JP2021183640A - 活性化脂肪酸の治療有効量を使用する疾患の予防、処置および逆転 - Google Patents

活性化脂肪酸の治療有効量を使用する疾患の予防、処置および逆転 Download PDF

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Abstract

【課題】活性化脂肪酸の治療有効量を使用する疾患の予防、処置および逆転の提供。【解決手段】本発明の様々な実施形態は、巣状分節性糸球体硬化症または肺動脈高血圧症を含む疾患を処置するための医薬組成物および方法を対象とする。そのような実施形態の組成物は、アルキル置換脂肪酸、ケト脂肪酸およびニトロ脂肪酸などの活性化脂肪酸を含む。様々な実施形態の方法は、そのような疾患を処置するために、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の有効量を投与することを含む。本発明の様々な実施形態は、処置を必要とする患者に、アルキル置換脂肪酸、ケト脂肪酸、またはニトロ脂肪酸などの活性化脂肪酸の治療有効量を投与することを含む、疾患を処置するための方法を対象とする。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2015年10月2日に出願された米国仮出願第62/235,702号の利益を主張しており、この仮出願の開示はその全体が本明細書によって参考として本明細書中に援用される。
要旨
本発明の様々な実施形態は、処置を必要とする患者に、アルキル置換脂肪酸、ケト脂肪酸、またはニトロ脂肪酸などの活性化脂肪酸の治療有効量を投与することを含む、疾患を処置するための方法を対象とする。本発明の様々な実施形態は、活性化脂肪酸の治療有効量を含む医薬組成物を対象とする。本明細書に記載の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、ニトロ脂肪酸である。本明細書に記載の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、ニトロオレイン酸である。本明細書に記載の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、CXA−10または10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸としても知られる10−ニトロ−オレイン酸である。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
実質臓器線維症、炎症性疾患、心臓血管疾患、腎疾患、腎不全、虚血性腎損傷、急性腎損傷(AKI)、慢性腎損傷(CKI)、慢性腎臓病(CKD)、肥満関連慢性腎臓疾患、糖尿病性腎障害、腎臓線維症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、原発性FSGS、続発性FSGS、鎌状赤血球腎障害、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、肺動脈高血圧症(PAH)、肺線維症、アレルギー性気道疾患、肥満、抗脂肪生成病、II型糖尿病、鎌状赤血球症、鎌状赤血球クリーゼ、特発性肺線維症(IPF)、炎症性胃腸疾患、大腸炎、炎症性腸疾患、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、代謝症候群、神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病およびミトコンドリア関連疾患から選択される疾患を、それを必要とする対象において処置する方法であって、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の治療有効量を前記対象に投与することを含む方法。
(項目2)
前記治療有効量が、約25ミリグラム〜約450ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記治療有効量が、約100ミリグラム〜約200ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記治療有効量が、約75ミリグラム〜約300ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記治療有効量が、約75ミリグラム〜約150ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記治療有効量が、約150ミリグラム〜約300ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記治療有効量が、約150ミリグラムの曝露に十分な量である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が、医薬組成物中にある、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記投与が、経口、皮下、または静脈内投与である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記投与が、1日1回、1日2回、1日2回、1日3回、または1日4回から選択される間隔での投与である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記疾患が、巣状分節性糸球体硬化症または肺動脈高血圧症である、項目1に記載の方法。
(項目12)
それを必要とする対象に、約150mgの曝露に十分な量で10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与することを含む、巣状分節性糸球体硬化症または肺動脈高血圧症から選択される疾患を処置する方法。
(項目13)
前記10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される、項目12に記載の方法。
(項目14)
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の治療有効量および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
(項目15)
前記治療有効量が、約25ミリグラム〜約450ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記治療有効量が、約100ミリグラム〜約300ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目17)
前記治療有効量が、約75ミリグラム〜約300ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目18)
前記治療有効量が、約75ミリグラム〜約150ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目19)
前記治療有効量が、約150ミリグラム〜約300ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目20)
前記治療有効量が、約150ミリグラムの曝露に十分な量である、項目14に記載の医薬組成物。
図1は、DOCA塩マウスモデルの研究設計およびタイムラインを記載している。
図2は、DOCA塩研究から得られた、体重変化の時間経過を示している。対照(Ctrl)は灰色のひし形として、DOCAは薄灰色の四角形として、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)2.5mpkは中間の灰色の三角形として、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)12.5mpkは薄灰色の四角形として、エナラプリルは暗灰色の四角形として表されている。
図3は、5つのコホート:対照、ビヒクル、CXA−10 2.5(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)、CXA−10 12.5(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)、およびEnal(エナラプリル)のそれぞれについてDOCA塩研究から得られた平均動脈血圧を示している。
図4は、DOCA塩研究から得られた、血漿コレステロールレベルに対する処置の効果を示している。左から右へ、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図5は、DOCA塩研究から得られた、腎臓/体重比および心臓/体重比に対する処置の効果を示している。両方の群内で(腎臓/体重比および心臓/体重比)、左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーは非処置であり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図6は、DOCA塩研究から得られた、アルブミン尿およびネフリン排出に対する処置の効果の時間経過を示している。両方のグラフ内で(アルブミン尿は左、ネフリン尿は右)、対照は、灰色のひし形として、ビヒクルは中間の灰色の小さな四角形として、CXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)は中間の灰色の三角形として、CXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)は黒色の長方形として、エナラプリルは暗灰色の長方形として表されている。左のグラフでは、*p<0.05および**p<0.01。右のグラフでは、*p<0.01。
図7は、DOCA塩研究から得られた、尿アルブミンおよびネフリン排出に対する処置の効果を示している。両方のグラフ内で(アルブミン尿は左、ネフリン尿は右)、左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図8は、DOCA塩研究から得られた、尿中のKim−1に対する処置の効果を示している。左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図9は、DOCA塩研究から得られた、GFRに対する処置の効果を示している。
図10は、処置の4週間後にDOCA塩研究から得られた、血清クレアチニンおよびBUNレベルに対する処置の効果を示している。両方のグラフ内で(血清クレアチニンレベルは左、血清BUNレベルは右)、左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図11は、処置後にDOCA塩研究から得られた、腎臓組織の組織学的評価を示している。ピクロシリウスレッド(picosirius red)染色された切片の代表的な顕微鏡写真が示されている(×200)。上の3つの顕微鏡写真は、対照、非処置、およびCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)である。下の2つの顕微鏡写真は、CXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)およびエナラプリルである。
図12は、DOCA塩研究から得られた、糸球体硬化症に対する処置の効果を示している。上のグラフ:左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。下のグラフ:スコア<1は、中実の網掛け面によって表され、スコア1は、スコア<1超で、水平線によって表されており、スコア2は、スコア1超で、垂直線によって表され、スコア3は、スコア2超で、斜線によって表され、スコア4は、スコア3超で、ダイヤ型の線によって表されている。
図13は、DOCA塩研究において処置した後の、糸球体肥大およびポドサイト数の定量化を示している。両方のグラフ内で(糸球体肥大が上、ポドサイト数が下)、左から右へ読んで、第1のバーは正常(または、対照としても既知)を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図14は、DOCA塩研究から得られた、腎臓組織におけるCD31染色を示している。上の3つの画像は、対照、ビヒクル、およびCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)である。下の2つの画像は、CXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)およびエナラプリルである。
図15は、DOCA塩研究から得られた、尿MCP−1排出に対する処置の効果を示している。左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)である。
図16は、DOCA塩研究から得られた、MCP−1およびオステオポンチン遺伝子発現に対する処置の効果を示している。左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図17は、DOCA塩研究から得られた、線維性および炎症性遺伝子発現に対する処置の効果を示している。3つすべての群内で(コラーゲンIII、フィブロネクチン、PAI−1)、左から右へ読んで、第1のバーは対照を表し、第2のバーはビヒクルであり、第3のバーはCXA−10 2.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mg)であり、第4のバーはCXA−10 12.5mpk(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mg)であり、最後のバーはエナラプリルである。
図18は、DOCA塩研究において得られた、処置後の尿イソプロスタンを示している。左から右へ読んで、各グラフは、偽(対照としても既知)を1番目に、DOCAを2番目に、DOCA+2.5mg/ml CXA−10(CTX−10 2.5mpkまたは10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、2.5mgとしても既知)を3番目に;DOCA+12.5mg/ml CXA−10(CTX−10 12.5mpkまたは10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、12.5mgとしても既知)を4番目に;DOCA+20mg/mlエナラプリル(Enalprilとしても公知)を最後に示している。
図19は、ニトロ化脂肪酸を生成するための一般合成法を示している。
図20は、虚血/再灌流研究における、ラットでの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置後の血清クレアチニンレベルを示している。各グラフ内、0、24、48および72時間目で、左から右へ読んで、第1のバーはビヒクル+偽を表し、第2のバーはCXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)+偽であり、第3のバーはビヒクル+I/Rであり、最後のバーはCXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)+I/Rである。
図21は、ラット虚血再灌流研究における、12.5mg/kg 10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置されたラットでのI/R損傷後の腎臓の組織学的および定量評価を示している。
図22は、1日目および14日目および15日目に投与された肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究における、3つのすべてのコホートでの平均濃度−時PKプロファイルを示している。このグラフ内の線は識別することができ、下から始めて、一番下の白丸は、25mg処置での1日目を表し、黒丸は、25mg処置での14日目を表し;続いて、中抜きの四角形は150mg処置での1日目を表し、黒の四角形は150mg処置での14日目を表し;続いて、中抜きの三角形は、600mg処置での1日目を表し、黒の三角形は450mg処置での14日目を表し;一番上の黒の三角形は150mg処置での15日目を表す。
図23は、肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究からの処置(A)による平均としてのレプチン濃度およびベースライン処置(B)からのパーセント変化を示している。両方のグラフで、黒色の線は、プラセボを表し、暗灰色の三角形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgを表し、薄灰色の長方形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgを表し、薄灰色の円形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgを表す。
図24は、肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究からの処置による、ベースラインからのMCP−1変化を示している。破線は、7日−プラセボであり、実線は、14日−プラセボであり、暗灰色の三角形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgであり、暗灰色の三角形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgであり、薄灰色の長方形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgであり、薄灰色の長方形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgであり、薄灰色の円形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgであり、薄灰色の円形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgである。
図25は、肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究からの処置による、ベースラインからの平均変化としてのIL−6濃度を示している。破線は、7日−プラセボであり、実線は、14日−プラセボであり、暗灰色の三角形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgであり、暗灰色の三角形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgであり、薄灰色の長方形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgであり、薄灰色の長方形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgであり、薄灰色の円形を含む破線は、7日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgであり、薄灰色の円形を含む実線は、14日−CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgである。
図26は、肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究からの処置による、ベースラインからのトリグリセリド変化を示している。このグラフ内では、黒色の線は、プラセボを表し、暗灰色の三角形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgを表し、薄灰色の長方形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgを表し、薄灰色の円形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgを表す。
図27は、肥満男性での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の複数漸増用量研究からの処置による、ベースラインからのコレステロール濃度平均変化を示している。このグラフ内では、黒色の線は、プラセボを表し、暗灰色の三角形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)25mgを表し、薄灰色の長方形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)150mgを表し、薄灰色の円形は、CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)450mgを表す。
図28は、健康な男性での研究における、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用のための研究設計およびタイムラインを示している。Pは、プラバスタチンであり、VはVytorin(登録商標)である。
図29は、健康な男性での、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究のための、PK血液採取のための時間およびイベント表を示している。
図30は、健康な男性での、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究からの、40mgのプラバスタチン(A)および3−アルファ−ヒドロキシプラバスタチン(B)を経口投与した後の平均(+SD)血漿プラバスタチン濃度−時間プロファイルを示している。1日目:プラバスタチンのみは、非網掛けの円形を有する暗灰色の線によって表され、11日目:プラバスタチン(Pravastain)+CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)は、非網掛けの四角形を有する薄灰色の線によって表される。
図31は、健康な男性での、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究からの、10/20mgのエゼチミベ(ezetimbe)を経口投与した後の平均(+SD)血漿エゼチミベ全濃度−時間プロファイルを示している。2日目:Vytorin(登録商標)のみは、非網掛けの三角形を有する薄灰色の線によって表され、12日目:Vytorin(登録商標)+CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)は、非網掛けの四角形を有する暗灰色の線によって表される。
図32は、健康な男性での、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究からの、10/20mgのVytorin(登録商標)を経口投与した後の平均(+SD)血漿シンバスタチンおよびシンバスタチンヒドロキシル酸濃度−時間プロファイルを示している。2日目:Vytorin(登録商標)のみは、非網掛けの三角形を有する薄灰色の線によって表され、12日目:Vytorin(登録商標)+CXA−10(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)は、非網掛けの四角形を有する暗灰色の線によって表される。
図33は、健康な男性での、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究からの、基準分析物(単一薬剤として得られた分析物)に対する試験物(CXA−10で得られた分析物)の比較の簡易統計の表である。
図34は、原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)によるネフローゼ症候群を有する患者での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の2つの適正量決定レジメンの3カ月オープンラベルランダム化研究のための研究評価の表である。
図35は、原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)によるネフローゼ症候群を有する患者での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の2つの適正量決定レジメンの3カ月オープンラベルランダム化研究のための研究設計である。
詳細な説明
略語および定義
本発明は、記載されている特定のプロセス、組成物、または方法論に限られず、それというのも、これらは変動し得るためである。本記載において使用される専門用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを記載することを目的としたものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。別段に定義されない限り、本明細書において使用される専門用語および科学用語はすべて、当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の刊行物はすべて、それらの全体が参照によって組み込まれる。本明細書に記載のいずれも、本発明が、先行発明による、そのような開示に先行する権限がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
表1に、用語の略語および定義のリストを提供する。
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用語「アルキル」は、本明細書において、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどの、1〜24個の炭素原子からなる分岐または非分岐飽和炭化水素基を示すために使用されている。「低級アルキル」基は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である。
「アルケニル基」は、2〜24個の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式の分岐または非分岐炭化水素基としてである。アルケニル基の例には、限定ではないが、エチルエニル、ヘキセニル、オクタデセニル(octandecenyl)、オクタデカジエニルが含まれる。
本明細書で使用される場合、語句「アルキニル基」は、2〜24個の炭素原子からなり、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する分岐または非分岐炭化水素基を指す。
本明細書で使用される場合、「アリール」は、単環式または多環式芳香族基、好ましくは、単環式または二環式芳香族基、例えば、フェニルまたはナフチルを指す。別段に示さない限り、アリール基は、非置換であってよいか、または例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、イソシアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択される1個または複数、特に、1〜4個の基で置換されていてよい。例示的なアリール基には、これらだけに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、クロロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ニトロフェニル、および2,4−メトキシクロロフェニルが含まれる。
用語「ハロゲン」および「ハロ」は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指す。
用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、および硫黄(S)を含むことが意図されている。
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の1個または複数の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている、指示数の炭素原子を有するアルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキル基の例には、これらだけに限定されないが、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、およびそれらの分岐バージョンが含まれる。
用語「ハロアルキル」は、C〜Cアルキル基中の1個または複数の水素原子が、同じでも、または異なってもよいハロゲン原子で置き換えられている−(C〜C)アルキル基を指す。ハロアルキル基の例には、これらだけに限定されないが、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピリル、ペンタクロロエチル、および1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエチルが含まれる。
用語「アミンまたはアミノ」は、−NR基を指し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、および(C〜C)ヒドロキシアルキル基を指す。
用語「オキソ」は、炭素または例えば、窒素、硫黄もしくはセレンなどの別の元素に二重結合している酸素原子を指す。
用語「ヘテロシクリル」は、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、二環式、および三環式環系を含めて、窒素および硫黄ヘテロ原子が、任意選択で酸化されており、窒素ヘテロ原子が、任意選択で第四級化されている単環式、二環式、三環式、または多環式系を指す。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合していてよい。ヘテロシクリル基には、上記で定義したとおりのヘテロアリールが包含される。ヘテロシクリルの代表的な例には、これらだけに限定されないが、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニルおよびキナゾリニルが包含される。ヘテロシクリル基は、非置換であってもよいし、または任意選択で、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
用語「シクロアルキル」は、1個または2個の飽和または不飽和環を含有する単環式または二環式環系を指す。
用語「ハロアルキル」は、C〜Cアルキル基中の1個または複数の水素原子が、同じでも、または異なってもよいハロゲン原子で置き換えられているC〜Cアルキル基を指す。ハロアルキル基の例には、これらだけに限定されないが、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル、ペンタクロロエチル、および1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエチルが含まれる。
用語「ヘテロアリール」は、1個または2個の芳香環を含有し、少なくとも1個の窒素、酸素、または硫黄原子を芳香環中に含有する単環式または二環式環系を指すために本明細書では使用されている。別段に示さない限り、ヘテロアリール基は、非置換であってもよいし、または例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、イソシアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1個または複数、好ましくは1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例には、これらだけに限定されないが、チエニル、フリル、ピリジニル、オキサゾリル、キノリル、チオフェニル、イソキノリル、インドリル、トリアジニル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、およびチアジアゾリルが含まれる。
用語、それぞれn−3、n−6、もしくはn−9多価不飽和脂肪酸(PUFA);n−3、n−6、もしくはn−9求電子性脂肪酸誘導体(EFAD);またはそれらの個々の代謝産物のいずれかは、それぞれ用語ω−3、ω−6、もしくはω−9多価不飽和脂肪酸(PUFA)、またはそれぞれω−3、ω−6、もしくはω−9求電子性脂肪酸誘導体(EFAD)、またはその代謝産物と互換的に使用される。同様に、用語オメガ−3、オメガ−6、またはオメガ−9多価不飽和脂肪酸(PUFA)、またはオメガ−3、オメガ−6、またはオメガ−9求電子性脂肪酸誘導体(EFAD)、またはその代謝産物は、同じものを指す。
この内容で、「代謝産物」のカテゴリーには、脂肪酸の位置異性体、立体異性体、および構造類似体が含まれる。したがって、本発明の代謝産物には、異なる炭素長さのテイルを有する活性化脂肪酸、さらには、二重結合の位置異性体が含まれる。PUFAの位置異性体および誘導体も、代謝産物の群に含まれる。加えて、二重結合は、シス(Z)二重結合またはトランス(E)二重結合であってよい。本発明に基づき、代謝産物のカテゴリーには、下記でより詳細に記載するとおり、活性化脂肪酸の小分子類似体も含まれ得る。
用語「誘導体」は、1個または複数の原子が別の原子または原子群で置き換えられている場合に、同様の化合物に由来する化合物、または別の化合物から発生すると想像し得る化合物を指す。本発明による脂肪酸代謝産物の誘導体には、限定ではないが、活性化脂肪酸テイル中の1個または複数個の炭素原子が酸素、硫黄またはアミノ基で置換されているすべての化合物が含まれる。例えば、活性化脂肪酸テイルは、1つもしくは複数のポリエチレングリコールユニット、または1つもしくは複数の1,2−ジアミノエタンユニット、またはそれらの組合せを含有し得る。
用語「生体試料」は、組織、細胞、細胞抽出物、均質化組織抽出物、限定ではないが、ヒドロキシ(hydoxy)デヒドロゲナーゼおよびシクロオキシゲナーゼが含まれる混合物などの適切な生理学的に許容される担体中の1つまたは複数の酵素の混合物を指す。
本発明の化合物は、立体配置、幾何、および配座異性体を含む様々な異性体型で存在し得、さらには、様々な互変異性型、詳細には、水素原子の結合点が異なるもので存在し得る。用語「異性体」は、化合物の互変異性型を含む本発明の化合物のすべての異性体型を含むことが意図されている。
本明細書に記載のある種の化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を有することがあり、したがって、異なるエナンチオマー型およびジアステレオマー型で存在することがある。本発明の化合物は、光学異性体またはジアステレオマーの形態であり得る。したがって、本発明は、ラセミ混合物を含む、それらの光学異性体、ジアステレオ異性体、およびそれらの混合物の形態の化合物を含む。本発明の化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィー、疑似移動床技術などの公知の技術によって、または光学的に活性な分割剤の使用による立体異性体の化学的分離を介して得ることができる。
別段に示さない限り、「立体異性体」は、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、ある化合物の1つの立体異性体を意味する。したがって、キラル中心を1つ有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の逆の鏡像異性体を実質的に含まない。キラル中心を2つ有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、化合物の1種の立体異性体約80重量%超および化合物の他の立体異性体約20重量%未満、例えば、化合物の1種の立体異性体約90重量%超および化合物の他の立体異性体約10重量%未満、または化合物の1種の立体異性体約95重量%超および化合物の他の立体異性体約5重量%未満、または化合物の1種の立体異性体約97重量%超および化合物の他の立体異性体約3重量%未満を含む。
図示されている構造とその構造に与えられている名称との間に矛盾がある場合には、図示されている構造が優先される。加えて、構造または構造の一部分の立体化学が、例えば、太字または破線で示されていない場合には、その構造または構造の一部分は、そのすべての立体異性体を含むと理解されるべきである。
用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下で、in vitroで、またはin vivoで加水分解する、酸化する、または別様に反応して、活性な化合物、特に、本発明の化合物をもたらし得る、化合物の誘導体を示す。プロドラッグの例には、これらだけに限定されないが、生加水分解(biohydrolyzable)アミド、生加水分解エステル、生加水分
解カルバメート、生加水分解カルボネート、生加水分解ウレイド、および生加水分解ホスフェート類似体(例えば、モノホスフェート、ジホスフェートまたはトリホスフェート)などの生加水分解基を含む本発明の化合物の誘導体および代謝産物が含まれる。例えば、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子中に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することにより好都合に形成される。プロドラッグは典型的には、BURGER'S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY 第6版(Wiley、2001年)およびDESIGN AND
APPLICATION OF PRODRUGS (Harwood Academic Publishers Gmbh、1985年)によって記載されたものなどの周知の方法を使用して調製することができる。
本明細書において、および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈が別に明示しない限り、複数の言及も含まれる。したがって、例えば、1つの「細胞」(a "cell")に対する言及は、1つまたは複
数の細胞、および当業者に公知のその同等物に対する言及などである。
本明細書で使用される場合、用語「約」は、約が使用されている数の数値の±10%を意味する。したがって、約100mgは、90mg〜110mgの範囲を意味する。
治療薬と併せて使用される場合の「投与すること」は、患者に治療薬を投与し、それによって、治療薬が、標的とする組織にプラスの影響を与えることを意味する。したがって、本明細書で使用される場合、用語「投与すること」は、ニトロ化脂質と併せて使用される場合、これらだけに限定されないが、ニトロ化脂質を対象に、例えば、静脈内注射によって全身的に提供し、それによって、治療薬が標的組織に到達することを含み得る。組成物を「投与すること」は、例えば、注射、経口投与、局所投与によって、または他の公知の技術と組み合わせたこれらの方法によって達成され得る。投与することは、そのような処置を必要とする対象が治療薬を投与する自己投与であってもよいし、または投与することは、そのような処置を必要とする対象の医学的もしくは他のヘルスケア専門家または管理者によってもよい。
用語「動物」、「患者」、または「対象」には、本明細書で使用される場合、これらだけに限定されないが、ヒトならびに野生、家庭内および農場動物などの非ヒト脊椎動物が含まれる。
用語「改善する」は、本発明が、提供されている、施与されている、または投与されている組織の特徴および/または物理的性状のいずれかを変化させることを伝えるために使用される。用語「改善する」は、病的状態が「改善された」ときに、病的状態と関連した症状または身体的特徴が減衰する、減少する、または消失するような病的状態と併せて使用されることもある。
用語「阻害すること」には、症状の発症を予防する、症状を緩和する、または疾患、状態、障害またはその兆候もしくは症状を除去するための本発明の化合物の投与が含まれる。
「薬学的に許容される」では、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性であり、その受容者に対して有害であってはならないことが意味されている。
本明細書で使用される場合、用語「治療薬」は、特定の実施形態によって示され得るとおりの、患者の望ましくない状態、疾患または症状を阻止する、それに反抗する、寛解する、改善する、予防する、阻害する、遮断する、または逆転するために利用される薬剤を意味する。一部では、本発明の実施形態は、実質臓器線維症、炎症性疾患、心臓血管疾患、腎疾患、腎不全、虚血性腎損傷、急性腎損傷(AKI)、慢性腎損傷(CKI)、慢性腎臓病(CKD)、肥満関連慢性腎臓疾患、糖尿病性腎障害、腎臓線維症、原発性FSGSおよび続発性FSGSを含む巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、鎌状赤血球腎障害、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴う、および伴わない)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、肺動脈高血圧症(PAH)、肺線維症、アレルギー性気道疾患、肥満、抗脂肪生成病(anti-adipogenic disease)、II型糖尿病、鎌状赤血球症、鎌状赤血球クリーゼ、特発性肺線維症(IPF)、炎症性胃腸疾患、大腸炎、炎症性腸疾患、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、代謝症候群、神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病およびミトコンドリア関連疾患を対象とする。
組成物の「治療有効量」または「有効量」は、所望の効果を達成するために、すなわち、特定の実施形態によって示され得るとおりの、患者の望ましくない状態、疾患または症状を阻止する、それに反抗する、寛解する、改善する、予防する、阻害する、遮断する、または逆転するために計算された所定量である。例えば、「処置法」の実施形態において記載するとおりの「治療有効量」は、所望の処置効果を達成するために、すなわち、望ましくない状態、疾患または症状を阻止する、それに反抗する、寛解する、または改善するために計算された所定量である。例えば、「予防法」の実施形態において記載するとおりの「治療有効量」は、所望の処置効果を達成するために、すなわち、その発生前に望ましくない状態、疾患または症状を予防する、または阻害する、または遮断するために計算された所定量である。したがって、治療有効量は、患者における化合物の一定の曝露に十分な量であってよい。一部では、本発明の実施形態は、実質臓器線維症、炎症性疾患、心臓血管疾患、腎疾患、腎不全、虚血性腎損傷、急性腎損傷(AKI)、慢性腎損傷(CKI)、慢性腎臓病(CKD)、肥満関連慢性腎臓疾患、糖尿病性腎障害、腎臓線維症、原発性FSGSおよび続発性FSGSを含む巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、鎌状赤血球腎障害、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴う、および伴わない)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、肺動脈高血圧症(PAH)、肺線維症、アレルギー性気道疾患、肥満、抗脂肪生成病、II型糖尿病、鎌状赤血球症、鎌状赤血球クリーゼ、特発性肺線維症(IPF)、炎症性胃腸疾患、大腸炎、炎症性腸疾患、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、代謝症候群、神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病およびミトコンドリア関連疾患を対象とする。本方法によって企図される活性には、適切には、医学的な治療および/または予防処置の両方が含まれる。治療および/または予防効果を得るために本発明によって投与される化合物の具体的な用量は、例えば、投与される化合物、投与経路、および処置される状態を含む、その症例を取り巻く特定の状況によって決定される。しかしながら、投与される有効量が、処置される状態、投与される化合物の選択、および選択された投与経路を含む関連状況を考慮して医師によって決定されるであろうこと、したがって、上記投薬量範囲は、本発明の範囲を限定することを何ら意図したものではないことは理解されるであろう。本発明の化合物の治療有効量は典型的には、生理学的に許容可能な賦形組成物中で投与された場合に、有効な全身濃度、または組織における局所濃度(「曝露」とも称される)を達成するために十分であるような量である。
用語「処置する」、「処置される」、「処置すること」、「寛解する」、「改善する」、または「促進する」は、本明細書で使用される場合、治療処置および予防または防止手段の両方を指し、その際、目的は、望ましくない生理学的状態、障害もしくは疾患を予防する、もしくは抑制する(軽減する)、または有利もしくは所望の臨床結果を得ることである。本発明の目的では、有利または所望の臨床結果には、これらだけに限定されないが、状態、障害または疾患の症状の緩和;状態、障害または疾患の規模の縮小;状態、障害または疾患の状況の安定化(すなわち、悪化させない);状態、障害または疾患の維持;状態、障害または疾患の発症の遅延または抑制;および検出可能または検出不可能であってもなくても、状態、障害または疾患の寛解(一部または全部であってもなくても)、または増強または改善が含まれる。寛解または促進には、過剰なレベルの副作用を伴うことなく、臨床的に有意な応答を誘発することが含まれる。
一般的に述べると、用語「組織」は、特定の機能の実行に結びついた同様に分化した細胞の何らかの凝集を指す。
疾患の処置法
本発明の様々な実施形態で、活性化脂肪酸の治療有効量を投与することによって、それを必要とする患者において疾患を処置する方法を記載する。
一部の実施形態では、処置されるべき疾患は、実質臓器線維症、炎症性疾患、心臓血管疾患、腎疾患、腎不全、虚血性腎損傷、急性腎損傷(AKI)、慢性腎損傷(CKI)、慢性腎臓病(CKD)、肥満関連慢性腎臓疾患、糖尿病性腎障害、腎臓線維症、原発性FSGSおよび続発性FSGSを含む巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、鎌状赤血球腎障害、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴う、および伴わない)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、肺動脈高血圧症(PAH)、肺線維症、アレルギー性気道疾患、肥満、抗脂肪生成病、II型糖尿病、鎌状赤血球症、鎌状赤血球クリーゼ、特発性肺線維症(IPF)、炎症性胃腸疾患、大腸炎、炎症性腸疾患、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、代謝症候群、神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病およびミトコンドリア関連疾患であってよい。
本発明の一部の好ましい実施形態では、疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)または肺動脈高血圧症(PAH)である。本発明の一部の好ましい実施形態では、疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。一部の好ましい実施形態では、FSGSは、原発性FSGSである。一部の実施形態では、FSGSは、続発性FSGSである。
上記の様々な実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、下限量および上限量の範囲内の1日用量または単回用量としてであってよい。一部の実施形態では、下限量は、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、または約425mgである。一部の実施形態では、上原料は、約450mg、約425mg、約400mg、約375mg、約350mg、約325mg、約300mg、約275mg、約250mg、約225mg、約200mg、約175mg、約150mg、約125mg、約100mg、約75mg、または約50mgである。一部の実施形態では、1日用量は、既に開示した範囲の上限と下限との間の範囲のいずれかであってよい。
例えば、その範囲は、約75mg〜約300mg、約100mg〜約400mg、約100mg〜約200mg、約100mg〜約300mg、約150mg〜約350mg、約25mg〜約75mg、または約225〜約450mgなどであってよい。一部の実施形態では、治療有効量の範囲の下限は、約25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mgまたは200mgから選択され得る。一部の実施形態では、治療有効量の範囲の上限は、約450mg、425mg、400mg、375mg、350mg、325mg、300mgまたは275mgから選択され得る。
一部の実施形態では、治療有効量は、約25mg〜約450mg、約25mg〜約425mg、約25mg〜約400mg、約25mg〜約375mg、約25mg〜約350mg、約25mg〜約325mg、約25mg〜約300mg、約25mg〜約275mg、約25mg〜約250mg、約25mg〜約225mg、約25mg〜約200mg、約25mg〜約175mg、または約25mg〜約150mgであり得る。一部の実施形態では、治療有効量は、約50mg〜約450mg、約75mg〜約450mg、約100mg〜約450mg、約150mg〜約450mg、約175mg〜約450mg、約200mg〜約450mg、約225mg〜約450mg、約250mg〜約450mgまたは約275mg〜約450mgであり得る。
本発明の一部の実施形態では、治療有効量は、約75mg〜約300mgである。本発明の一部の実施形態では、治療有効量は、約100mg〜約300mgである。本発明の一部の実施形態では、治療有効量は、約100mg〜約200mgである。本発明の一部の実施形態では、治療有効量は、約150mg〜約300mgである。本発明の一部の実施形態では、治療有効量は、約150mgである。一部の実施形態では、活性化脂肪酸を、約75mgの曝露に十分な量で1日2回投与する。一部の実施形態では、活性化脂肪酸を、約150mgの曝露に十分な量で1日1回投与する。
一部の実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、約75mg、150mgまたは300mgである。一部の実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mgまたは約300mgである。一部の実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mgまたは約300mgの曝露に十分な量である。
本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、約75mg〜約300mgである。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は約100mg〜約300 mgである。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は約100mg〜約200mgである。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は約150mg〜約300mgである。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は約150mgである。
一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mgまたは約300mgである。一部の実施形態では、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の治療有効量は、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mgまたは約300mgの曝露に十分な量である。
一部の実施形態では、上記のとおりの治療有効量を、1日1回投与してよい。一部の実施形態では、上記のとおりの治療有効量を、等量で1日2回投与してよい。一部の実施形態では、上記のとおりの治療有効量を、等量で1日3回投与してよい。一部の実施形態では、上記のとおりの治療有効量を、等量で1日4回投与してよい。
一部の実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、1日1回または1日複数回投与される単回用量としてである。例えば、上述の単回用量を、単回用量として1日2回、1日3回または1日4回投与してよい。
本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約75mg〜約300mgの曝露に十分な量である。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約100mg〜約300mgの曝露に十分な量である。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約100mg〜約200mgの曝露に十分な量である。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約150mg〜約300mgの曝露に十分な量である。本発明の一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約150mgの曝露に十分な量である。一部の実施形態では、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、約75mgの曝露に十分な量で1日2回投与される。
一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mgまたは約300mgである。一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日1回投与される約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、または約300mgの曝露に十分な量である。一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸であり、治療有効量は、1日2回投与される約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約155,約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約205mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、または約300mgの曝露に十分な量である。一部の実施形態では、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、約75mgの曝露に十分な量で1日2回投与される。一部の実施形態では、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、約150mgの曝露に十分な量で1日1回投与される。
また他の実施形態では、活性化脂肪酸の治療有効量は、処置の進行につれて変動し得る。例えば、1日用量(または投与計画)は、処置が投与サイクルによって進行するにつれて増加または減少し得るか、または1日投薬量は、投与を通じて増加または減少し得る。
本発明の活性化脂肪酸は、任意の従来の手法で、それらが活性である任意の経路によって投与することができる。投与は、全身または局所であってよい。例えば、投与は、これらだけに限定されないが、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経口、頬側、もしくは眼経路、または鼻腔内、膣内、吸入によって、デポー剤注射によって、または移植によってでよい。特定の実施形態では、活性化脂肪酸を経口投与する。特定の実施形態では、投与は、すべて、延長全身取り込み、組織半減期および細胞内送達に有利である安定化添加剤の存在下または非存在下で、非経口または静脈内であってよい。したがって、本発明の化合物のための投与様式(単独で、または他の医薬品と組み合わせて)は、注射可能であり得る(皮下または筋肉内注射される短時間作用性デポー、移植およびペレット形態を含む)。一部の実施形態では、活性化脂肪酸を含む注射用製剤は、例えば、関節鏡、血管形成、ステント留置、バイパス手術などによる外科的切開の部位または炎症の部位などの損傷または炎症の部位に堆積させることもできる。
ある種の他の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸を、処置を必要とする領域に直接塗布される軟膏剤またはローション剤として局所塗布してもよい。例えば、一部の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸を含むローション剤または軟膏剤を調製し、火傷、放射線性火傷、皮膚障害の部位、浮腫、関節炎の関節などに塗布してよい。
本発明の様々な実施形態はまた、活性化脂肪酸を投与するための方法を対象とする。投与の具体的な様式は様々であってよく、適応症に依存し得る。具体的な投与経路および用量レジメンの選択は、最適な臨床応答を得るために、臨床医によって、臨床医に公知の方法に従って調節または適正量決定され得る。投与される化合物の量は、治療上有効である量である。投与される投薬量は、処置を受ける対象の特徴、例えば、処置を受ける特定の動物、年齢、体重、健康、もしあるならば同時処置の種類、および処置頻度に依存するはずであり、当業者によって(例えば、臨床医によって)容易に決定され得る。当業者であれば、投薬量が、例えば、両方ともそれらの全体で参照によって本明細書に組み込まれるGoodman & Goldman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版(1996年)、付録II、1707〜1711頁から、またはGoodman & Goldman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版(2001年)、付録II、475〜493頁からのガイダンスで決定され得ることを認めるであろう。従来のプレニル化酵素阻害薬に関しては、ガイダンスを、例えば、その全体で参照によって本明細書に組み込まれるJ. E. Karpら、Blood、97巻(11号):3361〜3369頁(2001年)およびA. A. Adjeiら、Cancer Research、60巻:1871〜1877頁(20
00年)によって記載されているとおり、当技術分野において承認されている投薬量から得てもよい。
一部の実施形態では、上記のとおりの処置レジメンを、処置の第2の形態または第2の薬剤と組み合わせてもよい。
本明細書で使用される場合、「活性化脂肪酸」は、脂肪酸の飽和または不飽和脂肪族鎖の炭素に共有結合している少なくとも1個の電子吸引性基を有する脂肪酸を指す。そのような活性化脂肪酸は、炭化水素鎖上の任意の数の位置で、任意の数の電子吸引性基によって置換されていてもよく、そのような電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合と関係があってもよいし、または関係がなくてもよい。同様に、本明細書に記載の活性化脂肪酸は、電子吸引性基と関係があってもよいし、または関係がなくてもよい任意の数の二重結合を含んでもよい。しかしながら、本発明の様々な実施形態では、活性化脂肪酸の少なくとも1つの二重結合は、電子吸引性基と関係があってもよい。このような実施形態では、電子吸引性基は、二重結合のシスもしくはトランス配置に、またはspキラル/不斉中心でRもしくはS絶対立体化学のいずれかに位置していてもよい。例えば、一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、1つの電子吸引性基を有してもよく、他の実施形態では、活性化脂肪酸は、炭化水素鎖に沿った複数の位置で、複数の電子吸引性基で置換されていてもよい。
用語「電子吸引性基」は、当技術分野で認識されており、隣接原子から価電子を引き付ける置換基の傾向を示し、すなわち、その置換基は、隣接原子に対して電気陰性である。電子吸引能のレベルの定量化は、ハメット・シグマ(σ)定数によって与えられる(例えば、J. March、Advanced Organic Chemistry、McGraw Hill Book Company、New York、(1977年版)、251〜259頁を参照されたい)。ハメット定数値は一般に
、電子供与性基では負であり、電子吸引性基では正である。例えば、パラ置換されたNHでのハメット定数(σ[P])は、約−0.7であり、パラ置換されたニトロ基でのσ[P]は、約0.8である。本発明の実施形態は、任意の公知の電子吸引性基を含む。例えば、電子吸引性基には、これらだけに限定されないが、ホルミル(−COH)、アシル(−COR)、カルボニル(−CO)、カルボキシル(−COOH)、カルボキシレート(−COOR)、ハロ(−Cl、−F、−Brなど)、フルオロメチル(−CF)、シアノ(−CN)、スルフィニル(−SO)、スルホニル(−SOR)、スルホン酸(−SOH)、第1級、第2級および第3級アンモニウム(−NR )、およびニトロ(−NO)が含まれ得、各Rは独立に、水素、メチル、またはC〜Cアルキル、アルケニル、またはアルキニルであってよい。一部の実施形態では、電子吸引性基は、少なくとも約0.2のσを有する強力な電子吸引性基であってよく、特定の実施形態では、電子吸引性基は、双極子を形成し得る。例えば、特定の実施形態では、電子吸引性基は、ニトロ、アンモニウムまたはスルホニルであってよい。他の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸は追加的に、例えば、ヒドロキシル(−OH)、カルボアルコキシ(−OOCR)、アルキル、アルケニル、アルキニル、第1級および第2級アミン(−NR)、ニトレート(−ONO)、ニトリト(−ONO)などを含む非電子吸引性基または電子供与性基によって置換されていてもよい。
実施形態の活性化脂肪酸は、当技術分野で公知の任意の不飽和および多価不飽和脂肪酸であってよい。用語「脂肪酸」は、脂肪族モノカルボン酸を表す。様々な実施形態には、同定されている天然に存在する脂肪酸と同一または類似の脂肪族炭化水素鎖を有する活性化脂肪酸が含まれる。例えば、公知の天然に存在する活性化脂肪酸の脂肪族炭化水素鎖は一般に、非分岐であり、約4〜約24の偶数個の炭素を含有し、他は、脂肪族炭化水素鎖中に12〜18個の炭素を有する脂肪酸が含まれる。さらに他の実施形態では、活性化脂肪酸は、脂肪族炭化水素鎖中に24個よりも多い炭素を有してもよい。本発明の実施形態は、そのような天然に存在する活性化脂肪酸、さらには、奇数個の炭素および/または天然に存在しないリンカーを含有してもよい天然に存在しない活性化脂肪酸を含む。したがって、本発明の一部の実施形態は、例えば、5〜23個の炭素、および他の実施形態では、11〜17個の炭素からなる奇数個の炭素を有する活性化脂肪酸を含む。また他の実施形態では、実施形態の活性化脂肪酸は、23個よりも多い炭素を有してもよい。本発明の天然に存在する、および天然に存在しない活性化脂肪酸はまた、炭化水素鎖に沿った1つまたは複数の位置で、分岐していてもよく、様々な実施形態では、各分岐は、1〜24個の炭素、2〜20個の炭素、または4〜18個の炭素からなる脂肪族炭化水素鎖を含んでもよく、各分岐は、偶数個または奇数個の炭素を有してよい。
様々な実施形態の活性化脂肪酸の脂肪族炭化水素鎖は、不飽和または多価不飽和であってよい。用語「不飽和」は、鎖中に、または置換基上に、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族炭化水素鎖を有する脂肪酸を指す。対照的に、「飽和」炭化水素鎖は、いずれの二重結合または二重結合置換基も含まない。したがって、炭化水素鎖の各炭素は、「飽和」しており、最大数の水素を有する。「多価不飽和」は一般に、1つよりも多い二重結合を含む炭化水素鎖を有する脂肪酸を指す。様々な実施形態の不飽和または多価不飽和脂肪酸の二重結合は、脂肪族炭化水素鎖に沿った任意の位置にあってよく、シスまたはトランス配置のいずれかであってよい。用語「シス」は、二重結合に隣接する炭素が同じ側にある二重結合を指し、用語「トランス」は、二重結合に隣接する炭素が反対側にある二重結合を指す。典型的には、「シス」はZと同じであり、「トランス」はEと同じであるが、ただし、化合物を命名するためのIUPAC規則がこの反対を与えることもあり、ニトロアルケンが典型的なケースである。例えば、ニトロアルケンは、2個の炭素基「シス」を有し得るが、化合物の命名で優先する2個の基(アルケンの一方の炭素上のニトロ基およびアルケンの他方の炭素上の炭素基)は、反対側にあるので、Eである。したがって、「シス」二重結合のニトロアルケン類似体は実際には、Eニトロアルケンである。同様に、「トランス」二重結合のニトロアルケン類似体は実際には、Zニトロアルケンである。理論に拘束されることは望まないが、炭素鎖に沿ったシス配置における二重結合(シス炭素鎖、ただし、Eニトロアルケン)は、炭化水素鎖の曲がりを誘導し得る。炭素鎖に沿った「トランス」配置における二重結合(トランス炭素鎖、ただし、Zニトロアルケン)は、炭化水素鎖を曲げることはない。本発明の実施形態は、シスまたはトランス配置のいずれかで二重結合を有する活性化脂肪酸を含んでよく、活性化脂肪酸および活性化脂肪酸の位置異性体を含むシスおよびトランスの組合せを含んでよい組成物を含む。
多くの不飽和および多価不飽和脂肪酸が同定されており、天然に存在することが公知である。そのような天然に存在する不飽和または多価不飽和の脂肪酸は一般に、偶数個の炭素をそれらの脂肪族炭化水素鎖中に含む。例えば、天然に存在する不飽和または多価不飽和脂肪酸は、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22個などの炭素を有してよく、オメガ(ω)−3、ω−5、ω−6、ω−7、ω−9脂肪酸などを含んでよい。いずれのそのような活性化脂肪酸も、本発明の実施形態において有用であり得る。記号「ω」は、脂肪族炭化水素鎖の末端メチル炭素を指すために使用される。ω−X脂肪酸の二重結合の配置は、ω炭素から炭素数Xの炭素−炭素結合である。例えば、ω−6脂肪酸は、ω炭素から6番目および7番目の炭素の間に二重結合を有し、ω−3脂肪酸は、ω炭素から3番目および4番目の炭素の間に二重結合を有する。本発明の様々な実施形態は、これらだけに限定されないが、リノレン酸、アルファ−リノレン酸、エイコサペンタン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびステアリドン酸のニトロ化形態を含むニトロ化ω−3脂肪酸;これらだけに限定されないが、ミリストレイン酸のニトロ化形態を含むニトロ化ω−5脂肪酸;これらだけに限定されないが、リノール酸、ガンマ−リノール酸、ジホモ−ガンマ−リノール酸およびアラキドン酸のニトロ化形態を含む、ニトロ化ω−6脂肪酸;これらだけに限定されないが、ニトロ化パルミトレイン酸を含むニトロ化ω−7脂肪酸;ならびにこれらだけに限定されないが、ニトロ化オレイン酸およびエルカ酸を含むニトロ化ω−9脂肪酸を含む。別法では、本発明の活性化脂肪酸は、二重結合の配置がカルボン酸の炭素から計数することによって決定されるIUPAC命名法を使用して呼ばれることもあり、「CX」は、IUPAC命名法を使用すると、脂肪族炭化水素中の炭素数を示し、Xは、カルボン酸からの炭素原子の数である。本発明の実施形態は、天然に存在する脂肪酸およびその誘導体の合成同等物も含む。
本発明の活性化脂肪酸は、カルボキシ末端炭素と末端メチルとの間の脂肪族炭化水素鎖に沿った任意の炭素に配置された電子吸引性基を有し得る。一部の実施形態では、電子吸引性基は、カルボキシ末端炭素から約1個の炭素内に、および末端メチルから約1個の炭素内に位置していてもよい。他の実施形態では、電子吸引性基は、カルボキシ末端炭素および/またはメチル末端炭素から約3個の炭素内に位置していてもよく、さらに他の実施形態では、電子吸引性基は、カルボキシ末端炭素および/またはメチル末端炭素から5個の炭素内に位置していてもよい。
特定の実施形態では、電子吸引性基は、活性化脂肪酸の二重結合に直接結合している炭素上に位置して「電子吸引性アルケニル」基を形成していてもよい。そのようなアルケニル基の電子吸引性基は、二重結合のいずれの側にあってもよい。本発明の実施形態に含まれる活性化脂肪酸は、1個または1個より多い電子吸引性アルケニル基を脂肪族炭化水素鎖上の任意の炭素に有してもよい。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、1個の電子吸引性基を有し得る。例えば、18炭素の、第6炭素(C−13)と第7炭素(C−12)との間に1つの二重結合を有するω−6脂肪酸である活性化オレイン酸(オクタデカ(ocatadecac)−9−エン酸)(「18:1」と示される)は、C−13またはC−12のいずれかに電子吸引性基を有してもよい。別の例示的な実施形態では、18炭素の、第6炭素(C−13)と第7炭素(C−12)との間、ならびに第9炭素(C−10)と第10炭素(C−9)との間に2つの二重結合を有するω−6脂肪酸である活性化リノール酸(オクタデカ(octadeac)−9,12,−ジエン酸)(「18:2」と示される)は、C−9またはC−10またはC−12またはC−13に電子吸引性基を有してもよい。同様に、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれよりも多い二重結合を有する他の多価不飽和脂肪酸は、位置および電子吸引性基のすべての可能な順列を含めて、すべての二重結合炭素上のいずれかの位置に1つの電子吸引を有し得る。
他の実施形態では、モノまたは多価不飽和脂肪酸は、2個の電子吸引性基を有してもよい。例えば、一実施形態では、18炭素の、第6炭素(C−13)と第7炭素(C−12)との間に1つの二重結合を有するω−6脂肪酸である活性化オレイン酸(オクタデカ−9−エン酸)(「18:1」と示される)は、C−13およびC−12の両方に電子吸引性基を有してもよい。別の例示的な実施形態では、18炭素の、第6炭素(C−13)と第7炭素(C−12)との間に、および第9炭素(C−10)と第10炭素(C−9)との間に2つの二重結合を有するω−6脂肪酸である活性化リノール酸(オクタデカ−9,12,−ジエン酸)(「18:2」と示される)は、C−9、C−10、C−12またはC−13位の任意の2つのところに、次の可能な順列で電子吸引性基を有してもよい:C−9およびC−10、C−9およびC−12、C−9およびC−13、C−10およびC−12、C−10およびC−13、またはC−12およびC−13。
1個の電子吸引性基または2個の電子吸引性基を有する前述の化合物と同様に、3、4、5個、またはそれよりも多い電子吸引性基を有することも可能である。上記と同じ論理に従って、1個の電子吸引性基または2個の電子吸引性基を有する前述の化合物では、3、4、5、6またはそれよりも多い二重結合を有する多価不飽和脂肪酸は、位置および電子吸引性基のすべての可能な順列を含めて、複数(置換に利用可能な位置に応じて3、4、5、またはそれよりも多く)の電子吸引性を、いずれかの二重結合炭素上のいずれの位置にも有し得る。加えて、上記のものなどのいずれの実施形態でも、任意の数の非電子吸引性基は、活性化脂肪酸の脂肪族鎖の炭素に共有結合していてもよい。例えば、一部の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸は、活性化脂肪酸の脂肪族鎖の1個または複数の炭素に共有結合している1個または複数のメチル、C〜Cアルキル、アルケニル、またはアルキニルまたはアミノを含んでもよい。
本発明の他の実施形態は、例えば、5、7、9、11、13、15、17、19、20、21個などの基数個の炭素を有してもよい天然に存在しない不飽和または多価不飽和の活性化脂肪酸を含む。天然に存在する脂肪酸においてのように、天然に存在しない脂肪酸と関係がある1つまたは複数の二重結合は、脂肪族炭化水素鎖に沿った任意の位置にあってよく、二重結合は、シスまたはトランス配置のいずれであってもよい。また他の実施形態では、天然に存在しない活性化脂肪酸は、脂肪族炭化水素鎖を中断する1個または複数のリンカー基を含んでもよい。リンカーには、これらだけに限定されないが、脂肪族炭化水素鎖内の任意の位置のカルボキシル、酸素、アルケニルオキシ、アミノ、イミノなどが含まれる。
本発明の様々な実施形態は、脂肪酸の脂肪族鎖の任意の2個の炭素の間に炭素−炭素二重結合を有し得る不飽和または多価不飽和活性化脂肪酸を含み、任意の数の炭素−炭素二重結合がそのような多価不飽和脂肪酸中に存在してもよい。例えば、一部の実施形態では、多価不飽和活性化脂肪酸は、2、3、4、5、6個またはそれよりも多い炭素−炭素二重結合を有してもよい。このような実施形態では、1つより多い炭素−炭素二重結合のそれぞれは個々に、シスまたはトランス配置のいずれであってもよい。一部の実施形態では、多価不飽和活性化脂肪酸の炭素−炭素二重結合の少なくとも1つが、関連電子吸引性基を有してもよく、他の実施形態では、そのような多価不飽和活性化脂肪酸の炭素−炭素二重結合のうちの1つより多くが、関連電子吸引性基を有してもよい。加えて、このような実施形態では、電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合の炭素、または炭素−炭素二重結合のいずれかの炭素に直接隣接する炭素と関係があってよい。例えば、一部の実施形態では、電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合のアルファ(α)炭素に結合していてもよく、他の実施形態では、電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合のベータ(β)炭素に結合していてもよい。さらに他の実施形態では、電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合のガンマ(γ)炭素に結合していてもよいし、または電子吸引性基は、炭素−炭素二重結合に結合していてもよい。多価不飽和活性化脂肪酸が脂肪族鎖に沿った2個またはそれよりも多い炭素−炭素二重結合を含み、電子吸引性基が、その2つもしくはそれよりも多い炭素−炭素二重結合のいずれか、または2つもしくはそれよりも多い炭素−炭素二重結合のそれぞれと関係がある実施形態では、各電子吸引性基は、それぞれ個々の炭素−炭素二重結合と関係がある任意の炭素に結合していてもよい。例えば、一部の実施形態では、電子吸引性基は、二重結合のそれぞれと関係があってよく、その電子基は、各二重結合のアルファ(α)炭素、ベータ(β)炭素またはガンマ(γ)炭素のいずれかに結合している。他の実施形態では、二重結合の一部は、結合した電子吸引性基を有することができ、二重結合の一部は、結合した電子吸引性基を有することはなく、結合した電子吸引性基を有する二重結合は、各二重結合のアルファ(α)炭素、ベータ(β)炭素またはガンマ(γ)炭素に結合している電子吸引性基を有することができる。
特定の実施形態では、少なくとも1個の電子吸引性基を有する不飽和活性化脂肪酸は、共役脂肪酸であってもよい。このような実施形態では、脂肪族鎖中の2つの炭素−炭素二重結合は、それらの間にメチレン基が存在しないように相互に隣接している。そのような共役化合物は一般に、1,3−ジエン、または共役脂肪酸と呼ばれる。そのような1,3−ジエンは、6つの位置、すなわち、1,3−ジエンの1、2、3、および/または4位、ならびにジエンに隣接する2個の炭素(1,3−ジエン中の炭素を特定する1、2、3、4法に関連すると、0および5位)のいずれにも1個または複数の電子吸引性基を含んでもよい。例えば、1個の関連電子吸引性基は、上記で同定した6つの位置のいずれかに、すなわち、ジエン上の1、2、3、もしくは4位のいずれか、または1,3−ジエンに隣接する炭素のいずれか(上記のとおり、0または5位)に結合していてよい。追加の実施形態では、2つの関連電子吸引性基は、6つの可能な位置のうちのいずれの2つにも結合していてもよく、3つの関連電子吸引性基は、6つの可能な位置のうちのいずれの2つにも結合していてもよく、4つの関連電子吸引性基は、6つの可能な位置のうちのいずれの2つにも結合していてもよく、5つの関連電子吸引性基は、6つの可能な位置のうちのいずれの2つにも結合していてもよく、6つの関連電子吸引性基は、6つの可能な位置のうちのいずれの2つにも結合していてもよいであろう。まとめると、1,3−ジエン中の上記の6つの位置のいずれかに結合している電子吸引性基のいずれの配置も、本発明の実施形態に含まれる。
特定の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸は、二重結合のシス/トランス配置、炭素鎖中の二重結合の位置のいずれか、またはその両方が変化し得るように、調製後に異性化されてもよい。例えば、一部の実施形態では、炭素−炭素二重結合のガンマ炭素に結合している電子吸引性基を有する炭素−炭素二重結合を有する活性化脂肪酸を調製し得る。調製後に、炭素−炭素二重結合が異性化されて、異性化の後には、電子吸引性基が炭素−炭素二重結合と共役しているようになることがある。そのような異性化は、調製後の任意の時点で自発的に生じてよく、初めは活性化脂肪酸の単一の種を含むように調製されたかもしれないが、それが後で、元々生成された第1の調製活性化脂肪酸の異性体の組合せを含む組成物をもたらし得る。他の実施形態では、炭素−炭素二重結合のガンマ炭素に結合している電子吸引性基を有する活性化脂肪酸を調製してもよく、この炭素−炭素二重結合は投与後に異性化されて、炭素−炭素二重結合と共役した電子吸引性基を有する活性化脂肪酸が生成され得ることとなる。
さらに他の実施形態では、活性化脂肪酸のカルボキシ末端を修飾していてもよい。例えば、一部の実施形態では、活性化脂肪酸は、活性化脂肪酸のカルボキシ末端と関係があるグリセロールを含んで、グリセロ脂質を生じさせていてもよく、そのようなグリセロ脂質は、モノ−、ジ−、またはトリ−グリセリドであってよく、ジ−またはトリ−グリセリドの脂肪酸のうちの少なくとも1つは、活性化脂肪酸であってよく、残りの脂肪酸はいずれも、飽和または不飽和脂肪酸であってよい。同様に、他の実施形態では、炭水化物は、活性化脂肪酸のカルボキシ末端と関係があって、糖脂質を形成していてもよい。このような実施形態では、当技術分野で公知のいずれの炭水化物も、糖脂質の炭水化物部分であってよく、これらだけに限定されないが、ガラクトースおよびグルコースが含まれる。また他の実施形態では、炭水化物は、活性化脂肪酸のカルボキシ末端と関係があるグリセリドと関係があって、グリセロ−糖脂質のグリセロ−部分と関係がある1つまたは2つの活性化脂肪酸を有してもよいグリセロ−糖脂質を形成していてもよく、1つのみの活性化脂肪酸がグリセロ−糖脂質と関係がある実施形態では、グリセロール上の残りの位置は、飽和もしくは不飽和脂肪酸または水素、アルキル、または例えば、ヒドロキシル(アルコールを形成)、アミノ(アミンを形成)、ホスホノオキシル(ホスフェートを形成)、ホスホノ(ホスホン酸を形成)、チオ(チオールを形成)、スルホ(スルホン酸(sulfoic acid
)を形成)などの官能基などを含んでもよい。特定の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸のカルボキシ末端は、ホスフェートと関係があって、リン脂質を形成していてもよい。このような実施形態では、ホスフェートは、カルボキシ末端を介して脂肪酸と直接関係があってもよいか、またはホスフェートは、1つまたは2つの活性化脂肪酸がグリセロール部分に結合しているジ−グリセリドと関係があってもよく、1つの活性化脂肪酸だけがグリセロールに結合している実施形態では、グリセロール上の残りの位置は、飽和もしくは不飽和脂肪酸または水素、アルキル、または例えば、ヒドロキシル(アルコールを形成)、アミノ(アミンを形成)、ホスホノオキシル(ホスフェートを形成)、ホスホノ(ホスホン酸を形成)、チオ(チオールを形成)、スルホ(スルホン酸を形成)などの官能基などを含んでもよい。さらなる実施形態では、活性化脂肪酸のカルボキシ末端は、コレステロールまたは他のステロール部分と関係があってもよい。また他の実施形態では、カルボキシ末端を、第2の活性薬剤の共有結合によって修飾してもよい。これらの特定の実施形態では、グリセロールを含む脂肪酸上のカルボキシ末端の修飾は、ニトロ基を含まなくてもよい。理論に拘束されることは望まないが、活性化脂肪酸のカルボキシ末端の修飾は、投与後の活性化脂肪酸の分配を増強し得、投与後のミトコンドリアにおけるベータ−酸化を阻害することによって、活性化脂肪酸の回復力も改善し得る。
例えば、本発明の実施形態は、一般式IおよびIIの化合物を含む:
Figure 2021183640

[式中、RおよびRは、水素、ならびにこれらだけに限定されないが、−COH、−COR、−CO、−COOH、−COOR、−Cl、−F、−Br、−I、−CF、−CN、−SO 、−SOR、−SOH、−NH 、−NH、−NHR 、−NR および−NO を含む電子吸引性基のいずれかから独立に選択され、RおよびRのうちの少なくとも1個は、電子吸引性基であり、Rは、C〜C10アルキルであり、mおよびnは独立に、1〜20である]。一部の実施形態は、一般式IIIの化合物を含む:
Figure 2021183640

[式中、R、R、mおよびnは、上記のとおりであり、RおよびRは、−H、−COH、−COR、−CO、−COOH、−COOR、−Cl、−F、−Br、−1、−CF、−CN、−SO 、−SOR、−SOH、−NH 、−NH、−NHR 、−NR3および−NO から独立に選択され、Rは、C〜C10アルキルであり、kおよびpは独立に、0〜5であり、xおよびyは独立に、0〜3であり、各二重結合は、シスまたはトランス配置にある]。さらに他の実施形態では、m、n、kまたはpと関係がある炭素はいずれも、置換されていてもよい。
上記の式に含まれる化合物には、これらだけに限定されないが、(E)−9−ニトロ−オクタデカ−9−エン酸、(E)−10−ニトロ−オクタデカ−9−エン酸、(E)−8−ニトロ−オクタデカ−9−エン酸、(E)−11−ニトロ−オクタデカ−9−エン酸、(E)−10−アセチルテトラデカ−9−エン酸、(E)−9−アセチルテトラデカ−9−エン酸、(E)−11−アセチルテトラデカ−9−エン酸、(E)−8−アセチルテトラデカ−9−エン酸、(E)−13−クロロ−ドコセン−13−エン酸、(E)−14−クロロ−ドコセン−13−エン酸、(E)−12−クロロ−ドコセン−13−エン酸、(E)−15−クロロ−ドコセン−13−エン酸、(E)−10−メチルスルホニルヘキサデカ−9−エン酸、(E)−9−メチルスルホニルヘキサデカ−9−エン酸、(E)−11−メチルスルホニルヘキサデカ−9−エン酸、および(E)−8−メチルスルホニルヘキサデカ−9−エン酸が含まれる。他の実施形態には、そのような化合物のZ−異性体が含まれる。さらなる実施形態には、例えば、(E)−9−ニトロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−10−ニトロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−8−ニトロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−11−ニトロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−10−アセチルヘプタデカ−9−エン酸、(E)−9−アセチルヘプタデカ−9−エン酸、(E)−11−アセチルオクタヘプタ−9−エン酸、(E)−8−アセチルヘプタデカ−9−エン酸、(E)−10−クロロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−9−クロロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−11−クロロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−8−クロロ−ペンタデカ−9−エン酸、(E)−10−メチルスルホニルノナデカ−9−エン酸、(E)−9−メチルスルホニルノナデカ−9−エン酸、(E)−11−メチルスルホニルノナデカ−9−エン酸、(E)−8−メチルスルホニルノナデカ−9−エン酸、およびそれらの(Z)−異性体が含まれる。また他の実施形態には、例えば、(E)−9−ニトロ−エイコサ−11,14−イエン酸、(E)−10−ニトロ−エイコサ−8,13−イエン酸、(E)−8−ニトロ−エイコサ−11,14−イエン酸、(E)−11−ニトロ−エイコサ−8,13−イエン酸、(E)−10−アセチルノナデカ−10,13−イエン酸、(E)−9−アセチルノナデカ−9,12−エン酸、(E)−11−アセチルノナデカ−10,13−イエン酸、(E)−8−アセチルノナデカ−9,12−エン酸、(E)−10−クロロ−ヘプタデカ−9,11−イエン酸、(E)−9−クロロ−ヘプタデカ(hetpadec)−10,12−イエン酸、(E)−11−クロロ−ヘプタデカ−9,11−イエン酸、(E)−8−クロロ−ヘプタデカ−10,11−イエン酸、(E)−10−メチルスルホニルペンタデカ−9,11−イエン酸、(E)−9−メチルスルホニルペンタデカ−8,9−イエン酸、(E)−11−メチルスルホニルペンタデカ−9,10−イエン酸、および(E)−8−メチルスルホニルペンタデカ−8,9−イエン酸、およびそれらの(Z)−異性体が含まれる。上記のリストによって示されるとおり、脂肪族鎖に沿った任意の位置にある任意の数の炭素−炭素二重結合を有する任意の長さの活性化脂肪酸を調製することができ、それらは、本発明に含まれる。
活性化脂肪酸には、式IVによって定義されるものなどのケト脂肪酸も含まれる。
Figure 2021183640
[式中、Xは、−CH−、−OH、−S、−ORおよび−NRからなる群から選択され;Yは、−C(O)−、O、−S−、および−NRであり;Wは、−OH、−H、=S、−SR、−C(O)H、−C(O)、−C(O)R、−COOH、−COOR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF、−CN、−SO、−SO、−SOH、−NH 、−NHRP、−NR、NO、=O、=NRP、=CF、および=CHFであり、Vは、Wが−OH、−H、−C(O)H、−C(O)、−C(O)R、−COOH、−COOR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF、−CN、−SO、−SO、−SOH、−NH 、−NHP+、−NRおよびNOである場合には、−CH−であり、Vは、Wが=O、=NR、=CF、および=CHFである場合には、−C−である]。
式IVでは、a、b、c、d、e、およびfはそれぞれ独立に、0〜15の整数であってよい。一部の実施形態では、cが0である場合、dは0ではない。別法では、一部の実施形態では、dが0である場合、cは、0ではない。したがって、本発明の様々な実施形態では、式IVの活性化脂肪酸は、少なくとも1つのcまたは少なくとも1つのdを有してよい。特定の実施形態では、aおよびfは、2〜15、3〜10、5〜9、またはこれらの例示的な範囲に含まれる任意の範囲もしくは個別の整数であってよい。一部の実施形態では、bおよびeは、それぞれ個別に、1〜5であってよく、一部の実施形態では、bおよびeはそれぞれ個別に、2または3であってよい。
一部の実施形態では、置換基R、RおよびRは、H、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)ハロアルキルから独立に選択される。一部の実施形態では、置換基R、R’、R、Rb’、R、R’はそれぞれ独立に、−H、−OH、−C(O)H、−C(O)、−C(O)R、−COOH、−COOR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF、−CHF、−CHF、−CN、−SO、−SO、−SOH、−−NH 、−NHP+、−NRおよびNOである。加えて、一部の実施形態では、RおよびRa’は、非水素基を同時に表すことはなく;RおよびRb’は、非水素基を同時に表すことはなく;同様に、RおよびRc’は、非水素基を同時に表すことはない。
式IVでは、任意選択の二重結合は、
Figure 2021183640

によって示されるが、
Figure 2021183640

は、存在する場合、XおよびYならびにそれらが結合している炭素原子と一緒に、5員から6員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を表す。
さらなる実施形態には、式V〜VIIIの化合物が含まれる:
Figure 2021183640

式V〜VIIIのそれぞれで、各Rおよび各Rは、−H、−COH、−COR、−CO、−COOH、−COOR、−Cl、−F、−Br、−1、−CF、−CN、−SO 、−SOR、−SOH、−NH 、−NH、−NHR 、−NR3および−NO から独立に選択されてよく;m、n、k、およびpは独立に、0〜5であり;xおよびyは独立に、0〜3であり;Wは、=O、=NR、=CF、および=CHFであり;Rは、C〜C10アルキルであり;各二重結合は、シスまたはトランス配置のいずれかにある。さらに他の実施形態では、m、n、p、またはkと関係があるいずれの炭素も、置換されていてよい。
特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、13−オキソ−(7Z,10Z,14A,16Z,19Z)−ドコサ−7,10,14,16,19−ペンタン酸、17−オキソ−(7Z,10Z,13Z,15A,19Z)−ドコサ−7,10,13,15,19−ペンタン酸(pentanoeic acid)、13−OH(7Z,10Z,14A,16Z,19Z)−ドコサ−7,10,14,16,’19−ペンタン酸、17−OH(7Z,10Z,13Z,15A,19Z)−ドコサ−7,10,13,15,19−ペンタン酸、13−オキソ−(4Z,7Z,10Z,14A,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,14,16,19−ヘキサン酸、17−オキソ−(4Z,7Z,10Z,13Z,15A,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,15,19−ヘキサン酸、13−OH−(4Z,7Z,10Z,14A,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,14,16,19−ヘキサン酸または17−OH−(4Z,7Z,10Z,13Z,15A,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,15,19−ヘキサン酸であり得、Aは、EまたはZ配置のいずれかを示す。
本明細書に記載の特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、ニトロ脂肪酸である。本明細書に記載の特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、OA−NOとも称されるニトロオレイン酸である。本明細書に記載の特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、次の構造を有する、CXA−10および10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸としても公知の10−ニトロ−オレイン酸である:
Figure 2021183640
特定の実施形態では、上記の活性化脂肪酸は、例えば、糖、コレステロール、ホスフェート、スフィンゴ塩基などの、活性化脂肪酸のカルボキシル末端と関係がある様々な部分を含んでよい。したがって、本明細書に記載の実施形態の活性化脂肪酸は、例えば、上記の活性化脂肪酸の糖脂質、グリセロ脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびコレステロールエステル誘導体を含んでよい。他の実施形態では、活性化脂肪酸のカルボキシル末端は、例えば、複素環式(heterocylic)環を含むように修飾されていてもよい。
様々な実施形態の活性化脂肪酸は、当技術分野で公知の任意の方法によって調製してよい。例えば、一実施形態では、活性化脂肪酸は、不飽和脂肪酸を水銀塩およびセレン化合物と接触させて、第1の中間体を形成すること;第1の中間体を、電子吸引性基を導入することができる試薬または反応物と接触させて、第2の中間体を形成すること;および第2の中間体を酸化剤と接触させることによって調製してよい。
何らかの理論に束縛されることは望まないが、例えば、PhSeBr、PhSeCl、PhSeOCCF、PhSeOH、PhSeCNなどのセレン化合物は、下記の反応のステップIにおいて示されるような、例えば、HgCl、Hg(NO、Hg(OAc)などの水銀塩によって促進され得る反応で、不飽和脂肪酸の1つまたは複数の炭素−炭素二重結合と反応して、3員の環中間体を脂肪酸上に形成し得る:
Figure 2021183640
電子吸引性基の源は、例えば、NaNO、AgNO、HSOOHなどの、活性化脂肪酸に組み込むことができる電子吸引性基を生成し得る当技術分野で公知の任意の化合物であってもよい。理論に束縛されることは望まないが、電子吸引性基(上記反応スキーム中のX)は、例えば、上記に提示した反応スキームのステップIIにおいて示したように、セレン化合物に付随していた臭素と置き換えることによって、炭化水素鎖と結合し得る。電子吸引性基はまた、臭素が攻撃中として示されている位置で、ステップIに示されている3員の環エピセレノニウムイオンと直接反応し得ることが特筆される。最後に、上記に提示されている反応スキームのステップIIIにおいて示されているとおり、酸化剤が、反応性セレン−オキソ官能基を形成し、これが、分子再配列およびZSeOHの脱離を受けて、炭化水素鎖上に電子吸引性アルケニル(ニトロアルケニルとして図示)の形成をもたらす。上記の反応スキーム中のZは、任意の数の基であってよい。例えば、特定の実施形態では、Zは、フェニル基であってよい。
他の実施形態では、活性化脂肪酸を、ヘンリー反応などの改変アルドール縮合を使用して調製してよい。ヘンリー反応およびヘンリー方法に関連する方法の概説は、例えば、Frederick A. Luzzio, F. A.、「The Henry reaction: recent examples」、Tetrahedron 2001年、57巻、915〜945頁において見出すことができ、これは、その全体で参照によって本明細書に組み込まれる。ヘンリー反応の公知の変形形態も、活性化脂肪酸を調製する際に有用であり得、そのような方法はすべて、本明細書において例示される。例えば、一部の実施形態では、ヘンリー反応の変形形態には、これらだけに限定されないが、ヘンリー反応のウィティッヒ様変形形態、ヘンリー反応のホーナー−ワズワース−エモンズ変形形態、およびヘンリー反応のピーターソン−オレフィン化変形形態が含まれる。そのような方法では、二重結合を、反応物中に一時的に含まれるが、生成物中には含まれない基の助力を使用して形成する。例えば、ウィティッヒ反応は、カルボニルとの縮合反応、および脱水反応を助けるリンイリドを使用して、アルケンを形成する。縮合および脱水ステップのために、ホーナー−ワズワース−エモンズ反応はホスホン酸エステルを使用し、ピーターソンオレフィン化はケイ素試薬を使用する。ウィティッヒ反応、ホーナー−ウィティッヒ、ホーナー−ワズワース−エモンズを含む、官能化試薬をカルボニル化合物と反応させることによる主なアルケン形成人名反応の概説は、例えば、Peterson, Johnson, and Julia reactions. Blakemore, P. R.、「The modified Julia olefination: alkene synthesis via the condensation of metallated heteroarylalkylsulfones with carbonyl compounds J Chern. Soc.、Perkin Trans. 1巻、2002年、2563〜2585頁において見出すことができ、これは、そ
の全体で参照によって本明細書に組み込まれる。
ヘンリー「ニトロ−アルドール」反応は、新たに形成したベータ−ヒドロキシニトロアルキル基を有するニトロ−アルド生成物を形成するための、ニトロアルカンと、アルデヒドまたはケトンカルボニル含有化合物のいずれかとの縮合である。ニトロ−アルドール生成物からの脱水(水の消失)は、ニトロアルケンの形成をもたらす。ニトロ−アルドールを作製するためにニトロアルカン−カルボニル縮合反応を行う多くの方法が存在し、ニトロアルケンを形成する脱水反応のための多くの方法が存在する。そのような方法の例は、例えば、Woodcock, S. R.; Marwitz, A. J. V. Bruno, P.; Branchaud, B. P.、「Synthesis of Nitrolipids. All Four Possible Diastereomers of Nitrooleic Acids: (E)- and (Z)-, 9- and 10-Nitro-octadec-9-enoic Acids」、Organic Letters、2006年、8巻、3931〜3934頁において見出すことができ、これは、1つの位置異性体、通常は2つの可能なアルケンシス/トランスまたはZ/Eジアステレオマーの一方を高純度で、通常は高化学的収率でもたらし、その全体で参照によって本明細書に組み込まれる。
エナンチオ選択的ヘンリー反応も可能であり、この反応には1つまたは複数の触媒の使用が必要となることがあり、本発明の実施形態は、ニトロアルケンの立体特異的異性体を調製するためにそのような方法の使用を含む。例えば、その全体で参照によって本明細書に組み込まれるBoruwa, J.; Gogoi, N.; Saikia,P.P.;およびBarua, N. C.、「Catalytic Asymmetric Henry Reaction」、Tetrahedron: Asymmetry 2006年、17巻、3315〜3326頁は、ニトロアルケン(nitoralkenes)の立体特異的異性体を調製するための方法を記載している。
さらに他の実施形態では、アルケン(オレフィン)を、カルボニル化合物上で縮合させることによる金属媒介クロスカップリング反応(2つの分子を結合して、1つの新たな分子を作製する)によって調製してもよい。そのような方法は、ニトロアルケンの形成に、または電子吸引性置換基を有する他のアルケンの形成には適用されていないが、そのような方法は、電子吸引性置換基を有するアルケンの合成に適応させることができるであろう。例えば、ヘック、スズキおよびスティルカップリングなどの人名クロスカップリング反応を、他の反応と共に使用して、活性化脂肪酸を調製してもよい。そのような方法は、当技術分野で周知である。そのような反応の概説は、例えば、Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions de Meijere, Armin / Diederich, Francois (編) Wiley-VCH
、Weinheim 2004年。XXII頁、ISBN-10: 3-527-30518-1およびISBN-13: 978-3-527-30518-6において見出すことができ、これらはそれらの全体で、参照によって本明細書に組み込まれる。
活性化脂肪酸を調製するための方法の様々な実施形態の例は少なくとも:
i)塩基の存在下で、一方の末端に電子吸引性基を有する脂肪族炭化水素を少なくとも含む第1の構成成分を、一方の末端にアルデヒドを有する脂肪族炭化水素鎖を含む第2の構成成分と化合させて、第1の中間体を形成するステップと;
ii)第1の中間体からアルケンを生成するステップ
を含み得る。例示的な反応を下記のスキームIおよびIIに表す:
Figure 2021183640
反応スキームIおよびIIでは、変項Xは、電子吸引性基を表し、上記で論考したか、または当技術分野で公知の任意の電子吸引性基であってよい。変項nおよびmは、脂肪族炭化水素鎖中の炭素原子の数を表し、nおよびmは、任意の数であってよい。例えば、出発化合物のいずれかの脂肪族炭化水素鎖は、2〜20個の炭素長さであってよい。さらに、二重結合の位置および二重結合に対する電子吸引性基の配置を具体的に決定することができ、特定の活性化脂肪酸を高い収率で作製することができる。例えば、オレイン酸は、スキームIの反応によって、mが6である第1の基質およびnが6である第2の基質を化合させることによって生成し得る。
上記で示した方法を使用して、任意の活性化脂肪酸を生成し得、天然に存在する、および天然に存在しない類似体の両方を合成し得る。例えば、図19において示されている一般合成法において例示されているように、例示的なニトロ化脂肪酸の合成を提示することができる。
このような実施形態では、RおよびRは、任意の数の炭素を含んでよい。例えば、一実施形態では、偶数個の炭素(この場合には全部で20個の炭素)を有する天然に存在する脂肪酸は、RがCHCHであり、Rが、(CH15COであり、Rが、脂肪酸中に存在するカルボン酸官能基のための保護基である構成成分から調製し得る。同様に、奇数個の炭素(この場合には全部で19個の炭素)を有する天然に存在しない脂肪酸は、Rが、CHCHであり、Rが、(CH14COであり、Rが、脂肪酸中に存在するカルボン酸官能基のための保護基である構成成分から調製し得る。図19に図示されている方法は、異なるRおよびR基を組み込むことによって、偶数個または奇数個のいずれかの炭素を有する本質的に任意のニトロ化脂質の合成に適用することができる。例えば、RおよびRのそれぞれは、1〜20個の炭素を有する脂肪族または置換脂肪族炭素鎖であってよいが、任意の、より多い数の炭素も可能である。さらに、個々のRおよび/またはR基は、任意の数の炭素−炭素二重結合を含んでよく、これは、炭素−炭素二重結合のアルファ、ベータ、またはガンマ炭素に結合している関連電子吸引性基を含んでも、または含まなくてもよい。同様に、個々のRおよびR基は、分岐鎖を含んでもよい。このような実施形態では、Rおよび/またはRと関連する追加の炭素−炭素二重結合は、相互に共役していても、共役していなくても、もしくは部分的に共役していてもよいか、または反応の結果として作成された炭素−炭素二重結合と共役することとなる。上記で示したとおり、図19に図示した反応を連続的に実施して、関連電子吸引性基を有する1つより多い炭素−炭素二重結合を有する活性化脂肪酸を作成してもよい。このような実施形態では、一連の各反応での個々のRおよびR基は、1〜約12個の炭素であってよいが、任意の、より多い数の炭素も可能である。
一部の実施形態では、個々のRおよびR基は、反応を実施する前に、または図19に図示されている反応の後に存在する炭素−炭素二重結合と関係があってもよいし、または関係がなくてもよい二重結合以外の追加の官能基を含有してもよい。例えば、個々のRおよびR基には、これらだけに限定されないが、鎖中にアルキンを有する鎖の一部としてのアルキン、アルコール、アルデヒドカルボニル、ケトンカルボニル、カルボニルアルデヒドとケトンとの誘導体、例えば、オキシム、ヒドラゾンおよび当技術分野で公知の任意の他のカルボニル誘導体、アミン、アミンに結合した当技術分野で公知の他の基を有するアミン、チオール、チオールに結合した当技術分野で公知の他の基を有するチオール、当技術分野で公知のいずれの他の官能基(単純官能基としてまたはそれに結合した別の鎖もしくは基を有する官能基として)などの官能基が含まれ得る。そのような官能基は、直鎖または分岐鎖中の炭素に結合していてよい。理論に束縛されることは望まないが、特異的な細胞、または細胞内の標的を標的とし得るように、追加の官能基の付加は、実施形態の活性化脂肪酸の標的化および生物学的利用能を変更することがある。
また他の実施形態では、分子は、2つまたはそれよりも多い炭素鎖が非炭素基によって結合している1つより多い炭素鎖を含有してよく、一部の実施形態では、炭素鎖のそれぞれは、分岐または直鎖であってよい。例えば、特定の実施形態では、2つまたはそれよりも多い炭素鎖を結合することができる非炭素官能基には、これらだけに限定されないが、下記に列挙する化合物をもたらす、非常に一般的な官能基中のものが包含される(RおよびRは、炭素鎖である):
エーテルR−O−R
アミンR−NR−R、エステルR−C(=O)−O−R
アミドR−C(=O)−NR−R
チオエステルR−C(=O)−S−R
チオノエステルR−C(=S)−O−R
チオアミドR−C(=S)−NR−R
有機化合物中に見い出され、上に示した一般的な非炭素多価元素(酸素、窒素、および硫黄)に加えて、当技術分野で公知であり、任意の他の非炭素多価元素をベースとする他の官能基を本発明の実施形態で使用してもよい。様々な実施形態で、非炭素鎖がR、Rまたはその両方にある図19に示されている一般合成手法を使用して、上記の非炭素鎖のいずれも、活性化脂肪酸に組み込むことができるであろう。
医薬組成物
さらなる実施形態は、上述の疾患を処置するために有用な活性化脂肪酸を含む医薬組成物を対象とする。特定の実施形態では、そのような医薬組成物は、治療有効量の活性化脂肪酸、ならびに本発明ではまとめて「担体」物質と称される薬学的に許容される賦形剤、担体および/または希釈剤および/またはアジュバントおよび/または賦形剤を含有し得る。
用語「薬学的に許容される」は、その化合物が医薬製品中で使用するために適していることを意味するために本明細書において使用される。例えば、薬学的に許容される陽イオンには、金属イオンおよび有機イオンが含まれる。より好ましい金属イオンには、これらだけに限定されないが、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および他の生理学的に許容される金属イオンが含まれる。例示的なイオンには、それらの通常の原子価でのアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛が含まれる。好ましい有機イオンには、一部では、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインを含む、プロトン化第三級アミンおよび第四級アンモニウムカチオンが含まれる。例示的な薬学的に許容される酸には、限定ではないが、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸などが含まれる。
本発明の活性化脂肪酸の異性型および互変異性型、さらにはこれらの化合物の薬学的に許容される塩も、本発明に含まれる。例示的な薬学的に許容される塩は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製される。
本発明の活性化脂肪酸と関連して使用される適切な薬学的に許容される塩基付加塩には、金属イオン塩および有機イオン塩が含まれる。例示的な金属イオン塩には、これらだけに限定されないが、適切なアルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(Ila族)塩および他の生理学的に許容される金属イオンが含まれる。そのような塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛のイオンから作製され得る。好ましい有機塩は、一部では、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインを含む、第三級アミンおよび第四級アンモニウム塩から作製され得る。上記の塩はすべて、当業者によって、慣用の手段によって、本発明の対応する化合物から調製され得る。
一部の実施形態では、医薬組成物は、活性化脂肪酸約5mg〜約450mg、約10mg〜約450mg、約25mg〜約450mg、約25mg〜約425mg、約25mg〜約400mg、約25mg〜約375mg、約25mg〜約350mg、約25mg〜約325mg、約25mg〜約300mg、約25mg〜約275mg、約25mg〜約250mg、約25mg〜約225mg、約25mg〜約200mg、約25mg〜約175mg、または約25mg〜約150mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲を提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、約50mg〜約450mg、約75mg〜約450mg、約100mg〜約450mg、約150mg〜約450mg、約175mg〜約450mg、約200mg〜約450mg、約225mg〜約450mg、約250mg〜約450mg、約または約275mg〜約450mgの活性化脂肪酸を提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、約75mg〜約300mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約100mg〜約300mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約100mg〜約200mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約150mg〜約300mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約150mgを提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、約50mg、約75mg、約100mgまたは約150mgの活性化脂肪酸を提供するために十分な量の活性化脂肪酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、約5mg〜約450mg、約10mg〜約450mg、約25mg〜約450mg、約25mg〜約425mg、約25mg〜約400mg、約25mg〜約375mg、約25mg〜約350mg、約25mg〜約325mg、約25mg〜約300mg、約25mg〜約275mg、約25mg〜約250mg、約25mg〜約225mg、約25mg〜約200mg、約25mg〜約175mg、または約25mg〜約150mgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲を提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸約50mg〜約450mg、約75mg〜約450mg、約100mg〜約450mg、約150mg〜約450mg、約175mg〜約450mg、約200mg〜約450mg、約225mg〜約450mg、約250mg〜約450mg、約または約275mg〜約450mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。
本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約75mg〜約300mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約100mg〜約300mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約100mg〜約200mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約150mg〜約300mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。本発明の一部の実施形態では、医薬組成物は、約150mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸約50mg、約75mg、約100mgまたは約150mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、活性化10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgを提供するために十分な量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を含む。
上記発明の化合物および適切な担体を含む医薬製剤は、これらだけに限定されないが、本発明の活性化脂肪酸の有効量を含む固体、溶液、粉末、流体エマルション、流体懸濁液、半固体、および乾燥粉末を含む様々な形態であってよい。活性成分が、そのような製剤中に、薬学的に許容される希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、保湿剤、湿潤剤、溶解補助剤、抗酸化剤、防腐剤などと共に含有され得ることも当技術分野で公知である。投与のための手段および方法は、当技術分野で公知であり、専門家は、指針用の様々な薬理学の参考文献を参照することができる。例えば、両方ともそれらの全体で参照によって本明細書に組み込まれるModern Pharmaceutics、Banker & Rhodes、Marcel Dekker, Inc.(1979年);およびGoodman & Oilman's、The Pharmaceutical Basis of Therapeutics、第6版、MacMillan Publishing Co.、New York(1980年)を参考にすることができる。
本発明の化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口または静脈内投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、防腐剤が添加されたアンプルで、または複数回投与用容器で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションなどの形態を取ってよく、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含有してよい。
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化してよい。滅菌注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤または懸濁剤であってもよい。使用し得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油が従来から、溶媒または懸濁媒として使用されている。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を使用してもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸希釈剤が、注射剤の調製で使用される。本発明の実施形態において有用であり得る追加の脂肪酸希釈剤には、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ステアリルフマル酸ナトリウム、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、ベヘン酸グリセリル、鉱油、植物油、パラフィン、ロイシン、シリカ、ケイ酸、タルク、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレン−グリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリエトキシ化ステロール、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエトキシ化植物油などのうちの1種または複数が含まれる。一部の実施形態では、脂肪酸希釈剤は、脂肪酸の混合物であってよい。一部の実施形態では、脂肪酸は、脂肪酸エステル、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のグリセリド、またはエトキシ化脂肪酸エステルであってよく、他の実施形態では、脂肪酸希釈剤は、例えば、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、パルミトリル酸、セチルアルコール、カプリルアルコール、カプリリルアルコール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキドン酸アルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、およびリノレイルアルコールなど、ならびにそれらの混合物などの脂肪族アルコールであってよい。
本発明の他の実施形態は、上記のように調製した活性化脂肪酸を含み、これを、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤などの経口投与用の固体剤形として製剤化する。このような実施形態では、活性化合物をスクロース、ラクトースまたはデンプンなどの1種または複数の不活性な希釈剤と混合してよい。そのような剤形は、通常の実施におけるように、不活性な希釈剤以外の添加物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤を含んでよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、剤形は緩衝剤を含んでもよく、腸溶コーティングを用いてさらに調製することができる。
固体剤形中の活性化脂肪酸の調製は様々であってよい。例えば、一実施形態では、活性化脂肪酸を1種または複数の脂肪酸希釈剤、例えば上記脂肪酸希釈剤と混合し、この液体混合物に増粘剤を添加してゼラチンを形成することによって、活性化脂肪酸の液体またはゼラチン製剤を調製することができる。次いで、ゼラチンを単位剤形で被包してカプセル剤を形成し得る。別の例示的な実施形態では、上記のように調製した活性化脂肪酸の油性製剤を凍結乾燥させて固体とし、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤と混合して錠剤を形成することができ、また別の実施形態では、油性製剤の活性化脂肪酸を結晶化して固体を形成し、薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤と混合して錠剤を形成し得る。
活性化脂肪酸の経口投与に有用であり得るさらなる実施形態は、液体剤形を含む。このような実施形態では、液体剤形には、水などの当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤を含む薬学的に許容されるエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれ得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、ならびに甘味料、香味剤、および香料などのアジュバントを含んでもよい。
いっそうさらなる実施形態では、本発明の活性化脂肪酸をデポー製剤として製剤化することができる。そのような長時間作用性製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与され得る。約1〜約6カ月またはそれより長い間隔でデポー注射を投与することができる。したがって、例えば、適切な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として化合物を製剤化することができる。
注射用製剤に適した他の希釈剤として、これらだけに限定されないが、以下のものが含まれる:
植物油:本明細書で使用される場合、用語「植物油」は、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖が植物油と共有結合している、植物油のエトキシル化から形成された化合物、または化合物の混合物を指す。一部の実施形態では、活性化脂肪酸が約12個の炭素〜約18個の炭素を有する。一部の実施形態では、エトキシル化の量が約2〜約200、約5〜100、約10〜約80、約20〜約60、または約12〜約18のエチレングリコール反復単位で変化し得る。植物油は水素化または非水素化であってよい。適切な植物油には、これらだけに限定されないが、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ダイズ油、安息香酸ベンジル、ゴマ油、綿実油、およびパーム油が含まれる。他の適切な植物油には、これらだけに限定されないが、Miglyol(商標)810および812(Dynamit Nobel Chemicals、Swedenから入手可能)、Neobee(商標)M5(Drew Chemical Corp.から入手可能)、Alofine(商標)(Jarchem Industriesから入手可能)、Lubritab(商標)シリーズ(JRS Pharmaから入手可能)、Sterotex(商標)(Abitec
Corp.から入手可能)、Softisan(商標)154(Sasolから入手可能)、Croduret(商標)(Crodaから入手可能)、Fancol(商標)(Fanning Corp.から入手可能)、Cutina(商標)HR(Cognisから入手可能)、Simulsol(商標)(CJ Petrowから入手可能)、EmCon(商標)CO(Amisol Co.から入手可能)、Lipvol(商標)CO、SES、およびHS−K(Lipoから入手可能)、ならびにSterotex(商標)HM(Abitec Corp.から入手可能)などの市販の合成油が含まれる。ゴマ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、および綿実油を含む他の適切な植物油には、R. C. RoweおよびP. J. Shesky、Handbook of Pharmaceutical Excipients、(2006年)、第5版(その全体で参照によって本明細書に組み込まれる)に列挙されているものが含まれる。適切なポリエトキシ化植物油には、これらだけに限定されないが、Cremaphor(商標)ELまたはRHシリーズ(BASFから入手可能)、Emulphor(商標)EL−719(Stepan productsから入手可能)、およびEmulphor(商標)EL−620P(GAFから入手可能)が含まれる。
鉱油:本明細書で使用される場合、用語「鉱油」は、未精製および精製(軽)鉱油の両方を指す。適切な鉱油には、これらだけに限定されないが、Avatech(商標)グレード(Avatar Corp.から入手可能)、Drakeol(商標)グレード(Penrecoから入手可能)、Sirius(商標)グレード(Shellから入手可能)、およびCitation(商標)グレード(Avater Corp.から入手可能)が含まれる。
ヒマシ油:本明細書で使用される場合、用語「ヒマシ油」は、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖がヒマシ油と共有結合している、ヒマシ油のエトキシル化から生成された化合物を指す。ヒマシ油は水素化または非水素化であってよい。ポリエトキシル化ヒマシ油の同義語には、これらだけに限定されないが、ポリオキシルヒマシ油、水素化ポリオキシルヒマシ油、マクロゴールグリセロリリシノレアス(mcrogolglyceroli ricinoleas)、マクロゴールグリセロリヒドロキシステアラス(macrogolglyceroli hydroxystearas)、ポリオキシル35ヒマシ油、およびポリオキシル40水素化ヒマシ油が含まれ
る。適切なポリエトキシル化ヒマシ油には、これらだけに限定されないが、Nikkol(商標)HCOシリーズ(Nikko Chemicals Co. Ltd.から入手可能)、例えばNikkol HCO−30、HC−40、HC−50、およびHC−60(ポリエチレングリコール−30水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−40水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−50水素化ヒマシ油、およびポリエチレングリコール−60水素化ヒマシ油)、Emulphor(商標)EL−719(ヒマシ油40モル−エトキシラート、Stepan Productsから入手可能)、Cremophore(商標)シリーズ(BASFから入手可能)(Cremophore RH40、RH60、およびEL35(それぞれポリエチレングリコール−40水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−60水素化ヒマシ油、およびポリエチレングリコール−35水素化ヒマシ油)が含まれる)、ならびにEmulgin(登録商標)ROおよびHREシリーズ(Cognis PharmaLineから入手可能)が含まれる。他の適切なポリオキシエチレンヒマシ油誘導体には、R. C. RoweおよびP. J. Shesky、Handbook of
Pharmaceutical Excipients、(2006年)、第5版(その全体で参照によって本明細書に組み込まれる)に列挙されているものが含まれる。
ステロール:本明細書で使用される場合、用語「ステロール」は、ステロール分子のエトキシル化から誘導された化合物、または化合物の混合物を指す。適切なポリエトキシル化ステロールには、これらだけに限定されないが、PEG−24コレステロールエーテル、Solulan(商標)C−24(Amercholから入手可能);PEG−30コレスタノール、Nikkol(商標)DHC(Nikkoから入手可能);Phytosterol、GENEROL(商標)シリーズ(Henkelから入手可能);PEG−25フィトステロール、Nikkol(商標)BPSH−25(Nikkoから入手可能);PEG−5ダイズステロール(soya sterol)、Nikkol(商標)BPS−5(Nikkoから入手可能);PEG−10ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−10(Nikkoから入手可能);PEG−20ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−20(Nikkoから入手可能);およびPEG−30ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−30(Nikkoから入手可能)が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「PEG」はポリエチレングリコールを指す。
ポリエチレングリコール:本明細書で使用される場合、用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、式−O−CH2−CH2−のエチレングリコールモノマー単位を含むポリマーを指す。適切なポリエチレングリコールは、ポリマー分子の各末端に遊離のヒドロキシル基を有してよく、または低級アルキル、例えばメチル基でエーテル化された1個または複数のヒドロキシル基を有してよい。エステル形成性(esterifiable)カルボキシ基を有するポリエチレングリコールの誘導体も適している。本発明で有用なポリエチレングリコールは、いずれの鎖長または分子量のポリマーであってもよく、分岐を含んでよい。一部の実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200〜約9000である。一部の実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200〜約5000である。一部の実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200〜約900である。一部の実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約400である。適切なポリエチレングリコールには、これらだけに限定されないが、ポリエチレングリコール−200、ポリエチレングリコール−300、ポリエチレングリコール−400、ポリエチレングリコール−600、およびポリエチレングリコール−900が含まれる。名称のダッシュ(−)の後の数はポリマーの平均分子量を指す。一部の実施形態では、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール−400である。適切なポリエチレングリコールには、これらだけに限定されないが、Carbowax(商標)およびCarbowax(商標)Sentryシリーズ(Dowから入手可能)、Lipoxol(商標)シリーズ(Brenntagから入手可能)、Lutrol(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、およびPluriol(商標)シリーズ(BASFから入手可能)が含まれる。
プロピレングリコール脂肪酸エステル:本明細書で使用される場合、用語「プロピレングリコール脂肪酸エステル」は、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールと脂肪酸との間で生成されたモノエーテルもしくはジエステルまたはその混合物を指す。プロピレングリコール脂肪族アルコールエーテルを誘導するために有用な脂肪酸には、これらだけに限定されないが、本明細書で定義したものが含まれる。一部の実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、プロピレングリコールから誘導される。一部の実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約1〜約200個のオキシプロピレン単位を有する。一部の実施形態では、分子のポリプロピレングリコール部分は、約2〜約100個のオキシプロピレン単位を有する。一部の実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約4〜約50個のオキシプロピレン単位を有する。一部の実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約4〜約30個のオキシプロピレン単位を有する。適切なプロピレングリコール脂肪酸エステルには、これらだけに限定されないが、プロピレングリコールラウレート:Lauroglycol(商標)FCCおよび90(Gattefosseから入手可能);プロピレングリコールカプリレート:Capryol(商標)PGMCおよび90(Gatefosseから入手可能);およびプロピレングリコールジカプリロカプレート:Labrafac(商標)PG(Gatefosseから入手可能)が含まれる。
ステアロイルマクロゴールグリセリド:ステアロイルマクロゴールグリセリドは、主にステアリン酸から、または主にステアリン酸から誘導された化合物から合成されたポリグリコール化グリセリドを指すが、この合成では、他の脂肪酸または他の脂肪酸由来の化合物も同様に使用し得る。適切なステアロイルマクロゴールグリセリドには、これらだけに限定されないが、Gelucire(登録商標)50/13(Gattefosseから入手可能)が含まれる。
一部の実施形態では、希釈剤構成成分は、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、リン酸カルシウム、金属炭酸塩、金属酸化物、または金属アルミノケイ酸塩の1つまたは複数を含む。
固体および/または液体剤形で使用するための例示的な賦形剤または担体には、これらだけに限定されないが、以下のものが含まれる:
ソルビトール:適切なソルビトールとして、これらだけに限定されないが、PharmSorbidex E420(Cargillから入手可能)、Liponic 70−NCおよび76−NC(Lipo Chemicalから入手可能)、Neosorb(Roquetteから入手可能)、Partech SI(Merckから入手可能)、およびSorbogem(SPI Polyolsから入手可能)が含まれる。
デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびα化デンプンには、これらだけに限定されないが、R. C. RoweおよびP. J. Shesky、Handbook of Pharmaceutical Excipients、(2006年)、第5版(その全体で参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のものが含まれる。
崩壊剤:崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、およびイオン交換樹脂、食物酸と炭酸アルカリ構成成分に基づいた起沸性システム、粘土、タルク、デンプン、α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロースフロック、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、またはリン酸カルシウムの1種または複数を含み得る。
本発明のいっそうさらなる実施形態は、例えば、その併用が本明細書に記載の方法の所望効果を達成する際に望ましいかまたは有利であると考えられるアジュバント、プロテアーゼ阻害薬、または他の適合性薬物もしくは化合物などの他の活性物と併用投与される活性化脂肪酸を含む。
以下の非限定的実施例を参照することで、本発明ならびに使用する方法および材料を説明する実施形態をさらに理解することができる。
(実施例1)
FSGSの酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)/塩誘発性モデルにおける、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の評価
腎臓損傷の発症後に経口投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を、ヒトの巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)のためのモデルにおける有効性について評価した。これは、CKIのモデルにおける経口10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の活性の最初の実証であった。マウスを一側性腎摘出し、2週間後に、DOCA(50mg、21日放出)またはプラセボ持続放出ペレット剤を皮下移植し、ペレット剤を3週間後に交換した。偽対照群を除いて、すべての群が、水道水中1%NaClも投与された。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(毎日の強制経口投与、2.5または12.5mg/kg)またはエナラプリル(飲料水中の20mg/kg/日)処置を、第1のDOCA移植から2週間後に開始し、4週間にわたって継続した。エナラプリルは、比較のために含まれたが、それというのも、これは、FSGSのための標準治療として使用され、このモデルのための陽性対照であるためである。
薬物投与なしでDOCA/塩処置を受けたマウスは、予測されたとおり、比較的中程度の重症度の腎疾患を発症した。一側性腎摘出マウスの群が14週間にわたって10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(2つの用量レベル)またはエナラプリルで処置された早期CKIの酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)/塩誘発性モデルにおいて、腎臓保護物質10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を試みた場合、2.5mg/kg/日(ただし12.5mg/kgではない)の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は高度に有効であった。低用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、1)尿アルブミン、ネフリンおよび単球走化性タンパク質−1(MCP−1)排出の減少、2)炎症誘発性サイトカイン(MCP−1およびオステオポンチン)、細胞外マトリックス(コラーゲンIIIおよびフィブロネクチン)および線維化促進因子、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−1(PAI−1)の遺伝子発現の阻害、3)腎線維症の顕著な減少によって証拠づけられるような腎臓病変の改善、4)心臓および腎肥大の減少、ならびに5)コレステロール代謝に対するプラスの影響を含む、腎臓保護効果を実証した。早期腎線維症および損傷のこの処置モデルにおいて、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の有益効果は、確立された標準であるエナラプリルとは有意に識別された。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸またはそのホモログは、アンジオテンシン受容体AT1Rの付加によって、アンジオテンシン活性を減少させることも示されている。したがって、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、糸球体内圧および血液動態に対して、さらには、長期全身高血圧による長期病理学的効果に対して有益効果を有し得る。この研究および結果を下記で詳述する。
この研究を、DOCA塩モデルにおける10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の潜在的な治療効果を調査するために行った。このモデルは、ヒト巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を模倣する高血圧および慢性腎損傷を示す。
モデルの誘導:雄のマウス(129/sv株)を、Taconic Labsから購入した。動物は、6週齢目に供給業者によって一側性腎摘出(Unx)され、外科手術から1週間後に輸送された。Unx後2週目に、DOCAまたはプラセボペレット剤(21日放出ペレット剤、50mg/ペレット剤、Innovative Research of America、Sarasota、Florida)を皮下移植した。次いで、すべてのマウスを、通常のヒトの食事に近い中程度の脂肪含有率および低フィトエストロゲン/抗酸化剤レベルを含有する半合成食で飼育された(4)。第2のDOCAまたはプラセボペレット剤を、3週間後に移植した。
処置:マウスを、第1のDOCA移植から2週間後に開始される強制経口投与によって、プラセボ、2.5および12.5mg/kgの用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、またはエナラプリル(標準治療)で4週間にわたって処置した。水道水中1パーセントのNaClを、偽対照群を除いて各群に与えた。体重を毎週測定し、用量を現在の体重に基づいて再調節した。尿および血液サンプルを、処置の前、処置の2週目および4週目に収集した。マウスを4週目に終了させた。データを、各群で列挙された動物の数で、平均+SEMとして表す。研究設計およびタイムラインを図1に示す。
処置群には下記が含まれる:
Figure 2021183640
血清および尿の解析:血液サンプルを眼窩後空洞から収集し、サンプルを血清に分離した。血清および尿クレアチニン(酵素的アッセイ)、血液尿素窒素(BUN)、および血清コレステロールを、Cobas 400プラスバイオアナライザ(Roche Diagnostics、IN)を使用して測定した。尿サンプルを、代謝ケージを使用して24時間にわたって収集した。尿アルブミンを、イムノアッセイAlbuwell M(Exocell Inc.、Philadelphia、PA)によって測定した。製造者指示に従ってImmuno−ELISAを使用して、尿ネフリン(Exocell Inc.、Philadelphia、PA)およびMCP−1(Thermal Scientific、Waltham、MA)を測定した。Kim−1を、E−90KIM Mouse ELISA Kit(Immunology Consultants Laboratory、Portland、OR)を使用して測定した。血清および尿データのための統計的解析を、両側ステューデントt検定を使用して行った。
糸球体濾過率:糸球体濾過率(GFR)を4週時点で、製造者指示(BioPal、Worcester、MA)に従ってイヌリン用のFIT−GFR試験キットを使用して行った。イヌリンの5mg/kgボーラス腹腔内注射を与え、30、60、および90分目に一連の伏在出血を続けた。血清を単離し、イヌリンELISAによって定量化した。イヌリン血清クリアランスを、製造者指示に従って1フェーズ指数関数的減衰を使用する非線形回帰によって決定した。
組織学的評価:ホルマリン固定されたパラフィン包埋腎臓を3ミクロンで切り出し、組織学的分析のためにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)、過ヨウ素酸−Schiff(PAS)およびMasson’s Trichromeで染色した。熟練した病理研究者が、スライドをブラインド評価した。糸球体および尿細管の病理、間質性炎症および間質性線維症を、次のような0〜4のスケールで半定量的にスコアリングした:0=正常;1=軽度;2=中程度;3=顕著;4=重度。
免疫組織化学:ポドサイトのカウントを、抗WT1(ウィルムス腫瘍1)クローン6F−H2を1:100希釈(Dako)で使用して評価した。免疫組織化学を、Leica
Bond MAX自動免疫染色装置(Leica Microsystems Inc. Bannockburn、IL)で行った。0.05%Tween20/トリス緩衝生理食塩水(DAKO)洗浄を、すべてのステップの間で行った。組織切片を脱ろうし、プロテイナーゼK酵素、次いで、ペルオキシダーゼで処理した。次いで、組織をrodent block(BioGenex、Fremont、CA)で処理し、抗WT−1一次抗体と共にインキュベートし、次いで、これを、マウス抗マウスストレプトアビジン−HRPを使用して検出した。クロマジェン(Chromagen)可視化を、3,3’−ジアミノ
ベンジジン四塩酸塩(DAB)を5分間にわたって使用して行い、続いて、ヘマトキシリン対比染色し、エタノール−水勾配をキシレンへと漸増させることによって脱水し、Permount(Fisher Scientific、Pittsburg、PA)でマウントした。全腎臓切片を、Aperio ScanScope(Aperio Technologies、Vista、CA)を使用して画像化した。腎臓切片当たり50の糸球体を、WT−1陽性(茶色)およびWT−1陰性細胞(青色)の数について定量化した。ソフトウェア解析を、特注のアルゴリズムを使用してSpectrum Version 11.0.0.725(Aperio Technologies)で行った。免疫組織化学も行って、内皮完全性のマーカーであるCD31(Abcam、Cambridge、MA)を検査した。組織学的データの統計的解析を、ノンパラメトリックKruskal−Wallis検定、続いて、Dunn多重比較検定を使用して行った。
遺伝子発現のRT−PCR解析:各マウスからの腎臓切片を、採取直後にTrizol溶液(Invitrogen)に入れ、解析まで−80℃で貯蔵した。組織を、ビーズミルを使用してTrizol溶液0.5ml中で均質化し、全RNAを、クロロホルム(Sigma)で抽出し、製造者の推奨に従って、プローブによる汚染性ゲノムDNAの認識に由来する非特異的蛍光発光を回避するためのカラム上でのDNase 1(Qiagen)消化と共に、標準的なRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して精製した。RNAサンプルをヌクレアーゼ非含有水30μl中で溶離し、Nanodropを使用して定量化した。製造者プロトコールに従ってClontech Sprint PowerScript試薬を使用することによって、cDNAをRNA2μgから生成した。この報告においてアッセイされた遺伝子に特異的な蛍光原プローブは、Applied Biosystemsから購入した。PCR増幅およびPCR反応の解析を行い、ABI
Prism 7900HT Sequence Detection System(TaqMan、Perkin−Elmer Applied Biosystem)を使用して監視した。データ解析を、Sequence Detection Systems v2.3プログラム(Applied Biosystems)を使用することによって実施した。各cDNAサンプルで、各標的配列のCt値を基準遺伝子(Ribosomal RNA−18S)に対して正規化し、対照群に対する倍数変化として示した。遺伝子発現データについての統計的解析を、両側ステューデントt検定を使用して行った。
体重が、Unxで僅かに減少したが、体重増加は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置またはエナラプリルで影響を受けなかった(図2)。このモデルでは、血圧が中程度に上昇したが、エナラプリルを含む処置のいずれも、血圧に有意な作用を有さなかった(図3)。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、異常な脂質代謝にプラスの影響を有することが報告されている。FSGSを含むネフローゼ症候群は、高コレステロール血症と関連する。この研究では、血漿コレステロールは、ビヒクルを投与された動物で有意に上昇し、低用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸またはエナラプリルのいずれかで低下した(図4)。
腎臓/体重比および心臓/体重比を決定した(図5)。両方の比は、非処置マウスでは上昇し、低用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸では低下し、これは、腎臓および心臓の構造の全体的な改善を示している。しかしながら、エナラプリルは、効果を有さなかった。
DOCA/塩処置は、平均動脈圧の上昇、ならびに腎臓および心臓肥大をもたらした。このモデルでの高血圧は、アンジオテンシン媒介性ではなく、したがって、エナラプリルも、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸も、血圧を低下させるとは予測されなかった。両方の臓器の肥大が、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置群においてだけ部分的に縮小した。DOCA/塩処置群は、血漿コレステロールの上昇というFSGSおよび他のネフローゼ症候群の特徴も示し、これは、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸またはエナラプリル処置のいずれでも低下した。低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸およびエナラプリル処置は両方とも、アルブミン排出および尿ネフリン値を顕著に低下させた(図7)。
2.5mg/kgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での処置は、アルブミン尿の顕著な減少をもたらし、これは、投与後2週目で49%および4週目で34%低下した(図6)。低用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での低下は、エナラプリルに匹敵した。高用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、初めは効果を有したが、持続しなかった。平行して、尿ネフリン排出が上昇し、処置効果は、アルブミン尿の変化と同様であった。4週目時点でのデータの比較は、アルブミン尿およびネフリン尿の変化は、処置では同様のパターンを示すことを示した(図7)。これらの結果は、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が、おそらくポドサイトを損傷から保護することによってアルブミン尿を減少させたことを示している。炎症および線維症の領域と関連する尿細管損傷のマーカーであるKim−1も、尿において定量した(図8)。これは、対照群と比較するとDOCAモデルでは有意に増加し、DOCA群と比較するとエナラプリルでは減少する傾向があることが見出された。
GFRを、イヌリン法を使用することによって評価した。これは、統計的有意性に達しなかったが、ビヒクル処置マウスでは、僅かな減少を示した(図9)。処置群のいずれも、ビヒクル処置群から統計的に有意ではなかったが、エナラプリルで処置されたマウスで上昇する傾向があった。血清クレアチニンおよびBUN(図10)値は、すべての群で正常範囲であった。これは、このモデルの中程度の疾患重症度と一致する。
組織学的評価(図11)は、ビヒクル処置群では、糸球体の約15%が軽度から重度のメサンギウム肥大および硬化症を含む糸球体損傷を示すことを示した。尿細管損傷も、ある程度まで明らかであり、拡張した尿細管の斑状病変、尿円柱、ならびに尿細管間質性肥大および線維症を示している。処置の4週間後に、尿細管間質性病変が、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与されたマウスで改善されたが、高用量では僅かだけであった。エナラプリルの効果は、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と同様であった。糸球体硬化症を評価し、スコア1〜4で個別にスコアリングした(図12)。糸球体損傷(硬化症)の平均スコアおよびパーセントは、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の両方の用量で有意に低下したが、これは、エナラプリルでは有意に低下しなかった。
糸球体肥大を、糸球体面積を測定することによって評価し、腎臓当たり50の糸球体の平均値として表す。糸球体肥大は、糖尿病性および高血圧媒介性慢性腎疾患のための重要なマーカーである。予測されたとおり、ビヒクル処置群は、肥大を示し;これは、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸では縮小したが、高用量およびエナラプリルは、効果を有さなかった(図13、上のパネル)。ポドサイト数を、WT−1染色によって定量化し、すべての処置群で変わらないことを見出した(図13、下のパネル)。この所見は、ポドサイトマーカーでの変わらない遺伝子発現プロファイルと一致し(表2)、疾患が比較的中程度であったことを考えると、合理的であるようである。しかしながら、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が疾患発症時に継続注入されたアドリアマイシン誘発性腎障害モデル、および10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が同じく注入によって与えられるdb/dbモデルでは、処置によるポドサイト数の増加が存在した。
Figure 2021183640
内皮完全性についてのマーカーであるCD31+細胞(図14)を検出する免疫組織化学染色を行うことによって、腎臓組織において内皮損傷を評価した。結果は、CD31+細胞がすべての群において変わらなかったことを示している。ビヒクル処置群において変化がなかったことは、このモデルにおける中程度の疾患重症度を反映しているであろう。
MCP−1は、単球/マクロファージの遊走および浸潤を制御する重要なケモカインである。MCP−1およびその受容体は両方とも、慢性腎疾患において誘導されることが実証されており、これも、有望なバイオマーカーとして考慮される。尿MCP−1排出は、ビヒクル処置群において上昇し、4週間にわたって低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置されたマウスでは有意に低下した一方で、高用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、効果を有さなかった(図15)。この所見は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の公開された抗炎症特性を裏付けている。
炎症誘発性(MCP−1およびオステオポンチン)、細胞外マトリックス(コラーゲンIIIおよびフィブロネクチン)、およびPAI−1(炎症性および向線維症性(pro−fibrotic))の遺伝子発現をmRNAレベルで、qRT−PCRを使用して評価した。結果(図16および17)は、遺伝子発現が、ビヒクル処置マウスでは有意に上方制御されたことを示している。低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での処置は、これらの遺伝子を阻害したが、高用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸も、エナラプリルも、これらの遺伝子のいずれに対しても効果を有さなかった。データは、その抗炎症効果を裏付けていることに加えて、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が線維形成を減弱させることを明らかにしている。低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置群は、炎症誘発性サイトカインMCP−1の量の減少を示した。同様の処置効果が、腎臓組織において、炎症誘発性マーカーであるMCP−1およびオステオポンチンについてのmRNA発現で観察された。腎臓における向線維症性マーカーの発現は、類似のパターンを示した(図17)。総じて、低用量での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、マウスDOCA/塩モデルにおいて、腎疾患を有意に改善した。加えて、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、抗炎症および抗線維化効果などの利点を発揮したが、これらは、現行の標準治療であるエナラプリルでは、おそらく、これら2種の薬剤での作用機序の違いによって、観察されなかった。しかしながら、この相違こそが、腎臓損傷を処置するための新規治療手法としての10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の潜在的な将来性を伝えている。
イソプロスタンは、フリーラジカルによって開始されるアラキドン酸の過酸化を含む非酵素的機構によってin vivoで形成される独特な一連のプロスタグランジン様化合物である。8−イソ−PGF2a(15−F2t−イソプロスタン)は、酸化ストレスの増加と最も相関するイソプロスタンであることが判明している。したがって、酸化ストレスに対する処置の効果を評価するために、このアイソフォームを、LC−MSを使用して測定した。プロスタグランジンD2の尿代謝産物であるテトラノル−PGDMも測定した。統計的に有意ではなかったが、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、高用量またはエナラプリルよりも、8−イソ−PGF2aのより大きな減少を示す傾向があった。他方で、終了時点で、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸およびエナラプリルの処置では、上昇したテトラノル−PGDMが低下した(図18)。
この所見は、尿ネフリンおよびMCP−1排出の低下と共に、腎臓病変の改善、アルブミン尿の減少によって証明されるように、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(2.5mg/kg)が慢性腎疾患モデルにおいて腎臓保護作用を発揮したことを示唆している。これらの観察のさらなる裏付けは、ビヒクル処置群と比較して、低用量10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与されたマウスにおける、炎症誘発性サイトカイン、細胞外マトリックスおよび向線維症性因子、PAI−1の遺伝子発現の減少である。加えて、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、コレステロール代謝に対するプラスの影響を有し得る。現行の結果は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が慢性腎臓疾患モデルにおいて腎臓保護性であるin vivoでの証拠を示しており、これはおそらく、抗炎症、抗酸化、および抗線維効果による。興味深いことに、このモデルでは、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の一部の有益効果はエナラプリルと識別され得る。
(実施例2)
腎臓虚血/再灌流のラットモデルでの、急性腎臓損傷を減少における10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の有効性および用量/曝露−応答関係
虚血性再灌流障害の予防:傷害前に投与した場合に、腎臓虚血/再灌流のラットモデルにおいて急性腎臓損傷を減少における10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の有効性および用量/曝露−応答関係を試験するために、研究を行った。造影剤誘発性腎障害の十分に確立された再現可能なラットモデルを利用することはできなかった。虚血性/再灌流障害は、造影剤誘発性腎障害の一局面であるので、これを、合理的な代替と判断した。このモデルでは、ラットの腎臓動脈を35分間にわたって鉗子で締め、続いて、再灌流した。血清クレアチニンを、72時間にわたって毎日測定した。次いで、動物を組織および末梢血漿のために、屠殺した。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を損傷の1時間前に、様々な用量で15分かけて静脈内投与した。この研究の目的は、a)傷害の前に投与した場合の、虚血性事象によって誘発される急性腎臓損傷を減少させる10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の有効性を示すこと、b)毒性学研究と併せて、FIH試験のための出発用量を決定するのに役立てるために、最小限の有効用量(および曝露)を規定すること、c)臨床研究のための適切な投与計画を規定すること、およびd)10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸のレベルと、適切なシグナル伝達メディエーターの阻害/活性化による損傷の減少との間のPK/PD関係を確認することであった。
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(2.5、12.5、および25mg/kg)を、虚血性事象の1時間前に投与した。血漿サンプルを、虚血性事象後の0、24、48、および72時間目に採取し、血清クレアチニン値を、質量分析法を使用して数回に分けて測定して、結果を精密にした。結果は図20に示されている。クレアチニンの統計的に有意な減少が、虚血後に、12.5mg/kgで10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置された動物で観察された(ステューデント−ニューマン−コイルス多重比較検定でのANOVA、n=6、24時間目のみp<0.01)。
腎臓切片の過ヨウ素酸−Schiff染色、ならびに処置および非処置群からの腎臓構造損傷についてのブラインド化スコアリングは、12.5mg/kgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置されたラットにおいて損傷の緩和を示した(図21)。
この研究では、急性腎臓損傷事象の1時間前のラットへの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(12.5mg/kg)の静脈内投与は、事象の24時間後に、腎臓損傷のマーカーである血清クレアチニン値を有意に低下させた(Report CMP
2012−01)。加えて、同じ用量での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸投与は、I/R損傷後に、正常な腎臓構造を維持した。I/Rモデルは、血清クレアチニン濃度に反映されるように、腎臓損傷をもたらす際の高度な変動性によって、既知の限界を有する。それにもかかわらず、ブラインド化組織病理学的検査は、12.5mg/kg用量での10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置動物において、腎臓組織の有意な維持を示し、これは、機能性尺度である血清クレアチニンに対する効果の欠如にもかかわらず、腎臓レベルでの利点を示している。
(実施例3)
肥満男性対象における、連続複数漸増用量の経口10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の単一施設ランダム化二重盲検プラセボ対照研究
この研究の第1の目的は、14日間にわたって毎日投与される複数漸増経口用量の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の安全性および耐容性を調査すること;複数漸増用量レベルで14日間にわたって毎日、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与した後の、QTc(心臓の電気的周期におけるQ波の開始とT波の終了との間の補正時間)間隔と、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸±代謝産物(単数または複数)の用量/曝露との間の関係を評価すること;ならびに複数漸増用量レベルで14日間にわたって毎日、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与した後の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸およびその代謝産物(単数または複数)のPKプロファイルを調査することであった。
この研究の第2の目的は、レプチン、空腹時血糖(FBG)、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)およびトリグリセリドに対する、複数漸増用量レベルで14日間にわたって毎日、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を経口投与した後の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸±代謝産物(単数または複数)の薬力学(PD)効果を調査すること;他のECGパラメーター(心拍数(HR)、PRおよびQRS間隔)に対する、複数漸増用量レベルで14日間にわたって毎日、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を経口投与した後の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸±代謝産物(単数または複数)の効果を調査することであった。
この研究の探査目的は、遺伝子発現およびタンパク質バイオマーカーに対する、複数漸増用量レベルで14日間にわたって毎日、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を経口投与した後の経口10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸±代謝産物(単数または複数)のPD効果を調査することであった。
この研究の第1の終点には、安全性および耐容性、薬物動態、ならびにバイオマーカーが含まれた。安全性および耐容性には、理学的検査、有害事象(AE)報告、生命徴候(血圧、心拍数、呼吸数)、血清マグネシウムおよびクレアチンホスホキナーゼ(CPK)を含む臨床検査値(血液学、生化学、および検尿)、安全性評価のための12−リード心電図(ECG)、および心臓ホルターモニタリングから得たECGで測定されたQTcFが含まれた。薬物動態測定には、最大観察血漿薬物濃度(Cmax)、最大血漿薬物濃度までの時間(Tmax)、消失半減期(t1/2)、血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC0−last、AUC0−∞)、クリアランス(CL/F)、分布容積(Vd/F)および終末相の消失速度定数(λz)が含まれた。
バイオマーカーの特徴付けには、次の検査パラメーターが含まれる:血清レプチン、FBG、総コレステロール、HDLおよびLDL、トリグリセリド、HR、PR、心臓ホルターモニタリングから得られたECGで測定されたQRS間隔およびT波形態、血清RBP4、CRP、PAI−1の測定、血清サイトカイン:IL−6、TNFα、MCP−1の測定、定量逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)による全血における次のバイオマーカーの測定:HO−1、NQ01、GCLM、HSP70(HSP1A HSP1B、HSPA6)、HSP22(HSPB8)およびHPS40(DNAJA4)、尿RBP4、MCP−1ならびにKIM−1、qRT−PCRによる尿エキソソーム(HO−1、NQ01、GCLM、HSP70(HSP1A HSP1B、HSPA6)、HSP22(HSPB8)およびHPS40(DNAJA4)を含む)、PBMCにおけるDNAseq、RNAseq、およびウェスタンブロットによる遺伝子およびタンパク質発現分析、ならびに血清および尿におけるDHETに対するEETの比。
これは、肥満男性対象における、経口CXA−10の連続複数漸増用量の単一施設ランダム化二重盲検プラセボ対照研究であった。適格な対象には、19〜57歳でBMI27.0〜39.5kg/mの肥満男性が含まれた。CXA−10およびプラセボを、硬質シェルカプセル剤中の溶液として提供した。対象の3つのコホートに、14日間にわたってCXA−10を1日1回投与した。この研究で投与された用量は、25、150および450mgであった。最高用量レベル(450mg)に登録された対象は、1日目に600mgを、次いで、13日間にわたって450mgを投与された。このコホート(コホート3)は、高脂肪(50%)朝食と共に15日目に、追加の450mg用量を受ける選択権を与えられた。
対象の各コホートを、CXA−10(10対象)またはプラセボ(4または5対象)が与えられるようにランダム化した。研究薬物への曝露を、下記の表3にまとめる。安全性、薬物動態(PK)および薬力学的(PD)評価を、研究を通じて評価した。最後の研究来院は、28日目に行われた。すべての対象が、処置期間中はユニット内に滞在し、最後の用量が投与されてから約24時間後に退院した。食物制限は、バイオマーカー評価および体重の変化が最小限になるように組み込まれた。
Figure 2021183640
具体的には、投与前(ベースライン)評価を行うために、対象を、−2日目に研究ユニットに入院させた。一部のベースライン評価は、−1日目、または投与1日前に行っていてもよい。
1日目に、各用量レベルで、対象を、14日間(1日目から14日目)にわたって10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸またはプラセボを投与されるようにランダム化した。対象は、評価が完了し、検討された後の15日目の退院まで、そのユニットに滞在した。コホート3に登録された対象は、16日目を通じてクリニック内に滞在する選択権、および15日目の投与の約30分前に標準FDA高脂肪(50%)朝食を与えられる選択権を与えられた。彼らは、16日目(15日目の最後の投与から24時間後)までユニット内に滞在し、その後、ユニットから退院した。15日目および16日目の追加の手順は、コホート3の対象のための選択権であった。
次の用量レベルへと進む決定は、10人の対象が14日目までの評価を終えた後のComplexaの試験責任者およびメディカルモニターまたはチーフメディカルオフィサーによる安全性および利用可能なPKデータの検討に基づいた。コホート3では、10人の対象が15日目までの評価を終えた後に、別のコホートへと進める決定を行うことができた。
安全性および耐容性を、研究を通じて評価した。連続的なホルターモニタリングを、−1日目、および14日目に、3つすべてのコホートで行った。連続的なホルターモニタリングを、最高用量コホートでは、2日目から4日目の間の追加の1日に行うこともできた。ホルターモニタリングを行う決定、および追加のモニタリングの実行日を新たに生じたデータに基づいて決定した。
PKおよびバイオマーカー評価のために、投与の前に、および研究を通じた様々な時に、一連の血液サンプルをすべての対象から収集した。全PKプロファイルを、1および14日目に得た。15日目の追加の手順に参加するコホート3の対象では、全PKプロファイルを、1、14、および15日目に得た。省略したPKプロファイルを、最高用量コホートでは、追加の1日だけで得ることもできた。PK採取の実行日は、最高用量コホートでは、ホルターモニタリングの追加日と同時であった。対象は、PK、安全性、およびバイオマーカー評価のために21日目および28日目に再来院した。
表4は、人口統計が、すべてのコホートにわたって同様であったことを示している。何らかの有害作用によって研究から脱落した対象はいなかった;コホート3の1人の対象が、関連のない問題によって、9日目の後に研究から脱落した。この研究と関連した死亡はなかった。
Figure 2021183640
表5は、影響を受けた人数、さらにパーセンテージとして示されている、研究中に見られた最も一般的な有害事象(AE)を示している。参加者の20%超で生じた事象が含まれる。最も一般的なGI AEは、下痢および悪心であった。最も一般的な神経系AEは、失神性めまいであった。最も一般的な全身障害AEは、倦怠であった。最も一般的な筋肉およびCT障害AEは、背部痛であった。
Figure 2021183640
下痢および悪心の有害作用は用量限定的であった。一般に、下痢は、投与後1〜3時間以内に始まり、4時間以内に解消した。観察された下痢は、強度においてグレード1または2であり(軟便として始まり、水様になった)、用量が増加するにつれて悪化することはなかった。表6は、前記GI関連AEの分布を示している。
Figure 2021183640
臨床検査、生命徴候、またはECG評価において、臨床的に有意な所見はなかった。CPK(筋肉酵素)またはマグネシウム血清レベルに異常はなかった;肝および腎臓パラメーターを含む臨床化学に対する作用はなかった;リンパ球および単球を含むWBCに対する作用はなかった。プラセボ処置された対象と比較して、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸450mgでの処置中に、HBG、HCTおよびRBC濃度の僅かな低下が存在した。生命徴候または理学的検査に対する作用はなかった;15日間にわたって投与した後の常套的なECG評価では、QTc間隔の延長は観察されなかった;連続的な24時間ホルターモニタリングからのECG抽出に基づき、QTc間隔の延長はなかった。下痢は、用量限定耐容性であり;改善したが、食物と共に投与された場合には、完全には予防されなかった。高脂肪食(50%)は、薬物に対する曝露を増加させ、吸収を遅延させる。
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の薬物動態プロファイルは一般に、僅かな蓄積と共に用量比例濃度−時間を示している。図22を参照されたい。表7は、21および28日間にわたるデータを示している。摂食条件下では、Cmaxは約2倍増加し、AUCは、吸収の遅延を伴って約1.7倍増加した。中央値Tmaxは、空腹時と摂食条件との間で3から6時間まで増加した。
Figure 2021183640
レプチン濃度は、プラセボ処置された肥満対象での35%の上昇と比較して、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgでの処置中の14日目に、ベースラインから21.5%低下した。図23Bおよび表8を参照されたい。図23Aは、処置による経時的なレプチンng/mlのグラフである。
Figure 2021183640
150mgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での処置中のMCP−1のベースラインから平均変化は、プラセボ処置された肥満対象と比較して有意に異なった。図24および表9を参照されたい。時点は0、4および10時間目とした。MCP−1での正常範囲は、200〜722pg/mLである。
Figure 2021183640
IL−6濃度は、7および14日目に、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgで処置された肥満対象でベースラインから低下する傾向を示した。図25を参照されたい。IL−6での正常範囲は、0〜2pg/mLである。
ベースラインからのトリグリセリド変化が、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸処置された肥満対象では減少し、150mgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与された肥満対象での8および15日目では有意に異なった。図26および表10を参照されたい。トリグリセリドの正常範囲は、150mg/dL超である。
Figure 2021183640
コレステロール濃度は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgで処置された肥満対象において、ベースラインから低下する傾向を示した。図27を参照されたい。
肥満対象における10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での処置は、多数の動物モデルにおいて見られた効果と一致して、代謝および炎症性経路の両方に影響を及ぼすことが示された。これらのマーカーには、代謝異常ではレプチン、NF−κB阻害では炎症性血清マーカーMCP−1およびIL−6、ならびに脂質効果ではコレステロールおよびトリグリセリドが含まれる。
150mg用量群では、5種すべてのバイオマーカー(レプチン、コレステロール、トリグリセリド、MCP−1およびIL6)にわたって、一致した減少が存在した。450mg用量群では、バイオマーカーの同様の減少が一様に観察されることはなかった。
(実施例4)
健康な男性における、定常状態まで投与された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ)との薬物動態相互作用の研究
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の作用機序は、翻訳後モジュレーターNrf2の活性を誘導することである。Nrf2は、薬物代謝に関係するトランスポーター、具体的には、多剤耐性タンパク質1−4(MRP1−4)、有機アニオン輸送ポリペプチド1B1(OATP1B1)、およびウリジンジホスフェート−グルクロノシル−トランスフェラーゼ(UGT)の誘導をもたらし得る。これらのトランスポーターによって代謝される薬物は、CKI(ACEi、ARBおよびスタチン)を有する患者の処置において往々にして使用される。試験の全設計は、これらのトランスポーターによって代謝される薬物を投与して、これらの薬物の曝露に対して10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が有し得る影響を定量化することであった。この研究からの結果は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での処置中にCKI個体群において使用される併用薬物のための用量調節をガイドするために使用し得る。
これは、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベの組合せ)に対する10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の作用を探査するための、健康な対象からなる小さな十分に管理された群における探査研究であった。UGT、トランスポーターおよびシトクロムP450 3A4のための選択的基質であるので、これらの薬物が選択されたが、Nrf2がCYP450 3A4に対して作用を有することを示すデータは存在しない。in vitroでのCYP450評価に基づき、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、CYP450 3A4(IC50>33μ)に対しても、任意の他のアイソフォームに対しても作用を有するはずがない。
プラバスタチンは、CYP酵素によって有意に媒介されないが、MRP2および取り込みトランスポーターOATP2の基質であり、そのことによって、これは、トランスポーター作用のための特異的なプローブとなる。
Vytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベ組合せ製品)は、2種の薬物(シンバスタチンおよびエゼチミベ)の試験で、単一剤形の投与を可能にする。
シンバスタチンは、CYP3A4およびOATP1B1基質である。Nrf2の作用は、CYP3A4に対しては予測されない;したがって、シンバスタチンは、OATP1B1のための特異的なプローブであり得る。シンバスタチン曝露に対する誘導因子リファンピンの効果についての研究が、文献において報告されており、曝露が、リファンピン処置前の1/10まで減少することを示している。
エゼチミベは、グルクロニド抱合(第II相反応)によって小腸および肝臓で主に代謝され、その後に、胆汁および腎臓排出される。軽微な酸化代謝(第I相反応)が観察されており;したがって、この薬物は、UGTのためのプローブであり得るであろう。エゼチミベおよびエゼチミベ−グルクロニドは、血漿中で検出される主な薬物誘導化合物であり、それぞれ、血漿中の全薬物の約10%〜20%および80%〜90%を構成している。エゼチミベおよびエゼチミベ−グルクロニドの両方のPK分析が研究された。
この研究の目的の1つは、複数回の経口投与後の、プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)(シンバスタチンおよびエゼチミベの組合せ)の2つの構成成分の薬物動態(PK)プロファイルに対するCXA−10の定常状態濃度の効果を調査することであった。
この研究の別の目的は、単独で、およびプラバスタチンおよびVytorin(登録商標)と共に投与した場合のCXA−10の複数回の経口投与の安全性および耐容性を調査することであった。
これは、プラバスタチン(40mg)およびVytorin(登録商標)(エゼチミベ/シンバスタチン10mg/20mg/日)を単独で、ならびにそれぞれ8日間および9日間にわたる毎日の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸経口150mg投与の後に、第1の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸用量の後(すなわち、研究の11日目および12日目)に単回投与された、19〜31歳およびBMI21〜26kg/mの10人の健康な男性対象における単一施設オープンラベル研究であった。すべての対象が、プラバスタチン(40mg)だけを1日目に、およびVytorin(登録商標)(エゼチミベ/シンバスタチン10mg/20mg/日)だけを2日目に投与された。4〜10日目には、対象は、経口10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgを毎日、食物と共に投与された。11日目に、対象は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸をプラバスタチンの単回投与と共に投与された。12日目に、対象は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸をVytorin(登録商標)の単回投与と共に投与された。この研究設計は、図28に図示されている。
具体的には、適格な対象は、投与前(ベースライン)評価を行うために−1日目に研究ユニットを来院し、その後、退院した。
終夜絶食の後に、対象は、1日目にプラバスタチン40mgを食物と共に投与され、プラバスタチン値のPK採取のために約10時間にわたってユニットに滞在し、その後、退院した。2日目の終夜絶食の後に、対象は、ユニットに戻って、Vytorin(登録商標)を食物と共に投与された。PKサンプルを、Vytorin(登録商標)投与後24時間まで、シンバスタチンおよびエゼチミベ値のために収集し、その間、対象はユニット内に終夜滞在した。対象は、Vytorin(登録商標)投与後の24時間PKサンプルを収集された後に、3日目に退院した。プラバスタチンおよびVytorin(登録商標)を投与された日は、対象は、投与の約30分前に、標準FDA高脂肪(50%)朝食を与えられた。プラバスタチンでの24時間PKサンプル、ならびにプラバスタチンおよびVytorin(登録商標)での投与前サンプル(0時間)を、それぞれの日の投与前に収集した。
終夜の絶食の後に、対象は、4日目の朝にユニットに来院して、Vytorin(登録商標)投与後のシンバスタチンおよびエゼチミベ値を測定するために、48時間PKサンプルを収集された。次いで、対象は、標準FDA高脂肪(50%)朝食を与えられ、続いて、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸150mgを経口投与された。高脂肪朝食は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の投与の約30分前に与えられた。
対象は、さらに6日間(5〜10日目)にわたって毎日、絶食状態(終夜絶食)でユニットに来院するように依頼されて、4日目のように、食物と一緒に1日1回、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与され、安全性を評価された。10日目に、対象は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸値についてPKサンプルを収集するために、ユニット内に滞在した。第1のPKサンプル(0時間)を、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸投与の前に収集した。対象は、その日の最後のPKサンプル(12時間)を収集した後に退院した。
11日目の朝に、対象は、4日目のように、食物と一緒に、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与され、PKサンプルを、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(24時間)について収集された。対象は、プラバスタチンも投与され、10時間にわたるプラバスタチン値のためのPK採取が続いた。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸、およびプラバスタチンでは投与前(0h)の24時間PKサンプルPKサンプルを、11日目の投与前に収集した。プラバスタチンを、1日目に投与した時間とほぼ同じ時間に、食後に投与した。対象は、最後のPK採取後に退院した。
終夜絶食の後に、対象は、12日目にユニットに戻り、4日目のように、食物と一緒に10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与された。対象は、12日目にVytorin(登録商標)も投与された。シンバスタチンおよびエゼチミベ値のためのPKサンプルを、Vytorin(登録商標)投与後に24時間にわたって収集し、対象は終夜、ユニット内に滞在した。投与前(0時間)Vytorin(登録商標)PKサンプルを投与前に収集した。Vytorin(登録商標)を、2日目に投与した時間とほぼ同じ時間に、食後に投与した。対象は、Vytorin(登録商標)投与後の24時間PKサンプルを収集された後に、13日目に退院した。シンバスタチンおよびエゼチミベ値のための最後のPKサンプル(48h)を収集するために、対象は、14日目の朝にユニットに戻った。
安全性および耐容性を、研究を通じて評価した。退院のタイミングは、試験責任者または被指名者が安全性および耐容性評価に基づき決定した。投与日には、対象は、投与後少なくとも1時間にわたって研究ユニットに滞在し、その後、退院した。4日目、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸投与の初日に、対象は、安全性および耐容性を評価するために投与後4〜6時間にわたってユニットに滞在し、その後、退院した。
対象は、19±1日目(研究薬物の最後の投与から約7日後)に、フォローアップ来院のためにユニットに戻った。
安全性およびPK評価を、研究を通じて評価した。研究の院内部分の間に、尿を2日目および12日目に、24時間にわたって収集した。各研究日での24時間収集から得られた尿サンプルを、クレアチニン値を測定するために使用して、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の投与がOCT2トランスポーターを阻害したかどうかを決定した。
安全性を、理学的検査;有害事象(AE);生命徴候(血圧、心拍数、呼吸数);臨床検査値(血液学、生化学、および検尿)、具体的には、血清MgおよびCPKおよび心電図(ECG)によって評価した。
プラバスタチン、シンバスタチンおよびシンバスタチン酸、エゼチミベおよびエゼチミベ−グルクロニド、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸およびその代謝産物(単数または複数)の血漿中濃度を決定するための血液サンプルを、図29に列挙したおよその基準時間に収集した。
この研究の10人の対象のうちの合計3人がAEを報告した。1人の対象は、鼻咽頭炎を有し、1人の対象は、プラバスタチンの投与後に腹部不快感を有し、1人の対象は、ノロウイルス感染に帰せられ得ている7つのAEを有した(腹部不快感、下痢、悪心、嘔吐、体温変化の感覚、および食欲低下)。先行研究で観察された10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸に関連するGI AEは、この研究では観察されなかった。したがって、これらの事象は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を食物と共に投与することによって予防され得ている。報告されたAEはすべて、強度において軽度から中程度であり、すべて、続発症を伴うことなく解消した。
報告期間中に、重篤なAE、AEまたは死亡による中止例はなかった。
1日目の投与の開始直前に、三回連続のECGを得、他のすべての時点では、単回のECGを得た。投与前時点での3回のECGの間隔測定の平均をベースラインと判断した。すべての12リードECGを、対象が少なくとも10分間にわたって完全仰臥位で静止した後に得た。いずれの心電図(ECG)パラメーターでも、臨床的に有意な異常は報告されなかった。研究中に、QT/QTcF間隔延長は観察されなかった。
生命徴候について、臨床的に有意な異常は報告されず、血清MgおよびCPKを含む臨床検査評価において、臨床的に有意な所見はなかった。この研究は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の投与前、およびその後に、24時間尿総クレアチニン排出も検査して、もしあるならば、直接、クレアチニン分泌を減少させるOCT2トランスポーターに対する、またはクレアチニン生成の増強による10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の効果を検査した。10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸投与の結果として、24時間尿クレアチニン排出測定において、血清クレアチニン値の変化も、何らかの関連変化もなかった。
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸濃度をヒト血漿中で、有効な逆相LC−MS/MSアッセイを使用してMicroConstants Inc.(San Diego CA)によって測定した。この生化学分析アッセイは、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸のみの濃度について選択的である。したがって、血漿10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸に対する言及はすべて、代謝産物ではなく、親(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸)濃度を指す。プラバスタチンおよび3−アルファ−ヒドロキシプラバスタチン、エゼチミベ(合計)および非抱合エゼチミベ、シンバスタチンおよびシンバスタチン−ベータ−ヒドロキシル酸の濃度をヒト血漿で、inVentiv Health Clinique Inc(Quebec Canada)によって、有効なLC/MS/MSアッセイを使用して測定した。一連の血液サンプルを、上記のように研究を通じて様々な時に、PK評価のためにすべての対象から収集した。
図30〜32は、分析物のみ、および10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の投与後の分析物の薬物動態プロファイルを示している。図33は、参照(分析物のみ)に対する試験(10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を投与した場合の分析物)の簡易統計を示す表である。
プラバスタチンおよびその代謝産物の平均CmaxおよびAUC(0−t)は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と同時投与すると、それぞれ20%および25%低下した。エゼチミベの平均CmaxおよびAUC(0−t)は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と同時投与すると、それぞれ20%および5%低下した。シンバスタチンの平均CmaxおよびAUC(0−t)は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と同時投与すると、それぞれ10%および25%上昇した(図33)。シンバスタチンヒドロキシル酸の平均CmaxおよびAUC(0−t)は、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と同時投与すると、それぞれ2.5倍および2.25倍増加した(図33)。単独で(プラバスタチンまたはVytorin(登録商標))、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸と組み合わせて投与された対象の間でのCmaxまたはAUCの平均差に基づき、可能な薬物相互作用は、Vytorinのシンバスタチン構成成分で推論され得る。さらに、上記および図33のCmaxおよびAUC(0−t)の推定値の減少によって、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が、ヒトにおいて翻訳後モジュレーターNrf2の活性を誘導していたと推論され、したがって、例えば、実質臓器線維症、炎症性疾患、心臓血管疾患、腎疾患、腎不全、虚血性腎損傷、急性腎損傷(AKI)、慢性腎損傷(CKI)、慢性腎臓病(CKD)、肥満関連慢性腎臓疾患、糖尿病性腎障害、腎臓線維症、原発性FSGSおよび続発性FSGSを含む巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、鎌状赤血球腎障害、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴う、および伴わない)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、肺動脈高血圧症(PAH)、肺線維症、アレルギー性気道疾患、肥満、抗脂肪生成病、II型糖尿病、鎌状赤血球症、鎌状赤血球クリーゼ、特発性肺線維症(IPF)、炎症性胃腸疾患、大腸炎、炎症性腸疾患、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、代謝症候群、神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病およびミトコンドリア関連疾患に罹患しているヒトなどの、Nrf2活性化を必要とする病気のヒトに対して有益な影響を有し得ると予測され得る。
対応t検定を使用して、自然対数変換(ln-transformed)PKパラメーター(Cmax、AUC(0−t)およびAUC(0−inf))の平均が、同時投与薬物(プラバスタチンまたはVyotrin(登録商標))を投与した日と、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(図33)と同時投与した後とで違うかどうかを評価した。プラバスタチンおよびエゼチミベは、PKパラメーターでの推定値が一般に、約75〜100(95%CI)であったので、臨床的に有意な相互作用を示さないと考えられた。しかしながら、シンバスタチンヒドロキシ酸は、2倍より多い増加を示し、統計的有意性を実証し、これは、この活性な代謝産物の血漿中濃度の上昇を説明するOATP1B1トランスポーター活性の低下が存在することを示唆している。
(実施例5)
ヒトにおける、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の予測治療量/曝露範囲
ファーマコメトリシャンが、経口毒性学研究から得られた10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸特異的薬物動態データでの動物モデル薬物動態をまとめて、動物データから得られた仮定に基づき、ヒトに適した薬物動態モデルおよび推定曝露を開発した。次いで、薬物動態結果がOral First in Human(FIH)研究から利用可能となったので、モデルを最新にし、用量および曝露を再推定した。この曝露応答モデルから、CmaxおよびCave濃度をヒトでの投与間隔(1日1回)で決定した。これらのデータに基づき、1日1回の25、150、および600mgの経口用量を複数漸増用量研究(実施例3)で選択して、1.0〜9.0ng/mL(約3〜30nM)の範囲の予想有効濃度に及ぶ幅広い範囲の曝露を提供した。毎日の25mgでl効果が存在するであろうことが予測され、有効性は、動物からヒト曝露への置き換えに基づき、毎日150mgでおそらく明白になるであろう。その後、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸薬理学的作用の下流活性を示す血清タンパク質バイオマーカー(具体的には、レプチン、MCP−1、IL−6、血清トリグリセリドおよびコレステロール値)の変化に基づき、複数漸増用量研究(実施例3)での有効性をこれらの用量で評価した。
複数漸増用量研究(実施例3)からの薬理学的に関連するバイオマーカーデータのPKPDモデリングを行い、このモデリングに基づき、最も有効な用量を、1日1回150mgであると決定したが;しかしながら、この推定には変動がある。したがって、その後の研究、実施例4で、1日1回150mgの用量のさらなる確認を求めた。
Nrf2活性化によって影響を受けることが公知のトランスポーターに対する10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の治療量の効果を評価するように設計された実施例4の研究からの基礎データは確かに、毎日150mgの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が、これらのトランスポーターによって代謝されるプラバスタチンおよびシンバスタチンの血漿中濃度に影響を及ぼすことを実証した。したがって、この研究によって、150mgでのNrf2活性化に対する10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の活性が確認され、これは、MAD研究(実施例3)の結果および動物からヒトへの置き換えPKPDモデリングの予測と一致した。
10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸は、ホルミシス特性(hormetic properties)を有するシグナル伝達作用物質であるので、標的とされた慢性活性疾患プロセスを有する患者において用量応答を確認することが賢明と考えられた。したがって、原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS、実施例6)によるネフローゼ症候群を有する患者における10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の2つの適正量決定レジメンの3カ月オープンラベルランダム化研究のための3つの用量、1日1回75、150、および300mgを今までの結果に基づき選択した。ヒトにおけるこれらの用量での薬物動態レベルは、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸が動物およびヒトデータ、ならびに適切なモデリングに基づき薬力学的活性を一貫して示している濃度範囲内であろう。FSGS(実施例6)での研究は、この希少疾患を有する患者で有効な用量(または用量)を確認する新規の設計を有する。
(実施例6)
原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)によるネフローゼ症候群を有する患者における10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の2つの適正量決定レジメンの3カ月オープンラベルランダム化研究
この研究の第1の目的の1つは、尿タンパク質によって測定した場合のタンパク尿の減少を特徴付けることである:ベースラインから処置の終了(3カ月)までのクレアチニン比(Up/c比)。別の目的は、3カ月にわたって10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置される患者の安全性プロファイルを決定することである。
第2の目的は、ベースラインと比較して、投与3カ月目の患者においてネフローゼ症候群の血清学的マーカー、すなわち、血清アルブミン、トリグリセリドおよび総コレステロール濃度の変化を特徴付けること;タンパク尿の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸用量依存性減少を評価すること;患者報告アウトカム(FSGSのための標準化機器を使用)に対する、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸での3カ月の処置の効果を評価すること;収縮期および拡張期血圧に対する10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の効果を評価すること;処置の終了時に、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置された患者において疾患活性の血清および尿バイオマーカーのベースラインからの変化を評価すること;10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸で処置された患者においてベースラインからの腎臓機能(推定糸球体濾過率、eGFR、および血清クレアチニン)の変化を評価すること;様々なレベルのeGFRのFSGS患者において10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸(±主な代謝産物)の単回および多回投与薬物動態を評価すること;ならびにデータから可能であれば、PKPD関係を評価することである。
これは、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸の2つの適正量決定レジメンのオープンラベルランダム化研究である。研究に登録するための対象の適格性を決定するために、スクリーニング評価を、治験薬の第1の投与前の約6週間(42日間)以内に行う。適格な対象が、これらだけに限定されないが:平均ベースライン値をそこから計算するスポット尿収集(第1排尿検体)での複数の尿タンパク質/クレアチニン比、血圧の測定、ならびに示されているような他の血清および尿測定を含むベースラインパラメーターを確立するための研究−14日目から1日目までのベースライン相に参加する。その後、対象は、2つの適正量決定レジメンの一方にランダム化される:群1:75mg/日の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸から150mg/日の可能な適正量まで、または群2:150mg/日の10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸から300mg/日までの可能な適正量まで。各群は、12対象までからなる。対象は、適正量の第1のレベルで、75mg(群1)または150mg(群2)のいずれかの10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸を1日1回、2週間にわたって投与され、その時点で、適切な薬理学バイオマーカーの限定した一連の臨床検査を得て、評価する。所定の一連のガイドラインに従って、各対象において、適正量決定レジメンの次の用量である毎日150mg(群1)または300mg(群2)のいずれかへと上がる適正量が、これらの臨床データに基づき決定される。投与を、3カ月を終えるまで継続する。この投与期間中、対象が副作用によって最高用量に対して非忍容性でない限り、用量調節を行わず、非忍容性である場合には、そのレジメンでの低い方の用量への用量の低減が許容され得る。すべての対象が1日目には、治験薬の当初用量を投与される。尿タンパク質/クレアチニン比、腎臓機能(血清クレアチニンおよびeGFR)、10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸標的結合の血清および尿バイオマーカー、臨床的安全性(体重を含む)、PROおよびPKサンプルの収集の連続測定を研究(図34)を通じて評価し、FSGSを有する対象における関連薬物効果の規模および時間経過についてのデータを得る。PK採取は、すべての対象で、研究経過を通じて継続される。投与と関連したPK採取のタイミングを記録する。研究設計は、図35に詳述されている。
特に重要な安全性評価は、軟便/下痢、体重、血液パラメーター(特に、絶対リンパ球数)、筋肉痛の発生、および血清CPK、マグネシウム、クレアチニンの上昇、ならびに肝機能試験であるが、それというのも、これらの作用が、薬理学的作用が多少重複している他の薬物で観察されているためである。
タンパク尿は、短い観察期間でも高度に可変的である。充分に規定されたベースラインを確立し、対象での可変性を評価するために、Up/cの複数の測定を、ベースライン、暫定時点、および投与の3カ月目、およびフォローアップの1カ月目に行う。
登録前に、FSGSおよびその亜型の組織病理学的評価における専門知識について十分に認められている1人の腎臓病理学者が、すべての腎臓生検を検査する。
FSGSおよびその様々な原因に十分に精通している1人の腎臓専門医が、各参加対象の臨床履歴を検査して、選択基準/除外基準とのコンプライアンスを保証する。
この試験での第1の終点は、ベースラインと比較しての、タンパク尿の平均減少である。タンパク尿の減少をまた、次の減少程度を達成した対象の割合によって評価する(レスポンダー解析):Up/cの25%低下;Up/cの50%低下;Up/cの75%低下;部分寛解(PR):ベースラインから≦3gタンパク質/gクレアチニンレベルまで、Up/c比の≧50%低下;完全寛解(CR):ベースラインUp/c比から、<0.3gタンパク質/gクレアチニンレベルまでの低下。
加えて、血清アルブミン、トリグリセリドおよびコレステロールの変化、さらに、患者報告アウトカムを評価する。
有害事象プロファイル、体重、収縮期および拡張期血圧、12リードECG、臨床検査評価ならびに生命徴候を、安全性評価の一部として行う。デジタル式モニターを使用して、血圧も、安全性について、ベースラインと比較した変化について評価する。薬物使用およびその使用量でのすべての変化を、研究経過中に記録する。
親10−ニトロ−9(E)−オクタデカ−9−エン酸および代謝産物(単数または複数)では:Cmax、AUC0−t、AUC0−inf、tmax、t1/2、tlag、CL/F、Vd/F、λ。他のPKパラメーターも適切に計算し得る。完全PKプロファイルのための血漿サンプルを、1日目に、投与前および投与後に収集する。散発的な血漿採取を、研究の残りを通じて収集し、データが許容するならば、プロトコールによって適切に解析する。
脂質(総、LDL、およびHDLコレステロールおよびトリグリセリドなど)およびアルブミンを含むネフローゼ症候群の血清学的測定の変化を、ベースラインから投与の終了まで、および投与完了後1カ月目に評価する。血清クレアチニンおよびeGFRを、ベースラインで、研究経過にわたって、投与の終了時に、および投与の完了後1カ月目に評価する。他の血清および尿バイオマーカー(レプチン、空腹時血糖インスリン比、MCP−1など)を、データが許せば、ベースラインから3カ月目の投与終了時まで、フォローアップで評価する。
データが許せば、さらに適切ならば、様々なFSGSパラメーターおよびバイオマーカーに対してPK/PDを行う。
有効性の形式的な評価に加えて、データが許せば、予備解析を行う。この解析は、追加の共変数(例えば、適切には、FSGSバリアント、ベースライン尿タンパク尿、ベースライン血清クレアチニン、APOL−1状態など)を含んでよい。追加の詳細は、別の統計解析計画書(SAP)に明記する。
この研究の能力は、治療の非存在下での予想寛解速度に依存している。成人でのFSGSの調査では、Korbetは、<5%の自発的寛解速度を記載している。さらに、有効な処置の非存在下での経時的な改善は、まったく予想されない。Tumlinらは、Up/c比が、処置の4カ月後に、プラセボ処置されたステロイド耐性患者では9%上昇したことを報告した。この理由で、経時的な統計的に有意な平均改善は、時間の混同にもかかわらず、処置レジメンに帰せられる。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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