JP2021160191A - 成形材料および成形品 - Google Patents

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啓邦 藤田
Hirokuni Fujita
貴史 塚本
Takashi Tsukamoto
昌宏 箱谷
Masahiro Hakotani
卓爾 清水
Takuji Shimizu
彬 三浦
Akira Miura
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Abstract

【課題】樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる成形材料、および、その成形材料の硬化物を含む成形品を提供すること。
【解決手段】成形材料は、樹脂成分を含む樹脂組成物と、炭素繊維の繊維束とを含む。炭素繊維の繊維束の試験により測定されるメディアンXと、標準偏差Yとが所定の関係を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形材料および成形品に関し、詳しくは、成形材料、および、成形材料の硬化物を含む成形品に関する。
従来、炭素繊維を含む成形材料からなる成形品は、比強度、比弾性率などに優れることから、航空機、自動車、スポーツ用途をはじめとした各種分野に用いられている。
炭素繊維を含む成形材料の中でもとりわけ、SMC(シートモールディングコンパウンド)は繊維長が短い不連続繊維を使用するため、一般に連続繊維を使用した成形品に比べて繊維強化樹脂製構造体の機械的特性が低くなるという問題があるものの、材料を流動させて型内に充填させるため、オートクレーブ成形やRTM成形では困難な細かい凹凸を有する複雑な形状を形成するのに好適であり、材料を流動させるが故材料積層にかかる時間を短縮することができ成形サイクルも短いことから各種分野において採用が加速している。
このような成形材料として、例えば、熱硬化性ポリマーと、ビニル単量体と、熱可塑性ポリマーと、炭素繊維とを含む炭素繊維強化シート状成形材料が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
また、上記の成形材料に配合される炭素繊維は、開繊加工した後に、等間隔に円形刃を通過させ分繊された炭素繊維の繊維束である(例えば、下記特許文献1の実施例12参照。)。
特開2018−197295号公報
特許文献1の実施例12では、開繊加工した後に、等間隔に分繊された炭素繊維の繊維束を用いているため、炭素繊維の繊維束の幅は、均一に揃えられている。そうすると、このような炭素繊維の繊維束は、成形材料中で局在化し、また、炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することができなくなる。その結果、樹脂成分(熱硬化性ポリマー)に対する炭素繊維の繊維束の含浸性が低下する不具合がある。
また、このような成形材料を、金型で成形する場合には、金型に対する成形材料の充填性の向上が要求されるが、特許文献1の実施例12記載の方法では均一な幅に分繊された炭素繊維の繊維束となっているため、成形時の材料流動の際に炭素繊維同士が絡み合い流動性は低下する。
本発明の目的は、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる成形材料、および、その成形材料の硬化物を含む成形品を提供することにある。
本発明[1]は、樹脂成分を含む樹脂組成物と、炭素繊維の繊維束とを含み、前記炭素繊維の繊維束の、下記試験により測定されるメディアンXと、標準偏差Yとが、下記式(1)〜下記式(4)の関係を満たす、成形材料である。
Y>0.5X (1)
Y<0.5X+4000 (2)
X>2000 (3)
X<8000 (4)
試験:解繊機を用いて、炭素繊維の繊維束を解繊し、解繊後の炭素繊維の繊維束から、無作為に100本の解繊後の炭素繊維の繊維束を抽出し、抽出した炭素繊維の繊維束それぞれの質量(m)およびその炭素繊維の繊維束それぞれの繊維長(l)を測定し、得られた質量(m)および繊維長(l)から、下記式(5)に基づき、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(n)を算出し、これら収束本数のメディアンおよび標準偏差を算出する。
n=(m×N×1000)/(M×l) (5)
(式中、nは、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、mは、解繊後の炭素繊維の繊維束の質量(mg)を示し、Nは、解繊前の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、Mは、解繊前の炭素繊維の繊維束の繊維目付(g/1000m)を示し、lは、解繊後の炭素繊維の繊維束の繊維長(mm)を示す。)
本発明[2]は、前記炭素繊維の繊維束のかさ密度が、0.15g/ml以上0.3g/ml以下である、上記[1]に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[3]は、前記樹脂成分が、ビニルエステルと酸無水物との反応生成物を含み、前記樹脂組成物が、増粘剤を含む、上記[1]または[2]に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[4]は、前記増粘剤が、酸化マグネシウムである、上記[3]に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[5]は、前記酸無水物の配合割合が、前記ビニルエステル1モルに対して、0.6モル以上1.4モル以下である、上記[3]または[4]に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[6]は、前記ビニルエステルは、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応生成物であり、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、200以上500以下である、上記[3]〜[5]のいずれか一項に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[7]は、前記樹脂組成物および前記炭素繊維の繊維束の総量に対して、前記炭素繊維の繊維束の配合割合が、40質量%以上65質量%以下である、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の成形材料を含んでいる。
本発明[8]は、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の成形材料の硬化物を含む、成形品を含んでいる。
本発明の成形材料は、炭素繊維の繊維束を含み、炭素繊維の繊維束の、所定の試験により測定されるメディアンXと、標準偏差Yとが所定の関係である。
そのため、この成形材料は、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる。
本発明の成形品は、本発明の成形材料の硬化物を含むので、表面平滑性に優れ、かつ、反り変形が抑制される。
図1は、メディアンXおよび標準偏差Yの関係を示すグラフである。 図2は、実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例4におけるメディアンXおよび標準偏差Yの関係を示すグラフである。
本発明の成形材料は、樹脂成分を含む樹脂組成物と、試験(後述)において測定される所定のメディアンおよび所定の標準偏差を有する炭素繊維の繊維束とを含む。
樹脂成分は、二重結合含有硬化性ポリマーおよび重合性単量体を含む。
二重結合含有硬化性ポリマーとしては、例えば、ビニルエステル、不飽和ポリエステルなどが挙げられ、好ましくは、ビニルエステルが挙げられる。
ビニルエステルは、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応生成物である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられ、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2021160191
(式中、Y1は、−C(CH32−、−CH2−、−O−、−S−、−(O=S=O)−のうち、いずれかを示し、nは、0〜5の整数を示す。)
このようなビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などが挙げられ、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのフェノール化合物により、変性させることもできる。
フェノール化合物によりエポキシ樹脂を変性させるには、エポキシ樹脂とフェノール化合物と反応させる。
フェノール化合物の配合割合は、エポキシ樹脂1モルに対して、例えば、0.1モル以上、好ましくは、0.3モル以上であり、また、例えば、0.6モル以下、好ましくは、0.5モル以下である。
また、上記の反応において、反応温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、130℃以上であり、また、例えば、200℃以下であり、また、反応時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、また、例えば、10時間以下である。
また、上記の反応では、必要により、触媒を配合することができる。
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどのアミン類、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム塩、例えば、2−エチル−4−イミダゾールなどのイミダゾール類、例えば、アミド類、例えば、ピリジン類、例えば、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、例えば、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、例えば、スルホニウム塩、例えば、スルホン酸類、例えば、オクチル酸亜鉛などの有機金属塩などが挙げられ、好ましくは、アンモニウム塩、より好ましくは、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドが挙げられる。
触媒は、単独使用または2種以上併用できる。
触媒の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であり、また、例えば、2.0質量部以下、好ましくは、1.5質量部以下である。
これにより、エポキシ樹脂をフェノール化合物により変性させることができる。
エポキシ樹脂として、好ましくは、フェノール化合物により変性されたエポキシ樹脂が挙げられ、より好ましくは、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用できる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、150以上、成形品(後述)の曲げ強度を向上させる観点から、好ましくは、200以上、より好ましくは、250以上であり、また、例えば、600以下、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは、500以下、より好ましくは、450以下である。
なお、エポキシ樹脂が2種併用される場合の上記のエポキシ当量は、各エポキシ樹脂のエポキシ当量に、エポキシ樹脂の総量に対する各エポキシ樹脂の質量割合を乗じて、それらを合算した全エポキシ樹脂のエポキシ当量である。
不飽和一塩基酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ソルビン酸などのモノカルボン酸、例えば、二塩基酸無水物と、分子中に少なくとも一個の不飽和基を有するアルコールとの反応物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリルは、メタクリルおよび/またはアクリルと同義である。
二塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
不飽和基を有するアルコールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
不飽和一塩基酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
不飽和一塩基酸として、好ましくは、モノカルボン酸、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、さらに好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
そして、ビニルエステルを得るには、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応させる。
上記の反応では、エポキシ樹脂のエポキシ基と、不飽和一塩基酸とが付加反応する。
また、上記の反応では、エポキシ樹脂のエポキシ基に対する不飽和一塩基酸のカルボキシル基の当量は、例えば、0.8以上、好ましくは、0.9以上であり、また、例えば、1.5以下、好ましくは、1.1以下である。
また、上記の反応において、反応温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、150℃以下、好ましくは、130℃以下であり、また、反応時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、また、例えば、10時間以下である。
また、上記の反応では、必要により、上記した触媒(好ましくは、アンモニウム塩、より好ましくは、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド)を配合することができる。
触媒の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.03質量部以上であり、また、例えば、0.5質量部以下、好ましくは、0.1質量部以下である。
また、上記の反応では、必要により、重合禁止剤を添加することができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンなどのハイドロキノン化合物、例えば、p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン化合物、例えば、t−ブチルカテコールなどのカテコール化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−メトキシフェノールなどのフェノール化合物、例えば、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−4−t−ブチルベンゾエート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)コハク酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジピン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、N−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、N−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6−トリス−[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−s−トリアジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンなどのN−オキシル化合物が挙げられ、好ましくは、ハイドロキノン化合物、より好ましくは、ハイドロキノンが挙げられる。
重合禁止剤は、単独使用または2種以上併用できる。
重合禁止剤の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.03質量部以上であり、また、例えば、0.5質量部以下、好ましくは、0.1質量部以下である。
これにより、ビニルエステルが得られる。
このようなビニルエステルは、酸無水物により変性することもできる。
つまり、ビニルエステルとしては、酸無水物により変性したビニルエステル(以下、酸変性ビニルエステルと称する。)、酸無水物により変性しないビニルエステル(以下、無変性ビニルエステルと称する。)が挙げられる。
酸変性ビニルエステルは、ビニルエステルと酸無水物との反応生成物である。
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸などが挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。
そして、酸変性ビニルエステルを得るには、ビニルエステルと酸無水物とを反応させる。
上記の反応では、酸無水物の配合割合は、ビニルエステル1モルに対して、例えば、0.6モル以上、好ましくは、0.8モル以上であり、また、例えば、1.4モル以下、好ましくは、1.2モル以下である。
酸無水物の配合割合が、上記下限以上であれば、樹脂組成物を加熱圧縮成形に適した粘度まで増粘させることができる。
酸無水物の配合割合が、上記上限以下であれば、貯蔵安定性に優れる。
また、上記の反応において、反応温度は、例えば、60℃以上であり、また、例えば、100℃以下であり、また、反応時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、6時間以下である。
これにより、酸変性ビニルエステルが得られる。
酸変性ビニルエステルの酸価(測定方法:JIS K6901(2008年)に準拠、以下同様。)は、例えば、40mgKOH/g以上、好ましくは、50mgKOH/g以上であり、また、例えば、100mgKOH/g以下、好ましくは、90mgKOH/g以下である。
また、無変性ビニルエステルの酸価は、例えば、1mgKOH/g以上、好ましくは、5mgKOH/g以上であり、また、例えば、20mgKOH/g以下、好ましくは、10mgKOH/gである。
このようなビニルエステルのうち、好ましくは、酸変性ビニルエステルが挙げられる。
つまり、好ましくは、樹脂成分は、酸変性ビニルエステルを含む。
二重結合含有硬化性ポリマーの配合割合は、重合性単量体100質量部に対して、例えば、80質量以上、好ましくは、120質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下である。
また、二重結合含有硬化性ポリマーの配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、65質量部以下である。
二重結合含有硬化性ポリマーの配合割合が、上記下限以上であれば、樹脂組成物を加熱圧縮成形に適した粘度まで増粘させることができる。
二重結合含有硬化性ポリマーの配合割合が、上記上限以下であれば、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。
重合性単量体は、二重結合含有硬化性ポリマーを溶解するための溶剤であり、かつ、二重結合含有硬化性樹脂(後述)の硬化時には、二重結合含有硬化性ポリマーと架橋可能な架橋性単量体(反応性希釈剤)であって、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル)、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸アリルなどの(メタ)アクリル酸アリルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルなどの環構造含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルおよびこれらのクロライド塩、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシルなどの(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルなどのアリル系モノマーなどが挙げられ、好ましくは、スチレン系モノマー、環構造含有(メタ)アクリル酸エステル、より好ましくは、スチレン、メタクリル酸ベンジルが挙げられる。
重合性単量体は、単独使用または2種以上併用できる。
重合性単量体の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下である。
また、樹脂成分は、好ましくは、低収縮化剤を含む。
低収縮化剤は、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)を得る場合に、成形品(後述)の硬化収縮および熱収縮を抑制するために配合される。
低収縮化剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン系熱可塑性エラストマー、架橋ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル-ポリスチレンブロックコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合エラストマー、スチレン−イソプレンブロック共重合エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン−ブロック共重合エラストマーなどが挙げられ、好ましくは、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン−ブロック共重合エラストマーが挙げられる。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、D1101、D1102、D1155、DKX405、DKX410、DKX415、D1192、D1161、D1171、G1651、G1652、G1654、G1701、G1730(以上、クレイトンエラストマー社製)、アサプレンT411、アサプレンT432、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126S、タフプレン315、タフプレン912、タフテックH1141、タフテックH1041、タフテックH1043、タフテックH1052(以上、旭化成社製)、セプトン1001、1201(以上、クラレ社製)などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含量は、例えば、5質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下である。
低収縮化剤としては、好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマー、飽和ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニルが挙げられる。
低収縮化剤は、単独使用または2種以上併用できる。
低収縮化剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下、好ましく、20質量部以下である。
低収縮化剤の配合割合が、上記下限以上であれば、成形品(後述)の硬化収縮および熱収縮を抑制することができる。
低収縮化剤の配合割合が、上記上限以下であれば、樹脂成分が分離することを抑制でき、その結果、良好な外観の成形品(後述)を得ることができる。
そして、樹脂組成物は、樹脂成分における各成分、具体的には、二重結合含有硬化性ポリマーと、重合性単量体と、必要により配合される低収縮化剤とを、上記した配合割合で、配合することにより得ることができる。
これにより、樹脂組成物が得られる。
また、樹脂組成物には、必要により、重合禁止剤、重合開始剤、湿潤分散剤、分離防止剤、離型剤、充填材、増粘剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を配合することができる。これら添加剤は、単独使用または2種以上併用できる。
重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、PBQ(パラベンゾキノン)、MTBHQ(モノt−ブチルハイドロキノン)、BHT(ジt−ブチルヒドロキシトルエン、又は、2,5−ジt−ブチル−4−メチルフェノール)、HQ(ハイドロキノン)、TBC(t−ブチルカテコール)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシルフリーラジカルなどが挙げられ、好ましくは、PBQ(パラベンゾキノン)が挙げられる。
重合禁止剤は、単独使用または2種以上併用できる。
重合禁止剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、1質量部以下である。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシアセテートなどのパーオキサイドが挙げられ、好ましくは、パーオキシイソプロピルモノカーボネートであるt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられ、好ましくは、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。
重合開始剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、0.7質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
重合開始剤は、単独使用または2種以上併用できる。
また、重合開始剤とともに公知の硬化促進剤を併用することもできる。
硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、マンガンの有機金属化合物、例えば、それぞれのオクトエート、ナフテネート、アセチルアセトネートなどが挙げられる。
硬化促進剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であり、また、例えば、1質量部以下である。
硬化促進剤は、単独使用または2種以上併用できる。
湿潤分散剤は、樹脂成分と強化繊維や充填材の濡れ性を改善するために配合され、リン酸ポリエステルなどの公知の湿潤分散剤が挙げられる。また、湿潤分散剤は、市販品を用いることができ、具体的には、BYK−W996(ビックケミー社製)などが用いられる。
湿潤分散剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
湿潤分散剤は、単独使用または2種以上併用できる。
分離防止剤は、樹脂組成物の分離を防止するために配合され、例えば、スチレンと酢酸ビニルのブロック共重合体などが挙げられる。また、分離防止剤は、市販品を用いることができ、具体的には、BYK−W972(ビックケミー社製)などが用いられる。
分離防止剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
分離防止剤は、単独使用または2種以上併用できる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、例えば、パラフィン、液体ワックス、フッ素ポリマー、シリコン系ポリマー、アルキルアンモニウム塩などの化合物などが挙げられ、好ましくは、脂肪酸金属塩、より好ましくは、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
離型剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。
離型剤は、単独使用または2種以上併用できる。
充填材としては、例えば、アルミナ、チタニアなどの酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸塩、例えば、シリカ(例えば、結晶性シリカ、溶融シリカ、フュームドシリカ、乾式シリカ(アエロジル)など)、例えば、ガラスパウダー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーンなどの中空フィラー、例えば、珪砂、珪藻土、マイカ、クレー、カオリン、タルクなどのケイ酸塩、例えば、ホタル石などのフッ化物、例えば、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、例えば、スメクタイトなどの粘土鉱物などの無機充填材、例えば、ミルドカーボンファイバーなどの導電性繊維、導電性粒子、カーボンナノチューブなどの導電性フィラーなどが挙げられ、好ましくは、炭酸塩、中空フィラー、導電性フィラー、より好ましくは、炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ミルドカーボンファイバーが挙げられる。
充填材の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
充填材は、単独使用または2種以上併用できる。
増粘剤は、樹脂組成物を加熱圧縮成形に適した粘度まで増粘させるために配合され、好しくは、樹脂組成物を強化繊維(後述)に含浸させる前(好ましくは、直前)に配合され、例えば、酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属酸化物、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などのポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
増粘剤は、二重結合含有硬化性ポリマーの種類に応じて選択され、例えば、二重結合含有硬化性ポリマーが、無変性ビニルエステルである場合には、増粘剤として、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネートが選択され、また、例えば、二重結合含有硬化性ポリマーが、酸変性ビニルエステルである場合には、増粘剤として、酸化マグネシウムが選択される。
二重結合含有硬化性ポリマーが、酸変性ビニルエステルであり、かつ、増粘剤が、酸化マグネシウムであれば、ハンドリング性および流動性に優れる。
増粘剤の配合割合は、二重結合含有硬化性ポリマーが、無変性ビニルエステルであり、かつ、増粘剤が、ジフェニルメタンジイソシアネートである場合には、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。また、二重結合含有硬化性ポリマーが、酸変性ビニルエステルであり、かつ、増粘剤が、酸化マグネシウムである場合には、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下である。
増粘剤は、単独使用または2種以上併用できる。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、酸化チタン、ポリエステルトナー(酸化チタンおよび/またはカーボンブラック含有ポリエステル着色剤)などが挙げられる。
着色剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下である。
着色剤は、単独使用または2種以上併用できる。
難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、例えば、リン系難燃剤、無機系難燃剤、窒素化合物系難燃剤の非ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。
難燃剤の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
難燃剤は、単独使用または2種以上併用できる。
また、樹脂組成物には、必要により、例えば、柄材、抗菌剤、親水剤、光触媒、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、チクソ付与剤、チクソ安定剤、重合促進剤などの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。これら添加剤は、単独使用または2種以上併用できる。
樹脂組成物の25℃での粘度は、例えば、0.1Pa・s以上、好ましくは、0.5Pa・s以上、より好ましくは、0.7Pa・s以上であり、また、例えば、10Pa・s以下、好ましくは、5Pa・s以下である。
なお、粘度の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
なお、上記した説明では、二重結合含有硬化性ポリマーと、重合性単量体と、必要により配合される低収縮化剤と、必要により配合される添加剤とを配合し、樹脂組成物を得たが、まず、二重結合含有硬化性ポリマーを重合性単量体に溶解させることにより、二重結合含有硬化性樹脂を調製し、その後、得られた二重結合含有硬化性樹脂と、重合性単量体と、必要により配合される低収縮化剤と、必要により配合される添加剤とを配合することもできる。
二重結合含有硬化性ポリマーの調製においては、二重結合含有硬化性ポリマーおよび重合性単量体を配合するとともに、必要により、適宜、上記の添加剤を配合することもできる。
炭素繊維の繊維束は、複数の炭素繊維を収束した繊維束である。
また、成形材料を含浸する際には炭素繊維の繊維束は、予め、解繊されている。つまり、このような炭素繊維の繊維束は、解繊後の炭素繊維の繊維束である。
詳しくは、解繊後の炭素繊維の繊維束は、炭素繊維の繊維束の原料(解繊前の炭素繊維の繊維束)を、後述するメディアンおよび標準偏差が所定の関係を有する収束本数となるように、公知の解繊機を用いて解繊することにより得られる。
解繊前の炭素繊維の繊維束の収束本数は、例えば、3000本以上、好ましくは、6000本以上、より好ましくは、12000本以上、また、例えば、60000本以下、好ましくは、50000本以下である。
上記した収束本数が、上記下限以上であれば、炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することできるため、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。また、炭素繊維の繊維束同士の干渉を抑制することができ、成形時における流動性を向上させることができる。
また、上記した収束本数が、上記上限以下であれば、炭素繊維の繊維束が太くなりすぎることを抑制できるため、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。また、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の曲げ強度および曲げ弾性率を向上させることができる。
解繊機としては、例えば、特開2019−065405号公報に記載の解繊装置などが挙げられる。
得られた解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数は、後述する試験により測定されるメディアンXおよび標準偏差Yが所定の関係を有する。
詳しくは、試験では、解繊機(例えば、上記した特開2019−065405号公報に記載の解繊装置)を用いて、炭素繊維の繊維束を解繊し、解繊後の炭素繊維の繊維束から、無作為に100本の解繊後の炭素繊維の繊維束を抽出し、抽出した炭素繊維の繊維束それぞれの質量(m)およびその炭素繊維の繊維束それぞれの繊維長(l)を測定し、得られた質量(m)および繊維長(l)から、下記式(1)に基づき、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(n)を算出し、これら収束本数のメディアンおよび標準偏差を算出する。
n=(m×N×1000)/(M×l) (1)
(式中、nは、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、mは、解繊後の炭素繊維の繊維束の質量(mg)を示し、Nは、解繊前の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、Mは、解繊前の炭素繊維の繊維束の繊維目付(g/1000m)を示し、lは、解繊後の炭素繊維の繊維束の繊維長(mm)を示す。)
炭素繊維の繊維束(解繊前の炭素繊維の繊維束)を、特開2019−065405号公報に記載の解繊装置を用いて解繊する場合には、上段解繊機構における回転軸の回転数と、中段解繊機構における回転軸の回転数と、下段解繊機構における回転軸の回転数とを、100rpm以上、好ましくは、400rpm以上、より好ましくは、800rpm以上、また、例えば、3000rpm以下、好ましくは、2500rpm以下に調整する。
上記の回転数を小さくすると、解繊処理効率が低下するため、メディアンXおよび標準偏差Yを大きくすることができ、また、上記の回転数を大きくすると、解繊処理効率が向上するため、メディアンXおよび標準偏差Yを小さくすることができる。
そして、メディアンXおよび標準偏差Yは、具体的には、下記式(2)〜下記式(5)の関係を満たす。
Y>0.5X (2)
Y<0.5X+4000 (3)
X>2000 (4)
X<8000 (5)
すなわち、メディアンXおよび標準偏差Yが、図1の斜線部分の範囲であることを意味する。
そして、メディアンXおよび標準偏差Yが、このような範囲内であれば、解繊後の炭素繊維の繊維束が成形材料中で局在化することを抑制することができ、また、解繊後の炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、解繊後の炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することできるため、樹脂成分に対する解繊後の炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。また、炭素繊維の繊維束同士の絡み合いの観点から、金型に対する充填性を向上させることができる。
一方、メディアンXおよび標準偏差Yが、上記式(2)を満たさなければ(詳しくは、図1における領域A)、炭素繊維の繊維束同士の絡み合いの観点から、金型に対する充填性が低下する。
また、メディアンXおよび標準偏差Yが、上記式(3)を満たさなければ(詳しくは、図1における領域B)、解繊後の炭素繊維の繊維束が成形材料中で局在化し、また、解繊後の炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、解繊後の炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することができなくなるため、樹脂成分に対する解繊後の炭素繊維の繊維束の含浸性が低下する。
また、メディアンXが、上記式(4)を満たさなければ(詳しくは、図1における領域C)、炭素繊維の繊維束同士の絡み合いの観点から、金型に対する充填性が低下する。
また、メディアンXが、上記式(5)を満たさなければ(詳しくは、図1における領域D)、解繊後の炭素繊維の繊維束が成形材料中で局在化し、また、解繊後の炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、解繊後の炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することができなくなるため、樹脂成分に対する解繊後の炭素繊維の繊維束の含浸性が低下する。
また、好ましくは、メディアンXおよび標準偏差Yは、下記式(6)〜下記式(9)の関係を満たす。
Y>0.5X (6)
Y<0.5X+2000 (7)
X>2000 (8)
X<5000 (9)
メディアンXおよび標準偏差Yが、上記式(6)〜上記式(9)の関係を満たせば、炭素繊維の繊維束同士の絡み合いの防止に優れるとともに、解繊後の炭素繊維の繊維束が成形材料中で局在化し、また、解繊後の炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、解繊後の炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間をより一層確保できる。
また、炭素繊維の繊維束のかさ密度は、例えば、0.15g/ml以上、好ましくは、0.18g/ml以上であり、また、例えば、0.3g/ml以下、好ましくは、0.25g/ml以下である。
炭素繊維の繊維束のかさ密度が、上記下限以上であれば、炭素繊維の繊維束に毛羽が発生することを抑制できる。
また、炭素繊維の繊維束のかさ密度が、上記上限以下であれば、炭素繊維の繊維束が成形材料中で局在化することを抑制することができ、また、炭素繊維の繊維束同士が重なり合う場合に、炭素繊維の繊維束同士の間に適度な隙間を確保することできるため、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。
なお、かさ密度の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
そして、成形材料は、樹脂組成物に、炭素繊維の繊維束を配合することにより得られる。
具体的には、成形材料は、炭素繊維の繊維束に樹脂組成物を含浸させることにより、例えば、シート状の成形材料として得られる。
成形材料を調製する方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、SMC(シートモールディングコンパウンド)、TMC(シックモールディングコンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)などが挙げられ、好ましくは、SMCが挙げられる。
炭素繊維の繊維束の配合割合は、樹脂組成物および炭素繊維の繊維束の総量に対して、例えば、40質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、65質量%以下である。
炭素繊維の繊維束の配合割合が、上記下限以上であれば、この成形材料を用いて得られる成形品の比強度および比剛性を向上させることができる。
また、炭素繊維の繊維束の配合割合が、上記上限以下であれば、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性を向上させることができる。
これにより、樹脂組成物と強化繊維の繊維束とを含む成形材料が得られる。
また、必要により、成形材料には、強化繊維(炭素繊維の繊維束を除く)を配合することもできる。
強化繊維(炭素繊維の繊維束を除く。)としては、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機繊維、例えば、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、フッ素樹脂系繊維、フェノール系繊維などの有機繊維、例えば、麻、ケナフなどの天然繊維などが挙げられる。
強化繊維の配合割合は、樹脂組成物および強化繊維の総量に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
次いで、このような成形材料を、加熱圧縮成形(後述)のハンドリング性を向上できるように、増粘させるため、好ましくは、例えば、20℃以上50℃以下、8時間以上120時間以下で熟成する。
これにより、成形材料が、例えば、シート状に保形される。つまり、成形材料は、シート形状を有する。
このような成形材料は、上記したメディアンXおよび上記した標準偏差Yを有する炭素繊維の繊維束を含む。
そのため、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる。
そして、成形品は、上記した成形材料を、公知の方法により、加熱圧縮成形することにより得られる。
加熱圧縮成形の条件は、目的および用途に応じて、適宜設定され、具体的には、成形温度は、例えば、60℃以上、好ましくは、100℃以上、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下であり、また、成形圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、1MPa以上、より好ましくは、5MPa以上であり、また、例えば、20MPa以下、好ましくは、15MPa以下である。
これにより、成形材料が硬化するとともに、成形材料が成形される。
これにより、成形材料の硬化物を含む成形品が得られる。
上記したように、上記の成形材料は、上記したメディアンXおよび上記した標準偏差Yを有する炭素繊維の繊維束を含むため、成形材料の調製時において、炭素繊維の繊維束の局在化が抑制されている。その結果、この成形材料の硬化物を含む成形品は、表面平滑性に優れ、かつ、反り変形が抑制される。
成形品の密度は、例えば、1.2g/mL以上、好ましくは、1.3g/mL以上、より好ましくは、1.4g/mL以上であり、また、例えば、1.7g/mL以下、好ましくは、1.6g/mL以下である。
なお、密度の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
また、成形品の曲げ強さ(JIS K7074(1988年)に準拠)は、例えば、250MPa以上、好ましくは、470MPa以上である。
また、成形品の曲げ弾性率(JIS K7074(1988年)に準拠)は、例えば、20GPa以上、好ましくは、25GPa以上、より好ましくは、30GPa以上、さらに好ましくは、35GPa以上である。
また、成形品の比強度は、例えば、180MPa/(g/cm3)以上、好ましくは、250MPa/(g/cm3)以上、さらに好ましくは、300MPa/(g/cm3)以上である。
なお、比強度の測定方法は、後述する実施例において詳述する。
また、成形品の比剛性は、例えば、20(MPa)1/3/(g/cm3)以上、好ましは、22(MPa)1/3/(g/cm3)以上である。
なお、比強度の測定方法は、後述する実施例において詳述する。
そして、このような成形品は、建材、ハウジング類、注型材、機械部品、電子・電気部品、車両、船舶、航空機などの各部材などに幅広く使用できる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
1.成分の詳細
メタクリル酸ベンジル:商品名「ライトエステルBZ」、共栄社化学社製
ポリ酢酸ビニル:商品名「VINAPAS C501」、Wacker Polymer Systems社製
飽和ポリエステル:商品名「バイロン(登録商標)550」、東洋紡社製
スチレン系熱可塑性エラストマー:商品名「Kraton(登録商標)G1701」、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン−ブロック共重合体、Kraton社製
重合禁止剤:パラベンゾキノン
重合開始剤:商品名「パーブチル(登録商標)Z」、日本油脂社製
湿潤分散剤:商品名「BYK−W996」、BYK−Chemie GmbH社製
分離防止剤:商品名「BYK−W972」、BYK−Chemie GmbH社製
離型剤:ステアリン酸亜鉛
炭酸カルシウム:商品名「NS#400」、日東粉化工業社製、平均粒子径1.7μm(カタログ値)
ミルドカーボンファイバー:商品名「ドナカーボ・ミルド S−241」、大阪ガスケミカル社製
ガラスバルーン:商品名「グラスバブルズフィラー K−37」、住友スリーエム社製、真密度0.37g/cm3、耐圧強度21MPa(カタログ値)
MgO :商品名「キョーワマグ#100」、協和化学工業社製
MDI :商品名「コスモネートPH」、三井化学SKCポリウレタン社製
炭素繊維6K:収束数6000本の炭素繊維の繊維束(未解繊)、商品名「TR50S 6L」、三菱ケミカル社製
炭素繊維12K:収束数12000本の炭素繊維の繊維束(商品名「T700−SC 12K」、東レ社製)
炭素繊維24K:収束数24000本の炭素繊維の繊維束(商品名「TC−35R 24K」、Formosa Plastics社製)
炭素繊維48K:収束数48000本の炭素繊維の繊維束(商品名「Panex35」、Zolteck社製)
炭素繊維60K:収束数60000本の炭素繊維の繊維束(商品名「TRH60M」、三菱ケミカル社製)
2.ビニルエステルの調製
合成例1
攪拌機、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器(フラスコ)に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)1850g、重合禁止剤としてハイドロキノン2.0g、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド2.0g、メタクリル酸882gを添加し、空気を吹き込みながら110℃で8時間反応させ、酸価7.0mgKOH/gの無変性ビニルエステル樹脂を得た。
合成例2
合成例1と同様にして、無変性ビニルエステル樹脂を得た後、無水マレイン酸490gを添加し、80℃で2時間反応させて、酸価94.1mgKOH/gの酸変性ビニルエステル樹脂を得た。
合成例3
攪拌機、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器(フラスコ)に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)1850g、ビスフェノールA 210g、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.4gを仕込み、窒素を吹き込みながら、150℃で5時間反応させて、エポキシ当量が252のエポキシ樹脂(ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂)を得た。120℃まで冷却後、重合禁止剤としてハイドロキノン2.0g、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド2.0g、メタクリル酸719gを添加し、空気を吹き込みながら110℃で8時間反応させ、酸価7.0mgKOH/gの無変性ビニルエステル樹脂を得た。
合成例4
合成例3と同様にして、無変性ビニルエステル樹脂を得た後、無水マレイン酸400gを添加し、80℃で2時間反応させて、酸価79.0mgKOH/gの酸変性ビニルエステル樹脂を得た。
合成例5、合成例7および合成例9
表1に従って配合処方を変更した以外は、合成例3と同様にして、無変性ビニルエステル樹脂を得た。
なお、合成例5において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、400であった。
また、合成例7において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、467であった。
また、合成例9において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、522であった。
合成例6、合成例8および合成例10
表1に従って配合処方を変更した以外は、合成例4と同様にして、酸変性ビニルエステル樹脂を得た。
なお、合成例6において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、400であった。
また、合成例8において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、467であった。
また、合成例10において、ビスフェノールAにより変性されたビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、522であった。
3.成形材料の製造
実施例1
(炭素繊維の繊維束の調製)
炭素繊維の繊維束の原料(解繊前の炭素繊維の繊維束)としての、炭素繊維24Kを、ロータリーカッターで1inchに切断後、特開2019−065405号公報に記載の解繊装置を用いて解繊した。
また、解繊条件は、上段の解繊機構における回転軸の回転数を1500rpmとし、中段解繊機構における回転軸の回転数を1500rpmとし、下段解繊機構における回転軸の回転数を1500rpmとした。
(成形材料の調製)
表2〜表5の配合処方に従って、各成分を、均一に混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物(ペースト)に増粘剤を加えて3分撹拌後、直ちにSMC含浸機(月島機械社製)に供給し、炭素繊維24K(解繊後)を添加して充分に含浸させた。その後、48時間熟成させて、シート状の成形材料を得た。
なお、表2〜表5において、炭素繊維の繊維束以外の成分の配合割合は、質量部(部)で示し、炭素繊維の繊維束の配合割合は、樹脂組成物および炭素繊維の繊維束の総量に対する質量割合(質量%)で示す。
実施例2〜実施例32、比較例1〜6
(炭素繊維の繊維束の調製)
表2〜表5に記載の解繊条件に従った以外は、実施例1と同様にして、解繊前の炭素繊維の繊維束を解繊した。
(成形材料の調製)
表2〜表5の配合処方に従った以外は、実施例1と同様にして、シート状の成形材料を得た。
4.評価
(貯蔵安定性)
各合成例のビニルエステルを、スチレンに溶解し、40質量%のスチレン溶液を調製した。次いで、このスチレン溶液を、25℃で、48時間静置した後、スチレン溶液の状態を目視で確認した。その結果を表1に示す。
(荷重たわみ温度)
各合成例のビニルエステルを、スチレンに溶解し、40質量%のスチレン溶液を調製した。次いで、各スチレン溶液100質量部に、オクテン酸コバルト(金属分8%)0.5質量部、カヤメックM(化薬アクゾ社製)質量1部を添加混合し、JIS K6919(1992年)に準じて樹脂硬化物の注型板を作製し、荷重たわみ温度をJIS K6911(1995年)に準じて測定した。その結果を表1に示す。
(メディアンおよび標準偏差)
各実施例および各比較例で用いた解繊後の炭素繊維の繊維束から、無作為に100本の解繊後の炭素繊維の繊維束を抽出し、抽出した炭素繊維の繊維束それぞれの質量(m)およびその炭素繊維の繊維束それぞれの繊維長(l)を測定し、得られた質量(m)および繊維長(l)から、下記式(10)に基づき、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(n)を算出し、これら収束本数のメディアンおよび標準偏差を算出した。
n=(m×N×1000)/(M×l) (10)
(式中、nは、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、mは、解繊後の炭素繊維の繊維束の質量(mg)を示し、Nは、解繊前の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、Mは、解繊前の炭素繊維の繊維束の繊維目付(g/1000m)を示し、lは、解繊後の炭素繊維の繊維束の繊維長(mm)を示す。)
その結果を表2〜表5に示す。
(かさ密度)
各実施例および各比較例で用いた解繊後の炭素繊維の繊維束50gを、1Lのメスシリンダーに入れた。その後、そのメスシリンダーを100回以上振とうし、メスシリンダーの目盛りを計測した。そして、かさ密度を下記式(11)に従って、算出した。その結果を表2〜表5に示す。
かさ密度=(炭素繊維の繊維束の質量(g))/(メスシリンダー目盛り読み値(mL)) (11)
(毛羽)
各実施例および各比較例で用いた炭素繊維の繊維束に関して、特開2019−065405号公報に記載の解繊装置を用いて切断した炭素繊維の繊維束の端部および側面を目視で観察し、毛羽を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
〇:毛羽が確認されなかった。
△:毛羽がわずかに確認された。
×:毛羽がたくさん確認された。
(樹脂組成物の粘度)
各実施例および各比較例の樹脂組成物(ペースト)について、25℃での粘度をJIS K6901(2008年)に準拠し測定した。その結果を表2〜表5に示す。
(含浸性)
各実施例および各比較例の成形材料を幅方向にカットし、その断面を目視で観察した。含浸性を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
〇:成形材料の厚みの中央付近に樹脂成分の付着していない炭素繊維の繊維束が確認されなかった。
×:成形材料の厚みの中央付近に樹脂成分の付着していない炭素繊維の繊維束が確認された。
(シートハンドリング性)
各実施例および各比較例の成形材料から、200×200mmの成形材料を2枚切り出し、これらを積層して張り合わせ密着するよう手で押さえた後、2枚のシートを手で剥がした。
上記に評価において、シートのハンドリング性を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜5に示す。
〇:張り合わせたシートを剥がした際に、シートは綺麗に剥がれた。
△:張り合わせたシートを剥がすことはできるが、シートの一部はもう一方のシートに付着した。
×:張り合わせたシートを剥がすことができなかった。
(充填性)
各実施例および各比較例の成形材料から、106mm×106mmの成形材料を切り出し、これをシート厚さ1mmの成形材料では12枚、シート厚さ2mmの成形材料では6枚積層して、300mm×300mmの平板成形用金型の中央に配置し、140℃、5MPaの条件で5分間加熱および加圧した。
これにより、300mm×300mm×約1.5mmの成形品(成形板)を得た。
上記の成形において、金型に対する成形材料の充填性を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
〇:未充填面積が、0mm2であった。
△:未充填面積が、0mm2超過200mm2未満であった。
×:未充填面積が、200mm2以上であった。
(外観)
各実施例および各比較例の成形材料から、210mm×210mmの成形材料を切り出し、これをシート厚さ1mmの成形材料では8枚、シート厚さ2mmの成形材料では4枚積層して300mm×300mmの平板成形用金型の中央に配置し、140℃、10MPaの条件で5分間加熱、加圧した。
これにより、300mm×300mm×厚さ約4mmの成形品(成形板)を得た。
得られた成形品の表面状態を、目視で確認し、外観を以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
〇:クラック、フクレおよびかすれのいずれかが確認されなかった。
×:クラック、フクレおよびかすれのいずれかが確認された。
(平滑性)
各実施例および各比較例の成形材料を、300×300mm平板金型を用いて加熱圧縮成形して、厚み4mmの平板状の成形品を成形した。成形は、金型温度が、製品面145℃、裏面130℃、成形圧力10MPa、金型内保持時間5分の条件で実施した。得られた平板状の成形品の表面に、その表面の上方1.5mから直管蛍光灯2本を投影し、投影像の目視観察により、成形品の表面平滑性を評価した。表面平滑性を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
○:投影像の直線性、平行性が高かった。
△:投影像に「うねり」、歪が認められた。
×:投影像に大きな「うねり」が認められ、歪が大きかった。
(反り変形)
各実施例および各比較例について、上記充填性評価で得られた成形品を金型から脱型後、25℃下で24時間放置した。この成形品を、JIS B7513(1992年)に規定された精密定盤上の静置し、成形品各辺と精密定盤との隙間を測定した。反り変形を、以下の基準で評価した。その結果を表2〜表5に示す。
〇:隙間が確認できなかった。
△:0mm超過10mm未満の隙間が確認できた。
×:10mm以上の隙間が確認できた。
(密度)
各実施例および各比較例について、上記外観評価で得られた成形品を用いて、25℃の水を用いてアルキメデス法により密度を求めた。その結果を表2〜表5に示す。
(曲げ特性(曲げ強さおよび曲げ弾性率))
各実施例および各比較例について、上記外観評価で得られた成形品を用いて、JIS K7074(1988年)に準拠して曲げ試験を実施し、曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。その結果を表2〜表5に示す。
(比強度)
曲げ強度、密度の測定結果から、下記式(12)により比強度を算出した。
比強度 = (曲げ強度)/(密度) (12)
その結果を表2〜表5に示す。
(比剛性)
曲げ弾性率、密度の測定結果から、下記式(13)により比剛性を算出した。その結果を表2〜表5に示す。
比剛性 = (曲げ弾性率)1/3/(密度)(13)
5.考察
実施例1〜実施例15、比較例1〜比較例4におけるメディアンXおよび標準偏差Yの関係を示すグラフを図2に示す。
このとき、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる成形材料は、炭素繊維の繊維束の上記したメディアンXおよび上記した標準偏差Yが、図2の関係式(Y>0.5X、Y<0.5X+4000、X>2000、X<8000)(図2斜線部分)により定められることがわかった。
詳しくは、上記範囲に含まれる実施例1〜実施例15は、上記範囲に含まれない比較例1〜比較例4に比べて、樹脂成分に対する炭素繊維の繊維束の含浸性に優れ、かつ、金型に対する充填性に優れる。
Figure 2021160191
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Figure 2021160191
Figure 2021160191
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Claims (8)

  1. 樹脂成分を含む樹脂組成物と、炭素繊維の繊維束とを含み、
    前記炭素繊維の繊維束の、下記試験により測定されるメディアンXと、標準偏差Yとが、下記式(1)〜下記式(4)の関係を満たすことを特徴とする、成形材料。
    Y>0.5X (1)
    Y<0.5X+4000 (2)
    X>2000 (3)
    X<8000 (4)
    試験:解繊機を用いて、炭素繊維の繊維束を解繊し、解繊後の炭素繊維の繊維束から、無作為に100本の解繊後の炭素繊維の繊維束を抽出し、抽出した炭素繊維の繊維束それぞれの質量(m)およびその炭素繊維の繊維束それぞれの繊維長(l)を測定し、得られた質量(m)および繊維長(l)から、下記式(5)に基づき、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(n)を算出し、これら収束本数のメディアンおよび標準偏差を算出する。
    n=(m×N×1000)/(M×l) (5)
    (式中、nは、解繊後の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、mは、解繊後の炭素繊維の繊維束の質量(mg)を示し、Nは、解繊前の炭素繊維の繊維束の収束本数(K)を示し、Mは、解繊前の炭素繊維の繊維束の繊維目付(g/1000m)を示し、lは、解繊後の炭素繊維の繊維束の繊維長(mm)を示す。)
  2. 前記炭素繊維の繊維束のかさ密度が、0.15g/ml以上0.3g/ml以下であることを特徴とする、請求項1に記載の成形材料。
  3. 前記樹脂成分が、ビニルエステルと酸無水物との反応生成物を含み、
    前記樹脂組成物が、増粘剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の成形材料。
  4. 前記増粘剤が、酸化マグネシウムであることを特徴とする、請求項3に記載の成形材料。
  5. 前記酸無水物の配合割合が、前記ビニルエステル1モルに対して、0.6モル以上1.4モル以下であることを特徴とする、請求項3または4に記載の成形材料。
  6. 前記ビニルエステルは、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応生成物であり、
    前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、200以上500以下であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の成形材料。
  7. 前記樹脂組成物および前記炭素繊維の繊維束の総量に対して、前記炭素繊維の繊維束の配合割合が、40質量%以上65質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の成形材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形材料の硬化物を含むことを特徴とする、成形品。
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