JP2021195531A - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、高い流動性、耐熱性、耐候性を有する樹脂組成物及びその成形体を提供する。【解決手段】(A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して(B)ゴム重合体0〜50質量部と、(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計10〜90質量部と、を含み、(C)塩素化ポリエチレンと(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:4.9である、スチレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂組成物及びその成形体に関する。
スチレン系樹脂組成物は、優れた機械特性を有するため電気機器及び電子機器の筐体等、広範囲に亘って使用されている。しかしながら、スチレン系樹脂は可燃性であるため用途によっては使用することができない。
スチレン系樹脂を難燃化するにはハロゲン系難燃剤、主にポリ塩化ビニルが特に有用であり、よく用いられる。しかし、ポリ塩化ビニルはスチレン系樹脂の耐衝撃性を低下させる。
このポリ塩化ビニルによる耐衝撃性低下を改良するため、例えば、特許文献1及び特許文献2にはスチレン系樹脂に塩素化ポリエチレンを配合することで、耐衝撃性を改良する技術が開示されている。
特開昭63−108067号公報 特開昭54−43257号公報
近年、電気機器及び電子機器の筐体等において、高い機械特性(耐衝撃性、流動性、耐熱性)、難燃性、耐候性が求められている。しかしながら、塩素化ポリエチレンはポリ塩化ビニルより難燃性が劣るため、スチレン系樹脂の難燃性を低下させる。
従来の技術では、難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、これらの要求を満足することはできず改善の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、高い流動性、耐熱性、耐候性を有する樹脂組成物及びその成形体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果驚くべきことに、塩素化ポリエチレンとポリ塩化ビニルとの質量比率が特定の範囲内のスチレン系樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
(A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して(B)ゴム重合体0〜50質量部と、(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計10〜90質量部と、を含み、(C)塩素化ポリエチレンと(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:4.9である、スチレン系樹脂組成物。
[2]
前記(C)塩素化ポリエチレンと前記(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:2.9である、[1]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[3]
更に、(E)酸化アンチモンを、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、1〜20質量部含む、[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4]
更に、(F)安定剤を、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、0.1〜10質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[5]
前記(B)ゴム重合体が、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、1〜50質量部含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[6]
前記(B)ゴム重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)である、[1]〜[5]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
本発明によれば、優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、高い流動性、耐熱性、耐候性を有する樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について、詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[樹脂組成物]
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも記す)は、(A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して(B)ゴム重合体0〜50質量部と、(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計10〜90質量部と、を含み、(C)塩素化ポリエチレンと(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:4.9である。
本実施形態に用いる(B)ゴム重合体の含有量の下限値は、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して、好ましくは1質量部、より好ましくは10質量部であり、上限値は、好ましくは40質量部、より好ましくは30質量部、さらに好ましくは20質量部である。(B)ゴム重合体の含有量が(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して50質量部以下であると、難燃性の観点から好ましい。
本実施形態に用いる(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計の含有量の下限値は、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して、好ましくは20質量部、より好ましくは30質量部であり、上限値は、好ましくは75質量部、より好ましくは60質量部である。(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計の含有量が(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して10質量部以上であると、難燃性の観点から好ましく、90質量部以下であると、流動性の観点から好ましい。
本実施形態に用いる(C)塩素化ポリエチレンと(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)は、好ましくは1:2.1〜1:2.9、より好ましくは1:2.3〜1:2.9、さらに好ましくは1:2.3〜1:2.6である。(C)塩素化ポリエチレン1質量部に対して、(D)ポリ塩化ビニルの質量部が2.1以上であると、流動性と難燃性との観点から好ましく、(D)ポリ塩化ビニルの質量部が4.9以下であると、耐衝撃性と耐熱性と耐候性との観点から好ましい。
[(A)スチレン系共重合体]
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(A)スチレン系共重合体について、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(A)スチレン系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン(以下「St」ともいう)及びαメチルスチレン(以下「αMeSt」ともいう)から選ばれる少なくとも1種と、共重合可能な成分とからなる重合体が挙げられる。(A)スチレン系共重合体は2成分以上からなってもよい。(A)スチレン系共重合体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、St−アクリロニトリル(以下「AN」ともいう)共重合体、αMeSt−AN共重合体、St−αMeSt−AN共重合体、St−AN−マレイミド系共重合体、St−メチルメタクリレート(以下「MMA」ともいう)共重合体、St−MMA−マレイミド系共重合体、St−無水マレイン酸共重合体などがある。上記の構成成分の他に、他のビニルモノマー、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロムスチレン、メタクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルメタクリレ−ト・、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレートなどを多くとも10質量%更に共重合したものも同様に使用することができる。
(A)スチレン系共重合体として、好ましくは、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・αメチルスチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、2種以上の混合であってもよい。
本実施形態に用いる(A)スチレン系共重合体において、スチレン成分の比率は60〜85質量%が好ましい。より好ましくは70〜80質量%である。
本実施形態に用いる(A)スチレン系共重合体の数平均分子量は40,000〜150,000であることが好ましい。該数平均分子量が40,000以上であることで、機械強度を保持することができる傾向にある。更に該数平均分子量が150,000以下であることで、熱安定性及び耐候性に優れた樹脂組成物及びその成形体を得ることができる傾向にある。
(A)スチレン系共重合体の数平均分子量の下限値は、より好ましくは45,000以上、さらに好ましくは50,000以上である。該数平均分子量の上限値は、より好ましくは135,000以下、さらに好ましくは120,000以下である。
なお、本実施形態において、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量は以下の方法で測定することができる。
(A)スチレン系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)中に浸漬し、溶解した(A)スチレン系共重合体成分をろ別する。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する。当該測定結果に基づき、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量を、ポリスチレン(PS)を標準物質として算出する。
[(B)ゴム重合体]
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(B)ゴム重合体について、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(B)ゴム重合体としては、特に限定されないが、例えば、(e1)ゴム成分に(e2)グラフト樹脂をグラフトさせることにより得ることができるゴム重合体が挙げられる。このような(B)ゴム重合体のグラフト率は、20〜120%であることが好ましく、50〜90%であることがより好ましい。
また、(B)ゴム重合体の体積平均粒子径は、0.1〜1μmであることが好ましく、0.15〜0.5μmであることがより好ましい。
(e1)ゴム成分として、特に限定されないが、例えば、ブタジエンゴム、ブタジエン・スチレンゴム(ブタジエンとスチレンとの共重合体ゴム)、アクリルゴム、シリコン・アクリルゴム(シリコンとアクリルとの共重合体ゴム)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。(e2)グラフト樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(e2−1)スチレン系樹脂、(e2−2)アクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなるグラフト樹脂が挙げられる。
(e2−1)スチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、αメチルスチレンから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これに共重合可能な成分を共重合したスチレン系樹脂でもよい。共重合可能な成分として、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルが挙げられる。
(B)ゴム重合体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン単独重合ゴム及びブタジエンと少量のスチレン又はアクリロニトリルとのランダム又はブロック共重合ゴムから選ばれるブタジエン系ゴムが挙げられる。ブタジエンの共重合体成分は2種以上からなってもよい。ブタジエンの共重合体成分としては、好ましくは、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・αメチルスチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、2種以上の混合であってもよく、より好ましくは(A)スチレン系共重合体と同成分からなる。
(e2−2)アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸ブチル)又はこのエステルと少量(一般には10質量%以下)の他の単量体(例えば、アクリロニトリル)とを重合させることによって得られるアクリル酸エステル系ゴムが挙げられる。(e2−2)アクリル系樹脂の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸等のアクリル酸類;が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
その他のゴム重合体としては、エチレンとプロピレンとの共重合ゴム並びにエチレン及びプロピレンと少量(一般には10質量%以下)の二個の二重結合が末端に含有する直鎖又は分岐鎖のジオレフィン(例えば、1.4−ペンタジエン)、二重結合を一個だけ末端に含む直鎖又は分岐鎖ジオレフィン(例えば、1.4−へキサジエン)及びビシクロ(2,2,1)−へブテン−2又はその誘導体との多元共重合ゴムからえらばれるエチレン−プロピレン系ゴムが挙げられる。
(B)ゴム重合体の具体例として更に好ましくは、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)から選ばれる少なくとも1種であり、2種の混合であってもよい。
(B)ゴム重合体は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)であることが特に好ましい。
また、(B)ゴム重合体がABS樹脂である場合、ブタジエンの割合は20〜80質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、アクリロニトリルの割合は5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましく、スチレンの割合は15〜50質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。
[(C)塩素化ポリエチレン]
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(C)塩素化ポリエチレンについて、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(C)塩素化ポリエチレン(以下「CPE」ともいう)としては、例えば、後述のポリエチレンの粉末又は粒子を水性懸濁液中で塩素化するか、あるいは有機溶媒にポリエチレンを溶解し、塩素化することによって製造することができる。なかでも、水性懸濁中で塩素化する方法が好ましい。CPEは工業的に製造され、多方面にわたって利用されており、前記の製造方法及び各種物性は良く知られている。
原料となるポリエチレンは、エチレンを単独重合又はエチレンと多くとも20質量%(好ましくは10質量%以下)の炭素数が多くとも12個(好ましくは3〜8個)のα−オレフィンとを共重合することによって得られるものである。該ポリエチレンの密度は、一般には0.910〜0.970g/cm3であることが好ましく、とりわけ0.920〜0.970g/cm3であることがより好ましい。
本実施形態に使用されるCPEの塩素含有量は10〜45質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、とりわけ20〜40質量%がさらに好適である。CPEの塩素含有量が10質量%以上では、得られる樹脂組成物の耐衝撃性及び難燃性が優れる傾向にある。また、CPEの塩素含有量が45質量%以下であると、得られる樹脂組成物は、耐衝撃性が優れるのみならず、熱安定性の点でも優れる傾向にある。また、CPEのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)は、一般には30〜150であることが好ましく、40〜150がより好ましく、特に40〜130であることがさらに好適である。CPEのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)が30以上であると得られる樹脂組成物の機械強度が高い傾向にある。また、CPEのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)が150以下であると成形性の点で好ましい。
[(D)ポリ塩化ビニル]
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(D)ポリ塩化ビニルについて、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能なポリ塩化ビニル(以下「PVC」ともいう)としては、重合度が400〜4500の範囲のPVCが好ましい。より好ましくは、400〜3000の範囲のPVCである。
PVCは、塩化ビニルを単独重合又は塩化ビニルと共重合し得る他種のモノマーを共重合することによって製造される重合体である。他種モノマーの代表例としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル並びにアクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸並びにそれらのエステルが挙げられる。他種のモノマーの共重合割合は、通常多くとも40質量%であることが好ましく、とりわけ30質量%以下がより好ましい。
これらの単独重合及び共重合体は、一般には、例えば、懸濁重合、塊状重合又は乳化重合によって製造される。本実施形態に用いるPVCの平均重合度は組成物を製造する際の混練性、得られる組成物の機械的特性、及び熱安定性の点から、一般には400〜2,000であることが好ましく、400〜1,800がより好ましく、特に400〜1,600がさらに好適である。PVCの平均重合度が400以上であれば得られる組成物の耐衝撃性の点で優れている。また、PVCの平均重合度が2,000以下であれば成形性の点で優れている。これらのPVCは工業的に製造され、多方面にわたって利用されているものでありその製造方法、物性については良く知られている。
[(E)酸化アンチモン]
本実施形態の樹脂組成物において、更に(E)酸化アンチモンを含むことが好ましい。
(E)酸化アンチモンの含有量は、(A)スチレン系共重合体100質量部に対し、1〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。(E)酸化アンチモンの含有量がこのような範囲にあることで、高い難燃性及び高い耐衝撃性を図ることができる傾向にある。酸化アンチモンは、難燃助剤として広く用いられている。(E)酸化アンチモンのとしては、特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモン(三酸化二アンチモン)及び五酸化アンチモンなどの酸化アンチモンが代表例として挙げられる。該酸化アンチモンの平均粒子径は0.3〜150μmであることが好ましい。
[(F)安定剤]
本実施形態の樹脂組成物において、更に(F)安定剤を含むことが好ましい。
(F)安定剤の含有量は、(A)スチレン系共重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは2〜6質量部である。(F)安定剤の含有量がこのような範囲にあることで、機械物性を維持しつつ、安定性を高め、良好な成形体を得ることができる傾向にある。
(F)安定剤としては、好ましくは、ジブチルスズマレイン酸塩(ジブチル・スズ・マレート)、ジオクチルスズマレイン酸塩(ジブチル・スズ・マレート)、ジブチルスズ−3メルカプトプロピオン酸塩、ハイドロタルサイト、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。中でもジブチル・スズ・マレート及びジオクチル・スズ・マレートの混合物であることが好ましい。
[その他成分]
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の添加剤を添加できる。添加剤として、具体的には、特に限定されないが、例えば、流動改質材(シリコンオイル、ポリエチレンワックス、脂肪族アルコール、エチレンビスステアリン酸アミド等)、充填材(タルク、マイカ、炭酸カルシウム等)、導電付与剤(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等)、着色剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、有機染料等)、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤を挙げることができる。これらの含有量は、(A)スチレン系共重合体100質量部に対し、充填材、導電付与剤は50質量部以下が好ましく、それ以外は20質量部以下が好ましい。これらは単独であっても、複数を組み合わせて使用してもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物は、公知の方法による製造を行うことができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダ等により、以下のように原料成分を混合及び溶融混練し、成形することにより製造することができる。
原料成分を混合及び溶融混練する方法としては、特に限定されず、当業者が周知の方法を利用できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、原料成分を、予めスーパーミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合し、一軸押出機又は二軸押出機で一括溶融混練する方法、一部成分を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から残る成分を添加する方法等が挙げられる。これらはいずれも利用できるが、本実施形態の成形体の機械的物性を高めるためには、塩素系樹脂((C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニル)以外を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から塩素系樹脂((C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニル)を添加する方法が好ましい。最適な条件は、押出機の大きさによって変動するため、当業者の調整可能な範囲で適宜調整することが好ましい。より好ましくは、押出機のスクリューデザインに関しても、当業者に調整可能な範囲で種々調整する。
[成形体]
本実施形態における成形体は、上述のスチレン系樹脂組成物を含む。
[成形体の製造方法]
本実施形態における成形体を得るための成形方法については、特に限定されず、公知の成形方法を利用できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。
[用途]
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性、機械的強度及び外観が要求される成形体の原料として使用することができる。
本実施形態の成形体は電気機器及び電子機器の筐体として好適に使用でき、特に屋内外用途の電子機器、電気やガスメーターの外装、火災報知器の部品等に好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた樹脂組成物及び成形体の製造条件及び評価項目は以下のとおりである。
(1)押出
原料を一括ブレンドし、シリンダ温度を160〜200℃に設定した単軸機(ZSK−25WLE)にて押出を実施して樹脂組成物を得た。
(2)成形体の作製
射出成形機(EC−75SXII、東芝機械(株)製)を用いて、得られた樹脂組成物から、JIS K7152−3及びISO294−1に準拠した小型試験片の樹脂成形体を得た。また、燃焼試験用試験片としては、得られた樹脂組成物から、IEC−60695−11−10に準拠した厚み1.5mmの小型試験片の樹脂成形体を得た。
(3)難燃性
前記IEC−60695−11−10に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、UL94に準拠したV−0燃焼試験を10回行い、V−0試験の合格率により難燃性を以下のように評価した。
〇:(優)V−0試験の合格率が100%
△:(良)V−0試験の合格率が100%未満かつ80%以上
×:(不良)V−0試験の合格率が80%未満
(4)耐衝撃性
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、ISO179に準拠した切削後衝撃強度試験を行い、シャルピー衝撃強度を測定し、耐衝撃性を以下のように評価した。
〇:(優)シャルピー衝撃強度値4kJ/m2以上
△:(良)シャルピー衝撃強度値3kJ/m2以上かつ4kJ/m2未満
×:(不良)シャルピー衝撃強度値3kJ/m2未満
(5)耐熱性
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、ISO306に準拠した切削後耐熱性試験を行い、ビカット軟化点温度を測定し、耐熱性を以下のように評価した。
〇:(優)ビカット軟化点温度が91℃以上
×:(不良)ビカット軟化点温度が91℃未満
(6)流動性
前記押出により造粒されたペレットを用い、ISO1133に準拠し、200℃、49Nの荷重条件下で試験を行い、メルトボリュームフローレイトを測定し、流動性を以下のように評価した。
〇:(優)メルトボリュームフローレイトが6cm3/10分以上
×:(不良)メルトボリュームフローレイトが6cm3/10分未満
(7)耐候性
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機製、SX75)により、63℃の温度において500時間試験をし、耐候性を以下のように評価した。
〇:(優)耐候変色ΔE=26未満
△:(良)耐候変色ΔE=26以上27未満
×:(不良)耐候変色ΔE=27以上
(8)総合評価
(3)〜(7)の評価結果を用いて総合的に、以下のように評価した
〇:(優)×がなく、△の数が1つ以下のもの
△:(良)×がなく、△の数が2つ以上のもの
×:(不良)×があるもの
〔原料成分〕
実施例及び比較例に用いた樹脂組成物及び成形体の原料成分を以下に説明する。
(A)スチレン系樹脂(スチレン系共重合体)
アクリロニトリル・スチレン樹脂:アクリロニトリル比25質量%、数平均分子量55,000
なお、本実施例において、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量は以下の方法で測定した。(A)スチレン系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)中に浸漬し、溶解した(A)スチレン系共重合体成分をろ別する。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する。当該測定結果に基づき、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量を、ポリスチレン(PS)を標準物質として算出する。
(B)ゴム重合体
ABS樹脂:ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム重合体の体積平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル15質量%、スチレン35質量%、グラフト率70%
(C)塩素化ポリエチレン:MFR1.5g/10分、塩素含有量30質量%、ムーニー粘度(ML1+4 、100℃)85
(D)ポリ塩化ビニル:平均重合度600
(E)酸化アンチモン:三酸化二アンチモン、平均粒子径1μm
(F)安定剤:ジブチル・スズ・マレート及びジオクチル・スズ・マレートを質量比(ジブチル・スズ・マレート:ジオクチル・スズ・マレート)で1.5:1の割合で使用した。
[実施例1〜6、比較例1〜2]
各成分がそれぞれ表1に記載の割合となるように原料を配合して上記方法により押出を行い、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形を行い成形体を製造した。
得られた成形体の物性を上記方法により測定し、結果を表1にまとめた。
以上の実施例及び比較例の結果から、本実施形態の樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性、流動性、耐熱性、耐候性に優れることは明白である。
Figure 2021195531
本発明の樹脂組成物及び成形体は、優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、流動性、耐熱性、耐候性に優れることから、電気機器及び電子機器の筐体等の分野において産業上の利用可能性を有する。
[実施例1〜4、参考例1〜2、比較例1〜2]
各成分がそれぞれ表1に記載の割合となるように原料を配合して上記方法により押出を行い、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形を行い成形体を製造した。
Figure 2021195531

Claims (7)

  1. (A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対して(B)ゴム重合体0〜50質量部と、(C)塩素化ポリエチレン及び(D)ポリ塩化ビニルの合計10〜90質量部と、を含み、(C)塩素化ポリエチレンと(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:4.9である、スチレン系樹脂組成物。
  2. 前記(C)塩素化ポリエチレンと前記(D)ポリ塩化ビニルとの質量比率((C)塩素化ポリエチレン:(D)ポリ塩化ビニル)が1:2.1〜1:2.9である、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 更に、(E)酸化アンチモンを、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、1〜20質量部含む、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 更に、(F)安定剤を、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、0.1〜10質量部含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. 前記(B)ゴム重合体が、(A)スチレン系共重合体を100質量部に対し、1〜50質量部含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. 前記(B)ゴム重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
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