JP5207047B2 - 既設基礎の耐震補強工法及び既設基礎の耐震補強構造 - Google Patents

既設基礎の耐震補強工法及び既設基礎の耐震補強構造 Download PDF

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本発明は、構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の耐震強度を増強するための既設基礎の耐震補強工法及び既設基礎の耐震補強構造に関する。
大地震において発生する建築物等の構造物の傾斜や倒壊の被害は、杭基礎の耐震強度の不足に起因するものが多い。大地震時に杭基礎に発生する被害の内、杭頭部の被害は構造物の慣性力によって発生し、杭中間部の被害は、地盤の水平せん断変形によって発生する。したがって、杭基礎に求められる耐震性能は、構造物の水平慣性力及び地盤の水平せん断力に対する水平耐力と、構造物の傾斜によるモーメントや引き抜き力に対する耐力である。
構造物を新築する場合の杭基礎の耐震補強方法としては、施工上の制約が少ないため、深層混合処理工法等による地盤改良や、杭基礎自体の水平耐力を大きくしたり、あるいは、杭頭部と構造物の基礎フーチングとの接続強度を大きくしたりするものがある。
既存の構造物を支持する既設の杭基礎の耐震強度を増強するための耐震補強工法として、特開2007−177531号公報には、既設の杭基礎の近傍に新たに補強杭を構築し、新たに構築した補強杭を既設の杭基礎と一体に連結する耐震補強工法が開示されている。また、特開平8−296240号公報には、既存基礎の脇から地盤改良用の竪孔を削孔し、この竪孔にパイプを挿入して硬化材を注入し、既存基礎の周囲地盤を地盤改良して既設基礎の耐震強度を増強する耐震補強工法が開示されている。
特開2007−177531号公報 特開平8−296240号公報
しかしながら、従来の既設杭基礎の耐震補強は、施工スペースの制約も多く、施工が困難な場合があり、その場合施工コストも高価になるという問題があった。
本発明は、上記従来技術のもつ課題を解決する、狭い作業スペースでの施工性が良く、施工期間が短縮でき、施工コストが安価で、耐震性能を向上することができる既設コンクリート杭基礎の耐震補強工法及び既設コンクリート杭基礎の耐震補強構造を提供することを目的とする。
本発明の建築物の既設基礎の耐震補強工法は、前記課題を解決するために、構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる孔を削孔する工程と、前記削孔された孔に未硬化の硬化材を充填し、引張鋼材を挿入する工程と、前記未硬化の硬化材が硬化し、前記引張鋼材の下端部が前記硬化した硬化材により固定された後、前記引張鋼材に引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力を作用させる工程と、前記引張力を付加された前記引張鋼材の上端部を、前記既設基礎の上端部に固定部材を介して固定する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の既設基礎の耐震補強工法は、前記コンクリート杭として、RC杭、PHC杭、PC杭、場所打RC杭のいずれかを用いることを特徴とする。
また、本発明の既設基礎の耐震補強工法は、前記引張鋼材が前記コンクリート杭の内部を通して延びるように設置されることを特徴とする。
また、本発明の既設基礎の耐震補強工法は、前記既設基礎は、複数のコンクリート杭の杭頭部を一体に連結して形成された基礎フーチングを有し、前記基礎フーチングを通して前記複数のコンクリート杭間に延びるように設置されることを特徴とする。
また、本発明の既設基礎の耐震補強工法は、前記コンクリート杭の打設方向と平行に延びる引張鋼材と、前記コンクリート杭の打設方向に対して傾斜して延びる引張鋼材とを組み合わせて設置することを特徴とする。
また、本発明の既設基礎の耐震補強構造は、構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる引張鋼材を備え、前記引張鋼材の下端部が硬化材により固定され、前記引張鋼材の上端部が引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力が作用する状態で前記既設基礎上端部に固定部材を介して固定されることを特徴とする。
本発明の構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる孔を削孔する工程と、前記削孔された孔に未硬化の硬化材を充填し、引張鋼材を挿入する工程と、前記未硬化の硬化材が硬化し、前記引張鋼材の下端部が前記硬化した硬化材により固定された後、前記引張鋼材に引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力を作用させる工程と、前記引張力を付加された前記引張鋼材の上端部を、前記既設基礎の上端部に固定部材を介して固定する工程と、を有する構成により、大きな作業スペースを必要としない小型の削孔機で削孔でき、施工が容易であり、施工期間も短期で済むので低コストで耐震補強ができる。さらに、圧縮力を付与されたコンクリート杭は、地震時に付加される応力により圧縮軸力が増加し、圧縮軸力の増加により曲げ耐力が増加し、耐震性能を向上することができる。
また、コンクリート杭として、RC杭、PHC杭、PC杭、場所打RC杭のいずれかを用いる構成により、これらの杭は圧縮力を付与することで地震時に付加される応力により断面圧縮軸力が増加し、断面圧縮軸力の増加が曲げ耐力の増加に結びつく耐力曲線を有し、本発明の耐震補強工法に適した杭である。
また、引張鋼材がコンクリート杭の内部を通して延びるように設置される構成により、それぞれのコンクリート杭に直接圧縮力を付与することができるので、各コンクリート杭毎に正確な耐震性能を付与することができる。
また、既設基礎は、複数のコンクリート杭の杭頭部を一体に連結して形成された基礎フーチングを有し、前記基礎フーチングを通して前記複数のコンクリート杭間に延びるように設置される構成により、少ない引張鋼材で複数のコンクリート杭に基礎フーチングを介して効率よく圧縮力を付与することができ、複数のコンクリート杭の耐震性能を向上することができる。
また、コンクリート杭の打設方向と平行に延びる引張鋼材と、コンクリート杭の打設方向に対して傾斜して延びる引張鋼材とを組み合わせて設置する構成により、地震時の方向が異なる応力に対して耐震性能を向上することができる。
また、構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる引張鋼材を備え、前記引張鋼材の下端部が硬化材により固定され、前記引張鋼材の上端部が引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力が作用する状態で前記既設基礎上端部に固定部材を介して固定される構成により、圧縮力を付与された既設基礎は、地震時に付加される応力により圧縮軸力が増加し、圧縮軸力の増加により曲げ耐力が増加し、耐震性能を向上することができる。
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、本発明の既設基礎の耐震補強工法の第1実施形態を示す図である。
コンクリート杭を有する既設基礎1は、既存の建築物等の上部構造物を支持している。既設基礎1は、表層地盤2から支持地盤3まで延びるように設置された複数のコンクリート杭4、4’と、複数のコンクリート杭4、4’の杭頭部を一体に連結する基礎フーチング5とからなる。基礎フーチング5上に建築物等の上部構造が構築される。
本発明の耐震補強工法は、コンクリート杭4、4’として、RC杭(遠心力成形鉄筋コンクリート杭)、PHC杭(遠心力成形高強度プレストレストコンクリート杭)、PC杭(遠心力成形プレストレスト杭)、場所打RC杭(場所打鉄筋コンクリート杭)のいずれかを用いる。
これらの杭は、断面圧縮軸力の増加が曲げ耐力の向上につながる耐力曲線(M−N interaction curve)を有するので本発明の耐震補強工法に適している。これに対して、鋼管杭は、断面圧縮軸力が0の時に曲げ耐力が最大となる耐力曲線を有するので、本発明の耐震補強工法に鋼管杭は適用しない。
既設基礎1の耐震性能を向上するため、先ず、基礎フーチング5からコンクリート杭の杭頭部、コンクリート杭4、4’の内部を通して、支持地盤3の所定深さまで延びる小口径孔6を小型穿孔機を用いて穿孔する。第1実施形態では、小口径孔6は、コンクリート杭4、4’の打設方向と平行に穿孔される。
小型穿孔機による小口径孔6の穿孔は、基礎フーチング5、杭頭部内はコンクリート中の穿孔になる。基礎フーチング5には補強鉄筋が配筋されているので、穿孔の際、補強鉄筋を切断しないように穿孔位置を設定する。コンクリート杭4、4’の内部は、場所打ちRC杭以外は、杭内部は中空又は中空部に土砂等が充填されているだけであり、杭下端部には根固めコンクリートが充填される程度であるので、穿孔作業は比較的容易である。通常、支持地盤は岩盤又は硬質地盤であるので、穿孔された小口径孔6の孔壁の崩落の発生が比較的少ない。
支持地盤3中の穿孔の長さは、後述する引張鋼材8が硬化材7により固定された後、ジャッキにより引張力を付加する際に、その引張力に耐える十分な定着力を有するように設定される。引張鋼材8の外周に凸凹を形成すると、硬化材7との定着性が向上する。
小型穿孔機による支持地盤3中への所定深さの小口径孔6の穿孔作業が終了すると、支持地盤3に形成された小口径孔6への未硬化の硬化材の充填工程となる。小型穿孔機のドリルパイプを通してグラウト材等の未硬化の硬化材7を供給可能な小型穿孔機の場合、小型穿孔機の掘削流体供給口にグラウト材注入管を接続し、ドリルパイプを引き上げながら、支持地盤3中の小口径孔6にグラウト等の未硬化の硬化材7を充填する。
グラウト注入ができない小型穿孔機の場合は、ドリルパイプを引き上げ後、グラウト供給管から未硬化の硬化材7を支持地盤3中の小口径孔6に充填する。未硬化の硬化材7が充填された支持地盤3中の小口径孔6に、未硬化の硬化材7が硬化する前に、基礎フーチング5に穿孔された小口径孔、杭頭部に穿孔された小口径孔及び既設コンクリート杭4、4’の内部を通して引張鋼材8を挿入する。引張鋼材8としては、PC鋼線、PC撚り線、PC鋼棒等を用いる。引張鋼材8を支持地盤3中の小口径孔6に挿入した後、未硬化の硬化材6を支持地盤3中の6に充填しても良いし、引張鋼材8の小口径孔6、6’、6’’への挿入工程と、未硬化の硬化材7の充填工程を同時に実施しても良い。
支持地盤3中の小口径孔6中の未硬化の硬化材7が硬化し、引張鋼材8の下端部が支持地盤3中の小口径孔6にしっかりと定着された後、引張鋼材8の上端部に、引張鋼材8を挿入する孔を形成した台座9を基礎フーチング5上に設置する。
台座9にジャッキを設置し、台座9を反力受けとしてジャッキにより引張鋼材8に引張力を付加する。引張鋼材8に引張力を付加することにより、コンクリート杭4、4’に反力として圧縮力が付加される。引張鋼材8に付加される引張力は、コンクリート杭4、4’に所望の耐震性能を発揮可能な圧縮力が付加されるように設定する。
引張鋼材8に引張力を付加した状態で、引張鋼材8の上端部と台座9とをナット等の固定手段10で固定する。固定手段10として、溶接等の他の固定手段を用いても良い。
第1実施形態の既設基礎1の耐震補強工法は、コンクリート杭4、4’の内部を通して引張鋼材8が設置されて、その引張鋼材8に引張力が付加されるので、各コンクリート杭4、4’に直接圧縮力が付加されるので、設定された耐震性能を発揮できる圧縮力を正確に付加することができる。
図1では、コンクリート杭4、4’が支持地盤3上に支持される杭を例として、小口径孔6を杭下端の支持地盤3中まで延びるように穿孔したものを示したが、コンクリート杭4、4’を支持地盤3上で支持するものでなく周辺地盤との摩擦力で支持する摩擦杭の場合、孔6の穿孔は、支持地盤3まで延ばさなくても良い。
図2は、本発明の既設基礎1の耐震補強工法の第2実施形態を示す図である。
既設基礎1の耐震性能を向上するため、先ず、基礎フーチング5からコンクリート杭4、4’、4’’の杭間を通して、支持地盤3の所定深さまで延びる小口径孔6を小型穿孔機を用いて穿孔する。第2実施形態では、小口径孔6は、コンクリート杭4、4’ 、4’’の打設方向と平行に穿孔される。基礎フーチング5には補強鉄筋が配筋されているので、穿孔の際、補強鉄筋を切断しないように穿孔位置を設定する。
小型穿孔機による小口径孔6の穿孔は、基礎フーチング5、表層地盤2、支持地盤3中に形成される。支持地盤3中の穿孔の長さは、引張鋼材8が硬化材7により固定された後、ジャッキにより引張力を付加する際に、その引張力に耐える十分な定着力を有するように設定される。引張鋼材8の外周に凸凹を形成すると、硬化材7との定着性が向上する。
小型穿孔機による支持地盤3中への所定深さの小口径孔6の穿孔作業が終了すると、支持地盤3に形成された小口径孔6への未硬化の硬化材の充填工程となる。小型穿孔機のドリルパイプを通してグラウト材等の未硬化の硬化材7を供給可能な小型穿孔機の場合、小型穿孔機の掘削流体供給口にグラウト材注入管を接続し、ドリルパイプを引き上げながら、支持地盤3中の小口径孔6にグラウト等の未硬化の硬化材7を充填する。
グラウト注入ができない小型穿孔機の場合は、ドリルパイプを引き上げ後、グラウト供給管から未硬化の硬化材7を支持地盤3中の小口径孔6に充填する。未硬化の硬化材7が充填された支持地盤3中の小口径孔6に、未硬化の硬化材7が硬化する前に、引張鋼材8を挿入する。引張鋼材8としては、PC鋼線、PC撚り線、PC鋼棒等を用いる。引張鋼材8を支持地盤3中の小口径孔6に挿入した後、未硬化の硬化材6を支持地盤3中の小口径孔6に充填しても良いし、引張鋼材8の小口径孔6、6’、6’’への挿入工程と、未硬化の硬化材7の充填工程を同時に実施しても良い。
支持地盤3中の孔6中の未硬化の硬化材7が硬化し、引張鋼材8の下端部が支持地盤3中の小口径孔6にしっかりと定着された後、引張鋼材8の上端部に、引張鋼材8を挿入する孔を形成した台座9を基礎フーチング5上に設置する。
台座9にジャッキを設置し、台座9を反力受けとしてジャッキにより引張鋼材8に引張力を付加する。引張鋼材8に引張力を付加することにより、既設コンクリート杭4、4’、4’’に反力として圧縮力が付加される。引張鋼材8に付加される引張力は、既設コンクリート杭4、4’、4’’に所望の耐震性能を発揮可能な圧縮力が付加されるように設定する。
引張鋼材8に引張力を付加した状態で、引張鋼材8の上端部と台座9とをナット等の固定手段10で固定する。固定手段10として、溶接等の他の固定手段を用いても良い。
第2実施形態の既設基礎1の耐震補強工法は、引張鋼材8がコンクリート杭4、4’、4’’の杭間に配置されるので、杭内部に引張鋼材8を配置する第1実施形態に比べて、引張鋼材8の設計配置の自由度が大きく、引張鋼材8に付加された引張力は基礎フーチング5を介した反力である圧縮力として既成コンクリート杭4、4’、4’’に付加される。
図2では、コンクリート杭が支持地盤3上に支持される杭を例として、小口径孔6を杭下端よりも下方の支持地盤3中まで延びるように穿孔したものを示したが、支持地盤3の上方に引張鋼材8を定着するのに十分な強度を備えた地盤が存在する場合、小口径孔6の穿孔は、コンクリート杭の下端部より下まで延ばさなくても良く、コンクリート杭の下端部と同じ位置か上方位置としても良い。また、杭基礎形式は、摩擦杭基礎であっても良い。
図3は、本発明の既設基礎1の耐震補強工法の第3実施形態を示す図である。
既設基礎1の耐震性能を向上するため、先ず、基礎フーチング5からコンクリート杭4、4’、4’’の杭間を通して、支持地盤3の所定深さまで延びる小口径孔6を小型穿孔機を用いて穿孔する。第3実施形態では、コンクリート杭4、4’、4’’の打設方向と平行に穿孔される小口径孔6と、コンクリート杭4、4’、4’’の打設方向に対して傾斜して穿孔される小口径孔6’、6’’を穿孔する。基礎フーチング5には補強鉄筋が配筋されているので、穿孔の際、補強鉄筋を切断しないように穿孔位置を設定する。
小型穿孔機による小口径孔6、6’、6’’の穿孔は、基礎フーチング5、表層地盤2、支持地盤3中に形成される。支持地盤3中の穿孔の長さは、引張鋼材8が硬化材7により固定された後、ジャッキにより引張力を付加する際に、その引張力に耐える十分な定着力を有するように設定される。引張鋼材8の外周に凸凹を形成すると、硬化材7との定着性が向上する。
小型穿孔機による支持地盤3中への所定深さの小口径孔6、6’、6’’の穿孔作業が終了すると、支持地盤3に形成された小口径孔6、6’、6’’への未硬化の硬化材の充填工程となる。小型穿孔機のドリルパイプを通してグラウト材等の未硬化の硬化材7を供給可能な小型穿孔機の場合、小型穿孔機の掘削流体供給口にグラウト材注入管を接続し、ドリルパイプを引き上げながら、支持地盤3中の小口径孔6、6’、6’’にグラウト等の未硬化の硬化材7を充填する。
グラウト注入ができない小型穿孔機の場合は、ドリルパイプを引き上げ後、グラウト供給管から未硬化の硬化材7を支持地盤3中の小口径孔6、6’、6’’に充填する。未硬化の硬化材7が充填された支持地盤3中の小口径孔6、6’、6’’に、未硬化の硬化材7が硬化する前に、引張鋼材8を挿入する。引張鋼材8としては、PC鋼線、PC撚り線、PC鋼棒等を用いる。引張鋼材8を支持地盤3中の小口径孔6に挿入した後、未硬化の硬化材6を支持地盤3中の小口径孔6に充填しても良いし、引張鋼材8の小口径孔6、6’、6’’への挿入工程と、未硬化の硬化材7の充填工程を同時に実施しても良い。
支持地盤3の小口径孔6、6’、6’’中の未硬化の硬化材7が硬化し、引張鋼材8の下端部が支持地盤3中の小口径孔6、6’、6’’にしっかりと定着された後、引張鋼材8の上端部に、引張鋼材8を挿入する孔を形成した台座9を基礎フーチング5上に設置する。既成コンクリート杭4、4’、4’’の打設方向に対して傾斜した小口径孔6’、6’’に配置された引張鋼材8に対応する台座9は、その表面が引張鋼材8の引張方向と直角になるような楔形状とする。
台座9にジャッキを設置し、台座9を反力受けとしてジャッキにより引張鋼材8に引張力を付加する。引張鋼材8に引張力を付加することにより、既設コンクリート杭4、4’、4’’に反力として圧縮力が付加される。引張鋼材8に付加される引張力は、既設コンクリート杭4、4’、4’’に所望の耐震性能を発揮可能な圧縮力が付加されるように設定する。
引張鋼材8に引張力を付加した状態で、引張鋼材8の上端部と台座9とをナット等の固定手段10で固定する。固定手段10として、溶接等の他の固定手段を用いても良い。
第3実施形態の既設基礎1の耐震補強工法は、コンクリート杭4、4’、4’’の打設方向に対して平行に延びる引張鋼材8と、コンクリート杭4、4’、4’’の打設方向に対して傾斜して延びる引張鋼材8とを組み合わせて配置することで、地震時の多方向の応力に対して対応できる。図3では、杭間に引張鋼材8を配置するものを示したが、既設コンクリート杭4、4’、4’’が大径で、複数の引張鋼材の配置が可能であれば、第3実施形態のものを図1に示される第1実施形態に適用可能である。
また、第1〜第3実施形態の既設コンクリート杭基礎の耐震補強工法を組み合わせて適用しても良い。
図3では、コンクリート杭が支持地盤3上に支持される杭を例として、小口径孔6を杭下端よりも下方の支持地盤3中まで延びるように穿孔したものを示したが、支持地盤3の上方に引張鋼材8を定着するのに十分な強度を備えた地盤が存在する場合、小口径孔6の穿孔は、コンクリート杭の下端部より下まで延ばさなくても良く、コンクリート杭の下端部と同じ位置か上方位置としても良い。また、杭基礎形式は、摩擦杭基礎であっても良い。
図4は、本発明の既設基礎1の耐震補強工法の作用を説明するための図である。
RC杭(遠心力成形鉄筋コンクリート杭)、PHC杭(遠心力成形高強度プレストレストコンクリート杭)、PC杭(遠心力成形プレストレスト杭)、場所打RC杭は、図4に示されるような耐力曲線(M−N interaction curve)を有する。これらの杭は、地震時に発生する断面曲げモーメントM、断面圧縮軸力Nが三角形の耐力曲線内であれば、地震時の負荷に耐えることができる。既設コンクリート杭の耐力曲線に対して、地震時に発生する断面曲げモーメントMo,断面圧縮軸力Noとすると、MoとNoは、三角形の耐力曲線外に位置し、耐震補強をしないと既設コンクリート杭は、地震時の負荷に耐えることができない。
従来の増杭や地盤改良による耐震補強は、図4に示されるように、地震時に発生する断面曲げモーメントM0を三角形の耐力曲線内のM1にするものである。一方、本発明の既設コンクリート杭基礎の耐震補強は、既設コンクリート杭に予め圧縮力を付加することにより、断面圧縮軸力N0を曲げ耐力が耐力曲線内で最大値M2(Mmax)となるN2に増加するものである。地震時に断面圧縮軸力をN2とすることで、地震時の断面曲げモーメントMoを耐力曲線内として地震時の応力による既設コンクリート杭の破壊を防止するものである。
本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。
符号の説明
1:既設基礎、2:表層地盤、3:支持地盤、4、4’、4’’:コンクリート杭、5:基礎フーチング、6、6’、6’’:小口径孔、7:硬化材、8:引張鋼材、9:台座、10:固定手段

Claims (6)

  1. 構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる孔を削孔する工程と、
    前記削孔された孔に未硬化の硬化材を充填し、引張鋼材を挿入する工程と、
    前記未硬化の硬化材が硬化し、前記引張鋼材の下端部が前記硬化した硬化材により固定された後、前記引張鋼材に引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力を作用させる工程と、
    前記引張力を付加された前記引張鋼材の上端部を、前記既設基礎の上端部に固定部材を介して固定する工程と、
    を有することを特徴とする既設基礎の耐震補強工法。
  2. 前記コンクリート杭として、RC杭、PHC杭、PC杭、場所打RC杭のいずれかを用いることを特徴とする請求項1に記載の既設基礎の耐震補強工法。
  3. 前記引張鋼材が前記コンクリート杭の内部を通して延びるように設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の既設基礎の耐震補強工法。
  4. 前記既設基礎は、複数のコンクリート杭の杭頭部を一体に連結して形成された基礎フーチングを有し、前記基礎フーチングを通して前記複数のコンクリート杭間に延びるように設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の既設基礎の耐震補強工法。
  5. 前記コンクリート杭の打設方向と平行に延びる引張鋼材と、前記コンクリート杭の打設方向に対して傾斜して延びる引張鋼材とを組み合わせて設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の既設コンクリート杭基礎の耐震補強工法。
  6. 構造物を支持するためのコンクリート杭を有する既設基礎の上端部から、前記既設基礎の設置地盤中に延びる引張鋼材を備え、前記引張鋼材の下端部が硬化材により固定され、前記引張鋼材の上端部が引張力を付加し、前記コンクリート杭に圧縮力が作用する状態で前記既設基礎上端部に固定部材を介して固定されることを特徴とする既設基礎の耐震補強構造。
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