いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下の各実施形態においては、営業職の従業員の労働状態を管理するための労働状態管理システムを例示する。しかしながら、各実施形態にて開示する構成は、その他の職種の従業員の労働状態の管理にも適用し得る。他の職種としては、例えば運送業、宅配業および郵便業等が挙げられるが、各実施形態にて開示する構成はさらに他の職種に対しても広く適用可能である。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る労働状態管理システムの構成例を示すブロック図である。この労働状態管理システムは、複数の従業員が所属する事業所(オフィス)に配置される管理者端末1と、当該事業所に配置される出退勤端末2と、従業員が所持する可搬型の従業員端末3と、サーバ4とを備えている。管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4は、個別あるいはいずれか2つ以上の装置の組み合わせにより、本実施形態における労働状態管理装置として機能する。事業所は、従業員が出勤する特定の場所の一例である。従業員が出勤する場所は、サテライトオフィスやシェアオフィスなど、他の場所であってもよい。
管理者端末1としては、例えばデスクトップタイプのコンピュータを用いることができる。管理者端末1は、ノートブックタイプのコンピュータ、タブレット端末あるいはスマートフォンのように、管理者が携行可能な可搬型の装置であってもよい。この場合において、管理者端末1は、事業所の外に持ち出されてもよい。
管理者端末1は、プロセッサやメモリを含むコントローラ10と、記憶装置11と、入力装置12と、ディスプレイ13と、スピーカ14と、通信用のインターフェイス15とを備えている。
コントローラ10は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態にて開示する管理者端末1の動作を実現するための種々の処理を実現する。入力装置12は、例えばディスプレイ13に表示されたGUI(Graphical User Interface)を操作するためのキーボード、マウスおよびディスプレイ13に設けられたタッチパネルなどを含む。
出退勤端末2は、プロセッサやメモリを含むコントローラ20と、記憶装置21と、入力装置22と、ディスプレイ23と、スピーカ24と、通信用のインターフェイス25とを備えている。
コントローラ20は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態にて開示する出退勤端末2の動作を実現するための種々の処理を実現する。入力装置22は、例えばディスプレイ23に表示されたGUIを操作するためのキーボード、マウスおよびディスプレイ23に設けられたタッチパネルなどを含む。
図1の例においては、事業所にアルコール検知器26がさらに設置されている。アルコール検知器26は、例えば従業員の呼気に含まれるアルコールの濃度を測定する。アルコール検知器26は、例えばインターフェイス25を介して出退勤端末2に接続されている。
従業員端末3は、例えばノートブックタイプのコンピュータ、タブレット端末あるいはスマートフォンであり、プロセッサやメモリを含むコントローラ30と、記憶装置31と、入力装置32と、ディスプレイ33と、スピーカ34と、通信用のインターフェイス35と、GPS(Global Positioning System)受信機36と、カメラ37とを備えている。
コントローラ30は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態にて開示する従業員端末3の動作を実現するための種々の処理を実現する。入力装置32は、例えばディスプレイ33に表示されたGUIを操作するためのキーボード、マウスおよびディスプレイ33に設けられたタッチパネルなどを含む。GPS受信機36は、従業員端末3の位置を示すGPS信号を衛星から受信する。
サーバ4は、ネットワークNに通信接続されている。サーバ4は、事業所の外部に配置されてもよいし、事業所に配置されてもよい。サーバ4は、クラウドシステムに含まれるサーバであってもよい。この場合には、例えばSaaS(Software as a Service)等の形態のクラウドコンピューティングを利用できる。
サーバ4は、管理データベース40を記憶している。管理データベース40は、複数の従業員の労働履歴および今後の勤務予定などに関する労働情報や、顧客の氏名(名称)、住所、過去の販売実績などに関する顧客情報を含む。管理データベース40は、サーバ4に代えて、あるいはサーバ4とともに、管理者端末1の記憶装置11、出退勤端末2の記憶装置21または従業員端末3の記憶装置31に記憶されてもよい。
管理者端末1のインターフェイス15、出退勤端末2のインターフェイス25および従業員端末3のインターフェイス35は、いずれもネットワークNと通信可能である。すなわち、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4は、ネットワークNを介して通信接続されている。なお、管理者端末1と出退勤端末2は、事業所内の他のネットワークを介して通信接続されてもよい。
管理者端末1は、ネットワークNを介した通信により、サーバ4の管理データベース40から情報を取得したり、管理データベース40に情報を保存したりすることができる。出退勤端末2および従業員端末3もネットワークNを介した通信により、同様の処理を実行可能である。
従業員が事業所に出勤する際には、入力装置22の操作あるいは出退勤端末2に接続された出退勤打刻のためのICカードリーダ等からの入力に基づき、出退勤端末2が当該従業員の出勤処理を実行する。出勤処理は、少なくとも出勤時刻を確定するための処理を含む。出勤する従業員の本人確認は、カメラにより当該従業員の顔を撮像し、その画像に基づき出退勤端末2が顔認証処理を実行することにより行われてもよい。また、従業員が退勤する際には、入力装置22の操作あるいは上記ICカードリーダ等からの入力に基づき、出退勤端末2が当該従業員の退勤処理を実行する。退勤処理は、少なくとも退勤時刻を確定するための処理を含む。退勤する従業員の本人確認は、カメラにより当該従業員の顔を撮像し、その画像に基づき出退勤端末2が顔認証処理を実行することにより行われてもよい。出退勤端末2は、例えば出勤時刻や退勤時刻を記憶装置21に保存するとともにサーバ4に送信する。サーバ4は、出退勤端末2から受信した出勤時刻や退勤時刻を管理データベース40に保存(登録)する。
出勤および退勤のための処理は、従業員端末3によっても実行可能である。この場合において、従業員端末3は、例えば出勤時刻や退勤時刻を記憶装置31に保存するとともにサーバ4に送信する。サーバ4は、従業員端末3から受信した出勤時刻や退勤時刻を管理データベース40に保存する。
従業員端末3は、管理データベース40に保存された顧客情報を受信してディスプレイ33に表示することができる。また、顧客を訪問した際に、管理データベース40に保存された当該顧客の顧客情報を更新することもできる。さらに、従業員端末3は、GPS受信機36が受信したGPS信号に基づいて現在位置を検出するとともに、当該現在位置を表す位置情報を定期的(例えば1分ごと、5分ごと、あるいは10分ごと)に管理者端末1やサーバ4に送信する。
以上のような構成の労働状態管理システムにおいては、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4がネットワークNを介して通信することにより、従業員の労働状態や現在位置などを管理者がリアルタイムで把握することができる。
例えば、管理者端末1は、管理データベース40などの情報に基づいて、事業所に属する各従業員の労働状態や現在位置を示す従業員情報一覧をディスプレイ13に表示させる。これにより、管理者は、各従業員の労働状態などを極めて容易に把握でき、遠隔地の従業員にも必要な指示を出すことができる。
図2は、上記従業員情報一覧の構成例を示す図である。従業員情報一覧は、「従業員コード」、「従業員名」、「状態」、「車両コード」、「現在地」、「地図」、「残業終了時刻」、「休息・休日期間残」、「休憩期間残」、「直行/直帰確認」、「訪問数(日)」、「訪問数(月)」、「販売実績」、「販売計画」、「達成率(%)」、「販売情報」などの項目を含む。右上に表示された「根拠時刻」は、各項目の計算の基準となった現在時刻を示す。根拠時刻は定期的(例えば1分ごと、5分ごと、あるいは10分ごと)に更新され、これに応じて各項目も再計算される。
「従業員コード」は、各従業員の識別情報である。「従業員名」は、従業員コードに関連付けられた従業員の氏名である。
「状態」は、移動中、訪問中、内勤、休憩中、退勤、休日、有休などの従業員の状態を表す。従業員の状態は、管理データベース40に保存された情報に基づき特定できる。例えば現在の勤務日の退勤時刻が管理データベース40に保存されている場合、当該従業員の状態は「退勤」となる。管理データベース40に顧客への訪問開始時刻が保存され、かつ当該顧客への訪問終了時刻が保存されていない場合、当該従業員の状態は「訪問中」となる。管理データベース40に従業員の休憩開始時刻が保存され、かつ当該従業員の休憩終了時刻が保存されていない場合、当該従業員の状態は「休憩中」となる。
「車両コード」は、従業員が当日乗車している車両(営業車)の識別情報である。従業員が車両を利用せずにバスおよび電車などの公共交通機関や徒歩で営業回りを行う場合には、車両の識別情報に代えて「公共」が表示される。なお、車両は自動車であってもよいし、バイク(2輪車や3輪車)であってもよい。
「現在地」は、各従業員がログインした従業員端末3から送信されるGPS信号により特定された、従業員端末3が位置する住所、あるいは当該住所において地点登録されている名称を示す。「地図」の欄には、地図ボタン101が配置されている。地図ボタン101が操作されると、現在地の項目に示された住所の近傍の地図がディスプレイ13に表示されるとともに、当該住所にマーカが付される。
「残業終了時刻」は、根拠時刻が属する勤務日(現在の勤務日)において従業員が残業可能な最大の時刻を示す。例えば、残業終了時刻は、月当たりに許容される最大残業時間から根拠時刻までの当月の残業実績を差し引いた時間を当月の残りの勤務日数で割り、これにより算出された時間を予め定められた終業時刻に加算した時刻とすることができる。
図2の例においては、従業員コード0001の従業員の残業終了時刻を根拠時刻(現在時刻)が超えている。この場合、図示したように当該従業員の残業終了時刻の表示態様を変更(強調)してもよい。また、従業員コード0003の従業員のように、根拠時刻が残業終了時刻の所定範囲内(例えば10分以内)に達している場合にも、当該従業員の残業終了時刻の表示態様を変更してもよい。残業終了時刻が根拠時刻を超えている場合の表示態様と、根拠時刻が残業終了時刻の所定範囲内に達している場合の表示態様は、同じであってもよいし異なってもよい。
「休息・休日期間残」は、現在の勤務日において従業員が取得すべき休息期間の残り(勤務間インターバル)を示す。また、従業員の状態が休日である場合、「休息・休日期間残」は、休日の残り時間を示す。例えば規則で定められた1日の休息期間の下限が8時間である場合、休息期間の残りは、8時間から現在の勤務日において取得された休息期間を減じた時間とすることができる。
「休憩時間残」は、現在の勤務日において従業員が取得すべき休憩時間の残りを示す。例えば1日に取得すべき休憩時間が60分である場合、休憩残は、現在の勤務日において取得された休憩時間を60分から減じた時間とすることができる。休憩を取得済みである場合、「休憩時間残」は「取得済み」となる。
例えば終業時刻に達した後や終業時刻の間近において1日に取得すべき休憩時間が所定時間以上残っている場合、従業員コード0001の従業員の休憩時間残のように、当該従業員の休憩時間残の表示態様を変更(強調)してもよい。
勤務日の業務の開始時における従業員の出勤態様としては、事業所への出勤と、訪問先への直行とが存在する。また、勤務日の業務の終了時における従業員の退勤態様としては、事業所からの退勤と、訪問先からの直帰とが存在する。「直行/直帰確認」は、従業員の現在の勤務日における「[出勤態様]/[退勤態様]」を示す。[出勤態様]は、デフォルトでは事業所への「出勤」に設定されている。従業員が直行した場合には、[出勤態様]が「直行」となる。[退勤態様]は、デフォルトでは事業所からの「退勤」に設定されている。従業員が直帰した場合には、[退勤態様]が「直帰」となる。
管理者端末1のコントローラ10は、例えば管理データベース40から取得される各従業員の現在の勤務日の出勤時刻、退勤時刻、休憩開始時刻、休憩終了時刻、さらには過去の労働履歴などの情報に基づいて、「残業終了時刻」、「休息・休日期間残」および「休憩時間残」を算出することができる。また、管理者端末1のコントローラ10は、例えば管理データベース40から取得される各従業員の出勤態様および退勤態様の情報に基づいて、「直行/直帰確認」を決定することができる。
「訪問数(日)」は、現在の勤務日において従業員が訪問した顧客の数を示す。図2の例においては、「訪問数(日)」の欄に詳細ボタン102が配置されている。詳細ボタン102が操作されると、現在の勤務日において従業員が訪問した顧客の詳細情報がディスプレイ13に表示される。この詳細情報には、例えば顧客の住所、氏名、年齢、性別、当該顧客への累計の訪問回数、当該顧客への販売実績、今回の訪問の顧客の反応、今回の訪問の滞在時間などが含まれる。
「訪問数(月)」は、現在の勤務日が属する当月において従業員が訪問した顧客の数を示す。図2の例においては、「訪問数(月)」の欄に推移ボタン103が配置されている。推移ボタン103が操作されると、従業員の当月の各勤務日における訪問数のグラフがディスプレイ13に表示される。
「販売実績」は、従業員が当月に商品を販売した数(成約させた商談の数)を示す。「販売計画」は、従業員に割り当てられた当月の販売目標を示す。
「達成率(%)」は、「販売計画」に対する「販売実績」の割合を示す。例えば図2における従業員コード0002の従業員のように、100%を超えた従業員の達成率の表示態様を変更(強調)してもよい。また、例えば従業員コード0001の従業員のように、所定値(例えば50%)よりも低い達成率や、他の従業員に比べて低い達成率の表示態様を変更してもよい。
「販売情報」の欄には、表示ボタン104が配置されている。表示ボタン104が操作されると、従業員が当月販売した商品や顧客の詳細を含む販売情報が表示される。
管理者端末1のコントローラ10は、例えば管理データベース40から取得される各従業員の販売に関する情報や顧客情報に基づいて、「訪問数(日)」、「訪問数(月)」、「販売実績」および「達成率(%)」の算出や、詳細ボタン102が操作された際の顧客の詳細情報、推移ボタン103が操作された際のグラフおよび表示ボタン104が操作された際の販売情報の表示が可能である。
上述のように、従業員の出勤態様には事業所での出勤と訪問先への直行の2つが含まれ、従業員の退勤態様には事業所での退勤と訪問先からの直帰の2つが含まれる。この場合、事業所での出勤と事業所での退勤であれば、例えば出退勤端末2により出退勤の管理が可能である。しかしながら、直行と直帰に関しては、出退勤端末2による管理が困難である。従業員が事前あるいは事後に届け出ることにより直行時の出勤時刻や直帰時の退勤時刻を管理データベース40に反映することは可能であるが、正確性を担保できない。また、事後の届け出であると管理者がリアルタイムに従業員の労働状態を把握できない。
そこで、本実施形態においては、予め定められた規則に従って労働状態管理システムが従業員の出勤時刻と退勤時刻を決定し、管理データベース40に反映する。以下、出勤時刻と退勤時刻の決定手順を説明する。
図3は、出勤時刻を決定するための出勤時刻決定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4のいずれにおいても実行可能である。出勤時刻決定処理の具体的な実行タイミング等については後述する。
出勤時刻決定処理においては、先ず従業員の出勤態様が事業所での出勤および直行のいずれであるかが判定される(ステップS101)。出勤態様が事業所での出勤である場合(ステップS101の「出勤」)、出勤入力時刻が出勤時刻に決定される(ステップS102)。出勤入力時刻は、例えば出退勤端末2や従業員端末3において、従業員が出勤のために自身の従業員コードを入力した時刻や出勤のためのボタンを操作した時刻に相当する。
一方、出勤態様が直行である場合(ステップS101の「直行」)、現在の勤務日における当該従業員の1件目の訪問の訪問開始時刻が出勤時刻に決定される(ステップS103)。
なお、従業員が出勤や直行の入力を失念した場合には、出勤および直行の登録がいずれもなされない場合があり得る。この場合には、例えば直行と同じ流れで出勤時刻が決定される。
図4は、退勤時刻を決定するための退勤時刻決定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4のいずれにおいても実行可能である。退勤時刻決定処理の具体的な実行タイミング等については後述する。
退勤時刻決定処理においては、先ず従業員の退勤態様が事業所での退勤および直帰のいずれであるかが判定される(ステップS201)。退勤態様が事業所での退勤である場合(ステップS201の「退勤」)、退勤入力時刻が退勤時刻に決定される(ステップS202)。退勤入力時刻は、例えば出退勤端末2や従業員端末3において、従業員が退勤のために自身の従業員コードを入力した時刻や退勤のためのボタンを操作した時刻に相当する。
一方、退勤態様が直帰である場合(ステップS201の「直帰」)、現在の勤務日における当該従業員の最後の訪問の訪問終了時刻が退勤時刻に決定される(ステップS203)。
なお、従業員が退勤や直帰の入力を失念した場合には、退勤および直帰の登録がいずれもなされない場合があり得る。この場合には、例えば直帰と同じ流れで退勤時刻が決定される。
ここで、出退勤端末2による出勤処理および退勤処理について説明する。
図5は、出退勤端末2による出勤処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に出退勤端末2のコントローラ20によって実現される。
出勤処理において、コントローラ20は、従業員コードの入力を待っている(ステップS301のNO)。従業員コードは、例えば入力装置22の操作により入力される。従業員コードは、出退勤端末2に接続されたICカードリーダに従業員が自身のICカードをかざすことなど、他の方法で入力されてもよい。従業員コードの入力に代えて、カメラにより当該従業員の顔を撮像し、その画像に基づきコントローラ20が顔認証処理を実行してもよい。このような顔認証処理も従業員コードの入力の概念に含まれる。
従業員コードが入力されると(ステップS301のYES)、コントローラ20は、アルコールチェックを実行する(ステップS302)。このとき、例えばディスプレイ23にアルコールチェックの実施を従業員に促すメッセージが表示される。従業員がアルコール検知器26にてアルコールチェックを実施すると、その結果がインターフェイス25を介してコントローラ20に入力される。
続いて、コントローラ20は、出勤時刻決定処理を実行する(ステップS303)。出勤時刻決定処理の流れは図3に示した通りである。ここでは、事業所における出勤であるため、出勤入力時刻が出勤時刻に決定される(上述のステップS102)。例えば、出勤入力時刻はステップS301にて従業員コードが入力された時刻である。出勤入力時刻は、ステップS303の実行時の時刻やアルコールチェックの実行時の時刻などであってもよい。また、出勤入力時刻は、従業員が入力装置22により入力する時刻であってもよい。
出勤時刻の決定の後、コントローラ20は、出勤を許可するための出勤条件をチェックする(ステップS304)。例えば、出勤条件は、出勤時刻が出勤可能時刻よりも遅いこと(休息期間が規則で定められた1日の休息期間の下限に達していること)、連続出勤日数が規定範囲内であること、アルコールチェックにてアルコールが検知されないこと、予め登録された免許証の期限が過ぎていないことなどを含む。出勤可能時刻は、例えば管理データベース40に保存された当該従業員の前回の勤務日の退勤時刻に規則で定められた1日の休息期間の下限を足すことで算出される。出勤条件に問題がない場合(ステップS304の「OK」)、コントローラ20は、出勤確認画面200をディスプレイ23に表示する(ステップS305)。
図6は、出勤確認画面200の一例を示す図である。出勤確認画面200には、ステップS301にて入力された従業員コードに対応する従業員名、日付、現在時刻、ステップS303にて決定された出勤時刻などが表示されている。さらに、出勤確認画面200は、出勤ボタン201と、キャンセルボタン202とを有している。
例えば入力装置22により出勤確認画面200が操作されると、コントローラ20は、当該操作の種別を判定する(ステップS306)。キャンセルボタン202の操作である場合(ステップS306の「キャンセル」)、処理はステップS301に戻る。
一方、出勤ボタン201の操作である場合(ステップS306の「出勤」)、コントローラ20は、当該従業員の出勤登録を実行する(ステップS307)。出勤登録においては、ステップS303にて決定された出勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、当該従業員の出勤態様が事業所での出勤であることも管理データベース40に保存される。
ステップS304にて出勤条件に問題がある場合(ステップS304の「NG」)、コントローラ20は、警告画面210をディスプレイ23に表示する(ステップS308)。この警告画面210が操作されると、ステップS306の処理が実行される。
図7は、警告画面210の一例を示す図である。警告画面210には、出勤確認画面200と同じく従業員名、日付、現在時刻、出勤時刻などが表示される。さらに、警告画面210は、NGとなった出勤条件(NG項目)に関する情報が表示される表示欄211と、出勤ボタン201およびキャンセルボタン202とを有している。
図7の警告画面210は、出勤時刻が出勤可能時刻よりも早い場合の例であり、表示欄211には休息期間の要件を満たす出勤可能時刻と「休息取得NG」の文字列とが配置されている。さらに、出勤ボタン201の表示態様が出勤確認画面200とは異なっている。警告画面210においては、出勤ボタン201を操作することができず、キャンセルボタン202のみ操作可能である。したがって、従業員は、NG項目が解消するまで出勤登録を完了することができない。なお、警告画面210の表示とともに、スピーカ24から警告音が発せられてもよい。また、ステップS304にて出勤条件に問題がある場合において、警告画面210またはその内容を示す警告メッセージ等が表示されるが、出勤登録が可能であってもよい。
図8は、出退勤端末2による退勤処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に出退勤端末2のコントローラ20によって実現される。
退勤処理において、コントローラ20は、従業員コードの入力を待っている(ステップS401のNO)。従業員コードは、出勤時と同様の方法で入力することができる。従業員コードが入力されると(ステップS401のYES)、コントローラ20は、退勤時刻決定処理を実行する(ステップS402)。退勤時刻決定処理の流れは図4に示した通りである。ここでは、事業所における退勤であるため、退勤入力時刻が退勤時刻に決定される(上述のステップS202)。例えば、退勤入力時刻はステップS401にて従業員コードが入力された時刻である。退勤入力時刻は、ステップS402の実行時の時刻などであってもよい。また、退勤入力時刻は、従業員が入力装置22により入力する時刻であってもよい。
続いて、コントローラ20は、退勤確認画面230をディスプレイ23に表示する(ステップS403)。
図9は、退勤確認画面230の一例を示す図である。退勤確認画面230には、ステップS401にて入力された従業員コードに対応する従業員名、日付、現在時刻、ステップS402にて決定された退勤時刻などが表示されている。さらに、退勤確認画面230は、従業員に知らせるべき事項の表示欄231と、確認ボタン232と、印刷ボタン233と、キャンセルボタン234とを有している。
例えば図示したように、表示欄231には、「次回出勤可能時刻」、「残業時間合計」、「出勤日数残」、「有休残」、「営業目標達成率」、「連絡事項」が表示される。「次回出勤可能時刻」は、当該従業員の休息期間が規則で定められた1日の休息期間の下限に達することとなる時刻に相当する。例えば当該下限が8時間である場合、退勤時刻から8時間後が次回出勤可能時刻となる。
「残業時間合計」は、当該従業員の当月の残業時間の合計を示す。「出勤日数残」は、当該従業員の当月の出勤予定日の残り日数を示す。「有休残」は、当該従業員の有休の残り日数を示す。「営業目標達成率」は、図2に示した「達成率(%)」と同様の数値である。「連絡事項」の欄には、当該従業員に知らせるべき特別な情報がメッセージにて表示される。
コントローラ20は、管理データベース40から当該従業員の労働情報を取得することにより、表示欄231に表示される各情報を算出あるいは決定する。表示欄231の各項目のうち、特に従業員に注意を促す必要があるものの表示態様が変更(強調)されてもよい。
図9の例においては、営業目標達成率の表示態様が変更されている。このような営業目標達成率の表示態様の変更は、例えば当該達成率が予め定められた基準値を下回っている場合に実行される。その他、例えば残業時間合計が規則で定められた単月の許容時間を超えるか、あるいは当該許容時間から残業時間合計を差し引いた時間が所定値を下回った場合に残業時間合計の表示態様が変更されてもよい。また、有休残が予め定められた日数を下回った場合に有休残の表示態様が変更されてもよい。
例えば入力装置22により退勤確認画面230が操作されると、コントローラ20は、当該操作の種別を判定する(ステップS404)。キャンセルボタン234の操作である場合(ステップS404の「キャンセル」)、処理はステップS401に戻る。
一方、確認ボタン232の操作である場合(ステップS404の「確認」)、コントローラ20は、当該従業員の退勤登録を実行する(ステップS405)。退勤登録においては、ステップS402にて決定された退勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の退勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、当該従業員の退勤態様が事業所での退勤であることも管理データベース40に保存される。
退勤登録の後、コントローラ20は、管理データベース40に保存された当該従業員の現在の勤務日の労働情報や顧客情報に基づいて当該従業員の営業日報データを生成し、管理データベース40に保存する(ステップS406)。営業日報データは、当該従業員が現在の勤務日において訪問した顧客に関する情報や、現在の勤務日における当該従業員の出勤時刻、退勤時刻、残業時刻、出勤態様(出勤/直行)、退勤態様(退勤/直帰)などの情報を含む。なお、営業日報データは、管理者端末1、当該従業員の従業員端末3、あるいはサーバ4で生成されてもよい。
退勤確認画面230に対する操作が印刷ボタン233の操作である場合(ステップS404の「印刷」)、コントローラ20は、ステップS405と同じく当該従業員の退勤登録を実行する(ステップS407)。さらに、コントローラ20は、ステップS406と同じく営業日報データを作成して管理データベース40に保存するとともに、当該営業日報データを事業所に配置されたプリンタにより印刷する(ステップS408)。
ステップS406またはステップS408を以って退勤処理が終了する。
次に、従業員端末3の動作について説明する。従業員端末3は、出勤に関する処理として、出勤・直行処理を実行する。また、従業員端末3は、退勤に関する処理として、退勤・直帰処理を実行する。
図10は、出勤・直行処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。
出勤・直行処理において、先ずコントローラ30は、労働管理のためのアプリケーションへのログイン画面300をディスプレイ33に表示する(ステップS501)。
図11は、ログイン画面300の一例を示す図である。ログイン画面300は、従業員コードの入力欄301と、車両コードの入力欄302と、検索ボタン303と、チェックボックス304,305と、確認ボタン306と、終了ボタン307とを有している。
従業員は、ログインするに際して自身の従業員コードを入力欄301に入力し、当日使用する車両の車両コードを入力欄302に入力する。検索ボタン303を操作すると、車両コードの検索画面310が表示される。
図12は、検索画面310の一例を示す図である。検索画面310は、車両コードと車両名の対応表311と、戻るボタン312とを有している。対応表311においては、例えば縦方向に車両コードが記載され、これら車両コードの隣に車両名が記載されている。
従業員は、自身が使用する車両の車両コードを入力装置32によって選択可能である。なお、公共交通機関や徒歩で営業回りを行う場合には、図中の最上行に記載された「車両コード1000,公共」を選択すればよい。いずれかの車両コードが選択されると、検索画面310が閉じられて再びログイン画面300が表示されるとともに、入力欄302に当該選択された車両コードが自動的に入力される。戻るボタン312が操作された場合にもログイン画面300が表示されるが、この場合には入力欄302に車両コードが入力されない。
図11に示すログイン画面300において、チェックボックス304にチェックを入れた状態で一度ログインすれば、次回以降に表示されるログイン画面300において前回同様の従業員コードが入力欄301に自動的に入力される。同様に、チェックボックス305にチェックを入れた状態で一度ログインすれば、次回以降に表示されるログイン画面300において前回同様の車両コードが入力欄302に自動的に入力される。終了ボタン307が操作されると、ログイン画面300が閉じられて出勤・直行処理が終了する。
コントローラ30は、ログイン画面300を表示した状態でログインの完了を待つ(ステップS502のNO)。従業員コードと車両コードが入力欄301,302に正しく入力された状態で確認ボタン306が操作されると、ログインが完了する(ステップS502のYES)。なお、ログインの成否は、入力欄301,302に入力された従業員コードと車両コードに基づきコントローラ30が判定してもよいし、これら従業員コードと車両コードに基づいて管理者端末1、出退勤端末2またはサーバ4が判定してもよい。
ログインの後、コントローラ30は、選択画面320をディスプレイ33に表示する(ステップS503)。なお、ログインは、従業員端末3が備えるカメラ37により従業員の顔を撮像し、当該画像に基づく顔認証処理により実行されてもよい。
図13は、選択画面320の一例を示す図である。選択画面320は、出勤ボタン321と、直行ボタン322と、戻るボタン323とを有している。出勤ボタン321は、事業所に出勤する場合に操作すべきボタンである。直行ボタン322は、事業所に行かずに訪問先に直行する場合に操作すべきボタンである。
例えば入力装置32により選択画面320が操作されると、コントローラ30は、当該操作の種別を判定する(ステップS504)。戻るボタン323の操作である場合(ステップS504の「戻る」)、処理はステップS501に戻る。
一方、出勤ボタン321の操作である場合(ステップS504の「出勤」)、コントローラ30は、出勤時刻決定処理を実行する(ステップS505)。出勤時刻決定処理の流れは図3に示した通りである。
すなわち、ここでは出勤ボタン321が操作されているので、出勤入力時刻が出勤時刻に決定される(上述のステップS102)。例えば、出勤入力時刻は選択画面320において出勤ボタン321が操作された時刻である。出勤入力時刻は、ログイン画面300を通じてログインが完了した時刻であってもよい。また、出勤入力時刻は、入力装置32により従業員が入力した時刻であってもよい。
出勤時刻の決定の後、コントローラ30は、出勤を許可するための出勤条件をチェックする(ステップS506)。例えば、出勤条件は、ステップS304と同じく出勤時刻が出勤可能時刻よりも遅いこと、連続出勤日数が規定範囲内であること、予め登録された免許証の期限が過ぎていないことなどを含む。当該判定に必要な情報は、管理データベース40から適宜に取得される。
出勤条件に問題がない場合(ステップS506の「OK」)、コントローラ30は、当該従業員の出勤登録を実行する(ステップS507)。出勤登録においては、ステップS505にて決定された出勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、選択画面320にて出勤ボタン321が操作されているため、当該従業員の出勤態様が事業所での出勤であることが管理データベース40に保存される。
ステップS506にて出勤条件に問題がある場合(ステップS506の「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。例えばこの警告画面に含まれる情報は図7に示した警告画面210と同様であり、NGとなった出勤条件(NG項目)に関する情報等を含む。警告画面の表示とともに、スピーカ34から警告音が発せられてもよい。警告画面に対して所定の操作がなされると、処理はステップS501に戻る。なお、ステップS506にて出勤条件に問題がある場合において、警告画面210またはその内容を示す警告メッセージ等が表示されるが、出勤登録が可能であってもよい。
ステップS507の出勤登録の後、コントローラ30はディスプレイ33にメイン画面330を表示する。メイン画面330については図14を用いて後述する。メイン画面330を表示した後、コントローラ30は、メイン画面330やメイン画面330に配置された各種ボタンの操作により表示される画面の操作に応じた各種の処理を実行する。
ステップS504において、選択画面320に対する操作が直行ボタン322の操作である場合にも(ステップS504の「直行」)、コントローラ30はメイン画面330を表示する。詳しくは後述するが、従業員はメイン画面330の操作により表示される訪問画面350等を通じて顧客への訪問を登録可能である。このとき、顧客への訪問開始時刻が管理データベース40に保存される。
コントローラ30は、メイン画面330を表示した後の処理の中で、現在の勤務日における当該従業員による顧客への最初の訪問を待つ(ステップS508のNO)。最初の訪問の訪問開始時刻が定まると(ステップS508のYES)、コントローラ30は、出勤時刻決定処理を実行する(ステップS509)。ここでは、選択画面320にて直行ボタン322が操作されているため、最初の訪問の訪問開始時刻が出勤時刻に決定される(上述のステップS103)。
さらに、コントローラ30は、当該従業員の出勤登録を実行する(ステップS510)。ここでの出勤登録においては、ステップS509にて決定された出勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、当該従業員の出勤態様が直行であることも管理データベース40に保存される。なお、直行の場合にも、ステップS506と同様の出勤条件チェックと、NGの場合の警告画面の表示とが実行されてもよい。ステップS510の後は、引き続きメイン画面330などの操作に応じた各種の処理が実行される。
図14は、メイン画面330の一例を示す図である。メイン画面330は、ログイン時に入力された車両コードの表示欄331と、当該車両コードに対応する車両名の表示欄332と、従業員の労働状態を表示する表示領域333とを有している。図14の例においては、表示欄331に表示された車両コードが1000であり、表示欄332に表示された車両名(交通手段)が「公共」である。メイン画面330に対する所定の操作により、表示欄331に表示される車両コードと表示欄332に表示される車両名を変更することもできる。
表示領域333には、例えば図2の従業員情報一覧にも含まれる休憩時間残や残業終了時刻が表示される。その他にも、表示領域333には、上述の休息・休日期間残、休憩期間残、直行/直帰確認、訪問数(日)、訪問数(月)、販売実績、販売計画、達成率(%)などの情報が表示されてもよい。表示領域333に表示される情報は、コントローラ30が管理データベース40から取得される労働情報等に基づいて算出してもよいし、管理者端末1やサーバ4で算出されたものを受信してもよい。
メイン画面330は、休憩ボタン334と、内勤ボタン335と、検索ボタン336と、交通費ボタン337と、退勤ボタン338と、直帰ボタン339と、訪問ボタン340とをさらに有している。
従業員は、休憩を開始する際に休憩ボタン334を操作する。このとき、コントローラ30は、現在時刻を休憩開始時刻としてサーバ4に送信する。サーバ4は、受信した休憩開始時刻を管理データベース40に保存する。また、従業員は、休憩を終了する際にも休憩ボタン334を操作する。このとき、コントローラ30は、現在時刻を休憩終了時刻としてサーバ4に送信する。サーバ4は、受信した休憩終了時刻を管理データベース40に保存する。図2に示した従業員情報一覧やメイン画面330の表示領域333に含まれる休憩時間残は、このようにして管理データベース40に保存される休憩開始時刻および休憩終了時刻に基づいて算出される。
従業員は、外回りにおいて交通費が発生した際には、交通費ボタン337を操作する。このとき、コントローラ30は、交通費情報を入力するための画面をディスプレイ33に表示する。従業員は、この画面を介して交通費の金額や交通費が発生した経路等の交通費情報を入力することができる。一例として、当該画面は、バス、タクシー、電車、新幹線、飛行機等の運賃や駐車料金の中から交通費の申告対象の項目を入力または選択するための領域と、出発地および目的地を入力または選択するための領域と、金額を入力または選択するための領域とを有している。コントローラ30は、当該画面に入力された交通費情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、受信した交通費情報を管理データベース40に保存する。当該交通費情報は、上述の営業日報データに含まれてもよい。
従業員は、顧客を訪問する際には訪問ボタン340を操作する。このとき、コントローラ30は、訪問画面350をディスプレイ33に表示する。
図15は、訪問画面350の一例を示す図である。訪問画面350は、顧客の氏名(あるいは名称)を入力するための入力欄351と、当該顧客の住所を入力するための入力欄352と、顧客情報ボタン353と、開始/終了ボタン354と、不在ボタン355と、戻るボタン356とを有している。
従業員は、入力装置32により入力欄351,352にそれぞれ顧客の氏名と住所を入力可能である。コントローラ30がGPS受信機36により受信されるGPS信号に基づいて現在位置の住所を検出し、この住所を入力欄352に自動的に入力してもよい。さらに、コントローラ30は、入力欄352に入力された住所が関連付けられた顧客の氏名を管理データベース40の顧客情報から検索し、ヒットした氏名を自動的に入力欄351に入力してもよい。
開始/終了ボタン354が操作されると、コントローラ30は、入力欄351,352に示される顧客の識別情報と、訪問開始時刻とをサーバ4に送信する。訪問開始時刻は、例えば開始/終了ボタン354の操作により顧客への訪問開始が入力された時刻である。訪問開始時刻は、従業員が入力装置32により入力した時刻であってもよい。サーバ4は、受信した訪問開始時刻および顧客の識別情報を管理データベース40に保存する。
従業員は、訪問が終了した際に開始/終了ボタン354を再び操作する。このとき、コントローラ30は、入力欄351,352に示される顧客の識別情報と、訪問終了時刻とをサーバ4に送信する。訪問終了時刻は、例えば開始/終了ボタン354の再度の操作により顧客への訪問終了が入力された時刻である。訪問終了時刻は、従業員が入力装置32により入力した時刻であってもよい。サーバ4は、受信した訪問終了時刻および顧客の識別情報を管理データベース40に保存する。
このように、管理データベース40には各従業員が顧客を訪問するごとにその訪問開始時刻と訪問終了時刻が保存される(訪問の登録)。これにより、上述のステップS508〜S510の処理が可能となる。
なお、訪問開始時に開始/終了ボタン354を操作したが顧客が不在であった場合、従業員は不在ボタン355を操作する。このとき、コントローラ30は、不在ボタン355が操作された時刻を訪問終了時刻としてサーバ4に送信する。また、従業員は、顧客が不在である場合に開始/終了ボタン354を操作する前に不在ボタン355を操作してもよい。この場合において、不在ボタン355を操作した時間が当該顧客への訪問開始時刻および訪問終了時刻として管理データベース40に保存されてもよい。これにより、顧客が不在である場合でもステップS508〜S510において直行時の出勤時刻を決定することが可能となる。また、後述する退勤・直帰処理において、勤務日の最後に訪問した顧客が不在である場合でも直帰時の退勤時刻を決定することが可能となる。
また、訪問開始後に開始/終了ボタン354が操作されることなく従業員端末3が一定距離以上移動すると、コントローラ30は訪問終了とみなして現在時刻を訪問終了時刻としてサーバ4に送信する。
戻るボタン356が操作されると、コントローラ30は訪問画面350を消去してメイン画面330をディスプレイ33に表示する。訪問画面350において、訪問開始時に操作するためのボタンと、訪問終了時に操作するためのボタンとが別々に設けられてもよい。
訪問画面350の表示と入力欄351,352への入力は、メイン画面330の検索ボタン336の操作によっても実行できる。検索ボタン336が操作されたとき、コントローラ30は、検索画面360をディスプレイ33に表示する。
図16は、検索画面360の一例を示す図である。検索画面360は、顧客の氏名の入力欄361と、顧客の住所の入力欄362と、検索対象の半径の入力欄363と、検索実行ボタン364と、検索結果の表示領域365と、戻るボタン366とを有している。例えば入力欄363には、検索対象の半径をメートル[m]単位あるいはキロメートル[km]単位で任意に入力することができる。
入力欄361〜363には、入力装置32により各情報を入力可能である。検索画面360が表示されたときに、コントローラ30がGPS受信機36により受信されるGPS信号に基づいて現在位置の住所を検出し、この住所を入力欄362に自動的に入力してもよい。
図16の例のように入力欄362,363に住所と半径がそれぞれ入力された状態で検索実行ボタン364が操作されると、コントローラ30は、入力欄362に入力された住所の周囲半径10km以内の住所を有する顧客を管理データベース40の顧客情報から検索し、ヒットした顧客の氏名および住所を表示領域365に表示する。入力欄361に顧客の氏名の全てまたは一部を表す文字列が入力されている場合、コントローラ30は、表示領域365に表示する顧客の氏名を、当該文字列を含む顧客に絞り込む。
従業員は、表示領域365に表示された顧客の氏名および住所を入力装置32により選択することが可能である。いずれかの顧客の氏名および住所が選択されると、コントローラ30は、検索画面360を閉じて訪問画面350をディスプレイ33に表示し、その入力欄351,352に当該選択された氏名および住所を入力する。検索画面360において戻るボタン366が操作されると、メイン画面330がディスプレイ33に表示される。
訪問画面350において顧客情報ボタン353が操作されると、コントローラ30は、顧客情報画面370をディスプレイ33に表示する。
図17は、顧客情報画面370の一例を示す図である。顧客情報画面370は、顧客の氏名の表示欄371と、住所の表示欄372と、性別および年齢の表示欄373と、電話番号の表示欄374と、メールアドレスの表示欄375と、顧客の担当である従業員の氏名の表示欄376と、最終訪問日の表示欄377と、販売実績の表示欄378と、営業報告の表示欄379と、訪問開始時刻の表示欄380と、訪問終了時刻の表示欄381とを有している。各表示欄371〜381に表示される情報は、例えば管理データベース40の顧客情報から取得される。また、各表示欄371〜381に表示される情報は、入力装置32の操作により修正可能である。顧客情報画面370が表示されたときに訪問が開始されていない場合、表示欄380,381は空欄であってもよい。また、訪問は開始しているが終了していない場合、表示欄381は空欄であってもよい。
従業員は、例えば必要に応じて表示欄371〜381に情報を入力または修正し、登録ボタン382を操作する。表示欄379の営業報告は、予め用意された定型文から選択可能であってもよい。登録ボタン382が操作されると、コントローラ30は、各表示欄371〜381に表示されている情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、受信した情報に基づき管理データベース40の顧客情報を更新する。
また、従業員は、顧客情報画面370に表示された顧客情報を管理データベース40から削除したいときには、削除ボタン383を操作する。このとき、コントローラ30は、当該顧客情報の削除をサーバ4に通知する。サーバ4は、当該顧客情報を管理データベース40から削除する。
戻るボタン384が操作されると、コントローラ30は、顧客情報画面370を消去して再び訪問画面350をディスプレイ33に表示する。
訪問画面350において、例えば訪問開始時に開始/終了ボタン354が操作されたときに、従業員端末3の現在位置から入力欄352に入力された住所が示す位置までの経路を地図上で示すナビゲーション画面がディスプレイ33に表示されてもよい。
また、訪問画面350が表示されているときに、GPS信号により検出される従業員端末3の位置が入力欄352に入力された住所よりも予め定められた半径以上離れた状態で開始/終了ボタン354が操作された場合、ディスプレイ33にエラーメッセージが表示されてもよい。さらにこの場合において、開始/終了ボタン354の操作が無効として処理されてもよい。これにより、実際には顧客を訪問していないのに不正に直行時の出勤時刻を確定したり、直帰時の退勤時刻を確定したりする不正を防止できる。
従業員は、外回りではなく事業所にて作業をする際には、メイン画面330の内勤ボタン335を操作する。このとき、コントローラ30は、内勤画面390をディスプレイ33に表示する。なお、内勤ボタン335は、従業員がテレワークでの作業やサテライトオフィスでの作業など、事業所以外の場所での作業を行う際に操作されてもよい。
図18は、内勤画面390の一例を示す図である。内勤画面390は、業務内容の選択欄391と、電話営業ボタン392と、開始/終了ボタン393と、戻るボタン394とを有している。選択欄391が操作されると、コントローラ30は、業務選択画面400をディスプレイ33に表示する。
図19は、業務選択画面400の一例を示す図である。業務選択画面400は、業務内容の表示欄401と、確認ボタン402と、終了ボタン403とを有している。表示欄401には、内勤に関する各種の業務内容が選択可能に表示されている。従業員がいずれかの業務内容を選択し、かつ確認ボタン402を操作すると、内勤画面390がディスプレイ33に表示されるとともに、当該選択された業務内容が選択欄391に表示される。終了ボタン403が操作されたときにも内勤画面390がディスプレイ33に表示されるが、この場合には選択欄391に業務内容が表示されない。
業務内容が選択欄391に表示された状態で開始/終了ボタン393が操作されると、当該業務内容の内勤の開始が管理データベース40に保存される。その後、従業員が再び開始/終了ボタン393を操作すると、当該業務内容の内勤の終了が管理データベース40に保存される。このように管理データベース40に保存される内勤の情報に基づけば、従業員が内勤でどのような作業を現在実施しているか、あるいはどのような作業を既に実施したかを把握可能となる。従業員が内勤中である場合、図2に示した従業員情報一覧の「状態」に内勤の業務内容が表示されてもよい。
電話営業ボタン392が操作されると、コントローラ30は、訪問画面350をディスプレイ33に表示する。このとき、従業員は対象となる顧客の氏名を入力欄351に入力したうえで、訪問時と同様の手順で電話営業を実施する。これにより、電話営業の開始時刻(訪問開始時刻)および終了時刻(訪問終了時刻)とともに、電話営業で得られた情報も顧客情報画面370等を通じて管理データベース40に蓄積できる。なお、上述の営業日報データにおいて、通常の訪問と電話営業とを区別すべく、例えば電話営業を行った顧客の欄に「電話営業」のような表記がなされてもよい。
従業員は、事業所において従業員端末3を用いて退勤しようとする場合、メイン画面330の退勤ボタン338を操作する。また、従業員は、訪問先から事業所に戻らずに直帰する場合には、直帰ボタン339を操作する。退勤ボタン338または直帰ボタン339が操作されると、コントローラ30は、退勤・直帰処理を実行する。
図20は、退勤・直帰処理の一例を示すフローチャートである。先ず、コントローラ30は、退勤時刻決定処理を実行する(ステップS601)。退勤時刻決定処理の流れは図4に示した通りである。すなわち、退勤ボタン338が操作された場合には、退勤入力時刻が退勤時刻に決定される(上述のステップS202)。例えば、退勤入力時刻はメイン画面330において退勤ボタン338が操作された時刻である。退勤入力時刻は、入力装置32により従業員が入力する時刻であってもよい。
また、直帰ボタン339が操作された場合には、管理データベース40に保存された現在の勤務日における当該従業員の最後の訪問の訪問終了時刻が退勤時刻に決定される(上述のステップS203)。退勤時刻の決定の後、コントローラ30は、退勤確認画面410をディスプレイ33に表示する(ステップS602)。
図21は、退勤確認画面410の一例を示す図である。退勤確認画面410は、従業員に知らせるべき事項の表示欄411と、確認ボタン412と、印刷ボタン413と、戻るボタン414とを有している。
例えば図示したように、表示欄411には、「次回出勤可能時刻」、「残業時間合計」、「出勤日数残」、「有休残」、「営業目標達成率」、「連絡事項」が表示される。これらの項目は、図9に示した表示欄231に表示されたものと同様である。
コントローラ30は、管理データベース40から当該従業員の労働情報を取得することにより、表示欄411に表示される各情報を算出あるいは決定する。表示欄411の各項目のうち、特に従業員に注意を促す必要があるものの表示態様が変更(強調)されてもよい。図21の例においては、図9の例と同じく営業目標達成率の表示態様が変更されている。
例えば入力装置32により退勤確認画面410が操作されると、コントローラ30は、当該操作の種別を判定する(ステップS603)。戻るボタン414の操作である場合(ステップS603の「戻る」)、コントローラ30は、メイン画面330をディスプレイ33に表示して退勤・直帰処理を終了する。
一方、確認ボタン412の操作である場合(ステップS603の「確認」)、コントローラ30は、当該従業員の退勤登録を実行する(ステップS604)。退勤登録においては、ステップS601にて決定された退勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の退勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、退勤・直帰処理のトリガが退勤ボタン338の操作である場合には当該従業員の退勤態様が事業所での退勤であることが管理データベース40に保存され、退勤・直帰処理のトリガが直帰ボタン339の操作である場合には当該従業員の退勤態様が訪問先からの直帰であることが管理データベース40に保存される。
退勤登録の後、コントローラ30は、管理データベース40に保存された当該従業員の現在の勤務日の労働情報や顧客情報に基づいて当該従業員の営業日報データを生成し、管理データベース40に保存する(ステップS605)。営業日報データは、当該従業員が現在の勤務日において訪問した顧客に関する情報や、現在の勤務日における当該従業員の出勤時刻、退勤時刻、残業時刻、出勤態様(出勤/直行)、退勤態様(退勤/直帰)などの情報を含む。なお、営業日報データは、管理者端末1、出退勤端末2、あるいはサーバ4で生成されてもよい。
退勤確認画面410に対する操作が印刷ボタン413の操作である場合(ステップS603の「印刷」)、コントローラ30は、ステップS604と同じく当該従業員の退勤登録を実行する(ステップS606)。さらに、コントローラ30は、ステップS605と同じく営業日報データを作成して管理データベース40に保存するとともに、当該営業日報データを印刷する(ステップS607)。当該印刷は、事業所に配置されたプリンタにより行われてもよいし、他のプリンタにより行われてもよい。
ステップS605またはステップS607の後、コントローラ30は、労働管理のためのアプリケーションからログアウトし(ステップS608)、待機画面420をディスプレイ33に表示する。
図22は、待機画面420の一例を示す図である。待機画面420には、当該従業員端末3において最後にアプリケーションにログインした従業員の次回出勤可能時刻が表示されている。この次回出勤可能時刻は、例えばステップS608にてログアウトする前に、ログイン中の従業員の労働履歴に基づいて算出され、記憶装置31等に保存される。これにより、従業員はいつでも容易に次回出勤可能時刻を確認可能となる。他の例として、ログアウト後の待機画面420には次回出勤可能時刻が表示されず、出勤・直行処理におけるステップS502のログイン後の画面に次回出勤可能時刻が表示されてもよい。
さらに、待機画面420は、ログインボタン421と、戻るボタン422とを有している。ログインボタン421が操作されると、コントローラ30は、図10に示した出勤・直行処理を実行する。戻るボタン422が操作されると、コントローラ30は、直前に表示されていた退勤確認画面410をディスプレイ33に表示する。ただし、待機画面420が表示されて一定時間が経過している場合には、退勤確認画面410を表示せずに再度のログインが求められるようにしてもよい。
なお、待機画面420には、次回出勤可能時刻以外の情報が表示されてもよい。例えば、次回出勤可能時刻とともに、あるいは次回出勤可能時刻に代えて、退勤確認画面410に表示されていた残業時間合計、出勤日数残、有休残、営業目標達成率および連絡事項の少なくとも一つが待機画面420に表示されてもよい。
以上の本実施形態においては、従業員の出勤態様(出勤/直行)および退勤態様(退勤/直帰)に応じて適切な出勤時刻と退勤時刻が決定される。したがって、直行や直帰が多い従業員に対しても正確な労働管理が可能となる。
また、本実施形態に係る労働状態管理システムにおいては、種々の出退勤の態様に対応できる。例えば、出退勤の態様としては、以下のパターンが想定される。
(1)従業員が事業所にて出退勤端末2により出勤および退勤の処理を実施する。直行または直帰するときに限り、従業員が従業員端末3にて直行または直帰の処理を実施する。
(2)従業員が従業員端末3にて出勤、退勤、直行および直帰の処理を実施する。
(3)従業員が状況に応じて出退勤端末2および従業員端末3のいずれかにて出勤、退勤、直行および直帰の処理を実施する。
また、図2に示した従業員情報一覧を見ることで、管理者は各従業員の現在の状態を容易に把握できる。これにより、管理者は、労働に関する規則や法律が遵守されるように従業員を監督することができる。また、従業員情報一覧に基づけば、各従業員の顧客訪問数や販売実績等の情報も把握できるので、管理者は業績を向上させるための戦略を策定したり、従業員に指示を与えたりすることができる。さらに、管理者は、従業員情報一覧に表示された各従業員の現在地や地図を参考に、各従業員に対して次にどの顧客を訪問すべきかの指示を与えることもできる。
また、出退勤端末2を用いた出勤処理や、従業員端末3を用いた出勤・直行処理においては、出勤を許可するための出勤条件がチェックされ、NGの項目があれば警告画面により警告される。これにより、労働に関する規則や法律を従業員に遵守させることができる。
また、出退勤端末2を用いた退勤処理や、従業員端末3を用いた退勤・直帰処理においては、退勤確認画面により次回出勤可能時刻および残業時間合計等の労働に関する情報や営業目標達成率が報知される。これらの情報に基づき、従業員は、翌日以降どのように仕事を進めるべきか検討することができる。
以上の他にも、本実施形態からは種々の効果を得ることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態においては、出勤時刻決定処理および退勤時刻決定処理の他の例を開示する。特に言及しない構成には第1実施形態と同様のものを適用できる。
図23は、本実施形態に係る出勤時刻決定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4のいずれにおいても実行可能である。
図23に示す出勤時刻決定処理においては、先ず従業員の出勤態様が事業所での出勤および直行のいずれであるかが判定される(ステップS701)。出勤態様が事業所での出勤である場合(ステップS701の「出勤」)、出勤入力時刻が出勤時刻に決定される(ステップS702)。出勤入力時刻は、例えば出退勤端末2や従業員端末3において、従業員が出勤のために自身の従業員コードを入力した時刻や出勤のためのボタンを操作した時刻に相当する。
一方、出勤態様が直行である場合(ステップS701の「直行」)、現在の勤務日において従業員の顧客への訪問が管理データベース40等に登録されているか否か(既に顧客を訪問しているか否か)が判定される(ステップS703)。
顧客への訪問が登録されている場合(ステップS703のYES)、現在の勤務日における当該従業員の1件目の訪問の訪問開始時刻が予め定められた始業時刻よりも早いか否かが判定される(ステップS704)。1件目の訪問の訪問開始時刻が始業時刻よりも早い場合(ステップS704のYES)、当該訪問開始時刻が出勤時刻に決定される(ステップS705)。
ステップS703において顧客への訪問が登録されていない場合(ステップS703のNO)、あるいはステップS704において、1件目の訪問の訪問開始時刻が始業時刻よりも遅い場合(ステップS704のNO)、始業時刻が出勤時刻に決定される(ステップS706)。
なお、従業員が出勤や直行の入力を失念した場合には、出勤および直行の登録がいずれもなされない場合があり得る。この場合には、例えば直行と同じ流れで出勤時刻が決定される。
図24は、本実施形態に係る退勤時刻決定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4のいずれにおいても実行可能である。
図24に示す退勤時刻決定処理においては、先ず従業員の退勤態様が事業所での退勤および直帰のいずれであるかが判定される(ステップS801)。退勤態様が事業所での退勤である場合(ステップS801の「退勤」)、退勤入力時刻が退勤時刻に決定される(ステップS802)。退勤入力時刻は、例えば出退勤端末2や従業員端末3において、従業員が退勤のために自身の従業員コードを入力した時刻や退勤のためのボタンを操作した時刻に相当する。
一方、退勤態様が直帰である場合(ステップS801の「直帰」)、現在の勤務日において従業員の顧客への訪問が管理データベース40等に登録されているか否か(既に顧客を訪問しているか否か)が判定される(ステップS803)。
顧客への訪問が登録されている場合(ステップS803のYES)、現在の勤務日における当該従業員の最後の訪問の訪問終了時刻が予め定められた終業時刻よりも遅いか否かが判定される(ステップS804)。最後の訪問の訪問終了時刻が終業時刻よりも遅い場合(ステップS804のYES)、当該訪問終了時刻が退勤時刻に決定される(ステップS805)。
ステップS803において顧客への訪問が登録されていない場合(ステップS803のNO)、あるいはステップS804において、最後の訪問の訪問終了時刻が終業時刻よりも早い場合(ステップS804のNO)、終業時刻が退勤時刻に決定される(ステップS806)。
なお、従業員が退勤や直帰の入力を失念した場合には、退勤および直帰の登録がいずれもなされない場合があり得る。この場合には、例えば直帰と同じ流れで退勤時刻が決定される。
本実施形態に係る出勤時刻決定処理は、図5に示した出勤処理のステップS303や図10に示した出勤・直行処理のステップS505,S509、さらには勤務日における他の適宜のタイミングで実行される。
また、本実施形態に係る退勤時刻決定処理は、図8に示した退勤処理のステップS402や図20に示した退勤・直帰処理のステップS601、さらには勤務日における他の適宜のタイミングで実行される。
なお、本実施形態に係る出勤時刻決定処理および第1実施形態に係る出勤時刻決定処理のいずれを採用するかを管理者端末1などで任意に設定可能であってもよい。同様に、本実施形態に係る退勤時刻決定処理および第1実施形態に係る退勤時刻決定処理のいずれを採用するかを管理者端末1などで任意に設定可能であってもよい。このようにすれば、事業所あるいは当該事業所が所属する会社の勤務規則などに応じて出勤時刻や退勤時刻の決定方法を変更でき、労働状態管理システムの汎用性が高まる。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態においては、出勤・直行処理の他の例を開示する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
第1実施形態においては、従業員が従業員端末3にてログインした後、選択画面320にて出勤および直行のいずれかを選択する例を示した。これに対し、本実施形態では、従業員が従業員端末3でログインし、かつ出退勤端末2で出勤処理を実施していない場合に、自動的に直行として出勤時刻が決定される例を開示する。
図25は、本実施形態に係る出勤・直行処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。
先ずコントローラ30は、ステップS501と同じくログイン画面300をディスプレイ33に表示する(ステップS901)。さらに、コントローラ30は、ステップS502と同じくログインの完了を待つ(ステップS902のNO)。
ログインが完了すると(ステップS902のYES)、コントローラ30は、メイン画面330をディスプレイ33に表示する。メイン画面330を表示した後、コントローラ30は、メイン画面330や訪問画面350などの操作に応じた各種の処理を実行する。
コントローラ30は、ステップS508と同じく、メイン画面330を表示した後の処理の中で現在の勤務日における当該従業員による顧客への最初の訪問を待つ(ステップS903のNO)。最初の訪問の訪問開始時刻が定まると(ステップS903のYES)、コントローラ30は、当該従業員が出退勤端末2で出勤登録済みであるかを判定する(ステップS904)。
例えば管理データベース40に当該従業員の現在の勤務日の出勤時刻が保存されていない場合、コントローラ30は、出勤登録済みでないと判定する(ステップS904のNO)。このとき、コントローラ30は、ステップS509と同じく出勤時刻決定処理を実行する(ステップS905)。例えば第1実施形態に係る出勤時刻決定処理を適用する場合、最初の訪問の訪問開始時刻が出勤時刻に決定される(上述のステップS103)。また、第2実施形態に係る出勤時刻決定処理を適用する場合、訪問開始時刻が始業時刻よりも早ければ当該訪問開始時刻が出勤時刻に決定され(ステップS705)、訪問開始時刻が始業時刻よりも遅ければ始業時刻が出勤時刻に決定される(ステップS706)。
ステップS905の後、コントローラ30は、ステップS510と同じく当該従業員の出勤登録を実行する(ステップS906)。ここでの出勤登録においては、ステップS905にて決定された出勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、当該従業員の出勤態様が直行であることも管理データベース40に保存される。なお、出勤登録とともに、上述のステップS506と同様の出勤条件チェックと、NGの場合の警告画面の表示とが実行されてもよい。
ステップS906の後は、引き続きメイン画面330などの操作に応じた各種の処理が実行される。また、ステップS904において管理データベース40に当該従業員の現在の勤務日の出勤時刻が保存されている場合、コントローラ30は、出勤登録済みであると判定する(ステップS904のYES)。この場合はステップS905,S906が実行されず、引き続きメイン画面330などの操作に応じた各種の処理が実行される。
本実施形態の構成であれば、従業員がログインを実施して通常通り顧客を訪問することで、特段の操作を要することなく自動的に直行時の出勤時刻と出勤態様が直行であることが管理データベース40に保存される。これにより、出勤時の従業員端末3の操作にかかる手間を省くことができる。また、出勤態様が出勤である場合と直行である場合の選択ミスを防ぐことができる。
なお、退勤に関しても、従業員が出退勤端末2で退勤していない場合に、従業員端末3でログアウトが実行された際に退勤態様が直帰と判定され、従業員端末3でログアウトせずに出退勤端末2で退勤した場合に、事業所での退勤と判定されるようにしてもよい。これにより、特段の操作を要することなく自動的に直帰時の退勤時刻と退勤態様が直帰であることが管理データベース40に保存される。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
上述の各実施形態においては、従業員端末3が備えるGPS受信機36により、従業員端末3の位置を検出することが可能である。この機能を利用し、出勤時および直行時の出勤時刻や、退勤時および直帰時の退勤時刻をより正確に決定することも可能である。
例えば従業員端末3の位置が事業所の位置の所定半径以内(例えば100m)にない場合には、選択画面320の出勤ボタン321が操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員が出勤ボタン321を操作しようとしても警告が表示されるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3の位置が事業所の位置の所定半径以内にない場合でも出勤ボタン321を操作できるが、その後に従業員端末3の位置が事業所の位置の所定半径以内に入ったときの時刻を出勤時刻に決定してもよい。これらの処理によれば、従業員が事業所に到着していないにも関わらず出勤扱いにしようとする不正を防ぐことができる。
また、従業員端末3が事業所のWi−Fi(登録商標)などの無線LANの電波を受信可能な場合(無線LANに接続可能な場合)に出勤ボタン321を操作でき、当該電波を受信不可能な場合(無線LANに接続不可能な場合)に出勤ボタン321を操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員端末3が無線LANの電波を受信不可能であれば、従業員が出勤ボタン321を操作しようとしても警告が表示されるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3が無線LANの電波を受信不可能な場合でも出勤ボタン321を操作できるが、その後に従業員端末3が当該電波を受信可能になったときの時刻を出勤時刻に決定してもよい。これらの処理によっても、従業員が事業所に到着していないにも関わらず出勤扱いにしようとする不正を防ぐことができる。
また、例えば従業員端末3の位置が事業所の位置の所定半径以内にない場合には、メイン画面330の退勤ボタン338が操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員が退勤ボタン338を操作しようとしても警告が表示されるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3の位置が事業所の位置の所定半径以内にない場合でも退勤ボタン338を操作できるが、当該操作の時点から遡って従業員端末3の位置が事業所の位置から所定半径の境界を出たときの時刻を退勤時刻に決定してもよい。これらの処理によれば、従業員が既に事業所から帰宅したにも関わらず遅い時刻に退勤扱いにしようとする不正を防ぐことができる。
また、従業員端末3が事業所の無線LANの電波を受信可能な場合に退勤ボタン338を操作でき、当該電波を受信不可能な場合に退勤ボタン338を操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員端末3が無線LANの電波を受信不可能であれば、従業員が退勤ボタン338を操作しようとしても警告が表示されるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3が無線LANの電波を受信不可能な場合でも退勤ボタン338を操作できるが、当該操作の時点から遡って従業員端末3が当該電波を受信可能であった時刻を出勤時刻に決定してもよい。これらの処理によっても、従業員が既に事業所から帰宅したにも関わらず遅い時刻に退勤扱いにしようとする不正を防ぐことができる。
また、訪問画面350の入力欄352に顧客の住所が入力された状態において、従業員端末3の位置が当該住所の所定半径以内にない場合には、開始/終了ボタン354が操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員が開始/終了ボタン354を操作しようとしても警告がなされるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3の位置が入力欄352に入力された住所の所定半径以内にない場合でも開始/終了ボタン354を操作できるが、従業員端末3の位置が当該住所の所定半径以内に入ったときの時刻を訪問開始時刻に決定してもよい。これらの処理によれば、従業員が1件目の訪問先に到着していないにも関わらず直行時の出勤時刻(訪問開始時刻)を早めの時刻に設定しようとする不正を防ぐことができる。
また、顧客への訪問開始の後、従業員端末3の位置が訪問画面350の入力欄352に入力された住所の所定半径以内にない場合には、訪問終了時に開始/終了ボタン354が操作できないようにしてもよい。この場合において、従業員が開始/終了ボタン354を操作しようとしても警告がなされるようにしてもよい。他の例として、従業員端末3の位置が入力欄352に入力された住所の所定半径以内にない場合でも開始/終了ボタン354を操作できるが、当該操作の時点から遡って従業員端末3の位置が当該住所から所定半径の境界を出たときの時刻を訪問終了時刻に決定してもよい。これらの処理によれば、従業員が最後の訪問先への訪問を終えたにも関わらず直帰時の退勤時刻(訪問終了時刻)を遅めの時刻に設定しようとする不正を防ぐことができる。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
上述の第4実施形態においては、従業員の位置が特定のエリア(事業所や顧客住所の所定半径以内、無線LANの電波が届くエリア)に含まれる場合に出勤や退勤が受け付けられ、その他の場合に出勤や退勤が禁止されることに言及した。本実施形態においては、このような処理のより具体的な構成を例示する。
上述の各実施形態と同じく、従業員は、従業員端末3により出勤と退勤の処理を実行可能である。出勤態様としては、事業所(会社)での出勤、テレワーク時における自宅での出勤、サテライトオフィスでの出勤、その他の予め設定された場所での出勤、自宅から訪問先への直行の5パターンを想定する。同様に、退勤態様としては、事業所(会社)での退勤、テレワーク時における自宅での退勤、サテライトオフィスでの退勤、その他の予め設定された場所での退勤、訪問先から自宅への直帰の5パターンを想定する。
本実施形態においては、出勤および退勤を許可すべき特定のエリアが以下の通り定められている。
(1)事業所として登録された地点の半径X1m以内。
(2)自宅として登録された地点の半径X2m以内。
(3)サテライトオフィスとして登録された地点の半径X3m以内。
(4)その他、事業者等により予め設定された地点の半径X4m以内。
なお、上記(3)(4)における地点はそれぞれ1か所に限られず、複数設定されていてもよい。上記X1〜X4は、同じであってもよいし異なってもよい。X1〜X4は、例えば事業者が管理者端末1によって任意に変更可能である。上記(1)(3)は、例えば複数の従業員に対して共通に定められる。上記(2)(4)は、例えば従業員ごとに定められる。
図26は、本実施形態に係る出勤・直行処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。
先ずコントローラ30は、ステップS501と同じくログイン画面300をディスプレイ33に表示する(ステップS1001)。さらに、コントローラ30は、ステップS502と同じくログインの完了を待つ(ステップS1002のNO)。ログインが完了すると(ステップS1002のYES)、コントローラ30は、第1選択画面510をディスプレイ33に表示する(ステップS1003)。
図27は、本実施形態に係る第1選択画面510の一例を示す図である。図13に示した選択画面320と同様に、第1選択画面510は、出勤ボタン511と、直行ボタン512と、戻るボタン513とを有している。出勤ボタン511は、事業所で出勤する場合、テレワーク時に自宅で出勤する場合、サテライトオフィスで出勤する場合、その他の設定場所で出勤する場合に操作すべきボタンである。直行ボタン512は、訪問先に直行する場合に操作すべきボタンである。
例えば入力装置32により第1選択画面510が操作されると、コントローラ30は、当該操作の種別を判定する(ステップS1004)。戻るボタン513の操作である場合(ステップS1004の「戻る」)、処理はステップS1001に戻る。
一方、出勤ボタン511の操作である場合(ステップS1004の「出勤」)、コントローラ30は、従業員の位置が適正かどうかのチェックを実行する(ステップS1005)。具体的には、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が上記(1)〜(4)のいずれかを満たすかどうかを判定する。上記(1)〜(4)のいずれかを満たす場合(ステップS1005の「OK」)、コントローラ30は、出勤時刻決定処理を実行する(ステップS1006)。出勤時刻決定処理の流れは、例えば図3に示した通りである。すなわち、ここでは出勤ボタン511が操作されているので、出勤入力時刻が出勤時刻に決定される(上述のステップS102)。出勤時刻決定処理は、図23の流れであってもよい。
出勤時刻の決定の後、コントローラ30は、ステップS506と同じく出勤条件をチェックし(ステップS1007)、出勤条件に問題がない場合(ステップS1007の「OK」)には当該従業員の出勤登録を実行する(ステップS1008)。この出勤登録においては、ステップS1006にて決定された出勤時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存される。さらに、当該従業員の出勤場所を示す出勤場所情報も管理データベース40に保存される。出勤場所情報は、例えばステップS1005のチェックに用いた従業員端末3の位置(GPS情報や住所)である。出勤場所情報は、当該位置が満たした上記(1)〜(4)の条件を示す識別情報(例えば「事業所」、「テレワーク」、「サテライトオフィス」、「その他」を示す情報)であってもよい。出勤登録の後、後述のメイン画面330aがディスプレイ33に表示される。
ステップS1007にて出勤条件に問題がある場合(ステップS1007の「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。例えばこの警告画面に含まれる情報は図7に示した警告画面210と同様であり、NGとなった出勤条件(NG項目)に関する情報等を含む。警告画面に対して所定の操作がなされると、処理はステップS1001に戻る。
ステップS1005にて従業員端末3の位置が上記(1)〜(4)のいずれも満たさない場合も(ステップS1005の「NG」)、コントローラ30は警告画面をディスプレイ33に表示する。この警告画面は、例えば現在位置が出勤の入力に不適切である旨の警告メッセージを含む。なお、ステップS1005またはステップS1007にてNGの場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、出勤登録が可能であってもよい。
ステップS1004において、第1選択画面510に対する操作が直行ボタン512の操作である場合にも(ステップS1004の「直行」)、コントローラ30は従業員の位置が適正かどうかのチェックを実行する(ステップS1009)。例えば、直行に関して上記(2)(4)の条件を満たすことが従業員に課されている場合、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が上記(2)(4)のいずれかを満たすかどうかを判定する。上記(2)(4)のいずれも満たさない場合(ステップS1009の「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。この警告画面は、例えば現在位置が直行の入力に不適切である旨の警告メッセージを含む。
一方、上記(2)(4)のいずれかを満たす場合(ステップS1009の「OK」)、コントローラ30は、メイン画面330aを表示する。その後、例えば上述のステップS508〜510と同じく最初の訪問の訪問開始時刻を出勤時刻として出勤登録が実行される。ここでの出勤時刻決定処理は、図23の流れであってもよい。なお、ステップS1009にて上記(2)(4)のいずれも満たされない場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、出勤登録が可能であってもよい。
直行時の出勤登録においては、最初の訪問の訪問開始時刻が現在の勤務日の当該従業員の出勤時刻として管理データベース40に保存されるとともに、当該従業員の出勤態様が直行であることが管理データベースに保存される。さらに、出勤場所情報も管理データベース40に保存される。ステップS1008と同じく、出勤場所情報は、例えばステップS1009のチェックに用いた従業員端末3の位置(GPS情報や住所)である。出勤場所情報は、当該位置が満たした上記(2)(4)の条件を示す識別情報(例えば「自宅」、「その他」を示す情報)であってもよい。
図28は、本実施形態に係るメイン画面330aの一例を示す図である。このメイン画面330aは、直帰ボタン339を備えない点で図14の例と相違する。従業員は、退勤または直帰を入力する際に、退勤ボタン338を操作する。退勤ボタン338が操作されると、コントローラ30は、退勤・直帰処理を実行する。
図29は、本実施形態に係る退勤・直帰処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。
先ず、コントローラ30は、第2選択画面520をディスプレイ33に表示する(ステップS1101)。
図30は、第2選択画面520の一例を示す図である。第2選択画面520は、退勤ボタン521と、直帰ボタン522と、戻るボタン523とを有している。退勤ボタン521は、事業所で退勤する場合、テレワーク時に自宅で退勤する場合、サテライトオフィスで退勤する場合、その他の設定場所で退勤する場合に操作すべきボタンである。直帰ボタン522は、訪問先から直帰する場合に操作すべきボタンである。
例えば入力装置32により第2選択画面520が操作されると、コントローラ30は、当該操作の種別を判定する(ステップS1102)。戻るボタン523の操作である場合(ステップS1102の「戻る」)、コントローラ30は、ディスプレイ33にメイン画面330aを表示する。
一方、退勤ボタン521の操作である場合(ステップS1102の「退勤」)、コントローラ30は、従業員の位置が適正かどうかのチェックを実行する(ステップS1103)。具体的には、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が上記(1)〜(4)のいずれかを満たすかどうかを判定する。
ステップS1103にて従業員端末3の位置が上記(1)〜(4)のいずれも満たさない場合(ステップS1103の「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。この警告画面は、例えば現在位置が退勤の入力に不適切である旨の警告メッセージを含む。警告画面に対して所定の操作がなされると、再びメイン画面330aが表示される。
ステップS1102において、第2選択画面520への操作が直帰ボタン522の操作である場合にも(ステップS1102の「直帰」)、コントローラ30は従業員端末3の位置が適正かどうかのチェックを実行する(ステップS1104)。直帰に関しては、例えば上記(2)(4)の条件が課される。この場合、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が上記(2)(4)のいずれかを満たすかどうかを判定する。上記(2)(4)のいずれも満たさない場合(ステップS1104の「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。この警告画面は、例えば現在位置が直帰の入力に不適切である旨の警告メッセージを含む。なお、ステップS1103またはステップS1104の位置チェックがNGの場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、その後の退勤登録が可能であってもよい。
ステップS1103にて上記(1)〜(4)のいずれかを満たす場合(ステップS1103の「OK」)、または、ステップS1104にて上記(2)(4)のいずれかを満たす場合(ステップS1104の「OK」)、コントローラ30は、ステップS601と同じく退勤時刻決定処理を実行する(ステップS1105)。退勤時刻決定処理の流れは図4に示した通りである。すなわち、退勤ボタン521が操作された場合には、退勤入力時刻が退勤時刻に決定される(上述のステップS202)。また、直帰ボタン522が操作された場合には、管理データベース40に保存された現在の勤務日における当該従業員の最後の訪問の訪問終了時刻が退勤時刻に決定される(上述のステップS203)。退勤時刻決定処理は、図24に示す流れであってもよい。
退勤時刻の決定の後、コントローラ30は、ステップS602と同じく退勤確認画面410をディスプレイ33に表示し(ステップS1106)、退勤確認画面410が操作されると当該操作の種別を判定する(ステップS1107)。戻るボタン414の操作である場合(ステップS1107の「戻る」)、コントローラ30は、メイン画面330aをディスプレイ33に表示して退勤・直帰処理を終了する。
一方、確認ボタン412の操作である場合(ステップS1107の「確認」)、コントローラ30は、ステップS604と同じく当該従業員の退勤登録を実行し(ステップS1108)、ステップS605と同じく営業日報データを管理データベース40に保存する(ステップS1109)。また、退勤確認画面410に対する操作が印刷ボタン413の操作である場合(ステップS1107の「印刷」)、コントローラ30は、ステップS606と同じく当該従業員の退勤登録を実行し(ステップS1111)、ステップS607と同じく営業日報データを管理データベース40に保存するとともに当該営業日報データを印刷する(ステップS1112)。
ステップS1108の退勤登録においては、ステップS1105にて決定された退勤時刻や退勤態様が退勤/直帰のいずれであるかを示す情報とともに、当該従業員の退勤場所を示す退勤場所情報も管理データベース40に保存される。退勤場所情報は、例えばステップS1103またはステップS1104のチェックに用いた従業員端末3の位置(GPS情報や住所)である。退勤場所情報は、退勤ボタン521による退勤の場合には従業員端末3の位置が満たした上記(1)〜(4)の条件を示す識別情報(例えば「事業所」、「テレワーク」、「サテライトオフィス」、「その他」を示す情報)であってもよく、直帰ボタン522による退勤の場合には従業員端末3の位置が満たした上記(2)(4)の条件を示す識別情報(例えば「自宅」、「その他」を示す情報)であってもよい。
ステップS1109またはステップS1112の後、コントローラ30は、ステップS608と同じく労働管理のためのアプリケーションからログアウトし(ステップS1110)、待機画面420をディスプレイ33に表示する。
出勤・直行処理において管理データベース40に登録された出勤場所情報や退勤・直帰処理において管理データベース40に登録された退勤場所情報は、管理者端末1から管理データベース40にアクセスすることで確認(ディスプレイ13等に表示)できる。これら出勤場所情報や退勤場所情報は、図2に示した従業員情報一覧に表示されてもよい。
以上の本実施形態においては、従業員端末3により出勤や退勤を実行可能な場所を制限することができる。これにより、従業員のより正確な労働管理が可能となる。特に、テレワークが普及しつつある昨今において、事業所以外の場所で従業員が業務にあたる場合には、各従業員の所在を管理者が把握するのは容易ではない。この点に関し、本実施形態に係る労働状態管理システムを導入すれば、従業員が出勤および退勤等を実行した場所を容易に把握できる。
本実施形態においては、出勤・直行処理と退勤・直帰処理の双方において従業員端末3の位置がチェックおよび登録される。これにより、出勤場所と退勤場所が異なる場合であっても正確な労働管理が可能である。
本実施形態に係る労働管理システムは、副業、兼業あるいは従業員シェアリングを行う場合のように、従業員が複数の事業主の下で働く場合にも有利である。すなわち、これらの事業主が当該労働管理システムを導入し、従業員情報を共有できるようにシステム間を連携させる。また、出勤や退勤の条件となるエリアを事業主毎に異ならせておく。これにより、従業員は事業主毎に設定されたエリアで出勤および退勤する必要が生じるため、適当な場所で出勤や退勤を行うことができない。また、従業員の各事業主に対する労働時間を正確かつ容易に管理することができる。
なお、図26および図29には第1実施形態における出勤・直行処理と退勤・直帰処理に従業員の位置チェック処理(ステップS1005,S1009,S1103,S1104)を適用した例を示した。同様の位置チェック処理は、他の実施形態における出勤・直行処理と退勤・直帰処理に適用することもできる。
図26においては直行時に先ず従業員が自宅で従業員端末3にログインし、直行ボタン322を操作し、その後の最初の訪問の訪問開始時刻を出勤時刻とする流れを想定した。他の例として、直行ボタン322が操作され、出勤場所と出勤条件に問題が無い場合に最初の訪問を待たずに出勤登録が実行されてもよい。
本実施形態においては、出勤および退勤を許可すべきエリアが事業所等の地点から所定半径以内である場合を想定した。これらのエリアは、事業所等の敷地に応じた形状で設定されてもよい。また、これらのエリアは、第4実施形態にて言及したように従業員端末3が所定の無線LANの電波を受信可能な範囲として設定されてもよい。
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
上述の第5実施形態においては、図27に示した第1選択画面510により出勤態様を選択し、図30に示した第2選択画面520により退勤態様を選択する場合を例示した。本実施形態においては、これら第1選択画面510および第2選択画面520に適用し得る他の構成を開示する。
図31は、本実施形態に係る第1選択画面510aの一例を示す図である。この第1選択画面510aは、4つの出勤ボタン511a,511b,511c,511dと、直行ボタン512と、戻るボタン513とを有している。出勤ボタン511aは、事業所で出勤する場合に操作すべきボタンである。出勤ボタン511bは、テレワーク時に自宅で出勤する場合に操作すべきボタンである。出勤ボタン511cは、サテライトオフィスで出勤する場合に操作すべきボタンである。出勤ボタン511dは、その他の設定場所で出勤する場合に操作すべきボタンである。
出勤ボタン511aが操作された場合の位置チェック処理(ステップS1005)においては、従業員端末3の位置が上記(1)を満たすかどうかがチェックされる。出勤ボタン511bが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(2)を満たすかどうかがチェックされる。出勤ボタン511cが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(3)を満たすかどうかがチェックされる。出勤ボタン511dが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(4)を満たすかどうかがチェックされる。
図32は、本実施形態に係る第2選択画面520aの一例を示す図である。この第2選択画面520aは、4つの退勤ボタン521a,521b,521c,521dと、直帰ボタン522と、戻るボタン523とを有している。退勤ボタン521aは、事業所で退勤する場合に操作すべきボタンである。退勤ボタン521bは、テレワーク時に自宅で退勤する場合に操作すべきボタンである。退勤ボタン521cは、サテライトオフィスで退勤する場合に操作すべきボタンである。退勤ボタン521dは、その他の設定場所で退勤する場合に操作すべきボタンである。
退勤ボタン521aが操作された場合の位置チェック処理(ステップS1103)においては、従業員端末3の位置が上記(1)を満たすかどうかがチェックされる。退勤ボタン521bが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(2)を満たすかどうかがチェックされる。退勤ボタン521cが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(3)を満たすかどうかがチェックされる。退勤ボタン521dが操作された場合の位置チェック処理においては、従業員端末3の位置が上記(4)を満たすかどうかがチェックされる。
出勤時における従業員の位置チェック処理が第1選択画面510aの表示前に実行され、上記(1)〜(4)のうち従業員端末3の現在位置が満たすものに対応する出勤ボタンが第1選択画面510aにおいて操作可能に表示されてもよい。
図33は、この変形例に係る第1選択画面510aの一例を示す図である。ここでは、従業員端末3の位置が上記(2)を満たした場合を想定する。この場合、上記(2)に対応する出勤ボタン511bが操作可能に表示される。図33の例においては他の出勤ボタン511a,511c,511dも示されているが、これらは出勤ボタン511bとは異なる態様で表示され、操作することができない。なお、出勤ボタン511a,511c,511dが第1選択画面510aに表示されなくてもよい。
同様に、退勤時における従業員の位置チェック処理が第2選択画面520aの表示前に実行され、上記(1)〜(4)のうち従業員端末3の現在位置が満たすものに対応する退勤ボタンが第2選択画面520aにおいて操作可能に表示されてもよい。
図34は、この変形例に係る第2選択画面520aの一例を示す図である。ここでは、従業員端末3の位置が上記(1)を満たした場合を想定する。この場合、上記(1)に対応する退勤ボタン521aが操作可能に表示される。図34の例においては他の退勤ボタン521b,521c,521dも示されているが、これらは退勤ボタン521aとは異なる態様で表示され、操作することができない。なお、退勤ボタン521b,521c,521dが第2選択画面520aに表示されなくてもよい。
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
図35は、本実施形態に係る出勤・直行処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。
このフローチャートのうち、ステップS1001〜S1008の処理は図26のフローチャートと同様である。本実施形態においては、第1選択画面510aの直行ボタン512が操作された場合(ステップS1004の「直行」)、位置チェック処理を経ずにメイン画面330aが表示される。
その後、コントローラ30は、ステップS508と同じく現在の勤務日における当該従業員による顧客への最初の訪問を待つ(ステップS1009aのNO)。最初の訪問の訪問開始時刻が定まると(ステップS1009aのYES)、コントローラ30は、従業員の位置が適正かどうかのチェックを実行する(ステップS1010a)。
ステップS1010aにおいて、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が、管理データベース40に保存された最初の訪問先の顧客の住所の半径Ym以内のエリアに含まれるかどうかを判定する。他の例として、コントローラ30は、従業員端末3の位置が、当該従業員が出勤時にいるべき場所として管理者等が予め設定したエリアに含まれるかどうかを判定してもよい。
従業員端末3の位置が適切なエリアに含まれる場合(ステップS1010aの「OK」)、コントローラ30は、ステップS509と同じく出勤時刻決定処理を実行する(ステップS1011a)。さらに、コントローラ30は、ステップS509と同じく出勤登録を実行する(ステップS1012a)。この出勤登録においては、ステップS1011aにて決定された出勤時刻(最初の訪問の訪問開始時刻)が管理データベース40に保存されるとともに、当該従業員の出勤態様が直行であることも管理データベースに保存される。さらに、出勤場所情報として、最初の訪問先の顧客に関する情報(顧客の識別情報や住所)も管理データベース40に保存される。
一方、従業員端末3の位置が適切なエリアに含まれない場合(ステップS1010aの「NG」)、コントローラ30は、警告画面をディスプレイ33に表示する。この警告画面は、例えば現在位置が直行の入力に不適切である旨の警告メッセージを含む。なお、ステップS1010aの位置チェックがNGの場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、その後の出勤登録が可能であってもよい。
本実施形態における退勤・直帰処理は、図29のフローチャートと同様である。ただし、従業員が直帰する際の位置チェック処理であるステップS1104において、コントローラ30は、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置が、管理データベース40に保存された当該従業員の最後の訪問先である顧客の住所の半径Zm以内のエリアに含まれるかどうかを判定する。他の例として、コントローラ30は、従業員端末3の位置が、当該従業員が退勤時にいるべき場所として管理者等が予め設定したエリアに含まれるかどうかを判定してもよい。
本実施形態のように、直行時には最初の訪問先の近辺に従業員がいるかどうかがチェックされ、直帰時には最後の訪問先の近辺に従業員がいるかどうかがチェックされれば、従業員の労働管理をより正確に行うことができる。
[第8実施形態]
第8実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
上述の第5乃至第7実施形態においては、予め定められたエリアでのみ出勤や退勤が可能である場合を例示した。他の例として、従業員が予め定められたエリアにいない場合でも、管理者が許可すれば出勤や退勤が可能であってもよい。
例えば、図26におけるステップS1005やステップS1009にてNGとなった場合、従業員端末3から管理者端末1に従業員端末3の位置情報が送信され、この情報に基づいて管理者端末1のディスプレイ13に出勤警告画面610が表示されてもよい。
図36は、出勤警告画面610の一例を示す図である。出勤警告画面610は、表示欄611と、許可ボタン612と、拒絶ボタン613とを有している。表示欄611には、従業員コード、従業員名、当該従業員の従業員端末3から受信した位置情報が示す住所等が表示されている。
管理者は、表示欄611に示された場所での出勤を許可する場合には許可ボタン612を操作し、許可しない場合には拒絶ボタン613を操作する。許可ボタン612が操作されると、出勤許可を示す情報が従業員端末3に送信され、従業員端末3においては位置チェックをクリア(ステップS1005やステップS1009の「OK」)したものとして出勤・直行処理が進行する。拒絶ボタン613が操作されると、出勤不可を示す情報が従業員端末3に送信され、従業員端末3においては出勤が拒絶されたことを示すメッセージ等が表示される。この場合には、出勤登録まで出勤・直行処理を進行することができない。
同様に、図29におけるステップS1103やステップS1104にてNGとなった場合、従業員端末3から管理者端末1に従業員端末3の位置情報が送信され、この情報に基づいて管理者端末1のディスプレイ13に退勤警告画面620が表示されてもよい。
図37は、退勤警告画面620の一例を示す図である。退勤警告画面620は、表示欄621と、許可ボタン622と、拒絶ボタン623とを有している。表示欄621には、従業員コード、従業員名、当該従業員の従業員端末3から受信した位置情報が示す住所等が表示されている。
管理者は、表示欄621に示された場所での退勤を許可する場合には許可ボタン622を操作し、許可しない場合には拒絶ボタン623を操作する。許可ボタン622が操作されると、退勤許可を示す情報が従業員端末3に送信され、従業員端末3においては位置チェックをクリア(ステップS1103やステップS1104の「OK」)したものとして退勤・直帰処理が進行する。拒絶ボタン623が操作されると、退勤不可を示す情報が従業員端末3に送信され、従業員端末3においては退勤が拒絶されたことを示すメッセージ等が表示される。この場合には、退勤登録まで退勤・直帰処理を進行することができない。
このように、管理者がリアルタイムに出勤や退勤を許可または拒絶できれば、出勤や退勤の場所の正確な管理を実現しつつも、より柔軟な勤務体系を実現できる。
本実施形態の他の例として、従業員端末3が予め設定された場所に無い場合でも管理者の許可を得ることなく出勤や退勤が可能であるが、管理者端末1のディスプレイ13に「未登録場所での出勤(直行)」であること、あるいは「未登録場所での退勤(直帰)」であることのエラーメッセージが表示されてもよい。
[第9実施形態]
第9実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
従業員が事業所以外の場所で出勤および退勤する場合には、管理者が従業員の身だしなみ等を確認したり、従業員端末3で出勤および退勤の操作をしている者が従業員自身であるかを確認したりすることが困難である。そこで、本実施形態においては、出勤時および退勤時に従業員の画像が撮像され、この画像に基づく従業員の身だしなみ確認や本人確認を可能とした労働状態管理システムを開示する。
図38は、本実施形態に係る出勤・直行処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すステップS1201〜S1203は出勤・直行処理の一部であり、例えば上述の各実施形態にて例示した出勤・直行処理における適宜のタイミングで実行され得る。
ステップS1201において、コントローラ30は、カメラ37により従業員の画像を撮像する(ステップS1201)。この画像は、例えば従業員の顔と、上半身の少なくとも一部とを含む。
続いて、コントローラ30は、ステップS1201にて撮像した画像に基づき、画像チェックを実行する(ステップS1202)。例えば、客先を訪問する従業員にシャツとネクタイの着用が求められている場合、この画像チェックにおいては従業員がシャツとネクタイを着用しているか否かが判別されてもよい。また、従業員に特定の制服や作業着の着用が求められている場合、この画像チェックにおいては従業員がこれら制服や作業着を着用しているか否かが判別されてもよい。さらに、予め登録された従業員の顔画像に基づき、従業員が本人であるかどうかの顔認証処理が実行されてもよい。
画像チェックの結果に問題が無い場合(ステップS1202の「OK」)、コントローラ30は、出勤や直行に関する他の処理を経て出勤登録を実行する(ステップS1203)。当該出勤登録においては、出勤時刻等とともにステップS1201で撮像された画像も管理データベース40に保存される。
画像チェックの結果に問題がある場合(ステップS1202の「NG」)、コントローラ30は、ディスプレイ33に警告画面を表示する。例えば身だしなみに問題がある場合、警告画面はその問題点を指摘するメッセージを含む。また、例えば顔認証に失敗した場合、警告画面は顔認証に失敗したことを示すメッセージを含む。警告画面の表示とともに、管理者端末1に身だしなみや顔認証のエラー情報が送信され、管理者端末1のディスプレイ13にエラーメッセージが表示されてもよい。警告画面に対する所定の操作がなされると、再度ステップS1201からの処理が実行される。なお、ステップS1202の画像チェックの結果に問題がある場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、その後の出勤登録が可能であってもよい。
図39は、本実施形態に係る退勤・直帰処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すステップS1301〜S1303は退勤・直帰処理の一部であり、例えば上述の各実施形態にて例示した退勤・直帰処理における適宜のタイミングで実行され得る。
ステップS1301において、コントローラ30は、ステップS1201と同じくカメラ37により従業員の画像を撮像する(ステップS1301)。続いて、コントローラ30は、ステップS1202と同じく画像チェックを実行する(ステップS1302)。
画像チェックの結果に問題が無い場合(ステップS1302の「OK」)、コントローラ30は、退勤や直帰に関する他の処理を経て退勤登録を実行する(ステップS1303)。当該退勤登録においては、退勤時刻等とともにステップS1301で撮像された画像も管理データベース40に保存される。
画像チェックの結果に問題がある場合(ステップS1302の「NG」)、コントローラ30は、上述の出勤・直行処理と同様の警告画面を表示する。警告画面の表示とともに、管理者端末1に身だしなみや顔認証のエラー情報が送信され、管理者端末1のディスプレイ13にエラーメッセージが表示されてもよい。警告画面に対する所定の操作がなされると、再度ステップS1301からの処理が実行される。なお、ステップS1302の画像チェックの結果に問題がある場合において、警告画面または警告メッセージ等が表示されるが、その後の退勤登録が可能であってもよい。
このように、本実施形態においては出勤および退勤しようとする従業員の画像が撮像され、この画像が管理データベース40に保存される。これにより、管理者は、従業員の所在によらず従業員の身だしなみ確認や本人確認を実行できる。また、従業員に対して業務に適するように身だしなみを整える意識を与えることができる。
また、本実施形態においては画像チェックをクリアしない限り出勤登録や退勤登録ができないので、管理者が直接画像を確認しない場合であっても従業員の身だしなみ等を管理することができる。
[第10実施形態]
第10実施形態について説明する。特に言及しない構成には上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
本実施形態においては、従業員の各勤務日における移動手段や移動速度を記録し、その履歴を管理者端末1等で確認できるようにした労働状態管理システムを開示する。以下に説明する構成は、上述の各実施形態のいずれに対しても適用できる。
第1実施形態において上述したように、図11のログイン画面300において従業員が使用する車両の車両コードが入力される。また、公共交通機関や徒歩で営業回りを行う場合には「車両コード1000,公共」が入力される。
さらに、本実施形態においては、従業員端末3にインストールされた労働管理のためのアプリケーションに従業員がログインしている間(出勤から退勤までの間)、従業員端末3のGPS受信機36により検出される位置と時刻が従業員端末3からサーバ4に送信される。この位置情報に基づき、管理データベース40には従業員端末3の位置が時系列で記録される。
さらに、管理データベース40には、従業員端末3の移動速度も記録される。例えば、この移動速度は、時系列に記録された従業員端末3の位置に基づきサーバ4にて算出される。他の例として、GPS受信機36により検出される位置の変化に基づき従業員端末3にて移動速度が算出され、算出された移動速度が管理データベース40に記録されてもよい。
「車両コード1000,公共」が入力された場合においては、従業員が電車、バスおよび航空機などの公共交通機関や徒歩にて移動する。従業員端末3の移動速度に基づけば、これらのいずれの手段にて従業員が移動しているかを判定することもできる。この判定は、管理データベース40に記録された移動速度に基づきサーバ4にて実行されてもよいし、従業員端末3にて実行されてもよい。管理者端末1にて当該判定を実行することもできる。判定結果は、例えば移動速度に関連付けて管理データベース40に記録される。
移動手段の判定方法としては種々の方法を採用し得る。一例として、移動速度が10km/h未満程度に低速であれば従業員が徒歩で移動していると判定され、10km/h以上であれば電車やバスなどの公共交通機関で移動していると判定される。また、従業員端末3の位置が駅を示し、そこから徒歩よりも高速度で移動した場合には電車での移動であると判定したり、従業員端末3の位置がバス停を示し、そこから徒歩よりも高速度で移動した場合にはバスでの移動であると判定したりしてもよい。このように管理データベース40に記録される情報に基づき、例えば図2の従業員情報一覧における「状態」の欄に、移動中の従業員の移動手段(車両、徒歩、公共交通機関等)が表示されてもよい。
また、管理者端末1において、移動速度をグラフの形式にて表示可能であってもよい。図40は、このような速度表示グラフの一例を示す図である。横軸は時刻であり、縦軸は移動速度(km/h)である。図示した例においては、横軸の左端が出勤時刻であり、右端が退勤時刻である。徒歩での移動は実線で示され、公共交通機関での移動は破線で示され、車両コードが割り当てられた車両(営業車等)での移動は一点鎖線で示されている。
このグラフの例においては、従業員が9:00頃に徒歩で移動し、10:00前後に公共交通機関に乗車し、11:00頃に再び徒歩で移動している。さらに、13:00〜15:00頃に車両で移動し、再び17:00前後に車両で移動し、19:00頃に徒歩で移動している。このように、勤務時間中の従業員の移動手段と移動速度が確認できれば、管理者は従業員の労働状態をより正確に把握することができる。
以上の各実施形態にのうち、第1乃至第3実施形態においては、従業員の訪問先が顧客である場合を想定した。しかしながら、従業員の訪問先は顧客に限られず、サテライトオフィス、シェアオフィス、その他の管理者等が予め設定した場所であってもよい。この場合において、従業員の直行時における最初の訪問先がサテライトオフィス、シェアオフィス、あるいはその他の予め設定された場所であれば、その訪問開始時刻が出勤時刻となる。また、従業員の直帰時における最後の訪問先がサテライトオフィス、シェアオフィス、あるいはその他の予め設定された場所であれば、その訪問終了時刻が退勤時刻となる。
各実施形態にて開示した構成の他にも、労働状態管理システムは種々の態様で実現できる。すなわち、各実施形態にて開示した各処理の実行主体は、管理者端末1、出退勤端末2、従業員端末3およびサーバ4のいずれであってもよい。また、これらの処理の少なくとも一部がさらに他の装置によって実行されてもよい。
また、サーバ4の機能を管理者端末1に統合してもよい。この場合、管理データベース40は、記憶装置11や管理者端末1に接続された他の記憶装置に記憶することができる。
出勤時刻、退勤時刻、休憩開始時刻、休憩終了時刻、次回出勤可能時刻、訪問開始時刻および訪問終了時刻など、各実施形態にて言及した各種の時刻は、端数を切り上げるかあるいは切り捨てて5分単位や10分単位で計算されてもよい。
各実施形態において、出勤確認画面200、選択画面320および第1選択画面510,510aは、勤務日における従業員の出勤態様が事業所への出勤であるか訪問先への直行であるかを指定する出勤指定手段の一例である。また、各実施形態における出勤処理や出勤・直行処理(特にステップS307,S507,S510,S906,S1008,S1012a,S1203における出勤登録)は、出勤態様として事業所への出勤が指定された場合に従業員が事業所に出勤した時刻を出勤時刻として登録し、出勤態様として訪問先への直行が指定された場合に最初の訪問先への訪問開始時刻(または始業時刻)を出勤時刻として登録する出勤処理手段の一例である。
出勤指定手段に関し、出勤態様が出勤であるか直行であるかを指定する方法は、各実施形態に開示されたものに限られない。出勤態様の指定は、出退勤端末2および従業員端末3のいずれを通じて実行されてもよい。例えば出退勤端末2のディスプレイ23に出勤ボタンと直行ボタンを表示し、従業員が直行して顧客を訪問した後に事業所へ来る場合には事業所への到着時に当該直行ボタンを操作し、これにより出勤時刻決定処理と出勤登録が実行されてもよい。
メイン画面330の退勤ボタン338と直帰ボタン339、および、第2選択画面520,520aは、勤務日における従業員の退勤態様が事業所からの退勤であるか訪問先からの直帰であるかを指定する退勤指定手段の一例である。また、各実施形態における退勤処理や退勤・直帰処理(特にステップS405,S407,S604,S606,S1108,S1111,S1303の退勤登録)は、退勤態様として事業所からの退勤が指定された場合に従業員が事業所から退勤する時刻を退勤時刻として登録し、退勤態様として訪問先からの直帰が指定された場合に最後の訪問先への訪問終了時刻(または終業時刻)を退勤時刻として登録する退勤処理手段の一例である。
退勤指定手段に関し、退勤態様が退勤であるか直帰であるかを指定する方法は、各実施形態に開示されたものに限られない。退勤態様の指定は、出退勤端末2および従業員端末3のいずれを通じて実行されてもよい。例えば出退勤端末2のディスプレイ23に退勤ボタンと直帰ボタンを表示し、従業員が事業所に出勤した後に外出して直帰する場合には事業所を出るときに当該直帰ボタンを操作し、これにより退勤時刻決定処理と退勤登録が実行されてもよい。
訪問画面350の入力欄351,352は、顧客情報を表示する表示手段の一例である。また、訪問画面350の開始/終了ボタン354は、表示手段により表示された顧客情報が示す顧客への訪問開始および訪問終了を入力する入力手段の一例である。
警告画面210や出勤・直行処理にて表示される警告画面は、出勤処理手段により登録された出勤時刻が前回の勤務日の退勤時刻に基づいて算出される出勤可能時刻よりも早い場合に警告を発する警告手段の一例である。
さらに、警告画面210、出勤・直行処理にて表示される警告画面、退勤確認画面230,410および待機画面420は、退勤処理手段により登録された退勤時刻に基づいて算出される次回の出勤可能時刻を報知する報知手段の一例である。
従業員端末3のGPS受信機36は、従業員の位置を検出する位置検出手段の一例である。従業員端末3がGPS信号に基づいて検出した位置情報を管理者端末1やサーバ4に送信する処理は、送信手段の一例である。
図2に示した従業員情報一覧は、位置情報が示す住所および従業員の労働状態を含む従業員情報を表示する表示手段の一例である。
上記各実施形態は、発明の範囲をこれら実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明はその他の様々な形態で実施することが可能である。上記各実施形態にて開示した構成やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記各実施形態においては現状の日本国における法律および規則等に基づき上記のように出勤、退勤、直行、直帰に基づく労働時間の算出を行う場合を例示したが、法律および規則等が変更された場合において、当該変更後の法律および規則等に対応するように構築されたシステムも本発明の範囲に含まれる。
上記各実施形態においては従業員の出勤態様として通常の出勤(事業所、サテライトオフィス、テレワーク等での出勤)と直行とが存在する場合を例示した。しかしながら、各実施形態において通常の出勤と直行を区別せずに労働状態管理システムを構築してもよい。同様に、上記各実施形態においては従業員の退勤態様として通常の退勤(事業所、サテライトオフィス、テレワーク等での退勤)と直帰とが存在する場合を例示したが、各実施形態において通常の退勤と直帰を区別せずに労働状態管理システムを構築してもよい。
図41は、直行を考慮しない場合における出勤処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。図41の例においては、出勤処理が図26の出勤・直行処理と同様のステップS1001〜S1008を含むが、直行時の処理であるステップS1009等を含まない。例えば、ステップS1003においては、直行ボタン512を有さない第1選択画面510または第1選択画面510aが表示される。
図42は、直帰を考慮しない場合における退勤処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、主に従業員端末3のコントローラ30によって実現される。図42の例においては、退勤処理が図29の退勤・直帰処理と同様のステップS1101〜S1103,S1105〜S1110を含むが、直帰時の処理であるステップS1104等を含まない。例えば、ステップS1101においては、直帰ボタン522を有さない第2選択画面520または第2選択画面520aが表示される。
図41,42の例に限られず、他の実施形態に示した出勤や退勤に係る処理においても同様に直行時や直帰時の処理を省略してもよい。