JP2021169603A - 重合性組成物、当該組成物から得られる硬化物および重合性組成物の製造方法 - Google Patents

重合性組成物、当該組成物から得られる硬化物および重合性組成物の製造方法 Download PDF

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麻理菜 貫井
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貴行 塙
Takayuki Hanawa
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Mamoru Tanaka
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Abstract

【課題】機械強度が高く、線膨張係数が低く加熱時の寸法安定性に優れ、透明性が良好な硬化物または光学材料が得られる重合性組成物を提供する。【解決手段】本発明の重合性組成物は、(a)アリル化合物と、(b)平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維と、(c)ラジカル重合開始剤とを、含み、セルロース繊維(b)の含有量が、アリル化合物(a)100質量%に対して0.1質量%以上15質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性組成物、当該組成物から得られる硬化物および重合性組成物の製造方法に関する。
透明プラスチックは軽量で割れ難いためCDやDVD等の光ディスクの基板材料、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として急速に普及してきており、これまでに様々なプラスチック材料を用いた光学材料が開発され使用されている。
代表的な例としては、ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートやジアリルイソフタレートから得られるアリル樹脂や、(メタ)アクリレートから得られる(メタ)アクリル樹脂、イソシアネート化合物とチオール化合物から得られるポリチオウレタン樹脂が挙げられる。近年では、透明性に優れていることからアリル樹脂からなる光学材料の開発が進められている。
特許文献1には、所定のアリルカーボネートモノマーと、過酸化物ラジカル開始剤とを含むアリルカーボネートモノマー含有組成物が開示されている。当該文献には、この組成物からなる有機ガラスは眼用レンズに用いることができると記載されている。しかしながら、これまでの透明樹脂や、特許文献1に示すような樹脂では機械強度や耐熱寸法安定性が無いために、光学材料としてガラス代替とするには十分でないこともあった。これらの欠点を補うため、繊維を分散させた樹脂の開発が進められている。
特許文献2には、ジアリルフタレート樹脂と、有機繊維を1〜15質量%含有するジアリルフタレート樹脂成形材料が開示されている。当該文献には、有機繊維の繊維長が1mm〜6mmであり、その有機繊維としてセルロース繊維が例示されている。
特許文献3には、所定の平均直径のセルロースナノファイバーを、樹脂中に所定の量で含有する複合樹脂組成物が開示されている。当該文献には、当該セルロースナノファイバーの水酸基が、アルキルエーテル化、アルキルシリル化、アルキルエステル化されることが記載されている。さらに、樹脂として、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂が例示されている。
特表2019−500486号公報 特開2013−10883号公報 特開2012−167202号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の従来の技術においては以下の点に改善の余地があった。
特許文献1に記載されたアリル樹脂からなるレンズは、透明性に優れるものの機械強度に改善の余地があった。
特許文献2に記載の技術は、コイルボビン、スイッチケースのような電気・電子部品に関するものであり、実施例においては着色剤としてカーボンブラックを添加している。さらに、有機繊維の繊維長も大きく、当該用途において透明性は全く考慮されていない。
特許文献3に記載の樹脂組成物からなる成形体は、金属粒子のような着色剤を含むことを許容するように、レンズのような光学材料を想定しておらず、当該光学材料に求められる透明性に改善の余地があった。
一方で、樹脂組成物に有機繊維を混合し光学材料を成形した場合、機械強度と加熱時の寸法安定性を有するものの、透明なものは得られなかった。
本発明者らは検討した結果、アリル化合物と、所定の平均繊維径のセルロース繊維を特定の範囲で含むことにより、上記の課題を解決できることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1](a)アリル化合物と、
(b)平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維と、
(c)ラジカル重合開始剤と、
を、含み、
セルロース繊維(b)の含有量が、アリル化合物(a)100質量%に対して0.1質量%以上15質量%以下である、重合性組成物。
[2] アリル化合物(a)が
ジアリルイソフタレート、および下記一般式(1)で表されるアリルオキシカルボニル基を2つ以上含むアリルカーボネート化合物から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の重合性組成物。
Figure 2021169603
(Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜10の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。)
[3] セルロース繊維(b)は、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカーボネート基、炭素原子数2以上22以下であるアルケニルカーボネート基、および炭素原子数6以上22以下であるアリールカルボニルオキシ基から選択される少なくとも1種の基を備えるセルロース繊維を含む、[1]または[2]に記載の重合性組成物。
[4] セルロース繊維(b)は、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、およびシンナモイルオキシ基、アリルカーボネート基から選ばれる少なくとも1種の基を備えるセルロース繊維を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の重合性組成物。
[5] 前記重合性組成物の厚さ2.5mmの硬化物のHazeが20以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の重合性組成物。
[6] 前記重合性組成物の硬化物の弾性率が1,800N/mm以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の重合性組成物。
[7] 前記重合性組成物の硬化物の線膨張係数が180ppm/K以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の重合性組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の重合性組成物からなる硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物からなる光学材料。
[10] 平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させる工程と、
得られた分散液とアリル化合物(a)とを混合する工程と、
得られた混合物から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤を混合する工程と、
を含む、重合性組成物の製造方法。
[11] 前記有機溶媒がアセトン、ジメチルアセトアミド、および1,4−ジオキサンから選択される少なくとも1種である、[10]に記載の重合性組成物の製造方法。
[12] 前記工程aで得られたセルロース繊維(b)と前記有機溶媒との前記分散液の粘度が10mPa・s以上800mPa・s以下である[10]または[11]に記載の重合性組成物の製造方法。
[13] 平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させる工程と、
得られた分散液にアリル化合物(a)を混合する工程と、
得られた混合液から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤(c)を混合して重合性組成物を得る工程と、
前記重合性組成物を加熱硬化する工程と、
を含む硬化物の製造方法。
[14] 前記有機溶媒がアセトン、ジメチルアセトアミド、および1,4−ジオキサンから選択される少なくとも1種である、[13]に記載の硬化物の製造方法。
[15] 前記工程aで得られたセルロース繊維(b)と前記有機溶媒との前記分散液の粘度が10mPa・s以上800mPa・s以下である[13]または[14]に記載の硬化物の製造方法。
本発明の重合性組成物によれば、機械強度が高く、線膨張係数が低く加熱時の寸法安定性に優れ、透明性が良好な硬化物または光学材料を提供することができる。言い換えれば、本発明の重合性組成物によれば、これらの特性のバランスに優れた光学材料を提供することができる。
また、本発明の重合性組成物の製造方法によれば、所定の平均繊維径のセルロース繊維を樹脂中に均一に分散させることができ、得られた重合性組成物は、機械強度および透明性に優れ、さらに線膨張係数が低く寸法安定性に優れた硬化物または光学材料を提供することができる。
本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本明細書において「〜」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
本実施形態の重合性組成物は、(a)アリル化合物と、(b)平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維と、(c)ラジカル重合開始剤と、を含み、セルロース繊維(b)の含有量が、アリル化合物(a)100質量%に対して0.1質量%以上15質量%以下である。
本実施形態の重合性組成物は、機械強度が高く、線膨張係数が低く加熱時の寸法安定性に優れ、透明性が良好な硬化物または光学材料を提供することができる。
[アリル化合物(a)]
本実施形態の重合性組成物に含まれるアリル化合物(a)は、本発明の効果を発揮し得る範囲で従来公知のアリル化合物を用いることができる。
本実施形態においては、本発明の効果の観点から、アリル化合物(a)として、ジアリルイソフタレート、およびアリルカーボネート化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(アリルカーボネート化合物)
本実施形態において、アリルカーボネート化合物は、下記一般式(1)で表されるアリルオキシカルボニル基を2つ以上含む化合物である。
Figure 2021169603
は、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜20の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。
アリルカーボネート化合物は、そのオリゴマーを含むことができる。オリゴマーはたとえば、ジアリルカーボネートとポリオールのエステル交換反応により生成する、カーボネート結合を介して2分子以上のポリオールが連結したポリ(アリルカーボネート)である。このアリルカーボネート化合物は、3〜35個の炭素原子を有する鎖状または分岐鎖状の脂肪族ポリオールのポリ(アリルカーボネート)である。分子中に5〜40個の炭素原子を有する環状脂肪族ポリオールのポリ(アリルカーボネート)もこの目的に好適である。これらのポリオールは、通常は分子中に2〜6個、好ましくは2〜4個の水酸基を有することができる。混合ポリ(アリルカーボネート)、すなわち2種類以上のポリオールに由来し、単一のポリオールのポリ(アリルカーボネート)の混合によって得ることができるもの、またはポリオールの混合物とジアリルカーボネートから出発して化学反応によって直接得ることができるものを使用することも可能である。最後に、これら総てのポリ(アリルカーボネート)は、モノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の形態であることができる。
一般式(1)のRを構成するポリオールは、具体例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−[5.2.1.02,6]トリシクロデカン、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
したがって、アリルカーボネート化合物の例は、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンおよび4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−[5.2.1.02,6]トリシクロデカンから選択される少なくとも1種のジオールのビス(アリルカーボネート)化合物;
グリセロール、トリメチロールプロパンおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートから選択される少なくとも1種のトリオールのトリス(アリルカーボネート)化合物;
ペンタエリスリトール、ジグリセロールおよびジトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種のテトラオールのテトラ(アリルカーボネート)化合物;
ジペンタエリスリトールのヘキサ(アリルカーボネート)化合物;および
前記ジオール、前記トリオール、前記テトラオールおよび前記ジペンタエリスリトールから選択される少なくとも2種類の化合物の混合ポリ(アリルカーボネート)化合物;等から選択される少なくとも1種を含む。
なお、「少なくとも2種類のジオールの混合物のビス(アリルカーボネート)」とは、例えば、ジオールがジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの場合、以下のモノマー成分とオリゴマー成分の混合物として得られる。
モノマー成分
(1)ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)
(2)ネオペンチルグリコールビス(アリルカーボネート)
オリゴマー成分
(3)ジエチレングリコール由来の炭化水素(およびエーテル)のみを含むオリゴマー
(4)ネオペンチルグリコール由来の炭化水素のみを含むオリゴマー
(5)ジエチレングリコール由来の炭化水素(およびエーテル)とネオペンチルグリコール由来の炭化水素の両方を含む複合的なオリゴマー
下記のものは、本発明の目的に好適なアリルカーボネート化合物の好ましい例である。
(i)ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)は、式(1−1)で定義することができる。
Figure 2021169603
また、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のオリゴマーは、式(1−2)で定義することができる。
Figure 2021169603
式中、rは2以上の整数である。
化合物(1−1)は、例えば「化学技術の百科辞典」、Kirk−Othmer、III版、第2巻、111〜112頁に記載のように、ジエチレングリコールビス(クロロホルメート)をアリルアルコールと反応させることによって製造することができる。ジエチレングリコービス(アリルカーボネート)(式(1−1))とそのオリゴマー(式(1−2))の混合物は、例えば、欧州特許第35,304号明細書に記載されているように、塩基性触媒の存在下にて操作して、ジアリルカーボネートとジエチレングリコールとのエステル交換によって簡便に製造することができる。これらの混合物は通常はオリゴマー約80重量%までを含む。
(ii)ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合物のビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このビス(アリルカーボネート)化合物は、ジエチレングリコールをジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとの混合物で置換したこと以外は、前記の(i)のビス(アリルカーボネート)と同様である。
(iii)ジエチレングリコールとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、例えば、米国特許第4,812,545号に記載されているように、ジエチレングリコールとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの混合物のジアリルカーボネートのエステル交換によって得ることができる。
(iv)ジエチレングリコールとトリメチロールプロパンの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートをトリメチロールプロパンで置換したこと以外は、前記の(iii)のポリ(アリルカーボネート)と同様である。
(v)ジエチレングリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートをペンタエリスリトールで置換したこと以外は、前記の(iii)のポリ(アリルカーボネート)化合物と同様である。
(vi)ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、ジエチレングリコールをジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの2種のジオールで置換したこと以外は、前記の(v)のポリ(アリルカーボネート)化合物と同様である。
(vii)ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーの混合物と、
ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物と、を含むポリ(アリルカーボネート)混合物
本実施形態の重合性組成物は、アリルカーボネート化合物とともに、(メタ)アクリル化合物などのラジカル重合性化合物を含むことができる。(メタ)アクリル化合物としては、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等を挙げることができる。
[セルロース繊維(b)]
本実施形態の重合性組成物は、セルロース繊維(b)を含む。
セルロース繊維(b)の平均繊維径は100nm以下、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下とすることができる。平均繊維径が100nm以下であると、樹脂の透明性を保ちつつ、補強効果をもたらすだけの緻密な編み目構造を形成することができる。下限値は特に限定されないが、工業上入手可能性から3nm以上である。
本実施形態において、セルロース繊維(b)としては上記の平均繊維径を有していれば本発明の効果を発揮し得る範囲で公知のセルロース繊維から選択して用いることができる。
セルロース繊維(b)の平均繊維長は、本発明の効果の観点から、1μm〜100μm、好ましくは2μm〜60μm、さらに好ましくは3μm〜50μmとすることができる。
平均繊維径および平均繊維長の測定方法としては、走査型電子顕微鏡写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出する方法を挙げることができる。
セルロース繊維(b)の平均繊維長を短くするには、セルロース繊維の重合度を低くすることや、せん断時間を長くすることによってできる。せん断処理としては、液相せん断処理や固相せん断処理が挙げられ、液相せん断処理が好ましく、液相としては水溶媒が挙げられる。セルロース繊維の平均繊維長と前記処理後の分散液の粘度には相関があり、セルロース繊維の平均繊維長が短いほど前記処理後の分散液の粘度が低い傾向がある。
前記処理後の分散液の粘度は800mPa・s以下、好ましくは600mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下とすることができる。下限値は特に限定されないが10mPa・s以上程度である。機械強度を高める目的で、30mPa・s以上とすることが好ましく、さらに好ましくは50mPa・s以上である。
前記処理後の分散液の粘度と、セルロース繊維(b)の平均繊維長とは相関関係にあり、繊維径が同じ場合、当該粘度が低いほど当該平均繊維長が短い。
分散液の粘度は、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて、液温25℃、スピンドルNo.62、回転数50rpmで測定することができる。
セルロース繊維(b)のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、本発明の効果の観点から、40〜1000、好ましくは50〜800、より好ましくは80〜600とすることができる。
セルロース繊維(b)の含有量は、アリル化合物(a)100質量%に対して、0.1質量%以上15質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上0.8質量%以下とすることができる。
セルロース繊維(b)の含有量が上記の範囲にあると、機械強度および透明性に優れ、さらに線膨張係数が低く寸法安定性に優れた硬化物を得ることができ、特に透明性に優れた硬化物を得ることができ
セルロース繊維(b)としては、表面が化学修飾されていないセルロース繊維または表面が化学修飾されたセルロース繊維を使用することができ、化学修飾されたセルロース繊維を用いることが好ましい。
化学修飾されたセルロース繊維は、本発明の効果を発揮し得る範囲で公知の基をその表面に備えることができるが、当該基として好ましくは、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカルボニルオキシ基(b1)、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカーボネート基(b2)、炭素原子数2以上22以下であるアルケニルカーボネート基(b3)、および炭素原子数6以上22以下であるアリールカルボニルオキシ基(b4)から選択される少なくとも1種の基を挙げることができる。
化学修飾されたセルロース繊維がこれらの基を備えることにより、機械強度、透明性および寸法安定性により優れた硬化物を得ることができ、特に機械強度により優れた硬化物を得ることができる。
炭素原子数2以上22以下であるアルキルカルボニルオキシ基(b1)としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
炭素原子数2以上22以下であるアルキルカーボネート基(b2)としては、メチルカーボネート基、プロピルカーボネート基、イソブチルカーボネート基、t−ブチルカーボネート基、ヘプチルカーボネート基、ヘキシルカーボネート基、オクチルカーボネート基、デカニルカーボネート基、ドデカニルカーボネート基、シクロヘキシルカーボネート基等を挙げることができる。
炭素原子数2以上22以下であるアルケニルカーボネート基(b3)としては、アリルカーボネート基、イソプロペニルカーボネート基、ブテニルカーボネート基、ペンテニルカーボネート基、ヘキセニルカーボネート基、ヘプテニルカーボネート基、オクテニルカーボネート基、ノネニルカーボネート基、デセニルカーボネート基、ドデセニルカーボネート基等を挙げることができる。
炭素原子数6以上22以下であるアリールカルボニルオキシ基(b4)としては、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、シンナモイルオキシ基等を挙げることができる。
化学修飾されたセルロース繊維が、その表面に備える基としては、本発明の効果の観点から、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、およびシンナモイルオキシ基、アリルカーボネート基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、アリルカーボネート基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本実施形態においては、セルロース繊維(b)はカルボニル基(C=O、1730cm−1)の強度を、グルコース環内CH基(1370cm−1)の強度で除した値(IRindex)が0.7〜2.5であるものが好ましい。IRindexはセルロース繊維のOH基の修飾率と相関があり、IRindexの値が大きいほど修飾率が高いといえる。
(化学修飾されたセルロース繊維の調製方法)
本実施形態において、化学修飾されたセルロース繊維は国際公開第2017/159823号等に記載の公知の方法にしたがって調製することができ、セルロース繊維表面の水酸基をアセチル化またはアシル化することにより得ることができる。これにより、繊維表面にアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、およびシンナモイルオキシ基、アリルカーボネート基から選ばれる少なくとも1種を繊維表面に備えることができる。
[ラジカル重合開始剤(c)]
ラジカル重合開始剤(c)は、本発明の効果を発揮し得る範囲で特に限定されれず公知の化合物を用いることができるが、本実施形態においては、パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤、パーオキシモノカーボネート系ラジカル重合開始剤およびパーオキシエステル系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤としては、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヴァレレート、エチル−3,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヴァレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス[4,4−(ジ−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル]プロパンを挙げることができる。
パーオキシモノカーボネート系ラジカル重合開始剤としては、
OO−(t−ブチル)−O−イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO−(t−アミル)−O−イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO−(t−ブチル)−O−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、OO−(t−アミル)−O−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネートを挙げることができる。
パーオキシエステル系ラジカル重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを挙げることができる。
本実施形態においては、ラジカル重合開始剤(c)として、パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤またはパーオキシモノカーボネート系ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、具体的には、OO−(t−ブチル)−O−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、OO−(t−アミル)−O−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を用いることが好ましい。
本実施形態において、ラジカル重合開始剤(c)の使用量は、重合条件や開始剤の種類、開始剤の純度および使用される希釈剤、アリル化合物(a)の組成によって異なり、一概に限定できないが、アリル化合物(a)100重量部に対して0.3〜5.0重量部、好ましくは0.5〜3.0重量部であり、また2種以上のラジカル重合開始剤を組み合わせて使用することもできる。
また、本実施形態の重合性組成物を重合させる際、重合条件のうち、特に温度は得られる硬化物の性状に影響を与える。この温度条件は、ラジカル重合開始剤(c)の種類と量や単量体の種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させるのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般に12〜24時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。また、本実施形態の光学材料用重合性組成物は、35℃以下の厳密な制御は必要なく、60℃以上から開始するパターンでも硬化が可能であり、成型が容易なため、歩留まりが高い。
本実施形態においては、アリル化合物(a)と、セルロース繊維(b)と、ラジカル重合開始剤(c)と、を組み合わせて用いることにより、透明性を損なうことなく、機械強度に優れた硬化物を提供することができるとともに、重合時におけるレンズの割れや重合剥がれ等が特に抑制されており成形性により優れるため、製品の歩留まりが大きく改善される。
本実施形態の重合性組成物を硬化するためには、当該組成物にラジカル重合開始剤(c)を添加し、次に加熱硬化法又は活性エネルギー線硬化法により硬化させて得ることができる。
[その他の成分]
本実施形態においては、上記(a)〜(c)成分に加えて、紫外線吸収剤、樹脂改質剤、内部離型剤等をさらに含んでもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、フェノール系紫外線吸収剤、オキサアニリド系紫外線吸収剤、およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。
<重合性組成物の製造方法>
本実施形態の重合性組成物の製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させる。
工程b:得られた分散液とアリル化合物(a)とを混合する。
工程c:得られた混合物から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤(c)を混合する。
[工程a]
セルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させるには、特に限定されず、セルロース繊維(b)を有機溶媒に投入し、従来公知の方法で混合する方法を挙げることができ、ホモジナイザーを用いることが好ましい。
セルロース繊維(b)の分散液を用いることにより、重合性組成物中にセルロース繊維(b)を均一に分散させることができ、機械強度、透明性および寸法安定性に優れた硬化物を得ることができる。
セルロース繊維(b)を調製する際に得られた調製液をそのまま分散液として用いることができるが、洗浄されたセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させて分散液を得ることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトン、1,4−ジオキサン、1−ドデカノール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。
本実施形態においては、セルロース繊維(b)の分散性の観点から、有機溶媒のSP値が9.0〜11.0(cal/CM)1/2のものを用いることがより好ましい。そのような有機溶媒として、ジメチルアセトアミド、アセトン、1,4−ジオキサンが好ましく用いられ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。これにより、機械強度、透明性および寸法安定性により優れた硬化物を得ることができ、特に透明性により優れる。
分散液100質量%中のセルロース繊維(b)の濃度は、0.3質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下とすることができる。
当該分散液には、必要に応じて、セルロース繊維(b)以外の他の成分として、公知の界面活性剤や増粘剤等を添加することもできる。これらの他の成分は、セルロース繊維(b)と同時に混合することができ、別途添加し混合することもできる。
[工程b]
本工程においては、工程aで得られた分散液とアリル化合物(a)とを混合する。
混合する方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
混合の際には、分散液を混合しながら、そこにアリル化合物(a)添加することができる。混合時間は、分散液の量及び添加速度により変化するが、5分間程度である。当該工程においてアリル化合物(a)を一部添加してもよく、全量添加してもよい。
[工程c]
本工程においては、工程aで得られた混合物から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤(c)を混合する。
除去の際の温度と時間は溶媒種によって変化するが、20〜100℃で1〜12時間かけて行われる。
混合物から有機溶媒を除去した後、従来公知の方法でラジカル重合開始剤(c)を混合する。工程bにおいてアリル化合物(a)を一部添加した場合には、ラジカル重合開始剤(c)とともに残りのアリル化合物(a)を混合することができる。
<硬化物・光学材料>
本実施形態の硬化物は、上述のようにして得られた重合性組成物を加熱硬化することにより得ることができる。
本実施形態の硬化物は透明性に優れており、厚さ2.5mmの硬化物のHazeが20以下、好ましくは14以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは7以下である。
さらに、本実施形態の硬化物は機械強度に優れており、弾性率が1,800N/mm以上、好ましくは2,000N/mm以上、さらに好ましくは2,100N/mm以上である。
さらに、本実施形態の硬化物は加熱時の寸法安定性に優れており、例えば、100℃以上となるような環境下においても変形することがなく製品信頼性に優れる。線膨張係数は、180ppm/K以下、好ましくは175ppm/K以下、さらに好ましくは168ppm/K以下である。
本実施形態の光学材料は硬化物からなり、特に限定されないが、好ましい製造方法として注型重合が挙げられる。注型重合時のモールドの種類を変えることにより種々の形状の樹脂成形体として得ることができる。
注型重合においては、はじめに、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に重合性組成物を注入する。この時、得られる硬化物に要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
重合条件については、重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、−50〜150℃の温度で1〜50時間かけて行われる。場合によっては、10〜150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1〜48時間で硬化させることが好ましい。
樹脂成形体は、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50〜150℃の間で行われるが、90〜140℃で行うことが好ましく、100〜130℃で行うことがより好ましい。
本実施形態において、樹脂を成形する際には、上記「その他の成分」に加えて、目的に応じて公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、ラジカル捕捉剤、光安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤、抗菌剤、帯電防止剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
<用途>
本実施形態の重合性組成物から得られた硬化物(樹脂成形体)は、優れた透明性、機械強度および寸法安定性を兼ね揃えた材料を得ることができるため、プレスチック眼鏡レンズ、プレスチック偏光レンズ、フォトクロミックレンズ、ゴーグル、視力矯正用眼鏡レンズ、撮像機器用レンズ、液晶プロジェクター用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、コンタクトレンズ、AR−VR用機材、スマートフォンパネルなどの各種光学材料に使用することが可能である。特に、プラスチック眼鏡レンズやプラスチック偏光レンズとして好適に用いることができる。
[プラスチック眼鏡レンズ]
本実施形態の成形体からなるレンズ基材を用いたプラスチック眼鏡レンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、上述の重合性組成物からなるレンズ基材とコーティング層とからなる。
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
これらのコーティング層はそれぞれ、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、フォトクロミック化合物、その他帯電防止剤等、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。
塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
プライマー層は通常、後述するハードコート層とレンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。プライマー層には得られたレンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
プライマー層は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。塗布法を用いる場合、プライマー組成物を、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法でレンズに塗布した後、固化することによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In及びTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
ハードコート組成物には上記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよいし、無溶剤で用いてもよい。
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビ−ムアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
反射防止層の上には、必要に応じて防曇層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇処理方法、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)および複合化樹脂の評価]
(1)平均繊維径
修飾CNFの形状は日本電子製FE−SEMを用いて観察した。平均繊維径は拡大率50000倍のSEM写真の画像から無作為に50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。
(2)IRindex
修飾CNFのIRスペクトルをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定し、カルボニル基(C=O、1730cm−1)の強度を、グルコース環内CH基(1370cm−1)の強度で除した値(IC=O/ICH)をIRindexとした。
(3)Haze
日本電色工業製Haze Meterを用いて、厚さ2.5mmの硬化物のHazeを評価した。
(4)弾性率
得られた厚さ2.5mmの硬化物を25mm幅×65mm長に切断し、測定サンプルとした。SHIMADZU製AGS−Jを用い、曲げモードで支点間距離32mm、曲げ速度1.2mm/minで測定を行った。
(5)線膨張係数(平面方向)
得られた厚さ2.5mmの硬化物を2.5〜2.7mm幅×8mm長さに切断し、測定サンプルとした。SHIMADZU製TMA−60の測定台に樹脂平面が垂直となるようにセットした。測定モードは圧縮で、荷重50g、室温から140℃まで10℃/minで昇温し、90℃〜120℃の間の平均の線膨張率を測定した。
(6)屈折率(n
SHIMADZU製KPR−30を用いて得られた硬化物の屈折率(n)を測定した。
(7)分散液の粘度
実施例で得られた分散液を、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて、液温25℃、スピンドルNo.62、回転数50rpmにおける粘度を測定した。
[使用原料]
(1)修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)
・アセチルオキシ基/アリルカーボネート基で共修飾したセルロースナノファイバー(共修飾CNF)(平均繊維径50nm、株式会社KRI製)
・アセチルオキシ基で修飾したセルロースナノファイバー(平均繊維径50nm、株式会社KRI製)
・アセチルオキシ基で修飾したセルロースナノファイバー(平均繊維径30nm、株式会社KRI製)
・プロピオニルオキシ基で修飾したセルロースナノファイバー(平均繊維径20nm、株式会社KRI製)
・プロピオニルオキシ基で修飾したセルロースナノファイバー(平均繊維径50nm、株式会社KRI製)
・未修飾セルロースナノファイバー(平均繊維径5nm、株式会社KRI製)
・シンナモイル基で修飾したセルロースナノファイバー(平均繊維径100nm、株式会社KRI製)
・アリルカーボネート修飾セルロースナノファイバー(平均繊維径30nm、株式会社KRI製)
(2)アリルカーボネート化合物
・RAV755T(アリルエステル化合物、アリルカーボネート化合物、およびアリルエステル基とアリルカーボネート基とを有する化合物の混合物、ACOMON社製)
・RAV7MC(アリルカーボネート基を有する化合物の混合物、ACOMON社製)
[実施例1]
アセチルオキシ基/アリルカーボネート基で共修飾したセルロースナノファイバー(共修飾CNF)の平均繊維径は50nm、セルロース重合度は2000であった。アセチルオキシ基で修飾した後のセルロースナノファイバーのIRindexは0.96、続いてアリルカーボネート基で修飾した後のセルロースナノファイバーのIRindexは1.08あった。
溶媒としてN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)に共修飾CNFを分散させた分散液(固形分濃度1重量%)50.2gにRAV755Tを49.5g加え混合し、600Paで7時間かけて50℃から90℃に昇温しながら攪拌した、さらに90℃で3.5時間攪拌することでDMAcを除去した。
得られた混合物12.1g、RAV755Tを18.0g、パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤(アルケマ吉富製、製品名「Luperox531M80」、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサンの80%溶液)0.25gを混合し、25℃で1時間脱気した後、2枚の円盤状のガラス板の外周を粘着テープで巻いた型に注入して、室温から110℃まで次第に温度を上昇させながら21時間重合し離型し、120℃で2時間アニール化を行い、2.5mmの厚みの平板状の硬化物を得た。得られた硬化物の、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の分散溶媒を1,4−ジオキサンとし、得られた分散液とRAV755Tを混合後、600Pa、25℃で3時間攪拌し、さらに50℃で5.5時間攪拌することでDMAcを除去した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、DMAcを除去して得られた混合物16.0g、ラジカル重合開始剤0.14gを混合した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の共修飾CNFに代えて、アセチルオキシ基で単修飾したCNFを用いた。アセチルオキシ基で単修飾したCNFの平均繊維径は50nm、セルロース重合度は2000、IRindexは1.40であった。
溶媒としてDMAcにアセチルオキシ基で単修飾したCNFを分散した分散液と、RAV755Tを混合後、600Pa、50℃で4時間攪拌し、さらに3時間かけて80℃まで昇温しながら攪拌した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の共修飾CNFに代えて、アセチルオキシ基で単修飾したCNFを用いた。アセチルオキシ基で単修飾したCNFの平均繊維径は30nm、セルロース重合度は2000、IRindexは1.34であった。
アセチルオキシ基で単修飾したCNFと溶媒として1,4−ジオキサンを用いた分散液とRAV755Tを混合後、600Pa、室温で4時間攪拌した後30℃で5時間攪拌し、さらに1.5時間かけて40℃まで昇温しながら攪拌した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例4において、DMAcを除去した分散液16.0g、ラジカル重合開始剤0.14gを混合した以外は、実施例4と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1の共修飾CNFに代えて、プロピオニルオキシ基で単修飾したCNFを用いた。プロピオニルオキシ基で単修飾したCNFの平均繊維径は20nm、セルロース重合度は2000、IRindexは1.20であった。
溶媒としてN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)にプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFを分散した分散液と、RAV755Tとを混合後、600Pa、60℃で2.5時間攪拌し、さらに90℃で3.5時間攪拌した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1の共修飾CNFに代えて、プロピオニルオキシ基で単修飾したCNFを用いた。プロピオニルオキシ基で単修飾したCNFの平均繊維径は50nm、セルロース重合度は2000、IRindexは1.43であった。
溶媒としてアセトンにプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFを分散した分散液と、RAV755Tとを混合後、エバポレータを使用して5300Pa、35℃で濃縮した以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例8のプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFに代えて、シンナモイル基で単修飾したCNFを用いた。シンナモイル基で単修飾したCNFの平均繊維径は100nm、セルロース重合度は2000、IRindexは2.22であった。
シンナモイル基で単修飾したCNFを用いた以外は実施例8と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例7のプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFに代えて、未修飾CNFを用いた。未修飾のCNFの平均繊維径は5nm、セルロース重合度は2000であった。オリンパス製STM5−311を用いてベッケ法により未修飾のCNFの屈折率(n)を測定したところ、1.547〜1.548であった。未修飾のCNFと溶媒としてDMAcを用いた分散液(固形分濃度0.37重量%)の粘度は433.5mPa・sであった。分散液75.7gとRAV755T69.8gを混合してDMAcを除去した。得られた混合物50.0g、Luperox531−M800.40gを混合した以外は実施例7と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例7のプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFに代えて、未修飾CNF(平均繊維径5nm、セルロース重合度2000)を、M TECHNIQUE社製クレアミックスCLM−0.8sを用いて10分せん断処理を行った。未修飾のCNFと溶媒としてDMAcを用いた分散液(固形分濃度0.37重量%)の粘度は233.3mPa・sであった。分散液75.7gとRAV755T69.8gを混合してDMAcを除去した。得られた混合物50.0g、Luperox531−M80を0.40g混合した以外は実施例7と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例7のプロピオニルオキシ基で単修飾したCNFに代えて、未修飾CNF(平均繊維径5nm、セルロース重合度150)を、M TECHNIQUE社製クレアミックスCLM−0.8sを用いて10分せん断処理を行った。未修飾のCNFと溶媒としてDMAcを用いた分散液(固形分濃度0.37重量%)の粘度は79.3mPa・sであった。分散液80.0gとRAV755T69.7gを混合してDMAcを除去した。得られた混合物66.0g、Luperox531−M80を0.52g混合した以外は実施例7と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例12の未修飾CNF分散液80.0gとRAV755Tを69.7g混合し、600Pa、60℃で2.5時間攪拌し、さらに90℃で3.5時間攪拌して得られた混合物を混合物Aとする。実施例12の未修飾CNF分散液80.0gとRAV7MC69.7gを混合し、600Pa、60℃で2.5時間攪拌し、さらに90℃で3.5時間攪拌して得られた混合物を混合物Bとする。得られた混合物A58.9g、混合物B2.05g、Luperox531M80を0.49g混合した以外は実施例12と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例13において、得られた混合物A47.3g、混合物B2.25g、Luperox531M80を0.40g混合した以外は実施例12と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率、Haze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
RAV755Tを30.0gとラジカル重合開始剤0.25gを混合し、25℃で1時間脱気した後、2枚の円盤状のガラス板の外周を粘着テープで巻いた型に注入して、室温から110℃まで次第に温度を上昇させながら21時間重合し離型し、120℃で2時間アニール化を行い、2.5mmの厚みの平板状の硬化物を得た。得られた硬化物のHaze、弾性率、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
アリルカーボネート修飾セルロースナノファイバーのアセトン分散液(固形分濃度13
.8重量%、平均繊維径30nm)3.04gに、ノルボルネンメタンジイソシアネート
を70.0g加え混合し、ホモジナイザー(アズワン製)を用いて、19000rpmで
20分攪拌した後、600Paで6時間攪拌しアセトンを除去した。
得られた混合物18.8gに、UV吸収剤(共同薬品社製、製品名「Viosorb583」)600mg、内部離型剤(stepan社製、製品名「Zelec UN」、酸性燐酸エステル)40.2mg、触媒ジ−n−ブチルスズジクロライド14mgを25℃にて混合溶解させた。そこにペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を18.4g加え良く攪拌した後、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタンを2.77g加えてさらに攪拌した。この混合液を25℃で30分脱気した後、2枚の円盤状のガラス板の外周を粘着テープで巻いた型に注入して、室温から120℃まで次第に温度を上昇させながら17時間重合した。その後樹脂組成物を離型し、120℃に2時間アニール化を行い、2.5mmの厚みの平板状の硬化物を得た。得られた硬化物のHazeを測定した。Hazeの値が大きいことから、弾性率、線膨張係数は測定しなかった。結果を表1に示す。
Figure 2021169603
Figure 2021169603
Figure 2021169603
表1の結果から、実施例の重合性組成物は、平均繊維径が100nm以下であるセルロースナノファイバーがアリル化合物100質量%に対して所定の範囲で含まれており、機械強度、加熱時の寸法安定性、および透明性のバランスに優れた硬化物を得ることができた。

Claims (15)

  1. (a)アリル化合物と、
    (b)平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維と、
    (c)ラジカル重合開始剤と、
    を、含み、
    セルロース繊維(b)の含有量が、アリル化合物(a)100質量%に対して0.1質量%以上15質量%以下である、重合性組成物。
  2. アリル化合物(a)が
    ジアリルイソフタレート、および下記一般式(1)で表されるアリルオキシカルボニル基を2つ以上含むアリルカーボネート化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2021169603
    (Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜10の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。)
  3. セルロース繊維(b)は、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2以上22以下であるアルキルカーボネート基、炭素原子数2以上22以下であるアルケニルカーボネート基、および炭素原子数6以上22以下であるアリールカルボニルオキシ基から選択される少なくとも1種の基を備えるセルロース繊維を含む、請求項1または2に記載の重合性組成物。
  4. セルロース繊維(b)は、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、t−ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、およびシンナモイルオキシ基、アリルカーボネート基から選ばれる少なくとも1種の基を備えるセルロース繊維を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. 前記重合性組成物の厚さ2.5mmの硬化物のHazeが20以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
  6. 前記重合性組成物の硬化物の弾性率が1,800N/mm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
  7. 前記重合性組成物の硬化物の線膨張係数が180ppm/K以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物からなる硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物からなる光学材料。
  10. 平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させる工程と、
    得られた分散液とアリル化合物(a)とを混合する工程と、
    得られた混合物から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤を混合する工程と、
    を含む、重合性組成物の製造方法。
  11. 前記有機溶媒がアセトン、ジメチルアセトアミド、および1,4−ジオキサンから選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の重合性組成物の製造方法。
  12. 前記工程aで得られたセルロース繊維(b)と前記有機溶媒との前記分散液の粘度が10mPa・s以上800mPa・s以下である、請求項10または11に記載の重合性組成物の製造方法。
  13. 平均繊維径が3nm以上100nm以下であるセルロース繊維(b)を有機溶媒に分散させる工程と、
    得られた分散液にアリル化合物(a)を混合する工程と、
    得られた混合液から有機溶媒を除去し、次いで、ラジカル重合開始剤(c)を混合して重合性組成物を得る工程と、
    前記重合性組成物を加熱硬化する工程と、
    を含む硬化物の製造方法。
  14. 前記有機溶媒がアセトン、ジメチルアセトアミド、および1,4−ジオキサンから選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の硬化物の製造方法。
  15. 前記工程aで得られたセルロース繊維(b)と前記有機溶媒との前記分散液の粘度が10mPa・s以上800mPa・s以下である、請求項13または14に記載の硬化物の製造方法。
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