JP2021188501A - 水路用コンクリート構造物の補強方法及び補強構造 - Google Patents
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Abstract
Description
構造に関するものである。
(1)環境条件
水路トンネル覆工の裏込め材などの喪失による変位を抑制し、トンネルの変形や崩落を防止する必要がある。
(2)施工条件
農業用水路などのサイズの小さい水路トンネルでは、作業性の向上を図るために、軽量で手運搬可能な材料を用い、重機不要な簡単な補強方法が重要である。
(3)長期耐久性
コンクリート水路トンネル覆工においては磨り減り耐久性や錆ない補強材を用いることによる補強が必要であり、特に、補強後の地山側からの湧水やコンクリート内在水分に起因した背面水圧による表面補強層の剥がれや膨れを抑制することが重要である。
ことが分かった。
(a)前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔してアンカー取付孔を形成する工程、
(b)前記アンカー取付孔に通水型アンカーのアンカーピンを設置する工程、
(c)前記コンクリート覆工層内面に無機フィラーを含んだ樹脂モルタルとされる接着材を下塗りした後、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面へと押し付けて接着する工程、
(d)前記通水型アンカーの前記アンカーピンにシート押え具を取付けることにより、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段により、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面に固定する工程、
(e)前記コンクリート覆工層内面に接着して固定された前記繊維シートを被覆して前記接着材を塗布し、前記接着材を硬化する工程、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強方法が提供される。本発明の一実施態様によれば、好ましくは、前記(c)工程にて前記コンクリート覆工層内面に前記接着材を下塗りする前に、前記コンクリート覆工層内面にプライマーを塗布する。他の実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、又は、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された複数の繊維強化プラスチック筋を格子状に配置して形成された格子筋である。
(a)前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔してアンカー取付孔を形成する工程、
(b)前記アンカー取付孔に通水型アンカーのアンカーピンを設置する工程、
(c)前記コンクリート覆工層内面に不陸修正材を塗布し、次いで、前記不陸修正材が塗布されたコンクリート覆工層内面に前記繊維シートを含浸樹脂接着材にて接着する工程、
(d)前記通水型アンカーの前記アンカーピンにシート押え具を取付けることにより、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段により、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面に固定する工程、
(e)前記コンクリート覆工層内面に接着して固定された前記繊維シートを被覆して無機フィラーを含んだ樹脂モルタルとされる接着材を塗布し、前記接着材を硬化する工程、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強方法が提供される。本発明の一実施態様によれば、好ましくは、前記(c)工程にて前記コンクリート覆工層内面に前記不陸修正材を塗布する前に、前記コンクリート覆工層内面にプライマーを塗布する。他の実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状とした樹脂未含浸の繊維シートである。他の実施態様によれば、前記含浸樹脂接着材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリビニルフォルマール樹脂である。
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
前記繊維シートを被覆して形成された前記接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、又は、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された複数の繊維強化プラスチック筋を格子状に配置して形成された格子筋である。
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に形成した不陸修正材層と、
前記不陸修正材層が形成された前記コンクリート覆工層内面に含浸樹脂接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
前記繊維シートを被覆して形成された無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状とした樹脂未含浸の繊維シートである。また、他の実施態様によれば、前記含浸樹脂接着材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリビニルフォルマール樹脂である。
(a)酸化物系セラミックス、炭化物系セラミックス、その他のファインセラミックス、珪砂、タルク、若しくは、陶磁器質粉砕物とされるか、又は、
(b)前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物とされるか、又は、
(c)前記(a)に記載のいずれかの材料、若しくは、前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物と、細骨材との混合物とされる、
セラミックス粉が混合されたセラミック混合型樹脂モルタルである。
前記シート押え具は、前記アンカーピンにおいて前記コンクリート覆工層内面より外方向へと突出して形成された中空管状軸部に取付けられ、前記シート押え具と前記コンクリート覆工層内面との間にて前記繊維シートを固定する。
(1)湿潤環境にある水路用コンクリート構造物において、裏込め材の喪失によるトンネルの変形や崩落の防止を大幅に抑制することができる。
(2)水路用コンクリート構造物において、軽量で手運搬可能な材料を用い、作業性の向上を図ることができる。
(3)湿潤環境にある水路用コンクリート構造物において、磨り減り耐久性の向上を図ることができる。
(4)湿潤環境にある水路用コンクリート構造物において、施工後のコンクリート表面補強層の剥がれや膨れを抑制することができる。
(5)湿潤環境にある水路用コンクリート構造物において、補強量や補強方向が所望に応じて自由に設定可能である。
(6)上水道兼用の水路用コンクリート構造物においても適用することができる。
(7)馬蹄形状、幌型形状、円形状、四角形状、凹形状などの種々の断面形状とされる水路用コンクリート構造物においても適用することができる。
以下、本発明に係る水路用コンクリート構造物の補強方法及び補強構造を図面に則して更に詳しく説明する。
本発明においては補強材として種々の形態の繊維シート1を使用することができる。繊維シート1の実施例を具体的に具体例1、2として説明するが、本発明で使用する繊維シート1の形態は、これら具体例に示すものに限定されるものではない。
図3〜図5に、本発明にて使用することのできる繊維シート1の一例を示す。繊維シート1は、マトリクス樹脂Rが含浸され硬化された強化繊維fを含む細径の連続した繊維強化プラスチック線材、所謂、ストランド2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート(ストランドシート)1Aを使用するができる。
図6(a)、(b)に、本発明に使用することのできる繊維シート1の他の例を示す。本具体例にて繊維シート1は、格子状に配置された複数の繊維強化プラスチック(FRP)筋、即ち、縦格子筋21と横格子筋22とからなる繊維強化プラスチック(FRP)格子筋1Bである。
本発明によれば、上記具体例1、2で説明した繊維シート1(繊維シート1A、1B)は、接着材10にてコンクリート構造物200に接着し一体とされることにより、補強材としての機能を達成することとなる。
(a)樹脂接着剤としての液状エポキシ樹脂100重量部に対して、
(b)液状エポキシ樹脂の硬化剤を20〜60重量部、好ましくは30〜50重量部、配合することができ、更に、
(c)充填材であるセラミック骨材を50〜300重量部、好ましくは100〜200重量部、
を配合して調製される。更に、
(d)その他の添加剤として、骨材と樹脂の親和性の向上を目的としたシランカップリング材、粘度調整剤などを、0.1〜8重量部、含むことができる。
次に、本発明に係る補強方法及び補強構造の第一の実施例について説明する。本実施例によれば、図1(a)及び図2(a)に示すように、繊維シート1を有した補強層100用いてコンクリート水路トンネル200の補強が行われる。
S1/S201=(△L×T1)/(△L×T201)=T1/T201
である。なお、繊維シート1の厚さ(設計厚)T1は、
T1=(繊維シート1における強化繊維の目付量)/(強化繊維の密度)
である。
図8(a)に示すように、コンクリート水路トンネル覆工(コンクリート覆工層)201の被補強面(即ち、補強材接着面)である内面202は、必要により、ディスクサンダー、サンドブラスト、スチールショットブラスト、ウォータージェットなどの研削手段により下地処理して表面脆弱層を除去する。
次いで、図8(b)に示すように、通水型アンカー30をアンカー取付孔204に固定する。通水型アンカー30は、アンカーを介して地山側からの湧水やコンクリート内在水分等の水路トンネル200内への通水を可能とするものであるが、逆方向への通水を阻止することができる逆流防止機能を備えた構成とすることもできる。次に、本実施例で使用する通水型アンカー30の一例について図2(a)、(b)をも参照して説明する。
図2(a)、(b)にて、通水型アンカー30は、全体が細長の中空管形状とされ、中心に通水のための通水孔31Hが形成されている。通水型アンカー30は、アンカー取付孔204に固定されるアンカーピン31と、このアンカーピン31に取り付けられて、コンクリート覆工層201の内面202に設置される繊維シート1を押圧して固定するシート押え具32とを有している。アンカーピン31は、防食性能を有するステンレス(SUS304)製、又は、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂のようなプラスチック製とし、シート押え具32は、接着材10との接着性を良好なものとする点から樹脂、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などで作製することが好ましい。
・アンカーピン本体(31A)
材質:ステンレス(SUS304)
直径及び内径:D31A=12mm、d31A=10.8mm
長さ:L31A=55mm
・シート押え具取付部(31B)
材質:ステンレス(SUS304)
シート押え具取付部の内径:d31B=7.4mm
シート押え具取付部の長さ:L31Ba=7mm、L31Bb=6.5mm
鍔部の外径及び厚さ:D31Bc=15mm、L31Bc=2mm
シート押え具取付部の外周雄ねじ:M12
・シート押え具(32)
材質:ポリアミド樹脂
長さ:L32=9mm
鍔部の直径:D32B=30mm
内周部の雌ねじ:M12(六角ナット)
ナット部長さ:L32A=6mm
上記構成の通水型アンカー30をアンカー取付孔204に固定した後、コンクリート覆工層201の内面202にプライマー205を塗布する(図8(c))。本実施例では、後述するように、繊維シート1をコンクリート覆工層内面202に固着する接着材10としてセラミック混合型エポキシ樹脂モルタルが使用される。従って、プライマー205は、湿潤環境下にあるコンクリート覆工層201の内面202と、接着材10であるセラミック混合型エポキシ樹脂モルタルとの接着強度を向上させるためのものであり、エポキシ樹脂プライマーなどのエポキシ樹脂系、ウレタン樹脂プライマーなどのウレタン樹脂系、その他、MMA樹脂系などを使用することができる。プライマーの塗布量は、0.1〜0.4kg/m2とされる。
図8(d)に示すように、好ましくはプライマー205が塗布されたコンクリート覆工層201の内面202に、接着材10であるセラミック混合型エポキシ樹脂モルタルが下塗りされる。接着材10の下塗り量は、2250〜4500g/m2(即ち、厚さとして1.5〜3.0mm、通常、2mm程度)とされる。
次いで、図8(e)に示すように、接着材10が下塗りされたコンクリート覆工層201の内面202に繊維シート1を押し付け、接着する。この時、繊維シート1は、通水型アンカー30の頭部シート押え具取付部31Baに突き当たることとなるが、図9(b)に示すように、この部分の繊維シート1(1A)の線材2をアンカー30の頭部シート押え具取付部31Baを避けるように両側へと寄せて繊維シート1に隙間を設けることにより、繊維シート1は頭部シート押え具取付部31Baをすり抜けてコンクリート覆工層201の内壁面202側へと押入して配置することができる。
繊維シート1を、上記作業により、アンカーピン31の頭部シート押え具取付部31Baへと装入した後、頭部シート押え具取付部31Baにシート押え具32を螺合し、繊維シート1をトンネル覆工層内壁面202へと押圧して固定する(図8(f))。
次に、図8(g)に示すように、コンクリート覆工層内面202に、アンカー30により固定された繊維シート1の表面側から、コテなどを使用して、セラミック混合型エポキシ樹脂モルタルとされる接着材10を更に塗布する。接着材10は、シート押え具32の内周部41の開口部32a内には充填(塗布)されることはなく、従って、シート押え具32が螺合された通水型アンカー30の、シート押え具32及びアンカーピン31を貫通する中空部(貫通孔)31Hが接着材10で塞がれることはない。
(i)液状エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製「YD−128」商品名):100重量部
(ii)硬化剤(T&K TOKA株式会社製「フジキュア4011」商品名):50重量部
(iii)粒度250メッシュの陶器粉砕物(SiO2を60%以上及びAl2O3を14%以上含有する組成であり、嵩比重2.0以上)であるセラミックス粉:150重量部、
(v)その他の添加剤として、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM403」商品名):3重量部
の配合にて均一に混合した。
上記実施例1においては、本発明の補強方法は、繊維シート1として、上記具体例1で説明した繊維シート1Aを使用するものとして説明したが、繊維シート1として、上記具体例2で説明したFRP格子筋1Bを使用することができる。
上記実施例1においては、本発明の補強方法は、繊維シート1として、上記具体例1で説明した繊維シート1Aを使用し、上記変更実施例1においては、繊維シート1として、上記具体例2で説明した繊維シート1Bを使用するものとして説明したが、繊維シート1として、図10に示す繊維シート(トーシート)1Cを使用することができる。
図10に、本発明に使用することのできる繊維シート1の例を示す。本具体例にて繊維シート1は、連続した強化繊維fを一方向に引き揃えてシート状に構成される樹脂未含浸の繊維シートとされる。即ち、繊維シート1は、一方向に引き揃えた連続した強化繊維fから成る強化繊維シートを、上記具体例1にて図5(a)を参照して説明したと同様のメッシュ状の支持体シートなどとされる線材固定材3にて保持した構成とすることができる。例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜24000本収束した樹脂未含浸の単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート1の繊維目付量は、通常、30〜1000g/m2(設計厚(T1)0.017〜0.588mm)とされる。
本発明によれば、繊維シート1として上記樹脂未含浸の繊維シート1Cを使用した場合には、繊維シート1を接着材にてコンクリート構造物200に接着し一体とするためには、接着材を樹脂未含浸の繊維シート1に含浸し、且つ、繊維シート1を接着材にてコンクリート構造物200に接着し一体とすることが必要とされる。
実施例1で実施した図8(a)〜(c)に示す第1工程から第3工程までは本実施例においても同様に実施される(図11(a)〜(c))。
次いで、覆工層内面202の不陸修正を行う。従って、好ましくは上記プライマー層205が形成された上に不陸修正材206を塗布して不陸修正材層206aを形成する(図11(d)、(e))。通常、不陸修正材206は、被接着面202の全域に塗布されるが、場合によっては、部分的であっても良い。
図11(e)に示すように、不陸修正材層206aが硬化すると、この不陸修正材層206aの上に含浸樹脂接着材11を塗布する。含浸樹脂接着材11の塗布量は、600g/m2の炭素繊維シートを用いた場合、1100〜1300g/m2とされる。
次いで、図11(f)に示すように、含浸樹脂接着材11が塗布されたコンクリート覆工層201の内面202に繊維シート1を頭部押し付け、接着する。この時、繊維シート1は、図9(b)に示すように、通水型アンカー30の頭部シート押え具取付部31Baに突き当たることとなるが、この部分の繊維シート1(1C)の繊維fをアンカー30を避けるように両側へと寄せて繊維シート1に隙間を設けることにより、繊維シート1は頭部シート押え具取付部31Baをすり抜けて更にコンクリート覆工層201の内壁面202側へと押入して配置することができる。
次いで、樹脂含浸された繊維シート補強材層が乾燥すると、次に、図11(g)に示すように、コンクリート覆工層内壁面202に、アンカー30及び含浸樹脂接着材11により固定された繊維シート1の表面側から、コテなどを使用して、無機フィラーを含む樹脂モルタルとされる接着材10を更に塗布する。
上記実施例1(変更実施例1)、実施例2に記載の本発明の補強方法においては、通水型アンカー30のアンカーピン31にシート押え具32を取付けることにより、繊維シート1をコンクリート覆工層内面202に固定するものとして説明したが、これに限定されるものではない。つまり、通水型アンカー30はシート押え具32を備えておらず、繊維シート1は、通水型アンカー30とは別個に設けた、例えば、アンカーボルトをシート固定手段(シート固定アンカー)として使用してコンクリート覆工層内面に固定することができる。
通水型アンカー30
・アンカーピン本体(31A)
材質:ステンレス(SUS304)
直径及び内径:D31A=12mm、d31A=10.8mm
長さ:L31A=55mm
・シート取付部(31B)
材質:ステンレス(SUS304)
シート取付部の直径及び内径:D31Ba=12mm、d31Ba=7.4mm
シート取付部の長さ:L31Ba=9mm
鍔部の外径及び厚さ:D31Bc=15mm、L31Bc=2mm
芯棒打ち込み式アンカー50
・アンカーボルト本体(51)
材質:ステンレス(SUS304)
アンカーボルト本体の長さ:L51=66mm
アンカーボルト本体の直径:D51=12mm
アンカーボルト本体支持部の長さ:L51A=55mm
シート押え具取付部の長さ:L51Ba=9mm
シート押え具取付部の外周雄ねじ(54):M12
シート押え具取付部の鍔部の外径及び厚さ:D51Bc=15mm、L51Bc=2mm
・シート押え具(52)
材質:ポリアミド樹脂
長さ:L52=9mm
鍔部の直径:D52B=30mm
内周部の雌ねじ(55):M12(六角ナット)
ナット部長さ:L52A=6mm
次に、本実施例3−1では、上述した図13(a)、(b)に示す通水型アンカー30と、シート固定手段としてのシート固定アンカー(芯棒打ち込み式アンカー)50とを使用する本発明の補強方法について、図14(a)、及び、(b−1)〜(f−1)、(b−2)〜(f−2)を参照して説明する。本実施例3−1の補強方法においては、繊維シート1として、上記具体例1で説明した繊維シート1A、上記具体例2で説明した繊維シート1Bなどを使用することができるが、本実施例3−1では、上記具体例1で説明した繊維シート1Aを使用するものとする。
本実施例において、図14(a)、及び、(b−1)〜(d−1)、(b−2)〜(d−2)に示す第1工程から第4工程は、実施例1で説明した図8(a)〜(d)に示す第1工程から第4工程と同様に実施される。
次いで、図14(e−1)、(e−2)に示すように、接着材10が下塗りされたコンクリート覆工層201の内面202に繊維シート1を押し付け、接着する。この時、繊維シート1は、通水型アンカー30について言えば、通水型アンカー30の頭部シート取付部31Baに突き当たることとなるが、図9(b)に示すように、この部分の繊維シート1(1A)の線材2をアンカー30の頭部シート取付部31Baを避けるように両側へと寄せて繊維シート1に隙間を設けることにより、繊維シート1は頭部シート取付部31Baをすり抜けてコンクリート覆工層201の内壁面202側へと押入して配置することができる。
次に、図14(f−1)、(f−2)に示すように、コンクリート覆工層内面202に、シート固定アンカー50により固定された繊維シート1の表面側から、コテなどを使用して、実施例1で説明したと同様のセラミック混合型エポキシ樹脂モルタルとされる接着材10を更に塗布する。図14(f−1)、(f−2)に示すこの第6工程は、上記実施例1における図8(g)を参照して説明した第7工程における接着材10の塗布工程と同様である。
次に、上述した図13(a)、(b)に示す通水型アンカー30と、シート固定手段としてのシート固定アンカー(芯棒打ち込み式アンカー)50とを使用する本実施例3−2について、図15(a)、及び、(b−1)〜(g−1)、(b−2)〜(g−2)を参照して説明する。
本実施例において、図15(a)、及び、(b−1)〜(d−1)、(b−2)〜(d−2)に示す第1工程から第4工程は、実施例2で説明した図11(a)〜(d)に示す第1工程から第4工程と同様に実施される。
図15(e−1)、(e−2)に示すように、不陸修正材層206aが硬化すると、この不陸修正材層206aの上に含浸樹脂接着材11を塗布する。含浸樹脂接着材11は、実施例2で説明したと同様の材料及び塗布量とされる。
次に、図15(g−1)、(g−2)に示すように、コンクリート覆工層内面202に、シート固定アンカー50により固定された繊維シート1の表面側から、コテなどを使用して、実施例2で説明したと同様のセラミック混合型エポキシ樹脂モルタルとされる接着材10を更に塗布する。斯かるセラミック混合型エポキシ樹脂モルタル10の具体的な組成、性能については、実施例1、2にて詳しく説明されているので、実施例1、2の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
上記実施例3−1、3−2に記載の補強方法においては、通水型アンカー30は、図13(a)に示すように、シート押え具32を備えていない通水型アンカー30を使用するものとして説明した。また、通水型アンカー30は、図13(a)に示すように、アンカー取付孔204に挿入して固定されるアンカーピン本体31Aと、アンカーピン本体31Aに一体に形成されたシート取付部31Bとを有している構造とされている。
上記実施例で説明した本発明の補強対象となるコンクリート水路トンネルの構造によれば、側壁部201Bとインバート(底部)201Cとの接合部領域を構成する基部201Caで最大曲げモーメントが発生することが分かった。一方、構造上、この基部201Caにおいては補強シートの端部定着長が確保できないか、或いは、極めて困難な場合がある。
本発明に係るコンクリート水路トンネルのような水路用コンクリート構造物の補強方法及び補強構造の作用効果を実証するために実験を行った。以下に各実験について説明する。
本発明の補強方法にて接着材として上記各実施例にて使用したセラミック混合エポキシ樹脂モルタルの摩耗による長期耐久性を評価するため、国立大学法人島根大学が保有する水砂噴流摩耗試験機を使用して実験を行った。
本実験に使用した水砂噴流摩耗試験機400は、図18(a)に示すように、6面体とされる回転ドラム401を備え、回転ドラム401の周面に6つの供試体402(402a〜402f)が設置可能とされる。回転ドラム401上の各供試体402には、噴射口403から珪砂混入圧力水(圧力約2.0MPa、水量約89L/min)が噴射される。
本実験例では、接着材10を使用し、実験供試体402a、402c、402eを作製した。実験供試体402a、402c、402eは、図18(b)、(c)に示すように、縦×横×厚さ寸法が195mm×145mm×30mmの四隅が面取りされた概略4角形のモルタル製基台Moに、接着材10としてのセラミック混合エポキシ樹脂モルタルを厚さが10mmとなるように塗布し、コテ仕上げで表面を均一に仕上げた。
試験結果を図19(a)、(b)に示す。今回実施した摩耗試験は、摩耗時間20hで20年相当の促進試験であり、比較として用いた標準供試体402d、402f(図19にて「標準供試体1、2」)が20hで平均4.82mmの摩耗深さであったのに対し、セラミック混合エポキシ樹脂モルタルである実験供試体402a、402c、402e(図19にて「セラミック1、2、3」)は平均0.34mmであった。これは、標準供試体402d、402f(図19にて「標準供試体1、2」)を1としたときの相対比率が7%であり、即ち、対比摩耗量を10%以下とすることができ、現場での磨り減り損耗は著しく小さいものと考えられる。
本実験では、本発明の補強方法に使用する繊維シート1、接着材10等の品質管理試験を目的として繊維シートの継手試験を行い、繊維シートの継手強度性能を評価した。繊維シートの継手試験は、JSCE−E 542−2013 「連続繊維シートの継手試験方法(案)」に規定する連続繊維シートの継手試験方法に準拠して行った。
実験供試体は、上記実施例1に記載の補強方法にて使用した繊維シート1及び接着材10を使用して実験供試体500を作製した。
繊維シート1としては、図3〜図5を参照して説明した構成の繊維シート(ストランドシート)1A(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製:商品名(FSS-HT600(高強度型))を使用した。目付量は、600g/m2(繊維量0.2%)である。
弾性係数:245kN/mm2
引張強度:3400N/mm2
破断伸度:1.5%
設計厚:0.333mm
このようにして作製した実験供試体500を5個(試験片1〜5)を用意して、引張試験機「インストロン5900R5582型万能試験機」にて引張試験を行った。試験温度は、23±2℃、試験速度は4.0mm/minであった。
実験供試体
本実験では、供試体200Tとして2R標準馬蹄形実物大トンネル覆工模型を用いて載荷試験を行った。図22(a)、(b)にトンネル覆工模型の形状寸法を示すが、トンネル形状は、上方の内壁面(アーチ部)201Aが半径900mmの半円状の湾曲形状とされ、下方の内壁面(側壁部)201Bは、馬蹄形状へと変形する形状とされた。覆工層201の厚さは250mm、トンネル軸方向長さ300mm、また、コンクリートの圧縮強度は3.71MPa、弾性係数は23.6GPaであった。
試験体ケース1と試験体ケース2を比較すると、本発明に従ってトンネル供試体200Tに対しコンクリート補強層にて補強した場合(試験体ケース1)には、補強後の最大荷重が217kNであったの対して、補強を行わなかった場合(試験体ケース2)はひび割れ最大荷重が90kNとされ、本発明による補強効果が立証された。
f 強化繊維
R 含浸樹脂
2 繊維強化プラスチック線材
3 線材固定材(横糸、メッシュ支持体シート、可撓性帯材)
10 接着材
10a 接着材層
10b 接着材被覆層
11 含浸樹脂接着材
11a 含浸樹脂接着材層
21、22 格子筋
30 通水型アンカー
31 アンカーピン
31A アンカーピン本体
31B シート押え具取付部;シート取付部
31Ba 頭部シート押え具取付部;頭部シート取付部
31Bc アンカーピン鍔部
31H アンカーピン通水孔
32 シート押え具
32A 軸部
32B 鍔部
50 シート固定アンカー(シート固定手段)
51 アンカーボルト本体
51A アンカーボルト本体支持部
51B シート押え具取付部
51Ba 頭部シート押え具取付部
52 鍔付きナット(シート押え具)
100 補強層
200 コンクリート水路トンネル(水路用コンクリート構造物)
201 コンクリート水路トンネル覆工(コンクリート覆工層)
202 覆工層内面(被補強面)
204 アンカー取付孔
205 プライマー
206 不陸修正材
206a 不陸修正材層
300 アンカー筋(基部アンカー)
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
通水型アンカーを介しての通水は可能として前記繊維シートを被覆して形成された前記接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、又は、前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された複数の繊維強化プラスチック筋を格子状に配置して形成された格子筋である。
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に形成した不陸修正材層と、
前記不陸修正材層が形成された前記コンクリート覆工層内面に含浸樹脂接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
通水型アンカーを介しての通水は可能として前記繊維シートを被覆して形成された無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状とした樹脂未含浸の繊維シートである。また、他の実施態様によれば、前記含浸樹脂接着材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリビニルフォルマール樹脂である。
Claims (35)
- 強化繊維を含む繊維シートを接着して水路用コンクリート構造物のコンクリート覆工層の補強を行う水路用コンクリート構造物の補強方法において、
(a)前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔してアンカー取付孔を形成する工程、
(b)前記アンカー取付孔に通水型アンカーのアンカーピンを設置する工程、
(c)前記コンクリート覆工層内面に無機フィラーを含んだ樹脂モルタルとされる接着材を下塗りした後、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面へと押し付けて接着する工程、
(d)前記通水型アンカーの前記アンカーピンにシート押え具を取付けることにより、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段により、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面に固定する工程、
(e)前記コンクリート覆工層内面に接着して固定された前記繊維シートを被覆して前記接着材を塗布し、前記接着材を硬化する工程、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強方法。 - 前記(c)工程にて前記コンクリート覆工層内面に前記接着材を下塗りする前に、前記コンクリート覆工層内面にプライマーを塗布することを特徴とする請求項1に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された複数の繊維強化プラスチック筋を格子状に配置して形成された格子筋であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 強化繊維を含む繊維シートを接着して水路用コンクリート構造物のコンクリート覆工層の補強を行う水路用コンクリート構造物の補強方法において、
(a)前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔してアンカー取付孔を形成する工程、
(b)前記アンカー取付孔に通水型アンカーのアンカーピンを設置する工程、
(c)前記コンクリート覆工層内面に不陸修正材を塗布し、次いで、前記不陸修正材が塗布されたコンクリート覆工層内面に前記繊維シートを含浸樹脂接着材にて接着する工程、
(d)前記通水型アンカーの前記アンカーピンにシート押え具を取付けることにより、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段により、前記繊維シートを前記コンクリート覆工層内面に固定する工程、
(e)前記コンクリート覆工層内面に接着して固定された前記繊維シートを被覆して無機フィラーを含んだ樹脂モルタルとされる接着材を塗布し、前記接着材を硬化する工程、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強方法。 - 前記(c)工程にて前記コンクリート覆工層内面に前記不陸修正材を塗布する前に、前記コンクリート覆工層内面にプライマーを塗布することを特徴とする請求項5に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状とした樹脂未含浸の繊維シートであることを特徴とする請求項5又は6に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記含浸樹脂接着材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリビニルフォルマール樹脂であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記樹脂モルタルは、無機フィラーとして、
(a)酸化物系セラミックス、炭化物系セラミックス、その他のファインセラミックス、珪砂、タルク、若しくは、陶磁器質粉砕物とされるか、又は、
(b)前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物とされるか、又は、
(c)前記(a)に記載のいずれかの材料、若しくは、前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物と、細骨材との混合物とされる、
セラミックス粉が混合されたセラミック混合型樹脂モルタルであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。 - 前記セラミックス粉は、粒径が1000μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記樹脂モルタルは、水砂噴流摩耗試験による標準モルタルとの対比摩耗量が10%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記樹脂モルタルは、B型粘度計で20回転、23℃の測定条件にて粘度が25〜150Pa・sであり、Ti値が3.8〜10であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記樹脂モルタルは、600g/m2目付繊維シートの継手試験強度が3400N/mm2以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記樹脂モルタルは、エポキシ樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、又はポリウレア樹脂を用いた樹脂モルタルであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記コンクリート覆工層の厚さ(T201)に対する前記繊維シート1の厚さ(T1設計厚)の比(T1/T201)が0.02〜5%であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記通水型アンカーの前記アンカーピンは中空管状とされ、
前記シート押え具は、前記アンカーピンにおいて前記コンクリート覆工層内面より外方向へと突出して形成された中空管状軸部に取付けられ、前記シート押え具と前記コンクリート覆工層内面との間にて前記繊維シートを固定することを特徴とする請求項1〜15のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。 - 前記シート固定手段は、前記アンカー取付孔に設置されるシート固定アンカーであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記繊維シートは、複数層にて前記コンクリート覆工層内面に積層して接着されることを特徴とする請求項1〜17のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 前記水路用コンクリート構造物における側壁部からインバートへと延在して基部アンカーを埋め込んで、前記側壁部と前記インバートとの接合部領域を形成する基部を補強することを特徴とする請求項1〜18のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強方法。
- 水路用コンクリート構造物のコンクリート覆工層内面に、強化繊維を含む繊維シートを取り付けて補強層を形成した水路用コンクリート構造物の補強構造であって、
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
前記繊維シートを被覆して形成された前記接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造。 - 前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項20に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された複数の繊維強化プラスチック筋を格子状に配置して形成された格子筋であることを特徴とする請求項20に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 水路用コンクリート構造物のコンクリート覆工層内面に、強化繊維を含む繊維シートを取り付けて補強層を形成した水路用コンクリート構造物の補強構造であって、
前記補強層は、
前記コンクリート覆工層内面に形成した不陸修正材層と、
前記不陸修正材層が形成された前記コンクリート覆工層内面に含浸樹脂接着材から成る接着材層を介して接着され、且つ、前記コンクリート覆工層の内面から外面へと延在して前記コンクリート覆工層を穿孔して形成したアンカー取付孔に設置されたアンカーピンと前記アンカーピンに取付けられたシート押え具を備えた通水型アンカーにて、及び/又は、前記通水型アンカーとは別個に設けたシート固定手段にて、前記コンクリート覆工層に固定された前記繊維シートと、
前記繊維シートを被覆して形成された無機フィラーを含んだ樹脂モルタルである接着材からなる接着材被覆層と、
を有することを特徴とする水路用コンクリート構造物の補強構造。 - 前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状とした樹脂未含浸の繊維シートであることを特徴とする請求項23に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記含浸樹脂接着材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリビニルフォルマール樹脂であることを特徴とする請求項23又は24に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記樹脂モルタルは、無機フィラーとして、
(a)酸化物系セラミックス、炭化物系セラミックス、その他のファインセラミックス、珪砂、タルク、若しくは、陶磁器質粉砕物とされるか、又は、
(b)前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物とされるか、又は、
(c)前記(a)に記載のいずれかの材料、若しくは、前記(a)に記載のいずれかの材料の混合物と、細骨材との混合物とされる、
セラミックス粉が混合されたセラミック混合型樹脂モルタルであることを特徴とする請求項20〜25のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。 - 前記セラミックス粉は、粒径が1000μm以下であることを特徴とする請求項26に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記樹脂モルタルは、水砂噴流摩耗試験による標準モルタルとの対比摩耗量が10%以下であることを特徴とする請求項20〜27のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記樹脂モルタルは、600g/m2目付繊維シートの継手試験強度が3400N/mm2以上であることを特徴とする請求項20〜28のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記樹脂モルタルは、エポキシ樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、又はポリウレア樹脂を用いた樹脂モルタルであることを特徴とする請求項20〜29のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記コンクリート覆工層の厚さ(T201)に対する前記繊維シート1の厚さ(T1設計厚)の比(T1/T201)が0.02〜5%であることを特徴とする請求項20〜30のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記通水型アンカーの前記アンカーピンは中空管状とされ、
前記シート押え具は、前記アンカーピンにおいて前記コンクリート覆工層内面より外方向へと突出して形成された中空管状軸部に取付けられ、前記シート押え具と前記コンクリート覆工層内面との間にて前記繊維シートを固定することを特徴とする請求項20〜31のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。 - 前記シート固定手段は、前記アンカー取付孔に設置されるシート固定アンカーであることを特徴とする請求項20〜32のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記繊維シートは、複数層にて前記コンクリート覆工層内面に積層して接着されることを特徴とする請求項20〜33のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
- 前記水路用コンクリート構造物における側壁部からインバートへと延在して基部アンカーを埋め込んで、前記側壁部と前記インバートとの接合部領域を形成する基部を補強することを特徴とする請求項20〜34のいずれかの項に記載の水路用コンクリート構造物の補強構造。
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