配列として選択する。加えて、当該カセット設計モジュール324は、最も低いジャンクションエピトープ提示スコアを有するサブセットから、当該候補カセットを、カセット配列として選択し得る。例えば、当該カセット設計モジュール324は、v=20の選択したエピトープのセットについて約100万個の候補カセットのサブセットを生成し、そして、最小のジャンクションエピトープ提示スコアを有する候補カセットを選択し得る。ランダムカセット配列のサブセットを生成し、そして、当該サブセットからジャンクションエピトープ提示スコアが低いカセット配列を選択することは、強引なアプローチに比べて準最適ではあるが、必要な計算リソースが極端に少ないので、その導入は技術的に可能である。さらに、より効率的なこのアプローチとは対照的に、強引な方法を実行しても、ジャンクションエピトープ提示スコアが、わずかに、または、ごくわずかに改善されるだけなので、リソース割り当ての観点からは価値は認められない。
別の実施形態では、当該カセット設計モジュール324は、当該カセットについてのエピトープ配列を非対称巡回販売員問題(TSP)として定式化することで、改善されたカセット構成を決定する。ノードのリストと、ノードのそれぞれのペアの間の距離を与えると、当該TSPは、それぞれのノードを1回だけ必ず訪問し、そして、元のノードに戻るための最短合計距離に関連した一連のノードを決定する。例えば、互いの距離がわかっている都市A、B、Cがある場合、当該TSPの解は、都市の密接な配列を生成し、それぞれの都市を1回だけ必ず訪れるために移動した距離の合計は、可能なルートの内で最小となる。TSPの非対称バージョンは、ノードのペアの間の距離が非対称である場合のノードの最適な配列を決定する。例えば、ノードAからノードBに移動するための「距離」は、ノードBからノードAに移動するための「距離」とは相違し得る。
当該カセット設計モジュール324は、それぞれのノードが、治療用エピトープp’に対応している非対称TSPの解を求めることで、改善されたカセット配列を決定する。エピトープp’に対応するノードからエピトープp’に対応する別のノードまでの距離は、ジャンクションエピトープ距離メトリックd(k,m)で与えられているが、エピトープp’に対応するノードからエピトープp’に対応するノードまでの距離は、距離メトリックd(m,k)で与えられており、このものは、当該距離メトリックd(k,m)と相違し得る。非対称TSPを使用して改善した最適カセットの解を求めることで、当該カセット設計モジュール324は、当該カセットのエピトープの間のジャンクション全体の提示スコアの低下をもたらすカセット配列を認めることができる。当該非対称TSPの解は、治療用エピトープの配列を示しており、当該カセットのジャンクション全体のジャンクションエピトープ提示スコアを最小化する当該エピトープをカセット内で連結する順序に対応する。具体的には、治療用エピトープk=1、2、...、vのセットを与えると、当該カセット設計モジュール324は、当該カセットに治療用エピトープの可能性のあるそれぞれの順序づけられたペアについて、距離メトリックd(k、m)、k,m=1、2、...、vを決定する。換言すると、与えられたエピトープのペアk、mについて、これらの距離メトリックは互いに相違し得るので、エピトープp’の後に連結している治療用エピトープp’についての距離メトリック、及び、エピトープp’の後に連結している治療用エピトープp’についての距離メトリックの両方を決定する。
当該カセット設計モジュール324は、整数線形計画問題を通じて非対称TSPの解を求める。具体的には、当該カセット設計モジュール324は、以下:
Figure 2021503897
で与えられる(v+1)×(v+1)経路行列Pを生成する。当該v×v行列Dは、非対称距離行列であり、それぞれの要素D(k、m)、k=1,2,...,v;m=1、2,...,vは、エピトープp’kからエピトープp’mまでのジャンクションについての距離メトリックに対応する。Pの行k=2,...,vは、元のエピトープのノードに対応しており、行1と列1は、その他のすべてのノードからゼロの距離にある「ゴーストノード」に対応する。当該行列に「ゴーストノード」を加えると、ワクチンカセットが、円形ではなく直線であるという概念をコードするので、第1のエピトープと最後のエピトープとの間にはジャンクションは無い。換言すれば、当該配列は、環状ではなく、また、当該第1のエピトープを、当該配列での最後のエピトープの後に連結することは考えられていない。エピトープp’kを、エピトープp’mのN末端に連結する、指定したパス(すなわち、当該カセットでのエピトープ−エピトープジャンクション)がある場合は値が1であり、かつ、そうでなければ0であるような2値変数をxkmとする。加えて、Eは、すべてのv治療用ワクチンエピトープのセットを示し、そして、S⊂Eは、エピトープのサブセットを示す。そのようなサブセットSについて、out(S)は、エピトープ−エピトープジャンクションの数を示すxkm=1であり、式中、kは、Sでのエピトープであり、かつ、mは、E\Sでのエピトープである。公知の経路行列Pを与える場合、当該カセット設計モジュール324は、以下の整数線形計画課題:
Figure 2021503897
を解く経路行列Xを導き、式中、Pkmは、当該経路行列Pでの要素P(k,m)を示し、次の制約に従う:
Figure 2021503897
最初の2つの制約は、それぞれのエピトープが、当該カセットに1度だけ出現することを保証する。最後の制約は、当該カセットを確実に接続させる。換言すれば、xがコードした当該カセットは、接続した線形タンパク質配列である。
式(27)の整数線形計画問題でのxkm、k、m=1,2,...,v+1の解は、ジャンクションエピトープの提示スコアを下げる当該カセットのための治療用エピトープの1つ以上の配列を推測するために使用することができるノードとゴーストノードの密接な配列を示す。具体的には、xkm=1の値は、ノードkからノードmへの「パス」が存在することを示し、または、換言すれば、その治療用エピトープp’mは、改善されたカセット配列での治療用エピトープp’kの後に連結しなくてはならない。xkm=0の解は、そのようなパスが存在しないこと、または、換言すると、治療用エピトープp’mが、改善されたカセット配列での治療用エピトープp’kの後に連結すべきでない、ことを示す。まとめると、式(27)の整数計画問題のxkmの値は、ノードの配列とゴーストノードの配列を表しており、当該パスを、それぞれのノードに1度だけ導入し、そして、存在させる。例えば、xghost,1=1、x13=1、X32=1、及び、X2.ghost=1(さもなくば、0)の値は、ノードの配列ゴースト→1→3→2→ゴースト、及び、ゴーストノードを示し得る。
配列が一旦解明されると、ゴーストノードを配列から削除して、当該カセットでの治療用エピトープに対応する元のノードだけを有する改良配列を生成する。この改良配列は、選択したエピトープを、提示スコアを改善するために当該カセットに連結する配置を示す。例えば、前段落での例から続けて、ゴーストノードを削除して、改良配列1→3→2を生成し得る。この改良配列は、当該カセットでのエピトープを連結するために使用し得る1つの方法、すなわち、p→p→pを示す。
当該治療用エピトープp’kが可変長エピトープである場合、当該カセット設計モジュール324は、異なる長さの治療用エピトープp’k及びp’mに対応する候補距離メトリックを決定し、そして、最小候補距離メトリックとして、距離メトリックd(k、m)を同定する。例えば、エピトープp、k=[n]、及び、p‘m=[n]は、それぞれ、(ある実施形態では)2〜5個のアミノ酸が相違することができる対応するN−及びC−末端フランキング配列を含み得る。したがって、エピトープp’kとp‘mとの間のジャンクションは、当該ジャンクションに配置して、そこで使用し得る、nの4つの長さの数値と、cの4つの長さの数値に基づいて、16個の異なるセットのジャンクションエピトープに関連する。当該カセット設計モジュール324は、ジャンクションエピトープのそれぞれのセットについての候補距離メトリックを決定し、そして、距離メトリックd(k、m)を最小値として決定し得る。次いで、当該カセット設計モジュール324は、当該経路行列Pを構築し、そして、式(27)の整数線形計画問題を解いて、当該カセット配列を決定することができる。
ランダムサンプリングアプローチと比較して、整数計画問題を使用してカセット配列を解明するためには、それぞれが、当該ワクチンの治療用エピトープのペアに対応しているvx(v−1)距離メトリックの決定が必要である。このアプローチで決定したカセット配列は、ジャンクションエピトープの提示が極端に少なく、一方で、特に、生成した候補カセット配列の数が多い場合は、ランダムサンプリングアプローチよりも計算資源をさほど必要としない配列をもたらすことができる。
XI.B.ランダムサンプリングと、非対称TSPとで生成したカセット配列のためのジャンクションエピトープ提示の比較
v=20の治療用エピトープを含む2つのカセット配列を、1,000,000の順列をランダムにサンプリングして(カセット配列C)、及び、式(27)の整数線形計画問題を解くことで(カセット配列C)生成した。距離メトリクス、つまりは、提示スコアを、式(14)で説明した提示モデルに基づいて決定を行い、式中、fは、シグモイド関数であり、x は、ペプチドpの配列であり、gh(・)は、ニューラルネットワーク関数であり、wは、フランキング配列、log転写産物/ペプチドpのキロベースミリオン(TPM)、ペプチドpのタンパク質の抗原性、及び、ペプチドpの起源の試料IDを含み、そして、フランキング配列のg(・)、及び、log TPMは、それぞれ、ニューラルネットワーク関数である。g(・)のそれぞれのニューラルネットワーク関数は、入力ディメンション231(11残基×21文字/残基、パッド文字を含む)、幅256、隠れ層での修正線形ユニット(ReLU)アクティベーション、出力層での線形アクティベーション、及び、訓練データセットでのHLAアレルごとに1つの出力ノードを含む。当該フランキング配列のニューラルネットワーク関数は、入力ディメンション210(N末端フランキング配列の5残基+C末端フランキン配列の5残基×21文字/残基、パッド文字を含む)を有する1階隠れ層MLP、幅32、当該隠れ層でのReLUアクティベーションと、出力層での線形アクティベーションであった。RNA log TPMのニューラルネットワーク関数は、入力ディメンション1を有する1階隠れ層MLP、幅16、当該隠れ層でのReLUアクティベーション、及び、出力層での線形アクティベーションであった。当該提示モデルを、HLAアレル HLA−A02:04、HLA−A02:07、HLA−B40:01、HLA−B40:02、HLA−C16:02、及び、HLA−C16:04のために構築した。2つのカセット配列で提示したジャンクションエピトープの予測値を示す提示スコアを比較した。結果は、式(27)の方程式を解いて生成したカセット配列の提示スコアが、ランダムサンプリングで生成したカセット配列の提示スコアの約4倍の改善と関連した、ことを示した。
具体的には、v=20のエピトープを、
Figure 2021503897
で与える。
第1の例では、1,000,000個の異なる候補カセット配列を、20個の治療用エピトープでランダムに生成した。その提示スコアは、当該候補カセット配列のそれぞれについて生成した。最も低い提示スコアを有すると同定された候補カセット配列は:
Figure 2021503897
であり、提示したジャンクションエピトープでの予測値である6.1の提示スコアを有していた。1,000,000個のランダム配列の提示スコアの中央値は、18.3であった。この実験は、ランダムにサンプリングしたカセットからカセット配列を同定することで、提示されたジャンクションエピトープの予測値を大幅に抑制できることを示している。
第2の例では、式(27)の整数線形計画問題を解いて、カセット配列Cを同定した。具体的には、一対の治療用エピトープの間のそれぞれの潜在的ジャンクションの距離メトリックを決定した。この距離メトリックは、整数計画問題を解くために使用した。このアプローチで同定したカセット配列は:
Figure 2021503897
であり、1.7の提示スコアを示した。カセット配列Cの提示スコアは、カセット配列Cの提示スコアの約4倍にも改善されており、また、ランダムに生成した1,000,000個の候補カセットの提示スコアの中央値の約11倍にも改善されていた。カセットCを生成するための実行時間は、2.30GHz Intel Xeon E5−2650 CPUのシングルスレッドで、20秒であった。カセットCを生成するための実行時間は、同じCPUのシングルスレッドで、1秒であった。したがって、この例では、式(27)の整数計画問題を解いて同定するカセット配列は、20分の1の計算コストで、約4倍も優れた解決法を生み出す。
これらの結果は、整数計画問題が、ランダムサンプリングから同定したものよりも少ない数の提示されたジャンクションエピトープで、潜在的に少ない計算資源でもってして、カセット配列を潜在的に提供できる、ことを示している。
XI.C.MHCflurryと、提示モデルとで生成したカセット配列選択のためのジャンクションエピトープ提示の比較
この例では、v=20の治療用エピトープを含むカセット配列を、腫瘍/通常のエクソーム配列の決定に基づいて選択し、腫瘍トランスクリプトームのシークエンシング、及び、肺癌試料のHLAタイピングを、1,000,000個の順列のランダムサンプリング、及び、式(27)の整数計画問題を解いて生成した。当該距離メトリクス、つまり、提示スコアを、HLAペプチド結合親和性予測因子であるMHCflurryで予測した、様々な閾値(例えば、50〜1000nM、それを超える、または、それ未満)を下回る親和性で患者のHLAに結合するジャンクションエピトープの数に基づいて決定した。この例では、治療用エピトープとして選択した20個の非同義体細胞変異を、上記したセクションXI.Bの提示モデルに従って、当該変異のランク付けをすることで、腫瘍試料で同定した98個の体細胞変異から選択した。しかしながら、その他の実施形態では、当該治療用エピトープが、その他の基準;安定性、または、提示スコア、親和性などの組み合わせをベースとした基準に基づいて選択し得る、ことを理解する。加えて、ワクチンに取り入れるための治療用エピトープの優先順位の決定のために使用する基準は、当該カセット設計モジュール324で使用する距離メトリックD(k、m)を決定するために使用する基準と同じである必要はない、ことを理解する。
当該患者のHLAクラスIアレルは、HLA−A01:01、HLA−A03:01、HLA−B07:02、HLA−B35:03、HLA−C07:02、HLA−C14:02であった。
具体的には、この例では、v=20の治療用エピトープは、
Figure 2021503897
であった。
以下の表での本実施例の結果は、3つの実施例の方法を介して認められた閾値の列(nMは、ナノモルを表す)の数値を下回る親和性で患者のHLAに結合するものと、MHCflurryで予測したジャンクションエピトープの数とを比較している。第1の方法では、最適カセットを、1s実行時間を用いる上記した巡回販売員問題(ATSP)の定式化を介して認めた。第2の方法では、最良のカセットを取得して決定した当該最適カセットは、100万個のランダムサンプルの後に認めた。第3の方法では、ジャンクションエピトープの中央値は、100万個のランダムサンプルで認められた。
Figure 2021503897
本実施例の結果は、幾つかの基準のいずれかを使用して、特定のカセット設計が、設計要件を満たすか否かを同定し得ることを示している。具体的には、先の実施例で実証したように、数多くの候補から選択したカセット配列は、最低のジャンクションエピトープ提示スコア、または、少なくとも同定した閾値を下回るスコアを有するカセット配列により特定され得る。本実施例は、結合親和性などの別の基準が、所定のカセット設計が設計要件を満たすかどうかを特定するために使用され得ることを示している。この基準の場合、閾値結合親和性(例えば、50〜1000、または、それを超える、または、それ未満)は、当該カセット設計配列が、閾値(例えば、0)を超えるいくらかの閾値個数よりも少ないジャンクションエピトープを有することを特定するように設定され得、また、数多くの方法のうちの任意の1つ(例えば、表に示した方法1〜3)を、所定の候補カセット配列が、これらの要件を満たすか否かを同定するために使用することができる。これらの実施例の方法は、使用した方法に応じて、当該閾値を異なるように設定する必要があり得る、ことをさらに示している。その他の基準、例えば、安定性、または、提示スコア、親和性などの基準の組み合わせなどを想定し得る。
別の実施例では、同じカセットを、同じHLAタイプと、このセクション(XI.C)で前述した20個の治療用エピトープとを使用して生成したが、結合親和性予測に基づく距離メトリックを使用する代わりに、エピトープm、kの距離メトリックは、一連の閾値を超える提示確率(0.005〜0.5、または、それを超える、または、それ未満の確率)を有する患者のHLAクラスIアレルが提示する、予測をしたm〜kのジャンクションにわたるペプチドの個数であり、当該提示確率は、上記したセクションXI.Bでの提示モデルで決定した。本実施例は、所定の候補カセット配列が、ワクチンで使用するための設計要件を満たしているか否かを同定する際に考慮し得る幅広い基準をさらに示す。
Figure 2021503897
上記した実施例は、候補カセット配列が、実装によって変化するか否かを決定するための基準を持っていることを同定した。これらの実施例のそれぞれは、当該基準の上または下にあるジャンクションエピトープの個数の計数が、候補カセット配列が、その基準を満たすか否かを決定する際に使用する計数とし得ることを示した。例えば、当該基準が、HLAの閾値結合親和性を満たす、または、超えるエピトープの個数であるならば、当該候補カセット配列が、その数より多いか少ないかによって、当該候補カセット配列が、ワクチンのために選択したカセットとして使用するための基準を満たすか否かを決定し得る。同様に、当該基準が、閾値提示尤度を超えるジャンクションエピトープの個数であれば。
しかしながら、その他の実施形態では、候補カセット配列が、設計基準を満たすか否かを決定するために、計数以外の計算を実行することができる。例えば、エピトープの数が、特定の閾値を超える/下回るのではなく、代わりに、ジャンクションエピトープのいずれの割合が、閾値を超える、または、下回るかを決定し、例えば、ジャンクションエピトープの上位X%が、一部の閾値Yを超える提示尤度を有しているか否か、または、ジャンクションエピトープのX%が、ZnMより小さな、または、大きなHLA結合親和性を有しているか否かを決定し得る。これらは単なる例示に過ぎず、一般的には、当該基準は、個々のジャンクションエピトープのあらゆる属性、または、当該ジャンクションエピトープの一部またはすべての凝集に由来する統計に基づいたものとし得る。ここで、Xは、一般的に、0〜100%(例えば、75%以下)の間のあらゆる数とすることができ、また、Yは、0〜1の間のあらゆる数値とすることができ、そして、Zは、問題の基準に適したあらゆる数とすることができる。これらの数値は、経験的に決定し得るものであり、また、使用するモデルと基準、ならびに、使用する訓練データの品質に応じて異なる。
したがって、特定の態様では、提示確率が高いジャンクションエピトープを削除することができ;提示確率が低いジャンクションエピトープを保持することができ;強固に結合するジャンクションエピトープ、すなわち、1000nM、または、500nM、または、一部のその他の閾値に満たない結合親和性を有するジャンクションエピトープを除去することができ;及び/または、緩く結合するジャンクションエピトープ、すなわち、1000nM、または、500nM、または、一部のその他の閾値を超える結合親和性を有するジャンクションエピトープを保持することができる。
上記した実施例は、上記した提示モデルの実装を使用して、候補配列を同定しているが、これらの原則は、カセット配列で配置するエピトープが、親和性、安定性などに基づくものなど、その他のタイプのモデルに基づいて同定する実装にも同様に適用する。
XI.D.共有抗原と共有新生抗原のカセット選択
個々の患者用の個別化ワクチンのための治療用エピトープのサブセットを選択するのではなく、治療用エピトープの一連の配列p‘k,k=1、2、...、vを、がん患者の集団での高尤度の提示と関連するエピトープのセットとすることができる。例えば、治療用エピトープの一連の配列は、がん患者で過剰発現するものと同定した遺伝子由来の配列である共有抗原配列とし得るものであり、また、がん患者の集団での高尤度の提示と関連する。別の例として、治療用エピトープの一連の配列は、がん患者の集団における一般的なドライバー変異に関連する配列であり、かつ、高尤度の提示と関連する共有新生抗原配列とし得る。したがって、個々の患者のシークエンシングデータと、HLAアレル型とに基づいてカセットの治療用エピトープ配列をカスタマイズする代わりに、治療用エピトープ配列を、複数の患者間で共有し得る。
当該カセット配列を共有する場合、一対のエピトープtとtとの間の距離メトリックd(ti,tj)は、それぞれが対応するHLAアレルに関連するサブ距離メトリックの加重和として決定し得る。具体的には、当該距離メトリックd(ti,tj)は:
Figure 2021503897
で与えらており、式中、dh,(ti,tj)は、隣接する治療用エピトープのペアの間に及ぶ1つ以上のジャンクションエピトープe (ti,tj),n=1,2,...、n(ti,tj)が、HLAアレルhに提示される尤度を特定するサブ距離メトリックであり、そして、wは、所定の患者集団におけるHLAアレルhの有病率を示す重みである。式(28)のように距離メトリックを設定するか、または、HLAアレルの有病率を使用してジャンクションエピトープの提示に重みを持たせるその他の同様の方法によって、当該患者集団において蔓延が進んだものと推定されるHLAアレルのジャンクションエピトープ提示を抑制するカセット配列を選択することができる。
HLAアレルhに関連するサブ距離メトリックは、本明細書のセクションVII及びVIIIで説明した提示モデルで決定した、提示尤度の合計、または、HLAアレルhに関して提示されたジャンクションエピトープの予測値によって与えられる。しかしながら、その他の実施形態では、サブ距離メトリックは、その他の要素だけから、または、上記に例示したモデルなどのモデルを組み合わせて誘導し得るものであり、これらのその他の要素として:HLA結合親和性または安定性の測定、または、HLAクラスIまたはHLAクラスIIの予測、及び、HLAクラスIまたはHLAのHLA質量分析、または、T細胞エピトープデータに関して訓練した提示モデル、または、免疫原性モデルの(単体、または、組み合わせ)いずれか1つ以上から誘導したサブ距離メトリックがある。当該サブ距離メトリックは、HLAクラスI、及び、HLAクラスII提示に関する情報を組み合わせ得る。例えば、当該サブ距離メトリックは、患者のHLAクラスI、または、HLAクラスIIアレルのいずれかに、閾値を下回る結合親和性で結合すると予測されるジャンクションエピトープの数とすることができる。別の例では、当該サブ距離メトリックは、患者のHLAクラスI、または、HLAクラスIIアレルのいずれかで提示されることが予測されるジャンクションエピトープの予測値とすることができる。
式(28)で定義した距離メトリックに基づいて、当該カセット設計モジュール324は、上記のセクションXI.Aで紹介した方法のいずれかを使用して、1つ以上の候補カセット配列を反復し、当該候補カセットのジャンクションエピトープ提示スコアを決定し、及び、閾値を下回るジャンクションエピトープ提示スコアに関連する最適なカセット配列を同定し得る。
XI.E.共有抗原と共有新生抗原についてのランダムサンプリングと、非対称TSPとで生成したカセット配列についてのジャンクションエピトープ提示の比較
本実施例では、当該カセットを、セクションXI.Cでの同じ20個の治療用エピトープを使用して生成し、そして、3つの実施例の方法で認められたカセット配列のジャンクションエピトープの予測値を比較した。セクションXI.Cとは異なり、当該距離メトリックと距離行列を、式(28)を使用して決定した。式(28)でwとして示したアレル頻度を、28HLA−A、43HLA−B、及び、23HLA−Cアレル全体にわたって、セクションXI.Bのモデル訓練サンプルを使用して計算した。これらは、モデルが支持するアレルであった。当該頻度を、HLA−A、HLA−B、及び、HLA−Cのそれぞれの遺伝子について個別に計算した。それぞれの距離メトリックは、異なる閾値確率で対応するアレル頻度で重みを与える閾値提示尤度を超える、提示したジャンクションエピトープの予測値に基づいて決定した。セクションXI.Bと同様に、第1の方法では、上記した巡回販売員問題(ATSP)の定式化を介して最適なカセットを認めた。第2の方法では、当該最適なカセットは、100万個のランダムサンプルの後で認められた最良のカセットを使用して決定した。第3の方法では、ジャンクションエピトープの中央値が、100万個のランダムサンプルで認められた。具体的には、当該ATSP法の距離行列は、アレル頻度で重みを付与した単一アレル距離サブ行列に関して重みを付与した合計である。
Figure 2021503897
それぞれの方法での距離メトリックは、アレル頻度に基づいたジャンクションエピトープに重みを付与した期待値なので、当該距離行列が、整数値ではないため、上記の表に示したように、セクションXI.Cでの結果は整数値にはならなかった。これらの結果は、当該整数計画問題が、ランダムサンプリングから同定したものと比較して、共有(新生)抗原ワクチンカセット梱包のために提示するジャンクションエピトープの可能性を大幅に減らし、かつ、潜在的に計算リソースも小さい、共有抗原、または、共有新生抗原のカセット配列も提供できることを示している。
別の実施例では、当該カセットを、セクションXI.Cでの同じ20個の治療用エピトープを使用して生成し、そして、3つの実施例の方法で認められたカセット配列のジャンクションエピトープの予測値を、MHCflurryを使用して比較した。当該距離メトリックと距離行列を、式(28)を使用して決定した。式(28)でwとして示したアレル頻度を、22HLA−A、27HLA−B、及び、9HLA−Cアレル全体にわたって、当該モデル訓練サンプルを使用して計算した。当該頻度を、HLA−A、HLA−B、及び、HLA−Cのそれぞれの遺伝子について個別に計算した。それぞれの距離メトリックは、異なる閾値確率で対応するアレル頻度で重みを与える閾値結合親和性を下回る、提示したジャンクションエピトープの予測値に基づいて決定した。セクションXI.Bと同様に、第1の方法では、上記した巡回販売員問題(ATSP)の定式化を介して最適なカセットを認めた。第2の方法では、当該最適なカセットは、100万個のランダムサンプルの後で認められた最良のカセットを使用して決定した。第3の方法では、ジャンクションエピトープの中央値が、100万個のランダムサンプルで認められた。具体的には、当該ATSP法の距離行列は、アレル頻度で重みを付与した単一アレル距離サブ行列に関して、重みを付与した合計である。
Figure 2021503897
本実施例の結果は、所定のカセット設計が設計要件を満たすか否かを同定するために、幾つかの基準のいずれかを使用し得ることを示している。具体的には、本実施例は、結合親和性などの別の基準を使用して、所定のカセット設計が、共有抗原、及び、新生抗原ワクチンカセットの設計要件を満たすか否かを特定し得ることを示している。この基準について、閾値結合親和性(例えば、50〜1000、または、それを超える、または、それ未満)を設定して、当該カセット設計配列が、閾値(例えば、0)を超えるジャンクションエピトープの一部の閾値数より小さな閾値数でなくてはならないことを特定し得るし、そして、所定の候補カセット配列が、これらの要件を満たすか否かを同定するために、数多くの方法(例えば、表に示す方法1〜3)の内の1つを使用し得る。これらの実施例の方法は、使用する方法に応じて、閾値が異なるように設定する必要がある、ことをさらに示している。その他の基準、例えば、安定性に基づいた基準、または、提示スコア、親和性などの基準の組み合わせなどが想定し得る。
XII.例示的なコンピュータ
図14は、図1及び図3に示した実体を実行するための例示的なコンピュータ1400を説明する。コンピュータ1400は、チップセット1404に連結された少なくとも1つのプロセッサ1402を含む。チップセット1404は、メモリコントローラハブ1420及び入力/出力(I/O)コントローラハブ1422を含む。メモリ1406及びグラフィックスアダプタ1412は、メモリコントローラハブ1420に連結されており、ディスプレイ1418は、グラフィックスアダプタ1412に連結されている。記憶デバイス1408、入力装置1414、及びネットワークアダプタ1416は、I/Oコントローラハブ1422に連結されている。コンピュータ1400の他の実施形態は、異なるアーキテクチャを有する。
記憶デバイス1408は、ハードドライブ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、DVD、またはソリッドステートメモリ装置などの、非一時的なコンピュータ可読の記憶媒体である。メモリ1406は、プロセッサ1402によって使用される命令及びデータを保持する。入力インターフェイス1414は、タッチスクリーンインターフェイス、マウス、トラックボール、もしくは他のタイプのポインティングデバイス、キーボード、またはそれらのいくつかの組み合わせであり、データをコンピュータ1400中に入力するために使用される。いくつかの実施形態において、コンピュータ1400は、ユーザーからのジェスチャーを介して、入力インターフェイス1414からの入力(例えば、コマンド)を受け取るように構成されていてもよい。グラフィックスアダプタ1412は、ディスプレイ1418上に画像及び他の情報を表示する。ネットワークアダプタ1416は、コンピュータ1400を、1つ以上のコンピュータネットワークに連結する。
コンピュータ1400は、本明細書に記載した機能性を提供するためのコンピュータプログラムモジュールを実行するように適合している。本明細書において使用される場合、「モジュール」という用語は、特定の機能性を提供するために使用されるコンピュータプログラム論理を指す。したがって、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア、及び/またはソフトウェアにおいて実行されることができる。一実施形態では、プログラムモジュールは、記憶デバイス1408に保存され、メモリ1406中にロードされ、プロセッサ1402によって実行される。
図1の実体によって使用されるコンピュータ1400のタイプは、実体によって必要とされる実施形態及びプロセシングパワーに応じて変動することができる。例えば、プレゼンテーション特定システム160は、単一のコンピュータ1400、または、例えばサーバーファームにおいてネットワークを通して互いに通信する複数のコンピュータ1400において、起動することができる。コンピュータ1400は、グラフィックスアダプタ1412及びディスプレイ1418などの、上記の構成要素のうちのいくつかを欠いてもよい。
参考文献
Figure 2021503897
Figure 2021503897
Figure 2021503897
Figure 2021503897
Figure 2021503897
治療用エピトープのセットを前提として、患者においてジャンクションエピトープが提示される尤度を低減するようにカセット配列を設計する。当該カセット配列は、当該カセットにおける一対の治療用エピトープの間にあるジャンクションにわたるジャンクションエピトープの提示を考慮して設計する。一実施形態では、当該カセット配列は、当該カセットのジャンクションにそれぞれが関連付けられた距離メトリックのセットに基づいて設計される。当該距離メトリックは、一対の隣接するエピトープの間にわたる当該ジャンクションエピトープのうちの1つ以上が提示される尤度を特定し得る。一実施形態では、1つ以上の候補カセット配列が、治療用エピトープのセットを連結する配置をランダムに並べ替えることで生成しており、そして、所定の閾値を下回る提示スコア(例えば、距離メトリックの合計)を有するカセット配列を選択する。別の実施形態では、当該治療用エピトープを、ノードとしてモデル化しており、そして、隣接するエピトープのペアに関する距離メトリックは、対応するノード間の距離を表す。所定の閾値を厳密に一旦下回ったそれぞれの治療用エピトープを「訪れる」ための合計距離をもたらすカセット配列を選択する。
[本発明1001]
新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得する工程であって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得する工程;
新生抗原のセットについての数値的提示尤度のセットを生成するために、コンピュータプロセッサを使用して前記新生抗原のペプチド配列を機械学習提示モデルに入力する工程であって、前記セットの内の各提示尤度が、対応する新生抗原が前記対象の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を表し、前記機械学習提示モデルが、
試料のセット内の各試料について、前記試料中に存在するとして同定されたMHCアレルのセット内の少なくとも1つのMHCアレルに結合したペプチドの存在を測定する質量分析で得たラベル、
前記試料のそれぞれについて、訓練ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記訓練ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む訓練ペプチド配列、及び
入力として受け取った新生抗原のペプチド配列と、出力として生成した提示尤度との間の関係を表す関数
を含む訓練データセットに少なくとも基づいて同定される複数のパラメーターを含む、前記入力する工程;
前記対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定する工程であって、前記新生抗原の治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する所定の個数の新生抗原に対応している、前記同定する工程;及び
前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定する工程であって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定する工程
を含む、前記方法。
[本発明1002]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を前記機械学習提示モデルに入力することにより生成される提示尤度に基づいて決定される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の前記1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記カセット配列を同定する工程が、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の前記1つ以上のMHCアレル上での順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
を含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記カセット配列を同定する工程が、
前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
を含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、本発明1008の方法。
[本発明1010]
前記カセット配列を同定する工程が、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるx km の数値を求めることであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、前記治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記数値を求めること;及び
km の解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
をさらに含む、本発明1007の方法。
[本発明1011]
前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得する工程であって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得する工程;
前記対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定する工程;及び
前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定する工程であって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定する工程
を含む、前記方法。
[本発明1013]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成した提示尤度に基づいて決定され、前記提示尤度が、前記1つ以上のジャンクションエピトープが前記患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、前記提示尤度のセットが、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、本発明1012の方法。
[本発明1016]
前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1012の方法。
[本発明1017]
リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1012の方法。
[本発明1018]
前記カセット配列を同定する工程が、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の前記1つ以上のMHCアレル上での前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
を含む、本発明1012の方法。
[本発明1019]
前記カセット配列を同定する工程が、
前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
を含む、本発明1012の方法。
[本発明1020]
前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記カセット配列を同定する工程が、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるx km の数値を求めることであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、前記治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記値を求めること;及び
km の解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
をさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1022]
前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1023]
新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
複数の対象を治療するための、共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットのためのペプチド配列を取得する工程であって、所定の個数のペプチド配列に対応する前記治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する、前記取得する工程;及び
共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットにおける対応するペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含む前記カセット配列を同定する工程
を含み、
前記カセット配列を同定する工程が、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定することであって、前記距離メトリックが、対応するMHCアレルの有病率をそれぞれが示す重みのセットと、前記MHCアレル上でのジャンクションエピトープのセットの提示尤度を示す対応するサブ距離メトリックとの組み合わせとして決定される、前記決定すること
を含む、
前記方法。
[本発明1024]
連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、
患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得するステップ;
前記対象について、前記新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定するステップ;及び
前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおける対応する前記新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含む前記カセット配列を同定するステップであって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定するステップ
を実行することにより同定される、
前記腫瘍ワクチン。
[本発明1025]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成した提示尤度に基づいて決定され、前記提示尤度が、前記1つ以上のジャンクションエピトープが前記患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、前記提示尤度のセットが、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1026]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1027]
前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1028]
前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1029]
リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1030]
前記カセット配列を同定するステップが、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の1つ以上のMHCアレル上での前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
を含む、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1031]
前記カセット配列を同定するステップが、
前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
を含む、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1032]
前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、本発明1031の腫瘍ワクチン。
[本発明1033]
前記カセット配列を同定するステップが、
以下の最適化問題:
Figure 2021503897
におけるx km の数値を求めることであって、
式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、第1の治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
Figure 2021503897
で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記数値を求めること;及び
km の解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
をさらに含む、本発明1030の腫瘍ワクチン。
[本発明1034]
前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、本発明1024の腫瘍ワクチン。
[本発明1035]
連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、治療用エピトープの配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、前記カセット配列のジャンクションエピトープが、閾値結合親和性を下回るHLA結合親和性を有する、前記腫瘍ワクチン。
[本発明1036]
前記閾値結合親和性が1000nM以上である、本発明1035の腫瘍ワクチン。
[本発明1037]
連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、治療用エピトープの配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、前記カセット配列のジャンクションエピトープの少なくとも閾値パーセンテージが、閾値提示尤度を下回る提示尤度を有する、前記腫瘍ワクチン。
[本発明1038]
前記閾値パーセンテージが50%である、本発明1037の腫瘍ワクチン。
新生抗原の特定に対する現在の臨床的アプローチを示す。 予測された結合ペプチドのうち、腫瘍細胞上に提示されるものは5%未満であることを示す。 新生抗原予測の特異性の問題の影響を示す。 結合予測が、新生抗原の特定に充分ではないことを示す。 ペプチド長の関数としてのMHC−I提示の確率を示す。 Promega社のダイナミックレンジ標準から生成された、例示的なペプチドスペクトルを示す。図1FはSEQ ID NO:1を開示する。 特性の追加が、いかにモデルの陽性適中率を増大させるかを示す。 一実施形態による、患者におけるペプチド提示の尤度を特定するための環境の概略である。 一実施形態による、提示情報を取得する方法を説明する(SEQ ID NO:72) 一実施形態による、提示情報を取得する方法を説明する(出現順に、それぞれSEQ ID NO:3〜8) 一実施形態による、プレゼンテーション特定システムのコンピュータ論理構成要素を説明する、ハイレベルブロック図である。 一実施形態による、訓練データの例示的なセットを説明する(出現順に、それぞれSEQ ID NO:10〜13、15、73〜74、及び74) MHCアレルに関連した例示的なネットワークモデルを説明する。 一実施形態による、MHCアレルによって共有される例示的なネットワークモデルNNH(・)を説明する。 別の実施形態による、MHCアレルによって共有される例示的なネットワークモデルNN(・)を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 例示的なネットワークモデルを用いた、MHCアレルに関連したペプチドの提示尤度の生成を説明する。 2つのカセット配列の実施例についての距離メトリックの決定を例示する(出現順に、それぞれSEQ ID NO:75〜76) 図1及び3に示した実体を実施するための例示的なコンピュータを説明する。
VII.B.1.総合的HLAペプチドシークエンシングのためのMS検出限界の研究
ペプチドYVYVADVAAK(SEQ ID NO:1)を用いて、何が検出の限界かを、LCカラム上にロードした様々な量のペプチドを用いて決定した。試験したペプチドの量は、1pmol、100fmol、10fmol、1fmol、及び100amolであった。(表1)結果を図1Fに示す。これらの結果は、検出の最低限界(LoD)がアトモルの範囲(10−18)にあること、ダイナミックレンジが5桁に及ぶこと、及び、シグナル対ノイズが、低いフェムトモル範囲(10−15)でシークエンシングに十分であるように見えることを示す。
Figure 2021503897
プレゼンテーション特定システム160は、1つ以上の提示モデルを通して提示尤度を決定する。具体的には、提示モデルは、所定のペプチド配列が、関連するMHCアレルのセットについて提示されるかどうかの尤度を生成し、尤度は、記憶装置165に保存された提示情報に基づいて生成される。例えば、提示モデルは、ペプチド配列「YVYVADVAAK」(SEQ ID NO:1)が、試料の細胞表面上のアレルのセットHLA−A02:01、HLA−A03:01、HLA−B07:02、HLA−B08:03、HLA−C01:04について提示されるかどうかの尤度を生成し得る。提示情報165は、MHCアレルによってペプチドが提示されるようにこれらのペプチドが様々なタイプのMHCアレルに結合するかどうかについての情報を含有し、これは、モデルにおいて、ペプチド配列中のアミノ酸の位置に応じて決定される。提示モデルは、提示情報165に基づいて、認識されていないペプチド配列が、MHCアレルの関連するセットと結合して提示されるかどうかを予測することができる。上記に述べたように、提示モデルはクラスI及びクラスII MHCアレルの両方に適用することができる。
VIII.B.1.アレル相互作用情報
アレル相互作用情報は、主として、ヒト、マウスなど由来の1つ以上の特定されたMHC分子によって提示されていることが公知である、特定されたペプチド配列を含む。注目すべきことに、これは、腫瘍試料から取得されたデータを含んでもよく、または含まなくてもよい。提示されたペプチド配列は、単一のMHCアレルを発現する細胞から特定されてもよい。この例において、提示されたペプチド配列は、概して、あらかじめ決定されたMHCアレルを発現するように操作されてその後合成タンパク質に曝露された単一アレル細胞株から収集される。MHCアレル上に提示されたペプチドは、酸溶出などの技法によって単離され、質量分析により特定される。図2Bは、あらかじめ決定されたMHCアレルHLA−DRB112:01上に提示された例示的なペプチド
Figure 2021503897
が単離され、質量分析により特定される、この例を示す。この状況においては、ペプチドが、単一のあらかじめ決定されたMHCタンパク質を発現するように操作された細胞を通して特定されるため、提示されたペプチドとそれが結合したMHCタンパク質との間の直接の関連が、決定的に既知である。
提示されたペプチド配列はまた、複数のMHCアレルを発現する細胞から収集されてもよい。典型的にヒトにおいては、6種類の異なるタイプのMHCI分子及び最大で12種類の異なるタイプのMHCII分子が細胞で発現している。そのような提示されたペプチド配列は、複数のあらかじめ決定されたMHCアレルを発現するように操作されている複数のアレル細胞株から特定されてもよい。そのような提示されたペプチド配列はまた、正常組織試料または腫瘍組織試料のいずれかの、組織試料から特定されてもよい。この例において特に、MHC分子は、正常組織または腫瘍組織から免疫沈降させることができる。複数のMHCアレル上に提示されたペプチドは、同様に、酸溶出などの技法によって単離され、質量分析により特定されることができる。図2Cは、6種類の例示的なペプチド
Figure 2021503897
が、特定されたクラスI MHCアレルHLA−A01:01、HLA−A02:01、HLA−B07:02、HLA−B08:01、及びクラスII MHCアレルHLA−DRB110:01、HLA−DRB1:11:01上に提示されており、単離され、質量分析により特定される、この例を示す。単一アレル細胞株とは対照的に、結合したペプチドが、特定される前のMHC分子から単離されるため、提示されたペプチドとそれが結合したMHCタンパク質との間の直接の関連は、未知である可能性がある。
アレル相互作用情報はまた、所定のMHCアレルと所定のペプチドとの間の結合親和性の測定値または予測値も含むことができる。1つ以上の親和性モデルが、そのような予測値を生成することができる(72,73,74)。例えば、図1Dに示した例に戻ると、提示情報165は、ペプチドYEMFNDKSF(SEQ ID NO:3)とクラスIアレルHLA−A01:01との間の1000nMの結合親和性予測値を含み得る。IC50>1000nmであるペプチドはわずかしか、MHCによって提示されず、より低いIC50値が、提示の確率を増大させる。提示情報165は、ペプチドKNFLENFIESOFI(SEQ ID NO:8)とクラスIIアレルHLA−DRB1:11:01との間の結合親和性予測値を含み得る。
VIII.B.2.アレル非相互作用情報
アレル非相互作用情報は、そのソースタンパク質配列内の、新生抗原コード化ペプチドに隣接するC末端配列を含むことができる。MHC−Iでは、C末端フランキング配列は、ペプチドのプロテアソームプロセシングに影響を及ぼし得る。しかし、C末端フランキング配列は、ペプチドが小胞体に輸送され、細胞の表面上のMHCアレルと遭遇する前に、プロテアソームによってペプチドから切断される。その結果、MHC分子は、C末端フランキング配列についてのいかなる情報も受け取らず、したがって、C末端フランキング配列の効果は、MHCアレルタイプに応じて変動することができない。例えば、図2Cに示した例に戻ると、提示情報165は、ペプチドのソースタンパク質から特定された、提示されたペプチドFJIEJFOESS(SEQ ID NO:5)のC末端フランキング配列FOEIFNDKSLDKFJI(SEQ ID NO:9)を含み得る。
図4は、1つの実施形態による、訓練データ170Aの例示的なセットを説明する。具体的には、訓練データ170A中の最初の3つのデータ例は、アレルHLA−C01:03を含む単一アレル細胞株、ならびに3種類のペプチド配列
Figure 2021503897
からのペプチド提示情報を示す。訓練データ170A中の4番目のデータ例は、アレルHLA−B07:02、HLA−C01:03、HLA−A01:01を含む複数アレル細胞株、及びペプチド配列QIEJOEIJE(SEQ ID NO:13)からのペプチド情報を示す。最初のデータ例は、ペプチド配列QCEIOWARE(SEQ ID NO:14)が、アレルHLA−DRB3:01:01によって提示されなかったことを示す。前の2つの段落において議論したように、ネガティブ標識されたペプチド配列は、データ管理モジュール312によってランダムに生成されてもよく、または提示されるペプチドのソースタンパク質から特定されてもよい。訓練データ170Aはまた、ペプチド配列−アレルペアについて、1000nMの結合親和性予測値及び1時間の半減期の安定性予測値も含む。訓練データ170Aはまた、ペプチド
Figure 2021503897
のC末端フランキング配列、及び10TPMのmRNA定量測定値などの、アレル非相互作用変数も含む。4番目のデータ例は、ペプチド配列QIEJOEIJE(SEQ ID NO:13)が、アレルHLA−B07:02、HLA−C01:03、またはHLA−A01:01のうちの1つによって提示されたことを示す。訓練データ170Aはまた、アレルの各々についての結合親和性予測値及び安定性予測値、ならびに、ペプチドのC末端フランキング配列及びペプチドについてのmRNA定量測定値も含む。
X.実施例5:予測モジュール
予測モジュール320は、配列データを受け取って、提示モデルを用いて配列データ中の候補新生抗原を選択する。具体的には、配列データは、患者の腫瘍組織細胞から抽出されたDNA配列、RNA配列、及び/またはタンパク質配列であってよい。予測モジュール320は、配列データを、MHC−Iについては8〜15個のアミノ酸を有する、またはMHC−IIについては6〜30個のアミノ酸を有する複数のペプチド配列pに処理する。例えば、予測モジュール320は、所定の配列「IEFROEIFJEF(SEQ ID NO:16)」を、9個のアミノ酸を有する3種類のペプチド配列「IEFROEIFJ(SEQ ID NO:17)」、「EFROEIFJE(SEQ ID NO:18)」、及び「FROEIFJEF(SEQ ID NO:19)」に処理することができる。一実施形態では、予測モジュール320は、患者の正常組織細胞から抽出された配列データをその患者の腫瘍組織細胞から抽出された配列データと比較して1つ以上の変異を有する部分を特定することによって、変異したペプチド配列である候補新生抗原を特定することができる。
図13は、2つの例示的なカセット配列、カセット1(C)、及び、カセット2(C)を示す。それぞれのカセットは、v=2のワクチン容量を有しており、そして、治療用エピトープp’t1=p=SINFEKL(SEQ ID NO:20)、及び、p’t2=p=LLLLLVVVV(SEQ ID NO:21)、それに、これら2つのエピトープの間のリンカー配列l(t1,t2)=AAYを含む。具体的には、カセットCの配列は、[p(t1,t2)]で与えられており、一方で、カセットCの配列は、[p(t1,t2)]で与えられる。カセットCのジャンクションエピトープe (1,2)の例として、当該カセットでのエピトープp’及びp’の両方に及ぶEKLAAYLLL(SEQ ID NO:22)、KLAAYLLLLL(SEQ ID NO:23)、及び、FEKLAAYL(SEQ ID NO:24)などの配列、及び、リンカー配列と、カセット内での単一の選択したエピトープとに及ぶAAYLLLLL(SEQ ID NO:25)やYLLLLLVVV(SEQ ID NO:26)などの配列がある。同様に、カセットCの例示的なジュンクションエピトープe (2,1)を、VVVVAAYSIN(SEQ ID NO:27)、VVVVAAY(SEQ ID NO:28)、及び、AYSINFEK(SEQ ID NO:29)などの配列とし得る。どちらのカセットも、同じセットの配列p、l(c1,c2)、及び、pのセットに関係するが、同定するジャンクションエピトープのセットは、当該カセット内に治療用エピトープの順序づけられた配列に応じて異なる。
具体的には、v=20のエピトープを、
Figure 2021503897
で与える。
第1の例では、1,000,000個の異なる候補カセット配列を、20個の治療用エピトープでランダムに生成した。その提示スコアは、当該候補カセット配列のそれぞれについて生成した。最も低い提示スコアを有すると同定された候補カセット配列は:
Figure 2021503897
であり、提示したジャンクションエピトープでの予測値である6.1の提示スコアを有していた。1,000,000個のランダム配列の提示スコアの中央値は、18.3であった。この実験は、ランダムにサンプリングしたカセットからカセット配列を同定することで、提示されたジャンクションエピトープの予測値を大幅に抑制できることを示している。
第2の例では、式(27)の整数線形計画問題を解いて、カセット配列Cを同定した。具体的には、一対の治療用エピトープの間のそれぞれの潜在的ジャンクションの距離メトリックを決定した。この距離メトリックは、整数計画問題を解くために使用した。このアプローチで同定したカセット配列は:
Figure 2021503897
であり、1.7の提示スコアを示した。カセット配列Cの提示スコアは、カセット配列Cの提示スコアの約4倍にも改善されており、また、ランダムに生成した1,000,000個の候補カセットの提示スコアの中央値の約11倍にも改善されていた。カセットCを生成するための実行時間は、2.30GHz Intel Xeon E5−2650 CPUのシングルスレッドで、20秒であった。カセットCを生成するための実行時間は、同じCPUのシングルスレッドで、1秒であった。したがって、この例では、式(27)の整数計画問題を解いて同定するカセット配列は、20分の1の計算コストで、約4倍も優れた解決法を生み出す。
具体的には、この例では、v=20の治療用エピトープは、
Figure 2021503897
であった。

Claims (38)

  1. 新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
    患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得する工程であって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得する工程;
    新生抗原のセットについての数値的提示尤度のセットを生成するために、コンピュータプロセッサを使用して前記新生抗原のペプチド配列を機械学習提示モデルに入力する工程であって、前記セットの内の各提示尤度が、対応する新生抗原が前記対象の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を表し、前記機械学習提示モデルが、
    試料のセット内の各試料について、前記試料中に存在するとして同定されたMHCアレルのセット内の少なくとも1つのMHCアレルに結合したペプチドの存在を測定する質量分析で得たラベル、
    前記試料のそれぞれについて、訓練ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記訓練ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む訓練ペプチド配列、及び
    入力として受け取った新生抗原のペプチド配列と、出力として生成した提示尤度との間の関係を表す関数
    を含む訓練データセットに少なくとも基づいて同定される複数のパラメーターを含む、前記入力する工程;
    前記対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定する工程であって、前記新生抗原の治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する所定の個数の新生抗原に対応している、前記同定する工程;及び
    前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定する工程であって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定する工程
    を含む、前記方法。
  2. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を前記機械学習提示モデルに入力することにより生成される提示尤度に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の前記1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項1に記載の方法。
  6. リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記カセット配列を同定する工程が、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の前記1つ以上のMHCアレル上での順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記カセット配列を同定する工程が、
    前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
    各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
    前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記カセット配列を同定する工程が、
    以下の最適化問題:
    Figure 2021503897
    におけるxkmの数値を求めることであって、
    式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、前記治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
    Figure 2021503897
    で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記数値を求めること;及び
    kmの解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
    をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  11. 前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. 新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
    患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得する工程であって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得する工程;
    前記対象について、新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定する工程;及び
    前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおいて対応する新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含んでいる連結された複数の治療用エピトープの配列を含むカセット配列を同定する工程であって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定する工程
    を含む、前記方法。
  13. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成した提示尤度に基づいて決定され、前記提示尤度が、前記1つ以上のジャンクションエピトープが前記患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、前記提示尤度のセットが、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている、請求項12に記載の方法。
  14. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
  15. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
  16. 前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項12に記載の方法。
  17. リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項12に記載の方法。
  18. 前記カセット配列を同定する工程が、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の前記1つ以上のMHCアレル上での前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
    を含む、請求項12に記載の方法。
  19. 前記カセット配列を同定する工程が、
    前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
    各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
    前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
    を含む、請求項12に記載の方法。
  20. 前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記カセット配列を同定する工程が、
    以下の最適化問題:
    Figure 2021503897
    におけるxkmの数値を求めることであって、
    式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、前記治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
    Figure 2021503897
    で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記値を求めること;及び
    kmの解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
    をさらに含む、請求項18に記載の方法。
  22. 前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  23. 新生抗原ワクチン用のカセット配列を同定する方法であって、
    複数の対象を治療するための、共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットのためのペプチド配列を取得する工程であって、所定の個数のペプチド配列に対応する前記治療用サブセットが、所定の閾値を超える提示尤度を有する、前記取得する工程;及び
    共有抗原の治療用サブセットまたは共有新生抗原の治療用サブセットにおける対応するペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含む前記カセット配列を同定する工程
    を含み、
    前記カセット配列を同定する工程が、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定することであって、前記距離メトリックが、対応するMHCアレルの有病率をそれぞれが示す重みのセットと、前記MHCアレル上でのジャンクションエピトープのセットの提示尤度を示す対応するサブ距離メトリックとの組み合わせとして決定される、前記決定すること
    を含む、
    前記方法。
  24. 連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、
    患者について、対象の腫瘍細胞及び正常細胞に由来するエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、前記ヌクレオチドシークエンシングデータが、前記腫瘍細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータと、前記正常細胞由来のヌクレオチドシークエンシングデータとを比較することにより同定される新生抗原のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用され、各新生抗原のペプチド配列が、前記ペプチド配列を前記対象の正常細胞から同定された対応する野生型親ペプチド配列とは異なるものとする少なくとも1つの改変を含み、かつ、前記ペプチド配列を構成する複数のアミノ酸と、前記ペプチド配列内のアミノ酸の位置のセットとに関する情報を含む、前記取得するステップ;
    前記対象について、前記新生抗原のセットから新生抗原の治療用サブセットを同定するステップ;及び
    前記対象について、新生抗原の治療用サブセットにおける対応する前記新生抗原のペプチド配列をそれぞれが含む連結された複数の治療用エピトープの配列を含む前記カセット配列を同定するステップであって、前記カセット配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定される、前記同定するステップ
    を実行することにより同定される、
    前記腫瘍ワクチン。
  25. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの配列を機械学習提示モデルに入力することにより生成した提示尤度に基づいて決定され、前記提示尤度が、前記1つ以上のジャンクションエピトープが前記患者の腫瘍細胞の表面上の1つ以上のMHCアレルによって提示される尤度を示し、前記提示尤度のセットが、少なくとも受け取った質量分析データに基づいて同定されている、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  26. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、1つ以上のジャンクションエピトープと、対象の1つ以上のMHCアレルとの間の結合親和性予測に基づいて決定される、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  27. 前記1つ以上のジャンクションエピトープの提示が、前記1つ以上のジャンクションエピトープの結合安定性予測に基づいて決定される、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  28. 前記1つ以上のジャンクションエピトープが、第1の治療用エピトープの配列及び前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープの配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  29. リンカー配列が、第1の治療用エピトープと、前記第1の治療用エピトープの後に連結された第2の治療用エピトープとの間に配置され、かつ、前記1つ以上のジャンクションエピトープが、前記リンカー配列と重複するジャンクションエピトープを含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  30. 前記カセット配列を同定するステップが、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、治療用エピトープの前記順序づけられたペアの間のジャンクションにわたるジャンクションエピトープのセットを決定すること;及び、
    治療用エピトープの各順序づけられたペアについて、対象の1つ以上のMHCアレル上での前記順序づけられたペアについてのジャンクションエピトープのセットの提示を示す距離メトリックを決定すること
    を含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  31. 前記カセット配列を同定するステップが、
    前記治療用エピトープの異なる配列に対応する候補カセット配列のセットを生成すること;
    各候補カセット配列について、前記候補カセット配列における治療用エピトープの各順序づけられたペアについての距離メトリックに基づいて、前記候補カセット配列の提示スコアを決定すること;及び
    前記新生抗原ワクチン用のカセット配列として、所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を選択すること
    を含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  32. 前記候補カセット配列のセットがランダムに生成される、請求項31に記載の腫瘍ワクチン。
  33. 前記カセット配列を同定するステップが、
    以下の最適化問題:
    Figure 2021503897
    におけるxkmの数値を求めることであって、
    式中、vは、新生抗原の所定の数に対応しており、kは、治療用エピトープに対応しており、及び、mは、第1の治療用エピトープの後に連結された隣接する治療用エピトープに対応しており、及び、Pは
    Figure 2021503897
    で与えられる経路行列であり、式中、Dは、v×v行列であり、要素D(k、m)は、治療用エピトープk、mの順序づけられたペアの距離メトリックを示す、前記数値を求めること;及び
    kmの解の数値に基づいて、前記カセット配列を選択すること
    をさらに含む、請求項30に記載の腫瘍ワクチン。
  34. 前記カセット配列を含む腫瘍ワクチンを製造すること、または製造したことをさらに含む、請求項24に記載の腫瘍ワクチン。
  35. 連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、治療用エピトープの配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、前記カセット配列のジャンクションエピトープが、閾値結合親和性を下回るHLA結合親和性を有する、前記腫瘍ワクチン。
  36. 前記閾値結合親和性が1000nM以上である、請求項35に記載の腫瘍ワクチン。
  37. 連結された治療用エピトープの配列を含むカセット配列を含む腫瘍ワクチンであって、前記カセット配列が、それぞれが新生抗原の治療用サブセット内の対応する新生抗原のペプチド配列を含むように順序づけられており、治療用エピトープの配列が、治療用エピトープの1つ以上の隣接ペアの間の対応するジャンクションにわたる1つ以上のジャンクションエピトープの提示に基づいて同定され、前記カセット配列のジャンクションエピトープの少なくとも閾値パーセンテージが、閾値提示尤度を下回る提示尤度を有する、前記腫瘍ワクチン。
  38. 前記閾値パーセンテージが50%である、請求項37に記載の腫瘍ワクチン。
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