JP2021161199A - 水溶性糖類、感光性組成物、および水溶性糖類の製造方法 - Google Patents

水溶性糖類、感光性組成物、および水溶性糖類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な水溶性糖類を提供する。
【解決手段】水溶性糖類は、糖類が備える水酸基の少なくとも一部が重合性基に変性されてなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性糖類、感光性組成物、および水溶性糖類の製造方法に関する。
例えば、特許文献1には、不飽和基含有ポリイミド、不飽和基含有ポリイミド前駆体、カルボン酸変性不飽和基含有ポリシロキサン、不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール、不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール前駆体、不飽和基含有ポリシロキサン、多環側鎖含有芳香族樹脂、アクリル樹脂およびカルボン酸変性エポキシ樹脂から選ばれる不飽和基含有樹脂、および当該不飽和基含有樹脂を含む、組成物が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、環状エーテル(エポキシドおよびオキセタン等)、エチレン性不飽和化合物(ビニルエーテルおよびスチレン等)、ビシクロオルトエステル、スピロオルトカーボネートおよびスピロオルトエステル等のカチオン重合性化合物、およびフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、並びに、これらのカチオン重合性化合物と、アルカリ可溶性樹脂とを含む、組成物が記載されている。
国際公開第2017/159876号(2017年9月21日公開) 特開2014−201555号公報(2014年10月27日公開)
特許文献1および2には、糖類を主たる材料として生成される重合性基を有する材料について何ら開示されていない。本願発明者らは、糖類を重合性基で変性することで、重合性と水溶性との両方を備える新規な水溶性糖類が得られ、当該水溶性糖類が新規材料として極めて有用であることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様は、重合性基を備える新規な水溶性糖類およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水溶性糖類は、水溶性糖類の水酸基の一部が重合性基に変性されていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、重合性および水溶性の両方を備える新規な糖類、およびその関連技術を実現できる。
以下に、本発明をより詳細に説明する。
<用語>
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、単に「糖類」と記載する場合、特に説明がない限り、本発明の一態様に係る「水溶性糖類」の原料たる「糖類」のことを意味する。当該「糖類」は、食品科学分野における炭水化物を概念として包含し、具体的には単糖類、二糖類の食品科学における糖類、並びに、三糖類、四糖類、オリゴ糖、デンプンなどの多糖類、およびアセスルファムK等の糖質、並びに食物繊維も「糖類」として、本明細書中に記載される。
また、本明細書において、「水溶性糖類」とは糖類が備える水酸基のうちの少なくとも一部が重合性基に変性された「糖類」であり、かつ水溶性を有するもののことを意味する。すなわち、本明細書では、「水溶性糖類」は「重合性基に変性されてなる水溶性の糖類」の略称として記載される。同様に「水溶性」にて修飾された「糖」の記載は、特に説明がない限り、本発明の一態様に係る水溶性糖類の具体例を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの一方または両方を意味する。具体的には、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、およびメタクリル酸の一方または両方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」の一方または両方を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の一方または両方を意味する。
本明細書において、「感光性」という用語は、可視光、赤外線、紫外線からなる群から選択される光が照射されたときに、当該光を吸収することで組成物に含まれる化合物がラジカルまたはプロトン(H)を発生し、これらラジカルまたはプロトン(H)に起因して組成物に含まれる化合物が、重合し、または、変色する等の化学反応を示す性質を意味する。
<水溶性糖類>
本発明の一態様に係る水溶性糖類は、糖類が備える水酸基のうちの少なくとも一部が重合性基に変性されている。これにより、水溶性糖類は、糖類の水酸基に由来する水溶性と、変性されることにより付与される重合性との両方を兼ね備える新規な水溶性糖類である。
一態様に係る水溶性糖類は、その水溶性によって有機溶媒でなく、水を希釈溶媒として組成物を調製できる。また、一態様に係る水溶性糖類は、その水系組成物を被塗工物に塗工し、塗布膜を形成した後、当該水溶性糖類が有する重合性により重合させることができる。よって、水溶性糖類は、塗工作業環境における安全性や、溶媒排出後の環境負荷を低減するという観点から、アルカリ等の劇毒物、有機溶媒等の危険物の使用を回避することが求められ、重合性が求められる材料の代替として好適に用いることができる。
一態様に係る水溶性糖類は、限定されるものではないが、20℃における水に対する溶解度が、50g/l以上であり、200g/l以上であることがより好ましい。20℃における水に対する溶解度が、200g/lであれば、当該水溶性糖類を含んだ水溶性組成物を好適に調製することができる。なお、重合性基に変性されてなり、かつ20℃における水に対する溶解度が50g/lよりも低い糖類は、「難水溶性糖類」として、本発明に係る「水溶性糖類」と区別される。
また、水溶性糖類は、限定されるものではないが、重量平均分子量(Mw)が150以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。水溶性糖類は、重量平均分子量(Mw)が1000以上であることが光感度という観点からより好ましい。塗工性が良好となることから、水溶性糖類は、重量平均分子量(Mw)が10,000,000以下であることが好ましく、1,000,000以下であることがより好ましい。水溶性糖類の重量平均分子量(Mw)が1,000,000以下であれば高い平坦化率、および充填性を備える水溶性糖類とすることができる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
また、水溶性糖類は、原料である糖類が有している水酸基の全量を100mol%として、そのうち10mol%以上が重合性基に変性されていることが好ましい。糖類が有している水酸基の全量100mol%のうち、10mol%以上の水酸基が重合性基によって変性されていることで、当該重合性基を介して水溶性糖類の分子同士を好適に重合させることができる。また、糖類が有している水酸基の全量100mol%のうち、50mol%以下、より好ましくは30mol%以下の水酸基が重合性基によって変性されていることで、当該重合性を備えつつ、水溶性を備えることができる。水溶性糖類が有する水酸基の変性率は、13C−NMR(核磁気共鳴分光法)によって求められる。
〔重合性基〕
本発明の一態様に係る水溶性糖類は、水酸基の一部が重合性基に変性されている。重合性基としては、ラジカル重合性基およびカチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基には、ビニルエステル基、および(メタ)クリロイル基等の不飽和二重結合基を有する官能基が挙げられ、カチオン重合性基には、例えば、エポキシ基、オキセタン基などが挙げられる。
重合性基は、一例として、以下の式(1)に示す、構造を有し得る。
Figure 2021161199
ここで、Rは、水素またはメチル基である。すなわち、式(1)に示される重合性基は、(メタ)アクリロイル基であり、一態様に係る水溶性糖類において、当該(メタ)アクリロイル基は酸素原子を介して糖に共有結合している。
また、重合性基は、一例として、以下の式(2)および(3)の何れかの構造を有し得る。
Figure 2021161199
式(2)、(3)中において、Rは、式(1)に示す、(メタ)アクリロイル基あり、Rは、以下の式(4)に示す構造を有している。また、式(3)中において、Rは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜10のアルキル基であり、R3aは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基であり、mは0〜2の整数である。なお、式(2)および(3)に示す重合性基は、いずれも式(1)に示す重合性基と同じく、酸素原子を介して糖類に共有結合している。
Figure 2021161199
式(4)に示す、nは、2〜10の整数であり、2または3であることが好ましく、Pは、1〜6の整数であり、1または2であることが好ましい。すなわち、Rはオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり得、当該オキシアルキレン基におけるアルキレン鎖は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
また、上記式(1)〜(3)に示す重合性基は、上記式(4)に示す、Rを介して、糖に共有結合していてもよい。また、上記式(3)に示す重合性基は、R3a-O-とRとが上記式(4)に示す、Rを介して共有結合していてもよい。
本発明の一態様に係る水溶性糖類は、式(1)〜(3)に示す、重合性基のうち1種類、または2種類以上を、その分子内に含んでいるとよい。
以上のような重合性基によって変性された水溶性糖類の一例として、以下の式(5)に本発明の一態様に係る水溶性デキストリンの構造を示す。
Figure 2021161199
式(5)に示す水溶性デキストリンは、R基全てを100mol%として、当該R基のうち10mol%〜50mol%が、上述の式(1)〜(3)に示す重合性基によって変性されている。また、式(5)に示す水溶性デキストリンは、当該R基全てを100mol%として、そのうち、50mol%〜90mol%が水素、または、以下の式(4’)に示す、ポリオキシアルキレン基、またはオキシアルキレン基等の親水性基に変性されていてもよい。
Figure 2021161199
式(4’)に示す、nは、2〜10の整数であり、2または3であることが好ましく、Pは、1〜6の整数であり、1または2であることが好ましい。
上述の式(1)〜(3)の重合性基は、当該重合性基と求電子性基とを有する化合物に由来する残基である。ここで、求電子性基は、糖類の有している水酸基に対して求電子付加できる官能基であればよく、例えば、当該求電子性基には、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン基、イソシアネート基、酸無水物基等が挙げられる。
このような重合性基と求電子性基とを有する化合物には、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水溶性糖類の原料たる糖類は、多糖類、オリゴ糖類、四糖類、三糖類、二糖類、単糖類であり、水溶性糖類は、1種の糖類から変性してなる水溶性糖類であってもよく、2種以上の糖類を変性してなる水溶性糖類であってもよい。原料たる糖類は人工的に合成されたものであってもよいし、天然のものであってもよい。また、原料となる糖類が難水溶性である場合、当該糖類を加水分解して得た糖類を原料として用いてもよく、例えば、当該糖類にヒドロキシアルキレン基等の親水性基を導入し、水溶性を高めて原料として用いてもよい。
一態様に係る水溶性糖類は、限定されるものではないが、20℃における水に対する溶解度が、50g/l以上である糖類から変性されてなる。
水溶性糖類(多糖類)は、例えば、グリコーゲン、デンプン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、セルロース、グルカン、フルクタン、およびキチン等から選択される多糖類を重合性基で変性されてなる。水溶性糖類(多糖類)は、例えば、これら多糖類が有している水酸基の一部がヒドロキシアルキレン基に例示される親水性基によって変性されていてもよい。
水溶性糖類は、水溶性デキストリン、水溶性シクロデキストリンであることがより好ましい態様である。また、デキストリンは一般的なマルトデキストリンの概念も含み、DEが20以下の糖組成物をいう。
水溶性糖類(四糖類)は、アカルボース、およびスタキオース等の四糖類が有する水酸基を変性されていてもよい。また、水溶性糖類(三糖類)は、ラフィノース、メレジトース、およびマルトトリオース等の三糖類が有する水酸基を重合性基で変性されてなる。
水溶性糖類(オリゴ糖類)は、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、および乳糖果糖オリゴ糖等のオリゴ糖類が有する水酸基を重合性基で変性されてなる。オリゴ糖は2以上、10以下の単糖が結合したものであり得る。
水溶性糖類(二糖類)は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、およびセロビオース等の二糖類が有する水酸基を重合性基で変性されてなる。
水溶性糖類(単糖類)は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース等の単糖類が有する水酸基を重合性基で変性されてなる。
<水溶性糖類の製造方法>
本発明の一態様に係る水溶性糖類は、糖類が有している水酸基を、重合性基と求電子性官能基とを有する化合物によって変性することで製造することができる。以下では、便宜上、「重合性基と求電子性基とを有する化合物」のことを「変性剤」と記載する。
水溶性糖類の製造方法において、限定されるものではないが、原料たる糖類は、予め再沈殿等によって精製してもよい。
糖類の変性に用いられる反応溶媒は、糖類および変性剤を溶解でき、糖類および変性剤と反応しない溶媒を適宜選択すればよい。反応溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましく、例えば、非プロトン性極性溶媒には、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
変性剤が求電子性基としてハロゲン基を有している場合、反応溶媒はNMPであることが好ましい。変性剤が有するハロゲン基と、糖類が有する水酸基との反応により生成する塩酸をNMPが有する窒素原子の孤立電子対に親和させることができ、当該塩酸の糖類に対する影響を抑制できる。よって、変性剤により効率的に糖類を変性させることができる。
その他、変性剤の種類に応じ、反応中、例えば、三級アミン等の反応促進剤を用いてもよい。三級アミンには、例えばトリエチルアミン等が挙げられる。
反応時における系の温度は、好ましくは−10〜100℃であり、より好ましくは0〜60℃である。反応時の温度が−10℃以上である。
反応は、大気雰囲気下、または不活性ガス雰囲気下で行ってよく、限定されるものではないが、不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。不活性ガスには、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。その他、反応終了後、アミンを添加することで副生成物としての酸を中和してもよい。
水溶性糖類と変性剤との混合重量比は、糖類が有している水酸基の量に応じて、適宜選択すればよい。
<感光性組成物>
以下に、本発明の一態様に係る感光性組成物について、より詳細に説明する。
本発明の一態様に係る感光性組成物は、本発明の一態様に係る水溶性糖類、光反応開始剤、水を少なくとも含有する。また、本発明の一態様に係る感光性組成物は、必要に応じて、架橋剤と界面活性剤と反応停止剤とその他添加剤とを含有してもよい。
一態様に係る感光性組成物には、希釈溶媒として水が含まれる。感光性組成物は、限定されるものではないが、本発明の一態様に係る水溶性糖類が5重量%〜50重量%の濃度で水に希釈され得る。
〔光反応開始剤〕
本発明の一態様に係る感光性組成物は、光反応開始剤を含有する。光反応開始剤は、重合性基の種類に応じ、光ラジカル重合開始剤、および光カチオン重合開始剤から選択すればよい。一態様に係る感光性組成物において、光反応開始剤の含有量は、水溶性糖類100重量部に対して0.01〜5.00重量部であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、例えば、感光性組成物に求められる用途、機能に応じて適宜選択すればよく、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族ケトエステル系光重合開始剤、安息香酸エステル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、およびチタノセン系光重合開始剤等が挙げられる。これら、光ラジカル重合開始剤は、例えば、界面活性剤、および/または、重合性モノマーによって、水系に乳化または可溶化されたものを用いてもよい。このような、光ラジカル重合開始剤には、例えば、FAI−101L(富士フイルム株式会社製)が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤には、例えば、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、および2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
商業的に入手可能なα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤には、例えば、Omnirad 2959(IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
α−アミノケトン系光重合開始剤には、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、および3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−オクチル−9H−カルバゾールが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
オキシムエステル系光重合開始剤には、例えば、1−フェニルプロパン−1,2−ジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルブタン−1,2−ジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパン−1,2,3−トリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1−[4−[4−(カルボキシフェニル)チオ]フェニル]プロパン−1,2−ジオン−2−(O−アセチル)オキシム、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチル)オキシム、1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−[1−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルオキシ]ベンゾイル]−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチル)オキシム、および1−(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)−1−[2−メチル−4−(1−メトキシプロパン−2−イルオキシ)フェニル]メタノン−1−(O−アセチル)オキシムが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
ベンジルケタール系光重合開始剤には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
アクリジン系光重合開始剤には、例えば、1,7−ビス(アクリジン−9−イル)−n−ヘプタンが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ジベンジルケトン、およびフルオレノンが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、および4−アジドベンザルアセトフェノンが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
芳香族ケトエステル系光重合開始剤には、例えば、2−フェニル−2−オキシ酢酸メチルが挙げられる。
安息香酸エステル系光重合開始剤には、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−エチル)ヘキシル、4−ジエチルアミノ安息香酸エチル、および2−ベンゾイル安息香酸メチルが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤には、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドが挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
チタノセン系光重合開始剤には、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン(IV)、およびビス(η5−3−メチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタン(IV)が挙げられ、これらのうち2つ以上を併用してもよい。
〔架橋剤〕
本発明の一態様に係る感光性組成物は、架橋剤を含有してもよい。感光性組成物が架橋剤を含むことによって、当該架橋剤を介して感光性組成物に含まれる水溶性糖類が有する重合性基同士を架橋できる。当該架橋剤は、2つ以上の重合性基を有していることがより好ましい。
一態様に係る感光性組成物において、光反応開始剤の含有量は、水溶性糖類100重量部に対して0.01〜5.00重量部であることが好ましい。
ラジカル重合性架橋剤としては、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール等のビニル基を有する架橋剤、および(メタ)クリロイル基を有する架橋剤が挙げられる。(メタ)クリロイル基を有する架橋剤には、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールから形成される(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルには、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多価アルコールから形成される(メタ)アクリル酸エステルには、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらに限定されない。
その他、水溶性糖類が有する重合性基の種類に応じ、エポキシ基、およびオキセタン基等の重合性基を有する架橋剤を用いてもよい。
〔界面活性剤〕
本発明の一態様に係る感光性組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を適量含有させることで、組成物の表面張力を任意に調整することができ、塗布時のレベリング性が向上し、塗膜の膜厚均一性を向上させることができる。一態様に係る感光性組成物において、界面活性剤の含有量は、水溶性糖類100重量部に対して0.01〜10.00重量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、フッ素樹脂系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンエーテル系界面活性剤、およびアクリル樹脂系界面活性剤の界面活性剤が挙げられる。
フッ素樹脂系界面活性剤としては、例えば、メガファック(登録商標)が挙げられ、その品番としては、例えば、F−142D、F−172、F−173、F−183、F−430、F−444、F−445、F−470、F−475、F−477、F−555、F−558、およびF−559(以上、いずれもDIC株式会社製)が挙げられる。また、フッ素樹脂系界面活性剤には、エフトップ(登録商標)が挙げられ、その品番としては、EF301、303、および352(以上、いずれも三菱マテリアル電子化成株式会社製)が挙げられる。その他、フッ素樹脂系界面活性剤には、フロラード(登録商標)FC−430、およびFC−431(以上、いずれも住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード(登録商標)AG710(旭硝子株式会社製);、サーフロン(登録商標)S−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、およびSC−106(以上、いずれもAGCセイミケミカル株式会社製);、BM−1000、およびBM−1100(以上、何れも裕商株式会社製);、およびフタージェント(登録商標)710FM、730LM(以上、いずれも株式会社ネオス製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤しては、例えば、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA、およびST94PA(以上、いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製);、およびBYK(登録商標)301、306、307、331、333、337、および345(以上、いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
ポリオキシアルキレンエーテル系界面活性剤としては、フタージェント(登録商標)212M、209F、208G、240G、212P、220P、228P、NBX−15、FTX−218、およびDFX−218(以上、いずれも株式会社ネオス製)が挙げられる。
アクリル樹脂系界面活性剤としては、BYK(登録商標)−350、352、354、355、356、358N、361N、392、394、および399(以上、いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
(反応停止剤)
本発明の一態様に係る感光性組成物は、反応停止剤を含有してもよい。反応停止剤には、ラジカル重合停止剤が挙げられる。ラジカル重合停止剤としては、例えば、4−t−ブチルフェノール、4−メトキシフェノール、1,4−ヒドロキノン、1,4−ベンゾキノン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミル−1,4−ヒドロキノン、2−ニトロソ−1−ナフトール、およびまたはN−フェニルジエタノールアミン、IRGANOX(登録商標)シリーズが挙げられ、その品番としては1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425、1520、245、259、3114、565、および295(以上、いずれもBASF社製)が挙げられる。一態様に係る感光性組成物において、反応停止剤の含有量は、水溶性糖類100重量部に対して0.01〜5.00重量部であることが好ましい。
〔その他添加剤〕
本発明の一態様に係る感光性組成物は、水溶性糖類の性質を損なわない限りで、密着助剤、充填剤、水溶性樹脂等の添加剤を含有してもよい。
〔感光性組成物の利用〕
本発明の一態様に係る感光性組成物は、水系でありながら、例えば、半導体等の微細加工用フォトレジスト用感光性材料に利用することが出来る。
以下に、感光性組成物を半導体の微細加工におけるネガ型フォトレジストとして利用するための実施形態を、例示のために述べる。しかしながら、本発明の一態様に係る感光性組成物の利用は、本実施形態に限定されないことを留意されたい。
(重合性基の選択)
本発明の一態様に係る感光性組成物をネガ型フォトレジストとして用いる場合、水溶性糖類が有する重合性基は、(メタ)アクリロイル基に例示される不飽和二重結合を有する官能基である。
(基板)
本発明の一態様に係る感光性組成物の塗布対象となる基板は半導体ウエハ基板、ガラス基板等の基板が挙げられる。また、これら基板の表面には、絶縁層、導電層等の層が予め形成されていてもよい。また、これら基板には、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート等の下地となる基板が形成されていてもよい。本発明の一態様に係る感光性組成物は、水溶媒系の組成物であるため、有機溶媒を多量に含むレジスト材料と比較して、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート等の下地を腐食し難いことも利点の1つである。
(塗布膜の形成)
本発明の一態様に係る感光性組成物の基板への塗布方法は、スピナーを用いたスピンコーティングであってもよいが、これに限定されない。
感光性組成物中の水溶媒の除去のための塗布後のベイク(加熱乾燥)は、50〜300℃であればよい。
(露光による硬化塗布膜の形成)
本発明の一態様に係る感光性組成物をネガ型フォトレジストとして用いる場合、塗布膜を形成した基板を露光することによる硬化塗布膜の形成は、当技術分野で公知の露光方法で行うことが出来る。基板上に形成された塗布膜に照射する活性化学線は、紫外線であることが好ましい。紫外線硬化は電子線硬化に比べ、生産性に優れ、装置コストが安価である利点がある。露光量は200mJ/cm程度、露光時間は60秒間程度が好ましい。必要に応じて、所望のパターンを施したフォトマスクを介して露光することで、所望のパターンを有する硬化塗布膜を得ることが出来る。なお、照射すべき紫外線の波長は、感光性組成物に含まれる光重合開始剤の種類に応じて選択すればよい。
(現像)
本発明の一態様に係る組成物をネガ型フォトレジストとして用いる場合、塗布膜の現像液は、水である。すなわち、現象液が水であることを除いて、当技術分野で公知の方法で行うことが出来ることが本発明の利点の1つである。
(エッチング)
本発明の一態様に係る組成物をネガ型フォトレジストとして用いる場合、塗布膜のエッチングは、当技術分野で公知の技術で行うことが出来る。
<水溶性糖類の合成>
実施例1〜4および比較例1として、種類が異なる糖類および種類が異なる(メタ)アクリル系化合物を用い、(メタ)アクリル変性された水溶性糖類を合成した。
〔水溶性糖類の合成に使用した主な材料〕
(デキストリン−1)
直鎖状デキストリン(商品名:NSD500,サンエイ糖化株式会社製)
(シクロデキストリン−1)
2−ヒドロキシルプロピル−α−シクロデキストリン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)
(セルロース−1)
ヒドロキシルプロピルセルロース(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)
((メタ)アクリル系化合物−1)
アクリル酸クロリド(東京化成工業株式会社製)
((メタ)アクリル系化合物−2)
1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
製品名:カレンズ(登録商標)BEI,昭和電工株式会社製
((メタ)アクリル系化合物−3)
2−イソシアナトエチルアクリラート
製品名:カレンズ(登録商標)AOI,昭和電工株式会社製
((メタ)アクリル系化合物−4)
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
製品名:カレンズ(登録商標)MOI,昭和電工株式会社製
〔実施例1〕
温度計、撹拌機、および冷却管を備えた内容量3Lの反応容器に、750gのイオン交換水と750gのデキストリン−1とを加え、撹拌し、デキストリン−1をイオン交換水に完全に溶解させた。次いで、1500gのメタノールを加え、イオン交換水に溶解させたデキストリン−1のうち高分子量のデキストリンのみを沈殿させ、沈殿物を得た。デカンテーションによって沈殿物と、水およびメタノールの混合液とを分画し、その後、分画した沈殿物に750gのイオン交換水を加え、当該沈殿物を溶解し、1500gのメタノールを加え、沈殿させて分画する操作を再度行った。再度の分画後、当該沈殿物に1000gのN−メチルピロリドン(NMP)を加え、これによりデキストリン−1から高分子量のデキストリンを含むNMP溶液を得た。このNMP溶液を60mmHgの減圧下、100℃まで加熱し、系内に残留するメタノールと水とを除去した。NMP溶液の温度が15℃を超えないように冷却しながら、3時間かけて117.7g(1.30mol)のアクリル酸クロリド((メタ)アクリル系化合物−1)を滴下し、滴下終了後、引き続きNMP溶液を15℃で3時間撹拌した。これによりデキストリンとアクリル酸クロリドとを反応させた。次いで、NMP溶液に131.6gのトリエチルアミンを加え、中和処理を行なった。中和によって沈殿した塩とNMPを精製除去した。これにより、デキストリン−1から(メタ)アクリル酸変性物である水溶性デキストリン−1を得た。
水溶性デキストリン−1において、調製に用いたデキストリン−1と(メタ)アクリル系化合物−1の分量から算出されるデキストリン−1が有する水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(理論値)は、17.0mol%であった。これに対して、13C−NMR測定によるデキストリン中の水酸基に対する(メタ)アクリル酸の変性率(実測値)は16.8mol%であった。
〔実施例2〕
アクリル酸クロリドの滴下量を117.7g(1.30mol)から152.3g(1.68mol)に変更し、中和に用いたトリエチルアミンの量を131.6g(1.30mol)から170.0g(1.68mol)に変更したことを除き、試料1と同じ条件で、デキストリン−1から(メタ)アクリル酸変性物である水溶性デキストリン−2を得た。
水溶性デキストリン−2において、調製に用いたデキストリン−1と(メタ)アクリル系化合物−1の分量から算出されるデキストリン−1が有する水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(理論値)は、22.0mol%であった。これに対して、実施例1の水溶性デキストリン−1と同じ条件で13C−NMR測定により求められたデキストリン中の水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(実測値)は、21.9mol%であった。
〔実施例3〕
200mLの反応容器に45.5gのメチルエチルケトン(MEK,富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に10.0gのシクロデキストリン−1を加え、濃度が18重量%であるシクロデキストリン−1のMEK溶液を得た。当該MEK溶液中に窒素を10分間流し、反応容器内を窒素雰囲気下にした後、当該MEK溶液を加熱し、60℃にて50分撹拌した。当該MEK溶液を60℃に保ちながら、0.9gの(メタ)アクリル系化合物−2と4.2gのトリエチルアミン(東京化成工業株式会社製)とを加え、反応液とした。禁水および窒素雰囲気下、60℃にて1時間、反応液を撹拌することで、シクロデキストリン−1と(メタ)アクリル系化合物−2とを反応させ、その後、反応液に含まれるメチルエチルケトンとトリエチルアミンとをエバポレータによって精製除去した。これにより、シクロデキストリン−1の(メタ)アクリレート変性物である水溶性シクロデキストリン−1を得た。
水溶性シクロデキストリン−1において、調製に用いたシクロデキストリン−1と(メタ)アクリル系化合物−2の分量から算出されるシクロデキストリン−1が有する水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(理論値)は、15.0mol%であった。
続いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって、実施例3の水溶性シクロデキストリン−1の重量平均分子量を測定した。GPC分析の条件は以下の通りである。
GPC装置:HLC−8320GPC EcoSEC(東ソー株式会社製)
ガードカラム:
TSKguardcolumn SuperAW−H(東ソー株式会社製)
カラム1:TSKgel SuperAW3000(東ソー株式会社製)
カラム2:TSKgel SuperAWM−H(東ソー株式会社製)
上述のガードカラム、カラム1およびカラム2を連結したカラムを採用し、上記のGPC装置に装着して用いた。
カラム温度:40℃,検出器:RI(示差屈折計)
移動相:DMF
標準物質:ポリスチレン
濃度が0.05重量%となるように水溶性シクロデキストリン−1をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、GPC分析用試料とした。
GPC分析により求められた水溶性シクロデキストリン−1の重量平均分子量は1600(標準ポリスチレン換算)であった。
〔実施例4〕
0.9gの(メタ)アクリル系化合物−2の代わりに1.1gの(メタ)アクリル系化合物−3を用いたこと、およびトリエチルアミンの量を4.2gから5.8gに変更したことを除き、実施例3と同じ条件により、シクロデキストリン−1の(メタ)アクリレート変性物である水溶性シクロデキストリン−2を得た。
水溶性シクロデキストリン−2において、調製に用いたシクロデキストリン−1と(メタ)アクリル系化合物−3の分量から算出されるシクロデキストリン−1が有する水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(理論値)は、31.0mol%であった。
また、実施例3の水溶性シクロデキストリン−1と同じ条件によるGPC分析から求められた水溶性シクロデキストリン−2の重量平均分子量は1500(標準ポリスチレン換算)であった。
〔比較例1〕
300mLの反応容器に141.0gのメチルエチルケトン(MEK)と31.0gのセルロース−1とを加え、濃度が18重量%であるセルロース−1のMEK溶液を得た。MEK液中に窒素を10分間流し反応容器内を窒素雰囲気下にした後、MEK溶液を加熱し、60℃にて50分撹拌した。当該MEK溶液を60℃に保ちながら、8.5gの(メタ)アクリル系化合物−4と17.5gのトリエチルアミンとを加え、反応液とした。禁水および窒素雰囲気下、60℃にて1時間、反応液を撹拌することで、セルロース−1の(メタ)アクリレート変性物である難水溶性セルロース−1を得た。反応液に含まれるトリエチルアミンを再沈殿法により除去し、エバポレータによってMEKを精製除去した。次いで、MEKを加え、濃度が25重量%である難水溶性セルロース−1のMEK溶液を得た。
難水溶性セルロース−1において、調製に用いたセルロース−1と(メタ)アクリル系化合物−4の分量から算出されるセルロース−1が有する水酸基の(メタ)アクリル系化合物による変性率(理論値)は、33.0mol%であった。
また、実施例3の水溶性シクロデキストリン−1と同じ条件によるGPC分析から求められた難水溶性セルロース−1の重量平均分子量は6000000(標準ポリスチレン換算)であった。
<感光性組成物の調製>
実施例1〜4および比較例1で得られた水溶性糖類と、以下に示す材料とを用い、試料1〜7の感光性組成物を調製した。
〔感光性組成物を調製するために用いた主な材料〕
(光反応開始剤−1)
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン
商品名:Omnirad 2959,IGM Resins B.V.社製
(光反応開始剤−2)
多官能基アクリルアミドモノマー
商品名:FAI−101L,富士フイルム株式会社製
(架橋剤−1)
1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール(東京化成工業株式会社製)
(反応停止剤−1)
N−フェニルジエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)
(界面活性剤−1)
含フッ素基・親水性基含有オリゴマー(商品名:メガファック(登録商標)F430,DIC株式会社製)
〔試料1〕
まず、実施例1の水溶性デキストリン−1にイオン交換水を加え、濃度が25重量%である水溶液を得た。次いで、10gの水溶性デキストリン−1の水溶液に対し、0.3gの光反応開始剤−1と0.1gの架橋剤−1と0.05gの反応停止剤−1と0.05gの界面活性剤−1とを加え溶解した。次いで、水溶性デキストリン−1、光反応開始剤−1、架橋剤−1、反応停止剤−1、界面活性剤−1の合計が12重量%になるように純水で濃度を調整し、水溶液を得た。得られた水溶液を、孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルター(アドバンテック製)を用いてろ過し、試料1の感光性組成物を調製した。
〔試料2〕
実施例1の水溶性デキストリン−1の代わりに実施例2の水溶性デキストリン−2を用いたことを除き、実施例1と同じ条件で、試料2の感光性組成物を調製した。
〔試料3〕
実施例1の水溶性デキストリン−1の代わりに実施例3の水溶性シクロデキストリン−1を用いたことを除き、実施例1と同じ条件で、試料3の感光性組成物を調製した。
〔試料4〕
実施例1の水溶性デキストリン−1の代わりに実施例4の水溶性シクロデキストリン−2を用いたことを除き、実施例1と同じ条件で、試料4の感光性組成物を調製した。
〔試料5〕
実施例2で得られた水溶性デキストリン−2の25重量%水溶液8gと、実施例4で得られた水溶性シクロデキストリン−2の25重量%水溶液2gとを混合し、これに対し、0.3gの光反応開始剤−1と0.1gの架橋剤−1と0.05gの反応停止剤−1と0.05gの界面活性剤−1とを加え、溶解した。ついで、水溶性デキストリン−2、水溶性シクロデキストリン−2、光反応開始剤−1、架橋剤−1、反応停止剤−1、界面活性剤−1の合計が12重量%になるように純水で濃度を調整し、水溶液を得た。得られた水溶液を、孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、試料5の感光性組成物を調製した。
〔試料6〕
光反応開始剤−1を光反応開始剤−2に代えた以外は、試料2と同じ条件にて、試料6の感光性組成物を調製した。
〔試料7〕
比較例1の難水溶性セルロース−1を濃度が25重量%となるように含むMEK溶液を調製し、当該MEK溶液10gに対して、0.5gの光反応開始剤−1を溶解し、難水溶性セルロース−1と光反応開始剤−1との合計が12質量%になるように乳酸エチルにて濃度を調整し、溶液を得た。その溶液を孔径0.2μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、試料7の感光性組成物を調製した。
<感光性組成物の評価>
〔光硬化性試験〕
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおける光硬化性試験を、以下の条件で行なった。半導体基板(直径20cm)に3mlの感光性組成物を滴下し、スピナー(CLEAN TRACK ACT8;東京エレクトロン株式会社製)を用いてスピンコーティングすることで感光性組成物の塗布膜を形成した。次いで、塗布膜の主溶媒を蒸散させて除去するため、ホットプレートにより130℃、1分間の条件で、感光性組成物を塗布した半導体基板を加熱乾燥した。次いで、マスク密着露光装置(LTCET−500;リソテックジャパン株式会社製)に紫外線透過・可視線吸収フィルタ(U330;HOYA株式会社製)を装着し、200mJ/cmの条件で、加熱乾燥した感光性組成物の塗布膜に紫外線照射し、光硬化させた。光硬化させた硬化膜の膜厚は0.5μmであった。次いで、当該硬化膜を形成した半導体基板を現像液である純水に90秒間浸漬し、硬化膜における未硬化部分を除去した。
半導体基板の表面を電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社 Regulus)で観察し、膜厚0.45μm以上の塗布膜が表面に残留しているものを「可」、残留していないものを「不可」として評価を行った。
表1に、試料1〜7における光硬化性試験の評価結果を示す。
〔プラスチック下地腐食試験〕
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおけるプラスチック下地腐食性試験を、以下の条件で行なった。
ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート基板に、感光性組成物を膜厚0.5μmとなるようスピンコートし、130℃で1分間加熱することで感光性組成物の塗布膜を形成した。その後、紫外線照射を行わず、当該塗布膜を形成したポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート基板共に現像液である純水に90秒間浸漬し、感光性組成物の塗布膜を除去した。その後、光学顕微鏡(倍率100倍)による観察下において、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート基板の表面に、感光性組成物に起因して生じる基板の腐食によるムラが発生していないものを「可」、腐食によるムラが発生したものを「不可」とした。プラスチック下地腐食試験の結果を表1に示す。なお、プラスチック下地腐食試験に用いた、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート基板の作製方法は以下の通りであった。
(基板用プラスチックの合成)
感光性組成物から成膜される塗膜の下地となるプラスチック基板用のポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートを以下の方法で調製した。
60gの乳酸エチルに、15gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを溶解し、溶液を得た。当該溶液中に窒素を60分間流し、反応容器内を窒素雰囲気下にした後、溶液を75℃まで加熱した。当該溶液を75℃に保ちながら、0.32gのアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒素雰囲気下で18時間撹拌することにより、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートの溶液を得た。
得られたポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートについて、上述の実施例におけるGPC分析と同じ条件にてGPC分析を行ない、重量平均分子量を求めた。その結果、得られたポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートの重量平均分子量は8000(標準ポリスチレン換算)であった。
(プラスチック基板の作製)
得られたポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートの溶液3mlを、半導体基板(20cm)上に滴下し、上述のスピナーを用いてスピンコーティングし130℃にて加熱乾燥することでポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート基板を形成した。
〔フォトリソグラフィパターニング試験〕
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおけるフォトリソグラフィパターニング試験を、以下の条件で行なった。
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおけるフォトリソグラフィパターニング試験を、以下の条件で行った。なお、感光性組成物の塗布膜は、光硬化性試験と同じ条件にて、試料を半導体基板上にスピンコーティングすることで形成した。塗布膜の主溶媒を蒸散させ除去するため、ホットプレートにより130℃、1分間の条件にて半導体基板を加熱した。次いで、マスク密着露光装置に紫外線透過・可視線吸収フィルタ(U330、HOYA株式会社)および解像度テストフォトマスク(CHART−NO1−P,線幅1μm;リソテックジャパン株式会社製)を装着し、200mJ/cmで、半導体基板上の乾燥した塗布膜に紫外線照射した。次いで、塗布膜に紫外線照射した後の半導体基板を現像液である純水に90秒間浸漬し、塗布膜のうち、硬化していない部分を除去することによって、半導体基板上の塗布膜に周期的に繰り返される直線状のパターンを形成した。
半導体基板の表面を電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社 Regulus)で観察し、線幅1μm以下のパターンが形成されていたものを「可」、パターンが形成されていなかったものを「不可」として評価を行った。表1に試料1〜7の評価結果を示す。
〔ドライエッチング速度試験〕
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおけるドライエッチング試験を、以下の条件で行った。なお、感光性組成物の塗布膜は、光硬化性試験と同じ条件にて、試料を半導体基板上にスピンコーティングすることで形成した。塗布膜の主溶媒を蒸散させ除去するため、ホットプレートにより130℃、1分間の条件にて半導体基板を加熱した。次いで、マスク密着露光装置に紫外線透過・可視線吸収フィルタ(U330、HOYA株式会社)を装着し、200mJ/cmの条件で、半導体基板上の乾燥した塗布膜に紫外線照射した。
次いで、RIEプラズマエッチング装置(サムコ株式会社製;FA−1−TK)、およびドライエッチングガスとして四フッ化炭素を用いて、半導体基板に対して、ドライエッチング処理を行った。ドライエッチング速度の比較対象として、半導体基板上にポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート(膜厚0.5μm)を形成し、各試料とのドライエッチング速度と比較した。
塗布膜の表面およびプラスチック基板の表面を分光エリプソメータ(日本セミラボ株式会社;GES5E−SCANーTS)で観察し、硬化膜の膜厚およびプラスチック基板の膜厚の減少量を測定することで、ドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)を算出した。プラスチック下地のドライエッチング速度に対する、各試料により作製した硬化膜のドライエッチング速度の比が、0.50以下であるものを「可」、0.50を超えるものを「不可」として評価を行った。試料1〜7の結果を表1に示す。RIEプラズマエッチングは、RFパワー100W、およびフローレート20sccmの条件で行った。
試料1〜7の感光性組成物から形成された硬化膜のエッチング速度は、プラスチック基板のポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートに比較して小さいことが確認された。
〔平坦化率、充填性試験〕
試料1〜7の感光性組成物のそれぞれにおける平坦化率、充填性試験を、以下の条件で行った。
当該試験では、直径0.25μm、深さ1.0μmのホールが多数形成された二酸化シリコン基板(直径1cm)に、感光性組成物の硬化膜を形成した。二酸化シリコン基板には、Iso(疎)パターンの領域、およびDense(密)パターンの領域が設けられており、Isoパターンは1つのホール中心から隣に設けられた別のホール中心までの間隔の平均が、当該ホールの直径の5倍であり、Denseパターンは、1つのホール中心から隣に設けられた別のホール中心までの間隔の平均が、当該ホールの直径の1倍であるパターンである。
感光性組成物1mlを二酸化シリコン基板上に滴下し、スピナーを用いてスピンコーティングした後、プレート上で130℃で1分間、二酸化シリコン基板を加熱して塗布膜を形成した。その後、次いで、マスク密着露光装置に紫外線透過・可視線吸収フィルタを装着し、200mJ/cmの条件下で、二酸化シリコン基板上の乾燥した塗布膜に紫外線照射し、硬化塗布膜を形成した。硬化膜の膜厚は、ホールがないオープンエリアにおいて、0.5μmであった。
二酸化シリコン基板におけるにDenseパターンの領域に形成された硬化膜の断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、以下の式により、平坦化率を下式に従い算出した。
平坦化率=(1−a/b)×100
a:ホール中心における硬化膜の凹み深さ
b:ホールの深さ
80%以上の平坦化率を有するものを「可」、有さないものを「不可」として、評価を行った。試料1〜7の感光性組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 2021161199
以上の評価結果から、重合性基を有する水溶性糖類が、水溶性、および重合性が求められる新規な樹脂材料として有用であることを確認できた。また、試料1〜6の感光性組成物は、感光性パターニング形成用組成物として好適に使用できることを確認した。
また、上記の評価のうち、ドライエッチング試験においては、半導体基板上にプラスチック基板を形成した。さらに試料1〜7の感光性組成物を現像して硬化膜を形成し、その後、ドライエッチングにより基板の下地を露出させる工程において、プラスチック基板のドライエッチング速度を感光性組成物のドライエッチング速度よりも遅くできる。これにより、試料1〜6の感光性組成物が削り取られる前にプラスチック基板がドライエッチングによって除去できるので、現像された水溶性感光性パターニング材料形成組成物のパターンを正確に基板に転写することができることを確認した。難水溶性セルロース−1を含む試料7の感光性組成物においては、平坦化率が不可であった。
本発明に係る水溶性糖類は、例えば、フォトレジスト材や光硬化型インキ等といった感光性材料等に利用することができる。

Claims (9)

  1. 糖類が備える水酸基の少なくとも一部が重合性基に変性されてなる、水溶性糖類。
  2. 前記糖類が備える水酸基の全量を100mol%として、当該水酸基のうちの10mol%〜50mol%が重合性基に変性されてなる、請求項1に記載の水溶性糖類。
  3. 前記糖類がデキストリンまたはシクロデキストリンである、請求項1または2に記載の水溶性糖類。
  4. 前記重合性基が(メタ)アクリロイル基を有している、請求項1または2に記載の水溶性糖類。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性糖類と水と光反応開始剤とを含有してなる、感光性組成物。
  6. 架橋剤を含有してなる、請求項5に記載の感光性組成物。
  7. 界面活性剤を含有してなる、請求項5または6に記載の感光性組成物。
  8. 反応停止剤を含有してなる、請求項5〜7の何れか一項に記載の感光性組成物。
  9. 有機溶媒の存在下で、糖類と重合性基を有する化合物とを反応させて、重合性基に変性されてなる水溶性糖類の製造方法であって、
    前記有機溶媒はN−メチルピロリドンであり、前記化合物が(メタ)アクリロイル基とハロゲン基とを有する化合物である、製造方法。
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