JP2021165508A - 組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法 - Google Patents

組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な作業で定着部の周囲の孔壁にシアキーを形成することができる組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法を提供する。【解決手段】組積材12を積み上げてなる既設の組積造構造物10を補強する方法であって、組積造構造物10の頂部18から組積造構造物10の下部またはその基礎の内部にかけて、鉛直孔16を穿孔するステップと、鉛直孔16の少なくとも下部の孔壁24に目荒し部26を形成するステップと、緊張材または補強材として機能する棒状材20の下部に定着部22を接合した後、この棒状材20を鉛直孔16に挿通配置するとともに定着部22を目荒し部26と同じかそれよりも下側に配置するステップと、少なくとも目荒し部26の位置の鉛直孔16に固化材28を充填して定着部22を埋設するステップとを備えるようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばレンガ壁などの既設の組積造構造物に対してPC鋼棒などを設けることにより耐震補強する組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法に関するものである。
従来、レンガ造、石造、コンクリートブロック造などの組積造構造物の補強構造が知られている。一例としてレンガ造を例にとり説明すると、従来のレンガ造建物の耐震補強において、レンガ壁体に頂部から鉛直に孔を堀り、孔の中にPC鋼棒を挿入して端部を定着し、プレストレスを導入することによりレンガ壁体の構造性能を向上させる工法が知られている。この工法では、レンガ壁下部でPC鋼棒を定着させる方法として、レンガ壁頂部から鉛直下向きに孔をあけ、レンガ壁下部あるいは基礎コンクリートに、鉛直孔につながる横孔を側面から掘り、横孔内でPC鋼棒下端部に定着板を取り付けて定着する方法(例えば、特許文献1を参照)、横孔から更に径の大きな縦孔を掘ってその中で定着板を取り付けて定着する方法(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。しかし、これらの工法では側面に大きな孔をあける必要があり、多大な手間がかかるとともに、建物の外観に影響を与えて文化財的価値を損なうおそれがあった。
一方、横孔をあけない方法として、鉛直孔の下端部を削って径を拡大し、その中に鉛直孔を通る大きさの定着部を有するPC鋼棒を挿入する方法が知られている(例えば、特許文献3を参照)。しかし、この方法でも孔径を拡大する作業に多大な手間がかかるとともに、騒音や振動が生じるおそれがあった。
特開2010−281033号公報 特開2018−178646号公報 特開2019−078159号公報
このため、簡易な作業で定着部の周囲の孔壁にシアキーを形成することができる補強技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な作業で定着部の周囲の孔壁にシアキーを形成することができる組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る組積造構造物の補強方法は、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて、鉛直孔を穿孔するステップと、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に目荒し部を形成するステップと、緊張材または補強材として機能する棒状材の下部に定着部を接合した後、この棒状材を鉛直孔に挿通配置するとともに定着部を目荒し部と同じかそれよりも下側に配置するステップと、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に固化材を充填して定着部を埋設するステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法は、上述した発明において、目荒し装置を鉛直孔に挿入して鉛直孔の下部に配置した後、目荒し装置を回転させることにより鉛直孔の下部の孔壁を削り、鉛直孔の軸線と略直交する方向に延びる複数条の線状溝からなる目荒し部を形成することを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法は、上述した発明において、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下部を固定端、上部を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造は、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて設けられた鉛直孔と、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に設けられた目荒し部と、鉛直孔に挿通配置され、緊張材または補強材として機能する棒状材と、棒状材の下部に接合され、目荒し部と同じかそれよりも下側に配置される定着部と、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に充填され、定着部を埋設する固化材とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る目荒し装置は、上述した組積造構造物の補強方法において、孔壁に目荒し部を形成する際に用いられる目荒し装置であって、軸状の本体と、本体の外周に設けられ、本体の軸線と略直交する方向に延びるとともに所定の剛性と可撓性を有する複数の突出部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る目荒し方法は、上述した目荒し装置を孔壁に配置した後、本体を軸線周りに回転させて突出部を孔壁に沿って移動させることにより孔壁に目荒し部を形成することを特徴とする。
本発明に係る組積造構造物の補強方法によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて、鉛直孔を穿孔するステップと、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に目荒し部を形成するステップと、緊張材または補強材として機能する棒状材の下部に定着部を接合した後、この棒状材を鉛直孔に挿通配置するとともに定着部を目荒し部と同じかそれよりも下側に配置するステップと、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に固化材を充填して定着部を埋設するステップとを備えるので、簡易な作業で定着部の周囲の孔壁に目荒し部によるシアキーを形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、目荒し装置を鉛直孔に挿入して鉛直孔の下部に配置した後、目荒し装置を回転させることにより鉛直孔の下部の孔壁を削り、鉛直孔の軸線と略直交する方向に延びる複数条の線状溝からなる目荒し部を形成するので、目荒し部を簡易に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下部を固定端、上部を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えるので、組積造構造物に圧縮力を作用させる場合において、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることのできる補強方法を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて設けられた鉛直孔と、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に設けられた目荒し部と、鉛直孔に挿通配置され、緊張材または補強材として機能する棒状材と、棒状材の下部に接合され、目荒し部と同じかそれよりも下側に配置される定着部と、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に充填され、定着部を埋設する固化材とを備えるので、大きな付着強度を有する目荒し部に充填された固化材と組積造構造物との間にシアキーが形成されて、大きなせん断力の伝達が可能となる。定着部から目荒し部に向けて斜め方向に圧縮ストラットが形成されるため、大きな定着耐力を得ることができる。また、側面に横孔をあけることなく、上からの作業だけで定着部の施工が可能となる。側面に孔をあけないので、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る目荒し装置によれば、上述した組積造構造物の補強方法において、孔壁に目荒し部を形成する際に用いられる目荒し装置であって、軸状の本体と、本体の外周に設けられ、本体の軸線と略直交する方向に延びるとともに所定の剛性と可撓性を有する複数の突出部とを備えるので、目荒し部を簡易に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る目荒し方法によれば、上述した目荒し装置を孔壁に配置した後、本体を軸線周りに回転させて突出部を孔壁に沿って移動させることにより孔壁に目荒し部を形成するので、目荒し部を簡易に形成することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すレンガ壁の正断面図である。 図2は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態の変形例を示すレンガ壁の正断面図である。 図3は、本発明に係る目荒し装置の実施の形態を示す正面図であり、(1)は実施例1、(2)は実施例2、(3)は使用状況説明図である。 図4は、本発明に係る目荒し装置の実施の形態の変形例1を示す正面図である。 図5は、本発明に係る目荒し装置の実施の形態の変形例2を示す正面図である。
以下に、本発明に係る組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[組積造構造物の補強方法および補強構造]
まず、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、補強対象の組積造構造物として、図1に示すようなレンガ壁10を例にとり説明する。このレンガ壁10は、組積材としてのレンガ12を積み上げて形成した壁体であり、図示しない地中に設けたコンクリート基礎上に構築されている。レンガ12は、粘土や頁岩と泥を焼き固めて、または圧縮して作られた直方体状の建築材である。上下および左右に隣り合うレンガ12間には、モルタルやグラウトなどからなる目地14が設けられている。なお、本発明の組積造構造物はレンガ壁に限るものではなく、例えば、コンクリートブロックを組積材として積み上げたコンクリート壁や、石材などを組積材として積み上げた壁であってもよい。
また、本実施の形態では、棒状材がPC鋼棒(緊張材)である場合を例にとり説明するが、本発明の棒状材はこれに限るものではない。例えばPC鋼線、FRP製のより線、ロッドなどの緊張材でもよいし、鉄筋などの補強材であってもよい。
本実施の形態の補強方法は、ステップ1〜6の施工手順で行われる。以下、各ステップの施工内容について説明する。
(ステップ1)
まず、図1に示すように、レンガ壁10の上端18(頂部)から下部に向けて鉛直方向に孔を掘る。以下、この孔を鉛直孔と呼ぶことにする。この鉛直孔16は、円形断面の非貫通孔であり、レンガ壁10あるいは図外のコンクリート基礎の下まで貫通させず、レンガ壁10下部あるいはコンクリート基礎内のPC鋼棒20の下部を定着させる位置まで穿孔する。鉛直孔16の孔径は、後述するように、PC鋼棒20に接合する定着板22(定着部)の直径あるいは最大寸法よりも若干大径に設定する。なお、特に図示しないが、鉛直孔16は、レンガ壁10の長さ方向に沿って間隔をあけて複数形成するものとする。形成する鉛直孔16は、1列に並んでいてもよいし、2列や3列など複数列並んでいてもよく、千鳥配置になっていてもよい。
(ステップ2)
次に、鉛直孔16の下部の孔壁24に目荒し部26を形成する。この目荒し部26は、鉛直孔16の軸線Cと略直交する方向に延びる複数条の線状溝により構成され、孔壁24の全周に対してリング状(環状)に形成する。目荒し部26は、定着板22の上面より上に少なくとも1か所以上設ける。目荒し部26は、線状溝の部分が全体としてリング状を呈するものでよく、周方向に非連続な部分があってもよい。また、リング状に限らず、孔壁24に対して螺旋状に形成してもよい。目荒し部26は、鉛直方向に間隔をあけて複数設けてもよいし、鉛直孔16の全長にわたり設けてもよい。目荒し部26を形成する方法としては、例えば、図示しないドリル先端あるいはロッドの途中に後述の目荒し装置30を取り付けて鉛直孔16に挿入し、鉛直孔16の下部に配置した後、目荒し装置30を回転させることにより鉛直孔16の下部の孔壁を削る方法を使用することができる。このようにすれば、目荒し部26を簡易に形成することが可能である。
(ステップ3)
次に、PC鋼棒20の下端部あるいはその周辺に定着板22を取り付けた後、このPC鋼棒20をレンガ壁10の上端18から鉛直孔16に挿入する。定着板22の大きさ・形状は、上述したように、鉛直孔16の径よりも小さく、鉛直孔16の上端18から挿入できる大きさ・形状に設定する。なお、本発明の定着部はこれに限るものではなく、PC鋼棒等の棒状材に定着用の頭部を付加するものであればいかなるものでもよい。例えばPC鋼棒に螺合するタイプの定着ナットでもよいし、定着ナットの上に鋼板などを設けてもよい。緊張材や補強材に定着板を溶接や摩擦圧接やネジ接合により取り付けてもよいし、緊張材や補強材自体を成形して頭部を作ってもよい。
定着板22および目荒し部26は、図2に示すように鉛直方向に間隔をあけて複数設けてもよい。この場合は、最上部に配置した定着板22よりも上側に目荒し部26が少なくとも1か所あるように設定する必要がある。目荒し部26は、鉛直孔16の全長にわたり設けてもよい。
(ステップ4)
続いて、定着板22が目荒し部26よりも下側に納まる位置までPC鋼棒20を挿入する。目荒し部26と定着板22との間には一定の鉛直距離を確保することが好ましい。定着板22と目荒し部26の間に圧縮ストラット(束)を形成して定着力を伝達させるためである。
(ステップ5)
次に、鉛直孔16内に固化材28を充填する。固化材28は、鉛直孔16の全長に充填する必要はないが、少なくともPC鋼棒20の定着部となる定着板22の周囲から目荒し部26までの範囲には必ず充填する。固化材28は既設のレンガ壁10よりも圧縮強度の大きい材料を使用することが望ましい。固化材28としては、例えばモルタル、グラウト、コンクリートなどの無機材料、エポキシ樹脂などの有機材料など、PC鋼棒20の定着部から作用する力を孔壁24の目荒し部26に伝達できるものなら何でもよい。
(ステップ6)
次に、固化材28が固化した後、PC鋼棒20の下端を固定端、上端を緊張端としてPC鋼棒20に緊張力を付与して、PC鋼棒20の上端をレンガ壁10の上端18に設けた図外の定着板等に定着する。これにより、レンガ壁10の上端18と下部の定着板22との間に上下方向の圧縮力を作用させてレンガ壁10を補強し、本実施の形態に係る組積造構造物の補強構造100を得ることができる。
この補強方法によれば、目荒し部26に充填した固化材28が固化すると、目荒し部26は大きな付着強度を有するので、固化材28とレンガ壁10の間にリング状のシアキーが形成され、大きなせん断力の伝達が可能となる。PC鋼棒20の定着部から目荒し部26に向けて斜めに圧縮ストラットが形成され、大きな定着耐力が発揮される。
また、この補強方法によれば、PC鋼棒20を鉛直方向に挿入するレンガ壁10の補強方法において、側面からの削孔作業を行うことなく、上からの削孔作業だけで大きな定着耐力を有する下側定着部を形成することが可能となる。このため掘削量は殆ど生じない。
また、レンガ壁10の側面に横孔をあけないため、レンガ壁10の外観に与える影響は少ないか、または影響は殆どない。したがって、本実施の形態によれば、比較的手間をかけずに、外観に与える影響を小さく抑えながらレンガ壁10を補強することができる。このため、レンガ壁10の文化財としての価値低下を抑止することができる。
また、鉛直孔16の下部の径を大きく拡大する必要がないため、目荒し部26を形成する目荒し作業が軽微で済み、コスト低減、工期短縮、騒音低減を図ることができる。
[目荒し装置および目荒し方法]
次に、本発明に係る目荒し装置および目荒し方法の実施の形態について説明する。
図3(1)に示すように、本実施の形態に係る目荒し装置30は、上記の孔壁24に目荒し部26を形成する際に用いられる装置であって、軸状の本体32と、本体32の外周に設けられ、本体32の軸線Zと略直交する方向に延びるとともに所定の剛性と可撓性を有する複数の突出部34とを備える。
突出部34は、本体32の外周面から直線状に延びる複数の鋼線36で構成される。突出部34は、軸線Zの方向に所定の間隔をあけた複数箇所の本体32の左右に対で取り付けられている。各取り付け箇所からは複数の鋼線36が軸線Zと略直交する方向に向けて正面視で放射状に延びている。鋼線36は、軸線Zの方向に容易に曲がるようになっている。鋼線36の先端の位置は、軸線Zと平行な位置に揃えられている。鋼線36の長さは、本体32を鉛直孔16に挿入したときに孔壁24に容易に届く長さであることが望ましい。
上記構成の動作および作用について説明する。
本体32を軸線Z周りに回転させると、突出部34が本体32と一体に回転する。この状態で突出部34の先端を孔壁に押し当てると、曲がった突出部34が戻ろうとする力で孔壁の表面が線状に削り取られる。こうすることで、孔壁24に複数条の線状溝からなる目荒し部26を簡易に形成することができる。
突出部34は、図3(1)のような鋼線36に限るものではなく、図3(2)に示すように、軸線Zの方向に所定の間隔をあけた複数箇所の本体32の左右に対で取り付けた鋼板38で構成してもよい。突出部34の材質は、鋼材以外の材料で構成してもよい。
図3(3)に、突出部34を鋼板38で構成した場合の目荒し方法の一例を示す。この図に示すように、本体32を軸線Z周りに回転させて鋼板38の先端で孔壁24を削り取ることで、目荒し部26を簡易に形成することができる。
目荒し装置30は、コアドリルの延長ロッドに直接接続する態様で使用してもよいし、図4に示すように、延長ロッド42の端部などに対して着脱自在に装着したパイプ状の取り付けユニット40の端部に装着可能としてもよい。このようにすれば、目荒し装置30を鉛直孔16内の所定位置に容易に配置することができる。
目荒し装置30と取り付けユニット40と延長ロッド42は、図4に示すように同軸上に配置してもよいし、目荒し装置30と取り付けユニット40とを同軸上に配置しない構造としてもよい。例えば、図5に示すように、取り付けユニット40の軸線Z0から左側にずれた軸線ZA上に目荒し装置30Aを偏心配置するとともに、軸線Z0から右側にずれた軸線ZB上に目荒し装置30Bを偏心配置する。目荒し装置30Aは、本体32の左側のみに突出部34を取り付けたもの、目荒し装置30Bは、本体32の右側のみに突出部34を取り付けたものである。なお、目荒し装置30A、30Bのそれぞれの代わりに、両側に突出部34を取り付けた目荒し装置30を用いてもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
鉛直孔16が浅い場合は、ハンドドリルに延長ロッド42を取り付けて、その先に取り付けユニット40を介して目荒し装置30を取り付ける。そして、これを鉛直孔16に挿入して回転させて目荒しを行えばよい。鉛直孔16が深い場合は、鉛直孔16を削孔したコアドリルの先端のドリルビットの代わりに目荒し装置30を取り付け、コアドリルによって回転させて目荒しを行えばよい。
以上説明したように、本発明に係る組積造構造物の補強方法によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて、鉛直孔を穿孔するステップと、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に目荒し部を形成するステップと、緊張材または補強材として機能する棒状材の下部に定着部を接合した後、この棒状材を鉛直孔に挿通配置するとともに定着部を目荒し部と同じかそれよりも下側に配置するステップと、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に固化材を充填して定着部を埋設するステップとを備えるので、簡易な作業で定着部の周囲の孔壁に目荒し部によるシアキーを形成することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、目荒し装置を鉛直孔に挿入して鉛直孔の下部に配置した後、目荒し装置を回転させることにより鉛直孔の下部の孔壁を削り、鉛直孔の軸線と略直交する方向に延びる複数条の線状溝からなる目荒し部を形成するので、目荒し部を簡易に形成することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下部を固定端、上部を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えるので、組積造構造物に圧縮力を作用させる場合において、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることのできる補強方法を提供することができる。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて設けられた鉛直孔と、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に設けられた目荒し部と、鉛直孔に挿通配置され、緊張材または補強材として機能する棒状材と、棒状材の下部に接合され、目荒し部よりも下側に配置される定着部と、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に充填され、定着部を埋設する固化材とを備えるので、大きな付着強度を有する目荒し部に充填された固化材と組積造構造物との間にシアキーが形成されて、大きなせん断力の伝達が可能となる。定着部から目荒し部に向けて斜め方向に圧縮ストラットが形成されるため、大きな定着耐力を得ることができる。また、側面に横孔をあけることなく、上からの作業だけで定着部の施工が可能となる。側面に孔をあけないので、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることができる。
また、本発明に係る目荒し装置によれば、上述した組積造構造物の補強方法において、孔壁に目荒し部を形成する際に用いられる目荒し装置であって、軸状の本体と、本体の外周に設けられ、本体の軸線と略直交する方向に延びるとともに所定の剛性と可撓性を有する複数の突出部とを備えるので、目荒し部を簡易に形成することができる。
また、本発明に係る目荒し方法によれば、上述した目荒し装置を孔壁に配置した後、本体を軸線周りに回転させて突出部を孔壁に沿って移動させることにより孔壁に目荒し部を形成するので、目荒し部を簡易に形成することができる。
以上のように、本発明に係る組積造構造物の補強方法、補強構造、目荒し装置およびこれを用いた目荒し方法は、例えばレンガ壁などの既設の組積造構造物に対してPC鋼棒などでプレストレスを導入することにより耐震補強したり、また、既設の組積造構造物に鉄筋を挿入して補強する際に、手間を要さずに施工するのに有用であり、特に、既設の組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えて耐震補強するのに適している。
10 レンガ壁(組積造構造物)
12 レンガ(組積材)
14 目地
16 鉛直孔
18 上端(頂部)
20 PC鋼棒(棒状材)
22 定着板
24 孔壁
26 目荒し部
28 固化材
30 目荒し装置
32 本体
34 突出部
36 鋼線
38 鋼板
40 取り付けユニット
100 組積造構造物の補強構造

Claims (6)

  1. 組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、
    組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて、鉛直孔を穿孔するステップと、
    鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に目荒し部を形成するステップと、
    緊張材または補強材として機能する棒状材の下部に定着部を接合した後、この棒状材を鉛直孔に挿通配置するとともに定着部を目荒し部と同じかそれよりも下側に配置するステップと、
    少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に固化材を充填して定着部を埋設するステップとを備えることを特徴とする組積造構造物の補強方法。
  2. 目荒し装置を鉛直孔に挿入して鉛直孔の下部に配置した後、目荒し装置を回転させることにより鉛直孔の下部の孔壁を削り、鉛直孔の軸線と略直交する方向に延びる複数条の線状溝からなる目荒し部を形成することを特徴とする請求項1に記載の組積造構造物の補強方法。
  3. 棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下部を固定端、上部を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の組積造構造物の補強方法。
  4. 組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、
    組積造構造物の頂部から組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて設けられた鉛直孔と、鉛直孔の少なくとも下部の孔壁に設けられた目荒し部と、鉛直孔に挿通配置され、緊張材または補強材として機能する棒状材と、棒状材の下部に接合され、目荒し部と同じかそれよりも下側に配置される定着部と、少なくとも目荒し部の位置の鉛直孔に充填され、定着部を埋設する固化材とを備えることを特徴とする組積造構造物の補強構造。
  5. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の組積造構造物の補強方法において、孔壁に目荒し部を形成する際に用いられる目荒し装置であって、
    軸状の本体と、本体の外周に設けられ、本体の軸線と略直交する方向に延びるとともに所定の剛性と可撓性を有する複数の突出部とを備えることを特徴とする目荒し装置。
  6. 請求項5に記載の目荒し装置を孔壁に配置した後、本体を軸線周りに回転させて突出部を孔壁に沿って移動させることにより孔壁に目荒し部を形成することを特徴とする目荒し方法。
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